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昆虫マットの熟成について

 1999年11月24日

 9月から10月にかけて、「カブトムシ君と遊ぼう」の「幼虫は何を選ぶか!大実験」に参加させていただいたのですが、その実験に私が使用した昆虫マットのメーカーであるヤマヒサ社の開発担当の方から先日メールを頂戴しました。そのときのメールの内容を一部公開することを許していただいたのでご紹介します。ヤマヒサ社の方にはこの場を借りてお礼申し上げます。

 まずバトル5で使用した「昆虫マット」ですが、このマットは広葉樹を主原料に自然熟成されたものであるとのことです。私がこのコーナーの「昆虫マット商品紹介」で「ほとんど固まらないので、成虫が産卵するには適さないのではないか。」と書いたのですが、それについて「このタイプのマットで何年も産卵させているのでご安心ください。」というコメントを頂きました。また商品名の変更を検討されているそうですので、来年の夏には違う商品名で店頭に並ぶかもしれません。

次にバトル6で使用した「オオクワガタ幼虫マット」について頂いたコメントです:

実験結果にも表れているように使用しているうちに“味”が出てくるようになっていますが、下記のようにあらかじめ熟成させておくとより効果的です。オオクワガタのブリーダーがマット飼育をする時にとる方法なので一度お試しください。

  1. 幼虫マットと水をよくかき混ぜる。
  2. プラスチックの衣装箱や工具箱等に入れ、固めに押し固める。
  3. ふたをして密封する。
  4. 気温(室温)の高い所に置いて熟成させる。
  5. 約1週間ほど経過したらよくかき混ぜて再び押し固め密封する。

以上を3〜4回繰り返して約1ヶ月で完成です。他にも発酵促進剤を入れる方法もあります。「オオクワガタ幼虫マット」は使用される方の目的やレベルによって、いろいろアレンジした使い方ができますのでお楽しみください。

 実はバトル6の結果報告を書いたあとも昆虫マットを混ぜてしまわないで、1つのケースの中で4種類くらいのマットを入れて飼育していたのですが、日数が経過するほど幼虫達が「オオクワガタ幼虫マット」のところにいる率が高くなっていったのです。しかしこれとは別に「オオクワガタ幼虫マット」を袋から出したばかりものを使って団子のような塊をつくりペットボトルのマットの中に入れたこともあるのですが、1週間後に出したときにはほとんど元の団子の形のまま出てきました。ほんの少しかじった形跡のようなものがあるだけだったという事実もあったりします。今年はすでに幼虫達も休眠期に入ってしまいましたので、来年の春にでも上で紹介された方法を試してみようと思っています。


 ところで、クワガタの飼育について説明しているWebページで、あらかじめ発酵させたマットを使うことで幼虫が大きく育ち大型の成虫になるということを書いているところがいくつもあります。これはカブトムシにもあてはまることだろうと思いますが、カブトムシの幼虫は発酵していないものは食べないということがわかってきました。私の家の近所ではカブトムシの幼虫が棲息していないのですが、「カブトムシ君と遊ぼう」の井上さんも発酵のすすんだところに野生の幼虫がいるので「発酵」がいいのだろうとおっしゃられています。

 実は、生の芋やバナナを昆虫マットに埋めて様子を見たことがあるのです。芋はまったく見向きもされませんでした。バナナも最初の3日間くらいは全然知らんぷりだったのですが、黒っぽく変色してきたころから幼虫がバナナの近くにいるようになりました。学研の「カブトムシ・クワガタのひみつ」には幼虫は草木や野菜の根を食い荒らしたりしないと書かれていますが、これはおそらく枯れる前の生きている植物は食べないという意味でしょう。枯れて腐植がすすんだものは食べるのですから。

 例のマルカン社の「若葉」ですが、成虫の飼育のときに使っていて産卵し、それが孵化した幼虫はそれなりに育っていたのに、新品に換えたら死んだという話をどこかで読んだことがあります。卵室を作るためにメスが出す体液によって幼虫が育つということもあるのでしょうが、それと同時に、成虫の飼育をしている間にマットの熟成が進んでいたためではないかとも考えられます。エサ対決のバトル5で使用した「若葉」も袋から出したばかりの新品でした。

 そうやって考えると、ヤマヒサ社の「昆虫マット」は袋から出したばかりの新品に水を加えてすぐ使用しても幼虫に好かれるという点で使いやすいマットであると言えます。


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