虫歯
集団歯科検診
集団検診での診断精度
虫歯の診断はさほど容易ではありません。虫歯が「ない」のに「ある」という診断をしても、逆に「ある」のに「ない」といってもそれは誤診になってしまいます。
特に健全な状態から虫歯と呼べる状態までのグレーゾーンの診断は、慎重でなくてはなりません。なぜならこの範囲の虫歯は適切な予防策をとれば再石灰化の力により削って詰める必要がないのですが、(反論もあるかもしれませんが)検診で虫歯のレッテルがつけられてしまうと、一般的には削って詰めてもらわないと心配になってしまします。ところが、一般的に行われる集団歯科検診では次のような理由により正確な診断、特にグレーゾーンの診断は、かなり困難と思われます。(もちろん状況の差はありますが)
- 学校の保健室の様な場所は、照明が不十分でよく見えない。
- 歯の溝などに、唾液や歯垢がある場合が多く、またスリーウェーシリンジ(圧搾空気でショワッとやる機械)がない場所がほとんどで、よく見えない。
- 座った姿勢で向かい合って検診することが多いが、この姿勢で上の奥歯の噛み合わせの面を見るのは至難の技
- 学校検診などでは決められた時間で、決められた人数をみなくてはならないので落ち着いて見ていられないことが多い。
というわけで、ただでさえ難しい虫歯の診断は、集団検診となるとさらに難しくなると思われます。(もっとも大学の研究室が、疫学調査の目的で行う集団検診などは別格ですが)
集団歯科検診の意味
集団歯科検診では、「検診結果のお知らせ」と称した治療勧告書が渡され、歯科医の治療済み証明書の提出が求められる場合が多いようです。もちろん大きな虫歯があれば早く治療を受けるべきです。
しかし上述のようにグレーゾーンの虫歯の診断はあいまいになることがあるので、たとえ治療勧告書をもらっても、削って詰めることには慎重でなくてはなりません。
また逆に「虫歯なし」といわれても、歯の間の見にくい部分の虫歯が見落とされることもあるので注意が必要です。
と考えると集団歯科検診はいったいどのような意味があるのでしょうか。