最近のボスニア(旧ユーゴスラビア)情報

(09/16, 2001)


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◆ 09/12@<対米大規模テロ>アビアノ空軍基地など厳戒態勢に イタリ(毎日新聞)
◆ 09/12@ユーゴ大統領も非難(共同通信)
◆ 09/12@<社説>東ティモール PKO参加へ議論を尽くせ(毎日新聞)
◆ 09/12@<米同時テロ>ウサマ氏の関与が濃厚との見方示す 米当局筋(毎日新聞)
◆ 09/12@<米同時テロ>関与疑われるウサマ・ビン・ラディン氏(毎日新聞)
◆ 09/12@<米同時テロ>セキュリティの甘さを突いた 元英紛争テロ研(毎日新聞)
◆ 09/12@<米同時テロ>パレスチナ過激派の関与には慎重な見方(毎日新聞)
◆ 09/12@ラディン氏関与の見方強める 米政府の犯人像(朝日新聞)
◆ 09/12@<対米大規模テロ>ウサマ氏の関与有力視されるが、証拠なく(毎日新聞)
◆ 09/12@疑われるラディン氏の関与 国家ではできぬ戦争行為(共同通信)
◆ 09/12@東ティモールPKO派遣、自衛隊500人規模を検討(読売新聞)
◆ 09/12@<対米大規模テロ>外交評論家、国際関係学者の談話(毎日新聞)
◆ 09/12@パレスチナ過激派が一時犯行声明 本部が否定(朝日新聞)
◆ 09/12@米同時テロ、「唯一の超大国」に最悪の「挑戦状」(読売新聞)
◆ 09/12@<対米大規模テロ>強力な反米組織が関与しているのは確実(毎日新聞)
◆ 09/13@◎NATO、地上軍派遣計画を策定=アフガンへ数万人規模−(時事通信)
◆ 09/13@<米同時テロ>アフガンに地上軍をNATOが準備 英紙報道(毎日新聞)
◆ 09/13@<米同時テロ>NATO集団的自衛権 役割変化の象徴(毎日新聞)
◆ 09/13@アフガンに地上軍数万人 NATOが投入計画と英紙(共同通信)
◆ 09/13@コソボ、マケドニアも厳戒(共同通信)
◆ 09/13@回収作戦の第2段階終了 マケドニアでNATO(共同通信)
◆ 09/13@対米テロは対NATO攻撃 要請受け集団自衛権発動へ(共同通信)
◆ 09/13@ロシアで哀悼と連帯の輪 大使館に花束、兵士献血(共同通信)
◆ 09/13@国際交流基金賞、平山郁夫氏らに決まる (朝日新聞)
◆ 09/13@イラク大統領「事件は自業自得」(読売新聞)
◆ 09/13@タリバン支援か米捜査に協力か、パキスタン苦境に(読売新聞)
◆ 09/13@<米同時テロ>アラブ系人の居住住宅など8カ所を捜索 独警(毎日新聞)
◆ 09/13@<米同時テロ>ビンラディン氏をタリバンがひ護 米政府と対(毎日新聞)
◆ 09/13@<米同時テロ>米国の軍事報復に関心集まる ジレンマの大統(毎日新聞)
◆ 09/13@ドイツで米同時多発テロ関与のアラブ系人を拘束(読売新聞)
◆ 09/13@テロ実行犯、ビンラーディン氏と接点―米司法当局見解(読売新聞)
◆ 09/13@<米同時テロ>各国で包囲網を ウサマ氏関与重視 米国務長(毎日新聞)
◆ 09/13@<米同時テロ>NATO集団的自衛権 役割変化の象徴(毎日新聞)
◆ 09/13@米中、テロ対策強化で一致(読売新聞)
◆ 09/13@イスラム教徒への暴行事件相次ぐ 米国各地(朝日新聞)
◆ 09/13@<米同時テロ>各国に呼びかけてテロ包囲網 パウエル米国務(毎日新聞)
◆ 09/13@<米同時テロ>米と連携深める一方で国際協調も求める 欧州(毎日新聞)
◆ 09/13@テロ非難決議を採択 国連総会(朝日新聞)
◆ 09/13@国連子供総会は無期延期に(共同通信)
◆ 09/13@米要請あれば集団的自衛権行使、テロでNATO声明(読売新聞)
◆ 09/13@背後グループの数人聴取 当初の標的は大統領 米中枢同時テ(共同通信)
◆ 09/13@同時テロで国連安保理決議…非難と法的措置求める(読売新聞)
◆ 09/13@<米同時テロ>非難決議を全会一致で採択 国連安保理(毎日新聞)
◆ 09/13@安保理がテロ非難決議 「必要な措置取る」(共同通信)
◆ 09/13@対米テロは対NATO攻撃 要請受け集団自衛権発動へ(共同通信)
◆ 09/13@<米同時テロ>「自由の国」のジレンマ 北米総局長・中井良(毎日新聞)
◆ 09/14@「理性的な対応を」 米テロで平和団体などが声明(朝日新聞)
◆ 09/14@NATO、対アフガン軍事作戦検討を開始(読売新聞)
◆ 09/14@<タリバン動揺>身柄引き渡し拒否すれば自体が攻撃対象にな(毎日新聞)
◆ 09/14@<米同時テロ>焦点は武力行使のタイミングに(毎日新聞)
◆ 09/14@<米同時テロ>パ大統領がアフガン情勢で関係閣僚らと対応協(毎日新聞)
◆ 09/14@<NATO>武力行使の時期、米国の出方待つ (毎日新聞)
◆ 09/14@独、米で周到にテロ準備 ビルに突っ込んだ男たち(共同通信)
◆ 09/14@独で拘束の実行犯?2人、地味な庶民生活(読売新聞)
◆ 09/14@<米同時テロ>タリバンと協議へ パキスタン軍代表が出発(毎日新聞)
◆ 09/14@<米同時テロ>テロ封じ込めへ米国と協力強化 中国副首相が(毎日新聞)
◆ 09/14@国連大使急きょ承認 テロ受け米上院外交委(共同通信)
◆ 09/14@<米同時テロ>伊外相、軍事協力には慎重(毎日新聞)
◆ 09/14@カブールからアラブ人など避難 早期報復の憶測で(朝日新聞)
◆ 09/14@ロは軍事行動の計画ない(共同通信)
◆ 09/14@同姓同名に治安当局関心 突入機操縦とバス爆破犯(共同通信)
◆ 09/14@米が国威懸ける軍事報復 真の狙いはタリバンか(共同通信)
◆ 09/15@米議会も異例の「全会一致」 制御きかない危険も(共同通信)
◆ 09/15@米軍、多難な報復作戦(読売新聞)
◆ 09/15@「隣国にも報復」 タリバーンがパキスタンをけん制(朝日新聞)
◆ 09/15@東ティモールで制憲議会招集、初閣議は延期(読売新聞)
◆ 09/15@<米同時テロ>武力行使容認を決議 米上下院(毎日新聞)
◆ 09/15@邦人ら相次いで出国 アフガニスタン・パキスタン(朝日新聞)
◆ 09/15@テロ実行犯19人、各地で航空操縦学び潜伏(読売新聞)
◆ 09/15@容疑者19人の横顔 米同時多発テロ (朝日新聞)
◆ 09/15@<東ティモール>初の制憲議会が開会 88人が新憲法を審議(毎日新聞)
◆ 09/15@4部門からなる大組織 アフガンのゲリラキャンプ(共同通信)
◆ 09/15@米攻撃に協力すれば報復 タリバンが隣接国に警告(共同通信)
◆ 09/15@米国代表が反対演説せず 台湾の国連加盟(共同通信)
◆ 09/15@独立へ向け制憲議会が開会 東ティモール(共同通信)
◆ 09/15@タリバーン本拠「出歩く人減った」 脱出の邦人語る(朝日新聞)
◆ 09/15@ビンラーディン引き渡し、パキスタンは板挟みの苦悩(読売新聞)
◆ 09/15@米の攻撃準備本格化で、タリバン存亡へ岐路(読売新聞)
◆ 09/15@在日米軍、増す緊迫 一部すでに中東へ (朝日新聞)
◆ 09/15@報復攻撃可能性が高まるアフガンから邦人脱出(読売新聞)
◆ 09/15@テロ犯追及―文明の衝突にするな(朝日新聞)
◆ 09/16@パキスタンの国境封鎖 餓死者増加を懸念(朝日新聞)
◆ 09/16@「テロは、米の政策ミスの代償」、仏で指摘も(読売新聞)
◆ 09/16@<ビンラディン氏>アフガンに依然、潜伏か 米の衛星追跡は(毎日新聞)
◆ 09/16@<米同時テロ>3日以内にビンラディン氏引き渡しを パキス(毎日新聞)
◆ 09/16@<ビンラディン氏>過去2度、濃縮ウラン入手試みる 英日曜(毎日新聞)
◆ 09/16@タリバン包囲網狭める ビンラディン氏は関与否認(共同通信)
◆ 09/16@地上軍投入も「選択肢」 ビンラディン氏名指し非難 米大統(共同通信)
◆ 09/16@<アフガニスタン>餓死者、百万規模の危険 米の報復を前に(毎日新聞)
◆ 09/16@タジキスタン、基地提供を否定(共同通信)
◆ 09/16@<米同時テロ>米軍事作戦への各国反応 (毎日新聞)
◆ 09/16@<米同時テロ>「報復攻撃」今後のシナリオは(毎日新聞)
◆ 09/16@<米同時テロ>テロ組織とどう戦うのか 米軍事専門家に聞く(毎日新聞)
◆ 09/16@米に自制要求―イラン各紙(共同通信)
◆ 09/16@餓死者数百万規模の危険 緊張のアフガニスタン(共同通信)
◆ 09/16@単独会見の仲介料は25万ドル ビンラディン氏を追う(朝日新聞)
◆ 09/16@岐路に立つムシャラフ政権 タリバンとの決別なるか(共同通信)
◆ 09/16@米に潜伏、周到な準備、目立つ血縁者 テロ容疑者(朝日新聞)
◆ 09/16@パキスタン、米の作戦に全面協力(読売新聞)
◆ 09/16@「敵か味方か」迫る米 テロ契機に新外交(共同通信)
◆ 09/16@地上軍投入も「選択肢」 新たに男1人を逮捕 死者不明5千(共同通信)
◆ 09/16@アフガニスタン包囲網着々 イラン、米と連携も(朝日新聞)
◆ 09/16@欧州議会に毒ガステロ計画 英国内に数十人が潜伏(共同通信)
◆ 09/16@<アフガン>国連職員が緊急脱出 報復を直感、緊張走る(毎日新聞)

 (注)この「最近のボスニア」コーナーは、一般に報道されている記事に、千田が一部手直しして掲載しているものです。出所は明示しており、各社・各記者の著作権を侵害するつもりはありませんが、著作権上問題があるとお考えの方や、自分(自社)の記事は載せないでほしいという方がいらっしゃれば、このホームページの感想もふくめて、千田あてに連絡してください。
 千田あての電子メールはここをクリックしてください。  [最初のページに戻る]


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 09/12@<対米大規模テロ>アビアノ空軍基地など厳戒態勢に イタリ(毎日新聞)

 【ローマ井上卓弥】地中海地域に展開する米軍の主要軍事施設があるイタリアでは11日、北部のアビアノ空軍基地や南部シチリア島のシゴネッラ空海軍基地で厳戒態勢に入った。
 アビアノ基地は99年のユーゴスラビア空爆の出撃拠点、シゴネッラ基地は91年の湾岸戦争時に軍事物資輸送の拠点となった経緯がある。イタリア政府は同日夜、緊急閣議を開いて米軍関連施設のテロ対策について協議した。 [2001-09-12-09:45] 2
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 09/12@ユーゴ大統領も非難(共同通信)

 【ウィーン12日共同】ベオグラードからの報道によると、一九九九年に米軍主体の北大西洋条約機構(NATO)軍の空爆を受けたユーゴスラビアでは十一日、米中枢同時テロに対し、コシュトニツァ大統領が「非難する適切な言葉もないほどだ」と強く非難した。
 しかし、セルビア統一党のペレビッチ党首は独立系ベタ通信に「テロはばかげたことだが、私はNATOの空爆で死んだ少女のことを思い出さざるを得ない。NATOのテロで数千のセルビア人が死んだのだ」との声明を寄せ、米国への複雑な心境を明かした。(了)[2001-09-12-07:19] 3
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 09/12@<社説>東ティモール PKO参加へ議論を尽くせ(毎日新聞)

 東ティモールは、憲法を制定する議員88人を、流血の事態を起こすことなく選出した。来年4月の正式な独立に向けて大きな一歩を進めたことを、評価したい。
 75年にポルトガル領から離れたこの国は、翌年、インドネシアの併合を許した。政治・言論活動が弾圧され、虐殺もあったが、独立回復を待ち続けた。
 独立の賛否を問う99年の住民投票は、軍と警察を後ろ盾とする併合維持派民兵が威嚇する中で行われた。8割がインドネシアからの独立回復に賛成したが、国連の選挙監視団がいながら、独立派住民は、民兵に各地で殺された。民家や公共施設は破壊と焼き打ちにあい、25万人が難民となった。
 今回の選挙は、自由で平穏に行われた。有権者42万人、16の政党が名乗りをあげ、定数88に1000人が立候補した。犠牲者は一人もなく、投票率は2年前を上回る93%。民主化が軌道に乗り始めた証(あか)しといえる。国連東ティモール暫定統治機構(UNTAET)が管轄し、平和維持軍(PKF)と警察が治安を確保、選挙監視団が側面から支えた。しかし、80万国民が独立と平和を渇望したからこそ、無事終えたのだろう。
 民族や宗教対立から、旧ユーゴのように血を流しながら国家が四分五裂になっていく時代、一から国造りを進め、それを国際社会が後押しすることは意義のあることだ。憲法の制定と、大統領を選ぶ段階にまでこぎつけた。しかし、自立への道は平たんではない。
 インドネシア領西ティモールにいる10万人の難民は、かつて親インドネシアだった人々が多く、帰還と和解が課題だ。残虐行為を働いた民兵は裁判や社会奉仕で責任を問うが、今後も社会に混乱を招く恐れを残している。有力者の間では、大統領権限など憲法制定をめぐる非難、利権の争い、配下の人間を行政府に送り込んで住民の反発を買うなどの動きもある。
 経済問題はさらに険しい。インドネシア時代、同化政策によって補助金漬けにされ、主な公共サービスはただだった。今、外貨を稼げるのはコーヒーだが、加工して付加価値を付けるすべを持たない。ティモール海に眠る石油と天然ガスも、産出量が明確でない。
 日本はアジアの一員として、各国が支援する5億ドルのうち最大の1億ドルを引き受けた。発電所を直し、国際機関のコメ増産計画に協力、日本を含むNGO(非政府組織)の農業や医療活動を支援している。しかし、「カネは出すが、人を十分出していない」という、人的貢献の弱さを否定できない。平和維持活動(PKO)への自衛隊参加である。国連と東ティモールの双方が期待を示している。
 自衛隊を派遣したカンボジアの場合と比較すると、現在の東ティモールに戦闘に発展するような本格的な武器はないし、政治対立も武力衝突に至る深刻さはない。憲法上の制約を踏まえたうえで、参加の形態、武器使用のあり方を国会で十分議論し、最もふさわしい道を整える必要がある。 [2001-09-12-00:05] 1
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 09/12@<米同時テロ>ウサマ氏の関与が濃厚との見方示す 米当局筋(毎日新聞)

 【ワシントン布施広】米国で11日起きた同時多発テロで、米当局筋はイスラム原理主義過激派の黒幕、ウサマ・ビン・ラディン氏の関与が濃厚との見方を示した。今回のような大掛かりなテロには資金力と組織力が必要な上、乗っ取られた航空機にウサマ氏と関係があるとみられるイスラム過激派が搭乗していたとの情報もあるためだ。だが、最近の対米テロでは、同氏の関与が指摘されながらも、これを裏付ける証拠は出ておらず、今回も犯人特定は難航する可能性がある。
 事件発生当初に疑われたのは、パレスチナ急進派だった。パレスチナ解放人民戦線(PFLP)は先月末、ムスタファ議長をイスラエルに暗殺され、対米報復も予告していたからだ。
 事件直後、同じ急進派のパレスチナ解放民主戦線(DFLP)と名乗る人物が犯行声明を出したが、その後DFLPは公式に関与を否定した。アラファト・パレスチナ自治政府議長もテロを強く非難する声明を発表した。
 パレスチナ側がブッシュ政権の中東政策に不満をたぎらせているのは確かだ。だが、中東政策を遂行するのは国務省やホワイトハウスであり、国防総省は主管官庁ではない。国防総省や世界貿易センタービルを標的としたことは、犯人の狙いがパレスチナ問題に限定されたものではなく、より広い意味で世界に反米メッセージを訴えることにあったことをうかがわせる。
 そこで浮上するのがウサマ氏だ。アフリカの米大使館連続爆破(98年)、イエメン沖での米艦爆破(00年)などで、同氏は事件との関与が指摘されている。大使館爆破の報復として、米軍は犯行グループの拠点があるとして、アフガニスタンとスーダンの施設を巡航ミサイルで攻撃した。今回、ウサマ氏が「報復の報復」として、国防総省を狙ったとの見方は納得のいくものだ。
 国際的に反米組織を張り巡らし、多数の訓練された軍事メンバーを抱えるウサマ氏が、今回のような大規模テロを敢行するのは可能だ。だが、米艦爆破事件では、同氏が関与した疑いが濃厚ながら、物的証拠や証言がなく、捜査は暗礁に乗り上げたままだ。死傷者数千人にのぼるとみられる今回のテロでは犯人グループ追及に米国の威信がかかっているが、仮にウサマ氏の息がかかる組織のメンバーを拘束しても、命令系統をさかのぼって同氏の関与を立証するのは容易ではないとみられる。 [2001-09-12-13:15] 7
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 09/12@<米同時テロ>関与疑われるウサマ・ビン・ラディン氏(毎日新聞)

 【イスラマバード春日孝之】米国の同時多発テロ事件で、米当局者など治安専門家が真っ先に関与を疑うのが、国際テロの黒幕、ウサマ・ビン・ラディン氏だ。米政府が「世界で最も危険なテロリスト」と呼ぶ人物で、世界に張り巡らされたイスラム過激派ネットワークを持つ。パレスチナ情勢の悪化を受けた反米感情を背景に大規模テロを敢行したとの見方だ。
 11機もの航空機を一挙にハイジャックし、ワシントンとニューヨークという2大都市で同時テロを起こすだけの大胆かつ周到な計画。また、実行部隊は、乗客もろとも自爆する高い殉教精神を備えていたとみられる。ウサマ氏が疑われる最大の理由は、それら犯行の規模とテロ敢行の熟度にある。
 ウサマ氏は79年のソ連軍侵攻に伴うアフガン戦争で、ジハード(聖戦)を掲げて戦うアフガン・ゲリラにアラブ義勇兵として参加し、国際的な支援組織「アルカイダ」を結成した。91年の湾岸戦争で、米軍がイスラムの聖地があるサウジアラビアに進駐したのを機に反米に転換。ジハード(聖戦)思想に傾倒したアラブ帰還兵らと国境を超えた連携を強めていく。いわゆる「アフガン・ネットワーク」である。
 ネットワークは今年に入り、さらに強化された。「アルカイダ」はエジプトのイスラム原理主義組織「ジハード団」と合併、名前を「アルカイダ・アルジハード」とした。軍事メンバーの規模は4000人とも5000人とも言われる。
 もともと「アルカイダ」の前身はニューヨークにあった「アフガン難民支援センター」だ。93年にニューヨークで起きた世界貿易センタービル爆破事件では、エジプト出身のイスラム過激派約20人が逮捕された。ウサマ氏が背後で操っていたともみられており、米国に多数の足場があったことは間違いない。
 ウサマ氏は今、イスラム原理主義勢力のタリバン政権にひ護されているが、米国とインドの情報機関によると、軍事訓練施設の多くが事実上、ウサマ氏のグループに占拠され、タリバンの政策決定にも大きな影響を及ぼすまでになっているという。
 ウサマ氏の最近の言動も注目される。98年のアフリカの米大使館同時爆破事件で、同氏は米国から「テロの黒幕」と断定、潜伏先にミサイル攻撃を受けた。以来、鳴りを潜めていたか、昨年10月、「私が生きている限り、イスラムの敵に安らぎはこない」との声明を出し、米国への徹底抗戦を改めて宣言した。これは、昨年9月末以降、イスラエルとパレスチナとの衝突が激化し始めた時期と重なるのだ。
 今年6月には、自動小銃を手に「仲間になってジハードに備えよ」と呼びかけるテロ活動家の募集用ビデオが大量に流れた。
 一方、パキスタン北部ペシャワル近郊にあるイスラム原理主義勢力のマドラサ(宗教学校)のサミウル・ハク学長は、毎日新聞に対し、昨年来、ウサマ氏の要請で再三、同氏と密会を重ねてきたと明かした。目的は不明だが、同氏は「(自分を追跡する)米国の情報機関はばかだ。決して自分は捕まらない」と豪語しているという。このマドラサは、世界のイスラム原理主義勢力との連携を強化し、パレスチナの原理主義組織「ハマス」などのメンバーも頻繁に訪れている。 [2001-09-12-11:45] 9
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 09/12@<米同時テロ>セキュリティの甘さを突いた 元英紛争テロ研(毎日新聞)

 ◆ウィリアム・ガトリッジ元英紛争・テロリズム研究所所長(アストン大名誉教授)の話
 米国の空港のセキュリティが非常に甘い点を衝いた犯行だ。米情報機関の驚くべき失態でもある。何らかの情報はつかんでいたはずだが、慢心で十分な対応がなされなかったのかもしれない。テロを未然に防ぐには、早い段階の情報把握が最も有効だ。
 事件の背景には恐らくイスラム原理主義勢力のネットワークがあり、その中にサウジアラビア出身でアフガニスタンにいるウサマ・ビン・ラディン氏も入るのだろう。原理主義勢力は非常に多様で、反米闘争がウサマ氏ら少数者で組織されているわけではない。米国が犯行組織を一つに絞り込むのは極めて困難な作業だろう。
 通常、イスラム原理主義勢力の自爆テロは、あまり教育を受けていない若者らが実行犯になるものだ。しかし、今回は乗っ取った飛行機を操縦していると見られる点からも、実行犯は相当な教育レベルにあり、極めて綿密な計画に基づく犯行であることがうかがえる。
 懸念されるのは、98年にケニアとタンザニアで発生した米大使館同時爆破テロ事件の際に、ウサマ氏を保護するアフガニスタンなどにミサイル攻撃で報復したように、米国が拙速で劇的な反応を示すことだ。武力で問題を解決するのは不可能で、軍事行動による報復は事態を悪化させるだけである。
 今回の事件は、我々の社会がいかにテロリストの攻撃から無防備であるかを改めて見せつけた。英国など米国の同盟国がテロの標的になる可能性もある。世界はかつてないほど危険な状況に置かれていると警告せざる得ない。【ロンドン・笠原敏彦】
 ◆ジェイムズ・リンゼイ・ブルッキングス研究所上級研究員の話
 ブッシュ政権の外交は世界各地で批判されているが、だからといって、反米意識がこのテロに結びつくわけではないと希望する。
 米国に対し宣戦布告がなされたが、今言えるのは、だれによるものかわからないということだ。「報復爆撃しろ」という声が出るだろうが、だれの責任かをまず突きとめなければならない。アラブのテロリストだと証明されていない結論に飛びつくべきではない。
 95年に発生、168人が犠牲になったオクラホマシティの連邦ビル爆破テロの直後もアラブゲリラ説が疑われたが、右翼の米白人の犯行だった。
 米国や日本など民主主義で開かれた国は、どこでもこうしたテロ攻撃には弱い。今回、2機の飛行機が突っ込んだ世界貿易センターは93年に車爆弾テロの標的にされたし、日本でもオウム真理教のテロがあった。だれも望まないがこれが現実なのだ。
 米国民は捜査当局の捜査を忍耐強く待つしかない。【ワシントン中井良則】 [2001-09-12-11:25] 14
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 09/12@<米同時テロ>パレスチナ過激派の関与には慎重な見方(毎日新聞)

【エルサレム海保真人】米国での同時多発テロでは、イスラエルと衝突渦中にあるパレスチナ過激派の関与もとりざたされている。だが、パレスチナ解放機構(PLO)の主要な急進派組織は11日、次々と関与を公式に否定した。国際社会の支援なしではイスラエルとの政治的闘争に勝利できないことから、パレスチナ過激派の関与には慎重な見方が強まっている。
 PLO急進左派の筆頭格であるパレスチナ解放人民戦線(PFLP)の幹部は「我々はシオニスト(ユダヤ民族主義者)のイスラエルと戦うことを主眼としている」と、米へのテロを否定した。また、一時は犯行声明を出したと報道されたパレスチナ解放民主戦線(DFLP)の幹部も「我々の敵は、占領を続けるイスラエルとユダヤ人入植者であり、パレスチナ領土以外での戦闘には関心がない」と述べ、関与を全面否認した。
 PFLPはムスタファ議長をイスラエル軍のミサイル攻撃で暗殺され、一部の幹部が「米をも標的にする」と発言したと伝えられていた。だが、パレスチナ組織にとって、多数の外国人を巻き添えにする無差別殺りくは国際社会の支援を失うことにつながり、「逆効果」だ。また、90年代以降、質実とも弱体化した両組織に、領土外、特に米で大規模テロを実行する機動力や能力はないとの見方が有力だ。
 イスラエルの情報機関関係者は、「今回のテロでは、下見や準備を含め少なくとも200人の要員が必要」と指摘しており、パレスチナ自治政府高官は「パレスチナの組織にこんなことをできる能力はない」と感想を漏らした。 [2001-09-12-10:45] 18
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 09/12@ラディン氏関与の見方強める 米政府の犯人像(朝日新聞)

 米政府は11日夕現在(日本時間12日午前)、世界貿易センターや国防総省を狙った同時多発テロの犯人像について、公式には明らかにしていない。ラムズフェルド国防長官は「大統領が適当なときに話すことになる」と語った。
 だが、AP通信によると、米政府当局者は、アフガニスタンに本拠を置くサウジアラビア出身のイスラム過激派指導者、オサマ・ビン・ラディン氏が「容疑者のトップリストに入っている」と語り、同氏の組織が関与している疑いが強いとの見方を強めている。
 上院司法委員会のハッチ議員(共和党)は、ハイジャックされた旅客機にラディン氏の組織と関係がある人物が乗り込んでいたことを米司法当局がつかんでいると話した。ロイター通信は政府筋の情報として、ハイジャックされた旅客機の乗客名簿のなかに、ラディン氏の組織に関与している疑いのある複数の名前が載っていたと報じた。
 米CNNテレビは米政府当局者の話として、ラディン氏の支持者らがテロ攻撃について話し合っているのを米情報機関が傍受したと伝えた。この当局者は一連のテロ攻撃後に収集された情報に、ラディン氏の関与を示す「多くの兆候」があると述べている。ただ、同時に他の組織による攻撃の可能性も排除しない、とも語っているという。
 また、ピッツバーグ付近で墜落した旅客機の乗客が、機内から母親にかけた電話で「3人の男に乗っ取られた」と伝えていたことがわかった。AFP通信が、伝えた。
 この男性は機内備え付けの電話機で電話をかけていたらしい。母親は「電話の背後で大きな騒ぎ声が聞こえた」と話しているという。
 「これだけ巧妙で大規模な攻撃を米国に仕掛けられる集団は限られている。おそらくラディン氏の作戦ではないか」と連邦捜査局(FBI)でテロリスト対策を担当したことがあるロバート・ブリッツアー氏は推測する。
 犯人は、米経済の象徴であるウォールストリートに近い世界貿易センターと、世界最強の米軍の象徴であるペンタゴンのビルを狙った。「米国の象徴をたたける能力を世界に誇示し、米国民をパニックに陥れることが目的」と、テロ問題の専門家であるブライン・ジェンキンズ氏は見る。
 すでに、元政府高官らは同時多発テロへの報復を口にしている。ホルブルック前国連大使は「ラディン氏は様々な国を隠れみのにして活動しているので、組織の実態についての知識は米政府も限られている。だが、かくまう国も戦争行為に加担していると考えるべきだ」と語る。
 米中央情報局のウールジー元長官は「犯人を特定するほどの情報はない。イラク政府の仕業かもしれない」と語っている。[2001-09-12-10:24] 23
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 09/12@<対米大規模テロ>ウサマ氏の関与有力視されるが、証拠なく(毎日新聞)

 【ワシントン布施広】米国で11日起きた同時多発テロは、イスラム原理主義の黒幕、ウサマ・ビン・ラディン氏の関与が有力視されている。大掛かりなテロには資金力と組織力が必要で、これを敢行できるのはウサマ氏だけとの見方が強い。しかし、最近の対米テロでは、同氏の関与が指摘されながらも、これを裏付ける証拠は出ておらず、今回も犯人特定は難航する可能性がある。
 事件発生当初に疑われたのは、パレスチナ急進派だった。パレスチナ解放人民戦線(PFLP)は先月末、ムスタファ議長をイスラエルに暗殺され、対米報復も予告していた。
 事件直後、同じ急進派のパレスチナ解放民主戦線(DFLP)と名乗る人物が犯行声明を出したが、その後DFLPは公式に関与を否定した。アラファト・パレスチナ自治政府議長もテロを強く非難する声明を発表した。
 パレスチナ側がブッシュ政権の中東政策に不満をたぎらせているのは確かだ。しかし、中東政策を遂行するのは国務省やホワイトハウスであり、国防総省は主管官庁ではない。国防総省や世界貿易センタービルを標的としたことは、犯人がパレスチナ問題に限定されない、より広い意味での反米組織であることをうかがわせる。
 そこで浮上するのがウサマ氏だ。最近の対米テロとしては、アフリカの米大使館連続爆破(98年)、イエメン沖での米艦爆破(00年)などがあり、同氏は二つの事件との関与が指摘されている。大使館爆破の報復として、米軍はアフガニスタンとスーダンの施設を巡航ミサイルで攻撃したが、同氏は「報復の報復」として、国防総省を狙ったとの見方は有力だ。
 サウジ出身の富豪であり、国際的に反米組織を張り巡らすウサマ氏が、今回のような大規模テロを敢行するのは可能だ。しかし、たとえウサマ氏の息がかかる組織のメンバーを拘束しても、命令系統をさかのぼって同氏の関与を立証するのは容易ではない。特に米艦爆破事件では、同氏が関与した疑いが濃厚ながら、物的証拠や証言がなく、捜査は暗礁に乗り上げたままだ。 [2001-09-12-10:00] 30
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 09/12@疑われるラディン氏の関与 国家ではできぬ戦争行為(共同通信)

 【ダマスカス12日共同】十一日の米中枢同時テロが反米組織による犯行だとすれば、一九九八年八月のケニア、タンザニアの米大使館同時爆破事件を仕掛けたとされるサウジアラビア出身の富豪ウサマ・ビン・ラディン氏の関与が真っ先に疑われるのは必然的なことだろう。
 アフガニスタンを実効支配する原理主義勢力タリバンの保護下にあるラディン氏は、豊富な資金力を持ち、中東、北アフリカから西南アジアまでの広範な地域で、テロ活動のネットワークを維持しているとされる。
 その主張が反米一辺倒である点も特異だ。「反イスラエル」の武装闘争が必ずしも「反米」に結びつかないパレスチナの過激派組織とは隔たりがある。
 ラディン氏のネットワークは、米大使館同時爆破事件の後、昨年十月のイエメン沖での米駆逐艦爆破事件も成功させたとされる。いずれの事件も犯行声明は出ておらず、今回の事件とは類似性がある。
 米国が「テロ支援国家」として指定している国はイラン、イラク、リビア、シリア、スーダンなど七カ国。いずれも政府機能をもつれっきとした国家であり、米国の反応を想像すれば、今回のような国家の消滅をかけた「戦争行為」には及び難いだろう。
 その点、ラディン氏の潜伏先のアフガニスタンは国家の体をなしていない。広大な国土に武装ゲリラが散在していると言ったほうが適切だ。米大使館同時爆破事件に対する米国の大規模な報復攻撃でも、ゲリラ訓練キャンプで二十人余りが死亡した以外、大きな成果を挙げていない。(了)[2001-09-12-08:31] 37
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 09/12@東ティモールPKO派遣、自衛隊500人規模を検討(読売新聞)

 政府は11日、東ティモールの独立に合わせ、新たに展開される国連平和維持活動(PKO)について、500人規模の自衛隊の施設部隊を派遣する方向で検討に入った。実現すれば92年のカンボジア(600人)に次ぐ規模となる。国連平和維持隊(PKF)の本体業務には加わらず、現行のPKO協力法の枠内で派遣する方針だ。
 政府・与党は27日に召集される臨時国会で、PKF本体業務への参加凍結を解除するためのPKO協力法改正案を提出する方向だが、東ティモールについては、現行法の枠内でも対応が可能と判断している。「治安情勢は安定しており、復興支援業務が中心になる」(政府筋)と見られるためで、政府としては、後方支援業務を行う方針だ。来春をめどに部隊を派遣することにしている。来月にも正式決定する予定。 [2001-09-12-04:40] 40
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 09/12@<対米大規模テロ>外交評論家、国際関係学者の談話(毎日新聞)

 外交評論家の森永和彦さんの話 ニューヨークは中東から見ると、ユダヤ資本が集まっているという印象が強く、別名「ジュー(ユダヤ人)ヨーク」とも呼ばれている。マンハッタンはその象徴的な存在だ。イスラエルとパレスチナは今、完全に行き詰まった状態。テロは解決策を探すアラファト議長に反対する勢力が起こしたと見られるが、反対勢力は双方にあるので、犯行声明をそのまま信じるのは情勢を見誤る危険性がある。どちらにしても、状況はいよいよ泥沼化する。テロによる解決はあり得ないことを何とか世界に示さなければならない。
 吉田康彦・大阪経法大教授(国際関係論)の話 テロは断固排除すべきだ。しかし、これがパレスチナ側のテロなら、イスラエル・シャロン政権のタカ派政策を後押ししたブッシュ政権にも原因がある。米国が武力で対抗すれば、全世界のイスラム勢力が反米で大同団結し、紛争は全世界に拡大しかねない。ブッシュ大統領は冷静に、中東和平交渉に本腰を入れる必要がある。
 ブッシュ大統領は、中東和平の仲介役を果たしたクリントン政権と違い、イスラエル寄りの立場に転じてパレスチナへの弾圧政策を支持した。これが、パレスチナの人々に「目には目を、テロにはテロを」という考えを呼び、時代の針が逆戻りした。国際平和と安全を脅かす重大な局面だ。
 松本博一・元日本大教授(国際関係学)の話 パレスチナ解放民主戦線の本部は犯行声明を否定している。偽装テロの可能性もあるかもしれない。クリントン前大統領は中東和平に積極的に介入したが、ブッシュ政権になり、そうした努力が後退している。それに対する不満が今回のテロを引き起こしたのではないか。 [2001-09-12-03:20] 44
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 09/12@パレスチナ過激派が一時犯行声明 本部が否定(朝日新聞)

 米国で11日に起きた同時多発テロについて、中東では様々な情報が飛び交っている。事件直後に一時、パレスチナの過激派組織から犯行声明が出たとされたが、すぐに本部が否定した。それに代わって、これほどの大規模なテロ行為を、直接米国を標的にして行う組織として、「米国への聖戦」を宣言し、アフガニスタンに本拠地を置くサウジアラビア人のオサマ・ビン・ラディン氏に率いられる過激派グループの可能性が浮上している。
 事件直後に犯行声明を欧州の通信社に出したのは、パレスチナ解放機構(PLO)過激派であるパレスチナ解放民主戦線(DFLP)だった。その後、ダマスカスのDFLP本部スポークスマンが、関与を否定した。
 自治政府のアラファト議長は事件後、事件について「恐ろしい出来事である」としてテロを非難する声明を出した。
 パレスチナ自治政府筋は、「米国に対してこれほど大規模なテロ活動を行うことができる組織は、PLO傘下にはいないだろう」と語った。
 しかし、イスラエル軍によるパレスチナ自治区の封鎖や攻撃に対する反発を強め、「ユダヤ人と十字軍に対する国際イスラム聖戦」機構を設立したラディン氏の関与を疑う声が出始めている。米国を敵視し、大規模なテロを行うことができる組織力、資金を持つ過激派組織は、国際的には、ラディン・グループが知られている。
 同グループは、93年に世界貿易センタービルへの爆破テロを行ったエジプトやヨルダンのイスラム過激派グループに資金援助した疑いがあり、さらに98年10月のケニアとタンザニアの米大使館爆破テロや昨年10月にイエメンで起きた米イージス艦爆破テロなど、大規模な対米テロに関与していたとされる。
 元々、建設会社を経営するサウジ人の大富豪の息子として、旧ソ連軍のアフガン侵攻に対するアラブ諸国から武装抵抗運動に加わった「ムジャヒディン」(イスラム戦士)を組織し、「アルカイダ(基地)」を設立し、湾岸戦争後は、米軍のサウジ駐留を非難し、96年のサウジ東岸のアルコバールの米軍住宅爆破に関与したとされる。
 ラディン氏は、過激派として母国への帰国を拒否されているイスラム戦士たち「アフガン・アラブ」に資金援助し、米国よりのサウジアラビアやエジプトなどの反体制過激派グループの後ろ盾になっている。
 98年2月には、エジプトの過激派ジハド団(イスラム聖戦)やイスラム集団の指導者とともに、「米国人に対する聖戦」を訴えるファトワ(宗教見解)文書を出した。文書では、サウジアラビアへの米軍の派遣、イラクのイスラム教徒への敵対政策、パレスチナの民衆と聖地を侵害するユダヤ人国家(イスラエル)への支援−−を攻撃の理由としている。
 米国のニューヨーク連邦地裁は、アフリカでの米大使館爆破事件に関連し、ラディン氏の指示を受けたとされる過激派4人を有罪と認定した。同氏はタリバーン支配下のアフガニスタンに潜伏しているとされ、国連安保理は昨年12月、ラディン氏の引き渡しに応じないタリバーン政権に制裁を決議した。この春以来、パレスチナの武装勢力とイスラエル軍の衝突が激しくなるなかで、米政府は中東地域で繰り返し、テロ警戒態勢をとってきた。[2001-09-12-03:03] 47
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 09/12@米同時テロ、「唯一の超大国」に最悪の「挑戦状」(読売新聞)

 【ワシントン11日=林路郎】米史上最悪の同時テロが米国の首都ワシントンと米最大の都市、ニューヨークを襲った。テロの標的は、連邦政府ビル、米国防総省、世界貿易センターなどいずれも米国の「力」を象徴する施設だ。米国はこれまでも世界各地でさまざまなテロにさらされてきたが、冷戦終結後、「唯一の超大国」となった米国に最悪の「挑戦状」が突き付けられた。
 米国を標的とした最近のテロには、昨年10月、イエメンのアデン港に寄港中だった米海軍所属のミサイル駆逐艦「コール」を狙い、ゴムボートが爆発、乗組員ら約50人が死傷した事件がある。イスラム過激派の関与が取りざたされている。
 98年8月には、ケニアとタンザニアの米大使館が相次いで爆破され、計5000人以上が死傷。米司法当局は、サウジアラビア出身のイスラム原理主義者オサマ・ビンラーデン氏率いる過激テロ組織「アル・ケーダ」のメンバーらを起訴した。
 96年6月には、サウジアラビアの米軍住宅が爆破され、500人以上が死傷。11日に爆破されたニューヨークの世界貿易センターは93年2月にも、地下駐車場で爆弾が爆発するテロ攻撃に見舞われたが、エジプト出身のイスラム原理主義過激派ら20人による犯行だった。
 こうしたテロの背後に常にちらつくのは、ビンラーデン氏に代表される宗教的信念に基づく過激派だ。米国の掲げる民主主義、市場主義経済などの価値観に真っ向から挑戦しているばかりではなく、中東などの紛争地域で実際に米国と軍事対立を引き起こしている。
 中でも、イスラム過激派の関与が疑われるテロは頻発しており、今回の一連のテロ事件解明にあたっても、米国内ではイスラム原理主義勢力の関与に真っ先に疑いの目が向けられることになろう。
 米国がテロの標的とされる一因は、冷戦終結後唯一の超大国として、国際紛争の場で、指導的役割を果たすことが多いからだ。また、アフリカの米大使館同時爆破事件ではアフガニスタンとスーダンに巡航ミサイルを撃ち込むなど、テロリストに絶対屈しないという政策的姿勢を貫いていることもある。
 加えて、今年1月発足したブッシュ政権は、ロシアや中国の反対を押し切ってミサイル防衛構想を推進したり、地球温暖化防止のための京都議定書からの離脱を表明したり、核実験全面禁止条約(CTBT)の批准棚上げの姿勢を示すなど、米国の利益を最優先させる「一国主義(ユニラテラリズム)」の傾向が強く、米国の独断専行を懸念する国際世論も高まっていた。
 ブッシュ政権の国防政策は、21世紀の最大の脅威の一つとしてテロ攻撃を掲げ、その対策を優先した軍備の再編を進めているが、11日のテロにはそうした「対策」は通用しなかった。この事件が米国の国防・外交政策に今後、重要な影響を及ぼしていくことは間違いなく、テロを起こしたグループの確証が得られれば、米政府が軍事的手段を行使した報復に出る可能性は極めて高い。
 テロの火種は米国内にもある。95年4月に568人を死傷させたオクラホマシティー連邦政府ビル爆破事件は、犯人のティモシー・マクベイ被告(死刑執行済み)が、国内における連邦政府の機能拡大に抗議して犯行に及んだ。
 ワシントンは今月末、国際通貨基金(IMF)・世界銀行の年次総会を控えているが、抗議のために世界各地から米国の首都に結集するNGOメンバーらの数は、ワシントン市警の推計で10万人規模。市警は暴力事件の発生に備えた重装備の警備シフトを取る。
 暴力的手段に訴えるかどうかはともかく、米国及び米国の力を背後に世界に影響力を行使する「エスタブリッシュメント」への抗議の声は、ついに“世界権力”の頂点を席巻しようとしている。 [2001-09-12-01:43] 48
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 09/12@<対米大規模テロ>強力な反米組織が関与しているのは確実(毎日新聞)

 【エルサレム海保真人】世界随一の超大国の軍事力の要・国防総省と世界経済の中枢ともいえる世界貿易センタービルなどが相次いで、国際テロの標的になった。背景には今月末で発生以来まる1年を迎えるパレスチナとイスラエルの衝突泥沼化などの影響を受けた反米感情があり、国際テロの黒幕とされるウサマ・ビン・ラディン氏のグループなどの世界的規模で同時多発テロ事件を起こせる強力な反米組織が関与しているのは確実とみられる。
 今回のテロの背後でウサマ氏の関与が疑われる最大の理由は、全米で多数の航空機をハイジャックし、その一部を超高層ビルに突っ込ませるという、計画的で手荒なテロを敢行できる能力を持つ組織が限られるためだ。サウジアラビアの富豪出身のウサマ氏は豊富な資金を背景に、アラブ・イスラム世界の過激派組織との連携を図り、対米テロを狙い、4000〜5000人規模の軍事メンバーを訓練しているとの情報がある。
 昨秋以来のパレスチナ情勢の悪化に伴い、中東地域では、占領者であるイスラエルばかりか、その最大の同盟国・米国に対する反発はパレスチナだけでなく、アラブ・イスラム諸国全体に急速に広がっていた。特に先月27日、パレスチナ解放機構(PLO)の反主流派、パレスチナ解放人民戦線(PFLP)のムスタファ議長がイスラエル軍に暗殺され、イスラエル当局が公式にこれを認めたことや、犠牲者700人にのぼる衝突激化にもかかわらず、唯一の仲介者といえる米国が調停に消極的だったことで、中東ばかりか南アジア、中央アジアなど世界中のイスラム地域で怒りが頂点に達していた。
 今回、一時、犯行声明を出したとされたパレスチナ解放民主戦線(DFLP)やパレスチナ解放人民戦線は70年代には過激なテロを繰り返したが、93年のパレスチナ暫定自治合意(オスロ合意)締結後は組織がしぼみ、小規模な銃撃や爆弾テロを敢行するのが関の山だった。
 だが、昨年9月末以来の衝突激化とともに、パレスチナ勢力を支援するイスラム過激派の輪は世界的に広がってきた、と専門家に指摘されていた。特にインターネットという仮想世界では、世界中のイスラム・ハッカーグループが連帯、イスラエルだけでなく米の関係サイトをハッカー攻撃、社会問題化していた。衝突の泥沼化はユダヤ対イスラムという宗教戦争の様相を示し始めていた。
 今回の犯行グループの正体は予断を許さない。だが、今回のテロの規模があまりにも大規模なことから、一部ではイラクなど反米国家自体が関与していると疑う見方もある。イラクは98年末以来、米英両軍による断続的な空爆を受け、多数の民間人が死傷。また、米国などが対イラク国連経済制裁全面解除に強く反対し、アラブ諸国ではイラク国民の窮状への同情が強く、シリア、リビアなどの強硬アラブ諸国はもちろん、最近ではサウジアラビアなど親米国も米国に批判的だった。
 イスラエルの民間シンクタンク「対テロ国際政策協会」のシャハル研究員は、今回の同時多発テロを「極めて周到に連携された手口で、世界中でも実行できる組織は限られている。ウサマ・グループは筆頭候補だが、パレスチナ過激派の一部が何らかの関与をした疑いを捨て切れない」と指摘した。 [2001-09-12-01:40]
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 09/13@◎NATO、地上軍派遣計画を策定=アフガンへ数万人規模−(時事通信)

 【ロンドン13日時事】13日付の英紙ガーディアンは、北大西洋条約機構(NATO)筋の話として、米国で起きた同時多発テロの首謀者がアフガニスタンに潜伏するオサマ・ビン・ラディン氏である証拠が明らかになれば、同国に数万人規模の地上軍派遣を含む大規模攻撃をかける緊急計画をNATOが策定中だと報じた。
 同計画によると、地上軍の規模はユーゴスラビアのコソボ自治州に投入した兵力に匹敵し、集結させるまでに数週間を要するという。NATO筋は、こうした地上軍派遣の前に米国による巡航ミサイルの先制攻撃が行われる可能性を排除しないと述べるとともに、ロシアの積極的な支援が必要になるだろうとしている。 [時事通信社][2001-09-13-19:09] 33
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 09/13@<米同時テロ>アフガンに地上軍をNATOが準備 英紙報道(毎日新聞)

 13日付の英紙ガーディアンによると、北大西洋条約機構(NATO)筋は12日、米中枢同時テロを指揮したとみられるウサマ・ビン・ラディン氏が潜伏するアフガニスタンに、地上軍数万人を投入する緊急作戦計画をNATOが準備していると述べた。
 同紙によると、計画では、展開する軍はNATOがユーゴスラビアのコソボに投入した規模に匹敵。(1)各国の兵力を集めるには数週間を要する可能性がある(2)その前に米国が巡航ミサイル攻撃をすることは排除しない(3)ロシアの積極的な作戦支援を必要とする―などという内容。
 ブッシュ米大統領は12日、ブレア英首相はじめ欧州主要国首脳と電話で会談。この中で米英両首脳は統一行動をとることに合意した、と同紙は述べた。(ロンドン共同) [2001-09-13-13:10] 34
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 09/13@<米同時テロ>NATO集団的自衛権 役割変化の象徴(毎日新聞)

 【ブリュッセル森忠彦】北大西洋条約機構(NATO)が12日、冷戦時代にも一度もなかった「集団的自衛権」の発動に合意したことは冷戦後、NATOの果たす役割が変化している象徴的な出来事といえる。NATOはバルカン半島の民族紛争問題への関与を冷戦後の新しい使命としてきたが、これに「テロ対策」を加えようとしている。米国での同時多発テロをきっかけにNATOは新たな段階に入ろうとしている。
 集団的自衛権を規定した第5条は本来、米ソが対立した冷戦時代に、旧共産圏からの全面的な軍事攻撃を想定して設けた事項だ。
 だが東西対決がなくなった冷戦後、NATOは北大西洋地域の広域な安保集団へと変身。91年に採択した「戦略概念」は、「大量破壊兵器の拡散やテロ」なども機構が対応すべき脅威として掲げた。今やテロ対策は避けて通れない重大な現実問題だからだ。
 新たなテーマであるテロ対策を、NATOは集団的自衛権の発動で具体化するが、実際には報復攻撃にNATO諸国が全面的に参加するかとなると微妙だ。
 米国から正式に要請があっても、残り18カ国が攻撃に参加するかどうかは、各国の判断に委ねられる。欧州の中小国がNATOに加わっているメリットは盟主である米国が自国を守ってくれることであって、その米国の危機にどれほどの国が兵力を派遣するかは不透明だ。
 99年のユーゴスラビア連邦空爆の際も攻撃の約8割を担ったのは米国だった。実際の報復攻撃は米国単独か、湾岸戦争のような多国籍軍形式、あるいはNATOの冠を付けても英独などの限られた国だけの参加になる可能性が高い。
 第5条の適用を理事会に求めたのは米国自身で、これによってNATOの結束を図りたいとの意図があったからだ。特に「テロ国家」を対象にしたミサイル防衛(MD)構想を進めている米国にとって、今回のテロ行為はまさに新たなる脅威の存在の証明でもあった。米国は今回の事件を契機にNATO内でミサイル防衛計画の推進も図ってゆくことになるだろう。 [2001-09-13-12:40] 35
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 09/13@アフガンに地上軍数万人 NATOが投入計画と英紙(共同通信)

 【ロンドン13日共同】十三日付の英紙ガーディアンによると、北大西洋条約機構(NATO)筋は十二日、米中枢同時テロを指揮したとみられるウサマ・ビン・ラディン氏が潜伏するアフガニスタンに、地上軍数万人を投入する緊急作戦計画をNATOが準備していると述べた。
 同紙によると、計画では、展開する軍はNATOがユーゴスラビアのコソボに投入した規模に匹敵。@各国の兵力を集めるには数週間を要する可能性があるAその前に米国が巡航ミサイル攻撃をすることは排除しないBロシアの積極的な作戦支援を必要とする―などという内容。
 どの加盟国への攻撃も全加盟国への攻撃とみなすというNATO憲章第五条をNATO創設以来初めて発動し、米国が報復行動に出たら自動的に加盟国が支援するという形をとるという。
 ブッシュ米大統領は十二日、ブレア英首相はじめ欧州主要国首脳と電話で会談。この中で米英両首脳は統一行動をとることに合意した、と同紙は述べた。(了)[2001-09-13-12:15] 36
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 09/13@コソボ、マケドニアも厳戒(共同通信)

 【ウィーン12日共同】ベオグラードなどからの報道によると、米中枢同時テロを受けて、ユーゴスラビア・コソボ自治州やマケドニアで展開中の米軍部隊は十二日までに、新たなテロに備えて厳戒態勢に入った。
 国際治安部隊として五千四百人の米軍兵士が駐留するコソボでは、司令部の置かれたキャンプが最高レベルの警戒態勢を発令。全兵士が防弾チョッキとヘルメットを着用した。
 マケドニアでも北大西洋条約機構(NATO)の武器回収作戦の後方支援に従事中の米軍部隊が警戒態勢を一ランク上げた。また三千五百人の米軍部隊が駐留しているボスニア・ヘルツェゴビナのイーグル基地でも、基地の出入り口が封鎖され、犬を連れた警備兵が警戒に当たっている。(了)[2001-09-13-09:11] 37
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 09/13@回収作戦の第2段階終了 マケドニアでNATO(共同通信)

 【ウィーン12日共同】スコピエからの報道によると、マケドニアでアルバニア系住民の武装組織「民族解放軍」の武器回収作戦に当たっている北大西洋条約機構(NATO)部隊は十二日、作戦の第二段階が終了したとトライコフスキ・マケドニア大統領に通告した。
 第二段階での火器回収数は約千で、八月二十七日の作戦開始以来、民族解放軍から回収した火器は計約二千二百となった。
 NATOは、マケドニア国会がアルバニア系住民の権利拡大を目指した憲法改正案の起草作業を開始次第、回収作戦の最終の第三段階に入る予定。第三段階開始は九月二十日か二十一日になる見込みで、二十六日には目標数の三千三百の回収を終え、作戦を終了する。(了)[2001-09-13-08:27] 38
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 09/13@対米テロは対NATO攻撃 要請受け集団自衛権発動へ(共同通信)

 【ブリュッセル12日共同】北大西洋条約機構(NATO)は十二日の理事会で米中枢同時テロが米国への外部からの武力攻撃と判明した場合、米政府の要請を受けて設立条約の第五条(集団自衛権)を発動、必要な支援を行うことを決めた。同条項が発動されれば、一九四九年の設立以来初めてとなる。
 第五条は集団安保機構としてのNATOの根幹。一つあるいは複数の加盟国への武力行使を全加盟国への攻撃とみなし、武力行使を含む必要行動をとることを定めている。
 記者会見したロバートソンNATO事務総長は、今回の措置が直ちに集団的軍事行動につながることはなく、テロ防止とNATOの連帯を象徴するためのものだと強調。今後の具体的行動は、米国の要請を受けてから判断したいと語った。
 NATO筋によると、米国が犯行組織を特定できていないため、当面テロ組織に関する情報の提供要請にとどめるとみられる。
 NATOは、東西冷戦時代は旧ワルシャワ条約機構軍の脅威に対抗する組織だったが、冷戦崩壊後は旧ユーゴスラビアなど域外での国連平和維持活動(PKO)に主力を移動。今回、加盟国に対する国際的なテロ活動対策を前面に打ち出したことで、再び新たな時代に対応することになる。
 理事会の声明は、一九九九年のNATO首脳会議が採択した「戦略概念」が、さまざまな脅威と並んで、国際テロも平和と安定への深刻な脅威であるとしている点を指摘した。(了)[2001-09-13-08:27] 29
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 09/13@ロシアで哀悼と連帯の輪 大使館に花束、兵士献血(共同通信)

 【モスクワ13日共同】プーチン・ロシア大統領が米中枢同時テロへの哀悼の意を示す黙とうを呼び掛けた十三日、クレムリンや政府庁舎などは一斉に半旗を掲げた。極東ウラジオストクに司令部を置く太平洋艦隊では兵士が自主的に献血、モスクワの米国大使館には市民が弔問に集まるなど、連帯の輪が広がっている。
 モスクワ中心部の米大使館前。近くの食料品店で勤務する女性ニーナさん(65)は「米国とは個人的な関係はないが、一人の人間として心を痛めずにはいられない」と話すと、同僚の女性とともに花束を路上に置き、目を閉じた。付近には既にこれまでの弔問の市民が置いた花束が山のように積み上がっている。
 一九九九年の北大西洋条約機構(NATO)ユーゴスラビア空爆時には、多くの市民が同大使館前で抗議したが、この日は米国でのテロに悲しみを分かち合おうとしている。(了)[2001-09-13-20:23] 30
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 09/13@国際交流基金賞、平山郁夫氏らに決まる(朝日新聞)

 国際文化交流に貢献した個人や団体に贈られる01年度の国際交流基金賞は13日、英国における日本研究の発展に貢献したロンドン大学極東歴史学名誉教授のウィリアム・ジェラルド・ビーズリー氏と、世界各地の文化遺跡の保存・修復に貢献してきた画家の平山郁夫氏に決まった。
 また国際交流奨励賞はマケドニアのマケドニア・日本友好協力協会会長のコスタ・バラバノフ氏、ミュージック・フロム・ジャパン理事長の三浦尚之氏、ドイツのベルリン・フェスティバル公社に決まった。
 授賞式は10月4日午前11時から、東京都港区赤坂の東京全日空ホテルで。[2001-09-13-19:36] 397
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 09/13@イラク大統領「事件は自業自得」(読売新聞)

 【カイロ13日=久保健一】米同時多発テロ事件について全世界的な非難が高まるなかで、イラクのサダム・フセイン大統領は事件を米国の「自業自得」と強調、対米挑発姿勢を際立たせている。ただ、湾岸戦争の復しゅうという「動機」を持つイラクの関与説は可能性としては排除されていないとはいえ、国連経済制裁解除を狙う現在のイラクが、米国の壊滅的軍事報復を呼ぶことが必至の対米「国家テロ」を計画した可能性は極めて低いと見られる。
 イラク国営通信によると、フセイン大統領は12日、同国の軍事顧問らとの会合でテロ事件に触れ、「米国は世界中で自らまいた種の報いを受けている」と述べ、パレスチナ問題をめぐるイスラエル寄りの姿勢やイラク空爆など米の中東政策が事件を引き起こしたとの見方を示した。国営テレビは、事件を「世紀の作戦」として賞賛する放送を繰り返した。
 イラクと並び、米の「国際テロ支援国」リストに載る中東のイラン、シリア、リビア、スーダンの4か国の指導者らが、そろって事件を強く非難したのとは明らかに異質で突出した反応だ。
 だが、イラク政府が現実に対米国家テロにまで手を染めれば、米国がイラクに対し、これまでの懲罰的な空爆とは異なる徹底的な軍事作戦を実施するのは必至。「米のフセイン政権打倒のもくろみを正当化する」(エジプト・ウスボア誌のムスタファ・バクリ編集長)ことになりかねず、イラクのリスクはあまりにも大きい。
 大統領の事件に対する発言も、米によるイラク封じ込め体制の「不当性」を国際世論に訴える狙いがあると見るのが妥当だろう。 [2001-09-13-23:25] 398
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 09/13@タリバン支援か米捜査に協力か、パキスタン苦境に(読売新聞)

 【ニューデリー13日=佐藤浅伸】米国を襲った同時多発テロを巡り、アフガニスタンを実効支配するイスラム原理主義勢力タリバンを支援してきたパキスタンが苦しい立場に立たされている。米国などの経済制裁下にあるパキスタンが「テロ支援国家」のらく印を押されれば一層の経済的苦境に陥ることは確実。逆に、米国追従の印象が強まれば、国内で勢力を増すイスラム原理主義勢力が反発し、政情不安が高まりかねないからだ。
 ムシャラフ大統領は13日、米国捜査への全面協力を約束。1998年の核実験を機に主要国から経済制裁を科されたパキスタンは、外貨準備高が輸入の数か月分しかない「破産国家同然」(イスラマバードの外交筋)。経済回復を最優先課題に挙げる大統領は、日米の制裁解除を機会あるごとに訴えている。
 しかし、パキスタンは、サウジアラビア、アラブ首長国連邦とともに、タリバン政権を承認する数少ない国の一つ。燃料の供給や技術支援、軍事顧問の派遣などの支援を続けているほか、5000―7000人のパキスタン人がタリバンの軍隊に参加している。タリバンに感化された過激な原理主義思想がパキスタン国内に“逆流”し、イスラム教スンニ派と同シーア派の殺し合いが頻発するなど新たな不安定要素ともなっている。
 米国はパキスタンに対し、ウサマ・ビンラーディン引き渡しへ向け、タリバンに影響力を行使するよう求めてきたが、パキスタンが本気で圧力をかけた形跡はない。 [2001-09-13-23:16] 401
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 09/13@<米同時テロ>アラブ系人の居住住宅など8カ所を捜索 独警(毎日新聞)

 【ベルリン藤生竹志】米国の同時多発テロに関連してドイツ・ハンブルク警察は12日夜、同市内のアラブ系の男が住んでいた住宅など8カ所を家宅捜索した。
 記者会見したハンブルク州刑事局のミュラー局長によると、同住宅には今年5月までアラブ系男性2人が合法的に住んでいた。アラブ首長国連邦生まれの23歳と33歳の男で、米連邦捜査局(FBI)の情報に基づく捜査では、23歳の男がニューヨークの世界貿易センタービルに激突した旅客機をハイジャックした疑いがあるという。
 2人はハンブルク工科大学で電子工学と造船を学んだ。5月以降はハンブルクの住宅に住んでおらず、米国に滞在していたとみられている。
 一方、同警察当局は空港職員の別の男1人を逮捕、テロ事件との関係を追及している。 [2001-09-13-22:55] 402
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 09/13@<米同時テロ>ビンラディン氏をタリバンがひ護 米政府と対(毎日新聞)

 アフガニスタンのイスラム原理主義勢力「タリバン」と米政府が厳しく対立している最大の原因は、米国が「国際テロの黒幕」とみなすウサマ・ビンラディン氏をタリバンがひ護し、米国の身柄引き渡し要求を拒み続けているためだ。
 「アフガンは今や『テロの聖域』になっている」とみる米国は、国連に対アフガン制裁を発動させるなど、ビンラディン氏の身柄確保に向け、圧力を強めてきた。
 だが、孤立化を深めるタリバンは一層、強硬方針を強めている。世界的な仏像遺跡、バーミヤンの大仏破壊(今年3月)はその象徴的な事件で、国連制裁への“報復”ともいえた。
 米国はタリバンの極端なイスラム法統治についても非難を続けている。女性の就学・就労を禁じた「女性差別問題」はその典型だ。また、米国はタリバンの麻薬栽培容認姿勢も非難してきた。タリバン側は昨年夏の布告で栽培を全面禁止にしたが、米国は最近まで、それを信じなかった。
 タリバンは「たとえビンラディン氏を引き渡したとしても、女性差別問題など次々に新たな要求を突き付けてくる」と見越し、反米姿勢を捨てる気配はない。 【イスラマバード春日孝之】 [2001-09-13-22:45] 405
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 09/13@<米同時テロ>米国の軍事報復に関心集まる ジレンマの大統(毎日新聞)

 同時多発テロの捜査が進展し、ウサマ・ビンラディン氏が主導した犯行だとの説が強まる中、米国が軍事報復に踏み切るかどうかに関心が集まってきた。ブッシュ大統領は12日、今回のテロは「戦争行為」だとの認識を示し、武力行使の正当性を主張する流れになった。しかし標的に関する証拠と情報はまだ不十分だ。テロ指導者を逮捕するのか抹殺するのか、空爆か地上戦か、目標も手段も定まらない。世界最強国の威信がかかるだけに、大統領の悩みは深い。【ワシントン中井良則】
 ◆準備
 「法の支配」を理念とする国家だから、軍事行動に踏み切るには名目や条件が必要だ。テロ攻撃や対応についての物言いが一夜にして変わった点が興味深い。
 11日、同時テロを「戦争か」と聞かれたラムズフェルド国防長官は「何と呼ぶかは法律家に任せればいい」と答えた。しかし12日、大統領は「戦争」という言葉を使った。戦争なら軍事行動は当然、と主張できる。
 また大統領は11日、「犯人を司法の場に連れてくる」と目標を示したが、パウエル国務長官は12日、「処罰」も含めた。裁判によらない直接行動の名目づくりと言える。
 論理面だけではない。大統領は12日、国連安全保障理事国の首脳と電話会談し、協力を求めた。北大西洋条約機構(NATO)による「集団的自衛権」発動の条件も整った。イラクをたたいた湾岸戦争の際、武力行使容認の国連決議を獲得し、多国籍軍を構成するなど十分な準備を整えた手法との類似性を指摘する声もある。
 仮にビンラディン氏を首謀者と断定した場合、同氏をかくまうアフガニスタンのタリバン政権に武力行使の構えで圧力をかけ、身柄引き渡しを求める。応じなければ米軍単独ではなくNATO軍として攻撃に踏み切る。別の国にいる別の人物が標的になる場合でも、同種の構想が米国の視野にあるように見える。
 ◆難点
 難しいのは、実行犯や背後組織、指導者をどこまで立証できるか。内外の支持を得るためには十分な証拠が必要だ。
 首謀者の正体を突き止めても、居場所の特定はさらに難しい。それが分からなければ、攻撃は失敗し無関係の民間人が犠牲になる恐れもある。
 そして最後に、どんな作戦を選ぶのか。98年、米大使館同時爆破事件への報復でビンラディン氏の拠点を空爆したが、実効はなかった。しかし仮にアフガニスタンに地上軍を送れば、苦戦して結局手を引いた旧ソ連の二の舞いになりかねない。 [2001-09-13-22:15] 407
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 09/13@ドイツで米同時多発テロ関与のアラブ系人を拘束(読売新聞)

 【フランクフルト13日=貞広貴志】ドイツ・ハンブルクの州刑事警察庁は13日、米国での同時多発テロ事件に関連しアラブ系の男性1人を身柄拘束したと発表した。米連邦捜査局(FBI)からの情報に基づきハンブルク市内の住居4か所を捜索した結果、事件への関与が疑われる人物を発見したもので、13日午後も事情聴取を続けている。
 捜査当局は同日、世界貿易センタービルに体当たりした航空機の搭乗名簿に名前のある、実行犯の疑いが強いアラブ系の男性2人も最近までハンブルクに居住していたことを突き止めており、テロの犯行グループがドイツを拠点としていた可能性が浮上した。
 捜査当局は、身柄拘束した男の住居からエジプト旅券を発見し、「興味深い職業に就いていた」ことを確認したとしている。地元報道によると、男は空港に勤務していたという。名前や年齢は明らかになっていない。
 一方、ハイジャック機に名前のあった3人のうち、独捜査当局は世界貿易センタービルに突っ込んだ飛行機2機に別々に搭乗してマーワン・アル・シェヒ(23)とモハメド・アッタ(33)の2人の身元を確認した。2人ともハンブルクの学生住宅にアラブ首長国連邦(UAE)国籍で住民登録し、ハンブルク工科大学で電気工学を数年間にわたり学んでいた。残る1人も同大で学んでいた模様だ。
 2人は今年5月ごろ渡米しており、報道によるとフロリダの飛行学校に通ったとされる。すでにパイロットとしての訓練を受けていたとの報道もある。捜査当局はさらに、ハンブルクで活動していたイスラム過激派組織のメンバー1人についても、犯行との関連で行方を探している。
 逮捕された男と、シェヒ、アッタの2人のつながりについては明らかになっていない。
 治安当局者によると、ハンブルクにはイスラム過激組織の拠点がいくつかあり、国際テロリスト、ウサマ・ビンラーディンへの資金面での協力に携わっていたとする情報もある。 [2001-09-13-20:31] 426
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 09/13@テロ実行犯、ビンラーディン氏と接点―米司法当局見解(読売新聞)

 米旅客機による体当たり同時多発テロを捜査している米司法当局者は12日、犯人グループがイスラム原理主義指導者ウサマ・ビンラーディン氏とのつながりを持っていたとの見方を明らかにした。
 北大西洋条約機構(NATO)は、国外からの指令を受けたテロだったことが確定し、米国が要請するならば、NATO史上初めて集団的自衛権を行使することで合意した。国連安全保障理事会は、今回のテロを「国際社会の平和と安全に対する脅威」と非難する決議を全会一致で採択した。
 ニューヨークの崩壊した世界貿易センターの現場では、生存者を救出する困難な作業が続いている。外務省は13日、新たに邦人1人が同センターで行方不明になっていることを発表、日本人の行方不明者は計22人となった。
 【ワシントン12日=林路郎】米連邦捜査局(FBI)は12日、米旅客機4機をほぼ同時に乗っ取った犯人グループのうち少なくとも1集団はイスラム原理主義指導者ウサマ・ビンラーディン氏とのつながりを持っていたとの見方を強め、外国人を含む関係者の洗い出しや本格的な事情聴取を続けている。捜査の焦点はビンラーディン氏の直接関与の有無などに移った。司法当局者がAP通信に対して明らかにした。
 FBIのムラー長官は12日、FBI本部で記者会見し、マサチューセッツ、ロードアイランド、フロリダ各州などに約7000人の捜査官を動員した捜査の結果、実行犯テロ組織に結びつく「具体的な情報」を得たことを確認した。会見に同席したアシュクロフト司法長官は、事件に巻き込まれた4機に各3―6人の乗っ取り犯が乗り込み、多くが米国内でパイロットの訓練を受けていたと言明した。
 AP電によると、FBIはインターネット・プロバイダー会社からの情報提供によって、ビンラーディン氏支持者が事件前に頻繁に連絡を取り合っていたことも突き止めた。ビンラーディン氏が支持者を米国内外で長期的かつ周到に訓練・組織し、実行させたとのシナリオが徐々に浮き彫りになりつつある。ただし、米捜査当局は特定のテロ組織の名指しを一切避けている。[2001-09-13-14:30] 429
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 09/13@<米同時テロ>各国で包囲網を ウサマ氏関与重視 米国務長(毎日新聞)

 【ワシントン中井良則】パウエル米国務長官は12日の記者会見で「あらゆるテロリズムに対抗する世界規模の連合を構築することが米国の優先課題だ」と述べ、各国に呼びかけてテロ包囲網を作り上げる方針を明らかにした。北大西洋条約機構(NATO)など同盟国だけでなく、ロシア、中国やイスラム諸国に働きかけ、米国がテロリスト組織への報復攻撃に踏み切る場合に備えて事前に支持、協力を取り付ける狙いとみられる。
 同長官はNATOが同日採択した「米国へのテロを加盟国全体への攻撃とみなす」決議や国連安保理のテロ非難決議を高く評価し、さらにパキスタンやイスラム諸国とも協議を重ねる意向を示した。
 ブッシュ大統領は同日、プーチン・ロシア大統領や江沢民・中国国家主席ら安保理常任理事国の首脳と電話で会談し、同長官もペレス・イスラエル外相らと電話で協議した。
 長官は同日のホワイトハウス国家安全保障会議で、(1)テロ犯人を司法の場に連れ出す(2)犯人の処罰(3)反テロ連合の構築――の3点を目指す計画を決めたと明らかにし「米国だけでなく文明全体への災いだ」と世界中が被害者との認識を示した。
 NATO決議について「米国の軍事攻撃にNATO諸国が必ず参加することは意味しないが、領空飛行権などの支持を得やすくなる」と歓迎した。「テロの根と枝を断ち切らなければならない」と述べ、テロリストを保護したり受け入れる国の責任を追及する立場を確認した。さらに「イスラム諸国の支持が欠かせない」と述べ、湾岸戦争のように同盟国だけでなくイスラム諸国も加わった反テロ連合をめざす意向を示した。
 パウエル長官は、アフガニスタンのタリバン政権との関係が深いパキスタン指導部に捜査への協力を求める方針も表明。タリバン政権が居住を許すウサマ・ビン・ラディン氏の関与を重視していることを示唆した。 [2001-09-13-13:45] 433
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 09/13@<米同時テロ>NATO集団的自衛権 役割変化の象徴(毎日新聞)

 【ブリュッセル森忠彦】北大西洋条約機構(NATO)が12日、冷戦時代にも一度もなかった「集団的自衛権」の発動に合意したことは冷戦後、NATOの果たす役割が変化している象徴的な出来事といえる。NATOはバルカン半島の民族紛争問題への関与を冷戦後の新しい使命としてきたが、これに「テロ対策」を加えようとしている。米国での同時多発テロをきっかけにNATOは新たな段階に入ろうとしている。
 集団的自衛権を規定した第5条は本来、米ソが対立した冷戦時代に、旧共産圏からの全面的な軍事攻撃を想定して設けた事項だ。
 だが東西対決がなくなった冷戦後、NATOは北大西洋地域の広域な安保集団へと変身。91年に採択した「戦略概念」は、「大量破壊兵器の拡散やテロ」なども機構が対応すべき脅威として掲げた。今やテロ対策は避けて通れない重大な現実問題だからだ。
 新たなテーマであるテロ対策を、NATOは集団的自衛権の発動で具体化するが、実際には報復攻撃にNATO諸国が全面的に参加するかとなると微妙だ。
 米国から正式に要請があっても、残り18カ国が攻撃に参加するかどうかは、各国の判断に委ねられる。欧州の中小国がNATOに加わっているメリットは盟主である米国が自国を守ってくれることであって、その米国の危機にどれほどの国が兵力を派遣するかは不透明だ。
 99年のユーゴスラビア連邦空爆の際も攻撃の約8割を担ったのは米国だった。実際の報復攻撃は米国単独か、湾岸戦争のような多国籍軍形式、あるいはNATOの冠を付けても英独などの限られた国だけの参加になる可能性が高い。
 第5条の適用を理事会に求めたのは米国自身で、これによってNATOの結束を図りたいとの意図があったからだ。特に「テロ国家」を対象にしたミサイル防衛(MD)構想を進めている米国にとって、今回のテロ行為はまさに新たなる脅威の存在の証明でもあった。米国は今回の事件を契機にNATO内でミサイル防衛計画の推進も図ってゆくことになるだろう。 [2001-09-13-12:40] 434
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 09/13@米中、テロ対策強化で一致(読売新聞)

 【北京13日=杉山祐之】13日未明の新華社電によると、ブッシュ米大統領と江沢民・中国国家主席は12日夜、電話で会談し、米中両国が、国連安全保障理事会などの場で、国際テロ対策での協力を強化していくことで一致した。
 ブッシュ大統領は、今回の同時多発テロ事件に対して報復行動を取る姿勢を示している。江主席との電話首脳会談は、国連安保理常任理事国の中国の支持、了解を得るための外交的準備と見られる。
 ブッシュ大統領は会談で、「江主席やその他の国際社会の指導者との協力を強め、国際テロに打撃を加えたい。国連安保理において、この分野での米中協力を強めたい」と述べた。江主席はこれに対し、今回のテロを強く非難するとともに、「米国との対話を強化し、協力を進め、ともにテロ活動に打撃を加えたい。(国連総会に出席予定の)両国外相、国連代表団が、協議、協力を強めることを望む」と応じた。 [2001-09-13-12:28] 435
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 09/13@イスラム教徒への暴行事件相次ぐ 米国各地(朝日新聞)

 米国の同時多発テロの背景にイスラム系過激派組織が疑われることから、米国各地でイスラム教徒に対する暴行事件が起きている。12日、ロサンゼルスに本部を置く全米規模の人権団体ムスリム公共委員会は、朝日新聞の取材に対して「我々は迫害されている」と訴えた。
 同委員会によると、ワシントンではスカーフをかぶった女性が商店街で集団暴行された。ニューヨークではイスラム教徒のタクシー運転手が車から引きずり出されて殴られた。ロサンゼルスでは12歳の女の子が学校で級友に囲まれていじめを受けた。同委員会にも「殺してやる」などの脅迫電話が30件あったという。
 ロサンゼルスで発行する全米イスラム教徒の雑誌「ミナレット」の編集長アズラム・アブドゥラ氏(44)は、「今回の悲劇で私たちは他の米国民と同じ立場だ。しかし、新たな悲劇が生まれている」と訴えた。イスラム過激派の犯行と伝えられることについて同氏は「テロはアラーにもそむく行為だ」と語った。
 全米には約400万人のイスラム教徒がいる。ほかにもワシントン州でモスク(イスラム教会)が暴徒に襲撃されたり、イスラム教徒というだけで「アメリカから出て行け」と怒鳴られたりするなどの事件が伝えられる。
 一方で、こうした動きを批判する冷静な声もある。飛行機をハイジャックされたアメリカン航空のドン・カーティ代表は同日、「民族や宗教を理由にだれもスケープゴートにしてはならない」と語った。[2001-09-13-12:26] 440
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 09/13@<米同時テロ>各国に呼びかけてテロ包囲網 パウエル米国務(毎日新聞)

 【ワシントン中井良則】パウエル米国務長官は12日の記者会見で「あらゆるテロリズムに対抗する世界規模の連合を構築することが米国の優先課題だ」と述べ、各国に呼びかけてテロ包囲網を作り上げる方針を明らかにした。北大西洋条約機構(NATO)など同盟国だけでなく、ロシア、中国やイスラム諸国に働きかけ、米国がテロリスト組織への報復攻撃に踏み切る場合に備えて事前に支持、協力を取り付ける狙いとみられる。
 同長官はNATOが同日採択した「米国へのテロを加盟国全体への攻撃とみなす」決議や国連安保理のテロ非難決議を高く評価し、さらにパキスタンやイスラム諸国とも協議を重ねる意向を示した。
 ブッシュ大統領は同日、プーチン・ロシア大統領や江沢民・中国国家主席ら安保理常任理事国の首脳と電話で会談し、同長官もペレス・イスラエル外相らと電話で協議した。
 長官は同日のホワイトハウス国家安全保障会議で、(1)テロ犯人を司法の場に連れ出す(2)犯人の処罰(3)反テロ連合の構築――の3点を目指す計画を決めたと明らかにし「米国だけでなく文明全体への災いだ」と世界中が被害者との認識を示した。
 NATO決議について「米国の軍事攻撃にNATO諸国が必ず参加することは意味しないが、領空飛行権などの支持を得やすくなる」と歓迎した。「テロの根と枝を断ち切らなければならない」と述べ、テロリストを保護したり受け入れる国の責任を追及する立場を確認した。さらに「イスラム諸国の支持が欠かせない」と述べ、湾岸戦争のように同盟国だけでなくイスラム諸国も加わった反テロ連合をめざす意向を示した。 [2001-09-13-11:25] 441
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 09/13@<米同時テロ>米と連携深める一方で国際協調も求める 欧州(毎日新聞)

 【ロンドン岸本卓也】米国のテロ事件を受けて欧州同盟国では政府を中心に米国との連帯感が強まる一方で、報道機関ではブッシュ米政権に一国主義路線から国際協調路線への転換を求める論調が目立つ。テロ対策が米欧の連携を深めるかどうか。テロの脅威は米欧関係に新たな課題を突き付けている。
 欧州の有力紙の中で親米派のデイリー・テレグラフ(英国)やウェルト(ドイツ)は社説で米国への全面的な支援を呼びかけた。テレグラフは「欧州各国はテロに対する緊迫感が薄い」と批判した。ウェルトは「第二次大戦後にドイツを守ってくれた米国に今度はドイツが手を貸そう」と主張した。
 しかし、ルモンド(フランス)はテロ攻撃の背景に「ブッシュ政権はパレスチナ紛争を無視し、自国を守るミサイル防衛ばかりを考えすぎた」と指摘した。フィナンシャル・タイムズ(英国)も「ミサイル防衛の利点を勘定している場合ではない」と米政府に国際社会への関与を求めた。
 南ドイツ新聞(ドイツ)は「今回の事件で米国は孤立主義を深めてしまうのだろうか」と米国が要さい化することを心配した。ガーディアン(英国)は「ミサイル防衛もテロに効かないことを知り、報復に熱中せずに米国は頭を冷やすべきだ」と注文している。 [2001-09-13-11:25] 444
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 09/13@テロ非難決議を採択 国連総会(朝日新聞)

 国連の第56回通常総会が12日、ニューヨークの国連本部で始まった。前日の世界貿易センターなどに対する連続テロ攻撃のため、予定より1日遅れての開幕となった。
 今回の総会は、昨年の国連ミレニアム・サミットで採択された宣言に沿って、貧困やエイズで苦しむ人々の救済や国連強化で具体策を探るのが課題だった。しかし、今回のテロ事件が総会の論議の中心となっていくのは確実で、総会はこの日早速、テロを非難する決議を採択した。
 議長には韓国の韓昇洙外交通商相が就いた。各国の元首や外相が登壇する一般演説は24日から。ブッシュ米大統領の演説が予定されているが、今回の事態で対応が注目される。
 また、19日から3日間予定されていた子ども特別総会(子どもサミット)は正式に延期が決まった。時期は決まっていないが、韓議長は「56回総会の会期中に」としている。[2001-09-13-11:12] 446
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 09/13@国連子供総会は無期延期に(共同通信)

 【ニューヨーク12日共同】第五十六回国連総会が十二日、ニューヨークの国連本部で始まり、韓国の韓昇洙外交通商相を総会議長に選出した。会期は一年。総会は前日の米中枢同時テロを強く非難する決議案を採択するとともに、十九日に開幕予定だった子供特別総会の無期延期を決めた。
 同特別総会は一九九○年の世界子供サミット以降十年の子供を取り巻く環境を検証するのが目的で、各国首脳約八十人が出席を表明していたが、テロで警備上の不安が表面化した。
 同特別総会で採択予定の最終宣言案の審議はイスラエルとイスラム諸国の対立で難航が続いており、開会は年明け以降にずれ込むものとみられる。(了)[2001-09-13-10:52] 447
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 09/13@米要請あれば集団的自衛権行使、テロでNATO声明(読売新聞)

 【ブリュッセル12日=鶴原徹也】北大西洋条約機構(NATO)は12日、大使級理事会を開き、対米同時多発テロへの対応を巡り協議した。理事会は、今回のテロが国外から指令を受けたことが確定し、米国の支援要請があれば、NATOが集団的自衛権を行使することで合意した。冷戦時代、対ソ連共同防衛の根幹だった集団的自衛権をNATOが行使することになれば、半世紀のNATO史上、初めてとなる。
 ジョージ・ロバートソンNATO事務総長が同日夜、ブリュッセルの本部で記者会見し、理事会声明として発表した。
 声明は、今回のテロが「国外から指令されたことが確定すれば」、NATOの集団的防衛を規定する北大西洋条約(ワシントン条約、1949年発効)第5条の適用対象となると指摘。その場合、今回のテロは、NATOの全同盟国に対する武力行使になるとの見方を示し、NATO同盟国は、武力行使を含む「必要な支援を米国に提供する用意がある」とした。
 事務総長は、集団的自衛権の行使の手続きについて、「米国の支援要請がNATO理事会にあれば、理事会は第5条を発動し、国連安全保障理事会に報告する」と述べた。第5条発動後は、同盟国が独自に支援を決定することになる。
 事務総長は理事会決定について、「同盟国の結束を確認する行為だ」と強調した。[2001-09-13-10:44] 448
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 09/13@背後グループの数人聴取 当初の標的は大統領 米中枢同時テ(共同通信)

 【ワシントン12日共同=久江雅彦】モラー米連邦捜査局(FBI)長官は十二日記者会見し、米中枢同時テロで死亡したとみられる実行犯を特定、犯行にかかわった数人の人物も突き止めて事情聴取を始めたことを明らかにした。長官はこの中に、テロ組織メンバーとして米情報当局が警戒していた人物が含まれていると言明した。
 FBIは入管法違反で事情聴取しているが、テロ容疑での立件を目指している。長官は人数や国籍について言及しなかったが、背後グループの一部が拘束されたことで、捜査は一気に進展する可能性が出てきた。
 一方、ホワイトハウスのフライシャー報道官は同日の会見で、テロ攻撃の当初の標的にホワイトハウスと大統領専用機が含まれていたことを示す「信頼できる情報がある」と明言。国防総省へ突入したアメリカン航空機は当初ホワイトハウスを攻撃する計画だったはずだと述べ、大統領自身が狙われていたとの見方を示した。
 またパウエル米国務長官は十二日、イスラム過激派指導者ウサマ・ビン・ラディン氏の居住を許しているアフガニスタンのタリバン政権を支援してきたパキスタンに、捜査に関して全面的な協力を求めていることを明らかにした。
 アシュクロフト米司法長官は、乗っ取り犯人のうち「何人かは米国で操縦士としての訓練を受けていた」と言明し、犯人グループは各旅客機とも三―六人だったと指摘。ナイフや大型カッターを凶器に使用し、爆弾を爆発させると機内で脅迫していたことも明らかにした。
 米上院は十二日、テロに“宣戦布告”した決議を採択。国連安全保障理事会も非難決議を採択した。ニューヨークの世界貿易センタービル崩壊現場では徹夜で生存者の救出作業が進められた。(了)[2001-09-13-10:41] 449
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 09/13@同時テロで国連安保理決議…非難と法的措置求める(読売新聞)

 【ニューヨーク12日=勝田誠】国連安全保障理事会は12日、ニューヨークの国連本部で緊急理事会を開き、今回のテロ攻撃を「国際社会の平和と安全に対する脅威」として強く非難すると共に、事件の実行犯や計画犯、資金提供者らの共犯者・協力者すべてを法の下に裁くことなどを全加盟国に求める決議を全会一致で採択した。
 安保理決議はさらにテロ防止・制圧に向けた国際社会の努力、協力体制を強化するよう加盟国に求め、安保理が今回の事件をはじめとした国際テロ事件との対決に向けて「必要なあらゆる手段を講じる」姿勢を明確にした。
 11日に開催予定だった第56回国連総会は当日にテロ事件が発生し、惨事が起きた世界貿易センタービルから約8キロの距離にある国連本部ビルもテロ攻撃の標的にされる恐れがあるとして順延されていた。開幕日の12日朝には「爆弾テロ」の怪情報が流れ、国連職員が一時、地下室やビル外に避難する騒ぎがあった。
 コフィ・アナン事務総長は演説で、ニューヨーク市に深い哀悼の意を伝え、「今回の事件を非難する適切な表現など見当たらない」と述べ、全加盟国が一致団結してテロ撲滅に向けた具体的な「行動」に移るよう強く呼びかけた。
 また、各国代表が米国民に弔意を述べたのを受け、米国のジェームズ・カニングハム国連代表部大使が「人権と民主主義の立場を選ぶのか、テロとジャングルのおきての立場を選ぶのか各国は決めなくてはならない」と、国際社会にテロとの対決姿勢を決意するよう求めた。
 総会は同日、韓外交通商相を韓国人としては初めて総会議長に選出した。韓議長は記者会見で「テロ対応が(来年9月まで)今会期の主要テーマになる」と語った。また、19日から3日間行われる予定だった「子ども特別総会(子どもサミット)」の開催は不可能となり延期が決まった。[2001-09-13-10:35] 450
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 09/13@<米同時テロ>非難決議を全会一致で採択 国連安保理(毎日新聞)

 【ニューヨーク上村幸治】国連安全保障理事会は12日、米国に対するテロ事件を受けて緊急協議を行い、テロ行為を厳しく非難する決議を全会一致で採択した。決議はニューヨークなどで起きたテロに対し「最も強い言葉で、明白に非難する」と述べるとともに、すべての国に対し「テロ攻撃の犯人やその組織者、資金提供者を司法手続きにかけるべく協力する」よう求めた。
 参加各国代表は冒頭に1分間黙とうし、事件の被害者の冥福を祈ってから協議を始めた。最初にアナン事務総長が「国連をホストする国、都市がテロの攻撃にあった。われわれ国連全体に対する脅威だ」とあいさつした。
 安保理では、日本の佐藤行雄国連大使も声明を発表、小泉純一郎首相の「(テロ行為を)許すことができない」との発言を紹介すると同時に「すべての形態の国際テロを廃絶するための国際的取り組みに協力する上で日本は全力を尽くしたい」と表明した。
 安保理に先立ち同日午前、国連に対して爆弾テロをほのめかす脅迫があり、国連職員が一時避難する騒ぎが起きた。国連本部はニューヨーク・マンハッタンの中心部東岸にあり、テロ攻撃を受けた世界貿易センタービルから5キロほど北に位置する。 [2001-09-13-10:35] 452
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 09/13@安保理がテロ非難決議 「必要な措置取る」(共同通信)

 【ニューヨーク12日共同】国連安全保障理事会は十二日、米中枢同時テロを非難する決議を全会一致で採択した。
 決議は「ニューヨーク、ワシントンなどでのテロに対応するため、すべての必要な措置を取る用意がある」と表明した。
 また「今回のテロ行為は国際平和と安全に対する脅威である」と述べ、全加盟国に対してテロの実行者、支援者を処罰するため協力するよう呼び掛けた。
 採択に先立ち、アナン事務総長は同時テロを「人類全体に対する攻撃」と強く非難した。
 米国のカニングハム代理大使は「米国はテロ実行者とそれをかくまう者たちを区別しない」と述べ、テロを支援した国家に強い措置を取る決意を示した。(了)[2001-09-13-09:50] 458
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 09/13@対米テロは対NATO攻撃 要請受け集団自衛権発動へ(共同通信)

 【ブリュッセル12日共同】北大西洋条約機構(NATO)は十二日の理事会で米中枢同時テロが米国への外部からの武力攻撃と判明した場合、米政府の要請を受けて設立条約の第五条(集団自衛権)を発動、必要な支援を行うことを決めた。同条項が発動されれば、一九四九年の設立以来初めてとなる。
 第五条は集団安保機構としてのNATOの根幹。一つあるいは複数の加盟国への武力行使を全加盟国への攻撃とみなし、武力行使を含む必要行動をとることを定めている。
 記者会見したロバートソンNATO事務総長は、今回の措置が直ちに集団的軍事行動につながることはなく、テロ防止とNATOの連帯を象徴するためのものだと強調。今後の具体的行動は、米国の要請を受けてから判断したいと語った。
 NATO筋によると、米国が犯行組織を特定できていないため、当面テロ組織に関する情報の提供要請にとどめるとみられる。
 NATOは、東西冷戦時代は旧ワルシャワ条約機構軍の脅威に対抗する組織だったが、冷戦崩壊後は旧ユーゴスラビアなど域外での国連平和維持活動(PKO)に主力を移動。今回、加盟国に対する国際的なテロ活動対策を前面に打ち出したことで、再び新たな時代に対応することになる。
 理事会の声明は、一九九九年のNATO首脳会議が採択した「戦略概念」が、さまざまな脅威と並んで、国際テロも平和と安定への深刻な脅威であるとしている点を指摘した。(了)[2001-09-13-08:27] 464
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 09/13@<米同時テロ>「自由の国」のジレンマ 北米総局長・中井良(毎日新聞)

 悪夢が現実になった。青空を突っ切って高層ビルに激突する民間機の映像は、世界最強を誇る米国のもろさを暴露した。「テロこそ冷戦後の脅威」と誰もが話していた。だが、こんな激しい形で実際に起こるとは誰も予想しなかった。11日の同時多発テロは、21世紀の新型戦争の時代が始まった日として歴史に記録される。それだけではない。冷戦が終わって10年目に超大国の経済力と軍事力の象徴が破壊され、絶頂期の米国を支えるシステムに初めて不安を覚えた日として人々の記憶に残るだろう。
 史上初めて国防総省(ペンタゴン)が攻撃されてから9時間後、ラムズフェルド国防長官は記者会見に立った。「ペンタゴンは12日、業務を再開するが安全なのか」という質問にこう答えた。
 「テロリストはいつでも、どこでも、どんな技術ででも攻撃できる。あらゆる時、あらゆる場所、あらゆる技術に対する防衛は不可能だ。安全だと保証はできない。このビルで働く人は自発的に働くのだ」
 今年の国防報告は米国の死活的国益として「米領土、米市民、米経済、金融、通信、交通など社会基盤を守る」と宣言した。だが、この日、米政府は約束を何も守れなかった。国防長官の答えは、テロを前に世界最強の超大国がなすすべを失い、漂流しかねない危うさをうかがわせた。
 エリック・フォナー・コロンビア大学教授(歴史学)は言う。「新しいタイプの戦争だが、問題は敵が分からないことだ。米軍はこの戦争を戦う構造になっていない。巨額の国防費を費やしているのに、情報収集に失敗した。不幸にも、きょうそれを学んだ」
 国防報告はテロリズムの脅威をこう認識していた。「暴力の水準を増大させたテロリストは米国人の生命と機構を直接、脅かすことができる」。それが予言となって的中してしまった。
 ブッシュ大統領は同日「われわれが世界の自由と好機の輝く指針だから、米国は狙われた」と語った。ここに最大の矛盾がある。自由で民主的で開かれた社会という米国の信じる価値ゆえに、テロリズムの侵入を防げなかったことだ。
 「自由を擁護し追求すればするほど、個人の活動や移動を制限するのが難しくなる。テロリストの自由まで認めることになりかねない。米国のパラドックスだ」とフォナー教授は自由の難しさを話す。
 国民を外敵から守るという現代国家の基本的役割は、敵が見えなくなった途端に、ぐらついてしまった。国家に何を託せばいいのか、米国も自信喪失の時代に入ろうとしている。 [2001-09-13-05:35]
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 09/14@「理性的な対応を」 米テロで平和団体などが声明(朝日新聞)

 米国で起きた同時多発テロでブッシュ政権が軍事的報復を表明していることなどに対し、各国の平和・宗教団体が、テロを非難しながらも「理性的な対応」を求める手紙や声明を出している。
 パレスチナで平和教育活動を続ける日本国際ボランティアセンター(JVC、熊岡路矢代表)の事務所には、事件直後から「なぜパレスチナ人を支援するのか」という抗議やアラブ人への脅迫までくるようになった。
 JVCは13日、「テロと報復で多くの無実の人々が犠牲になっている」とし、「国際社会の慎重かつ冷静な対処」を求める声明を発表した。
 日本キリスト教協議会はテロ行為に対する闘いは軍事的報復ではなく、「完全に法的、理性的、平和的な方法でなされるべきだ」との申入書をブッシュ大統領と小泉首相に送った。さらに小泉首相に対し「今こそ日本国憲法前文と9条の精神を順守すべきだ」と求めた。
 このほか米国の戦争抵抗者連盟(WRL)、緑の党、国際アクションセンターなどが、ベトナムや中南米、イラク、ユーゴスラビアなどで「多くの市民が米国のミサイルと爆弾で犠牲になった」とし、(1)一般市民を対象にするいかなる攻撃をも認めない(2)アラブ系の人々への敵意や偏見に反対すること−−などを求める声明を出している。[2001-09-14-10:44] 27
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 09/14@NATO、対アフガン軍事作戦検討を開始(読売新聞)

 【ロンドン13日=渡辺覚】米国が同時多発テロに対する軍事報復を検討するなか、米国支援のために集団的自衛権を行使する準備を整えた北大西洋条約機構(NATO)は13日までに、米国がテロの黒幕を在アフガニスタンのイスラム原理主義指導者ウサマ・ビンラーディンと特定し、NATOに出動要請した場合に備え、対アフガン作戦の検討に入った模様だ。統一行動の具体的な選択肢は明らかになっていないが、地上軍派遣を含めて検討しているとの報道もありアフガンのタリバン政権がビンラーディンの身柄引き渡しに応じるよう心理的圧力も狙っていると見られる。
 同日付の英紙ガーディアンは、米国の中枢部を狙い撃ちにした同時テロ攻撃を受け、NATOが、アフガニスタンへの地上軍派遣を含む緊急作戦の準備を進めていると報じた。
 ビンラーディンはアフガン山中に潜伏しているとされ、ビンラーディン一派の壊滅のためには、空からのミサイル攻撃だけでは十分でなく、地上軍投入が必要になる可能性があるとの判断からとみられる。
 同紙が、複数のNATO軍筋の情報として伝えたところによると、NATO軍の作戦は、テロ実行勢力に対する報復措置をブッシュ米大統領が表明したことを受け、北大西洋条約第五条に基づき、加盟国が米国の報復行動を支援する形で展開。そのうえでアフガン作戦は、地上軍数万人の投入を伴い、ユーゴスラビア紛争でNATO軍がコソボに展開した兵力に匹敵する規模になる見込みだという。
 ◆ロシアとも会合◆
 【ブリュッセル13日=鶴原徹也】北大西洋条約機構(NATO)とロシアの常設合同評議会は13日、ブリュッセルで大使級会合を開き、対米同時多発テロへの対応を協議し、「非人間的行為の責任者らが罰を免れることは許さない。その決意でNATOとロシアは結束している」との声明を発表した。[2001-09-14-01:56] 349
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 09/14@<タリバン動揺>身柄引き渡し拒否すれば自体が攻撃対象にな(毎日新聞)

 【イスラマバード春日孝之】米政府が計画しているとみられるアフガニスタンへの報復攻撃をめぐり、同国を実効支配するタリバン政権が動揺している。
 同政権がウサマ・ビンラディン氏の身柄引き渡しを拒否した場合、タリバン自体が攻撃対象になる可能性が高い。ブッシュ米大統領は「テロリストに隠れ家を与えた国家も報復対象になる」と明言しているからだ。
 現地からの情報では、タリバンは空爆に備え、既に高度の警戒態勢に入った。最高指導者オマル師も同国南部カンダハルの公邸を退去し、身を潜めた。一方、アフガンに滞在していた約80人の国連職員は全員、13日までに出国したという。
 在パキスタンのザイーフ大使は12日、「米国は理性の国だから、(ビンラディン氏関与の)明確な証拠なしに空爆はしない」とけん制。タリバンの報道官は「巡航ミサイルで壊すに値するものは何もない。国家を壊滅しようとしても不可能で、米国への憎悪をかきたてるだけだ」「攻撃には復しゅうする。全世界のイスラム教徒に団結を呼びかける」などと語っている。
 米国は今回、「国際テロの聖域」とみなすアフガンを一気にたたきつぶす好機と考えているフシがあり、大規模な地上軍投入の可能性も排除できない。タリバン側の発言は恐怖心の裏返しでもあるようだ。 [2001-09-14-20:30] 350
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 09/14@<米同時テロ>焦点は武力行使のタイミングに(毎日新聞)

 アフガニスタンに潜むウサマ・ビンラディン氏が同時多発テロの容疑者と明示され、焦点は事実上、軍事報復の時期と規模に移ってきた。米国防総省高官は13日、「早ければ週内にも」との見方を示したが、ホワイトハウス高官はテロ組織との本格的な「戦争」に向けて、ブッシュ大統領が準備に時間をかけると見ている。国内世論の動向や主要外交日程、北大西洋条約機構(NATO)との集団的自衛権の問題も絡んで、報復のタイミングは極めて流動的だ。 【ワシントン布施広】
 今回、誰より屈辱を味わったのは、国防総省ビルへのテロで多数の部下を失ったラムズフェルド国防長官だろう。長官は12日、軍事行動の時期を論じるのは米軍兵士の生命を危険にさらすことだと同省職員らに警告し、敵に情報をなるべく与えない方針を示した。
 だが、かん口令を突いて真偽不明の情報も飛び交う。国防総省高官は13日、ロイター通信に、早ければ週内か来週にも軍事行動に出る可能性を示唆した。これほど早期だとすれば、巡航ミサイルによるテロ組織の拠点攻撃などが想定され、米国民のうっ憤をとりあえず晴らすのが狙いになる。
 インド洋ディエゴガルシアやトルコ・インジルリクの各空軍基地、ペルシャ湾岸の空母を使えば巡航ミサイル攻撃や空爆も可能だが、これだけではテロ組織は根絶できない。別の高官によると、空海陸からの大規模攻撃を検討中で、数年にわたる軍事行動、文字通りの戦争を続ける可能性があるという。
 この場合、米単独の軍事行動か、NATOと共同戦線を組むかという問題がある。仮にビンラディン氏がいるアフガンに地上軍を投入するなら、近隣国での軍事拠点づくりも必要だ。具体的にはパキスタンだが、アフガンのタリバン政権を承認するパキスタンが、米軍に出撃拠点を提供するかどうかは即断できない。
 またアフガン進攻には近接するイランの反発が必至だ。ロシアも難色を示す可能性がある。根回しは容易でない。まずタリバンにビンラディン氏引き渡しを求め、無理なら国境封鎖でタリバンを兵糧攻めにする非軍事的オプションも捨てられないのはそのためだ。
 外交日程も微妙に響く。ブッシュ大統領は24〜26日にニューヨークでの国連総会に出席し、10月中下旬には上海でのアジア大平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を機に、日本、韓国、中国を歴訪する。最高司令官(大統領)外遊中の軍事行動は考えにくいため、アジア歴訪の前に軍事行動を起こすか終了後まで待つかが、一つの検討課題。待つ場合は、早期の軍事行動に期待する米国民や議会をどう納得させるかが、頭の痛い問題になってくる。 [2001-09-14-20:15] 351
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 09/14@<米同時テロ>パ大統領がアフガン情勢で関係閣僚らと対応協(毎日新聞)

 【イスラマバード春日孝之】パキスタンのムシャラフ大統領は14日、緊張するアフガニスタン情勢について関係閣僚らと対応を協議した。米政府はウサマ・ビンラディン氏が滞在するアフガンへ軍事行動を取る場合、パキスタンに米軍機の領空飛行を要請したとされるが、ムシャラフ政権が米国の要求に応じれば、国内で影響力を持つイスラム原理主義勢力が猛反発するのは必至。「内戦の危機に直面する」(軍関係者)との指摘もある。
 大統領は13日、在パキスタンのチェンバリン米大使と会談した際、領空の飛行許可などを求められたとの情報がある。「大統領は前向きな姿勢を示した」(米外交筋)という。
 これに対し、パキスタンのイスラム原理主義勢力は一斉に猛反発。軍情報機関の元長官で原理主義勢力の理論的指導者であるハミド・グル氏は14日、毎日新聞に「ビンラディン氏が今回のテロに関与したという明確な証拠なしに、領空は使わせない」と述べた。
 世論に絶大な影響力を持つ最大のイスラム原理主義政党、イスラム協会のカジ・フセイン総裁も「多くの無実のイスラム教徒が殺害されるのを見過ごしにはできない」と語った。
 ある軍関係者は「報復空爆はパキスタン国内情勢に悪夢をもたらす」と発言、政府が領空使用許可を与えても、抗議行動を控えるよう原理主義指導者らを説得して回っているという。
 米国は98年8月、アフリカの米大使館同時爆破テロの報復としてアラビア海から巡航ミサイルを発射、パキスタン領空を通過しビンラディン氏の潜伏先とみられる軍事施設を攻撃。事前の了解なしに領空を使用したとして、パキスタンでは連日、大規模な反米、反政府デモが起きた。 [2001-09-14-20:15] 352
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 09/14@<NATO>武力行使の時期、米国の出方待つ (毎日新聞)

 【ブリュッセル森忠彦】米国の提案を受けて集団的自衛権の発動に道を開いた北大西洋条約機構(NATO)だが、今後については米国の出方を待っている状態だ。
 NATO当局者によると、米国の正式な要請で集団的自衛権が発動されれば、加盟国はNATOが共有する基地や通信網を攻撃参加国に提供せねばならない。アフガニスタンを攻撃する場合、地勢的に重要な位置にあるトルコのエジェビット首相は13日、国内にある共用基地の使用を容認する姿勢を表明した。
 しかし、加盟国に攻撃参加の義務はない。ノルウェーやイタリアの首脳は早くも、派兵には慎重な意見を表明した。
 実際の攻撃は米軍中心で、参加するのはテロ対策に実績がある英仏など限られた範囲にとどまるとの見方が強い。 [2001-09-14-20:15] 361
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 09/14@独、米で周到にテロ準備 ビルに突っ込んだ男たち(共同通信)

 五十人とも言われる米中枢同時テロ事件の容疑者の一人で、自ら操縦かんを握りニューヨークの世界貿易センタービルに突っ込んだとみられる中東系の男性、モハメド・アッタ氏らの足取りを米メディア報道をもとにたどると、各地で周到にテロの準備を重ねたようすが浮かび上がる。
 ▽電気工学
 アッタ氏はサウジアラビア国籍を持つとされるが、アフガニスタン人を名乗っていたとの情報もある。
 ドイツ警察によると、サウジアラビアなどとともにアフガニスタンのタリバン政権を承認しているアラブ首長国連邦の旅券でドイツに入国、北部の港町ハンブルクで暮らしていた。
 ハンブルクには対米テロの黒幕とされるサウジアラビア出身の富豪、ウサマ・ビンラディン氏のテロ組織の後方支援部隊があり、「ここからビンラディンに金が流れている」と指摘する地元捜査関係者も。
 アッタ氏は十歳年下のいとこマルワン・アルシェヒ氏とともにハンブルク工科大学で電気工学を学ぶ。二人がいつ、どこからドイツに入国したのか。地元警察は「言えない」としている。
 ▽免許取得
 二人はドイツから米国フロリダ州に拠点を移した。昨年七月から今年一月にかけ、ドイツ時代と同様、二人で部屋を借りていたことが米連邦捜査局(FBI)によって確認されている。昨年七月から十一月までは二人で同州ベニスのパイロット養成学校に通った。
 米国では、中東の国営航空のパイロットも操縦訓練を受けており、中東系の訓練生は珍しくはない。入校の際にはそれぞれ一万ドル(約百二十万円)の授業料を小切手で支払った。
 「ジャンボ機を操縦したい」。二人はほかの訓練生とはあまりうち解けなかったが、周囲にこう話していた。飛行免許を取得した後「別の学校に通う」と言って去っていった。校長は「二人とも平均的で特に優れているというわけではない。反米的な発言はなかった」と話した。
 フロリダで二人は、短い間地元の男女と暮らしたことも。女性は「失礼なやつらなので、追いだしてやったわ」と話す。
 ▽レンタカー
 今年五月二日、アッタ氏はそれまで持っていたエジプトの自動車運転免許に加え、フロリダ州の免許も取得した。
 九月五日から米北東部ボストンのローガン空港の駐車場に不審な車が出入りし始める。三菱のセダン。アッタ氏らがボストンの西約百キロのスプリングフィールドで借りたレンタカーだった。テロ実行の十一日までに四、五回の出入りがあった。
 九月十一日午前七時五十九分、ビジネスクラスにアッタ氏を乗せたロサンゼルス行きアメリカン航空機が同空港を離陸。まもなく、約九十人の乗客乗員とともにニューヨークの超高層ビルに突っ込んだ。
 その十八分後、同じ空港を離陸したアルシェヒ氏が乗ったユナイテッド機が、双子ビルのもう一方に激突した。(共同)(了)[2001-09-14-18:00] 372
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 09/14@独で拘束の実行犯?2人、地味な庶民生活(読売新聞)

 【ハンブルク14日=貞広貴志】米国の同時多発テロ事件の実行犯の疑いが強いアラブ系男性2人は、今年初めまでドイツ・ハンブルクに住んでいた。現地で住民らの証言を拾うと、“見えない敵”と評される犯行集団メンバーが普段は極めて地味な生活を送っていた実態が浮かび上がった。残忍な犯行と裏腹の目立たない行動パターンは、テロリストが各国の市民社会に庶民の顔をして潜伏している事実を暗示している。
 実行犯の疑いが強いのは、モハメド・アッタ(33)、マーワン・アルシェヒ(23)の2人。2人の住居は、港湾都市ハンブルク中心部から南西に約20キロ、閑静な住宅街の4階建てアパートの2階にあった。2人はもう1人のアラブ系住民と暮らしていた。
 「親切で礼儀正しく、それに目立たない人たちだった」。同じアパートの4階に住むクリスティアン・シュルツさん(52)が言う。3人は白い長衣を常に着用したり、時に15人分の靴が廊下に並ぶほど頻繁に不特定多数が部屋に出入りする点では目立ったが、階段で顔を合わせると気さくにあいさつしてきたという。アッタと見られる年長の男性は外国語なまりのないドイツ語を話し、買い物荷物で手がふさがっている住民のためドアを開けておくこともあった。
 2人はアパートから徒歩5分のハンブルク・ハーブルク工科大学に通っていた。アッタは8年間も在学して修士号を取得、アルシェヒも1年半にわたり籍を置いたが、2人はここでも目立たない存在だった。キャンパス内で質問した約20人の教授や学生は「知らない」と声をそろえた。
 同大はエアバス社と協力した航空機システム研究で有名だが、2人の専攻分野は電気工学でテロとは直接結びつかない。13日午後、緊急全学集会を招集したクリスティアン・ネデス学長は、「地道に暮らしていた学生がテロに参画していた疑いが濃い」とショックをあらわにした。
 アラブ首長国連邦(UAE)国籍で住民登録した2人は、今年2月ごろにアパートを引き払った後、米マイアミに渡ってジェット機の操縦訓練を受け、世界貿易センタービルに突っ込んだ旅客機2機に別々に搭乗した疑いが強まっている。
 だが、捜査当局による12日夜の家宅捜索で、アパートの部屋からは物証はおろか指紋ひとつ見つからなかったとされる。
 2人はこのハンブルクの部屋で首謀者の指令を受け、世界を震かんさせるテロの実施計画を練ったのか――。近所の主婦は、「どうしてもあの人たちがやったとは信じられない」と首をひねると、こう付け加えた。「犯行遂行のため素顔を何年間も隠し続けていたとしたら、およそ人間離れした精神力だ」 [2001-09-14-12:49] 373
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 09/14@<米同時テロ>タリバンと協議へ パキスタン軍代表が出発(毎日新聞)

 【イスラマバード春日孝之】米国での同時多発テロ事件を受け、パキスタン軍当局は13日、同軍代表団がアフガニスタンのイスラム原理主義勢力「タリバン」政権の本拠地がある同国南西部のカンダハルに向け、出発したことを明らかにした。パキスタンのムシャラフ大統領は13日、パウエル米国務長官との電話会談で、「テロと戦うため米政府に全面協力する」と約束しており、米政府から要請された犯人グループの捜査協力などをめぐる協議の行方が注目される。
 パキスタンは、今回の事件の黒幕と疑われるウサマ・ビンラディン氏をひ護するタリバン政権と緊密な関係にある。ムシャラフ大統領はパウエル米国務長官との電話会談で、タリバンへの影響力行使を求められた可能性がある。だが、米国への全面追随姿勢は国内のイスラム原理主義勢力の猛反発を招きかねず、ムシャラフ政権崩壊の危機さえ招きかねず、ジレンマに立たされている。
 タリバンを政権承認しているのはパキスタンとサウジアラビア、アラブ首長国連邦の3ヶ国だけで、パキスタンは94年のタリバン創設に深くかかわり、内戦で全土制圧を目指すタリバンに軍事支援を続けてきた経過がある。
 パキスタンは98年に核実験を実施して以来、イスラム武装勢力によるカシミールのインド支配地域侵攻支援、クーデターによる軍事政権成立と続いて国際的に孤立し、経済制裁で経済は崩壊の危機に直面した。だが、最近はテロ対策で表向き米国に協力姿勢を示しており、徐々に国際社会に復帰しつつある段階にある。
 今回、パキスタンが米政府に全面協力すれば国際社会復帰に弾みが付く可能性が高い。逆に消極姿勢は、「テロ支援国家」のイメージを印象付け、孤立化しかねない。
 しかし、パキスタンではイスラム原理主義勢力が世論に大きな影響力を持つ。原理主義勢力は、米政府のタリバン孤立化政策や、カシミール問題でのインド支持姿勢に反米姿勢を強めている。このため、これまでも、ビンラディン氏の身柄引き渡し問題では、米政府の協力要請に表向き協力姿勢を示すだけで「お茶を濁してきた」というのが実情だった。
 ところが、米政府は今回、「報復はテロリストへの報復に限らず、テロリストをかくまった国」をも対象にすると強硬な姿勢で臨んでいる。タリバンが米国の攻撃を受け、壊滅的打撃を受けた場合、直接、パキスタンに跳ね返ってくる。ムシャラフ政権は「踏み絵」を迫られているというのが実情だ。 [2001-09-14-12:40] 374
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 09/14@<米同時テロ>テロ封じ込めへ米国と協力強化 中国副首相が(毎日新聞)

 【北京・浦松丈二】新華社電によると、中国の銭其シン副首相は13日夜、パウエル米国務長官と電話で協議し、国際的なテロ活動防止策をめぐり意見交換した。協力を進めることで一致した。
 パウエル長官は協議の中で、テロ封じ込めに向けた中国の協力に期待を表明した。これに対し、銭副首相は「国際的なテロ活動を防ぐためには国際社会の協力が必要だ」と述べ、米国との協力強化の意向を伝えた。
 中国は米国での同時多発テロを批判する一方、国連安保理を通じた問題解決が望ましいとの立場を示している。米国への協力姿勢には米側に国連重視を促す狙いもあるとみられる。 [2001-09-14-11:30] 375
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 09/14@国連大使急きょ承認 テロ受け米上院外交委(共同通信)

 【ワシントン13日共同】米上院外交委員会は十三日、ブッシュ大統領が国連大使に指名していたジョン・ネグロポンテ氏の大使就任を一四対三で承認した。近く本会議でも承認の見通し。
 ネグロポンテ氏はことし三月に大使に指名されたが、一九八○年代に同氏がホンジュラス大使を務めた際、同国政府の人権侵害を本国に報告しなかったなどとして一部の議員が承認に難色を示していた。しかし、米中枢同時テロを受け、反対議員も急きょ賛成に回った。
 ネグロポンテ氏はホンジュラスのほか、フィリピン、メキシコ大使などを歴任したベテラン外交官。(了)[2001-09-14-10:47] 377
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 09/14@<米同時テロ>伊外相、軍事協力には慎重(毎日新聞)

 【ローマ井上卓弥】イタリアのルジェロ外相は13日、北大西洋条約機構(NATO)が今回の同時多発テロを北大西洋条約第5条の「集団的自衛権」の発動対象と認定したことについて、「(米国の)軍事行動への協力は既定路線ではなく、各国独自の判断による」と述べ、慎重な方針を示した。
 ANSA通信によると、ルジェロ外相は「集団的自衛権の発動に先立ち、NATO加盟国(米国)に攻撃を加えた組織や国家を特定する必要がある」と発言。さらに「第5条が適用される場合にも、軍事協力の範囲は加盟各国が個別に決定するだろう」と述べた。
 テロ組織の実態が未解明な現段階では、自国軍派遣などの全面的軍事協力に慎重なイタリアの立場を表明したものとみられる。 [2001-09-14-10:35] 382
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 09/14@カブールからアラブ人など避難 早期報復の憶測で(朝日新聞)

 カブールからの報道によると、米国によるアフガニスタンへの報復攻撃が近いとの憶測が広がり、在住のアラブ人ビジネスマンらが首都から避難し始めた。急きょ、防空ごうを掘ったり、土のうを積んだりする住民もあり、首都は激しい混乱をきたしている模様だ。
 憶測が強まったのは、国連本部が12日、アフガン国内にいる国連機関の外国人約80人に避難勧告を出したため、とみられる。外国の非政府組織(NGO)もいっせいに避難し始めた。
 前回、米国がアフガンに報復攻撃をした98年8月には、国連職員が避難した日に巡航ミサイルが各地に撃ち込まれた。このため、「すぐ攻撃が行われるというサインと思ったのではないか」と、12日に国連特別機で避難した国連職員は言う。
 同国を実効支配しているタリバーン政権のパキスタン駐在の外交官は、「われわれは米国の攻撃を恐れはしない」と言う。だが、アラブ人や、庶民は、米国の攻撃は内戦とは規模も破壊力も違う、と考えているようだ。[2001-09-14-09:22] 383
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 09/14@ロは軍事行動の計画ない(共同通信)

 【モスクワ14日共同】インタファクス通信によると、ロシアのイワノフ国防相は十三日、米中枢同時テロに関連し、北大西洋条約機構(NATO)がアフガニスタンでの軍事作戦を計画していると伝えられていることについて「ロシアは軍事行動の実施を計画していない」と述べた。訪問先のアルメニアで語った。
 ロシアはテロリストへの軍事的手段は「確固とした法的基盤に基づくべきだ」(イワノフ外相)との立場で、国防相の発言は、国連安保理などで軍事行動が検討されていない段階でのロシアの軍事行動に慎重な姿勢を示したものとみられる。(了)[2001-09-14-08:57] 385
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 09/14@同姓同名に治安当局関心 突入機操縦とバス爆破犯(共同通信)

 【エルサレム13日共同】イスラエル国防省筋は十三日、世界貿易センタービルに突っ込んだ旅客機を操縦していたとされるモハメド・アッタ氏が、一九九五年八月にエルサレムで路線バスを爆破し五人を殺害、百人以上を負傷させたテロ事件容疑者の一人と同姓同名であることに関心を抱いていると述べた。
 エルサレム事件のモハメド・アッタ容疑者はヨルダン川西岸エルビラ出身で、九五年の事件直後に渡米した。イスラエル治安当局は身柄引き渡しを求めたが、米当局は同容疑者が米市民権を持っていることを理由に拒否したという。
 同容疑者はアラファト議長のパレスチナ解放機構(PLO)主流派ファタハの関係者とする情報もある。
 米国などでの報道によると、世界貿易センタービルに突っ込んだアメリカン航空機の搭乗者名簿に名前があったモハメド・アッタ氏は、アラブ首長国連邦の旅券を持ち、同ビルの別棟に突っ込んだユナイテッド航空機の搭乗名簿に載っていた「マルワン」と名乗る人物とともに昨年七月から十一月まで、フロリダ州で航空機の操縦を学んでいた。(了)[2001-09-14-08:05] 386
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 09/14@米が国威懸ける軍事報復 真の狙いはタリバンか(共同通信)

 「これは戦争だ」とのブッシュ米大統領の報復宣言を受けて、米政権と国防総省は軍事作戦の立案を開始した。「単に犯行グループを裁く報復を越えて支援国への攻撃も含まれている」(ニューヨーク・タイムズ紙)とされ、米政権はテロの主犯と目されるウサマ・ビン・ラディン氏をかくまうアフガニスタンのタリバン政権への攻撃も警告している。米国が国威を懸ける湾岸戦争以来の大規模な軍事・外交戦略―。シナリオを米高官の発言などで探ってみた。
 ▽一線を越える作戦
 国防総省が大統領から一線を越える“お墨付き”を得たと言うのはブッシュ大統領が「テロリストもそれをかくまった者も差別しない」「あらゆる手段を尽くす」と明言したことだ。
 米政府高官がテロの主犯として「90%台後半の確率」と断言するウサマ・ビン・ラディン氏はタリバン政権に豊富な資金援助を続け、同国に滞在している。
 すぐにも可能なのは、巡航ミサイル攻撃と戦闘爆撃機の精密誘導弾による空爆を組み合わせる作戦。インド洋のディエゴガルシア島の米空軍基地やペルシャ湾地域に展開する空母エンタープライズ、トルコのインジルリク空軍基地を使う。
 ラムズフェルド国防長官は、太平洋軍、欧州軍、中東軍各司令官と部隊投入の協議を始めており、作戦は一週間で開始可能だ。
 ▽複数国への攻撃も
 だが米国は一九九八年八月の米大使館同時爆破テロでアフガニスタンの同氏の訓練施設を巡航ミサイルで攻撃したが、ラディン氏を取り逃がし「失敗だった」(中央情報局元当局者)との見方が強い。
 今回もラディン氏が逃げ切った場合「ブッシュ大統領は間抜けに見える」(スコウクロフト元国家安全保障問題担当大統領補佐官)。大統領の政治生命が危ぶまれる事態だ。
 このため、ラディン氏だけでなく、世界のテロ組織に訓練を提供するタリバン政権中枢にもダメージを与える大規模で長期的な攻撃など「作戦は限界まで検討されている」(同紙)。
 タリバン政権下で軍事訓練中の“テロリスト予備軍”はエジプト人だけで四百人に上るという。「タリバン政権のオマル最高指導者とラディン氏は一心同体」(米政府当局者)で、反米テロの一掃にはタリバン政権の弱体化も不可欠だ。
 タリバンにはロシア、中国なども対決色を強めている。同政権にはラディン氏の引き渡しを求める国連制裁も科され「ある程度の空爆に国際社会は抵抗しない」(国連当局者)。
 捜査当局は今回の犯行をラディン氏が中東全体の幅広いネットワークを総動員したとみており、攻撃の標的はアフガニスタン以外にイラン、イラクのテロ訓練施設も候補とされる。複数国への空爆も数週間で実施可能という。
 ▽死体袋を恐れない
 少数の空挺(くうてい)特殊部隊をラディン氏の潜伏地に投入して身柄拘束を狙う作戦から、陸軍の本格的な歩兵部隊を投入してラディン氏グループやタリバン政権と戦う地上戦まで唱える陸軍幹部もいる。
 地上部隊投入は「米軍の死体袋が伴う」ため米世論が支持しないとされてきた。アフガニスタンは、ソ連が七九年の侵攻以来イスラム組織の抵抗に苦しみ結局敗退した。本格的な部隊投入となれば、二十万人前後の兵力が必要で二、三カ月の準備期間もかかり国民生活への影響も大きい。
 だが数千人の米市民が犠牲になったとされる今回のテロではハト派世論は吹っ飛び、国防総省高官は「作戦立案に何の制限もない」と言う。
 地上部隊投入は湾岸戦争でサウジアラビアが担ったような周辺国の基地提供などの協力が不可欠。ブッシュ大統領、パウエル国務長官らは十二日から、アフガニスタンの南隣にあるパキスタンのムシャラフ政権に猛然と外交攻勢をかけており、同国の判断がカギを握る。(共同=杉田弘毅)(了)[2001-09-14-08:02]
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 09/15@米議会も異例の「全会一致」 制御きかない危険も(共同通信)

 米中枢同時テロをめぐり、米上下両院は十四日、ブッシュ大統領が報復のため武力行使することを容認する決議をほぼ全会一致で相次いで可決した。最近の米国がかかわった戦争、軍事介入では、武力行使をめぐる賛否が拮抗(きっこう)するのが常だった米議会としては異例のことだ。
 世論の強い後押しの中、米国がまさしく「真珠湾以来」の高揚状態にあることをうかがわせているが、半面、「制御のきかない状態に陥る」(決議にただ一人反対したバーバラ・リー下院議員)まで米国が突っ走る危険もはらんでいる。
 今回の決議はブッシュ大統領にテロリズム一掃の戦いのため「すべての必要で適切な武力を使用する」ことを認めており、空爆やミサイル発射などの報復だけでなく、地上軍派遣についても容認していると解釈される。あらゆる選択を「白紙小切手」の形でゆだねたに等しい。
 一九九一年一月の湾岸戦争直前の米議会は、激しい論争の末、武力行使容認決議を上院が賛成五十二、反対四十七、下院が賛成二百五十、反対百八十三という小差で可決した。
 九九年四月のユーゴスラビア空爆の際は、上院はクリントン大統領に空爆権限を与える決議を採択したが、下院では賛否同数で可決できずに終わっている。
 武力行使は軍最高司令官である大統領の専権事項との解釈が憲法上は有力だが、同時に憲法は宣戦布告の権限は議会にあるとしているため、米国では軍事介入のたびに論争を呼んできた。
 今回はそんな論争の余地さえない実質的なフリーハンドを議会が大統領に与えており、議会が憲法に従って宣戦布告を行った「第二次大戦参戦決議」(一九四一年)以来の怒りと決意を米国は示しているともいえる。(共同=石山永一郎)(了)[2001-09-15-18:39] 23
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 09/15@米軍、多難な報復作戦(読売新聞)

 米国の政治・経済の心臓部を狙った同時多発テロに対する報復を目指す、米軍の大規模武力行使は時間の問題となった。しかし、山岳国アフガニスタンを舞台に、テロの首謀者と見られている原理主義テロ勢力の総帥ウサマ・ビンラーディン一派を掃討する戦争の前途は、あまりにも厳しい。(ワシントン 林 路郎)
 ◆タリバンのせん滅を視野◆
 「彼は直ちに祈りをささげた方が良い」――。ハスタート米下院議長(共和党)は13日、ウサマ・ビンラーディンに対し、米軍による殺害をも念頭に置いた警告を発した。
 米軍統合参謀本部が準備中の報復作戦の中で、ビンラーディン個人の抹殺が重要目的の一つに設定されていることは、米政府、議会内外の暗黙の了解事項となっている模様だ。下院議長の発言は、そんなムードを代弁したものだ。
 ウォルフォウィッツ国防副長官も13日の会見で、「テロリストの身柄を確保し、法廷でその責任を問うといったレベルの単純なものではない。重要なのは、テロリストの聖域やテロ組織を支援するシステムを除去し、テロ支援国家に終えんをもたらすことだ」と、ビンラーディン一派はもちろん、必要ならタリバン体制のせん滅を目指す姿勢を強調した。
 こうした作戦構想に基づく攻撃目標として想定されるのは、まず東部ジャララバード近辺に点在する、ビンラーディン指揮下のテロ組織「アル・カーイダ」(基地の意味)のテロ訓練基地など。タリバンの本拠地である南部のカンダハルや首都カブールも空爆にさらされる見通しが強い。タリバンを揺さぶりビンラーディン支援を放棄させる目的で、行政機構や石油備蓄拠点、送電施設などを破壊すると予想される。
 かなりの期間にわたる空爆に続き、特殊部隊などの地上兵力を送り込み「アル・カーイダ」にとどめを刺す作戦をとる公算も大きい。
 ビンラーディン“暗殺”や体制せん滅さえ正当化される背景には、死者数が1万人に達するとも予想される今回のテロに対し、徹底的な報復を求める米世論の高まりがある。
 民間世論調査会社イプソス・リード社は12日、米国民の69%が同時多発テロを「戦争行為」と受け止めたとの調査結果を公表。99年のユーゴスラビア・コソボ自治州紛争への介入前にくすぶった「米軍が行動を起こすことは正当なのか」との議論は、今回は全く聞こえてこない。
 ◆山岳地帯、効果薄い空爆◆
 米海軍高官によると、目下、ペルシャ湾海域とインド洋にそれぞれ空母戦闘群が展開中。海からの空爆には、攻撃機F/A18といった艦載機が主力になる模様だ。巡航ミサイルなどを搭載する空軍の大型爆撃機B2が投入される見通しも出ている。
 だが、タリバンもビンラーディンも、米国にとって容易なターゲットとは言えない。ビンラーディンは転々と居場所を変え、陽動作戦にたけている。
 地形は複雑を極め、山岳地での空爆は平地よりもはるかに効果が薄い。米軍による敵指導者抹殺の試みには、1986年のリビア空爆で同国最高指導者のカダフィ大佐、91年の湾岸戦争でイラクのフセイン大統領の命を狙ったとされる先例がある。しかし、いずれも失敗している。
 先進国相手では産業基盤、流通機構、行政組織などへの空爆でダメージを与えることができるが、タリバン支配下の“自給自足経済体制”には、こうしたわき腹は無いに等しい。地上軍を派遣する場合、不慣れな山岳戦を強いられるうえ、言語の通じにくい敵意に満ちた現地住民の協力は期待出来ず、むしろ包囲されることになる。
 アフガンゲリラたちは幼いころから山岳戦に熟達して、70年代末から89年までアフガンを占領した旧ソ連軍の最精鋭特殊部隊、スペツナズですら戦果をあげられなかった。
 とはいえ、ビンラーディンは、部下と頻繁に電話で連絡を取り合う性癖があり、常に側近を付き従えて移動することで知られ、その滞在先では警備が強化される傾向があるという。
 米軍は、これらを手掛かりに、電子偵察機や衛星を駆使し、その居場所の探知を急ぐだろう。
 ◆近未来を占う「手探りの戦い」◆
 米軍が実際に軍事行動を起こすまでには、兵員・兵站(へいたん)の大規模な輸送を伴うため、最大数か月の準備期間を要するとの専門家の見方もある。Xデーがいつであれ、今回の戦争は、テロ組織というニュータイプの脅威を主要対象の一つとする、21世紀の米軍事戦略のひな型を提示するものとなるだろう。
 ラムズフェルド国防長官は、9月末までに議会に提出予定の「4年ごとの国防見直し」(QDR)で、米本土防衛とテロ対策を最重要課題として掲げる見通しだ。その直前に起きた同時多発テロ事件は、くしくも新戦略の正当性を実証しているかのように映る。
 97年版のQDRまで維持された米軍の「二正面対応戦略」は、ペルシャ湾と朝鮮半島で二つの大規模戦争が同時に起こる事態を想定していた。この戦略の原型は、冷戦終結直後の89年ごろから統合参謀本部を中心に構想が練り上げられた。時期をほぼ同じくして、90年夏にイラクがクウェートに侵攻、91年の湾岸戦争へとなだれ込んだ。これにより、「二正面対応戦略」の正当性が裏付けられる結果となった。冷戦後の二つの軍事戦略がともに“格好の戦争”と軌を一にして生まれるのは、歴史の皮肉と言うべきだ。
 今回の旅客機テロ事件は、その奇襲戦法と衝撃度から旧日本軍の真珠湾攻撃と度々比較される。だが、米国が着手しようとしている軍事行動は、太平洋戦争とは全く別の性格のものだ。湾岸戦争とも異なる。
 98年8月のケニア、タンザニアでの米大使館爆破テロ事件の後、米軍はアフガニスタンに巡航ミサイルを発射して首謀者ビンラーディンを狙ったが、彼はミサイル発射後に居場所を変え、難を逃れてしまった。
 アメリカはテロ組織から米本土を守ることができるのか。アメリカの国防戦略の近未来を占う「手探りの戦い」でもある。 [2001-09-15-03:30] 276
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 09/15@「隣国にも報復」 タリバーンがパキスタンをけん制(朝日新聞)

 アフガニスタンのタリバーン政権が15日、「米国に協力した隣国にも報復する」と表明したことは、パキスタンに大きな心理的脅威を与えている。パキスタンにはイスラム原理主義者も多く、反米の世論も根強い。タリバーンが報復攻撃やテロ襲撃に出れば、国内はまっぷたつに分裂する危険性も大きい。それを熟知したタリバーンの心理戦のようだ。
 タリバーン政権の最高指導者、オマール師の声明は、「(対米協力した国には)ムジャヒディンも国境を越えて侵入するだろう」と述べた。
 「ムジャヒディン」とは、イスラム教の「聖戦」を戦う勇猛な民兵たち。アフガン戦争で旧ソ連軍を駆逐した勢力として知られる。その中には隣国パキスタンで訓練され、育ったものも多い。アフガン戦争後、一部はインドとパキスタンの領土紛争地、カシミールに流れ、インドに対するテロ活動を展開している。
 すでにこの中には、アフガンを攻撃すれば、パキスタンへのテロ活動をすることを表明した勢力もある。タリバーンは今回、こんな事情を利用し、パキスタンに強い心理的な圧力をかけ、対米協力を思いとどまらせようとしたようだ。
 その一方、パキスタン駐在のタリバーン政権のザイーフ大使は15日、「米国は非難するばかりで、いっこうに私たちと接触しない」とも述べ、米国の攻撃を避けたい思いがちらついた。初めて米国との対話を受け入れる発言だったが、こうした声はカブールの政権中央からは聞こえてこない。[2001-09-15-23:44] 277
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 09/15@東ティモールで制憲議会招集、初閣議は延期(読売新聞)

 【ディリ(東ティモール)15日=平井道子】来春の独立を目指している東ティモールで、制憲議会が15日招集され、女性23人を含む88人の議員が初登院した。制憲議会は東ティモールの国家形態や国旗、国歌などを規定する憲法を90日以内に制定する。
 制憲議会の開会式典で国連東ティモール暫定統治機構(UNTAET)のセルジオ・デメロ特別代表は「(インドネシアからの独立を決めた)99年8月の住民投票から今日までの2年間を考えると感慨深いものがある。今、この議場には民主主義がある。だれもこれを奪えない」とあいさつした。開会式典の冒頭、民族衣装をまとった住民が女性へのメッセージを現地のティトン語で述べた。
 しかし、同日夕に予定していた初閣議は17日以降に延期された。閣僚の人選を巡り、第一党の東ティモール独立革命戦線(フレティリン)と大統領就任が確実視されるシャナナ・グスマン氏らとの対立が原因で、独立に向けた作業が早くもつまずいた格好だ。
 今月6日の当選者決定以来、組閣作業はフレティリンを中心に進められていた。フレティリンは55議席で、憲法承認に必要な60議席に届かなかったため他党に協力を呼びかけていたが、実際の閣僚案は防衛、経済、社会資本などの重要ポストをフレティリンで独占、外相候補のノーベル賞受賞者のラモス・ホルタ氏など民間人も多く起用する一方で、1、2の他党の党首クラスに個人の資格で中堅ポストを譲るというもの。これに対し、グスマン氏やUNTAET首脳部に「幅広い党派から登用し、民意を反映した内閣にすべきだ」との意見が強く、フレティリンとの対立が続いている。
 「憲法を90日で制定するのは至難の技」(UNTAET幹部)との指摘がある中、組閣が遅れることで、憲法制定への影響は避けられない。 [2001-09-15-23:25] 278
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 09/15@<米同時テロ>武力行使容認を決議 米上下院(毎日新聞)

 【ワシントン布施広】パウエル米国務長官は14日、アフガニスタンのタリバン政権が米同時多発テロの有力容疑者とされるウサマ・ビンラディン氏をかくまっているとし「(テロの)加害者だけでなく、彼らに隠れ家や支援を与える者に留意せざるを得ない」と強い調子で警告した。米政府高官が事件に絡み、タリバンを名指しで非難するのは初めて。一方、上下両院はテロへの報復に関してブッシュ大統領に「必要かつ適切な」軍事力の使用を認める決議をそれぞれ採択した。また司法当局はテロの実行犯19人の氏名を公表、全員がアラブ系とみられる名前で、ビンラディン氏との関連が有力視されている。
 予備役招集にあたり大統領は国家非常事態宣言を出した。同宣言は父親のブッシュ元大統領が91年の湾岸戦争時に出して以来、10年ぶり。ブッシュ政権は最大5万人の予備役招集を決定した。
 国務長官は記者会見で「(容疑者を特定する)多くの証拠がある。容疑者がだれなのか近く判断できるだろう」と述べ、断定は避けながらもビンラディン氏の関与を強く示唆した。また同氏の組織は「文明社会を攻撃し、罪のない市民を殺している」と非難した。報復がタリバン以外に及ぶ可能性も指摘した。
 米議会が採択した武力行使容認決議は上院が全会一致、下院は賛成420票に対し反対はわずか1票だけだった。テロの実行組織だけではなく、テロリストをかくまった国なども軍事行動の対象にしている。
 氏名が公表された19人は米民間機4機を乗っ取った容疑者で、うち7人前後がフロリダ州などで操縦訓練を受けていた。19人中9人前後はサウジアラビア出身か居住経験がある者とみられ、在米サウジ大使館に勤務した外交官の息子も含まれている。ワシントンの連邦準備制度理事会(FRB)や、ジョージア州アトランタでのテロも計画していたとの情報がある。
 また、連邦捜査局(FBI)も、事件との関連で「逃亡の恐れがある関係者」1人をニューヨークで逮捕した。氏名やビンラディン氏との関係は不明だが、犯罪の重要情報を握る人物として逮捕状が執行された。このほかFBIは事件との関連で所在不明の約100人の行方を追っている。
      ◇
 米政府が発表した同時多発テロ乗っ取り犯19人の氏名は次の通り。
アメリカン航空11便(世界貿易センター第1ビル=北タワー=に突入、5人)
▽アブドルアジズ・アルオマリ=自家用機操縦と航空機関士の免許取得。ケネディ空港のサウジアラビア航空関連会社に勤務した記録も
▽モハメド・アタ(33)=操縦担当か。アラブ首長国連邦生まれ。ドイツの大学で電子工学を専攻
▽ワリード・M・アルシェヒリ(25)=操縦担当か。97年、米国の航空大学を卒業。民間機操縦免許を取得
▽ワイル・アルシェヒリ(28)=操縦担当か
▽サタム・アルスカミ(25)=アラブ首長国連邦出身。ハリウッド、フロリダなどに居住
ユナイテッド航空175便(世界貿易センター第2ビル=南タワー=に突入、5人)
▽マルワン・アルシェヒ(23)=操縦担当か。アラブ首長国連邦生まれ。モハメド・アタのいとこ。フロリダ州のパイロット養成学校でボーイング727の操縦法を学んだ
▽ファエズ・アハメド=フロリダ州に居住か
▽アハメド・アルガムディ=同
▽ハムザ・アルガムディ=同
▽モハルド・アルシェヒリ=同
アメリカン航空77便(国防総省に突入、5人)
▽ハニ・ハンジュール=操縦担当か。99年に民間機操縦免許を取得。私書箱の住所はサウジアラビアだった
▽ハリド・アルミダール
▽マジド・モキド
▽ナワク・アルハムジ=ニュージャージー州に居住か
▽サレム・アルハムジ=同
ユナイテッド航空93便(ペンシルベニア州で墜落、4人)
▽ジアド・ジャラヒ=操縦担当か。レバノン出身。昨年6月までドイツに居住。フロリダ州の航空学校で学んだ
▽サイード・アルガムディ=フロリダ州に居住か
▽アハメド・アルハズナウィ=同
▽アハメド・アルナミ=同 [2001-09-15-23:15] 280
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 09/15@邦人ら相次いで出国 アフガニスタン・パキスタン(朝日新聞)

 同時多発テロに対する報復として、米軍がアフガニスタンを攻撃した場合、隣国のパキスタンが攻撃の拠点になるとみられる。
 パキスタン在住の日本人は約800人。外交関係者などによると、ここ数日で半数以上が出国したか、出国を予定している。
 16日には首都イスラマバードの日本人学校や国際協力事業団(JICA)などの職員や家族100人近くが出国する。企業は退去の動きが早く、家族だけでなく、駐在員本人がすでに出国しているところが多い。
 一方、外務省などによると、アフガニスタンには国連や赤十字社関係の日本人15人が滞在していたが、15日までに全員が国外に出た模様だ。[2001-09-15-23:12] 288
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 09/15@テロ実行犯19人、各地で航空操縦学び潜伏(読売新聞)

 【ワシントン14日=館林牧子】米連邦捜査局(FBI)が14日に氏名を公表した同時多発テロ事件の実行容疑者19人は、航空機操縦の腕を磨き、身分を偽って潜伏生活を送っていた。
 世界貿易センタービルの北側タワーに体当たりしたアブドルアジズ・アル・オマリは、フロリダ州の飛行学校で訓練を受けたとみられる。ここはケネディ大統領の長男で、軽飛行機操縦中に事故死したジョン・F・ケネディ・ジュニア氏も通った学校。妻と4人の子供とともに住み、家主には「サウジアラビア航空のパイロットで、さらに技術を磨くため学校に通っている」と説明していた。
 共にドイツ・ハンブルクの工科大学に通っていたムハンマド・アター(33)、マルワン・アル・シェヒ(23)の2人は昨年、フロリダの別の飛行学校に入学した。互いをいとこと呼び合い、他の学生とは決して口をきかなかったという。
 ワリド・アル・シェフリは、1994年から米国に住み、民間航空機のパイロットを輩出するエモリー・リドル航空大学で操縦を学んで97年に卒業している。誕生日を様々に偽っており、年齢は不詳。隣人には「父親はサウジアラビアの外交官」と話していた。
 米国防総省に突入した5人のうち、操縦免許取得が確認できたのはハニ・ハンジュールだけ。アリゾナ州の学校で3か月の飛行訓練を受けている。5人のうちハンジュールを含む3人はカリフォルニア州で暮らしていたことがわかった。
 ペンシルベニア州で墜落した旅客機には、4人が乗り込んでいたが、うちズィアド・ジャッラヒはドイツのハンブルクで免許を取得した形跡がある。 [2001-09-15-22:22] 302
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 09/15@容疑者19人の横顔 米同時多発テロ(朝日新聞)

 容疑者19人の横顔(米司法省発表)
 ◆アメリカン航空77便(国防総省に激突)
(1)ハリド・アルミダル=短期商用ビザ。ロサンゼルス、ニューヨーク
(2)マジド・モケド=情報なし
(3)ナワク・アルハムジ=ニュージャージー州フォートリー(ニューヨーク近郊)、ウェイン及びロサンゼルス
(4)サレム・アルハムジ=フォートリー、ウェイン
(5)ハニ・ハンジュル=パイロットとみられる。アリゾナ州フェニックス、カリフォルニア州サンディエゴ
 ◆アメリカン航空11便(世界貿易センター北タワーに激突)
(1)サタム・アル・スカミ=「76年6月28日」。アラブ首長国連邦
(2)ワリード・M・アルシェフリ=パイロットとみられる。「74年9月13日/76年1月1日/76年3月3日/77年7月8日/78年12月20日/79年5月11日/79年11月5日/91年10月2日」。フロリダ州ハリウッド、オーランド、デイトナビーチ
(3)ワイル・アルシェフリ=パイロットとみられる。「73年7月31日」。フロリダ州ハリウッド、マサチューセッツ州ニュートン
(4)モハメド・アタ=パイロットとみられる。「68年9月1日」。フロリダ州ハリウッド、コーラルスプリング、ドイツ・ハンブルク
(5)アブドルアジズ・アルオマリ=パイロットとみられる。「72年12月24日/79年5月28日」。フロリダ州ハリウッド
 ◆ユナイテッド航空175便(世界貿易センター南タワーに激突)
(1)マルワン・アルシェヒ=パイロットとみられる。短期商用ビザ。「78年5月9日」。フロリダ州ハリウッド
(2)ファイズ・アフメド=フロリダ州デルレイビーチ
(3)アフメド・アルガムディ=同上
(4)ハムザ・アルガムディ=同上
(5)モハルド・アルシェフリ=同上
 ◆ユナイテッド航空93便(ペンシルバニア州に墜落)
(1)サイード・アルガムディ=フロリダ州デルレイビーチ
(2)アフメド・アルハズナウィ=「80年10月11日」。デルレイビーチ
(3)アフメド・アルナミ=デルレイビーチ
(4)ジアド・ジャラヒ=パイロットとみられる
(注)地名は在住または在住歴あり。「」内の日付は過去に本人が使用した生年月日[2001-09-15-19:14] 307
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 09/15@<東ティモール>初の制憲議会が開会 88人が新憲法を審議(毎日新聞)

 【ジャカルタ支局】東ティモールで15日、初の制憲議会が開会した。先月末に実施された同議会選で選出された議員88人が出席。今後3カ月をかけて、来年の独立のための新憲法を審議する。
 初議会は国連関係者らが見守る中、議員代表が「人権を尊重し、民主主義の発展に全力で取り組む」と宣誓した。また、国連東ティモール暫定統治機構(UNTAET)のデメロ事務総長特別代表は祝辞で「東ティモールには大きな可能性がある」と述べた。
 議会開会を受け、デメロ代表は数日中にも、東ティモール人だけでつくる「第2次暫定政府」の新閣僚を任命し、新政権への移行作業が本格化する。 [2001-09-15-18:30] 312
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 09/15@4部門からなる大組織 アフガンのゲリラキャンプ(共同通信)

 【ローマ15日共同】米中枢同時テロの関与を米国が強く疑うサウジアラビア出身の富豪ウサマ・ビンラディン氏がアフガニスタンに設立したテロ訓練のためのゲリラキャンプ「カエダ(基地)」は、軍事部門のほか経済、情報、宗教・司法の四部門からなる機能化された一大組織であることがイタリア各紙などの報道で明らかになった。
 ゲリラ兵士をアラブ各国から集めて訓練する軍事部門には、テロ計画を立案し各国の身分証明書を偽造するスタッフまでそろえ、計四千―五千人の陣容。三十数カ国に「細胞」と呼ばれるゲリラ要員、支援者が展開している。
 経済部門は、ビンラディン氏が欧州や中東などで経営する会社を統括、ペルシャ湾岸の富裕層を顧客とする「投資会社」、ダイヤモンド販売や木材輸入も手掛ける。得た豊富な資金で自動小銃やレーダー機器、衛星電話や携帯電話、南アフリカからウランも輸入したという。各国の会社代表はビンラディン氏との面識は一切ない。イスラム教徒からの寄付も集めている。
 ビンラディン氏は反米戦略家と同時に有能な経営者の顔も持っており、資産は推定五十億ドル(約五千九百億円)といわれる。
 情報部門ではインターネットで世界のイスラム教徒に情報を発信、ホームページも持つ。宗教・司法部門ではビンラディン氏の理想とする「イスラム国家」建設を推進している。
 四部門はビンラディン氏直属で、相互のつながりがないよう組織づくりされている。(了)[2001-09-15-17:14] 313
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 09/15@米攻撃に協力すれば報復 タリバンが隣接国に警告(共同通信)

 【イスラマバード15日共同】アフガニスタンのタリバン政権外務省は十五日、米中枢同時テロで米国がアフガニスタンを報復攻撃した場合、米国に領空通過や、軍基地など領土の使用で協力した隣接国に対しても報復も辞さないとの声明を発表した。アフガン・イスラム通信が伝えた。
 米国が報復攻撃の際の協力を求めているパキスタンを念頭に置いていることは明らかで、タリバン政権とこれまで良好な関係を保ってきたパキスタンに対し、米国と手を結ばないよう強く訴えたメッセージといえる。
 声明は、隣接国が米国に協力した場合「われわれはイスラム民兵にこうした国に侵入し、攻撃するよう指示せざるをえなくなる」と警告している。さらに「アフガニスタン周辺の国、特にイスラム国家が、軍事基地の提供を求める米国に対し前向きな反応を示せば、(その国は)並外れた危険にさらされる」とも強調した。
 また、英BBC放送によると、タリバン政権の最高指導者ムハマド・オマル師は十四日夜、ラジオ放送を通じ、予想される米国の報復攻撃について「これはウサマ・ビンラディン氏の問題であるだけでなく、イスラムへの敵対行為だ」と強調、全世界のイスラム教徒に対し「聖戦(ジハード)への準備」を訴えた。(了)[2001-09-15-17:01] 314
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 09/15@米国代表が反対演説せず 台湾の国連加盟(共同通信)

 【台北15日共同】中央通信によると、国連総会の一般委員会は十四日、台湾の国連加盟を求めた決議案を九年連続で議題として取り上げないことを決めたが、今年は米国代表が反対演説をしなかった。台湾側は「われわれに不利な発言をしなかったのは、米国の善意の表れ」と評価した。
 昨年までの討議では、米代表が英国、フランスなどと共に反対演説をしてきた。今年は、ブッシュ政権が台湾への大量の武器輸出や、陳水扁総統の米通過滞在で米台交流を事実上格上げした後だけに、台湾は米国の対応を注目していた。(了)[2001-09-15-16:51] 315
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 09/15@独立へ向け制憲議会が開会 東ティモール(共同通信)

 【ディリ15日共同】国連暫定統治下で独立準備が進む東ティモールのディリで十五日、憲法制定議会が開会した。先月三十日実施の直接選挙で初めて選ばれた八十八人の代表は「人権を尊重し、民主主義の発展に全力を尽くす」と宣誓し、国連や各国の来賓から大きな拍手を受けた。
 国連東ティモール暫定統治機構(UNTAET)のデメロ事務総長特別代表は「皆さんには大きな可能性がある。大変な仕事だが、達成できると確信する」などと祝辞を述べた。
 この日の議会発足を受けてUNTAETは、数日中にも東ティモール人だけで構成する「第二次暫定政府」の新閣僚を任命し、政権移行作業を本格化する。首席大臣にはアルカティリ東ティモール独立革命戦線(フレティリン)書記長が内定している。
 今後三カ月で取りまとめを行う憲法審議では、どのような大統領制を採用するかが大きな焦点。初代大統領には独立運動最高指導者のグスマン氏の就任が確実視されているが、議会で過半数を占めるフレティリンは、首相により大きな権限を持たせることを主張。「強い大統領制」を提案する第二党の民主党などとの意見の相違が明らかになっている。(了)[2001-09-15-16:43] 331
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 09/15@タリバーン本拠「出歩く人減った」 脱出の邦人語る(朝日新聞)

 イスラム過激派指導者オサマ・ビンラディン氏が滞在するとされるアフガニスタンに、米国が攻撃を加える懸念が強まる中、アフガニスタンから隣国のパキスタンに脱出した国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の日本人職員、千田悦子さん(38)が、朝日新聞記者の取材に答え、「アフガニスタンの町は一見平穏だが、脱出を考える人もいる」と、緊迫する状況を伝えた。
 千田さんは、昨年3月からアフガニスタンに勤務。同9月から、アフガニスタンを支配するタリバーン政権の本拠カンダハルで難民の世話を続けてきた。13日、国連機でパキスタンのイスラマバードに避難した。
 高層ビルもある首都カブールとは違い、泥でつくった家が立ち並ぶだけのカンダハルは、13日午後までは、市場も開いており、平穏な様子だった。「でも、テロ以降、少しずつ町を歩く人が減った感じだ」。強硬派による反米集会をタリバーン側がやめさせる、という動きも伝え聞いた。
 「一部の人は、パキスタンに逃げようかと考えていたし、アラブ系の人が山に逃げ出した、という話も聞いた」という。[2001-09-15-04:00] 333
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 09/15@ビンラーディン引き渡し、パキスタンは板挟みの苦悩(読売新聞)

 【イスラマバード14日=長谷川聖治】パキスタンのムシャラフ大統領は14日、米政府がイスラム原理主義指導者ウサマ・ビンラーディンを米同時多発テロ事件の首謀者と見なして協力を要請している問題で軍幹部と協議、今後の対応策の検討に乗り出した。一方で、パキスタン政府は同日、ビンラーディンの潜伏先であるアフガニスタンのタリバン政権と接触を始め、ビンラーディンの身柄引き渡しについて話し合った模様だ。タリバン政権を支援するパキスタンにとって米国への協力はムシャラフ軍政を国際的に認知させる好機となるが、早急な対応は国内世論の反発を招くことも予想され板挟みの状態だ。
 ムシャラフ大統領は米同時多発テロについて、13日にチェンバレン駐パキスタン米国大使と協議、「ブッシュ大統領と米政府に対しテロとの戦いで協力を惜しまない」と全面協力の立場を表明した。パキスタン政府筋によると、ムシャラフ大統領が14日に臨時招集した軍幹部の会議で、参加者は多数の犠牲者を出した米同時多発テロを全会一致で強く非難。その上で、対米協力などに関連する勧告をまとめ、閣議や国家安全保障会議に諮ることを決めた。
 首都の玄関口イスラマバード国際空港は、この日午前3時過ぎから同6時過ぎまで、同国軍によって突然閉鎖された。表向きは「豪雨のため」とされたが、航空当局者によると「大量の軍装備の積み降ろしがあった」とされ、米軍の攻撃開始に備えた動きとの情報も流れている。
 だが、露骨な米国追従の姿勢は、国内で勢力を増すイスラム原理主義勢力などからの反発を招くことになりかねず、情報筋によると、パキスタン政府は米側に「要求受諾には時間が必要だ」と伝えるなど慎重な対応を迫られている。
 一方、タリバン政権のザイーフ駐パキスタン大使は14日、米同時多発テロ事件の発生以来、同政権とパキスタン政府当局者が接触を始めたことを明らかにした。
 外交筋によると、ビンラーディンの引き渡しが議題になったと見られるが、この日、記者会見したザイーフ大使は米同時多発テロ事件へのビンラーディンの関与を否定するタリバン政権の立場を改めて強調。仮にビンラーディンの身柄引き渡しが行われるとしても、「米側が明確な証拠を示した上で交渉が始まる」とし、極めて時間がかかるとの見解を示した。同大使はさらに「確固たる証拠なしでの軍事行動はテロ攻撃だ」としており、パキスタンとタリバンの協議は難航しそうだ。
 パキスタンは1998年の核実験後に主要国から経済制裁を科せられており、ムシャラフ大統領は日米両国に制裁解除を訴えている。しかし、一方でサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)と共にタリバン政権を承認。燃料の供給など様々な支援を続けているが、逆にタリバンに感化された原理主義思想が国内に入り込み、政情不安の引き金にもなっている。 [2001-09-15-03:09] 335
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 09/15@米の攻撃準備本格化で、タリバン存亡へ岐路(読売新聞)

 【イスラマバード14日=佐藤浅伸】米国のアフガニスタン攻撃準備が本格化する中、アフガニスタンを実効支配するイスラム原理主義勢力タリバンは、94年の設立以来の存亡をかけた重大な岐路に立たされた。最高指導者オマル師のスポークスマンが14日、米軍の攻撃を受けた場合、報復すると表明したが、今回の米軍の軍事行動はタリバンの「存在」そのものを文字通り抹殺する可能性があるだけに、その抗戦姿勢には真意を測りかねる部分も残る。一方、1998年に米国の巡航ミサイル攻撃を受け、相次ぐ国連制裁を科されながらも、保護し続けてきたウサマ・ビンラーディンの引き渡しに応じることは、運動としてのタリバンの存立自体に直結する。
 96年以来、その保護下に置いているビンラーディンについて、オマル師は「助けを求めて来たものは拒まないのがアフガンの伝統だ」として米国などの度重なる引き渡し要求を拒否。その一方で、通信機器を奪うなどしてビンラーディンがテロ活動の指示が出来ないよう管理していると主張し続けている。
 しかし、こうした主張をまともに受け止める向きは少ない。AP通信は14日、ビンラーディンの隠れ家を訪問したタリバン治安要員が、衛星電話を通じたフランス語とアラビア語の会話を耳にしたとの証言を伝えている。
 また、ビンラーディン指揮下の兵士たちは、タリバンの軍事力の中核部分を占めているのは周知の事実だ。軍事誌ジェーンズ・ディフェンス・ウイークリーが今年7月に報じたところによると、タリバンの軍隊のうち、資金面などでビンラーディンと関係する兵士の数は2000人とみられ、過去3、4年の間に倍増するなど急速に存在感を増している。
 著作「タリバン」で知られるパキスタン人ジャーナリストのアハメド・ラシッド氏は本紙に「ビンラーディンはいまやタリバンに対して途方もない影響力を持つようになった。バーミヤンの大仏破壊など過激化の一途をたどるタリバンのイスラム教解釈や外交政策はビンラーディンのそれだ」と語っている。
 イスラム教の開祖ムハンマドらが生きた中世を理想とし極端なイスラム解釈をとるタリバンが、原理主義過激派にとっての“英雄”ビンラーディンの後ろ盾となることで権威を高めてきた側面は見逃せない。ビンラーディンとの“一体化”が進むタリバンがビンラーディンを「イスラムの敵」としての米国に引き渡すことは、「アフガンの伝統」とともに自らを否定することと同義でもあるのだ。
 オマル師は最近、インド誌に対してこう語っている。「ソ連軍との戦いで国土の半分が破壊された。ビンラーディンを引き渡すよりは残りの半分が破壊される方を選ぶ。ビンラーディンのような良いムスリムを裏切ることはタリバンの滅亡につながる」 だが、この言葉通り、タリバンがビンラーディンと“心中”するかどうかは依然不透明だ。テロ事件発生以来、タリバン幹部は一貫して、「あのような高度に訓練されたテロが1組織にできるわけがない」として、ビンラーディンの関与を否定、一方で、引き渡し問題でパキスタンと協議中とされる。タリバンが何らかの落としどころを探っている可能性も否定できず、米軍の攻撃準備をにらみ、ぎりぎりの神経戦が続きそうだ。 [2001-09-15-02:41] 336
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 09/15@在日米軍、増す緊迫 一部すでに中東へ(朝日新聞)

 在日米軍基地は緊迫している。湾岸戦争とその後のイラク攻撃では、遠い中東での作戦行動の一翼を、日本駐留の米軍が担った。日米安保条約は米軍の駐留目的を日本と極東の平和と安全のためとしている。だが、その役割は冷戦後に変容し、中東に展開中の部隊もある。米国がテロ事件への軍事的報復に踏み切れば、在日米軍が参加する可能性が高い。
 中東周辺には、日本から米軍部隊の一部が、すでに展開している。
 その一つは、青森県・三沢基地に配備されているF16戦闘機だ。対地攻撃能力は世界最強で、現在、8機がイラク上空の飛行禁止空域の監視のため、トルコの基地に派遣されている。
 イラク監視には嘉手納基地に48機が配備されているF15戦闘機の一部も参加。8月末の時点ではイラク北部での監視任務に就いていた。
 米海軍横須賀基地を拠点とする第7艦隊の駆逐艦オブライエンはいまペルシャ湾にいる。イラクの密輸監視が目的だが、巡航ミサイル・トマホークを積んでいる。第7艦隊の艦艇は過去に何度か、イラクへのミサイル攻撃に加わっている。
 もし、米国が中東周辺地域で報復攻撃を始めれば、日本から展開中の部隊が、最前線で一翼を担う可能性が高い。
 ●横須賀
 米本土以外で唯一、空母が配備された第7艦隊の拠点だ。いま、空母キティホークのほかイージス艦など10隻がいる。
 14日、基地沖では海上自衛隊の護衛艦などに加え、海上保安庁の巡視艇7隻が交代で、24時間態勢で警備していた。巡視艇が米軍基地を警備するのは極めて異例だ。海保職員は防弾救命胴衣、防弾ヘルメット姿で自動小銃を抱える。時折、米軍の警備艇が近づき、武装兵が双眼鏡で巡視艇を監視するようなしぐさを繰り返した。
 第7艦隊の乗組員は基地内で待機。15日朝にはイージス艦カウペンスが出港する予定だ。警備のためか、長期の航海か目的は明らかにしていない。整備中の空母が近く試験航海に出るという情報もある。米軍側は「すべての船の出航準備は整っている」。防衛庁関係者は「来週にも空母が中東に向かうのでは」とみる。
 中東までは1週間以内に到着できる。ペルシャ湾に配備中の艦船を除けば、横須賀の第7艦隊が米海軍の中で中東周辺に最も近い位置にある。在日米海軍の将校は「洋上からパキスタン上空越しに巡航ミサイル『トマホーク』を発射して、過激派グループの拠点をたたくことも選択肢の一つだ」と明かす。
 ●長崎・佐世保
 岸壁には海兵隊を紛争地域に運ぶ揚陸艦などがぎっしり並ぶ。テロ事件直後の12日未明、軍艦7隻の乗組員全員に非常呼集がかかった。
 18カ月に1度の定期修理を終えたばかりの強襲揚陸艦エセックスは同日朝、洋上に出た。修理後に定められた試運転をこなすためだ。
 「命令を受ければ48時間以内に出港できる即応体制を整えている」 艦隊を指揮する第1水陸両用群のダンスコム副司令官はテロ発生前の8月下旬、こう言った。いま、戦闘準備態勢は通常より2ランク高い「B(ブラボー)」になった。
 ●沖縄
 沖縄の米軍基地は「戦時態勢」に近い厳戒が敷かれている。12日午前0時半ごろ、宜野湾市の米海兵隊普天間基地で、取材のために車で第1ゲートに近づいた琉球新報の記者に、小銃で武装した兵士2人が、「手を上げて車から出ろ」と命じた。記者は取材中と説明したが、兵士は同乗のカメラマンのカメラを奪い取り、内蔵のデータカードを抜き取って基地内に戻ろうとした、という。
 米空軍嘉手納基地では14日午前、電子偵察機RC135とF15戦闘機8機が飛び立った。台風避難で他の飛行場に待避させていた航空機が次々と帰還した。15機いる空中給油機は、米本土から空軍の大編隊を中東へノンストップで飛ばすことができる。飛行場近くの高台「安保の見える丘」から活動を監視している基地ウオッチャーたちは「普段と違う動きを見せ始めた」。
 ●呉・相模原
 広島県呉市の米陸軍広弾薬庫。市民団体の推定では湾岸戦争の前、ここから約2万4000トンの弾薬が輸送船で中東に運ばれた。米陸軍相模総合補給廠(しょう)(神奈川県相模原市)は米本土を除けば世界有数の軍需物資集積所だ。ここからも湾岸戦争の数カ月前、大量の物資が輸送された。相模補給廠で14日、テロ警戒のため、自宅待機中の日本人従業員らが出勤したが、二つの基地とも目立った動きはまだない。
 補給廠の監視活動を続けている金子豊貴男・相模原市議は「米国がイスラム教過激派グループを本格的に攻撃するとすれば、空爆を加えた上で、大量の陸軍部隊を投入するだろう。しかしそれに必要な物資の動きは見られない。かなり時間をかけて作戦を準備するのではないか」と分析する。[2001-09-15-01:22] 337
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 09/15@報復攻撃可能性が高まるアフガンから邦人脱出(読売新聞)

 米国の同時多発テロ事件に対する報復攻撃の可能性が高まっているアフガニスタンに滞在していた日本人が、パキスタンなどに次々と退避している。外務省によると、国際機関職員6人のほか、NGO、報道関係者など最大で15人が滞在していたとみられるが、在パキスタン日本大使館が在留邦人に出国を勧告したことで、14日までに多くが同国を離れた模様だ。
 アフガニスタンで難民らへの医療活動を続けている医師の中村哲さん(54)は、日本人スタッフ3人とともにジャララバードを離れ、14日午後、パキスタンのペシャワルに到着した。残る2人の日本人スタッフも15日朝には出国する。
 中村さんによると、アフガニスタン国内でもテロ事件は報道されており、市街地のあちこちで市民が塹壕(ざんごう)を掘るなど、米国の報復攻撃に備えている。中村さんは「『いわれのない攻撃だ』と、市民の反米感情はかつてないほど強まっているが、一方的な攻撃にひたすら耐えることになるのでは。戦争が始まっても病院は現地人スタッフだけで対応していく」と語った。
 アフガニスタン南部のカンダハルにある国連高等難民弁務官事務所(UNHCR)職員、千田悦子さん(38)は13日、国連専用機でパキスタンのイスラマバードに移った。カンダハルは、イスラム原理主義勢力「タリバン」の本拠地で、ビンラーディンが潜伏しているとみられている。千田さんは「街中は静かで市場も開かれていたが、いつミサイルが飛んでくるのか怖かった」と話していた。
    ◇
 パキスタンなどイスラム諸国に駐在員を置く日本商社なども14日までに、家族や駐在員の退去指示を始めた。イエメン、イスラエルも含めて退去を指示した日商岩井では「反米の抗議行動、テロが起こる可能性が高い地域なので退去させる」としている。 [2001-09-15-00:58] 340
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 09/15@テロ犯追及―文明の衝突にするな(朝日新聞)

 オサマ・ビンラディン。米国での同時多発テロの直後から、この耳慣れぬ名前が世界のメディアにあふれた。
 サウジアラビアの大富豪の御曹司でありながら、旧ソ連に侵攻されたアフガニスタンで義勇兵として戦った。帰国後に湾岸危機が発生し、サウジアラビアへの米軍駐留が始まると、反米に転じてイスラム過激派の指導者になった人物だ。
 旅客機を乗っ取り、乗客を道連れにビルに突入する非道なやり口や、米国を標的にした過去のテロ事件との関連から、すぐにこの人物に疑いの目が向けられた。
 米連邦捜査局(FBI)は、テロ実行犯らが比較的早期に特定されたことを発表した。ドイツなどでも、関連捜査が進んでいる。それらの結果に基づいてのことだろう。パウエル国務長官は、米政府がビンラディン氏を主要な容疑者と見ていることを明らかにした。
 かかわりが確かであるとして、ビンラディン氏や支援組織を追い詰めるためには、国際的な協調が不可欠である。その協調には、多くのイスラム諸国が加わっていなければならない。関与の根拠を示してこそ、米国の呼びかけは説得力を持つ。米政府は国際社会に対し、捜査の経過と事実をできる限り公表するのがよい。
 ブッシュ大統領は「米国に対して宣戦布告がなされた。これは新しい種類の戦争だ」と語った。
 数千人の命が奪われた巨大テロへの憤りを背に、米国内では軍事的な報復を求める声が高まっている。
 国連安全保障理事会はテロ非難決議を採択し、北大西洋条約機構(NATO)は米国の要請があれば集団的自衛権を行使することを決めた。ブッシュ氏は軍事行動の準備を進めている。
 証拠が固まれば、米国は、ビンラディン氏が潜伏しているアフガニスタンの原理主義勢力タリバーンに、身柄の引き渡しを要求することになるだろう。しかし、タリバーンは過去にも米国の引き渡し要求を拒否している。今回も拒む可能性は高い。
 追及に全力を尽くすのは当然である。だが、軍事力の行使は報復のためではなく、裁きを受けさせるためであるべきだ。軍事行動は目的と手段の兼ね合いをよくよく考える必要がある。
 米国で活動する歴史学者のサミュエル・ハンチントン氏は「冷戦後、世界はキリスト教やイスラム教など各文明が衝突するようになる」と主張した。
 互いの文明はついに理解し得ない、という前提に立っての対決の論理である。
 このような考え方には、くみすることはできない。10億人のイスラム教徒の大部分は、家族や友人と穏やかに暮らしている。良識ある人々である。
 一握りのテロリストの暴挙で、「文明の衝突」論を勢いづかせてはならない。[2001-09-15-00:24]
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 09/16@パキスタンの国境封鎖 餓死者増加を懸念(朝日新聞)

 パキスタン政府はアフガニスタンとの国境封鎖や石油提供の中止を要請されたが、援助物資などをパキスタンからのルートに頼るアフガンの食糧事情が急激に悪化する恐れが強く、援助関係者は食糧不足の深刻化を懸念している。
 米国はパキスタンに十数項目にわたって協力を要請し、それに国境の封鎖や石油の提供禁止が含まれた。両国国境でパキスタンからタリバーン側へ軍事物資や石油、兵士の移動などが頻繁に続いている疑いがあるためで、戦争状態になった場合、タリバーン勢力が国境を越えてパキスタン側の山岳地帯に逃げ込むことを防ぐ狙いもある。
 パキスタンは原則的に米国の要請に応じる方針を固めている模様だ。アフガン方面への車の移動がすでに国境付近で制限され始めているとの情報も流れている。
 一方で、支援を続けてきた隣国アフガンとの関係を断ち切ることには迷いもある。14日、記者団に国境封鎖や石油問題を問われたアブダス・サッタル外相は「石油は軍事物資ではなく、生活物資だ」と言葉を濁した。
 国境封鎖によるアフガン住民への影響は甚大だ。食料品の日常的な輸送だけでなく、小麦など国連の援助物資も、定期的にイスラマバードなどから陸路で運ばれる。
 14日にアフガンからイスラマバードに避難してきた国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)幹部は「国際援助に依存する住民は500万人以上。備蓄は約2週間で底をつく」と危ぐする。すでに小麦の移送はストップしたという。[2001-09-16-22:58] 215
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 09/16@「テロは、米の政策ミスの代償」、仏で指摘も(読売新聞)

 【パリ16日=池村俊郎】アフガニスタンの反タリバン連合「北部同盟」を指揮したアハマド・シャー・マスード司令官の死去をきっかけに、仏政界では「マスード支援を怠った代償が、米国の同時多発テロではなかったか」と、西側各国の対応の遅れを悔やみ、とくに米政府のアフガン政策の過ちが、今回の惨劇の遠因になったのではと指摘する声が強まっている。
 パリで15日、マスード司令官の追悼集会が開かれた。マスード派はアフガン国内でただ1つ残された反タリバン勢力。「タリバンの人権抑圧、婦女子差別、宗教上の不寛容批判」を展開し、西側の価値観に近い穏健派として西欧で支持を広げていた。
 集会でニコル・フォンテーヌ欧州議会議長は、「欧米諸国がマスード支援をもっと早く決定していたら、タリバン勢力の増長を抑え、結果的に同時テロの惨劇を防げたかもしれない」と無念の思いを吐露した。
 タリバン勢力の保護下に今度の同時多発テロの首謀者とされるウサマ・ビンラーディンがいる。そのタリバンが最も恐れていたマスード司令官はテロ発生の2日前に、アラブ人ジャーナリストを装った自爆テロ犯に狙われた。これは偶然とは思えない。
 司令官は、「パンジシール渓谷の獅子(しし)」と呼ばれてソ連軍を恐れさせた。ソ連軍撤退後は、国内穏健派をまとめ上げながらも、パキスタン支援のタリバン勢力に押され、苦しい抵抗を続けていた。
 さる4月、フランス、ベルギーを訪問し、欧州議会で、「狂信派タリバンに抵抗するために支援を」と訴えたのも、劣勢にあえぐからだった。パリの記者会見で、「タリバンはパキスタン支援がなければ、半年で崩壊する」と予測し、「欧米諸国に物ごいはしない。決めるのはあなた方だ」と沈着に応答したのが印象に残っている。
 司令官が最も支援をあおぎたかったのが米政府だったはずだ。79年のソ連軍アフガン侵攻後、パキスタンを通じ、米国とサウジアラビア両政府は、イスラム民兵ムジャヒディン各勢力を支援した。とくにイスラム原理主義ヘクマティアル派が支援対象で、その保護下にビンラーディンがいた。
 仏政界の長老でアフガン問題に詳しいフランソワ・ドニオ元下院議員は、「ビンラーディンを怪物に仕立て上げたのはサウジ石油マネーと、米政府の政策ミスだ」とさえいう。アフガン軍事・資金支援を通じ、むしろヘクマティアル派などイスラム原理主義勢力を増長させ、穏健勢力マスード派を軽視したことに関係する。
 東西冷戦が終わると、歴代米政権はアフガン紛争への関心を失う一方で、パキスタンの対アフガン主導権を尊重し続けた。そのパキスタン秘密警察と軍は、ヘクマティアル派に代わってビンラーディンを保護したタリバン勢力を全面支援することで、アフガニスタン取り込みを図ってきた。
 クリントン前政権の末期、パキスタンの核実験強行と、ビンラーディン組織の連続テロを前に、米政府のアフガン政策に変化の兆しがあったのは確かだが、マスード派支援への転換までは時間を必要とした。パリで「決めるのはあなた方だ」といったマスード発言は、米欧諸国指導者への重大警告だったかもしれない。[2001-09-16-22:47] 219
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 09/16@<ビンラディン氏>アフガンに依然、潜伏か 米の衛星追跡は(毎日新聞)

 【イスラマバード春日孝之】米国での同時多発テロに関連し、ブッシュ米大統領が国際テロの黒幕とされるウサマ・ビンラディン氏を「主要容疑者」と明言したことで、ビンラディン氏の行方が強い関心が集まっている。米国は衛星などハイテクを駆使し追跡を続けてきたが、失敗続きだった。今回はイラクや中央アジアへの逃亡説も流れているが、消息筋はアラブ義勇兵として参戦したアフガン戦争(79〜89年)時代から地理を熟知し、協力者も多いアフガニスタン国内に依然、潜伏しているとの見方が強い。
 消息氏によると、ビンラディン氏の「隠れ家」の本拠は南部カンダハル郊外にある。小高い山と小麦畑に囲まれ、人の背丈の5倍もある外壁に対空砲火が備えられ、周囲を最新兵器で武装した私兵が警護する。
 16日付けパキスタン英字紙ニューズは、ビンラディン氏とその家族が潜伏先のアフガン南部カンダハルを離れ、「国内の安全な場所に移動した」と報じた。だが、同氏と頻繁に接触してきたパキスタン人ジャーナリストは毎日新聞に対し「今回の事件がなくともいつも、移動生活しているようなものだ」と語る。
 アフガンには山峡あり、砂漠ありで、身を隠すのに適した洞窟も無数にある。アフガン戦争時代、ゲリラはそうした「隠れ家」に身を潜めて抗戦し、最新兵器を備えたソ連軍を撃退した。
 ビンラディン氏は、米の偵察衛星に居場所を察知されないよう、衛星電話は使わない。
 最近まで同氏と密会を重ねていたパキスタンのイスラム原理主義指導者の1人は、同氏やその息子と一緒に今年3月に写したという写真を示しながら「彼は会いたい時に使者を送ってくる」と明かした。同指導者が指定されたアフガン領内に出向くのが常という。
 また、同氏には、いつも家族と大勢のアラブ人私兵が警護で付き添う。「隠れ家」に近づく者には“合い言葉”をかけ、敵か味方かを判断する。味方でない場合、その場で射殺される。先の原理主義指導者によると「ビンラディン氏は米国の情報機関は馬鹿だから、絶対につかまらない」と冷笑しているという。
 消息筋によると、過去に少なくとも3回、米国によるとみられる暗殺未遂事件があったが、難なく逃れた。暗殺作戦の実行犯はアフガン人とパキスタン人ばかりだったが、暗殺を警戒し、最近、メンバーを入れ替え、全員アラブ人に変わったとされる。
 米国は98年8月、アフリカの米大使館同時爆破テロで黒幕と断定したビンラディン氏を狙いミサイル報復攻撃をしたが、同氏は事前に察知し、難を逃れた。その後、米国は500万ドルの懸賞金をかけるなど情報機関の総力を挙げて追跡してきたが失敗した。 [2001-09-16-22:15] 220
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 09/16@<米同時テロ>3日以内にビンラディン氏引き渡しを パキス(毎日新聞)

 【ワシントン布施広】米CNNテレビは16日、アフガニスタンのカブール発で、パキスタン政府代表団が17日にアフガン入りし、タリバン政権に対し「3日以内にウサマ・ビンラディン氏の身柄を引き渡さなければ米軍の大規模な軍事行動に直面する」と通告する見通しだと伝えた。AP通信やAFP通信も、17日のパキスタン政府代表団の派遣予定を報じた。米国の意を受けた一種の「最後通告」とみられる。
 CNNは米国がパキスタンに対し、協力への見返りとして債務帳消しなどを提案したと伝えた。パキスタンはインドとの対立が続くカシミール問題で米国の支援を求めているとの情報もある。
 一方、フライシャー米大統領報道官は15日、軍事報復として、「大統領はいかなることも排除しない」と述べ、地上軍投入も視野に入れていることを示唆した。
 時期については「敵に情報を伝えるようなことはしない」と明言を避け、「大統領は適切と思う時期に行動を起こす」と語った。報道官は、米議会の武力行使容認決議(14日)によって、軍事報復への政治的環境が整ったことを強調する一方、大統領が15日のラジオ演説で国民に忍耐を求めたことについて、「さまざまな意味で忍耐が必要だ」と述べ、報復の準備になお時間がかかることを示唆した。
 また、報道官はテロ組織を追い詰めるために外交や経済的手段も排除しないと述べ、軍事行動だけが米国の報復手段ではないことを確認した。
 16日付の米紙ニューヨーク・タイムズによると、パウエル国務長官は、タリバン政権を承認する3カ国のうちサウジアラビア、アラブ首長国連邦に対し、タリバンとの断交を求めた。残るパキスタンは既に米国への協力を約束している。
 一方、米捜査当局は15日、ニュージャージー州で、世界貿易センタービルへのテロ攻撃に関与した疑いがある男1人を逮捕した。捜査当局は14日にもテロとの関連で男1人を逮捕している。 [2001-09-16-21:35] 224
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 09/16@<ビンラディン氏>過去2度、濃縮ウラン入手試みる 英日曜(毎日新聞)

 【ロンドン笠原敏彦】16日付の英日曜紙・サンデータイムズは、米同時多発テロの主要な容疑者とされるウサマ・ビンラディン氏の組織が過去に少なくとも2度、核兵器用の濃縮ウランの入手を試みた、と伝えた。
 ビンラディン氏の元側近が米連邦捜査局(FBI)に証言した内容などとして伝えた。同氏はFBIへの宣誓供述書で「ビンラディン氏の組織とその協力者は核と化学兵器の部品の入手を試みていた。濃縮ウラン入手の試みは93年ごろに行われた」と述べている、という。
 また、アルファドル氏自身がスーダンの首都ハルツームで同国陸軍に近い関係者から濃縮ウランを150万ドル(約1億7000万円)で買う商談を行ったとも供述。交渉は成立しなかったが、濃縮ウランは南アフリカからのものだと説明を受けたとしている。 [2001-09-16-20:30] 228
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 09/16@タリバン包囲網狭める ビンラディン氏は関与否認(共同通信)

 【ワシントン15日共同=渡辺陽介】米中枢同時テロで、フライシャー米大統領報道官は十五日、報復の軍事行動について「大統領はあらゆる選択肢を排除しない」と地上軍投入の可能性に言及した。
 アフガニスタンに潜伏しているとされるウサマ・ビンラディン氏を「最重要容疑者」と名指しした米国は、同国を実効支配するタリバン包囲網を狭めるために、パキスタンなど周辺国に国境封鎖を要請。一方で、有力紙ニューヨーク・タイムズが十五日付社説で地上戦の困難さを指摘するなど、大規模な介入に慎重な論調も一部で出てきた。
 ビンラディン氏は十六日の声明で、事件への関与をあらためて否定した。
 ニューヨーク市警によると、テロによる世界貿易センタービルでの死者・不明者数は五千人を超えた。
 ブッシュ大統領は十五日、大統領山荘、キャンプデービッドにチェイニー副大統領、パウエル国務長官、ラムズフェルド国防長官らを集めて国家安全保障会議を開催した。軍事だけでなく、経済、外交など多方面からテロ組織の壊滅作戦を展開する方針。
 ブッシュ米大統領は同日、ムシャラフ・パキスタン大統領と電話会談し、同国の全面的な協力表明に謝意を伝えた。
 ニューヨーク・タイムズ紙電子版によると、パウエル国務長官は十五日までに、タリバンを承認しているサウジアラビアとアラブ首長国連邦に、関係断絶を要請した。
 イランは十五日、国境を封鎖。難民の大量流入を予防する措置とみられるが、国境封鎖を求めた米国に同調する形となった。
 米ニュージャージー州の警察当局は十五日、テロに絡み男一人を逮捕した。これで確認された逮捕者は二人となった 米国防総省は、米中枢同時テロを受けて展開する軍事作戦を「ノーブル・イーグル(高貴なワシ)」作戦と命名した。(了)[2001-09-16-19:38] 229
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 09/16@地上軍投入も「選択肢」 ビンラディン氏名指し非難 米大統(共同通信)

 【ワシントン15日共同=渡辺陽介】米中枢同時テロで、フライシャー米大統領報道官は十五日、報復の軍事行動について「大統領はあらゆる選択肢を排除しない」と地上軍投入の可能性に言及した。ブッシュ米大統領は、アフガニスタンに潜伏しているとされるウサマ・ビンラディン氏を「最重要容疑者」と断定し非難。「戦いは短期間ではない」と長期化の可能性を示した。
 大統領がテロへの徹底的な報復を示す一方で、有力紙ニューヨーク・タイムズは十五日付社説で地上戦の困難さを指摘するなど、一部で大規模な作戦に慎重な論調も出てきた。
 ビンラディン氏は十六日の声明で、事件への関与をあらためて否定した。
 ニューヨーク市警によると、世界貿易センタービルでの死者・不明者の総数は五千人を超えた。
 ブッシュ大統領は十五日、大統領山荘、キャンプデービッドにチェイニー副大統領、パウエル国務長官、ラムズフェルド国防長官らを集めて国家安全保障会議を開催した。
 パウエル国務長官は十五日、アフガニスタンの隣国パキスタンが米国の要求に全面的に協力することに同意したと言明。ブッシュ大統領はムシャラフ・パキスタン大統領と電話会談し、協力に謝意を伝えた。
 ニューヨーク・タイムズ紙電子版によると、同国務長官は十五日までに、アフガニスタンの支配勢力タリバンを承認しているサウジアラビアとアラブ首長国連邦に関係断絶を要請した。
 米国はタリバン包囲網を狭めるために、アフガニスタン周辺国に国境封鎖を要請。イランが十五日に国境を封鎖した。
 米ニュージャージー州の警察当局は十五日、テロに絡み男一人を逮捕した。これで確認された逮捕者は二人となった 米国防総省は、米中枢同時テロを受けて展開する軍事作戦を「ノーブル・イーグル(高貴なワシ)」作戦と命名した。(了)[2001-09-16-19:33] 231
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 09/16@<アフガニスタン>餓死者、百万規模の危険 米の報復を前に(毎日新聞)

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の山本芳幸カブール事務所長(43)は16日、共同通信に対し、米国の報復攻撃を前に緊張するアフガニスタンで「国境封鎖などで食糧援助が長期間ストップすると、最悪の場合、数百万人単位で餓死者が出る危険がある」と述べた。
 山本所長によると、長く続いた内戦や干ばつのため、援助に依存する国民は約550万人おり、備蓄量を考えると「約2週間で備蓄食糧が底をつく状況にある」。パキスタン国境から陸路で大量の小麦を運び入れていたが、それも国境の出入りが制限されストップした。
 アフガニスタン各地の現地スタッフとの連絡によると、米国の報復攻撃を恐れ、都市部の住民が農村部に脱出する動きが激しくなり、ウサマ・ビンラディン氏が付近に潜伏していたとされるカンダハルでは、タリバン政権が不審者の流入を警戒、人や車両の出入りを制限し始めた。
 山本所長は「あらゆる可能性を考えて援助再開の計画を立てている。一方で国連施設や職員に対するイスラム過激派のテロの恐れも高まっている」と述べた。山本所長はテロ事件の翌日の12日に他の職員とイスラマバードに脱出した。(イスラマバード共同) [2001-09-16-19:10] 233
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 09/16@タジキスタン、基地提供を否定(共同通信)

 【モスクワ16日共同】インタファクス通信によると、アフガニスタンに隣接するタジキスタンの外務省スポークスマンは十六日、米中枢同時テロへの報復攻撃のため米軍に国内の軍事基地使用を許可する用意はないとの声明を発表した。
 声明は「タジキスタンが米軍展開のため自国領土提供を準備しているかのような報道があるが、何の根拠もない」と強調している。(了)[2001-09-16-19:05] 234
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 09/16@<米同時テロ>米軍事作戦への各国反応(毎日新聞)

<近隣諸国>
パキスタン=「全面的協力」を表明。米軍の領空通過容認。
ウズベキスタン=テロ行為を非難。軍事作戦への協力については不明。
タジキスタン=「米軍の領空通過要求を検討したい」(アキロフ首相)
トルクメニスタン=「対テロ戦争を全面支持する」(ニヤゾフ大統領)
<NATO加盟国>
英国=ブレア首相が「報復攻撃を支援する」と述べたが、慎重論もある。
ドイツ=米国を支持。軍事作戦参加の賛否は今週決定へ。
フランス=シラク大統領「米国を支持」。自国軍の作戦参加は未定。
トルコ=エジェビット首相が「全力で支援」と表明。空軍基地提供か。
<中東>
サウジアラビア=ファハド国王「テロと戦う米国を支持する」
イラク=「欧米の武力行使が世界を不安定にしている」(フセイン大統領)
イラン=ハタミ大統領が国際テロを批判。難民流入を防ぐためアフガン国境を封鎖。
アラブ首長国連邦=タリバン政権との外交関係を見直し。
エジプト=ムバラク大統領「米国を支援する。全世界が協力を」
<地域大国>
ロシア=イワノフ外相「米国の武力行使はやむを得ない」。今週米国と協議の予定。
中国=江沢民主席が「米国や国際社会と共同してテロと戦う」
インド=米国の報復攻撃時、国内基地使用を容認。
<その他>
日本=米国を強く支持。憲法上、武力行使参加に制約。
オーストラリア=アンザス条約・集団的自衛権条項を初適用し、対米支援を表明。 [2001-09-16-18:30] 235
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 09/16@<米同時テロ>「報復攻撃」今後のシナリオは(毎日新聞)

 【ワシントン布施広】同時多発テロへの報復として、米国が近く軍事行動に踏み切る気配が濃厚になってきた。ブッシュ大統領は「短期間の戦いではない」と言明しているが、米国単独で長期戦を戦うつもりなのか。それとも、国際的な手続きを踏んで、他国との共同体制の構築をめざすのか。ブッシュ政権の意図はいまだ明確ではない。今後のシナリオを予測してみた。
 父親のブッシュ氏が大統領だった10年前、湾岸戦争が起きた。この戦争は91年1月17日に火ぶたが切られたが、90年8月2日のイラクのクウェート侵攻から5カ月余り後だった。この間、米国は国連安全保障理事会で武力行使容認決議を挙げ(90年11月)、エジプトやシリア、モロッコを含むアラブ合同軍を組織、計30カ国近い多国籍軍を構成した。
 米国が国連での手続きやアラブ諸国の参加を重視した理由の一つは、イラクへの軍事行動がイスラム世界の反発を買い、戦争遂行が難しくなることを恐れたためだ。イスラム原理主義勢力タリバンが支配するアフガニスタンへの軍事行動にも、同様の危険性が秘められている。
 だが、イラクのクウェート侵攻と違って、今回のテロは直接的な米本土攻撃であり、多くの米国民が死んだだけに、国際社会では「米国の報復は当然」という空気が生まれている。米軍がウサマ・ビンラディン氏の拠点を攻撃し、タリバンと軍事的に対立しても、イスラム世界から強い反発は出ないとの見方が強い。
 このためブッシュ政権は今回、「湾岸戦争方式」は取らない見通しだ。だが、アフガン領内への巡航ミサイル攻撃や空爆だけでは、テロ組織の根絶は望めず、たとえ地上軍を投入しても、ビンラディン氏を捕捉・殺害できる保証はない。仮に同氏がアフガンから他国に逃れた場合、米国の軍事作戦はさらに難しくなる。
 米国の目標達成のためには国際的な包囲網の構築が不可欠だ。その意味で、国連を通じてタリバンにビンラディン氏引き渡し要求を突き付けることや、集団的自衛権による北大西洋条約機構(NATO)との共闘体制も選択肢の一つになる。
 ただ、米国内では報復を待ち望む声が強く、ブッシュ政権としては、軍事行動を長く手控え、国際的な根回しに時間を費やしてはいられない状況だ。
 このため米国は、ビンラディン氏の拠点に激しい攻撃を加え、その後に長期的な戦闘態勢を組む「2段階方式」が有力とみられる。同氏がアフガンにいるとみれば、米単独ででもタリバンに引き渡しの最後通告を突き付け、これが拒否された場合、タリバンの拠点空爆、国境封鎖、さらには地上戦の用意へと突き進むことも想定される。 [2001-09-16-18:15] 236
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 09/16@<米同時テロ>テロ組織とどう戦うのか 米軍事専門家に聞く(毎日新聞)

 ブッシュ米大統領は、同時多発テロに対する「報復戦争」の準備を進めている。米国はテロ組織とどう戦うのか、今後の見通しはどうか。米民間シンクタンクの軍事専門家2人に聞いた。
●テッド・カーペンター・ケイトー研究所副所長(軍事外交政策)
 ――このテロにどう対応すべきか。
 ◆テロを行った組織をみつけ、組織を除去し、支援した政府を排除すべきだ。もし、ウサマ・ビンラディン氏のテロならその組織網だけでなく、アフガニスタンのタリバン政権も取り除くべきだ。
 ――米国がタリバン政権に圧力をかけ、ビンラディン氏の引渡しを求めるシナリオは可能か。
 ◆米国は引渡しには興味はないと思う。われわれはビンラディン氏除去を進めるべきだ。これは戦争だ。単なる犯罪ではない。刑事裁判が扱う事件ではない。逮捕状を執行するわけではない。戦争だから、圧倒的な軍事作戦を遠慮なく実施し、この残虐行為の責任者を殺すのだ。戦争中の敵を殺すのと同じだ。
 テロ責任者を認定するのに証拠は必要だが、裁判で有罪を証明するための証拠はいらない。
 ――除去の意味は。
 ◆個人、組織、施設すべてを完璧に破壊する。支援する国家の政府を終わりにする。
 ――なぜ、政府まで消す必要があるのか。
 ◆テロリストをかくまい支援するのは、テロの共犯だ。そんなことをする政府は存在の権利を失う。われわれのメッセージは、タリバンの後、ほかの政府が米国攻撃のテロリストを支援するようなら、米国は同じように対応する、ということだ。つまり、軍事力でその政府を取り除くのだ。
 ――アフガンだけでなく、イラクなども対象か。
 ◆米国攻撃のテロを支援する政府はすべてだ。ただ、米国を直接狙わないテロについては米国の軍事行動は必要ない。
 ――米国はビンラディン氏の居場所を特定できるのか。
 ◆衛星による偵察、盗聴などの情報がある。組織内に潜入したスパイもいるはずだ。場所の特定は問題だが、アフガンへの全面的な攻撃を行えば、見つけ出せるだろう。88年、クリントン政権が行ったような巡航ミサイル発射といった針でちくちく刺すだけではまったく効果はない。
 ――軍事攻撃のシナリオは。
 ◆巡航ミサイルは第一段階にすぎない。その次にF15、F16、F18戦闘機や、B2爆撃機の大規模空爆が行われる。恐らく、地上軍の攻撃がそれに続くだろう。戦闘機の多くは空母から発進するが、周辺国の協力も求めるだろう。
 ――周辺国の協力とは。
 ◆アフガン攻撃には、物資を集積し準備する陸上基地が必要だ。軍用機が発進する航空基地もいる。港湾も使う。サウジアラビア、ロシア、パキスタンなどから許可を得るため、米国はすさまじい圧力をかけるだろう。特にパキスタンだ。
 ――パキスタンはタリバンを承認しているが。
 ◆タリバンとの関係に米国は怒っている。タリバンとの即時国交断絶を求めるだろう。経済制裁強化の圧力をかける。パキスタンは要求を受け入れるだろう。
 ――タリバンか米国かの選択を迫るのか。
 ◆そうだ。イエスかノーかの状況だ。
 ――地上戦が必要か。79年のソ連アフガン侵攻の二の舞ではないか。
 ◆空爆だけでは目標を達成するのは難しい。地上軍を使うしかない。ソ連のような長期占領は愚かだ。
 ――湾岸戦争は国連の武力行使容認決議に基づいた。今回は。
 ◆国連は無視していいい。米国が直接、攻撃されたのだから、自衛権を発動できる。国連の決議に縛られるのは無駄だ。多国籍軍を編成してもいいが、必要なら米国単独でも行動すべきだ。
 ――北大西洋条約機構(NATO)は参加しないのか。
 ◆英国は単独で参加するだろうが、ほかの国はおそらくしないだろう。集団的自衛権の規定は共同軍事作戦まで義務づけていない。
 ――米国はいつ軍事行動を始めるのか。
 ◆目標を確定し、そのための戦略をどう定めるかによる。時間表などない。現在の世論の支持は重要だが、急げばいいという話ではない。
 ――もし今回、排除できたとしても、第二のビンラディン氏が現れるだけではないか。
 ◆その恐れは常にある。だがこのままでは、さらなるテロ攻撃にさらされる。何かしなければらないのは明らかだ。 【ワシントン中井良則】
 ◎略歴 テッド・カーペンター氏 テキサス大で米外交史の博士号取得。85年、保守派のシンクタンク、ケイトー研究所に入る。冷戦後の世界で、米国の費用や危険が最小ですむ新しい安全保障戦略を提唱する。
● ジョン・パラキニ・モントレー研究所ワシントン所長(テロ・軍事問題)
 ――ウサマ・ビンラディン氏の組織に対する米軍の武力行使が近付いているようです。
 ◆アフガニスタンのタリバン政権が同氏の引き渡しに協力しなければ、多分戦争になるだろう。米国の選択肢としては、近日中の限定的な攻撃と、国際的な協力を取り付けてからの大規模攻撃がある。まず限定的な攻撃をしてから大規模攻撃を構えることもできるが、個人的には近日中の武力行使には賛成しない。テロの犯行グループの捜査が終わっていないし、早期攻撃は米国に対するイスラム世界の同情を薄れさせる恐れがあるからだ。
 ――タリバンは引き渡しに協力しますか。
 ◆それは考えにくい。彼らはイスラム教徒だが、自らを現代世界における十字軍のようにみなしている。別の時代から来たような人々で、グローバリゼーション(地球規模化)などには何の関心もない。世界を大昔の時代に戻したがっているのだ。ビンラディン氏の組織もそうだ。(ハンチントン・ハーバード大教授の著書)『文明の衝突』のような現象(西洋文明とイスラム文明の対立)が起きているのだ。
 ――ところで、ビンラディン氏は本当にアフガンにいるのですか。
 ◆そう信じられているが、偵察衛星などを駆使しても、山岳地帯を動き回る1人の人間の居場所を特定するのは難しい。98年に巡航ミサイルで同氏の拠点を攻撃した時は、彼が使う衛星電話や携帯電話によって居場所を調べたという話がある。だが、ビンラディン氏はその後、衛星電話や携帯電話の使用を止めてしまった。
 ――軍事力で果たしてテロ組織を根絶やしにできるのか、という根本的な疑問があります。
 ◆同氏の組織は世界50〜60カ国に根を張り、メンバーは3000〜5000人とされる。こうした組織とどう戦うかは、慎重に考えるべき問題だ。たとえ同氏を殺しても後継者は出てくるだろうし、同氏の殺害はイスラム世界における彼の名声を高め、支持者を増やす恐れがある。やられたからやり返せ、という問題では済まないのだ。注意深く、長期間の戦いを構える必要がある。
 ――週内にアーミテージ米国務副長官がロシアを訪問します。米露共闘は可能ですか。
 ◆ロシアはタリバンとの関係が悪く、前からタリバンをたたきたがっている。どんな形態になるかは別として、米露の協力は十分可能だ。アーミテージ副長官の対露協議では、合同軍事作戦も討議されるだろう。英国のほか、イスラム急進派への対応に悩むフランスも米国を支援する可能性がある。仮にロシアとNATO加盟国、米国の共闘態勢が実現すれば、将来のロシアのNATO加盟に道が開けるかもしれない。ロシアや欧州の協力は、ミサイル防衛構想やNATO拡大問題にも影響を与える。
 ――米軍とタリバンが戦うことは、イスラム世界の反発を買いませんか。湾岸戦争で、米軍はあえてバグダッド進駐を控えました。
 ◆今回のテロでは、湾岸戦争の米軍の戦死者より多い米国人が死んだ。湾岸戦争とは状況が違う。ただ、旧ソ連がアフガンに侵攻し、結局撤退したように、アフガンは侵攻しにくい場所だ。地上軍を投入しても、どんな軍事的目的を設定し、どれだけ長く駐留するかという問題がある。だから、米軍が直接的な戦闘を構える代わりに、アフガンの反タリバン勢力に武器を供給して体制を変える選択肢もある。パキスタンやロシアなど近隣国と協力して、タリバンやビンラディン氏の組織を締め上げることも可能だ。軍事作戦だけではなく、多様な手段が検討されるべきだ。
 ――ブッシュ政権の正念場ですね。
 ◆ブッシュ大統領の父親(ブッシュ元大統領)は、湾岸戦争に勝った直後は85%もの支持率があったが、再選は果たせなかった。今回のテロへの対応が、ブッシュ政権の命運を左右するだろう。ブッシュ大統領は、まさに政治的危機に直面している。【ワシントン布施広】
 略歴 ジョン・パラキニ氏 ジョージタウン大で経済学修士号取得。国務省で軍事問題などを担当、南カリフォルニア大などで教べんを取る。『世界貿易センタービルの爆破犯たち』など、国際テロや軍事問題の著書多数。 [2001-09-16-18:15] 237
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 09/16@米に自制要求―イラン各紙(共同通信)

 【テヘラン16日共同】十六日付イラン各紙は保守、改革派そろって、米政府に対し同時テロへの報復攻撃を自制するよう求める論調が大勢を占めた。
 改革派紙エンテハーブは「国連の枠組みや国際慣習から外れた一方的攻撃は問題の解決にはならない」と指摘。「アフガニスタン攻撃は新たな難民流入などイランに予期せぬ結果をもたらすだろう」と懸念を表明。同ノウルーズも「アフガン攻撃で多数のイスラム教徒を殺害すればイスラム、西洋両文明間でさらに血の海を広げることになるだろう」と訴えた。
 保守派紙ジョムフリ・エスラミは「シオニスト(イスラエル)は(事件を利用して)パレスチナで行っている犯罪行為から世論の目をそらそうと狙っている」と批判した。(了)[2001-09-16-18:15] 239
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 09/16@餓死者数百万規模の危険 緊張のアフガニスタン(共同通信)

 【イスラマバード16日共同】国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の山本芳幸カブール事務所長(43)は十六日、共同通信に対し、米中枢同時テロで米国の報復攻撃を前に緊張するアフガニスタンで「国境封鎖などで食糧援助が長期間ストップすると最悪の場合、数百万人単位で餓死者が出る危険がある」と述べた。
 山本所長によると、同国内で長く続いた内戦や干ばつのため、援助に依存することで生き永らえている国民は約五百五十万人おり、備蓄量を考えると「約二週間で備蓄食糧が底をつく危機的な状況にある」。パキスタン国境から陸路で大量の小麦を運び入れていたが、それも国境の出入りが制限されストップした。
 アフガニスタン各地の現地スタッフとの連絡によると、米国の報復攻撃を恐れて都市部の住民が農村部に脱出する動きが激しくなり、タリバン政権の指導者層もカブールや南部のカンダハルから「完全に消えた」。また、テロの黒幕とされるイスラム過激派指導者ウサマ・ビンラディン氏が付近に潜伏していたとされるカンダハルでは、タリバン政権が不審者の流入を警戒、人や車両の出入りを制限し始めた。
 山本所長は「あらゆる可能性を考えて援助再開の計画を立てている。一方で国連施設や職員に対するイスラム過激派のテロの恐れも高まっている」と述べた。山本所長はテロ事件の翌日の十二日に他の職員とイスラマバードに脱出した。(了)[2001-09-16-17:54] 240
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 09/16@単独会見の仲介料は25万ドル ビンラディン氏を追う(朝日新聞)

 オサマ・ビンラディン氏はどこにいるのか。世界が関心を寄せている。筆者もこの夏まで彼を追ってきた。「米有力紙は25万ドル払うといっている。おたくはいくら払えるか」と仲介者は聞いてきた。すでにアフガニスタンを離れたとの情報もかけめぐっている。米国の中東政策で最大の障害となっているサダム・フセイン大統領が居座るイラクに逃亡した可能性も排除できず、米が計画する軍事作戦に不気味な影を落としている。
 信頼できる中東情報筋は15日、アフガニスタン南部に潜伏していたビンラディン氏が、アフガンを離れ、陸路でウズベキスタンかタジキスタンの山岳地帯に逃亡した可能性が強いが、イラクに入国した可能性も排除できない、と語った。
 ビンラディン氏はこれまで、フセイン政権を世俗的な非イスラム体制と見なし、国連制裁下にあるイラク国民への同情を示しながらもフセイン政権支持は避けてきた。だが、ビンラディン氏が数年前、バグダッド入りしたとかイラクの情報機関員がアフガンに潜伏する同氏と会ったなどの情報も流れている。
 イラクは今度の同時多発テロについて、「邪悪な政策の結果である」(フセイン大統領)と米国の神経を逆なでした唯一の国である。予測できない行動で知られるフセイン大統領がビンラディン氏をかくまうことで米を再度、挑発するのでは、との観測が内外で出ている。
 米紙などによれば、アフガン南部にあったビンラディン氏の複数の拠点は、「もぬけの殻」であることが米偵察衛星などで確認された。また、イラクは米の攻撃に備えて戦力の分散を始めたという。
 昨年10月にイエメンで起きた米イージス艦爆破テロでは、イラクの関与説が一時、浮上した。ブッシュ米大統領にとって、フセイン政権打倒は父親以来の宿題でもある。
 米国がビンラディン氏の身柄拘束に付けた懸賞金は500万ドルだ。同氏との距離は遠く、過去2年間では、ごく限られたアラブやパキスタン人の記者しか会っていない。
 7月中旬、アフガニスタンの首都カブールで、筆者はある人物を通じてビンラディン氏と接触を試みた。数日後、本人からの返答は「日本の新聞記者を賓客として歓迎する。カンダハルに来て次の連絡を待ってほしい」。
 仲介した人物は、これまでに何回もビンラディン氏と会ったことがある。会見は、目隠しをして数時間、車で連れ回された後、本人の潜むアジトにたどり着く、という段取りだった。
 アフガンでは有線電話がほとんど通じない。仲介者は高性能の日本製無線通信機を使ってビンラディン氏と連絡をしていたようだ。衛星電話だと米に傍受されるが、地上で中継される無線だと安全なのだ、と聞いた。
 アフガン入国に先立ち、ペルシャ湾岸のある国でビンラディン氏の「宣伝ビデオ」を見た。約50分のテープは今年6月以降、極秘ルートで湾岸諸国に出回っていた。推定44歳のビンラディン氏の映像は、イスラム教を起こした預言者ムハンマドが異教徒に対する「聖戦」を指揮したイメージと重なる。
 姓の「ビン」はアラビア語で「何々家の息子」。つまり「ラディン家を先祖とする息子」がビンラディンの元々の意味だ。父はイエメン人で本人はサウジアラビアのリヤド生まれ。父が多数の妻を持ったため52人きょうだいの18男と伝えられる。ジッダを中心に建設業などを手がける実家はサウジ有数の財閥である。
 10代後半はベイルートで夜遊びをすることもあったが、ジッダの大学で経営学を学ぶ一方、イスラム復興主義に心をひかれるようになる。その後、家業で聖地の宗教施設建築にかかわったことも、彼の宗教意識を深める原因となった。アフガン戦争では米国と共闘したが、湾岸戦争後は「聖地の冒とく」として米軍駐留継続に反対し、親密だったサウド王家とも冷たい関係に。91年春、ジッダを追われ国籍もはく奪された。
 父が航空機事故で亡くなった後、約3億ドルの遺産を相続したという。だが彼の資金源はサウド家に反発するサウジ資産家や他の湾岸アラブ諸国などに広がりを持つ。
 妻は4人、子供は13人か14人といわれる。今年2月に次男がエジプト出身のイスラム過激派「ジハード団」最高幹部の娘と結婚した時は、イスラム原理主義勢力タリバーンの本拠地カンダハルで盛大な披露宴を催し、そのビデオはアラブ・マスコミに配られた。
 筆者との会見は思わぬところで流れてしまった。協力的だった仲介者が態度を変え、法外な「あっせん料」を要求してきたのだ。予定は翌日に迫っていたが、中止せざるをえなかった。
 カブールではビンラディン氏と最近会った人物から話を聞くことができた。6月に欧州などからの支援者グループが訪れた際に同行したという。「彼の語り口は物静かだが、知的で威厳がある。国際テロの黒幕というより宗教指導者のような雰囲気を備えていた」 「7世紀前半に預言者ムハンマドが亡くなって以来、イスラム教徒が受けた最大の屈辱は、二大聖地の土地が米の十字軍とその同盟者に占領されたことだ」。支持者からはビンラディン氏は「師」の称号で呼ばれる。
 純白のアラブ服と腰にイエメン伝統の短剣を付けたビンラディン氏が、反米・反イスラエル感情の強いアラブ世界で英雄視されているのは、西側ではあまり知られていない事実である。[2001-09-16-17:42] 241
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 09/16@岐路に立つムシャラフ政権 タリバンとの決別なるか(共同通信)

 米中枢同時テロに対する米国の報復をめぐり、パキスタンが厳しい選択を迫られている。容疑者とされるウサマ・ビンラディン氏をかくまうアフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバンとの抜本的な関係見直しを迫られているからだ。
 パウエル米国務長官によると、パキスタンは今回、米国への全面協力を表明した。だが、アフガニスタン攻撃のための領空通過などを認めれば、国内の原理主義勢力の猛反発は必至。タリバンと絶縁し国内を抑えきれるか、ムシャラフ政権は岐路に立っている。
 パキスタンがタリバン発足に中心的な役割を果たし、現在も最大の支援国なのは周知の事実。パキスタンはアフガニスタンの安定と影響力確保を目指し同国多数派のパシュトゥン人の若者を組織、タリバンを結成し、米国やサウジアラビアも当時はこれを支持した。
 タリバンは一九九四年以降、アフガニスタンの国土の大部分を支配。パキスタンはいち早くタリバン政権を承認した。
 極端なイスラム主義による統治でタリバンは欧米などから厳しい批判を浴びたが、パキスタンでは、カシミール紛争でインドとの対立の最前線に立つイスラム原理主義勢力が国内政治にも大きな影響力を持っており、タリバンに肩入れする要因になっている。
 ビンラディン氏は九六年、スーダンからアフガニスタンに拠点を移した。九八年の米大使館同時爆破テロの容疑者として、米国が同氏の引き渡しを求めたがタリバンは拒否。パキスタンもこの姿勢を黙認し、実質的にタリバンの立場を擁護していた。(共同)(了)[2001-09-16-17:36] 242
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 09/16@米に潜伏、周到な準備、目立つ血縁者 テロ容疑者(朝日新聞)

 世界貿易センタービル北棟に突入したとされるモハメド・アタ容疑者(33)は、ドイツの大学で都市計画を学んでいた。
 ニューヨーク・タイムズ紙などによると、フロリダ州に住み、州内の操縦士学校に通っていた形跡がある。同校には、米国とエジプトの自動車運転免許証、アラブ首長国連邦(UAE)の旅券を提示。約180万円の費用を前払いし、昨年7月から4カ月間かけて小型機の免許を取っていた。
 先月の3日間、「飛行時間を延ばしたい」と、同州ランタナのパームビーチ航空訓練所から単発機を借りている。飛行時間は300時間にのぼっていたという。
 「仲間に入ろうとせず、よそ者だった。暑いときにもいつも長そで長ズボンだった」。操縦士学校仲間は評した。
 14日発売のドイツの週刊誌「シュピーゲル」によると、同容疑者は92年から99年5月まで、ハンブルクの工科大学で学び、「モハメド・アルアミール」と名乗っていた。イスラム系学生のグループ「イスラムAG」で中心的役割を担っていた。信心深い側面もあり、キリスト教やユダヤ教、イスラム教のほかの派の友人ともつき合っていたという。
 アラビア語、英語、ドイツ語が堪能で、シリアの都市アレッポについて論文を書いていた。情報提供を求めるホームページには「私はエジプトの建築家」などと自己紹介も書き込んでいた。
 容疑者グループには兄弟やいとこなど血縁者も目立つ。
 同ビル南棟に突っ込んだ航空機を操縦していたとされるマルワン・アルシェヒ容疑者(23)はアタ容疑者のいとこで、同じ時期に同じ操縦士学校に通っていた。今年、ドイツのハンブルクに居を移したが、5月までにフロリダに戻っていた。
 また、アタ容疑者と同じ航空機に乗り込んだグループのうち、アルシェフリ名の2人の容疑者は兄弟だったとされる。
 ワリード・アルシェフリ容疑者はデイトナビーチの航空大学校を97年に卒業。4年間のパイロット養成課程を終えていた。国防総省への突入機に乗っていたとみられるハニ・ハンジュル容疑者は99年に商業パイロット免許をとり、住所としてサウジアラビアの郵便局の私書箱を記していたという。いずれも数年にわたって準備を進めていたことをうかがわせる。
 ほかの仲間たちも含め、多くはアラブなまりの英語を話し、孤独な印象だったという。「少なくとも5年前から犯行を計画していた」(ボストン・グローブ紙)と思えない様子だった。数人は90年代半ばから後半にかけての同時期にデイトナビーチのアパートなどに住んでいた。
 航空機には常連客として、インターネット予約したり、ファーストクラスやビジネスクラスのチケットを予約したりしていた。今回のチケットはいずれも8月25日から29日の間に購入されているという。
 一方、米CNNテレビは14日、容疑者のうち2人が米国内にある米軍の学校で教育を受けた可能性があるため、国防総省が調べていると伝えた。国防総省側の「偶然、名前が一致しているだけかもしれない」という注意深い留保をつけている。
 犯人がなぜ、11日にテロを決行したか、依然なぞのままだが、ワシントン・ポスト紙は、19人と接点のあるサウジアラビア出身の青年が、フロリダで飛行機の操縦訓練中に事故死したのが1年前のこの日だった、と指摘している。[2001-09-16-17:16] 245
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 09/16@パキスタン、米の作戦に全面協力(読売新聞)

 【ワシントン15日=林路郎】米国中枢部に対する同時多発テロへの報復軍事作戦をめぐりパウエル米国務長官は15日、報道陣を前に、パキスタン政府から作戦への全面協力の確約を得たと明らかにした。
 また、米下院は14日、上院に続き、大統領による米軍事力投入を認める「武力行使承認決議」を賛成420、反対1とほぼ全会一致で採択。これにより、報復作戦遂行に必要な国内外の支援態勢はほぼ整った。一方、ブッシュ大統領は15日、イスラム原理主義指導者、ウサマ・ビンラーディンは「主要な容疑者である」と明言、事実上、テロ事件の主犯と断定した。
 ブッシュ大統領は15日、キャンプデービッド山荘で、パウエル長官、ラムズフェルド国防長官ら国家安全保障会議(NSC)のメンバーと、報復作戦の選択肢などについて協議。これに先立ち、パウエル長官は、ビンラーディン個人とともに、作戦の対象となっているアフガニスタンに影響力を持ち、作戦の軍事的足場として重要なパキスタンのムシャラフ政権から「必要なことは何でもする」との約束を取り付けたと表明した。
 米国はパキスタンに対し〈1〉米軍機への領空通過権付与〈2〉パキスタン・アフガニスタン国境の封鎖〈3〉アフガニスタンへの燃料供給遮断――などを要求していた。
 パキスタンのサッタル外相は、イスラマバードで15日、「国連安保理決定に従う」と述べ、安保理が12日、テロ関係者を法で裁くのを求めた決議を根拠に、対米協力に踏み込む立場を示した。
 大統領はNSCメンバーとの協議に先立ち、記者団に、ウサマ・ビンラーディンが「隠れていられると思うなら誤りだ」と強い調子で非難。15日午前行った米国民向けラジオ演説では、「米国に戦争を仕掛けた者は、自らの破壊を選んだことを学ぶだろう」と述べ、長期的・包括的軍事作戦によりテロ根絶を目指す決意を表明した。
 大統領は14日、テロ事件を受けて「国家非常事態」を宣言。国防総省は同日夜、予備役3万5000の現役編入を決めた。また、米下院は14日午後、上院に続いてテロ現場の復旧や軍事活動にかかる総額400億ドルの緊急歳出法を全会一致で可決した。 [2001-09-16-16:24] 247
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 09/16@「敵か味方か」迫る米 テロ契機に新外交(共同通信)

 【ワシントン16日共同】米中枢同時テロを受け、米国がテロ問題で旗幟(きし)を鮮明にするよう各国に求め、反対したり躊躇(ちゅうちょ)すれば「敵対国」とみなすとの方針を打ち出した。テロの国際包囲網形成に向けた「新たな外交政策」(ニューヨーク・タイムズ紙)と位置付けられている。
 米国務省は十四日、各地域担当次官補が駐米各国代表を呼び「外交関係で対テロ姿勢を新たな基準にする」(パウエル国務長官)方針を伝えた。会合には米政府が「テロ支援国」とするシリア代表も参加、米国は各国にテロ対策の強化などを求めたという。
 これに先立ちアーミテージ国務副長官はウサマ・ビンラディン氏が潜伏するアフガニスタンのタリバン政権に近いパキスタンの駐米代表と会談し「米国の側かテロリストの側か。灰色はあり得ない」と協力を強く要請。パキスタンは十五日「米国の要請した協力リストのすべてに同意した」(パウエル長官)という。
 米紙によると、米国はタリバンと外交関係を持つサウジアラビアとアラブ首長国連邦にもタリバンとの断交を要求。イスラム過激派を抱える両国に配慮した従来の政策を捨て「敵か味方か」の選択を求めた。
 米国は対テロ戦争を「姿を見せない敵との従来とまったく違った戦いになる」(ブッシュ大統領)と分析。「国境を越えテロ組織を攻撃する必要も出てくる」(米軍事専門家)とみられ、テロリストと「テロリストをかくまう国」の区別は事実上不可能となる。米政府の新方針はこうした事情を反映しているといえる。(了)[2001-09-16-16:03] 251
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 09/16@地上軍投入も「選択肢」 新たに男1人を逮捕 死者不明5千(共同通信)

 【ワシントン15日共同=渡辺陽介】米中枢同時テロで、フライシャー米大統領報道官は十五日、報復の軍事行動について「大統領はあらゆる選択肢を排除しない」と地上軍投入の可能性に言及した。キャンプデービッドで国家安全保障会議が開かれた際、記者団の質問に答えた。
 一方で、有力紙ニューヨーク・タイムズが十五日付社説で地上戦の困難さを指摘するなど、一部で慎重な論調も出てきた。
 米ニュージャージー州の警察当局は十五日、テロに絡み男一人を逮捕した。これで確認された逮捕者は二人となった ニューヨーク市警は、テロによる世界貿易センタービルでの行方不明者が四千九百七十二人になったと発表。死者・不明者の総数は五千人を超えた。
 国家安全保障会議にはチェイニー副大統領、パウエル国務長官、ラムズフェルド国防長官らも参加、報復攻撃を含めた対応を協議した。ブッシュ大統領は「戦いは短期間ではない」として報復作戦の長期化を示唆。軍事だけでなく、政治、経済、外交など多方面からテロ組織の壊滅作戦を展開する方針だ。
 ニューヨーク・タイムズ紙電子版によると、パウエル国務長官は十五日までに、アフガニスタンの支配勢力、タリバンを承認しているサウジアラビアとアラブ首長国連邦に、関係断絶を要請した。
 米国はタリバン包囲網を狭めるために、パキスタンなどアフガニスタン周辺国に国境封鎖を要請。イランが十五日に国境を封鎖した。
 ブッシュ米大統領は同日、ムシャラフ・パキスタン大統領と電話会談し、協力表明に謝意を伝えた。
 米国防総省は、米中枢同時テロを受けて展開する軍事作戦を「ノーブル・イーグル(高貴なワシ)」作戦と命名した。(了)[2001-09-16-13:50] 252
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 09/16@アフガニスタン包囲網着々 イラン、米と連携も(朝日新聞)

 米国が、同時多発テロを生んだテロ組織の温床と見るアフガニスタンへの包囲網を着々と築きあげている。南東側でパキスタン、北側でロシアとの共闘を模索する一方、西側では長年の宿敵イランと手を組む可能性すら出てきた。イスラム過激派指導者オサマ・ビンラディン氏を追いつめる掃討作戦に向け、大胆な外交戦術を展開している。
 アフガニスタン周辺国の中で、最も長く国境を接するパキスタンに、米国は急接近している。アラビア海に展開する米空母部隊から飛び立った爆撃機などがパキスタン領空を通過する場合には同国の承諾が必要だ。パキスタンの複数の関係者によると、すでに同国は同意しているという。ビンラディン氏の拠点があるとされるアフガニスタン南部カンダハルにも最も近い。米国にとって、湾岸戦争時の攻撃拠点になったサウジアラビアのような意味がある。
 ブッシュ政権はテロ事件前に、武器売却をめぐり中国とパキスタンの企業に制裁を発動。南アジアは米・インド−中・パの対立構図が形成されつつあった。だが、情勢は一変した。パウエル国務長官は15日、「パキスタンの全面協力に感謝する」と表明。米政府は今後、軍事交流を強化する。
 アフガンの北では、米国はタジキスタンに目を注ぐ。タリバーン政権と戦う「北部同盟」と関係が深く、米国防総省代表団が今年訪れるなど限定的な軍事交流も始まっていた。ただし同国の国境管理、基地はロシアの手にあり、隣の新興独立国ウズベキスタン、トルクメニスタンと同様に米ロ間の協議がカギをにぎる。
 ロシアはイスラム過激派のテロに手を焼いており、共闘は可能だ。だがロシアが同様に問題視する中央アジアやチェチェン共和国の「テロ活動」は民族闘争の面もあり、米国はそこに手を染めたくはない。ビンラディン氏の組織掃討に限定して、ロシアの協力が仰げるのかは不透明だ。
 イランもタリバーンと対立している。米国は79年のイラン革命以来断交中だが、テロ事件後に水面下で協力を打診。米高官は「驚くほど前向きな反応が来た」と言う。イランは中東紛争との関係も深いため共闘は困難だが、国境封鎖などで「沈黙の協力」をする可能性はあると米側は見る。
 米国務省は14日、アラブ諸国15カ国の大使らと協議し、「包囲網につくか、孤立を選ぶか」の選択を迫った。米外交はいま、旧来の国際関係の枠を超えて、「テロとの戦争」に勝つことに目標を絞っている。[2001-09-16-13:02] 259
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 09/16@欧州議会に毒ガステロ計画 英国内に数十人が潜伏(共同通信)

 【ロンドン16日共同】十六日付の英紙サンデー・テレグラフは、ウサマ・ビンラディン氏から資金提供を受け、英国内に潜伏していたテロリストグループが、フランス・ストラスブールの欧州議会に対する毒ガステロを計画していたと報じた。
 議会開会中の今年二月十一日から十四日の間に、欧州議会のあるビルにサリンガスを流し、議員や職員を皆殺しにする計画だった。さらにこれにイタリアやドイツ国内に潜むメンバーが呼応し、欧州全土でテロを実行する予定だったという。
 計画はドイツ警察当局が察知してフランクフルトの拠点を急襲、英国内でもアルジェリア人六人が逮捕され、未然に防がれた。
 同日付のインディペンデント日曜版によると、ビンラディン氏は以前から英国を主要な活動拠点として利用。自らが資金を提供したり、訓練を施したテロリスト数十人を英国内に潜伏させていたという。
 英国の情報筋は同紙に対し「米国で起きたようなテロが英国や他の欧州諸国でいつ再現されても不思議ではない」としている。(了)[2001-09-16-09:48] 266
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 09/16@<アフガン>国連職員が緊急脱出 報復を直感、緊張走る(毎日新聞)

 同時多発テロの首謀者がアフガニスタンに潜むウサマ・ビンラディン氏ではないかとの疑いが深まり、軍事報復が焦点になっているが、実はテロ発生の報が伝わった瞬間からアフガンには緊張が走っていた。同氏の関与と報復攻撃が「直感」されたからだ。アフガンに滞在していた約80人の国連職員は、湾岸戦争の時のような「人間の盾」にされるのではないかという恐怖にかられながら、国連機で緊急待避した。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)カブール事務所の山本芳幸所長(43)が、緊迫の脱出劇を語った。 【イスラマバード春日孝之】
 山本所長がテロの一報に接したのは発生直後の11日夜だった。視察先のロガール州アズラ村でラジオに耳を傾けながら、98年8月の米軍による攻撃が脳裏をよぎった。米国はアフリカの2カ所で起きた米大使館同時爆破テロの主犯をビンラディン氏と断定し、アフガンの拠点に80発の巡航ミサイルを撃ち込んだのだ。
 「カブールに戻っても街は消滅しているかもしれない」。一緒にいた職員らもそう懸念した。現地からカブールまで6時間かかる。2時間で行けるパキスタン国境への退避に傾いたが、国連調整事務所からの指示は「カブールに、ノンストップで走れ」だった。
 悪路をランドクルーザーで飛ばす途中、「カブール空港に爆撃」とのラジオ放送。次いで無線連絡で、職員全員の即時退避命令を知らされた。
 12日午前、カブール到着。空港爆撃は反タリバン連合によるものらしかった。市街への大規模攻撃も、米国の報復攻撃もありうる。
 国連は特別機3機を用意したが、タリバンは同日朝に出した空港利用許可を、突然取り消した。報復攻撃に対する「人間の盾」にされるのでは、との恐怖が広がる中、タリバンと交渉を重ね、なんとか再許可を得た。パキスタンの首都イスラマバードの土を踏んだ時は疲れ果てていた。
 アフガンは、ソ連侵攻に伴うアフガン戦争(79〜89年)とその後の内戦激化、昨夏以来の大干ばつで疲弊し、パキスタンとイランにそれぞれ約200万人の難民が流出。新たな難民も発生し続けている。米国の軍事報復の可能性が高まる中、住民は防空壕(ごう)を掘っていると伝えられる。
      ◇
 アフガンから緊急待避した山本芳幸・UNHCRカブール事務所長に、タリバン政権とウサマ・ビンラディン氏の動向や今後の見通しなどについて聞いた。 【春日孝之】
 ――最近のタリバン政権の動向は。
 ◆昨年12月の米国主導の国連制裁強化で、タリバンは「国連イコール米国」と確信した。「アラブ」に頼ることになり、国内のアラブ人口が急増して、学校教育も宗教科目がアラビア語での授業になった。
 それまでのタリバンは穏健派と強硬派が拮抗(きっこう)していた。穏健派は「ビンラディンと手を切れ」と主張していたが、国連制裁を機に勢力バランスが崩れ、ビンラディン氏をはじめアラブ人の影響を受けた強硬派支配が確立した。タリバンの「アラブ化」だ。
 ――一般にタリバンがビンラディン氏を保護しているといわれますが。
 ◆ビンラディン氏をタリバン政権の国防相に、という情報もあったぐらいで、同氏の影響力は強大とみられる。米国が報復攻撃をすれば、穏健派が巻き返しに出て内乱に陥る可能性もある。
 ――ビンラディン氏の潜伏先は。
 ◆アフガンには隠れ家に適した洞くつが多い。日々移動しているのは間違いなく、追跡は不可能だ。
 ――アフガンから見て米国はどう映るか。
 ◆タリバンと米国は共通している。自分の世界にこそ真理があると信じ込み、外部との融和の道を閉ざしている。今回のようなテロは、集団に深い憎悪の蓄積がないとできないはずだ。米国は憎悪を生んだ源泉を見つめるべきなのに、対立姿勢を強めている。
 ――どんな結末が。
 ◆対立すればするほど原理主義勢力も強くなる。アフガンへの地上軍派遣は戦争を泥沼化させる。ビンラディン氏の支持者は世界中にいる。各地で報復テロが続発し、米国にとって「勝利なき戦い」になる。 [2001-09-16-01:20]


 (注)この「最近のボスニア」コーナーは、一般に報道されている記事に、千田が一部手直しして掲載しているものです。出所は明示しており、各社・各記者の著作権を侵害するつもりはありませんが、著作権上問題があるとお考えの方や、自分(自社)の記事は載せないでほしいという方がいらっしゃれば、このホームページの感想もふくめて、千田あてに連絡してください。
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