最近のボスニア(旧ユーゴスラビア)情報

(11/14, 2001)


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◆ 11/09@首相特別代表に緒方貞子氏 アフガン問題で「顔」に(共同通信)
◆ 11/09@日本、人道支援で指導力発揮を…国連難民高等弁務官(読売新聞)
◆ 11/09@<危険情報>引き上げで中東地域に高まる不満 観光業界が打(毎日新聞)
◆ 11/09@計画は綿密、組織的 教則本通りテロ決行 運命知らぬ実行犯(共同通信)
◆ 11/09@<アフガン難民>東京入管の身柄拘束を解かれた5人が心情語(毎日新聞)
◆ 11/09@大阪地裁でアフガニスタン男性が迫害体験を証言(読売新聞)
◆ 11/09@タリバンの残虐行為証言 大阪地裁でハザラ人男性 難民訴訟(共同通信)
◆ 11/09@アフガン支援、首相特別代表に緒方貞子氏(朝日新聞)
◆ 11/09@首相特別代表に緒方貞子氏 アフガン問題で「顔」に(共同通信)
◆ 11/09@代理人をイラクに派遣 98年にビンラディン氏(共同通信)
◆ 11/09@天皇はノー、金総書記歓迎 W杯開会式で韓国誌調査(共同通信)
◆ 11/10@ユーゴ空爆の3分の1 アフガニスタン空爆で投下爆弾総数(共同通信)
◆ 11/10@カブールを国際管理下の「開放都市」に 米国務長官提唱(朝日新聞)
◆ 11/10@国連、暫定政権づくり急ぐ マザリシャリフ制圧受け(朝日新聞)
◆ 11/10@11月11日付・編集手帳(読売新聞)
◆ 11/10@<COP7>次回(COP8)は来年10月にインドで開催(毎日新聞)
◆ 11/10@<CTBT>批准促進会議に米は欠席 事実上のボイコット(毎日新聞)
◆ 11/10@COP7合意で首相、米への働きかけ続行(読売新聞)
◆ 11/10@「米中2強時代」幕開け 途上国も意思決定に参加(共同通信)
◆ 11/10@虜囚の後悔と反米感情交錯 元タリバン兵ら収容所(共同通信)
◆ 11/10@中国迎え新競争時代に突入 日本の産業は空洞化 WTO(共同通信)
◆ 11/10@「核と化学兵器を保有」ビンラーディンが言明(読売新聞)
◆ 11/10@日本、来年の通常国会で京都議定書批准へ(読売新聞)
◆ 11/10@11月10日付・よみうり寸評(読売新聞)
◆ 11/10@COP7、京都議定書運用ルールで最終合意し閉幕(朝日新聞)
◆ 11/10@ビンラディン氏の会見要旨(共同通信)
◆ 11/10@<アフガン情勢>因縁の地 マザリシャリフ(毎日新聞)
◆ 11/10@タリバン後政権作りは米主導で…米大統領が明言(読売新聞)
◆ 11/10@イラン大統領、米英の武力行使をやんわり批判(朝日新聞)
◆ 11/10@<国連>アフガンで170万人の子どもが生命の危機に直面(毎日新聞)
◆ 11/10@<国連特別会議>「文明の対話」呼びかける決議を採択し、閉(毎日新聞)
◆ 11/10@国連、空前の厳戒態勢 炭疽菌処理班も待機(共同通信)
◆ 11/10@ミレニアム宣言履行を訴え 国連総会で事務総長(共同通信)
◆ 11/10@血塗られた攻防の歴史 陥落したマザリシャリフ(共同通信)
◆ 11/10@カシミール紛争で自制要請 米印が反テロで一致(共同通信)
◆ 11/10@<ニュース展望>IRA武装解除着手 政治的解決への土壌育(毎日新聞)
◆ 11/10@<ニュース展望>IRA武装解除着手 政治的解決への土壌育(毎日新聞)
◆ 11/11@<アフガン情勢>NGOが活動困難に 援助物資、眠ったまま(毎日新聞)
◆ 11/12@包括和平後初めて、マケドニア戦闘が再燃(読売新聞)
◆ 11/12@<国連演説>テロ根絶へ足並み乱れ 貧困問題解決を訴える声(毎日新聞)
◆ 11/12@<中国副主席>次世代のエース胡氏 欧州歴訪で本格デビュー(毎日新聞)
◆ 11/12@北部同盟のカブール進攻、新たな混乱も (読売新聞)
◆ 11/12@民主・菅氏がPKF解除容認、共産は改正に反対(読売新聞)
◆ 11/12@包括和平後初めて、マケドニア戦闘が再燃(読売新聞)
◆ 11/12@<タリバン資産凍結>新たに1口座判明 資金の出入は見られ(毎日新聞)
◆ 11/12@<国連総会>東トルキスタン独立運動もテロ集団 中国外相が(毎日新聞)
◆ 11/12@米、CTBT会議を欠席…条約の早期発効困難に(読売新聞)
◆ 11/12@タリバン後の新政権を協議 国連で「6プラス2」開催(共同通信)
◆ 11/12@PKO法、武器使用基準を緩和へ 今国会で改正(朝日新聞)
◆ 11/12@<核実験禁止>「インドと条約締結の用意」 ムシャラフ大統(毎日新聞)
◆ 11/12@<CTBT>「動きを崩壊させかねない」と米国を批判 露代(毎日新聞)
◆ 11/12@「アフガン和平に積極関与」宮沢氏が国連総会で演説(読売新聞)
◆ 11/12@犠牲者の86カ国を呼び上げ団結 米大統領らテロ現地で(朝日新聞)
◆ 11/12@<WTO閣僚会議>台湾加盟も正式承認 (毎日新聞)
◆ 11/12@パレスチナは「国名」 米、意図的に初めて使用(共同通信)
◆ 11/12@ブッシュ国連演説を歓迎 アラファト議長(共同通信)
◆ 11/12@<国連総会>アフガンの和平・復興プロセス関与に名乗り 宮(毎日新聞)
◆ 11/12@広範かつ多民族で構成 タリバン後の新政権構想(共同通信)
◆ 11/12@日本の努力、暗礁に 米、一方的外交を復活 CTBT会議(共同通信)
◆ 11/12@米不参加で早期発効困難に CTBT促進会議が開幕(共同通信)
◆ 11/12@全民族の支持する政府に 「タリバン後」で緒方代表(共同通信)
◆ 11/12@マラドーナが引退試合、6万人のファンに別れ(読売新聞)
◆ 11/12@<サッカー>清水・アレックスが会見 代表入りに向け全力で(毎日新聞)
◆ 11/12@<サッカー>清水のアレックスが日本国籍取得(毎日新聞)
◆ 11/13@◎マケドニアで衝突、政府側兵士3人死亡(時事通信)
◆ 11/13@北部同盟、カブールへ進撃 ヘラート制圧(朝日新聞)
◆ 11/13@<国連>カブール制圧でシナリオ狂う 治安対策、正念場に(毎日新聞)
◆ 11/13@<タリバン政権>カブールからの撤退 「戦略的」な意味合い(毎日新聞)
◆ 11/13@<アフガン情勢>タリバン後の日本の関与 カブール制圧で影(毎日新聞)
◆ 11/13@<カブール制圧>元国王陣営、北部同盟との勢力均衡崩れ苦境(毎日新聞)
◆ 11/13@国連事務総長が「暫定統治、緊急協議」を提案(読売新聞)
◆ 11/13@<アフガン攻撃>ロシアは困惑 北部同盟カブール制圧で(毎日新聞)
◆ 11/13@<アフガン攻撃>タリバン戦闘行わずにカブール撤退(毎日新聞)
◆ 11/13@奪回後のカブールの治安に多国籍軍 米英が投入目指す(朝日新聞)
◆ 11/13@<アフガン攻撃>北部同盟の暴走懸念 米露パ、単独支配求め(毎日新聞)
◆ 11/13@<PKO法改正案>参加5原則の形骸化進む 「武器使用」拡(毎日新聞)
◆ 11/13@<サッカー>国際親善試合 韓国、クロアチアと引き分け(毎日新聞)
◆ 11/14@<EU>「東方拡大は順調」欧州委員会が年次報告(毎日新聞)
◆ 11/14@行動共にするザワヒリ副官 アテフ副官は化学兵器担当(共同通信)
◆ 11/14@<アフガン>ウズベキスタンからの人道支援物資が搬送可能に(毎日新聞)
◆ 11/14@11月15日付・編集手帳(読売新聞)
◆ 11/14@<アフガン>北部同盟の残虐な報復行為 米政府が懸念表明(毎日新聞)
◆ 11/14@<アフガン>タリバンが各地で撤退 政権としては崩壊(毎日新聞)
◆ 11/14@米、多国籍軍展開の決議案を安保理提示 (読売新聞)
◆ 11/14@<ペレス外相>「テロとの戦い」を毎日新聞社に特別寄稿(毎日新聞)
◆ 11/14@掃討作戦に重点移す 北部制圧で米軍 (共同通信)
◆ 11/14@新政権協議に本格着手 政府機能のカブール移転も(共同通信)
◆ 11/14@<アフガン派遣>治安維持に多国籍部隊 国連が正式承認へ(毎日新聞)
◆ 11/14@アフガン南部でも特殊作戦(読売新聞)
◆ 11/14@他国要員の防護も可能に PKO法改正案を与党側了承(朝日新聞)
◆ 11/14@米、国際部隊の派遣を国連に要請 アフガンで治安維持(朝日新聞)
◆ 11/14@<アフガン>2年以内に新政権計画 治安部隊も 国連の担当(毎日新聞)
◆ 11/14@「アフガンに2年以内に新政権」国連構想明らかに(読売新聞)
◆ 11/14@米、戦略核大幅削減を発表(読売新聞)
◆ 11/14@<米ロ首脳>WTO加盟に協力など共同声明 (毎日新聞)
◆ 11/14@暫定評議会の設立を提案 国連のアフガン担当特別代表(共同通信)
◆ 11/14@<北部同盟>指導者が権力独占か 「元国王帰国は一市民とし(毎日新聞)
◆ 11/14@<北部同盟>「カブール進攻は治安上の問題」 アブドラ外相(毎日新聞)
◆ 11/14@CTBT発効促進会議が最終宣言採択 発効への努力誓う(朝日新聞)
◆ 11/14@アナン国連事務総長、カブールなどの「解放」を歓迎(朝日新聞)
◆ 11/14@各派との交渉難航は必至 なお不確かさ残る国連構想(共同通信)
◆ 11/14@アフガン復興会議、「日米共催」に英仏が異論(朝日新聞)
◆ 11/14@2年後にアフガン「国民和解政権」 ブラヒミ代表構想(朝日新聞)
◆ 11/14@タリバン、ほとんど無抵抗で撤退…3つの疑問(読売新聞)
◆ 11/14@ビンラーディン感化でタリバン変容、孤立化浮き彫りに(読売新聞)

 (注)この「最近のボスニア」コーナーは、一般に報道されている記事に、千田が一部手直しして掲載しているものです。出所は明示しており、各社・各記者の著作権を侵害するつもりはありませんが、著作権上問題があるとお考えの方や、自分(自社)の記事は載せないでほしいという方がいらっしゃれば、このホームページの感想もふくめて、千田あてに連絡してください。
 千田あての電子メールはここをクリックしてください。  [最初のページに戻る]



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 11/09@首相特別代表に緒方貞子氏 アフガン問題で「顔」に(共同通信)

 福田康夫官房長官は九日午前の閣議後記者会見で、アフガニスタンの難民、復興支援のための小泉純一郎首相の特別代表に緒方貞子前国連難民高等弁務官を充てると発表した。
 小泉首相が同日までに要請、了承を得た。
 福田長官は「人道支援の分野で大きな実績を挙げた。日本政府の支援の実施に当たり大きな貢献をしていただけると期待している」と、日本のアフガン難民、復興支援の「顔」としての活動に期待を示した。緒方氏は関係国、国際機関と協議して活動するとしており、現地にも足を運ぶとみられる。
 緒方氏は国連公使、上智大教授などを経て、一九九一年から昨年十二月まで十年間、国連難民高等弁務官を務め、アフリカや旧ユーゴの難民問題で活躍した。(了)[2001-11-09-11:31] 98


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 11/09@日本、人道支援で指導力発揮を…国連難民高等弁務官(読売新聞)

 【ジュネーブ8日=大内佐紀】ルドルフス・ルベルス国連難民高等弁務官はこのほど、読売新聞と会見し、アフガニスタンが直面する「人道的危機」について警鐘を鳴らすとともに、日本に対し、「人道分野で、国際的な指導力を発揮してもらいたい」と促した。
 ――750万人と言われる避難民を今冬、どう支援するか。
 「援助プログラムを、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や世界食糧計画(WFP)などが行っているが、残念ながら、全体的な計画がない。アフガン国内の避難民支援を調整する立場にある大島賢三・緊急援助調整官(国連事務次長)と近々、協議する。この中で、アフガン内の一部地域に『非戦闘ゾーン』を創設し、そこに食料などの支援物資を空輸するようにできないか、提唱するつもりだ」――なぜ、計画を作るのに、手間取っているのか。
 「米同時テロ事件発生以前にも、支援物資を届けるのは困難だった。これが事件と、その後の空爆でさらに複雑になった。その結果、人道的危機が生じてしまった。国際社会はテロとの戦いと、人道支援をいかに両立させるかの答えを見つけられないでいる」――米軍による空爆が一時的に停止されれば、援助活動が相当楽になるのか。
 「楽になるが、これは政治的・軍事的判断だ。米同時テロ事件発生直後から、私は米国に対し、『軍事行動は、人道的援助が可能な形でやってもらいたい』と要請している」――パキスタン、イランともアフガンとの国境の開放を拒否しているが。
 「両国とも、テロ事件発生以前から、アフガン難民を頭から経済難民と見なし、受け入れない方針をとっている。タリバン軍に徴用される懸念があったり、空爆の被害に遭った人は、国外に出る可能性が与えられてしかるべきだ」――日本のこれまでの貢献をどう評価するか。
 「航空機など必要な能力を持った自衛隊のような組織には、それを発揮してもらいたい。今回のアフガン危機は、日本にとって、世界の人道支援リーダーとなる一つの機会ではないか」 [2001-11-09-22:41] 99


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 11/09@<危険情報>引き上げで中東地域に高まる不満 観光業界が打(毎日新聞)

 【カイロ小倉孝保】米英軍のアフガニスタン攻撃をきっかけに、日本の外務省が中東諸国の大半の国の危険情報をレベル2(観光旅行延期勧告)に引き上げたことに対し、中東地域の政府、観光業界から不満が高まっている。レベル2になると団体旅行がゼロになるため、トルコでは日本製品の不買運動が始まった。
 米英軍によるアフガン攻撃開始の翌日(10月8日)、外務省はエジプト、トルコ、ヨルダン、シリア、湾岸諸国などほとんどの中東諸国の危険情報を2にした。これを受けて、日本の国土交通省が旅行業者に団体旅行の中止を行政指導し、中東地域への日本からの団体旅行は実質、不可能になった。
 トルコ中部のイスラム教神秘主義の一派、メブラーナ教団の発祥地として有名なコンヤの商工会が10月末から、外務省の決定に抗議して日本製品の不買運動を開始した。エジプト、トルコ、アラブ首長国連邦(UAE)など多くの政府が外務省に対して、危険情報の引き下げを要求している。
 危険情報は、外国に滞在したり、渡航する邦人を対象に97年から外務省邦人保護課が出している。レベルは1(注意喚起)、2、3(渡航延期勧告)、4(家族退避勧告)、5(退避勧告)の5段階。
 エジプトやトルコ政府の話を総合すると、外務省への不満の理由は、(1)米国では炭疽(たんそ)菌による被害が拡大しているにもかかわらず、米国に危険情報を出さなかったダブルスタンダード(二重基準)(2)アフガン攻撃を「テロリストとの戦い」と言っているにもかかわらず、イスラム諸国全体を危険地域と認識しているイスラムべっ視――などだ。
 マムドフ・エジプト観光相は「日本の政策は不公平で不正義なものだ。良好な両国関係を阻害する。日本の外務省が早期に危険情報を引き下げるよう望む」と不満を表明した。
 一方、外務省邦人保護課は「各国の治安情勢を総合的に判断して危険情報を出している。米国に危険情報が出ないのは医療態勢なども考慮してのことだ」と説明している。 [2001-11-09-21:35] 119


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 11/09@計画は綿密、組織的 教則本通りテロ決行 運命知らぬ実行犯(共同通信)

 九月十一日早朝、ボストンのローガン国際空港。離陸間近のアメリカン航空11便「8D」席の男が、同じ滑走路の後ろで離陸の順番を待つユナイテッド航空175便「6C」の男に携帯電話をかけた。「いとこ同士」と呼び合う気心の知れた二人。会話は一分もかからなかったが、決行の合図としては十分だった。史上最悪の米中枢同時テロが幕を開けた。
 「情報漏れを防げ。兵士には計画の全容を直前まで明かすな」。ニューヨークの世界貿易センタービルなどに旅客機を突っ込み、世界を一変させたテロ実行犯のリーダーたちはウサマ・ビンラディンのテロ組織「アルカイダ」教則本の指示を忠実に守り、手下の「兵士」十二人には自爆テロであることを知らせていなかった可能性が濃厚だ。
 米紙ニューヨーク・タイムズなどによると、約二カ月間の米連邦捜査局(FBI)の追跡捜査で、実行犯十九人が三階層に組織化されていたことが判明。携帯電話やクレジットカード、現金自動預払機(ATM)の利用状況から、綿密な計画立案と入念なリハーサルを繰り返した上でテロを敢行した軌跡が浮かび上がってきた。
 ▽中東出身者 実行犯は主犯とみられるモハメド・アッタ(アメリカン航空11便、貿易センタービル北棟に突入)ら乗っ取り機を操縦したリーダー格四人、米国内でアパートを借り、運転免許証の取得などを手伝った兵たん担当三人、乗っ取り時に乗員や乗客を拘束するのを主な任務とする兵士十二人の計十九人。国籍はサウジアラビアが十五人で最も多い。
 リーダー格の四人はアッタがエジプト、マルワン・アルシェヒ(ユナイテッド航空175便、同センタービル南棟に突入)がアラブ首長国連邦(UAE)、ハニ・ハンジュール(アメリカン航空77便、国防総省に突入)がサウジ、ジアド・ジャラヒ(ユナイテッド航空93便、ペンシルベニア州で墜落)がレバノンと国籍がすべて異なる。
 兵士は十一人までがサウジ国籍。全員が今年春までに相次いで米国入りした。捜査当局者によると、彼らは少なくとも一年間はアルカイダの訓練施設に滞在していた証拠がある。
 イスラム原理主義者は貧困な家庭の出身者が多いが、兵士らの家庭は比較的豊かで、父親は宗教指導者、学校校長、商店主などだった。サウジの大学に在籍歴のある者もいた。いずれも米国を訪れたことがなく、英語もほとんどか、全く話せなかった。米国到着後は兵たん担当がニュージャージー州パターソンでアパートを借りてやるなどして、社会に溶け込ませた。
 四機に分乗することになる実行犯はグループごとに銀行口座を開設、同じ暗証番号のキャッシュカードを持った。テロ実行費用の総額は約五十万ドル(六千万円)。昨年夏からフロリダの銀行口座に入金が始まった。ほぼ半額はUAEに住むビンラディンの大物工作員から、残りの大半はドイツから送金された。
 ▽リハーサル 計画が初めて浮上したのは二年前のドイツ・ハンブルク。アッタらは当時、一介のテロ細胞にすぎなかったが、アルカイダが計画を“祝福”、現金を渡した。ビンラディン本人が承認した疑いがあり、少なくとも側近三人が関与していた。
 アッタとアルシェヒは昨年一月、米国への入国査証(ビザ)を取得し、ジャラヒは同年六月に入国した。ハンジュールは九六年から、兵たん担当のうちハリド・アルミダールら二人は九九年から、カリフォルニア州南部に住んでいた。
 「作戦遂行への思わぬ障害を発見するため、本番と似た状況下で訓練を積め」(教則本)との指示に従ってリハーサルを始めたのは今年五月初め。実際に乗っ取る便とは違うが、リーダー格と兵たん担当は米大陸横断便のファーストクラスに座った。西海岸到着後はラスベガスに飛び、場末の安宿に泊まった。
 最も重要な作戦計画は結局、この安宿で練られた。リーダー格と兵たんの数人が集まったのは八月十三日と十四日。ラスベガスが選ばれた理由について、ある捜査幹部は「雰囲気に溶け込みやすいと判断したのだろう」とみる。教則本は「会合は目立たない場所で行え」と指示している。
 アッタらは五―七月のリハーサルでは往復航空券を予約したが、ラスベガスから東海岸に戻る最後の飛行ではエコノミーの片道航空券を買った。資金を節約するとともに、片道航空券の購入が怪しまれないかどうかを確認するためとみられる。事件当日の航空券はいずれも片道分だった。
 ▽決行 ラスベガスから戻ったハンジュールらはメリーランド州ボルティモアに飛んで兵士らと合流、アッタは多くの兵士が住んでいたフロリダ州南東部に入った。やがてフロリダ組はボストンに向かい、ニュージャージー組はパターソンを出発。九月十日、アッタと最後に米国入りした兵士アブドルアジズ・アルオマリはメーン州ポートランドに車で移動した。注目されないよう「第二の場所から乗り込め」(教則本)との指示に従ったのだ。
 ただ、このため当日の朝、アッタらは11便に乗り遅れそうになった。
 離陸後四十分で巡航高度に到達。四機の操縦室のドアが次々に破られた。77便が激しく揺れながら首都ワシントン上空を飛行したのは、ハンジュールの操縦技術が未熟だったためだ。
 兵士らは乗客を機内後方に移動させ、パイロットには「要求が受け入れられれば、乗客乗員を無傷で解放する」と告げた。標的に突き進んでいる間も、兵士はそう信じていたようだ。
 捜査員に言わせると、事件前日ポートランドのATMで監視カメラに写ったアルオマリは、ちょっとした盗みを働く前のような、いたずらっぽい表情だった。アッタは「永遠の楽園」に向かう覚悟だった。しかしアルオマリは「楽園」が何かを理解していなかった。(ニューヨーク共同=伊藤英一、敬称略)(了)[2001-11-09-17:44] 139


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 11/09@<アフガン難民>東京入管の身柄拘束を解かれた5人が心情語(毎日新聞)

 日本政府に難民申請中、出入国管理法違反の疑いで東京入国管理局に収容されていたアフガニスタン人5人が9日朝、37日ぶりに身柄拘束を解かれた。東京地裁(藤山雅行裁判長)が収容の執行停止の申し立てを認めたことを受け、同入管が決定した。
 5人は18歳から30歳代前半の男性で、全員がタリバンの迫害を受けている少数民族。午前10時40分ごろ、東京都北区の東京入管第2庁舎から報道陣の前に姿を見せ、「外に出られて本当にうれしい」と語りながらも疲れた表情を浮かべていた。
 「難民申請者を収容することは間違いだと思う。タリバンに迫害され日本に保護してもらおうとやってきた。自分で市役所に行き外国人登録を申請し、法務省にも出向き難民申請した。パスポートがないことも自分から伝えたのに」。タリバンの拷問を受けたことがあるという男性はそう話し、「アフガニスタンに戻れば殺されるかもしれない。日本政府と国民は迫害を受けている私たちを難民として受け入れてほしい」と訴えた。
 5人は週明けにも国会議員会館を訪ね、与党議員に残る4人の釈放と9人全員の難民認定を要請する。 【磯崎由美】 [2001-11-09-13:15] 141


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 11/09@大阪地裁でアフガニスタン男性が迫害体験を証言(読売新聞)

 タリバンが実効支配するアフガニスタンを逃れて来日、1999年10月に出した難民認定申請が認められず、異議も棄却された同国の自動車部品販売業グラム・フセインさん(48)(千葉県在住)が、法務大臣に難民不認定処分の取り消しを求めた訴訟で、9日、フセインさんが大阪地裁で行われた本人尋問で、タリバンから受けた迫害体験を証言した。
 フセインさんは少数民族のハザラ人。イスラム教シーア派で、タリバンと対立するイスラム統一党に所属し、同党への経済支援を行っていたため、98年にはタリバンから殺害を指示する手配書が出されている。
 フセインさんは家族でマザリシャリフに逃走。仕事で来日した同年8月、マザリシャリフがタリバンに陥落したため帰国できなくなった。フセインさんはパキスタンまで行ったが、逃げてきた難民の1人から「あなたの子どもと弟は殺された。ほかの家族の行方は分からない」と告げられたという。
 フセインさんは通訳を通じ、タリバンが首都カブールに侵攻した96年の様子を証言。「夜のラジオ放送でタリバンのカブール支配を知り、20数年にわたる内戦がようやく終わって平和になる、と喜んだ。タリバンはいいグループだと思っていた」と話したところで声を詰まらせ、「ところが、次の日に顔を隠して武装したタリバン兵士が1軒ずつ家を調べに来て、モンゴル系の顔立ちをした私たちハザラ人を連れ出した。私たちは広場に集められ、『ハザラはイスラムではないから殺す』と言われ、銃剣で刺され、大けがを負った」と涙ながらに語った。[2001-11-09-13:11] 143


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 11/09@タリバンの残虐行為証言 大阪地裁でハザラ人男性 難民訴訟(共同通信)

 大阪入国管理局が十分に事情を聴かずにずさんな審査で難民申請を認めない決定をしたのは不当などとして、アフガニスタンの少数民族ハザラ人男性のグラム・フセインさん(48)が国などに決定取り消しなどを求めた訴訟で、フセインさんの本人尋問が九日、大阪地裁(三浦潤裁判長)であった。
 フセインさんは「(一九九六年にカブールに進攻した際)タリバンは、自宅があった地域のハザラ人男性を広場に集め、ナイフなどで虐殺した。自分は死んだふりをして、すきを見て何とか逃げ出した」などと当時の様子を涙ながらに証言した。
 来日後、長男ら家族三人がタリバンに殺されたことを知ったといい、フセインさんは「アフガニスタンの現状はよく知られており、日本は私の難民申請を断ることができないと思う」と訴えた。
 訴状などによると、フセインさんはタリバンに対抗するイスラム統一党に所属。パキスタンに逃れた後、自動車部品の買い付けのため来日中の九九年九月、パキスタンの知人から逮捕状が出たと知らされ、大阪入国管理局に難民認定を申請したが、退けられた。(了)[2001-11-09-13:00] 150


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 11/09@アフガン支援、首相特別代表に緒方貞子氏(朝日新聞)

 政府は9日、緒方貞子前国連難民高等弁務官を、アフガニスタンの難民救援や復興支援を担当する首相特別代表に任命することを決めた。福田康夫官房長官が記者会見で発表した。難民高等弁務官として10年間にわたり、アフガニスタンを含む各国の難民支援に実績のある緒方氏の起用で、日本の貢献を国際社会にアピールする狙いもありそうだ。
 小泉首相は8日、首相官邸で緒方氏と会談し、特別代表への就任を直接要請し、緒方氏も受け入れた。今後はアフガニスタン周辺国や国連を始めとする関係機関と協議しながら、難民支援や和平、復興に向けた活動を行う。日本政府は復興支援会議の東京開催も打ち出しており、その調整の任にも当たりそうだ。[2001-11-09-12:02] 157


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 11/09@首相特別代表に緒方貞子氏 アフガン問題で「顔」に(共同通信)

 福田康夫官房長官は九日午前の閣議後記者会見で、アフガニスタンの難民、復興支援のための小泉純一郎首相の特別代表に緒方貞子前国連難民高等弁務官を充てると発表した。
 小泉首相が同日までに要請、了承を得た。
 福田長官は「人道支援の分野で大きな実績を挙げた。日本政府の支援の実施に当たり大きな貢献をしていただけると期待している」と、日本のアフガン難民、復興支援の「顔」としての活動に期待を示した。緒方氏は関係国、国際機関と協議して活動するとしており、現地にも足を運ぶとみられる。
 緒方氏は国連公使、上智大教授などを経て、一九九一年から昨年十二月まで十年間、国連難民高等弁務官を務め、アフリカや旧ユーゴの難民問題で活躍した。(了)[2001-11-09-11:31] 164


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 11/09@代理人をイラクに派遣 98年にビンラディン氏(共同通信)

 【カイロ8日AP=共同】イラクの亡命反体制組織、イラク・イスラム革命最高評議会の駐英代表ハミド・アル・バヤティ氏は八日、AP通信の電話インタビューに対し、米中枢同時テロの最重要容疑者とされるウサマ・ビンラディン氏の代理人が一九九八年にイラクを訪問し、対米テロ計画について話し合っていたことを明らかにした。
 同氏によると、この代理人はエジプト人で、イスラム原理主義組織「イスラム聖戦」を率いていたアイマン・エルザワハリ氏。アフリカで起きた米大使館連続爆破事件の直前の九八年六月に六日間、イラクを訪問し、ラマダン副大統領と会談、陸軍訓練施設にも足を運んだ。
 連続爆破事件後、米政府がビンラディン氏を引き渡すようアフガニスタンへの圧力を強めたため、イラクのフセイン大統領は同国に来るようビンラディン氏に働き掛けた。
 当時、ビンラディン氏は米側に身柄を引き渡されるのではないかとフセイン大統領を疑っていたが、両者の関係はその後も続いたという。(了)[2001-11-09-10:35] 107


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 11/09@天皇はノー、金総書記歓迎 W杯開会式で韓国誌調査(共同通信)

 【ソウル9日共同】金総書記は歓迎、天皇陛下はノー。韓国のサッカー雑誌が、ソウルで行われる来年のワールドカップ(W杯)開会式への出席について韓国の若者に世論調査したところ、こんな結果が出た。
 この内容は韓国のサッカー雑誌「VOX」創刊号に掲載された。調査は韓国内のW杯開催地10都市に居住する10、20代の若者1015人を対象に実施。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の金正日総書記の出席については「賛成」が55・6%を占め、「反対」の9・7%を大きく上回った。
 一方、天皇陛下の出席については「反対」が42・1%で、「賛成」が22・6%となっている。ともに「関係ない、無関心」が30%を超えた。
 来年五月三十一日にソウルW杯競技場で行われる開会式には、韓国組織委員会(KOWOC)の鄭夢準会長が、アジア各国の首脳や天皇陛下の訪韓に強い期待を示している。(了)[2001-11-09-19:35] 17


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 11/10@ユーゴ空爆の3分の1 アフガニスタン空爆で投下爆弾総数(共同通信)

 【ワシントン10日共同】米国のスタッフルビーム統合参謀本部副作戦部長は十日、米軍の十月七日から一カ月余りのアフガニスタン空爆で投下した爆弾の総数が八千発に達した、と発表した。
 これは二カ月余り続いた一九九九年の北大西洋条約機構(NATO)軍によるユーゴスラビア空爆の二万三千発の約三分の一に相当する。
 米軍は、アフガニスタンに近代的な軍事施設がないとして、当初は爆弾投下量を抑えてきた。しかし、タリバン軍が予想以上に頑強なため、ここ十日間は地上部隊に対してB52戦略爆撃機でじゅうたん爆撃を開始するなど、爆弾投下量を増やしている。(了)[2001-11-10-16:38] 6


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 11/10@カブールを国際管理下の「開放都市」に 米国務長官提唱(朝日新聞)

 パウエル米国務長官は9日、アフガニスタンの反タリバーン勢力北部同盟が、マザリシャリフまで進んだ勢いで首都カブールに進攻するのは時期尚早で、カブールについては、紛争諸派から切り離した国際管理下の「開放都市」化を検討するべきだとの考えを示した。
 複数の米メディアに明らかにした。同長官は北部同盟の進攻がカブールにまで迫る状況になった場合は、「カブールは『開放都市』として、アフガンの新政府樹立に参加できる他勢力を呼び込むか、何らかの暫定取り決めを作った方がいい」と述べた。「第2次世界大戦直後のベルリン」を例に挙げ、共同管理化も念頭に置いていることを示唆した。[2001-11-10-23:28] 8


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 11/10@国連、暫定政権づくり急ぐ マザリシャリフ制圧受け(朝日新聞)

 アフガニスタンのマザリシャリフ陥落を受けて、国連は首都カブールの陥落を見越した暫定政権作りを急ぐことになった。ブラヒミ事務総長特別代表は9日、アフガン周辺国などの訪問を終えてニューヨークに戻りアナン事務総長に報告、米側とも接触を始めた模様だ。12日には安全保障理事会と周辺6カ国と米ロでつくる「6+2」外相会議にブラヒミ氏が報告し、暫定政権像の詰めを図る。
 ブラヒミ氏は約2週間の歴訪で、タリバーンの後ろ盾だったパキスタンと、北部同盟を支援してきたイランの妥協点を探ってきた。暫定政権の民族構成には両国の意向が大きく作用するからだ。国連筋によると、交渉は「混とんとしたまま」で、落としどころは見えていないという。
 国連と米国が最も懸念するのが、カブール陥落後に権力の空白が生まれ治安が悪化すること。北部同盟はかつて、虐殺や略奪などを行ったことがあるだけに、アナン氏は安保理で北部同盟がカブール入りすることに反対した。
 このため別の国連筋は、暫定政府の樹立前に緊急の治安措置を講じる必要があると指摘。「過去に虐殺などにかかわっていない勢力」と規定した上で、国連の傘の下に入れて治安維持に当たらせることも検討している。[2001-11-10-22:56] 11


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 11/10@11月11日付・編集手帳(読売新聞)

 中央アジア・タジキスタンで「秋野豊」の名は、首都ドゥシャンベの国連事務所内の記念レリーフに刻まれている。惨劇の地には記念碑も建てられ、周囲は公園として整備されているそうだ◆国連監視団に政務官として加わっていた国際政治学者秋野氏ら四人が凶弾に倒れてから、三年余の歳月が過ぎた。今、戦火の地アフガニスタンの隣国タジキスタンに国際社会の熱い視線が注がれている◆対テロ包囲網の重要な後方支援基地であり、多数のアフガン難民流入も懸念されている。秋野氏らの尊い犠牲の上で、日本への信頼は厚いという。この国の難民対策に二億円の援助を決めた日本が、さらに果たすべき役割は大きいだろう◆かつて冷戦構造が崩壊し、世界が新秩序を求めて胎動したころ、秋野氏はその著「世界は大転回する」で憂えた。「日本は古い時代に置き去りにされてしまうのではないか」と◆その遺志を継いで「秋野豊ユーラシア基金」が設立されたことは当時小欄でも紹介した。地域紛争の現場にねざした研究活動、国際貢献を大いに励ましている◆前時代の形骸(けいがい)の中に取り残されないために、と秋野氏の文章は続く。新世界への胎動を「対岸の火事としてぼんやりと手をこまぬいて眺めている場合ではない」。思い返せば、長くぼんやりとしていたような気がする。 [2001-11-10-22:03] 12


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 11/10@<COP7>次回(COP8)は来年10月にインドで開催(毎日新聞)

 気候変動枠組み条約事務局は10日、次回の第8回締約国会議(COP8)を来年10月にインドで開催すると発表した。
 9月には南アフリカのヨハネスブルクで地球サミット「リオプラス10」が開かれることが既に決まっており、相次いで大きな環境会議が開催されることになる。(マラケシュ(モロッコ)共同) [2001-11-10-21:55] 14


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 11/10@<CTBT>批准促進会議に米は欠席 事実上のボイコット(毎日新聞)

 【ワシントン布施広】米当局者は9日、米政府はニューヨーク国連本部で11日に開かれる核実験全面禁止条約(CTBT)の批准促進会議には「出席しない」と語り、事実上会合をボイコットする方針を明らかにした。
 ブッシュ政権は、核爆発を伴う実験を禁止するCTBTについて、他国の実験を検証する措置に欠け、かつ米国の核兵器の近代化を妨げるなどと批判、議会での批准を求めず「死文化」させる方針を示していた。
 国連での会議は、CTBTへの参加状況を検討し、関係国の批准を促すもので、米国防総省は会議をボイコットするよう以前から求めていた。クリントン前大統領は96年に条約に署名したが、米上院は99年10月に批准を否決している。 [2001-11-10-20:50] 16


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 11/10@COP7合意で首相、米への働きかけ続行(読売新聞)

 気候変動枠組み条約第7回締約国会議(COP7)が京都議定書の運用ルールで最終合意したことについて、日本政府は、合意を歓迎する一方、「すべての国が一つのルールの下で行動することが重要であり、引き続き最大限の努力を傾けたい」(小泉首相)として、議定書からの離脱を表明した米国への働き掛けを今後も続けていく方針を強調した。
 小泉首相は、京都議定書問題で米国との橋渡し役を果たす意向を示していたが、実らなかった。外務省には「米国は議定書には入らないとしているだけで地球温暖化対策という広い概念ではともに協力できるはずだ」との期待感もある。しかし、国連総会で日本提出の核廃絶決議案に米国が初めて反対票を投じ、日本外務省にショックが広がるなど、このところ、米国の出方を読めない事態が相次いでいる。
 テロ問題への対応では日米の同盟関係を強くアピールしているだけに、外務省内には日米関係の動向を懸念する向きもある。
 その一方で米国抜きのCOP7合意は「イスラム諸国に対し、日本が是々非々で自立的な政策判断を行っていくとのメッセージにもなる」(外務省幹部)との見方もある。 [2001-11-10-20:45] 17


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 11/10@「米中2強時代」幕開け 途上国も意思決定に参加(共同通信)

 【ドーハ10日共同=高橋昭】中国の悲願だった世界貿易機関(WTO)への加盟承認は、米国と中国が政治、経済の両面で世界の主導権を握っていく「米中二強時代」の幕開けを予感させる。
 同時に冷戦崩壊後の二十一世紀の世界秩序は、これまでの先進国主導体制から「世界最大の発展途上国」である中国を先頭に、途上国を意思決定過程に巻き込む新たな時代へと突入する。
 WTO加盟により国内市場が世界市場に統合される中国は、経済や政治、社会で「価値観の共有」を迫られる。中国が依然として強硬姿勢を崩さない人権問題への対応も従来以上に国際社会の厳しい監視にさらされるのは間違いない。
 人類は二十世紀後半、経済成長を発展の尺度として優先する一方、国際紛争や経済的混乱の解決は先進国主導の国際機関や会議にゆだねてきた。
 しかし二十世紀末から世界情勢は、環境保護や労働基準の強化、人権問題など経済価値に置き換えられない多くの課題に直面、答えを出せない先進国の指導力が問われ始めている。
 先進国のみが手厚い恩恵を受けるとの猜疑(さいぎ)心は、主に途上国の立場に配慮した非政府組織(NGO)による反グローバル化運動を喚起し、同調する勢力が合流し世界規模の行動に拡大。シアトルでの前回のWTO閣僚会議で新ラウンド立ち上げを阻むなど、途上国の発言が徐々に重みを増す時代が到来した。
 その意味では途上国の代表とも言える中国が、WTO加盟により大きな役割と責任を国際舞台で担うことは、先進国と途上国双方に利益をもたらすに違いないが、一方で先進国主導の合意づくりの過程で波乱要因となる可能性も否定できない。
 米中両国との関係強化が外交政策の基盤である日本は、発言力を増す途上国とどう向き合っていくか、中国のWTO加盟をきっかけに戦略の見直しを迫られるのは必至だ。(了)[2001-11-10-20:41] 46


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 11/10@虜囚の後悔と反米感情交錯 元タリバン兵ら収容所(共同通信)

 「タリバン側で銃を取ったことは後悔している」「釈放されても必ず反米闘争に加わる」。アフガニスタン北部パンジシール渓谷ドアブ山中の反タリバン勢力「北部同盟」側の捕虜収容所。元タリバン兵捕虜約三百二十人の間では、虜囚の身に対する後悔の念と、いまだ根強い反米感情とが交錯していた。
 泥を固めた壁で囲まれた収容所。パンジシール川ほとりのやや小高い丘にある約二百五十平方メートルの敷地入り口には、高さ十メートルほどの物見やぐらが設けられ、旧ソ連製自動小銃を手にした看守の兵士が目を光らせる。昼過ぎでも既に一○度を下回る寒さ。捕虜たちは身体を洗うため川に出かける途中だった。
 眼光鋭い浅黒い顔の男たちに交じり、一見、日本人を思わせる顔立ちが。声をかけると「(中国北西部)新疆ウイグル自治区出身の阿布都机里力(アブドル・ジャリル)」と片言の英語。中国国内の少数民族ウイグル人(22)の青年だ。
 「本当は北京の大学に通いたかった。でもウイグル人にそんな機会はない。だからカブールで勉強していた」。しかし二年前始めたばかりの留学生活は間もなく破たん。学費のためにタリバンの志願兵募集に応じ、カブール北方約三十キロのチャリカルでの交戦で北部同盟の捕虜となった。
 「先日、別の外国人記者の衛星電話を借りて故郷の両親と話そうとしたが、おふくろはただ泣いてばかりだった。早く帰りたい」とうなだれる。収容所の責任者によると、この施設の捕虜の二割以上がパキスタン、イラクなどからの外国人雇い兵という。
 しかし捕虜全員がこの青年のように改しゅんの情を抱いているわけではない。「おやじもおれも徹底した米国嫌いだ。米兵を捕まえたら食い殺してやる」。アフガン南部カンダハル出身のアブドルハメドアカ(27)と名乗る青年は、傍らの北部同盟看守の目も意に介さず、米国への敵意をあらわにした。
 増幅する憎しみと不信。時に国境を越え、多数の民族がモザイク状にもつれ合うアフガニスタン。米軍がタリバン政権に軍事的勝利を収めたとしても、真の和平、和解の構築はいばらの道だ。(アフガニスタン北部ドアブ共同=及川仁)(了)[2001-11-10-17:09] 52


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 11/10@中国迎え新競争時代に突入 日本の産業は空洞化 WTO(共同通信)

 中国の世界貿易機関(WTO)加盟が、WTOの前身である関税貿易一般協定(ガット)への加盟申請から約十五年を経て、ようやく実現する。十三億人近い人口の巨大市場が国際貿易体制に本格的に組み込まれ、世界経済の一体化と、国境を越えた競争に拍車が掛かるのは必至だ。対中投資は既に大幅増に転じ、生産拠点の流出が続く日本などは、産業の空洞化に一段の対策を迫られている。
 ▽北京もうで
 フォード・モーター副会長、JPモルガン・チェース社長、モトローラ会長、コカ・コーラ会長―。WTO加盟が迫る中で、中国の江沢民国家主席は十月末以来、米大手企業首脳と精力的に会談をこなした。
 「モトローラが中国との協力を強めることを歓迎する」と江主席。その呼び掛けにこたえるように、モトローラは北京で役員会を開き、八日に@五年間の中国での部品などの調達額A二○○六年までの累計の対中投資額―をいずれも百億ドルとすると発表した。
 海外からの対中直接投資は一九九七年のアジア経済危機などで一時頭打ちになっていたが、今年一―九月は実行額で前年同期比20・7%増の三百二十二億ドル。先行指標となる契約額も30・3%増の四百九十三億ドルと高い伸びを示した。
 自動車最大手、米ゼネラル・モーターズ(GM)のジョン・スミス会長は「中国市場は想像以上に速く、幅広く開放されてきた。WTO加盟でさらに加速される」と期待を表明する。
 中国に比べて投資先としての魅力が薄れた東南アジア諸国連合(ASEAN)は「競争激化をただ恐れるのでなく、積極的に手を結び投資を引き込んだ方が得策」(シンガポール当局者)と、中国と十年以内に自由貿易協定(FTA)を締結する道を選んだ。
 ▽高まる脅威論
 日本企業の対中進出も勢いづくのは確実だ。労働者の賃金は日本の二十―三十分の一。電気・ガス、流通経費など社会的コストも大幅に安い。「安かろう悪かろう」といわれた製品の質も著しく向上した。
 液晶ディスプレー、DVDプレーヤー、デジタルテレビ。電機メーカーは成長が期待できる先端分野の製造拠点まで移し始めた。労働集約的な製品を中国に移し、高付加価値製品は日本国内で製造するというかつての企業戦略は、中国のWTO加盟を待つまでもなく既に変わりつつある。
 だが「ユニクロ」が代表する低価格製品の中国からの逆輸入の拡大は、高コストの国内産業の淘汰(とうた)を加速させる。中国のWTO加盟は、高コストを是正し競争力をつけるための待ったなしの構造改革を日本に突き付ける。
 「WTO加盟後、安定成長を維持しアジアと世界の経済にさらに大きな貢献をする」(石広生・対外貿易経済協力相)。「世界の工場」になりつつある中国には、独り勝ちへの「脅威論」の高まりに警戒感すら広がっている。(ドーハ共同=加藤靖志)(了)[2001-11-10-16:09] 57


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 11/10@「核と化学兵器を保有」ビンラーディンが言明(読売新聞)

 【イスラマバード10日=森太】10日付パキスタン有力英字紙ドーンは、米同時テロの首謀者とされるウサマ・ビンラーディンのインタビュー記事を掲載した。ビンラーディンは「我々は核兵器と化学兵器を持っている。米国が使えば我々にも使う権利がある」と述べている。
 同紙によると、インタビューは今月7日夜、首都カブール近くで行われたが、記者は目隠しをされ、4輪駆動車で連れて行かれたため場所は不明という。非常に寒く、タリバン兵が対空砲を発射する音が近くで聞こえ、ビンラーディンは大勢の護衛を伴って現れたという。
 ビンラーディンが核兵器や化学兵器を入手しようとしているという情報について、ビンラーディンは「米国が我々に化学兵器や核兵器を使用すれば我々は同じ兵器で報復するだろう。我々はこうした兵器を抑止力として持っている」と答えた。しかし、どこで入手したかについては回答を避けた。ビンラーディンは、米同時テロへの関与には言及していないが、米国がパレスチナでイスラム教徒の殺害を続けていると非難し、「米国民は政府に税金を払い、議員を選出しているのだからイスラム教徒迫害の責任は米国全体にある」などと米同時テロを正当化する主張を展開している。
 また、米国の軍事作戦に全面協力しているパキスタンについて、「パキスタンは米国の不当な要求に屈するべきではなかった。ムシャラフ大統領には失望した」と述べた。
 記事には、民族衣装に迷彩色の軍服の上着をはおったビンラーディンとインタビューした記者が並んだカラー写真が掲載されている。 [2001-11-10-14:32] 59


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 11/10@日本、来年の通常国会で京都議定書批准へ(読売新聞)

 【マラケシュ(モロッコ)10日=石黒穣】今回の気候変動枠組み条約第7回締約国会議(COP7)で最終合意したのは、「京都メカニズム」などの運用ルールの細目にあたる部分。
 同メカニズムは、削減目標の達成に余裕のある国から余った排出量を買う排出量取引などが含まれるが、その参加資格について、日本など弾力的な運用を求めるグループに対し、厳格な運用を求めてきたEU(欧州連合)が最終段階でようやく妥協し、決着に至った。
 また、温室効果ガスの削減義務量を達成できなかった国に対する罰則的措置に法的拘束力を持たせるかどうかについては、議定書発効後の会議に先送りが決まった。
 日本にとって同メカニズムの利用は、増加しつつある国内の温室効果ガスの削減目標を達成する上で欠かせない。川口環境相もマラケシュでの会見で「日本は世界の中でも省エネが進んでおり、京都メカニズムの活用が重要だ」と強調していた。
 合意を受け、日本政府は来年1月以降の通常国会での承認を経て議定書を批准する見通しだ。同メカニズムは国内対策の補完的措置とされており、あらためて国内の温暖化対策を再整備することが必要になる。
 92年にブラジルで開かれた「地球サミット」(国連環境開発会議)から10年を機に来年9月、ヨハネスブルクで開かれる「環境サミット」までの議定書発効を目指して交渉を続けてきた各国は、ようやく対策に向けて一歩を歩み出すことになった。 [2001-11-10-14:08] 61


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 11/10@11月10日付・よみうり寸評(読売新聞)

 米国がアフガニスタンで軍事行動を始めて一か月が過ぎた。同時テロの首謀者とされるウサマ・ビンラーディンも、テロ組織アル・カーイダも深く潜行している◆米当局は、組織の資金源とみられる金融グループを摘発し、関連する団体などの資産を凍結した。これに呼応して百か国以上の国が何らかの協力をしている。それでも、資金源を断ったわけではない◆ワシントン・ポスト紙によると、同時テロの二か月前からダイヤモンドの市場価格が上昇した。アル・カーイダが、買い占めたのが原因という◆ダイヤモンドは隠しやすく、持ち運びも換金も容易だ。空港で警察犬にかぎつけられることもない。同時テロ後に、資産が凍結されるのを見越しての資金洗浄のようだ◆アル・カーイダはここ数年、アフリカ・シエラレオネで産出するダイヤモンドの違法取引にからみ、巨利をあげたとされ、欧米の情報機関は、この“ダイヤの流れ”に注目しているようだ◆この組織の活動範囲は、世界六十か国以上に及ぶという。息の長い、反テロ国際包囲網の強化こそ重要だ。 [2001-11-10-13:55] 63


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 11/10@COP7、京都議定書運用ルールで最終合意し閉幕(朝日新聞)

 気候変動枠組み条約第7回締約国会議(COP7)は10日早朝(日本時間10日午後)、地球温暖化を防止するための京都議定書の運用ルールを定めた法的文書を仕上げ、各国の閣僚による全体会議で採択して、閉幕した。これで、97年に採択された議定書はすべてが完成、各国の批准をまつばかりとなった。温室効果ガスの最大排出国である米国の離脱という問題を抱えながらも、国際社会は02年の議定書発効を目指し、動きはじめる。
 議定書は、先進国の各国ごとに温室効果ガスの削減目標を設け、その実施を義務づける一方、排出枠を各国間で売買するなどの緩和措置も設けた。この緩和措置のルールについて、詰めの交渉が続いていた。
 COP7では、(1)緩和措置のひとつである京都メカニズムへの参加資格に制限をつけるか(2)ロシアの森林吸収分をどこまで認めるか−−をめぐって最後まで難航した。
 日本やカナダは、削減義務を果たせなかった場合の罰則強化受け入れを、メカニズム参加の条件とすることに反対。日本などの主張が認められた。森林吸収では、ロシアの吸収分を従来の2倍にあたる3300万トンまで引き上げることで決着した。
 いずれも、緩和措置の活用を大幅に認めさせたい日本、カナダ、ロシアなどが、厳しく制限したい欧州連合(EU)などを押し切った形だ。
 将来、途上国に削減義務を課すことを先進国が求めていた問題は、時間切れで、今回も論議されなかった。
 10日の閣僚全体会議では、ヤズギ議長(モロッコ環境相)が「各国の批准手続きが進むことを確信している」と表明。一方、川口順子環境相は記者会見で「合意した内容は、日本にとってはいい内容だったと思っている」と述べ、批准は可能との認識を示した。
 京都議定書は97年のCOP3(京都)で採択された。その後、運用ルールづくりが進められていたが、今年3月に米国が不支持を表明。7月のCOP6再開会合(ボン)では、危機感をもった各国が歩み寄り、ルールの主要部分について、「ボン合意」と呼ばれる政治合意が成立した。COP7では、この合意を詳細な法的文書にする作業が行われていた。
 COP8は来秋、インドで開かれる。[2001-11-10-13:08] 66


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 11/10@ビンラディン氏の会見要旨(共同通信)

 【イスラマバード10日共同】十日付のパキスタン英字紙ドーンが掲載したウサマ・ビンラディン氏の会見要旨は次の通り。
 1、敵がイスラムの領土を占領し、一般市民を盾に使っている場合、(市民を巻き添えにしても)敵への攻撃は許される。
 1、九月十一日の攻撃は女性や子供を標的にしたものではない。真の標的は米国の軍事、経済力の象徴だった。
 1、われわれ自身が(米国の)標的になっており、われわれは自衛しているだけだ。これは自衛のためのジハード(聖戦)だ。
 1、イスラエルがわれわれの土地を占領し、米軍がわれわれの土地に駐留する限り、ジハードを実行する以外ない。
 1、ブッシュ米大統領は六日の演説で、私が大量破壊兵器による攻撃を実行したがっていると欧州諸国に警告した。もし、米国が化学兵器や核兵器をわれわれに対して使用すれば、われわれも化学、核兵器で報復することを宣言する。われわれはこうした兵器を抑止力として保有している。
 1、(それらの兵器をどこから入手したかの問いに)次の質問に移ってくれ。
 1、米国がわれわれを裁判にかけるというなら、われわれも米国を訴追する。
 1、米国は(中枢同時テロで)われわれに対する確実な証拠を持っていない。推測だけで空爆を行うのは正当ではない。
 1、ブッシュ大統領は「十字軍」という言葉を使った。すべての大国が反イスラムで統一されている。今まさに、イスラムの歴史上偉大な戦争がアフガニスタンで行われており、参戦するのはイスラム教徒の義務だ。
 1、私の健康状態には何の問題もない。
 1、タリバン政権の最高指導者オマル師とは精神的な関係を保っている。彼は現代の偉大で勇敢なイスラム教徒だ。(了)[2001-11-10-12:37] 68


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 11/10@<アフガン情勢>因縁の地 マザリシャリフ(毎日新聞)

 【モスクワ石郷岡建】アフガニスタン北部の要衝マザリシャリフはタリバン軍と反タリバン軍(北部同盟)が過去たびたび双方が攻防戦を展開した因縁の地だ。
 96年に首都カブールを制圧したタリバンは翌年5月、北部同盟側の本拠地だったマザリシャリフに進攻したが敗退。同盟側の捕虜となった約2000人が虐殺されたとされる。98年7月にタリバンが再び進攻し、マザリシャリフを奪取。国連はこの戦闘では5、6000人が殺害されたと推定している。今回、また双方の戦闘の行方を左右する舞台となった。
 マザリシャリフが重要な意味を持つのは、ウズベキスタンのテルメズから約40キロの近さにあり、同町からウズベク国境までが北部同盟支配下に入ると、中央アジア方面からの物資輸送ルートが一直線で開かれる。特に、国境のアムダリヤ川には鉄道レールが敷設された近代的な鉄橋がわたされており、戦車や装甲車などを簡単に運ぶことができるためだ。
 歴史的にもかつてシルクロードの宿場で、仏教、イスラム教などの東西文化が融合して繁栄した。79年にソ連が進攻した際には司令部を置き、ウズベキスタンと結ぶ交通路を建設、中央アジアからの補給路とした。
  [2001-11-10-11:55] 69


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 11/10@タリバン後政権作りは米主導で…米大統領が明言(読売新聞)

 【ワシントン9日=林路郎】ブッシュ米大統領は9日、訪米中のバジパイ・インド首相との共同会見で、「米軍が去るにあたってアフガニスタンに安定した政府が存在することが重要で、我々の目標の1つである」と語り、実効支配勢力タリバン崩壊後の政権作りを実質的に主導する方針を初めて明言した。反タリバン勢力「北部同盟」によるマザリシャリフ制圧を受け、米国としても軍事作戦と並行してアフガン新政権構想をインドなどとの協力のもとに進める考えを示したものだ。
 大統領は、アフガニスタンでの今後の米国の戦略目標として、新政権構想と、ウサマ・ビンラーディン率いる国際テロ組織「アル・カーイダ」幹部に「正義の裁きを加えること」を強調。同時テロの首謀者とされるウサマ・ビンラーディンらの逮捕、暗殺を断念していないことを明らかにした。
 ブッシュ大統領は10、11日の両日、国連総会に出席し演説するほか、軍事作戦に全面協力しているパキスタンのムシャラフ大統領と会談。反テロ戦争に対する協力を国際社会に求め、パキスタンとは新政権構想について具体的な協議を行うと見られる。
 ただし、米国がすでに具体的な構想を持っているわけではない。パウエル米国務長官は9日、北部同盟がカブールへ進攻する展望について、「カブールの住民は北部同盟にとって友好的でない」と述べ、構想が固まらない段階で少数民族主体の北部同盟が首都へ進攻するのは時期尚早との考えを示した。 [2001-11-10-11:34] 72


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 11/10@イラン大統領、米英の武力行使をやんわり批判(朝日新聞)

 「報復が必要との考えが、力に対する誤った感覚と一緒になったとき、子どもや女性、老人などアフガニスタンで死に直面している人々の叫びが聞こえなくなる」。イランのハタミ大統領は9日、国連の「文明間の対話」総会でこう指摘し、米英軍によるアフガンへの武力行使をやんわりと批判した。「文明間の対話」はハタミ氏の提唱で実現したものだけに、重みのある発言となった。
 ハタミ氏はまず、米国に対するテロ攻撃は「虐殺や惨劇でしか反対の意思を表明できない狂信者によるもの」と強く非難したうえで、こうした批判をにじませた。テロは「非人間的で反イスラム的」とまで言い切っている。
 そのうえで、公平と正義を実現することがこうしたテロを根絶やしにする方策と指摘し、アナン国連事務総長に要請している「反テロ・サミット」の実現を強く促した。
 「文明間の対話」は98年の国連総会でハタミ氏が提唱、今年を「対話の年」としている。8、9両日の総会では日本を含む約50カ国の代表が、テロや宗教紛争の解決について考えを述べた。[2001-11-10-10:50] 73


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 11/10@<国連>アフガンで170万人の子どもが生命の危機に直面(毎日新聞)

 【ニューヨーク上村幸治】オルアラ・オトゥヌ国連事務総長特別代表(子供と武力紛争問題担当)は9日、米英軍の攻撃が続くアフガニスタンで170万人の子供が飢えと寒さによる生命の危機に直面していると説明し、国際社会は長期的な視野で子供の救済に協力して欲しいと訴えた。
 同代表によると、アフガンの子供の半数は栄養失調状態にあり、全体の25%が5歳までに死亡する。200万人の子供が難民または避難民となっており、小学校に通える子供は男子が40%以下、女子が10%以下。首都カブールに住む子供の40%は、父母のどちらかか両方を失っているという。
 同代表は、タリバン政権だけでなく反タリバン連合(北部同盟)も18歳以下の子供を兵士にしており、最近その数が増えていると批判した。 [2001-11-10-10:35] 74


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 11/10@<国連特別会議>「文明の対話」呼びかける決議を採択し、閉(毎日新聞)

 【ニューヨーク上村幸治】国連「文明間の対話」特別会議は9日、紛争防止のために、異なる文化や宗教を持つ諸国間の対話促進を呼びかける総会決議を採択して閉幕した。会議では多くの国がテロ批判を展開したが、イスラム諸国の間からは米英軍のアフガニスタン攻撃によって一般住民に被害が出ていることを批判する声も出た。
 この会議を提唱したイランのハタミ大統領は演説で米同時多発テロの犯人を「狂信者」と批判。しかし同時に「復讐せねばならないという考えでは、アフガンの善意の人々の呼びかけや、子供や女性や老人の叫び声が聞こえなくなるだろう」と述べ、米英軍の攻撃を暗に批判した。
 一方、米国のネグロポンテ国連大使は「テロリストはイスラムを代表していない」と述べ、米英軍の攻撃がイスラムを対象にしたものでないと強調した。
 アナン国連事務総長は同時テロを批判すると同時に「文明間の対話こそが、人類の最悪の敵に対する最高の答えだ」と述べ、あらゆる種類の紛争と暴力をなくすために、異なる文明間の対話を進めるよう促した。 [2001-11-10-10:35] 76


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 11/10@国連、空前の厳戒態勢 炭疽菌処理班も待機(共同通信)

 【ニューヨーク9日共同】アフガニスタン情勢やテロ対策などを協議する国連総会の一般演説を翌日に控えた九日、ニューヨークの国連本部は史上空前の厳戒態勢が敷かれた。
 ウサマ・ビンラディン氏が三日放映のビデオ声明で、米国とともに国連を激しく非難したことを受けたもので、職員の間にも、昨年九月の国連ミレニアムサミットをはるかにしのぐ緊張感が漂っている。
 マンハッタン東端のイースト川沿いにある同本部正面の一番街は既に、九月十一日の米中枢同時テロ直後から閉鎖。この日は米疾病対策センター(CDC)の炭疽(たんそ)菌処理班などが陣取る特別仕様車が横付けされた。
 十一日にはブッシュ大統領が今年一月の就任以来、初めて同本部を訪れることから、警護を担当するシークレットサービスの大型車も配置されている。
 本部前につながる比較的狭い道路も、国連関係の身分証明書を持たない一般の通行が制限され、市民が路上で臨時の手荷物検査を受ける姿も。周辺には爆弾捜索犬も随所に配置され、ニューヨーク市警の警察官らが国連本部に向かう車両を一台ずつチェックしていた。(了)[2001-11-10-08:57] 77


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 11/10@ミレニアム宣言履行を訴え 国連総会で事務総長(共同通信)

 【ニューヨーク9日共同】国連のアナン事務総長は十日開幕の国連総会一般演説冒頭で演説、テロ対策やアフガニスタン問題とともに、貧困、感染症の撲滅と地球環境の保護をうたった国連ミレニアム宣言の履行を大きな課題として訴える。
 九日公表された演説原稿によると、アナン氏は「テロ関与者に打ち勝つ決意」を強調し、アフガンでの人道支援強化と新政権の樹立に向け全力を挙げる意思を表明する。
 同時にアナン氏は「宗教や文化の違いを誇張して、文明の衝突に陥る」ことを回避し、多様性を尊重する地球社会の実現を求める。
 さらに昨年の国連ミレニアムサミットで採択されたミレニアム宣言に沿って@二○一五年までに日収一ドル以下の貧困者を解消するA同年までにエイズ感染者の数を減少に転じさせるB紛争防止の取り組みを強化する―ことなどを訴える。
 今年のノーベル平和賞受賞が決まったアナン氏は、同宣言実現に向けての努力を来年一月からの任期二期目の最大課題としている。
 一般演説は十日午前(日本時間同日深夜)に七日間の日程で開幕。初日はアナン氏に続き、ブッシュ米大統領、パキスタンのムシャラフ大統領らが演説する。(了)[2001-11-10-08:53] 79


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 11/10@血塗られた攻防の歴史 陥落したマザリシャリフ(共同通信)

 【イスラマバード10日共同=沢井俊光】アフガニスタンの反タリバン勢力、北部同盟が九日、タリバンから奪回した同国北部の戦略的要衝マザリシャリフは、過去四年間で二度、同盟軍とタリバン軍が激しい攻防戦を展開、住民を含む一万人近くが虐殺されるという血塗られた歴史がある。
 最初の攻防は一九九七年五月。前年に首都カブールを支配したタリバンは、天然ガス資源を有する北部を制圧しようと、同盟側の最後の本拠地だったマザリシャリフに一気に攻め込んだ。
 しかし、南部のパシュトゥン人主体のタリバン軍は、武装解除に抵抗したハザラ人ら住民の激しい反乱に遭遇。迷路のような路地に追い込まれたあげく、家の中から銃弾をあられのように浴びて、六百人のタリバン兵が死亡した。
 同盟側の捕虜になった数千人が生き埋めなどの方法で虐殺され、この中にはガウス外相ら当時のタリバン政権幹部も含まれていたとされる。
 九八年七月、体制を立て直したタリバン軍は再びマザリシャリフへ進攻した。ウズベク人司令官たちをわいろで寝返らせて同盟軍を分断し、ハザラ人部隊を総攻撃。前年の復しゅうを果たそうと、住民を無差別に殺害。生皮をはぐなどの方法で虐殺された被害者は国連の推定で五千―六千人に上った。
 ハザラ人グループは同じシーア派イスラム教国であるイランの支援を受けており、タリバンはマザリシャリフのイラン総領事館を襲撃、イラン人外交官を射殺した。このため、イランは軍をアフガン国境に集結させ、タリバンとの戦闘開始寸前の事態にまで至った。(了)[2001-11-10-08:49] 82


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 11/10@カシミール紛争で自制要請 米印が反テロで一致(共同通信)

 【ワシントン9日共同】ブッシュ米大統領は九日、ホワイトハウスでインドのバジパイ首相と会談、アフガニスタン情勢やカシミール紛争などについて意見を交換し、反テロでの協力を確認した。
 米政府当局者らによると、ブッシュ大統領はアフガンでの軍事作戦を成功させるには、パキスタンの協力が不可欠であることをあらためて説明。インドに対し、パキスタン軍との砲撃戦を激化させるなど緊張が高まっているカシミール紛争で、これ以上緊張を高めないよう自制を求めた。
 会談後の共同記者会見でブッシュ大統領は「服喪の時期は終わった。行動の時だ」と述べ、アフガニスタン攻撃を完遂する姿勢を強調。さらに「われわれは共にテロと戦う」と述べ、協力してテロに対抗する必要があるとの認識で米、インド両国が一致したことを明らかにした。
 またバジパイ首相は「アフガンには政治的秩序が必要だ」と述べ、タリバン政権崩壊後のアフガニスタンに安定した政権をつくることが重要と指摘した。
 しかしインド側は、パキスタンが主張する新政権へのタリバン穏健派取り込みに強く反対しており、自制を求める米政府に対しても、パキスタンがインド側のカシミール地方にイスラム武装勢力を送り込んでいる「テロ支援国家」であることを強調したもようだ。(了)[2001-11-10-08:12] 92


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 11/10@<ニュース展望>IRA武装解除着手 政治的解決への土壌育(毎日新聞)

 英国・北アイルランド紛争のカトリック系武装組織・アイルランド共和軍(IRA)が武装解除に着手した。「決して来ないと言われた日」はなぜ、訪れたのか。様々な要因があるものの、同時多発テロ後の米国でのテロへの反発が最終決断を促したことは間違いない。
 IRAは北アイルランドの英国からの分離、アイルランドとの統合を武力で実現することを目標にしてきた。先月23日に武装解除の着手が確認されたことは、IRAが武装闘争の放棄に向け一歩を踏み出したことを意味する。69年のテロ活動本格化以来、約3200人の犠牲者を出した同紛争は一つの大きな峠を越えたと言える。
 和平合意(98年4月)以来、武装解除問題は常に喉元に刺さったトゲとなってきた。プロテスタント側は「政治から銃の排除」を和平推進の絶対条件として譲らない。一方、IRAは闘争目標達成前の武装解除を「降伏」と捉えて抵抗し、その政治組織シン・フェイン党は交渉で譲歩を引き出すため同問題を戦術的に利用してきた。
 IRAが武装解除に踏み切った背景では次の状況が見逃せない。(1)カトリック側は和平から多くの利益を手にし、アイルランドとの統一を政治闘争で実現する自信を深めている(2)プロテスタント側がトリンブル自治政府首相の辞任などで「武器か、和平か」と最後通告を突きつけ、武装解除以外に和平崩壊を阻止する手段はなくなった(3)同時多発テロなどの影響で米国での立場が窮地に陥った。
 シン・フェイン党側にとって、米国は和平で死活的に重要な役割を担っている。アイルランド系移民の多い米国は財政的、政治的支援の一大基盤であるからだ。例えば、和平交渉の議長はクリントン大統領(当時)の要請を受けたミッチェル元米民主党上院院内総務が務めた。
 クリントン氏は当初、メージャー英政権との関係を悪化させるほどカトリック側に好意を示した。英植民地化を起源とする紛争に米国が「介入」したことは、同問題を国際化させ「歴史の清算」を求めるカトリック側に強い味方になった。
 その関係に致命傷を与えかねない事件が今年8月「米国の裏庭」である南米で起きた。IRAのメンバーら3人が反政府ゲリラ・コロンビア革命軍(FARC)への支援容疑で逮捕された。FARCは麻薬密輸にも関与し、米政府が敵と見なす組織。IRAが米国の安全を脅かす組織に肩入れしていた事実は、ブッシュ政権を激怒させた。
 そして、9月11日の衝撃的な米同時多発テロの発生。英紙オブザーバーによると、ハース米特使はテロ翌日にシン・フェイン党のアダムズ党首らに対し、米国での資金集め活動禁止などをちらつかせ武装解除を迫った。「いかなるテロも許さない」という米国の空気が同党幹部らに「背水の陣」でIRAの説得に向かわせたことは疑いない。
 和平プロセスとは「相互の不信を癒す過程」にほかならない。武器の一部放棄には象徴的な意味しかないが、和平の基盤である「信頼醸成」には大きな効果をもたらすはずだ。何よりも強調すべき点は、和平崩壊の危機を克服する度に、北アイルランドには着実に政治的手段による問題解決の土壌が育っていることである。
 同和平は今後も浮沈を繰り返すだろう。しかし、その対立軸の中心は従来の「プロテスタント対カトリック」から、多数派プロテスタント内でほぼ拮抗する和平推進派と懐疑派の葛藤へと移りつつある。 [2001-11-10-00:15] 92


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 11/10@<ニュース展望>IRA武装解除着手 政治的解決への土壌育(毎日新聞)

 英国・北アイルランド紛争のカトリック系武装組織・アイルランド共和軍(IRA)が武装解除に着手した。「決して来ないと言われた日」はなぜ、訪れたのか。様々な要因があるものの、同時多発テロ後の米国でのテロへの反発が最終決断を促したことは間違いない。
 IRAは北アイルランドの英国からの分離、アイルランドとの統合を武力で実現することを目標にしてきた。先月23日に武装解除の着手が確認されたことは、IRAが武装闘争の放棄に向け一歩を踏み出したことを意味する。69年のテロ活動本格化以来、約3200人の犠牲者を出した同紛争は一つの大きな峠を越えたと言える。
 和平合意(98年4月)以来、武装解除問題は常に喉元に刺さったトゲとなってきた。プロテスタント側は「政治から銃の排除」を和平推進の絶対条件として譲らない。一方、IRAは闘争目標達成前の武装解除を「降伏」と捉えて抵抗し、その政治組織シン・フェイン党は交渉で譲歩を引き出すため同問題を戦術的に利用してきた。
 IRAが武装解除に踏み切った背景では次の状況が見逃せない。(1)カトリック側は和平から多くの利益を手にし、アイルランドとの統一を政治闘争で実現する自信を深めている(2)プロテスタント側がトリンブル自治政府首相の辞任などで「武器か、和平か」と最後通告を突きつけ、武装解除以外に和平崩壊を阻止する手段はなくなった(3)同時多発テロなどの影響で米国での立場が窮地に陥った。
 シン・フェイン党側にとって、米国は和平で死活的に重要な役割を担っている。アイルランド系移民の多い米国は財政的、政治的支援の一大基盤であるからだ。例えば、和平交渉の議長はクリントン大統領(当時)の要請を受けたミッチェル元米民主党上院院内総務が務めた。
 クリントン氏は当初、メージャー英政権との関係を悪化させるほどカトリック側に好意を示した。英植民地化を起源とする紛争に米国が「介入」したことは、同問題を国際化させ「歴史の清算」を求めるカトリック側に強い味方になった。
 その関係に致命傷を与えかねない事件が今年8月「米国の裏庭」である南米で起きた。IRAのメンバーら3人が反政府ゲリラ・コロンビア革命軍(FARC)への支援容疑で逮捕された。FARCは麻薬密輸にも関与し、米政府が敵と見なす組織。IRAが米国の安全を脅かす組織に肩入れしていた事実は、ブッシュ政権を激怒させた。
 そして、9月11日の衝撃的な米同時多発テロの発生。英紙オブザーバーによると、ハース米特使はテロ翌日にシン・フェイン党のアダムズ党首らに対し、米国での資金集め活動禁止などをちらつかせ武装解除を迫った。「いかなるテロも許さない」という米国の空気が同党幹部らに「背水の陣」でIRAの説得に向かわせたことは疑いない。
 和平プロセスとは「相互の不信を癒す過程」にほかならない。武器の一部放棄には象徴的な意味しかないが、和平の基盤である「信頼醸成」には大きな効果をもたらすはずだ。何よりも強調すべき点は、和平崩壊の危機を克服する度に、北アイルランドには着実に政治的手段による問題解決の土壌が育っていることである。
 同和平は今後も浮沈を繰り返すだろう。しかし、その対立軸の中心は従来の「プロテスタント対カトリック」から、多数派プロテスタント内でほぼ拮抗する和平推進派と懐疑派の葛藤へと移りつつある。 [2001-11-10-00:15] 10


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 11/11@<アフガン情勢>NGOが活動困難に 援助物資、眠ったまま(毎日新聞)

 アフガニスタンの難民支援で、日本のNGO(非政府組織)の活動が難航している。パキスタン政府は30カ所に設置予定の難民キャンプのうち15カ所を警察権の及ばない北西部国境沿いの「トライバル・エリア」(部族自治区)に設ける意向で、日本のNGOも同エリアでの難民支援を主に想定していた。ところが、安全上の理由から立ち入りが認められなくなり、越冬用の物資が倉庫に眠ったままの状態だ。
 国内NGOの一つ、JEN(東京都新宿区)はパキスタンに2人の職員を派遣、難民のため1万人分の毛布と地面に敷くビニールシート、2000台の石油ストーブを購入した。当初は11月上旬までに約4万人の難民に毛布などを配布する予定だったが、まだ一人の難民にも物資を渡せず、ペシャワルの倉庫に保管したままだ。
 JENは、難民の困窮の度合いや各国NGOとの調整から、同エリアの難民に物資を渡す計画を立てた。しかし、パキスタン政府は危険を理由に同エリアへの立ち入りを認めず、難民との接触が不可能な状態にある。氷点下に冷え込む冬が迫っており、確保した物資をこれらの難民キャンプでなく、すでにペシヤワルなどに流入している難民に送ることも検討している。
 旧ユーゴで6年間、難民支援をした木山啓子事務局長は「入れないのは残念だが、現地の情勢をみるとやむを得ない面もある。治安がよいとされるイスラマバードの事務所ですら武装したガードマンを雇っている。初めての経験だ」と話す。
 難民を助ける会(品川区)は10月8日の空爆開始直後に5000人分のミネラルウオーター、ミルク、ビスケットを購入、同エリアのバジョー地区の難民に送る予定だったが、まだ渡せていない。同会の堀江良彰さん(33)は「エリアの難民は他の地区と比べ諸外国のNGOの支援が行き届かず、日本の支援が必要だと考えていた。パキスタンのNGOにも協力を求めているが届けるのは難しい」と話す。
 同会は今後、タジキスタンからアフガニスタンに直接、難民支援物資を送る支援も検討している。 【遠山和彦】
 ◇トライバル・エリア マリクと呼ばれる部族長を中心とする伝統的な部族制度を保持している地域。パキスタンの法制度より部族の法制度が優先され、パキスタンの警察権は及ばない。大半はアフガンとの国境沿いにあり、人口は約310万人とされる。パキスタン政府は同地区への外国人の立ち入りを認めていない。 [2001-11-11-03:05] 52


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 11/12@包括和平後初めて、マケドニア戦闘が再燃(読売新聞)

 【ウィーン12日=佐々木良寿】マケドニアからの報道によると、同国西部の主要都市テトボ近くの村トレボスで11日深夜、アルバニア系武装勢力と治安部隊の間で戦闘が発生、治安部隊3人が死亡した。ボスコフスキ内相が12日、明らかにした。本格的な戦闘発生は8月の包括的和平案調印以来はじめてで、紛争再燃の懸念が強まっている。[2001-11-12-22:10] 310


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 11/12@<国連演説>テロ根絶へ足並み乱れ 貧困問題解決を訴える声(毎日新聞)

 米国の同時多発テロとアフガニスタン攻撃を受けた形の国連総会一般演説は初日の10日、ブッシュ米大統領が「(テロ被害への)同情の時は過ぎた。行動する時がきた」と、改めて「テロとの戦い」への協力を呼びかけた。だが、その後の各国代表の演説では、アフガンの一般住民の被害を問題視したり、テロ根絶のためには貧困問題や地域紛争を解決すべきだと訴える声も相次いでいる。米国の思惑に反して、足並みの乱れが表面化したと言えそうだ。【ニューヨーク上村幸治】
 同時テロで世界の同情を集めた米国は、安保理でテロ非難決議、テロ資金凍結決議の採択にこぎつけ、アフガニスタン攻撃に踏み切った。
 もっとも、安保理構成国はわずか15カ国。加盟189カ国の代表が集まる国連総会という大きな舞台で各国の支持を得たいと、米国が考えても不思議はない。
 熱意の表れかどうか、ブッシュ大統領の演説は厳しかった。テロリストが「化学・生物兵器、核兵器を使う」可能性があると指摘し、「米軍の名誉ある行為を誇りに思う」と軍事作戦の正当性を訴え、「すべての国に(テロと戦う)義務がある」とまで述べた。
 対アフガン軍事作戦に参加している英国のストロー外相やフランスのベドリヌ外相は軍事行動を「不可避だ」と演説し、日本の宮沢喜一元首相は「脅威の除去に努めている諸外国の活動を支援する」という穏やかな表現ながら支持を表明した。
 しかし、トゥオミオヤ・フィンランド外相、カタールのアル・サーニ首長らはアフガン攻撃支持を明言せず、イランのハタミ大統領は「軍事行動でテロ根絶はできない」「最も破壊的で先進的な兵器が、最も抑圧された人たちに使われている」と批判した。
 ムシャラフ・パキスタン大統領、中国の唐家セン外相も、アフガン一般住民への被害拡大に懸念を表明した。
 総会ではイスラム諸国がこれまで同様、同時テロの背景の一つであるパレスチナ問題の解決を訴えた。ブッシュ大統領も英仏外相も中東問題の重要性を指摘してイスラム諸国への配慮を示しており、中東和平問題が新たな展開を示す可能性も出てきた。
 もっとも、ブッシュ大統領は、演説前に同じ控え室に入ったパレスチナ自治政府のアラファト議長とあいさつさえ交わさず、ついに会談に応じなかった。イスラム諸国の代表の間からは「本音はどこにあるのだろう」とう声も出ている。
 総会冒頭、アナン事務総長はテロの背景にある「貧困や紛争、病気」に触れた。「極端な貧困の根絶」が最優先の課題だと述べ、軍事行動をすべてに優先させている米国との違いを示した。
 その後に演説した英国や中国、パキスタン、イランなど多くの国の代表も、やはり貧困や地域紛争対策の重要性を強調した。テロリスト撲滅と同時に、テロを生む土壌を長期的な視野から変えていこうという議論も、今後さらに活発化しそうだ。
 総会一般演説と同時に同じ国連本部の中では、アフガン周辺国外相会議や主要国(G8)外相会議、安保理も相次いで開かれ、アフガンに対する人道支援や米英軍の攻撃終了後の新政権作りについても、並行して議論を進める。
 開幕の10日から最終日の16日までの1週間が、アフガンの運命、ひいては国際社会の進む方向を大きく左右する可能性もある。 [2001-11-12-23:40] 311


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 11/12@<中国副主席>次世代のエース胡氏 欧州歴訪で本格デビュー(毎日新聞)

 【北京・浦松丈二】中国の次世代の最高指導者と目される胡錦涛国家副主席(58)が12日、ロシア、英国、フランス、スペイン、ドイツの5カ国歴訪を終えて帰国し、本格的な外交デビューを果たした。受け入れ国側も「ポスト江沢民時代」を視野に入れながら、元首級の厚遇で歓迎。大国を相手にした外交は後継者としての地位固めにつながった。
 「第16回共産党大会まで1年近くある。具体的な人事について語るのは早過ぎるのではないか」
 胡副主席は5日、パリで香港メディアからの後継問題について質問をかわした。党大会を来年に控えて江沢民国家主席から胡副主席への禅譲路線が濃厚になる中、外遊先でも胡副主席の言動は高い関心を集めた。
 胡副主席の外国訪問は今年3回目。1月に中東・アフリカ5カ国を、4月に党間交流でベトナムを訪れたが、今回は中国が戦略的に重視するロシアと初の西欧主要国への歴訪だけに関心度は格段に高いものになった。
 プーチン露大統領、エリザベス英女王、シラク仏大統領ほか各国首脳も競うように胡副主席と会談した。いずれの国も中国との2国間・地域間関係の強化を図る。厚遇ぶりは胡副主席を「21世紀の中国の指導者」と見るからだ。
 歴訪は米同時多発テロ後の国際社会の取り組みが注目される時期と重なった。胡副主席は5日、フランスの国際関係研究所で「われわれが直面する課題は地球規模なものだ。世界の人々の参与、各国の協力、国連や安保理の役割発揮が不可欠だ」と反テロでの協力態勢の必要性を強調した。
 また、ロンドンでの英中貿易協会の歓迎宴では中国の世界貿易機関(WTO)加盟について「中国は積極的にグローバル化に参与し、世界経済・貿易の発展のためにさらなる役割を発揮していく」と自由貿易体制への積極参加を表明した。
 訪問には「将来のファーストレディ」劉永清夫人ほか前駐米大使の李肇星外務次官を筆頭に政府次官級3人、党中央の副主任級3人が随行した。うち党中央弁公庁の令計画副主任はベトナム訪問に、党中央政策研究室の何毅亭副主任は中東・アフリカ訪問にもそれぞれ同行した。「胡錦涛時代」に控えてブレーンづくりも進んでいるようだ。 [2001-11-12-23:40] 312


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 11/12@北部同盟のカブール進攻、新たな混乱も(読売新聞)

 【イスラマバード12日=佐藤浅伸】アフガニスタンの反タリバン軍事同盟「北部同盟」が首都カブール進攻の動きを見せ始めたことで、アフガン情勢が一気に流動化し始めた。政府機能が集中したカブール奪還は、アフガンを実効支配するタリバン政権の事実上の崩壊を意味する。しかし、同政権に代わる新体制が構築できていない現状での北部同盟による首都制圧は、新たな混乱の引き金となるのは間違いない。
 北部同盟は12日、新たに西部の古都ヘラート、タジキスタンからの物資補給の要衝クンドゥズを制圧、カブールばかりか、タリバンの本拠地カンダハル進軍をうかがう位置を確保した。
 これに対し、イスラマバードのタリバン当局者は、タリバン軍がカンダハルのほか、カブール南方のロガル、パクティアといった同国南東部13州に兵力を集中していることを明らかにしたうえで、「ゲリラ戦に持ち込む」と述べ、徹底抗戦の構えを見せている。
 北部同盟の快進撃は、今月17日ごろのラマダン(イスラム教の断食月)入りを前に戦果を挙げたい米国の軍事支援を受けたものだ。
 しかし、米国は北部同盟のカブール進攻には反対を表明している。一方、北部同盟のアブドラ外相は11日、ロイター通信に対し、「(新政権に向けた合意ができるまで進撃を待つことは)約束できない」と述べ、今後の展開次第では、独自に首都制圧に向かう意向を示した。
 「タリバン後」の新政権作りでは、タリバンもしくは多数派民族パシュトゥン人穏健派の参加を強く主張するパキスタンと、タリバン排除を主張する北部同盟とインド、ロシアなど支援国の思惑が対立したまま。北部同盟が首都制圧すれば、タジク、ウズベク人など少数民族の寄せ集め集団が暫定政権を担う格好になり、これまでに各国が意見の一致をみた「広範な基盤を持つ多民族による新体制」とは相いれなくなる。何より、ソ連軍撤退後の内戦を引き起こした当事者で一枚岩とは言えない北部同盟の各部隊が、権力配分を巡って再び内戦に突入する懸念は捨てきれない。実際、当地のバンカー国連報道官によると、北部同盟が制圧したマザリシャリフで、「処刑や略奪が始まったと恐れがある」と語った。
 北部同盟の北方からの進撃が進む一方で、ラムズフェルド米国防長官は11日の米CBSテレビとの会見で、米国が進めるアフガン南部でのタリバン切り崩し工作が難航している事実を認めた。
 政治解決に向けた道筋が見えないまま軍事作戦が先行するという格好で、アフガン情勢は混迷の度を急速に増している。 [2001-11-12-23:32] 318


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 11/12@民主・菅氏がPKF解除容認、共産は改正に反対(読売新聞)

 民主党の菅幹事長は12日、与党が合意したPKO協力法の改正内容について、「国連平和維持隊(PKF)本体業務の凍結解除は必要だ。武器使用基準の緩和もテロ対策特別措置法の範囲内であれば反対しない」と記者団に述べ、基本的に容認する考えを示した。
 ただ、「政府・与党がこの時期にPKO協力法を改正する意図が分からない。経済・雇用政策の失敗を覆い隠す狙いがあるのではないか」と指摘し、法案への対応は国会の動向などを見極めたうえで決める考えを示した。
 一方、自由党幹部は12日、「法案の内容を見てから党の対応を判断する」と述べた。共産党の市田書記局長は同日の記者会見で「自衛隊による事実上の武力行使をやりやすいようにするものだ」と語り、同法改正に反対する方針を明らかにした。また、社民党の辻元政審会長は同日夜、「同法改正には反対する」と述べた。 [2001-11-12-22:31] 320


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 11/12@包括和平後初めて、マケドニア戦闘が再燃(読売新聞)

 【ウィーン12日=佐々木良寿】マケドニアからの報道によると、同国西部の主要都市テトボ近くの村トレボスで11日深夜、アルバニア系武装勢力と治安部隊の間で戦闘が発生、治安部隊3人が死亡した。ボスコフスキ内相が12日、明らかにした。本格的な戦闘発生は8月の包括的和平案調印以来はじめてで、紛争再燃の懸念が強まっている。[2001-11-12-22:10] 323


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 11/12@<タリバン資産凍結>新たに1口座判明 資金の出入は見られ(毎日新聞)

 財務省は12日、タリバン、ビンラディン氏グループ関係者の資産凍結で、新たに「アフガン輸出銀行」の口座1件を国内大手銀で確認し凍結したと発表した。資産凍結対象となったアフガン輸出銀行の口座には1000ドル弱の預金が残っていたが、過去数年、資金の出入りは見られず、同省は「米同時多発テロとの直接の関連はないのではないか」としている。凍結された資産はこれでアフガニスタンの4銀行、計60万ドル弱となった。
 また、凍結対象の個人と同姓同名、または似た名前で本人かどうか確認中の口座は12日現在、20件約300万円になっている。
 一方、同省は同日、国連制裁委員会の指定に基づき新たに62の個人・団体を資産凍結対象に加えると発表した。13日付で実施する。資産凍結対象はこれで277の個人・団体となった。今回の追加リストにはタリバンと関連のある金融通信の多国籍企業「アル・バラカアト」や、金融・貿易業の「アル・タクワ」のグループなどが含まれている。 【岩崎誠】 [2001-11-12-22:05] 343


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 11/12@<国連総会>東トルキスタン独立運動もテロ集団 中国外相が(毎日新聞)

 【ニューヨーク上村幸治】中国の唐家セン(「王」ヘンに「旋」)外相は11日の国連総会演説の中で「中国もテロに脅かされている」と述べ、新疆ウイグル自治区の独立を目指す「東トルキスタン独立運動」のグループをテロ集団だと指弾した。
 唐外相は「東トルキスタンのテロ部隊は国際テロ組織によって訓練され装備を与えられ、資金を供与されている」「東トルキスタングループとの戦いは、テロとの国際的な戦いの重要な側面である」と述べた。
 東トルキスタンは現在の新疆ウイグル自治区一帯を指す言葉で、ウイグル族による独立運動が続いている。トルコに亡命者組織があるほか、カザフスタンやロシアで活動を続けているグループもいる。知識人主体で民族自決運動を行なう集団もあるといわれる。
 活動家の一部はアフガニスタンに潜むテロ組織「アルカイダ」のキャンプで訓練を受けているという情報が流れたことがある。唐外相の指摘する「国際テロ組織」も、アルカイダを指している可能性がある。 [2001-11-12-18:33] 363


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 11/12@米、CTBT会議を欠席…条約の早期発効困難に(読売新聞)

 【ニューヨーク11日=勝田誠】地下核実験を含め、すべての核実験を禁止する核実験全面禁止条約(CTBT)の第2回発効促進会議が11日、ニューヨークの国連本部で始まった。同会議では、日本政府が、前回1999年10月のウィーン会議から約2年間の進み具合を検討、各国に署名、批准を促し発効を目指す調整役を務めるが、最大の核大国で未批准の米国が、CTBTの「死文化」を狙って会議をボイコットした。
 会議は最終日の13日、各国が早期発効を目指すことなどをうたった最終宣言を採択する予定だが、米国のボイコットで、2003年をめどとする早期発効は実質的に、極めて困難な情勢となった。
 国連のアナン事務総長は会議冒頭の演説で、「米同時テロは、これ以上、大量破壊兵器を拡散させてはならないことを示した」と述べ、CTBTを核不拡散のための「不可欠な要素」と位置づけた上で、44か国の発効要件国のうち、米国や中国、インド、パキスタンなど13か国が署名、批准していない現状に対して強い懸念を表明した。
 米国は1996年、クリントン前政権がCTBTに署名したが、米上院が99年10月、批准案を否決。ブッシュ現政権は、他国の条約違反を探知できないなどCTBTには「致命的欠陥がある」とし、上院に再考を求める考えがない立場を明らかにしていた。 [2001-11-12-16:18] 366


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 11/12@タリバン後の新政権を協議 国連で「6プラス2」開催(共同通信)

 【ニューヨーク12日共同】タリバン崩壊後のアフガニスタンの新政権構想などを協議する同国周辺六カ国と米国、ロシアの八カ国(6プラス2)の外相会合が十二日、ニューヨークの国連本部で開催される。
 国連の枠組みでアフガン情勢を検討する「6プラス2」外相会合は約一年ぶり。反タリバン勢力「北部同盟」による重要拠点の相次ぐ奪回など情勢が目まぐるしく動く中、パキスタン、ロシア、イランなどアフガンに強い利害関係を持ち、タリバン穏健派の扱いなど新政権をめぐって見解が異なる各国外相らが、米国の軍事作戦開始後初めて一堂に会する場となり、国連のブラヒミ・アフガン担当事務総長特別代表も出席。
 同会合は「アフガン新政権は広範かつ多民族から構成され、政治的にバランスがとれ、自由意思によって選ばれるべきだ」とする宣言を発表。
 宣言はさらに、アフガン国民自らによるタリバン体制一掃のための努力に対する八カ国の支持と、中央アジアの危機を政治的に解決する方策を早急に探ることなどを強調。
 また、タリバンに代わってアフガンで国連が中心的役割を果たすことについても歓迎の意を表明。(了)[2001-11-12-15:59] 378


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 11/12@PKO法、武器使用基準を緩和へ 今国会で改正(朝日新聞)

 政府・与党は12日、国連平和維持活動(PKO)協力法を今国会で改正する方針を決めた。国連平和維持軍(PKF)本体業務への自衛隊の参加凍結を解除するとともに、PKO参加5原則の武器使用基準を事実上見直し、防護対象にテロ対策特別措置法で認めた「自己の管理下に入った者」と「武器・弾薬・車両など」を加える。与党3幹事長は、特措法には盛り込まなかった他国のPKO要員なども防護対象とする考えでも一致した。PKO協力法は92年の施行以来、初めて大きく改正されることになった。
 3与党の幹事長、政調会長は12日の会談で、(1)今国会で成立を期する(2)PKF凍結解除と武器に関する規定を国際標準に照らして見直す(3)20日までに政府案で国会に提出する−−などで合意した。12日にも与党安全保障プロジェクトチームで法案作成作業を始める。
 ただ、他国のPKO要員の防護については、公明党の一部などに慎重な意見もある。
 小泉首相は12日、記者団に「国際的なPKO活動とそん色ないように対応するのはいいことだ」と語った。
 首相は11日夜には、自民党の山崎拓幹事長に「公明党の理解を得て、できるなら今国会でやってほしい」と与党内調整を急ぐよう指示。さらに、「アフガニスタン復興会議を東京で年明け早々に開く日程があり、2月には東ティモールに自衛隊の施設部隊が参加する。これを十分念頭において処理すべきだ」として、アフガン復興支援と東ティモールのPKO参加を前提としていることも表明した。
 PKFへの参加凍結については、今国会で解除することが与党3党の合意事項だった。一方、武器使用については、今国会での緩和に慎重だった公明党が柔軟姿勢に転じたことから、一括して処理することになった。
 PKFが議員立法で凍結されたことから、解除は議員立法で対応すべきだとの意見も強かったが、会期末が迫っているうえ、自衛隊の海外派遣に関する重要法案であるため、政府提出とすることになった。
 他方、山崎氏は「アフガン紛争後、停戦合意ができるのかということがある。解釈をゆるめるべきだ」として、5原則の「紛争当事者間の停戦合意」も同時に見直すべきだと主張しているが、公明党はこの点についても「一呼吸おくべきだ」(神崎武法代表)として、次期通常国会で議論するよう求めている。
 また、今国会の会期が残り少ないうえ、雇用対策など懸案が山積しているため、会期延長論が浮上する可能性もある。[2001-11-12-12:46] 380


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 11/12@<核実験禁止>「インドと条約締結の用意」 ムシャラフ大統(毎日新聞)

 【ニューヨーク上村幸治】パキスタンのムシャラフ大統領は10日の国連総会演説で「インドとの間で核実験禁止の2国間条約を締結する用意がある」と述べた。パキスタンは従来「インドが核実験を行なうから、我々も実験に踏み切った」と説明し、インドと違って国連の核実験全面禁止条約(CTBT)発効促進会議にも参加している。
 大統領はパキスタンが保有する核兵器の事故や周辺国への拡散を懸念する声が出ていることを意識して「(核兵器は)しっかり保管し、非常に安全な状態にあることを保証する」と強調した。
 またパキスタンなどに流入しているアフガニスタン難民の帰国をはかるため、国連の支援で「アフガン復興基金」を設立するよう要請。米英軍のアフガン攻撃については「出来るだけ短く、また出来るだけ正確に目標を定める」よう求め、一般住民への被害をこれ以上増やさないために「政治戦略的な後退も大事だ」と訴えた。
 さらに、テロの原因は多くの紛争が未解決のままであることだと指摘、カシミールやパレスチナ問題を早急に解決するよう呼びかけた。 [2001-11-12-12:30] 381


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 11/12@<CTBT>「動きを崩壊させかねない」と米国を批判 露代(毎日新聞)

 【ニューヨーク上村幸治】核実験全面禁止条約(CTBT)の第2回発効促進会議が11日、国連本部で開幕した。同条約に批判的な核大国・米国は欠席した。ロシア代表のセルゲイ大統領補佐官は、名指しは避けながらも「核実験禁止への動きを崩壊させかねない危険な兆候」を指摘し、米国を批判した。
 会議では日本の阿部信泰ウィーン国際機関大使が、これまでの進ちょく状況を報告。条約発効には指名された44カ国の批准が必要だが、このうち3カ国が未署名で、署名しながら批准していない国が10カ国あると説明した。
 未署名の3カ国はインド、パキスタン、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)。米国はクリントン前政権の時代に同条約に署名したが、ブッシュ政権になってから条約批判を強めている。国連総会の第1委員会(軍縮)が採択した日本提案の核軍縮決議案にも反対票を投じた。
 会議は最終日の13日、早期発効を呼びかける最終文書を採択する予定。 [2001-11-12-12:30] 387


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 11/12@「アフガン和平に積極関与」宮沢氏が国連総会で演説(読売新聞)

 【ニューヨーク11日=柴田岳】宮沢元首相は11日午後(日本時間12日朝)、国連総会で日本政府代表として演説した。宮沢氏はアフガン和平に向けた国連の努力を全面的に支持し、「復興」だけでなく、新政権の受け皿作りなど「和平」の段階から積極的に関与する考えを強調。そのうえで「できるだけ早い時期に、関係国、機関とも協力し、和平や復興などに資する会議を開催する用意がある」と述べ、タリバン政権後のアフガン和平・復興を協議する関係国会議の早期開催に意欲を表明した。
 テロ問題については、「日本自らの責任の問題」としてとらえて努力する決意を示し、「諸外国の活動を支援し、被災民支援を行うため、新法に基づき、国際社会の行動にいっそう積極的に参画する」としてテロ対策特別措置法に基づき協力する意思を明確にした。
 さらに、テロ資金の取り締まり強化を求める国連安保理決議の履行や、テロ撲滅の関連12条約の早期締結、炭疽菌テロに対応する生物化学兵器禁止条約の強化を提唱。日本が途上国に対し、<1>テロ資金管理<2>出入国管理<3>航空・海事保安<4>生物化学兵器テロ対策―の4分野で協力を行う考えも明らかにした 宮沢氏は国会審議のため欠席した田中外相に代わり、日本政府代表として英語で演説した。宮沢氏の意向で演説はテロ対策とアフガン和平・復興に絞られ、時間も例年の一般演説の半分以下になったという。 [2001-11-12-11:47] 391


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 11/12@犠牲者の86カ国を呼び上げ団結 米大統領らテロ現地で(朝日新聞)

 世界貿易センターが同時多発テロで崩壊して2カ月の11日、国連総会出席のためニューヨーク入りしているブッシュ米大統領とアナン国連事務総長が現場を訪れた。同センターで犠牲となった4千数百人の国籍は86カ国に及んでいる。2人を迎えての式典では、この一つひとつの国名を呼び上げ国旗を掲げて、米国と国連が進める「反テロ包囲網」強化の機運を盛り上げた。
 いまも残がいから白煙が上がり、強い臭気が一帯を覆うなか、式典には遺体の捜索や残がいの片づけを続ける消防士、警察官らが参加。キリスト教、ユダヤ教、イスラム教の宗教者が式典をつかさどり、「協調」を演出した。
 両氏は最後に、犠牲者の国名を書いたパネルの前に進み、ブッシュ氏は「アメリカ合衆国」の名前の下に「良き意思は邪悪にうち勝つ」と、アナン氏は「悪に対抗して連帯しよう」と書いた。[2001-11-12-11:08] 394


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 11/12@<WTO閣僚会議>台湾加盟も正式承認(毎日新聞)

 【ドーハ荒木功】世界貿易機関(WTO)の閣僚会議は11日夕(日本時間12日未明)、台湾の加盟を全会一致で正式承認した。中国も前日に承認され、中国、台湾とも国内批准を経て年内にも加盟手続きを終了する見通しだ。
 中国と台湾がWTOの共通ルールに参加することで貿易の自由化が進み、現在、安全保障上の理由で禁じている「3通」(交通、通商、通信の直接交流)の見直しをはじめ、中国−台湾間の貿易・投資面のつながりが進展しそうだ。ただ、政治的に複雑な問題での紛争解決にWTOが利用される懸念もある。
 台湾は90年、WTOの前身であるガット(関税貿易一般協定)に加盟を申請した。実質検討作業は99年に終わったが、92年のガット多国間協議で「中国の加盟は台湾よりも先だとする多数意見がある」という議長声明を出した経過があり、中国の加盟まで2年以上待たされた形となった。 [2001-11-12-10:55] 396


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 11/12@パレスチナは「国名」 米、意図的に初めて使用(共同通信)

 【ワシントン11日共同】パウエル米国務長官は十一日、ブッシュ米大統領が十日の国連本部演説で「パレスチナ」という国名を歴代米政権として初めて意図的に使ったことを指摘、ブッシュ共和党政権の政策変更を受けた表現だったことを明らかにした。米NBCテレビのインタビュー番組で語った。
 米政府は、これまで民主党政権も含め、国名につながる「パレスチナ」という言い方は避けていた。米中枢同時テロを受けた「テロとの戦い」で、アラブ穏健派諸国などの支持をつなぎ留めるため、踏み込んで発言したとみられる。
 ブッシュ大統領は、開会中の国連総会で、アラファト・パレスチナ自治政府議長との会談を拒否、サウジアラビアなどから厳しい批判の声が上がっていた。
 大統領は、会談拒否で米国内の親イスラエル派に配慮しつつ「パレスチナ」発言で、アラブ穏健派などの批判にこたえた可能性もある。
 ペレス・イスラエル外相は十一日、CNNテレビとのインタビューで「イスラエルは平和で敵対的でない将来のパレスチナ国家樹立に反対しない」と述べ、大統領発言を受け入れる考えを示した。
 ブッシュ大統領は国連演説で、イスラエルとパレスチナという「二つの国家」が安全な国境で隔てられ併存する日が来るべきだ、などと述べた。(了)[2001-11-12-10:51] 397


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 11/12@ブッシュ国連演説を歓迎 アラファト議長(共同通信)

 【ニューヨーク11日共同】パレスチナ自治政府のアラファト議長は十一日の国連総会で演説し、将来のパレスチナ国家樹立を容認した前日のブッシュ米大統領の国連演説を歓迎する、と述べた。
 議長は同時に昨年秋以来、パレスチナで武力衝突が続いていることを理由に「イスラエルとの和平交渉再開は不可能だ」と指摘。イスラエルのシャロン首相が提案した暫定和平協定交渉を拒否した。
 また「イスラエルはパレスチナ人攻撃に戦車、ジェット機を投入している。国家によるテロだ」と非難した。
 アラファト議長は十一日、ニューヨークでパウエル米国務長官と会談した。ブッシュ大統領は、自治政府は十分なテロ対策を取っていないとの理由から議長との会談を見送った。
 ロイター通信によると、自治政府のアスフール非政府組織相は十一日、大統領演説について「原則的には前向き」と評価したものの「米政権に必要なのは演説を具体化する戦略や、イスラエルの占領を終結させる提案だ」などと述べた。(了)[2001-11-12-10:33] 400


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 11/12@<国連総会>アフガンの和平・復興プロセス関与に名乗り 宮(毎日新聞)

 【ニューヨーク支局】国連総会に政府代表として出席した宮沢喜一元首相は11日(日本時間12日)、一般討論演説を行った。宮沢氏はアフガニスタンのタリバン政権崩壊後の和平・復興問題について「できるだけ早い時期に和平や復興などに資する会議を開催する用意がある」と述べ、東京開催も視野に、アフガン各派や関係国が参加する和平・復興会議の開催を提唱した。アフガニスタンでの米軍での軍事行動の開始後、日本が和平・復興プロセスへの関与に国際会議の場で名乗りを上げたのは初めて。
 日本政府は米国との共催でアフガン難民支援や復興について関係各国が協議する国際会議を今月下旬、ニューヨーク開催する方向で調整している。宮沢氏発言はこうした動きを踏まえ、復興だけでなく政権の受け皿を協議する和平プロセスにも今後、日本が積極関与する意欲を示したもの。
 宮沢氏は演説でアフガン新政権の枠組みについて「国民の幅広い層に支持を得、すべての民族を代表する」ことが必要との考えを提示。政治的安定に向け国連の活動の重要性にふれ、全面的支持と協力も強調。日本が96年からアフガニスタン和平・復興会議を提唱していることに言及した。
 また、米同時多発テロについて「人類全体にとって脅威であり、全世界の民主主義と自由への挑戦」と非難し「国連はテロ問題に対処する重大な責任を持つ」と指摘。「日本自らの責任の問題と捉え、テロ根絶にできる限りの努力を行う」とテロ対策に取り組む意欲を示し、生物兵器禁止条約の強化などを提案した。
 国連総会は当初、田中真紀子外相が出席を望んでいたが、国会日程などの都合で宮沢氏の出席となった。 [2001-11-12-10:20] 401


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 11/12@広範かつ多民族で構成 タリバン後の新政権構想(共同通信)

 【ニューヨーク11日共同】タリバン崩壊後のアフガニスタンの新政権構想などを協議する同国周辺六カ国と米国、ロシアの八カ国(6プラス2)外相会合が発表する共同宣言案の概要が十一日、明らかになった。
 同外相会合は国連総会の一般演説期間中の十二日、ブラヒミ・アフガン担当事務総長特別代表やパウエル米国務長官らが出席し、ニューヨークの国連本部で開催される。
 宣言案は「新政権は広範かつ多民族から構成され、政治的にバランスが取れ、自由意思によって選ばれたものであるべきだ」と表明し、新政権構想について国連の枠組みの中で設置された八カ国会合として初めて提示した。中・北部のタリバン軍が総崩れとなる中、緊急を要するアフガン情勢をめぐるさまざまな交渉にも多大な影響を与えそうだ。
 宣言案は、アフガン国民自らによるタリバン体制を一掃するための努力を八カ国が支持し、中央アジアの危機を政治的に解決する方策を早急に探ると表明。
 その上で新政権は、アフガン国民の熱望と周辺各国との平和的協調の結果、樹立されるべきだと指摘し、アフガン国民の要求を満たし、人権を擁護、地域の安定をもたらし、麻薬取引の停止などアフガンが負う国際的義務も遂行しなければならないと述べている。
 「タリバン後」をめぐっては、日本と米国が共同議長国を務める「アフガン復興支援国会合(仮称)」の開催が決まっており、人道面からも国際社会の援助が本格化する。(了)[2001-11-12-10:16] 406


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 11/12@日本の努力、暗礁に 米、一方的外交を復活 CTBT会議(共同通信)

 【ニューヨーク11日共同】第二回包括的核実験禁止条約(CTBT)発効促進会議を米国がボイコットしたことで、早期発効に向けた日本などの努力は暗礁に乗り上げた格好になった。米中枢同時テロ後、鳴りを潜めていた米国の「一方的外交」が復活したことで、米国主導による反テロ包囲網にも微妙な影響を与えそうだ。
 同会議は国連総会の一般演説と並行して開催。一般演説はテロ対策やアフガニスタン復興などが主要テーマのため、各国とも表立った米国批判は控えているもようだ。
 しかし、この時期のニューヨークでの会議開催はもともと「米国の閣僚レベルの出席を促すためだった」(交渉筋)だけに、国連事務局側も大きな衝撃を受けている。
 CTBT発効には四十四カ国の発効要件国すべての批准が不可欠。中国、イラン、パキスタンなど未署名、未批准国の態度は米国の対応しだいだったことから「米の不参加で発効への気運は完全に遠のいた」(国連外交筋)との見方が支配的だ。
 反テロで国際社会の結束を呼び掛けながら、自らに都合の悪い問題では協調を拒む米国への反発が再燃する可能性もある。(了)[2001-11-12-09:15] 409


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 11/12@米不参加で早期発効困難に CTBT促進会議が開幕(共同通信)

 【ニューヨーク11日共同】地下核実験を含むすべての核実験を禁止する包括的核実験禁止条約(CTBT)の第二回発効促進会議が十一日、ニューヨークの国連本部で三日間の日程で始まった。
 発効に向け、前回一九九九年十月のウィーン会議から約二年間の進ちょく状況を検討し、各国に署名、批准を促すのが目的だが、最大の核大国で未批准の米国が安全保障上の観点から、CTBTの死文化を狙って会議をボイコットした。
 唯一の被爆国として核軍縮分野での国際世論をリードしてきた日本政府はボイコットに衝撃を受けており、二○○三年をめどとする早期発効も極めて困難な情勢になった。
 アナン国連事務総長は冒頭演説で「米中枢同時テロは、大量破壊兵器の拡散をこれ以上許せないことを世界に示した」と述べ「CTBTは核不拡散体制にとって不可欠だ」と強調した。
 さらに、発効が遅れるほど、実験再開の危険性が高まり、体制維持が困難になると指摘し、四十四カ国の発効要件国のうち米国や中国、インド、パキスタンなど十三カ国が署名、批准していない現状に強い不満を表明した。
 続いて、前回会議の議長国日本の阿部信泰ウィーン国際機関大使が、進ちょく状況を報告。前回会議以降、署名・批准国が計四十一カ国増加した一方で、発効要件国の署名はなく、批准もロシアなど五カ国にとどまったと指摘した。
 会議は最終日の十三日に早期発効を目指すことなどをうたった最終宣言を採択する予定。(了)[2001-11-12-08:40] 413


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 11/12@全民族の支持する政府に 「タリバン後」で緒方代表(共同通信)

 【ニューヨーク11日共同】緒方貞子・アフガニスタン問題首相特別代表は十一日昼、ニューヨークの国連本部でブラヒミ国連事務総長特別代表(アフガニスタン担当)と会談し、「タリバン後」の新たなアフガニスタン政府は同国のすべての民族を代表し、国民各層の幅広い支持が得られるものとする必要があるとの日本政府の見解を伝えた。
 緒方代表はまた、新政権は周辺各国を含め国際社会と友好関係を構築できるような開かれた政権になることに期待を示した。
 ブラヒミ代表は最近、イラン、パキスタンなどを歴訪しタリバン後の政権について調整作業を続けているが、緒方代表は日本としてブラヒミ代表の活動への強い支持を伝えた。
 会談には高野紀元外務審議官、佐藤行雄国連大使が同席した。(了)[2001-11-12-08:02] 53


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 11/12@マラドーナが引退試合、6万人のファンに別れ(読売新聞)

 【ブエノスアイレス10日=伊藤高昭】アルゼンチンが生んだサッカー界のスーパースター、ディエゴ・マラドーナ(41)の引退試合が10日、ブエノスアイレスで行われ、20世紀最高の天才プレーヤーが、約6万人のファンに別れを告げた。
 試合は、マラドーナを加えた現役のアルゼンチン代表が、元クロアチア代表のシュケルや元ドイツ代表のマテウスら世界のスター選手を集めたチームに6―3で快勝。全盛期よりも大幅に体重が増えたマラドーナは運動量が減ったが、鋭いスルーパスや、PKで2点を決めるなどスタンドを沸かせた。
 試合後、マラドーナは「サッカーの素晴らしさが改めて分かった。多くのファンに心から感謝したい」と別れの言葉を残し、場内を一周して声援にこたえた。アルゼンチン協会は、マラドーナの功績をたたえて代表チームの背番号「10」を永久欠番とする方針だったが、国際サッカー連盟に認められなかった。 [2001-11-12-16:54] 329


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 11/12@<サッカー>清水・アレックスが会見 代表入りに向け全力で(毎日新聞)

 日本国籍を取得したサッカーJリーグ清水のMF三都主アレサンドロ(24)=従来登録名アレックス=が12日、静岡市内のホテルで会見した。三都主は期待されるW杯での日本代表入りについて「まずクラブで活躍しないと代表にはなれない。要求されれば左サイドでもFWでも、どんな位置でも準備できる」と話し、残る公式戦に全力を注ぐ心構えを見せた。
 三都主は早朝のテレビニュースを見た安本文彦社長からの連絡で知った。「いきなり(連絡が)来るとは知っていたが、びっくりした。信じられない」と話した。直後に故郷ブラジルの父母に報告したが、「もう帰ってこないの」と嘆いた母親を「大丈夫、大丈夫」と励ましたという。
 三都主は漢字の当て字について「母からもらった名前を変えるのは失礼だと思った。周囲に相談して決めた」と話した。「三都とは生まれ故郷のブラジル・パラナと、高校時代を過ごした高知、そして清水の三つの土地を指しての名前か」と聞かれると、「言われてみるとそうですね」と笑った。
 トルシエ監督が招集を望んだイタリア戦(7日)はテレビ観戦。「日本は(防御が)よく止めていた。中盤が安定していて、ホームゲームの強さを感じた」と話した。清水は現在3連敗と振るわず、自身もオーバートレーニング症候群の症状から動きに切れを欠く。「確かにプレッシャーはあった。でもこれですっきりして試合に臨める」と話した。
 日本代表が期待される三都主だが、代表の左サイドは小野(フェイエノールト)、中村(横浜マ)、負傷離脱中の名波(磐田)と激戦。トルシエ監督はイタリア戦(7日)後「25人のグループができた」と話した。この試合の招集23選手に松田(横浜マ)、名波を指しての発言だが、「彼(三都主)に指定席があるわけではない」という通り、最終的に出場枠23人に入るかどうかは微妙だ。
 トルシエ監督が三都主に名指しで触れたのは7月のキリンカップ前。「アレックスの国籍取得で(代表選考の)状況は変わる」と話した。しかし起用を望んだイタリア戦の代表選考の時点でも法務省の決定が下りず、同監督も「W杯の2、3月(の代表合流)では、他の選手を外さなければいけない」と招集に否定的な考えを示した。
 次の日本代表合宿は来月中旬に予定される。左サイドの個人技でのドリブル突破とフィニッシュが持ち味の三都主が、組織力を重んじるトルシエ戦術のなかで生きるか。三都主はリーグ戦でもマンマークに弱く、一方で背後のスペースを狙われるなど守備の弱さも指摘される。残るリーグ戦2試合、天皇杯で実績をアピールすることが不可欠だ。 【北村弘一】
 トルシエ日本代表監督 日本人選手の中にさらに資質のある選手が一人加わり、日本全体のポテンシャルが上がる。他の日本人選手同様、アレックスも代表候補に選ばれる資格を有することになる。
 岡野俊一郎・日本サッカー協会会長 独特のプレーで活躍しているアレックス選手が日本国籍を取得したことについて大変喜んでいる。今後、日本人として日本サッカー界のために活躍してほしい。 [2001-11-12-20:35] 393


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 11/12@<サッカー>清水のアレックスが日本国籍取得(毎日新聞)

 サッカーJリーグ1部の清水エスパルスに所属しているブラジル人選手、アレックス(本名アレサンドロ・ドス・サントス)さん(24)の日本国籍取得が12日、認められた。日本名と登録名は「三都主(サントス)アレサンドロ」となる。
 アレックスさんは昨夏から国籍取得の意思を示し、今年3月には静岡地方法務局で帰化許可申請の手続きを済ませていた。これで来年の日韓共催ワールドカップに日本代表として出ることが可能になる。過去には、ラモス瑠偉さん、呂比須ワグナーさんらがブラジルから来日後、日本国籍を取得して代表で活躍した。
 アレックスさんは94年、高知・明徳義塾高の留学生として来日。卒業後、清水に入団し、99年にはJリーグの年間最優秀選手に選ばれた。
 日本代表のフィリップ・トルシエ監督は7日のイタリア戦前、「アレックスを使いたかった」と話す一方、これ以上決定が遅れた場合は「彼に特権を与えるつもりはない」と発言していた。 [2001-11-12-11:00] 49


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 11/13@◎マケドニアで衝突、政府側兵士3人死亡(時事通信)

 【ウィーン12日時事】マケドニア国営放送によると、同国北西部テトボ近郊で11日夜、アルバニア系武装組織・民族解放軍と治安部隊の戦闘が再燃し、政府側兵士3人が死亡した。今年8月に調印された和平案の履行に向けた議会審議が大詰めを迎える中、マケドニア情勢は再び、和平プロセスが破たんしかねない局面を迎えた。
 政府軍側は11日、武装組織幹部を含む7人を逮捕。反発した武装組織がテトボ近郊の村を襲撃した。内務省は「民族解放軍は今なお武装を解いておらず、和平合意に違反している」と批判した。 [時事通信社][2001-11-13-06:26] 51


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 11/13@北部同盟、カブールへ進撃 ヘラート制圧(朝日新聞)

 タジキスタンの北部同盟外交筋によると、アフガニスタン北部一円で攻勢を強める同盟軍は、首都カブールに向けた進撃を開始し、12日午後の時点でカブールの北20キロまで迫った。北部同盟はこの日、西部の中心都市ヘラートを制圧。この3日間で北部の大半を一気に支配下に置き、カブールへの圧力をさらに強める。ラマダン(断食月)入りを前に、タリバーンに対する戦局は大きなヤマ場を迎えた。
 北部同盟外交筋は、カブール進撃の目的について、「カブールを包囲することであり、現時点で市内に入る意図はない」としている。またアブドラ外相は12日、米CBSテレビで、ブッシュ米大統領が北部同盟のカブール入りに反対したことについて、「カブールに向け進撃することとカブールに入ることは違う」とクギを刺した。外相はまた、マザリシャリフ制圧が「ドミノ効果を引き起こした」と指摘した。
 北部同盟のドスタム将軍は、タリバーン後の新政権構想が固まるまで、カブール攻撃はしない考えを、トルコのテレビに示した。
 イタル・タス通信は同日、アフガン大使館の消息筋の話として、北部同盟軍がカブールから12キロの地点まで進軍したと伝えており、一層包囲網を強めている模様だ。北部同盟スポークスマンはAFP通信に対し、カブールへの進撃に際して北方約40キロ地点で約1時間にわたって戦闘し、タリバーン兵約100人が死亡したと語った。
 ロイター通信によると、カブールのタリバーン兵が12日、車両数台に乗って同市内から撤退を始めた。
 アフガニスタンを実効支配してきたタリバーン政権は12日、首都カブール近郊で、北部同盟側が前線を突破したことを認めた。ただ、侵攻は止まっており、依然としてタリバーン側が首都を掌握していると主張している。
 タリバーン政権のザイーフ駐パキスタン大使は、タリバーン部隊が首都カブールから撤退しているとの情報を否定した。「タリバーンはカブールを守る」と述べた。アフガン・イスラム通信(AIP)が伝えた。
 ヘラートはイランとタリバーンの本拠地・アフガンのカンダハルを結ぶ交通の要衝でアフガン第3の都市。紀元前マケドニアのアレクサンダー大王が東方遠征の拠点の一つにした。現在もアフガン西部の商業の中心。現地からの情報ではタリバーン部隊の目立った抵抗はなかったという。
 またアフガン・イスラム通信が12日伝えたところでは、北部同盟軍は11日夜、北部ファリアブ州の州都マイアナも陥落させた。タリバーンのスポークスマンも同地からの撤退を認めた。イラン国営通信によると、北東部のクンドーズ州の州都クンドーズも陥落させた。[2001-11-13-01:28] 188


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 11/13@<国連>カブール制圧でシナリオ狂う 治安対策、正念場に(毎日新聞)

 【ニューヨーク上村幸治】アフガニスタンの反タリバン連合(北部同盟)が13日に首都カブールを制圧したことにより、国連が描いていたシナリオは大幅に狂う形になった。国連はタリバン政権後の枠組みを作った上で、現地の治安を維持する多国籍軍を派遣する方針だったが、新政権構想の完成を待たずに派遣を迫られる懸念も出てきた。政治合意のないままで部隊を出した場合、現地で極めて危険な状況に追い込まれる可能性がある。
 国連は「数日内」にアフガン各勢力を集めて、新政権構想を話し合いたいと表明している。その場で、国連と関係8カ国の同意した「広範な基盤を持つ新政権」の枠組みを決めることになる。
 「広範な基盤」とは、タリバン政権の主流である多数派民族パシュトゥン人の取り込みを意味している。しかし、首都を制圧した北部同盟が簡単にこの構想に従うのかという問題が出てくる。
 国連安全保障理事会は今週、アフガニスタン問題を話し合い、新政権の基本概念と共に現地の「治安維持」の必要性を決議し、多国籍軍の結成を承認する予定だった。
 米国は北部同盟のカブール進攻に待ったをかけ、その間に国連主導の政治枠組み作りを急ごうと考えた。12日の国連安保理外相会議などでパウエル米国務長官らが「何よりスピードが大事だ」と繰り返したのもそういう事情を反映していた。
 問題を複雑にしているのは、治安維持対策について各国から多種多様の提案が出ていることだ。
 フランスはアフガニスタン国民軍の再建を提案し、国連のブラヒミ事務総長特別代表は、カブールの非武装化と治安部隊の展開を提案した。イスラム諸国だけで構成する多国籍軍の展開も議論されたが、国連や主要国から実現の可能性が薄いと拒否された。
 このため、トルコを主体にしたインドネシア、ヨルダン、バングラデシュなどイスラム諸国に、欧米など非イスラム系の国を加える案が有力になっている。ただ、イスラム諸国と現地住民の反発を考慮し、「米英軍は必要以上に現地に滞在しない」との条件がつく。多国籍軍に北大西洋条約機構(NATO)軍を組み込ませる案も出ている。
 しかし、前提になるのは北部同盟の全面的協力だ。またタリバンが完全に排除されず、南部の拠点などでゲリラ戦を展開すると、多国籍部隊の導入は難しくなる。
 国連がさまざまな選択肢を検討している間に、戦況はますます流動化しつつある。アフガンの政治枠組み作りと治安維持対策にとって、これから数日間が最大の正念場になるかもしれない。 [2001-11-13-23:50] 202


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 11/13@<タリバン政権>カブールからの撤退 「戦略的」な意味合い(毎日新聞)

 アフガニスタンのタリバン政権は首都カブールから撤退したことで、同国を実効支配してきた「政権」としての地位を事実上失った。だが、組織そのものが一気に弱体化するとみるのは早計だ。むしろ米軍を地上戦に引きずり込む「戦略的撤退」の意味合いが強い。戦争を長期化させることにより、なんとか勝算を見いだそうとしているようだ。 【春日孝之】
 タリバンは山岳地帯にこもり、徹底抗戦する構えだ。アフガン戦争でゲリラがソ連軍を撃退したのと同じ戦法だが、決定的に違う点がある。
 当時のゲリラ勢力が米国やパキスタンの支援を受けていたのに対し、タリバンは四面楚歌(そか)で、兵士や兵器の供給にも限界があることだ。
 しかも、今回は「対テロ戦争」という大義名分の下、英国をはじめ多くの国が米国を支援する。タリバンを唯一、軍事支援してきたパキスタンも米国支援に回っている。
 タリバン兵力は、パキスタン人やアラブ人兵士を加えても約5万。パキスタンのイスラム原理主義勢力が数千人規模のボランティア兵士を派遣、アフガン戦争当時のムジャヒディン(イスラム聖戦士)勢力のヘクマティアル派が支援を公式表明しているが、兵力としては未知数だ。
 そうした中、タリバンにわずかでも勝算があるとすれば、戦争の長期化・泥沼化しかない。
 アフガン戦争の経験者の多くは「米軍はソ連軍の二の舞いになる」と指摘する。米軍の「後方かく乱」のため、米本土や米国を支援する国でテロが続発するだろう、と警告する専門家もいる。
 タリバンがウサマ・ビンラディン氏の組織「アルカイダ」と一蓮托生(いちれんたくしょう)であるなら、米国などでえん戦気分を高めるため、今後、テロ関与の動きを強化する可能性もある。
 タリバンが戦争長期化に託す「希望」として、どんなシナリオがあるのか。まず、米国と反タリバン連合(北部同盟)の関係が悪化する事態だ。今回、北部同盟は米国の意向を無視し、カブールに入った。
 また、北部同盟は少数民族のタジク人、ウズベク人、ハザラ人の「寄り合い所帯」。タリバン出現以前のように、主導権争いで新たな内戦に突入する可能性もある。
 さらに、米地上軍がカブールに駐留する事態となれば、米国の影響力増大を警戒する周辺諸国が態度を変えるかもしれないと、パキスタン軍関係者は指摘する。
 パキスタンの軍強硬派やイスラム原理主義勢力が米国を支援するムシャラフ大統領に反発し、政権交代となる可能性も完全には否定できない。
 これらのシナリオは実現せず、タリバンは「じり貧」に追い込まれるかもしれない。ただ、泥沼のゲリラ戦以外に選択肢はないとタリバンが決意したとすれば、米軍がこれを避けるのは容易ではないだろう。 [2001-11-13-21:45] 216


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 11/13@<アフガン情勢>タリバン後の日本の関与 カブール制圧で影(毎日新聞)

 アフガニスタンの首都カブールを反タリバン勢力の北部同盟が制圧した。今後の情勢次第では、テロ対策支援法による対米協力に続いてアフガンの和平・復興に関与するという日本のシナリオにも影響を与えそうだ。日本はタリバン後にどう関わっていこうとしているのか。その背景、問題点を質問(Q)、答え(A)の方式でまとめてみた。
Q 日本政府はアフガニスタンの和平や復興に協力すると言っているけどどういうことなの。
A アフガニスタンで「北部同盟」が軍事的に優勢になっても、同国最大の人口を持つ「パシュトゥン人」勢力を排除した政権作りは困難とみられている。このため、政権の受け皿作りが必要で、これが「和平」プロセス。同時に、和平が実現すれば、戦争で荒廃した国土を産業や民生などの面で再建しないと、政権は安定しない。これが「復興」プロセスだ。
Q 実際にはどんな準備をしているの。
A まず、日米両国が主催する形で復興を後押しするための国際会議を計画している。今月下旬に米ニューヨークで開催予定で日米が共同議長を務める予定。30数か国が参加する。米国は、復興支援については日本が前面に出ることを望んでいるんだ。
Q かなりの資金がいるんでしょうね。
A 日本が前面に出れば、そのうち政治課題として財政負担が浮上してくるだろう。国連機関の避難民支援活動に日本はすでに最大1億2000万ドルの支援を決定している。
Q 和平への日本の関与はどうなるのか。
A こちらは、どう絡むかがよくみえてこない。国連でアフガニスタン問題を担当するブラヒミ事務総長特別代表が中心となり、それを日本や主要国(G8)やアフガン周辺国が後押しする展開を想定しているようだ。
Q 与党3党が今国会中に国連平和維持活動(PKO)協力法を改正することにしたのは、アフガニスタン情勢と関係あるの。
A 自民党の山崎拓幹事長は12日の記者会見で「日本に対する国際社会の要請は資金援助だけではない。自衛隊の地雷除去技術は高い評価を得ており、(人的な)要請がある場合もある」と説明していた。今回の法改正には国連平和維持軍(PKF)本体業務への参加凍結を解除し、アフガンでの地雷除去にも対応する狙いがあるようだね。
Q ただ、これまで国連は「タリバン後」のアフガンを統治するためにPKOを展開することには慎重だったよ。
A その通り。国連本部のゲエノPKO局長は10月23日に山崎氏と会談した時、アフガニスタンPKOについて「いきなり国連の青いヘルメットが歓迎されるか、危惧を持っている。簡単にできると思っていない」と言っていた。
Q 小泉純一郎首相もPKO法の改正に積極的だけど、アフガンPKOを念頭に置いていたんじゃないの。
 A そうでもないようだよ。仮にPKOが実施されるにしても、新しい政権がどうなるかがある程度はっきりしてからだから、だいぶ先のことだと政府はみている。それよりは来年3月から東ティモールにPKO部隊を出す予定なので、それまでに自衛隊が武器を使える範囲を広げておきたいという感じだね。 [2001-11-13-20:30] 223


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 11/13@<カブール制圧>元国王陣営、北部同盟との勢力均衡崩れ苦境(毎日新聞)

 【ローマ井上卓弥】アフガニスタンの反タリバン連合(北部同盟)のカブール制圧は、全民族参加による暫定政権を目指すザヒル・シャー・アフガン元国王(87)にとって、反タリバン陣営内の「勢力均衡」が崩れる局面になりそうだ。多数派パシュトゥン人代表として優位な立場を堅持したい元国王派は今後、苦しい対応を迫られよう。
 ローマに亡命中の元国王や側近はタリバン政権主流派と同じパシュトゥン人で、反タリバンを掲げるパシュトゥン人穏健派を代表している。米国やパキスタンの後押しを受けた「第3勢力」の核として、水面下でタリバン内部の穏健派の離反を画策してきた。タリバンの急速な勢力後退は大きな朗報と言える。
 しかし、元国王派はパシュトゥン人の立場を維持するため、タジク、ウズベクなど少数派民族の連合体・北部同盟が暫定政権樹立の主導権を握ることは容認できない。一方、北部同盟側にもパシュトゥン人の元国王復権に対する民族的警戒感が根強い。暫定政権樹立に向けて、10月初めに「対等の立場」を確認して開始されたはずの「最高評議会」設置交渉は、双方の勢力争いの場になり停滞していた。
 今後、首都を掌握した北部同盟側がより発言力を増し、元国王派への圧力を強めるのは必至とみられる。 [2001-11-13-19:50] 245


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 11/13@国連事務総長が「暫定統治、緊急協議」を提案(読売新聞)

 【ニューヨーク12日=勝田誠】国連のアナン事務総長は12日、アフガニスタン情勢の急展開や、ブラヒミ・アフガン担当事務総長特別代表からの報告内容を受けて、イスラム原理主義勢力タリバンを除くアフガン全勢力の代表を数日以内に招集し、タリバン崩壊後のアフガン暫定統治を協議する会議の緊急開催を提案した。事務総長は、米露およびアフガン周辺6か国による8か国外相会議で、この提案をした。
 アフガン北部の戦略的要衝マザリシャリフ制圧後の反タリバン勢力、北部同盟の進攻が予想以上に速まり、首都カブールの奪回を「数日中」(国連外交筋)と見た国連は、首都カブールの治安維持を含めた問題の早期解決を図ろうとした。しかし、北部同盟は、同提案の約12時間後には首都を制圧、国連や関係国の対応は、アフガン情勢の変化のスピードに追い越された形となった。
 このため、会議が実現すれば、暫定統治など政治体制の在り方と並んで、すでに北部同盟が占拠した首都の管理問題が最大の課題となるのは間違いない。
 緊急会議の開催地としては、各勢力代表やローマ在住のザヒル・シャー元国王、国連担当者らが集まりやすい、ウィーンやジュネーブなど政治的に中立な欧州の国際都市が有力視されている。しかし、事態の推移が早すぎるため、アフガンに近いアジア諸国での開催となる可能性もある。
 米国とパキスタンは、ニューヨークで10日行われた首脳会談で、北部同盟にカブールを制圧させないことで合意していた。対アフガン軍事作戦に加わる英国や、イランなど8か国外相会議構成国の多くは、広範な支持基盤を持つ、多民族から成る新体制づくりを政治目的とする以上は、「北部同盟によるカブール制圧は容認できない」(安保理常任理事国の国連代表)との認識を共有している。
 また、国連外交筋によると、米英両国を中心に、カブールなどの治安維持を目的とした多国籍軍を投入する構想が浮上している。両国は北大西洋条約機構(NATO)加盟国にすでに働きかけている。国連や関係国は当初、アフガン人による治安維持部隊を編成し、これを国連が支援する構想を有力案としていたが、同案はアフガンの長期安定化には好ましいが、立案計画に時間がかかるため、情勢の急変により、多国籍軍の投入案が再び浮上したようだ。 [2001-11-13-14:31] 250


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 11/13@<アフガン攻撃>ロシアは困惑 北部同盟カブール制圧で(毎日新聞)

 【モスクワ石郷岡建】反タリバン連合(北部同盟)が首都カブールに進攻したことはロシアにとって予想外の事態といえる。北部同盟を支援してきたロシアは、タリバンの首都放棄を歓迎しながらも、本音では困惑しているのが実態かもしれない。プーチン大統領は13日の米露首脳会談に臨むためワシントン入りしており、タリバン後のアフガン情勢について、ブッシュ米大統領と緊急協議すると見られる。
 北部同盟の統治能力に疑念を抱くロシアは再三にわたり、アフガン全民族を代表する新政権構想を訴えてきた。北部同盟の独走による単独支配は政情不安定を招き、返って危険との考えからだ。
 このため、ロシアは、米国、北部同盟の3者で、首都カブールの攻略は控えると確認をしたはずだった。プーチン大統領が訪米を前に、「北部同盟による軍事作戦の目的はアフガン北部の統治だ」と述べ、「旧ソ連の政治的失敗に学べ」と主張していた。その背景にはアフガン国内の全政治・民族グループを取り込まず、共産党一党支配を図った親ソ・ナジブラ政権が瓦解した歴史の過ちを繰り返すべきでないとの思いがある。
 実際に首都に進攻したことを受け、北部同盟はラマダン(断食月)を前に、国連総会や米露首脳会談を見据え、首都実効支配という実態を国際社会に突き付け、政権の正当性をアピールする可能性が強い。泥沼化した旧ソ連軍進攻の悪夢にさいなまれるロシアは、アフガンへの影響力確保と深入り回避というジレンマに陥るかもしれない。 [2001-11-13-13:15] 257


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 11/13@<アフガン攻撃>タリバン戦闘行わずにカブール撤退(毎日新聞)

 【イスラマバード支局】アフガニスタンの反タリバン連合(北部同盟)軍は13日、タリバン政権下にあった首都カブールを掌握したが、タリバンの相次ぐ「戦略的撤退」の狙いは不透明なままだ。ブッシュ米大統領は10日、ムシャラフ・パキスタン大統領と共に北部同盟単独でのカブール進攻に「不支持」を表明していた。タジク人やウズベク人などの「寄り合い所帯」の北部同盟が単独でカブールを占拠した場合、最大民族のパシュトゥン人の反発や主導権争いが噴出しかねない。
 タリバン政権から反タリバン連合(北部同盟)が9日、アフガニスタン北部の要衝マザリシャリフを陥落させたことで、軍事的には北部同盟はいつでもカブール奪還が可能になったとみられていた。しかし、北部同盟内で各派が戦果を競う状況に進むことには、慎重論が大勢を占めていた。
 北部同盟のカブール進攻に対し、タリバン軍はほとんど戦闘を行わずにカブールを撤退した模様で、戦力を温存したままの戦略的撤退とみられる。北部同盟にとってもタリバンの本拠地カンダハルまで進攻してタリバン軍を完全に打ち破ることは困難とみられ、タリバンは今後、カンダハルを拠点に北部同盟軍や米軍などに対するゲリラ戦を展開する可能性が強い。
 米国にとっては、アフガンでの地上戦に本格的に巻き込まれる契機になりかねない。北部同盟が米国の意向を振りきる形でカブールへ進攻したことで、今後のアフガン情勢は一層、予断を許さない状況を迎えた。 [2001-11-13-12:20] 291


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 11/13@奪回後のカブールの治安に多国籍軍 米英が投入目指す(朝日新聞)

 アフガニスタンの北部同盟による首都カブール奪回が現実味を帯びる中、カブールの治安維持を目的とした多国籍軍を投入する構想が浮上し始めた。国連外交筋が12日、明らかにした。同筋によると、米英両国は北大西洋条約機構(NATO)加盟国に働きかけて数週間以内の編成を目指している。
 カブールの「力の空白」を避けるため、国連が米英に働きかけを要請していた。これを踏まえて、タリバーン後の新政権を模索するブラヒミ国連事務総長特別代表(元アルジェリア外相)は12日のアフガン周辺6カ国と米ロ(6+2)の外相会合で、アフガン人による暫定政府樹立への支持を呼びかけた。
 国連はカブールを「国家統合の象徴」として、どの武装勢力も入れない「中立地帯」にする構想を持っている。ブッシュ米大統領はパキスタンのムシャラフ大統領との会談で、北部同盟にカブール攻略をさせない意向を伝えており、中立化を支持している模様だ。
 国連側には、米英軍がカブール陥落後の新政権構想を何もつくらずに爆撃を繰り返している、という不満が募っていた。
 国連は当初、北部同盟を中心とするアフガン独自の治安部隊の編成を検討していたが、もともと実現性が薄かったことや、軍事状況が先に進んだことで事実上断念した。平和維持活動(PKO)は準備に数カ月かかるうえ、「維持すべき平和がない」状況から排除された。
 ブラヒミ氏はカブールに多国籍軍が展開してから、各派代表200〜300人が集う会議を開催し、そこから20〜30人の代表をさらに選んで中枢の政策決定機能を持つ暫定政府づくりを目指している。
 外交筋などによると、ブラヒミ氏は、これまでの調停外交で、タリバーンを構成する多数派パシュトゥン人を新政権に入れることについて、北部同盟に影響力のあるイランとロシアの原則的な了解もとりつけている。[2001-11-13-03:18] 298


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 11/13@<アフガン攻撃>北部同盟の暴走懸念 米露パ、単独支配求め(毎日新聞)

 反タリバン連合(北部同盟)がアフガニスタンの北部の大半の州を制圧するなど一挙に攻勢に出ている。焦点は北部同盟が現在、タリバンが支配している首都カブールをいつ奪還するかに移った。だが、米国とパキスタンは北部同盟のカブール制圧に不支持を表明、ロシアもこれに同調する。背景には、タリバン後の新政権の枠組みが不透明なことに加え、北部同盟の統治能力への疑念や関係各国の政治的思惑がある。
       ◇
 米軍にとって反タリバン連合(北部同盟)の地上攻勢が続く現状は痛しかゆしの側面がある。北部同盟の進撃を空爆で支援してきたが、進撃に弾みが付き過ぎれば、米軍の統制が利かない「暴走状況」になりかねないためだ。
 12日発売の米誌ニューズウィークは、カブールをめぐる本格的な攻防は来年春までは考えにくいと指摘している。同誌によると、フランクス米中東軍司令官は、北部同盟の現在の力ではカンダハルは攻略できないと判断、米地上軍の増強をラムズフェルド国防長官に進言したという。
 アフガンにはすでに特殊部隊数百人が潜入しているが、フランクス司令官は本格的な地上軍展開に向け、アラビア海に展開する強襲揚陸艦ペリリューの遠征部隊約2200人に海兵隊の約3000人を合流させ、さらにテキサス州の第1機甲師団から約2500人の出動を要請する考えだ。
 この進言に対し、ラムズフェルド長官は地上戦闘は当面、北部同盟に任せ、地上軍投入を「数週間」待つよう指示したという。
 宿敵・インドへの対抗上、アフガンへの影響力を維持したいパキスタンはタリバン創設にかかわった。それが裏目に出た今、タリバン打倒を目指す米国支援を打ち出してはみたものの、北部同盟が首都を制圧した場合、同盟支援を続けてきたロシア、イランの影響力が飛躍的に高まるのは避けたい。それがパキスタンの本音だ。その立場はアフガン攻撃で空軍基地提供を受けた米国とも一致する。
 国防総省としては、米兵に危害が及ぶ陸上作戦は当分見合わせ、タリバン政権の自壊を待ちたいところだ。ラムズフェルド長官は米テレビとの会見で、タリバン政権とウサマ・ビンラディン氏の組織「アルカイダ」の指導部間に対立の兆しがあると語った。空爆や資金凍結などによる締め付けが、双方の内紛の呼び水になったというのだ。
 だが、タリバン政権の戦力の現状は読みにくい。米国の予想以上に戦力が落ちていれば、北部同盟が一気にカブールへ進撃する事態も予想される。首都制圧を食い止める地上兵力を持たないことが、米軍のアキレスけんになりつつある。【ワシントン布施広】
        ◇
 反タリバン連合(北部同盟)の攻勢の背景について、北部同盟自身は(1)米軍の効果的な空爆(2)一般住民の協力――の二つを挙げている。アフガンでは部族の長老や首長が大きな政治的影響力を持っており、北部同盟の進撃を見て、これら長老・首長が一斉にタリバンに反旗をひるがえし、北部同盟側に寝返り始めた可能性が濃厚だ。
 また、ロシアのイズベスチヤ紙は米空挺(くうてい)部隊などがアフガン兵士に扮装(ふんそう)、北部マザリシャリフの制圧に直接参加したとの情報を伝えた。
 ロシアの軍事専門家の多くは、この北部同盟の攻勢を懐疑的に見る。中央山岳地帯を境に、タリバン勢力の支持基盤となった南部パシュトゥン人地域に入り、タジク、ウズベク、ハザラなど少数民族系の北部同盟がどれほど住民の支持を獲得できるか疑問だからだ。
 プーチン大統領も10日、米国記者団との会見で「北部同盟の軍事作戦の目的はアフガン北部を統制することだ」と述べ、アフガン全土の北部同盟支配は念頭にないとの立場を示した。
 イスラム原理主義勢力の浸透を阻止したいロシアは、アフガン国内のタリバン勢力の一掃という一点で北部同盟を支援してきた。だが、ロシアは元来、ゲリラ各派の寄せ集めである北部同盟の統治能力に期待しておらず、むしろ、旧ソ連軍侵攻(79〜89年)当時のような深入りは避けたいようだ。
 一方で、軍事専門家の多くは「タリバンは主要な司令官を失っておらず、多数の捕虜も出ていない。戦わずに都市を放棄している」と指摘、戦略的な撤退との見方を示す。タリバン軍の中核となっている「アルカイダ」などアラブ人を主体とするイスラム原理主義外国人部隊がゲリラ戦術などに方向転換し、兵力を温存している可能性は強い。原理主義グループの掃討は米軍など外部からの支援なしには不可能だとの意見が大勢だ。【モスクワ石郷岡建】 [2001-11-13-01:35] 300


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 11/13@<PKO法改正案>参加5原則の形骸化進む 「武器使用」拡(毎日新聞)

 政府・与党が12日、政府提案での臨時国会提出に合意した国連平和維持活動(PKO)協力法改正案は、武器使用基準で今国会で成立したテロ対策支援法の規定より踏み込む内容となった。PKO参加5原則の変更は避けたが、「他国のPKO要員」も防護対象に含めるなど武器使用の範囲は実態面で大幅に拡大、成立すれば自衛隊派遣の「歯止め」となってきた参加5原則の形がい化が進むことになる。
 政府・与党は同日、国連平和維持軍(PKF)の凍結解除と武器使用基準の緩和を今国会で一括処理するため、今月20日までに政府案で国会提出することで合意。各党論議を踏まえて16日までに正式な与党合意を得ることも申し合わせた。
 「PKO部隊をあらゆるケースで派遣できる条件がおおむね出来あがった」。自民党の山崎拓幹事長は同日夕の記者会見でこう強調した。改正案の眼目は武器使用の基準だった。現行法は自衛隊員が武器を使って防護できる対象を「自己」と「(自己とともに)現場にいる他の隊員」に限定。テロ対策支援法は正当防衛など自然権の範囲内として「自己の管理下に入った者」「武器等」を含めたが、「他国のPKO要員」は除外された。
 しかし、今回の改正案は「同じ場所に居合わせる他国のPKO要員及び国際機関の職員等も含む」と付け加え、「他国のPKO要員」も自然権の範囲内で防護できると解釈の幅を広げた。
 参加5原則は、92年に成立した現行PKO協力法を策定する際、日本が国連平和維持隊に参加するための基本方針として定められた。公明党の冬柴鉄三幹事長は同日、「5原則のうち、武器使用のくだりを補完・補充したもの」と述べ、5原則見直しには当たらないとの認識を改めて強調した。しかし、自民党首脳は「実質的には5原則の見直しになる」との立場を示し、与党内でも受け止め方が食い違っている。「5原則の維持」の名目を取りたい公明党と、解釈で実質的に武器使用の範囲を拡大したい自民党が、あいまいな5原則の解釈を逆手にとって合意した内容と言えそうだ。
 一方、民主党の菅直人幹事長は同日、記者団に、「民主党は従来からPKO協力法の見直しが必要だと考えている。何が何でも反対というわけではない」と述べた。民主党としては、テロ対策支援法に盛り込まれた武器使用基準の範囲内であれば、改正に賛成する方向だ。
       ◇
PKO参加5原則
 わが国は次の原則に従い国連平和維持隊に参加するものとする。
1 紛争当事者間の停戦合意が成立している。
2 受け入れ国の同意が存在している。
3 平和維持隊が中立的立場を厳守する。
4 上記原則のいずれかが満たされない状況が生じた場合には日本からの参加部隊は撤収できる。
5 武器の使用は要員の生命等の防護のため必要最小限度のものに限る。 [2001-11-13-01:35] 46


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 11/13@<サッカー>国際親善試合 韓国、クロアチアと引き分け(毎日新聞)

 サッカーの国際親善試合、韓国―クロアチア第2戦は13日、光州市の光州ワールドカップ(W杯)スタジアムのオープン記念試合として行われ、1―1で引き分けた。
 若手中心で第1戦を勝った韓国は、Jリーグで活躍する崔龍洙(市原)柳想鉄(柏)らも加えた布陣。前半終了間際に崔が左クロスにうまく合わせて先制したが、後半にミスを突かれて追いつかれた。
 韓国はセネガル、クロアチアとの国際Aマッチ3連戦を1勝1分け1敗で終えた。 (共同) [2001-11-13-22:50] 39


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 11/14@<EU>「東方拡大は順調」欧州委員会が年次報告(毎日新聞)

 【ブリュッセル森忠彦】欧州連合(EU)が進めている東方拡大政策について欧州委員会は13日、加盟候補の13カ国についての年次報告を発表した。10カ国については加盟に向けた国内改革が順調に進んでいるとの評価を示した。
 EUは2年前の首脳会議で中東欧、地中海諸国とトルコの13カ国を候補国とし、トルコを除く12国とは加盟に向けた交渉を続けている。13日の報告書はポーランドやチェコなど10カ国については司法改革や行政規律などの面で課題が残るものの、改革を概ね評価した。ルーマニアとブルガリアは経済水準で、トルコは人権問題などでなお課題が残るとした。
 計画では来年中に第1陣となる数カ国を決定する予定で、04年に行われる欧州議会選挙には新加盟国も参加する見通し。最有力にはスロベニアやマルタ、チェコなどの名前が挙がっている。 [2001-11-14-21:20] 40


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 11/14@行動共にするザワヒリ副官 アテフ副官は化学兵器担当(共同通信)

 米中枢同時テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏のテロ組織アルカイダは二人の副官と多数の実行部隊幹部で構成される。
 ビンラディン氏としばしば行動を共にし、テレビ局に送り付けたビデオ声明で挑戦的な発言を繰り返すのがエジプト生まれのアイマン・ザワヒリ副官。アルカイダの主力部隊であるエジプトのイスラム原理主義過激派ジハードの指導者だ。
 九日には、新たなテロ予告ともとれる発言をし、十月にも「米国はベトナムに続いて(アフガニスタンでも)敗戦に向かっている」と語った。アラビア語を話すビンラディン氏の英語の通訳を務めることも。
 ビンラディン氏や同副官とともに一九九八年のアフリカでの米大使館同時爆破事件で指名手配されているのがエジプト出身のモハメド・アテフ副官。化学兵器の専門家で、組織内では「化学者」と呼ばれているとの報道もある。
 国際的なテロ展開の指揮官とされるのがパレスチナ人のアブ・ズバイダ氏。アフガン国内でテロリスト養成キャンプを切り回し、テロリストを現場に送り出す。パリの米国大使館などへのテロ計画で七月に逮捕されたアルジェリア人男性に指令を出したのもズバイダ氏とみられる。
 イスラム義勇兵としてボスニア・ヘルツェゴビナでセルビア人との戦闘に加わった経験も持つ。十月にボスニアで対米テロ計画が発覚、阻止された際、現地のテログループの中心的人物が、ズバイダ氏の電話番号を控えていたことも伝えられている。(共同)(了)[2001-11-14-18:18] 42


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 11/14@<アフガン>ウズベキスタンからの人道支援物資が搬送可能に(毎日新聞)

 【タシケント田中洋之】中央アジアのウズベキスタンからアフガニスタンへの人道支援物資の第1便が14日、国境のアムダリヤ川を渡って搬送された。両国国境はこれまで、タリバンがアフガン側を支配していたため閉鎖されていたが、反タリバン連合(北部同盟)が、北部の要衝マザリシャリフとその周辺地域を制圧したことにより初めて搬送が可能になった。
 ユニセフ(国連児童基金)のタシケント駐在事務所によると、ウズベク南部のテルメズには約160トンの支援物資が集まっており、マザリシャリフなどアフガン北部地域に運ばれる。ウズベクからの輸送ルート開設により、今後はアフガンへの援助供与が本格化するものと期待している。
 激しい戦闘や空爆が続いたアフガン北部では市民生活が困窮を極めており、冬の到来を前に速やかな支援物資搬送の必要性が指摘されている。 [2001-11-14-22:20] 44


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 11/14@11月15日付・編集手帳(読売新聞)

 日本の関東軍が中国清朝の皇帝だった溥儀を擁立して「満州国」を建てたのは、一九三二年(昭和七年)三月のことである。歌人の土屋文明はその報をラジオで聞き、所感を歌にしている◆「新しき国興るさまをラヂオ伝ふ亡(ほろ)ぶるよりもあはれなるかな」。文明はこの時、四十一歳。国を挙げて建国祝賀のムードにわき立つなかで、時勢を見るさめた眼光が印象的である◆アフガンからの報道を読んでいて文明の歌が頭に浮かんだ。北部同盟が制圧したマザリシャリフではタリバンの少年兵が多数処刑されたという。首都カブールに進駐した兵士が市民に暴行を加えた、との目撃情報もあった◆テロリストをかくまうタリバンの敗走は、戦果には違いない。だが新生アフガンが、部族間の憎しみを底流に持つ北部同盟の影響下で歩みだす時、世界が祝うに足りる安定した「新しき国」になるかどうか。内戦が起きる不安はぬぐえない◆「カブール市民の一割、約十万人は飢餓で冬が越せない」。現地で活動する医師、中村哲さんは先月、日本記者クラブでの講演でそう語った。その冬が訪れている◆国連を軸に安定した〈タリバン後〉政権の設計図が描けるか。残り時間は少ない。新しく始まるアフガン人の暮らしを、タリバン政権の滅びる前よりも「あはれ」な状態にしてはなるまい。 [2001-11-14-22:18] 48


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 11/14@<アフガン>北部同盟の残虐な報復行為 米政府が懸念表明(毎日新聞)

 【ワシントン吉田弘之】アフガニスタンの北部マザリシャリフや首都カブールを制圧した反タリバン連合(北部同盟)のタリバン軍に対する残虐な報復行為が問題になっている。タリバン政権崩壊後に北部同盟が主体となる新政権作りやカブールの治安維持にも悪影響を及ぼしかねない情勢だ。フライシャー米大統領報道官は13日、「すべての党派が人権を尊重することが大切だ」と懸念を表明した。
 13日付のニューヨークタイムズ紙は、北部同盟軍がアフガン北部で捕まえたタリバン兵を銃殺する衝撃的な写真を掲載した。同紙によると、カブールに進攻中の同盟軍兵士が、敗走するタリバン兵を発見。命乞いするタリバン兵の衣服から必要なものを奪い取りライフル銃で胸を撃った。付近には他にも殺害されたタリバン兵の遺体があり、前線で北部同盟軍による報復行為や強奪が恒常化している様子を報じた。
 在イスラマバードの国連報道官によると、北部同盟は9日、マザリシャリフを制圧した際、学校に隠れていた100人以上のタリバン兵を処刑するなど報復行為を激化させている。
 北部同盟に関しては、米軍のアフガン攻撃以前から人権問題を懸念する声があり、恐れていた事態が表面化したと言える。クラーク国防総省報道官は同日、「事実関係は確認していない。これまでに得ている情報では(制圧した地域で)一様に歓迎されている」と打ち消しに躍起だった。
 またラムズフェルド国防長官は同日、カブールに少数の米軍特殊部隊がいるが、北部同盟の行動を監視することが困難だと明らかにした。その上で「(過去の戦争で)都市全体を消し去ったケースもある。タリバンも多数の人命を奪ってきた」と語り、タリバンの人権侵害を強調する形で北部同盟を擁護。「センセーショナルな非難は有益ではない」と苦しい弁明に終始した。
 フライシャー報道官によると、新政権構想に関してアフガン民族各派と話し合うためパキスタンを訪問するジェームズ・ドビンズ米特使は、人権尊重を訴えるブッシュ大統領のメッセージを北部同盟代表に渡す予定だ。 [2001-11-14-21:30] 49


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 11/14@<アフガン>タリバンが各地で撤退 政権としては崩壊(毎日新聞)

 【イスラマバード福原直樹、澤田克己】アフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバンは、首都カブールからの撤退に続いて14日も各地で主要都市を放棄し、支配圏は南部の本拠地カンダハルなど限定的な地域だけとなった。国土の9割を実効支配していたタリバンは既にその国家統治機能を喪失し、政権としては崩壊した。制圧地域を広げている反タリバン連合(北部同盟)も国土の大半を統治する段階には至っておらず、アフガニスタンは政権不在の過渡期に突入した。
 北部同盟の指導者、ラバニ前大統領は14日、カブール入りし、新しい政治的枠組みの確立に向けて活動を開始する。
 ラバニ氏は13日、カタールのテレビとの会見で「新政権にタリバン存在の余地はない」と発言した。背景にはタリバンによって政権の座から追われた経緯や、「パシュトゥン人主体のタリバン、少数民族が集まった北部同盟」という対立の構図があるとみられる。
 ラバニ氏は旧ソ連軍の侵攻に伴うアフガン戦争の後、93年に大統領に就任。96年にタリバンによりカブールから追われている。
 しかし北部同盟が権力独占を目指す姿勢で新しい政治的枠組み作りに臨む場合、新政権にタリバン穏健派を含めたいパキスタンや、「全民族による幅広い政権」を求める国連、米国との間で、あつれきを生じる可能性が極めて高い。政権不在の過渡期が、さらに混迷を深めることになる。
 一方、タリバン系のアフガン・イスラム通信は14日、タリバンが東部ナンガルハル州の州都ジャララバードと中部ウルズガン州から撤退し、地元の元ゲリラ指導者らが掌握したと伝えた。
 タリバンのシャヒーン駐パキスタン代理大使は14日、ロイター・テレビに「戦略的撤退であり、部隊の再編成中だ」と発言。またカブールからの撤退について「市民の犠牲を避けるためのものだった」とした。一方、北部同盟のカヌニ内相は14日、ラグマン、ロガル、クナル、ナンガハルの東部4州からタリバンが撤退したと主張した。
 タリバン軍は山間部に移動中の模様で、北部同盟側は「タリバンは全土の20%以下しか掌握していない」としている。 [2001-11-14-21:30] 54


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 11/14@米、多国籍軍展開の決議案を安保理提示(読売新聞)

 【ニューヨーク13日=勝田誠】アフガニスタンの首都カブール陥落を受け、米国は13日夜、多国籍軍の緊急展開を求める決議案を国連安全保障理事会の理事国に提示した。多国籍軍の投入を求めた国連の要請に応じた形で、決議案は16日にも採択される見通し。
 米国は多国籍軍編成に向け、すでに北大西洋条約機構(NATO)加盟国に打診を始めているが、さらに多くの国に参加を呼びかけていくとみられる。
 外交筋によると、現時点で参加が有力なのは、NATO加盟国のトルコのほか、インドネシア、ヨルダン、バングラデシュなどのイスラム諸国。欧州諸国が加わる可能性もある。
 ブラヒミ国連事務総長特別代表(アフガン担当)は13日、安保理に対し、首都カブールの治安維持は「急務となった」と指摘。アフガン人で構成する治安維持部隊は「短期間の編成は不可能」なため、主要都市の治安維持には「多国籍軍投入を検討すべきだ」とする案を示していた。
 米国の決議案は、ブラヒミ提案を全面的に支持する内容で、多国籍軍の任務は「タリバンの支配下でなくなった地域の安全と治安の確保」としている。[2001-11-14-20:30] 56


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 11/14@<ペレス外相>「テロとの戦い」を毎日新聞社に特別寄稿(毎日新聞)

 イスラエルのペレス外相が、米同時多発テロを受けた「テロとの戦い」について毎日新聞に特別寄稿した。
 数カ月前、私はモスクワを訪れ、ソルジェニーツィン(ノーベル文学賞を受賞したロシア人作家)に会った。彼は20世紀は歴史上、最も醜い世紀だったと言った。中でも最も残虐だった出来事はホロコーストだ。彼は、この体験を受け、世界の指導者たちはモラルの失墜を訴えるべきだったと考えていた。指導者たちは、悪の傾向、金と権力への飽くなき欲求に打ち勝つことに失敗したと、主張した。
 ヨーロッパは経済に焦点をおくことで政治的紛争を解決した。新しい経済は科学と技術に基盤を置いている。爆弾や国旗は必要ない。科学は地球規模の経済を押し進め、人類の将来に向け、偉大な約束を果たした。
 それゆえ、われわれは大きな期待を持って21世紀を迎えた。だが、私たちはニューヨークでのテロで目覚めた。新しい形の戦争による恐ろしい危険に気付いたのだ。経済が地球規模となった現在、危険やテロの脅威も地球規模なのだ。
 地球規模の経済は民営化に依存している。しかしながら、経済発展が危険にも適応できるよう規則をつくるのは難しい。
 唯一、確かな提案は国際的結束のネットワークを再編成することだ。反テロ陣営は、断固として妥協も譲歩もなく、テロと戦わなければならないだろう。
 我々は、すでに新しい枠組みづくりを見ている。10年前、誰が一体、米国、ロシア、欧州、中国、インド、ラテンアメリカ、そしてトルコやウズベキスタンなど多数のイスラム諸国を含んだ巨大な陣営が作られると夢みただろうか。
 まだ始まったばかりだ。一方に経済があり、片方にテロがあることで、誰もが新しい体制を作ることを強いられる。その体制の中で、新しい世界秩序を形作ることができる。恐らくほとんどは、多国間の枠組みと人々の直接接触というものだ。新しい状況は相互依存をつくり出す。それは国民や国家、地域、文化を越え、人類史上では決して見られなかったものだ。
 大きな改革の形は、地平線にその姿を見せ始めている。恐らく、伝統的な同盟を拒否する以外の選択はないだろう。互いに競争する代わりに、同盟国として共に活動するのだ。我々は共通の目的に向け、共に働き、危険への挑戦に対処して行かなければらない。
 (同時多発テロ後)変化した世界は、中東にも影響を与えるだろう。アラブ諸国でさえ、分裂したり、歩調を合わせたりしながらも、テロに対し、行動的に対処しなければならないだろう。テロは、単なるレトリックだけで対処できるものではない。
 合法的であれ、非合法であれ、テロという非常識なたくらみは、成功しないだろう。既に合意した、イスラエル軍の大規模撤退を求めるすべての和平合意は、(ウサマ・)ビンラディンが関わらなくても、テロの脅威がなくても、成し遂げられた。
 テロ組織は、テロリストの故郷に限定される状況ではなくなっている。ヒズボラは、アルジェリアと欧州に組織を拡大した。これはまた、他のグループでも同様で、国際的なテロ組織の同盟をつくっている。ビンラディンは、自分自身を立法者とみている。そして国家や、法に基づく裁判を必要としない裁判官のつもりだ。正義の名の下で、殺人をすることに平気で、無差別大量殺人に欲望を満足させているのだ。暗殺者は自分自身を正義というマントで覆う。だが、その結末は正義ではなく、殺人者なのだ。
 経済も安全も、地球規模となった。誰が国家や地域経済について(例えばアラブ市場)話したとしても、(新たな)現代経済が到来したことに気付いていない。それは分割された領土ではなく、通信のための(コンピューター・ネットワークが張りめぐらされた)サイバースペースなどを使う能力や広域性によって特徴付けられるものだ。誰かがある人物を孤立させようとすれば、その試みは失敗し、逆効果となるだろう。
 これは、どんな自薦テロリストにもいえることだ。世界の怒りを自らの頭上に載せてしまうだろうから。生きる権利は人間にとって最高の権利だということを、テロは私たちに改めて気付かせてくれる。
 経済が地球規模となり、危険もまた、地球規模になった時、(人々が生きるための)規範や価値もまた、地球規模化を目指す必要がある。【訳・三角真理】
 
 ペレス外相 過去2度の首相経験があり、和平推進派として知られる。パレスチナ暫定自治合意締結(93年)など中東和平への歴史的功績で、ラビン・イスラエル首相(当時)、アラファト・パレスチナ解放機構(PLO)議長とともに、94年ノーベル平和賞を受賞。 [2001-11-14-20:00] 79


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 11/14@掃討作戦に重点移す 北部制圧で米軍(共同通信)

 【ワシントン14日共同】アフガニスタン空爆を続ける米軍は、反タリバン勢力「北部同盟」が戦略的要衝であるマザリシャリフや首都カブールを制圧したことを受け、攻撃の重点を北部同盟支援からウサマ・ビンラディン氏やテロ組織アルカイダ幹部の掃討作戦に移す。
 ラムズフェルド米国防長官は十三日の記者会見で「アフガンの不動産(領土)には興味ない」と語り、支配地域の失地回復を目指してタリバン政権と戦っている北部同盟と米軍は戦争の目的が違う点を強調。「われわれの関心はテロリストを根絶し、米国民や他の市民がテロリストに殺されるのを阻止することだ」と力説した。
 十月七日に空爆を開始した米軍は、ビンラディン氏の居場所に関する情報などを得るため北部同盟と連携。北部同盟と対峙(たいじ)するタリバン政権の軍事施設を重点的に空爆、北部同盟に軍事物資を支援してきた。
 北部同盟はアフガン北部を予想以上に早く制圧、国土の半分を手中に収めたことから、米軍は攻撃の照準をビンラディン氏がアルカイダ精鋭部隊を引き連れて潜んでいるとされる南部一帯に当てる。
 タリバン勢力が北部同盟の快進撃を許した背景として、米軍の効果的な空爆が指摘されている。米軍はアフガン北部に陸軍特殊部隊グリーンベレーを配置して爆撃目標を地上で正確に把握。レーザー誘導の爆弾などを駆使してタリバン側の重火器や通信網などに致命的な打撃を与えたとされる。
 米軍は南部地域に展開している特殊部隊を増強し、ビンラディン氏とアルカイダに関する情報収集を強化、洞くつやトンネルなどに対する特殊爆弾を使った空爆を強化する方針だ。(了)[2001-11-14-16:56] 80


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 11/14@新政権協議に本格着手 政府機能のカブール移転も(共同通信)

 【カブール14日共同=有田司】アフガニスタンの首都カブールを制圧、タリバンから国土の実効支配を奪回した北部同盟は十四日、新政権の枠組みづくりや首都統治をめぐる内外との協議に本格的に乗り出した。また、北部地域一帯に分散していた政府機能のカブール移転についても検討に入った。
 北部同盟の“暴走”を懸念する米国などは新政権づくりへの関与を強めるとみられるが、首都制圧という既成事実を背景に北部同盟の発言力が強まるのは必至。これまでの新政権樹立に向けた交渉も、仕切り直しを迫られそうだ。
 国連のブラヒミ事務総長特別代表(アフガニスタン担当)は十三日、全民族・地域の代表からなる暫定評議会を設立する構想を提案。首都陥落で勢いに乗る北部同盟に対し、国連が中心となって新政権協議を進める姿勢を明確に示した。
 北部同盟のメフディ駐タジキスタン臨時代理大使は十四日、同構想について「北部同盟政府は完全に支持することになる」との見通しを明らかにした。
 同構想は、北部同盟とザヒル・シャー元国王派がいったんは設立で合意した最高評議会の構想と重複する部分が多い。
 双方から同数のメンバーを出すなど、元国王派と対等な立場を前提とした評議会構想には、北部同盟内に反対意見があるのも事実。今後は暫定評議会に協議の軸を移し、北部同盟の影響力拡大を目指す方針に転換するとの観測が強まっている。
 カブール統治をめぐっても、北部同盟は既に首都周辺に六千人の警察官や兵士を派遣、治安維持は同盟が全責任を負うことをアピールしている。北部同盟のアブドラ外相は十三日の会見で、多国籍部隊のカブール展開は不要と明言。「中立化」を求める国連の方針を事実上、拒否する立場を鮮明にしており、今後の協議は難航が予想される。(了)[2001-11-14-16:56] 87


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 11/14@<アフガン派遣>治安維持に多国籍部隊 国連が正式承認へ(毎日新聞)

 【ニューヨーク上村幸治】アフガニスタン問題を議論している国連安全保障理事会で13日、英国とフランスが米国などの同意を得て治安維持のための多国籍部隊の現地展開を承認する決議案草案を作成し、関係国に提示した。毎日新聞は同日、この草案を入手した。国連外交筋は、決議案が16日にも採択され、多国籍部隊の派遣も正式に承認される見通しだと述べた。
 国連の承認という「お墨付き」を得ることでイスラム諸国をはじめ各国が参加しやすくなるとみられ、日本でも論議される可能性がある。
 草案は「アフガニスタン住民と暫定政権のため、タリバン支配下でなくなったアフガニスタンの地域、とりわけ首都カブールの安全を確保するための努力を、加盟国が支持することを奨励する」という表現になっている。
 国連筋は、この表現がアフガン人による治安部隊の展開だけでなく、「加盟国による多国籍部隊派遣も承認することを意味する」と述べた。
 湾岸戦争の際は加盟国に武力行使の権限を付与するために「必要なあらゆる手段を講じる権限を与える」という表現を使った。今回は治安維持を目的とするものであり、表現が異なっている。
 アフガン情勢は、反タリバン連合(北部同盟)のカブール制圧によって流動化しており、治安維持のためにアフガン人で構成する治安部隊か多国籍部隊を派遣すべきだという意見が出ている。
 国連筋は、「アフガン人部隊の構成には時間がかかり、急変している状況に対応できない」と説明、「多国籍部隊の展開が現実的だろう」と述べた。 [2001-11-14-15:05] 90


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 11/14@アフガン南部でも特殊作戦(読売新聞)

 【ワシントン13日=林路郎】ラムズフェルド米国防長官は13日の記者会見で、アフガニスタンの首都カブールを撤退し、南部へ逃走中のタリバン要員に米軍機が爆撃を加えていることを明らかにするとともに、タリバンが本拠を置く南部でも、米軍が特殊作戦に踏み切り、同時テロの首謀者と見られるウサマ・ビンラーディン率いるテロ組織「アル・カーイダ」とタリバン指導部の徹底壊滅を目指す方針を改めて強調した。
 長官は同日、「軍事上の最大目的はアル・カーイダとタリバン指導部の壊滅。タリバン兵が逃亡、潜伏、再編しても徹底的に壊滅する」と強調する一方、タリバン兵に投降も促すなど切り崩し工作にも一層力を入れる方針を示した。
 また、会見に同席したマイヤーズ統合参謀本部議長によると、山岳地帯の洞穴などに潜んでいたタリバン部隊が13日、各地で姿を現して逃走を開始。米軍機はこれらを「新たな標的」と位置づけ、人員、車両、戦車、弾薬貯蔵目的の洞穴などを重点的に爆撃している。
 また、ラムズフェルド長官は、北部同盟が進駐したカブールにも「少数の米軍部隊がいる」ことを認め、北部同盟の指導者への助言や、現地情勢の把握に乗り出したことを明らかにした。これらの部隊はカブールの北方戦線で、対タリバン攻撃を支援していた特殊部隊の一部と見られる。
 南部に投入された特殊部隊を活用した特殊作戦は、南部の主流民族であるパシュトゥン人勢力内での造反勢力の形成や、「依然、相当の戦力を維持している」(マイヤーズ議長)タリバンへの攻撃のほか、拘束・暗殺対象となっている幹部の所在などに関する情報収集を目的にしていると見られる。
 長官はまた今後、タリバンやアル・カーイダ幹部が国外逃亡する可能性を指摘。イラン、パキスタン、ソマリア、スーダンの4か国の名を挙げ、「彼らを受け入れれば、その国はアフガニスタンのようにテロと一体化し、イスラム国家は不安と動乱に陥るだろう」と警告した。 [2001-11-14-14:24] 99


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 11/14@他国要員の防護も可能に PKO法改正案を与党側了承(朝日新聞)

 政府は14日、国連平和維持活動(PKO)協力法改正案を、与党の安全保障プロジェクトチームの会合に提示、与党側は了承した。国連平和維持軍(PKF)本体業務の参加凍結を解除するほか、武器使用基準を緩和する。条文には明記しないが、自衛隊の管理下にある他国のPKO要員や国際機関職員の防護に加え、要人の警護も事実上可能と解釈することにした。政府は20日に閣議決定し、国会に提出する。
 改正案によると、防護対象にテロ対策特別措置法に盛り込んだ「自己と共に現場に所在する他の自衛隊員もしくはその職務を行うに伴い自己の管理の下に入った者の生命または身体」を加える。
 与党の一部が主張していた警護任務の新設は見送るが、政府・与党は「管理下に入った者」には要人が含まれると解釈し、防護の名目で要人警護もできると判断している。また、現行法では適用が認められなかった武器等の防護のための武器使用を認める。
 武器使用基準はPKO参加5原則で「要員の生命等の防護のために必要最小限のものに限る」とされているが、5原則見直しに慎重な公明党に配慮し、原則は維持した形で武器使用規定を定めた同法24条を修正する。
 小泉純一郎首相は14日、記者団に「よかった。これで各国の協力態勢ができる」と評価。5原則の抜本的見直しについては「5原則の範囲内でやることでいいんじゃないか」と述べ、否定的な見解を示した。[2001-11-14-13:40] 102


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 11/14@米、国際部隊の派遣を国連に要請 アフガンで治安維持(朝日新聞)

 カブール陥落後のアフガニスタンの治安を維持するため、米国は国際部隊を派遣するよう国連加盟国に求める決議案を安全保障理事会に13日、提出した。タリバーン後の新政権づくりを調停するブラヒミ国連事務総長特別代表はこの日の安保理で、暫定政府が2年以内に新憲法草案と国軍・警察の準備を完了する道筋を正式に示した。国際部隊は移行期間中の治安維持を任務とする。
 ブラヒミ氏も同日の安保理で国際部隊の必要性を明言した。対アフガン攻撃の先頭に立っていた米国は国連からの要請に応じる形で、国際部隊編成に向けた打診を北大西洋条約機構(NATO)諸国に始めていた。カブール陥落など軍事状況の予想以上の急展開を受け、安保理で決議することによって国際部隊の早期の編成や部隊派遣国の拡大を狙っているとみられる。米国は週内の決議採択を目指す。
 アフガン暫定政権構想について、ブラヒミ氏がこの日の安保理の公開討論で正式に示した報告と外交筋の補足説明によると、国連がまず、すべてのアフガン人勢力をまとめた代表者会議を通じ、200〜300人の「暫定評議会」(議会)を招集。議長には国家統合の象徴となりうるザヒル・シャー元国王のような人物を就任させる方向だ。
 この評議会が政策決定の中核となる20〜30人の「暫定行政機構」(政府)の構成と、2年内の移行期間中の行動計画と治安対策を決める。
 続いて、伝統的な部族指導者の協議機関ロヤ・ジルガ(国民大会議)を緊急招集し、暫定行政機構に憲法制定に向けた準備の権限を与える。移行期間終了時に、2回目のロヤ・ジルガが新憲法と新政府を承認する。
 第1段階の代表者会議について、国連は数日中にもジュネーブかウィーン、またはアフガニスタンの都市で開かれる可能性があることを明らかにした。[2001-11-14-13:14] 106


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 11/14@<アフガン>2年以内に新政権計画 治安部隊も 国連の担当(毎日新聞)

 【ニューヨーク上村幸治】国連のブラヒミ事務総長特別代表(アフガニスタン問題担当)は13日の安全保障理事会で、アフガンに住民による暫定政権を発足させ、2年以内に新政権を誕生させるという政権構築計画を公表した。また反タリバン連合(北部同盟)の制圧地域の急拡大に伴い、首都カブールなどの安全が「最大の関心事」になっていると強調し、現地への国際治安部隊(多国籍軍)展開を真剣に考えるべきだと述べた。
 これを受けて国連は、政治協議と人道支援のため、現地の治安状況を確かめた上でベンデレル同副代表をカブールに急派することを決めた。ブラヒミ氏本人も続いて現地に入り、タリバン政権崩壊後の政治枠組み作りについて話し合う。
 ブラヒミ氏は同時に、アフガニスタン問題を議論している周辺6カ国と米露の関係国会議「6プラス2」に加え、日本を含む「21カ国会議」(G21)を招集すると表明した。
 ブラヒミ氏は、現地に展開する治安維持部隊について(1)アフガン人だけで構成する「オールアフガニスタン」治安部隊(2)多国籍軍(3)国連平和維持軍(PKF)――という三つの選択肢があると説明。最も好ましいのは現地治安部隊だが、短期間での展開は難しく、PKFは現実的でないので支持しないと述べた。
 同氏が公表した政権構築計画によると、国連はまず、北部同盟や他のアフガン諸勢力と新政権の枠組みについて協議を行い、次に各民族・宗教勢力などで構成する暫定評議会を招集。同評議会の提案に基づいて暫定政権を構成し、緊急のロヤ・ジルガ(国民大会議)でこれを承認する。
 暫定政権は2年以内をめどに憲法起草と新政権作りを進め、再度招集されたロヤ・ジルガが、憲法・新政権双方を承認する手順になるという。 [2001-11-14-12:30] 113


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 11/14@「アフガンに2年以内に新政権」国連構想明らかに(読売新聞)

 【ニューヨーク13日=勝田誠】国連のブラヒミ・アフガン担当事務総長特別代表は13日、国連安全保障理事会で、首都カブールが陥落したアフガニスタンに、2年以内の新政権樹立を目指し、すべての民族、地域、宗教などを代表する暫定評議会を発足させる構想を明らかにした。首都の治安維持については、新政権樹立までの間、多国籍軍が担うべきだと提唱した。
 また、ブラヒミ氏は、アナン事務総長の指示に基づき、同日、ベンドレル事務総長特使をカブールに急派、反タリバン勢力の北部同盟との交渉に当たらせ、人道支援活動の強化のため早急に治安を回復するよう求めることも明らかにした。
 国連はカブール陥落などで急展開するアフガン情勢が、政治的真空状態を生み出すことを懸念している。
 ブラヒミ氏は、このため、できるだけ早く北部同盟などアフガン各派との会議を開き、国連支援の下で全民族、地域の代表や、政治から遠ざけられてきた女性から成る暫定評議会を招集し、国民和解の新政権づくりに必要な新憲法草案などを起草する、などの道筋を提案した。また、暫定評議会の議長は「国家統一の象徴」となる人物が務めるべきだとしており、ローマに在住するザヒル・シャー元国王が有力との見方を示した。
 安保理がこの構想を承認すれば、国連はアフガン各派の指導者をジュネーブなどに緊急に集め、準備を進める予定だ。
 ブラヒミ氏は、和平の前提となる治安回復は、アフガン人が構成する治安維持部隊が最も望ましく、同部隊の編成準備を早急に始めるべきだと提案。しかし、「短期間の編成は不可能」なため、主要都市の治安維持には、多国籍軍の投入を真剣に検討すべきだとした。国連平和維持活動(PKO)は、準備に「数か月」を要し、停戦合意のない状況には向かないとして除外した。 [2001-11-14-12:09] 119


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 11/14@米、戦略核大幅削減を発表(読売新聞)

 【ワシントン13日=永田和男】ブッシュ米大統領とプーチン露大統領は13日、ホワイトハウスで会談後共同記者会見し、ブッシュ大統領は米国が今後10年間で戦略核弾頭を現在の約7000発から、「1700―2200発まで削減する」と発表した。
 プーチン大統領は、「米国の提案に感謝し、同様の回答をしたい」と述べ、ロシアもやはり、核弾頭の大幅削減を行う意向を示したが、その前に「信頼できる、検証可能な合意が必要だ」との条件を付け、今回は発表を差し控えた。
 また米国のミサイル防衛構想についてプーチン大統領は、「我々の立場は変わらない」と述べ、弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約を維持したい考えを改めて示し、14日以降、会談場所をテキサス州のブッシュ氏の牧場に移して協議を続けると語った。
 タリバンの敗走で急がれるアフガニスタン新政権の問題を巡っては、ブッシュ大統領は、「広範な基盤を持つ、多民族による統治が望ましい」との考えを改めて表明。「北部同盟は我々に対し、首都カブールを統治する考えはないと言っている」とも述べ、少数民族で構成される北部同盟の独走をけん制した。
 これに対しプーチン大統領は、「アフガン北部では、(アフガン全体では多数派の)パシュトゥン人以外の民族が多数派であるのは事実だ」などと述べ、北部同盟の立場にも理解を示した。
 ブッシュ大統領は、旧共産圏に対する貿易を制限する「ジャクソン・バニク条項」の対象からロシアを除外する考えを正式に表明。また、北大西洋条約機構(NATO)とロシアの間で、テロなどの問題に対処する、ロシアも議決権を持つ新たな機構を設置する構想も明らかにした。 [2001-11-14-11:41] 120


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 11/14@<米ロ首脳>WTO加盟に協力など共同声明 (毎日新聞)

 13日発表された米ロ首脳による共同声明(全6文書)の要旨は次の通り。
 【新たな米ロ関係】
 一、両国は民主主義、自由市場、法治主義という共通の価値観に基づく、21世紀の新たな関係構築に乗り出した。
 一、両国は経済関係の活力ある新たな発展への決意を確認。ロシアの世界貿易機関(WTO)への加盟に向け協力。
 一、両国は協力してロシアと北大西洋条約機構(NATO)の関係強化に努める。
 【核戦力】
 一、現状の核戦力は今日の現実を反映しておらず、両国は戦略核兵器を大幅に削減することを確認。
 一、戦略防衛と弾道弾迎撃ミサイル(ABM)条約については、新たな戦略的関係という広い枠組みの中で協議を継続することに合意。
 【アフガニスタン】
 一、アフガニスタンの新政権は、国際的な規範や女性を含めた人権を尊重し、人道上の危機を解決するための援助に協力しなければならない。
 一、アフガニスタンの新政権は、あらゆる性別と民族グループから成るすべてのアフガン人を代表しなくてはならない。
 一、アフガニスタンの新政権でタリバンが加わる余地はない。
 【テロ対応】
 一、21世紀の平和への脅威はテロ、大量破壊兵器の拡散、戦闘的国家主義、人種的・宗教的不寛容などである。
 一、両国は生物兵器テロの脅威に対抗するため当局者と専門家による協力に合意。
 一、テロ組織の資金洗浄に対し共に戦う。
 【中東情勢】
 一、両国は現在の中東情勢を憂慮。イスラエルとパレスチナ双方が緊張緩和措置をとり、ミッチェル元米上院議員の報告書に基づく和平案を実施するよう要求。(ワシントン共同) [2001-11-14-11:30] 122


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 11/14@暫定評議会の設立を提案 国連のアフガン担当特別代表(共同通信)

 【ニューヨーク13日共同=矢高則夫】アフガニスタンの首都カブール陥落を受け、国連のブラヒミ・アフガン担当事務総長特別代表は十三日の安全保障理事会で、二年以内の新政権樹立に向けて全民族・地域の代表からなる暫定評議会を設立する構想を提案した。政権移行は国連とアフガン各派の交渉開始から憲法制定まで五段階で実施。その間、首都カブールなどの治安維持のために多国籍部隊(MFN)を展開する。
 アフガン安定に向けた国連の本格的な関与の道筋が、具体的な青写真として初めて示された。
 ブラヒミ特別代表は、アナン事務総長の指示に基づいて、北部同盟との交渉のためにベンドレル事務総長特使を首都カブールに急派すると述べた。安保理終了後、ブラヒミ氏は「派遣は二日以内に実現する」と語った。
 アフガン情勢が急展開する中、国連は政治的真空状態が生まれることを懸念しており、ブラヒミ氏は「できるだけ早く北部同盟などアフガン各派と政権枠組みづくりのための会議を開催する」と述べた。
 ブラヒミ氏によると、政権移行過程は、国連とアフガン各派の交渉で始まり、「暫定評議会の招集」から「暫定行政機構の人選の決定」「人選の承認」を経て「新憲法承認、新政府樹立」の五段階で完成する。
 暫定評議会は「国家統一の象徴」となる人物が議長を務めるとしており、ローマに在住するザヒル・シャー元国王も有力候補となりそうだ。しかし、各派との今後のさまざまな交渉は難航も予想されている。
 治安問題についてブラヒミ氏は、首都カブールの非武装化と中立化が必要と強調。「現状では国際治安部隊の展開が必要」と指摘した。
 政府の実務は、暫定行政機構が担当。同評議会は暫定行政機構の人選、移行期間中の行動計画と治安維持制度を策定するとしている。(了)[2001-11-14-11:11] 124


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 11/14@<北部同盟>指導者が権力独占か 「元国王帰国は一市民とし(毎日新聞)

 【イスラマバード澤田克己】アフガニスタン・反タリバン連合(北部同盟)指導者のラバニ前大統領は13日、カタールのアラビア語衛星テレビ「アルジャジーラ」に対し、「(イタリア亡命中のザヒル・シャー元国王は)帰国できるが一市民としてだ」と述べた。この発言は、首都カブールを掌握した北部同盟による権力独占を目指したものといえそうだ。
 北部同盟のカブール制圧後、前大統領が暫定政権の枠組みに言及したのは初めて。前大統領は、14日にカブール入りすることも明らかにした。
 米国や国連はこれまで、暫定政権の中心になりうる人物として元国王を重視し、元国王と北部同盟が協力するよう後押ししてきた。この背景には、少数民族主導の北部同盟だけで安定政権を作るのは不可能だという判断がある。元国王の影響力はかなり低下しているものの、多数派パシュトゥン人まで含めた全国民をまとめる象徴になりうる人物は元国王以外に見あたらないとみられているからだ。
 前大統領の発言は、暫定政権協議で、より有利な位置を占めようとする駆け引きの一環との見方もある。しかし、北部同盟内の有力者、ドスタム将軍もカブール掌握後、毎日新聞の衛星電話での取材に対して「(暫定政権は)タリバンが権力を握る以前と同様の形になる」と言明。北部同盟による権力独占を狙っていることを示唆している。
 北部同盟が本当に元国王排除に動いた場合、米国やパキスタンとの緊張が高まることは確実だ。さらに、パシュトゥン人が強く反発することも目に見えている。安定政権が実現しなければ、もともとは内戦での敵対勢力だった北部同盟内各派の反目も強まり、ラバニ政権時代の泥沼の内戦への逆戻りが懸念される。 [2001-11-14-11:05] 125


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 11/14@<北部同盟>「カブール進攻は治安上の問題」 アブドラ外相(毎日新聞)

 【イスラマバード澤田克己】アフガニスタン・反タリバン連合(北部同盟)のアブドラ外相は13日夜(日本時間14日未明)、首都カブールで会見した。現地からの報道によると、外相は、米国などの意向を無視する形でカブールに入った理由について、タリバン政権の首都放棄で「治安上の問題が生じたため兵力を入れざるをえなかった」と釈明した。
 外相によると、約8000人いたタリバン兵士は12日深夜ごろに撤退した。北部同盟はその後、6000人の兵士をカブールに投入して治安維持と首都防衛の任に当たらせているという。
 外相は「タリバン以外の全勢力」に対して、「タリバン後」の暫定政権協議に参加するためカブール入りするよう呼びかけた。さらに、国連にも政権協議のプロセスに参加するための代表団派遣を要請した。 [2001-11-14-11:05] 132


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 11/14@CTBT発効促進会議が最終宣言採択 発効への努力誓う(朝日新聞)

 包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効を目指して国連本部で開かれていたCTBT発効促進会議は13日、核軍縮と不拡散のために条約が重要であることを再確認し、発効への努力を続けることを誓った最終宣言を採択し、閉幕した。日本を含む75カ国が参加したが、条約の「死文化」を目指すブッシュ政権の米国は欠席した。
 CTBTは5年前の国連総会で採択された。発効の条件として、核開発能力または原子力発電所を保有する44カ国の批准が必要だが、インドやパキスタン、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が批准の前段階の署名もしていない。米、中国、イラン、イスラエルなど10カ国は署名したものの、批准に至っていない。[2001-11-14-10:28] 133


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 11/14@アナン国連事務総長、カブールなどの「解放」を歓迎(朝日新聞)

 アナン国連事務総長は13日、声明を発表し、アフガニスタンでカブールなどの都市が「抑圧的で非寛容なタリバーンから解放された」ことを歓迎した。同時に北部同盟などの諸勢力が「国際的な人道と人権に関する法を厳格に守る」よう求めた。
 この日の安全保障理事会で、アナン氏は「アフガンに平和や安定をもたらそうとするなら、安保理が長く関与を続けることが必要」と各国に念押し。その上で、まず人道援助の態勢を早急に立て直し、次いで政治と治安面での対応を急ぐ必要があると指摘した。[2001-11-14-10:26] 136


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 11/14@各派との交渉難航は必至 なお不確かさ残る国連構想(共同通信)

 【ニューヨーク13日共同=矢高則夫】国連のブラヒミ・アフガニスタン担当事務総長特別代表は十三日、安全保障理事会にアフガン安定に向けた政権移行の手順を初めて示した。首都カブールが陥落するなど急展開する現地の情勢に合わせて、ただちに「タリバン後」の青写真を提示することを余儀なくされたとみられるが、構想は政治・軍事の実権を与えるとしている暫定評議会の議員をどう選ぶかについて触れていないなど、なお不確かな部分が多い。
 首都制圧という大きな獲物を手にした北部同盟。最大の人口を抱え、パキスタンが支持するパシュトゥン人。これにザヒル・シャー元国王支持者を加えた「三派」に実権をどう割り振るか。「数日内にも始まる」(ブラヒミ氏)とされる国連とアフガン各派の交渉は難航することが必至だ。
 ブラヒミ氏は国内の治安維持については、当面、多国籍部隊(MNF)に頼ることを表明した。しかし、即応能力がある北大西洋条約機構(NATO)加盟国の部隊でも展開に数カ月は必要。それまでに北部同盟がカブールの支配を固めれば、ブラヒミ氏が重視する「首都の非軍事化」は極めて困難になる。
 暫定評議会の定員も「相当多数」とするだけ。元国王は百二十人を望み、ブラヒミ氏の構想は二百―三百人だとされる。多人数だと意思決定が困難になるだけに、定員の決定も交渉では大きな論議となりそうだ。(了)[2001-11-14-10:09] 145


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 11/14@アフガン復興会議、「日米共催」に英仏が異論(朝日新聞)

 アフガニスタンへの人道援助と復興の国際的な枠組みをつくるため、日米が共催の形で準備してきたニューヨークでの国際会議をめぐり、国連安全保障理事会常任理事国の英仏両国から「日米共催」に異論が出ていたことがわかった。和平や戦後復興への取り組みで、アフガン問題への主導権を握ろうとする欧州側が外交攻勢に出たとみられる。アナン国連事務総長は米側の対応を待つ姿勢だ。関係国の調整が続いているため、国際会議は予定の20日より若干ずれ込みそうだ。
 常任理事国の閣僚級会合は12日、国連本部で開かれた。アナン事務総長も加わり、アフガン支援・復興会議の運営を話し合った。この場で国連側は「どのような国、機関を中心とするか、いろいろ意見がある」と提起した。
 出席者によると、仏側は「アフガン支援についてはEU(欧州連合)の役割を重視すべきだ」と指摘した。英国も「日米共催」には難色を示したという。国連は「日米が共同議長を務めるという方針が事態を難しくしているのではないか」と述べ、米側の判断を待つ姿勢を示したという。
 また、日米関係筋によると、国連側は会議の日米共催に対する異論や、三十数カ国を想定している参加国の決定についての調整に手間取っていることを理由に、「20日の開催は早すぎるのでは」と伝えてきたという。[2001-11-14-08:30] 153


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 11/14@2年後にアフガン「国民和解政権」 ブラヒミ代表構想(朝日新聞)

 首都カブールの陥落などアフガニスタン情勢の急進展を受け、新政権づくりを調停している国連のブラヒミ事務総長特別代表は13日までに、アフガン暫定政権構想を固めた。各民族、宗教代表などによる暫定評議会をまず設立し、伝統的な部族指導者会議を活用しながら、約2年後に「国民和解政権」の樹立を目指している。
 国連高官と接触のある外交筋によると、ブラヒミ氏は、「加速度的に変化する情勢を踏まえ、緊急に暫定政権の樹立を支援する必要がある」と訴え、5段階から成る新政権への道筋を示す。アフガン人による政権づくりを、国際社会が各段階で支援する内容だ。
 第1は、アフガン人による暫定評議会の設立を支援する。あらゆる民族・宗教代表を構成員に加え、タリバーン政権で人権を抑圧されていた女性の参加も求める。ブラヒミ氏は構成員の数を200〜300人と想定している。次いで、この暫定評議会から評議理事会(仮称)を選出する。メンバーを絞り込み、実質審議を促進するためだ。
 第3段階で、評議理事会が国連監視のもとで、緊急のロヤ・ジルガ(国民大会議)の開催を呼びかける。これは部族指導者による伝統的協議で、憲法の規定に基づく。
 第4段階でロヤ・ジルガが暫定統治機構の設立とその権限を決定する。この暫定統治機構が新憲法草案と、行政・司法・警察の再建案を定める。
 最終段階で、この案を正式決定し、国民和解新政権を樹立する。新政権への移行期間は、2年程度と見込んでいる。
 安保理がこの構想を支持した場合、国連は早急に20〜30人程度のアフガン指導者を集め、和平準備会議を開きたい、としている。この会議で第1段階の暫定評議会メンバーを選定するためだ。
 参加指導者としては、ローマのザヒル・シャー元国王派と北部同盟のほか、パキスタン・ペシャワルに拠点を置く反タリバーンのパシュトゥン人勢力代表などが想定されている。
 ただ国連としては、暫定政権を安定させるため、パキスタンの利害が深くかかわる南パシュトゥン人勢力代表も加え、各民族の構成をできるだけ暫定評議会に反映させたい意向だ。[2001-11-14-03:04] 164


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 11/14@タリバン、ほとんど無抵抗で撤退…3つの疑問(読売新聞)

 アフガニスタンの武装勢力「北部同盟」の部隊が13日、タリバン部隊がほぼ無抵抗で撤退した後の首都カブールを占拠した事態は、「タリバンは本当に敗走したのか」、「これまでの米英軍の空爆などは、どこまで効果的だったのか」、「北部同盟は、実際にはどの程度の戦闘能力を備えているのか」――の3つの疑問を生じさせた。これらの問いへの答えは、今後のアフガン情勢を占う上で、重要な意味を含んでいる。(ロンドン・渡辺覚、ワシントン・貞広貴志、イスラマバード・大内佐紀、ペシャワル・森太) <タリバンは敗走か、戦術的撤退か> 目撃者によると、タリバン部隊は12日夜からトラックなどに分乗してカブール市からの脱出を始め、北部同盟が進攻した13日未明には市内から姿を消していた。同盟部隊に抗戦しようとする構えは、タリバン側に見られなかった。
 イスラマバードの外交筋は、「タリバンは敗走したのではなく、戦術的に撤退したのだ」と見る。その思惑として、〈1〉首都より本拠地の南部カンダハル防衛に兵力を集中させる方が得策と判断した〈2〉首都の市街戦で多数の民間人犠牲者を出せば住民の間の反タリバン感情を高め、後にゲリラ戦を展開する上での妨げになると考えた――などを挙げる。
 他方、同筋は、米英の攻撃などにより「タリバン総兵力が当初の5―6万人から半減した」、あるいは、「対空機関砲などの防空システムも既に破壊し尽くされた」といった情報を踏まえ、今後、タリバンが反攻に向けて態勢を立て直せるかについては懐疑的だ。
 カブールからの撤退が戦術的なものであったとしても、敗色濃厚な状況にあることは否めず、内部分裂が始まったとの見方もある。パキスタン紙「ネーション」は13日、タリバン政権の有力外交官や一部司令官が最高指導者オマル師排除へ動き出したと伝えた。
 <空爆はどれぐらい効果的だったのか> 英王立国際問題研究所のティム・ガーデン研究員は、空爆など米英軍事作戦の絶大な効果を強調する。
 「北部同盟は長きにわたりタリバン支配地に進攻できないでいた。米英の軍事行動こそがアフガンの軍事バランスを根本的に変えた。空爆なしには首都制圧は成し遂げられなかった」 米軍は10月7日の作戦開始以来、連日100機前後の航空機を出撃させ、使用された空対地ミサイルや爆弾は通算8000発に達した。
 攻撃目標は当初、防空システムなどだったが、制空権掌握後は軍事・訓練施設などへ、最近では前線のタリバン部隊や軍用車両などへ移った。半径1キロの範囲を破壊する威力を持つ燃料気化爆弾BLU―82や、親爆弾から多数の子爆弾が飛散するクラスター(集束)爆弾など対兵員殺傷力の大きい兵器が多用され、北部同盟が北部マザリシャリフを制圧出来た背景要因には、タリバン側の空爆被害拡大が指摘されている。ガーデン研究員も「北部では、空爆がタリバンの動きを完全に封じ込めた」と、特にマザリシャリフなどでの効果に注目している。
 効果増大の裏には、爆撃機に対して地上から標的の所在を正確に教える特殊部隊の活動がある。スタッフルビーム米作戦副部長は今月9日、「タリバンやテロ組織アル・カーイダの部隊がどこにいて何をしていようとも正確に攻撃できる」と空爆精度向上を誇示した。
 <北部同盟軍の実力は?> 兵力は推定2―3万人。パシュトゥン人主体のタリバンに対抗するためタジク人のイスラム協会、ウズベク人のアフガニスタン・イスラム運動、ハザラ人のイスラム統一党などを軸に97年に結成された連合だ。
 北部の要衝マザリシャリフを陥落させた9日以来、西部ヘラート、首都カブールと「快進撃」が続く。
 「北部同盟は勇猛果敢」の名声が高まる一方で、その実力に疑問符を付ける声もある。実際、マザリシャリフに関しては、タリバン兵力6000に対し、北部同盟兵力3500と数で劣る不利はあったものの、米軍の航空支援という強力な後ろ盾を得ながら攻略に1か月近くもかかった。「マザリシャリフ以外では、タリバンが本格的な戦闘を避け撤退した」(パキスタンの軍事専門家)との指摘もある。
 米英軍による後押しがあればこそ、これほどの「快進撃」が可能になった――という北部同盟に対する評価は広く定着しつつある。
 戦闘能力もさることながら、組織としての統制にも疑問の声が少なくない。
 「米国の支援と支配地域での利権獲得を接着剤に連合しているだけで、米国が引けばすぐに内輪もめが始まる」(シャリフ・パキスタン前首相の側近ハッカーニ氏)というのが当地での通説だ。「無規律、他民族への人権抑圧、略奪などで悪名高い」(パキスタンのハイダー内相)とされ、勝ち進んでも、国民の人心を掌握できる保証はない。 [2001-11-14-01:46] 175


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 11/14@ビンラーディン感化でタリバン変容、孤立化浮き彫りに(読売新聞)

 【イスラマバード13日=佐藤浅伸】アフガニスタンをその特異なイスラム原理主義解釈で支配してきたタリバン政権が13日、事実上、崩壊した。宿敵インドとの対抗上から後背地を必要としていたパキスタンに育てられたタリバンは、冷戦期に米国に作り上げられたウサマ・ビンラーディンという“怪物”を内包したことにより、思想的変容を余儀なくされ、今また米パ両国の手によって存在を否定されてしまった。
 「神学生」を意味するタリバンは1994年、パキスタンのアフガン難民キャンプのマドラサ(イスラム神学校)で学んだ学生を中心に、アフガン南部で誕生した。当初は旧ソ連軍撤退後に、現在の北部同盟を構成するゲリラ各派が引き起こした内乱を、収拾しようとする「世直し運動」だった。
 当時のアフガン社会は悲惨だった。パキスタン北西辺境州ペシャワルの難民キャンプに住むタジク人女性が、ゲリラに銃身で殴られ、娘が目の前でレイプされたことを、恐怖にひきつった表情で話していたのを忘れることができない。
 タリバンにとっての大きな転機は、96年9月のカブール制圧だった。首都を押さえたことで全土掌握への野心が生まれたタリバンは、パキスタンの軍事支援を受け、北部同盟との殺りくを繰り返し全土の約9割を押さえるなかで、国際政治の渦にも身を投げ出し、「世直し運動」としての姿を変えていった。
 過激な反米思想を持ったサウジアラビア人のイスラム原理主義指導者ウサマ・ビンラーディンに感化され、客人として身柄を預かったことも、アフガン国内だけの閉じたイスラム復興運動だったタリバンの思想を変質させ、国際社会からの孤立を浮き彫りにしていった。
 ビンラーディンは対ソ連アフガン戦争で、米国の支援を受けて戦い、存在感を増したムジャヒディンの1人。米国の対ソ政策の落とし子と言える。「客人は追い出さない」というパシュトゥン人の伝統から米国の引き渡し要求を拒否し続けるうち、やがて財政的にも軍事的にもビンラーディンとその一派に負うところが大きくなり、結局は、「ひさしを貸して母屋を取られる」結果となった。
 国連での政権承認を求めるなど、欧米と対決していたわけではなかった外交姿勢も、ビンラーディンの影響力拡大の証左であるかのように、昨年ごろからパレスチナ問題解決を訴え始め、対米姿勢を強めていった。
 この結果、預言者ムハンマドの生きた中世7世紀の社会を理想とし、さらに女性の就業などを禁止した統治も、国際批判を招いただけでなく、イスラムの教義上からも疑問の目を向けられることになった。
 今年3月、カブールで会ったタリバン幹部は、みな一様にもの静かで、世事に疎いという印象だった。一方で、街は宗教警察がばっこし、市民の自由を抑え込んでいた。カブール市民は、「治安の回復が唯一の成果だ。しかし、それはタリバンに逆らわないという前提だがね」と自重気味に話していた。タリバンとは、素朴で粗野で、現代社会の常識とはかけ離れた世界に生きている人々だった。
 それが旧ソ連軍撤退後の混乱の中で、こつ然と歴史の1ページに現れ、米国や、パキスタンなどの周辺国の思惑にほんろうされた。タリバン政権の誕生から崩壊までを思う時、破滅という運命をも内包していたという気がしてならない。 [2001-11-14-01:05]


 (注)この「最近のボスニア」コーナーは、一般に報道されている記事に、千田が一部手直しして掲載しているものです。出所は明示しており、各社・各記者の著作権を侵害するつもりはありませんが、著作権上問題があるとお考えの方や、自分(自社)の記事は載せないでほしいという方がいらっしゃれば、このホームページの感想もふくめて、千田あてに連絡してください。
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