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ふりーはーとメールマガジン ==================================2003/05/04

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[ふりーはーとのメッセージ]

● キットの組立(その2)   

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 通常,ダイオード,電解コンデンサー,トランジスタ等と違い,極性のない部品(抵抗,無極性のコンデンサー,コイルなど)はどっち向きに付けても良いことになっている。

 承 前

 むろん構造的に左右前後が対象の形を成してゐないので,極性のない部品であっても,まったく電気的に同じかと云われれば,さにあらずと答えざるを得ないが通常そこまでは,特に詮索しない。先のプリント基板の銅箔の引き回しにしたところで,まったくの対称形とすれば,電気的にも差が無くなるのは判ってゐてもそこまではやらぬ。
 ところが,前号にリンクさせて頂いた「藤本の辛口コラム『寿命について』から抜粋SOUND PRO SHOP SOUNDDENへようこそ!」によれば無極性の(フィルム)コンデンサー,コイルの方向性の管理が音質(位相,定位)に少なからず影響があると云う。
 尤もではあると思わないではないが,判別方法は,誘導雑音の多寡で決めると云うのだから,これはあまり頂けない。
 その昔,PCB使用の格段に音が良いオレンジドロップスコンデンサの話とか,ジムラン(JBL)のスピーカ端子は鉄なので鉄臭い(硬い)音だのまことしやかに囁かれたマニアの間の常識(?)は体験者として懐かしく読ませて頂いた。
 確かにLUXと云うメーカによるアンプのキットではメタライズフィルムのコンデンサにマジックインキでマーキングしてあり基板上での取り付け方向が管理されていたことも思い出した。そのころの資料が散逸してしまったと思っていたが,連休,閑に任せて探してみたら,なるほどキットの組立て説明書に明記があった。

 たとえ鰯の頭であっても信心の対象となりうる。

 根拠に乏しいと,いくら批判したところで「音が良くなる」と云う一言で,他に何もなす術がなければ,それに従うことになる。
 それは,音を聴くと云う感覚の上でのことだから測定機器上で数字に表れないのだと云われれば納得するより他はないのだ。
 それが,思想,或いは哲学と云うものだ。方便と云っても構わぬ。納得するための理由さへ,気持の準備さへ出来れば良いのである。

 かくして,プリント基板に既に取付けたマイラコンデンサを19個(38カ所の半田付け)を取り外すこととなった。今やプリント基板は両面は常識,場合によっては多層となっており,穴はスルーホールと云ってちゃんと基板を貫く形で銅箔が入ってゐて,いったん半田付けが済めば,大変強固になり,これを取り外すことを拒む。
 大体半田付け時の二十倍の労力を外すときには費やさなければならないと云えば判って頂けるだろうか。
 IC(DIP型等)のように足が多い部品は,足を切ってしまい穴の掃除(専用の機器がいろいろあるが,半田を余分に盛っておいて吸取り線(網銅線)で一気に吸い上げると云う方法を小生は採用している)だけをした方が効率が良いので,余程高価な部品でなければ,そうするのが常である。
 今では,電子機器に故障があれば,基板上の部品の故障を特定することが困難であることもあるが,別の同じ基板を用意して基板ごと取り替えるのがプロなら普通である。部品を一個を付け替える労力を考えれば,その方がずっとコスト的に安く上がるからである。

 取り外したコンデンサの方向性を見定めるには藤本氏によれば,
1)高感度なACボルトメーター(フルスケール0.3mV程度)を用意する。
2)各パーツのリードの両端にACボルトメーターを繋ぎパーツを指で挟むと,手による誘導雑音のレベルを表示する。
3)両端の接続を反対にすると雑音レベルが変動する事を確認する。
4)2と3を比べてレベルの高い方のHOT側が巻き終わりであるからマーキングする。
 とあるが,あいにく手元に氏の云うほどの好感度メータがない。せいぜいmVがやっと読めるデジタルテスタがある位だ。ちょっとしたアンプで増幅して測るか,それも大袈裟だ。
 ついに隠し持ったアンプ作りの最終兵器,オシロスコープ(二現象観測できるのでシンクロと云う。)に登場を願うこととなった。これはかなりの好感度だ。外したコンデンサの両端をプローブで挟みコンデンサの外側を指で摘むとブラウン管に正弦波が現れる。この振幅を見てどっち向きが大きいかで判断すれば宜しい。藤本氏にならって大きい方にマーキングした。中にはノイズのレベルにほとんど差を生じないものもあったが,心眼(?)で見極めた。

 氏の云う入力側へマークの付いた方をもって行き付けなおした。およそ半分のコンデンサの向きが逆になった。
 アンプは簡単に歪みを改善するため逆位相にした信号を戻す,いわゆる負帰還と云う手法を用いる場合がある。この部分のコンデンサの向きに一瞬悩んだが,ええいままよと逆に付け,左右チャンネル揃えてあれば良しとした(ご指摘あらば替える用意有り。何しろ氏は,この無極性部品の方向性につい「自分の寿命が尽きるまで発信しようと思ってお」られるので。)。

 この作業に,ほぼまる一日を要した。
 じつは,正直言って両面基板上の部品交換の手間を考え二の足を踏んだので,いたずらに日が過ぎたのだが,この間に,志の低い小生の見てくれ重視のシャーシ(箱)の塗色は天候に恵まれ完璧に終了してゐた。
 箱への組み込みはシールド線の端末処理以外は比較的容易である。

 深夜に及んで試聴となった。
 赤く灯る発光ダイオード(お仕着せでは緑であったが「変更」),次第に真空管のヒーターがオレンジ色に染まって行く。12AX7と12AU7である(手持ちがあったので「日本製」を使用)。
 動作確認。CD入力問題なし。フラットアンプだけだから出来れば色づけのない方が良いのだが,少し角が取れた感じ。
 肝心のレコードプレーヤ入力。これがいけません。FETのヘッドアンプ受け(MCカートリッジ用)と直接真空管での受け(MM型カートリッジ等用)との二種類が用意されていますが,どちらもいけません。要改造である。
 泣きながら,コンデンサの向きを揃えたあの作業は何であったのか。
 宗教は,哲学は,思想は,藤本氏は,鰯の頭は…。
 否,全責任は小生にあるのです。
 音に何の関係もない「塗色」が旨く行ったと云って,はしゃいでいなかったか。

 かくして,深いふかい悔恨の情に苛まれつつ,辛くも楽しい趣味の生活は続くのでありました。


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後記:学研の「科学」が「大人の科学」として復刊(?)されている。大人の科学の付録に「ベルリナー式円盤蓄音機」が出ている。こちらにも興味津々。
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あの「*OP」は実在した!!
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