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ふりーはーとメールマガジン ==================================2003/06/15

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[ふりーはーとのメッセージ]

● ネタばらし    

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 「タネも仕掛けもございません」とは手品の口上,実のところは「タネも仕掛けもある」との宣言であろう。
 超能力と称して手品を,さも超常現象と見せる輩が後を絶たないのはどいうわけだろうか。時代背景と密接な関係にあるらしいのだが,ここで考察するのは本意ではない。
 マジシャンの世界で通常はタネ明かしは御法度の筈だ。ネタばらしとは好ましからざる行為ということになる。

 桂枝雀さんに「らくごDE枝雀」(ちくま文庫)なる好著がある。落語のサゲ(オチとも)の仕組みが見事に解き明かされてゐるのだ。
 「緊張の緩和」が笑いをもたらすが,この「緊張の緩和」の典型がサゲにあるという。サゲは従来視点の統一もなく「地口」「ぶっつけ」「考え」「仕込み」「仕種」等各オチに分類されてきた。ここに客がどう受け止めるか(演者の趣向)という視点を定めサゲを四つに分類した。曰く「ドンデン」,「謎解き」,「へん」,「合わせ」である。
 詳述できないので,興味ある諸賢におかれては原著をひもといて頂く他ないのだが,略述する。

○「ドンデン」はどんでん返し。「これ」と思ってたら実は「あっち」やったとね。
○「謎解き」は「なんや,ようわからん」と客が思ってるとこへ実は「こうです」と答えをだす。
○「へん」は普通のはなしで最後に常識の枠を超えた変なことが起こって全部のはなしが嘘になる。
○「合わせ」これ,説明難しいんですが,とにかくせりふでも仕種でもストーリーでも無理からに合わせるんですわ。かけ離れたもんが一緒になる,「ああ,なるほどなあ」て。

 すべて,心の「緊張」が見事に「緩和」されます。

 当ふりーはーとの雑文は,可能な(アイデアがでた)ときはサゲをつける,あるいは出来るだけ付けたいと思いながら書いております。
 乱暴なはなしですが「サゲ」さえつけば,そこで話がぶち切れてしまっても一向に構わない。あるいは「サゲ」に持ち込むためには論理の飛躍も辞さない。「サゲ」のためなら,親でも殺す。んなことはしませんが。常に落語的要素,構成への志向をどこか頭の片隅に住まわせながらキーを叩く訳です。

 落語家さんの余興に「なぞかけ」があります。
おなじみ「何々とかけてなんと解く」「そのこころは」「なになに」です。
 簡単なことば遊びですが,見事な「緊張の緩和」が起こります。枝雀師匠の分類では「合わせ」になるんでしょうか。
 なあに簡単ですから考えてみてください。まず「お題」,これはなんでもよろしい。時節ネタが喜ばれますので「父の日」とでもしませうか。
 解くには,まず先に「父の日」の特異的な要素の抽出します。できるだけ飛躍してる方がよろしんですが,十人が十人判らないとダメです(十人中,三人は知ってることを使ってクスッと上品な笑いをとる手法もありますが)。この部分が最後の「なになに」になる訳です。
 「プレゼントはネクタイが定番」,「母の日に比べてマイナーだから祝われることが少ない」,「『乳の日』と云う駄洒落は使えないか」…と考えて行きます。
 で,その特異的要素が共通するものを探します。これが解く「なになに」になるわけです。これはお題とはできるだけ,かけ離れている方がよろしい。

 例えばこんな具合。
 「父の日とかけて磯村尚徳と解く」
 「そのこころは」
 「ネクタイが気になります」
 (十人おっても誰もわからんがな)
・磯村尚徳氏(68)元NHKキャスター。現在フランス・パリ日本文化会館館長。ニュースセンター9時担当時代,おしゃれでほぼ毎日のようにネクタイを替えてゐたことで話題となった。「ちょっとキザですが」の著作もある。都知事に立候補するも落選。

 次,
 「父(乳)の日とかけて,となりのおばちゃんと解く」
 「そのこころは」
 「牛乳,じゃーじゃーじゃー」
 (これも,十人おっても誰もわからんがな,いいかげんにしなさい。)
 いや,むかし,子どもが小さいころ,私どもが住んでた家の隣の奥さんの胸がとてもふくよかだったので長男が「牛乳じゃーじゃーじゃー」のおばちゃんと呼んでゐた(知らん,知らん,誰も知らんて)。

 はい次,
 「父の日とかけて襦袢の3番目のボタン解く」
 「そのこころは」
 「ないがしろにされがち」
(やれば,できるじゃない。座布団一枚。)
※元ネタは志ん生の「風呂敷(ふるしき)」から「お前(めえ)なんざァ,つまりシャツの三ッつ目のボタンみてえなもんでな,うん,あってもなくってもいいんだよお前はァ…」

 下手な解き方もあります。
 「父の日」とかけて「憲法記念日と解く」
 「そのこころは」
 「カーネーションは送りません。」
 これは偉大な「○○の日」の代表選手「母の日」にカーネーションを送るとの習慣に着目し,父,母をひっかけただけのものです。そのこころが「なになにではない」なら,解く言葉が,そのなになにでなければ良いわけですから極めて簡単なわけです。解く言葉で飛躍は楽しめますが「なぞかけ」を解いたとは云えません。

 はなし,随分逸れてしまったようだ。僭越だが,最近号,拙文の文末あたりの記述を枝雀師匠の分類で割り振ってみた。ほとんどが「合わせ」になってしまう。いきあたりばったりで辻褄合わせをしているだけとも云える。本号バックナンバー貼付け時にはもう少しだけ詳細な解析をしておく(時間を見つけて全部分類します。「それちゃうで」のご意見お願いします。)。

○「ドンデン」
ふりーはーとメルマガ第95号 ふりーはーとメルマガ第96号  「キットの組立(1)(2)」2003年4月27日,5月4日配信(イメージ画像付)
ふりーはーとメルマガ第81号  「去年最後の日の出」2003年1月12日配信(イメージ画像付)(単なる「勘違い」かも)
ふりーはーとメルマガ第78号  「光は速いか」2002年12月22日配信(多分「ドンデン」)

○「謎解き」
ふりーはーとメルマガ第93号  「わからない映画」2003年4月13日配信(イメージ画像付)(「ドンデン」かもしれない)

○「へん」
ふりーはーとメルマガ第89号  「『あいうえお』の逆襲」2003年3月16日配信
ふりーはーとメルマガ第88号  「戸締まり用心」2003年3月9日配信(「へん」じゃないかもしれない)
ふりーはーとメルマガ第86号  「風がふく」2003年2月23日配信(単に中身が「へん」)
ふりーはーとメルマガ第77号  「黒いバッグ」(配信時「ドラエモンの」を改題)2002年12月15日配信(イメージ画像付)
ふりーはーとメルマガ第76号  「二人の男の耳」(配信時「無題」を改題)2002年12月8日配信(イメージ画像,関連頁LINK付)

○「合わせ」
ふりーはーとメルマガ第100号  「バジルが枯れた日」2003年6月8日配信
ふりーはーとメルマガ第99号  「歳祝い」2003年6月1日配信
ふりーはーとメルマガ第98号  「レコードをかける」2003年5月25日配信
ふりーはーとメルマガ第97号  「休刊日」2003年5月18日配信(イメージ画像付)
ふりーはーとメルマガ第90号  「三連休」2003年3月23配信(イメージ画像付)
ふりーはーとメルマガ第87号  「独占インタヴュー」2003年3月2日配信
ふりーはーとメルマガ第84号  「聞き覚え」2003年2月9日配信(イメージ画像付)
ふりーはーとメルマガ第83号  「コロンブスの卵は立つか」2003年2月2日配信(イメージ画像付)(ヒントだけでサゲは読者でつくってもらう「委ね」かもしれない)
ふりーはーとメルマガ第82号  「38度線」2003年1月19日配信(イメージ画像付)(このサゲは実にサゲらしいと気に入っている)
ふりーはーとメルマガ第75号  「なんと十二月」2002年12月1日配信

○サゲなし
ふりーはーとメルマガ第94号  「小説『*OPの初めての客』」2003年4月20日配信(「しみじみ」)
ふりーはーとメルマガ第92号  「お花見サンデー」2003年4月6日配信(イメージ画像付)(話の途中で「花見」に出かける「せん気の虫風」)
ふりーはーとメルマガ第91号  「花は桜木」2003年3月30配信(イメージ画像付)(「ワシントンのサクラ」のくだりは単なるくすぐりだが「謎解き」か)
ふりーはーとメルマガ第85号  「数,大小」2003年2月16日配信(「しみじみ」)
ふりーはーとメルマガ第80号  「門松や」2003年1月5日配信(「しみじみ」)
ふりーはーとメルマガ第79号  「家庭内乱」2002年12月29日配信(警告文)

参考:「らくごDE枝雀」ちくま文庫 桂枝雀著
「五代目古今亭志ん生全集第一巻」弘文出版
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後記:そう云えば当「後記」でサゲを付ける「場外乱闘オチ」,次号でサゲる「見送りオチ」というのも有りました。
 百号騒ぎ(?)もひとまず沈静化の方向にある。
 先週は上京したり,翌日,舞い戻ってそのまま出張と可笑しな具合であった。いくら多忙とて「ネタばらし」をするようではいよいよ「末期的」と云えるが,新境地と読んで見逃してくだされ。


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