最近のボスニア(旧ユーゴスラビア)情報

(12/11, 2000)


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 12/01@ユーゴ向けODAを再開 430万ドルの肥料購入費(共同通信)
 12/01@理事国枠拡大でほぼ決着 安保理改革問題で佐藤大使(共同通信)
 12/01@イリアンジャヤで独立集会 政府側は弾圧の構え(共同通信)
 12/01@ジンバブエは法の順守を ナイジェリア大統領(共同通信)
 12/02@◎中国外相がユーゴ訪問(時事通信)
 12/02@身代金1億円で息子解放(共同通信)
 12/02@◎ミロシェビッチ前政権、10億ドルを外国に移転(時事通信)
 12/02@21世紀へ向け同盟強化 米が欧州戦略報告書(共同通信)
 12/02@<EU>緊急対応部隊の作戦立案にNATO参加を 米側も関(毎日新聞)
 12/02@チアパス紛争解決は多難 フォックス新メキシコ大統領(共同通信)
 12/02@<スワジランド>揺れる絶対王政 民主化の波に(毎日新聞)
 12/02@人種差別行為根絶を通達 欧州サッカー連盟(共同通信)
 12/03@<人と世界>変貌するドイツ軍 ユーゴ空爆のパイロット2人(毎日新聞)
 12/03@◇中国外相がユーゴ訪問 新政権とも協力関係確認◇(朝日新聞)
 12/03@ユーゴ大統領と会談 中国外相、関係維持に意欲(共同通信)
 12/03@<人と世界>変貌するドイツ軍 国民意識も海外派兵容認=解(毎日新聞)
 12/03@<人と世界>変貌するドイツ軍 ユーゴ空爆のパイロット2人(毎日新聞)
 12/03@<人と世界>変貌するドイツ軍 再編で派遣兵力増強(毎日新聞)
 12/03@<人と世界>変貌するドイツ軍 政府諮問委副委員長インタビ(毎日新聞)
 12/03@<メキシコ>先住民組織EZLN指導者、新政権と和平交渉の(毎日新聞)
 12/03@ODA削減阻止に躍起 苦戦強いられる外務省(共同通信)
 12/04@◇NATO国防相会議、EU緊急部隊対応を焦点に5日から◇(朝日新聞)
 12/04@不明の判事が死体で発見 ユーゴスラビア (共同通信)
 12/04@犠牲者支援の強化目指す 対人地雷禁止条約の常設委(共同通信)
 12/05@<ユーゴ>コシュトゥニツァ大統領がギリシャに協力呼びかけ(毎日新聞)
 12/05@<欧州連合>首脳会議の最大のテーマは東方拡大(毎日新聞)
 12/05@<NATO>国防相会議 EU軍への協力の在り方が焦点=替(毎日新聞)
 12/05@チベット独立放棄を要求 ダライ・ラマに中国(共同通信)
 12/05@<義勇兵>難民の自立を支援 カレン解放軍参加の川村さん(毎日新聞)
 12/05@旧ソ連国歌が“復活”へ ロ大統領が法案提出(共同通信)
 12/06@8日から女性国際戦犯法廷 裁判官らが会見(共同通信)
 12/06@◎ユーゴ、通貨を切り下げ(時事通信)
 12/06@EUとの連携の必要性強調 NATO国防相理事会(共同通信)
 12/06@◎EUとの協力強化、コソボ情勢を協議=NATO国防相会議(時事通信)
 12/06@極右州知事から贈呈のツリー、バチカンで物議(読売新聞)
 12/06@<EU首脳会議>交渉は難航予想 主要5カ国の主張や思惑(毎日新聞)
 12/06@“原爆の火”広島に到着 米先住民ら千キロ歩く(共同通信)
 12/06@<特集ワイド>現地ルポ 米国のNPO活動 行政と並ぶ存在(毎日新聞)
 12/06@<コートジボワール>イスラム系野党支持者が暴動 15人死(毎日新聞)
 12/06@エリトリア、対エチオピア和平に合意(読売新聞)
 12/07@<国連>人道問題担当事務次長に大島賢三氏(毎日新聞)
 12/07@◇7日からEU首脳会議 機構改革がテーマに◇(朝日新聞)
 12/07@<西パプア>独立混とん 政府は強硬姿勢 運動組織、内部分(毎日新聞)
 12/07@◇マンUが3年連続世界一金持ちクラブに サッカー専門誌◇(朝日新聞)
 12/07@<世界食糧計画>バルカン諸国に約100億円の緊急食糧援助(毎日新聞)
 12/07@「南京虐殺は歴史的事実」 被害女性が来日、訴え(共同通信)
 12/07@与野党2候補が接戦 ガーナ大統領選で投票(共同通信)
 12/07@「英王位継承、男性優先は違法」英紙訴えで波紋(読売新聞)
 12/07@<米大統領選>超大国の気になる「お家事情」(毎日新聞)
 12/07@<米大統領選>ブッシュ候補、ライス教授と会談(毎日新聞)
 12/07@<露軍事技術協力>アンゴラとの協力再開の議定書に調印(毎日新聞)
 12/07@大島氏が国連事務次長職、邦人4人目(読売新聞)
 12/07@依然少ない日本人幹部職員 国際公務員の育成急務(共同通信)
 12/07@年間サッカー最優秀にオランダ選出 アジアの最優秀は日本(共同通信)
 12/07@マンUが世界一の金持ち プレミアL勢が上位ランク(共同通信)
 12/08@<ユーゴ>今回の政変で返り咲きのサビーチェビッチ氏に聞く(毎日新聞)
 12/08@◎ユーゴ前政権、40億ドルを海外に隠す=中銀総裁(時事通信)
 12/08@サンタにささげた教会 ニコラスのモザイク銘文 トルコで(共同通信)
 12/08@<女性国際戦犯法廷>慰安婦制度の違法性を明らかに(毎日新聞)
 12/08@女性国際戦犯法廷が開幕 戦時中の性暴力裁く 元慰安婦一堂(共同通信)
 12/08@退任後も身辺警護へ オルブライト米国務長官(共同通信)
 12/08@EU首脳会議、緊急部隊骨格案を承認(読売新聞)
 12/08@◇スイス国連加盟で国民投票へ 2002年に◇(朝日新聞)
 12/08@<EU>首脳会議で機構改革問題の討議を開始 仏のニースで(毎日新聞)
 12/08@旧ソ連国歌“復活”を可決 ロシア下院、年内にも法案成立(共同通信)
 12/08@年明け以降は強硬策も 独立紛争でワヒド大統領(共同通信)
 12/08@日本の人権保護状況を批判 アムネスティ事務総長(共同通信)
 12/08@こじれる適用範囲拡大 EUの「特定多数決」方式(共同通信)
 12/08@EUの改革合意へ全力 首脳会議が2日目討議(共同通信)
 12/08@<EU独自軍>NATOとの関係で英仏が対立 EU首脳会議(毎日新聞)
 12/08@<ジブチ共和国>警察長官がクーデター未遂で逮捕(毎日新聞)
 12/08@国連がタリバン制裁強化へ 米ロが共同で決議案(共同通信)
 12/08@ジブチでクーデター失敗 軍が警官隊を鎮圧(共同通信)
 12/08@ODA削減を明示 来年度5―10%減有力 与党「見解」案(共同通信)
 12/08@欧州サッカー、外国人選手流入に拍車(読売新聞)
 12/08@中田の日韓戦招集に影響か ローマのアスンソンが手術(共同通信)
 12/09@40億ドル以上を国外送金(共同通信)
 12/09@クシュネル特別代表が退任 後任はデンマーク国防相(共同通信)
 12/09@<EU首脳会議>3日目 機構改革問題を集中的に討議=再替(毎日新聞)
 12/09@<唄の話>イラク人の心いやす伝説の歌声 (毎日新聞)
 12/09@<余録>姓名表記(毎日新聞)
 12/09@◇「度量狭い」とクリントン大統領がブッシュ氏をけん制◇(朝日新聞)
 12/09@軍縮外交題材に外務省が書籍、今月末に発刊(読売新聞)
 12/09@機構改革で議長案提示 EU首脳会議が大詰め折衝(共同通信)
 12/09@<バチカン>オーストリアのハイダー極右党首の訪問を容認(毎日新聞)
 12/09@国連の事情聴取を拒否 東ティモール虐殺で国軍(共同通信)
 12/09@中国の被害女性倒れる 女性国際戦犯法廷証言中、PTSDで(共同通信)
 12/09@野党のクフォー党首優位 ガーナ大統領選 (共同通信)
 12/09@ミャンマー制裁が本格始動 ILOが加盟国などに書簡(共同通信)
 12/09@EU、パレスチナ停戦監視団の結成案を支持(読売新聞)
 12/10@前大統領が返り咲きか ルーマニア大統領選で決選(共同通信)
 12/10@◇女性国際戦犯法廷に東ティモールから証言者◇(朝日新聞)
 12/11@<欧州連合首脳会議>加盟国拡大に確かな一歩(毎日新聞)
 12/11@<中東情勢>国際調査委メンバーがイスラエル入り(毎日新聞)
 12/11@<イスラエル>バラク首相辞任=アラブ関係者の反応(毎日新聞)
 12/11@<欧州連合首脳会議>苦悩の仏外交 一喜一憂の加盟国(毎日新聞)
 12/11@<カフェテラス>悩める情報部員 バンコク 小松健一(毎日新聞)
 12/11@ルーマニア大統領、イリエスク氏が返り咲き(読売新聞)
 12/11@◇ネタニヤフ前首相、立候補に意欲 イスラエル首相選◇(朝日新聞)
 12/11@<記者の目>EU首脳会議の難航 欧州総局 岸本卓也(毎日新聞)
 12/11@<政府開発援助>世界銀行総裁が会見で削減に懸念(毎日新聞)
 12/11@「杉原千畝を忘れない」 大阪で生誕百年記念式典(共同通信)
 12/11@ロシア大統領13日キューバ訪問 両国関係の修復目指す(共同通信)
 12/11@EUがニース条約に合意 加盟国拡大へ機構改革(共同通信)
 12/11@<ガーナ>大統領選は決選投票へ 過半数得票候補者なく(毎日新聞)
 12/11@◇ルーマニア大統領選、旧共産系のイリエスク氏が制す◇(朝日新聞)
 12/11@ODA大幅削減に反対 世銀総裁(共同通信)
 12/11@コンフェデレーション杯、日本の会場は最大3か所(読売新聞)
 12/11@監督の信頼もつかんだ中田 「最高の形」とカペロ確信(共同通信)

 (注)この「最近のボスニア」コーナーは、一般に報道されている記事に、千田が一部手直しして掲載しているものです。出所は明示しており、各社・各記者の著作権を侵害するつもりはありませんが、著作権上問題があるとお考えの方や、自分(自社)の記事は載せないでほしいという方がいらっしゃれば、このホームページの感想もふくめて、千田あてに連絡してください。
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 12/01@ユーゴ向けODAを再開 430万ドルの肥料購入費(共同通信)

 政府は一日の閣議で、ユーゴスラビア連邦に小麦用肥料の購入費として四百三十万ドルの緊急援助を行うことを決めた。
 政府はユーゴ紛争を受け、一九九一年十一月からユーゴ向け政府開発援助(ODA)を凍結してきたが、コシュトニツァ政権の誕生を受け、河野洋平外相が十月、凍結を解除して一千万ドルの緊急支援を行う方針を表明。今回はその第一弾となる。
 残り五百七十万ドルは難民対策のため、近く国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に拠出する方針だ。(了)[2000-12-01-09:38] 113
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 12/01@理事国枠拡大でほぼ決着 安保理改革問題で佐藤大使(共同通信)

 【ニューヨーク30日共同】佐藤行雄国連大使は三十日記者会見し、安全保障理事会の改革問題で日本が提案している常任、非常任両理事国枠の拡大について「ほとんどの国が(必要性を)認めており、この問題はこれで済んだのではないか」と述べ、増加の方向でほぼ決着したとの見方を示した。
 日本は常任理事国を五カ国から十カ国に、非常任理事国を十カ国から十四カ国にそれぞれ拡大し、安保理を計二十四カ国で構成するよう求めており、佐藤大使は今後の課題として@理事国数をいくつまで増やすかA常任理事国の拒否権にどう制限を加えるか―の二点を指摘。前者については日本提案への支持取り付けのため、米国の新政権と交渉する意向をあらためて表明した。(了)[2000-12-01-10:00] 120
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 12/01@イリアンジャヤで独立集会 政府側は弾圧の構え(共同通信)

 【ジャヤプラ(インドネシア)1日共同】インドネシア・イリアンジャヤ州(ニューギニア島西部)の州都ジャヤプラなどで一日、同州独立を訴える大規模な集会が開かれた。
 独立派住民が「独立記念日」としている同日の集会で、完全独立を宣言しようとする動きもある。
 一方、独立運動弾圧の姿勢を強めるインドネシア政府側は、警察の実力行使もあり得ると警告。これまでに独立派組織「パプア評議会」のエルアイ議長ら主要幹部を逮捕しており、緊張が高まっている。
 ジャヤプラ中心部の広場には早朝から住民約三千人が集まり、明けの明星をモチーフにした独立旗を掲揚、民族衣装を着けた住民が「独立は当然の権利だ」などと叫んだ。
 広場周辺を盾を構えた警官隊が取り囲み、棒を持った住民側自警団とにらみ合った。(了)[2000-12-01-08:43] 121
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 12/01@ジンバブエは法の順守を ナイジェリア大統領(共同通信)

 【ヨハネスブルク30日共同】ジンバブエからの報道によると、同国訪問中のオバサンジョ・ナイジェリア大統領は三十日、ムガベ大統領との会談後、「ジンバブエが(土地問題の)解決のためにすべきことは、既存の法律を厳格に守ることだ」と述べ、白人に集中する優良農地の再配分をめぐるムガベ大統領の強引な手法に見直しを求めた。
 ジンバブエで二月以降本格化した黒人市民による白人農園の占拠について、裁判所は政府に再三排除を求めているが、ムガベ大統領はこれを無視。土地を補償なしに強制収用する手続きにも着手した。
 会談の詳細は明らかにされていないが、オバサンジョ大統領は、同日ジンバブエ入りした南アフリカのムベキ大統領とともに、ムガベ大統領に対して土地問題に伴う混乱の収拾を強く促したとみられる。(了)[2000-12-01-08:39]
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 12/02@◎中国外相がユーゴ訪問(時事通信)

 【ベオグラード2日AFP=時事】中国の唐外相は2日、東欧4カ国歴訪の最初の訪問国であるユーゴスラビアのベオグラードに到着した。10月初めのミロシェビッチ前大統領の失脚後に中国要人がユーゴを訪問するのは初めて。
 スビラノビッチ外相の招請によるもので、唐外相は2日間の滞在中、コシュトニツァ大統領とも会談する予定。ユーゴ訪問後、アルバニア、ハンガリー、ポーランドを歴訪する。 [時事通信社][2000-12-02-22:47] 3
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 12/02@身代金1億円で息子解放(共同通信)

 【ウィーン1日共同】一日付のユーゴスラビア有力紙グラスヤブノスティによると、同国のテニスの元スター選手、スロボダン・ジボイノビッチ氏は息子ステファン君(8つ)を誘拐した犯人に身代金百十万ドル(約一億二千万円)を支払い、ステファン君は無事解放された。
 同紙によると、ステファン君は十一月二十二日前後にベオグラードの自宅近くで誘拐された。人気歌手でもある母親のレパ・ブレナさんが十一月二十八日、犯人が指示した場所に現金を運び息子との交換に成功した。犯人につながる情報はない。(了)[2000-12-02-09:50] 4
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 12/02@◎ミロシェビッチ前政権、10億ドルを外国に移転(時事通信)

 【ウィーン1日時事】ユーゴスラビア連邦国立銀行(中央銀行)のディンキッチ総裁は1日、ミロシェビッチ前政権が総額10億ドル(約1100億円)の巨額の資金をキプロス経由で外国に移転していた形跡があり、近く中銀専門家チームがキプロスを訪れて調査に当たる計画であることを明らかにした。
 前政権による資金移転の情報は、米財務省海外資産調査局(OFAC)の調査結果としてユーゴ側にもたらされた。同総裁は、資金はキプロスに流入した後、さらに第三国に移されており、その国名も承知していると指摘した。中銀の専門家チームはOFACの協力を得て、キプロスで現地調査に当たり、資金の具体的流れを解明する方針。 [時事通信社][2000-12-02-07:12] 16
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 12/02@21世紀へ向け同盟強化 米が欧州戦略報告書(共同通信)

 【ワシントン2日共同】米国防総省は一日、二十一世紀に向け北大西洋条約機構(NATO)の同盟強化、拡充などを盛り込んだ「欧州戦略報告書」を発表した。
 冒頭でコーエン国防長官は欧州、カナダの安全保障が米国にとって「死活的な国益」であることを指摘。「大西洋共同体」への全欧諸国の参加を訴え、NATOの加盟国拡大に自信を示す一方、ロシアやウクライナとの「安定した関係」維持の重要性を強調している。
 欧州連合(EU)主導で地域内紛争の処理に当たれるよう、集団防衛や危機即応能力の向上を欧州諸国に注文。欧州が懸念する米国の戦域ミサイル防衛(TMD)については、協力関係を模索する意向を示している。(了)[2000-12-02-19:00] 17
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 12/02@<EU>緊急対応部隊の作戦立案にNATO参加を 米側も関(毎日新聞)

 【ワシントン1日布施広】米国防総省高官は1日、欧州連合(EU)が創設を決めた緊急対応部隊の大規模作戦の計画立案に、北大西洋条約機構(NATO)の指揮官が参加すべきだと語り、欧州独自の部隊にも米国が関与する意向を示した。また、国防総省は同日、欧州との防衛協力に関する報告書を発表し、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)などからのミサイル拡散に対抗し、欧州やロシアとミサイル防衛面の協力を進めることを打ち出した。
 緊急対応部隊は昨年12月のEU首脳会議で創設が決まった。2003年までに兵員5万〜6万人の部隊を編成、EU独自で紛争地域に派遣する。米国主導のNATOと一線を画した部隊創設は、欧州の「米国離れ」の側面を持っている。
 これに対しクレーマー国防次官補は「軍事作戦の計画立案を(NATOの)欧州連合軍最高司令部で行うことには、だれもが納得するだろう」と述べ、近く開かれるNATO国防相会議で、緊急対応部隊の作戦にNATOが関与することを提案、他の構成国の同意を取り付ける意向を示した。
 この米国案によれば、緊急対応部隊の作戦には事実上、米国の「お墨付き」が不可欠になる。国防総省の報告書「米欧安全保障の強化」も、NATOとEUの防衛計画の協力拡大をうたい、緊急対応部隊に米国が関与する意向を強く示唆した。フランスなどが米国案に難色を示すのは必至で、NATO内で微妙な対立に発展しそうだ。
 また報告書は、イラン、イラク、リビア、北朝鮮の長距離ミサイル開発を警戒し、「これらの国は5〜15年以内にNATO構成国を脅かすようになる」と述べ、6月の米露首脳会談で具体的に合意した米露共同のミサイル監視や、欧州での戦域ミサイル防衛(TMD)開発を進める方針を示した。[2000-12-02-18:45] 27
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 12/02@チアパス紛争解決は多難 フォックス新メキシコ大統領(共同通信)

 【リマ2日共同】メキシコ大統領選挙で制度的革命党を破り、七十一年ぶりに政権交代を果たした国民行動党(PAN)のビセンテ・フォックス新大統領は一日、就任式で、南部チアパス州で一九九四年以来くすぶる、先住民系武装集団による反政府活動の収拾に意欲を示した。しかし、現在の国会の勢力状況では先住民の自治実現などを進め、早期の解決を期待するのは難しい情勢だ。
 先住民の貧困解消を掲げて武装ほう起したサパティスタ国民解放軍(EZLN)は、国会議員団との交渉で先住民の権利を確認する合意を交わしたが、合意が国会を通過せず、九六年五月以降は対話を拒否している。
 ゲリラ活動自体は沈静しているが、同州では軍と解放軍支持者らの間での小競り合いが時折、伝えられる。
 新大統領は就任前にも解放軍幹部との対話に前向きで、就任式で「チアパスには新しい夜明けがあるだろう」と語った。同州に八日、PANのサラサル・メンディグチア知事が就任することも追い風だ。
 しかし、合意を実現して先住民の自治をある程度実現するには、憲法や関係法令を改正せねばならない。
 改正には下院五百議席の三分の二(三百三十四議席)以上の賛成が必要。二百二十四議席の与党連合に、合意を支持する左派の六十五議席を加えてもこれに届かない。
 メキシコ政治学研究所のカマチョ研究員は「フォックス大統領就任は解決によい材料だが、PAN内部も必ずしも合意を支持していない」と述べ、早期進展は難しいとの見通しを示した。(了)[2000-12-02-15:05] 54
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 12/02@<スワジランド>揺れる絶対王政 民主化の波に(毎日新聞)

 旧英領・スワジランドは、南アフリカの脇に位置する絶対王政の国だ。東京都の8倍ほどの国土に人口100万人が暮らす。憲法は73年に廃止され、勅令で全てが動いてきた。だが、最近になって民主化の動きが活発化、先月半ばには反王政勢力の指導者らが逮捕され、100人が負傷する騒ぎとなった。揺れる王国を訪ねた。【ムババーネ(スワジランド)で藤原章生】
 民主化運動が激化した発端は10月14日未明、人口3000人の北部マケチェニ村で起きた。代々、村を率いてきた首長宅に王政側のトラックやパトカー20台が乗りつけた。首長の親族ら100人を村から250キロ離れた地に移すため、作業員が有無も言わせず家財道具、牛、山羊などをトラックに積み込んだ。身の危険を感じた首長は直前に南アフリカに亡命した。
 白人入植や自然公園建設の度に、村人を強制移住させた南ア旧白人政権の手法に似ているが、スワジランドの場合、現国王ムスワティ3世(33)の異母兄(60)を新首長にするのが狙いだった。
 「このままでは内戦になる」。事件を目撃したマケチェニ村の薬局員、ズワネさん(45)が心配そうに話す。学校や職場に隠れる王政の情報員を怖れ、アフリカでは珍しく、国民は政治を語ろうとしない。王政側は事件以来、外国人記者の取材活動に神経を尖らせており、ズワネさんと村を回ると、配置されたパトカーが尾行してくる。取材を監視し、国境へ誘導して追い返しているという。
 同じころ、近隣のムクウェリ村でも同様の事件が起きるなど、王家の近親者が首長の座を横取りする例は後を絶たない。王政に批判的な村が対象となりやすいという。
 「南アフリカからの急速な欧米文化の流入を受け、王政側は伝統を守れと説く。だが、その一方で、伝来の首長を追い出すなんて……」。ズワネさんに怒りを隠さない。
 首長を奪われた村人の恨みが高まり、学生、労組が中心だった90年代初めからの反王政運動は今回の事件を機に、地方の保守的な国民にまで拡大し始めた。
 国民の95%を占めるスワジ族は白人の入植が盛んになった19世紀後半、南ア白人や英国軍の先兵として立ち回ることで、王政を守ってきた。南アが人種差別政策で国際的に孤立した80年代にも、白人政権と裏で手を組み、自国に出没する黒人闘士を逮捕してきた。
 そんな王政が長らえた背景には、1982年に死去するまで「名君」として、60年以上に渡る支配を続けた故・ソブザ2世をめぐるこの国独特の風土がある。
 先祖の霊が子に伝わると信じられているこの地では、子の数が多いほど霊の力も強いと言われる。このため、生前、ソブザ2世は200人の妻をめとり、300人の子をもうけた。王子、王女らの一部は英国留学などを積み、政界、財界に収まった。ソブザ2世を頂点とするダラミ家一族がつくる体制が政権基盤を支えたのだ。300人の子を通じ、王政を守るソブザ2世の霊には逆らえない。そう考える国民が依然、多いという。
 「村では英語のラジオなど誰も聞かず、みな狭い世界で生きている。それに村人はソブザ2世の霊を今も怖れている」。反王政運動の中核・スワジランド労働組合連合のシトーレ議長(47)が指摘する。
 11月中旬、反王政のゼネストを呼びかけ扇動罪で逮捕、起訴された非公認野党・人民統一民衆運動のマリオ・マスク党首(49)は「我々の目的は王家を象徴として残しながら、政治を民主化することだ。だが、我が国の勅令は、国民を教化し混乱させる政党、団体全てを禁じるとしており、公にそんな発言をする自由さえない」と批判する。
 だが、民主化要求の高まりとともに、「王族体制と何らかの関わりがなければ、教育、就職、昇進などで差別される」(青年会議代表、マリンガさん)と絶対王政への不満を訴える声が噴出し始めた。
 「やがて王政は崩壊する」。シトーレ議長は意気軒高に話した。
 スワジランド
 南アフリカとモザンビークにはさまれた小国。英保護領から1968年、独立した。南アへの出稼ぎ者が10万人を数え、柑橘類や木材、砂糖の輸出先の85%を南アが担う。1人当たりの国民総生産は1400ドルを超え比較的裕福だが、王族と民衆の貧富の格差が激しい。[2000-12-02-03:35] 31
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 12/02@人種差別行為根絶を通達 欧州サッカー連盟(共同通信)

 【ロンドン1日ロイター=共同】欧州サッカー連盟(UEFA)は一日、「試合での人種差別的な振る舞いの根絶」を目指す異例の通達を、欧州の全サッカー協会と各国のトップレベルのクラブチームに出した。
 アイグナー専務理事は通達を出した理由を「欧州域内の試合で、外国選手への差別的振る舞いが後を絶たないため」と説明した。欧州チャンピオンズリーグでは十月、イタリアのセリエAの選手が、イングランドのプレミアリーグ所属の黒人選手を、差別的な言葉で侮辱して問題になった。
 専務理事は「われわれは、少数の悪意ある者によってサッカーの評判が汚されていることを黙認できない」と述べ、「観客、選手ら試合にかかわるすべての人々に、この問題を真剣に考えてほしい」と訴えている。(了)[2000-12-02-13:49]
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 12/03@<人と世界>変貌するドイツ軍 ユーゴ空爆のパイロット2人(毎日新聞)

 ドイツは昨年3月、北大西洋条約機構(NATO)のユーゴスラビア空爆に参加、戦後初めて国外での武力行使に踏み切った。コソボ上空に出撃した現場兵士は武力行使をどう受け止めたのか。ドイツ南部、ミュンヘン近郊のドイツ空軍レッヒフェルド戦闘爆撃機大隊に所属するヤン・クベアート少佐(34)とクリスティアン・マイナース大尉(31)に聞いた。二人の体験談からは国外派兵が独軍の任務の一部になっている現状が浮かび上がる。
 ユーゴ空爆が続いた昨年3〜6月、同大隊は常時10機、延べ100人の搭乗員が出動。イタリア北部の基地から延べ2000回以上出撃した。ドイツの任務は限定され、レーダー装置の破壊を主に行なった。大尉は空爆開始直後の昨年4月、少佐は5月に数十発のミサイルを発射した。
 レーダー装置は無人のケースが多いが、保安要員や住民を殺した可能性もある。逆に撃ち落とされる危険もあった。しかし「不安も興奮もなく、訓練通りに操縦できるかどうかで頭がいっぱいだった」という。二人は既に96年から始まったボスニア国連平和安定化部隊(SFOR)に偵察飛行で参加。そこで戦闘は既に終結していたが、国外の紛争地を飛ぶのは初めてだった。「ボスニアでは本当に緊張した。それに比べて、コソボではまるでスポーツ大会に参加しているようだった」。
 「空爆は紛争解決のカギになる歴史的な仕事だった」とも少佐は言う。しかし、実は周囲の関心は今一つ高くはない。大尉が空爆の任務を終えて帰宅する際は質問攻めに遭うと予想していた。ところが友人や近所の人は空爆については何一つ聞こうとしない。「もう終わったことだから、と皆が無関心なのに驚いた」と大尉は話す。
 連邦軍は、91年にイラク周辺で空輸に参加したのをはじめ、ソマリア、カンボジアなどで国連平和維持活動や人道援助を行なってきた。ボスニアへも2400人の兵士を派遣している。少佐は「国民の関心が低いのは“人道的な派兵”が日常化しているためではないか」と言う。
 二人は「軍事介入は最後の手段で望ましくはない。コソボでも難民が大量に出て、空爆が必ずしも“人道的”だったとは言えない。しかしコソボに良い影響を与えたのは確か。今後も議会が必要と認め、国際的な枠組みがあれば国外に出る」と話している。[2000-12-03-23:35] 13
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 12/03@◇中国外相がユーゴ訪問 新政権とも協力関係確認◇(朝日新聞)

 中国の唐家セン外相は2日、ユーゴスラビアを訪れ、コシュトニツァ大統領らと会談した。10月のユーゴの政変後、中国高官が訪れるのは初めて。
 中国は以前からユーゴの友好国で、今回の訪問は、ユーゴが民主的な政権に交代した後も両国の協力関係を確かめ合うのが目的。中国は約200万ドル相当の人道援助を申し出ている。
 唐外相は会談後、政治と経済の両面での結びつきをさらに深めるつもりだと述べたうえで、「この考えは平和的な共存の原則に基づくべきで、互いに内政不干渉を尊重する」などと確認した。さらにコシュトニツァ大統領らに来年の訪中を求めた。
 ユーゴ側は、ミロシェビッチ前政権下で国際的に孤立していた時代にも中国が支援してくれたことと合わせて、今回の協力確認に感謝を述べた。[2000-12-03-22:33] 15
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 12/03@ユーゴ大統領と会談 中国外相、関係維持に意欲(共同通信)

 【ウィーン2日共同】ユーゴスラビアの独立系ベタ通信によると、中国の唐家☆外相が二日、ユーゴの政変後、初めて同国を訪問し、コシュトニツァ大統領らと会談した。
 孤立化したミロシェビッチ前大統領と良好な関係を維持してきた中国が、ユーゴ新政権とも同様の関係を続ける意欲を示した。
 唐外相は会談後の記者会見で、両国は「平和共存の原則」に基づいて、政治・経済両面の関係を深めていきたいと述べた。また、コシュトニツァ大統領に早期に中国を訪問するよう招請した。(了)☆王ヘンに旋[2000-12-03-09:42] 188
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 12/03@<人と世界>変貌するドイツ軍 国民意識も海外派兵容認=解(毎日新聞)

 ドイツは単なる兵力削減だけでなく、「国家とは何か、軍隊とは何か」を根本的に問い直そうとしている。その大胆な改革を、国外派兵を受容する国民意識の変化が支えている。
 大方の近代国家にとって軍隊は必要不可欠な要素で、いわば国家の基本骨格の一つだった。しかし侵略で覇権を争う時代はとうに過ぎ、冷戦構造も消えた。ヨーロッパでは対立から和解・統合へと時代は流れ、地域紛争が軍隊関与の場になっている。
 通貨統合から政治統合へ向かう欧州で、ドイツは「なぜ軍隊があるのか」と自問する。そこで軍隊の存在根拠を「防衛・覇権」から「周辺諸国共同の危機管理」に変えた。自国の兵力の半分以上を他国のために使う改革は、従来の近代国家観から見れば、基本骨格の組み替えでもある。
 ドイツの軍改革はEU独自の軍隊「緊急対応部隊」の創設をにらみながら、EUの中で国際社会への地位獲得を目指してきた「国家のあり方」に再考を迫る。同部隊の創設が「EU(が統合を進める)卒業試験だ」(ソラナEU共通外交安保政策担当上級代表)とされるだけに、ドイツは先進的役割を果たそうという意気込みが感じられる。
 ドイツは日本と同様、周辺諸国を侵略した歴史から補償と経済協力で信頼醸成を培うように努めてきた。東欧に被害者が多いナチス強制労働の補償に乗り出したのも、「過去の負の遺産」の清算に取り組まねばならないドイツの運命を示す。
 そのドイツが国外を空爆するのは「国際法違反だ」と国内外で一時、反発があった。しかし空爆から1年半たった現在「人道的な軍事介入」は驚くほどあっさりと受け入れられていた。国防省もコソボ空爆が世論調査で約6割に受け入れられた点を挙げ、「異論は過去のもの」とする。連邦議会の過半数の賛成▽国連安保理決議など国際的な枠組みが必要――との連邦憲法裁判決(1994年)が過剰な派兵に歯止めをかけたのも、コンセンサス作りに役立った。
 夢物語と言われた統一通貨ユーロ導入を実現した欧州連合(EU、15カ国加盟)が今後、政治統合、さらに各国軍の欧州軍への統合を実現できないとは言い切れない。冷戦後の欧州の変容に伴う大国ドイツの動向は、そのまま東アジアの中の日本の状況に重ね合わせられないにせよ、注視していくべきだろう。[2000-12-03-23:35] 189
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 12/03@<人と世界>変貌するドイツ軍 ユーゴ空爆のパイロット2人(毎日新聞)

 ドイツは昨年3月、北大西洋条約機構(NATO)のユーゴスラビア空爆に参加、戦後初めて国外での武力行使に踏み切った。コソボ上空に出撃した現場兵士は武力行使をどう受け止めたのか。ドイツ南部、ミュンヘン近郊のドイツ空軍レッヒフェルド戦闘爆撃機大隊に所属するヤン・クベアート少佐(34)とクリスティアン・マイナース大尉(31)に聞いた。二人の体験談からは国外派兵が独軍の任務の一部になっている現状が浮かび上がる。
 ユーゴ空爆が続いた昨年3〜6月、同大隊は常時10機、延べ100人の搭乗員が出動。イタリア北部の基地から延べ2000回以上出撃した。ドイツの任務は限定され、レーダー装置の破壊を主に行なった。大尉は空爆開始直後の昨年4月、少佐は5月に数十発のミサイルを発射した。
 レーダー装置は無人のケースが多いが、保安要員や住民を殺した可能性もある。逆に撃ち落とされる危険もあった。しかし「不安も興奮もなく、訓練通りに操縦できるかどうかで頭がいっぱいだった」という。二人は既に96年から始まったボスニア国連平和安定化部隊(SFOR)に偵察飛行で参加。そこで戦闘は既に終結していたが、国外の紛争地を飛ぶのは初めてだった。「ボスニアでは本当に緊張した。それに比べて、コソボではまるでスポーツ大会に参加しているようだった」。
 「空爆は紛争解決のカギになる歴史的な仕事だった」とも少佐は言う。しかし、実は周囲の関心は今一つ高くはない。大尉が空爆の任務を終えて帰宅する際は質問攻めに遭うと予想していた。ところが友人や近所の人は空爆については何一つ聞こうとしない。「もう終わったことだから、と皆が無関心なのに驚いた」と大尉は話す。
 連邦軍は、91年にイラク周辺で空輸に参加したのをはじめ、ソマリア、カンボジアなどで国連平和維持活動や人道援助を行なってきた。ボスニアへも2400人の兵士を派遣している。少佐は「国民の関心が低いのは“人道的な派兵”が日常化しているためではないか」と言う。
 二人は「軍事介入は最後の手段で望ましくはない。コソボでも難民が大量に出て、空爆が必ずしも“人道的”だったとは言えない。しかしコソボに良い影響を与えたのは確か。今後も議会が必要と認め、国際的な枠組みがあれば国外に出る」と話している。[2000-12-03-23:35] 190
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 12/03@<人と世界>変貌するドイツ軍 再編で派遣兵力増強(毎日新聞)

 連邦軍の改革を討議する政府の諮問委員会(委員長・ワイツゼッカー元大統領)は今年5月、兵力を約3割削減し、国外の紛争に対処できる緊急対応兵力を増やす改革案を提言。政府は翌月、ほぼ同じ内容の最終案を閣議決定した。
 同案によると、5年前後をかけ、現在計33万5000人の兵力を陸軍を中心に約2割減の約28万人まで削減。逆に緊急対応兵力を現在の6万人から15万人に増やす。各8000人程度の2部隊を同時に長期間派遣できる能力がある。
 この兵力からEUの「緊急対応部隊」に13500人程度が提供される見込み。部隊は戦闘機400機、艦船約100隻で構成され、欧州から約4000キロ以内の紛争に、2カ月以内に1年間にわたり兵力を派遣する。平和維持活動や人道援助が役割で、軍事的作戦に関しては従来通り米国を中心としたNATO(北大西洋条約機構)に従う。
 徴兵対象者13万人(18歳以上の男性)は、良心的兵役拒否者を減らさずに、約4割減の8万人まで縮小。期間は10カ月から9カ月に短縮する。
 装備改善に費用がかかり、来年の予算は約3%増の468億マルク(約2兆3400億円)の見込み。
 国防省が今年行なった2000人の世論調査では、連邦軍の縮小・廃止支持が57%、現状維持・増強が43%だった。連邦軍の役割については、国土防衛(43%)▽国外も含めた自然災害の救援(28%)▽NATO全体の防衛(15%)▽国連指揮下での国際緊急対応(13%)――という回答だった。[2000-12-03-23:35] 191
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 12/03@<人と世界>変貌するドイツ軍 政府諮問委副委員長インタビ(毎日新聞)

 ドイツの軍隊は今、大きく変わろうとしている。連邦軍の兵力を約2割削減する一方、欧州連合(EU)独自の「緊急対応部隊」や平和維持軍などへの派遣に総兵力の半分以上を充てる。軍の目的を「国土防衛」から「周辺諸国との共同危機管理」に移す根本的な改革だ。背景には、コソボ紛争で第二次大戦後初めて国外で武力行使したドイツ軍に違和感を覚えない国内と欧州全体の意識変化がある。軍改革のたたき台を作った政府諮問委員会のテオ・ゾンマー副委員長(70)に聞いた。【ベルリンで斎藤義彦】
 ――なぜ今、兵力削減と軍再編なのですか
 ◆ソビエト連邦や旧東独は崩壊し、冷戦はなくなった。ドイツ連邦軍は北と東をにらんで防衛に専念してきたが、侵略を受ける危険は0に近くなった。一体、何のために軍はあるのか、なぜこれだけ多く必要なのかという疑問が当然沸いてくる。そして昨年のコソボ紛争が衝撃的だった。例えば兵力輸送や補給、情報収集などの面で欧州は十分な力を発揮できず、米国に依存した。独連邦軍は国外での危機管理のため6000〜8000人を派遣できる能力はあったが、それで十分か疑問も出てきた。
 それに旧東独の軍隊を吸収したため人員過剰で、軍の装備も古めかしく、必要以上の駐屯地が全国各地にあった。財政難の中でこうした体制は維持できない。「(従来の)連邦軍に未来はない」と委員会報告で断罪せざるをえない状態だった。
 ――委員会は何を目指したのですか。
 ◆欧州周辺の紛争などに対処できる能力があり、装備が近代化され、しかも財政に負担のかからない軍の創設だ。兵力の50%強を「緊急対応」に振り向けることで、紛争後の平和維持活動や国外の人質救出などのために最大3万人を1年以上派遣できる能力ができた。不要な人員を整理し、兵力を2割削減する代わりに、予算の2割を装備の近代化に振り向ける。駐屯地も整理し、施設などを売却、装備もリースなどを使い、予算を補う計画だ。
 ――軍縮の一環で徴兵制の縮小も提案しましたね。
 ◆短期間の徴兵はかえって軍の質を下げる面もあり、委員の3分の1は徴兵制廃止を提案した。だが徴兵対象者の約2割の良心的兵役拒否者が、老人ホームや病院などで、社会福祉の担い手になっており、廃止には踏み込めなかった。
 ――かつてナチス・ドイツの侵略を受けた国は歓迎しているかもしれませんが、軍改革に対して国内から反発はなかったのすか。
 ◆国内の反発は多くはない。むしろ、コソボ紛争を経て、多くの人が「人道的な軍事介入」が軍の役割だと考えるようになっている。国民は改革を「当然のこと」と受け止めているようだ。また欧州統合への過程で、ドイツへの信頼が生まれている。バルカン半島で、欧州各国で協力して平和維持活動を行なったことで、ドイツの軍事的脅威に対する不安はなくなった。
 ――米国の反応は?
 ◆連邦軍の改革案についてOKとは言ってるが、内心は疑心暗鬼なんじゃないかな。米国は欧州での負担は減らしたいが、欧州の独立独歩になるのはとても不安だ。悩んでいると思う。いずれにしろ我々としては独自性を高めていき、アメリカの力による平和は徐々に崩れていく。
 ――EUの緊急対応部隊は約6万人規模で3年後に発足する見込みです。この部隊と連邦軍との関係は?
 ◆将来、各国の軍隊が廃止され「欧州軍」に統合される可能性は、長い時間はかかるが、ありうる。欧州が独自性をもつためにもそうなるべきだ。例えばドイツはオランダと共同で長距離空輸機を開発する予定だ。少なくとも今後は、ある国が予算を出し、他の国が艦船を作るなど、得意分野を持ち寄って、欧州諸国が共同で軍隊を作り上げる方向に向かうと思う。
 <テオ・ゾンマー氏の略歴>1930年、ドイツ西部コンスタンツ生まれ。チュービンゲン大で政治学などを学び、哲学博士号取得。52年からドイツ有力紙「ツァイト」記者。軍事、外交問題を担当。編集長、主筆を経て現在、編集顧問。70年にも政府の連邦軍改革諮問委員会に加わった。[2000-12-03-23:35] 207
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 12/03@<メキシコ>先住民組織EZLN指導者、新政権と和平交渉の(毎日新聞)

 【リマ2日吉田弘之】メキシコ政府と対立を続ける同国チアパス州の先住民組織「サパティスタ民族解放軍」(EZLN)の最高指導者にあたるマルコス副司令官は2日、記者会見し、1日に発足したフォックス新政権を相手に和平交渉を再開する用意があると明言するとともに、交渉のため来年2月にメキシコ市に出向く方針を明らかにした。先住民の権利拡大を目指して政府軍と流血の闘争を繰り広げてきたEZLNの闘争は、新たな段階に入る可能性が出た。
 フォックス新大統領は1日の就任直後、チアパス州に駐屯する政府軍の一部撤退を命令し、「先住民権利法」の審議促進など先住民の権利拡大を目指すことも約束。解放軍との和平交渉再開に向けて努力する姿勢を強調した。
 1994年に武装ほう起したEZLNはセディジョ前政権と和平交渉を進めていたが96年に決裂。以後、散発的に武装衝突が続いている。EZLN側は和平交渉再開の条件として「解放軍支配地域からの政府軍の撤退」「逮捕されている解放軍兵士の釈放」「右翼民兵組織の解体」などを挙げている。
 マルコス副司令官は会見で、これらの前提条件を維持する姿勢を崩さなかったものの「フォックス大統領の最初の行動(政府軍の一部撤退命令)はより良き妥協への印だ」と明言。他の幹部とともにメキシコ市を訪れ、国会が「先住民権利法案」を承認するよう働きかけると明らかにした。
 一方、フォックス大統領は同日、「サパティスタが対話を受け入れた。これまでになかった態度であり、新たな考え方だ」と歓迎の意を表明した。[2000-12-03-19:30] 217
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 12/03@ODA削減阻止に躍起 苦戦強いられる外務省(共同通信)

 外務省は、与党三党の政策責任者が来年度予算での政府開発援助(ODA)大幅削減の方針を十一月上旬に決めたことに危機感を強め、年末の予算編成に向けて削減を最小限に食い止めようと自民党などへの巻き返しに躍起となっている。
 日本のODAは九年連続で世界一を続けており、外務省が「経済援助を背景にした日本の外交政策が制約される」(幹部)と訴えれば、援軍の自民党外交部会も「予算要求は既に党の機関で決定している」と呼応する。だが、与党の中でも「三○%削減」を主張する強硬派の亀井静香自民党政調会長は「党内の反対が強くても削減する」と譲る構えを見せず、外務省は苦戦を強いられそうだ。
 与党は税収が伸び悩む中、これまで「ばらまき外交」と批判されながらも「聖域」扱いだったODAにメスを入れることにし、ODA見直しプロジェクトチームの設置も決めた。
 これに対し河野洋平外相は「ODAの重要性は増えこそすれ、減ることはない」と削減反対を表明。外務省は「沖縄サミットで途上国への開発支援を決めたばかり。首相官邸も内心では困っている」「周辺国の繁栄を支援し、日本への理解者を増やすことは国益にとっても重要だ」と、大幅削減に徹底抗戦する構えだ。
 十一月末、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国との首脳会議に出席した森喜朗首相に、ベトナムなど四カ国の首脳らがODAを削減しないよう陳情した。
 しかし、森首相は「厳しい財政事情の中、ODA予算も聖域ではない。効率的な運用が必要だ」と述べ、削減やむなしとの考えを示唆。宮沢喜一蔵相も「惰性になっているところは外務省が再検討することが大事」と突き放し、外務省に逆風が吹いている。(了)[2000-12-03-14:59]
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 12/04@◇NATO国防相会議、EU緊急部隊対応を焦点に5日から◇(朝日新聞)

 北大西洋条約機構(NATO)は5、6両日、ブリュッセルで国防相会議を開く。最大の焦点は、欧州連合(EU)がつくる「緊急対応部隊」とNATOの関係だ。NATOがEUに兵力や装備を貸し出すための両組織間の実務者協議は、米国やトルコなどNATOの非EU加盟国の発言権をめぐって半年以上も交渉が難航。7日から仏ニースで開かれるEU首脳会議前の合意はほぼ不可能になった。こうした情勢を受けて、NATO国防相会議はEUに、非EU加盟国への配慮を改めて訴える共同声明を出す構えだ。
 EUは先月の国防相会議で約6万人規模の部隊の各国別構成を固め、2003年の部隊創設を目指して準備を進めている。主な任務はNATOが関与しない欧州周辺の平和維持活動や人道援助などで、「NATOの役割を弱めるものではない」(ロバートソンNATO事務総長)が建前だ。
 昨年のユーゴスラビア空爆で負担を強いられた米国も、欧州の自立を一応歓迎する。オルブライト米国務長官とクック英外相は先月末、英オブザーバー紙に共同で寄稿、「欧州と大西洋の同盟国を分断する青写真ではない」と強調した。
 だが、欧州の集団安保を担ってきたNATOの「独占状態」が崩れることは間違いない。NATOのEU非加盟8カ国の間には、「EU独走」の不安がくすぶる。国防支出などでのEU負担増は歓迎しつつも、EUの安保政策決定に発言権を確保したいのが本音だ。
 一方、装備などで米国に圧倒的に劣るEUは、NATO傘下の兵力や衛星、輸送などの装備を借り受けることになるため、非加盟国に配慮せざるをえない。今年後半にNATOとEUは、政策決定過程へのNATOの関与などについて話し合いを重ねてきた。
 最も強硬なのはEU加盟を拒否され続けてきたトルコだ。NATOでは兵力の提供で第二の貢献を誇る古参メンバーで、中東とバルカン半島に隣接した地政学上も重要な位置にあり、発言力は小さくない。EU加盟国ギリシャと覇権を争うキプロス紛争へのEU介入を警戒する事情もある。
 トルコはEU部隊に「相当数」の兵力を提供する方針を示しているが、貢献の度合いは政策決定過程へのトルコの関与に比例するとくぎをさした。
 さらに、小規模な任務について作戦立案する構えを示すフランスに対し、米高官は「どのような任務であっても、(米国が主体の)NATO欧州連合軍最高司令部が作戦立案を担当すべきだ」と念をおしている。
 ロバートソン事務総長はEUとの今後の協議について、「ニース首脳会議終了後、早期に合意に達したい」と語っている。EU部隊がEU非加盟国の装備を借用する場合、当該国に最終的な拒否権を与えるなどの点をめぐって調整が続けられそうだ。
 だが、あるNATO高官は「正しい合意か、早い合意かと問われれば、前者を選ぶ。人工的な締め切りに間に合わせる必要はない」と述べている。NATOとの協議の行方は、EU部隊が創設を目指す2003年という期限にも影響を与えそうだ。[2000-12-04-22:08] 11
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 12/04@不明の判事が死体で発見 ユーゴスラビア(共同通信)

 【ウィーン4日共同】ユーゴスラビア国営タンユグ通信によると、十月のユーゴ政変の際、野党指導者に対する警察の正式捜査申請を拒否、その後行方不明になったベオグラード地裁のシメウノビッチ予審判事が三日、同市のドナウ川で死体で発見された。
 警察は十月三日、セルビア中部のコルバラ炭鉱ストに絡み、当時の野党陣営指導者のチョビッチ現セルビア共和国副首相や炭鉱労働者の逮捕を含む正式捜査の許可を求めた。判事は正式捜査に入る根拠がないとして拒否した。
 家族によると、判事はその後連日「警察からの脅迫」を受けるようになり、十一月六日に友人や同僚と電話で会話したのを最後に行方が分からなくなった。(了)[2000-12-04-09:08] 174
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 12/04@犠牲者支援の強化目指す 対人地雷禁止条約の常設委(共同通信)

 【ジュネーブ4日共同】対人地雷の製造、使用禁止から犠牲者支援まで包括的に規定した対人地雷全面禁止条約の強化を目指す同条約の常設委員会が四日、ジュネーブで始まった。今回は犠牲者支援に向けた国際的な態勢づくりなどが中心議題。
 日本は、四つに分かれる作業部会のうち「犠牲者支援と社会・経済統合」部会の共同議長を務める。
 会議筋によると、同部会では二○○一年にニカラグアで開かれる第三回締約国会議に向け、国連機関や各国政府、非政府組織(NGO)などの「支援側」と、カンボジアなど支援対象国の情報交換を強化し、より効率的な支援実施を目指した態勢構築を目指す。
 また、地雷問題への啓発を目的に国連児童基金(ユニセフ)が策定した小冊子をベースに、対人地雷被害の予防や対策をまとめた国際的な指針(ガイドライン)の策定も検討する。
 対人地雷全面禁止条約の調印国は日本も含め約百四十に上るが、米国やロシア、中国などの「地雷大国」は署名を見送っている。(了)[2000-12-04-16:39]
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 12/05@<ユーゴ>コシュトゥニツァ大統領がギリシャに協力呼びかけ(毎日新聞)

 【ローマ5日井上卓弥】ユーゴスラビアのコシュトゥニツァ大統領は4日、初訪問中のギリシャで「歴史的に良好なギリシャとの協力関係はユーゴの安定に寄与する」と述べ、昨年春、コソボ紛争をめぐる北大西洋条約機構(NATO)軍のユーゴ空爆時にも外交関係を維持したギリシャに対し、経済分野などでの一層の協力を呼びかけた。
 ギリシャはNATOや欧州連合(EU)では唯一、セルビアと同じ正教国で、戦後のバルカン復興にも積極的に取り組んできた。
 同大統領は、NATO主要メンバーで、ユーゴ空爆では爆撃機の出撃拠点となったイタリアへの公式訪問(11日)も予定している。[2000-12-05-18:35] 7
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 12/05@<欧州連合>首脳会議の最大のテーマは東方拡大(毎日新聞)

 欧州連合(EU、15加盟国)は7〜9日、議長国フランスのニースで首脳会議を開催する。最大のテーマは東方拡大に伴う機構改革だ。加盟交渉・候補国のリストには13カ国が並び、意思決定の方法をめぐる制度改正が必要になった。会議では、欧州統合の促進に向けたアムステルダム条約(EU基本条約)を補強する「ニース条約」が採択される予定だ。機構改革は各国の利害が絡み合うだけに、事前交渉は難航している。首脳会議の焦点をまとめた。【ブリュッセル・森忠彦】
 ◎異なる拡大
 EUは過去4度の拡大を遂げたが、いずれも冷戦期の西側陣営にあった国が加わってきた。だが、今後の拡大は違う。加盟交渉国12カ国中、キプロスとマルタを除き、旧共産圏に属した東欧諸国が占め、西欧とは違う経済・社会的背景があるだけに、合意形成に手間取ることは十分予想される。
 今後20年余りの間にEU加盟国は20数カ国に増えると予想され、「全会一致」原則を幅広く適用するのは難しくなっている。そこで会議運営の仕組みの弾力化が課題になった。首脳会議での中心議題は、(1)特定多数決制を取る議案の範囲の拡大(2)特定多数決制の票の再配分(3)欧州委員会の構成(4)先行統合制の導入――の4点だ。
◎特定多数決制の運用拡大
 加盟国が増えると、拒否権の行使で政策決定が遅れるため、これまで全会一致制だった議案の多くを特定多数決制に代える動きが出てきた。特定多数決制とはEUの最高決定機関である閣僚理事会の採決方法の一つ。加盟国の人口を考慮して割り振られた票で多数決を行う制度だ。
 ニース首脳会議では新たに約50の分野で特定多数決制導入を提案するが、各国の国益に関わる議案については調整が取れていない。例えば税制では他とは異なる税制で金融産業を誘致している英国やルクセンブルクが反発。映画や音楽などを一律に受け入れることは独自文化の衰退につながるとして、フランスは通商政策で強い抵抗を見せている。
◎「1票の格差」
 各国の利害が大きくからむ難問の一つが特定多数決の票の再配分問題だ。現在はドイツやフランスなどのの10票からルクセンブルクの2票まで(別表(1))だが、人口比だけでみると「1票の格差」が最大37倍にもなる。そこで格差を少し縮めたイタリア案(同(2))などが出ている。
 最後まで難航しそうなのが、欧州最大の人口約8200万人を抱えるドイツの扱いだ。ドイツはフランスを上回る持ち票を望んでいる。だが、欧州統合は独仏が中核になってきた経緯があり、大国間の政治バランスを重視する声もある。
◎欧州委員会の構成
 同様に各国の利害がからんでいるのが、EUの内閣と言える欧州委員会の構成だ。20人の欧州委員はEUの閣僚に相当する。内訳は、ドイツ、フランス、英国、イタリア、スペインが二人ずつで、他の10国がそれぞれ一人ずつ。事実上、大国グループと小国グループに大別した形になっている。
 欧州委員会に対しては「全加盟国からの欧州委員選出という原則にこだわり、必要以上の委員数になっている」との批判がある。このため、EU拡大による委員増加を防ぐことにはほぼ合意ができている。これまでの調整では、委員数を現状の20人程度とし、2010年ごろまでは1国一人づつ。その後は大国も小国も同条件で輪番制にするという案が主流になっている。しかし、委員数や開始時期は意見が分かれそうだ。
◎「先行統合」――EUの中のEU
 先行統合とは、ある政策について全体の一致が図れない場合、積極的な国だけが先行する形で統合しようというもの。11カ国でスタートした単一通貨ユーロや欧州域内のビザなし移動などを認めたシェンゲン協定などが好例だ。特に経済面で遅れた東欧諸国に基準を合わすことなく、先進国だけで統合を進めようとする狙いがある。
 今のところ、「8カ国以上の賛成で実施できる。参加しない国には拒否権はない」という方向でまとまりつつある。「EUの中に別のEUをつくる結果になり、EUの統合ではなく分裂につながる」と懸念されているが、この議題が最も実現可能との見方もある。
 「議長国フランスは自己中心的でごう慢だ」――11月下旬、スウェーデンを訪れたシラク仏大統領に向け、地元主要紙のこんな痛烈な批判を浴びせた。
 EUの欧州委員会に自国代表を確保し続けたい北欧の“小国”に対して、EU拡大後の欧州委員の枠を現行の20人のままにする上限を設け、輪番制にする方式をフランスは提案した。本来、議長国として大国と小国の合意を取り付けるべき立ち場にありながら、大国の利害を先頭に立って押しつけたと映ったのだ。
 昨年前半のEU議長国ドイツは、コソボ紛争とユーゴスラビア空爆に関連して国際会議を積極的に開き、「経済大国だが政治・外交小国」の返上に向けEU議長国の立場をフル活用した。フランスも議長国の期間にニース条約を合意させて、政治的影響力の地盤沈下に終止符を打ち、「EU盟主」の座を再確認させる絶好の機会にしようと準備を重ねてきた。
 しかし、ニース首脳会議を目前に控え、「仏議長国下での合意はおぼつかない」と反発や懐疑の声が加盟国間でささやかれる。二人三脚で欧州統合を引っ張ってきたドイツやスペインなどからも不協和音が聞こえてくるありさまだ。
 ドイツは、閣僚理事会での持ち票増加という年来の要求を依然ちらつかせる。最終的には譲歩しそうな気配だが、そのためには英仏語と並びドイツ語をEUの公用語にする代替措置が必要だ。スペインも依然、英仏独伊と同数の持ち票を要求している。
 ニース首脳会議は難航を見越して会期を1日延長、7〜9日の3日間となった。11月末、シラク大統領はついに4日目の10日までずれ込む可能性に言及した。首脳会議の成否には大国フランスの威信がかかっっている。【パリ・橋本 晃】
アムステルダム条約
 1997年6月、アムステルダムで開かれた欧州連合(EU)首脳会議でEUの「憲法」である欧州連合条約(マーストリヒト条約)の改定に合意し、加盟国外相が同年10月、調印した。域内の国境管理廃止を拡大し、欧州経済通貨同盟(EMU)の設立を通じて99年1月からの単一通貨ユーロ導入を具体化させた。
 また外交・安全保障政策を共同で実施するため、閣僚理事会に事務局を新設、事務局長が共通安保・外交政策の上級代表を務めるようになった。EUは全会一致が原則だったが、政策推進のため賛成する国だけが決定に従い、棄権した国が義務を免れる「建設的棄権」を導入した。
 一方、軍事面では、西欧諸国の防衛調整機関である西欧同盟(WEU)のEUへの統合に道筋を開いた。WEUは今年、組織解消と共にEUの緊急対応部隊に統合されることになった。 同条約は欧州統合の促進と加盟国の拡大を目標に掲げたが、具体的な機構改革や意思決定方法の調整などについて合意できず、問題を先送りした。【斎藤義彦】[2000-12-05-00:11] 92
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 12/05@<NATO>国防相会議 EU軍への協力の在り方が焦点=替(毎日新聞)

 【ブリュッセル5日森忠彦】北大西洋条約機構(NATO)の国防相会議が5日、ブリュッセルの本部で始まった。欧州連合(EU)が進めている独自軍「緊急対応部隊」への協力の在り方が焦点となった。
 同部隊について、NATOの枠組みの中での活動に留めたい米国とNATOからの独立性を打ち出すEU議長国のフランスが対立。欧州安保を巡って欧米間の摩擦が高まりつつある。
 EUは4日の外相会議で7日から始まるニース首脳会議で承認する同部隊の構成などについて協議したが、意見に相違がある作戦会議や指揮系統でのNATOの関与について今後の検討課題として見送った。
 国防相会議の冒頭、ロバートソンNATO事務総長は「EUの安保計画の強化に向け、NATOが所有する機能を用い、EUを支援することは可能だ。ニース首脳会議でさらなる議論が進むことを期待している」と語り、緊急対応部隊への積極的な協力を呼びかけた。
 同部隊は2003年までに創設。NATOが活動しない欧州圏の民族紛争などに出動する計画だが、NATOの情報網や機材を借りる形になる。NATO、EUの加盟国の大半が重なるだけに、米仏の対立は両組織内の調和に影響を及ぼしかねない。[2000-12-05-23:35] 103
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 12/05@チベット独立放棄を要求 ダライ・ラマに中国(共同通信)

 【北京5日共同】中国外務省の章啓月副報道局長は五日の定例会見で、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ十四世=インド亡命中=に対してチベット独立放棄などをあらためて要求した。
 章副局長は「接触の道は終始開かれている」と、十四世の兄が約三カ月前に北京を訪問し中国側と接触した事実を暗に認める一方、十四世に@チベット独立の主張の完全な放棄A祖国分裂活動の停止Bチベットは中国の不可分の領土、中国は唯一の合法政府と認める公開声明―を求めた。
 中国側は十四世の兄に対し、同様の原則的な立場を伝えたとみられる。(了)[2000-12-05-20:01] 128
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 12/05@<義勇兵>難民の自立を支援 カレン解放軍参加の川村さん(毎日新聞)

 タイ・ミャンマー国境地帯で、ミャンマーの少数民族、カレン人の兵士たちと暮らす日本人がいる。川村照次さん(28)。1998年4月にカレン人の軍事組織、カレン民族解放軍(KNLA)に義勇兵として参加し、ミャンマー政府軍などと戦ってきた。しかし、キャンプで食べて寝るだけの難民の姿に、「このままでは民族の誇りが失われてしまう」と感じ、今春、カレン人伝統の織物を教える作業所を作った。難民に織物の技術を伝え、自立を支援する道を模索している。
 川村さんは東京・向島の出身。高校中退後、陸上自衛隊に入った。その後、営業マンなどの職を転々としたが、たまたま読んだ雑誌で、カレン人が独立を求め、ミャンマー政府と戦っていることを知り、タイに渡った。
 「自衛隊で経験できなかった実戦を味わいたかった。虐げられた人を助けたいとも思った」
 国境沿いの難民キャンプで4カ月間、難民小屋に居候した後、カレン軍への参加を認められ、夜間のゲリラ戦を中心とする戦闘に参加した。しかし、実戦に慣れるにつれ、「先の見えない戦いを続けることが、本当に難民のためになるのか」と感じ始めた。
 難民キャンプには、ミャンマーの軍事政権に追われて逃げてきた人々が暮らす。仕事もなく、祖国に帰るあてのない難民たちは、食べて寝るだけの無気力な生活を送っていた。同僚のカレン兵には「お前は我々と違ってパスポートを持ち、タイで自由に活動できるのだから、戦闘以外の方法でおれたちを助けてほしい」といわれた。
 カレン人には白い綿糸に独特の模様を描く伝統の織物がある。しかし、ミャンマーのカレン人は多くが難民化したため、若い世代に技術を伝えるのが難しい。川村さんは今春、タイ中西部、国境近くの街に家を借り、無償で難民に伝統の織物を教える作業所を始めた。この技術を難民に伝え、伝統を復興するとともに、難民に刺激を与えようと考えたのだ。
 作業所には今、19歳と20歳の難民女性2人が通い、タイに長年住んでいるカレン人の女性から技術を学んでいる。川村さんは「試行錯誤の連続だが、少しでも難民の自立を支援したい」と話している。 【竹之内 満】[2000-12-05-10:55] 131
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 12/05@旧ソ連国歌が“復活”へ ロ大統領が法案提出(共同通信)

 【モスクワ4日共同】ロシアのプーチン大統領は四日、エリツィン前大統領が廃止したソ連時代の国歌の旋律を新国歌に復活させることを柱とする法案を下院に送付した。歌詞は新たに制定する。大部分の会派が支持しており、議会が法案を採択するのは確実。
 大統領が掲げる「大国ロシア」復興に向け、ソ連の「栄光」のシンボルだった勇ましい旧国歌の旋律で愛国主義を鼓舞するのが狙い。
 この日テレビ演説で提案理由を説明した大統領は、旧ソ連の象徴で国旗にも使われた赤旗をロシア軍の公式旗として採用することも提案した。
 改革派は、独裁者スターリンが民族主義高揚のために第二次大戦中の一九四三年に採用した旧国歌の復活について「民主化の否定」と反対したが、世論調査では約半数の国民が復活を支持。
 前大統領は九三年、共産体制との決別の象徴として、十九世紀の作曲家グリンカの曲を新国歌として決めたが、法的には中ぶらりんの状態で歌詞もなかったため、国民には浸透しなかった。
 法案は国旗と国章については前大統領が制定した現在のものを追認している。(了)[2000-12-05-10:11]
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 12/06@8日から女性国際戦犯法廷 裁判官らが会見(共同通信)

 慰安婦制度など戦時中の旧日本軍による性暴力を裁く民間の「女性国際戦犯法廷」が八日から東京で始まるのを前に、来日した関係者や被害女性が六日、記者会見し、法廷開催の意義を訴えた。
 旧ユーゴスラビア戦犯法廷前所長で、今回裁判官を務めるガブリエル・マクドナルドさんは「慰安婦に一言も触れなかった東京裁判の欠陥を埋める法廷になる」とし「性暴力に対する不処罰の文化を終わらせ、地球社会の認識を深める作業に参加できることを光栄に思う」と話した。
 首席検事として参加するオーストラリア・フリンダース大の法学者ウスティニア・ドルゴポルさんは「被害女性の尊厳が回復されることを願っている」と述べた。
 会見には台湾やフィリピン、インドネシア、オランダのほか朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)と韓国の元慰安婦もそろって参加。北朝鮮の元慰安婦、金英淑さん(73)は「十一歳の時に日本兵に連れて行かれた。日本政府は、こんな幼い子を連行した責任を取るべきだ」と目頭を押さえた。
 韓国の文泌基さん(74)は「ずっとつらい日が続いてきた。この日を待っていた」と話した。
 法廷は、マクドナルドさんら海外の法律家六人が「判決」を言い渡す十二日まで開かれ、元慰安婦約七十人が参加する。(了)[2000-12-06-20:04] 3
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 12/06@◎ユーゴ、通貨を切り下げ(時事通信)

 【ウィーン6日時事】ユーゴスラビア連邦政府は6日、通貨ディナールの公定交換レートを従来の1ドイツ・マルク=6ディナールから同30ディナールに切り下げた。ブラックマーケットの実勢に合わせ、国際通貨基金(IMF)再加盟を急ぐ姿勢を示したものだ。 [時事通信社][2000-12-06-19:51] 4 [このページの最初に戻る]


 12/06@EUとの連携の必要性強調 NATO国防相理事会(共同通信)

 【ブリュッセル5日共同】北大西洋条約機構(NATO)のロバートソン事務総長は五日、NATO国防相理事会後に記者会見し、独自の防衛力構想を進める欧州連合(EU)との間で連携を確立することが重要と強調した。
 事務総長によると、理事会はNATOが地域の安全保障のかなめであることを再確認した上で、安保や危機管理面でEUとの協力のために制度的連携を打ち立て、軍事力や関連施設の競合、重複を回避することが重要との認識で一致した。
 会議ではコーエン米国防長官が、EU側がNATOとの協力なしに独自の緊急対応部隊の設置を進めれば双方が弱体化すると警告。ロバートソン事務総長も会見で「EUはNATOの作戦立案能力を利用すべきだ。重複は資金的にも高くつく」と指摘した。
 EUは二○○三年までに六万人の緊急対応部隊を創設する計画を実行中。七日から南フランスのニースで開く首脳会議で、部隊を支える政治安保委員会などをEU機構として正式承認する。NATO側は会議結果を待ち、十五日からの外相理事会で再度協議する。
 このほか、ユーゴスラビア・コソボ自治州に展開中のNATO部隊は、将来的に規模縮小の可能性はあるものの当面、現状を維持することを決めた。(了)[2000-12-06-07:49] 5
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 12/06@◎EUとの協力強化、コソボ情勢を協議=NATO国防相会議(時事通信)

 【ブリュッセル5日時事】北大西洋条約機構(NATO)は5日、ブリュッセルの本部で国防相会議を開き、欧州連合(EU)との安全保障面での協力強化、アルバニア系住民とセルビア系住民の間で対立の続くユーゴスラビア・コソボ自治州情勢への対応について協議した。
 EUは2003年をめどに、将来の地域紛争に対処可能な緊急対応部隊の創設を検討しており、実際の展開に当たっては装備・施設面でNATOの協力を仰ぐことになっている。ただ、NATOはEUとの関係強化に前向きなものの、米国、トルコなどEU非加盟国は作戦計画の立案や、最終的な方針決定に参加できないことに難色を示しており、こうした面での具体的な調整が必要となっている。 [時事通信社][2000-12-06-00:49] 26
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 12/06@極右州知事から贈呈のツリー、バチカンで物議(読売新聞)

 【ローマ6日=秦野るり子】バチカン(ローマ法王庁)のサンピエトロ広場を飾るクリスマス恒例のツリーが物議を醸している。バチカンは一九八二年以来、クリスマス・シーズンになると、チェコ、ポーランドなどからモミの木の贈呈を受け、同広場に飾ってきたが、今年は、ナチスを称賛する発言で知られる極右のイェルク・ハイダー氏が知事が務めるオーストリア・ケルンテン州から贈られることになっているからだ。
 モミの木はすでにケルンテン州を出発。十六日の点灯式にはハイダー知事自身も出席する予定で、イスラエル政府が強く非難しているほか、イタリア国内からも批判の声が上がっている。
 バチカンは「政治とツリーとは無関係」(広報担当)としているが、一方で、ローマ法王ヨハネ・パウロ二世がハイダー知事と会う機会を設けないなどの対応策も検討しているという。[2000-12-06-20:17] 42
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 12/06@<EU首脳会議>交渉は難航予想 主要5カ国の主張や思惑(毎日新聞)

【ニース(フランス南部)6日岸本卓也】当地で7日から始まる欧州連合(EU)首脳会議は加盟国増大に伴う機構改革を定めた「ニース条約」の合意を目指すが、交渉の難航が予想されている。政策決定の改善策では全会一致を減らして国別で持ち票が違う議決方法「特定多数決」を多用する方針だが、持ち票の配分に各国の国益と威信がぶつかる。国情の違いから拒否権を残したい分野も異なる。主要5カ国の対立する主張や思惑をまとめた。
●フランス
 議長国。合意できる国々だけの先行統合を進め、渋る英国を説得する。多数決の票配分ではドイツの最多票に反対する。米国文化の流入を防ぐ意図から輸入政策で拒否権を残したい。
●ドイツ
 多数決多用に賛成だが、国内世論を理由に移民政策だけは拒否権を残したい。特定多数決では人口に応じた票配分を主張する。先行統合の促進とEU機関の権限強化を唱える。
●イギリス
 加盟国増大は歓迎だが、先行統合やEU権限強化に消極的。税金、社会保障などで拒否権を維持したい。多数決では大国の持ち票の増大に賛成だが、独仏の対立から距離を置きたい。
●イタリア
 EU委員長がプロディ元首相だけに条約成立に協力的。拒否権廃止と先行統合に賛成。特定多数決で人口に応じた票配分を提案したが、イタリアと同数を望むスペインの主張を拒む。
●スペイン
 EUからの補助金に頼るだけに経済力の弱い加盟国の増大を嫌がる。補助金が絡む地域開発分野で拒否権が欲しい。特定多数決では伊を意識し、大国としての票配分を要求している。[2000-12-06-18:15] 53
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 12/06@“原爆の火”広島に到着 米先住民ら千キロ歩く(共同通信)

 原爆投下後の広島の焼け跡から採取された火を携え、東京から広島市まで約千キロを行進してきた米先住民ワバナキ民族の平和運動家トム・ダストウ氏(56)ら約五十人が六日、広島市の平和記念公園にゴール。ダストウ氏らは原爆慰霊碑前で、出迎えた広島市民らと輪になって平和を祈った。
 ダストウ氏は「われわれ先住民の土地から無断採取されたウランで原爆が造られた。核エネルギーで(人類などが)滅びないよう祈り、行動する必要がある」と行進を発案した。
 この火は福岡県の元兵士が焼け跡から懐炉に移して持ち帰り、その後長野県の寺を経て神戸市のボランティア団体が持って全国行脚していた。
 ダストウ氏はこの火を分けてもらい十月十三日に東京を出発し、広島の被爆者や米国、南アフリカの平和運動家らがインターネットなどで知って続々と参加。道中では原爆の火を寺社に分けるなどしてきた。
 ダストウ氏は「行進はゴールだが平和のための戦いはこれからだ。世界中に貧困や暴力があふれており、みんなが未来に希望を持てるよう祈りをささげたい」と話している。(了)[2000-12-06-13:09] 54
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 12/06@<特集ワイド>現地ルポ 米国のNPO活動 行政と並ぶ存在(毎日新聞)

 NPO法(特定非営利活動促進法)が施行されて12月1日で2年がすぎた。今年4月に始まった介護保険サービスではNPOが事業者として参入し、「福祉」の支え手として存在感を高めているが、財政・運営方法などの課題も多い。NPO先進国・米国で、地域福祉を担っているカリフォルニア州のNPO活動をレポートする。 【編集委員・渋川智明】
 サンフランシスコ市の対岸オークランド市の外れにあるベイエリア・コミュニティ・サービスを訪れた。1953年に設立されたキリスト教系のNPOで、常勤職員3人とボランティア77人が運営に当たっている。
 東湾岸地域はアフリカ、アジア、エスニック系マイノリティーが多数住む。このNPOは低所得の高齢者らに在宅介護、資金管理援助、配食、デイサービスなどを提供している。デイサービス利用の高齢者は42人で、1日平均20人が利用する。
 常勤者の1人、20代の女性ソーシャルワーカー、メロディ・スミスさんは、主に一人暮らしや痴呆(ちほう)の高齢者69人の資金管理を担当している。行政への福祉サービス申請書類作成、請求書の支払い、残高確認が主な仕事だ。ケアが必要な高齢者には訪問介護のプログラムも組んでいる。
 事務所と道路を隔ててデイサービスセンターがある。訪れた時には、高齢者らが併設されている配食センターで調理した昼食をとっていた。この食事の材料はオークランド市の「郡フードバンク」で調達する。
 このフードバンクは軍の基地跡地にあり、軍が使っていた大型冷凍・冷蔵庫や倉庫を使用して政府や食品企業が寄贈した食料を保存管理する。材料費はただ同然で、やりくりの厳しいNPOの強い味方だ。サンフランシスコ周辺には、9つのフード・バンクがあり、お互い保存食料を融通し合っている。
 この地域では、カリフォルニア大バークレイ校近くに事務所のあるNPOの訪問看護協会が病院を経営し、訪問ホスピスを実施している。またサンフランシスコのジャパンタウンでは、「KIMOCHIKAI」が老人ホームを経営している。結婚して渡米した吉本明美さんが事務運営に当たっているが、この地域ではNPOが不可欠の存在になっている。
 行政の委託費、富裕層の高額寄付金、ボランティア活動をごく普通に受け入れる市民の理解などが活動を支えるのはもちろん、NPOと企業や官庁との人材交流も日常的だ。
 実は、スミスさんも人材派遣会社の紹介だ。「高齢者の役に立っているという実感があり、やりがいがある」と語るものの、「自分のキャリアが生かせるからここで働いている。NPOとか営利企業とかは意識していない」と話す。
 米国のNPOは約123万団体にのぼる。この所得が国民所得の7パーセント(1994年)を占めている。例えばサンフランシスコ周辺の5つの郡にあるNPOは、所得の上で市予算の2倍の規模を持つ。行政の補完機構というより、行政、企業と並ぶ存在として社会から認知されている。
 また公益的性格を持ち、一定額の民間寄付がある70万団体が日本の国税局にあたる内国歳入庁に認められて法人登録され、税制上の優遇措置を受けている。活動の”利益”は非課税で、寄付をした個人、企業は税を控除される。
 日本では、同じ非営利法人(公益法人)でも所管官庁による許認可などの規制がある社会福祉法人などは優遇措置を受けているが、NPO法人(2891団体)には、優遇措置はない。
 NPO法成立時(1998年3月)、優遇措置などを含めた見直しは「2年以内に結論を得る」という付帯決議が行われたが、政局の混乱もあって期限がすぎた。超党派で優遇措置の仕組み作りに着手、対象とするNPO法人をどう認定するかを検討、年明けの通常国会に提出する予定という段階だ。
 日米のNPOの交流を進める日本太平洋資料ネットワーク(本部・オークランド市)の柏木宏理事長は「アメリカには民族や宗教、また高齢者や障害者らいろんなグループがコミュニティを構成している。行政の画一的なサービスだけではニーズは満たせない。営利団体や行政とのダイナミックな人材交流、財政運営などは大いに参考になる」と語る。
 アメリカは地域によって差異はあるが、日本やヨーロッパのような公的介護保障制度はない。公的な医療保険・扶助も65歳以上の高齢者にはメディケア(高齢者医療保険)、低所得者にはメディケイド(低所得者の医療扶助)の二つに限られる。これも原則として医療分野に限定されるため、介護など政府・行政の福祉の遅れをNPOが補っているという実態がある。
 一方、日本は国民皆保険で、4月からは介護保険も始まった。制度にこうした違いがあるものの、山岸秀雄・NPOサポートセンター理事長は「日本でも、地域の福祉は行政まかせにせず、ニーズをよく知っている住民自らがサービスを担おうという気運がますます高まっている」と指摘している。
 税制問題だけでなく、運営の開放性や市民・地域との連携などNPO活動が社会に根づいた米国が参考になる部分は多い。[2000-12-06-13:00] 67
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 12/06@<コートジボワール>イスラム系野党支持者が暴動 15人死(毎日新聞)

 【ヨハネスブルク5日藤原章生】今年10月、民衆デモにより軍事政権が倒れた西アフリカ・コートジボワールで、国会議員選への出馬を阻まれたイスラム系野党候補の支持者による暴動が広がり、5日までに15人が死亡した。バグボ新政権は非常事態宣言を発令したが、北部イスラム勢の反発は収まりそうにない。
 ロイター通信によると、イスラム系野党「共和連合」のワタラ党首を支持する住民が4日から最大都市アビジャンで反政府デモを始め、警察軍による発砲で多数が死傷した。ワタラ党首は10月の大統領選時と同様、最高裁決定で「コートジボワール人ではない」として国会議員選への出馬を阻まれている。
 軍政の崩壊を導いた10月の騒乱時、共和連合は多数の党員を暗殺されており、支持者の間ではバグボ現政権に対する恨みがたまっているが、ワタラ党首は出馬阻止によって政界から完全に締め出された。[2000-12-06-10:20] 80
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 12/06@エリトリア、対エチオピア和平に合意(読売新聞)

 【ヨハネスブルク5日=森太】東アフリカのエリトリア政府は四日、隣国エチオピアとの最終和平案に合意したことを明らかにした。和平案は米国とアフリカ統一機構(OAU)の仲介でまとまり、両国は今月十二日、アルジェリアの首都アルジェで協定に調印する。和平案は国境を画定する「国境委員会」の設置などを定めた。[2000-12-06-01:53] [このページの最初に戻る]


 12/07@<国連>人道問題担当事務次長に大島賢三氏(毎日新聞)

 【ニューヨーク支局6日】アナン国連事務総長は6日、国連人道問題担当事務次長に大島賢三・国際平和協力本部事務局長を任命した。就任は来年1月。日本人の国連事務次長就任は4人目で、現職としては法眼健作広報担当事務次長と並んで2人となる。
 このポストは、災害、紛争発生時に緊急人道援助活動を調整する最高責任者。人道支援に際して、国連関係機関、非政府組織(NGO)、各国政府との協力関係を調整する。元国連事務次長の明石康氏も務めたことがある。
 大島 賢三氏(おおしま・けんぞう)東大法中退。1967年外務省入省。経済協力局政策課長、在米大使館公使、国際協力事業団総務部長、経済協力局長を経て、99年8月から国際平和協力本部事務局長。広島県出身、57歳。[2000-12-07-02:20] 10
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 12/07@◇7日からEU首脳会議 機構改革がテーマに◇(朝日新聞)

 欧州連合(EU)の首脳会議が7日から、議長国フランスのニースで開かれる。中東欧からの大量加盟に備えた機構改革がテーマで、多数決の拡大などを盛り込んだ「ニース条約」への合意を目指す。事前の調整は難航しており、決着は10日にずれ込むとの観測も出ている。
 多数決の拡大は、EU加盟国が30近くに増えても意思決定のスピードを保つのが狙い。EU関連機関の人事などでは全会一致ルールを外す方向だが、税制、社会保障などの主要分野で対立が続いている。主権や国益が絡むだけに、EU15カ国のうち、イタリア、オランダ、ベルギー以外の12カ国が反対分野を抱えている。
 多数決での「持ち票」見直しも最後までもつれそうだ。特に、現在10票ずつとなっている4大国のうち、人口で2000万人以上多いドイツの扱いが焦点だ。[2000-12-07-01:13] 15
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 12/07@<西パプア>独立混とん 政府は強硬姿勢 運動組織、内部分(毎日新聞)

 インドネシア東端、イリアンジャヤ州(西パプア)の独立運動をめぐる情勢が混とんとしてきた。政府は対話路線を掲げながらも、アチェ独立問題と同様に強硬姿勢を強め、独立派幹部を拘束して先週の住民集会を封じ込めた。行き詰まりを背景に、独立組織の不協和音も生じている。【ジャヤプラ(イリアンジャヤ州)で中坪 央暁】
 パプア独立派が「独立記念日」と主張する12月1日。厳戒態勢の州都ジャヤプラで開かれた住民集会は、3000人が参加したものの熱気に欠けた。会場の広場には、午後11時近くなっても数百人が不満顔で残っていた。緊張感が漂う中、国旗掲揚台の前に制服警官が整列し、独立運動の象徴「モーニングスター旗」を引き降ろした。群集から怒号や泣き声が上がった。独立運動組織「パプア最高評議会」メンバーのウェラムさん(30)は「政府は独立を求めるパプア人の心情を理解しようとしない。なぜ旗の掲揚が許されないのか」と訴えた。
 独立旗の扱いは極めて微妙な問題だ。同評議会は今年6月の「パプア住民会議」で、インドネシアからの独立方針を一方的に宣言した。パプアに同情的なワヒド大統領は「文化的な象徴としての独立旗」の使用を容認していたが、10月上旬には山岳都市ワメナで独立旗掲揚をめぐって40人が死亡する惨事が発生、この1年間に同様の事件で80人以上が死亡している。
 イリアンジャヤ州警察は「1日に限って掲揚を認めるが、住民がそれを守らなければ発砲も辞さない」と警告し、テイス・エルアイ議長ら評議会幹部4人を政府転覆予備の疑いで事前に拘束した。このため2日以降のジャヤプラ中心部は「戒厳令下」のような静けさだった。
 しかし、パプア側の抵抗は根強い。ジャヤプラから車で1時間半の隣国パプアニューギニアとの国境には3日、依然として独立旗が翻っていた。100メートルほど先にはパプアニューギニア側の検問所、数キロ手前にはインドネシア陸軍最精鋭部隊が構える。旗の下には独立運動組織「自由パプア運動」(OPM)のゲリラたちが弓矢とヤリを手に警戒に立ち、「1日にも近くで交戦があったばかりだ」と話した。
 一方で独立運動も揺れている。州議会議員出身のエルアイ氏には「政府との妥協を図る日和見主義者」との批判があり、強硬派は別組織の「西パプア独立暫定準備委員会」を結成した。フィレペ・カルマ代表(40)は「最高評議会の路線は手ぬるい。住民の熱望に応えて、即時独立を実現すべきだ」と主張する。エルアイ氏が公約した「12月正式独立」が空手形に終わったことに失望が広がっているおり「OPMが独自行動を始めた」との情報も流れるなど、独立運動が分裂する兆候が出ている。豊富な資金源と武器を備えるアチェ独立派と違って、パプアは「平和的手段で国際社会に支持を訴える」との基本方針を掲げてきた。
 逆にインドネシア政府は、オーストラリアなど外国勢力の関与に神経質をとがらせる。豪州の最大労組「豪労働組合評議会」が先に独立支持を正式表明したほか、ダウナー外相が先月、「パプアでの人権侵害が続くなら、独立運動を支持せざるを得ない」と発言したと伝えられたことも、インドネシア側を刺激した。
 インドネシアには「豪州はパプアの豊富な地下資源に関心を持ち、人権がらみで介入してくる」との認識があり、東ティモール独立に続いて「わが国東部の領土が侵される危険性がある」(国家情報調整庁)と警戒を強めている。[2000-12-07-00:36] 11
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 12/07@◇マンUが3年連続世界一金持ちクラブに サッカー専門誌◇(朝日新聞)

 マンチェスター・ユナイテッド(イングランド)が3年連続で収入世界一――。会計事務所とサッカー専門誌による恒例のサッカークラブ金持ち度調査が、6日付で発表された。
 AP電によると、マンUの1998―99年シーズンの総収入は前年度比2300万ポンド増の1億1090万ポンド(約183億円)。2位にバイエルンミュンヘン(ドイツ)、3位にレアル・マドリード(スペイン)が続く。
 上位20クラブは欧州勢が占め、イングランド8クラブ、イタリア6クラブ、ドイツ、スペイン、スコットランドが2クラブずつ。ワールドカップと欧州選手権の2冠に輝くフランスのクラブの名はない。[2000-12-07-01:05] 21
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 12/07@<世界食糧計画>バルカン諸国に約100億円の緊急食糧援助(毎日新聞)

 【ローマ7日井上卓弥】世界食糧計画(WFP)は7日、食糧の供給が滞っているユーゴスラビアなどバルカン諸国の98万人に対し、来年1年間で総額9000万ドル(約100億円)相当の緊急食糧援助を実施すると発表した。
 援助対象となるのは、1999年春の北大西洋条約機構(NATO)の空爆以来の混乱で地域経済がまひ状態になっているセルビア(70万人)、コソボ(15万人)、モンテネグロ(6万8000人)と、アルバニア(5万4500人)など。
 援助対象人口の大部分を占めるセルビアでは、市場価格の自由化で日用品の価格が急騰、クロアチアやボスニアからのセルビア人難民を含め、多くの市民が十分な食料を購入できない状況という。[2000-12-07-23:10] 247
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 12/07@「南京虐殺は歴史的事実」 被害女性が来日、訴え(共同通信)

 旧日本軍による南京大虐殺の実態を調査している「南京大虐殺六○カ年全国連絡会」の招きで七日、日本兵に性暴力を受けたという中国人女性、瀋文君さん(81)らが来日し、大阪府庁で開いた会見で「南京大虐殺は否定できない歴史的な事実。私は自ら被害を受け、目撃したことを日本の若者に伝えるために来た」と訴えた。
 瀋さんは一九三七年十二月、十八歳の時に、畑に野菜を取りに出たところを日本兵に捕まり乱暴された体験を語った。「妊娠しているので許してくれるよう懇願したが聞き入れられず暴行を受け、赤ちゃんは生まれて十九日目に亡くなった」と目を潤ませた。
 同連絡会は今回、瀋さんら四人の被害者を中国から招き十二日までの間、東京、名古屋、岡山、京都など全国十四カ所で証言集会を開催。大阪では十日午後一時から、部落解放研究教育センター(大阪市浪速区)で、「世界は見ていた南京レイプ」と題して、瀋さんや研究者らが当時を検証する。(了)[2000-12-07-18:26] 260
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 12/07@与野党2候補が接戦 ガーナ大統領選で投票(共同通信)

 【アクラ7日共同】約十九年にわたりガーナを統治し、憲法の三選禁止規定に従って引退するローリングズ大統領の後任を選ぶ大統領選挙と国会議員選挙(定数二○○)の投票が七日、行われる。
 大統領選には七人が立候補しているが、ローリングズ大統領が後継者に指名した与党、国民民主会議(NDC)のジョン・ミルズ副大統領(56)と野党第一党、新愛国党(NPP)のジョン・クフォー党首(61)の事実上の一騎打ちとなっている。
 大勢は九日までに判明の見通し。世論調査などでも両候補は接戦を展開しており、どちらも過半数の得票率を獲得できず上位二候補による決選投票に持ち込まれる可能性も強い。
 ローリングズ大統領は強いカリスマ性で、ガーナをアフリカでは有数の安定した国に導いた。しかし、長い統治に対する国民の飽きは否めず、また重要な外貨獲得源の金やカカオの国際価格の下落で経済は低迷、国民生活は苦しさを増している。
 一九九六年の前回選挙で、ローリングズ大統領相手に得票率四割と善戦したクフォー氏は、「新しい政治の実現」を訴えて精力的に全国を駆け回り、政権党で有利な立場のミルズ副大統領に肉薄している。
 国会議員選挙は定数の二百議席に八政党と無所属の計千八十一人が立候補しているが、NDC百三十三、NPP六十一の現有議席に対し、NPPが議席を増やすとの見方が強い。(了)[2000-12-07-16:23] 264
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 12/07@「英王位継承、男性優先は違法」英紙訴えで波紋(読売新聞)

 【ロンドン7日=渡辺覚】英紙ガーディアンは六日、「英王室は信教の自由に違反している」「男性の王位継承権を優先するのは男女平等違反」などとする王室改革キャンペーン記事を掲載した。同紙の記事は、六日の英議会でも波紋を呼んだ。
 同紙が問題視するのは、一七〇一年制定の王位継承法。同法は、カトリック教徒や同教徒を配偶者とする者による王位継承を禁じ、男性に王位継承の優先権を与えている。
 同紙は、この法律の規定が、欧州人権条約に基づいて法の下の平等などを明記した英国の新しい人権法に違反していると主張。欧州人権裁判所(ストラスブール)への提訴や国民投票による王位継承法の改正あるいは廃止を提言した。
 同紙の記事をめぐっては、保守党議員が「新聞の巧妙な販売戦略に過ぎない」との批判の声を上げた一方、英国からの独立を訴えるスコットランド民族党幹部は「十八世紀の遺物は来世紀に生き残り得ない」と賛意を示す反応を見せた。[2000-12-07-14:01] 269
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 12/07@<米大統領選>超大国の気になる「お家事情」(毎日新聞)

 11月7日の選挙から1カ月たっても次期大統領が決まらない米国。だが、本当の危機は、目に見えないところで進行しているとの見方も強い。新政権のすべり出しに重要な政権移行作業が遅れているのだ。米政府は現在、ブッシュ・テキサス州知事(共和党)、ゴア副大統領(民主党)のどちらにも、政権発足を準備する「政権移行事務所」のカギを渡さず、530万ドルの資金も凍結している。来年1月20日の政権交代は、果たしてスムーズに進むのか、超大国の気になる「お家の事情」を探ってみよう。 【ワシントン・布施 広】
★FBI「困った」
 「ホワイトハウスはスタッフと家族で約6000人の共同体。1月20日に一体何が起きると思いますか」とブラッドリー・パターソン氏は言った。12月4日、米下院政府改革委員会の公聴会。同氏はジョンソン政権時の大統領顧問で、「ホワイトハウス・スタッフ」という著書もある。
 政権交代でホワイトハウスの主が変われば、スタッフも家族も変わる。他のお役所の主要ポストも、新大統領が「政治任用」(ポリティカル・アポインティー)制度で選んだ人物で占められるのが、米国政治の特徴だ。パターソン氏はホワイトハウスを例にとって「民族大移動」の規模を説明したのだ。
 だから、現政権と新政権の引き継ぎや新政権の骨格づくりは、早く始めた方がいい。通常は「大統領職移管法」に基づき、大統領選の翌日から準備作業が始まるが、今回はだれが次期大統領なのかが、そもそもはっきりしていない。
 政治任用で選ぶ政府高官ポストは約3200。日本でも民間からの閣僚登用はままあるが、ほとんどは国会議員からの起用で、だれが大臣になっても官僚機構そのものは変わらない。他方、米国では大学教授や民間企業の役員から政府高官に転進する例は珍しくない。例えばオルブライト国務長官は元大学教授だし、タルボット国務副長官は米誌タイムのワシントン支局長の経歴を持っている。
 つまり、幅広い人材登用が可能なのだが、いい人材を集めるには時間がかかる。意中の人に三拝九拝して政権入りを要請したり、逆に自薦他薦の志願者の中から、優れた人材を厳選する必要があるからだ。殺到する志願者の詳しい履歴書を読むだけでも大変だ。
 パターソン氏とともに公聴会に出席したジョン・スヌヌ氏(ブッシュ政権の首席大統領補佐官)によると、ブッシュ前大統領は当選後、ただちに人材集めに着手したが、「政権移行事務所を開いて2週間で、4万〜6万通の履歴書が届いた」という。今回の移行作業の遅れについて、スヌヌ氏は「今後、半年から1年は響くだろう」と予言している。
 政権移行作業に時間がかかるのは、政治任用者の人物調査が不可欠であるためだ。3000人余りの政治任用者については、連邦捜査局(FBI)が、犯罪歴を含めた調査を行う。しかし、ブッシュ、ゴア両陣営は訴訟に手一杯で、任用者選定が遅れているため、米政府は登用の可能性があると思う人に対し、インターネットで履歴書を送る自己申告を呼びかけている。
 FBIとしては、当選者の確定を待っていると、調査が新政権発足に間に合わない恐れもある。このため、調査態勢を拡充し、両陣営の政治任用候補者を同時並行的に調べることにしたという。どちらかの陣営の調査は無駄になるが、背に腹は替えられない措置だ。
★怒るブッシュ陣営
 「政府は選挙の確定結果を尊重する義務がある」。ブッシュ陣営の副大統領候補、チェイニー元国防長官は語気鋭く言った。11月27日、ワシントンでの記者会見。その前日、フロリダ州の州務長官がブッシュ氏の537票差の勝利を確定しており、同州の選挙人(25人)を足せば、ブッシュ氏は大統領当選に必要な選挙人数(270人)を確保できる。
 だが、勇躍ワシントンに赴いたチェイニー氏に、連邦政府は冷淡だった。選挙の翌日に開設した「政権移行事務所」のカギを渡さず、政権移行費用の凍結も解かなかった。「次期政権に対して、何たる仕打ち」とチェイニー氏は思っただろう。そのころ、民主党のクリントン大統領は「次の大統領がゴア副大統領、ブッシュ知事のいずれであろうと円滑な政権移行を図る」と涼しい顔だった。
 ブッシュ陣営はやむなく、ワシントン郊外に自前の事務所を開いた。こげ茶色のレンガで外壁を覆った3階建てのビルで、ホワイトハウスから約20キロ。周りが住宅地なので、「次期政権」の拠点としては少し寂しい。1階には記者会見場もあるが、5日に事務所を尋ねると、記者は10人足らずしかいなかった。「まだ設備がそろわなくて」と、広報関係者がすまなそうに言う。
 午後2時20分過ぎ、パトカーの先導で黒塗りの車が入り口前に止まり、中からチェイニー氏が姿を現した。米議会で共和党議員との会合を終えた同氏は、笑顔で記者団に手を振りながら事務所の中へ。連邦最高裁とフロリダ州地裁が4日、相次いでブッシュ陣営に有利な決定を下したためか、チェイニー氏の表情は明るかった。
 だが、法廷闘争の決着は、まだ先。ゴア氏が最後まで敗北を認めなければ、当選者の確定には、なお時間がかかる。
★遅れの功罪
 ジョージタウン大のスティーブン・ウェイン教授によると、政権移行作業の遅れは、ブッシュ陣営にとって、必ずしもマイナスではないという。「作業の遅れは国家の損失を招く」という大義名分のもとに、ゴア氏の敗北宣言を促すことができるからだが、もちろんマイナスの方が大きい。ウェイン教授は、ブッシュ氏が次期大統領になると想定して、次のように語る。
 「大統領は通常、就任1年目が最も強い力を持てる。他方、2002年の中間選挙に向けて、大統領の反対派(民主党)も力を蓄えてくる。だから、ブッシュ氏としては、早く新政権の態勢を整えておく必要があるのです」。02年の中間選挙は、新政権下で行われる初の国政選挙。共和党と民主党の議席の伯仲模様が変わるかどうかが焦点だ。
 また、共和党下院議員を20年間務めたブルッキングス研究所のビル・フレンゼル客員研究員は「選挙の翌日から移行作業を始めても、時間は十分とは言い切れない。まして、何週間も遅れているのだから、問題が出ないわけがないでしょう」と新政権の厳しい前途を予測する。
 法廷闘争を見ても、やり手の弁護士が次々に登場する人材豊富な米国。優秀なスタッフには事欠かないはずだが、移行作業の遅れが原因で、新政権に思わぬつまづきがないことを祈りたいものだ。
 FBIが政治任用の職員調査に力を入れるのは、当人の政治信条や経歴に問題がないかを調べるためだが、何より怖いのがスパイの潜入だ。政府中枢に出入りできる人物が実はスパイなら、重要情報が筒抜けになってしまう。
 例えば、ワシントンのシンクタンクに勤める中東研究者は、湾岸戦争(1991年)時は国防総省にいて、イラク攻撃の作戦立案に関与していた。今の部屋は広々とした窓が快適だが、当時詰めていた部屋に窓はなかった。
 「窓ガラスの振動から内部の会話を読み取る装置があるからです。国防総省の周りにスパイがいないとは限りませんからね」
 その国防総省の近くに今年6月、中国の新華社がワシントン支局の移転を図る「事件」が起きた。これを保守系紙の「ワシントン・タイムズ」がすっぱ抜き、米議会が「機密確保に問題がある」と主張、米中摩擦に発展したのだ。
 新華社が契約したビルは、屋上から5角形の国防総省が見渡せる。無論、新華社はスパイの意図を否定したが、保守派は「人の出入りが分かること自体が問題」と納得しない。結局、新華社は契約前、米政府への所定の手続きを怠っていたことを追及され、新しいビルへの入居を断念せざるを得なかった。
 審査の厳しさは記者に対しても同様だ。ホワイトハウス詰めの記者は写真入りのパスを持っている。入り口の金属探知機の前でパスをスキャナーにかざし、小さな電光掲示板を使って自分の暗証番号を入力すると、ロックされたバーが開くのだ。このパスを取得する際は、5本の指の指紋を取られる。
 国務省や国防総省に入るにも所定のパスが必要なので、何枚ものパスを首から下げることになる。国務省の場合は、2階の記者会見場へ行くために、3〜4回、パスをスキャナーにスライドさせる。パスなしではドアは開かない。今年に入ってから、職員の付き添いなしに3階以上でウロウロしているところを見つかると、パスを取り上げられる規則もできた。
 と言うのも、国務省ではスパイ事件や、重要情報を記憶させたパソコン紛失事件が続いたためだ。以前から人の出入りには厳しかったが、それでも問題が起きるのは防げない。今年9月には、機密情報の扱いに問題があったとして、前国務次官補の駐イスラエル大使が一時、監視対象になったほど管理は厳しい。
 史上最強の超大国は、機密保持に人一倍、神経を尖らせる国なのだ。[2000-12-07-12:35] 276
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 12/07@<米大統領選>ブッシュ候補、ライス教授と会談(毎日新聞)

 【ワシントン6日布施広】米大統領選の共和党候補、ブッシュ・テキサス州知事は6日、自宅でスタンフォード大教授のコンドリーザ・ライスさん(45)と会談した。黒人女性のライスさんは、ブッシュ氏が当選した場合、国家安全保障担当の大統領補佐官への就任が有力。国務長官就任が確実なパウエル元統合参謀本部議長と並んで、「ブッシュ政権」が誕生した場合は外交・安保の中枢を黒人が担う見通しだ。
 ライスさんはブッシュ知事の父親であるブッシュ前大統領のもとで国家安全保障会議(NSC)のソ連担当部長を務めた。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)やイラクなどに厳しい姿勢で知られ、北朝鮮の労働新聞は今年1月、ライスさんの論文を「米国の好戦勢力の立場」と論評している。
 ブッシュ知事は記者団に対し、ライスさんと外交政策について長時間話し合ったと述べ、当選した場合は「米国の偉大な伝統である超党派の外交政策」を目指すとの方針を示した。ゴア副大統領(民主党)陣営との法廷闘争については「速やかに終わることを望んでいる」と語った。
 ブッシュ氏は先月30日、テキサス州にあるブッシュ家所有の牧場にパウエル氏を迎えて会談した。1991年の湾岸戦争当時、チェイニー副大統領候補は国防長官、パウエル氏は制服組トップの統参議長だった。ブッシュ政権下の湾岸戦争勝利に貢献した2人が、将来の「ブッシュ政権」を支える構図にもなっている。[2000-12-07-11:56] 277
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 12/07@<露軍事技術協力>アンゴラとの協力再開の議定書に調印(毎日新聞)

 【モスクワ6日石郷岡建】6日のインタファクス通信によると、ロシアのクレバノフ副首相(軍需問題担当)は南部アフリカのアンゴラを4日から5日にかけて訪問した際、同国との軍事技術協力再開の議定書に調印した。
 議定書の詳細な内容は不明だが、軍事専門家の養成や各種兵器、部品の供与に関する内容とされ、新鋭兵器の引き渡しはないと伝えられている。
 ロシア政府筋の説明によると、アンゴラでは旧ソ連製兵器が使われ、アンゴラ軍の将校は旧ソ連で訓練されていた。このためロシア軍事技術の意味は大きく、軍事協力の再開は双方の利益になるという。
 クレバノフ副首相は約40億ドルにのぼる旧ソ連時代の債権の支払い問題もアンゴラ側と協議し、アンゴラで産出される石油、ダイヤモンド、その他の資源の共同開発などを肩代わりする方向で話し合いを進めたという。
 アンゴラではかつて、旧ソ連・キューバが支援する「アンゴラ解放人民運動」政権と南ア・米国が支援する反政府勢力・アンゴラ全面独立民族同盟による内戦が続いた。ソ連崩壊後、ロシアは事実上、軍事支援を中止し、内戦もいったん下火となったが、98年以降、再燃している。[2000-12-07-11:55] 279
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 12/07@大島氏が国連事務次長職、邦人4人目(読売新聞)

 【ニューヨーク6日=松浦一樹】コフィ・アナン国連事務総長は六日、大島賢三・総理府国際平和協力本部事務局長(57)を国連緊急援助調整官(国連事務次長職)に任命した。日本人の国連事務次長ポスト就任は、大島氏で四人目。
 大島氏は、一九六七年に外務省入省。在米大使館公使、同省経済協力局長などを経て、昨年八月から現職。新ポストには、来年一月半ばに着任する予定。
 国連緊急援助調整官は、国連人道問題局長に代わるポストとして九八年に新設され、紛争・災害時に国連機関や政府、民間活動団体(NGO)と協力、人道支援活動の調整にあたるのが主な任務。
 セルジオ・デメロ現調整官は、昨年十月から、国連東ティモール暫定統治機構(UNTAET)のトップを兼任しており、ニューヨーク国連本部に常駐する調整官のポストは事実上、空席となっていた。[2000-12-07-11:24] 287
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 12/07@依然少ない日本人幹部職員 国際公務員の育成急務(共同通信)

 【ニューヨーク6日共同】国連緊急援助調整官室長に総理府の大島賢三・国際平和協力本部事務局長が任命されたことで、主要国連機関のトップ級を務める日本人は計五人になるが、うち二人が近く退任、資金拠出額に比べ日本の人的貢献の少なさは依然際立っている。
 日本は現在、国連機関のトップに緒方貞子・国連難民高等弁務官、法眼健作・国連広報局長(事務次長)、松浦晃一郎・国連教育科学文化機関(ユネスコ)事務局長、内海善雄・国際電気通信連合事務総局長を送り込んでいるが、緒方氏は年内、法眼氏は来年初めにそれぞれ退任する。
 さらに事務次長補クラスでも国連東ティモール暫定統治機構(UNTAET)の高橋昭・副事務総長特別代表ら九人にとどまり、「国連通常予算の二○%以上を拠出する国にしてはかなり少ない」(国連事務局)のが現状だ。
 日本に比べ中堅幹部の給与が低いことや、国連公用語の語学力などハンディはあるが、幹部職員では最近、国連人口基金(UNFPA)の事務局長にサウジアラビアの女性が抜てきされるなど途上国やイスラム圏の進出が著しく、「日本は国際公務員の人材育成に本腰を入れなければ、途上国などに切り崩されてしまう」(国連外交筋)との指摘も出ている。(了)[2000-12-07-08:08] 240
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 12/07@年間サッカー最優秀にオランダ選出 アジアの最優秀は日本(共同通信)

 【ジュネーブ7日ロイター=共同】国際サッカー連盟(FIFA)は七日、二○○○年の年間最優秀チームにオランダを選出。大陸別では日本をアジアの最優秀チームに選んだ。
 オランダは今年の欧州選手権準決勝でPK戦の末、イタリアに敗れたが、年間を通じての活躍が評価された。オランダは欧州の最優秀チームにも選出された。
 一九九四年から六年連続して年間最優秀チームに選ばれたブラジルは振るわず、南米の最優秀チームはコロンビアが選ばれた。
 大陸別はこのほか、アフリカはナイジェリア、北中米カリブ海はホンジュラス、オセアニアはオーストラリアが選ばれた。(了)[2000-12-07-20:30] 259
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 12/07@マンUが世界一の金持ち プレミアL勢が上位ランク(共同通信)

 マンチェスター・ユナイテッド(イングランド)が三年連続で世界一の金持ちクラブ―。米会計事務所大手のデロイト・トウシュがまとめたサッカークラブの総収入ランキングがこのほど発表され、マンチェスターUが一億一千九十万ポンド(約百八十一億円)で1位となった。
 今回の各クラブの収入は一九九八―九九年シーズンが対象。マンチェスターUは欧州チャンピオンズリーグ、プレミアリーグ、イングランド協会(FA)カップの三冠を達成して、大幅に収益を伸ばした。
 2位はこのシーズンのチャンピオンズリーグ決勝で、終了直前に悪夢の逆転負けを喫したバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)で八千三百五十万ポンド(約百三十六億円)。3位はレアル・マドリード(スペイン)の七千六百十万ポンド(約百二十四億円)だった。
 ランキングでは、上位20位までにチェルシー、アーセナルなどプレミアリーグの8クラブが顔を出しているのが目立っている。
 これは、イングランドでは各クラブが自前のスタジアムを持ち、入場料がそのまま収入になるほか、食事などのサービスがある企業等向けの特別ボックス席の収入も大きい。関係者は「特別席の収入で選手三人の給料を払える」とまで明かした。
 一方で、衛星放送の参入によるテレビ放映権料の高騰もあってイングランド、イタリア、スペイン、ドイツのクラブが上位に名を連ねる中、ワールドカップ(W杯)と欧州選手権を連覇したフランスは、マルセイユが三千三百五十万ポンド(約五十五億円)で22位に入ったのが最高だった。(ロイター=共同)(了)[2000-12-07-16:25]
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 12/08@<ユーゴ>今回の政変で返り咲きのサビーチェビッチ氏に聞く(毎日新聞)

 ユーゴスラビア連邦(セルビア、モンテネグロ両共和国で構成)は、10月5日の「民衆革命」の後、ミロシェビッチ体制の支配が続いた経済分野の改革問題でも多難な道を歩んでいる。旧政権によりユーゴ最大企業トップの座を追われてから野党活動を続け、今回の政変で返り咲きを果たしたミロラド・サビーチェビッチ氏(65)に聞いた。【ベオグラードで福井聡】
 ――政変後、ユーゴ経済界はどう変わりましたか。
 ◆ユーゴの企業は10年前まで、社員全員が経営責任を負い、取締役会が経営方針を決める「自主管理企業」だった。これは、故チトー大統領が1952年に旧ソ連圏の中で市場経済を促進しようと導入したもので、90年にミロシェビッチがこの制度を壊すまで続いていた。彼は国内77の大企業経営陣の人事に介入し、自分に従わない者を排除した。
 今回の政変を受け、これら大企業の経営陣は退陣を余儀なくされた。過去10年にわたって旧経営陣はミロシェビッチの政党・社会党、彼個人と家族のために奉仕し、国の経済全体に損害を及ぼしてきた。放置しておけば、彼らは企業の資金を国外に持ち出し、さらに企業の資金を自分たちの保護と我々への攻撃に使う恐れがある。我々(民主化勢力)は国営・公営企業の経営に介入している。
 ――企業によって経営陣が交代した社としない社がありますね。
 ◆例えば、私が代表取締役に就任した(国内最大の自動車企業)ザスタバ社の前社長は、9月の大統領選挙2日後に自らの運命を悟って自発的に辞任した。私が代表取締役に就任したもう一つの(国内最大の貿易会社の)ゲニックス社の前社長も同じだ。両社では会社の資産所有者が特別会議を開き、ミロシェビッチ派の役員を全員排除し、新役員を選出した。
 しかし、いくつかの会社では旧役員が辞任を拒んだり、今も辞任を拒否し居座り続ける企業も少なくない。彼らは今もこの国の経済をむしばむ大きな障害となっている。例えば、ある国営製鉄会社の社長は、選挙後給料を一律50%上げることで従業員の支持を得ようとしている。こうした国営企業が100社も出れば国全体の経済はどうなるだろうか。
 ――経済制裁解除の好影響は出ていますか。
 ◆制裁解除は市場経済推進の前提だ。まず、人の交流に必要なビザ取得が緩和された。今後は、日本企業にとってもセルビアへの輸出だけでなく、農産物、木材、農薬、機械などを輸入できる可能性が広がった。ザスタバは今も安価で優れた労働力を持ち、魅力的な投資先になるだろう。日本各社にも近く提携の正式招請状を送る。
 ――セルビア共和国大統領には今もミロシェビッチ前連邦大統領の腹心だったミルティノビッチ氏が就いたままですが。
 ◆12月(23日)の共和国議会選挙でおそらく野党連合が議席を独占するので、ミルティノビッチ大統領は辞任を決意せざるを得なくなるだろう。旧勢力を排除する一方で、協力可能な勢力と連携し新たな体制をつくっていく複雑な大事業が現在必要とされている。時間がかかる。
◎略歴
 ミロラド・サビーチェビッチ氏 ベオグラード大法学部卒業後、ゲニックス社入社。旧ユーゴスラビア連邦大蔵省政務次官を務めた後、同社社長。1990年に社長を解任されてから、一時、スイスで暮らした。97年からキリスト教民主党副党首。今年9月の選挙で連邦議会議員に当選。10月からゲニックス、ザスタバ両社の代表取締役に就任。[2000-12-08-22:35] 13
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 12/08@◎ユーゴ前政権、40億ドルを海外に隠す=中銀総裁(時事通信)

 【ウィーン8日時事】ユーゴスラビア連邦国立銀行(中央銀行)のディンキッチ総裁は8日付日刊紙ポリティカに対し、ミロシェビッチ前政権が過去約10年間に海外に移転した資金は40億ドル(約4400億円)に上るとの見方を明らかにした。国立銀行は資金の回収に向け、特別委員会を設置した。
 同総裁は今月初め、米財務省海外資産調査局(OFAC)の情報として、ミロシェビッチ前大統領一族や側近が10億ドルの資金をキプロス経由で海外に移転した形跡があると指摘していた。 [時事通信社][2000-12-08-22:30] 14
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 12/08@サンタにささげた教会 ニコラスのモザイク銘文 トルコで(共同通信)

 トルコ南部のゲミレル島にある六世紀のキリスト教会遺跡の床面からほぼ完全に残ったモザイク画などが見つかり、リキア地方ビザンティン遺跡調査団(団長・浅野和生・愛知教育大助教授)が八日、発表した。モザイク画には中世ギリシャ語の銘文もあり、サンタクロースのモデルとなった「聖ニコラス」のために造られた教会であることが判明。調査団は「首都コンスタンチノープルに残るモザイクに匹敵し、芸術的価値も高い」としている。
 モザイクはさまざまな色の大理石を一センチ角ほどの大きさにして床に塗ったしっくいに埋め込んだもので、つぼから生えたザクロの木の芽を食べる二頭のヤギ、果樹園のナシを食べるクマのほか、イルカなども描かれていた。教会は七世紀中ごろにアラブ勢力に焼かれたとみられ、木造の屋根が焼け落ちたためにモザイク画が残り、色はほぼ当時のままという。
 また、教会の入り口には中世ギリシャ語で「マケドニア人の金細工師が自分自身と、妻ノニエ、(聖人にちなんで名付けた息子の)ニコラスの魂の救済のために、この聖堂をモザイクで飾った」と書かれたモザイクも見つかったほか、柱に塗られたしっくいには聖人「フェリックス」とみられるフレスコ画の破片も見つかった。
 聖ニコラスは同島周辺のリキア地方出身で、十世紀ごろから東ローマ帝国全土で信仰されるようになった。発掘された教会(第三聖堂)はビザンチン様式初期の「バシリカ式」で、聖ニコラスにささげられた聖堂としては最も古いという。
 調査団は、大阪大、熊本大など十一大学などからなり、一九九五年から第三聖堂を発掘していた。
 同島は東西約一キロ、南北約四百メートルの小島だが、島内には四つの聖堂があり、中世にはエルサレムを中心ととする巡礼地として栄え、十五世紀の船員のための文献にも「聖ニコラスの島」と記されている。(了)[2000-12-08-18:30] 17
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 12/08@<女性国際戦犯法廷>慰安婦制度の違法性を明らかに(毎日新聞)

 「戦時下での性暴力をなくそう」と、アジアなど各国の元慰安婦ら約80人が集まり8日、東京都千代田区内で「女性国際戦犯法廷」が開幕した。国内外の女性有志による民衆法廷で、韓国、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)、フィリピン、台湾、オランダなどの元慰安婦が証言し、裁判官や検事役の法律家らが国際法に照らして慰安婦制度の違法性を明らかにする。
 初日は、約1100人が傍聴に集まった。国際実行委員会の松井やより共同代表が「この法廷は旧日本軍の性奴隷制の真相究明と法的責任について日本政府に圧力をかけるもの。21世紀の新しい門出の前に女性への性暴力撤廃のきっかけにしたい」とあいさつ。開廷宣言の後、旧ユーゴ国際戦犯法廷の法律顧問で首席検事役を務めるパトリシア・V・セラーズさんが起訴状を朗読した。
 「法廷」は12日まで行われ、最終日は「判決」の発表の後、被害者の名誉回復を日本政府にアピールするため、参加者らが東京都内をデモ行進する。【明珍 美紀】[2000-12-08-12:35] 18
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 12/08@女性国際戦犯法廷が開幕 戦時中の性暴力裁く 元慰安婦一堂(共同通信)

 慰安婦制度など戦時中の旧日本軍による性暴力を裁き、二十世紀の終わりに被害女性の名誉を回復しようと、日本とアジア各国の非政府組織(NGO)による「女性国際戦犯法廷」が八日、海外の元慰安婦約八十人を含む約千百人が参加して東京で始まった。
 十日まで元慰安婦や加害兵士の証言などが続き、十二日に海外の法律家が裁判官として判決を言い渡す。民衆法廷で法的拘束力はないが、日本の戦争責任をめぐる議論や、武力紛争下の世界各地で繰り返される性暴力の処罰問題にも影響を与えそうだ。
 元慰安婦はフィリピンや韓国、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)、中国、台湾、インドネシア、東ティモール、オランダから参加。高齢で亡くなる人も多く「各国の被害女性が一堂に会する最初で最後の機会」(主催者)になる。
 冒頭、各国の法律家による検事団が「訴追」した当時の軍幹部や政府高官ら約十人の名前が告げられ、実行委員会の「戦争と女性への暴力」日本ネットワークの松井やより代表らが「戦時中の性暴力が繰り返される悪循環を断たねばならない」と語った。
 五人の裁判官の一人のガブリエル・マクドナルド旧ユーゴ戦犯法廷前所長は「国際法に照らして、歴史から排除されてきた女性への戦争犯罪を審理する」と開廷宣言。首席検事を務めるパトリシア・セラーズ旧ユーゴ戦犯法廷法律顧問は「たくさんの証拠があるのに、だれもこの性奴隷(どれい)制を追及しなかった」と述べた。
 続いて慰安婦問題をめぐる日本政府の対応が紹介され、韓国と北朝鮮の被害についての立証作業が行われた。判決は被害・加害国いずれにも属さない法律家が言い渡すが量刑は科さない。(了)[2000-12-08-12:12] 19
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 12/08@退任後も身辺警護へ オルブライト米国務長官(共同通信)

 【ワシントン7日共同】米国務省は七日、来年一月の退任後も半年間は、オルブライト国務長官の身辺警護のため、二十四時間体制のシークレットサービスを付ける必要があるとして、議会に承認を求めたことを明らかにした。米国で退任後の閣僚に公費で二十四時間体制の警護を行うのは異例。
 リーカー国務省副報道官は「米国の国務長官は国際社会で大きな影響力を行使する。退任したからといって脅迫がなくなるわけではない」と警護延長が必要な理由を説明した。
 国務省高官によると、オルブライト長官は在任中、世界各国から暗殺予告を含め数多くの脅迫を受けた。特に一九九九年のユーゴスラビア空爆以降は激増したという。(了)[2000-12-08-10:45] 156
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 12/08@EU首脳会議、緊急部隊骨格案を承認(読売新聞)

 【ニース(フランス南部)8日=島崎雅夫】ニースで開催中の欧州連合(EU)首脳会議は八日、二〇〇三年までの創設を目指す「緊急対応部隊」の骨格案を正式承認した。この結果、欧州独自の安保体制構想は前進する。だが、一方で、基本戦略をめぐり北大西洋条約機構(NATO)との連携を重視する英国と「独自性」を主張するフランスの対立が一層表面化してきた。
 緊急対応部隊は、紛争地での平和維持や紛争予防などを任務とする。この日、承認審議の対象となった骨格案の中軸は部隊規模に関する部分で、交代要員を含む総兵力十万人以上(独=約一万三千五百人、英=約一万二千五百人、仏=約一万二千人など)、戦闘機四百機、艦船百隻――などとしている。
 EUはすでに今年初めから、軍事行動の作戦策定にあたる「政治安全保障委員会」など三委員会を、最高意思決定機関となる外相・国防相合同理事会の下に暫定設置しているが、三委員会は今後、常設化される。
 シラク仏大統領は七日、緊急対応部隊の創設にあたっては、NATOと協力するものの、「EUの独自性も維持しなくてはならない」と述べた。骨格案は、運用・作戦計画策定はNATOと共同で行うとしているが、それでも英国の反発を招くことになった。
 特に、英国では、国家主権の重要な要素である国防がEU各国の手を離れ、「EU軍」創設につながるのではないかとの懸念が野党・保守党を中心に強い。NATO盟主の米国も、「緊急対応部隊の運用・作戦計画策定はNATO主導で行うべきで、重複した機構は、NATOの形がい化をもたらす」(コーエン国防長官)と反発している。[2000-12-08-23:56] 163
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 12/08@◇スイス国連加盟で国民投票へ 2002年に◇(朝日新聞)

 スイスのオギ大統領とダイス外相は8日、ビデオによる記者会見で、「スイスの国連加盟の機は熟した」とし、市民団体から出ている国民投票の実施要請に対する賛成を国会に求める考えを示した。連邦政府は国会での議論を経て、2002年に投票を実施する方針だ。
 大統領と外相は、国連加盟はスイスの中立政策に反さず、国益にも沿うとの政府の考え方を説明。その上で、今年行った意見聴取の結果、政府方針に対し、26州のうち25州(1州は未回答)、主要8政党のうち6政党、各種団体の圧倒的多数が国連加盟に賛成の回答を寄せていると断言した。[2000-12-08-22:30] 171
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 12/08@<EU>首脳会議で機構改革問題の討議を開始 仏のニースで(毎日新聞)

 【ニース(フランス南部)8日橋本晃】当地で開催中の欧州連合(EU)首脳会議は8日午後、新規加盟国増大に備えて必要になった政策決定効率化のための機構改革問題の討議に入った。欧州統合を二人三脚でけん引してきたフランスとドイツでさえ、多数決の際の国別の持ち票の新たな配分で対立している。前身の欧州共同体(EC)時代を含めて「最も困難な首脳会議」(仏フィガロ紙)といわれ、首脳らは欧州の将来をかけて妥協点を探り合う。
 現行の配分では独、仏、英、イタリアの4大国が平等の票数だが、10年前の東西統一で欧州最大の人口8200万人を抱えたドイツは、人口6000万人に満たない仏、英、伊より多い票数を要求している。この要求は4大国間の均衡を崩すことにつながり、各国の思惑が一層乱れている。
 とくに仏は「第二次大戦直後のアデナウアー(元独首相)はドゴール(元仏大統領)に、独は決して仏を超える権限を求めないと言明し、仏独対等の関係が欧州の平和的均衡を作り出してきた」と、断固として認めない姿勢だ。仏の次期大統領選でシラク大統領の対抗馬となるジョスパン首相も首脳会議中は「挙国一致態勢」を掲げて大統領を支える姿勢を表明している。
 独仏の妥協が全加盟国の合意へのかぎを握ることを独仏両国も意識し、シュレーダー独首相は初日の顔合わせで各首脳らに「難しい問題だが妥協の用意を」を呼びかけた。仏側も8日午後からの討議に備え夜を徹して包括的な妥協案を準備したという。しかし、最終的な合意は大詰めの協議まで持ち越されることは確実な情勢だ。[2000-12-08-21:36] 181
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 12/08@旧ソ連国歌“復活”を可決 ロシア下院、年内にも法案成立(共同通信)

 【モスクワ8日共同】ロシア下院(定数四五○)は八日、ソ連時代の旧国歌の旋律を現国歌に代わる新国歌に復活させるためプーチン大統領が提案した国歌法案などを審議、賛成三八一、反対五一の圧倒的賛成多数で可決した。法案は今月中に上院も通過して年内に成立する見通し。
 「大国ロシア」復興を掲げる大統領は、ソ連の「栄光」のシンボルだった勇ましい旧国歌の旋律に今後新たな歌詞を付けて、愛国心の鼓舞を図る。
 下院は、共産党の象徴でソ連国旗にも使われた赤旗をロシア軍の公式旗として採用する法案も可決した。
 主要国で、一度破棄された旧国歌が歌詞を全面的に書き換えてリバイバルするのは異例。
 「右派連合」など改革派は、独裁者スターリンが民族主義高揚のために第二次大戦中の一九四三年に採用した旧国歌のメロディー復活を「民主化の否定」と批判。九三年に現国歌を制定したエリツィン前大統領も反対を表明するなど、政治問題化した。
 しかし、ソ連時代の伝統への復古に傾斜する大統領は、旧国歌に慣れ親しんだ世論の支持という味方も得て、前大統領の非難を無視した。
 現国歌は、共産体制との決別の象徴として十九世紀の作曲家グリンカの曲を採用したが、法的な位置付けがあいまいな状態で歌詞もなかったため、国民には浸透しなかった。(了)[2000-12-08-20:03] 188
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 12/08@年明け以降は強硬策も 独立紛争でワヒド大統領(共同通信)

 【ジャカルタ8日共同】インドネシアのワヒド大統領は八日、日本記者クラブの取材団とジャカルタの大統領宮殿で会見し、独立運動が激化しているアチェ特別州とイリアンジャヤ州(ニューギニア島西部)について、今月中に自ら両州を訪問、混乱収拾を図る姿勢を強調する一方、独立派が年内に話し合いに応じなければ、来年一月以降は強硬策に転ずる可能性があると明らかにした。
 大統領は「自分には領土の一体性を守る憲法上の義務がある。暴力回避に全力を挙げるが、一月一日が期限だ。交渉を拒否するなら、何らかの措置をとらざるを得ない」と独立派に警告した。
 両州での対話について大統領は「十九日にアチェを訪れて(独立派が要求する)イスラム法の公布を宣言し、二十五日にはイリアンジャヤで平和集会に参加する」と説明。アチェにはマレーシア、ブルネイの宗教相などが同行し、住民の説得に協力すると述べた。
 また停戦協定が有名無実化しているゲリラ「自由アチェ運動」(GAM)と政府が二週間以内にジュネーブで協議を再開すると語った。
 イリアンジャヤ州では先週、警察が独立派指導者を逮捕して緊張が高まっており、大統領は「五日に釈放を警察に指示したが、警察は異論を唱えている」と述べ、自らの穏健路線が政府内で抵抗にあっていると率直に認めた。(了)[2000-12-08-19:24] 193
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 12/08@日本の人権保護状況を批判 アムネスティ事務総長(共同通信)

 アムネスティ・インターナショナルのピエール・サネ事務総長は八日、東京都内で会見し、先週、日本で三人の死刑が執行されたことについて「日本では(死刑囚の)家族らに知らせることなく、秘密裏に死刑が執行されている」と述べ、人権保護への取り組みに改善が見られないなどとして日本政府を批判した。
 サネ氏は、日本の刑務所制度についても、懲罰のため服役囚が入れられる保護房では、服役囚が手錠をされていると指摘。また、容疑者が取り調べのため警察の留置場で身柄を拘束される二十三日間に、家族や弁護士と接触することを保証するよう求めた。
 日本の難民受け入れについては、一九九四年から九七年まで難民申請した五百十六人中、一人しか受け入れられなかったと紹介。ミャンマー難民が成田空港で二カ月間、一週間に一回しかシャワーを浴びることができない劣悪な環境の下で小さな部屋に拘束され、結局難民として認められなかった九八年の例を報告、改善を訴えた。
 五日間の日程で来日したサネ氏は、河野洋平外相に会って国際刑事裁判所規定への今年中の署名や、武力紛争への参加に関する児童の権利条約選択議定書の早期締結を求めるなど、政府や政党関係者らと精力的に会談した。(共同)(了)[2000-12-08-18:02] 198
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 12/08@こじれる適用範囲拡大 EUの「特定多数決」方式(共同通信)

 【ニース(フランス南部)8日共同】欧州連合(EU)首脳会議の主要課題である機構改革のうち最も重要なのは「特定多数決(方式)の適用範囲の拡大」(プローディ欧州委員長)だ。
 EUの決定のうち現在は約七十項目が「全会一致」方式。全会一致の名目で各国が独自のやり方を貫くもので、一国でも拒否すれば決定できないが、その可能性は加盟国が増えるに従って高くなる。
 しかし「どの国も少なくとも一つは全会一致に固執する理由を抱えている」(同委員長)のが現状。例えば英国は「税金は各国議会が全権限を持つ」と主張、全会一致を譲る気配さえない。
 オーストリアは環境保護のためにアルプス山中のトンネルで独自の運輸規制をしており「多数決だと外国のトラックを規制できない」と主張。東欧からの移民流入を懸念するドイツは移民政策で譲歩できない。
 特定多数決に全面賛成するのはイタリア、ベルギー、フィンランドだけ。議長国フランスも「文化の多様性を損なう」として通商政策の一部に適用除外を求めており、論議はこじれる一方だ。(了)[2000-12-08-16:33] 201
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 12/08@EUの改革合意へ全力 首脳会議が2日目討議(共同通信)

 【ニース(フランス南部)8日共同】ニースの欧州連合(EU)首脳会議は二日目の八日、機構改革などの本格的な協議に入る。外交・安保などの論議は八日午前に前倒して終了させ、午後は改革交渉に集中する。
 議長国のフランスは六日夜に「特定多数決」方式の適用範囲拡大を中心としたニース条約草案を各国に提示。七日夜の首脳夕食会では、決定の際の各国の持ち票見直し―を含めて初めて論議したが結論に至らなかった。このため首脳はぎりぎりの協議を継続し妥協点を探る。
 税制、通商政策、移民政策など主要国が特定多数決方式に反対している項目では、原則的に特定多数決方式への移行に合意し、各項目の一部に満場一致制を残したり、実施を先送りしたりする方向で検討する。
 各国の持ち票問題では十票を持つドイツ、フランス、英国、イタリアのうち、人口最大のドイツが他の国を上回る票を要求してフランスと対立。
 妥協策として、各国の票数に差がある現行制度をやめ、加盟国の半数以上が賛成すると同時に、賛成国の人口の合計がEU全人口の半分以上であれば決定する「二重多数決」方式の導入が浮上している。(了)[2000-12-08-16:16] 208
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 12/08@<EU独自軍>NATOとの関係で英仏が対立 EU首脳会議(毎日新聞)

 【ニース(フランス南部)8日森忠彦】フランスのシラク大統領は7日、当地で始まった欧州連合(EU)首脳会議で、EUが2003年に設立する独自軍「緊急対応部隊」の指揮権について、「北大西洋条約機構(NATO)から独立すべきだ」と改めて主張、これに対し英国のブレア首相はNATOとの連携を強調した。同部隊の指揮をめぐる問題は英仏が対立する形で、今首脳会議では決着がつかず、先送りされた。来年前半の議長国のスウェーデンに検討課題として委ねる。
 EUは昨年末の首脳会議で共通の外交安保政策の柱として同部隊の設立を決定した。部隊はNATOが関与しない欧州域内での民族紛争に出動し、紛争防止や人道支援、平和維持活動などを行う。
 ところが、部隊がNATOの傘下に入るか、作戦計画など指揮権にどこまでNATOが関与するかという問題は残ったまま。コーエン米国防長官は5日、「EUが軍事的に競争相手になれば、NATOが形骸化する」と同部隊がNATOから独立することに懸念を示した。NATO側はEUの作戦をNATOの欧州連合軍最高司令部(ベルギー)で行うことを求めている。
 これに対して、首脳会議議長のシラク大統領は猛反発。会議冒頭の会見で「NATOとの協力は必要だが、部隊はNATOから独立した存在だ」と突っぱねた。一方、米国との関係を重視する英国のブレア首相はシラク大統領の発言を受け、英BBC放送に対し「NATOと対抗する軍事作戦能力を持つという考えは間違いだ」と対決姿勢を鮮明にした。
 先月末のEU国防相会議で、加盟各国は同部隊への拠出可能な戦力を申請。目標の6万人を超える兵員と約400機の航空機などが確保された。8日続開される首脳会議で、部隊の編成を承認するが、英仏首脳が対立するNATOとの連携問題のほか、NATOに加盟しながらEU未加盟のトルコの扱いなど未解決な課題も残っている。[2000-12-08-13:00] 220
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 12/08@<ジブチ共和国>警察長官がクーデター未遂で逮捕(毎日新聞)

 【ヨハネスブルク7日藤原章生】東アフリカのジブチ共和国からの報道によると、首都ジブチの大統領官邸が7日午後(日本時間同日深夜)、警察隊に包囲された。だが、同日夜、軍が出動し警察隊は撤退した。エチオピアを訪問中のアナン国連事務総長は同日、ガラブ警察長官がクーデターを起こそうとしたが失敗し、逮捕されたことを明らかにした。
 警察隊は国営ラジオ、テレビ局も一時占拠し、放送が中断したが、夜には正常に戻った。ゲレ大統領が同長官を罷免したことに対する反発とみられる。
 人口62万の小国ジブチは長くフランスの海外県だったが、1977年に独立。グレド初代大統領が99年4月まで長期政権を築き、グレド氏のおいのゲレ大統領が選挙を経て昨年5月、政権を引き継いだ。新大統領は警察隊や野党から「警察や軍を完全に掌握し切れていない」と指導力を問われていた。[2000-12-08-10:10] 224
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 12/08@国連がタリバン制裁強化へ 米ロが共同で決議案(共同通信)

 【ニューヨーク7日共同】米国とロシアは七日、国際テロの黒幕とされるウサマ・ビン・ラディン氏の身柄引き渡しに応じないアフガニスタンのタリバン政権に対し、武器禁輸措置の発動など現行の国連制裁を一層強化する決議案を安全保障理事会に提出した。早ければ来週中にも採択される見込み。
 決議案はタリバンにラディン氏の即時引き渡しを求めるとともに@国際テロリストへの支援停止Aテロリスト訓練所の閉鎖―を要求。さらに各国に対し、武器禁輸のほか、ラディン氏の金融資産凍結やタリバン事務所の閉鎖、タリバン政権高官の渡航制限などを求めている。
 これに対し、ニューヨークのタリバン事務所は「現行の制裁でアフガニスタンの経済や社会生活は疲弊しており、これ以上の制裁は拒否する」とのコメントを発表した。
 安保理は昨年十月、ラディン氏の引き渡しを求める決議を採択したが、タリバンが従わなかったため同十一月に在外資産凍結などの制裁が発動された。(了)[2000-12-08-08:05] 225
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 12/08@ジブチでクーデター失敗 軍が警官隊を鎮圧(共同通信)

 【ヨハネスブルク8日共同】エチオピアからの報道によると、同国を訪問中のアナン国連事務総長は七日、東アフリカのジブチで警察長官がクーデターを企てたが失敗し、逮捕されたことを明らかにした。
 ジブチでは七日、武装した警官隊が大統領官邸を包囲し、国営ラジオ・テレビ局を占拠していた。アナン事務総長は「事態は平常に戻りつつある」と述べた。
 ロイター通信は、同国に約二千五百人の駐留軍を持つフランス軍高官の話として、ジブチ軍が介入し警官隊を鎮圧したと伝えた。放送を停止していた国営テレビとラジオも再開したという。一連の混乱で発砲もあったもようだが、死傷者の有無は不明。
 ゲレ大統領が警察長官を罷免したことが七日明らかになり、これに対する反発が原因とみられる。(了)[2000-12-08-08:04] 226
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 12/08@ODA削減を明示 来年度5―10%減有力 与党「見解」案(共同通信)

 自民、公明、保守の与党三党の政府開発援助(ODA)見直しプロジェクトチーム(座長・中山太郎元外相)がまとめた見解案が七日、明らかになった。同案では二○○一年度のODA予算の具体的削減数値は盛り込んでいないが削減の方向は明示、与党内では五―一○%削減は不可避との見方が有力となっている。
 この見解案は、予算編成作業に際しての与党側の基本方針となる。ODA予算について「国際公約などに基づく事業の執行に影響を与えないよう配慮しつつ、ODA予算全体の量的規模を縮減する」と明記。縮減する際には@日本の顔の見える援助の推進A人道分野での貢献強化B東南アジア諸国連合(ASEAN)地域の経済支援強化―などの方針を踏まえ、重点的で効率的な予算配分にするよう政府に求めている。
 見解案は八日のプロジェクトチーム会合で示される見通しで、ODAについて「厳しい経済、財政状況の中で使途に対する国民的批判の高まりを背景に、改革への努力が求められている」と強調。「ODA予算の透明性を一層高め、効率化を図ることが急務だ」と指摘した。
 効率的な予算配分に当たっては、途上国の人材育成に対する支援の重要性に配慮することや、被援助国に日本の援助が周知されるよう求めることなども挙げた。同チームは来年度予算編成後も、中長期的なODAの在り方について引き続き検討していくとしている。(了)[2000-12-08-07:37] 162
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 12/08@欧州サッカー、外国人選手流入に拍車(読売新聞)

 【ロンドン8日=川島健司】外国人選手の移籍が活発化する一方の西欧サッカー界で、さらに外国人選手が増えることにつながる判断がスペイン、イタリアで相次いで出された。推移によっては、旧来の移籍制度を一変させた95年のボスマン判決に近い変化をもたらすものとして注目される。
 きっかけは先月28日にマドリードの裁判所が、同国1部リーグの強豪セルタ・ビーゴでプレーするロシア人MFバレリー・カルピン(31)から出されていた「欧州連合(EU)出身ではないからといって、EU外の外国人枠の選手として扱われ、差別されている」という主張を認めたこと。スペインリーグでは、EUと欧州自由貿易連合(EFTA)加盟国の出身選手は何人でもプレーできるが、それ以外の国の選手は5人までベンチ入りが可能で、試合に出られるのは3人までという制限がある。しかし、カルピンはロシアとスペインの政府が94年に結んだ「お互いの国出身の労働者に対するいかなる差別も禁ずる」という協定を根拠に、自分にもEU選手と同様の扱いを求めていた。
 裁判所が彼の主張を認めたことで、クラブとすれば空いた外国人枠で、別選手を使うことができるようになる。スペインリーグには、スペイン政府と、同様の条約を結んでいる国出身の選手が16人いるとされる。
 一方、今月1日にはイタリアのサッカー協会が、昨季のセリエA得点王に輝いたウクライナ人FWアンドレイ・シェフチェンコ(24)の所属するACミランからの同様の訴えに対し、シェフチェンコにEU選手と同じ地位を与えることを決めた。これも根拠はイタリアとウクライナの政府間の協定だ。ミランは昨季シェフチェンコを獲得した時から、EU選手と同じ扱いをするよう求め続けていた。
 ボスマン判決によってEU出身選手の移籍が自由になり、選手の年俸高騰につながったことから、西欧の比較的規模の小さいクラブは、EU外の主に東欧出身の選手に目をつけて獲得するケースが多くなっていた。今回のスペイン、イタリアでの判断が定着すれば、今後は東欧からの選手の移籍に拍車がかかることも予想される。[2000-12-08-23:15] 217
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 12/08@中田の日韓戦招集に影響か ローマのアスンソンが手術(共同通信)

 【ローマ8日共同】イタリアのスポーツ紙、ガゼッタ・デロ・スポルトは七日、サッカーのイタリア一部リーグ(セリエA)ローマのMFアスンソン(ブラジル)が左ひざを手術することになったと報じた。手術は九日の予定。
 アスンソンはローマで中田英寿とリーグ戦における外国人枠(3人)を争っている選手。このため、同紙は「アスンソンのけがが中田に、(日本代表監督の)トルシエ監督の望む(日本代表への)招集に対する答えを出せなくさせるかもしれない」と伝えた。
 日本代表は二十日に韓国代表と東京・国立競技場で親善試合を行うことになっており、トルシエ監督は中田の招集を希望している。(了)[2000-12-08-10:33]
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 12/09@40億ドル以上を国外送金(共同通信)

 【ブカレスト9日共同】八日付のユーゴスラビア有力紙ポリティカによると、ディンキッチ中央銀行総裁は同紙との会見で、ミロシェビッチ前政権が一九九二―九三年の激しいインフレ期に四十億ドル(約四千四百億円)以上を外国に秘密で送金していたと語った。
 総裁によると、ミロシェビッチ前大統領の影響下にあったベオグラード銀行のキプロス支店に送られており、一部は既に引き出されていた。ユーゴ新政権の間では国家資金の不法移転の疑いで前大統領を訴える動きが出ている。
 ユーゴ政府はこれまで、十億ドルが外国送金されていたことを突き止めていた。(了)[2000-12-09-10:25] 8
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 12/09@クシュネル特別代表が退任 後任はデンマーク国防相(共同通信)

 【ニューヨーク8日共同】国連報道官は八日、アナン国連事務総長が国連コソボ暫定統治機構(UNMIK)のベルナール・クシュネル事務総長特別代表の後任に、デンマークのハンス・ヘカロップ国防相(55)を任命したと発表した。来年一月中旬に着任する。
 ヘカロップ氏は一九四五年デンマーク生まれ。七九年に国会議員に当選し、国防政策を主に担当。九三年一月から国防相を務めている。
 国際緊急医療援助団体「国境なき医師団」の共同創設者でもあるクシュネル氏は九九年七月に特別代表に就任し、ユーゴスラビア・コソボ自治州の復興に尽力。同自治州の地方自治体制確立の第一歩となった今年十月の地方議会選挙の成功後、退任の意向を示していた。(了)[2000-12-09-10:12] 94
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 12/09@<EU首脳会議>3日目 機構改革問題を集中的に討議=再替(毎日新聞)

 【ニース(フランス南部)9日森忠彦】当地で開催中の欧州連合(EU)首脳会議は3日目の9日、フランスが示した議長案を基に新しい「ニース条約」の核心部分となる機構改革問題を集中的に討議した。議長案は多数決制の各国の持ち票についてドイツ、仏、英国、イタリアの4大国を同数の30票とした。最大人口を抱えるドイツが最多票を要求していることや大国との差に小国が反発し、調整は難航している。会議は10日にずれ込む見込みだ。
 議長案によると、大国と小国との差が拡大した形になっている。独仏英伊が最多の30票で計321票で現行は4大国が各10票。独は仏よりも多くの票を主張しているが、仏は欧州統合の両輪となった仏独を平等にしてEU内の政治的均衡を狙っている。
 可決の条件は全体の票数の約72%に相当する231票が必要。この際、反対する国が加盟国の半数以下で、かつ賛成国の人口の総計が全人口の58%以上であることが必要となる。
 EUの政策執行機関に相当する欧州委員会の委員数の改革も盛られた。現行は5大国から2人、その他の10カ国から1人の20人。提案によると、2005年からは各国1人ずつとする。2010年または加盟国が27カ国になった時点から委員の定数を20人にして、公平な輪番制とする。
 全会一致制から多数決制へ移行する議決の範囲については社会保障や司法協力などへの拡大は了承したが、英国やルクセンブルクが多数決への移行に反対していた税制分野は全会一致制を5年間維持する。独が難色を示していた移民政策では国境管理、不法移民協議に04年からの多数決制導入を提唱し、文化政策の点から仏が抵抗していた通商問題では多国間投資交渉、放送などが多数決の適用から除外されている。[2000-12-09-23:55] 99
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 12/09@<唄の話>イラク人の心いやす伝説の歌声(毎日新聞)

 「アラビアン・ナイト」の空飛ぶ絨毯で知られる町、イラクのモスル。ここの音楽喫茶に入ると、右手に大きなオープンリールのデッキが置かれていた。朝7時から夜9時の営業終了まで、店内に流れる曲は、1970年代以前のアラブ音楽。特に、72年に亡くなったエジプトの伝説的女性歌手オム・カルツームの曲がほとんどだ。店名も同歌手からとった。
 壁一面にアラブ人歌手の写真や絵が張られ、一番目立つところにカルツームの写真。町中にあふれるフセイン大統領の写真もここでは、片隅に申し訳程度にかかっているだけだ。
 カルツームはアラブで最も愛された歌手の一人。力強く歌い上げるラブソングが今も、アラブの人々の心を捕らえ、日本通イラク人は「アラブの美空ひばり」と表現した。オーナーのモハメドさん(61)が彼女の大ファンで、それが高じて93年にこの店を開いた。停電でも音楽を絶やさないよう、自家発電機を置いているほどの気の入れようだ。
 目を閉じ音楽に合わせて、脚を揺らしていた客のハッサンさん(52)の左目から突然、涙がこぼれた。
 「彼女の歌を聴くと、当時を思い出してね。あのころ、イラクは良かった。どんどん豊かになり、平和で幸せだった」。職のないハッサンさんは、毎日こうしてカルツームの歌を聴き、昔を懐かしむ。
 イラクは80年からイラン・イラク戦争、湾岸戦争と2度の大きな戦争を経験した。今も国連による制裁下にあり、国民は貧しさにあえぐ。モスルでは時折、米英軍による空爆も続いている。
 首都バグダッドにもカルツーム専門の喫茶店があり、疲れたイラク庶民の心を癒している。日本人が戦後、美空ひばりや坂本九の歌に励まされたのと似ているのかも知れない。
 涙をふいて照れ臭そうに笑うハッサンさん。イラク市民が国の現状を批判することはほとんどないが、ハッサンさんの涙に、言葉にできない思いをみたような気がした。(カイロ・小倉孝保)[2000-12-09-23:21] 100
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 12/09@<余録>姓名表記(毎日新聞)

 国語審議会が、日本人の氏名をローマ字で書くときに「姓+名」の順にするよう答申した。「わたくし、姓は車、名は寅次郎」の寅さんのサインは「トラジロー・クルマ」から「クルマ・トラジロー」になる▲審議会では「名前を先に表記するのは、明治時代の欧化主義の名残だ」という意見が出たそうだ。日本人は日本式に表記する方が、文化の多様性という面で望ましいという。そこまで思い詰めなくても、「名+姓」の欧米式だけが人名ではない。そもそも姓のない民族だって珍しくないのだ▲ご近所ではモンゴルが姓のない国だ。同名の人が多く紛らわしければ、父か母の名前を前に置き、普段はその頭文字を使って、D・バートルさんとL・バートルさんを区別する。外国人は、父母の名前をモンゴル人の姓だと思いこむと言語学者、田中克彦さんが「モンゴル―民族と自由」に書いている▲米国人だって都合で姓名を使い分ける。上院議員に当選したヒラリーさんが選挙運動用に作ったシンボルマークは「ヒラリーを上院へ」だった。名前だけでクリントンの文字がない。不倫の影がついて回るクリントン姓を隠したのだろう▲もともとヒラリーさんは、結婚後も、自分の姓のロダムを名乗っていた。だが、夫が州知事選に出た機会に、ロダムの後ろにクリントンを加え、ロダム・クリントンとした。大統領夫人時代は、当然ヒラリー・クリントンだった▲田中さんは、自分の名前を欧米式にローマ字表記した時期があった。日本式だと、外国の学会では「克彦」が姓だと思って大声で「カツヒコ!」と呼びかける人がいる。相手が年配の女性学者だと、母親にしかられているようで恐ろしかったそうだ。だが英語が事実上の共通語になったせいで、いろいろな人名のあるほうが、むしろ当たり前になってきた。[2000-12-09-23:20] 101 [このページの最初に戻る]


 12/09@◇「度量狭い」とクリントン大統領がブッシュ氏をけん制◇(朝日新聞)

 米大統領選の騒動ですっかり影の薄くなったクリントン大統領が8日、「次の政権に引き継いでほしい外交政策」について講演した。ゴア副大統領の後継を願う大統領は、共和党のブッシュ・テキサス州知事が公約している平和維持活動(PKO)の見直しや、議会共和党の孤立主義的な傾向を念頭に、「度量の小さいところを見せて、歴史的にもまれな超大国の座にある好機を逸してはならない」「国際的な責任に背を向ければ、世界が米国のパワーや繁栄に憤りを示すだけだ」と警告した。
 大統領は、後継者に引き継ぎたい外交原則として、欧州、日本などとの同盟関係の強化▽中ロとの建設的なパートナーシップ▽地域紛争の拡大を防ぐための積極的な関与▽大量破壊兵器、電脳(サイバー)テロなどの新しい脅威への対策▽経済のグローバル化の追求――を挙げた。
 ブッシュ知事は、クリントン政権の「人道的な理由による軍事介入」に慎重な姿勢を示すとともに、PKOなどへの軍の「過剰配備」を全面的に洗い直す方針を明らかにしている。大統領は「最強の軍事、経済力を誇る超大国なのに、国連PKOの米国要員は800人に1人の割合にも満たない」と指摘し、むしろ、PKOへの取り組みを強化すべきだ、との考えを示した。さらに、「米国は自らの力を安っぽく扱ってはならない。小さな紛争も放っておけば世界規模に発展する」と述べ、ブッシュ氏をけん制した。[2000-12-09-23:17] 103
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 12/09@軍縮外交題材に外務省が書籍、今月末に発刊(読売新聞)

 外務省は、日本外交の柱の一つである軍縮・不拡散分野でのこれまでの取り組みや実績、今後の方針などをまとめた「わが国の軍縮外交」を今月末に発刊する。核実験全面禁止条約(CTBT)の早期発効など軍縮外交を進める上で国民の理解と支持を広げるのが狙いだ。
 同書は、CTBTの早期発効を訴えた八月の森首相によるインド、パキスタン両国訪問や、CTBT発効期限を明示した日本の「核軍縮決議」が十一月の国連総会で採択に至った経緯などを紹介。今後の方針としては、〈1〉CTBT発効への取り組み強化〈2〉兵器用核分裂物質生産禁止(カットオフ)条約の即時交渉開始から妥結までの環境整備――などを掲げた。その上で「核兵器」「化学・生物兵器」「弾道ミサイル」など個別兵器ごとに、軍縮の現状や展望について分析している。
 初版は約四千部で、市販はせず図書館など学術・研究機関などで閲覧できるようにする予定。外務省では「ODA白書のように年一回の刊行も検討したい」としている。[2000-12-09-22:54] 117
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 12/09@機構改革で議長案提示 EU首脳会議が大詰め折衝(共同通信)

 【ニース(フランス南部)9日共同】ニースで開催中の欧州連合(EU)首脳会議は最終日の九日、焦点の機構改革問題でフランスが議長案を示し、議論の決着を目指した大詰めの全体会合を開いた。
 議長案は@欧州委員の数は二○○五年まで各国一人とし、二○一○年ないし加盟国が二十七カ国になった時点で二十人を上限とするA各国の持ち票の見直しはドイツを含む大国四カ国が三十票、人口最小国が三票B決定に際しては投票の過半数と加盟国全体の人口の五八%の賛成が必要―など。
 会議筋によると、大国グループの中では、持ち票数をドイツ、フランスなど最大の四カ国と同数にするよう求めるスペインが最も強硬な姿勢。議長提案はスペインに二十八票を割り当てるとしている。
 人口が最大のドイツも、最も多い票数を要求しているが、議長提案を受け入れれば、従来通りにフランスや英国、イタリアと同数になる。ドイツが譲歩すれば、スペインも姿勢を軟化せざるを得ないとの見方が強い。
 シラク大統領は、八日夜に各国首脳と個別会談を重ねて議長案を作成。九日午前の全体会合で支持を取り付け、同日午後(日本時間同深夜)に取りまとめたいとしているが、協議がもつれた場合は会期が十日まで延長される可能性もある。(了)[2000-12-09-19:01] 119
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 12/09@<バチカン>オーストリアのハイダー極右党首の訪問を容認(毎日新聞)

 【ローマ9日井上卓弥】クリスマスに合わせたオーストリアの極右・自由党前党首、ハイダー・ケルンテン州知事のローマ法王庁(バチカン)訪問計画について、バチカンは9日までに、訪問を容認する姿勢を示した。反発するイタリア与党・中道左派連合の左派系政党、労働団体は抗議デモや座り込みを行う構えで、論争は大聖年(2000年)のクリスマスを混乱させそうだ。
 7日付の中立系高級紙「コリエレ・デラ・セラ」によると、ハイダー氏は16日、ケルンテン州代表団250人を率いてバチカンを訪問。ローマ法王ヨハネ・パウロ2世に謁見後、聖ピエトロ広場で同州産クリスマスツリーの贈呈セレモニーにも出席するという。
 バチカンのソダーノ国務長官は7日の教会会議の席上、「バチカンはすべての人に開かれている。自由を愛するイタリアの人々は(ハイダー氏の訪問に)反対しないだろう」と述べた。
 クリスマス期間中に聖ピエトロ広場にツリーを飾る習慣は、現法王の即位(1978年)以来、恒例となり毎年、欧州各地からツリーが届けられている。[2000-12-09-17:55] 120
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 12/09@国連の事情聴取を拒否 東ティモール虐殺で国軍(共同通信)

 【ジャカルタ9日共同】国連東ティモール暫定統治機構(UNTAET)は昨年起きた虐殺事件の責任を追及するため、インドネシア国軍・警察幹部から事情を聴取する捜査チームを初めてジャカルタに派遣したが、国軍幹部らが一斉に呼び出しを拒否、捜査は難航している。
 UNTAETの捜査チームは同国最高検察庁と協力、七日に事情聴取を始める予定だったが、初日に出頭を求めた警察幹部五人はいずれも姿を現さなかった。
 九日の国内各紙によると、国軍・警察の弁護団は八日「国連の捜査活動に法的根拠はない」との見解をまとめ、キキ・シャナクリ陸軍参謀次長は「国連の利益のために将兵を差し出す考えはない」と述べた。
 東ティモールでの大規模な虐殺や破壊をめぐっては、国連とインドネシア検察がそれぞれ捜査を続けているが、国軍の抵抗が障害となっており、インドネシア側では容疑者の起訴のめどが全く立っていない。
 捜査の成果が挙がらなければ、今年九月に西ティモールで併合派民兵が起こした国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)職員殺害事件で国際批判を浴びたインドネシアへの風当たりが再び強まるのは必至だ。
 UNTAETとインドネシア政府は捜査の相互協力で合意しているが、国軍・警察側は「合意は国家主権を侵害している」などと主張している。(了)[2000-12-09-17:01] 123
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 12/09@中国の被害女性倒れる 女性国際戦犯法廷証言中、PTSDで(共同通信)

 戦時中の慰安婦制度などを裁くことを目指し、東京で開かれている民間の「女性国際戦犯法廷」二日目の九日、日本兵から性暴力を受けた中国の被害女性、万愛花さん(70)=山西省在住=が証言中に倒れ、救急車で病院に運ばれた。
 万さんは時折おえつを漏らし「手を木に縛られて暴行され、体はぼろぼろだ」と当時の被害を証言。「悲惨な体験は日本の責任です。わたしは怒っている」と叫び、立ち上がった時に倒れた。
 審理は一時中断し、関係者が「つらい体験をしたことによるPTSD(心的外傷後ストレス障害)で、以前にも倒れたことがある」と説明。戦後半世紀たってもいえない傷を目にし、目頭を押さえる参加者もいた。
 国連の旧ユーゴ国際戦犯法廷前所長で、裁判官のガブリエル・マクドナルドさんは「被害を話すことのつらさや困難さは理解している。判事として証言を聞きたいが、苦しみが和らぐことを願っている」と会場に語り掛けた。(了)[2000-12-09-16:38] 137
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 12/09@野党のクフォー党首優位 ガーナ大統領選(共同通信)

 【アクラ9日共同】七日に投票が行われた西アフリカのガーナの大統領選は八日夜、全国二百選挙区のうち五十六選挙区が開票を終了、うち四十五選挙区で野党第一党、新愛国党(NPP)のクフォー党首が与党、国民民主会議(NDC)のミルズ副大統領をリードしている。
 クフォー党首は出身地のアシャンティ州や首都アクラで票を伸ばし、ミルズ副大統領の出身州でも優位に戦いを進めている。しかし、NDCが圧倒的に強いノーザン州などの開票が遅れており、副大統領の巻き返しも予想される。
 大統領選挙には七人が立候補しているが、事実上二候補の一騎打ち。
 同時に投票が行われた国会議員選挙でもNPPが強く、定数二○○の過半数を制する勢いを見せている。(了)[2000-12-09-10:24] 139
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 12/09@ミャンマー制裁が本格始動 ILOが加盟国などに書簡(共同通信)

 【ジュネーブ8日共同】国際労働機関(ILO)のソマビア事務局長は八日、強制労働をめぐるミャンマー軍事政権に対する制裁措置への協力を求める書簡を加盟国政府や国連・国際機関に送付した。複数の外交筋が明らかにした。
 ILO理事会が先月に制裁を決定して以降、実施に向けた初の具体的な措置で、ミャンマー政府の反発は必至だ。
 外交筋によると、書簡は加盟国政府と国連・国際機関に対して「強制労働の継続につながるようなミャンマーとの関係」を見直すよう要請。各機関がどのような措置を取ったかをILOに報告するよう求めた。
 さらに加盟国政府には、ILOメンバーである経営者と労働者の代表にも制裁措置について通知するよう要請。民間企業や労働組合が制裁措置に加わることにも道を開いた。
 ILOは当初、約二百機関に書簡を送付する予定だったが、最終的には加盟国政府が百七十五、国連・国際機関が六十一の計二百三十六機関となった。
 ILO理事会は、公共事業への一般住民の徴用を認めたミャンマーの「都市法」と「村落法」について、撤廃に向けた改善が不十分だとして制裁措置の実施を決めた。(了)[2000-12-09-10:20] 145
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 12/09@EU、パレスチナ停戦監視団の結成案を支持(読売新聞)

 【ニース(フランス南部)8日=島崎雅夫】ニースで開催中の欧州連合(EU)首脳会議は八日、イスラエル治安部隊とパレスチナ人の衝突が続く中東情勢に関し、英、仏が提案している国連主導の停戦監視団結成案を支持する宣言を採択した。
 宣言は、イスラエル、パレスチナ自治政府間の和平交渉再開が必要だと強調、<1>双方間の信頼醸成<2>暴力行為の即時停止<3>流血事件に関する調査委員会設置――などを求めている。[2000-12-09-10:06]
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 12/10@前大統領が返り咲きか ルーマニア大統領選で決選(共同通信)

 【ブカレスト10日共同】一九八九年の東欧革命で当時のチャウシェスク体制を崩壊に追い込んだ元共産党書記のイリエスク前大統領(70)と、少数民族排斥を唱える極右、大ルーマニア党のトドール議長(51)によるルーマニア大統領選の決選投票が十日、行われた。十一日未明(日本時間十一日午前)にも大勢判明の見通し。
 直前の世論調査では、国民の四○%が貧困にあえぎ、インフレ率も四三%という経済的な苦境を背景に、共産主義時代を懐かしむ年金生活者や農村部を中心に七割近い支持を得た前大統領が返り咲く勢いだ。
 しかし、政治家の汚職追放を訴えるトドール議長も急速に支持を伸ばしており、混戦との見方もある。「最悪の二候補から少しでもましな方を選ぶだけ」(地元記者)といわれ、投票率の低下が懸念されている。
 両候補とも急進的な経済改革に消極的なため、民主化を果たしたユーゴスラビアなど近隣諸国とは対照的に孤立路線を歩む恐れもあり、同国が目指す欧州連合(EU)加盟は一層遠のいたとの観測が出ている。
 先月二十六日の第一回投票で過半数の得票者がおらず、上位二人の決選となった。イサレスク首相ら中道右派政権は統一候補を出せず分裂して敗退。コンスタンティネスク大統領は出馬せず引退を表明した。
 同時に行われた議会選では前大統領の左派、社会民主主義党が中道右派の現職連立政権を破り、ナスタセ元外相を首班とする組閣交渉が進められている。(了)[2000-12-10-16:59] 90
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 12/10@◇女性国際戦犯法廷に東ティモールから証言者◇(朝日新聞)

 第2次大戦中の東ティモールで旧日本軍の慰安婦にさせられたという女性2人が10日、東京・九段会館で開かれている「女性国際戦犯法廷」で初めて東ティモールでの実態を証言することになった。現地の非政府組織(NGO)と日本の研究者らの協力で、東ティモールにあった慰安所の配置などの詳細も分かった。
 来日したのはマルタ・アブ・ベレさんとエスメラルダ・ボエさん。いずれも年齢は分からないが、70歳前後と推定される。
 日本軍がマルタさんの生まれ故郷である東ティモール西部の内陸部の村、ボボナロ県ライ・フォウン付近に侵攻したのは1942年前半で、マルタさんが13歳ぐらいのころだった。
 日本兵が家に来て、近くの村の慰安施設に連れて行かれ、「初めての夜は10人の兵士、それからは3カ月間、1日に4、5人の兵士の相手をさせられた」という。
 エスメラルダさんも同じころ、同県メモ村の畑でタピオカを集めていたとき、5人の日本人に捕らえられ、将校の宿舎に連行され強姦(ごうかん)されたという。3人の将校に3年間にわたり、順番に性交渉や畑仕事を強要されたという。
 現地ではインドネシア国軍による性暴力の被害者や人権活動家によって97年に設立された東ティモール女性連絡協議会が、「法廷」を前に日本軍占領期の被害者の発掘に取り組んできた。古沢希代子・恵泉女学園大教員らが日本側の軍資料の調査などで協力。42年2月にディリに上陸した日本軍が、少なくとも13カ所で、慰安所で現地女性らを「奴隷化」したことが分かったという。
 10日の「法廷」では国連東ティモール暫定行政機構(UNTAET)司法部の2人の女性判事が「検察官」として実態を報告する。[2000-12-10-03:19]
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 12/11@<欧州連合首脳会議>加盟国拡大に確かな一歩(毎日新聞)

 【ニース11日橋本晃、森忠彦】欧州連合(EU)首脳会議が11日に合意したニース条約は、加盟国の大幅な増大を見込んで政策決定の効率化を図ったものだ。草案段階で盛り込まれながら先送りされた改革課題も多い。統合推進の期待感からすれば小さな前進にとどまった面もあるが、「拡大への道を開いた」(ブレア英首相)と評価できる。現加盟国は東欧などの新規加盟国を迎える強い意思を示したと言えよう。
 議長国のフランスが11月初めに示した最初の原案には、今回の改革の柱とも呼べる多数決制の対象範囲に48の項目を挙げた。この中には税制、移民政策、通商政策などの項目が盛られていたが、首脳会議で英独仏が反対して事実上の先送りに追い込んだ。とくに税制については独自の金融政策を取る英国やルクセンブルクの反発が強かった。
 会議後の記者会見で、プロディ欧州委員長は各国が拒否権の維持に固執した点などを批判し、「さらに前進できなかったことが悔やまれる」と率直な感想を述べた。
 しかし、EUの歴史の中でニース条約が統合に果たす役割は決して小さくない。EUは1952年に発足した前身の「欧州石炭鉄鋼共同体」が67年に「欧州共同体(EC)」となり、99年のマーストリヒト条約(92年調印)に基づく単一通貨ユーロ導入にみられるように経済中心の統合を推進してきた。今回の首脳会議では、これまで無縁だった中東欧や地中海諸国への拡大を前提とした機構改革に着手した。わずか10数年の間に加盟国数がほぼ倍増することも初めてだ。
 新規加盟国の大半は旧社会主義圏に属し、現加盟国との経済力の格差は大きい。しかし、ニース条約では多数決の際の国別の持ち票について現加盟国だけでなく新規加盟国にも配分して拡大への意思を示した。遅々とした動きには見えるが、EUが統合に向かって歩み続けているのは確かだ。
 新条約はこれから各国語の全条文を作成し、調印。通常、1年〜1年半をかけて各国議会で批准して発効するが、マーストリヒト条約の際には過度の統合に慎重なデンマークが批准を国民投票で否決し、発効が遅れた経緯もある。難産の末に生まれたニース条約が一人立ちするまでの道のりは、決して平坦ではない。
 <ニース条約の要旨>
▽特定多数決
 適用範囲を拡大。金融サービスなど29分野が新適用対象に。ただし、税制、社会保障、移民政策、音楽・映画産業の保護などでは引き続き全会一致の原則を適用する。
▽閣僚理事会での現加盟国の持ち票の見直し
 最多は29票(ドイツ、フランス、英国、イタリア)、最少は4票(ルクセンブルク)。
▽新規加盟国の持ち票
 最多はポーランドの27票、最少はマルタの3票。
▽拡大後の決定方式
 全票数は346票。決定には258票が必要。
▽欧州委員の数
 2005年以降、各国1人とし(現在は5大国は各2人、他は各1人)、加盟国が27カ国に達した時点で上限を設定。上限は27未満で輪番制にする。
▽先行統合
 最低8カ国の参加で実施。共通外交・安保政策、司法・内務協力も適用可能。軍事・防衛関連事項は対象としない。
▽欧州議会
 議席の上限は738(現在626)。
▽今後の改革
 さらなる機構改革のための協議を2004年に開始する。
欧州連合(EU)
 統合と発展を目指す欧州諸国で構成する地域連合体。第二次大戦後に設立された欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)、欧州経済共同体(EEC)、欧州原子力共同体(EURATOM)が母体。
 3共同体は欧州共同体(EC)に一本化され、1993年発効の欧州連合条約(マーストリヒト条約)で通貨統合、共通外交・安保政策の立案などを目標とするEUが発足した。
 議長国は半年交代の輪番制。通常年2回開催の定例首脳会議、意思決定機関の閣僚理事会のほか、主要機関として「内閣」に相当する欧州委員会、「国会」にあたる欧州議会などがある。
 15加盟国のうち11カ国が99年1月、単一通貨ユーロを導入した。同年5月発効のアムステルダム条約で統合強化が確認され、東欧諸国など12カ国が加盟交渉国になった。トルコは加盟候補国。
 加盟国増大を見据え、EUの権限を強化する「欧州連邦制」構想や、一部の加盟国だけで統合を進める「先行統合論」が浮上している。
 国名     現票数   新票数
(*は加盟交渉・候補国)
 ドイツ     10    29
*トルコ           ――
 英国      10    29
 フランス    10    29
 イタリア    10    29
 スペイン     8    27
*ポーランド         27
*ルーマニア         15
 オランダ     5    13
 ギリシャ     5    12
*チェコ           12
 ベルギー     5    12
*ハンガリー         12
 ポルトガル    5    12
 スウェーデン   4    10
*ブルガリア         10
 オーストリア   4    10
*スロバキア          7
 デンマーク    3     7
 フィンランド   3     7
 アイルランド   3     7
*リトアニア          7
*ラトビア           4
*スロベニア          4
*エストニア          4
*キプロス           4
 ルクセンブルク  2     4
*マルタ            3
__________________
 合計      87   346
        (EU発表資料から)[2000-12-11-23:16] 2
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 12/11@<中東情勢>国際調査委メンバーがイスラエル入り(毎日新聞)

 【エルサレム11日海保真人】泥沼化しているパレスチナ・イスラエル衝突の原因を究明する国際調査委員会のメンバーが11日、初めてイスラエル入りした。代表のミッチェル元米上院院内総務らはバラク・イスラエル首相、アラファト・パレスチナ自治政府議長とそれぞれ会談、双方の主張を聞くなどした上で、アナン国連事務総長と米大統領に報告書を提出、双方に勧告を出す予定だ。委員会の活動本格化を受け、衝突収拾への機運が生まれるものと期待されている。
 同委員会設置はエジプトのシャルムエルシェイクで10月に開催された緊急中東首脳会談で合意された。だが、その性格やメンバー構成などをめぐり、イスラエル、パレスチナ双方が対立、最近になって、ミッチェル元院内総務やソラナ欧州連合(EU)共通外交・安全保障上級代表、ヤーグラン・ノルウェー外相ら5人で構成することなどで妥協が成立した。[2000-12-11-23:30] 3
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 12/11@<イスラエル>バラク首相辞任=アラブ関係者の反応(毎日新聞)

 【カイロ11日小倉孝保】バラク・イスラエル首相の辞任を受け、アラブ連盟(本部・カイロ)のメギド事務局長は「イスラエルの政治的混乱を反映したもの」との考えを示した。また、ヨルダンの10日付け朝刊各紙も「インティファーダ(対イスラエル抵抗闘争)がバラクを打ち砕いた」と闘争の成果をたたえた。
 一方で、クウェートのコラムニスト、アイド・マアナ氏はAP通信に対し「選挙実施までの間、バラク首相はパレスチナ住民との衝突を解決するためのいかなる提案も受け入れないだろう」とバラク首相の辞表提出で紛争解決が一層、困難になったとの見方を示した。[2000-12-11-23:30] 5
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 12/11@<欧州連合首脳会議>苦悩の仏外交 一喜一憂の加盟国(毎日新聞)

 【ニース11日橋本晃】欧州連合(EU)史上で最も時間のかかった首脳会議で、議長国フランスはかろうじて各国から妥協を引き出した。単独で最多数の持ち票を求めるドイツの要求を封じるため、ほかの分野で同国に最大限に配慮したが、小国の反乱に遭って、まるで十字砲火を浴びた形になった。ニース会議で欧州のリーダーの地位を再確認させようとしたフランス外交にとって”勝利”にはほど遠い結果となった。
 フランスはドイツの要求をいれて多数決が成立する条件に「賛成国の人口が全加盟国人口の62%以上」を入れた。2004年から新たな機構改革の議論を開始することも盛り込んだが、これもドイツの主張だ。さらに、4大国と同数の持ち票を要求するスペインには大国に準ずる票を配分。ほぼ同じ人口のポーランドが怒るとポーランドも同数にした。ポーランドをドイツが後押ししたからだ。
 しかし、ドイツへの配慮を最重視したフランスは、中・小国グループや英国の反発に遭った。仏英独伊の大国は「人口1人当たりの票の重さが小国に比べて軽い」として、大国の強い発言権を確保しようとした。これに対して、相対的に票数を低く査定された中小国は猛反発。開幕前に小国から噴出した「フランス議長国はごう慢」との批判は会議終了までくすぶった。
 一方、英国は多数決を税制にも適用させる議長国案に反対した。英国内には「多数決の多用はEUの超国家化を進める」という統合懐疑派の反発が強い。このため、クック外相が「税制の分野は決して拒否権を放棄しない」と英国民に宣言していた。
 1998年のブレア英首相とシラク仏大統領の会談で欧州独自の防衛強化で一致していたが、ニース会議では両首脳の食い違いが表面化した。EUがつくる緊急対応部隊について、米国を盟主とする北大西洋条約機構(NATO)との連携を主張するブレア首相に対してシラク大統領はNATOからの自立を唱えた。仏英の溝が深まった。
 シラク大統領は会議終了後の会見で、「ニース首脳会議は歴史に残る会議だ」と自賛した。しかし、これだけの外交的犠牲を払ってつくり上げた合意は「満足できるものではない」(仏外交筋)というのが実情だ。
【ニース11日岸本卓也】欧州連合(EU)首脳会議は政策決定に用いる多数決の国別の持ち票の票数で最後までもめた。人口が基準になっているのだが、各国が「もっと票が欲しい」と要求した。とくに「あの国が我が国よりも票が多いのは納得できない」という相対的な比較で食い下がる国が多かった。
 ドイツ、フランス、英国、イタリアの4大国を最多票で横並びにすることが交渉の前提だが、オランダとベルギーのようなライバル意識の強い国も互いの票数を比べて張り合った。また、今回はポーランドやチェコなどの加盟候補国にも票の配分を行ったために「どうして新参の国が現加盟国より多いのか」という不満も流れた。
 国の発言力を査定する通信簿になったが、この票数の配分は多数決ではなく全会一致。各国から文句の出るたびに議長国フランスが票配分の改訂版を出した。そのたびに各国の代表団は一喜一憂。夜通しの会議場に嘆きや喜びの声が上がった。[2000-12-11-23:16] 7
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 12/11@<カフェテラス>悩める情報部員 バンコク 小松健一(毎日新聞)

 バンコク郊外で待ち合わせした彼は、独高級車ベンツに乗って現れた。この間までタイ国境に近いミャンマー領内のジャングルで戦闘服を着ていた姿と、ベンツとの奇妙な取り合わせに思わず笑ってしまった。「やっぱりおかしいか」と彼も照れ笑いした。
 彼はミャンマーの反政府少数民族組織の軍事部門「カレン民族解放軍」情報部員である。パスポートも身分証明書も持たない身には、バンコク行きは戦場よりも危険であるに違いない。高級車ならタイ当局のチェックも甘くなると、「精一杯のおめかしをして」堂々と乗り込んできたのだ。
 同解放軍は自治権を求め50年以上もミャンマー政府と戦っている。1988年の軍事政権発足後は、民主化運動指導者、アウンサンスーチーさん率いる野党・国民民主連盟(NLD)と提携し、反軍事政権キャンペーンを行っている。
 だが、欧米諸国はアウンサンスーチーさんの動向だけに注目し、血を流している少数民族にはあまり目を向けない。「どうしてスーチーさんだけが日の当たる場所にいるんだ」。そんな不満が募るにつれ彼は一線から身を引き始め、鉱山開発などのビジネスチャンスをつかむため、バンコクなどタイ国内に頻繁に通うようになった。
 「スーチーさんの名を借り、国際社会の関心を引きつけるなんて、しょせん無理だったんだ」。情報部員として、ミャンマー領内の麻薬施設の攻撃作戦を立案したり、麻薬流入に悩むタイ国軍から武器調達の協力取り付けを図ったこともある。だが、活動にのめり込むうち、資金的な持ち出しも増え、妻は一時家出し、長男も非行に走った。それが生き方を再考させるきっかけになった。
 「これからは民族のためでなく家族のために働きたい」。そう言って彼はベンツで去って行った。【バンコク・小松健一】[2000-12-11-23:15] 11
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 12/11@ルーマニア大統領、イリエスク氏が返り咲き(読売新聞)

 【ブカレスト11日=佐々木良寿】ルーマニア大統領選挙の決選投票は十日行われ、即日開票された。中央選管が十一日午前発表した中間集計(開票率86・24%)では、旧共産党系のイオン・イリエスク前大統領(70)(社会民主主義党)が66・69%、対立候補で民族主義過激派のコルネリウ・バジム・トゥードル氏(51)(大ルーマニア党党首)が33・31%を得票。前大統領が当選を確実にし、十日夜、勝利宣言した。
 イリエスク氏が返り咲いた背景には、出口の見えない生活苦に対する国民の絶望感がある。チャウシェスク独裁体制を倒した革命から十一年。他の東欧諸国が欧州連合(EU)加盟に向けて着実に経済改革を進める中で、今選挙は、針路の定まらない同国の苦悩を浮き彫りにした。
 当地の外交筋によると、イリエスク氏勝利の最大の要因は、「経済改革は推進するが、国民負担は最小限にする」などとした同氏の公約に対する国民の「わらにもすがる思い」があった。支持層は農村部の高齢者や低学歴貧困層が中心。
 確かに同国の経済苦境は深刻だ。平均所得は月百ドル程度だが、三十〜四十ドル程度の貧困層が四割前後を占める。インフレは九七年の年率154・1%をピークに改善してきたとはいえ、今年も40%を超える勢いで、生活水準は八九年当時の半分にまで落ち込んだ。
 EUは、加盟候補国の現状を評価する年次報告で、今年も「ルーマニアでは市場経済が機能しているとは言い難い」と、市場経済化の遅れを指弾した。
 中道右派のコンスタンティネスク現連立政権は、経済改革による生活向上という国民の期待を担って九六年十一月に発足したが、本格的なリストラ、国営企業の民営化などがスタートすると、経済は一気にマイナス成長に転じた。また、民営化に乗じて汚職がまん延、連立政権内は政争に明け暮れた。十一月下旬の議会選で中道勢力が大きく後退し、今回の大統領選が「左右両翼の決選」になったことに、改革派政権への国民の失望感が表れている。
 イリエスク氏は十日夜の勝利宣言で、「透明性のある民営化などにより、経済再建に全力を挙げる」などと述べ、“改革”推進の公約を改めて強調した。しかし、EU加盟を至上命題とするいま、国民の犠牲を最小限に改革を進める処方せんを見出すことは極めて難しい。そもそも、経済改革を先送りしたのはイリエスク前政権だった。
 次期政権は、確実にその代償の清算を迫られる。
         ◇
 ◆イオン・イリエスク氏(Ion ILIESCU)=70歳◆
 温厚な性格、老練な政治家と評される半面、目的のためには手段を選ばないともいわれる。
 一九三〇年三月三日生まれ。ブカレスト工科大学で学んだ後、モスクワへ留学。七一年に共産党書記に就任したが、チャウシェスク党書記長(当時)と対立、解任され、八〇年代半ばには技術関連の雑誌編集長に降格されるなど不遇の時代を過ごした。
 チャウシェスク大統領夫妻の銃殺という劇的展開を見せた八九年十二月の革命で、暫定政権の救国戦線評議会議長(元首)に就任して復権。九〇年五月の革命後初の大統領選で当選し、九二年に再選。九六年十一月にコンスタンティネスク現大統領に敗れるまで、革命後のかじ取りをした。
 国内では最も実力ある政治家とされるが、独裁体制下で悪名をはせた秘密警察の人脈を握るなど旧共産党の体質が染みついている。じり貧の経済を再建しつつ、国民の支持を維持するのは難しいだけに、前途は険しい。(ブカレストで 佐々木 良寿)[2000-12-11-22:44] 13
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 12/11@◇ネタニヤフ前首相、立候補に意欲 イスラエル首相選◇(朝日新聞)

 イスラエルで首相選だけが実施される公算が大きくなる中、ネタニヤフ前首相が10日、首相選への立候補に意欲を表明した。国会議員でないネタニヤフ氏が立候補できるかどうかが当面の焦点になるが、記者会見で同氏がパレスチナ側に対する強硬方針を示したことは、和平問題を選挙の争点としていっそう鮮明に浮かび上がらせた。
 イスラエル国内には、パレスチナ人との衝突で自国民にも爆弾テロや銃撃による犠牲が出るようになったことから、パレスチナ側に強い姿勢で臨むべきだという空気が強まっている。それがネタニヤフ氏の個人的人気と結びつき、世論調査での高い支持率につながっている。
 しかし、10日の記者会見でネタニヤフ氏がバラク首相の和平政策を批判したことは、和平推進派の反発心を呼び覚ました。
 バラク首相の不人気の理由は、和平の代わりに衝突をもたらしたことへの批判だけではない。連立政権維持のために宗教政党にすり寄ったかと思うと、宗教的規制の緩和の断行を宣言して世俗派支持者の支持を取り戻そうとするなど、一貫しない姿勢への幻滅が広がったためでもある。
 だが、「パレスチナ側に大幅な譲歩をしようとしたことが衝突の拡大をもたらした」というネタニヤフ氏の発言は、和平を停滞させた首相時代の同氏を連想させた。労働党内からは、「和平派の結束を促してくれた」との声も出ている。
 バラク氏は、首相を辞任し、選挙で改めて和平推進への国民の支持を求めると表明した中で「リクードをはじめ右派には、和平について対抗策がない」と指摘した。右派路線では力で他民族を抑え続けるだけで、イスラエルの真の安全と安定につながらないと強調し、領土と平和の交換による和平の選択を改めて国民に訴える狙いがある。[2000-12-11-22:11] 17
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 12/11@<記者の目>EU首脳会議の難航 欧州総局 岸本卓也(毎日新聞)

 近い将来に15カ国から30カ国近くに加盟国を増やす欧州連合(EU)が、新しい構造を求めてもがいている。巨大化した機構は統合どころか国家の利害調整すら難しくなるからだ。7日から11日までフランス南部ニースに集まったEUの首脳たちは、妥協を重ねたうえで機構改革のための条約に合意した。確かに条約と呼ぶ文書はできた。しかし、最大の人口を理由に最大の発言力を要求したドイツや、欧州の盟主の地位にこだわるフランスなど各国首脳に統合への熱意が感じられなかった。国益を優先する風潮が漂い、欧州統合への道がかすんで見えた。
 「NICE IS NOT NICE」(ニースはナイスではない)という言葉が5000人以上の報道関係者を収容できる広いプレスセンターの中で飛び交った。地中海に臨む美しい観光都市の名前はフランス語でNICEと表記する。英語の「良い」とか「素敵だ」という意味のNICE(ナイス)と同じつづりだ。難航を極める会議の行方にいら立った記者たちの合言葉になってしまった。
 議長国フランスは当初の7、8日の2日間の日程を10日の日曜日まで延ばしたが、交渉は11日朝までもつれこんだ。難問の機構改革論議を後回しにしたからだ。巨大化したEUの機能を停止させないためには、全会一致の意思決定を減らして多数決を多用しなければならない。国別の持ち票の配分を見直すことになったが、「もっと票をくれ」と首脳たちがごねたのだ。
 持ち票の大小が国家の発言力の大小につながる。しかも、持ち票が国家間の国力を適正に反映しなければ国家間の政治的均衡が崩れてしまう。つまり、大国と小国の差はもちろん、同じ規模の国同士の持ち票の差も重要になる。すべての参加国が自国の持ち票だけでなく全加盟国の持ち票に納得しなければならないから交渉は難しくなる。
 首脳たちは自国の国益を代表するわけだから、持ち票の積み上げを求めて争うのは当然のことかも知れない。しかし、今回の票の配分ではEUの将来を危うくする新しい事態が生じた。欧州統合を引っ張ってきたフランスとドイツの争いだ。ドイツがEUの中で最大人口を抱えていることを理由にフランスや英国を上回る最多票を要求した。
 ドイツが堂々とフランスよりも政治的な優位性を主張したことは、第二次大戦後の欧州史で特筆すべき事件と思う。欧州に大きな災禍を与えたドイツが国家として存在するためには、国益を欧州全体の利益、すなわち統合の中に沈めていくほかはなかったはずだ。
 ところが、首脳会議でシュレーダー独首相は「10年前の東西ドイツ統一でドイツの人口は8000万人を超えた」と5000万人台のフランスや英国よりも大きな発言力を求めた。ドイツ統合を成功させたコール前首相でさえ、英国やフランスを超える発言力を求めなかった。ドイツに刺激されスペインやオランダなどが持ち票上積みを求めた。
 「遠慮しないドイツ」の登場は冷戦終結後の欧州の政治情勢を一変しかねない。EUの新規加盟国はポーランドなど東欧諸国がほとんどで、地理的にも歴史的にもドイツと関係が深い。政治的、経済的にドイツの支援が必要な東欧諸国が加盟すればEU内でのドイツの発言力は増大する。
 人口の大小でEUの発言力を決めようとするドイツの姿勢の裏側には、欧州を「国家」統合から「国民」統合まで進めようとする「欧州連邦構想」がある。国家の消えた連邦の中では有権者である市民の一人の票の重さは平等だ。人口の多いドイツ人には有利である。だが、「ドイツは連邦の衣の中で支配力を強化する」と警戒されている。
 シラク仏大統領は国民レベルの統合ではなく国家レベルの統合で留めたい。国益を調整して全加盟国の利益に還元しようとする。だからこそ、仏よりも発言力の強い国がEUに存在するのは許せない。ドイツの発言力の増大はフランスが重視する大国間の政治的な力のバランスを崩すからだ。
 結局はドイツが譲歩して大国の持ち票は同数になった。しかし、多数決が多用されると大国は国益が重なる仲間を求めて多数派工作に走る。フランスは南欧諸国との連携を図っている。ブレア英首相は北欧の国々と組みやすい。イタリア、スペイン、オランダも国益の合致した相手を求めるだろう。域内の合従連衡で紛糾するかも知れない。
 南欧のニースで取材しながら私は遠く離れたベルリンやパリやロンドンを想った。町を分断していた壁が消えてモダンなビルが次々と建つベルリン。パリは相変わらず華やかな独自の文化を咲かせ、ロンドンは国際金融都市として好景気に沸いている。だが、それぞれの都の空に暗雲が垂れ込めたように感じた。多様な言語と文化を誇る国家を抱えながら巨大化するEUは国益を調整できるだろうか。不安は高まるばかりだ。[2000-12-11-21:16] 21
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 12/11@<政府開発援助>世界銀行総裁が会見で削減に懸念(毎日新聞)

 来日中のジェームス・D・ウォルフェンソン世界銀行総裁は11日、東京都内で会見し、日本の政府・与党が検討しているODA(政府開発援助)の削減問題について、「財政が厳しい時にはどの国でもODAの見直しが議論されるが、日本がもし大幅な削減をすれば、国際的に大きな影響が出るだろう」と述べ、最大の援助国である日本のODA削減に懸念を表明した。
 また、同総裁は、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の世界銀行への加盟について「加盟各国の間に北朝鮮の参加を促す気運が高まっている。米国がテロ支援国の指定を解除すれば(参加を)歓迎する」とし、条件付きながら北朝鮮の加盟に前向きな姿勢を示した。 【竹川 正記】[2000-12-11-19:26] 24
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 12/11@「杉原千畝を忘れない」 大阪で生誕百年記念式典(共同通信)

 第二次大戦中、ナチス・ドイツの迫害から約六千人のユダヤ難民を救った元リトアニア領事代理の故杉原千畝氏(一九○○―八六年)の生誕百年をたたえる記念式典とジャズコンサートが十一日、幸子夫人(86)や各国の大使館関係者らを招き大阪市の大阪国際会議場で開かれた。
 記念式典では、杉原氏から日本通過査証(ビザ)の発給を受けた米国ボストン在住のサミュエル・マンスキー氏らが講演。ビザ受給により救われた生涯を振り返り、「私たちユダヤ人は杉原千畝氏を決して忘れない」と語り、自らボストンに建立した記念碑の写真を幸子夫人に手渡した。
 記念事業委員会も幸子夫人に偉業を顕彰する記念の盾を、杉原氏と同じ立場でユダヤ人救済に尽力した世界十カ国の外交官二十二人に「杉原千畝生誕百年人道賞」を贈呈。夫人は「主人のことを忘れずたたえて下さることは私の生きがいです」と喜びを語った。
 記念事業委員長の明石康・元国連事務次長は、杉原氏の地球的、人類的観点からの勇気ある行動に学ぶ重要性を指摘、「(二十世紀を満たした)戦争と迫害と偏見が克服される二十一世紀にしたい」と訴えた。(了)[2000-12-11-18:19] 31
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 12/11@ロシア大統領13日キューバ訪問 両国関係の修復目指す(共同通信)

 【モスクワ11日共同】ロシアのプーチン大統領が十三日から七日間の日程でキューバ、カナダ歴訪に出発する。ロシア大統領のキューバ訪問は初めて。
 カストロ国家評議会議長との会談で、旧ソ連崩壊後に一時冷却化した両国関係の修復を確認、冷戦時代のイデオロギーで結ばれた関係から経済面の関係拡大に主眼を置く「実利関係」への転換を目指す。
 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)など、かつての社会主義同盟国との関係立て直しを進めるプーチン政権の独自外交の一環で、キューバでの「失地回復」を図り、米次期政権発足を前に先手を打つ狙いだ。
 ロシアの最高指導者のキューバ訪問は、一九八九年四月のゴルバチョフ元ソ連大統領(当時最高会議幹部会議長)以来。
 大統領は十四、十五の両日、数回にわたりカストロ議長と会談し、両国関係の発展を盛り込んだ共同宣言に調印する見込み。議長は米国の対キューバ経済封鎖問題で、解除に向けた支援を求めるとみられる。
 しかし二百億ドル前後に上るキューバの巨額の対ロ債務問題が二国間の懸案となっており「完全修復」を宣言できるかは微妙。キューバの原発建設支援問題や、ロシア製武器の輸出なども協議されるとみられ、米次期政権を刺激することになりそうだ。
 大統領は十七日にオタワへ向かい、クレティエン首相らと会談。弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約修正に反対するロシアへの「連帯」を求め、米国をけん制するとみられる。(了)[2000-12-11-16:09] 38
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 12/11@EUがニース条約に合意 加盟国拡大へ機構改革(共同通信)

 【ニース(フランス南部)11日共同=川北省吾】欧州連合(EU)首脳会議は十一日、二○○三年以降に見込まれる加盟国拡大に備え、意思決定過程や機構を改革することを盛り込んだニース条約に最終合意した。
 現在のアムステルダム条約に代わる新たなEU基本条約で、来年前半に各国が批准を終え、○二年中に発効する見通し。しかし、税制調和や社会保障といった重要政策では英国が拒否権を手放さず、特定多数決制を導入できなかった。
 これにより、会期を延長してEU史上最長の五日間にわたった会議は抜本改革に踏み込めないまま閉幕。大国が加盟国拡大の重要性を強調しながら国益に執着する姿を印象付け、小国や欧州委員会からは厳しい批判も上がっている。
 一方、一部加盟国が先んじて特定分野の統合を進める「先行統合」についてEU首脳は、最低八カ国が参加すれば、経済や社会分野以外の共通外交政策でも導入することで合意した。
 ニース条約案によると、意思決定の際の各国持ち票は人口や国力を考慮し、ドイツ、フランス、英国、イタリアの大国に各二十九票を割り当てた。最も少ないのは新規加盟交渉中のマルタで三票。
 この結果、加盟交渉中の十二カ国がEUに入り、加盟国が二十七に膨らんだ時点の総票数は三百四十二票となった。
 法案などの採択には二百五十八票と加盟国数の三分の二の賛成、阻止には八十九票がそれぞれ必要で、三つの大国を含む計四カ国が反対すれば決定を阻める。
 現在二十人の欧州委員数については、○五年から「一国一委員」とし、加盟国が二十七に増えた時点で二十六人以下に抑えることで合意。特定多数決は重要政策以外の二十以上の分野や映像ソフトなどを除くサービス貿易などに適用されることになった。(了)[2000-12-11-13:58] 43
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 12/11@<ガーナ>大統領選は決選投票へ 過半数得票候補者なく(毎日新聞)

 【ヨハネスブルク10日藤原章生】西アフリカのガーナからの報道によると、7日投票の同国大統領選挙は即日開票の結果、投票総数の過半数を得票した候補者がなく、年内をめどに決選投票が行われることになった。各候補の得票率の内訳は、野党・新愛国党のクファー党首(62)が48%強、ミルズ副大統領(56)は45%弱だった。決選投票はこの2人で争われる。[2000-12-11-12:16] 45 [このページの最初に戻る]


 12/11@◇ルーマニア大統領選、旧共産系のイリエスク氏が制す◇(朝日新聞)

 ルーマニアで10日、大統領選の決選投票が行われた。複数の世論調査機関による出口調査結果によると、旧共産系・社会民主主義党のイリエスク前大統領が約70%を得票し、少数民族排斥などを掲げる極右のトゥドル・大ルーマニア党党首を下し、政権復帰を確実にした。新政権は、民族主義者の台頭を抑えつつ、欧州連合(EU)加盟候補国の中で最も遅れているとされる経済改革を進め、低迷する経済を立て直す、困難な課題に直面することになる。
 イリエスク氏は10日夜、出口調査結果が出た後、ブカレスト市内の党本部で、「ルーマニアの民衆が過激主義、外国人排斥や専制を拒絶したことは明らかだ」と勝利を宣言した。最優先課題として「経済の立て直し」を挙げ、公正で効率的な民営化や、世界銀行・国際通貨基金(IMF)との融資条件交渉を進める意向を示した。
 一方、敗れたトゥドル氏は同夜、「大規模な不正があった」などと主張。選挙結果を受け入れない姿勢を示した。
 同氏は、ロマやハンガリー人、ユダヤ人など少数民族を社会混乱の原因として非難し「この国は機関銃でしか統治できない」と発言するなど、過激な言動で勢力を拡大。11月末の第1回投票で、4年前に誕生した中道右派連立政権に嫌気がさした層を中心に、事前の予想を大幅に上回る約3割の得票で決選に進んだ。[2000-12-11-12:03] 49
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 12/11@ODA大幅削減に反対 世銀総裁(共同通信)

 来日中の世界銀行のウォルフェンソン総裁は十一日東京で記者会見し、自民党や日本政府が政府開発援助(ODA)の削減を議論していることについて、「日本は(ODAを通じて)国際的責任を担うリーダーであり続けてほしい」と、適切な対応を求めた。
 総裁は「財政の厳しい時期でありODAの精査もやむを得ない」としながらも、自民党の一部が主張するODAの大幅削減については「日本は最大のODA拠出国であり、大幅削減は国際的に非常に大きな影響を与える」と反対する考えを示した。
 一方、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の世界銀行加盟については「加盟国の政治家に北朝鮮を加盟させたいという強い意図があり、世界銀行としても時期が来ればこうした動きを支援したい」と述べた。(了)[2000-12-11-11:46] 26
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 12/11@コンフェデレーション杯、日本の会場は最大3か所(読売新聞)

 【ローマ10日=川島健司】国際サッカー連盟(FIFA)は10日、ローマで理事会を開き、2002年ワールドカップ(W杯)のプレ大会として来年に日韓両国で予定されているコンフェデレーション杯の日程を5月30日から6月10日までの計12日間とし、試合会場は日韓両国とも最大で3か所とすることを決めた。
 出場するのは日韓両国に加え、各大陸の現王者であるブラジル、フランス、カメルーン、オーストラリア、カナダに前回大会優勝のメキシコの計8か国。W杯と同様に開幕戦は韓国、決勝は日本で行われる。
 また、この時期の欧州各国リーグの日程との絡みがあるため、通常は開幕14日前となっている代表チームへの選手の招集を開幕5日前に遅らせるほか、大会期間中に大詰めを迎えるスペイン、イタリアリーグでプレーする選手の出場に関しても配慮することにした。
 一方、2002年W杯の韓国開催分の試合の一部を北朝鮮で開催するという案について、FIFAのブラッター会長は、「FIFAはドアを開けている」と従来の姿勢を繰り返したが、本大会の抽選が行われる来年12月までには可能かどうかの決定を下すとし、初めて期限を区切った。
 このほか、来年スペインで行われる第2回世界クラブ選手権は7月29日―8月12日の日程で、オセアニアを除く各大陸連盟から2チームずつが出場、これにオセアニアと地元スペインからの各1チームを合わせた計12チームで争われることも決まった。
 また、夏季五輪に関し、2004年アテネ大会以降もサッカーは参加するものの、いわゆるオーバーエージ選手の出場については、今後国際オリンピック委員会と検討することとした。[2000-12-11-17:27] 33
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 12/11@監督の信頼もつかんだ中田 「最高の形」とカペロ確信(共同通信)

 サッカーのイタリア一部リーグ(セリエA)でローマに所属するMF中田英寿は十日、ローマで行われたウディネーゼ戦で、十一月五日のブレシャ戦以来5試合ぶりに先発出場し、得点こそなかったがフル出場で実力をアピールした。
 カペロ監督は「中田とトッティが一緒にプレーしてびっくりだろう」と冗談を飛ばした。FWのデルベッキオを外し、司令塔のトッティを上げてバティストゥータと2トップ。攻撃的MFの位置に中田を入れたのは予想外だった。
 前半は自在に動き回るトッティら周囲との連係に少し戸惑った。だが、2―1で迎えた後半はトップ下から左右のスペースへ飛び出して好機をつくった。
 後半23分には右サイドからゴール前のトッティに絶妙のクロスを出してPK(失敗)を誘い、終了間際には左から持ち込んでゴール右隅へ放ったシュートがポストを直撃するなど大観衆をわかせた。
 今季の中田はエースのトッティの控え的存在で、リーグ戦よりも欧州連盟(UEFA)カップなどのカップ戦要員だった。しかしカペロ監督は試合後の会見で「トッティ、バティストゥータ、中田のフォーメーションは現時点で最高の形だから選んだ」と確信したように言った。
 首位を快走するローマは年内に昨季の覇者ラツィオとのダービーマッチ、さらに昨季2位のユベントス戦と、重要な試合が続く。この日のプレーぶりを見る限り、その2試合で背番号「8」がフィールドに立つことは間違いない。(ローマ共同=松村圭)(了)[2000-12-11-15:50]


 (注)この「最近のボスニア」コーナーは、一般に報道されている記事に、千田が一部手直しして掲載しているものです。出所は明示しており、各社・各記者の著作権を侵害するつもりはありませんが、著作権上問題があるとお考えの方や、自分(自社)の記事は載せないでほしいという方がいらっしゃれば、このホームページの感想もふくめて、千田あてに連絡してください。
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