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更級日記の中にある竹芝伝説というお話の、謎解きです。
衛士の男が皇女(みこ)をさらって逃げます。追捕の兵が来ているはずだと思って、男は瀬田の橋を壊すのですが、なぜか、男は自分で壊した橋を飛び越えて逃げているのです。竹芝伝説いちばんの謎だと思われます。まずはその場面から、
ろんなく人追ひて来らむと思ひて、その夜、勢多の橋のもとにこの宮を据ゑたてまつりて、勢多の橋を一間ばかりこほちて、それを飛び越えて、この宮をかき負ひたてまつりて、七日七夜といふに、武蔵の国に行き着きにけり。
「それを飛び越えて」の解釈です。
男は皇女の方を見やりながら橋を壊していった。時には手を振ることもあった。一間ばかりを壊してから、しまった、皇女に背を向けて壊さなければならなかった、ということにようやく気が付いた。気が付くのが遅かった。男は泣き出しそうな顔をしつつも、それでも皇女に向かっては笑って見せた。皇女は男の顔を見て「ああ、この男となら大丈夫」と思った。「さあ、それを飛び越えて来なさい」皇女の静かな声が聞こえてきた。男はいちかばちか、一世一代の大跳躍に挑んだ。
ドラマ「あまちゃん」にも「その火を飛び越えて来い」という場面がありました。三陸鉄道の倉庫の前です。天野あきのうわずった声を思い出します。男というものは、危険を冒して女のもとに駆け寄ることを期待されているのです。男はつらいのでござるよ。
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