ちょっとしたきっかけで、今年(2005年)になってKanonというゲームをプレイしました。
この手のゲームをプレイするのははじめてで予備知識はまったくありませんでした。とても有名な、評判になったゲームだということはプレイし終わってから知りました。
率直に言って、たいへん感心しました。
けれどその優れた部分の多くはゲームというメディアに寄りかかっているとも感じました。
プレイした人はご存知でしょうが、Kanonの物語にはさまざまな矛盾や問題があります。そのうちのある程度は作り手が意識して残した(あるいは放置した)ものだとはっきりわかります。しかしそうではないものもかなりあるように思います。
それらは物語の持つ力を本質的に阻害するものではないかもしれません。しかし一方で当然行うべき整合性の確保を怠っていては普遍的にはなりえないとも考えられます。ゲームという形式から音楽や絵を取りのぞいたとき、Kanonの物語はおおきな弱点を抱えているように思うのです。
そうした矛盾や問題はどうすれば解消するだろうか?――そのひとつの試みが、以下の作品です。
結果としてモチーフを借りた別の物語になってしまった可能性は否定できません。この無謀な試みがどの程度実を結んだか、それは読まれた方の判断に委ねたいと思います。