さて、ここマンダワに来たのにはわけがある。せっかくマハラジャの土地ラジャスタンに来たのだから、一度は本物の城に泊まってみたいではないか。ネットでいろいろ探すと、ちょうど行こうと思っていたシェカワティ地方にいい感じに寂れてそうな、そして金額的にも泊まれそうな城を発見したのがこの町だったのだ。
到着したら、何はなくともまずチャイ休憩。ようやく夫の額から”怒”の文字が消え去った。ほっ。そして目的の城にはすぐにたどり着いた。マンダワはとっても小さな町だったのだ。
そう、城。そこはまさに”THE・城”だった。修復する気がないのか金がないのか、外見はけっこうくたびれていて、どよんとした灰色に覆われている。でも、そのろくに修復されてもいない感じがかえってリアルに城っぽくて、なんとも威厳がある。まるで中世の物語にでも出てきそうな雰囲気に、すぐさまノックアウトされてしまった。さすがの夫も「まじでここに泊まれると?」と半信半疑。
案内してもらったのは一番安い2000ルピーの部屋。しかし、何部屋か見てみたのだが、「宮殿ホテルの特別な部屋」を想像していたえびとしてはちょっとガッカリ・・・。いや、悪くはないんだけど、高いわりに狭いし、意外とフツーねえ。なんかもっとこう、ガツンとスペシャルな感じを期待してたんだけど。でもこの物語のような城に一泊は絶対したい。しょうがない、この部屋でもいいか。妥協して泊まることにして、フロントに戻ってチェックインの為にパスポートを出したその時。ホテルのマネージャーの目がキラリと光った。
「・・・あななたち日本人ですか?」
「え?そうですけど」
「何を見てこのホテルにいらしたのですか?」
「えっと、インターネットでヘリテージホテルを検索してたら見つけたのですが」
「そうですか、そうですか。日本人ですか。ところでお部屋の方、よかったら私どもの特別室・スイートルームをご覧になりませんか?大変すばらしいお部屋ですよ」
なんだなんだ、この態度の変わりようは。どうやらこのホテル、日本人はほとんど来ないらしく、えび夫妻はすっかりネパール人と思われていた様子。一日バスに揺られてホコリまみれよれよれだったので金持ってないように見えたのだろう。しかし菊の御紋の威力はすごいなあ。よしよし、その特別室とやらにご案内しなさい。てなわけで、そのもようは次回に続くのであります。
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◆城外観の適当な写真がなかったので、Hotel
Castle MandawaのHPから勝手に拝借。いいよね?

◆ところどころ、壁画が修復されている。

◆これはまた城にふさわしい、高級な感じの犬。しかし住処は城のゴミ捨て場。
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