虫歯
再石灰化
早期発見早期治療?
一般論として「病気」を重症化させないための原則は早期発見早期治療であると信じられています。
しかし虫歯についてはその原則は必ずしもあてはまらないようです。もちろん重症化した虫歯は早く治すべきですが、特に初期の虫歯ではすぐに削って詰めることには慎重でなくてはなりません。 虫歯の発生メカニズムは歯面が細菌のつくりだす酸によって歯のミネラルが抜け出すことで、この現象を脱灰といいます。初期の脱灰は歯面の白濁や溝の着色などとして観察されますが、実質的欠損(目で見て分かる穴)を伴いません(図1-2)。この現象がさらに進むと、歯質が破壊され虫歯の穴と発展していきます(図1-4)。しかし歯質の破壊を伴わない軽度の脱灰は、歯面が酸性環境にさらされなければ、再度ミネラルが結晶中にとりこまれてもとに戻る可能性があります。この現象を再石灰化(図1-3)といいます。これらのことを示したのが、下の図1です。
- 実質欠損を伴う虫歯や、しみるなどの臨床症状を伴う虫歯は早期に治療をすること。
- 歯面の白濁や着色のみの虫歯(これは虫歯というべきではないが)は少なくともすぐに削って詰めたりすべきではない。
- そういった虫歯がみつかったら予防に熱心な歯科医のもとで、観察を続けて進行の兆しがあれば必要な処置をしてもらう。
- そういった虫歯は適切な予防策がこうじられなければ、進行してしまう可能性が高い。
- 予防策としては間食における砂糖摂取の制限が有効性が高い。この他にフッ素の利用や歯磨きも有効。