虫歯
飲み物による虫歯
虫歯の原因として意外と見落とされがちなのが、飲み物です。虫歯の原因は甘い食べ物だけだと思っておられる方も多いようですが、実際のところ飲み物がリスク要因となった虫歯も多く発生しています。このページではその理由と対策を説明いたします。
糖液の濃度と歯垢pHの関係
砂糖液10ml(おちょこ1杯程度) で口をゆすいだ時の歯垢pHの変化をみると

「何を食べたら虫歯にならないか」東北大学歯学部 山田 正 より引用
- 砂糖の濃度には関係なく2ー3分で歯垢pHは最低値となる。
- たとえ0.1%の砂糖液(ほとんど甘さを感じない濃度)でも、短時間ではあるが、歯垢pHは歯を溶かすのに必要なpH5.5以下になる。
- 5%の砂糖液では20分以上に渡りpH5.5以下の状態が続く。(ちなみに大多数の炭酸系清涼飲料は10%前後の糖を含有する)
- 一度下がったpHは水で口をゆすいでも戻すことはできない(Hoshino,E.et al.:Plaque pH recovery by mouth-rinses with water.Jpn.Joral Biol.,31:218-223.1989)
以上の点を虫歯の発生メカニズムより考えると、砂糖を含んだ飲み物は、実用的な濃度の範囲内では、その濃度に関係なく虫歯の原因になりえます。
主な飲み物の糖濃度
商品名 |
果糖 |
ブドウ糖 |
しょ糖 |
糖分 |
その他の糖 |
アップル100%・・・ |
6.9 |
2.5 |
1.4 |
10.8 |
なし |
スポーツドリンクP・S・ |
1.4 |
1.5 |
3.2 |
6.2 |
なし |
炭酸飲料 C・・C・・ |
6.2 |
4.9 |
ND |
11.1 |
なし |
缶コーヒーP・・・ |
ND |
0.4 |
7.4 |
8.3 |
乳糖 |
低糖コーヒーICE・・・ |
ND |
0.4 |
5.4 |
5.8 |
なし |
C・・・ライト |
2.6 |
ND |
ND |
2.6 |
アスパラテーム |
糖の濃度はg/100gで表示・ 東京都消費者センターの試験結果より引用
- 大多数の炭酸系飲料、乳酸飲料、清涼飲料には10%前後の糖が含まれている。
- 100%果汁を表示しているものでも10%以上の糖を含むものがある。
- スポーツドリンクも大多数のものは虫歯を起こしうる濃度の5%を上回る糖を含有する
- 低糖などの表示があっても、糖濃度は確かに低いが、虫歯を起こしうる濃度の5%を上回る糖を含有するものがある。
コーヒー・紅茶の糖分
コーヒーや紅茶に砂糖を入れて飲む場合も虫歯の原因にはなりえます。カップ1杯(150ml)にスリムタイプのペットシュガー(3g)を入れても約2%の糖液となり飲み方次第では虫歯のリスク要因にはなりえます。
牛乳の糖分
牛乳にも4〜5%の乳糖が含まれています。乳糖も発酵性糖類であり、飲み方によっては虫歯のリスクとなりえます。
虫歯にならない飲み方
- できれば水かお茶をのむ
- どうしてもジュース類が飲みたいときはちょこちょこ分けて飲まずに一気に飲む
- 一気飲みをするにしても1日に1ー2本にとどめる。
- 寝る前は飲まない
- スポーツドリンクや100%果汁などだからといって歯にとって安心なわけではない。
- 低糖、ダイエットなどの表示があるからといって虫歯にならないわけではない。