最近のボスニア(旧ユーゴスラビア)情報

(10/05, 2001)


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◆ 10/02@◎ボスニアでテロ容疑者4人逮捕=NATO(時事通信)
◆ 10/02@<記者の目>対テロ 新しい質の戦争 北米総局・中井良則(毎日新聞)
◆ 10/02@アフガン難民助けろ パキスタン国境にNGO集結(朝日新聞)
◆ 10/02@在仏米大使館テロ容疑者、ビンラディン組織の指令認める(朝日新聞)
◆ 10/02@アフガンの元国王擁立派、北部同盟の政権参加に難色(読売新聞)
◆ 10/02@<テロ>仏で収監中の容疑者が米大使館に自爆テロ計画 仏ラ(毎日新聞)
◆ 10/02@豪政府、軍事行動協力は米との関係強化が狙い(読売新聞)
◆ 10/02@歴史的場面に米特殊部隊 イラン、ソマリアで失敗も(共同通信)
◆ 10/02@テロで1000万人が貧困層に 世界銀行が試算(朝日新聞)
◆ 10/02@「窓」―カイバル峠(朝日新聞)
◆ 10/02@米大統領「攻撃準備は完了」(読売新聞)
◆ 10/02@パレスチナ問題で新提案 米、攻撃開始前に公表か(共同通信)
◆ 10/02@バーミヤン遺跡、アフガン難民が盗掘し密売(読売新聞)
◆ 10/02@米国防、本土防衛を最優先(読売新聞)
◆ 10/02@イランへの支援も検討 外相、アフガン難民流入で(共同通信)
◆ 10/02@<米国防政策見直し>テロ対策を優先、アジア重視も鮮明に(毎日新聞)
◆ 10/02@米大統領、対アフガン攻撃の準備完了を発表(朝日新聞)
◆ 10/02@空母不在の空白埋める 朝鮮半島緊張抑止が狙いか 佐世保基(共同通信)
◆ 10/02@<反タリバン連合>最高評議会設立に米が支持表明(毎日新聞)
◆ 10/02@国土防衛を最優先 テロ受け米国防総省 沖縄基地は堅持を示(共同通信)
◆ 10/02@開かぬ国境、難民衰弱 貿易盛ん、パキスタン西部チャマン(共同通信)
◆ 10/02@<国連総会>「国際テロ撲滅措置」を集中討議(毎日新聞)
◆ 10/02@<米軍事行動>開戦時期は 米は根回し重視 緊張高まる(毎日新聞)
◆ 10/02@<ユネスコ>文明対話会議開催の意向 松浦事務局長 テロ受(毎日新聞)
◆ 10/02@◎アフガンに援助要員派遣へ=大島氏、タリバン大使に表明(時事通信)
◆ 10/02@アフガン、750万人が飢餓の恐れ(読売新聞)
◆ 10/02@チケット高騰で「黄牛」横行 W杯予選快進撃の中国 (朝日新聞)
◆ 10/03@家永氏も平和賞候補 フランス公共ラジオ(共同通信)
◆ 10/03@国際テロ対策強化で宣言 ロシア・EU首脳が会談(共同通信)
◆ 10/03@<国際テロ対策>プーチン大統領 露・EU協力の共同宣言発(毎日新聞)
◆ 10/03@<パキスタン大統領>アフガン元国王と話し合いへ 伊次官と(毎日新聞)
◆ 10/03@橋本元首相が中東に出発 エジプト大統領らと会談へ(共同通信)
◆ 10/03@元国王の特使派遣を要請 パキスタン大統領(共同通信)
◆ 10/03@偵察衛星恐れ馬で移動? ビンラディン氏 タス通信(共同通信)
◆ 10/03@イラン、米への非協力姿勢崩さず 高村氏の説得通じず(朝日新聞)
◆ 10/03@◎元国王復帰に慎重姿勢=アフガン前大統領(時事通信)
◆ 10/03@国連の下なら協力の用意 イラン外相が高村特使に(共同通信)
◆ 10/03@<アフガン>タリバン崩壊後の新政権視野に 国連特別代表任(毎日新聞)
◆ 10/03@66%が報復攻撃を支持 米同時テロの共同通信社世論調査(共同通信)
◆ 10/03@後方支援確立に手間取る アフガン作戦行動で米(共同通信)
◆ 10/03@99年にもビンラディン氏殺害計画 米とパキスタンが合同作(共同通信)
◆ 10/03@タリバン指導部転覆を工作 見切り付けたパキスタン(共同通信)
◆ 10/03@米大統領、パレスチナ国家創設支持を確認(読売新聞)
◆ 10/03@<イタリア>米の象徴がテロの標的 マクドナルドなど警備強(毎日新聞)
◆ 10/03@アフガン干ばつ国土60%に 米衛星が世界の被害解析(共同通信)
◆ 10/03@横須賀出港の米空母キティホーク、洋上前線基地か(朝日新聞)
◆ 10/03@イランに緊急人道援助 政府、今月中に計画決定(朝日新聞)
◆ 10/03@<国連総会>テロの定義で対立 同時多発テロを受け(毎日新聞)
◆ 10/03@<記者の目>タリバンと米国 論説室・高畑昭男(毎日新聞)
◆ 10/03@◎野党の勝利確実に=バングラデシュ総選挙(時事通信)
◆ 10/03@ストイコビッチが来日 6日に豊田で引退試合(共同通信)
◆ 10/03@◎ピクシー、6日に引退試合=古巣レッドスターでのプレーも(時事通信)
◆ 10/04@早期警戒機提供など5項目 米がNATOに支援要請(共同通信)
◆ 10/04@再建始まるノビサド大橋 ドナウに架かる大動脈(共同通信)
◆ 10/04@「これからが正念場」 イリッチ・チャチャク市長 ユーゴ(共同通信)
◆ 10/04@自衛隊に大転換迫る 危険伴う難民支援 テロ対策法案の問題(共同通信)
◆ 10/04@ユーゴ、国際社会へ復帰 連邦解体の危機はらみ(共同通信)
◆ 10/04@<米バス横転事故>テロとは無関係 社長が会見(毎日新聞)
◆ 10/04@米長距離バス横転で40人死傷、運転手のど切られる(読売新聞)
◆ 10/04@居どころ特定は不可能 英元司令官(共同通信)
◆ 10/04@<世界食糧計画>アフガニスタン援助の小麦を空中投下へ(毎日新聞)
◆ 10/04@緊張の自衛隊、現場指揮官の覚悟(読売新聞)
◆ 10/04@<難民支援>C130輸送機、6日出発を発表 福田官房長官(毎日新聞)
◆ 10/04@アフガン難民支援に145億円援助へ 政府、国際機関に(朝日新聞)
◆ 10/04@アフガン支援に145億円 政府、国連活動に拠出(共同通信)
◆ 10/04@証拠あっても引き渡し拒否 タリバン大使が言明(共同通信)
◆ 10/04@途上国に初中教育の支援を 国際教育協力懇が初会合(共同通信)
◆ 10/04@<アフガン元国王>米政策担当局長と会談へ 亡命先のイタリ(毎日新聞)
◆ 10/04@裏に複雑なお家の事情 基地使用許可で悩むサウジ(共同通信)
◆ 10/04@アフガン入り狙う記者たち 隣国タジクで順番待ち(共同通信)
◆ 10/04@米政権に2つのドクトリン 作戦開始に慎重姿勢(共同通信)
◆ 10/04@<PKO>パキスタン派遣 手当1日4000円 自衛官から(毎日新聞)
◆ 10/04@国連、アフガン担当の事務次長2人に増員(読売新聞)
◆ 10/04@<米国務長官>アフガン再建に日本重要 自衛隊派遣高く評価(毎日新聞)
◆ 10/04@<アフガン難民>人道追加支援1億ドル ブッシュ米大統領(毎日新聞)
◆ 10/04@<アフガン>米国務省高官が元国王と会談へ(毎日新聞)
◆ 10/04@3分の2以上が批准賛成 テロ防止条約 (共同通信)
◆ 10/04@テロ条約すべて調印へ キューバ(共同通信)
◆ 10/04@<米国務長官>イラク攻撃に含み アフガンは「第1段階」(毎日新聞)
◆ 10/04@反タリバン、10月中旬にも国民大会議 (読売新聞)
◆ 10/04@仏が前国王の暫定政権などアフガン再建案(読売新聞)
◆ 10/04@ブラヒミ氏を任命 アフガン国連代表 (共同通信)
◆ 10/04@<フランス>タリバン崩壊後 元国王と国連の暫定統治構想を(毎日新聞)
◆ 10/04@米、経済支援提唱へ 国連主導でアフガンなどに(共同通信)
◆ 10/04@英がテロ監視委議長国に 5大国主導の構図明確に(共同通信)
◆ 10/04@日本が「重要な役割」 タリバン後のアフガン支援 米国務長(共同通信)
◆ 10/04@アンゴラで80人殺害 武装グループが襲撃(共同通信)
◆ 10/04@難民救援でイラン国境の開放要請 国連緊急援助調整官室長(共同通信)
◆ 10/04@新政権づくりへ関与模索 アフガン代表の権限強化 国連(共同通信)
◆ 10/04@米側、自衛隊の支援活動に「柔軟性」要望 輸送対象にも(朝日新聞)
◆ 10/04@<米テロ>元海兵隊軍曹の反戦広告米紙掲載へ 神戸NGO支(毎日新聞)
◆ 10/04@<パキスタン>対アフガン政策180度転換 大統領が表明(毎日新聞)
◆ 10/04@米外交戦略が大転換、「反テロ」最優先に(読売新聞)
◆ 10/05@米英軍が主導、独仏などは後方支援の見通し(朝日新聞)
◆ 10/05@政変1年祝い市民集会 ユーゴ、大統領も会見(共同通信)
◆ 10/05@国際刑事裁判所設置で努力 米同時テロ事件で外相(共同通信)
◆ 10/05@国連テロ決議は採択断念 パレスチナ問題などで対立(共同通信)
◆ 10/05@<閣議>アフガン難民救援物資輸送の空輸隊派遣決定 (毎日新聞)
◆ 10/05@総務相が外相に在外邦人の安全確保強化を勧告(読売新聞)
◆ 10/05@チェチェン問題は看過せず ライス米大統領補佐官(共同通信)
◆ 10/05@対米協力拡大の用意表明 ロシア大統領が英首相に(共同通信)
◆ 10/05@<アフガン難民>空から支援物資の投下を計画 米国防総省 (毎日新聞)
◆ 10/05@テロ対策特別措置法案、自衛隊法改正案を閣議決定(朝日新聞)
◆ 10/05@テロ特措法案を閣議決定 自衛隊、他国領域で活動 (共同通信)
◆ 10/05@裏切り恐れ都市に? ビンラディン氏潜伏先(共同通信)
◆ 10/05@一線越え“臨戦地域”へ 「貢献」の掛け声の下(共同通信)
◆ 10/05@中国もテロ組織の資金源途絶に協力(朝日新聞)
◆ 10/05@<テロ対策支援法案>「パキスタンに日の丸」 テロ2日後に(毎日新聞)

 (注)この「最近のボスニア」コーナーは、一般に報道されている記事に、千田が一部手直しして掲載しているものです。出所は明示しており、各社・各記者の著作権を侵害するつもりはありませんが、著作権上問題があるとお考えの方や、自分(自社)の記事は載せないでほしいという方がいらっしゃれば、このホームページの感想もふくめて、千田あてに連絡してください。
 千田あての電子メールはここをクリックしてください。  [最初のページに戻る]


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 10/02@◎ボスニアでテロ容疑者4人逮捕=NATO(時事通信)

 【ウィーン1日時事】ボスニア・ヘルツェゴビナに駐留している北大西洋条約機構(NATO)主導の国際平和維持部隊は1日、テロ活動に関与した疑いで、首都サラエボで4人の身柄を拘束したと発表した。
 このうち2人はイスラム圏出身で、サラエボ空港近くで拘束された。残る2人はボスニアのイスラム教徒で、サウジアラビアの人道援助団体で働いていたという。4人は新たなテロを計画していた疑いが持たれている。 [時事通信社][2001-10-02-06:36] 32
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 10/02@<記者の目>対テロ 新しい質の戦争 北米総局・中井良則(毎日新聞)

 1989年3月、アフガニスタンのカブール。国際赤十字委員会の責任者が私にいった言葉が耳に残る。
 「この戦争は忘れられた戦争になる。世界が関心を示さないまま、アフガンの飢えも病気も貧しさも深刻になっていくだろう。それが怖い」
 10年間、アフガンを占領したソ連軍が撤退して1か月たっていた。タリバンはまだ存在せず、ソ連の傀儡政権が米国に支援されたイスラム・ゲリラ連合に倒されようとしていたころだ。
 「忘れられた戦争」とは、米ソ対決の冷戦の主戦場だったアフガン戦争がソ連軍撤退で、内戦になってしまい、米国や世界の関心が急速に薄れてしまうことを意味する。その通りになってしまった。
 米国はアフガンを忘れ、その先に待ち受ける大きな落とし穴に気づかなかった。米国が同時多発テロの首謀者とみなし標的にするウサマ・ビンラディン氏は、米国が武器とカネをつぎこみ、ソ連と戦わせたゲリラ戦で頭角を現した。飼い犬が野犬となり、昔の主人にかみついたのだ。
 ブッシュ大統領はいま始めようとしている戦争を「21世紀最初の戦争」と呼び「新しい質の戦争」と形容した。
 何が新しいのか。過去の戦争で産み出された戦略が今度は適用できないのだ。
 第一に抑止戦略が効かない。ソ連との冷戦は、核攻撃に対する核攻撃で互いに破壊しつくす恐怖感があるから戦争は始まらない、という抑止論があった。だが、今回のテロリストは自殺攻撃であり、自分の安全確保を考えていない。自分が死ぬ恐怖感を持たない人間に抑止論は意味を持たない。
 第二にパウエル・ドクトリンが通用しない。ベトナム戦争で戦い敗れた経験からパウエル国務長官は、米軍が外国で戦う条件を考え出した。(1)米国の死活的な利益が脅かされる時に(2)明確な戦う目的があり(3)圧倒的な戦力を投入できるーー場合にのみ、戦争を始める。湾岸戦争はこの戦略で勝った。だが、テロに対する戦いは古典的な国家間戦争でなく、敵がどこにいるかわからない。圧倒的な戦力を持っていても、どこに投入すべきか答えは出ない。
 第三に「戦死者ゼロ戦略」を放棄しなければならない。93年、ソマリア内戦に介入し、米兵18人が死亡して以来、戦死者を出さない戦争が前提となった。地上戦闘を避け空爆に専念する。ユーゴスラビア空爆を成功例と自賛した。だが、ブッシュ大統領も認めるように、今回は空爆だけでは終わらない。
 そもそも、何をもって終わりとし、勝利を宣言出来るのかがはっきりしない。米国が軍事力を使えば使うほど、一般市民が殺され、米国を憎むテロリストが次々に生まれる。第二、第三のビンラディン氏の出現を防ぐ戦略はない。テロリストとの和平交渉や降伏文書調印は想定できない。
 「アメリカ人は野球のような戦争が好きだ。9回で得点が出て家に帰れるのがいいのだ。だが、今回は長い戦争になり、決定的な終結はない。結論がないまま戦死者が増える。秘密の覆いで隠され、テレビで見られない戦争だ。何のために若者の命とカネが費やされるのかわからない。アメリカ人の欲求不満は高まるだろう」。ウォルター・ラフィーバー・コーネル大教授(アメリカ史)は、そう懸念する。
 過去の戦略は通用しないのに、米国の発想は変わっていない。
 ブッシュ大統領は「米国と一緒にならないなら、テロリストにつくことになる」と世界中に警告し、テロリストを「悪(Evil)」と断言した。
 「6000人が亡くなったいまの状況では、アメリカ人は世界を白か黒かで見る傾向がある。テロリストを分類したり、その主張を聞くムードではない。だから大統領も単純なことばで説明する」とラフィーバー教授は解説する。
 だが、冷戦時代にレーガン大統領がソ連を「悪の帝国」と決めつけたことの再現でもある。
 「いまの政治エリートは、同時テロに対応するモデルを冷戦にしか見出せない。冷戦が世界を二つに分割したように、今度も世界が二つに分かれると思っている。アメリカ人は怒っているから、軍事攻撃を求める声はとても高い。たとえ効果がないとわかっていても、攻撃を始めなければならないかもしれない」
 デイビッド・ギブス・アリゾナ大助教授(政治学)は心配する。
 新しい敵に古い論理で対抗し、常に自分が正しいと思いこむ。12年前の忘れた戦争のツケは大きい。[2001-10-02-00:05] 257
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 10/02@アフガン難民助けろ パキスタン国境にNGO集結(朝日新聞)

 増え続けるアフガニスタン難民の支援活動のため、各国の非政府組織(NGO)関係者がパキスタンの国境近くに結集している。国連関係者によると、現在、パキスタンに拠点を置いて活動しているのは約110団体。テロの後、大半のスタッフがアフガンから避難したが、ここ数日、米軍の攻撃が近いと伝えられるなか、「今こそ支援を」と、パキスタン側で活動を「再開」する動きだ。
 ペシャワルの難民キャンプに、「JIFF」の名前を掲げたリハビリセンターがある。疲れた様子の難民や、やせた子どもたちが、ひっきりなしに出入りする。
 運営しているのは、茨城県の城西病院内にある日本国際親善厚生財団。1日に300人のアフガン人患者が訪れる。理学療法による治療や、小児科診療が中心だ。以前はアフガン国内で地雷の被害者の治療をしていた。
 テロ事件を受け、アフガニスタンからは、外国人の職員らが危険を避けるために現場を離れた。ペシャワルの救援施設からも、いったん離れたスタッフは多い。国連関係者によると、それがここ数日はもとの水準に戻りつつあるという。
 センターのアフガン人医師の一人は「これからどんどん忙しくなるかもしれない。下痢などで、栄養失調を訴える子供が増えている。これからが本番です」と話す。
    ■
 ペシャワルを拠点にアフガニスタン内外の難民たちを支援するNGO「ペシャワール会」(事務局・福岡市)の医師、中村哲さん(55)は1日深夜、日本からペシャワルに到着した。事件後、日本へ帰国していたが、再び戻ってきた。
 2日は朝から病院の現場に立った。「日本のみんなから『危ないところに行くのか』と心配されるが、東京の方が危ないぐらいです」と話す。
 ペシャワール会は83年に設立。ペシャワルにある病院をはじめ、もともとはアフガンの首都カブール周辺や北東部に八つの診療所を設置し、約160人の職員で年間18万人の患者を診てきた。
 いま、5人の日本人職員がペシャワルを拠点に活動する。
 「元々、アフガンの人は、この季節にパキスタンに移動する。普通の人口移動の側面もある。あまり大変だ大変だと言ってはいけない」と中村さんはいう。
     ◇ 国連関係者によると、各国のNGO職員たちが、ペシャワルなどアフガン国境に戻り始めたのはここ数日のことという。大規模な難民支援には、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)などの国連機関との協力は欠かせない。しかしまだ国連機関を含め、アフガン国内に入るには危険が多く、「外国人が戻って本格的な活動を再開するのは早い」という判断があるからとみられる。
 国連関係者によると、アフガン支援を目的とするNGOは約180団体あり、英国など欧米系が多い。その大半が現在は国境のパキスタン側に活動拠点を置いているようだという。[2001-10-02-22:23] 262
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 10/02@在仏米大使館テロ容疑者、ビンラディン組織の指令認める(朝日新聞)

 パリの米国大使館などへのテロを計画した疑いで仏当局の取り調べを受けていたアルジェリア系フランス人、ジャメル・ベガル容疑者(35)が、アフガニスタンにあるビンラディン氏の組織の本部でテロ準備の指令を受けていたことを認めた。AFP通信など仏メディアが2日、捜査筋の情報として伝えた。
 テロ組織の欧州での幹部とみられる同容疑者はビンラディン氏の右腕ともいわれるアブ・ズバイダ氏から直接命じられたという。7月末にアラブ首長国連邦で身柄拘束され、9月末にパリに移送された。
 組織のメンバーと見られる7人も先月21日に身柄を拘束されている。逃亡していた幹部のアルジェリア人男性(27)も英国で逮捕され、すでにフランスに移送された。[2001-10-02-21:51] 263
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 10/02@アフガンの元国王擁立派、北部同盟の政権参加に難色(読売新聞)

 【ペシャワル2日=長谷川聖治】ペシャワルを拠点にアフガニスタンのザヒル・シャー元国王擁立を目指すアフガン人反タリバン組織「アフガニスタン民族連帯運動」(NSMA)は1日、元国王と反タリバン勢力「北部同盟」の代表が合意した暫定政権の樹立構想について、北部同盟の参加を理由に難色を示した。NSMAの報道官イシャク・ガリニ氏が本紙に語ったもので、暫定政権作りの前途が多難であることを示した。
 ガリニ報道官は「北部同盟の暫定政権参加をペシャワルにいる難民の多くは望んでいない。北部同盟の参加は政権を揺るがしかねない」と述べた。その一方で、「国民大会議が招集され、そこで北部同盟の参加が認められれば従う」とも語った。
 NSMAは、ペシャワルに本拠地を持つ政党などアフガニスタンの反タリバン勢力44組織が、元国王の復権を支援するため1日に結成された。[2001-10-02-21:34] 269
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 10/02@<テロ>仏で収監中の容疑者が米大使館に自爆テロ計画 仏ラ(毎日新聞)

 【パリ福島良典】仏ニュース・ラジオ局フランス・アンフォによると、仏当局が収監中のアルジェリア系フランス人、ジャメル・ベガル容疑者(35)が1日、予審判事の取り調べに対し、ウサマ・ビンラディン氏の指令を受け、パリの米国大使館と米国文化センターに対する自爆テロを計画していたと供述した。
 供述によると、ベガル容疑者は今年3月、アフガンのビンラディン氏の司令部で会合が開かれた際、同氏側近のアブ・ズベイダ氏から直接、指令を受け取ったという。
 ベガル容疑者は今年7月末、偽造旅券を所持していたとして、アラブ首長国連邦のドバイで逮捕され、9月30日にフランスに移送された。[2001-10-02-21:00] 278
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 10/02@豪政府、軍事行動協力は米との関係強化が狙い(読売新聞)

 【シドニー2日=平井道子】オーストラリア政府は、テロ集団に対する米国の軍事行動への全面的協力を一貫してアピールしている。ハワード保守政権は、与野党を越えた反テロの根強い世論をバックに、米国に対し存在感を示す絶好の機会ととらえているようだ。
 同時テロの発生後、ハワード首相は9月14日に米、豪、ニュージーランドのいずれかに対する武力攻撃に対し、「豪、ニュージーランド、米相互安全保障条約(ANZUS条約)」に基づき、集団的自衛権の発動を決定。リース国防相も、国連決議に基づきペルシャ湾に派遣しているフリゲート艦や、軍事交流などで米、英に駐在する約450人の豪国防軍兵士の軍事行動への参加の可能性を示すなど、協力姿勢を積極的に示している。
 キーティング労働党政権(91―96年)は、親アジア政策をとったが、ハワード政権は親米に外交政策のかじを切りなおした。地元国防ジャーナリストは、ハワード首相は、今回の事態を米国との関係強化の絶交の機会ととらえ、米国との通商問題にも好影響を与えることを期待している、と指摘する。
 ただ、今回の事態に対しては、野党労働党も軍事協力に反対しておらず、与野党を越えた国民的コンセンサスがあるといってよい。豪州国内ではテロ集団に対する武力攻撃を支持する世論が7割に達している。
 豪国防軍の兵力は5万600人で、東ティモールなどでの国連平和維持隊に約1500人を派遣しているほか、不法入国を狙う難民船の監視などの業務も増えている。しかし、豪政府は特殊空てい部隊など実戦部隊の投入も検討しているようだ。[2001-10-02-20:23] 289
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 10/02@歴史的場面に米特殊部隊 イラン、ソマリアで失敗も(共同通信)

 米軍の特殊部隊は過去、さまざまな歴史的場面にかかわってきた。事件の陰で姿を見せない事例も多いが、輝かしい成功とともに屈辱にまみれた失敗も経験している。
 一九九一年の湾岸戦争で、米特殊部隊は本格攻撃の開始に先立ち、ペルシャ湾岸地域やイラク領内に潜入、イラク側の態勢、配置や装備、フセイン大統領の所在などの情報収集のほか、人質救助や米国人保護の任務に当たった。フセイン大統領暗殺計画や反体制勢力のほう起にかかわったとも言われている。
 最新兵器、通信機器の扱いはもちろん、アラビア語も堪能な精鋭隊が集めた情報が、米軍が誇ったピンポイント攻撃を可能にしたとも言える。戦闘は米軍主体の多国籍軍がイラク軍を圧倒、クウェート解放に成功した。
 ベトナム戦争後、米国は八三年のグレナダ侵攻、八九年のパナマ侵攻など他国への軍事介入で特殊部隊が重要な役割を演じた。そうした機会以外は、政情不安の国や地域の治安維持、国連平和維持活動への協力など比較的地味な活動も多い。
 米特殊部隊にとって最も手痛い失敗例のひとつは、八○年のテヘランの米大使館人質救出作戦だ。米国人五十二人を救出するため、当時のカーター大統領は同年四月二十四日、特殊部隊九十人を派遣したが、作戦途中の集結地点で輸送機とヘリコプターが衝突し乗員八人が死亡、四人が負傷。隊員は輸送機で撤退し、ヘリ一機や計画書がイラン側に押収された。
 また、九三年の第二次国連ソマリア活動(UNOSOM2)支援で、米特殊部隊は首都モガディシオでヘリコプターからロープで降下し、アイディード将軍派の拠点を急襲するなど派手な軍事作戦を展開した。
 しかし八月三十日に国連機関や非政府組織(NGO)の事務所を誤って襲撃。十月初めの戦闘では隊員十七人が死亡、五十人以上が負傷する被害を出した。隊員ら数人が捕虜になったほか、米兵の遺体が引き回される映像が流れ、当時のクリントン大統領は十月、特殊部隊の屈辱的な撤退を決めた。(共同=古池一正)(了)[2001-10-02-18:25] 291
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 10/02@テロで1000万人が貧困層に 世界銀行が試算(朝日新聞)

 世界銀行は1日、9月11日の同時多発テロ事件が世界経済に打撃を与える結果、2002年の世界の貧困人口が約1000万人も増えるとの試算を発表した。貧困人口とは、1日1ドル(120円)以下で生活している人々を指す。5歳未満の子供の死者も来年、2万〜4万人増えることが予想されるという。
 世界銀行は、テロによって、先進国の02年の経済成長率が1.0〜1.5%になると予想。当初見通しの2.2%成長から、大幅に下方修正した。
 先進国向けの貿易が鈍化する影響で、途上国の成長率も4.3%の当初見通しから、3.5〜3.8%まで低下すると見込む。
 貿易面での影響は、すでに保険費用の高騰や、通関手続きの遅れなどの形で表れているという。たとえば、インド向けの主要な航路の運送費は、10〜15%も上昇している。カリブ海諸島への旅行予約の約65%がキャンセルされるなど、観光産業に頼る途上国への影響も甚大だ。
 経済成長の改定値は02年半ばまでにテロの影響が薄れ、経済活動が通常の状態に戻るのを前提としている。テロが続発するような事態になれば、途上国の貧困層への影響はさらに深刻なものになる。
 ウォルフェンソン世銀総裁は「テロによって、米国内で亡くなった人の国籍は、約80カ国にのぼるが、犠牲はそれだけにとどまらない。途上国、とくにアフリカの人々が、収入の低下によって貧困に追いやられる」と述べ、テロリストを厳しく非難した。[2001-10-02-17:37] 297
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 10/02@「窓」―カイバル峠(朝日新聞)

 一触即発の危機に、アフガニスタン・パキスタン国境のカイバル峠からも緊迫した情勢が伝わってくる。
 アフガニスタン側から逃れようとするアフガン人が国境に押し寄せ、パキスタン側は国境を封鎖し厳戒態勢に入っているという。
 思い起こせば、まさにつかの間の和平だった。
 92年4月、当時のカブール政権に対抗したゲリラ組織が一時的に大同団結した連合政権の樹立劇を、国境で取材したときのことだ。
 パキスタン側からアフガンゲリラ数千人が多数の車を連ね峠を通ってアフガン領へ戻っていった。旧ソ連の侵攻以来パキスタンに逃れていた難民たちも続々と後を追った。
 「やっとこれで平和が来るかもしれない」。峠を越す人々は口々に語った。数は1週間で100万人を超えた。
 だが、願いはじきにうち砕かれた。ゲリラ各派はまもなく内戦に突入、国際的な調停努力は無力さを露呈するばかりで、以来ひたすら泥沼化の道を突き進んできたのだ。
 同時多発テロの波紋は内戦と干ばつの恐怖と飢餓にあえぐ民衆に追い打ちをかけた。
 新たな戦闘の激化は女性や子どもをも盾にしかねない。
 じゅうりんされ続ける人々をどう守るか。そして、実効あるアフガン和平にどう導くか。テロに断固対抗するのと同時に、国際社会が半ば座視してきた紛争を真の解決に導く和平工作にも、知恵と力を結集するときである。
 アフガン国民を分断したこの峠を、さらなる「悲劇の象徴」にしないために。〈和〉[2001-10-02-14:25] 298
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 10/02@米大統領「攻撃準備は完了」(読売新聞)

 【ワシントン1日=永田和男】ブッシュ米大統領は1日、同時テロの首謀者とされるウサマ・ビンラーディンをかくまうアフガニスタンの実効支配勢力タリバンへの軍事行動について、「これは別の種類の戦いだ。通常の兵力でゲリラ戦を戦うのは難しいが、米軍は準備ができている」と語り、本格的な軍事作戦に向けた兵力展開が完了したことを明らかにした。
 大統領は、対テロ戦闘がミサイルや空爆が緒戦の中心だった湾岸戦争とは異質の戦いになることも強調してきており、物理的な準備完了が即座に開戦を意味するものではないが、「私が議会演説で述べたように、米軍は我々に誇りを与えてくれるだろう」とも語り、米軍の優位性に絶大の信頼を表明した。
 同時テロ被害の対策に当たる連邦緊急事態管理庁(FEMA)職員を激励するあいさつの中で語ったもので、大統領は、「兵員2万9000人と2個の輸送戦闘部隊、上陸作戦部隊1個と軍用機数百機を展開し、予備役1万7000人と州兵数千人を動員した」と具体的な数字を挙げて準備が着々と進んでいることを強調した。
 また、大統領は「北大西洋条約機構(NATO)、東南アジア諸国連合(ASEAN)、イスラム諸国会議機構(OIC)など46の国際機関が米国を支持する声明を採択してくれた」と外交面での成果も明らかにした。
 「(テロ組織の)隠れる場所をなくし、穴からいぶりだす」と述べて、テロ組織を追いつめる決意を表明した。[2001-10-02-14:03] 302
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 10/02@パレスチナ問題で新提案 米、攻撃開始前に公表か(共同通信)

 【ニューヨーク1日共同】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は一日、米ブッシュ政権が米同時中枢テロが起きる前にパレスチナ国家の創設支持などを含む中東和平の包括的提案を作成、国連総会での一般演説でパウエル国務長官が詳細を表明する段取りだったと報じた。
 アラブ穏健派諸国などは、パレスチナ問題への米国の真剣な関与がテロへの報復攻撃支持の条件としており、国務省は攻撃開始前にも同提案をパウエル長官が公表するかどうかの検討に入っているという。
 提案はパウエル国務長官が九月二十四日からの一般演説で発表する予定だったが、各国外相らによる演説は事件のため延期された。同政権当局者によると、包括提案にはイスラエルとパレスチナとの境界線問題やパレスチナ難民の帰還、エルサレムの最終地位などが含まれている。(了)[2001-10-02-12:55] 303
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 10/02@バーミヤン遺跡、アフガン難民が盗掘し密売(読売新聞)

 【ペシャワル(パキスタン北西部)2日=鈴木敦秋】米国の対テロ軍事行動が迫るなか、アフガニスタンからペシャワルへ脱出した難民が、タリバンによって破壊されたバーミヤンの仏教遺跡で盗掘したとみられる小仏像などを大量に持ち出している。現金収入をあてにした密輸で、パキスタンの地元警察も“お手上げ”の状態。「文明の十字路」と呼ばれたアフガニスタンは仏教美術の宝庫で、貴重な文化遺産の散逸を憂慮する関係者も多い。
 旧市街のバザールでは、暴動やテロを警戒する警察官の姿が目立つ。迷路のような路地を進むと、数軒の古美術商が集まっている。ブローカーに案内された建物の一室には、数十点の密輸品が並んでいた。
 石の菩薩(ぼさつ)像、遺跡の破片、「バーミヤンの大仏像の破片」と古美術商が説明する石の塊。いずれも、米国の同時テロ事件後に脱出した難民たちが、先月末に持ち込んできたという。タリバンは今年3月に大仏像を破壊した後、バーミヤン周辺を厳戒下に置いている。複数の古美術商によると、難民たちは警戒の網をくぐり、夜中に盗掘するらしい。
 年代が古くて土が付いている像や、炎の上に仏陀が立っているなど、希少なデザインの品ほど高く売れる。米ドルによる売買で、小さな仏像や彫像で5万円以上、10センチほどの仏陀の塑像で6万円以上。
 難民からの購入価格は売値の約半額。米国のテロ事件後、品薄が予想され、25%も高騰した。ブローカーは「イスラム教徒にとって、仏教の文化財は無意味。現金を必要とする難民は多く、在庫が不足することはないだろう」と説明した。
 こうした密輸品の顧客は古美術品好きの日本人をはじめ、英国、米国、ドイツ人らという。
 ペシャワル市と国境地帯を管轄する2つの地元警察でも、「複数のブローカーが介在しており、手の出しようがない」としている。
 シルクロード交易の拠点だったバーミヤンは、4世紀から6世紀にかけて最も栄え、大仏像もこの時期に建てられたとされる。
 ◆国内で破壊、流出で散逸…平山さん無念◆
 アフガニスタンの文化財保護に取り組むユネスコ親善大使で、日本画家の平山郁夫さん(71)は「文化財は、アフガニスタン国内に残っていると破壊され、国外に流出すると散逸する。平和が訪れたら、流出した文化財を再び、アフガニスタンに戻したい」と話す。
 平山さんはこれまで、国連職員に依頼され、タリバンと反対勢力「北部同盟」双方の代表と日本国内で会い、文化財保護と和平交渉の進展を呼びかけていた。
 平山さんは昨年5月、タリバンの通産相と東京都内のホテルで会談した。日本は欧米に比べアフガニスタンと軍事的、宗教的な利害関係が薄い。このため、親善大使を務め、シルクロードの風景を描き続け、地域の文化にも詳しい平山さんに依頼があったという。
 「日本政府はまずタリバンを国家として認めるべきだ」と主張する通産相に、平山さんは「世界に認められる近代国家とは、他民族や異文化を保護するものだ」と反論した。さらに、文化財を日本で保管したいと申し出ると、通産相は「そこまで世話になるのは恥ずかしい。いつか美術館を再建し、守っていきたい」と答えた。
 4か月後、同じ国連職員に伴われて北部同盟の幹部が自宅にやってきた。幹部は、内戦と干ばつ、寒波で人々が疲れ切っていると説明。「このままでは国が滅びる。タリバンと和解するにはどうすればいいのか」と訴えた。今年2月にアフガニスタン国内の彫像破壊を命ずる布告を出したタリバンに、平山さんは署名を添えて破壊中止を呼びかけたが、聞き入れられなかった。通産相を信じ、「話せばわかる」と思っていただけに残念でならない。
 平山さんはこれまでに日本国内で30点近いアフガニスタンの壁画やギリシャ神像の一部を発見し、うち8点を保管している。「平和が戻ったら、文化財をアフガニスタンへ返すつもり。1日も早くその日が来てほしい」と願い続けている。[2001-10-02-12:49] 306
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 10/02@米国防、本土防衛を最優先(読売新聞)

 【ワシントン1日=林路郎】ラムズフェルド米国防長官は1日、今後4年間の米国の国防指針となる「4年ごとの国防計画見直し」(QDR)を連邦議会に提出した。9月11日に起きた同時テロを踏まえ、通常の軍事力では防御できないテロ攻撃などへの対応を急務と指摘し、米本土防衛と特殊部隊強化を最優先に掲げた。
 また、極東と中東で大規模紛争が同時発生する前提で戦力構築を定めた「2正面戦略」の見直しを明記。日本海からベンガル湾へ至る東アジア沿岸海域を「特に脅威が高まりうる地域」とし、名指しこそ避けたが中国の軍事力をけん制し、アジア地域での戦力を強化する姿勢を鮮明にした。
 QDRはまず、同時テロの発生で、本土防衛、テロなど突然の脅威に対する備えなど新たな抑止概念の構築や、多面的な対応の重要性が確認されたと強調。同事件が今後の国防戦略構築に重大な影響を及ぼすと明記した。また、テロの脅威については、「国家以外の勢力によってもたらされる傾向が強まった」と指摘。〈1〉大量破壊兵器が使用される可能性が高まった〈2〉米国外の多国籍企業などが狙われやすくなるなどグローバル化に伴うぜい弱性が顕著になった〈3〉どこでテロが起きるかの予測が極めて難しくなった――などの点を戦略環境の変化として列挙した。
 こうした脅威に対処するため、緊急に前線展開できる配置態勢の構築、世界全体における情報収集・指揮・指令・通信機能の確立、特殊部隊の展開能力強化――を目指すとしている。
 一方、地域別の戦略概況では、米軍・同盟国の防衛を優先事項に掲げたうえで、「北東アジア、日本海からベンガル湾にかけての『沿岸地帯』における敵対的な軍事力台頭を排除する」と明記。中国が米国に脅威を及ぼすような戦略環境への警戒感を暗に示した。
 また、エネルギー供給源としての中東の重要性を指摘。同地域に核・化学・生物兵器の獲得を目指す国が多数存在することの危険性を特記した。
 一方、21世紀の米軍の役割については、「本土防衛を最優先する」と明記。海外では、「死活的に重要な地域(極東及び中東)での侵略行為の防止」の重要性を掲げた。また、冷戦後の基本戦略だった「2正面戦略」について、「戦力構成の焦点は、地理的、機能的にさまざまな脅威に幅広く対応できる能力の構築へシフトする」との表現で、将来の見直しを明記した。
 しかし、QDRは2正面戦略に変わる新たな概念は提示せず、「戦力構築の方向性が変化するにしても、2地域における紛争への対応計画そのものを放棄はしない」と併記。玉虫色の表現で、戦力再構築が過渡期にあることを示した。[2001-10-02-11:58] 307
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 10/02@イランへの支援も検討 外相、アフガン難民流入で(共同通信)

 田中真紀子外相は二日午前の閣議後の記者会見で、米中枢同時テロに絡む米軍の報復措置で、アフガニスタンからの大量の難民流入が予想されるイランについて「人道的支援をどうするか、具体的な政策を早めに立てなくてはならない」と述べ、現地の状況を見ながら検討を進めていくことを明らかにした。
 外相は「大変な数の難民が国境を接するイラン、パキスタンにも入っている」と述べ、事態が深刻な状況にあると指摘した。
 二十年以上に及ぶアフガン国内の紛争で、イランには既に難民が大量流入しており、日本は国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)などを通じた人道支援を以前から行っている。(了)[2001-10-02-11:55] 308
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 10/02@<米国防政策見直し>テロ対策を優先、アジア重視も鮮明に(毎日新聞)

 【ワシントン清宮克良】ラムズフェルド米国防長官は1日、4年ごとの国防政策見直し(QDR)を発表した。今回の同時多発テロを受け、米本土防衛を最優先するとともに通常兵力で対処できないテロ行為を阻止する能力を向上させることに重点を置いている。同時にアジアでは強大な軍事力を持った軍事的な競争相手が出現する可能性を指摘し、「アジア重視」を鮮明にしていることが特徴だ。対中戦略などを想定して沖縄米軍基地の重要性が変わらないことをうかがわせている。
 国防政策見直しでは、米本土があらゆる敵からの脅威にさらされていることに言及し、「大規模で伝統的な戦いに備えてるだけでは十分ではない」と徹底したテロ対策の必要性を強調。米国にテロ攻撃やゲリラ戦を仕掛けてくる「非対称な戦争」に備えるため、生物・化学・核兵器の使用を想定した監視体制の確立のほか、テロ活動に対する情報収集の強化を掲げた。
 また、中東と朝鮮半島でほぼ同時に起こる大規模な地域紛争に備える「2正面作戦」を転換し、二つの戦域で一カ所は決定的な勝利を得て、もう一カ所は敵の軍隊を排除する対処能力を求めている。今回のテロを受け、敵対する政権を転覆する強行策をも辞さないとの方針を示した。
 ブッシュ大統領は就任後、これまでミサイル防衛を国防政策の目玉に据え、米国や同盟・友好国を効果的に防衛するシステムとして推進していく方針を掲げてきたが、テロ対策を前面に打ち出したことから後退した印象は否めない。
 さらに、「東アジア沿岸地域は試練のあふれた地域」との表現で、中国や朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の潜在的な脅威を示唆。米軍が利用できる施設を増やしたり、基地使用協定を締結する必要性を指摘しており、今後とも沖縄米軍基地の機能を維持するものとみられる。[2001-10-02-11:50] 312
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 10/02@米大統領、対アフガン攻撃の準備完了を発表(朝日新聞)

 国際テロ組織の壊滅へ向けて総力戦を宣言した米政府は1日、外交、司法、金融、軍事など各分野の進展状況を発表した。緊急事態管理庁で演説したブッシュ大統領は、対アフガニスタンの攻撃準備の完了のほか、オサマ・ビンラディン氏の組織の資産凍結などを強調し、「多面的な戦いが、ゆっくりと着実に前進している」と評価。見えない戦線の成果を米国民に訴えた。
 ●組織の50口座凍結
 ブッシュ大統領は、国際テロ組織の資金封じの成果を数字で強調した。ホワイトハウスがまとめた9月30日現在の進展一覧によると、凍結されたビンラディン氏の組織「アルカイダ」の銀行口座数は、米国内30、国外20の計50。資産総額は600万ドル(約7億2000万円)にのぼる。
 「テロとの戦いに勝つには、邪悪な人々の資金を断つことが必要だ。国内だけでなく、海外の国にも納得してもらわなければならない」とし、50口座の凍結は「始まりにすぎない」と述べた。
 米財務省は同日、米国がビンラディン氏関連と指定した27個人・組織の資産凍結を命じた国が19カ国にのぼることを明らかにした。日本、イギリス、ドイツ、フランスなどのほか、パキスタン、アラブ首長国連邦(UAE)が含まれる。
 すべての国で、口座が実際に見つかったわけではないが、米国の呼びかけに応じている国が増えていることを示す狙いがある。大統領は先月24日、27個人・組織の在米資産の凍結を命令。協力を拒む国の銀行についても、米国での取引を禁止し、資産を凍結すると警告していた。
 ●証拠の一部開示も
 外交面では、日本について「外交、軍事面(後方支援)の協力、パキスタンへの支援を提供」するとしたほか、ロシア、パキスタンなど計9カ国の協力を列挙。27カ国が米国機の飛行と着陸を認め、NATO(北大西洋条約機構)など46の多国間組織が支援を表明したとしている。
 司法当局は、テロ組織との関連で439人を逮捕・拘束。情報提供は100カ国以上が協力の強化を申し出ており、オサマ・ビンラディン氏の組織の「所在や隠れ場所などの割り出しが進んでいる」と大統領は語る。
 CNNによると、米政府は同時多発テロとオサマ・ビンラディン氏を結ぶ「証拠」について、機密以外の内容を他国に提示する準備を整えた。英国、カナダなどを皮切りに、1日から始める見通しという。
 ブッシュ大統領はこれまでの成果を強調する一方で「短期間に達成する成功もあれば、忍耐が必要なこともある。テレビでは見えなくても、着実に結果は出ている」と述べ、長期戦への理解を求めた。
 ●攻撃準備整う
 米国防総省当局者は1日、日本の横須賀基地から出港した空母キティホークがアラビア海方面へ向かったことを明らかにした。CNNによると、同空母は艦載機をほとんど積んでいない。同当局者はAP通信に対し、到着後は特殊部隊のヘリなどの出撃拠点になるか、ほかの海軍機が利用する見通しだと語った。
 ペルシャ湾、インド洋を含めた「不朽の自由」作戦に展開している米軍部隊は30日現在、兵力2万9千人、爆撃機など349機。空母はエンタープライズ、カールビンソンの2部隊としているが、地中海経由でセオドア・ルーズベルトも展開中。キティホークが合流すれば事実上、4隻態勢になる。
 予備役兵は、当面の最大5万人枠のうち1万7千人を招集した。ブッシュ大統領は1日、タリバーンとテロ組織を相手に標的を定めにくい情勢を念頭に、「ゲリラ戦を通常戦力で戦うのは難しい」としながらも、「軍の態勢は整った。彼らは我々に誇りをもたらすだろう」と述べ、攻撃準備の完了を表明した。[2001-10-02-11:21] 314
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 10/02@空母不在の空白埋める 朝鮮半島緊張抑止が狙いか 佐世保基(共同通信)

 長崎県の米海軍佐世保基地を母港にする揚陸艦隊が二日、一斉に出港した背景には、米軍の報復作戦に参加するため一日に母港、横須賀基地を離れた空母キティホークの不在によって生じる軍事的空白を埋めるという意図があるとみられる。
 米基地関係者は「北東アジアには依然、不安定要素が消えたわけではない」と述べ、朝鮮半島の緊張抑止の必要性を強調、揚陸艦隊の目的地が同半島沖であることを示唆する。事実、毎年この時期には米国と韓国の合同軍事演習が行われている。
 防衛関係者は「韓国との合同演習に参加した場合でも、ある地域への出撃前の総仕上げではないか」と述べ、演習参加後、テロ報復作戦に連動し、別の海域に移動することもあるとの見方を示す。
 一方、対テロ訓練のためグアムへ行くとの見方もある。佐世保基地の米艦は空母型で、垂直に発着するジェット戦闘機や攻撃ヘリコプターを載せた強襲揚陸艦を中心に、上陸作戦に必要な掃海艦など七隻で構成。上陸する海兵隊員の輸送と弾薬などの物資を陸揚げし、作戦支援するのを主任務としており、テロ報復作戦に必要とされる艦隊だ。(了)[2001-10-02-11:14] 316
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 10/02@<反タリバン連合>最高評議会設立に米が支持表明(毎日新聞)

 【ワシントン吉田弘之】イタリアに亡命中のアフガニスタンのザヒル・シャー元国王と「反タリバン連合」(北部同盟)が1日、ローマでアフガンの国家統一を目指す「最高評議会」の設立で合意したことに対し、フライシャー米大統領報道官は同日の記者会見で「平和なアフガンを作り上げる幅広い勢力と一緒に作業をして行く」と述べ、間接的な表現で支持する意向を表明した。
 一方で報道官は「米国は、誰がアフガンを統治するか、選ぶ立場にない」との原則論を繰り返し述べ、米国として「タリバン後」の政権作りに積極的に関与する意図がないことを強調した。
 [2001-10-02-11:00] 319
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 10/02@国土防衛を最優先 テロ受け米国防総省 沖縄基地は堅持を示(共同通信)

 【ワシントン1日共同=久江雅彦】米国防総省は一日、四年ごとの国防戦略見直し(QDR)を公表した。九月の米中枢同時テロを受け、テロや、通常の軍事力で防御できない「非対称の脅威」への対応が急務と指摘。米軍の再編成では、国土防衛の強化を最優先課題に位置付けた。
 米軍の前方展開では、具体的な基地名に触れず「東アジアと欧州の重要な基地は維持し、ハブ(拠点)としての追加的な役割もあり得る」と言及。中国などの軍備増強を受けアジア重視の姿勢を打ち出し、沖縄基地の機能を堅持する方針を強く示唆している。
 日本など西太平洋地域で「空母機動部隊のプレゼンスを増やす」として、できるだけ同地域での展開期間を長くすると表明。水上艦三―四隻を増強し、陸上へミサイル攻撃が可能な潜水艦の配備方針も示した。配備先は不明だが、在日米軍基地を含む可能性がある。
 中東と朝鮮半島でほぼ同時に起きる大規模紛争に対処する「二正面作戦」を放棄する一方、「米国はいつ、どこから攻撃されるか分からない。あらゆる敵から国土を守ることが最も重要な課題」と指摘。特定の敵や地域に限らず、想定できるすべての脅威の度合いや質に応じた戦略を構築する新方針を明らかにした。
 テロ対策では、生物・化学兵器や核兵器の使用を想定した備えの強化が不可欠と強調。情報収集や関係機関の連携緊密化の重要性を挙げた。
 米軍再編成ではこのほか@重要地域で侵攻を抑止A二つの大規模紛争で敵を速やかに撃退し、うち一カ所では政権転覆や首都占拠を含め決定的に勝利B限定的な小規模の緊急事態に対処―を基準に掲げた。
 また国防の基本方針として、米国や同盟国などの自由や経済権益を守るため「地球規模で軍事作戦を展開する能力を維持する」と表明。長距離爆撃機の開発など軍備近代化とともに、ミサイル防衛構想も推進していく方針を強調した。同構想の資金を工面するため検討されていた兵力削減は見送られた。(了)[2001-10-02-09:54] 326
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 10/02@開かぬ国境、難民衰弱 貿易盛ん、パキスタン西部チャマン(共同通信)

 「米国の攻撃が遅れれば、国境が開くのを待つ難民は死ぬしかない」。アフガニスタン側国境では、米国の報復攻撃が迫る中、カンダハルなどから避難した五千人以上が、水や食料が十分にないまま、いつ開くとも知れない国境で待ち続けている。
 アフガニスタンとの国境にあるパキスタン西部チャマン。この町の近くで商売するママ・シャフィンさん(25)は「国境のアフガニスタン側には多くの難民がいる。だれも助けないから状況は悲惨だ。衰弱で何人か死んだらしい」と話す。
 パキスタン政府は国境を開けるのは、攻撃で人道的な支援が必要となった場合だけとしている。
 その一方で、パキスタン側は攻撃前の緊張感はなく、国境貿易が盛ん。人や車の往来でごった返している。
 国境検問所周辺は、乾いた砂と石ころだけの大地に、つむじ風による砂の渦があちこちで上がる。その中を、家畜用の干し草や、小麦粉を詰めた袋を満載したトラックがひっきりなしにアフガニスタンに入って行く。
 地元ジャーナリストは「食料はパキスタン政府の援助だ。一部は市民に渡るだろうが、長期戦に備えるタリバンの備蓄となるのは間違いない」と指摘した。タリバンが国連などの活動を制限している以上、住民に支援の手が届く保証はない。
 カブールの家からパキスタン・クエッタの神学校に戻る途中というサヒルさん(15)は「祈るために来たと言って国境を通してもらった」という。「カブールは食料も不足せず通常の生活に戻ったが、兵士は戦闘準備で忙しそうだった」と緊迫しつつある状況を説明した。
 タリバン政権の拠点カンダハルから病気治療のため来たという男性(40)は「カンダハル市民は米国の攻撃を覚悟している。街に残っている者は全員がタリバン支持だ」と胸を張った。(パキスタン西部チャマン共同=田辺宏)(了)[2001-10-02-08:21] 337
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 10/02@<国連総会>「国際テロ撲滅措置」を集中討議(毎日新聞)

 【ニューヨーク上村幸治】米国同時多発テロを受けて国連総会は1日午前(日本時間同夜)、「国際テロ撲滅措置」を議題にした、初の集中討議を開始した。冒頭、アナン事務総長が「包括的テロ防止条約での合意が重要である」と指摘、イスラム諸国から同条約案に不満が出ていることを踏まえ、「率直に言うなら、モラルも必要だ」と語るなど、異例ともいえる強い調子で加盟国の協調を訴えた。
 対テロ対策ではすでに「航空機内の犯罪防止条約」(69年発効)を始めとして11の対テロ条約を発効させ、現在は12番目の「テロ資金供与防止条約」(99年作成)の発効を目指している。
 しかし、新しいタイプのテロが出るたびに対応が難しくなり、その都度条約を追加しなくてはならなくなってきた。このためインドが、今後想定されるものも含め、あらゆるテロへの対応を定めた包括的テロ防止条約案を提案した。
 しかし、シリアやレバノンといったイスラム諸国が、条約案の中のテロの定義をめぐって「国家テロもテロとみなすべきだ」「民族自決はテロとは違うことを確認しろ」と訴え、審議は難航している。
 総会討議は5日間を予定、国連駐在大使ら156人の政府・機関代表が演説を行なう。15日からは総会第6委員会(法律)の特別委員会が、2週間にわたってテロ問題に関する審議を行なう。
 特別委で、インドが提案した包括的テロ防止条約案とロシアが提案した核テロ防止条約案について集中審議する。
 総会開会に先立ち、テロ被害を受けたニューヨークのジュリアーニ市長が現場の状況を紹介しながら「テロは人間の尊厳を否定するものだ」と演説、テロリストを激しく非難した。[2001-10-02-01:25] 342
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 10/02@<米軍事行動>開戦時期は 米は根回し重視 緊張高まる(毎日新聞)

 同時多発テロを受け、米軍が軍事報復への態勢を整えたと30日、伝えられたことで、開戦の時期と攻撃対象が大きな焦点となってきた。すでにアフガニスタン国内に特殊部隊が潜入したとの情報もあり、一部英紙はこの日、48時間以内にも報復が開始されると報じた。これに対し、現地ではタリバンが軍事演習を開始するなど緊張が高まっている。だが、米国は報復にからむアラブ・イスラム諸国の反発を考慮し、可能な限り根回しをした上で、報復に踏み切る方向に傾きつつあるようだ。
 米軍は今回の事件の首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏の支援組織「アルカイダ」やタリバンの拠点攻撃に、いつでも踏み切れる態勢にある。
 アフガン周辺にはすでに約2万8000人の兵力と300機以上の軍用機が配備済みとされ、ペルシャ湾には空母カールビンソン、アラビア海には空母エンタープライズが待機中という。アラブ首長国連邦の首長が最近まで狩猟に利用してきたアフガン南部のシュラワク空港への補給に向け、パキスタン南西部のカーランなどの軍事空港には、すでに100機近くの軍用機が集結しているとの情報もある。
 米国は、ペルシャ湾岸一帯を統括する最新鋭の司令センターを持つサウジアラビア・リヤド郊外の砂漠地帯にある米軍基地使用に向け、サウジの意向を打診していたが、同国のナエフ内相は30日、拒否の方針を明言した。同基地が使用できなければ「開戦は数週間遅れる」との見方もあっただけに、米国は周辺の空母からの攻撃や、他の湾岸諸国にある米軍基地の使用を模索中とみられる。
 ブッシュ大統領は10月20、21の両日、中国・上海でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)出席を予定している。このため、現状では、米国は攻撃態勢を早急に整備した上で、10月上旬にも攻撃に踏み切り、APECで「軍事行動支持」の声明を取り付ける可能性が有力視されている。
 だが、軍事作戦のタイミングは、ビンラディン氏の潜伏地の解明と密接に連動する。既に空っぽとされるアルカイダの拠点を攻撃しても、米国民は満足しない。米国が偵察衛星や無人機などを使った情報収集に時間をかけたければ、国連安保理でビンラディン氏の身柄引き渡しに期限を設けるなどした新決議の採択をめざし、これを軍事行動の「錦の御旗」とする可能性も排除できない。
 アフガンの山岳地帯は10月中旬から深い雪に見舞われるという。また、湾岸戦争(91年)時のイラク攻撃同様に、中東、アジア諸国のイスラム教徒の宗教心が高揚し、反発心を誘発しかねないラマダン(断食月)中の攻撃は回避するとみるのが自然だ。約1カ月間に渡るラマダンは今年、11月16日ごろから始まる見込みで、遅くともそれ以前に報復に踏み切るとの見方が大勢だ。いずれにせよ、ブッシュ大統領は報復を求める強い国内世論に押されつつ、極めて難しい決断を迫られている。
 米国の軍事作戦の大きな分かれ道は、アフガンのタリバン政権を「正面の敵」とするかどうかだ。米当局者は30日、タリバン政権に関する米政府の政策覚書を公表し、正当な政権とは認めない姿勢を明確にした。覚書はアフガンがテロ組織との関係を断つ必要性を強調し、(1)タリバンはアフガン国民の正当な代表ではない(2)米政府は、アフガンの平和的で経済的な発展をめざす勢力を支援する(3)国際社会はアフガンの安定に貢献すべきだ――としている。
 米政府は従来、タリバンとの交渉を拒否する一方で、タリバンの拠点を攻撃するかどうかは明言していなかった。覚書にも「タリバン打倒」の文言はないが、「テロリストをかくまう者も同罪」とするブッシュ大統領の見解に従って、タリバン政権の転覆をめざす姿勢は強まった。
 また、米国が空爆に続いて特殊部隊を潜入させても、ビンラディン氏を拘束できる保証はなく、タリバン側の抵抗が続けば、多数の犠牲者を生みかねない地上軍投入の必要が出てくる。「タリバン後」の受け皿となる反タリバン連合(北部同盟)は、ロシアやイランの支援を受けており、米国としては北部同盟主体の新政権樹立を素直に喜べないというジレンマもある。タリバンを敵に回して泥沼の戦争に踏み切るか、時間をかけてビンラディン氏の居場所を突き止めるのが得策か。攻撃対象の選択も難問だ。【ワシントン布施広】
 タリバンは30日、パキスタン国境近くで軍事演習を開始、砲弾4発がパキスタン側の国境検問所近くに着弾した。タリバンはパキスタン側にも砲身を向けており、「米軍と協力すれば報復攻撃すると威嚇している」とパキスタン軍情報筋は指摘する。
 軍事報復に向け、米国防総省代表団はパキスタン政府との先の協議で、同国北部のペシャワル、南西部のクエッタの両空港供与を要請、パキスタン側はこれに難色を示したという。両空港周辺はタリバン支持のイスラム原理主義勢力の拠点だけに、国内で反米世論が高まることに配慮したためとみられる。パキスタン側は代わりに、砂漠地帯で人目につきにくいカラーン空軍基地など数カ所を米側に打診したとされる。
 ムシャラフ大統領らがこうした協議内容を懸命に否定するのは、米国がタリバン政権を攻撃目標に想定し始めたためとみられる。親パキスタンのタリバンが崩壊すれば、パキスタンに直接はねかえり、政治情勢の不安定化は必至だ。パキスタン政府は国内世論を強く意識し、米軍との軍事協力の詳細について、公表しない方向に傾きつつあるようだ。
 「人道援助国家」をアピールしたいとの思惑を抱きながら、パキスタンが国境を閉鎖、アフガン難民の受け入れを拒否している背景には、難民にまぎれて入国後、不穏分子に変わりかねないタリバン・シンパを抑えきれないとの危惧(きぐ)がある。対米協力の裏で、タリバンとの関係を維持したいパキスタンはまだ、米軍の軍事作戦に向けた国内態勢が醸成できていないといえる。【イスラマバード小松健一】[2001-10-02-00:35] 343
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 10/02@<ユネスコ>文明対話会議開催の意向 松浦事務局長 テロ受(毎日新聞)

 【パリ福島良典】国連教育科学文化機関(ユネスコ)の松浦晃一郎事務局長は1日、パリの本部で記者会見し、米同時多発テロなどの事態を踏まえ、来年中に首脳レベルによる文明対話のための会議を開催したいとの意向を表明した。
 松浦事務局長は「(アフガニスタン・タリバン政権による)今春の仏像破壊で文明内対話が重要と思い、今回の事件でその意を強くした」と指摘。ユネスコは文明対話首脳会議に先立ち、12月29〜31日、カタールのドーハにイスラム教指導者を招き、教育相レベルの対話会合を開く予定だ。会合はイスラム諸国会議機構(OIC)とアラブ連盟の下部担当機関との合同会議の形をとる。
 また、ユネスコは今月15日から11月3日まで定例総会を開き、途上国における初等・中等教育の質向上などを討議、文化の多様性尊重の重要性をうたった宣言を採択する。松浦事務局長は「(同時テロの)背景には教育の問題もあると思う。今回のような事件を起こさないよう教育の質を高める必要がある」と述べた。[2001-10-02-00:35] 349
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 10/02@◎アフガンに援助要員派遣へ=大島氏、タリバン大使に表明(時事通信)

 【イスラマバード1日時事】パキスタンを訪れている国連の大島賢三事務次長(緊急援助調整官)は1日、当地でアフガニスタン・タリバン政権のザイーフ駐パキスタン大使と会談し、アフガン国内で食糧難に苦しむ住民への人道援助のため、国際機関の要員を派遣する用意があると表明した。これに対し、同大使は前向きな姿勢を見せたものの、カンダハルのタリバン本部と協議した後で回答すると述べた。
 記者会見した大島氏は、タリバンが望むなら、国連が援助スタッフを派遣する用意があると伝えたと述べた。その際、スタッフの安全確保や通信機器の使用許可、スタッフの自由な活動の保障などを求めたという。 [時事通信社][2001-10-02-00:18] 351
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 10/02@アフガン、750万人が飢餓の恐れ(読売新聞)

 【イスラマバード1日=新居益】当地を訪問中の大島賢三・国連緊急援助調整官(事務次長)は1日までに本紙と会見し、アフガニスタン情勢の悪化で、同国内の援助用食料の備蓄が現在、2、3週間分にまで落ち込んでおり、今後、750万人が飢餓にひんする恐れがあると、強い懸念を表明した。
 現在、アフガン国内で約550万人が国連や民間活動団体(NGO)の支援を受けて生活しているが、米同時テロ発生以後、国連の外国人職員は安全確保のためアフガンから撤退、同国内への食料供給作業は滞っている。大島氏は「11月半ばになると本格的な冬になり、運搬作業が困難になる」と述べ、アフガン支援活動が時間との戦いになっているとの危機感を示した。[2001-10-02-00:12] 30
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 10/02@チケット高騰で「黄牛」横行 W杯予選快進撃の中国 (朝日新聞)

 「猛牛」といえば、先日12年ぶりに「いてまえ」打線でリーグ優勝したプロ野球近鉄の代名詞だが、お隣中国では「黄牛」が絶好調だ。牛ではない。ダフ屋のことだ。佳境を迎えているサッカーW杯アジア最終予選で、悲願の初出場を目指す中国が快進撃、チケットの闇値が高騰し、ダフ屋がうけにはいっている。
 中国は最終予選B組(全8試合)で目下4勝1分け、勝ち点13。2位カタールに勝ち点4差をつけて首位だ。7日に地元、遼寧省瀋陽であるオマーン戦に勝てば、本大会出場が決まる。異なる国を4大会連続でW杯に導いた旧ユーゴスラビア出身の知将ミルチノビッチ氏を監督に迎えたこと、強豪ぞろいのA組と比べ、組み合わせに恵まれた運もある。
 さて、チケットだが、人民日報のインターネット版によると、快進撃によって、残る中国国内での試合のチケットの闇値がうなぎのぼりだ。念願実現に王手がかかった7日のオマーン戦のチケットは、もともと120元(1元は約15円)−400元の価格がダフ屋によってその3、4倍の値で売られている。前2試合で空席が目立った1200元−1700元するプラチナ席も、5000元前後に跳ね上がっている。地方都市の労働者の年収に相当する額だ。
 1日の国慶節(建国記念日)で帰省したついでに祖国初の「世紀の瞬間」をスタンドで味わいたいという裕福な海外在住中国人が多いことも価格高騰に拍車をかけているという。
 もし、オマーン戦で中国が勝てば、13日のカタール戦(瀋陽)は価値が薄れるため、高額なオマーン戦チケットを売りつけるためにこのカタール戦チケットはサービスするあざといダフ屋もいる。いずれにしてもダフ屋は空前の荒稼ぎだという。
 ダフ屋からしかチケットが手に入らない状況に、多くのサッカーファンは中国当局の組織委員会のチケット販売システムに疑問の声をあげているが、委員会側は「販売過程に不正行為はない。ダフ屋から高いチケットを買うことはない。テレビで見て」と呼びかけている。[2001-10-02-12:47]
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 10/03@家永氏も平和賞候補 フランス公共ラジオ(共同通信)

 【パリ3日共同】三日のフランス公共ラジオは、ストックホルム発の情報として、十二日に発表予定の第百回ノーベル平和賞で、最有力候補とされるコフィ・アナン国連事務総長のほかに、教科書訴訟で知られる歴史学者の家永三郎東京教育大名誉教授らの名前も挙がっていると伝えた。
 報道は「選考経過は厳重な秘密に包まれている」と前置きした上で「米中枢同時テロなどで国際社会が危機に陥っている今回は、論争の起きない慎重な選考が予想される」と指摘。
 選考委員会筋の情報で、アナン氏のほかに家永氏や、旧ユーゴスラビアなどの国際戦犯法廷、国際サッカー連盟(FIFA)、ジミー・カーター元米大統領らの名前が飛び交っているという。(了)[2001-10-03-20:04] 27
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 10/03@国際テロ対策強化で宣言 ロシア・EU首脳が会談(共同通信)

 【ブリュッセル3日共同】プーチン・ロシア大統領は三日、ブリュッセルで欧州連合(EU)議長国ベルギーのフェルホフスタット首相らと会談し、国際テロへの対策強化などを協議する。大統領は会談後、北大西洋条約機構(NATO)のロバートソン事務総長とも意見交換する。
 半年ごとのEU・ロシア首脳会議の一環で、EU側からは欧州委員会のプローディ委員長も参加。テロ対策のための共同宣言を発表する。
 宣言はテロ取り締まりのために警察や出入国管理、税関の各当局が協力を強めるとともに、テロ組織の資金源を絶つために資金洗浄に関する情報を交換することなどを盛り込む。EU企業の対ロシア投資保護の法的枠組みづくりなども協議する。
 ロバートソン事務総長との会談では、事務総長が、米支援のための北大西洋条約第五条(集団的自衛権)発動について説明。プーチン大統領も先に発表した人道支援活動に対する領空通過承認などの対米協力の内容を説明するとみられる。
 マケドニアなど旧ユーゴスラビア諸国の安定化への協力の在り方も協議する。(了)[2001-10-03-16:04] 163
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 10/03@<国際テロ対策>プーチン大統領 露・EU協力の共同宣言発(毎日新聞)

 【ブリュッセル森忠彦】プーチン・ロシア大統領は3日、ブリュッセルで欧州連合(EU)の議長国ベルギーのフェルホフスタット首相らと会談し、国際テロ対策に関する共同宣言を発表し、露EU間の政治・安全保障分野での協力強化で合意した。共同宣言は、国際テロ組織に関する情報交換や中東などの紛争解決の必要性を明記した。
 フェルホフスタット首相によると、EUは共通防衛政策の一環としてテロ問題を重視し、ロシアとの間に毎月情報交換などを行う協議機関を新設する。テロ対策に加え、麻薬などの広域組織犯罪にも対応する。
 記者会見で、プーチン大統領はロシア南部チェチェン共和国内で活動するイスラム原理主義者の存在を強調。「このグループは各地のテロ活動にかかわっている」と米同時多発テロとの関係について指摘し、米国の軍事報復を積極的に支援する方針を改めて示した。[2001-10-03-22:55] 167
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 10/03@<パキスタン大統領>アフガン元国王と話し合いへ 伊次官と(毎日新聞)

 【イスラマバード小松健一】パキスタンのムシャラフ大統領は3日、イタリアのボニベール外務次官と会談した。ムシャラフ大統領は、ローマに滞在中のアフガニスタンのザヒル・シャー元国王の特使と話し合う意向を示し、イタリア政府に仲介を求めた。
 会談後、記者会見したボニベール次官は「ムシャラフ大統領は、元国王がアフガン和平に重要な役割を果たすことを認識しているようだ」と語った。また同次官は、ムシャラフ大統領がアフガン和平プロセスに触れて、平和維持軍派遣など国連の果たす役割が大きいとの認識を示したことを明らかにした。[2001-10-03-21:00] 169
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 10/03@橋本元首相が中東に出発 エジプト大統領らと会談へ(共同通信)

 小泉純一郎首相の特使としてエジプト、アラブ首長国連邦を訪問する橋本龍太郎元首相は三日夕、全日空機で成田空港を出発した。
 橋本氏はキューバを経てエジプト入りし、八日にカイロでムバラク大統領、十日にはアブダビでアラブ首長国連邦首脳とそれぞれ会談、米中枢同時テロを受け米国などの対応に協調するよう働き掛ける。エジプトではスエズ運河架橋完成式典にも出席する。
 中東訪問に先立つキューバでも政府要人と会談の予定。十二日に帰国する。(了)[2001-10-03-20:47] 175
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 10/03@元国王の特使派遣を要請 パキスタン大統領(共同通信)

 【イスラマバード3日共同】パキスタンのムシャラフ大統領は三日、同国訪問中のボニベール・イタリア外務次官と会談し、アフガニスタンの今後の政治体制について意見交換するため、ローマに亡命中のザヒル・シャー元国王はできるだけ早期に特使をイスラマバードへ派遣してほしい、との伝言を次官に託した。
 会談後の記者会見で、次官は「大統領はタリバン政権の命運があと数日で尽きると考えている印象を受けた」と述べ、これまでタリバンを支援してきたパキスタン政府が、同政権を完全に見限ったとの認識を示した。
 次官によると、大統領はアフガニスタンに国連部隊を駐留させ、タリバン民兵などを武装解除するというイタリア側の提案にも同意した。(了)[2001-10-03-20:21] 177
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 10/03@偵察衛星恐れ馬で移動? ビンラディン氏 タス通信(共同通信)

 【モスクワ3日共同】三日のタス通信は、米中枢同時テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏が米国の偵察衛星の追跡から逃れるため、馬に乗って部下とともにアフガニスタン国内を移動していると伝えた。モスクワの反タリバン勢力関係者の話として伝えた。
 ビンラディン氏らは以前は基地の間を数十台の四輪駆動車の車列を組んで移動していたが、一九九八年にアフリカの米大使館同時爆破事件で米国が同氏に五百万ドルの懸賞金をかけたのを機に、偵察衛星に発見されにくい「馬部隊」を創設したという。(了)[2001-10-03-20:15] 178
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 10/03@イラン、米への非協力姿勢崩さず 高村氏の説得通じず(朝日新聞)

 小泉純一郎首相の特使としてイラン訪問中の高村正彦元外相は3日夕、ハタミ大統領と会談し首相の親書を手渡した。同日午前のハラジ外相との会談で、高村元外相はテロ対策で米国と協力するよう促したが、ハラジ外相は、国連の枠組みで協力するとのこれまでの立場を崩さなかった。
 高村元外相は「テロとの戦いで協力すればイラン、米国との関係改善につながり、双方に利益になる」と述べた。これに対し、ハラジ外相は「イランは、政治的、軍事的に価値ある行動をとっており、米国は正しく認識してしかるべきだ」と主張。テロ対策は「国連の監督下で参加する用意がある」とした。
 米国と国交のないイランは、テロを非難する一方で、タリバーンへの報復攻撃は新たな悲劇を生むとして、領空使用を含めて米国の軍事行動には一切協力しないとの姿勢をとっている。ハラジ外相は会談で、「米国のイスラエル支援が急進派への支持を高めた。中東政策を変更すべきだ」と米国を批判した。[2001-10-03-20:15] 180
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 10/03@◎元国王復帰に慎重姿勢=アフガン前大統領(時事通信)

 【カイロ3日時事】アフガニスタンのラバニ前大統領は3日付のイラン英字紙イラン・ニューズとのインタビューで、アフガンのタリバン政権が崩壊した場合の新政権樹立に関連して、イタリア亡命中のザヒル・シャー元国王の政権復帰に慎重姿勢を示した。
 元国王はタリバンに対抗する「北部同盟」と、暫定政権づくりのための国民大会議(ロヤ・ジルガ)を招集することで合意済み。米国は元国王をトップとした暫定政権樹立に向けた動きを活発化させている。こうした動きを踏まえてラバニ前大統領は「国民大会議が実際に招集される前に、元国王の政権復帰を決めるべきではない」と述べた。
 北部同盟は複数民族の寄り合い所帯であり、内部でも国王復権に対する反対意見は少なくないとされる。 [時事通信社][2001-10-03-20:08] 185
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 10/03@国連の下なら協力の用意 イラン外相が高村特使に(共同通信)

 【テヘラン3日共同】小泉純一郎首相特使としてイランを訪問中の高村正彦元外相は三日午前(日本時間同日夕)、テヘラン市内の外務省で、ハラジ外相と会談した。同日午後(同日夜)にはハタミ大統領と会談する。
 ハラジ外相は米中枢同時テロに関連して「イランは国連の監督下で対テロ活動に強い動機を持って参加する用意がある」と述べ、国連としての行動ならば協力する考えを示した。ただ、米国に対しては「イランがテロ反対の明確な立場を表明したのに、明確に反応をしなかった」と指摘、「米国は中東政策で数々の誤りを犯してきた。米国がイスラム中東政策を変更する時期が到来しているのではないか」と強調した。
 高村氏はイランがテロを批判したことや、アフガニスタンの難民を支援していることを評価。その上で米国などの報復攻撃に理解を求め、「テロと対決する上で米国と協力するところがあるのではないか。(協力は)イランと米国の関係改善に役立つ」と促した。
 また、高村氏はアフガニスタンに各層から支持される政権が誕生した場合には、日本でアフガニスタン復興会議を開く用意のあることも伝えた。
 米国から「テロ支援国家」に指定されているイランは、対テロ報復攻撃の自制を訴え、同じイスラム教徒の殺害に加担せず、内陸国のアフガニスタンに入るためのイラン領空通過も認めない姿勢を示している。(了)[2001-10-03-19:42] 191
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 10/03@<アフガン>タリバン崩壊後の新政権視野に 国連特別代表任(毎日新聞)

 アフガニスタンで活動する国際援助機関筋は3日、米軍の報復攻撃でタリバン政権の崩壊も予想されるアフガニスタンの新政権づくりを視野に、アナン国連事務総長が権限を強化したアフガニスタン担当事務総長特別代表(事務次長)を同日にも任命することを明らかにした。
 同筋によると、アナン事務総長は米政府がタリバン政権打倒の可能性を探り始めたことから、同政権崩壊が近いとして「国連が新政権づくりを全面支援せざるを得ない」と判断、有力者の起用に踏み切った。
 特別代表にはイラク、ハイチ、イエメン紛争などで国連事務総長特別代表を務め、国際政治界で著名なブラヒミ元アルジェリア外相が任命される見通し。
 国連はタリバン政権がイスラム原理主義色を強め、国際社会に背を向けるのにつれてアフガニスタンでの活動を縮小。現在はベンドレル特別代表が小規模の国連代表団を率いている。
 ブラヒミ氏には(1)周辺国元首らと会談しアフガニスタンの新たな政治的枠組みを模索する(2)大量に発生する難民支援を統括する―など、ベンドレル氏より格段に大きな権限が付与される。
 国連はタリバン政権後の受け皿としてザヒル・シャー元国王と反タリバンの最大勢力である北部同盟、タリバン政権内部穏健派による「大同団結」を想定。既にベンドレル氏が元国王らと会談している。(ワシントン共同)[2001-10-03-19:10] 200
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 10/03@66%が報復攻撃を支持 米同時テロの共同通信社世論調査(共同通信)

 共同通信社は九月二十九日、三十日の両日、米中枢同時テロで、報復攻撃への賛否や日本の支援の在り方などについて、国民の意識を探る全国世論調査を実施した。
 テロに対する米国の報復攻撃を「支持する」としたのは66%で、「支持できない」の32%を大きく上回った。米国の軍事行動に対する日本の支援の程度としては「医療、難民救済の支援」が最も多く、52%で半数を超えた。「武器・弾薬の補給、輸送支援」を挙げたのはわずか9%で、武力行使と一体となりかねない支援には消極的な姿勢が鮮明になった。
 ただ、自衛隊が全面支援するためには憲法解釈を変更する必要があるとの議論について、「必要であれば憲法の解釈を変更してもよい」とする回答が49%に上った。
 報復攻撃について「全面的に支持する」が17%、「ある程度支持する」が49%。これに対し「あまり支持できない」が23%、「全く支持できない」は9%だった。男性の76%が報復を支持したが、女性では56%と差があった。
 政党別では、自民党支持層の75%を筆頭に、与党三党の支持者の多くが報復を容認したのに対し、共産党の65%、社民党の49%が支持していないのが目立つ。
 支援の程度では「医療、難民救済」に次いで「物資の輸送、燃料補給」が19%と多く、「自衛隊の武力行使を含む全面支援」は8%、「資金面の支援」が5%、「支援する必要はない」は4%にとどまった。
 どの政党の支持層もトップに医療、難民救済を挙げている。湾岸戦争時の百三十億ドルの資金協力が評価されなかった教訓から、目に見える貢献が必要としながらも、国民の多くは紛争に巻き込まれる可能性が少ない人道的見地からの支援を望んでいることがうかがえる。
 自衛隊の支援と憲法解釈をめぐっては、集団的自衛権の行使を認めるべきだとの議論があるが、28%は「解釈を変更すべきではない」と答えた。政党別では自民、自由両党支持層のそれぞれ58%が解釈の変更を容認する一方、共産党の64%、社民党の48%が現行解釈の堅持を求めている。
 【注】小数点一位を四捨五入した。(了)[2001-10-03-17:36] 202
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 10/03@後方支援確立に手間取る アフガン作戦行動で米(共同通信)

 【ワシントン3日共同=小片格也】米軍事筋は二日、米中枢同時テロへの報復攻撃に関し、重要容疑者とするウサマ・ビンラディン氏の居場所特定作業が難航、さらに特殊部隊の展開に不可欠な後方支援態勢の確立に手間取っており、アフガニスタンと周辺諸国に展開している米特殊部隊が作戦行動に踏み切れない状況に陥っていることを明らかにした。
 ラムズフェルド米国防長官は同日、中東三カ国とウズベキスタン訪問に出発する直前、記者団に対し、ウズベキスタンの地理的な重要性に言及した。同国政府に後方支援の全面協力を要請するとみられる。
 軍事筋などによると、ビンラディン氏の拘束作戦は@居場所を特定、周囲に特殊部隊を配備A巡航ミサイルを含む空からの限定的な攻撃を実施B特殊部隊が急襲して身柄を確保C速やかに撤収―というシナリオ。特殊部隊は住民の反米感情が強いパキスタン国境側からの侵入を避け、北部国境のウズベキスタンなどから潜入する方法を検討している。
 標高の高いアフガニスタンの山岳地帯は飲料水の確保も困難。特殊部隊が行動するには、隊員一人当たり一日約十リットルの飲料水を確保する必要があるなど、大量の水と食料の補給が不可欠だ。水や食料を前線にピストン輸送するヘリコプターの燃料などの補給基地をアフガン国境付近に設営する必要もある。
 厳しい自然環境に加え、長い内戦時代の地雷が五百万個から一千万個放置されている(国連推計)とされ、米軍は地雷対策にも苦慮しそうだ。
 保守派のケイトー研究所の軍事専門家チャールズ・ペニャ氏は「アフガンは地形や天候条件が悪くこれまで米軍が戦ってきた戦争とは違う。部隊の移動も容易でない。後方支援態勢の確立はかなり時間がかかる」と分析する。(了)[2001-10-03-17:24] 210
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 10/03@99年にもビンラディン氏殺害計画 米とパキスタンが合同作(共同通信)

 【ワシントン3日共同】三日付の米紙ワシントン・ポスト(電子版)は、クリントン米政権下の一九九九年に中央情報局(CIA)が、パキスタンの情報機関に所属する特殊部隊員を訓練し、アフガニスタンに潜伏中のウサマ・ビンラディン氏を拘束または殺害する極秘作戦を計画していたと報じた。
 同紙によると、CIAは武装した特殊部隊員約六十人を極秘に訓練。当時のシャリフ・パキスタン首相とクリントン政権が合同で作戦準備を進めたが、同年十月にシャリフ首相が軍事クーデターで失脚したため、計画は実行されなかった。米政府は、作戦計画の見返りにパキスタンに対する経済制裁解除や経済の包括支援を約束していたという。
 パキスタン情報機関はアフガニスタン国内の重要情報を握っていた。しかし、当時の米政府当局者は、タリバン政権がパキスタン情報機関の情報を傍受していたためパキスタンとの合同軍事作戦には危険が伴っていたと指摘している。
 クリントン政権は九八年八月、アフリカの米大使館同時爆破事件の黒幕とされるビンラディン氏のテロリスト・キャンプがアフガニスタン国内にあるとして、パキスタン国境付近を巡航ミサイルで攻撃。しかしビンラディン氏は難を逃れたため、同氏の拘束、殺害計画が立案されたという。(了)[2001-10-03-15:22] 211
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 10/03@タリバン指導部転覆を工作 見切り付けたパキスタン(共同通信)

 【イスラマバード3日共同】パキスタンのムシャラフ軍事政権が、強硬派のオマル師主導のアフガニスタン・タリバン政権の先行きに見切りをつけ、穏健派による新たな指導部構築に向けた転覆工作を開始したことが三日までに明らかになった。
 パキスタン軍当局筋によると、タリバンの後ろ盾となってきたパキスタン三軍統合情報部と、アフガニスタンと国境を接し民族的につながりの深い北西辺境州の州知事が、国境沿いのパシュトゥン人長老らを通じ、タリバン支配下の地域有力者や野戦司令官らに対し、タリバン現指導部に反旗を翻すよう働き掛けている。
 パキスタンはザヒル・シャー元国王と、反タリバン勢力の中核で、インドと関係の深い「北部同盟」が大同団結し、米国の支持を得て「タリバン後」の政権を独占することに危機感を抱いており、タリバンの穏健派勢力を「新政権」に参加させ、アフガニスタンに対する一定の影響力を維持したい考えだ。
 三軍統合情報部内には「アフガン・セル」と呼ばれるアフガニスタン対策担当部門がある。消息筋によると、先月下旬にパキスタンを訪問した米国防総省代表団は、同部門がタリバンに関する情報提供に非協力的だったとして不満を表明した。
 ムシャラフ大統領はこれを受け、親タリバン色の強かった同部門の幹部らを更迭、対アフガニスタン政策の転換を鮮明にした。
 パキスタンは米国による報復攻撃回避のために、テロの主要容疑者とされるウサマ・ビンラディン氏を引き渡すようタリバン説得を試みたが、オマル師ら強硬派が主導権を握るタリバン政権は拒絶。このためパキスタンはモタキ教育相らタリバン穏健派による新指導部を構想しているとみられる。
 大統領は一日の英BBC放送のインタビューで、アフガニスタン政策を見直していることを明らかにし「タリバン政権の先は長くない」と述べた。(了)[2001-10-03-15:19] 213
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 10/03@米大統領、パレスチナ国家創設支持を確認(読売新聞)

 【ワシントン2日=永田和男】ブッシュ米大統領は2日、米政府がパレスチナ国家創設への支持などを盛り込んだ新たな中東和平案を準備していたことを認めると共に、「パレスチナ国家という案はイスラエルの生存権が尊重される限り、常に構想の一部にある」と語った。ブッシュ政権はテロ勢力掃討戦に向けアラブ諸国の協力を求めており、イスラエル、パレスチナ間の衝突停止と和平推進への働きかけを強めることが必要になっている。
 2日付ニューヨーク・タイムズ紙などは、米政府は9月の国連総会で同案を発表する予定だったと報じていた。
 ◆パレスチナ自治政府が歓迎表明◆
 【エルサレム3日=当間敏雄】パレスチナ自治政府は2日、ブッシュ米大統領がパレスチナ国家創設容認を明言した点につき、「中東地域と世界の平和、安定に寄与するコメントだ」と歓迎する姿勢を表明した。[2001-10-03-14:36] 220
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 10/03@<イタリア>米の象徴がテロの標的 マクドナルドなど警備強(毎日新聞)

 【ローマ井上卓弥】在ローマ米大使館は2日、米国務省からの情報として「イタリア国内の米資本主義の象徴が、来月までに新たなテロの標的となる可能性がある」と警告した。具体的な会社や業種などは特定されていないが、イタリア国内に約300店舗を展開するハンバーガー・チェーン「マクドナルド」や米軍基地などで警備が強化される見通しだ。
 また、反タリバン連合と連携するローマ在住のザヒル・シャー・アフガニスタン元国王(86)や、「西欧文明はイスラム文明に勝る」と発言したベルルスコーニ伊首相らが、イスラム原理主義テロ組織の攻撃対象になる恐れもあり、伊警備当局は警戒を強めている。[2001-10-03-10:35] 225
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 10/03@アフガン干ばつ国土60%に 米衛星が世界の被害解析(共同通信)

 【ワシントン2日共同】過去二年間にわたり世界各地で干ばつが深刻化し、世界中の土地の約20%が干ばつ被害を受けていることが、米海洋大気局(NOAA)による二日までの人工衛星データの解析で分かった。
 特に南アジアや中国の穀倉地帯でひどく、今年に入ってからは、アフガニスタンでは国土全体の60%、パキスタンでは同40%が激しい被害に見舞われているという。
 NOAAは、人工衛星を使って地表の温度や植物の生育状態、土壌の水分などを観測。被害を受けている地域を、これらデータから割り出した。
 干ばつは、アフリカのエチオピア、ケニア、ソマリアなどでも今年一月ごろから始まり、四カ月間以上継続。米国西部やカナダでも深刻だった。
 NOAAは「衛星データの解析で、干ばつ発生を早めに探知できるようになり、食料援助など早期の対策につなげることができるようになった」としている。(了)[2001-10-03-09:11] 233
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 10/03@横須賀出港の米空母キティホーク、洋上前線基地か(朝日新聞)

 米海軍横須賀基地を1日出港し、アラビア海方面に向かった空母キティホーク(満載排水量8万6千トン)は、対アフガニスタン戦で特殊部隊などの活動を支える「洋上基地」になる可能性が大きい。2日付ニューヨーク・タイムズ紙などが米国防総省高官の話として報じた。
 米太平洋艦隊報道部によると、同空母は通常の艦載機75機の一部を在日米軍基地に残したまま出港した。10日過ぎに現場海域に到着する見通し。同高官は、空母の具体的な役割は未定としながらも、「広い甲板は柔軟な使い方ができる」と指摘。特殊部隊のヘリ発着や増援部隊の拠点として使う見通しを示唆した。
 対アフガン戦ではパキスタンが空港や港湾使用を認めているが、地元の反米感情も強く、テロ対策などで不安が残る。北方のタジキスタンなどの基地も使う見通しだが、旧ソ連の領土を米軍が戦闘に使った例はない。そのため洋上で安全な空母を多様な作戦活動に使うことが検討されているようだ。
 同紙によると、同様の役割は94年の米軍のハイチ進攻で空母アイゼンハワーが担い、ヘリ50機、兵士3千人の拠点となった。米軍の足がかりが周辺に薄いアフガン戦に備え、キティホークも「動く米国領土」として活用されそうだとCNNテレビは伝えている。[2001-10-03-06:05] 234
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 10/03@イランに緊急人道援助 政府、今月中に計画決定(朝日新聞)

 政府は、米国の軍事行動に伴いアフガニスタン難民の急増が見込まれているイランに対して、緊急の人道支援をする方針を固めた。国際機関を通じた支援と、イラン政府への直接支援の二つからなる。高村正彦元外相のイラン訪問の結果などを踏まえ、今月中にも物資や資金の供与について具体的な計画をまとめる。
 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、イランにはアフガン難民が最大で40万人が流入する見通し。すでに150万人を抱える難民キャンプが飽和状態になるのは確実だ。
 UNHCRは9月末、アフガン周辺国がこれから2カ月間に必要とする難民支援額として、2900万ドル(うちイラン分808万ドル)を示している。政府はこれに対する協力について、国連分担金と同じ2割程度の負担を検討している。
 イランに対する直接支援に関しては、特使としてイランに派遣された高村氏と首脳級の2日以降の会談を受け、資金供与を中心に具体的な計画を早急に作る。
 政府はジュネーブで5、6日に開かれるアフガン難民支援の局長級協議も支援の中身を詰めるうえでの判断材料にしたいとしている。これは国連主導で開かれ、日米欧ロ15カ国の支援国グループと支援を受ける側のイラン、パキスタンが初めて話し合う場となる。
 協議では、UNHCRや被支援国が難民キャンプの現状や難民増加の見通しを説明する。アフガン国境を閉鎖中のイランが、難民を受け入れた場合に必要な支援の規模もテーマとなる見通しだ。
 イランへの緊急支援にあたっては、(1)弾道ミサイルの開発に朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の技術が転用されている可能性(2)イスラム教シーア派武装組織ヒズボラへの支援(3)最高指導者ハメネイ師の米国の武力行使に対する非難−−といった点との整合性をどう説明するかが、国会で論議となる可能性もある。
 政府は、断交中のイランに軍事行動への協力を求めている米国を外交面で支える必要性や、「イランが国際社会との関与を強める方向に向かうことの重要性」(外務省幹部)を強調することで、支援に対する理解を求める方針だ。[2001-10-03-03:51] 241
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 10/03@<国連総会>テロの定義で対立 同時多発テロを受け(毎日新聞)

 米国での同時多発テロ事件は、テロの手法に関する常識を粉砕してしまった。今後は生物・化学兵器や核兵器さえ使われるのでは、という恐怖が増幅している。1日に始まった国連総会での討議は、こうした恐怖から世界を救うための法的枠組みとなる「包括的テロ防止条約」の採択などを目指すものだ。しかし各国代表の演説や水面下での交渉は、「テロとは何か」を定義する段階から紛糾の様相を呈している。テロ撲滅に向けた国際協力は可能なのか。 【ニューヨーク上村幸治】
 テロの定義を巡る対立は、初日にさっそく表面化した。エジプトなどイスラム諸国の代表が「パレスチナの民族自決運動とテロを同一視するな」と主張したのだ。
 インドが昨年提案し、同時テロを受けて米国も強く後押ししている「包括的テロ防止条約」の原案は、「手段のいかんを問わず、人の身体もしくは経済的損害を狙った犯罪」をテロ行為とみなしている。イスラム諸国の主張は、パレスチナの対イスラエル抵抗闘争が、すべてテロとして断罪されかねないという懸念を背景とするものだ。
 実は、この条約提案のきっかけになったのは、97年にエジプトのルクソールで日本人10人を含む観光客ら62人がイスラム原理主義過激派グループに殺された事件だった。この事件には、米国が今回の同時テロの首謀者とみなすウサマ・ビンラディン氏の関与も取りざたされている。
 しかし、テロの定義があまりに包括的だと日本でも問題になりうる。日本では犯罪の構成要件が厳密なため、条約が採択されても国内法との整合性がとれず、批准できない可能性がある。関係省庁が国内法整備の調整に入ったのはこのためだ。
 また同条約案は「軍隊適用除外条項」を含み、正規軍による行為をテロの定義から外している。これについてもイスラム諸国がイスラエルを意識して、「国家によるテロもあるはずだ」と批判している。
 国連総会の焦点は同条約案だけではない。アナン事務総長は1日の冒頭演説で「既に採択したテロ防止関連条約の早急な署名・批准・実施」や、審議中の「核テロ防止条約」の早期合意・締結も呼びかけた。
 国連はこれまで12件のテロ防止条約・議定書を採択した。よど号乗っ取り事件が提案のきっかけになった航空機不法奪取防止条約(71年発効)も含まれている。
 しかし、テロ資金供与防止条約は、採択されたものの日本も含めて署名・批准が進まず、発効していない。その他の条約についても、署名・批准していない国は多い。
 今年5月に発効した爆弾テロ防止条約は、96年にサウジアラビアで起きた米軍施設爆破事件を受けて、米国が提案した。この事件で米国は、ビンラディン氏を首謀者と断定し、身柄不拘束のまま起訴している。
 しかし、条約は発効しても、当該国が加わらなければ、犯罪者の引き渡しは行われない。ビンラディン氏をかくまっているとして米国が軍事攻撃の準備を進めているアフガニスタンのタリバン政権の場合、国連の議席さえない。同国の議席はタリバンに敗北したラバニ前政権が維持しているが、総会での代表演説の予定はない。
 国連は、アナン事務総長の呼びかけに応じて各国が国際協調を確認する場にはなっている。各種条約の署名・批准を約束し合う動きも出てきた。審議は5日までの総会で各国の主張が出そろった後、15日に始まる第6委員会特別委員会で本格化する。米国の軍事行動の展開などをにらみながら激しい議論を繰り広げることになりそうだ。[2001-10-03-01:05] 244
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 10/03@<記者の目>タリバンと米国 論説室・高畑昭男(毎日新聞)

 物事を論じる際、最も安直で便利なのは「どっちもどっち」という主張だ。米国で起きた同時多発テロでも、そんな論が出没しているのは危険だ。9月28日付本欄で、春日孝之記者は国連職員らの声を引用する形で、アフガニスタンのタリバン政権と米国を「どっちもどっち」といわんばかりの論を展開した。だが、本当にそうだろうか?
 「どっちも」論は強い。そして恐い。自らの立場を必ずしも明確にせずに、論らしきものを展開することができるから論争で負けることはない。自身を局外に置いて、善悪、好悪、公正・不公正といった判断や選択を避ける一種のずるさと言ってもいい。
 ここでは、タリバン原理主義と米国の世界観を対置して、どちらも同じような非妥協的ドグマだと断じる考え方をさす。
 たしかに米国流グローバリズムと外交には、批判すべき点が少なくない。テロ以前から、ブッシュ政権には京都議定書離脱、核実験全面禁止条約(CTBT)死文化などをめぐる「単独行動主義」の批判が国際社会で高まっていた。
 テロとの関連では、クリントン前政権が努力した中東和平問題で、ブッシュ政権にイスラエルの強硬政策を黙認する傾向が強かったのは事実だ。だが、そのどれをもってしても、また他に山ほどの口実や理由を言い立てようとも、同時テロをいささかなりと正当化する根拠にはならない。
 テロは「絶対悪」だからである。
 そこには相対化できる主義も倫理も価値もない。そのことは、80カ国を越す痛ましい犠牲者リストが示しているし、テロと戦う国際的連帯がキリスト教圏やイスラム圏を超えて広がっている事実からも明白だ。
 タリバンが批判され、世界の「窮鼠」になった理由は、再三の国連決議を無視してテロの首謀者とみられるウサマ・ビンラディン氏とその組織「アルカイダ」を庇護しているからだ。原理主義や政策一般ではないことを「どっちも」論者は知るべきだ。
 私はイスラムの専門家ではないし、タリバンの教義もわからない。米国が「絶対善」とも思わない。それでも、テロとの戦いは「絶対に必要」なことだ。
 ブッシュ大統領は議会演説で「敵はアフガニスタン市民でもなければ、イスラム教徒でも、アラブの友人たちでもない」と述べた。私たちも含めて世界中の人々やメディアが「イスラム対欧米社会」といった「文明の衝突」にしてはならないとも訴えている。敵はテロであり、テロ組織とその支援者だからだ。
 タリバン政権やその陰に隠れているビンラディン氏が「敵は米国人でもなければ、ユダヤ人でもない」と一度でも弁明したか。ブッシュ氏が「どちらにつくのか」と問いかけたのは、テロと戦うか、テロを擁護するかという意味であり、タリバンと米国を善悪二元論に仕立てて「どっちも」論を展開するのとは天と地の違いがある。
 米外交の問題とタリバンの問題を論じるのは、タリバンがテロを排斥し、それにふさわしい行動をまず自ら果たしてからのことだ。宗教・信条を問わず、テロを容認するような「政権」が国際社会で承認されるほど世界は甘くない。
 日本の政界や国民、メディアの間にも「どっちも」論が快く響く人々がいる。「話せばわかる」「まず交渉を」といった態度も「どっちも」論が陥りやすい危険な落とし穴だ。テロには交渉や話し合いは通用しない。でなければ、無差別殺人は起きなかった。
 すでに今回のテロで同胞が20人単位で犠牲になっているにもかかわらず、ひとごとのように「日本もテロの巻き添えになる」「報復の連鎖を招く」と、腰の引けた政界にもある。
 そうした姿勢が日本赤軍ハイジャック事件の際、犯人とカネで取引し、テロリストを世界中にばらまく結果になった――春日記者の記事と同じ日に、読者の投書がそう指摘している。私も全く同感だ。
 「どっちも」論を脱し、テロと戦う立場を選択するには勇気がいる。リスクもある。その上でタリバンの心情の理解に努めることはテロの温床を断つ上で意味があるかもしれない。米国の独善的体質を擁護する必要もない。
 テロとの戦いは「米国の戦い」でもなければ、米国の体質に賛同することでもないからだ。そのことと、「どっちも」論の甘い誘惑に負ける恐さとを峻別する勇気が必要だと思う。[2001-10-03-01:00] 247
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 10/03@◎野党の勝利確実に=バングラデシュ総選挙(時事通信)

 【ダッカ2日AFP=時事】バングラデシュ国営通信(BSS)によると、1日投票の同国総選挙は2日、開票が進み、カレダ・ジア元首相率いるバングラデシュ民族主義党(BNP)が勝利を確実にした。
 BSSは選挙管理委員会の情報として、国会定数300議席中、これまでに233議席が確定し、BNPは単独で150議席、提携するイスラム政党と合わせて過半数の167議席を獲得したと報じた。ハシナ前首相率いるアワミ連盟(AL)は50議席にとどまり、惨敗が濃厚になった。
 ハシナ前首相は同日、投票で不正が行われたと非難した。 [時事通信社][2001-10-03-00:37] 25
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 10/03@ストイコビッチが来日 6日に豊田で引退試合(共同通信)

 サッカーJリーグ1部(J1)の第1ステージ限りで現役を引退した元名古屋のドラガン・ストイコビッチ(36)が3日、母国ユーゴスラビアの強豪レッドスターを招いて行われる自らの引退試合(6日・豊田スタジアム)出場のため来日し、愛知県豊田市内のトヨタスポーツセンターで会見した。「名古屋は第2の故郷。また戻ってきて、興奮している」と感慨深そうだった。
 引退試合では前半、かつて在籍したレッドスター、後半は名古屋でプレーする。「7年間のサポートのお礼を込め、いいプレーを見せたい」と意気込んだ。
 ユーゴスラビア・サッカー連盟会長の要職にも就任した。「重圧はあるが、ユーゴサッカー発展のため、方向付けをするのが大きな仕事」と抱負を口にした。
 会見後には練習場の一角に建てられた、自分の足形などが入ったモニュメントの除幕式にも参加した。(了)[2001-10-03-18:13] 28
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 10/03@◎ピクシー、6日に引退試合=古巣レッドスターでのプレーも(時事通信)

 サッカーのユーゴスラビア代表で活躍し、「ピクシー」(妖精=ようせい)の愛称で親しまれた元Jリーグ名古屋のドラガン・ストイコビッチ(36)の引退記念試合が6日、愛知・豊田スタジアムで行われる。Jリーグ規約に基づく引退試合はラモス瑠偉氏以来2度目。かつて所属した母国のレッドスター・ベオグラードが参加、ストイコビッチの華麗なプレーに花を添える。  ストイコビッチは1994年、名古屋に入団。7月に引退するまで7年半にわたり主力としてチームを率い、天皇杯優勝2度、リーグ戦通算57得点などの実績を残した。引退後にJリーグから功労選手賞も受賞した。
 レッドスターはユーゴ1部リーグの強豪。91年のトヨタカップでクラブ世界一となった。ストイコビッチは86年から4季在籍。歴代の名選手「五星人」の1人にも選ばれており、今も古巣を「一番思い出深いチーム」と呼ぶ。
 引退試合は「名古屋対レッドスター」の形で行う。ストイコビッチは前半はレッドスター、後半は名古屋でプレーする。名古屋はベンチ入り18選手が交代で全員ピッチに立つ予定。名古屋事業部によると、一般客向けの切符は販売開始後30分で完売した。
 ストイコビッチはこのほど、ユーゴ・サッカー連盟会長に就任。自宅のあるパリを拠点に、指導者としての活動を始めた。久々の再会となる日本のサポーターの前でどんなプレーを見せてくれるか楽しみだ。(了)[時事通信社][2001-10-03-15:46]
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 10/04@早期警戒機提供など5項目 米がNATOに支援要請(共同通信)

 【ブリュッセル4日共同】四日付のベルギー紙、リーブル・ベルジックは、米中枢同時テロへの報復攻撃に関連して米国が三日に北大西洋条約機構(NATO)に対して要請した軍事支援は、早期空中警戒機(AWACS)の提供や在欧の米軍基地警戒など五項目であると報じた。
 米国の要請はNATO全体に対して行われ、加盟各国が検討の上、四日にもそれぞれが対応できる措置についてNATO理事会に報告する見通し。
 同紙によると、要請は@NATOの直接指揮下にあるAWACS(十機)の全部あるいは一部の提供Aドイツをはじめとする欧州の米軍基地の警戒B米軍機の領空通過C欧州の空港、港湾の使用Dユーゴスラビアのコソボ自治州などに展開している米部隊の引き揚げと欧州部隊による交代。
 アフガニスタンや周辺部への欧州部隊の派遣は、現段階では求めておらず、Dについては「必要に応じて」とただし書きがついているという。
 NATOは二日、米中枢同時テロが「外部からの攻撃」であるとの米国の報告を承認、集団的自衛権を定めた第九条を初めて発動し、米の要請に応じて武力行使を含めた支援態勢づくりを進めている。(了)[2001-10-04-19:05] 10
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 10/04@再建始まるノビサド大橋 ドナウに架かる大動脈(共同通信)

 ユーゴスラビア北部の町、ノビサド―。一九九九年の北大西洋条約機構(NATO)空爆時に破壊されたドナウ川の大橋の再建工事が欧州連合(EU)などの支援で来月ようやく始まる。
 この橋は穀倉地帯の北部と首都を結ぶ大動脈に位置する交通の要所で、多くの国民が再建を待ち望んできた。特に空爆の際、「橋だけは壊させない」と「人間の盾」をつくって守ろうとしたノビサド市民の喜びはひときわ大きい。新しい「スロボダ(自由)」大橋は二○○三年十二月には完成する予定。
 市当局者によると、新大橋には鉄道と道路二本を通す計画。「材料の六割は空爆で川に沈んだ旧大橋の残がいを再利用する」という。建設費六千万〓はEUが負担する。
 空爆では国内で計八本の橋が破壊されたが、ノビサドではドナウ川に架かる三本の橋がすべて破壊され、一時的にユーゴの南北の交通路はまひした。市当局は昨年九月までに鉄道、道路用の仮橋、さらに浮橋を架けたが、増大する交通量に追いつかず慢性的な渋滞が続いている。
 橋の近くに住むエルネ・ボゾキさん(62)は「体を張って守ろうとした大橋が破壊された時はみんながっかりした。再建の見通しがついて本当にうれしい」と話した。(ノビサド共同)(了)☆ユーロ[2001-10-04-17:59] 11
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 10/04@「これからが正念場」 イリッチ・チャチャク市長 ユーゴ(共同通信)

 【ベオグラード4日共同】市民ほう起がミロシェビッチ政権を倒した「ユーゴスラビア政変」。当時、約二百台のトラック部隊を率いて連邦議会に突入、政変を勝利に導き、次期セルビア共和国大統領の最有力候補とされるベリミル・イリッチ・チャチャク市長はこのほど、過去一年を次のように総括した。
 ミロシェビッチの政敵だった私にとって、ほう起の失敗は即刻、死を意味した。ほう起の前に、私を含むメンバーの一部がブダペストで外国の情報機関の訓練を受けた。
 ユーゴはコソボ紛争時の経済制裁の影響からまだ立ち直っていない。前政権時代の幹部の多くが要職にとどまって国営企業民主化を妨げるなど、経済改革が遅れている。ユーゴが生き残れるかどうか、これからが正念場だ。モンテネグロの独立問題などに時間を取られている場合ではない。
 国際社会への復帰も順調で、国民の間にも戦争を望む声はない。もはや内戦の危険はない。日本にはユーゴ復興に力を貸してほしい。豊富な農産物と人的資源のあるユーゴは日本企業にとって魅力的なはずだ。
 ―――×――×―――
 ベリミル・イリッチ氏 王党派の家系に生まれ、1992年に政界入り。96年からチャチャク市長。セルビア民族主義を掲げる「新セルビア」の党首で、コシュトニツァ政権を支える連立与党の有力幹部。50歳。(了)[2001-10-04-17:34] 12
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 10/04@自衛隊に大転換迫る 危険伴う難民支援 テロ対策法案の問題(共同通信)

 米中枢同時テロに対する報復攻撃を支援するテロ対策特別措置法案が五日、国会に提出される。自衛隊を初めて“戦地”に送るための法案で、自衛隊の在り方の大きな転換点となる。憲法問題や、戦闘に巻き込まれる危険性、中国や韓国との関係はどうなるか。法案の問題点を探った。
 ▽憲法との整合性
 国際的孤立を避けるため自衛隊派遣に肯定的な立場からも、従来の政府の憲法解釈と法案との整合性を疑問視する意見がある。
 法案は、他国の領土を含め戦闘地域外で米軍などへの補給や輸送を定めているが、相手はどこに現れるか予測がつかないテロリスト集団だ。
 杉山茂雄法政大名誉教授(国際法)は「戦闘地域と一線を画すといっても、どこかに綱を張るわけじゃない。補給のない戦闘はあり得ず、これも作戦行動の一部だ」とし、憲法が禁じる武力行使との一体化は避けられないと指摘する。
 「集団的自衛権が行使できるように政府の憲法解釈を改めない限り、そもそも無理があるのではないか」と話した。
 ▽難民?武装ゲリラ?
 カンボジアなどの難民キャンプを視察した軍事評論家の前田哲男さんは「キャンプには武装ゲリラが潜入し、休養や新兵勧誘、物資調達の場となっている」と言う。
 「そこに武装した自衛隊が入れば、戦闘が起きる可能性が大きい。自衛隊の重武装化が必要になり、悪循環を生む。どうしても日の丸を立てたい人は、こうした実態を耳に入れようとしない」
 一九九三年から旧ユーゴの難民キャンプで支援活動をしている暉峻淑子埼玉大名誉教授も「自衛隊が来ることで難民が戦闘に巻き込まれてしまう。丸腰の非政府組織だからこそゲリラも攻撃しない。自衛隊は難民にとってありがた迷惑」と批判した。
 ▽必要な中・韓の理解
 自衛隊派遣は中国や韓国との関係を再び悪化させる危険性をはらんでいる。
 「危ない感じがする」と見るのは韓国・聯合ニュース東京特派員金溶洙さん。「自衛隊の活動範囲を広げるため、憲法上の制約を一気に取り払おうという政治的意図が感じられる」 テロ対策に協力する立場から、韓国で日本への大きな反発は表面化していないが、実際に自衛隊が派遣されれば批判が強まる可能性があるという。
 李鍾元・立教大教授(国際政治学)も、米国ばかりを見て近隣諸国に目を向けない日本の姿勢を疑問視している。
 「自衛隊の役割の変化はアジア共通の関心事。中・韓両国との関係は最悪に近い時期であり、これまで築いてきたアジア外交の枠組みを崩す恐れもある。両国と協議し理解を得る努力をすべきだ」と提起した。(了)[2001-10-04-17:25] 13
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 10/04@ユーゴ、国際社会へ復帰 連邦解体の危機はらみ(共同通信)

 【ベオグラード4日共同】ユーゴスラビア・ミロシェビッチ政権を打倒した「ユーゴ政変」から五日で丸一年。新生ユーゴはコシュトニツァ大統領の下、言論の自由の保障などの民主化や経済改革を進め、国連や国際通貨基金(IMF)など国際社会への復帰を果たした。
 しかしミロシェビッチ前大統領の旧ユーゴ国際戦犯法廷(ハーグ)への移送で表面化した同大統領とジンジッチ・セルビア共和国首相との対立は日増しに深まっている。
 コソボ自治州の将来の地位を左右する十一月の州議会選に続き、来春には連邦からの独立の是非を問うモンテネグロ共和国の国民投票が予定されており、その動向次第では連邦解体の危機をはらんでいる。
 一年余前の大統領選では反ミロシェビッチで共闘したジンジッチ首相は六月末、コシュトニツァ大統領の意向を無視してミロシェビッチ氏を移送。それ以降も首相は独立問題でモンテネグロ政府と直接交渉しようとする姿勢を見せ、首相に対する大統領の不信感は一段と強まっている。
 行政の実権を握るジンジッチ首相と、モンテネグロが独立し連邦が解体すれば権力基盤を失うコシュトニツァ大統領との対立は政治的生き残りをかけた権力闘争の様相をみせており、修復は難しいとの見方が一般的だ。
 経済面では、一連の税制改革や経済制裁解除などで二○○一年の経済成長率が5%と見込まれている。
 しかし民営化など急激な経済改革に伴う年率40%近いインフレや失業の増加など、経済再建の前途は依然として多難だ。(了)[2001-10-04-17:09] 15
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 10/04@<米バス横転事故>テロとは無関係 社長が会見(毎日新聞)

 【ニューヨーク佐藤由紀】米テネシー州で起こったグレイハウンドバス横転事故で同社のレンティッシュ社長は3日、会見で「運転手を襲ったのは単独犯で、捜査当局からテロ事件とは関係がなかったとの報告を受けた」と述べた。
 同時多発テロ事件以降、長距離バスの利用が増え、全米のバスターミナルでは同日、約7万人が足止めされた。同社は同日午後、中止していた長距離便全便を再開した。
 負傷した運転手によると、男性乗客がカッターナイフのような鋭利な刃物でのどに切りつけてきたという。バスは横転して反対車線に投げ出された。
 襲った男はクロアチアの旅券を所持していた。数分おきに運転手に時間や現在地などを質問していて、突然、襲いかかった。AP通信によると、容疑者を含め6人が死亡、34人が負傷した。負傷者の一人で8カ月半の妊婦は入院先で帝王切開で女児を出産した。母子ともに元気だ。[2001-10-04-11:45] 16
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 10/04@米長距離バス横転で40人死傷、運転手のど切られる(読売新聞)

 【ワシントン3日=長谷川由紀】3日午前5時15分(米東部時間)ごろ、米南部テネシー州マンチェスター近郊を走行していた長距離バス「グレイハウンド」で、乗客の男が突然、運転手ののどを刃物で切りつけた。この弾みでバスが横転し、6人が死亡、34人が負傷した。
 男は29歳のクロアチア人でこの事故で死亡したが、捜査当局者は「テロ事件との関連を示すものはない」としている。
 バスはシカゴからフロリダ州オーランドに向かっていた。事故を受けて同バスは安全確認のため、国内で運行していた1900台を一時、休止した。[2001-10-04-11:31] 17
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 10/04@居どころ特定は不可能 英元司令官(共同通信)

 【ロンドン3日共同】ウサマ・ビンラディン氏の居どころを米情報機関が突き止めるのは最新技術を駆使しても不可能―三日付国際紙インターナショナル・ヘラルド・トリビューンは、ボスニア駐留国連部隊の司令官を務めたボブ・スチュアート元英陸軍大佐の話を掲載した。
 その理由について大佐は@岩山だらけのアフガニスタンを調べ尽くすのは困難Aビンラディン氏は通信が傍受される危険を承知しているはずB同氏の極秘の隠れ場所を知る少数の側近が裏切るとは考えにくい―などの点を挙げた。
 大佐は、現状ではビンラディン氏本人がテロを起こす環境にはないと指摘した上で、世界各国に潜伏する同氏配下のテロ組織アルカイダの関係者による二次攻撃の危険性を強調。同氏の逮捕よりアルカイダのネットワーク壊滅を優先すべきだと主張した。(了)[2001-10-04-08:35] 63
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 10/04@<世界食糧計画>アフガニスタン援助の小麦を空中投下へ(毎日新聞)

 【ローマ井上卓弥】国連の緊急食糧援助を担当する世界食糧計画(WFP、本部ローマ)は4日、近づく米国のテロ報復攻撃と内戦の激化で食糧不足が深刻化するアフガニスタンに対し、小麦の空中投下を開始すると発表した。飢餓状態に置かれた人々に直接食糧を配布するため、通常の50キロ単位を300グラム(1世帯分)単位に細分化した「スノー・ドロップ」と呼ばれる投下方式の採用が検討されている。
 WFPは先月末からアフガンへの食糧援助を再開し、首都カブールと反タリバン連合(北部同盟)支配地域のファイザバード双方に向け、1日当たり小麦など約50万トン(約100万人分)を供給している。
 だが、干ばつ被害が著しい西部のヘラートや南部のカンダハルなど配給拠点への輸送車両・人員の確保が困難を極め、人々に実際に食糧が配布されているのかを確認する手段も十分でないとみられる。[2001-10-04-23:00] 65
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 10/04@緊張の自衛隊、現場指揮官の覚悟(読売新聞)

 「今、国会で自衛隊の新しい役割の議論が始まっている。我々は命令されたら実行する。きちんと任務を果たしに行こう」 4日朝、ある陸上自衛隊の部隊で、部隊長は部下たちにこう訓示した。
 多くの隊員は今、緊張した空気の中にいる。5日には、「テロ対策特別措置法案」が閣議決定され、これが成立して首相が命じれば、陸自部隊は初めて、パキスタンなど外国領土の「危険が予想される」(小泉首相)地域で難民救済活動などの後方支援を行うことになるからだ。
 同法案は武器使用の判断を「合理的に必要」な場合としている。「つまり、現場指揮官の判断だ。危険な事態では、自分は隊員を救うことを選ぶ。職をかけて『撃て』と命令する。後は自分が全責任を負う」と話す部隊長には、悲壮感さえ感じられた。
 今回の活動は「日本が『戦後初の戦死者』を出すかもしれない」(防衛庁幹部)ともいわれる。国会では、そんな自衛隊員たちの活動現場をイメージした現実的な議論が不可欠だ。(飯塚 恵子)[2001-10-04-22:36] 66
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 10/04@<難民支援>C130輸送機、6日出発を発表 福田官房長官(毎日新聞)

 福田康夫官房長官は4日夕、米同時多発テロへの対応について、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の要請に基づきアフガニスタン難民にテントや毛布を提供するため、航空自衛隊のC130輸送機6機をパキスタンに派遣すると正式に発表した。5日に閣議決定する。輸送機は6日に空自小牧基地を出発して9日にパキスタンに到着し、12日に帰国する。
 福田長官はまた、国連機関などが今後実施する難民支援活動に対し、全体の20%程度、最大で1億2000万ドル(約145億円)を日本が拠出する方針を表明。その一環として、UNHCRが出した当面2カ月分の緊急拠出要請2900万ドルのうち、約20%に当たる600万ドル(約7億円)を拠出すると発表した。[2001-10-04-22:30] 69
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 10/04@アフガン難民支援に145億円援助へ 政府、国際機関に(朝日新聞)

 政府は4日、同時多発テロに対する米国の軍事行動で急増が予想されるアフガニスタン難民への支援策として、国際機関に最大で145億円の資金援助をする方針を決めた。5日からスイス・ジュネーブで開かれる国連主催のアフガン難民支援国会合で発表する。
 国連は、アフガン国内外の難民が今後6カ月間で最大25%増の1100万人に達するとみて、9月末に各国に計5億8000万ドル(約700億円)の拠出を要請。日本は今後の具体的要請をふまえ、国連分担金と同じ割合の2割まで負担する。うち7億円を、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の緊急要請に応じて早急に拠出する。[2001-10-04-21:43] 73
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 10/04@アフガン支援に145億円 政府、国連活動に拠出(共同通信)

 福田康夫官房長官は四日夕、緊急に記者会見し、米中枢同時テロを受けた国連の支援要請に基づき、国連機関によるアフガニスタン難民支援活動に、最大で一億二千万ドル(約百四十五億円)を拠出する用意があると発表した。
 政府はこの一環として、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)からの当面二カ月間の緊急拠出要請に対し、六百万ドル(約七億円)の支援を行うことを決めた。
 五日からジュネーブで開催されるアフガニスタンに対する国連主催の支援国会合で表明する。
 アフガニスタン難民支援では、アナン国連事務総長が先月末、総額五億八千万ドルの資金拠出を各国に要請、政府は国連分担金の割合と同じ20%分を拠出することを決めた。
 また政府は、既に四千万ドル(約四十七億円)の支出を決めていたパキスタンに対する緊急経済支援の内訳として、三十億円の無償資金協力や、パキスタン国内のアフガニスタン難民救援のための約八億円の緊急援助などを決めた。約六百四十六億円の債務返済繰り延べを含め、五日の閣議で正式決定、両国政府間で書簡を交換する。(了)[2001-10-04-21:05] 77
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 10/04@証拠あっても引き渡し拒否 タリバン大使が言明(共同通信)

 【カイロ4日共同】ドバイからの報道によると、アフガニスタン・タリバン政権のザイーフ駐パキスタン大使は、四日付のアラブ首長国連邦のアラビア語紙アルハリージが掲載したインタビューで「ウサマ・ビンラディン氏の米中枢テロへの関与の証拠が提出されても、身柄は米国に引き渡さない」と言明した。
 タリバン政権はこれまでビンラディン氏について、明確な証拠があれば引き渡すこともあり得ることを示唆していた。
 大使の真意は不明だが、タリバン政権高官がビンラディン氏の引き渡しを無条件で拒否したのは初めてとみられる。
 大使は「証拠が提出されれば綿密に検証し、イスラム法に基づく法廷で裁く。法廷が有罪を宣告すれば、どうするか検討することになろう」とも述べた。(了)[2001-10-04-20:29] 83
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 10/04@途上国に初中教育の支援を 国際教育協力懇が初会合(共同通信)

 文部科学省の国際教育協力懇談会は四日、都内で初会合を開いた。委員から「技術移転の視点だけでは人材は育たない。援助を点から線、面へと広げるためにも初等中等教育の視点が重要だ」などの意見が多く出され、年少からの教育支援の在り方が今後の焦点となりそうだ。
 会合で遠山敦子文部科学相は「発展途上の国々に日本の教育の英知を受け渡すことができる」と述べ、日本発の戦略的教育モデル事業の策定に意欲を示した。
 懇談会は年末をめどに、国造りで教育を重視する「米百俵」の精神などを踏まえた国際教育協力の基本方針を策定。最終報告は来年六月ごろを予定している。「日本の顔の見える骨太な援助プログラム」(同省国際課)の構築を目指すという。
 座長を務める中根千枝東京大名誉教授ら有識者十一人で構成。七月のイタリア・ジェノバサミットで、途上国の開発プログラムに教育が果たすべき役割に共通認識が得られたことなどを背景に設置された。
 昨年も文相の私的諮問機関として懇談会を設置、途上国への教員派遣の在り方などについて提言をまとめている。(了)[2001-10-04-19:28] 84
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 10/04@<アフガン元国王>米政策担当局長と会談へ 亡命先のイタリ(毎日新聞)

 【ワシントン吉田弘之】バウチャー米国務省報道官は3日、リチャード・ハース政策企画担当局長が4日イタリアで、亡命中のアフガニスタンのザヒル・シャー元国王と会談することを明らかにした。元国王と反タリバン連合(北部同盟)が合意した「最高評議会」設立に対する支援策を話し合う可能性もある。
 報道官は会見で、米国として「最高評議会」を積極的に支持するかどうかは言明しなかったが、「興味を持っている。他の考えと同様、アフガンでの幅広い勢力による政権樹立を支持する」と述べた。[2001-10-04-19:20] 89
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 10/04@裏に複雑なお家の事情 基地使用許可で悩むサウジ(共同通信)

 【カイロ4日共同】米中枢同時テロへの報復攻撃に絡み、サウジアラビアが米軍の同国基地使用に難色を示している。ラムズフェルド米国防長官が三日、リヤドを訪問したが、この問題に関する明確な返答は得られなかったもようだ。背景には複雑な国内事情と、アブドラ皇太子をめぐる微妙な政治環境がある。
 ▽二つの顔
 メッカとメディナのイスラム教二大聖地を擁するサウジ。その守護者としてのイスラム世界向けの顔と、国防のほぼすべてを依存する米国向けの顔の両立を迫られていることが、矛盾のひとつの根源だ。
 「守護者」としては自国内の基地がイスラム教徒攻撃の拠点となることは避けたい。米国に肩入れし過ぎてアラブ諸国の反発を招けば、国内に跳ね返る危険がある。
 サウジ国内ではサウド王家の富の独占や腐敗への不満が根強い。同国出身のウサマ・ビンラディン氏がロンドンで一九九○年代半ばに設立した王族の堕落を糾弾する「改革委員会」への同調者もいる。「独裁打倒」を叫ぶ反体制派のテロ活動激化の可能性も高い。九五年にはリヤドの国家警護隊訓練施設で爆弾テロが発生、米国人六人が死亡した。
 ▽王家の確執
 もう一つの問題が王家の確執。親米派のファハド国王は病弱で、実権はイスラム保守派で民族派とされるアブドラ皇太子が握る。
 対タリバン政策を長年担当した情報機関の責任者トルキ王子が最近、突然解任され、国王派と皇太子派が後任を争うなど、王室内部で確執が強まっているとの観測も流れ始めた。基地使用許可の可能性を否定したスルタン国防航空相は次期皇太子候補の最右翼だ。
 国王と皇太子は九一年の湾岸戦争でも「異教徒」である米国による基地使用と駐留問題で衝突した。湾岸戦争でサウジは米軍五千人の常駐を認めたが、その後の対イラク大規模攻撃に際しても、プリンス・スルタン空軍基地からの米軍機発進は許していない。
 リヤドの観測筋は「サウジは米側にあいまいな内諾を与えながら、外向けには基地使用反対を主張する玉虫色の解決法で乗り切る考えだろう」とみている。(了)[2001-10-04-18:17] 97
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 10/04@アフガン入り狙う記者たち 隣国タジクで順番待ち(共同通信)

 【ドゥシャンベ4日共同】中央アジア・タジキスタンの首都ドゥシャンベに、アフガニスタン入りを目指す各国の記者が殺到している。「米国の軍事作戦開始までに国境を越えたい」と焦る記者たちは、片道切符で続々と“前線”に飛び込んでいく。
 「ようやく国境まで行ったのに追い返された」。ドゥシャンベのアフガニスタン大使館(北部同盟側)前で英国のテレビ記者が大使館員にかみつく。「おれはもう一週間待っている」と門前に座り込んでいるイタリア人記者。
 現在、記者がアフガニスタンに入る手段は、同国北部でタリバン政権と戦っている北部同盟のチャーターするヘリコプターや小型機に限られている。片道三百ドル。以前は可能だった陸路越えは、北部同盟が打ち切った。
 ヘリの就航は不定期で、天候によっては飛ばないことも多い。老朽化し、故障もしばしば。不時着せずに目的地まで飛べれば幸運だ。それでも常時百人以上、時には約二百人がわずかな席の激しい争奪戦を繰り広げている。
 北部同盟としては、各国の記者をできるだけ受け入れ、国際世論を味方に付けたいところだ。しかし、最近は「収容しきれない」(北部同盟関係者)と記者を絞り込もうとしている。
 ドゥシャンベのホテルもほぼ満室状態。通訳のルスタムさんは「こんなに外国人が集まったことはない」と話すが、「皆アフガニスタンに行ってしまって、思ったほど商売にならない」と表情はさえない。(了)[2001-10-04-16:28] 98
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 10/04@米政権に2つのドクトリン 作戦開始に慎重姿勢(共同通信)

 【ワシントン4日共同】ブッシュ米大統領は、テロリストをかくまう国家もテロリストと同罪とみなす「ブッシュ・ドクトリン」(外交の大原則)を打ち出してアフガニスタンのタリバン政権に強く警告する一方で、軍事報復作戦には慎重な姿勢を貫いている。背景には「クリントン前政権の二の舞いは演じない」という政権内のもう一つのドクトリンが働いている。
 クリントン前政権は一九九八年八月、アフリカで起きた米大使館同時爆破事件の直後、事件の黒幕とされるウサマ・ビンラディン氏抹殺を狙って、アフガン国内にあるテロリスト養成キャンプを巡航ミサイルで攻撃した。ビンラディン氏は難を逃れ、軍事的に作戦は失敗。その後も同氏の拘束作戦や殺害計画が立案されたが実を結ばなかった。
 ブッシュ政権に近い軍事筋は「政権内はクリントン時代のような中途半端な対テロ政策は絶対繰り返さないという方針で一致している」と指摘する。軍事筋によると、テロ事件の直後、国防総省の一部から、ビンラディン氏の居場所の特定を待たずに、同氏のテロ組織アルカイダやタリバン政権の軍事施設に対する報復空爆に踏み切るべきだとの意見が噴き出た。
 しかし、ブッシュ政権は「ビンラディン氏の拘束あるいは殺害の目的を遂行できなければ無意味」との結論に達し、ビンラディン氏の拘束とアルカイダのせん滅を確実に実行するため、特殊部隊主導による報復作戦を練ったという。(了)[2001-10-04-16:13] 100
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 10/04@<PKO>パキスタン派遣 手当1日4000円 自衛官から(毎日新聞)

 国連平和維持活動(PKO)協力法に基づくアフガニスタン難民への物資輸送で、政府はパキスタンに派遣する航空自衛官への手当を1日4000円とする政令案をまとめた。PKOの空輸業務としては過去最低レベルとなる。5日の閣議で正式に決めるが、自衛隊内からは不満も出ている。 【宮下正己】
 内閣府などによると、PKO隊員の手当は、外務省の派遣先・海外危険情報(危険度)、派遣期間、作業内容などを考慮し、政令で定める。これまでの空輸業務の手当は1日4000〜8000円だった。94年にルワンダ難民救済のために、隣国ケニアのナイロビに物資輸送した際は危険度「1」(注意喚起)の中での作業で、1日6000円が支給された。
 今回の任務は、テントや毛布をインド・デリーなどを経由してパキスタン・イスラマバードに運び、国連難民高等弁務官事務所に引き渡す計画で、輸送には空自輸送機C130が使用される。現在、イスラマバードは危険度4(家族等退避勧告)の地域となっており、ケニアでの作業に比べはるかに危険度は高く、自衛隊がテロの標的となる恐れもある。しかし、イスラマバードでの滞在日数は最長で4〜5日と短く、民間機も運航されていることなどから危険性は少ないと判断された。
 ある自衛官は「金のことで文句を言いたくないが、政府が我々のことをどれだけ考えてくれているのかを示す一種のバロメーターだと思う。テロへの認識が甘いのか、我々を道具としか思っていないのか、残念だ」と話している。
 内閣府国際平和協力本部事務局は「現地の警備状況などを含め、総合的に判断した。ただ、イスラマバードはデリーより高額にすべきだとの意見もあったが、認められなかった」と話している。[2001-10-04-15:05] 103
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 10/04@国連、アフガン担当の事務次長2人に増員(読売新聞)

 【ニューヨーク3日=勝田誠】国連のコフィ・アナン事務総長は3日、これまで1人だったアフガニスタン担当の事務総長特別代表(事務次長)ポストを2人に増やし、あらたにラクダル・ブラヒミ氏(アルジェリア元外相)を任命した。これは、タリバン政権打倒を視野に入れた軍事攻撃、外交攻勢を進める米政府に呼応し、国連が、新政権づくりに積極的に関与していくことを意味する。国連本部の発表によると、ブラヒミ新特別代表に与えられる任務、権限は、和平を創設し、人道支援も統括する、というものだ。[2001-10-04-13:28] 104 [このページの最初に戻る]


 10/04@<米国務長官>アフガン再建に日本重要 自衛隊派遣高く評価(毎日新聞)

 パウエル米国務長官は3日、米中枢同時テロに関して共同通信などと会見し、アフガニスタンに「全国民を代表する新政権」が樹立された時には「日本が極めて重要な役割を果たせる立場にある」と言明。「タリバン後」のアフガンの再建と安定化に日本が経済的支援をはじめ、多大な貢献をなし得るとの強い期待を表明した。
 国務長官はまた、日本政府が米軍などの軍事行動を支援するため自衛隊の派遣方針に踏み切ったことについて「小泉純一郎首相は歴代首相ができなかったことをなした。首相は行動した」と語り、決断を高く評価した。
 長官が日本のメディアと会見したのは初めて。
 中国の対応についても「国連安保理などでの支持以上のものは期待していなかったが、非常に前向きだ」と評価した。(ワシントン共同)[2001-10-04-13:25] 106
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 10/04@<アフガン難民>人道追加支援1億ドル ブッシュ米大統領(毎日新聞)

 【ワシントン中井良則】ブッシュ米大統領は3日、米国の軍事攻撃を恐れて避難するアフガニスタン難民救援の人道追加支援として1億ドルを新たに支出する方針を決めた。4日にも発表する。政府高官や議会筋の話として米メディアが伝えた。
 軍事攻撃が間近に迫ってきたとの不安から、パキスタンに逃れるアフガン難民が急増しており、国連は新たな難民キャンプの建設や食糧、医薬品などの緊急支援を各国に呼びかけている。
 米上院外交委員会は4日、ブッシュ大統領がパキスタン向け支援を拡大することを認める法案を可決する見込みで、米国の人道支援はさらに増える可能性もある。[2001-10-04-13:00] 107
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 10/04@<アフガン>米国務省高官が元国王と会談へ(毎日新聞)

 【ワシントン吉田弘之】バウチャー米国務省報道官は3日、リチャード・ハース政策企画担当局長が4日イタリアを訪れ、亡命中のアフガニスタンのザヒル・シャー元国王と会談することを明らかにした。元国王と反タリバン連合(北部同盟)が合意した「最高評議会」設立に対する米国の支援策を話し合う可能性もある。
 ハース局長は、ブッシュ大統領の北アイルランド和平政策の特別顧問も務める。ハース氏は政策協議のために欧州各国を訪問予定で、その一環として元国王と会談するという。
 同報道官は会見で「アフガンの将来の政権は、アフガン国民自身が決めること」と従来の姿勢を強調。米国として「最高評議会」を積極的に支持するかどうかは言明しなかったが「興味を持っている。他の考えと同様、アフガンでの幅広い勢力による政権樹立を支持する」と述べた。[2001-10-04-13:00] 114
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 10/04@3分の2以上が批准賛成 テロ防止条約(共同通信)

 【ニューヨーク3日共同】国連総会の反テロ集中討議は、三日夜(日本時間四日午前)までに発言した九十三カ国の代表すべてが米中枢同時テロを非難した。うち六十七カ国はテロ資金供与防止条約などテロ防止に関する十二の条約や協定の批准、発効促進に賛成した。日本の国連代表部が集計した。
 総会に提出された包括テロ防止条約案や核テロ防止条約案の審議促進を訴えた国は五十八カ国に上った。安全保障理事会が九月二十八日に採択した反テロ決議については、七十カ国が好意的な反応を示した。
 三日現在、計百六十六カ国が発言の意向を表明、集中討議は五日午後まで続くことが決まった。(了)[2001-10-04-11:55] 115
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 10/04@テロ条約すべて調印へ キューバ(共同通信)

 【メキシコ市3日共同】キューバのカストロ国家評議会議長は三日、アナン国連事務総長に書簡を送り、既存の十二のテロ関連条約すべてに参加する方針を伝えた。キューバはこれまで十二のうち三つの条約に調印している。議長は書簡で「テロと戦う包括的な協定に向け努力を続けるつもりだ」と述べた。(了)[2001-10-04-11:54] 117 [このページの最初に戻る]


 10/04@<米国務長官>イラク攻撃に含み アフガンは「第1段階」(毎日新聞)

 【ワシントン布施広】パウエル米国務長官は3日、アフガニスタンに対する軍事行動は、テロとの戦いの「第1段階」であり「将来、何が起きるかは論評できない」として、イラク攻撃にも含みを残した。訪米したカタールのハマド首長との共同会見で語った。
 長官は米国の軍事行動は「反アラブ、反イスラムではなく、反テロだ」と述べ、アラブ世界に軍事報復への懸念が強いのを踏まえて「これ(軍事行動)はアラブ諸国との紛争の始まりではない」と理解を求めた。
 しかし長官は、テロ組織を支援したり、かくまう国も同罪とするブッシュ大統領の見解に基づいて、アフガンの次にアラブ国家が標的になる可能性も排除しなかった。アラブ諸国は、アフガンへの軍事行動に続いて、米国がアラブ国家を攻撃対象とすることを警戒している。[2001-10-04-11:35] 118
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 10/04@反タリバン、10月中旬にも国民大会議(読売新聞)

 【タシケント3日=花田吉雄】アフガニスタンのザヒル・シャー元国王とともに暫定政権樹立をめざす反タリバン勢力「北部同盟」代表は3日、元首選任や組閣のために招集を計画している国民大会議について、今月中旬にも発足させる方針を明らかにした。北部同盟の中核的な存在であるラバニ大統領のユヌス・コヌニ顧問(政治担当)が当地で語った。
 国民大会議は今月1日、ローマで亡命中の元国王と北部同盟が、タリバン政権後の国内政治基盤として招集を決めたもの。インターファクス通信によると、コヌニ顧問は、国民大会議の構成を各民族代表など120人とし、「2週間後にメンバーを公表する」と語った。招集場所については明らかにしなかった。また、米国の対アフガン軍事作戦が始まった場合、一定期間の国内混乱も予想されることから、「状況によっては国民大会議が暫定的に国内統治を担うことになるだろう」との見通しを示した。[2001-10-04-11:28] 120
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 10/04@仏が前国王の暫定政権などアフガン再建案(読売新聞)

 【パリ3日=池村俊郎】仏政府は3日、国連を中心にすえたアフガニスタン再建のための6項目提案をまとめ、欧州連合(EU)議長国のベルギーに提示した。タリバン現政権崩壊後を想定した国家再建案で、8日開かれるEU外相会議で討議にかける。
 仏提案は、国連の支持のもとで、ザヒル・シャー前国王を中心にすえた国家再建の政治プロセスをまず開始し、暫定政権作りを目指すのがポイントの一つ。EU、米国、ロシアを含むアフガン周辺諸国、国連、非政府機関(NGO)で、アフガン再建について継続的に協議することも提案している。
 さらに、700万人以上のアフガン難民救済事業の調整を、国連難民高等弁務官(UNHCR)に委ねるなど国連と専門機関をフル活用した再建計画となっている。[2001-10-04-11:08] 121
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 10/04@ブラヒミ氏を任命 アフガン国連代表(共同通信)

 【ニューヨーク3日共同】アナン国連事務総長は三日、アフガニスタン担当事務総長特別代表にブラヒミ元アルジェリア外相を任命した。ブラヒミ氏は一九九九年十一月にタリバン政権の非協力的な姿勢を不満として同特別代表を辞任した経歴を持つ。
 同氏はアフガニスタン周辺での国連の人道活動と、政治的枠組みづくりの両方を統括する。
 アナン氏はブラヒミ氏の任務について「民意を反映し多民族かつ広範な支持に基づく政権の樹立を支援すること」と述べ、米軍の報復攻撃でタリバン政権の崩壊も視野に入れていることを示唆した。(了)[2001-10-04-11:08] 124
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 10/04@<フランス>タリバン崩壊後 元国王と国連の暫定統治構想を(毎日新聞)

 【パリ福島良典】ジョスパン仏首相は3日、タリバン政権崩壊後のアフガニスタンについて、イタリア亡命中のザヒル・シャー元国王と国連を中核に国家再建を進めるとする暫定統治構想を発表した。フランスはすでに欧州連合(EU)加盟国に同構想を提案、欧州が共同でアフガン復興に取り組むことを目指している。
 首相は国民議会(下院)での演説で、「アフガニスタン行動計画」と題する6項目の構想を明らかにした。構想は短期目標として、避難民・難民への人道援助▽EU、米国、アフガン近隣国、国連機関、非政府組織(NGO)の連絡調整の枠組み構築▽緊急課題に対応する臨時機構の設置――を挙げている。
 その上で構想は、アフガン再建と民主化に向けて「元国王の保護と国連の支援を得て、代議制の暫定統治機構を樹立する」ことを提唱。アフガンの将来については元国王と反タリバン連合(北部同盟)が最高評議会の設置で合意しているが、仏構想は国連の支援・関与に言及している点が特徴だ。
 さらに、アフガン再建にあたりEUの専門家派遣を提案。国連関係機関などが、けし栽培根絶のための代替作物の開発と中期的な経済開発計画の立案を支援するとうたっている。[2001-10-04-10:30] 127
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 10/04@米、経済支援提唱へ 国連主導でアフガンなどに(共同通信)

 【ワシントン3日共同】米上院外交委員会のバイデン委員長(民主党)は三日、タリバン政権崩壊後のアフガニスタンなど中央、南アジア各国に対する国連主導の国際的な経済支援を提案する考えを明らかにした。パウエル米国務長官と同委員会メンバーとの昼食後、記者団に述べた。
 委員長は国名は挙げなかったが「ほかの国とも連携する」と指摘、日本など先進国による資金援助を念頭に置いていることを強く示唆した。
 国務長官も同日、共同通信などとの会見で援助に関する日本の協力に言及しており、国際援助の枠組みづくりが本格化するとみられる。
 バイデン委員長は「世界が(アフガンニスタン周辺)地域の再建に加わるべきだ。テロ組織アルカイダの壊滅や短期的な食糧援助だけでなく、将来、ほかの国と連携し深刻な経済問題に取り組み援助しなければならない」と強調、国務長官もこれに同意したことを明らかにした。
 また援助実現に向け「広い(国際支援の)連合が必要で、多分、国連主導となるだろう」と述べた。(了)[2001-10-04-09:57] 128
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 10/04@英がテロ監視委議長国に 5大国主導の構図明確に(共同通信)

 【ニューヨーク3日共同】国連安全保障理事会は三日、テロ資金を根絶するための措置を取るように加盟国に義務付けた反テロ安保理決議(九月二十八日採択)の履行状況を監視する委員会の議長に、英国のグリーンストック国連大使を選出した。監視委の初会合は四日に開催される。
 同監視委は決議後九十日以内に全加盟国から決議履行状況の報告を受けるほか、テロの定義、何がテロ資金であるかの最終判定をする極めて強力な権限を行使することになる。
 こうした監視委は過去イラク制裁などでも設置されたが、常任理事国が議長を占める例はほとんどなかった。国連外交筋は「米中枢同時テロを受けたテロとの戦いで、五常任理事国が主導権を強めていることの表れ」と分析した。
 関係筋によると、英国が議長国となったのは加盟百八十九カ国を対象にテロ資金を追跡するには国際金融のノウハウが必要なため。現在の非常任理事国には荷が重過ぎるとの判断が強まり、「常任理事国に権限が集中し過ぎる」と懸念する中小国の声はかき消された。
 反テロ安保理決議は加盟国に@テロ資金の調達防止A資金の受け渡し禁止や凍結Bテロ関与者の移動や国境通過の阻止―などの義務を課し、違反した場合には制裁を発動する権限を安保理に与えている。(了)[2001-10-04-09:27] 130
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 10/04@日本が「重要な役割」 タリバン後のアフガン支援 米国務長(共同通信)

 【ワシントン3日共同=大島寛】パウエル米国務長官は三日、米中枢同時テロに関して共同通信などと会見し、アフガニスタンに「全国民を代表する新政権」が樹立された時には「日本が極めて重要な役割を果たせる立場にある」と言明。「タリバン後」のアフガンの再建と安定化に日本が経済的支援をはじめ、多大な貢献をなし得るとの強い期待を表明した。
 国務長官はまた、日本政府が米軍などの軍事行動を支援するため自衛隊の派遣方針に踏み切ったことについて「小泉純一郎首相は歴代首相ができなかったことをなした。首相は行動した」と語り、決断を高く評価した。
 長官は共同通信など主要外国通信社七社と会見した。同時テロの発生後、長官が日本のメディアと会見したのは初めて。
 パウエル長官は「テロに対するキャンペーン(作戦)は既に始まった」と宣言。この作戦は軍事だけでなく、金融、情報、司法など多面的なものだと強調し「われわれは世界規模の組織の内部に徐々に到達しつつある」とウサマ・ビンラディン氏のテロ組織「アルカイダ」に対する包囲網が狭まっているとの自信を表明した。
 米国の軍事行動については「効果的なタイミングで起こされるだろうが、軍事行動が終わっても対テロの戦いは続く」と語り、武力行使は「作戦の一つの要素」にすぎないことを強調した。
 長官は「対テロ連合」の構築が順調に進んでいると指摘。アラブ諸国でもイラク以外は米国を支持していると述べ、パキスタンをはじめ困難な状況を抱える国に対しては「内政と(作戦に)参加する能力とを均衡させながら」支援を求める姿勢を示した。
 中国の対応についても「国連安保理などでの支持以上のものは期待していなかったが、非常に前向きだ」と評価した。(了)[2001-10-04-08:54] 134
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 10/04@アンゴラで80人殺害 武装グループが襲撃(共同通信)

 【ナイロビ3日共同】アンゴラからの報道によると、同国北東部のクワンゴ付近で九月二十九日、ダイヤモンド採掘労働者を武装グループが襲撃、労働者八十人以上が射殺された。米政府系のVOA(米国の声)放送が三日報じた。
 反政府勢力アンゴラ全面独立民族同盟(UNITA)の食料略奪を目的とした犯行とみられるという。
 クワンゴ周辺はアンゴラで最も良質のダイヤモンドが産出されるとみられており、採掘目当てのコンゴ(旧ザイール)人が多数流入している。(了)[2001-10-04-08:34] 136
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 10/04@難民救援でイラン国境の開放要請 国連緊急援助調整官室長(共同通信)

 【テヘラン4日共同】イランを訪問中の国連の大島賢三・緊急援助調整官室長(事務次長)は三日、ハタミ大統領と会談し、米軍の攻撃時にアフガニスタン難民が大量に殺到した場合、イラン政府が現在封鎖中の国境を難民救援のため開放するよう要請した。
 大島室長は大統領にアナン国連事務総長の親書を手渡し、イラン政府がアフガン難民流入で大きな負担を強いられてきたことに理解を示すとともに難民支援を続けてきたことを評価。大統領は国連の枠組みの中でテロ封じ込めを行う方針をあらためて強調した。(了)[2001-10-04-08:20] 138
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 10/04@新政権づくりへ関与模索 アフガン代表の権限強化 国連(共同通信)

 【ワシントン3日共同=杉田弘毅】アフガニスタンで活動する国際援助機関筋は三日、米軍の報復攻撃でタリバン政権の崩壊も予想されるアフガニスタンの新政権づくりを視野に、アナン国連事務総長が権限を強化したアフガニスタン担当事務総長特別代表(事務次長)を同日にも任命することを明らかにした。
 同筋によると、アナン事務総長は米政府がタリバン政権打倒の可能性を探り始めたことから、同政権崩壊が近いとして「国連が新政権づくりを全面支援せざるを得ない」と判断、有力者の起用に踏み切った。
 特別代表にはイラク、ハイチ、イエメン紛争などで国連事務総長特別代表を務め、国際政治界で著名なブラヒミ元アルジェリア外相が任命される見通し。
 国連はタリバン政権がイスラム原理主義色を強め、国際社会に背を向けるのにつれてアフガニスタンでの活動を縮小。現在はベンドレル特別代表が小規模の国連代表団を率いている。
 ブラヒミ氏には@周辺国元首らと会談しアフガニスタンの新たな政治的枠組みを模索するA大量に発生する難民支援を統括する―など、ベンドレル氏より格段に大きな権限が付与される。
 国連はタリバン政権後の受け皿としてザヒル・シャー元国王と反タリバンの最大勢力である北部同盟、タリバン政権内部穏健派による「大同団結」を想定。既にベンドレル氏が元国王らと会談している。
 同筋によると、米政府がアフガニスタンの新政権像を描くため国連と協議を緊密化しており、国連が新政権づくりを担うよう間接的に促している。
 ただ米政府は「新政権づくりには手を付けない」(ブッシュ大統領)と直接の関与はしない方針で、代わって国連暫定統治など国連主体の枠組みが浮上した。また元国王もブッシュ大統領にあてた九月十八日付の親書で、新政権への国連の関与を認めている。(了)[2001-10-04-07:55] 144
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 10/04@米側、自衛隊の支援活動に「柔軟性」要望 輸送対象にも(朝日新聞)

 アーミテージ国務副長官ら複数の米政府高官が、テロ対策特別措置法による自衛隊の米軍支援活動に関連して、自衛隊の活動の内容や地域について「できる限りの柔軟性」を持たせることが重要だ、と日本政府側に要望していたことがわかった。とくにアーミテージ氏は「輸送対象を限定すべきだという議論があると聞いている」と指摘しつつ、「柔軟性」を求めたという。これは、新法の国会審議で与野党対立の最大の争点になりそうな「武器・弾薬の輸送」を念頭に置いた発言とみられる。
 こうした米側の要望は、小泉首相とブッシュ大統領の首脳会談直後の26日、アーミテージ氏とパターソン国家安全保障会議(NSC)上級アジア部長から、首相に同行した外務省高官を含む政府側に個別に伝えられた。
 自衛隊による米軍などへの「協力支援活動」の一つとして盛り込まれた武器・弾薬の輸送については、民主党をはじめとする野党側が、活動に伴う危険性などを理由に反対しているが、政府・自民党は必要との立場だ。
 政府は米高官の発言について、全体としては新法の性格に「使い勝手があるという意味の柔軟性」(政府筋)を求めたものと解釈している。ただ、「輸送」については、自衛隊の活動分野として、武器・弾薬の輸送は確保しておいてほしい、との要望を伝えた発言と受け止めている。
 日米関係筋などによると、米側高官は、日本の新法に「柔軟性」を要望する理由として、(1)同時多発テロを受けた米国の軍事行動が最終的にどのような作戦になるのか、どの程度の期間にわたるのか、今の段階では明らかにできない(2)このため、実際に自衛隊にどんな行動が求められるか特定するのは難しい(3)あらかじめ、活動内容や地域を狭めると、日本の協力内容が極めて限定されたものになりかねない――などの点を挙げた。
 また、米側は、自衛隊の活動内容が、日本周辺での有事の際の後方支援のあり方を定めた周辺事態法(99年8月施行)の運用範囲よりも狭められることに懸念を示したという。今回の新法案では、活動範囲がパキスタンが想定される他国の領土に拡大され、武器の使用基準も緩和されているが、自衛隊の「協力支援活動」「捜索救助活動」の内容では、武器・弾薬の輸送も含め周辺事態法を基本的に踏襲している。
 知日派のアーミテージ氏はテロ事件後の柳井俊二駐米大使との会談でも、「日本は旗を見せてほしい」と述べるとともに、自衛隊による物資の輸送や補給に期待を示し、新法制定を含む政府の対策づくりに影響を与えた。今回の一連の発言も、国会での新法審議や法案の修正論議に臨む政府・自民党の方針に一定の影響を及ぼすとみられる。[2001-10-04-04:23] 145
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 10/04@<米テロ>元海兵隊軍曹の反戦広告米紙掲載へ 神戸NGO支(毎日新聞)

 米国の元海兵隊軍曹がブッシュ大統領に戦争回避を訴える手紙を、米国のニューヨーク・タイムズ紙に全面広告として掲載しようとのキャンペーンで、平和運動のNGO「オープンジャパン」(神戸市、http://www.peace2001.org/)が呼び掛けた募金に2週間足らずで約1500万円が集まり、今月9日の掲載が決まった。
 広告主は、ベトナムや朝鮮戦争を体験し「戦争で傷つくのは罪のない人たち」と考えた元米兵たちによる「平和のための退役軍人の会」(米・セントルイス)。英米の友人とともに募金を呼びかけた千葉県鴨川市、環境コーディネーター、きくちゆみさん(39)は「米国の世論は武力行使支持に傾き、手紙を書いた元海兵隊軍曹はインターネット上で攻撃を受けている。こんな状況だからこそ、平和を願う声を伝えたい」と話す。
 アフガニスタンにも声が届くようにパキスタンの新聞への広告掲載を目指し、引き続き募金を呼びかける。募金先はオープンジャパンで、郵便振替00980―5―12290(通信欄に「全面広告」と記入)。 【亀田早苗】[2001-10-04-03:25] 146
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 10/04@<パキスタン>対アフガン政策180度転換 大統領が表明(毎日新聞)

 【イスラマバード春日孝之】パキスタンのムシャラフ大統領は3日、国家安全保障会議で、対アフガニスタン政策を180度転換すると初めて公式に表明した。同国政府筋が毎日新聞に明らかにした。今後は、多様な民族構成に配慮した「連合政権」樹立の必要性を強調、事実上、パシュトゥン民族主体のタリバン政権からの“決別”を表明した形だ。 
 大統領は方針転換の理由について「国益を最優先させる」と語った。また、大統領はタリバン政権が崩壊後の新政権樹立について、「外国は関与すべきでない」と述べ、反タリバン連合(北部同盟)支援に傾斜しつつある米国の介入姿勢をけん制した。
 パキスタンは94年のタリバン創設に深く関わり、その後も軍事面などで支援を続けているとされてきた。だが、孤立化からの脱却に向け、タリバン政権に対する米国の厳しい姿勢に同調する方針に転換したとみられる。タリバンを支援してきたパキスタン国内のイスラム原理主義勢力の反発は必至とみられる。
 [2001-10-04-03:05] 149
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 10/04@米外交戦略が大転換、「反テロ」最優先に(読売新聞)

 【ワシントン3日=坂元隆、林路郎】米同時テロを機に米国の外交戦略が大きく転換し始めた。これまで自国の利害を一方的に主張する「一国主義(ユニラテラリズム)」との批判を受けがちだったブッシュ政権が、対外政策の指針として、国際的なテロ包囲網の構築を前面に打ち出してきたからだ。冷戦期、冷戦後を通じ、歴代の米政権が掲げてきた民主主義拡大・市場経済推進・人権重視の基本理念は維持しつつも、対露、対中、中東外交から核管理戦略、国連との関係まで、具体的な外交政策は「反テロ」を最優先に矢継ぎ早に見直されつつある。米外交戦略の変化は、21世紀の国際秩序の方向性を定めることにもなりそうだ。
 ブッシュ政権は2日、パレスチナ国家樹立を含む新たな和平提案を用意していることを明らかにした。イスラエル、パレスチナ双方が新提案に前向きな姿勢を示せば、反テロ軍事行動で米国が最も必要とするアラブ・イスラム諸国の理解と協力が得やすくなる。パウエル国務長官は「9月11日の出来事とは関係ない」と再三強調したが、「和平の押し付けはしない」という従来の中東和平政策から、積極的な関与へと大きな一歩を踏み出した。
 アフガニスタンと国境を接する中央アジア諸国に強い影響力を持つロシアに対しては、チェチェン紛争の武力鎮圧で人権侵害が行われたと批判してきた態度を転換、逆にイスラム反政府勢力にウサマ・ビンラーディン一派とのつながりを断つよう呼びかけた。
 アフガンへの出撃拠点になりうるインドとパキスタンには、1998年の核実験後に科した経済制裁を解除し、両国の核保有を事実上認知する立場に転じた。
 ブッシュ政権はまた、非効率性などを批判してきた国連との関係も見直し、米議会に働き掛け、出し渋ってきた今期分の国連分担金約5億8200万ドルの支払いを決めた。地球温暖化防止のための京都議定書からの離脱などを唱え、国際社会から孤立しかねなかったブッシュ政権が、テロ撲滅で国際協力を得るため大きく舵(かじ)を切ったといえる。
 ブッシュ大統領は国際社会に「我々の側につくか、それともテロリストの側につくのか」と選択を突き付けた。その一方で、米国は自陣営の結束を図るため、スーダンなど「テロ支援国家」に指定した国にまで支援の手を差し伸べている。
 米国の外交専門家の間では、テロを機にしたブッシュ政権の外交戦略の転換は「冷戦秩序に代わる新たな国際秩序」の形成につながるとの見方も出ている。[2001-10-04-01:58]
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 10/05@米英軍が主導、独仏などは後方支援の見通し(朝日新聞)

 予想されるアフガニスタンでの軍事行動を前に、米政府が3日、集団的自衛権の発動を決めた北大西洋条約機構(NATO)に対し、8項目にわたる具体的な協力を要請、承認された。独仏など加盟国は積極姿勢を示しているが、軍事作戦を主導する米英軍に対する後方支援が中心になりそうだ。99年の対ユーゴスラビア空爆とは異なり、軍事作戦の立案、実行については、NATOの指揮系統は活用されない。
 NATOが決定した8項目の支援内容は、(1)NATOの指揮下にある空中警戒管制機(AWACS)の提供(2)米軍機の領空通過を認める(3)米軍機・艦船への燃料給油(4)欧州の港湾、空港の使用(5)艦船の東地中海方面への展開(6)テロ活動に関する情報交換(7)米軍施設・設備の警護(8)ユーゴスラビア・コソボ自治州などからの米軍の徴兵と欧州部隊による交代。
 英国はブレア首相が各国を相次いで訪問。特殊部隊の投入など米軍との共同行動に向けた準備を重ね、アラビア半島のオマーンで大規模な軍事演習を続けている。
 他のNATO首脳も、米国との連携を盛んに強調している。ドイツのシュレーダー首相は「テロ攻撃は、文明世界全体への宣戦布告だ」とテロリズムと闘う姿勢をアピール。スペインのアスナール首相も「米軍の行動にわが軍を投入する用意がある」と語った。
 ただ、実際の支援内容を見ると、ドイツの場合、テロ情報の交換や米軍施設の警護のほかは、ドイツ内の基地に配備されているAWACS18機の情報収集活動への参加どまり。スペインも、大西洋沿岸にある基地使用を米軍に認める程度にとどまりそうだ。
 フランスは、フリゲート艦など艦船2隻をインド洋に派遣することを決定した。
 予想される作戦は、アフガニスタンの山岳部での特殊部隊やその支援部隊中心の行動になるとみられる。NATOは99年の対ユーゴ空爆では、作戦立案と作戦遂行の総指揮をとった。しかし、今回は、加盟19カ国の合意を必要とするような指揮命令系統は、米国としては使いたくない。ロバートソン事務総長は4日、NATOの指揮系統が活用されないことを認めた。[2001-10-05-22:15] 4
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 10/05@政変1年祝い市民集会 ユーゴ、大統領も会見(共同通信)

 【ベオグラード5日共同】ミロシェビッチ政権が打倒された「ユーゴスラビア政変」から一周年の五日、政変劇で主役を務めたコシュトニツァ連邦大統領が記者会見し、この一年間を振り返るほか、首都ベオグラードで記念の市民集会が行われる。
 大統領は会見で、これまでに進めた民主化や国際社会への復帰などの成果を強調するほか、モンテネグロ共和国の独立問題などで揺れる連邦の将来についても意見を表明する予定。
 市民集会は、ほう起の舞台となった国会議事堂前で開催。当時、トラック部隊を率いてほう起に参加した同国中部チャチャク市のイリッチ市長らも駆け付け、新生ユーゴ一年を祝福する。
 このほか、国内各地で記念集会やコンサートが計画されている。(了)[2001-10-05-15:04] 5
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 10/05@国際刑事裁判所設置で努力 米同時テロ事件で外相(共同通信)

 田中真紀子外相は五日午前の衆院予算委員会で、戦争犯罪やテロによる集団殺害などを対象に個人を裁くことを目的とした国際刑事裁判所の設置条約について「国内法制との整合性を求めながら、できるだけそうしたものを成立するよう努力したい」と述べ、政府として批准に向け努力していく考えを示した。
 国際法廷の場は既に国際司法裁判所があるが、同裁判所は国家間の紛争などが対象で、テロ犯罪を裁く場としては国際刑事裁判所の方が望ましいと指摘する声が出ている。
 同条約については、米国は署名したが未批准。日本は署名もしていない。
 また、外相はパレスチナ問題に関して、先のパレスチナ自治政府のシャース国際協力相との電話会談の中で「お互いに武器を持たずに(イスラエルと)話し合いをしてほしいし、いつでも東京をその場所に提供すると申し上げた」と述べ、日本での和平交渉を提起したことを明らかにした。
 民主党の横路孝弘氏の質問への答弁。(了)[2001-10-05-12:32] 7
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 10/05@国連テロ決議は採択断念 パレスチナ問題などで対立(共同通信)

 【ニューヨーク4日共同】国連外交筋によると、国連総会の反テロ集中討議は、イスラム諸国からパレスチナ紛争を絡めた問題提起などが続出して紛糾、採択準備を進めていたテロ防止のための国際法体制の整備を柱とする総会決議草案は、意見の対立が解消できないまま四日夜、採択を最終的に断念した。
 四日目に入った討議では、発言した各国が米中枢同時テロを強く非難する一方で、テロの温床となる貧困、差別を取り除くよう訴える声や、「(今回のテロなどの)被害者ばかりでなくパレスチナ住民など抑圧と戦う立場にも関心を払うべきだ」との意見がイスラム諸国を中心に続出した。
 三日に提示された決議草案は@すべてのテロ行為の阻止に必要な措置をとるA既に採択されたテロ関連の条約に調印するB包括的テロ条約案の採択を促進する―が柱だった。国連外交筋によると、四日昼、各地域代表の会議に提示されたが、アラブ諸国が「パレスチナ問題に触れない限り賛成できない」と主張、満場一致での採択は不可能になった。
 集中審議では「アラブ諸国は何十年間も国家テロ、占領テロの犠牲者だった」(リビア大使)、「パレスチナ人民に対する(イスラエルによる)テロは見過ごされている」(イラン外務次官)など「テロの定義」をめぐって激しい反発の声が出たという。(了)[2001-10-05-12:25] 14
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 10/05@<閣議>アフガン難民救援物資輸送の空輸隊派遣決定 (毎日新聞)

 政府は5日午前の閣議で、米国同時多発テロ事件に関連して、アフガニスタンからパキスタンに流入した難民に救援物資を輸送する空輸隊の派遣を決めた。6日午後、小牧基地から出発する。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の要請を受け、10人用テント315張り、毛布200枚、給水容器400個などを輸送する。
 派遣されるのは航空自衛隊のC130輸送機6機と、先遣隊約20人を含む陸・空自隊員約160人。出発後、那覇、マニラ、タイ・ウタパオ、コルカタ(カルカッタ)、デリーの5カ所を経由し、9日朝にイスラマバードに到着。約2時間で荷降ろしを行い、帰国の途につく。
 人道的国際救援活動としての空輸隊の派遣は(1)ルワンダ難民救援隊員などのケニア・ナイロビ―ザイール(現コンゴ民主共和国)・ゴマ間の輸送業務(94年)(2)東ティモール避難民救援物資の西ティモールへの輸送業務(99年)――に続いて3度目となる。[2001-10-05-11:10] 15
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 10/05@総務相が外相に在外邦人の安全確保強化を勧告(読売新聞)

 片山総務相は5日、田中外相に対し、外務省が出す海外危険情報など在外邦人の安全確保策を強化するよう勧告した。総務省が行政評価・監視を行った結果、危険情報の遅れで日本人旅行者が危険にさらされた例などがあったためだ。
 総務省は、アジアや中東など31在外公館が管轄する地域を対象に、96―2000年度の間に海外で起きた武力紛争や治安の悪化などの緊急事態への対応を調べた。
 その結果、98年のインドネシアでの暴動や昨年11月のフィジーでの反乱兵士占拠事件では、米、英両国や日系企業などに比べ、外務省の危険情報の対応が遅れ、日本人観光客が入国してしまったケースなどが判明した。
 昨年8月のフィリピンでのテロ情報への対応のように、在外公館が注意喚起してから本省での決裁までに1週間以上かかった揚げ句、現地の判断通りの危険情報を出したケースも7件あった。
 また、総務省は、安全意識が欠如した旅行者の援護のため、在外公館の本来業務に支障をきたすようなケースについても指摘。オートバイで世界一周を試みたものの、資金不足で援護を求めた旅行者や、退避勧告に従わなかったにもかかわらず、空爆開始で在外公館に援護を求めたサッカー観戦者などのケースを挙げ、旅行者が自己責任の意識を持つよう啓発する必要があるとしている。[2001-10-05-10:53] 21
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 10/05@チェチェン問題は看過せず ライス米大統領補佐官(共同通信)

 【ワシントン4日共同】ライス米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は四日、ワシントン市内で講演し、米中枢同時テロを受けた米政府のテロ対策に協力的な姿勢をとっているロシアを評価しながらも、チェチェン紛争での人権抑圧は見過ごすことはできないと指摘した。
 ライス補佐官はテロ直後にプーチン・ロシア大統領がブッシュ大統領に電話をかけ、協力を申し出たことについて「まさに冷戦が終わった瞬間だった。米ロ関係は本質的に変わった」とロシアの姿勢を絶賛した。
 しかし、チェチェン紛争に関しては「人権が尊重されるべきとの米国の考えは変わっていない」と述べた。(了)[2001-10-05-10:27] 23
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 10/05@対米協力拡大の用意表明 ロシア大統領が英首相に(共同通信)

 【モスクワ4日共同】ロシアのプーチン大統領は四日訪ロしたブレア英首相と会談、アフガニスタンで米国が準備する米中枢同時テロをめぐる報復攻撃への支持を確認すると同時に、今後米国への協力を拡大する用意を示した。
 会談後の共同記者会見で大統領は、同時テロの最重要容疑者とされるウサマ・ビンラディン氏の逮捕ないし、殺害を目指す作戦にロシアが参加する可能性を排除しないことを示唆した。
 一方で大統領は協力拡大について「パートナーとの関係次第」と述べ、米国がチェチェン紛争をめぐるロシア批判を撤回するなどの譲歩が必要との立場を示唆した。
 ブレア首相は米国が結集を進める国際的な反テロ連合にとって、大統領の協力が「極めて重要」と大統領に謝意を表明した。
 首相は五日モスクワからパキスタンに向かうとみられる。(了)[2001-10-05-10:18] 24
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 10/05@<アフガン難民>空から支援物資の投下を計画 米国防総省 (毎日新聞)

 【ワシントン吉田弘之】ブッシュ米大統領が4日、アフガニスタン難民のための緊急人道支援として3億2000万ドルの支出を決定したのを受け、国防総省は同日、タリバン支配地域に住むアフガン国民に空から支援物資を投下する計画を発表した。
 これは、陸路で援助物資を届けるのが極めて困難なためだ。だが、タリバン政権がスティンガー地対空ミサイルを保有していることから物資投下機が撃墜される危険性もあり、戦闘機が護衛するという。
 食糧はプラスティック容器に入れて投下する。容器に入れるのは1人1日分の食糧で、イスラム教徒の習慣を考慮して豚肉などは入れないという。
 計画を発表したクレイグ・クイグレイ少将は「タリバンのための援助ではない。アフガン国民のための支援だ」と述べ、タリバン政権が投下物資を横取りすることを警戒した。また一部報道では、食糧投下に合わせ、反タリバン宣伝のビラをまく計画もあるという。援助物資の投下は、湾岸戦争やコソボ紛争の時も行われたが、投下地点が目標から大きく外れるなど失敗例も多い。[2001-10-05-10:15] 25
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 10/05@テロ対策特別措置法案、自衛隊法改正案を閣議決定(朝日新聞)

 政府は5日午前、同時多発テロに対する米国などの軍事行動を自衛隊が支援するための「テロ対策特別措置法案」と、テロに備えて自衛隊と在日米軍の関連施設を自衛隊の部隊が警備できるようにする自衛隊法改正案などを閣議決定し、国会に提出した。
 テロ対策特別措置法案は国際テロ根絶に向けて日本が「積極的かつ主体的に寄与する」のを目的としている。
 戦闘地域でなく、受け入れ国の同意がある場合は自衛隊が外国領土で活動できるようにするほか、武器使用基準も周辺事態法や国連平和維持活動(PKO)協力法と比べて一部緩和。成立すれば戦後の安保政策の1つの転換点となる。
 自衛隊の活動としては、燃料の補給、生活物資の輸送、医療支援、被災民救援などが盛り込まれている。憲法で禁じられているとされる集団的自衛権の行使に抵触することはないか、野戦病院や難民キャンプなど前線に近い活動を戦闘地域とどう一線を画すかなどをめぐり、国会で激しい論戦になりそうだ。
 米軍がアフガニスタンのタリバーン政権に対する攻撃準備を整えたと伝えられるため、政府・与党は法案の早期成立を目指している。衆院議院運営委員会理事会は5日午前、法案審議のための衆院特別委員会を9日に設置することを決めた。これを受け、11日に趣旨説明、12日から審議に入り、20日からのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会合までに衆院を通過させたい考えだ。
 小泉純一郎首相は閣議後、記者団に「非常に大事な法案だ。できるだけ早く成立させてほしい」と述べた。[2001-10-05-10:05] 26
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 10/05@テロ特措法案を閣議決定 自衛隊、他国領域で活動 (共同通信)

 政府は五日午前の安全保障会議と閣議で、米中枢同時テロに対する米国などの報復攻撃を自衛隊が支援するための「テロ対策特別措置法案」と、自衛隊による在日米軍基地警備を可能とする自衛隊法改正案を正式決定した。直ちに国会に提出する。
 小泉純一郎首相は閣議後、記者団に「テロ根絶、防止のため国際社会と協力して取り組む非常に大事な法案だ。民主党は、よく審議してもらえれば、賛成してくれるのではないかと期待している」として早期成立を目指す考えを示した。
 政府、与党は月内成立に全力を挙げるが、テロ特措法案は自衛隊の活動範囲を他国の領域まで拡大、武器使用要件も緩和しており、武力行使との一体化問題などと絡み、激しい国会論戦が展開されるのは必至だ。
 特措法案は、自衛隊の支援活動に際して新たな国連決議を必要とせず、自衛隊派遣の基本計画は国会の事前承認ではなく国会報告にとどめた。二年の時限立法とし、継続が必要と認められる場合には、二年以内の期間を定めて延長する規定も設けた。再延長も可能。
 「国際社会の平和と安全の確保」のため、自衛隊の活動範囲を「現に戦闘が行われていない地域」として相手国の同意を条件に他国の領域まで拡大。武器使用について「自己の管理下に入った者の生命、身体の防護」を明記し、対象をアフガニスタン難民や米軍の傷病兵の防護も可能とした。
 自衛隊の支援活動として@諸外国の軍隊に対する物資の補給、輸送、医療、通信、空港・港湾・基地業務の支援A戦闘参加者の捜索・救助B国連決議や国際機関の要請に基づく被災民への人道支援―を列挙。武器・弾薬の提供は除外したが、輸送については適用除外規定を設けていない。
 自衛隊法改正案は治安出動前の段階で、米軍基地などを警備できる「警護出動」の任務を新設。警護出動の発令は「自衛隊や在日米軍のテロ被害を防止するため特別な必要がある時」とし、その際は首相が都道府県知事に意見を聞くことを定めている。(了)[2001-10-05-09:51] 30
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 10/05@裏切り恐れ都市に? ビンラディン氏潜伏先(共同通信)

 【ワシントン4日共同】アフガニスタンに対する米軍のテロ報復攻撃のカギとなるウサマ・ビンラディン氏の潜伏先をめぐって四日、新たに「都市潜伏説」が浮上した。米英軍が見つけにくい「山岳部避難説」が主流だったが、山岳民族の裏切りを恐れて、空爆しにくい都市に潜むとの見方だ。
 これまで米政府がパキスタン情報筋などを通じて得た範囲では「北部パミール高原の旧ソ連軍の施設を改良した要さいに潜伏」「中部ウルズガン州の山地に逃亡し潜んでいる」などの説が主流だった。
 しかし四日付の米紙クリスチャン・サイエンス・モニター紙が反タリバン勢力「北部同盟」筋からの情報として伝えたところによると「三日前まで(南部)カンダハルにいた」「カンダハルの地下ごうに隠れている」との見方が浮上。
 同紙によると、米英軍の攻撃が近づき、タリバンを構成するパシュトゥン人と民族が異なる山岳部などの地方勢力が裏切って居場所を通報する恐れがあるため、ビンラディン氏らはタリバンが支配する都市部に潜伏する方が得策と考えている可能性があるという。(了)[2001-10-05-08:40] 36
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 10/05@一線越え“臨戦地域”へ 「貢献」の掛け声の下(共同通信)

 アフガニスタンからの避難民に救援物資を運ぶ自衛隊輸送機が六日、パキスタンに向け出発する。これまでの自衛隊の海外派遣は、停戦下など安全が確保された地域が対象。しかし、今回は臨戦状態のアフガニスタンに接した危険地域。「目に見える貢献」の掛け声の中、自衛隊の活動は一線を越える。
 自衛隊創設以来の大きな転換点は、一九九一年のペルシャ湾への掃海艇出動。湾岸戦争をめぐり「日本は何もしない」との批判をかわす政府の思惑があったとされる。訓練目的以外では初の海外派遣だった。掃海部隊は機雷処理に当たり、自衛隊による国際貢献が既成事実になった。
 九二年、根強い反対を押し切って成立した国連平和維持活動(PKO)協力法を受け、自衛隊が派遣されたのがカンボジア。道路や橋の補修などに当たった。湾岸戦争以来、国論を二分した自衛隊による「人的貢献」が本格化した。
 同法による派遣は九三年のモザンビーク、九四年のザイール(現コンゴ)東部のゴマと続いた。
 ゴマ派遣はルワンダ難民の救援が目的で、人道的国際救援活動としては初。隊員の安全確保のため、軽機関銃一丁の携行が認められるなど武器携行の点でも新たな一歩だった。
 九六年の中東・ゴラン高原の国連兵力引き離し監視軍(UNDOF)への派遣では、現地で他国軍との共同訓練や小銃射撃訓練など、軍事色の強い行動に参加。
 その後、ハリケーン被害を受けたホンジュラス(九八年)、地震被害のトルコ(九九年)やインド西部(二○○一年)など自然災害の被災地にも派遣されている。(了)[2001-10-05-08:21] 42
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 10/05@中国もテロ組織の資金源途絶に協力(朝日新聞)

 中国銀行の関係者は4日、米国での同時多発テロを受けて、大口の現金引き出しなどに一定の制限をかける措置を検討していることを明らかにした。各国の金融当局が国際テロ組織の資金源を断つために銀行口座凍結などの措置をとる中、中国当局もこれに合わせた動きを始めた模様だ。
 同関係者によると、高額の現金引き出しや送金、換金などでの検査を厳しくすることで、テロ組織資金のあぶり出しを狙うという。取引がはっきりしている日系企業の口座などについては「大きな影響を受けることはない」としている。
 中国は反テロでの国際協調を訴える一方で、国連主導での問題解決を訴えており、今回の措置は、国連安保理によるテロ組織の資産凍結を盛り込んだ「テロ包囲網強化」決議を受けたものとみられる。中国銀行は外国為替業務で国内最大のシェアを持つ国有商業銀行。[2001-10-05-07:13] 48
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 10/05@<テロ対策支援法案>「パキスタンに日の丸」 テロ2日後に(毎日新聞)

<テロ対策支援法案>「パキスタンに日の丸」 テロ2日後に=1 世界を揺るがした米同時多発テロから25日目。政府は5日に「テロ対策支援法案」を閣議決定し、パキスタンへの自衛隊派遣を想定した法整備を図る。「自衛隊を危険な所に出しちゃいけない、じゃ話にならなくなった」という小泉純一郎首相の言葉を体現した新法。その制定過程を検証する。
 テロ2日後の9月13日。首相官邸はテロ対策一色でざわついていた。前日、首相は米国への「強い支持」を表明し、13日には16日からの東南アジア歴訪延期を発表せざるを得なかった。報復の軍事行動必至の米国にどんな支援ができるかが、差し迫った課題だった。
 霞が関官僚のトップに立つ古川貞二郎官房副長官は、4人の官僚に対し午後5時にひそかに官邸2階の自室に来るよう指示した。記者に姿を見られたら「役所間の意思疎通のため」とはぐらかすよう申し合わせていた。
 集まったのは防衛庁出身の大森敬治官房副長官補、外務省の谷内正太郎総合外交政策局長、防衛庁の佐藤謙事務次官、内閣法制局の秋山収次長。90年の湾岸危機で、日本は130億ドルを拠出しながら、国際的に存在感が薄かったとの思いが共通にあった。古川氏は「湾岸戦争の轍(てつ)を踏んではいけない」と言って、日本の貢献策について論議を促した。
 自衛隊の後方支援が不可欠だった。想定される地域はアフガニスタン周辺。法的根拠を整理する必要があった。谷内氏がリードした。「インド洋やパキスタンを日本の『周辺』とは言えない。周辺事態法では限界がある」。防衛庁や与党の一部には、日米防衛指針(ガイドライン)に基づく周辺事態法の拡大解釈で乗り切れるとの意見もあった。一部メンバーを入れ替えながら、「5者会談」は14、15日と続いた。
 3日間の会議で、(1)周辺事態法をベースにした新法で対応する(2)武器・弾薬を輸送する――との基本方針が決まった。出席者の一人は「要は、パキスタンに日の丸が翻ることが重要だと確認し合った」と振り返る。
 15日夜、古川、大森両氏は福田康夫官房長官の自宅を訪ねた。福田氏は報告を了承し、翌16日には首相公邸で「新法で」との方針を首相に伝えた。国連平和維持活動(PKO)でもなく、日米安保条約でもない、「第3の道」によって自衛隊を海外派遣する動きが始まった。
 ■初動の混乱
 米同時多発テロの発生当夜(9月11日)、公邸にいた小泉純一郎首相は小野次郎秘書官(警察庁出身)から「テレビをつけてください」と電話連絡を受け、事件を知った。2機目が世界貿易センタービルに突っ込んだ瞬間、偶発的な事故の可能性は消えた。午後11時ごろからは福田康夫官房長官ら政府関係者が続々と公邸に集まってきた。
 公邸には三つの応接間がある。首相や福田氏らは「第一応接」に、一番広い「第三応接」には首相秘書官や省庁連絡チームら官邸スタッフ13人が詰めた。第三応接にはテレビがなく、別の部屋から運び込まれた。電話は各自の携帯。急ごしらえの対策本部だった。
 小野秘書官は国内の米軍施設の警備状況を、財務省出身の丹呉泰健秘書官は翌日に東京証券取引所を開くかどうかを、経済産業省出身の岡田秀一秘書官は米国の空港が閉鎖されたことに伴う航空貨物への影響を、それぞれ調べた。しかし、米国の状況はなかなかつかめず、首相らはただテレビ画面を見つめるしかなかった。自民党の麻生太郎政調会長や公明党の神崎武法代表ら、何をしていいか分からず漫然と公邸を訪ねる政治家で第一応接は混雑した。
 12日午前0時15分、上野公成官房副長官が報道陣の前で「米国の事件は卑劣かつ言語道断の暴挙」という首相声明を読み上げた。0時50分には福田氏が記者会見。政務の飯島勲秘書官は「声明の読み上げも、記者会見も首相にやらせたい」と主張したが、福田氏は「状況が判明しない段階では必要ない」と拒んだ。
 午前1時32分、初めて報道陣の前に姿を見せた首相は「(テロは)怖いね。予測不能だから」と緊張感のない言葉を残して再び公邸に入った。この晩、日本発のメッセージは災害への見舞いに近かった。
 ■立て直し
 12日未明の段階で主要国首脳会議(サミット)参加国の首脳が次々と米国支持を打ち出すのを知って、外務省は強い恐怖感にとらわれた。人的貢献がなかったことを理由に「日本はキャッシュ・ディスペンサー」とやゆされた湾岸戦争の屈辱感がよみがえった。
 13日午前11時半、谷内正太郎総合政策局長室で行われた同局幹部の緊急会議では「湾岸を繰り返すな」が合言葉になった。そもそも「湾岸の教訓」で誕生したのが同局だった。「日米関係にとって最終テストになる」という危機感が谷内氏らを突き動かしていた。一方で外務省不祥事への厳しい国民の目を考慮、同省主導の印象を与えないよう省内の限られたメンバーで準備が進められた。
 「新法による対米支援」という基本方針を首相が了承した翌日の17日、外務省の条約局幹部は極秘に新法の原案を書き上げ、首相官邸に届けた。(1)受け入れ国の同意を条件にした他国領土での活動(2)国連による武力行使容認決議を必要としない「主体的活動」――など最終案に盛られた法案の骨格は、この時点で出来上がっていた。自衛隊派遣を表明した19日夜の緊急首相会見のレールはすでに敷かれていた。
 外務省の名前を隠すように、法案の作成作業は大森敬治官房副長官補の下にある「有事法制チーム」が担当。21日には外務省と防衛庁から各3人がチームに加わった。首相官邸向かいの内閣府庁舎脇のプレハブ建物が新法を生む場所になった。
 ワシントンでも動きがあった。15日、柳井俊二駐米大使はふらりと米国務省を訪ね、知日派のアーミテージ副長官に面会した。柳井氏が「(テロ非難決議より)一層の国連決議が採択されたら、日本も協力しやすい」と述べると、副長官は「パーフェクト・イズ・エネミー・オブ・グッド(完璧を期そうとしたら元も子もなくなる)」と答えた。米国は新たな国連決議を求めないとの情報が東京にもたらされた。
 副長官はこの際に「ショー・ザ・フラッグ」とも述べたとされている。旗幟(きし)鮮明にするという慣用句だが、日本では「日の丸を見せてほしい」と誤訳されて伝わった。新法の実体は「対米協力」法案だった。
 政府内で対米支援策が具体化するとともに、小泉首相に強気の発言が目立ってきた。18日には憲法前文を引用して国際協力の必要性を説いた。13日の段階では「テロと戦う大統領を支持する」と間接的に語っていたが、緊急訪米した24日、ニューヨークの事件現場を視察した後には「ウィー・マスト・ファイト・テロリズム」と主体性を強調した。25日の日米首脳会談では「テロの発生以来、安全保障の考え方に変化があるのではないかと思う」と述べ、「日本は精神的に米英同盟と同じ」とまで語った。[2001-10-05-03:05]


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