この旅の写真はココ(03/2月〜3月)

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ハヌマン・ジー


激しい移動 マンダワへ

マンダワへの移動はなんだか激しかった。

プシュカルのホテルで調べてもらったところ、アジメールからマンダワへは一日2本の直通があるという事で、午前の便に間に合うようにバスターミナルへ向かったのだ。だが着いてみれば、午前の便などなく、夜11時の夜行があるのみ。ジャイプルに行けば直行がたくさんあると言われ、3時間かけてジャイプルに着いた。

バスターミナルにいた親子連れ。子供3人で連れ立って、何度も何度もえび夫妻の顔を覗き込みに来た。それにしてもインドの小金持ちは、なぜ男の子にこんなオヤジな格好をさせてしまうのだろう。

親子連れ


しかしそこでもまた話は違った。あんなに自信満々に教えてもらった直行便はどこにもなく、ムクンドガルとか言うどこですかそれ?って感じの町に行くバスに乗り、そこからマンダワ行きを探すことになってしまった。


プシュカル→アジメール→マンダワという当初の予定は、最終的にはプシュカル→アジメール→ジャイプル→ムクンドガル→マンダワという怒涛のルートにあいなったのだ。知らぬ間に少しずつ話がずれていき、気づいてみれば最後には大幅に違うことになっている、ああ、それがインド。

体重計
◆アジメールのバスターミナルにあった体重計。


転がる子供 ジャイプル行きのバスの運転手はターバンを巻いた豪快なおにいちゃん。運転席の横にはエンジンやら何やらの機械のでっぱりの上に板を渡してあるスペースがあった。そこは本来座席ではないんだけど、景色のいい特等席なので、子供が二人陣取って板の上に胡坐をかいていた。

この子供達、バスが急ブレーキをかける度に、あっちにコロコロ、こっちにコロコロ、板からころがり落ちる。しかし子供達もたくましい。何度落ちても、また性懲りもなく上に胡坐をかく。横にいる運転手も
「ぼうずたち、ちゃんとつかまっときな!」
とか何とか言うだけで、別に座席に返そうともしない。いいなあ、おおらかで。

ムクンドガルに着くころには日も暮れ始め、長いことバスに閉じ込められてタバコも吸えなかった夫はかなり疲れ気味。もうここでホテル探して泊まろうか〜、とりあえずチャイ屋で休憩しよう、とバスを降りると、一緒に降りたおっちゃんが
「おまえらマンダワに行くんだろう?あのバスがマンダワ行きだよ」
とニコニコ顔で手を引っ張って連れて行ってくれる・・・えーと、いや・・。親切なおじちゃんだ・・・。トホホホホ。半強制的に乗せられたバスは無情にもすぐさま出発し、後は右を見ても左を見ても荒涼とした砂漠。ニコチン切れの夫の額に
”怒”の文字が浮き上がって見えるのは気のせいと思いたい。

幅の狭いガタガタ道をバスは進む。バスの中で見える頭にはターバン、ターバン、キラキラベール、ターバン、キラキラベール・・・。狭くて硬い座席にでかい荷物を抱えて座っているので手足もしびれてくる。体のでかい夫はなおさらだろう。
「また俺をだましてこんな地の果てに連れて来たな」
出た。夫の得意のセリフだ。

幸い、そこからマンダワへは1時間くらいで到着したため、インドで夫婦喧嘩はかろうじて避けられたのだが、夫の口からはそれからしばらく、しつこく「地の果て」発言が繰り返された。しかし、とりあえず薄明かりの残る時間帯にマンダワに着いてよかったよかった。
 ゴオオオ・・・・

さて、ここマンダワに来たのにはわけがある。せっかくマハラジャの土地ラジャスタンに来たのだから、一度は本物の城に泊まってみたいではないか。ネットでいろいろ探すと、ちょうど行こうと思っていたシェカワティ地方にいい感じに寂れてそうな、そして金額的にも泊まれそうな城を発見したのがこの町だったのだ。

到着したら、何はなくともまずチャイ休憩。ようやく夫の額から”怒”の文字が消え去った。ほっ。そして目的の城にはすぐにたどり着いた。マンダワはとっても小さな町だったのだ。

そう、城。そこはまさに”THE・城”だった。修復する気がないのか金がないのか、外見はけっこうくたびれていて、どよんとした灰色に覆われている。でも、そのろくに修復されてもいない感じがかえってリアルに城っぽくて、なんとも威厳がある。まるで中世の物語にでも出てきそうな雰囲気に、すぐさまノックアウトされてしまった。さすがの夫も「まじでここに泊まれると?」と半信半疑。

案内してもらったのは一番安い2000ルピーの部屋。しかし、何部屋か見てみたのだが、「宮殿ホテルの特別な部屋」を想像していたえびとしてはちょっとガッカリ・・・。いや、悪くはないんだけど、高いわりに狭いし、意外とフツーねえ。なんかもっとこう、ガツンとスペシャルな感じを期待してたんだけど。でもこの物語のような城に一泊は絶対したい。しょうがない、この部屋でもいいか。妥協して泊まることにして、フロントに戻ってチェックインの為にパスポートを出したその時。ホテルのマネージャーの目がキラリと光った。

「・・・あななたち日本人ですか?」
「え?そうですけど」
「何を見てこのホテルにいらしたのですか?」
「えっと、インターネットでヘリテージホテルを検索してたら見つけたのですが」
「そうですか、そうですか。日本人ですか。ところでお部屋の方、よかったら私どもの特別室・スイートルームをご覧になりませんか?大変すばらしいお部屋ですよ」


なんだなんだ、この態度の変わりようは。どうやらこのホテル、日本人はほとんど来ないらしく、えび夫妻はすっかりネパール人と思われていた様子。一日バスに揺られてホコリまみれよれよれだったので金持ってないように見えたのだろう。しかし菊の御紋の威力はすごいなあ。よしよし、その特別室とやらにご案内しなさい。てなわけで、そのもようは次回に続くのであります。

城借り物画像
◆城外観の適当な写真がなかったので、Hotel Castle MandawaのHPから勝手に拝借。いいよね?

城ブーゲンビリア
◆ところどころ、壁画が修復されている。

犬と夫
◆これはまた城にふさわしい、高級な感じの犬。しかし住処は城のゴミ捨て場。

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