虫歯
砂糖と虫歯
ウ蝕(虫歯)誘発性とは
糖にはいくつかの種類があります。その糖がウ蝕(虫歯)を起こすことができる条件は
mutans streptococci(いわゆる虫歯菌ミュータンス)などが歯面に定着するための菌体外多糖類(いわば糊)を作る
歯垢内で細菌が糖を代謝して歯を溶かす酸(pH5.7以下)を産生する
ことです。一般的に砂糖と呼ばれる「しょ糖」はその両方の性質を備えているためウ蝕を起こすことができます。ある種の糖(果糖など)は糊は作れませんが、酸を作ることができるためウ蝕の原因になりえます。このうち食品として摂取した場合に酸を作ることができない糖だけが理論的にはウ蝕の原因にならないと言えます。
虫歯からみた糖の分類
甘味料は大きく分けると糖質系と非糖質系に分類されます。糖質系のもののうち歯垢細菌により代謝できる糖は酸産生能があり虫歯の原因になりえます。一般的に砂糖(グラニュー糖なども)と呼ばれているものはその本体はシュークロースであり虫歯の原因となる糖の代表格といえます。一方最近話題のキシリトールをはじめとした糖アルコールと呼ばれる糖には酸産生能がなく虫歯の原因にはなりえません。糖アルコールには次のようなものがあります。
しょ糖を100とした甘味度% | エネルギーkcal/g | ||
ソルビトール | ブドウ糖 | 60 |
3.0 |
マルチトール | 麦芽糖 | 80 |
2.0 |
パラチニット | 砂糖 | 45 |
2.0 |
エリスリトール | ブドウ糖 | 80 |
0 |
ラクチトール | 乳糖 | 30ー40 |
2.0 |
マンニトール | ブドウ糖 | 40ー50 |
2.0 |
キシリトール | キシラン | 100 |
3.0 |
砂糖の構造異性体のパラチノースも同様に虫歯をつくりません。もう一つ異質なものとして非糖質系の高甘味度甘味料とよばれるものがあります。これは甘味度が砂糖の2万倍から3万倍ありごく微量で甘さを発揮することができ、虫歯の原因にはなりません。下の表は虫歯の観点から糖類を分類したものです。
代用糖の利用
虫歯をつくらないためには、この酸産生能のない糖(代用糖)を用いればよいわけですが食品として摂取するとなると話はそう単純ではありません。糖アルコールの甘味度は概ね砂糖の6割からよくて8割程度しかありません。唯一キシリトールだけが砂糖とほぼ同じ甘味度があるとあるといわれていますが、価格が砂糖の10倍程します。また高甘味度甘味料は単独で用いると独特の苦味があるといわれます。というわけで代用糖は味とコストの点から単独で用いることができず、うまくおりまぜて使わなくてはならないわけです。
虫歯予防の観点からは、虫歯を作る作用のない代用糖に、虫歯を作るショ糖などを混ぜたのでは意味がありません。
虫歯を作らない代用糖の例
ここに虫歯を作らないと思われる市販されている主な商品を示します。
この他にも商品がありますが、虫歯になるかならないかは成分表示を確かめる必要があります。
「カロリーゼロ」「カロリーオフ」といったキャッチフレーズは判断材料にはなりません。