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今は、いかでこの若き人々おとなびさせむと思ふよりほかのことなきに、かへる年の四月にのぼり来て、夏秋も過ぎぬ。
九月二十五日よりわづらひ出でて、十月五日に夢のやうに見ないて思ふ心地、世の中にまたたぐひあることともおぼえず。初瀬に鏡奉りしに、伏しまろび泣きたる影の見えけむは、これにこそはありけれ。うれしげなりけむ影は、来しかたもなかりき。今ゆく末はあべいやうもなし。
二十三日、はかなく雲けぶりになす夜、去年の秋、いみじく仕立てかしづかれて、うち添ひて下りしを見やりしを、いと黒き衣の上にゆゆしげなるものを着て、車の供に泣く泣く歩み出でてゆくを見出して、思ひ出づる心地、すべてたとへむかたなきままに、やがて夢路にまどひてぞ思ふに、その人や見にけむかし。
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