プシュカルパスポート
インドで一番やっかいなもの。それは物乞いでもリキシャの運転手でもない。群がる客引きでもない。えび的に言わせてもらえば、”プージャ”である。プージャとはヒンドゥー教のお祈りの儀式なのだが、これを執り行ってくれるブラーミン(僧侶階級)どもがなっとらん。えらそうで強引で押し付けがましくて。彼らは聖地の暴れん坊将軍なのである。
聖地プシュカルは湖沿いにガート(沐浴場)がいくつか並んでいる。で、新しくこの地にやってきた外国人旅行者は、やっぱりまずここに散歩にやってくる。そりゃあもう、お布施によって生きるブラーミンにとってはこの上もない金づるだろう。祝福の押し売りとなって、旅行者めがけてやってくるのだ。
えびも一人で朝っぱらからふらふらとしていたのだが、湖に近づいたとたん、イキナリえらそげなジイサンにつかまった。そしてプシュカルに来たからにはプジャしなくては、と諭される。
小心者えびとして、とりあえず神様と名のつくものは敬っとくのが吉だろうとは思うのだが、ここはインド。こんな神聖なる宗教儀式にも金がつきもの。そこでポケットから10ルピー取り出し、
「今これだけしか持ってないから。プージャしてもらってもこれしかあげられないからね」
と念を押すのは忘れなかった。10ルピーという金額は去年南インドを旅した時、たいていのお寺であげた金額が5ルピーくらいだったので、北インドしかも観光地価格で倍にしてみたのである。
 ◆ブラーミンの言う通り自分や家族の長寿や繁栄を祈り、 最後にすべての悪いカルマを手に持った花とともに湖に投げやる。 そして額に赤い印をつけられてプージャ終了。
最後に金額でもめるかなーと思ったら、ジイサンは意外とあっさりと10ルピーを持って笑顔で立ち去っていった。あれっ。インドなのに(←失礼)。いや、以前CSのディスカバリーチャンネルで放映されているロンリープラネットというバックパッカー番組の中で、レポーターがプシュカルでプージャをした場面があったのだが、その時ブラーミンに「As you like」と言われて彼女が払った金額がな、な、なんと、2000ルピー!!!(=約5000円。あほか!)・・・というのを見ていたので絶対ごねられると思ったのだ。けっこう聞き分けいいじゃん。 |
 ◆プシュカルはインドでは珍しいブラフマンの聖地。これはお土産に売ってた神様絵、プシュカルバージョン。
インドの神様絵はまったく同じ構図で描かれたものが氾濫しているので、オリジナルがどれなのかよくわからない事態に陥っている。
↑これとか
↑これもそっくり同じまねっこ構図。ここまで堂々としてるといっそ清々しい。
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