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Tomisawa Dental Clinic in Chofu -shi Tokyo

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矯正治療における抜歯

不正咬合あるいは歯列不正の治療を行うために健全な歯を抜歯する場合があります。願わくば「健全な歯を抜きたくない」と思うのが患者様、また親御さんの気持ちでしょう。しかしながら抜歯を行わないときれいに治らないケースもあります。このページではその必要性、抜歯か非抜歯かの判断方法、矯正治療における抜歯の現状、抜歯を伴った治療の実例などを示していきます。

抜歯の適応症(「歯科矯正学」葛西ら:医歯薬出版)
アーチレングスディスクレパンシー
歯と顎骨の大きさに著しい不調和があるとき
顎骨の前後的位置関係の不正があるとき
顎骨の垂直的位置関係に不正があるとき
抜歯か非抜歯かの判断方法

抜歯の適応症について上述しましたが、抜歯すべきか否かの判断は単純ではありません。たとえば「顎骨と歯の大きさに不調和がありそれを治すために歯列弓の拡大に限界がある場合抜歯する」とされていますが、何をもって限界とするのでしょうか。抜歯か否かの判断基準は学会内でも結論をみたわけではありません。

これを判断するために幾つかの抜歯基準なるものが提唱されています。。こうした基準の多くは口腔模型とセファロ分析からある数値を算出(内容は省略)し、一定値以上を抜歯それ以下を非抜歯としています。しかしながら歯列や顔貌といった形態学的問題は数値で割り切れるようなものではありません。当然ながらグレーゾーンもあります。

Tweedの抜歯基準

Tweedの抜歯基準は古くから用いられている方法の一つです。これもセファロ分析のある数値を用いて抜歯と非抜歯を線引きしていますので、上述の欠点を有しています。

Tweedは抜歯による矯正治療の目標として次の点を掲げています。

こうした点は抜歯非抜歯を決定するにあたり重要なポイントとなります。

これに加えて、患者さん自身の要望を聞いて抜歯の可否を決めていかなくてはなりません。

抜歯部位の選択

抜歯部位は矯正治療を行っていくうえで有利な歯を抜歯するというのは、あたりまえのことですが、その他に過剰歯や虫歯などにより予後に不安のある歯を抜歯する場合があります。抜歯の対象としてもっとも頻度が高い歯は第一小臼歯です。理由は下記によります。(「歯科矯正学」葛西ら:医歯薬出版)

といったことが理由として挙げられます。

その他に第二小臼歯、第一大臼歯、下顎切歯などが抜歯対象となる症例もあります。

高位犬歯(八重歯)があった場合、「その犬歯を抜いて下さい」とおっしゃる患者様が時々、いらっしゃいますが、犬歯の抜歯は通常行いません。理由は

などがあげられます。

抜歯による治療例

ここに示した症例はディスクレパンシー型の一般的症例です。上下第一小臼歯を抜歯して犬歯を後方移動させ、前歯部にスペースを確保して配列しています。

抜歯症例
矯正治療における抜歯の現状

矯正治療において抜歯の頻度は施設間の間でかなりの開きがあると思われます。また抜歯を決める診断基準も分析方法やドクターの考え方により幾分の差があります。

どの程度の頻度度で抜歯が行われるかといったデータはあまり多くはないのですが、比較的症例数が多い大学病院での調査結果を示します。下の表は日本大学松戸歯学部附属病院矯正科における症例別抜歯頻度を示します。(矯正Year Book‘01:クインテッセンス出版)

要因 症状 咬合型 抜歯の頻度
ディスクレパンシー型
  • 顎骨の大きさに比べて歯の大きさが大きい
  • 上下顎の歯の大きさに不調和がある(矮小歯など)
  • 上下顎の歯の数に不調和がある(歯の先天欠如など)
アングルT級
  • 抜歯74%
  • 非抜歯26%
顎骨の前後的位置の不調和
  • 上下顎前突
  • 上顎前突
  • 下顎前突
アングルU級div.1
  • 抜歯89%
  • 非抜歯11%
アングルU級div.2
  • 抜歯81%
  • 非抜歯19%
アングルV級
  • 抜歯59%
  • 非抜歯41%
顎骨の垂直的位置関係の不正
  • 過蓋咬合
  • 開咬
過蓋咬合
  • 抜歯86%
  • 非抜歯14%
開咬
  • 抜歯85%
  • 非抜歯15%

この表からも分かるように下顎前突以外では70%から90%の症例で抜歯による矯正治療がおこなわれているのが現状です。