ご質問にお答えします (03/06, 1999)


 みなさんからの質問が多くなってきたので、これまで個人的にメールでお返事を差し上げた中から、いくつかまとめて掲載します。メールを引用させていただいた方には、無断で申し訳ない。でも、どこのだれからの質問かはわからないように、プライバシー保護には気を使っているつもりです。でも、差し障りのある方は削除しますから、お知らせ下さい。

  「セルビア・クロアチア語の学校について」(99/03/06)
  「コソボが独立した場合の欧州への影響」(99/02/23)
  「旧ユーゴ戦争犯罪国際法廷について」
  「ユーゴの食生活など現地事情について」
  「国際政治と紛争の関係、マスコミの役割について」
  「日本国内のクロアチア人のW杯盛り上がりについて」
  「ボスニアの日本大使館」
  「地名の表記」
  「ボスニアなどへ行ってみたい」
  「クロアチアの公用語」
  「レンタル出来るビデオ」
  「人はなぜ人を殺すのか」
  「ボスニアの現在の状況」
  「どんな資料や本を参考にすればよいのか」
  「何故セルビア人はクロアチア人を憎むのか?」
  「サッカー」
  「卒業論文の提出を控え、煮詰まっている」
  「セルビア人による市民への無差別狙撃」
  「ズヴォニミール・ボバン」
  「正直言って、不安があります」
  「ネウムについて」

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「セルビア・クロアチア語の学校について」

   ホームページを拝見させていただいた所、南スラブについて大変お詳しいようなので、お手紙を差し上げた次第です。
 本題の方ですが、南スラブ語を日本語で勉強したいのですが、何かそういった教育機関をご存知でしたら教えていただきたいのですが・・・。

  どこかで、クロアチア語を教えてくださるところをごぞんじであれば教えていただきたく、メールを送らさせていただきました。

  実は、恒常的な教育施設は日本にはほとんどありません。以前は朝日カルチャーセンターなどで、教えていたそうですが、最近は聞きません。

 大学書林系の語学学校で、最近、セルビア・クロアチア語を教えていると、聞いたことがありますが、詳細は不明です。

 そのほか、ブルガリア語も含めた南スラブ一般なら東京外大、旧ユーゴ関係なら一橋大学、東大などがありますが、大学の方に直接お手紙など出されたらいかがでしょう。

 独学でしたら、一橋大学の中島由美先生などの「エクスプレス・セルビア・クロアチア語」(白水社)などをテープと一緒に買ってはじめるのもひとつの方法です。

 と、書いていたら、最近、知り合いのお嬢さんから、

四谷にある「DILA」という有名な語学学校で教えていますよ。

とのお便りをいただきました。高橋さん、ありがとうございました。


 また三井さんからは、次のような大学書林についての情報をいただきました。

千田さん、こんにちは。
大学書林の所在地お知らせします。

東京本校
郵便番号102−0085
東京都千代田区六番町9
TEL 03−3264−2131(念のため) FAX 03−3264−2133

・JR四谷駅徒歩3分
・地下鉄丸の内線・南北線四谷駅徒歩5分
・地下鉄有楽町線?町駅徒歩5分
・地下鉄都営新宿線市ヶ谷駅徒歩8分
便利なところにありますよね。行った事はないけれども・・・

大阪校
郵便番号541−0041
大阪市中央区北浜2丁目5−13
北浜平和ビル6F 
TEL06−204−0027

ホームページ
http://www.tky.threewebnet.or.jp/~dila
ホームページがあったなんて今まで知らなかったです。ハハッ。

 (なお、千田自身はこの学校のことについて詳細は知りません。万が一、トラブルがあっても、当方はもちろん、情報提供者の三井さんが責任を負うものではありません。念のため)


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  コソボが独立した場合の欧州への影響

 話し合いが行われているコソボの問題に関して、コソボが 独立してしまった場合の欧州への影響がわかりません。 セルビアがコソボの独立を阻もうとする理由はわかります。 しかし、テレビでは 「コソボ問題は欧州への影響が非常に大きい」と繰り返すのみで、どんな影響があるか 説明しているものはないようです。

  NKさん、こんにちは(お名前がわからないと、お返事を書きにくいのですが)

 ご質問に関して、簡単にお答えします。

(1)紛争が収拾しない場合、国境を越えて、マケドニア(南隣り)やギリシャ、トルコなどに拡大する可能性があること。とくにギリシャ、トルコ両国は歴史的に対立関係にあり、同時にNATOの同盟国だという複雑な事情があります。次の(2)に関連して、もし、コソボの紛争が拡大して、ギリシャとトルコが戦争するようなことになると、NATOの存続が危うくなるのです。

(2)NATOに関係して、冷戦が終わって、NATOの存在意義がはっきりしなくなりました。NATO自体は、今後は地域紛争への対処を組織維持の目的にしているのですが(ボスニア・ヘルツェゴビナでも、NATO主導の平和安定化軍というのが配備されています)、コソボで解決できなければ、NATOは何のためにあるのか、ということになってしまいます。

(3)以上のように、簡単にNATOの問題にしぼってお答えしましたが、要するに、コソボ紛争はたんに「地域紛争」であるだけでなく、ヨーロッパの枠組みを大きく左右しかねない(影響がどのように出るかだれにもわからない点が恐ろしい)重要な問題なのです。


「国際法廷について」

  千田さんは国際法廷についてどのようにお考えか、お聞かせ願えたらと思い、メールを書かせていただきました。研究するにあたって、良い参考文献などがありましたら、教えて下さい。

  わたし個人の見解は、4月刊行予定の「国際社会とユーゴ紛争」を読んでいただいて、それからにしましょう。

 参考文献は、日本語では岩波新書の「戦争犯罪」などしかありません。インターネットのWCWのホームページやtribunal-watchなどのメイリングリストを申し込んでみて下さい。その中で、tribunal-updateというシリーズが見つかるはずですから、それを読めば、ユーゴスラビアのこととルワンダのことがわかります。

わからなかったらまたメールを下さい。



「ユーゴの食生活など現地事情について」

  (ベオグラードに赴任することになり)ユーゴについての情報をあつめています。しかし、そのほとんどは内線のことが中心であるため、食生活や物価、気温、通貨価値などのことがわかりません。ユーゴに住む人はなにを食べているのか?休日にはなにをしているのか?など。

  食生活=行かないとわからないでしょう。日本食はほとんど売っていません。ウイーンのナッシュマルクトで買い出しすることになるでしょうから、適応力に自信がなければ、インスタント味噌汁やカップラーメンなどを持って行かれたら?

 物価=日本よりは安いはずだが、電器製品などは目茶高いので、ラジカセなどを持って行かれたら?

 気温=北海道並。ただし、夏だけならば、基本的には防寒着はいらないでしょうが、朝夕は冷えるので、薄手のセーターかカーディガン、フリース、それにレインコートに使えるジャンパーなどがあると便利。

 通貨価値=これも行かないとわかりません。ただし、西側外貨への逆両替はめんどうなので、あまり一度にたくさん替えすぎないこと。

 休日=たくさんあります。友人を作ってのんびりしてきて下さい。

 交通機関=ベオグラード市内はバス、トロリー、路面電車で問題なし。

 建築やデザインについては行ってみてきて下さい。



  食生活は特に心配はしていませんが、メールでかかれているようにウイーンには気軽にいけるのですか?ハンガリーを通過して電車で行くことになるのでしょうか??? ウイーン・ベオグラード間の運賃はそれほど高くないのかな?

  電車でも飛行機でも2日見ておけば帰ってこれます。交通費を出しても日本食、というのであればですが。

  それと西側外貨で持っていくとしたら、どの国の通貨が有利ですか?今のところすべて、ドイツマルクにするつもりです。

  マルクがいいでしょう。通貨価値はディナールで書かれてもわかりません。相場がくるくる変わりますから。

  渡航先の危険情報を見てもユーゴスラビアやボスニアはいぜん危険度2となっています。ボスニアのところでは、地雷に注意し舗装されていない道路は歩かないようにすることが書かれていました。平和ボケした日本では考えられないことですね。また、世界で起こっている紛争や戦争の映像がテレビから流れてきてもどこかとらえどころのない非現実的なものとして映っていました(そう思っていたのは私だけではないと思います)。

  あんまり心配しないで、当たって砕けて下さい。若いのだから。



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「国際政治と紛争の関係、マスコミの役割について」

  具体的に言うと、私は紛争の中でも特に、政治、経済、マスコミ、世界の中のユーゴ紛争についてやってみたいと思っています。政治、経済については千田さん他の本を読めばなんとかなるのですが、他の二つについてがなかなか難しくて。

  マスコミについても、本(講談社「ユーゴ紛争」)や論文などに書いたはずだけれどなあ。

  私は、最近世界の流れはやはり経済によるところが大きいなあと思っています。大国の思惑もやはりお金、というかでなっているのでは、と。そういった観点から見たとき、ユーゴ紛争が、大国の経済的思惑から、悪戯に延ばされたり、助長されたりということはないのでしょうか?

  抽象的にはイエス。具体的には、まず、紛争前の経済政策、紛争中の経済制裁など、調べて検討してみては。武器市場の問題も絡んできます。

  また、マスコミによってそういうことが行われていたりする事はないのでしょうか? マスコミに関わっていられる千田さんはどうお考えになりますか?

  「そういうこと」というのがよくわかりません。現地の主要マスコミは政府や与党から独立していませんから、西側とは違います。まあ、権力というのも、結局はお金ですが。

  それにしてもいろいろな旧ユーゴの資料を読んでいて、いまいち見えて来ないのが一般の人々の気持です。

  夏休みにでも行ってきたら?

 文献ではわかりませんよ。


   でも、夏休みにでも行ってきたら、なんて簡単に言いますけどお金は無いし、それこそアメリカとかに行くのとは事情が違うじゃないですか。だからこそ現地にいったことのある千田さんに聞いてみたかったのに、、、。政治と民衆。少数の統治者と大多数の被統治者。世界の経済的思惑と集団心理。どちらにも働きかけなければ、ですよね。もう少し勉強してみます。

  もののおっしゃり方に、何となく、ブッキシュな印象がありましたので、現地に行ったら、と申し上げたのです。悪気はありません。でも、結構、気軽に行けるところですよ。ニューヨークよりは治安がいい。

   ところで千田さんは、なぜユーゴなのですか? 何をもとめているのでしょう ? でも、千田さんのサントリー論文はとても面白かったです。たった今起きている事も、まるでか世界史の授業のように各国の思惑で動いているってわかりました。

  ありがとうございます。自分がなぜユーゴなのか、という答えは自分でもわかりません。論文を読んでいただけて幸せです。

では、また。



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「日本国内のクロアチア人のW杯盛り上がりについて」

  W杯に盛り上がっているクロアチアの方々が集まるような場所を、紹介していただけませんでしょうか。

  日本全国でクロアチア人は数十人しかいないと思われます。クロアチア大使館以外にクロアチア人が集まる場所というのはないのではないでしょうか。

 お役に立てずに申し訳ありませんが、悪しからず。



「ボスニアの日本大使館」

  ところで、ボスニアの日本大使館は98年の3月には、設立されていました。サラエボ市内の、インペリアルカフェの裏側当たりでした。

  たしかに「アンバサーダ(大使館)」と表示しているのですが、正式には連絡事務所です。でも、ホームページは修正しておきました。ありがとうございます。



「地名の表記」

  地名ですが、ボイボディナ自治州の州都はノビサド、ノビサードのどちらでしょうか。

  これは、どっちにも聞こえますが、「ノビサド」でいいでしょう。

  またコソボ自治州はフリシュティナ、プリシュティナのどちらでしょうか。

  「プリシュティナ」です。

  それから、ボスニア・ヘルツェゴビナには現在、何人ぐらいの平和維持軍が駐在しているのでしょうか。

  現在約三万三千人が駐留していて、六月末で任期が切れたものが、さらに延長されました。


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「ボスニアなどへ行ってみたい」

  実は、この夏にユーゴ、ボスニアなどへ行ってみたいと思っています。しかし、現地がどのようになっているのか、そして、実際に行って移動したりすることが出来るのかということが心配です。それに、大使館情報などを見ると、コソボ紛争やボスニアの地雷のことなどで、行かないようにとの勧告が出されています。実際の所、地雷などはそこら中に埋まっていて、移動するのに危険なのでしょうか。そして、やはりコソボ紛争の影響などは深刻なのでしょうか。

  具体的には何が知りたいのでしょうか。

 なんの目的かわかりませんが、若者の見聞を広めるような旅行には、それほど(もちろん注意すればですが)危険はそれほど大きくはないと思います。危ないところには、警察や軍がいて、先に通してくれませんから。プロのジャーナリストは別です。コソボの田舎は行かない方がいいかもしれません。

 ボスニアの地雷は一般の人が通る道路は除去されています。田舎の草原や畑はまだ危ないところがあります。

大都市の昼間をのぞいて、治安はよくありません。まあ、日本よりも治安のいいところはないわけですけれど。

むしろ、あっちの男性はみんな格好いい上に力が強く、強引なので、もし女性の一人旅であるならば、そっちの方を心配した方がいいと思います。

 でも、いいところ、いい人々(悪者もいますけど)ですから、ぜひ行ってみて下さい。

  ところで、千田様のHPを拝見すると、サラエボの市内へ入るには「タクシー、停戦区を歩いて、タクシー」と書いてありましたが、タクシーは危なくないのでしょうか。そして、市内から、郊外、その他の地方、または、ベオグラードから、サラエボへは、一度クロアチアへ入らずに直接何らかの交通手段で行けるのでしょうか。それに、ホテルなどは取れるのでしょうか。

  ベオグラードからサラエボは、最近、エアーボスニアが開通しました。ホテルはあります。でも高いから、民宿がおすすめです。

  千田様のHPを拝見しても、トーマスクックを見ても、電車はあまり使えないとのことで、現地での移動で、バスは使い勝手に大丈夫なのかなどと考えていました。

  まあ、バスしかないでしょう。結構、快適ですよ。ただし、夜行は避けるべし。山賊、痴漢の可能性アリ。



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「クロアチアの公用語」

  ひとつお伺いしたいことがありまして、私の生徒がクロアチアで使われている言語を調べているのですが、わからないため、インターネットで調べていたところあなたの名前が見つかったのでメールしました。
(クロアチアで使われている言語を教えていただけますか。)

  クロアチアで使われている言葉は「クロアチア語」です。

以前は、セルビア・クロアチア語と呼ばれていました。クロアチア語とセルビア語は、呼び方は違いますが、もともと(今も、かなり)同じ言葉です。


「レンタル出来るビデオ」

  Wカップでクロアチアのサッカーを観てすっかり興味をもってしまいました。ですが、今まで東欧にまったく関心がなく情報集めに四苦八苦しています。そこでまずは映画を、と思いましたが残念なことに現在上映中のものに、東欧の映画はみあたりません。そこで、レンタル出来るビデオはないか、とさがしています。不躾ですが何かご存じでしたら教えて下さい。
PS 個人的には「パーフェクトサークル」「ブコバルに手紙は届かない」を観たいのですが。

  ブコバルの方はビデオ化されているはずです。パーフェクトは劇場公開されたばかりですから、もう少し待てば、借りられるようになるのではないでしょうか。

 そのほか、クロアチア映画(政治的に問題があり、映画としての水準はかなり低い。リベラルな人がみんな外国に逃げてしまったから)ではありませんが、関連があるものとしては、ユーゴ映画(こっちの方が水準が高い)の「アンダーグラウンド」(クストリツァ監督)や、ギリシャ映画の「ユリシーズの瞳」(アンゲロプロス監督)なんかが、97年のキネマ旬報ベスト10にも入っていて、いい映画です(レンタル中)。


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「人はなぜ人を殺すのか」

  「人はなぜ人を殺すのか」この問いは私の永遠の謎です。個人的な恨みならば、もしかしたら私も人を殺すかもしれない。でも、「民族」「宗教」の大義名分のもとに、かつてはともに仲良く暮らしていた友人たちを憎み、殺すということがどういうことなのか、私には理解できません。

  おそらく、当事者たちもまだ、理解していないのではないかと思います。理解できないので、後からとってつけたような民族主義の「理論」を(殺してしまった後に)学ぶのです。

   さて、前述の問い「人はなぜ人を殺すのか」に対してこう答えた人がいます。「人間の歴史は殺し合いの歴史。人を殺すのは人の性だ」。千田さんはどうお考えでしょうか。私はそんなふうには思いたくない。けれど、ある意味で真実であることは認めます。

  まあ、共食い以外で同族を殺すのは人間だけかもしれませんが、「人の性」というなら、グルメもセックスも音楽もスポーツも、人間だけのものです。そういう多重な構造の中で、それを多くの場合は意識せずに、人間というのは暮らしているものです。ただ、もう一つ、人間だけの得意技として、グルメやセックスや音楽やスポーツや、そして民族主義や殺人という選択肢の中で、どれがしたいか、またすべきか、ということを、「考えること」「選択すること」ができるということかもしれないと、思っています。

  サラエボにアプローチしようと思っています。

  サラエボはまあ、夜の女性のひとり歩きをしないなど一般的なことに注意すれば、安全です(サラエボのお兄ちゃんたちはすごく親切なので、うまくあしらって下さいね。たとえば、婚約者がカラテの達人で、何か会ったら復讐にくるぞ、とか、軽く脅かしておく)。しかし、田舎の草原や廃墟など、人間が最近入った形跡のないようなところは、地雷があるかもしれないので気をつけて下さい。

 それ以外は、まあ、中学校でコンピュータを教えるなど、文明社会だったところですから、途上国とはいえ、普通に誠意を持って、自分のしたいことを話して、友人を作って下さい。

面白い報告を待っています。グッドラック!


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「ボスニアの現在の状況」

  ボスニアの現在の状況を教えて頂けますか。

  さて、「ボスニアの現在の状況を教えて頂けますか。」メールでは何とも、お役に立てる情報はかけないでしょう。一言でいえば、まだまだ復興はすすんでいない、という状況です。同時に、戦争時代の最悪の状況は去り、後は前進するだけ、という楽観的な言い方もできます。わたしの友人のボスニア人(難民)も、「まだ帰らない」という人と、「まだ帰れない、そういう状況ではない」という人、「帰りたくない」という人など、さまざまです。

   私のボーイフレンドの友人のほとんどは、まだ向こうは厳しい状況でとてもまともな仕事はない、と言っています。彼の友人のお父さんは「帰ってくるな。もしこちらがつらくてカナダに帰りたくなっても、その旅費さえ稼ぐのは無理だから」と言っていたそうです。どちらが本当なんでしょう。

  どちらも真実でしょう。経済的に余裕がある生活がいいなら、カナダの方が100倍も可能性があります。一方、ボスニアには、彼の家族や友人など、お金では買えないものがあります。でも、生活は、ものすごく大変です。過激派は「戦争に参加しないで難民になった裏切り者」を糾弾していますから、疎外されたような、いやな雰囲気になる可能性もあります。どちらも楽ではないということです。

 PS 講談社から「遥か戦火を逃れて」という日本人女性でボスニアのムスリム人と結婚し、戦争に巻き込まれた方の本がでています。ご主人は戦死されました。


   なんだか無心に書いて送ってしまって、ご返事を読んでみたら、私って恋愛相談をしてしまったみたいですみませんでした。恥ずかしいです。でもとても真剣に答えて下さってとてもうれしかったです。有難うございました。

  恋愛相談そのものですね。典型的な。

 長々とのろけて下さってごちそうさまです。

 GOOD LUCK!!


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「どんな資料や本を参考にすればよいのか」

  私は、中学1年生です。
 夏休みの社会の宿題で、1つの国を調べて、レポートにまとめることになりました。私はクロアチアについて調べたいと思っていますが、資料がなかなか見つけられません。どんな資料や本を参考にすればよいのか、教えて下さい。

  まず、図書館で百科事典を見て下さい。もし、それが古くて載っていなかったら、共同通信社から「世界年鑑」というのが出ていますので、それを探してみて下さい。ほかにも、「現代用語の基礎知識」「知恵蔵」「イミダス」などの用語集にも載っています。

 その後で、時間があれば、わたしの書いた「ユーゴ紛争」(講談社現代新書)を借りて読んでみて下さい。

もし、それで足りなければ、またお便りを下さい。


  「ユーゴ紛争」は、貸し出し中でしたので、戻ってきたら読みます

  それは残念でした。クロアチアは独立国だけれど、昔の旧ユーゴの国々とあわせて比べてみたら、似ているところと似ていないところなどがわかって、面白いかもしれません。

  私が借りてきて読んだのは、「ユーゴスラヴィア史」「弔銃」「ある日、村は戦場になった」です。あまり参考にはなりませんでした

  ほかに、少しむずかしいですが、岩波新書の「ユーゴスラヴィア現代史」、山川出版(ブックレット)「バルカンの民族紛争(民族問題だったかな?)」(いずれも柴宣弘著)というのもあります。

 少年少女向けには、わたしが書いた「世界に目を開く」岩崎書店、黒柳徹子「トットちゃんとトットちゃんたち」講談社の関係部分などもあります。まず、どういうことを調べたいのか考えて、それにあった本を探してみて下さい。また、クロアチア大使館(電話03ー5478ー8481)に頼んで何か資料を送ってもらってもいいかもしれません。


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「何故セルビア人はクロアチア人を憎むのか?」

  何も知らずにメールしたのですが、「サラエボ」の日本語版・監修をされたのが千田さんとは、世界は狭いと感じました。今、映画的アプローチかもしれませんが、「何故セルビア人はクロアチア人を憎むのか?」あるいはその逆、はたまたムスリム人の心情は?といった点が私の中にある謎です。
 答えは事態を理解する上では重要かもしれませんし、知ったところで、むなしい物なのかも知れません。

  でも、現場の人々は、みんな名前があって、それは「ムスリム人」とか「セルビア人」とか呼び合っているわけではありません。必ずしも憎みあっているわけでもないと思います。



「サッカー」

  ご教授いただけないでしょうか?

  47' Zivkovic (jedanaest)
  80' Jovic (jedan.)

 いずれもPKからの得点ではないでしょうか。

  11' Tomic (iz kornera)

  CKからのダイレクトの得点と思われます。


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「卒業論文の提出を控え、煮詰まっている」

  卒業論文の提出を3ヶ月後に控え、今研究に煮詰まっているので宜しければお力をお借りしたいと思い、お手紙を書いております。

  修士や博士過程ならいざ知らず、学部の卒論であまり完璧なものを追求すると、論理の渦にはまってしまい、容易に脱出できなくなることがあります。まず、書きたいことは何か、そして、手持ちの材料で何がかけるか、をつきあわせて、大枠を完成させることが先決と思います。つまり、目次を作り、次に、不完全な草稿でもいいから、形にしてしまうのです。

  私の卒論のテーマは、「旧ユーゴ国際法廷の設立根拠と安保理の権限」(仮)で、数多くの文献を入手し、読んだのですが、文献の多くが「紛争専門」(地域研究)と、「法廷専門」(国際法)とに別れていて、旧ユーゴ紛争に対する国際社会の対応(EUやCSCE、NATO)が、安保理決議による法廷設立にどのように影響したのかが、はっきり見えてこないのです。

旧ユーゴ戦犯法廷(ICTY)の設置そのものは積極的なことでしたが、現実の国際政治の力学の中では、失策を糊塗するために出されてきた、ボスニア問題解決に積極的に取り組んでいるふりをする「ポーズ」の一環です。

  拙著「ユーゴ紛争」(講談社)にも書いているように、93年5月にバンス・オーエン案がつぶれる過程で、セルビア人勢力側に和平案を受諾をさせられず、かといって、空爆などの強攻策にも踏み込めない状況で、米露英仏西の5カ国外相の「joint action plan」としてまとめられた方針の中の一項目として加えられたものです。とくに、空爆論を説いて欧州諸国を歴訪したクリストファー国務長官の無能ぶりを覆い隠すために、しかたなく、「これならできます」というオプションの一つとして並べられた課題の一つにすぎませんでした。

 この五カ国はスペインに代わってドイツが参加し、後にコンタクトグループとして恒常化します。この時点では「EUやCSCE、NATO」は具体的には登場していません。

  宜しければ、文献やHPなどを教えていただけませんか。

  手に入りやすい(でも日本では大変)ものとしては、

(1)戦争犯罪が20世紀末に起こったことのインパクト関連(なぜ、今、戦犯法廷か)

・Love thy Neighbour - A Story of War-Peter Maass-Papremac-1996 London

・伊藤芳明「ボスニアで起きたこと」岩波書店

(2)ICTY設置のきっかけ(紛争の経過と和平案の移り変わり=自分で年表を作りましたか?)

・The Death of Yugoslavia-Laura Silber & Allan Little-Penguin-1995 (pp288〜)

・拙著「ユーゴ紛争」

・拙著「国際社会とユーゴ紛争」(ホームページの論文=今年4月に刊行予定)

(3)ケーススタディ(参考)

・Srebrenica-Jan W. Honig & N. Both-Penguin-1996

などがあります。そのほかに、国際条約集や、安保理決議そのものは必見。岩波新書の「戦争犯罪とは何か」も国際法との関連で参考になります。

(4)HPでは、WCWや、ICTYのHP(わたしのHPからリンクしています)が、ジェノサイドの定義や、ICTYの現状などを知ることができます。国連のHPでは、関連決議をサーチできるはずです。

このほかに、ユーゴ、ルワンダの戦犯法廷設置が、常設の国際刑事裁判所の設置に弾みをつけたことなども頭に入れておくといいでしょう。

 また、国内裁判で裁かれないもののみが対象になる原則(少なくともICTYではそうです)と、それに反対する論調、一事不再理の原則との関連、カンボジア(故ポル・ポト)やコソボでの戦争犯罪への対応なども、最近の動きとしてめくばりしておくといいかもしれません。

 以上、また混乱したら、お手紙下さい。

 では、グッドラック!


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「セルビア人による市民への無差別狙撃」

   今でもわからないことは、セルビア人による市民への無差別狙撃は一体何の為だったのか、ということです。モスレム人を恐怖に陥れサラエボから追い出すための心理作戦だったのでしょうか。

  一般的にはその通りでしょうが、極限状態の中、撃った方も、また、とくに狙われていた方も、後遺症が深刻です。

   来年の夏、スロヴェニアに行こうと思っています。できればサラエボまで陸路で入りたいと思っています。

  スロベニアはいいところです。ボスニアもいいところでした。今もいいところではありますが、戦争がなければもっと良かったのにと、しみじみ思います。

またお手紙下さい。



「ズヴォニミール・ボバン」

  文中に、
 ボバンは優れた選手だが、グラウンドの外でも話題が多い。今回もフランスに「クロアチア二千年史の文学アンソロジー」を携行し、準決勝の前にはそれを読んで集中力を高める、などど「愛国者」ぶりを強調していた。
とあるのですが、グラウンドの外の多い話題とは? 後の、「愛国者」ぶりを強調していた話は、試合前の会見に答えて言っていたことか何かなのでしょうか?教えてください。なんだかとても、気になります。

  お返事が遅れて申し訳ありませんでした。かいつまんで「グラウンドの外の話題」をあげると

 1)「愛国者」にとどまらず、政治的発言が多い。90年5月の対レッドスター戦での事件も、これに対する制裁的な意味でイタリア大会への出場が禁止されたふしがあります。

 2)戦争中は、難民支援の募金活動などをしていたが、戦争後も、ほかの選手(たとえばテニスのイワニシェヴィッチ)たちが政治(与党)と一戦を画しているのに、いまだに大統領らと接触している。

 3)ザグレブなどに、少なくとも3軒のレストランを経営するなど、ビジネスマンとしても有名。

などなど。個人的には好きな選手なのですが、「愛国」ばかり強調するところがどうも、と、いうのがわたしの感想です。


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「正直言って、不安があります」

  来月から(旧ユーゴへ)赴任です。私は正直言って、仕事に対しての不安があります。今まで経験した限りでは援助というのは時により毒にも薬にもなります。事情をよく知らずに単に物資を供給しただけでは結果としてネガティブに現状に作用することがあるわけです。また、よく聞く話として、救援をするサイドが自分の無力さを痛感したために脱力してしまうこともあるそうです。

  まあ、とりあえず、赴任してからは、難民や現地スタッフの話を聞くことになると思います。冬のシーズンで、厳寒のコソボでは援助が緊急・切実な状況ですから、とにかく救えるものは救う(けがや病気は治りますが、死んだら生き返りませんからね、現代医学の水準では)というスタンスで活動し、悩むのは、一段落して、春頃から少し悩む、というのがいいのではないでしょうか(半分冗談です)。

  出発まであと少しですが、それまでにもっとコソボについて知識を深めていきたいと考えています。

わたしは買ったばかりで、まだ読んでいないのですが、Noel Malcolm著「KOSOVO」( Macmillan)という本が、参考になりそうです(ほとんど唯一のコソボの通史です)。

  現地の人びとは、スタッフも、難民も、みんな「精一杯」生きていると思いますから、そのエネルギーに圧倒されて負けないように、がんばって下さい。

 基本的に、現地でなんでも買えると思いますが、本と下着、靴は日本でしっかりしたものを手に入れて、携行することをおすすめします。



「ネウムについて」

  なぜスプリット―ドヴブロヴニク間で不自然な形でボスニアが張り出してきているのですか?

  昔むかし、ネウムまで「ドブロブニク共和国」だった時代がありました。その北は、ベネツィア共和国領土です。陸から攻めてきたオスマン帝国に、ドブロブニク側は、ネウムの土地をオスマン帝国に与える代わりに、ベネツィアからの保護を約束してもらった、その時の土地が、いまのボスニア領土になっているのです。中世のドブロブニクは、ベネツィアとオスマン帝国の間で微妙なバランス外交をおこない、独立を保っていました。

  ドヴブロヴニクから南へ国境を越えることは可能なんでしょうか?

  外国人は可能です。新年15日まで、一般の人もノーヴィザで出入国できましたが、まもなく、また、事実上、国境閉鎖になります。

  日本にいると旧ユ−ゴの地域の情報が入ってくるのが一過性でその時だけだから千田さんのHPに出会えてうれしいです。

  ありがとうございます。

 天気が良くて良かったですね。こっちがいったときは大雨で、南風の影響で、サラエボに入るときは路面が凍結していなくて助かりましたが、本当に、冬はダメな季節です。暑すぎる夏よりは、春か秋の方がいいと思います。


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