夜の記憶 Mar. 1999

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99/03/01 (Mon.)

 今日から日記のタイトルを変えます。↓本日のレシート

累計サービスP:7777


99/03/02 (Tue.)

 警察官になって最初の任地となる派出所へ、緊張しながら初出勤。何と、控え室にはずっと連絡をとっていない友人がいた。
 という夢を見た。
 他人の夢の話ほどうっとおしいものはない、と唐沢商会は『脳天氣教養図鑑』(青林堂)で書いているが、夢の話そのものがうっとおしいわけではないと思う。うっとおしく思うのは単に話がつまらないからでこれは夢の話に限らない。夢の話でも面白く話せば面白い話になるはずで、事実『脳天氣教養図鑑』には、夢の話はうっとおしいなどと書いていた唐沢商会自ら自分が見た夢の話をしていて、これが確かに面白かったりする。
 で冒頭の夢だが、面白いかどうかは別として、もしかしてなにか虫が知らせているのかもしれないと思い始めると果てしなく気になってくる。電話でもしてみるか。


99/03/04 (Thu.)

達筆 [だんご3兄弟完売]


99/03/05 (Fri.)

 ローマ字で文字を打っていて、よくやってしまうミスタイプがある。「わたし」と打ったつもりが「わつぃ」と出る。「watasi」を「watsi」と打ってしまっているのだ。ほかにも愉快なのがあって、「あなた」を急いで打って「あんた」と出してしまう。「anata」のつもりで「anta」と打ってしまっているだけの違いなのだが、「あなたがお使いのパソコンで…」のつもりが「あんたがお使いのパソコンで…」では、なまじ意味が通るだけに厄介だ。
 考え事が浮かぶとき、頭の中でローマ字かな変換していることがある。長時間キーボードを使うことで、言葉を文字として打ち出すために使われている指の動きが、思考までも浸食してしまうのだ。会社のPCには、日本語を打つ際に「親指シフト」という特殊なキー配列になるソフトを入れてある。これをずっと使っていると、今度は考え事として浮かぶ1文字1文字を追うように、指の筋肉が親指シフトのキー配列で緊張するのがわかったりする。まったく奇妙な感覚である。


99/03/06 (Sat.)

 風強く、花粉の嵐吹き荒れる。出かけるつもりが、出るに出られない。外は風が吹いているだけなのに、風の中に毒が含まれているような気分。「外は毒ガスが出ているため、家にこもっている」という状況は夢に出てきそうだ。
 日が傾く頃、ようやく風もおさまってきたので外出。銀座テアトル西友で、映画『ガッジョ・ディーロGadjo Dilo』を観る。ルーマニアのロマ(いわゆるジプシー)たちとフランス人青年との交流を描く作品。歌と踊りのパワーが、エミール・クストリッツァ監督の『アンダーグラウンドUnderground』を思い起こさせるが、話はずっとシンプルで大らかだ。観ていてややもどかしいのは、主人公のフランス人青年にとって、ロマは言葉もほとんど通じない異邦人なわけだが、観ている自分にとってはそのフランス人青年もまた異邦人であることだ。ロマのメンタリティがわからないのと同じように、フランス人のメンタリティもいまひとつつかみづらい。2つの民族の両方について固定化された印象を持っていないため、意味を説明されない行動を理解しきれないもどかしさがより強くなるのだった。一方で、ロマとルーマニア人との対立はわかりやすく描かれている。このあたりは観ていてつらく、人間はどこでもどうしようもないことをしてるもんだとしか言いようがなかった。
 続いて同じ銀座テアトル西友で、レイトショーの『kino』。今をときめく「だんご3兄弟」の佐藤雅彦が撮った短編6本。どれもひとネタ勝負で、かわいらしい話が多い。ルーマニア(こちらも)の町並みや人の顔が不思議と親しみやすいところも好感が持てた。


99/03/07 (Sun.)

 車で外出。
 雨の夜は、車についている各種のスイッチをたくさんオンにする。雨だからワイパー。夜だからヘッドライト。窓が曇るからエアコン。ついでにラジオ。で、さて車を駐めようとすると、これらのスイッチをすべて切ることになる。いや別にラジオやエアコンまで切る必要はなく、車のスイッチを切れば一緒に切れるのだけど、まあ習慣で切るわけです。
 これだけでもたくさんのスイッチなわけだが、さらに実は車を駐めるにあたってもうひとつ、ハザード(ウィンカーが両方点滅する)のスイッチが入っている。駐車場ではたいていバックで車を入れるから、ハザードを出して後ろの車に「わたしは今からここに車を駐めますよ」とアピールするわけである。
 さて、車が駐車位置におさまった。ここからが大変だ。ハザードを止める。ヘッドライトを切る。ワイパーを止める。エアコンを切る。ラジオを切る。これで、ようやくエンジンを切るところまで来るのだった。ふう。


99/03/08 (Mon.)

 スタンリー・キューブリック監督まで死んでしまった。70歳。

ものはこわれる 人は死ぬ
そーゆーわけさハニー
岡崎京子『ジオラマボーイ パノラマガール』

 合掌。


99/03/09 (Tue.)

 電車の吊り広告に、新潮文庫の新刊案内が出ている。1枚の広告に2冊、それぞれのさわりを載せてある。その中に、原田宗典の『買った買った買った』があった。いわく、バナナはなぜバナナと呼ぶのか、「バナ」や「バナナナ」ではなくなぜあえて「バナナ」なのか、バナナはあのカーブといい食べ方といい、なかなかカッコよくなれない食べ物だ、トム・クルーズだってバナナをカッコよく食べるのは難しいだろう…記憶なので細部は違うだろうが、まあこんな内容である。原田宗典はまだ読んだことがなく、面白いという評判だけ聞いていた。なるほどこれは面白そうだ。よし買おう。即断即決万事解決。本屋だ。
 ところで上のさわりの文章を読んで最初に思ったのは、原田宗典の面白さって、その質が面白いWeb日記に似ているなということ。少しずれた感覚。テンポのいい文章。おもわず一人「くくく」と笑ってしまう恥ずかしさ。こういう種類の文章って、Webで見かける「面白い文章」に多いと思うのだ。まんぷくやリンク集には載せていないけれど、「...so what?」とか。「アブノーマルスタア」とか。ほかにもたくさんあるはずだ
 さて本屋に着いた。新潮文庫の新刊は。なんと、新潮文庫の新刊はたくさんあるのに原田宗典だけ1冊もない。棚には原田宗典の既刊がたくさんあるが、いま読みたいのは『買った買った買った』なのだ。しばし黙考。決めた。原田宗典はまたの機会にして、宮部みゆきにする。『スナーク狩り』がいいな。さすが新直木賞作家、宮部みゆきコーナーが作られている。しかし、よりによって『スナーク狩り』だけ1冊もない。まだ読んでない宮部みゆき作品はたくさんあるが、いま読みたいのは『スナーク狩り』なのだ。またも黙考。決めた。宮部みゆきもまたの機会にして、本屋をあとにした。


99/03/10 (Wed.)

深田恭子の駅張りポスター落書き篇

[深田恭子ポスターの拡大図]


99/03/12 (Fri.)

 買ってしまったワンダースワンバンダイはこれを「ワンスー」と呼びたがっているという話を小耳に挟んだが、そうはいかん。そもそもワンダースワンを「ワンスー」にしようにも、ワンースワンだから「ー」と「ス」が逆ではないか。これは「ワンース」か。むっ、悪くないぞ。
 チマタには「ワンスワ」なる呼び名が出ているようで、これならワンダースワで筋は通る。ほかにどんなパターンがあるだろうか。えーと「ワンダースワン」の7文字から4文字を順番維持で取り出すから
「ワンダー」(ワンダースワン)←ひねりなさすぎ
「ワンダス」(ワンダワン)←「1ダース」みたい
「ワンダワ」(ワンダース)←「ワンダバダバダバワンダバダバダバ…」
「ワンダン」(ワンダースワ)←東南アジアあたりの都市にありそう
「ワンース」(ワンースワン)←「モンスーン」みたい
「ワンーワ」(ワン)←恐い
「ワンーン」(ワンスワ)←これも恐い
「ワンスワ」(ワンダースワ)←本命
「ワンスン」(ワンダー)←「王さん」
「ワンワン」(ワンダースワン)←犬
「ワダース」(ダースワン)←和田アキ子の秘密要塞
「ワダーワ」(ダー)←和田アキ子の秘密戦闘員
「ワダーン」(ダースワ)←和田アキ子の巨大メカ
「ワダスワ」(スワ)←「私は」
「ワダスン」()←「私の」
「ワダワン」(ースワン)←「ビタワン」みたい
「ンダース」(ンダースワン)←かけ声1
「ンダーワ」(ンダー)←かけ声2
「ンダーン」(ンダースワ)←「ダッダーン、ボヨヨンボヨヨン」
「ンダスワ」(ンダスワ)←強力な「私は」
「ンダスン」(ンダ)←強力な「私の」
「ンダワン」(ンダースワン)←犬系キャラの語尾「…なんだワン」
「ダースワ」(ワンダースワ)←ロシア人?
「ダースン」(ワンダース)←ハリーとヘンダースン一家
「ースワン」(ワンダースワン)←発音不能
 ふー疲れた。25通りですか?例によって計算方法がわからず、すべて手作業で数えたので抜けがあるかもしれません。上に出てきた中では、やっぱり「ワンスワ」かなあ。呼びやすいし。個人的には犬の「ワンワン」とか、強そうな「ワダース」あたりがおすすめですが。
 そういえばドリームキャストをむりやり「ドリャス」と呼んでいる人もいるのだった。


99/03/15 (Mon.)

 映画『鮫肌男と桃尻女』観る。組の金を持ち逃げした「鮫肌男」こと鮫肌と、なりゆきで鮫肌と行動を共にする「桃尻女」トシコの逃避行。望月峯太郎のマンガが原作で、マンガは最後がいまひとつ理解できなかったところをどう解釈するかと思ったのだが…登場人物は大幅に入れ替わり、異常に立ったキャラが大量に生成されている。しかし惜しいことに、その立ったキャラをどう物語にあてはめていくかにおいて少々繊細さに欠けているという印象だった。マンガを読み返してみると、マンガではきちんと説明されている状況や事物が、映画では何となく曖昧に流されてしまっているように思える。映画だけでは、鮫肌がなぜトシコと行動を共にするかについてすら、きちんとした説明がなされない(はず。見落としがなければ)。ラストはマンガとだいぶ違っており、しかし登場人物のからませ方ではこちらも悪くない、という感想。
 そして、前述の「立ったキャラ」たちはもう立ち方が尋常じゃなく、中でも「山田君」の造形は(殺し屋のくせに目立ちすぎではあるが)一見の価値が大いにある。マンガにはないオフビートなセリフ回しも含め、石井克人監督の独特の魅力を別の作品で見てみたいものだ。
 昨日(昨日じゃないか)の補足。抜けの増補。
「ワースワ」(ンダースワ
「ワースン」(ンダース
「ワーワン」(ンダワン
「ンースワ」(ースワ
「ンースン」(ース
「ンーワン」(ワン
「ンスワン」(ダースワン
 これで計32通り。んーまだ抜けてるのがありそうだ。基礎解析の参考書でも探してみるか?


99/03/17 (Wed.)

 宮部みゆき『魔術はささやく』読了。3つの自殺から語り始められる、贖罪と赦しの物語。と書くと語弊があるかな。でもこの表現が、自分にはぴったりだ。
 物語そのものは、ページ数に対して、話を進めるために作者が用意するものごと(登場人物たちが持っている能力や過去、友人知人など)がやや多く、必要以上に複雑な話になっているという印象。そのせいか「自分や他人の過去とどう向き合うか」みたいなテーマが浮き上がりすぎていたように思えるけれど、少なくとも読んでいるうちはそのことが逆に魅力になっていた。今の自分は、物語を物語として楽しもうとするより、その向こうに見える「人間のしょーもなさ」のようなものを見せてもらいたいという気分が強いのかもしれない。
 ところで、いつも宮部みゆきの本はすぐに読み終わってしまう。文章が圧倒的にうまいから、スルスルとよどみなく読めるのだね。大したもんです。


99/03/18 (Thu.)

 三つ子の魂ナントヤラ。子供の頃覚えたことはどんなにどうしようもないことであっても今の今まで頭に残っている。いわく、

時は未来、所は宇宙。光さえゆがむこの超空間に、愛機コメットを駆るこの男。宇宙最大の科学者であり冒険家、ハービス・ニュートン。だが人は彼を、キャプテン・フューチャーと呼ぶ!

 これはNHKのアニメ『キャプテン・フューチャー』のオープニング・ナレーション。ほかにも

先頃、NASA−アメリカ航空宇宙局の衛星写真に、南米大陸のジャングル奥深く、不思議な文様が発見された。幻の黄金都市、エルドラードではないかと世界中の注目を浴びた。エルドラード…それはアンデスの天険とアマゾンのジャングルに阻まれ、大勢の探検家の、何世紀にも渡る必死の捜索を退けてきた、インカ、幻の都である。

 こちらは同じくNHKのアニメ『太陽の子エステバン』のオープニング・ナレーション。ナレーションといえば

皆さん今晩は。知るは楽しみなりと申しまして、知識をたくさん持つことは人生を楽しくしてくれるものでございます。わたくしは当ゼミナールの主任教授でございます。それでは今晩の学生さんをご紹介しましょう。質問をしますから、ホントかウソかで元気よく答えてください。

 これは『クイズ面白ゼミナール』。日曜夜のNHKといえば今は『クイズ日本人の質問』だが、その前の『クイズ百点満点』の前に放映されていた、鈴木健二が司会の番組である。これらのナレーションは毎週毎週聞くうちに自然と覚えてしまうもので、小学生の時分には小田急線に乗って塾に通っていたために

毎度小田急線をご利用いただきありがとうございます。この電車は急行、箱根湯本行きです。停車駅は、代々木上原、下北沢、成城学園前、登戸、向ヶ丘遊園、新百合ヶ丘、町田、相模大野、海老名、本厚木、愛甲石田、伊勢原、鶴巻温泉、大根、大秦野、渋沢、新松田、小田原、箱根板橋、風祭、入生田でございます。

 なんてのも覚えてしまったのだった。「大根(おおね)」と「大秦野(おおはたの)」は今は駅名がそれぞれ「東海大学前」と「秦野(はだの)」に変わっていて年がばれるが、何というか、耳に入るものすべてを記憶しているのではないかとも思える子供の記憶力である。今でも電車のアナウンスなら毎日聞いているのに、これは全然覚えやしない。もしかすると、子供の頃の記憶力の良さは、いろいろな語彙が珍しく、言葉を覚えるのが楽しいからなのかもしれない。日本語の能力が不完全であるがゆえに持っており、言葉を使い慣れてしまうと失ってしまう記憶力。


99/03/19 (Fri.)

 えー「ワンダースワン」をどう略すかについて完結編。今まで出てきた32通りに、「ワスワン」(ンダースワン)、「ダスワン」(ワンスワン)←「アスワンハイダム」に似て、なかなか力強くていい感じ、「ダーワン」(ワンダーワン)←ムスリムの頭の…そりゃターバン、を足して35通り。たぶんこれで全部でしょう。では改めて
「ワンダー」(ワンダースワン
「ワンダス」(ワンダワン
「ワンダワ」(ワンダース
「ワンダン」(ワンダースワ
「ワンース」(ワンースワン
「ワンーワ」(ワン
「ワンーン」(ワンスワ
「ワンスワ」(ワンダースワ
「ワンスン」(ワンダー
「ワンワン」(ワンダースワン
「ワダース」(ダースワン
「ワダーワ」(ダー
「ワダーン」(ダースワ
「ワダスワ」(スワ
「ワダスン」(
「ワダワン」(ースワン
「ワースワ」(ンダースワ
「ワースン」(ンダース
「ワーワン」(ンダワン
「ワスワン」(ンダースワン
「ンダース」(ンダースワン
「ンダーワ」(ンダー
「ンダーン」(ンダースワ
「ンダスワ」(ンダスワ
「ンダスン」(ンダ
「ンダワン」(ンダースワン
「ンースワ」(ースワ
「ンースン」(ース
「ンーワン」(ワン
「ンスワン」(ダースワン
「ダースワ」(ワンダースワ
「ダースン」(ワンダース
「ダーワン」(ワンダーワン
「ダスワン」(ワンスワン
「ースワン」(ワンダースワン
 思いのほかあとを引くネタになってしまったが、これが完全版だろう。これでもし「ワンダースワン」が「ワンワンワンワ」だったりして、「ワンワンワンワ」と「ワンワンワ」と「ワンワンワン」と「ンワンワン」と「ワンワンワン」が同じ「ワンワン」で重複したりしていたら、また計算が面倒なことになっていたところだが、幸い略語間の重複はないようだ。皆さんお気に入りの略語を探してみてください。


99/03/20 (Sat.)

 たむらしげるの『クジラの跳躍』観る。たむらしげるというと透明感のあるイラストを描く人というくらいの印象しか持っておらず、なんだか平和で安らかな絵だと思っていたのだが、映画を観るとそんないい気なものじゃないとわかった。
 『クジラの跳躍』は、かつて船乗りをしていた老人が、ガラスの海でクジラが跳躍する兆候を感じる、というもの。やがてライムグリーンの海から顔を出したクジラは、老人やほかの見物人が見守る中、長い時間をかけてゆっくりと跳躍する。
 この映画は、死のイメージに満ちていた。老人は永遠とも思える時間の中、我々とは違う世界に生きている。たむらしげるの静かな画風は、常世の風景、黄泉のありさまを映しているのだ。併映の『PHANTASMAGORIA』『銀河の魚』『クリスタリゼーション』も、いずれもこの世を離れたどこかの世界が舞台になっており、静謐な画面はやはりアチラ側を思わせる。安らぎが漂わせる死の匂い。しかし死のイメージは、柔らかな色合いの光の向こう、永遠の休息の裏側にある。
 「生まれる前とか、死んだあとにああいうところにいられたらいいと思った。」という吉本ばななのコメントがチラシに載っていた。そうなのだ。死という、避けがたく恐ろしい運命の結末がこのような場所であれば、少しは気がまぎれるというもの。なんだかホスピスのような、たむらしげるの世界なのだった。


99/03/21 (Sun.)

 SさんがNintendo64振動パックと『ゼルダの伝説』を貸してくれた。外は雨。一日中プレイ。今は、コキリの森を出てハイラル平原へ出、城と牧場でひととおり話を聞いたところ。
 『ゼルダ』はRPGだと思っていたが、キャラクターの(パラメータ上の)成長という要素がごく少なく、むしろアドベンチャーゲーム、もっと言えばパズルゲームに近い。この「ノリ」というか、ゲームの雰囲気のようなものがわかると、制作者の心にシンクロしやすくなり、ゲームを進めやすくなる。そうそう、『ゼルダ』に出てくるパズルをずっと難しくすると、『MYST』や『RIVEN』のような作品になるのではないかと思った。手もとに与えられた情報(アイテムやキャラクターをどう動かすことができるかや、人の話など)をもとに、「こうすればできるのでは?」なんて考えて、それがうまくいったときの喜びがあるというタイプのゲーム。この種のパズルは好きなので、なかなか楽しめそうだ。
 アクションゲームとしての『ゼルダ』については、またおいおい。


99/03/22 (Mon.)

 春分の日の振替休日。昨日の雨と風で、大気中のチリがすっかり払われたのだろう、遠くの建物まではっきりと見えていた。目が良くなったような気分。


99/03/24 (Wed.)

 『WIRED』日本版の編集長だった、こばへんこと小林弘人が雑誌を立ち上げる。5月18日に創刊が決まった『サイゾー』である。そのサンプル版が今日届いた。ざっと見たところ…ざっと見るとなると当然見栄えに目が行くわけで、やはりというかビジュアルは『WIRED』っぽさが強い。ゴシック系フォントの使い分けや、「誰々=文/誰々=写真/DAREDARE:WORDS/DAREDARE:PHOTOGRAPHS」という書き方とか。もちろん、だからダメだなんて言わないし、むしろ『WIRED』に見栄えが似ているぶん「変で面白いことが載っていそう」な期待感が自然に出てくる。なんてのは作ってる側からするとイヤな感じかもしれないが。それでも巻末の1色ごった煮コラム群「世田谷文化秘宝館」は何だか全然『WIRED』らしくなく、読みにくいけど面白そうだ。
 『サイゾー』の記事はというと「デジタル・キャラクター開発の裏」「ホームトレーディングで一発当てろ!」「ダンカン×松村邦洋」「爆笑問題の日本原論」「カストリ・ニュースアワー」…やっぱり何となく『WIRED』の影がある。見開きの大きな写真が4ページほど載っていたりするし。爆笑問題は『WIRED』からそのままシフト。
 さて、では5月18日。いずれにしても5月18日。待ち遠しいのは当然。眠いのでこれで。


99/03/25 (Thu.)

 電車の中で『ヤングジャンプ』を開いている人がいる。ちょうど読んでいるのは本宮ひろ志の『サラリーマン金太郎』である。見えたセリフが金太郎の独白、

人に説教たれられるってタマかよ 金太郎…

 乗り換えた電車のなかで、ふたたび『ヤングジャンプ』を開いている人を見る。読んでいるのは『サラリーマン金太郎』。おまけに見えたセリフがやっぱり金太郎の独白、

人に説教たれられるってタマかよ 金太郎…

 なにか陰謀でもあるんでしょうか。いや、『金太郎』はちゃんと読んだことがなくて、なんだか破天荒な主人公が大活躍するらしいというくらいしか知らないのでよくわかりませんが、たとえば「サラリーマン金太郎は、自分のことを人に説教たれられるタマではないと思っているということを人々にあまねく知らしめよう教団」のしわざとかさ。で、教団の人間は「人に説教たれられるってタマかよ 金太郎…」の部分を電車の中でなるべく周りの人に見せようとすると。一人に見せるごとにカルマが一つ落ちるっていうふれこみで。


99/03/28 (Sun.)

 Apple Japanがまた1%ローンのキャンペーンを打っている。前回はiMacが対象で、ジェフ・ゴールドブラムをCMに出して「ピザ3000円」なんてやっていたが、今回はPowerBook G3を対象にしている。
 さて前回のキャンペーン、終盤のAppleの動きを覚えているだろうか。キャンペーン終了が1月のたしか10日ごろ、その直前に今の5色のiMacが発表されている。では1%ローンで5色のiMacを買えたのかといえばサニアラズ、ここで発表された新しいiMacの発売日は1月17日だったのだ。つまり、新機種発表→1%キャンペーン終了→新機種発売という流れである。
 さて。今回のキャンペーンは5月5日までである。果たしてこの前後にPowerBookの新機種が発表されるのか、そしてそれは噂される「ノート型iMac」なのか。答えあわせは5月ごろにやってみよう。


99/03/29 (Mon.)

 ゆうべは大地震の夢を見た。ガレキの中、なにかを探してそこらじゅうをひっくり返している。
 夢の内容そのものは、寝る前に見たドラマ『ER』に似たシーンがあったので(ドラマで地震が起きるわけじゃないよ)その影響かなとも思うが、あえてそのシーンを夢に見るという点で、何か自分の心理状態を反映しているような気がする。
 PC WORK! HOT MAILというメールニュースサービスがある。その中に、「田口ランディのドリーミングの時代を読む」というコーナーがあり、コンピュータとは直接関係のないエッセイが載っている。たとえば「自分が今ここにこうしていられるのは、生まれてから2年間、身の回りの世話をしてくれた人がいるからだ」(「母親のお仕事」)とか、いきなり結論だけ書いてもわけがわからないかもしれないが、ナルホドと自分の視界を広げてくれる話が多くてお気に入りなのだ(この人の文章はMSNニュース&ジャーナルでたくさん読める)。で今週のネタはといえば、夢の話なのだった。彼女いわく、夢の内容を記録しておくと、3年ほどたってからようやくその時の夢の意味がわかるという。彼女が昔よく見ていた夢に、「殺した人の死体をどこかに埋めた」というものがあり、その夢の意味も今となってはとてもよくわかるのだそうだ(どういう意味かは読んでのお楽しみ)。
 ゆうべの大地震の夢は、予知夢的なリアリティではなかったが、不安感が体中から吹き出すような感触が今でも思い出せるほど強かった。現状への不安?確かに身辺が少しばたばたしており、そのストレスが夢に出てきたのかもしれない。あとで(それこそ3年後に)思い返してみれば違う解釈になるかもしれないが、ひとまず記録のつもりでここに記しておこう。


99/03/30 (Tue.)

 君は見たか、「むじんくん」の新しいCMを。どんなものかというと…
 「ご利用は計画的に」
 「らららむじんくん、らららむじんくん」
 「いいねぇ」
 「じゃあ地球寄ってく?」
 「あっ、持ち合わせがないや」
 「なあ、ここの支払いどうすんだよ」
 すごい、すごすぎる。単に逆回転させたものと言うなかれ。連続するCMの中でこれが流れると、直前のCMに「ご利用は計画的に」がくっついて聞こえ、まず耳を引くのだ。だってそうでしょう、たとえば「cdmaOneって僕のこれとどう違うんですか?全然違う!?…パンフレットとか、ありますか」に「ご利用は計画的に」ときたらどうだ。思わず画面を見てしまい、上の逆回転を見せられるという寸法である。ほかにも「透明人間になる薬ゲットしたぜ〜!」「服脱げ脱げ!」「眼鏡どうする?」「コンタクトにすれば?」「頭いいなお前!」「どこだコンタクト屋」「あっ、あった!」「目ぇいいなお前!」(このCM好きだ)に「ご利用は計画的に」とか、「黒ってなんだー!君のその黒は本当は何なんだ!」(いいCMだねぇ)に「ご利用は計画的に」とか。「お客様へワンモアアイデア、富士銀行」「ご利用は計画的に」(←確かに)とか、「♪飲茶楼で、めちゃうまかろう♪」「ご利用は計画的に」(←申し訳ないがなんか危なそう)とか。
 どんなCMにも「ご利用は計画的に」がうまい具合につながるが、そもそもCMってのは消費気分を高めさせるためのものだから、たいてい何でも「ご利用は計画的に」になるのだ。他社のCMに水を差す「むじんくん」のCM。なかなかのやり手である。
 それにしても「むじんくん」のCM、最近好調である。少し前にも
 「ずんちゃんずずちゃん」
 「もう一件行こうか」
 「あっ持ち、あっ持ち、あっ持ち、あっ持ち」
 「じゃあ地球、じゃあ地球、じゃあ地球、じゃあ地球」
 「いいねえ、いいねえ、い、い、い、い、い、い、い、い」
 「じゃあ地球寄ってく?」
 「なんか疲れたな」
 「らららむーじんむーじんむーじんむむむむむーじんくん、らららら」
 という、上の「逆回編」に負けず劣らず面白い「スクラッチ編」なんてのもあったりした。
 「むじんくん」は、CMとして伝えるべき内容が「持ち合わせがない」「地球寄ってく?」「いいねえ」「らららむじんくん」「ご利用は計画的に」程度で、それもキャンペーンやモデルチェンジによる主題の変化がないため、視聴者も「むじんくん」のCMが伝える内容はいつも同じであることを学習しやすい。その結果、視聴者と「むじんくん」の間にある種のコンセンサスができ、伝え方の自由度が増す。そして、その向こうに上に挙げたような変で面白いCMの地平があるのだ。この調子で、お約束の主題をどうひねるかの技に挑戦してもらいたい。


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