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東京都調布市とみさわ歯科医院 |
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Tomisawa Dental Clinic in Chofu -shi Tokyo |
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わかりやすい矯正歯科の知識 |
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薬には効能と副作用があるように、矯正治療にもその効果とリスクがあります。矯正医はこうしたリスクを常に考慮し、リスクの発生を抑えるべく、治療を進めなくてはなりません。また患者様も発生しうるリスクを理解したうえで治療に望まなくてはなりません。このページでは矯正治療に伴うリスクについて解説します。
矯正治療に伴うリスクとして以下のものがあります。
矯正治療は虫歯のリスクを高める一つの因子といえます。せっかくきれいに歯が並んでも虫歯ができてしまっては、審美性を回復したとはいえません。
右の症例は再三にわたる歯磨き指導や間食制限に応答せず、歯に貼り付け(ボンディング)てあった矯正装置(ブラケット)の周囲に虫歯が発生したものです。
虫歯と矯正治療の関係については様々な研究がなされています。大まかにまとめると矯正治療中に発生する虫歯は、非常に注意すべく医原性の疾患であるということです。しかしながらきめ細かな予防策により防ぎうるともいえます。
特に注意すべきは年齢の問題です。Comparative age study of the risk of demineralization during orthodontic treatment with brackets.Folia Med (Plovdiv). 2002;44(1-2):56-9. この論文では低年齢児においてはブラケット撤去後に脱灰部がみられる割合が高いことを報告しています。具体的にはブラケット撤去後に」脱灰部がみられた割合は11−15歳児では51.61%、19-24歳では6.92%であったとしています。その理由としては萌出間もない歯は脱灰に対する抵抗力が弱いこと、そして口腔衛生指導にうまく反応しないことをあげています。
対策としては一般の虫歯予防と大差ありません。
などです。加えて矯正治療上さらに注意すべき点は、以下のことです。
歯周病あるいは歯肉炎もプラーク由来の疾患で、虫歯と同様に矯正治療上注意が必要なものです。歯周疾患を有する患者への矯正治療の適否については議論の余地があります。文献的に考察してみますと
これらの論文から概ねいえる事は,歯周疾患を有する患者に対して、歯周病のコントロールを適切に行わずして矯正治療を行うことは歯周病の増悪につながるということです。しかしながら歯周病患者に矯正治療は禁忌ではなく、歯列不正の改善による清掃性の向上、歯周補綴の前処置としての病的移動の解消、審美性の回復を目的として、矯正治療は利用されうるものであると言えます。
さらに積極的な意見では、歯周疾患に罹患した歯に矯正力を加えると、骨吸収の改善に役立つとするものもあります。にBone response to different strength orthodontic forces in animals with periodontitis.J Periodontal Res. 2005 Dec;40(6):441-5. この論文では動物実験でそのことを確かめています。
この症例は比較的重度の歯周病に罹患した患者様で審美性の回復を目的として矯正治療を行ったものです。歯周病が重度に進行した部位では、たとえ適切な歯周病コントロールが行われても、骨造成が著名に起こることはありません。しかしながら矯正治療を行っても歯周病の程度は変化しないか、わずかに増悪するにとどまっていることがわかります。
注:根管治療及びメタルコアの装着はTomisawaD/Cで行われたものではありません。
歯肉縁上縁下の細菌性の沈着物(バイオフィルム)の除去を行うことが基本になります。これは一般の歯周治療と変わるところはありませんが、矯正装置の装着により清掃はより困難になりますので、特別な配慮が必要となります。具体的な対策としては
歯に矯正力を加えて、動的な治療を行っていくと根の先端が溶けて丸まっていくといった歯根吸収が起こることがあります。矯正治療に伴う歯根吸収は程度の差こそあれ不可避であるとも言われています。
歯根吸収については様々な研究がなされていますが、特定の原因があるわけではなく、発生の予測も困難と考えられています。発生の時期と頻度に関する研究ではApical root resorption 6 months after initiation of fixed orthodontic appliance therapy.
Am J Orthod Dentofacial Orthop. 2005 Jul;128(1):57-67.というものがありますが、この研究では歯根吸収は矯正治療開始後3−9ヶ月という比較的早期に出現するといっています。頻度は平均1.5mmの吸収が上の前歯の4.1%、2o以上の吸収が1本以上の上の前歯に15.5%出現したとしています。
術者は患者様に「矯正治療中に大小の歯根吸収が起こる可能性があること」を、説明する責務を負います。また患者様もリスクを認識したうえで治療に望まなくてはなりません。もちろん術者は歯根吸収の発生を予防するとともに、患者様に情報提供をしなくてはなりません。しかしながら歯根吸収も早期に発見し適切な対応がなされれば、動的治療終了後には大部分の症例で歯根吸収は止まり、術後に大きな影響を残さないといわれています。
歯根吸収の予防と発生時の対策は次のことがあげられます。
矯正治療と顎関節症(TMD)のかかわりを考えていく場合次の観点からの考察が必要といえます。
A 20-year follow-up of signs and symptoms of temporomandibular disorders and malocclusions in subjects with and without orthodontic treatment in childhood.Angle Orthod. 2003 Apr;73(2):109-15. この論文においては320例の患者を20年にわたり追跡したところ矯正治療がTMDのリスクを上げることはないと結論付けています。
他の多くの論文においても矯正治療がTMDのリスクファクターにはならないというのが現在のコンセンサスといえます。しかしながら症例によっては矯正治療がTMDを誘発しているケースがないとは言い切れず更なる検討の余地はありそうです。
矯正治療がTMD治療に効果があるかどうかは議論の余地があります。現在のところLong-term follow-up of clinical symptoms in TMD patients who underwent occlusal reconstruction by orthodontic treatment.Eur J Orthod. 2000 Feb;22(1):61-7. という論文代表されるように、矯正治療はTMD治療には効果ないとする意見がコンセンサスといえます。
矯正装置には各種の金属素材が用いられています。そのうちニッケルを含む合金を素材とした装置でアレルギーが起きるとした報告が多数あります。
それらの論文の一つでAllergies induced by orthodontic alloys: incidence and impact on treatment. Results of a survey in private orthodontic offices in the Federal State of Hesse, Germany.J Orofac Orthop. 2004 Jan;65(1):48-59. English, German. によれば、ドイツのある地域での調査によると、矯正装置によるアレルギーが60000人の患者で0.3%の確率で発見されたとしています。そのうちの53%はニッケルを含まない装置を適応し、33%は短期の回復期の後に治療計画通に治療を勧めた。一方で14%は治療を中止した。と報告している。