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ふりーはーとメールマガジン ==================================2003/04/13

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[ふりーはーとのメッセージ]

● わからない映画   

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 つくづく「解説」,「評論」の類が好きである。
 オリジナルものに対する説明,評論,批判,いちゃもんはおよそ72倍のボリュームでただちに作られる(らしい)。
 傍目八目とも云えるが需要がある。
 文庫本を書店で裏から開き「解説」を読んで,一冊読み終えた気分になって,買わないこともしばしば。

 当分,映画館に行っていない。この当分は,十年近くなるのではないか。
 家族と一緒に「ジュラシックパーク」(93年米),「アポロ13号」(95年米),「紅の豚」(92年日)を見たか。自分の意志で観たのは「クリフハンガー」(93年米),「フルメタルジャケット」(87年米),「ハンバーガーヒル」(87年米)あたりが最後。

 学生時代は「俺たちに明日はない」(67年米),「卒業」(67年米),「イージーライダー」(69年米),「時計じかけのオレンジ」(71年英)といった訳の判らぬものの目白押し。それこそ「どっちが正義で,どっちが悪者」の見方では何もわからぬが,知ったかぶりでファッションとして封切りで全部観た。
 そんな中,超弩級の難解性で群を抜き,その映像美,いきなりの交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」(リヒャルトシュトラウス)でのオープニングと来れば,「2001年宇宙の旅」(68年米英)である。残念ながら劇場で観た記憶がない。ストーリーもおぼろだ。この映画をフェイバリット(お気に入り)とする向きも多いと聞く。TV放映があり,何度か観た筈なのだが,何も覚えておらんのだ。しかし,気になる映画ではある。

 世に禁じられているのは,自分の見た夢の話と相手が観ていない映画の話と相場は決まっている。何度も観ている筈なのに,何も覚えていない映画にこの禁じ手は通用しまい。敢えてその愚に及ぶ積もりだ。
 映画館で今,一本観るのにいくらとられるかは知らぬ。レンタルヴィデオは借りたことがない。映画はDVDで安く入手できると聞いていた。件のネット販売で,千五百円也で入手。解説本を同じく千六百円也で購入。同時に宅配されたが,さてどちらに先に手をつけるか。解説本の説明,半分を読んだところで,映画の方を観た。

 印象。滅法,台詞の少ない映画である。それだけ思わせぶりと言えばそれまでだが,解説本によれば,監督が,映画制作の過程に於いて説明部分(例えばナレーション,ストーリー展開に必要な台詞)をどんどん省いてゐった節があるのだ。
 映像はすこぶる美しいが,単調な動きの長時間カット。映画とは思えぬ長時間の暗転。これにクラシック音楽(美しく青きドナウ等)が被(かぶ)されば,小生ならずとも目を開けておくのは至難の業となる。記憶がうつろな理由が知れた。
 解説本を半分読んでおいたお陰でストーリーと寓意はほぼ読みとれたが二時間二十数分の睡魔との戦いは相当に辛いものでありました。

 猿が騒いでいる。自然由来でない大きな黒い石板(モノリスと云うらしい)にその猿たちが触れる。動物の太い骨を棍棒として用いる知恵がつく。猿が猿を倒す。その棍棒の骨を投げ上げるとカットで人工衛星(これは核ミサイル衛星の説あり)に切り替わる。
 月面でモノリスが見つかった。フロイド博士が研究に向かう。モノリスを掘り出し記念写真を撮ろうとしたところで,妙な音をが聞こえ研究者たちがしゃがみ込む。

 HAL9000(以下ハルと云う。)の型番を持つコンピュータにより制御された宇宙船で五人(内,三人は低温睡眠状態)の飛行士が木星探査に向かう。ハルは英語を喋り,感情表現に近いこともする。ハルとデイブ(船長)が木星探査計画の目的について話していたとき,ハルがアンテナユニット(AE−35)に七二時間以内に不具合が生じると予言。船外作業で,このユニットを回収するが不具合は発見されない。デイブとフランク(副船長)は誤りを犯したコンピュータのハルに不審の念を抱き,ハルから遮断された空間で協議する。「ハルが狂っていたらシステムから切断しよう」と決める。この協議内容をハルは二人の唇の動きから知ってしまった。ハルは船外作業をするフランクを殺す。フランクの遺体を回収に出たデイブをハルは船外に閉め出す。更にハルは冬眠中の三人の飛行士も殺す。
 命辛々,船内に戻ったデイブによってハルの頭脳(?)は次第に切り離されて行く。ゆっくりと低くなって行く声で「デージーの歌」を唄い命乞いをするハル。
 「ハル殺し」が終了したとき,月面モノリスの研究者,フロイド博士の説明ビデオが船内に映し出される。「地球外知的生命の存在根拠を発見した。月の地下に埋められ木星に向かって電波を発した」。
 あとは,デイブが単身,木星に向かうことになっているらしいのだが,映画を見る限りはどうも良くわからない。原色の光が前から後へ飛んで行くワープ航法を示唆する画面も出る。臨死体験のようでもある。
 ヴィクトリア調の白い部屋。フルコースの食事。浴槽。ベッド。すっかり老人となったデイブが眠っている。突如,球体に入った赤ん坊が浮かび,いつの間にやら,そばには地球が見える。
 以上がこの映画のストーリーのほぼ全貌である。

 「おーーい。」「もし,もーーーし。」,あらすじを読んだだけで眠らないで頂きたい。
 制作者の意図である「哲学的・寓意的意味」をここからどうやれば読みとれるのか。
 制作者の一人であるアーサー・C・クラークは「この映画を一度観ただけで理解したとしたら,我々の意図は失敗したことになる」とも。
 小生,今回初めて通して観ることができたが,多分,二度と「通し」で観ることはないと思う。
 眠れない夜のためのとっておきの一本と云う使い方もできるが,不謹慎か。

資料:STALEY KUBRICK'S 2001:aspace odessey ワーナーホームビデオDVD1500円
Understanding Cinemas of 1967-1979<映画の見方>がわかる本「2001年宇宙の旅」から「未知との遭遇」まで 町山智浩著 洋泉社刊
参考:「2001年宇宙の旅」の真相 倉田わたる著 http://www.rinc.or.jp/~kurata/2001mys.html

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後記:交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」(リヒャルトシュトラウス)は,たしかエルビス・プレスリーもオープニングで使ってたか,結構イベントで使われる。小生も真似していつぞやレコードコンサートでデオダートの演奏のを初っ端(ぱな)かけてしまったことがあります。
 しかし,「2001年宇宙の旅」信者と云うかフリークの方もおられるようだ。小生の鑑賞態度に問題あり,かも知れぬ。

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