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ふりーはーとメールマガジン ==================================2003/05/18

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[ふりーはーとのメッセージ]

● 休刊日

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 いつものように,金曜日,仕事が引けて,夜の街に出た。
 しばらくご無沙汰をしていた「D黒屋」さんで,焼酎(そば湯割)を頂く。
 「わりご」を貰って時計を見ると八時半だ。

 例によって「*OP」へ寄ってみるか。
 いつものように,いつもの行動,なんら隙はなかった筈だが,翌朝,枕から頭を離すことができない。
 宿酔いとは少し違うようだ。
 全身,関節が痛む。
 風邪か,どうも気温が安定しない。汗の流れる日が傾けば,冷え込んで朝は肌寒い。体が順応できていない。
 ええい,ままよ。眠る他あるまい。気がつけば土曜日は暮れかかってゐた。
 隣町のO市の美術館が今年春,建築家安藤忠雄によって改装されて,改装記念に美術展が行われているのだが,北斎展が来ていると云う。この日,行く予定にしてゐたのに,やむを得ぬ。

 そもそも,我が家では,休日の過ごし方の予定など決めておくとロクなことはない。行楽地に宿の予約などしようものなら家族の誰かが前の晩から熱を出し,予定がポシャるのが常であった。今もってこの呪いは解けていないやうだ。

 日曜日,目覚めると,幾分節々は痛むものの,熱はない。気分も良い。
 あいにくの雨だが,母の日である。老母に親孝行も兼ねてO市行きを決める。なにも大仰に構えなくともバイパスが出来ているので車に乗ってしまえば,三十分の距離である。
 北斎と云えば信州小布施の肉筆画が有名だが,未だ見てはいない。
 山陰津和野に十数年前に北斎美術館が開館した。行かうと思っていたら,その所蔵品の多くが間なしに,当地の城の博物館内に展示された。そのをりの図録によれば,九十作品。
 この度のO市の北斎展はおなじく津和野の所蔵だが,一挙,百六十一点。圧巻であった。
 北斎は,晩年,自ら画狂老人と号し,九十歳を迎えても,その創作力に衰えが感じられない,まさに天才である。
 それに引き替え,少量の酒で不調を訴える小生なんぞは,性根が弛んでをる。引き合いのだすのも不遜じゃ。自らを恥じた。

 ふと短冊大の版画に目がとまった。
 なにやら,だらしなく着物をひっかけた長髪のおとこが,おおきな酒瓶を背に,茶を汲みながら饅頭を食してゐる絵だ。「禁酒の猩猩」とある。
 ははーん。大酒呑みの化け物である猩猩(ショウジョウ)が,なんの加減か,宗旨替えしたと見える。それにしても,茶で饅頭とは。

 昼食を摂り,母が,そばの美術館で樂家歴代茶碗の展示も見たいと云う。
 いやはないが,茶道具の「お宝」,とんと判りかねる。
 別室に設えられた茶室で,菓子と薄茶を頂き,「禁酒の猩猩」を気取ってみた。
 帰宅し,少しビールを少し呑んだら,何故か再び悪寒が走った。夜はそうそうに休んで仕舞い,結局,当メルマガを書けなかった。
 とんだ休刊(肝)日となった次第。


○画狂人北斎1849年4月18日九十歳をもって冥歿 
 辞世の句に「人魂でゆく 気さんじや 夏の原」
 また,臨終にあたって「天我をして十年の命を長ふせしめば…。天我をして五年の命を保たしめば,真正の画工となるを得べし」と口ごもったと云ふ。


「禁酒の猩猩」
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後記:勝手ながら,先週の休号を詫びる。

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