プシュカルに着いたのは夕暮れの頃。砂漠の中にちょこんと落ちてる町、って感じだ。
ここはインドにいくつかあるヒンドゥー教の聖地のひとつで、湖の周りを白い建物が取り囲む、小さくてかわいらしい町だ。いや大きさ的には村に近いかもしれない。そしてここは、旅人に好かれる沈没地らしい。「北インドではもっとも良かった町」という意見も多い。
実際、町の中のツーリスト密度はすごい。小さな町だけにぎゅぎゅっと濃縮されちゃってる。湖周りの中心部はツーリストとお土産屋が列をなし、まるでデリーの有名バックパッカー通り・パハルガンジのよう。そしてそのツーリストの服装は、ちょこっといかれポンチ風味。いわゆる「インド雑貨屋に置いてあるような、しかし普通のインド人が絶対着てないような服」で全身コーディネイトされちゃっているのだ。なんでここの観光客だけ突如として皆こんな服なんだ・・・?と思ったら、実はこの町、そこらじゅう仕立て屋だらけ。旅行者がいかにも好みそうな服を、安く早く作ってくれるもんだから、後々気がつけば自分も思いっきりいかれポンチ風味の服で全身を包まれていた・・・。だって気持ちいい服が多いんだもん。
この町がツーリストに好かれるわけはよくわかる。まず、町中を車が走っていない。これはインドの町では大きいと思う。静かな通りをゆったりと歩けるし。ちょうどいい規模の町に必要なものはなんでも揃っていて、安く西洋料理は食べられるし、買い物も楽しい。町の人は観光客に慣れていて、かつそこまでガツガツしていない。湖のまわりに白い建物が並ぶ風景は、本当にきれい。ちょっと中心を離れるとたちまち砂漠になって、田舎道をのんびりと人が行き交う。
しかし、絶対にいい所なのに、器は最高にいいのに、どうしてもえびの性に合わない場所ってのがあるようだ。去年行った南インドのマハバリプラムもそうだったし、どうやらこのプシュカルもそうらしい。いいところなんだけどなあ。ツーリスト向けレストランはすっごく便利だけど、レゲエなんかかかってるとどーもダメだ。なんでかなあ。もし長期旅行の途中でこの町に寄ったなら、泣いて喜ぶかもしれないけど、たった半月やそこらの旅ではこの便利さはかえって「旅」の雰囲気が半減しちゃうのかなあ。なんでも用意されてる、ってのがダメなのかもしれない。なんとも贅沢なハナシではあるが。それとも、西洋人が自分たちの文化を持ち込んじゃった感じがイヤなのかな。この分だとゴアとかも苦手なんだろうな、えび的には。
とはいえ、今の夫のためには、この町で安く食べられるスパイスの効いていない料理はとっても貴重だ。何とベーカリーなんてものまであったりするのだ。シナモンロールやらアップルパイやらのこじゃれたパンが(多少変化を遂げているにしても)食べられるのだ。宿だって大奮発。その名もプシュカル・パレスという湖のほとりのヘリテージ・ホテルで眺めの良い部屋をとり、ベランダからぼーっと湖を見て過ごすのだ。ああ、カード持ってきてて良かった・・・(恥ずかしながら10年以上旅行しながら、海外でカードを使ったのはこれが初めてだったりするえびだった)。しばらくここでゆっくり休もう。楽して休養をとるにはうってつけの町かもしれない。
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◆ツーリスト向けレストランのメニュー。ピザげなあるばい。

◆プシュカルで購入、フィッシャーマンパンツと呼ばれるシロモノ。めちゃめちゃ楽チンでたちまちお気に入りに。でもこれってどこのデザインなんだろ?

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