最近のボスニア(旧ユーゴスラビア)情報

(08/09, 2001)


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◆ 08/01@<北アイルランド和平>英・ア両政府、各政党に和平合意の新(毎日新聞)
◆ 08/01@国連安保理、レバノンPKOの半年延長を採択(読売新聞)
◆ 08/02@マケドニア4党、アルバニア語の公用語化で合意(読売新聞)
◆ 08/02@特別態勢でマケドニア注視 NATOが部隊派遣にらむ(共同通信)
◆ 08/02@<マケドニア>アルバニア語公用化認める 残るは警察権限問(毎日新聞)
◆ 08/02@公用語問題でマケドニア4党合意 EU現地代表発表(朝日新聞)
◆ 08/02@公用語問題で主要政党合意 マケドニア和平協議(共同通信)
◆ 08/02@核軍縮は「冬の時代」に ジュネーブ軍縮会議が再開(共同通信)
◆ 08/02@日中韓の学者ら東アジア共通の歴史教科書づくり(朝日新聞)
◆ 08/02@<英ブレア首相>アルゼンチンを訪問 同国の財政削減策を支(毎日新聞)
◆ 08/02@世界人口2070年に最大 地域問わず高齢化が進展(共同通信)
◆ 08/03@<国際戦犯法廷>セルビア人勢力の司令官に禁固46年の判決(毎日新聞)
◆ 08/03@<記者の目>アフリカを忘れるな 城島徹(ヨハネスブルク支(毎日新聞)
◆ 08/03@<ユーゴ戦犯>セルビア人勢力の司令官に禁固46年(毎日新聞)
◆ 08/03@民族大量虐殺罪を初適用 セルビア人被告に戦犯法廷(共同通信)
◆ 08/03@伊サボイア王家末えい、半世紀ぶり入国解禁へ(読売新聞)
◆ 08/03@<タリバン政権>ザイーフ駐パキスタン大使と会談 米国務次(毎日新聞)
◆ 08/03@<米基地>海外、見直しへ 沖縄は対象外の公算大 米国防長(毎日新聞)
◆ 08/03@<アルゼンチン>景気低迷と財政赤字 IMFによる支援の動(毎日新聞)
◆ 08/03@<世界銀行>01年度融資実績発表 2年ぶりに増加(毎日新聞)
◆ 08/03@比のイスラム2大勢力が「政治統合」 (読売新聞)
◆ 08/03@イスラム2勢力が統合合意 ミンダナオ和平へまた一歩(共同通信)
◆ 08/03@海外米軍基地の統廃合検討へ 米国防次官が見直し言明(朝日新聞)
◆ 08/03@世銀融資承認は173億ドル 01年度、貧困国支援に重点(共同通信)
◆ 08/04@戦犯引き渡しを否定 セルビア首相(共同通信)
◆ 08/04@<ニュースの背景>劣化ウラン弾とは (毎日新聞)
◆ 08/04@<劣化ウラン弾>不発弾持ち帰り白血病に 病気の証拠捨てき(毎日新聞)
◆ 08/04@<劣化ウラン弾>NATOボスニア空爆 がん併発、異常な症(毎日新聞)
◆ 08/04@イスラエル兵誘拐、「対応に誤り」国連が報告書(読売新聞)
◆ 08/04@<米軍新戦略>複数紛争に対処 現作戦との違いに苦慮 国防(毎日新聞)
◆ 08/04@<広島原爆忌>被爆者の国連事務次長が会見 核兵器廃絶訴え(毎日新聞)
◆ 08/04@<イスラエル>被爆者の苦しみテレビで放映 紛争停止願い(毎日新聞)
◆ 08/04@<酸いも辛いも>サミット座のソプラノ (毎日新聞)
◆ 08/04@原爆テーマにダンス創作 パレスチナの子供たち(共同通信)
◆ 08/04@国連、西ティモールに要員を再配置へ (読売新聞)
◆ 08/04@<エイズ支援>医療バスをアフリカに贈る運動に協力呼び掛け(毎日新聞)
◆ 08/04@国連要員を再配置へ 東ティモール(共同通信)
◆ 08/04@一カ所の大規模紛争で圧勝 米が新軍事戦略を表明(共同通信)
◆ 08/04@交渉断念を正式決定 生物兵器条約の議定書会合(共同通信)
◆ 08/04@<インタビュー>松浦晃一郎・ユネスコ事務局長に聞く(毎日新聞)
◆ 08/05@<旧ユーゴ戦犯法廷>ボスニアのイスラム教徒の元将校3人が(毎日新聞)
◆ 08/05@◎マケドニア和平協議、正念場に=難問の警察再編で妥協点探(時事通信)
◆ 08/06@◎和平交渉、大詰め協議開始=妥結ならNATO派兵に道−マ(時事通信)
◆ 08/05@一方的外交、軌道修正か 核実験再開ないとの予測も(共同通信)
◆ 08/05@高原の大化けにかける 財閥2世のマクリ会長(共同通信)
◆ 08/06@マケドニア4政党、警察組織再編も合意 (読売新聞)
◆ 08/06@警察機構改革で合意 マケドニア主要政党(朝日新聞)
◆ 08/06@警察の民族別構成で合意 マケドニアでEU代表(共同通信)
◆ 08/06@<マケドニア紛争>警察権限問題で合意 和平協定締結に前進(毎日新聞)
◆ 08/06@経産相らの発言対応で北海道ウタリ協会が理事長ら解任(読売新聞)
◆ 08/06@<フィリピン>政府とモロ・イスラム解放戦線が和平合意(毎日新聞)
◆ 08/06@7日から米ロが本格協議 ミサイル防衛で包括交渉(共同通信)
◆ 08/06@地雷撲滅訴え百名山制覇へ 英国青年3人、半分を踏破(共同通信)
◆ 08/06@<広島原爆忌>ベトナムで歌われる「ヒロシマ・ガール」(毎日新聞)
◆ 08/06@<広島原爆忌>こども平和への誓い 全文(毎日新聞)
◆ 08/06@<広島原爆忌>アナン国連事務総長メッセージ 要旨(毎日新聞)
◆ 08/06@<広島原爆忌>小泉首相あいさつ 要旨 (毎日新聞)
◆ 08/06@<広島原爆忌>広島平和宣言全文(毎日新聞)
◆ 08/06@<広島原爆忌>被爆者援護法の適用求め 届くか在外被爆者の(毎日新聞)
◆ 08/06@高校時代から小野に注目 情報集めに熱心なクラブ(共同通信)
◆ 08/07@マケドニア警察がゲリラ5人殺害(朝日新聞)
◆ 08/07@<マケド二ア>ゲリラ武装解除保証を要求 マケドニア人側(毎日新聞)
◆ 08/07@マケドニア和平協議、大詰めで再び暗雲 (読売新聞)
◆ 08/07@マケドニア4党、和平対話でも大詰め (読売新聞)
◆ 08/07@◎大詰めの和平協議、一時中断=マケドニア人側が新たな要求(時事通信)
◆ 08/07@<カンボジア>ポル・ポト派の虐殺裁く特別法廷設置法案を承(毎日新聞)
◆ 08/07@<米国勢調査>家庭で英語以外を話す人が18%に達する(毎日新聞)
◆ 08/07@<ダライ・ラマ>カシミール問題での発言でインド国内で波風(毎日新聞)
◆ 08/07@扶桑社教科書採択めぐり、賛成派と反対派が声明(朝日新聞)
◆ 08/07@憲法評議会が特別法廷承認 元ポル・ポト派の大量虐殺(共同通信)
◆ 08/07@停戦監視団の構成で合意 フィリピン政府とゲリラ和平交渉(共同通信)
◆ 08/07@米軍改革、期待外れの懸念 国防長官が制服組と対立(共同通信)
◆ 08/07@◎ケニアへODA調査団派遣=衆院外務委(時事通信)
◆ 08/07@<イタリア>旧王族55年ぶり帰還か 右派政権が入国条項改(毎日新聞)
◆ 08/07@◎IRA、30日以内に武装解除着手か=フィンランド前大統(時事通信)
◆ 08/07@◎イスラエルは活動家の暗殺中止を=国連総長(時事通信)
◆ 08/07@イスラエル首相、暗殺作戦の継続明言 (読売新聞)
◆ 08/07@国際舞台復帰が本格化 北朝鮮サッカー、存在感アピール(共同通信)
◆ 08/08@○武装組織が政府軍を攻撃、10人死亡=和平協議、新たな危(時事通信)
◆ 08/08@マケドニアで政府軍9人が死亡 和平協議に影落とす(朝日新聞)
◆ 08/08@<マケドニア>警察の一団が襲撃され、10人死亡、3人負傷(毎日新聞)
◆ 08/08@<マケドニア>政治協議を再開 10日に最終調印したいと政(毎日新聞)
◆ 08/08@マケドニア警察がゲリラ5人殺害(朝日新聞)
◆ 08/08@マケドニア警察、武装勢力5人射殺し5人逮捕(読売新聞)
◆ 08/08@<歴史教科書>愛媛県教委の採択で教育現場内外に大きな動揺(毎日新聞)
◆ 08/08@<NATO国防相理事会>ナポリ開催の延期を要請 市長(毎日新聞)
◆ 08/08@元ICJ判事囲み対話集会 環境問題テーマに分科会も(共同通信)
◆ 08/08@アイヌ民族派遣を断念 外務省、南アの国連会議(共同通信)
◆ 08/08@NATO理事会に赤信号 ナポリ市長が返上要請(共同通信)
◆ 08/08@米露が安保実務者協議、ABM制限条約改定焦点に(読売新聞)
◆ 08/09@マケドニアで新たな衝突、警官1人が死亡(読売新聞)
◆ 08/09@<マケドニア>包括和平協定案に仮調印 主要政党(毎日新聞)
◆ 08/09@マケドニアで和平仮調印 衝突で政府軍兵士10人死亡(共同通信)
◆ 08/09@マケドニア、和平案に主要4政党が合意 (読売新聞)
◆ 08/09@マケドニアの和平協議で主要4政党が暫定合意文書に調印(朝日新聞)
◆ 08/09@主要政党が和平に仮調印 マケドニア、一方で衝突も(共同通信)
◆ 08/09@マケドニア紛争、和平案に合意へ仮調印 (読売新聞)
◆ 08/09@<マケドニア>内戦突入、不可避か 和平調印後も不安山積(毎日新聞)
◆ 08/09@<米露協議>手探り「米露新時代」 安保協議の課題を分析(毎日新聞)
◆ 08/09@マケドニアで政府軍10人が死亡 和平協議に影落とす(朝日新聞)
◆ 08/09@在欧米軍の大幅削減、米国防副長官が示唆(読売新聞)
◆ 08/09@欧州の米軍を削減へ(共同通信)
◆ 08/09@<記者の目>流血の政争は二度とない インドネシア政権交代(毎日新聞)

 (注)この「最近のボスニア」コーナーは、一般に報道されている記事に、千田が一部手直しして掲載しているものです。出所は明示しており、各社・各記者の著作権を侵害するつもりはありませんが、著作権上問題があるとお考えの方や、自分(自社)の記事は載せないでほしいという方がいらっしゃれば、このホームページの感想もふくめて、千田あてに連絡してください。
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 08/01@<北アイルランド和平>英・ア両政府、各政党に和平合意の新(毎日新聞)

 【ロンドン笠原敏彦】英、アイルランド両政府は1日、北アイルランド和平の難局打開に向け、紛争当事者の各政党に対し和平合意の完全実施を目指す新提案を示した。和平は武装解除問題をめぐって行き詰まり、12日までに進展がなければ、再び自治凍結などの事態が想定されている。
 先月の集中的協議で突破口が見つからなかったため、両政府は「交渉の余地のない最終案」としてまとめ、受け入れるかどうか6日までに回答するよう各政党に求めた。
 新提案には駐留軍・施設の削減や逃亡中の過激派の恩赦が盛り込まれ、和平の障害であるカトリック系過激派・アイルランド共和軍(IRA)の武装解除を引き出す狙いが鮮明だ。武装解除問題について「絶対条件であり、武装解除委が容認できる方法で解決されねばならない」とした。
 新提案に対しIRAの政治組織シン・フェイン党は「慎重に検討する」と表明。自治政府首相を先月1日に辞任したアルスター統一党(UUP)のトリンブル党首は「IRAの具体的な武装解除がない限り、自治政府には復帰しない」と述べ、IRAの出方次第との立場を強調した。 [2001-08-01-21:45] 140
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 08/01@国連安保理、レバノンPKOの半年延長を採択(読売新聞)

 【ニューヨーク31日=勝田誠】国連安保理は31日、レバノン情勢についての公式協議を行い、国連レバノン暫定軍(UNIFIL)の任期を6か月間延長し、2002年1月末までとする決議を、全会一致で採択した。同決議は、現在約4500人の兵力を、今年秋には約3600人に縮小するとのアナン国連事務総長の計画も支持している。 [2001-08-01-10:23] 3 [このページの最初に戻る]


 08/02@マケドニア4党、アルバニア語の公用語化で合意(読売新聞)

 【ローマ2日=秦野るり子】現地からの報道によると、マケドニア南部オフリドで、同国の民族紛争解決に向けて和平対話を続けていたアルバニア系政党2政党を含む主要4政党の指導者は1日夜、焦点のアルバニア語の公用語化問題で合意した。対話を仲介していたジェームズ・パルデュー米特使とフランソワ・レオタール欧州連合(EU)特使が明らかにした。
 合意の詳しい内容については明らかにされていない。両特使は、「重要な進展」と評価したが、今後の協議が、マケドニア人が圧倒的多数を占める警察機構などへのアルバニア人の登用問題などで難航することが予想され、包括合意につながるかは予断を許さない。和平対話は2日の休みをはさみ、3日、続開する。 [2001-08-02-19:19] 4
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 08/02@特別態勢でマケドニア注視 NATOが部隊派遣にらむ(共同通信)

 【ブリュッセル2日共同】マケドニア主要政党による和平協議が一日、最大の難問だったアルバニア語の公用語化問題で合意したのを受け、北大西洋条約機構(NATO)は今後の展開に迅速に対応するため、夏休み返上の態勢で事態の推移を注視している。
 和平協議で包括的な政治合意が成立し停戦状態が保たれれば、NATOは計二千五百人前後の部隊をマケドニアに派兵、約一カ月間駐留させ、アルバニア系住民の武装解除を進める方針。
 包括合意が成立しなかった場合の「次善の策は用意していない」(NATO当局者)ため、当面は欧州連合(EU)と協力しながら調停活動に全力を挙げる構えだ。
 NATO当局者によると、バカンスシーズンに入る八月も通常通り、意思決定機関である理事会(大使級)を週一回開き、マケドニア情勢に限って継続協議することを決めた。
 異例の対応の背景には、ロバートソンNATO事務総長らの仲介により、七月下旬に和平協議が再開されるまでは「マケドニアは内戦のふちにあった」(当局者)との認識がある。
 ただ、包括合意の見通しが不透明な上、武装組織側がマケドニア政府やNATOによる武器回収要請に簡単に応じる保証はなく、仮に合意が成立しても、派兵が実現するまでには曲折がありそうだ。(了)[2001-08-02-16:38] 5
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 08/02@<マケドニア>アルバニア語公用化認める 残るは警察権限問(毎日新聞)

 【ウィーン福井聡】マケドニア南部オフリッドで行われているマケドニア人とアルバニア系計4政党の政治協議は1日、最大の難問だったアルバニア語の公用語化問題で合意した。
 仲介役のパーデュー米特使は「4党は、アルバニア系住民が人口の20%を超える地域で、アルバニア語を公用語とすることで合意に達した」と発表した。国会でも使用できるが、政府内ではマケドニア語を使うことになる。
 マケドニア側はこれまで「公用語として認めれば独自の領土樹立への第1歩となる」と強く反対し、アルバニア系は「自分たちの言葉が認められなければ自国の意識が芽生えない」と主張してきた。
 3日から最後の関門である警察権限問題の協議に入る。会議筋は「週末にかけてすべてで合意し、来週以降、北太平洋条約機構(NATO)による武器回収部隊の展開を目指す」としている。
 しかし、警察権限問題でアルバニア系政党は「地方警察は地方政府の権限下に属し、中央政府の拘束を受けない」と主張し、マケドニア政党は強く反発。3日からの最終協議の行方はなお予断を許さない。
 マケドニア側の民族強硬派、ボスコフスキ内相は1日「ゲリラ側は軍事力行使を続け、マケドニア住民を恐怖に陥れている。我々は和平確立までテロリストを撲滅せねばならない」と発言。一方、政府軍と対峙するアルバニア系ゲリラ・民族解放軍は同日、幹部5人が先月29日、西部ゴスティバルの戦闘で殺害されたとの声明を発表した。 [2001-08-02-13:50] 6
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 08/02@公用語問題でマケドニア4党合意 EU現地代表発表(朝日新聞)

 アルバニア系武装勢力との紛争収拾を目指して行われているマケドニアの主要4政党間の和平協議で、仲介役を務める欧州連合(EU)のレオタール現地代表は1日、「アルバニア語の公用語化問題で4党が合意した」と発表した。
 協議は3日に再開する予定で、議題は警察機構の改革などに移ると見られるが難航が予想され、包括的な合意の見通しは予断を許さない状況だ。
 公用語に関する「合意」の詳細は明らかにされていないが、マケドニアからの報道によると、アルバニア語をマケドニア語と並ぶ公用語と認めたうえで、実際に適用するのはアルバニア系が多数派の地域に限るといった妥協がなされた模様だ。協議の進展しだいではアルバニア系政党が公用語問題を蒸し返す恐れも指摘されている。
 レオタール氏は「この合意が実効性を持つかどうかは、特に警察の問題の結果しだいだ」と述べた。アルバニア系政党はマケドニア人が圧倒的多数を占める警察機構の改革を求めており、これを含めた包括的な合意に達するまでは楽観できないとの見方を示したものだ。
 アルバニア系は約200万人の人口の3割前後を占め、多数派であるマケドニア人からの「差別」を訴えている。武装勢力はアルバニア系の地位向上を求め、武装解除に応じていない。[2001-08-02-12:14] 7
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 08/02@公用語問題で主要政党合意 マケドニア和平協議(共同通信)

 【ウィーン2日共同】アルバニア系住民の武装組織と政府治安部隊との紛争終結を目指しマケドニア南部オフリドで行われている主要四政党の和平協議で、仲介役のパーデュー米特使は一日、最大の難問だったアルバニア語の公用語化問題で合意が成立したことを明らかにした。
 オフリドからの報道によると、同特使は「極めて重要な進展だ」と述べた。しかし詳細は明らかにしなかった。
 協議では今後、警察機構などへの少数派アルバニア系住民の雇用拡大問題などが焦点。しかし、一つの問題で歩み寄りながら別の問題で協議が振り出しに戻るケースが多かったことから、包括合意の見通しは予断を許さない。
 アルバニア系住民はマケドニアの人口約二百万人の約四分の一を占める。アルバニア系政党は同国全土でアルバニア語を公用語に加えるよう要求していたが、マケドニア人政党は、地域人口の二割以上をアルバニア系住民が占める地域でのみ公用語化を認めるとの妥協案を示していた。(了)[2001-08-02-08:37] 54
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 08/02@核軍縮は「冬の時代」に ジュネーブ軍縮会議が再開(共同通信)

 【ジュネーブ2日共同】ジュネーブ軍縮会議は二日、今年最後となる第三会期の本会議を開く。兵器用核分裂物質生産禁止(カットオフ)条約の交渉開始に向けた作業計画を策定できるかどうかが焦点だが、ミサイル防衛をめぐる米国、ロシア、中国の対立のあおりを受け、大幅進展は期待できない状況だ。
 ブッシュ米政権は、軍縮会議の大きな成果である包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准・発効にも否定的な姿勢を示しており、多国間の核軍縮は米国の一方的外交により「冬の時代」を迎えつつある。
 軍縮外交筋によると、カットオフ条約交渉の作業計画が九月十四日までの第三会期中にまとまる可能性はほとんどない。このため、当面は国連総会に提出を義務付けられている一年間の活動報告の取りまとめが中心となる。
 外交筋は、米ロが弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約の改廃で合意に達し中国も一定の理解を示すまでは現在の停滞状況が続くと予想している。
 カットオフ条約交渉は米ミサイル防衛構想と直接の関係はないが、ミサイル防衛に反発する中国が「宇宙の軍事化」を禁止する条約草案を提示。カットオフ条約交渉と抱き合わせで交渉することを求めており、軍縮会議の討議全体が暗礁に乗り上げている。(了)[2001-08-02-16:00] 58
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 08/02@日中韓の学者ら東アジア共通の歴史教科書づくり(朝日新聞)

 東アジア共通の歴史教科書の実現をめざし、そのたたき台となるテキストづくりを、日本、中国、韓国の学者らが共同で進めている。各国の自国中心史観を脱した歴史をつづろうという試みで、来年中の出版が目標だ。「新しい歴史教科書をつくる会」主導の中学歴史教科書に国内外から批判が出るなか、メンバーらは「国家主義的傾向の教科書への対抗軸を示したい」と話している。
 取り組んでいるのは、藤家礼之助・東海大名誉教授(中国古代史)を統括責任者とする「東アジア歴史教育研究会」。李成市・早大教授(朝鮮古代史)や趙軍・千葉商科大教授(日中関係史)ら約20人の学者らが参加し、約半数が外国人という。
 研究会は96年末、「共通教科書」の実現をめざして発足。テキストは東アジア史に限っているため日本の教科書検定に申請することはできないが、「共通教科書」のたたき台として作ることにした。昨年2月から執筆に入り、現在は順次書き上げられる原稿の検討を重ねている。
 テキストの章立ては、各国史を集めるのではなく、東アジア史を総体として考える形だ。中国中心の史観に陥らず、各地域の独自性に着目するようにしたという。
 序論では東アジア文化圏の共通性について、漢字や儒教を題材に説明。近現代の章では、「日清戦争と東アジア」「日本の帝国主義化と東アジア」などを設ける。戦時の日本の加害事実については、「日中全面戦争と日本の破局」などの節で記述する。
 記述は高校生の副読本、参考書になるレベルを想定。最終的には図表を多く盛り込み、教科書の体裁にする。藤家さんは「国家を超えて、歴史を客観的に見ることで、各国の史観の溝は埋められる。21世紀のあるべき歴史教科書に向けた第一歩として出版したい」と話している。[2001-08-02-13:36] 72
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 08/02@<英ブレア首相>アルゼンチンを訪問 同国の財政削減策を支(毎日新聞)

 【メキシコ市・吉田弘之】英国のブレア首相は1日、歴代首相として初めてアルゼンチンを訪問し、デラルア大統領と会談、同国の経済危機に対する財政削減策を全面的に支持する意向を表明した。両国の間では英領フォークランド諸島の主権をめぐり歴史的な対立が続いているが、死者約970人を出したフォークランド紛争(82年)の歴史を超え、経済関係の強化に動き出した。
 首脳会談は、ブラジルとアルゼンチン国境の景勝地、イグアスの滝のアルゼンチン側で行われた。これに先立ち、同滝のブラジル側で、両首脳とブラジルのカルドゾ大統領が三者会談。首相とカルドソ大統領がアルゼンチンの財政削減策など金融危機回避に向けた努力を評価、全面支援を約束した。
 英国とアルゼンチンは紛争後、国交を断絶したが、同諸島の主権問題を棚上げして90年2月に外交関係を正常化。会談では主権問題は議題としなかった。しかし首相は先月31日、英国テレビのインタビューで「過去は過去。アルゼンチンと正常で良好な関係を持つことが重要だ」と述べ、フォークランド紛争は過去の歴史となった、との認識を示した。
 しかし、アルゼンチンではフォークランド問題に対し依然、英国への反発があり、この日も会談場付近に「マルビナス(フォークランド諸島)は我々のものだ」という看板が掲げられた。
 アルゼンチンでは98年、メネム前大統領が英国を訪問、紛争の犠牲者の記念碑に花束を捧げて和解の意思を示した。また英国からはチャールズ皇太子や故ダイアナ元皇太子妃ら皇族がアルゼンチンを訪問している。 [2001-08-02-10:10] 87
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 08/02@世界人口2070年に最大 地域問わず高齢化が進展(共同通信)

 世界の人口は二○七○年に約九十億人でピークに達し、その後は減少する可能性が高いとの予測結果を、オーストリアのシンクタンク「国際応用システム解析研究所」(IIASA)の研究者が二日付の英科学誌ネイチャーに発表した。
 高齢化は地域を問わず世界的に進行し、最も高齢化率の高い日本では二一○○年に二人に一人(49%)が六十歳以上になるとしている。
 同研究所のウォルフガング・ルッツ博士らは世界を十三の地域に分け、確率論的手法を用いて計二千のシミュレーションを行った。その結果、二一○○年までに人口増加が止まる確率は85%。二○七○年のピークの後、二一○○年には約八十四億人に減るという。
 同博士らは、今世紀半ば以降の女性の出生率を低めに想定しているため、国連などの予測より人口増加が少なくなっている。
 予測によると、各地の人口は中国で二○二五―五○年、インドを含む南アジアで二○五○―七五年、サハラ以南のアフリカでは二○七五―二一○○年の期間にピークに達する。
 六十歳以上の高齢者が世界人口に占める割合は現在の10%から二○五○年には22%、二一○○年には34%に増加するとしている。(了)[2001-08-02-08:14] 1
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 08/03@<国際戦犯法廷>セルビア人勢力の司令官に禁固46年の判決(毎日新聞)

 【ブリュッセル森忠彦】旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷(オランダ・ハーグ)は2日、ボスニア・ヘルツェゴビナ内戦で大量虐殺などの罪に問われたセルビア人勢力の司令官、クルスティッチ被告(53)に禁固46年の判決を言い渡した。同法廷で大量虐殺(ジェノサイド)罪の適用は初めてで、最長刑期になった。被告は上訴する方針。
 起訴状によると、被告はセルビア人勢力のムラディッチ元最高司令官の直属の部下で、95年7月、ボスニア東部のスレブレニッツァで起こったイスラム教徒住民約7500人の殺りくにかかわった。被告は無罪を主張していた。今回の判決は、先月から審理が始まったミロシェビッチ前ユーゴ大統領(同法廷に拘置中)への判例の試金石としても注目された。
 同法廷はボスニア内戦の戦犯としてセルビア人勢力の元最高指導者カラジッチ、ムラディッチ両被告を指名手配している。 [2001-08-03-00:30] 5
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 08/03@<記者の目>アフリカを忘れるな 城島徹(ヨハネスブルク支(毎日新聞)

 アフリカを置き去りにしてはいけない。7月にアフリカ統一機構(OAU)の首脳会議が開かれたザンビアの首都ルサカでそんな思いにかられた。欧州連合(EU)をモデルに、政治と経済の統合を目指すアフリカ連合(AU)という、「絵に描いたモチ」になりかねない遠大な理想をあえて掲げた各国首脳の危機感と、会議とは別の場所で出会った人々から「同じ地球の友よ」というメッセージを肌で感じたからだ。
 首脳会議そのものは、主議題であるAUへの移行作業を次期事務局長のアマラ・エシー氏(元コートジボワール外相)に委ねてあっさりと閉幕した。「グローバル化から取り残された危機が声高に叫ばれる」。そんな展開も予想されたが、それほど肩に力の入ったものではなかった。
 むしろ、リビアの最高指導者カダフィ大佐を主役とする政治ショーといった感が強い。そもそもAUの原構想は、中東で存在感を失いつつある彼が99年9月に自国で主宰したOAU特別首脳会議で提起したものだ。グローバリゼーションの権化たる米国を挑発し続けるカリスマ指導者の雄叫びに、アフリカ全体が呼応したともとれる。
 そして今回、「我々は(欧米に)傷めつけられてきた」という各国首脳の琴線に触れる演説に、加盟53カ国の代表らはひときわ大きな拍手で応えたのだ。
 それは一瞬のカタルシスだったのかもしれない。AUという理想と現実の落差を最も強く認識しているのが彼ら自身だからだ。
 サハラ以南のアフリカの1人当たりのGNP(国民総生産)は約510ドルで、日本の60分の1にも満たない。経済成長率は98年以降低下し、外国からの投資も減り、失業が犯罪を増幅。HIV感染者・エイズ患者は2500万人と、世界全体の3分の2を占める。
 冷戦終結で、東西代理戦争の舞台だったアフリカから先進国の関心が遠のき、宗教や民族の衝突に起因する紛争は90年代に30以上に及ぶ。アナン国連事務総長が開幕日に各地の内戦を列挙し「AUへの希望を脱線させかねない問題」と訴えたのは当然のことだ。
 前回の議長国トーゴのエヤデマ大統領は1時間もの大演説を行い、アフリカでの「平和維持軍の編成」をぶち上げた。会議の合間には、紛争当事国の首脳らが個別会談を重ねた。ホテルで鉢合わせした各国首脳の険しい表情が「現実」を物語っていた。
 閉幕した翌日、車に10時間揺られて約5万3000人の難民が暮らすメヘバ難民定住地を訪ねた。6歳の時、マンゴーを取ろうとして地雷に右足を吹き飛ばされたアンゴラ難民のフェルナンド・チニャマさん(23)はつぶやいた。「父は戦死し、一緒に国境を越えた母親は病死した。僕には未来がない」。そして続けた。「取材するあなたは僕に何かしてくれるの」。
 その視線が痛かった。残った左足のゴムぞうりのかかとは擦り切れ、両方の肘と手首の間で歩行器を支える部分が1センチほど固く盛り上がっていた。「日本の読者に一生懸命伝えようと思う」。答えながら私を含め外から係わる者の「本気」が試されていると思った。
 今回の出張で旧友との再会を果たせた。約16年前、獣医学の勉強をする同世代のザンビア人留学生がいると知った私は同僚らと「アフリカ人の話を聞こう」と当時、赴任していた和歌山に招いた。とうもろこしの粉でシマというザンビアの料理を作ってくれた純朴な人柄に引かれたが、その後は「遠い国」でもあり連絡を取っていなかった。
 会議会場近くにザンビア大学があり、「何か手がかりでも」と獣医学部に飛び込むと、技術担当責任者として働くウィルモント・ベンケレさん(46)の懐かしい顔が出てきたのだ。
 「日本の経験を生かし、将来は研究施設を開いて人々を病気から救いたい」。そんな夢を抱く彼から「アフリカの空の下で」と題する詩集を渡された。それにこう記していた。「長い年月は僕たちの友情を弱めなかった。僕たちは小さな世界に生きている」。後日届いたメールには日本を「TOOKUTE CHIKAI KUNI」(遠くて近い国)と表現していた。
 カダフィ大佐やアナン事務総長らのマイク越しの演説に「アフリカの危機」を観念的にとらえかけていた私に、チニャマさんとベンケレさんのつぶやきは「一つの地球に共存する」意味を重ね合わせてくれた。 [2001-08-03-00:05] 92
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 08/03@<ユーゴ戦犯>セルビア人勢力の司令官に禁固46年(毎日新聞)

 【ブリュッセル森忠彦】旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷(オランダ・ハーグ)は2日、ボスニア・ヘルツェゴビナ内戦で大量虐殺などの罪に問われたセルビア人勢力の司令官、クルスティッチ被告に禁固46年の判決を言い渡した。同法廷で大量虐殺(ジェノサイド)罪の適用は初めてで、最長刑期になった。被告は上訴する方針。
 起訴状によると、被告はムラディッチ元最高司令官の直属の部下で、95年7月、ボスニア東部のスレブレニツァで起こったイスラム教徒住民約7500人の殺りくにかかわった。被告は無罪を主張していた。今回の判決は、ミロシェビッチ前ユーゴ大統領(同法廷に拘置中)への判決の試金石としても注目された。
 同法廷はセルビア人勢力の元最高指導者カラジッチ、ムラディッチ両被告を指名手配している。 [2001-08-03-10:50] 93
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 08/03@民族大量虐殺罪を初適用 セルビア人被告に戦犯法廷(共同通信)

 【ブリュッセル2日共同】旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷(オランダ・ハーグ)は二日、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争中の一九九五年、国連安全地域に指定された東部スレブレニツァでイスラム教徒約八千人の虐殺を主導したとして、当時のセルビア人勢力司令官ラディスラフ・クルスティッチ被告に対し、ジェノサイド(民族大量虐殺)罪などで禁固四十六年の判決を言い渡した。
 ルワンダ大虐殺を裁く国際犯罪法廷(タンザニア)がジェノサイド罪を適用した例はあるが、旧ユーゴ国際戦犯法廷が同罪を適用したのは初めて。
 スレブレニツァ虐殺事件は国際法上、第二次大戦中のナチスによるユダヤ人虐殺以来、欧州で初めての民族大量虐殺と認定された。
 禁固四十六年は、旧ユーゴ国際戦犯法廷の過去の判例では最も長い刑期となる。
 同被告は上訴の意向を示した。
 セルビア人勢力は九五年七月、スレブレニツァを攻撃し、避難中のイスラム教徒男性を殺害。九八年に逮捕されたクルスティッチ被告は、ジェノサイドや民族迫害など計八つの罪に問われたが「直属の上官だったムラディッチ最高司令官が全軍を統括していた」と無罪を主張していた。
 スレブレニツァではこれまでに、四千人以上の遺体が見つかっている。(了)[2001-08-03-07:27] 406
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 08/03@伊サボイア王家末えい、半世紀ぶり入国解禁へ(読売新聞)

 【ローマ3日=秦野るり子】イタリア・サボイア王家最後の王妃マリアジョゼさんが今年1月死去したのを機に高まっていた同王家の男性子孫の入国を禁じる現行憲法の見直し論議で、イタリア議会は先月末、正式に憲法改正審議を開始、半世紀ぶりに王家の末えいの入国が解禁される公算が大きくなった。
 これまで何度か見直し論が浮上しながら左派などの反対でかなわなかったが、6月に成立したベルルスコーニ中道右派政権は見直し支持を言明、上下両院で中道右派が過半数を占めることから憲法改正に不可欠な上下両院での可決が確実と見られるからだ。審議が順調に進めば、早ければ来年初めにも可決される見込みだ。
 サボイア家は15世紀にさかのぼる名家で、1861年、ビットリオ・エマヌエレ二世がイタリアを統一。同国北西部トリノにある同家の王宮「パラッツォ・レアーレ」は観光名所としても有名だ。だが、1946年、ムソリーニの台頭とファシズム体制の構築を許したとして王政廃止の上、王家は国外追放された。その後48年に制定された現行憲法は、最後の国王ウンベルト二世(83年死去)と配偶者(マリアジョゼさん)、男子の子孫のイタリア入国を禁止した。
 しかし、追放から半世紀を経て「共和制への脅威」という入国禁止理由は「時代遅れ」との声が高まり、欧州統合の流れの中で移動の自由を禁じるのは人権侵害だという批判も強まった。こうした世論を受け、1月のマリアジョゼさんの死去を機に、当時のアマート首相が憲法改正を呼びかけたが、中道左派主導の議会は応じなかった。だが、6月にベルルスコーニ政権が誕生したことを受け、スイスなどに住むサボイア王家の末えいは、各方面への働きかけを強化していた。 [2001-08-03-22:11] 407
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 08/03@<タリバン政権>ザイーフ駐パキスタン大使と会談 米国務次(毎日新聞)

 【イスラマバード春日孝之】米国のロカ国務次官補(南アジア担当)は2日、アフガニスタンを実効支配するタリバン政権のザイーフ駐パキスタン大使とイスラマバードで会談した。米ブッシュ政権とタリバンの初の高官レベル会談といえ、タリバンに国際社会の批判に応えて昨年7月、布告を出したケシ栽培の全面禁止措置を「歓迎」する一方、「テロ支援」の中止を改めて要請し、硬軟からめた関与政策を示した。
 ロカ国務次官補は会談で、アヘンの原料になるケシの栽培について、「禁止措置は効果を上げているようだ」と高く評価し、禁止措置の維持を求めた。アフガンでは、大干ばつと内戦で農民の生活は困窮を極めており、米側はケシ栽培を放棄した農民に対し、国連麻薬統制計画を通じて150万ドル(約1億8500万円)の支援を約束した。
 タリバンは当初、ケシの栽培について「困窮した農民が現金収入を得るギリギリの選択まで奪えない」と容認し、世界最大のアヘンの生産国となっていた。
 会談では、大量の難民発生による人道支援として620万ドルの追加支援も約束、今年に入り米国の緊急支援額は計1億3200万ドルになった。
 一方、ロカ国務次官補はタリバン支配地域内の「テロ支援基地」閉鎖と、米国が「国際テロの黒幕」とみなすサウジアラビア出身のウサマ・ピン・ラディン氏の引き渡しを改めて求めた。
 この問題で、国連から武器禁輸など厳しい内容の制裁を受けているにもかかわらず、密輸が絶えないことから、国連安保理はアフガン周辺6ヶ国による監視団派遣を検討し始めた。
 会談で、ザイーフ大使はウサマ氏の身柄引き渡しを改めて拒否したうえで、米国によるテロ懸念に対し、「(ウサマ氏に)アフガンの地から(外国人を)攻撃させることは許さない」と強調した。 [2001-08-03-22:05] 408
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 08/03@<米基地>海外、見直しへ 沖縄は対象外の公算大 米国防長(毎日新聞)

 ラムズフェルド米国防長官は2日、シェルトン統合参謀本部議長に対し、海外の米軍基地の整理・縮小案を来年3月末までに作成するよう指示した。
 ブッシュ政権が推進するミサイル防衛構想など新たな安全保障戦略に軍事費を重点配分するのが狙い。同政権は中国や朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の軍事動向などを理由にアジア重視を鮮明にしており、沖縄米軍基地は「日米間で合意した既定方針以上に縮小されない」(国防総省筋)との見方が大勢。欧州に展開する米軍基地が見直しの対象になりそうだ。
 国防総省は、米国内基地の20〜25%の閉鎖を目指す法案を3日に米議会へ提出する。海外基地の見直しはこれに連動する動きで、同省は4年ごとの防衛見直し(QDR)が9月末に策定されるのを受け、海外基地の見直し作業を本格化させる。                             (ワシントン共同) [2001-08-03-21:50] 412
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 08/03@<アルゼンチン>景気低迷と財政赤字 IMFによる支援の動(毎日新聞)

 アルゼンチン経済が揺れている。長引く景気低迷と財政赤字から株価が下落し、国際通貨基金(IMF)による支援の動きも出てきた。首都ブエノスアイレスでは失業者の増加からのホームレスが増え、観光客を狙った強盗も頻発している。経済不安に揺れるアルゼンチンについて報告する。 【塩谷英明】
 ブエノスアイレスの街では3年間の景気後退が、少数民族のインディオ系住民の生活を直撃、路上生活者も増えている。バスや電車に乗れば、ラジオやサッカーボール、小物などを抱えた男性が大声で物売りを始めるが、見向きをする客は一人もいない。
 深夜、午前零時を過ぎても5〜6歳の子供がバール(喫茶店)に出入りし、席を回って大人たちに金をねだる。子供たちは50センターボ(1ペソの半分)も稼げば大喜びで次の店へと飛び出して行く。
  ◆    ◆
 アルゼンチンは80年代に財政赤字が膨らみ、通貨発行を増やし赤字を穴埋めしてきたが、極度のインフレに陥った。このため、91年に兌換法を制定。米ドル連動制(1ドル=1ペソ)を採用し、中央銀行がドル保有量の範囲内でしか通貨発行をできなくした。だが、99年に通貨切り下げしたブラジルからの製品輸入が増大。半年前には財政不安からデフォルト(債務不履行)懸念が拡大、株価下落が加速した。
  ◆    ◆
 貧富の差が拡大しており、「富裕層はマイアミ(米国)に移り住んでいる」という。駅や街町の売店(キオスク)でも米ドル紙幣が使え、「いつ通貨の切り下げがあってもおかしくない」(現地の日系旅行社)との憶測からか、市民はドル預金に励んでいる。
 駐日大使館のエミリアノ・ワイセルフィス書記官は「通貨切り下げはインフレ不安を再燃しかねない。企業はドル建て債務が多く、倒産要因にもなる」と語る。また、同国の輸出品が食肉、穀物類などが主力のため「農産物は国際価格だから、切り下げで競争力が高まることはない」と、米ドル連動制の廃止の可能性を否定する。
 同国はブラジルなどと域内共通関税の南部共同市場(メルコスル)を結成しているが、「アルゼンチンが保護主義色を強め、関税対象品目を拡大するなどメルコスル内の足並みが乱れ始めている」(日本貿易振興会の長谷川直行氏)との指摘もある。ブラジルでは、すでにレアルの対ドルレートが急速に下落し、輸入品価格の高騰でインフレ圧力が強まっているという。
  ◆    ◆
 アルゼンチンの7月の税収は前年同月比8・7%減少。これを受け代表的株価のメルバル指数が続落。政府は国際通貨基金(IMF)からの早期の融資引き出しを求める意向を表明した。
 7月30日に財政改善に向け、公務員給与や年金給付の削減を盛り込んだ歳出削減法が成立した。しかし、労組を支持基盤とする野党・正義党(ペロン党)が優勢の上院では審議がもつれ、強行採決で同法案を可決した経緯がある。米国も足元の火種を懸念しており、経済不安が周辺国へ拡大すれば日本などにも支援要請する可能性も出てきそうだ。 [2001-08-03-20:40] 415
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 08/03@<世界銀行>01年度融資実績発表 2年ぶりに増加(毎日新聞)

 【ワシントン逸見義行】世界銀行は2日、01年度(00年7月〜01年6月)の融資実績を発表した。国際開発協会(第2世銀)と合わせた融資契約総額は、前年度比13%増の173億ドル(約2兆1400億円)となり、2年ぶりに増加した。サハラ砂漠以南のアフリカや南アジアへの融資が急増しており、ウォルフェンソン世銀総裁は「国際社会は貧困との闘いが課題であることを認識しなければならい」とのコメントを発表し、今後も貧困削減のための融資を増加させる考えを示した。
 地域別では、中南米・カリブ海が同比29%増の53億ドルとなり、前年度に続き2年連続でトップだった。最貧国の多いサハラ砂漠以南のアフリカが同比56%増の34億ドル、南アジアが同比54%増の32億ドルと続き、急増ぶりが目立った。東アジア・太平洋は同比30%減の21億ドルと急減した。
 最貧国向け融資が重点の第2世銀の融資は同比55%増の68億ドルとなり、このうちの半分がサハラ砂漠以南のアフリカ向けだった。
 事業別では、教育、保健、雇用対策など社会問題への対応が44億ドルと全体の4分の1を占めた。エイズなどの感染症対策が6億800万ドルで、過去4年の平均の2倍の規模になった。 [2001-08-03-19:55] 422
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 08/03@比のイスラム2大勢力が「政治統合」(読売新聞)

 【マニラ3日=源一秀】フィリピンのイスラム武装組織「モロ・イスラム解放戦線」(MILF)のスポークスマンは3日、同国のイスラム組織「モロ民族解放戦線」(MNLF)と「政治統合」することで合意したことを明らかにした。今後、調整委員会を設立し、具体的な協力関係について協議する。イスラムの2大勢力が手を結ぶのは1978年、MILFがMNLFから分裂する形で設立されて以来。
 MILF側の説明によると、「政治統合」は両組織の合併ではなく、イスラム教住民を代表して比政府と政治的交渉する際の窓口の一本化が狙い。ミンダナオ紛争解決など、イスラム教住民の利益のために協力し合うという。
 しかし、イスラム圏の自治区化を条件に比政府と96年に和平合意したMNLFと、分離・独立を目指してきたMILFはイデオロギーを異にしており、統合の効果には疑問も残る。[2001-08-03-18:34] 429
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 08/03@イスラム2勢力が統合合意 ミンダナオ和平へまた一歩(共同通信)

 【クアラルンプール3日共同】フィリピン南部ミンダナオ島のイスラム勢力、モロ・イスラム解放戦線(MILF)とモロ民族解放戦線(MNLF)は三日、クアラルンプール近郊で、両組織を事実上統合する合意文書に調印した。
 同島の独立を目指し武装闘争を続けてきたMILFは六月に政府と停戦合意したばかり。既に和平路線に転換し自治を進めているMNLFに、分派のMILFが再合流することで、ミンダナオ包括和平はまた一歩前進した。
 調印に同席したナジブ・マレーシア国防相によると@双方はフィリピン政府との交渉など対外的には一つの組織「モロ民族連帯会議」として活動A組織間協力などを調整する諮問委員会を設立―などで合意した。
 MILFは、MNLFが一九七六年に政府と締結したトリポリ協定に反対する勢力が離脱して結成。今後も双方は各組織を維持するが、MILFの交渉団長であるムラド副議長は「われわれは初めは一体だった。終わりも一体だろう」と述べ、将来の完全統合に楽観的な見方を示した。
 MNLFはミンダナオ島独立を目指し政府と内戦を続けてきたが九六年九月に和平協定に調印。一方のMILFは同協定後も武装闘争を続けたが、今年六月にリビアで政府との和平交渉に入り、停戦合意した。
 MILFと政府は先月二十四日から和平の具体的な手順などをめぐりマレーシアで第二回交渉を続けており、今月七日のアロヨ大統領のマレーシア訪問に合わせ、一段の進展が見込まれる。(了)[2001-08-03-16:57] 451
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 08/03@海外米軍基地の統廃合検討へ 米国防次官が見直し言明(朝日新聞)

 米国防総省のアルドリッジ次官は2日、中東と朝鮮半島で起きることを想定した地域紛争に同時に対処する「ニ正面戦略」の見直しに伴い、海外の駐留米軍基地の統廃合を検討する方針を明らかにした。同時に、国内基地の閉鎖を断行するため、独立委員会を設けるなどの手続きを定めた法案を3日に議会へ提案するとも述べた。
 同次官によると、ラムズフェルド国防長官は1日、海外米軍基地の統廃合の可能性を検討するよう、シェルトン統合参謀本部長に命じた。統参本部長は来年3月末までに、各地域の軍司令官がそれぞれ作成する見直し案をまとめ、国防長官に提出する予定。
 長官は統廃合の検討に際し、同省が9月末までに議会に提出する戦略見直しの結果に基づき、(1)各軍による基地の共同使用の可能性(2)基地の数が不十分と見られる地域の洗い出し(3)訓練施設の必要性――などの点を配慮しながら進めるよう指示したという。
 国内と海外基地の統廃合は候補地を絞り込むうえで結びついているが、海外については立法措置が不必要という。[2001-08-03-10:48] 457
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 08/03@世銀融資承認は173億ドル 01年度、貧困国支援に重点(共同通信)

 【ワシントン2日共同】世界銀行が二日発表した二○○一年度(二○○○年七月―○一年六月)の融資承認額は、アフリカなどの貧困国への支援が増え、前年度の百五十三億ドルから百七十三億ドルに拡大した。
 国際通貨基金(IMF)が金融危機対応に注力するのに対し、世銀は貧困撲滅を最大目標に掲げ、エイズ、教育支援などに重点化。ウォルフェンソン総裁は「最も支援が必要な貧困国の要請にこたえ、役割を果たしている」と強調した。
 地域別では、中南米・カリブ海が最も多く五十三億ドル。多くの貧困国を抱えるサハラ砂漠以南のアフリカは56%増の三十四億ドル、南アジアも54%増の三十二億ドルと大幅に増加した。一方で、欧州・中央アジア、東アジア・太平洋、中東・北アフリカは減少した。
 事業別では、教育、衛生などの面の社会的弱者支援が四十四億ドルで全体の四分の一を占めた。エイズなど感染症対策は六億ドルと過去四年平均の二倍水準。
 一九九七年からの金融危機を受け、世銀は東アジアや中南米への支援を拡大。承認額は九九年度に過去最大の二百九十億ドルを記録した後、危機が終息した二○○○年度は減少していた。(了)[2001-08-03-08:56] 84
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 08/04@戦犯引き渡しを否定 セルビア首相(共同通信)

 【ベルリン4日共同】ベオグラードからの報道によると、ユーゴスラビア連邦セルビア共和国のジンジッチ首相は四日付の同国有力紙ブリッツに、ハーグの旧ユーゴ国際戦犯法廷に戦犯容疑者を今後、引き渡すつもりはないと言明した。
 セルビア当局は今年六月、ミロシェビッチ前ユーゴ連邦大統領の身柄を同法廷に引き渡したが、同法廷は前大統領のほか、セルビア共和国のミルティノビッチ大統領らを戦犯として起訴している。
 首相は、同大統領らが議会から不逮捕特権を与えられていると指摘し、法廷に自主的に出頭するよう説得すると述べた。
 一方、六日発売予定のドイツ週刊誌シュピーゲルによると、ジンジッチ首相は三日、ドイツのシュレーダー首相に今月中の金融支援を求める親書を送った。
 西側各国は前大統領の身柄引き渡しを受け、ユーゴへの大規模な金融支援を約束したが、実際に資金が提供されるのは九月から十月の見通し。ジンジッチ首相は「われわれはそれまで持ちこたえられない」と述べた。(了)[2001-08-04-20:39] 86
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 08/04@<ニュースの背景>劣化ウラン弾とは(毎日新聞)

 Q 劣化ウラン弾とは?
 A 劣化ウランは原子炉や核兵器のための濃縮ウラン製造過程で生じる。主成分はウラン238で、核分裂物質のウラン235の含有量が少ないため「劣化」と表現される。劣化ウラン弾は比重が高く貫通力に優れ、戦車や装甲車の攻撃に使われる。衝撃が加わると自然発火する。その粉じんが人体に吸収されると、放射能被害以外に体内で化学反応による異常をきたす可能性がある。
 劣化ウラン弾は湾岸戦争(91年)で94万発、ボスニア空爆(95年)で1万発、コソボ空爆(99年)で3万発使用されたと報告されている。米英をはじめ世界で約20カ国が劣化ウラン弾を保有。
 95年12月〜96年1月、沖縄・鳥島で在日米軍が劣化ウラン弾を誤射する事件があった。その後、米軍は96年春、沖縄の基地に配備・貯蔵していた劣化ウラン弾をグアム島基地に移送した。 [2001-08-04-00:30] 87
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 08/04@<劣化ウラン弾>不発弾持ち帰り白血病に 病気の証拠捨てき(毎日新聞)

 「こんなもの、本当にどうしようもないものだ」。ボスニア東部ブラトナツの自宅玄関脇で、ある不発弾を見せながらエルチッチさん(48)が吐き棄てるように言った。
 エルチッチさんは中部ハジッチにあったセルビア人勢力の軍事車両修理工場に務めていた。ハジッチは95年12月の和平協定締結後にボスニア連邦(イスラム教徒、クロアチア人で構成)領となったため、工場をセルビア人共和国内のブラトナツに移転し、それに伴って従業員やセルビア人関係者も集団移住した。NATOは今年1月、95年9月5日の同工場への劣化ウラン弾攻撃を認めた。
 工場幹部は空爆終了後、従業員全員に破壊された工場の整理と清掃を命じた。同時に、空爆で投下された爆弾痕など軍事物資として再生できる部品の収集も行われた。エルチッチさんは何の疑問もなく命令に従い、多くの同僚がそうしたように、劣化ウラン弾とみられる不発弾(直径3センチ、長さ12センチ)1発を記念に自宅に持ち帰った。
 98年に体のあちこちに異変が始まり、病院で白血病と診断された。体力と視力が落ち、後頭部がはげ上がり、手のひらがカサカサになった。
 医者には原因不明といわれたが、ベオグラード大学医学部に通っている長男が、「空爆時の劣化ウラン弾と関係があるのはないか」と指摘した。ほかに原因に心当たりはなかった。それまで記念に居間の飾り棚に置いていた劣化ウラン弾をあわてて捨てた。いや、迷いに迷って玄関脇に積んである薪の束の中に紙に包んで隠した。病気の原因かもしれないと思うと、消し去ることができなかった。
 工場の同僚の多くが同じような症状に苦しみ、何人かは死んでいった。兄(当時57歳)と妻(同46歳)はハジッチの自宅近くが空爆され、その後同じような症状を起こした後、98年と99年に相次いで他界した。
 エルチッチさんは「広島の被爆者がまだ生きていると本で読み、励まされた。私のことは良い。NATOへの怒りももう消えた。しかし、セルビア人全体が戦争犯罪者だと受け取られることだけは我慢できない。」と話した。【ブラトナツで福井聡】 [2001-08-04-00:30] 88
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 08/04@<劣化ウラン弾>NATOボスニア空爆 がん併発、異常な症(毎日新聞)

 ボスニア・ヘルツェゴビナで北大西洋条約機構(NATO)軍が空爆を強行してから約6年がたった。NATOは今年1月、ボスニア空爆で3地域の劣化ウラン弾使用を公表したが、健康被害などとの因果関係は否定した。だが被災地では不思議な症状の病例報告が相次いでいる。科学的な関連立証がないまま、患者らは原因不明の病に苦しんでいる。【ボスニアで福井聡】
 「なんとも不思議な症状が増えている」。ボスニアの首都サラエボ近郊のカシンドゥ総合病院のズドラーレ院長(51)が首をかしげる。
 院長によると、白血病やガンなど悪性血液症の患者は95年は43人だったが、NATO空爆(95年8〜9月)を境に過去5年間で急増し続け、00年は年間248人に達した。患者の症状は、例えば腸がんと腎臓がんなど、同一患者の体内で別のがん細胞を持つ例が非常に多いという。
 同病院はサラエボ南15キロのセルビア人共和国内にあり、周辺には95年の空爆などで難民化したセルビア人が多く移り住んでいる。NATOは今年1月、サラエボ周辺、同市西郊ハジッチ、東部ハンピエサクの3地域での軍事施設攻撃で劣化ウラン弾を使用したことを認めた。
 患者の1人の血液を調べたビンチャ核科学研究所(ユーゴスラビア連邦ベオグラード)のパブロビッチ博士は「現時点で劣化ウランが原因と特定できないが、患者のじん臓腺ガンはおそらく大気中の劣化ウランの塵が肺から血液に入って起きた悪性血液疾患ではないか。結腸がんは血液でなく食物経由のしゅようだろう」と話す。
 中北部ドボイにあるドボイ総合病院のバーシッチ泌尿器科医長も前例のない症例続出に頭を抱えている。泌尿器科に来た患者数は89〜94年の5年間は185人だったが、空爆以降の95〜00年は324人に増え、ぼうこうの悪性しゅよう患者はかつて一度手術でガンを削除すれば再発率が少なかったが、過去5年間は「同じぼうこう内で術後も再発する頻度がより多く、発症の期間がより短くなっている」。
 また、じん臓がんの患者がまったく別の細胞からなる肺がんを発症するという例が起きるようになり、「こういう患者はかつてはいなかった」という。
 ドボイ東郊の通信塔7基は95年の空爆を受け、NATOの公表地域には入っていないが、空爆後の劣化ウランによる放射能検出が確認されている。
 医長は1年半前に死亡した患者のスライドを示した。ドボイ近郊在住の男性(当時63歳)で、右首筋に大きなしゅようが表出していた。このガン細胞を調べてみるとぼうこうがんの細胞で、死後検出したところ首筋からぼうこうまで体内を60センチ以上にわたってがん細胞が管のようにつながっていたという。
 「ぼうこうがんは下腹部に転移することはあるが、上半身の、しかも首筋まで転移するなど医学の常識では考えられない」。医長は今も驚きから覚めやらない。
  [2001-08-04-00:25] 324
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 08/04@イスラエル兵誘拐、「対応に誤り」国連が報告書(読売新聞)

 【ニューヨーク4日=勝田誠】イスラエル兵3人がレバノンとの国境地帯で昨年10月、イスラム教シーア派組織ヒズボラに誘拐された事件について、国連本部は3日、調査報告書を公表し、同事件をめぐる国連の対応に誤りがあったことを認めた。また、生死不明の兵士らが「死に至るほどの重傷を負った可能性がある」ことも指摘した。
 イスラエルは事件直後から、国連レバノン暫定軍(UNIFIL)の兵士が、事件の翌日に現場付近で撮影していたビデオテープについて再三照会。テープの存在を否定してきた国連が、今年6月末になって存在を認めたため、イスラエル側が激しく反発していた。
 報告書によると、UNIFILの副司令官は、事件の翌日、多量の血痕が付着した車両を確認したが、国連側はイスラエルに伝えていなかった。また、報告書は現場付近を撮影したテープがもう1本存在することも明らかにした。
 アナン国連事務総長も同日、国連側の「度重なる判断ミスと連絡の不手際」を認める声明を発表した。[2001-08-04-23:08] 336
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 08/04@<米軍新戦略>複数紛争に対処 現作戦との違いに苦慮 国防(毎日新聞)

 【ワシントン布施広】ラムズフェルド米国防長官は3日の記者会見で、検討中の米軍の新戦略に盛り込む要素として、二つの大規模な地域紛争での「決定的な勝利」や「侵略行為の撃退」などを挙げた。従来の「2正面作戦」と同様、複数の紛争に対処する方針とみられているが、新戦略が大規模紛争の同時発生を想定したものになるかどうかは明らかでない。
 2正面作戦は、朝鮮半島と中東での同時発生的な紛争を想定、二つの紛争とも勝利することをめざしている。90年代前半に策定された同作戦に対し、長官は「他の選択肢を注意深く探している」と述べる一方、より良い作戦を立案するまでは、従来の作戦を捨てられないとの見方を示した。
 新戦略の要素としては、小規模な紛争や緊急事態で、避難活動などを遂行する――ことも挙げ、冷戦時代のように脅威とする対象を限定せず、柔軟に対処する必要性も力説した。
 他方、長官は二つの紛争が起きる時間的間隔には言及せず、紛争ぼっ発が予想される地域も明言しなかった。国防関係者の間では、一つの大規模紛争に備えるだけでは危険との見方も強く、長官は2正面作戦との違いを打ち出すことに苦慮している模様だ。 [2001-08-04-21:35] 345
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 08/04@<広島原爆忌>被爆者の国連事務次長が会見 核兵器廃絶訴え(毎日新聞)

 広島市で6日行われる平和記念式典で、国連のアナン事務総長のメッセージを代読する大島賢三・国連人道問題担当事務次長(58)が4日、同市で会見した。2歳の時に広島で被爆した大島事務次長は「ヒロシマの名前は風化しない。核兵器廃絶に向けて先頭に立って取り組むことは被爆地の尊い責務だ」と訴えた。
 爆心地の北約2・5キロ、現在の同市東区牛田の自宅で被爆した。外出していた母親は即死の状態だったという。同市立幟町中学校では「原爆の子の像」のモデルになった故佐々木禎子さんの1年後輩。毎年、8月6日を迎えると厳粛な思いになり、テレビ中継で式典を見ながら起立して祈りをささげているという。初の式典出席で、「やはり、個人的にも特別な感情がある」と話した。
 67年、外務省入省。米国大使館公使、経済協力局長などを歴任し、今年1月から現職。国連の仕事で旧ソ連の原発事故があったチェルノブイリの支援もしているが、現地の人たちの姿が「広島の被爆者と二重写しになる」という。式典では広島、長崎の悲劇を繰り返さない誓いを新たにしようと訴える。 【森田真潮】 [2001-08-04-19:55] 346
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 08/04@<イスラエル>被爆者の苦しみテレビで放映 紛争停止願い(毎日新聞)

 ベルギー生まれでイスラエルに移住した映像カメラマンのエイタン・ヘレルさん(33)が、広島の被爆者を取材したドキュメンタリー番組が5日未明(日本時間)、イスラエルのテレビで放映される。パレスチナとの和平の糸口が見えない母国。「ヒロシマの声を紛争に明け暮れる母国に伝え、生かしたい」と、平和への願いを込めている。
 ヘレルさんがヒロシマとつながりを感じたのは97年、大江健三郎氏の「ヒロシマ・ノート」を読んだ時。大江氏がヒロシマを訪れたのは1963年夏。被爆者の多くが沈黙を守るという証言を読み、第二次大戦時、アウシュビッツの強制収容所で3年間過ごして生還した祖母と同じだと気付いた。過酷な体験をした人々には長い癒(いや)しの時間が必要だと感じたという。
 今年5月に広島を訪問、被爆者らの証言を収録した。ある男性は昨年まで、原爆のことで米国人を憎んでいたと言い、ヘレルさんのインタビューに「こうした憎悪と和解するまで50年以上かかった」と答えた。ヘレルさんには、イスラエル人とパレスチナ人との間で生み出され続ける憎悪と重なって聞こえた。
 ドキュメンタリーには、広島市の平和記念公園で母親が子どもたちと遊んでいる光景も収めた。子どものころ、学校で習ったキノコ雲の写真が現実に起きたこととはヘレルさんには思えなかったという。「イスラエル人にとってヒロシマは実在しないに等しい抽象概念のようなもの。被爆者の苦しみと、今の広島の美しい街の映像を通して、平和の大切さが同胞に伝われば」とヘレルさんは願っている。 【萱原健一】 [2001-08-04-19:55] 357
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 08/04@<酸いも辛いも>サミット座のソプラノ(毎日新聞)

 7月下旬、ジェノバの小泉純一郎首相のサミット記者会見のハイライトはイタリア人記者から「今度のサミットはオペラに例えるとどうだったのか」という芸術の国らしい質問にあったように思う。
 首相は得たりや応とばかり、「ベルディの作品は大体悲劇が多いのだが、今日のサミットはテノール、バス、そうソプラノもあって、いやソプラノはなかったけどね。バリトンというようにそれぞれでいいハーモニーを奏でていたねぇ」
 たとえ自分の選挙期間中であっても、必ず見に出かけるというだけあって、オペラ通としてなかなかの当意即妙の受け答えだった。会見が終わって質問者であるイル・マニフェスト紙のピオ・デミリア記者が筆者のところにやって来て聞いたのである。
 「ソプラノって誰のことかな」 「それはブッシュ(米大統領)に決まってるでしょ」
 「そうだね、ソプラノもと言いかけて慌ててソプラノは居なかったと言い直したからね」
 「恐らくソプラノ(ブッシュ大統領)だけが、全体のサミット会合の調和を著しく壊したのだね」 「テノールはやはりシラク(仏大統領)かな」
 「サミット長老格の貫禄だね。それならバリトンはシュレーダー(独首相)でもいい。二人とも京都(議定書)問題では頑張った」 「バスは議長国のベルルスコーニ(伊首相)だろうね」
 「そう。いろいろ根回しで大変だったようだ。ブッシュに気を遣ってミサイル防衛に関しては議題にしなかったからね」
 実は「ソプラノ」がずっと気にかかっていた。例年サミットに取材に来ているが、ここまで米国が我を通したのは記憶にない。合意の場が「意見の不一致を敢えて表明する」場に変わった。「サミット座」は27年たってすっかり金属疲労を来していたのである。
 一番変化したのは座を取り巻く場外の変化ではなかったか。経済のグローバル化とIT(情報技術)化はとどまることを知らず、いつ間にか巨大な格差が地球上に生まれた。およそ180の国の内、100の国はむしろグローバル化の恩恵からますます遠ざかっている。思えば4年前、英バーミンガムの国際会議場を囲んだ貧困国の債務免除を主張するNGO(非政府組織)たちの「人間の鎖」はわずか数千人に過ぎなかった。15万人の反グローバリゼーションを叫ぶデモ隊を見て、かつて西欧から始まり世界を席巻したカルチェラタンの若者を思い出させたほどである。「ジュビリー2000」の共同代表を務めた北沢洋子さんは「NGOの時代は終わり、社会運動の時代に入ったのではないか」と指摘した。
 新世紀のサミットはまず「反グローバル化」という一種の社会運動に対して多国籍企業の行動規制を含めてキチンとした答えを出さなければならないはずだ。「ソプラノ」が自己の権力に酔っていては「サミット座」が危うくなる。  [2001-08-04-18:36] 366
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 08/04@原爆テーマにダンス創作 パレスチナの子供たち(共同通信)

 原爆を投下されたヒロシマ、ナガサキの惨劇を通じて「ノー・モア・ウォー」を訴えようと、イスラエル軍との衝突が続くパレスチナの難民キャンプの子供たちが、原爆をテーマにした創作ダンスを発表した。
 ダンスは、非政府組織(NGO)の「日本国際ボランティアセンター」(JVC)などが企画、山口県下松市のNGO「サルビア・ボランティアグループ」が衣装制作に協力し、振り付けや音楽、舞台装置はすべてパレスチナ人の若者が手掛けた。
 発表会は広島、長崎への原爆投下の日を前にした一日、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ベツレヘムで行われた。踊ったのは十―十四歳の難民キャンプの子供たち。原爆投下で平穏な生活を一瞬にして破壊された長崎の子供たちが希望の灯を頼りに廃虚の中から立ち上がっていく様子を、伝統舞踊も盛り込んだ約二十分のダンスで表現した。
 子供たちの住むベツレヘム近郊のキャンプの近くでは、イスラエル軍とパレスチナ住民との銃撃戦が頻発している。パレスチナ人の中には、イスラエルの武力には暴力で対抗するしかないと信じる人も多く、平和を唱える声は少数派。発表会も過激派の妨害を恐れ、一般公開は見送られた。
 JVCパレスチナ事務所の佐藤真紀代表は「こうした時こそ、平和教育が必要。原爆投下は、パレスチナでは反米感情をあおる材料に使われることが多いが、子供たちには武力による紛争解決の悲惨さを考えてもらいたい」と企画の趣旨を説明する。
 JVCは三年前からパレスチナで、原爆を題材にした平和教育のイベントを続けている。被爆による白血病の回復を祈り、十二歳で亡くなるまで千羽づるを折り続けた広島の少女、佐々木禎子さんの悲話を描いた映画には、多くの子供たちが涙を流したという。
 ダンスを終え、楽屋に戻った十四歳の少女メルナさんは「私たちは戦火の中にいるけれど、平和がみんなの願い」と上気した顔で話した。(ベツレヘム共同=島崎淳)(了)[2001-08-04-16:08] 373
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 08/04@国連、西ティモールに要員を再配置へ(読売新聞)

 【ニューヨーク3日=勝田誠】国連本部のエックハード報道官は3日、民兵の襲撃事件により国連機関の活動が停止していたインドネシアの西ティモールに、約1年ぶりに国連要員を再配置する方針を明らかにした。
 国連安全保障理事会が7月中旬、国連活動再開の可否を判断するため、治安状況調査団を現地に派遣、この報告を受けて決定した。 [2001-08-04-14:37] 381
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 08/04@<エイズ支援>医療バスをアフリカに贈る運動に協力呼び掛け(毎日新聞)

 「エイズに苦しむアフリカの子どもたちのために」と、東京都多摩市の健康食品会社社長、安部とみ子さん(56)が、無医村を巡回する医療バスをアフリカに贈る運動をしており、協力を呼び掛けている。今年は、ケニアとエチオピアに1台ずつ届けた。
 安部さんは昨年1月、アフリカ3カ国でエイズ患者の施設を訪問。ナイロビのスラム街で医療活動をする米コロンビア大付属セントルークス・ルーズベルト病院医師の稲田頼太郎さん(55)から「病院まで来られない患者が多い。巡回のバスがあれば」と聞かされた。
 これがきっかけで昨年、医療バス第1号を内戦下のシエラレオネに寄贈。診察を待つ間、エイズ予防教育のビデオも鑑賞できる。
 購入・運搬資金約1200万円は、同社の会員約6000人のほか、一般からも寄付を集めた。安部さんは「これからも一台でも多くのバスを贈り続けたい」と支援を呼び掛けている。問い合わせは、パステラ(042・389・6112)。 【大槻英二】 [2001-08-04-11:05] 385
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 08/04@国連要員を再配置へ 東ティモール(共同通信)

 【ニューヨーク3日共同】国連本部報道官は三日、東ティモールからの避難民十万人が生活するインドネシア領西ティモールに、約一年ぶりで国連要員を再配置する方針を明らかにした。
 インドネシア政府が治安を確保できるかを見極めた上で要員再配置の時期を正式に決めるという。
 西ティモールには、インドネシア併合派の民兵組織に追われた東ティモール住民約十万人が越境。昨年九月、民兵に扇動された暴徒が国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の職員三人を殺害。国連は職員全員に退去を命じた。(了)[2001-08-04-09:50] 387
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 08/04@一カ所の大規模紛争で圧勝 米が新軍事戦略を表明(共同通信)

 【ワシントン3日共同】ラムズフェルド米国防長官は三日の記者会見で、米軍が世界の二カ所で同時に大規模紛争に対処する「二正面戦略」に代わり、一カ所の大規模紛争で圧勝を目指す新たな国防基本戦略の骨格を正式に表明した。
 国防長官は新戦略について@欧州、中東、アジアに駐留する米軍の存在によって侵略者の敵対行為を抑止Aほかの地域での小規模紛争には限定された期間内で関与―との方針を示した。ミサイル防衛構想などによる国土防衛も新戦略の柱となる見通しだ。
 新戦略の結果、海外に展開する米軍の兵力構成がどう変化するかは不確定だと指摘。その上で、抑止能力は変化せずに機動力を向上させる方針を示した。
 国防長官は三日までに、ブッシュ大統領と米議会に骨格を報告。新戦略は九月に米議会に諮って決定する四年ごとの国防見直しで具体化される。
 新戦略の基本的な考え方について、国防長官は「脅威の評価に基づく短期的な戦略」からテロやミサイル攻撃など予測が難しい脅威への「中長期的な備え」を重視する姿勢を強調した。国防長官は六月、米議会での証言で「二正面作戦」を放棄し新たな戦略を策定する方針を表明していた。(了)[2001-08-04-09:43] 392
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 08/04@交渉断念を正式決定 生物兵器条約の議定書会合(共同通信)

 【ジュネーブ3日共同】生物兵器禁止条約の検証議定書をめぐる専門家会合は三日、ジュネーブで全体会議を開催、今会期は議定書完成を目指した交渉の継続を断念し、十一月に開かれる同条約の運用検討会議をにらんだ報告書の取りまとめに専念することを正式決定した。
 米国が先月二十五日、議定書案の拒否を表明したことを受けた措置。これにより、十一月の採択を目指して六年以上にわたって続いた議定書策定交渉は最終局面で挫折、生物兵器技術の拡散防止を目指した国際的枠組みへの取り組みは事実上、振り出しに戻った。
 議定書交渉のトット議長(ハンガリー)は全体会議で「専門家会合に与えられた権限は、なお有効だ」と述べ、議定書策定を目指したプロセスは今後も続くことを強調したが、米国の議定書案拒否により案文の中身をめぐる議論は意味がなくなったことを認めた。
 十一月の運用検討会議に先立ち、議定書の最終承認を目的とした特別締約国会議が開かれる予定だった。しかし米国の拒否と交渉継続の断念により、特別会議の開催も不透明となった。
 この日の会議では日本をはじめ、南アフリカやロシア、イランなど各国が演説。今後の対応策について見解を表明したものの、米国代表団は沈黙を守った。(了)[2001-08-04-07:39] 400
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 08/04@<インタビュー>松浦晃一郎・ユネスコ事務局長に聞く(毎日新聞)

 【パリ福島良典】国連教育科学文化機関(ユネスコ、本部パリ)が、民族芸能・口承文化など途上国の無形遺産の保護に本腰を入れている。今年から始まった無形遺産を対象とする「傑作宣言」の定着など、”南北格差是正”に取り組むユネスコの松浦晃一郎事務局長に聞いた。
 ――ユネスコが5月に「傑作宣言」19件を指定したきっかけは。
 ◆有形遺産を対象とする「世界遺産」の概念は西欧中心で、690件のうち半数が欧州に集中している。だが、アフリカなどは無形遺産が中心だ。文化の多様性を維持するには「有形遺産だけでは不十分だ。無形遺産を取り込む必要がある」と思った。事務局長就任後、「傑作宣言」を「世界遺産」と並ぶ柱にしようと考えた。
 ――初の「傑作宣言」を選ぶ上での難題は。
 ◆議論になったのは、(1)宗教をどう扱うか(2)衰退の危機に瀕しているか否か(3)大衆化しすぎていない点の解釈――などだ。無形遺産の多くがなんらかの形で宗教とかかわりがある点を考慮して「宗教そのものは除くが、宗教的色彩がある遺産は認める」ことにした。
 アマゾンの熱帯雨林の上流、エクアドルとペルーにまたがって暮らす少数民族のザパラ民族について言語、踊り、儀式などすべてを指定した。言語を流暢にしゃべれる人はザパラ民族300人のうち5人しかいない。逆に大衆化しすぎているという観点からタンゴは選からもれた。
 インドのサンスクリット劇、中国の古典劇・崑曲(こんきょく)、モロッコ・マラケシュの広場空間、日本の能楽は全会一致で決まった。
 ――途上国からの指定が多数になりましたね。
 ◆指定を受けた19件のうち西欧は2件で「世界遺産」とは正反対の構成になった。無形遺産の宝庫アフリカからはもっと多数の応募・指定を期待していたが、3件とやや少なく残念だった。アジアからは6件入った。
 ユネスコに、広く言えば国際社会に認知されたわけで、指定された途上国の大使らは大変喜んでいる。民族の誇りだろう。舞踏などを観光客が観に来て地元が潤う経済的利点もある。
 ――今後の課題は。
 ◆まず「傑作宣言」の定着。2年後に第2回を迎えるが、応募・指定数を増やして定着させたい。途上国における指定遺産の保存については国際社会の音頭を取って支援していきたい。
 もうひとつは中長期的に無形遺産を保護するための法的な枠組みを構築することだ。法的な枠組み作りに関して一部の欧州諸国はあまり熱心ではなく、時間はかかるだろうが、最終的には「世界遺産条約」の無形遺産版を作りたい。 [2001-08-04-00:15] 81
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 08/05@<旧ユーゴ戦犯法廷>ボスニアのイスラム教徒の元将校3人が(毎日新聞)

 【パリ福島良典】ボスニア・ヘルツェゴビナの内戦(92〜95年)中、クロアチア人に対する戦争犯罪に関与したとされるイスラム教徒勢力の元将校3人が拘束され、4日、旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷(オランダ・ハーグ)に移送された。
 移送されたのはハジハサノビッチ(51)、アラジッチ(54)両退役将軍とクブラ大佐(37)の3被告。同法廷で裁かれるイスラム教徒勢力としてはこれまでで最高位となる。
 3人は内戦中、アフガニスタン、イラン、アルジェリアなどから義勇兵としてボスニア入りした500〜2000人のムジャヒディン(イスラム戦士)を指揮した。同法廷では、ムジャヒディンによる93年1月〜94年1月のクロアチア人戦争捕虜・市民の殺害などを阻止しなかった罪に問われている。
 3人は2日、ボスニアで警察当局に身柄を拘束された。 [2001-08-05-18:55] 82
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 08/05@◎マケドニア和平協議、正念場に=難問の警察再編で妥協点探(時事通信)

 【ウィーン5日時事】マケドニアの和平協議が正念場を迎えている。マケドニア人政党とアルバニア系政党の4党代表は5日、南西部の保養地オフリトで、アルバニア系住民の地位向上をめぐる協議を続行し、ぎりぎりの妥協点を模索している。
 7月初めの停戦合意後、断続的に続けられている和平協議では、欧州連合(EU)と米国の調停の下、8月1日にアルバニア語の公用語化問題で暫定合意に達して、交渉に初めて突破口が開かれた。これを受けて、和平協議は未解決の難問である地方警察組織の再編を集中的に討議している。 [時事通信社][2001-08-05-14:41] 71
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 08/06@◎和平交渉、大詰め協議開始=妥結ならNATO派兵に道−マ(時事通信)

 【ウィーン6日時事】マケドニア紛争の政治解決を目指しているマケドニア人とアルバニア系住民双方の主要政党は6日、包括的和平協定締結に向けた大詰めの協議を開始した。交渉を仲介している欧州連合(EU)のソラナ共通外交・安保上級代表は同日中にも交渉が妥結するとの見通しを示しており、その場合、アルバニア系武装組織の武装解除に向けた北大西洋条約機構(NATO)の派兵に道が開かれることになる。
 NATOのスポークスマンは同日、和平協定が成立し、武装組織が非武装化に同意すれば、48時間以内に3500人規模のマケドニア派兵を開始する態勢を整えていることを明らかにした。 [時事通信社][2001-08-06-22:05] 293
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 08/05@一方的外交、軌道修正か 核実験再開ないとの予測も(共同通信)

 【ワシントン5日共同】弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約や包括的核実験禁止条約(CTBT)からの離脱検討などを打ち出すブッシュ米政権は、軍縮の流れに背を向けるユニラテラリズム(一方的外交)、と国際的非難を浴びている。専門家は今後、ブッシュ政権が同盟国や米議会の圧力でこうした保守色の強い外交の修正を模索するとともに、核実験の再開はないと予測する。
 米有力シンクタンク「外交評議会」のアルトン・フライ首席上級研究員はブッシュ政権の安全保障政策の特徴として@クリントン前政権とは異なった強硬路線を意図的に打ち出す傾向A中国の軍事的脅威への対応―を挙げている。
 ブッシュ政権はCTBTを否定する立場を維持するが、「核実験を再開することはないだろう」と分析。ミサイル防衛の障害となるABM制限条約についても、大統領が七月の米ロ首脳会談でミサイル防衛と戦略核削減を一体化した包括協議で合意した点に注目している。
 ミサイル防衛構想を貫くが「戦略的な攻撃核弾頭を削減していくだろう」と予測するフライ氏は、ブッシュ政権がミサイル防衛と核兵力削減を同時に進めることで「新たな軍拡を招く」との国際的な批判をかわそうとする、と考えている。
 ミサイル防衛構想はイラクや朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)など「ならずもの国家」からの防衛を目的としているが、フライ氏は「ブッシュ政権は、中国の軍拡がインド、パキスタンなどアジア地域に波及することを恐れている」と話している。(了)[2001-08-05-16:34] 292
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 08/05@高原の大化けにかける 財閥2世のマクリ会長(共同通信)

 【ブエノスアイレス4日共同】サッカーのアルゼンチン1部リーグのボカ・ジュニアーズが、日本代表FW高原直泰(磐田)の獲得に動いたのは、同国の有力財閥マクリの後継者でもあるマウリシオ・マクリ会長(42)の主導だった。
 同会長は、昨年11月の東京でのトヨタ杯に訪日したことなどを契機に、日本市場への関心を深めた。イタリアで活躍する中田の例なども参考に日本選手の調査を始め、ビアンチ監督とも相談、ストライカーとしての高原に注目した。
 同会長は1995年から会長を務め、保守的なクラブ運営に企業経営の発想を導入。若手養成の学校や宿舎を充実させ、博物館を創設してファンサービスを強化するなど、サッカー界に新風を送り込んでいる。
 父フランコ氏(72)は、イタリア移民1世で、メネム前大統領と関係が深く、民営化の中で郵便事業に参入するなど急成長、一代で企業グループを築き上げた。
 マウリシオ氏は三男ながら、中核である仏プジョー自動車の製造販売会社ソクマの社長を務めており、事実上の後継者。政界進出の意欲もあり、実業界の若手のホープだ 高原の移籍金は400万ドル(5億円)だが、高原を「大化け」させ、欧州のクラブにより高値で移籍させるという、思惑を持っているようだ。(了)[2001-08-05-17:50]
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 08/06@マケドニア4政党、警察組織再編も合意(読売新聞)

 【ウィーン支局6日】マケドニアからの報道によると、民族紛争解決に向け、同国南部オフリドで和平対話を続けているアルバニア系2政党を含む主要4政党の指導者は5日、焦点の一つだった警察組織の再編で合意した。仲介している欧州連合(EU)のハビエル・ソラナ共通外交安全保障上級代表が発表した。もう一つの焦点であるアルバニア語の公用語化問題でも合意しており、マケドニア問題は包括的な和平合意に向け、前進した。
 ソラナ代表は合意内容を明らかにしなかったが、英BBCなどによると、今後2年間で、警察組織にアルバニア系の要員約1000人を増やすことなどで合意した。
 マケドニアの人口約200万人のうち、アルバニア系住民は約30%だが、現在、警察機構内で占める割合は約5%にすぎない。 [2001-08-06-11:49] 74
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 08/06@警察機構改革で合意 マケドニア主要政党(朝日新聞)

 アルバニア系武装勢力とマケドニア政府軍の戦闘収拾に向けた主要政党間の和平協議について、欧州連合(EU)のソラナ共通外交上級代表は5日、マケドニアのスコピエで、各党が警察機構の改革案について原則合意したと語った。警察内の民族構成の偏りを減らす改革案は和平実現に向けての大きな関門だった。
 人口の約3割と少数派であるアルバニア系住民により多くの警官の職を与える方向で歩み寄りがあったとみられる。アルバニア系政党は、現在は警官総数のうちアルバニア系住民が約6%しかいない現状を「民族差別」として改善を求めていた。[2001-08-06-10:53] 75
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 08/06@警察の民族別構成で合意 マケドニアでEU代表(共同通信)

 【ティバト(ユーゴスラビア・モンテネグロ共和国)6日共同】ユーゴスラビアの独立系ベタ通信によると、マケドニア紛争の和平協議を調停している欧州連合(EU)のソラナ共通外交・安全保障上級代表は五日、同国の主要四政党が警察機構の民族別人員構成に合意したことを明らかにした。
 同代表は交渉が行われている南部オフリドで記者団に「公用語と警察機構再編という最も重要な障害が取り除かれた」と述べたが、六日に合意が最終的に達成できるとして詳細には触れなかった。
 主要政党は既にアルバニア語の公用語化問題で合意しており、警察機構に少数派アルバニア系住民を増やす問題が解決すれば、包括和平へ向けて大きく前進することになる。
 しかし和平協議では、警察や軍への攻撃を続けてきたアルバニア系住民の武装組織「民族解放軍」メンバーの恩赦問題が残っているほか、議会が和平案を承認するかどうか不透明で、予断を許さない情勢だ。
 マケドニアでは二月から「民族解放軍」がマケドニア治安部隊への攻撃を激化させ、一時は内戦寸前とみられていた。先月来、EUや米国の特使が和平協議の調停に乗り出していた。
 ベタ通信によると、ソラナ代表が合意を明らかにした直後、西部テトボで二度の爆発があるなど不穏な情勢が続いている。(了)[2001-08-06-10:31] 76
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 08/06@<マケドニア紛争>警察権限問題で合意 和平協定締結に前進(毎日新聞)

 【ウィーン福井聡】マケドニア紛争の解決に向け協議を続けてきたマケドニア人とアルバニア系住民双方の主要政党は5日、最大の難関とされていた警察権限問題で合意し、和平協定締結に向け大きく前進した。政府軍とアルバニア系ゲリラ・民族解放軍の戦闘終結の手順で合意すれば、6日にも和平協定調印が期待されている。
 合意文書によると、アルバニア系住民は02年と03年の今後2年間に渡り、新たに警察官1000人の職を得て、国内の全警察官の23%を占める事になった。だが、マケドニア人側の主張に沿い、警察権限は従来通り中央政府の下に置かれる。
 政治協議のもう1つの争点だったアルバニア語の公用語問題はすでに「アルバニア系住民が人口の20%を超える地域でアルバニア語を公用語とする」ことで基本合意しており、和平協定合意への期待が高まっている。ただし、調印後45日以内に行われる憲法改正のための国会審議で賛成多数が得られるかどうかなど、なお曲折も予想される。
 北大西洋条約機構(NATO)は「停戦と政治合意が確立し次第、ゲリラから武器を回収・廃棄するため3000人規模の部隊を展開させる」としており、最終和平が調印されれば、数週間で展開が実現する。 [2001-08-06-10:10] 186
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 08/06@経産相らの発言対応で北海道ウタリ協会が理事長ら解任(読売新聞)

 アイヌ民族に対する平沼経済産業相と鈴木宗男衆院議員の発言への対応が不適切だったとして、アイヌ民族最大組織の「北海道ウタリ協会」は6日、理事会を開き、笹村二朗理事長と副理事長2人、北海道庁から派遣されている常務理事1人の計4人を解任した。
 同協会によると、平沼経産相は7月2日、札幌市内の講演で「日本はレベルの高い単一民族」、鈴木氏も同日、東京都内の講演で「北海道にはアイヌ民族がいて嫌がる人がいるけれど、今はまったく同化されている」などと発言したとされる。
 同協会は両氏の発言に対し、平沼経産相から「遺憾」とする書簡を受け取り、鈴木氏からも「差別の意図は無かった」と電話で確認したことで、「抗議はしない」としていた。これに対し理事の間から「厳重抗議すべきだ」と執行部への不満が高まっていた。
 秋田春蔵・新理事長は「近く平沼経産相と鈴木衆院議員に直接会って厳重抗議し、小泉首相にもアイヌへの理解を求め、支援と協力をお願いする」と話した。 [2001-08-06-22:55] 200
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 08/06@<フィリピン>政府とモロ・イスラム解放戦線が和平合意(毎日新聞)

 【マニラ井田純】フィリピン政府は6日、国内最大のイスラム教徒反政府武装組織、モロ・イスラム解放戦線(MILF)との和平に合意した。交渉を仲介したマレーシアの当局者が明らかにした。
 MILFは、モロ民族解放戦線(MNLF)から分かれて78年に成立した。MNLFは96年に政府と和平合意したが、MILFはその後も南部ミンダナオ島の分離・独立を一環して主張し、武力抵抗を継続してきた。エストラダ前政権時代には、年間1000人を超える死者と数十万人の避難民を出し、国内最大の不安定要因となってきた。
 アロヨ大統領は1月の就任直後から和平の方針を前面に出し、前政権で途絶えていた和平交渉を6月に再開した。MILFも政府側の自治権付与を軸とした和平案に歩み寄りをみせていた。
 アロヨ大統領は、MILFとの交渉仲介にあたったマレーシアを初の外遊先に選び、7日から同国を訪れる。 [2001-08-06-19:10] 206
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 08/06@7日から米ロが本格協議 ミサイル防衛で包括交渉(共同通信)

 【モスクワ6日共同】米ミサイル防衛構想をめぐるブッシュ政権との包括交渉に絡み、ロシア軍のバルエフスキー第一参謀次長は、ワシントンで七日から二日間の日程で国防総省側と本格協議を行う。
 次長の訪米は、十三日に予定されるラムズフェルド米国防長官の初訪ロの準備協議的な意味合いを持つ。ロシア側は、今回の訪米結果が米ロ国防相会談に大きく影響すると重視している。
 米ミサイル防衛構想をめぐっては、七月のイタリア・ジェノバでの米ロ首脳会談で、ミサイル防衛と米ロ戦略核の削減を包括協議することで合意。ロシアが戦略核による一定の抑止力維持に保証を得た一方、米側は引き換えに、弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約の破棄に向けてロシアを引き込み、本格交渉の土台が整った。
 七月末に訪ロしたライス米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が、ABM制限条約の破棄を提唱するとともに、ブッシュ米大統領が近く、条約の改廃問題で最終決断すると発言。ロシア側は「条約破棄を求める米国の最後通告」(ルキン下院副議長)との受け止め方をした。
 しかし、米国防総省のキグリー副報道官は、条約に違反するミサイル迎撃実験の延期の可能性を示唆し、一定の柔軟姿勢を示した。
 プーチン政権は、ミサイル防衛構想をめぐるこのような米側の硬軟さまざまなシグナルについて「米国の本音は依然不明」(ロシア政府筋)との見方だ。
 専門家の次長に米側の真意を探らせ、短期決戦も予想される包括交渉での対米戦略を練り上げる構え。
 一方、プーチン大統領の右腕であるイワノフ国防相は「ロシアの国益に合致」を条件に、ABM制限条約の修正を受け入れる用意を示唆。戦略核を千五百個以下に相互削減することを前提にミサイル防衛で大きく歩み寄るとのサインだ。
 さらに交渉の落としどころとして、ロシアは従来の核軍縮条約体制に代わる緩やかな交渉メカニズムを米側に打診している。これに呼応するかのようにライス補佐官は最近、米ロ間の新協議機関の設置を提案しており、双方の議論がかみ合ってきた側面もある。(了)[2001-08-06-17:36] 211
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 08/06@地雷撲滅訴え百名山制覇へ 英国青年3人、半分を踏破(共同通信)

 世界の紛争地に残る地雷の撲滅を訴えるため、英国人青年三人が二月から「日本百名山」登頂の旅を続けている。列島を北上し、七月までに行程の半分以上を踏破。査証(ビザ)延長で一時中断したが、八日に挑戦を再開し、山梨県の瑞牆山(みずがきやま)を皮切りにゴールとなる日本最北端の利尻山を目指す。
 三人はトム・ファーニフォフさん(26)、ポール・ブリッファさん(23)、ベン・デービスさん(22)。
 修士研究でカンボジアに居たときに地雷の残酷さを肌で知ったというファーニフォフさんが、作家の故深田久弥氏の著書「日本百名山」に登場する山々に登って地雷除去の募金集めをすることを計画し、山仲間の二人を誘った。ファーニフォフさんは子供のころ、北海道に住み、日本の山に魅了されていた。
 挑戦は二月十三日、鹿児島県屋久島の宮之浦岳から始まり、中国、四国を経て、最も険しい北アルプスの旅を終えた。これまでに約三千五百キロを踏破、五十五山に登頂した。途中、新潟・長野県境の雨飾山(あまかざりやま)でデービスさんが下山中に二十二メートル滑落、左ももを十四針縫う事故があったが、それを除けば、旅は順調だ。
 山と山の間は交通機関を使わず、必ず歩くことが条件。登山に苦労はないが、車が猛スピードで行き交う道路を一列になって歩かざるを得ず「道中、談笑しながら歩けないのがつらい」と三人は苦笑する。
 食費は三人合わせて一日三千円弱と決まっている。おいしいにおいがレストランの軒先から流れて来ても我慢。各地の町や村では、日本人から食事や宿を提供され、大いに感動した。
 募金は、登った山の数や踏破距離に応じて、賛同した英国などの市民から一定の金額を集める。既に目標の二万ポンド(約三百六十万円)の約半分を集めたが、宣伝不足もあり、日本での募金はまだ十万円程度。地雷撲滅の活動をしている英国の非政府組織(NGO)に寄付する。
 ファーニフォフさんは「街を一歩出ると、地雷があちこちに埋まっているカンボジアに思いをはせ、ぜひ支援を」と訴えている。全行程は六千五百キロ。十二月中旬、最終地の利尻島で旅を終える。旅の日記は百名山挑戦ホームページに記録されており、日本語訳も作成中。アドレスはhttp://www.Japanesemountaintrek.org.uk(共同=三浦準司)(了) [2001-08-06-15:59] 213
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 08/06@<広島原爆忌>ベトナムで歌われる「ヒロシマ・ガール」(毎日新聞)

 曇空と蝉(せみ)時雨の中、国内外から集まった多くの市民が祈り、平和を誓った。21世紀最初の「8・6」午前8時15分。ヒロシマに鎮魂の鐘の音が響く。静かに手を合わせた高齢の被爆者。今なお多くの人がベトナム戦争での枯れ葉剤の後遺症に苦しむベトナムから来た人や原爆症と差別の二重の苦しみを背負う在日コリアン、被爆者援護法の対象外とされる在外被爆者の姿もあった。国境と民族を超えた核廃絶、そして「ノーモア・ヒロシマ」の願いが被爆地を包み、世界に発信された。
 原爆でがれきとなった街に1人たたずむ少女の悲しみを伝える歌「ヒロシマ・ガール」。かつてベトナム戦争下に多くのベトナム人が歌ったというが、日本ではほとんど知られていない。「8・6」の朝、広島市の原爆ドームを訪れた同国ハイフォン市人民市議会議長のトラン・サンさん(56)に尋ねた。「どんな歌なんですか? 」。同市では今もベトナム戦争で米軍が散布した枯れ葉剤による被害が深刻だ。「ヒロシマ……」と歌を口ずさんでくれたサンさん。「ともに多数の市民が犠牲になったヒロシマとベトナムをつなぐ歌なんです」と語った。 【中野彩子】
 ハイフォンは中国国境にほど近いベトナム第3の工業都市。ベトナム戦争時代は何度も米軍の空襲を受けた。工作機械の工場に勤めていたサンさんは働きながら銃を取った。B52爆撃機が毎晩のように飛来。腹の底に響く爆音が続き、民家が燃える火と、爆撃機に向けた銃火で夜空が赤く染まった。
 そのころ、ベトナムで広まったのが「ヒロシマ・ガール」。1950年代後半から60年代にかけて作られたというが、作者は不明で、歌詞や節回しは土地によって異なり、反米意識の高揚のために使われたともされる。「ヒロシマに原爆が落ちたことを私たちはいつまでも忘れない」「この世に再び原爆が落とされぬようみんなで力を合わせましょう」。サンさんが今も覚えているフレーズだ。
 広島市で開催中の世界平和連帯都市市長会議に参加したサンさん。4年前の同会議で、初めて広島を訪れた際、原爆資料館で見た被爆直後の写真に、ベトナムの戦火の記憶をたぶらせた。
 ベトナム戦争終結から26年。ハイフォンには、枯れ葉剤の被害者が数千人住む。そして、ヒロシマには原爆症に苦しむ数多くの被爆者がいる。
 サンさんは6日、式典に参加した後、原爆ドームの前で誓った。「今でも戦争被害に苦しむ市民がいるのは、ハイフォンと同じ。核兵器も戦争もあってはならない」 [2001-08-06-15:05] 221
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 08/06@<広島原爆忌>こども平和への誓い 全文(毎日新聞)

 広島は、21世紀最初の平和記念日を迎えました。
 昭和20年(1945年)の今日、一発の原子爆弾による爆風と灼熱(しゃくねつ)の炎は、子どもの笑顔や家族の団欒(だんらん)をも一瞬のうちに奪い、我が子を抱きかかえ逃げまどう母親の叫びもむなしく、広島の街は、傷つき、倒れ、助けを求めながら亡くなっていった人々で満ちあふれ、地獄と化しました。
 あれから半世紀、焼けこげた木々が小さいけれどたくましく新しい芽をふいたように、広島の人々は、廃墟(はいきょ)から立ち上がり、悲しみや苦しみを乗り越え、今、私たちが暮らす美しい街に甦(よみがえ)らせてきたことを学びました。
 私たちは、広島の歴史を学び、新しい時代に生きる子どもとして、平和な世界を築いていくためには、何をしなければならないのでしょうか。
 佐々木禎子さんが平和への願いをこめて一羽ずつ折り鶴(づる)を折ったように、身近な問題を一つ一つ解決する努力を積み重ねること。思いやりをもち、お互いの心を理解し合える強い糸で結ばれた小さな平和をたくさん創(つく)り出すこと。世界の友達と心と心のつながりを深め、平和への希望と勇気を生み出していくこと。こうした目標に向かって、粘り強くチャレンジし続けることが、広島に生きる子どもとしての責任です。
 世界には、まだ核兵器は存在し、地域紛争や環境破壊もなくなっていません。21世紀の地球の進路を決めるのは私たちです。
 生命を育(はぐく)む美しい星。この地球を守るためにも、原爆の恐ろしさや20世紀を生き抜いた広島の人々のたくましさをもっと深く学び、語り継ぎ、伝え続けていきます。そして、平和を願う心の輪を世界に広げ、21世紀を「平和の世紀」にするよう努力していくことを誓います。
 平成13年(2001年)8月6日
 こども代表
 広島市立矢野西小6年 畠山康成
  広島市立段原小6年 藤森優香 [2001-08-06-13:35] 222
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 08/06@<広島原爆忌>アナン国連事務総長メッセージ 要旨(毎日新聞)

 56年前の今日、原子爆弾が瞬時にして広島を破壊し、十数万の人々の命を奪い、多大な悲惨をもたらしました。その3日後、長崎もまた、同じ運命にさらされました。それ以来、核兵器の廃絶は国際社会が優先して取り組むべき課題となってきました。1946年に開かれた最初の国連総会で最初に採択された決議は、まさに「核兵器および大量破壊兵器を各国の軍備から廃絶させること」を求めたものでした。
 しかしながら、20世紀の終わりまでに核兵器を廃絶するという人類の熱い願いは、実現を見なかったのであります。昨年のNPT(核拡散防止条約)運用検討締約国会議において、核兵器国は、核兵器の全面廃絶達成に向けて「明確な約束」を行いました。さらに、昨年の国連ミレニアム・サミットには史上最多の世界の指導者が一堂に会し、ミレニアム宣言において大量破壊兵器の廃絶、とりわけ核兵器の廃絶をめざして努力を傾ける決意を表明しました。
 いまやこれらの言葉を実際の行動に移すときに来ております。紛争が発生してから対応する文化を、紛争を未然に防ぐ紛争予防の文化によって置き換えていく必要があります。争いのもととなる貧困と、不平等と、非寛容をなくすことにより、世界に紛争を起こさないという決意を固めようではありませんか。
 (大島賢三・国連人道問題担当事務次長代読) [2001-08-06-13:35] 223
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 08/06@<広島原爆忌>小泉首相あいさつ 要旨(毎日新聞)

 被爆56周年の広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式が執り行われるに当たり、犠牲となられた数多くの方々の御霊(みたま)に対し、謹んで哀悼の誠を捧(ささ)げます。そして、今なお被爆の後遺症に苦しんでおられる方々に対し、心からお見舞いを申し上げます。
 人類史上唯一の被爆国である我が国は、平和憲法を遵守(じゅんしゅ)し、非核三原則を堅持するとともに、核兵器の廃絶と恒久平和の実現を、国際社会に訴え続けてまいりました。
 昨年10月の国連総会において、我が国は、包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効など、「核兵器の全面的廃絶への道程」と題する決議案を提出し、圧倒的多数の支持を得て採択されたところです。また、本年9月には、CTBT発効促進会議がニューヨークにおいて開催されます。この会議が成功するよう努力するとともに、今後とも国際社会の先頭に立ち、核兵器の廃絶に全力で取り組んでまいります。
 また、被爆者の方々に対しましては、援護施策の推進に誠心誠意努めてまいります。さらに、来年度開館予定の国立広島原爆死没者追悼平和祈念館につきましては、死没者の方々の尊い犠牲を銘記するとともに、永遠の平和を祈念し、原子爆弾の惨禍を全世界に伝えるための施設となるよう努めてまいります。 [2001-08-06-13:35] 224
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 08/06@<広島原爆忌>広島平和宣言全文(毎日新聞)

 今世紀初めての8月6日を迎え、「戦争の世紀」の生き証人であるヒロシマは、21世紀を核兵器のない、「平和と人道の世紀」にするため、全力を尽くすことを宣言します。
 人道とは、生きとし生けるものすべての声に耳を傾ける態度です。子どもたちを慈しみ育(はぐく)む姿勢でもあります。人類共通の未来を創(つく)るため和解を重んじ、暴力を否定し理性と良心に従って平和的な結論に至る手法でもあります。人道によってのみ核兵器の廃絶は可能になり、人道こそ核兵器の全廃後、再び核兵器を造り出さない保障でもあります。
 21世紀の広島は人道都市として大きく羽ばたきたいと思います。世界中の子どもや若者にとって優しさに満ち、創造力とエネルギーの源であり、老若男女誰にとっても憩いや寛(くつろ)ぎの「居場所」がある都市、万人のための「故郷(ふるさと)」を創りたいと考えています。
 しかし、暦の上で「戦争の世紀」が終わっても、自動的に「平和と人道の世紀」が訪れるわけではありません。地域紛争や内戦等の直接的暴力だけでなく、環境破壊をはじめ、言論や映像、ゲーム等、様々な形をした暴力が世界を覆い、高度の科学技術によって戦場は宇宙空間にまで広がりつつあります。
 世界の指導者たちは、まず、こうした現実を謙虚に直視する必要があります。その上で、核兵器廃絶への強い意志、人類の英知の結晶である約束事を守る誠実さ、そして和解や人道を重視する勇気を持たなくてはなりません。
 多くの被爆者は、そして被爆者と魂を重ねる人々は、人類の運命にまで自らの責任を感じ、岩をも貫き通す堅い意志を持って核兵器の廃絶と世界平和を求めてきました。被爆者にとって56年前の「生き地獄」は昨日のように鮮明だからです。その記憶と責任感、意志を、生きた形で若い世代に伝えることこそ、人類が21世紀を生き延び、22世紀へ虹色の橋を架けるための最も確実な第一歩です。
 そのために私たちは、広い意味での平和教育の再活性化に力を入れています。特に、世界の主要大学で「広島・長崎講座」を開講するため私たちは努力を続けています。骨格になるのは、広島平和研究所等における研究実績です。事実に基づいた学問研究の成果を糧に、私たち人類は真実に近付いてきたからです。
 今、広島市と長崎市で世界平和連帯都市市長会議が開催されています。21世紀、人道の担い手になる世界の都市が、真実に導かれ連帯することで核兵器の廃絶と世界平和を実現するための会議です。近い将来、この会議の加盟都市が先頭に立って世界中に「非核自治体」を広げ、最終的には地球全体を非核地帯にすることも夢ではありません。
 わが国政府には、アジアのまとめ役として非核地帯の創設や信頼醸成のための具体的行動、ならびに国策として核兵器禁止条約締結の推進を期待します。同時に、世界各地に住む被爆者の果たしてきた役割を正当に評価し、彼らの権利を尊重し、さらなる援護策の充実を求めます。その上で、核兵器廃絶のための強い意志を持ち、憲法の前文に則(のっと)って、広島と共に「平和と人道の世紀」を創るよう、強く要請します。
 21世紀最初の8月6日、私たちは今、目の前にある平和の瞬間(とき)を、21世紀にそして世界に広げることを誓い、すべての原爆犠牲者の御霊(みたま)に心から哀悼の誠を捧(ささ)げます。
 2001年(平成13年)8月6日
  広島市長 秋葉忠利 [2001-08-06-13:35] 231
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 08/06@<広島原爆忌>被爆者援護法の適用求め 届くか在外被爆者の(毎日新聞)

 朝鮮半島や中国、南米、米国など世界に約5000人存命ともされる在外被爆者。今年6月、在外被爆者への被爆者援護法の適用を認めた大阪地裁判決をきっかけに、互いに連携するなどの動きが活発化している。
 同判決で勝訴した原告、郭貴勲(カク・キ・フン)さん(77)は、今夏、広島市内各地で開かれた平和集会を奔走した。郭さんは徴兵で広島に配属され、被爆。その後帰国し、98年5月に治療のため来日、援護法に基づく手当を支給されたが、同7月に帰国後、手当は打ち切られた。「どこの被爆者も高齢化しており、時間がない。すべての被爆者に法の適用を」と訴え、「在外被爆者にも援護法を!」と書かれた名刺を出会う人にも配り、6日の式典に臨んだ。
 今年7月、韓国の被爆者をたずねた李実根(リシルグン)・在日本朝鮮人被爆者連絡協議会会長(72)も「韓国各地でも被爆者は苦痛にあえいでいた。死ぬまで待てというのは、植民地時代への反省がなさ過ぎる」と思いは同じだ。
 在ブラジル原爆被爆者協会(サンパウロ市)の会長を務める森田隆さん(77)と綾子さん(76)夫妻は今年5月、「ブラジル・南米被爆者の歩み あの日がすぎて、巡りくる日々とともに」を出版した。
 隆さんは現地時間の5日午後、サンパウロ市内で「平和を守る努力」と題して56年前の被爆体験などを語った。隆さんは、「国策の中で移民となった後、被爆が原因で死んでいった仲間を多く見てきた。郭さんの判決に希望の光が見えた気がする」と話した。本の問い合わせは「アーク印刷」(03・3915・4240)。 【高尾具成】 [2001-08-06-12:05] 247
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 08/06@高校時代から小野に注目 情報集めに熱心なクラブ(共同通信)

 サッカーのオランダ1部リーグ、フェイエノールトに移籍した日本代表MF小野伸二が実戦で本領を発揮する機会は今のところ少ない。だが、それは小野のことを知り尽くしており、急いでテストする必要がないためでもある。
 フェイエノールトはJリーグが発足したころから日本に注目し、情報収集を行ってきた。ゼネラル・マネジャーのロブ・バーン氏は「小野のことは清水商高(静岡)時代から知っている」と話す。
 その後も、市原の監督を務めたオランダ人、ヤン・フェルシュライエン氏らを通じ、細かく成長ぶりを追ってきた。バーン氏はまた「そんな日本人選手はほかにもいる」と付け加えた。
 フェイエノールトはアフリカなど海外に、選手発掘のためのアカデミーを経営している。アヤックスと並び、選手発掘、育成に定評あるオランダの代表的クラブだ。
 Jリーグが発足した日本も対象となったのだが、その関心の高さは、バーン氏がかなりの親日家であることも大いに関係がある。「日本とは古くから交流があり、われわれが関心を持つのは当然」。娘のナターシャさんを京都の大学に留学させたほか、自ら何度も日本に足を運んだ。
 クラブはインターネットに日本語のホームページを開設するため準備を進めている。小野も通訳を雇わず、英語、オランダ後の勉強を始めている。約400年前に始まった日本とオランダの交流が、サッカーの世界でも活発化しようとしている。(ロッテルダム共同=吉村英典)(了)[2001-08-06-09:25]
59
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 08/07@マケドニア警察がゲリラ5人殺害(朝日新聞)

 マケドニアのボスコフスキ内相は7日、警察当局が首都スコピエでアルバニア系ゲリラの拠点を急襲、5人を殺害したと発表した。
 ロイター通信によると内相は「テロ組織は首都攻撃を準備していた」と述べた。殺害された者とともに現場にいた5人は身柄を拘束された。
 同国では政府軍とゲリラの戦闘収拾に向けた主要4政党の和平協議が山場を迎えている。これにはアルバニア系2党も参加。アルバニア語を一部地域で公用語化することやアルバニア系の警察官採用を増やすことで原則合意している。しかし警察幹部らはアルバニア系への譲歩に反対しており、あえて協議の大詰め段階で急襲作戦に踏み切った可能性がある。[2001-08-07-23:35] 61
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 08/07@<マケド二ア>ゲリラ武装解除保証を要求 マケドニア人側(毎日新聞)

 【ウィーン福井聡】マケドニア紛争の解決に向けたマケドニア人とアルバニア系住民双方の主要政党による政治協議は6日、最終調印を目前に、マケドニア人側が「和平協定発効前のアルバニア系ゲリラ・民族解放軍の武装解除の保証」を要求し、暗礁に乗り上げた。
 マケドニア人側は6日夕、国家安全保障会議を開き、「北大西洋条約機構(NATO)によるゲリラの完全武装解除を期待する」との声明を出した。NATOは最終合意後、「ゲリラの自主性に沿った武装解除」を狙っているが、最終合意前の強制武装解除は事実上不可能だ。この要求に固執すれば、協議自体が崩壊しかねず、NATOは要求放棄を強く働きかけている。
 政治協議ではすでに、アルバニア系住民の警察官数を今後2年間で全警察官の23%に増やし、アルバニア系住民が人口の20%を超える地域でアルバニア語を公用語とするとことで合意、和平協定締結への大詰めを迎えていた。 [2001-08-07-22:55] 68
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 08/07@マケドニア和平協議、大詰めで再び暗雲(読売新聞)

 【ウィーン7日=佐々木良寿】マケドニアの民族紛争解決に向けたマケドニア人系とアルバニア系の主要4党指導者による和平対話は6日、大詰めの協議でマケドニア人側が新たな要求を出したことで中断、予断を許さない情勢となった。仲介役の米欧諸国は6日中にも包括的合意にこぎ着けたい考えだったが、7日も協議を継続する。
 対話ではこれまでに、アルバニア語の一部地域での公用語化や警察のアルバニア系比率の増加など、アルバニア系住民の権利向上で原則合意した。報道によると、マケドニア人側の新たな要求は、これら合意履行の前提として、アルバニア系武装勢力「民族解放軍(NLA)」の武装解除の保証を北大西洋条約機構(NATO)に求めたもの。
 これに関連して、マケドニアのトライコフスキ大統領は6日夜、和平対話が行われている南部の保養地オフリドで主要閣僚らから成る国防評議会を主宰。同評議会は「完全な武装解除が実現しない場合、武装解除に向けた緊急措置をNATOに期待する」との声明を発表した。 [2001-08-07-10:46] 69
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 08/07@マケドニア4党、和平対話でも大詰め(読売新聞)

 【ウィーン6日=佐々木良寿】マケドニア紛争解決のため和平対話を続けてきたマケドニア人系とアルバニア系の主要政党4党の指導者は6日、同国南部の保養地オフリドで最終合意に向けた詰めの協議に入った。一部地域でのアルバニア語公用語化に続いて、警察組織再編でも双方が原則合意した。仲介役の米欧は同日中にも包括的合意にこぎ着けたい考えだ。
 マケドニアからの報道では、この日の協議には、仲介役のフランソワ・レオタール欧州連合(EU)特使、ジェームズ・パルデュー米特使のほかEUのハビエル・ソラナ共通外交安全保障上級代表も参加。これまでの合意を盛り込んだ憲法改正手続き、同国を「マケドニア人とその他の民族から成る」などと規定した憲法前文の修正、アルバニア系住民が独自に設立した大学の地位などについて細部の詰めに入った。
 EUと米国が和平対話で提示した包括的和平案の詳細は不明だが、アルバニア系人口が20%を超える地域でのアルバニア語の公用語化や警察組織内のアルバニア系比率の増加などは、アルバニア系側の従来の要求を強く反映しており、これまでの合意は米欧がマケドニア人側に大幅な譲歩を迫った結果と見られる。
 北大西洋条約機構(NATO)は、和平合意を前提に、アルバニア系武装勢力「民族解放軍(NLA)」の武装解除に向けて3000人規模の部隊派兵を決定しており、スコピエ駐在のNATO報道官は6日、「合意達成後、48時間以内には、展開を開始できる態勢に入った」と述べているが、和平対話への参加を拒絶されているNLAは「いかなる合意も認めない」などと強硬姿勢を見せている。[2001-08-07-01:29] 70
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 08/07@◎大詰めの和平協議、一時中断=マケドニア人側が新たな要求(時事通信)

 【ウィーン6日時事】マケドニア紛争の政治解決を目指しているマケドニア人とアルバニア系住民双方の主要政党は6日、包括的和平協定締結に向けた大詰めの協議を開始した。しかし、マケドニア人政党側が新たな要求を突き付けたため、話し合いが進まず、協議が一時中断する展開となった。
 この日の協議は、最大の焦点だった地方警察の再編問題で合意にこぎつけたことを受け、和平協定の細部を詰める目的で開催された。最終合意が成立すれば、アルバニア系武装組織の武装解除に向け、北大西洋条約機構(NATO)が3500人規模の部隊を派遣する段取りになっている。交渉を仲介している欧州連合(EU)のソラナ共通外交・安保上級代表は同日中にも交渉が妥結するとの見通しを示していたが、対話の行方は一転して予断を許さない状況になった。 [時事通信社][2001-08-07-00:44] 103
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 08/07@<カンボジア>ポル・ポト派の虐殺裁く特別法廷設置法案を承(毎日新聞)

 カンボジアのポル・ポト政権下での国民虐殺の罪を裁くための特別法廷設置法案が7日、憲法評議会によって承認された。法案はシアヌーク国王が署名して発効する。
 フン・セン首相は国連が求めるイエン・サリ氏ら既に政府に投降し自由の身になっている最高幹部らの訴追を受け入れないとみられる。国連が推薦する外国人裁判官と検察官の人選などを受け入れるかどうかも不透明で、法廷設置までには曲折も予想される。【アジア総局】 [2001-08-07-23:05] 106
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 08/07@<米国勢調査>家庭で英語以外を話す人が18%に達する(毎日新聞)

 【ワシントン中井良則】90年代に米国に移り住んだ人が1300万人以上にのぼり、好況の90年代は米国の歴史上、移民が最多だったことが6日、米国勢調査局の発表でわかった。ヒスパニックを中心とする移民が増え、外国生まれ人口は全体の11%を占め、家庭で英語以外の言葉を話す人が90年より4%増え18%に達した。
 調査によると、外国生まれは3052万人で、11%を超えたのは1930年国勢調査以来。このうち市民権を持っているのは4割だった。外国生まれのうち44%は90年代に米国に移ったと答えた。これまでに移民が最も多かった10年間はイタリアや東欧の移民が押し寄せた20世紀最初の1901―10年(880万人)だった。
 家庭で英語以外を話す人(5歳以上)は4495万人で、このうち60%はスペイン語を使い、43%は「英語をうまく話せない」と答えた。 [2001-08-07-22:20] 107
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 08/07@<ダライ・ラマ>カシミール問題での発言でインド国内で波風(毎日新聞)

 【イスラマバード春日孝之】インド亡命中のチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世が、インドとパキスタンが領有を争うカシミール問題についてパキスタンの立場を支持するような発言をしたとして、インド国内で波風が立っている。
 インドのPTI通信によると、ダライ・ラマは5日、同国南部チェンナイで開催された南アジア宗教者平和会議の席上、チベットが中国に求めている「真の自治」を引き合いに、カシミール問題解決に向けて、印パは「(カシミールの)自治権」を考慮べきだと述べた。
 インドはカシミールを「固有の領土」と主張、「カシミール人の自決権」を求めるパキスタンと真っ向から対立している。このため、ダライ・ラマ発言について、政権与党のインド人民党、最大野党・国民会議派ともに「不適切だ」と不快感を表明した。
 インド外務省も「発言全文を検証した上で対応する」と述べる一方、「(ダライ・ラマは)インドで政治活動はできない」とクギを刺した。
 これに対し、インド北部ダラムサラのチベット亡命政府は「内輪の会議での不正確な発言報道により、不必要な論争に引きずりこまれた」と困惑気味だ。 [2001-08-07-22:05] 112
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 08/07@扶桑社教科書採択めぐり、賛成派と反対派が声明(朝日新聞)

 東京都教委が一部の養護学校の歴史、公民教科書に扶桑社版を採択したことを受け、都内の障害児学校関係の労働組合や市民団体などが7日、都庁内で記者会見し、決定の撤回を求めた。一方、教委の責任で採択するよう求めた市民団体もあった。
 都障害児学校教職員組合の藤谷浩委員長は「不当な決定に対し、激しい怒りとともに強く抗議する」と述べ、決定の再検討を求めた。また都障害児学校労組など6団体は、教育委員会が非公開とされたことに「たくさんの都民が要請と傍聴を求めたが、ガードマンのピケで都民の声は黙殺された」と批判した。
 都内の区議でつくる23区民自治の会は「(扶桑社版の歴史教科書は)自国中心で歴史の事実をわい曲した記述が多く、公民の教科書は女性差別や住民運動への反感が読みとれる。国際問題化している教科書を採択することは諸外国から見識が問われる」と訴えた。
 扶桑社版が採用されることになった養護学校に子どもが通っている母親(49)は「子どもたちの実態が分かってない。親も反対しているのに、その気持ちが分かってもらえなかった」と声を詰まらせた。
 在日本大韓民国民団中央本部は抗議声明を出し、「21世紀の国際社会に生きる在日韓国・朝鮮人児童および日本の児童たちの未来に大きな憂慮を禁じ得ない」と訴えた。
 一方、会社員や民主党の都議1人でつくる「平成の教育改革をすすめる市民と議員の会」はこの日午前、「教育委員会の責任において公正な採択を求める」とのアピールを出した。[2001-08-07-20:35] 116
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 08/07@憲法評議会が特別法廷承認 元ポル・ポト派の大量虐殺(共同通信)

 【プノンペン7日共同】カンボジアの元ポル・ポト派幹部を大量虐殺の罪で裁く特別法廷設置をめぐる修正法案が七日、同国の憲法評議会で承認された。シアヌーク国王の署名で発効後、同国と国連は、国王から恩赦を受けた同派のイエン・サリ元副首相の処遇や判事の選定などで最終の詰めの協議に入る。
 特別法廷設置法案は今年一月、上下両院で可決されたが、同評議会が死刑条項の削除を求めて政府に差し戻した。政府は、早急な法廷設置を求める国際社会の要請をよそに、半年後にようやく修正案を議会に提出、七月に上下両院で可決された。
 フン・セン首相は六日、「法廷は内戦を引き起こす可能性がある」と述べ、法廷設置には慎重な姿勢が必要との見解を繰り返した。(了)[2001-08-07-20:07] 122
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 08/07@停戦監視団の構成で合意 フィリピン政府とゲリラ和平交渉(共同通信)

 【クアラルンプール7日共同】フィリピン政府と同国南部ミンダナオ島のイスラム反政府勢力モロ・イスラム解放戦線(MILF)は七日、クアラルンプール近郊での和平交渉で、六月の停戦合意に基づく停戦監視団の構成などで合意した。
 MILF交渉団長のムラド副議長によると、@交渉を支援してきたイスラム諸国会議機構(OIC)が停戦監視団を結成、リビア、マレーシア、インドネシアが構成メンバーとなるAフィリピン政府側も独自の停戦監視団を結成する―ことで一致した。
 双方は来月マレーシアで交渉を再開し、内戦で荒廃した地域の復興・経済開発を中心に話し合いを進める予定という。
 双方は今年六月、リビアでの和平交渉で停戦に合意。先月下旬からはマレーシアで交渉を続けていた。MILFは今月三日、既に和平路線に転じ自治を進める別のイスラム勢力、モロ民族解放戦線(MNLF)と事実上の組織統合で合意している。
 ミンダナオ島での内戦ではMNLFが一九九六年に政府との和平協定に調印したが、分派のMILFと過激派のアブ・サヤフは武装闘争を継続。アロヨ大統領は今年一月の就任以来、MILFとの和平を推進する一方、外国人誘拐事件などを起こしているアブ・サヤフに対しては制圧作戦を継続している。(了)[2001-08-07-18:43] 130
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 08/07@米軍改革、期待外れの懸念 国防長官が制服組と対立(共同通信)

 【ワシントン7日共同】ブッシュ米政権が目指す米軍戦略、装備の包括的見直し作業は、主導するラムズフェルド米国防長官と米軍の制服組のトップが集まる統合参謀本部や議会との対立の深刻化で「期待外れ」に終わるとの見通しが強まっている。
 七日付の米紙ワシントン・ポストによると、ラムズフェルド長官は就任以来、軍改革の具体的内容について国防総省以外の専門家を中心とするグループに検討を任せており、無視された形となった統合参謀本部の強い反発を招いた。同本部の将軍らは半ば公然と長官批判を始めているという。
 国防総省当局者は「制服組は信頼する上司の命令には忠実に従うが、いったん信頼を失うと取り戻すのは容易ではない」と、国防長官が省内で孤立、苦しい立場に立たされていることを指摘した。
 長官は、国防予算増額を要請した際、事前に十分な説明がなかったとして議会からも背を向けられたまま。同紙はこのような対立を招いた原因として、ブッシュ政権の国防政策の青写真を描いたアーミテージ氏(現国務副長官)を、長官が下馬評通りに国防副長官に登用しなかったことを挙げた。ある軍事専門家は「あれ(アーミテージ氏の不登用)が決定的な要因だった」と指摘している。
 包括見直しは中東と朝鮮半島で同時に起きる大規模紛争への対処を想定した「二正面戦略」の放棄のほか、核抑止の対象をロシアから中国へ移行。ミサイル防衛の拡充に加え、宇宙防衛の強化や長距離爆撃機、輸送機の増強など装備の大幅な変更も盛り込んでいるとされる。(了)[2001-08-07-17:34] 136
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 08/07@◎ケニアへODA調査団派遣=衆院外務委(時事通信)

 衆院外務委員会(土肥隆一委員長)は7日の理事懇談会で、31日から10日間の日程で、ケニア、イスラエル、ロシアの3カ国に視察団を派遣することを決めた。ケニアでは、日本が政府開発援助(ODA)で支援しているソンドゥ・ミリウ水力発電事業が環境悪化を招いたとして反対運動が起きている現地を視察、反対派の非政府組織(NGO)などからも意見を聞く。また、ロシアでは北方領土問題などについてロシア国会の外交委員と意見交換する。 [時事通信社][2001-08-07-15:37] 140 [このページの最初に戻る]


 08/07@<イタリア>旧王族55年ぶり帰還か 右派政権が入国条項改(毎日新聞)

 【ローマ井上卓弥】第二次世界大戦後に廃位、国外追放処分を受けた旧イタリア王家・サボイア家の直系男子、ビットリオ・エマヌエーレ氏(63)らが、55年ぶりに本国に帰還する可能性が高まっている。5月総選挙で上下両院の過半数を占めた中道右派政権が、憲法の入国禁止条項改正を目指す意向を明らかにしているためで、来年早々にも結論が出そうだ。
 北西部トリノを本拠地とするサボイア公爵家のビットリオ・エマヌエーレ2世(サルデーニャ王)は1861年に全国を統一し、初代イタリア国王に就任。だが、共和制が敷かれた46年、王家はレジスタンス勢力から「ムソリーニ・ファシスト政権に協力した共和国の敵」との非難を受け、最後の国王ウンベルト2世(83年死去)らが国外に追放された。
 子孫のビットリオ・エマヌエーレ氏らはその後、欧州人権裁判所に「入国禁止処分は移動の自由をうたった欧州統合の理念に反する」と提訴するなど、伊政府と対立してきた。しかし今年1月、スイス在住の元王妃マリアジョゼさんの死去後、チャンピ・イタリア大統領が弔意を表明し、両者の対立構図に変化が生じた。
 だが、中道左派前政権下での入国禁止条項改正論議は、左右両派が対決する総選挙を前に、「政治的影響が大きい」との左派勢力の反発で失敗に終わっていた。 [2001-08-07-13:05] 151
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 08/07@◎IRA、30日以内に武装解除着手か=フィンランド前大統(時事通信)

 【ロンドン7日時事】7日付の英紙ガーディアンは、北アイルランドのカトリック系過激組織アイルランド共和軍(IRA)が、和平プロセスの危機打開のため、30日以内に武装解除に着手するとの見通しを報じた。カトリック側の消息筋が明らかにしたという。
 同紙によると、英、アイルランド両政府の依頼を受け、これまでIRAの武器不使用の査察に当たってきたフィンランドのアハティサーリ前大統領と南アフリカ共和国のラマフォサ前アフリカ民族会議(ANC)書記長の2人が、今後30日以内にIRAの秘密の武器庫の一部に招かれ、武器の破壊を目の前で確認する。2人はこれを武装解除を監督する国際委員会に報告し、同委が結果を公表するという。 [時事通信社][2001-08-07-10:04] 163
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 08/07@◎イスラエルは活動家の暗殺中止を=国連総長(時事通信)

 【ニューヨーク6日時事】アナン国連事務総長は6日、声明を発表し、イスラエルに対し、同国軍によるパレスチナ過激派活動家の暗殺を中止するよう訴えた。
 アナン事務総長は声明で、活動家暗殺戦術は「人権法および法の一般原則」に反するとした上で、同戦術の継続は「既に極めて危険な状況をさらにあおるだけだ」と指摘した。
 イスラエル軍は5日、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区でイスラム原理主義組織ハマスの活動家1人を殺害したほか、7月31日にも西岸のハマスの拠点をミサイルで攻撃し、子供2人を含む8人が死亡した。 [時事通信社][2001-08-07-07:33] 169
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 08/07@イスラエル首相、暗殺作戦の継続明言(読売新聞)

 【エルサレム6日=当間敏雄】イスラエルのシャロン首相は5日、パレスチナ過激派に対する「暗殺作戦」について「テロ対策として自衛権を行使しているだけだ」と語り、作戦継続の意向を明確にした。同時に、衝突停止へ向けた停戦監視団の派遣構想についても「いかなる種類の国際的監視団の受け入れも拒否する」と言明した。米テレビとのインタビューで語ったもので、停戦合意が事実上、瓦解(がかい)する中、「暗殺」と「テロ」の報復合戦が一層、拡大する様相だ。
 イスラエル国防省は5日夜、パレスチナ活動家7人の名前をテロ重要容疑者として初めて公表して“脅し”をかける戦術に出たが、自治政府に摘発を求めているテロ容疑者は7人を含め約100人に上ると見られる。
 自治政府は5日、「暗殺作戦」に抗議して米国の仲介で定期的に行われてきた治安責任者による協議に今後応じないことを決定、停戦監視団の派遣を改めて求めた。しかし、「紛争の国際化」を警戒するシャロン首相が拒否の姿勢を鮮明にしたことで、衝突停止への展望が開けない閉塞(へいそく)感が強まっている。[2001-08-07-01:42] 161
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 08/07@国際舞台復帰が本格化 北朝鮮サッカー、存在感アピール(共同通信)

 今年に入って国際舞台への復帰を本格化させているサッカーの朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)代表が、ブランクをものともせず健闘している。
 5日まで上海(中国)で開催された4カ国大会。2002年ワールドカップ(W杯)アジア最終予選を控えた中国をホストに、クウェート、トリニダードトバゴとともに出場した北朝鮮は大方の予想を裏切り、中国、クウェートにいずれも同点からのPK戦を制し優勝。W杯アジア予選にも参加しなかった北朝鮮が、久しぶりの国際大会で存在感を示した。
 ハイライトは中国戦。名将ミルチノビッチ監督の指揮で急成長中の中国を相手に、2度先行されながらしぶとく2―2に追いつく奮闘だった。
 北朝鮮代表の元最高責任者で1999年に韓国に亡命した尹明燦さんによると、93年以降、国際舞台にあまり出場しなかったのは「準備をよくして出場せよ、という金正日総書記の指示だった」という。
 しかし、今年は1月のエジプトとの親善試合(カイロ)に0―1の惜敗すると、春にはドイツでの長期合宿や地元クラブとの練習試合を積極的にこなすなど流れは変わった。尹さんは「国内で強化は続いていたとみるべきだ。選手の世代交代も進んでいるようだ」と語り、「大会に出場するのが自然なこと。やっと正常な軌道に戻った」と評価している。(ソウル共同=村山潤)(了)[2001-08-07-07:49]
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 08/08@○武装組織が政府軍を攻撃、10人死亡=和平協議、新たな危(時事通信)

 【ウィーン8日時事】マケドニアからの報道によると、アルバニア系武装組織は8日、首都スコピエの西方約20キロの町グルプチン近郊で、政府軍の車列に奇襲攻撃を加え、兵士10人が死亡した。過去半年間の紛争を通じ、一度の戦闘でこれほど多数の死者が出たのは初めて。ゲオルギエフスキ首相率いるマケドニア民族主義強硬派の与党・国家統一民主党は、戦闘発生を受け、南部オフリドで続けられている政党間和平協議から一時離脱すると発表。最終合意に向けて大詰めを迎えていた協議は新たな危機に直面した。
 武装組織はこの日、対戦車砲などを使って政府軍部隊を攻撃したため、政府軍側も戦闘ヘリを投入して反撃、激戦が繰り広げられた。国家統一民主党は、同日開く国家安全保障会議の対応策を見極めた上で、和平協議に復帰するかどうかを決めるとしている。
 [時事通信社][2001-08-08-23:44] 47
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 08/08@マケドニアで政府軍9人が死亡 和平協議に影落とす(朝日新聞)

 マケドニアからの報道によると、首都スコピエ近くで8日、政府軍兵士がアルバニア系ゲリラに襲撃された。国防省は「兵士9人が死亡、3人負傷」と発表、軍は同国北部の丘陵地帯にあるゲリラの活動拠点にヘリコプターなどで攻撃を開始した。大詰めを迎えた主要4政党の和平協議の行方が危ぶまれている。
 襲撃事件が起きたのは首都と第2の都市テトボを結ぶ幹線道路。ゲリラは待ち伏せして軍車両に発砲したという。2月に始まった戦闘で、軍の1日の犠牲者としては最多。7日にはアルバニア系ゲリラが活動拠点としている首都のビルを警察が急襲して5人を射殺したため、これに対する報復ではないかとの見方がある。[2001-08-08-22:41] 50
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 08/08@<マケドニア>警察の一団が襲撃され、10人死亡、3人負傷(毎日新聞)

 【ウィーン福井聡】マケドニア政府は8日、北部を警備中だったマケドニア警察の一団が襲撃され、10人が死亡、3人が負傷したと発表した。警察は7日未明、首都スコピエ市内のアルバニア系ゲリラ・民族解放軍の拠点と見られる民家を襲撃し、5人を殺害しており、8日の襲撃はゲリラ側による報復とみられる。
 南部オフリッドでは、マケドニア人とアルバニア系の主要政党による政治協議が最終合意目前の段階を迎えており、この時期の報復殺害は協議全体に大きな影響を及ぼすと懸念されている。
 政府発表によると、襲撃現場はスコピエから北西部テトボにつながる幹線道路上。集団で走行していた警察の車をゲリラが襲撃し、警察側は即座に反撃し、その後攻撃用ヘリコプターを投入しゲリラを追っている。マケドニア警官10人殺害は、4月末に起きた事件での死者8人を上回る犠牲者数となる。
 ゲリラ側は7日の警察によるアルバニア系住民民家の襲撃を「和平協議が進む現状に反するもので、警察の意図が分からない」と反発していた。 [2001-08-08-21:40] 56
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 08/08@<マケドニア>政治協議を再開 10日に最終調印したいと政(毎日新聞)

 【ウィーン福井聡】マケドニア紛争の解決に向けたマケドニア人とアルバニア系住民双方の主要政党による政治協議は7日、再開された。マケドニア人側は6日、「アルバニア系ゲリラ・民族解放軍の武装解除保証」を要求したが、欧州連合(EU)などの調停でマケドニア人側は要求を取り下げ、協議再開に応じた。マケドニア政府筋は「8日に再度協議を続け、10日に(和平協定を)最終調印したい」と話している。
 協議では既に、アルバニア系住民の警察官数を今後2年間で全警察官の23%に増加させ、アルバニア系住民が人口の20%を超える地域でアルバニア語を公用語とすることで基本合意している。8日の協議では、戦闘終結の具体的な確認と民族解放軍兵士への恩赦(免責)問題などを詰める。
 北大西洋条約機構(NATO)は「停戦と政治合意が確立し次第、ゲリラの武器を回収するため3000人規模の部隊を30日間マケドニアに展開する」と表明している。しかし、軍事専門家の中には「短期間の展開で事態の打開は無理」とする声も根強い。 [2001-08-08-10:05] 57
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 08/08@マケドニア警察がゲリラ5人殺害(朝日新聞)

 マケドニアのボスコフスキ内相は7日、警察当局が首都スコピエでアルバニア系ゲリラの拠点を急襲、5人を殺害したと発表した。ロイター通信によると内相は「テロ組織は首都攻撃を準備していた」と述べた。殺害された者とともに現場にいた5人は身柄を拘束された。
 同国では政府軍とゲリラの戦闘収拾に向けた主要4政党の和平協議が山場を迎えている。これにはアルバニア系2党も参加。アルバニア語を一部地域で公用語化することやアルバニア系の警察官採用を増やすことで原則合意している。しかし警察幹部らはアルバニア系への譲歩に反対しており、あえて協議の大詰め段階で急襲作戦に踏み切った可能性がある。[2001-08-08-00:19] 58
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 08/08@マケドニア警察、武装勢力5人射殺し5人逮捕(読売新聞)

 【ウィーン7日=佐々木良寿】マケドニアからの報道によると、同国警察は7日、首都スコピエ市内でアルバニア系武装勢力「民族解放軍(NLA)」のアジトと見られる建物を急襲、銃撃戦の末、メンバー5人を射殺し、5人を逮捕した。リュベ・ボスコフスキ内相が明らかにした。
 マケドニア紛争をめぐっては、和平に向けたマケドニア人系とアルバニア系の主要4政党による政治対話が詰めの協議で難航しており、今回のアジト急襲で7日に再開予定の対話の行方は一層、不透明感を増している。銃撃戦があったのは同市内のアルバニア系地区。警察側の説明では、武器が不法に秘匿されているとの情報に基づいて、警察が捜索に向かったところ、発砲を受け、応戦した。同内相は「テロリスト集団がスコピエ攻撃を計画していた」と非難した。
 今回の警察の出方は、マケドニア人系内の強硬派の意向を反映したものと見られ、政治対話でアルバニア系側が態度を硬化させる可能性もある。 [2001-08-08-00:12] 35
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 08/08@<歴史教科書>愛媛県教委の採択で教育現場内外に大きな動揺(毎日新聞)

 なぜまた養護学校で――。「新しい歴史教科書をつくる会」が主導した扶桑社の中学歴史教科書を愛媛県教委が8日、東京都教委に続いて採択した。侵略を正当化しているなどと韓国や中国が強く反発する中、県教委があえて障害児教育の現場で採択したことで、教育現場内外に大きな動揺が広がっている。
 障害児教育の現場からは批判の声が相次いだ。
 愛媛県高教組障害児支部の藤谷朋宏書記長(松山ろう学校小学部教諭)は「歴史的な解釈は別としても、分量が多く、内容が難しい教科書を使うのは、障害児教育の現場には負担が大きい。県教委は、自分たちの主張を通しやすいところで、実績作りをしたとしか思えない」と厳しい口調。
 今年3月まで松山ろう学校で国語を教えていた同県松前町の松原満紀さん(60)は「同じ学年、学部でも発達の段階が大きく違う。難しく、間違いが多い扶桑社の教科書は、教育委員の方々が障害児教育の現実をよくご存じなら、絶対に採用しない。実績作りの場として、決めやすい所を選んだのでは」と批判した。
 在日本大韓民国民団(民団)愛媛県地方本部も8日、撤回を求める抗議文を県教育委員長、教育長に提出することを決めた。
 同県地方本部の具義雄団長は「在日韓国・朝鮮人児童や日本の児童たちの未来に大きな憂慮を禁じえない。本来ならば社会的に保護を受けるべき生徒に対し、国際問題化している『問題ある教科書』を、なぜ押しつけたのか」と憤った。
 一方、採用推進派の愛媛県教科書改善連絡協議会は、県教委、市町村教委などに対して「指導要領の目標にのっとった教科書の改善が必要」「公正な審議をしてほしい」などと働きかけを続けてきた。同会の弓場巌幹事は「教育委員の方々は良識を働かせ、逆風が予想される中で、勇気を出して結論を出された。誠にありがたい」と評価した。
 ■背景に知事の意向
 教育評論家の俵萌子さんの話 都道府県レベルの教育委員会での採択が二つ続いたのは、都道府県の教育委員が公選制でなく知事に任命権があるため、「知事のおめがねにかなう人」が選ばれ、委員会の決定も知事の意向を反映しがちという背景がある。その一方で、「つくる会」の教科書が市町村レベルの教育委員会では受け入れられていないのは、市町村教委は学校現場との接触が濃く、教諭や保護者の意見を聞かざるを得ないためだろう。
 ■健常者の学校に拡大の意図感じる
 教育史に詳しい山住正己・元東京都立大総長の話 愛媛県は1956年に全国で初めて教員に対する勤務評定を導入し、58年から全国で実施されるきっかけを作った。保守的な土地柄だし、知事が旧文部省出身で教育に関心があることが反映したのかもしれない。養護学校を機に、健常者の学校に広げようとする意図を感じる。
 ■一般校と異なるのは変
 ジャーナリストの保阪正康さんの話 基本的に一般の学校と養護学校の教育は一体化していないとおかしい。養護学校と一般の学校と教科書が異なるズレを奇異に感じる。養護学校に通う生徒と、そうでない生徒との間に歴史認識・解釈にギャップを生じさせることは疑問だ。
 ■教育を考えてない
 「子どもと教科書全国ネット21」(事務局・東京)の俵義文事務局長の話 暴挙としかいえない。難解、量が多すぎるなどを理由に、健常者の学校で不採択になった教科書を養護学校の子どもたちに強制する者は、教育を考えていない。愛媛県教委に教育を語る資格はない。 [2001-08-08-22:35] 38
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 08/08@<NATO国防相理事会>ナポリ開催の延期を要請 市長(毎日新聞)

 【ローマ井上卓弥】イタリア南部ナポリのイエルボリーノ市長は7日、同市で来月開かれる北大西洋条約機構(NATO)国防相理事会の延期を要請した。ベルルスコーニ伊首相も11月の国連「世界食料サミット」開催地(ローマ)の変更を示唆している。大混乱となった先月のジェノバ・サミット(主要国首脳会議)の後遺症で全国に「国際会議アレルギー」がまん延した形だ。
 野党・中道左派系のイエルボリーノ市長は、7日付の伊紙レプブリカ紙上で「過熱する反グローバル化運動の大規模な抗議行動を避けるため、会議延期が妥当」との考えを表明した。
 NATOは来月26、27日の国防相理事会で、米国が導入を主張するミサイル防衛構想などについて議論する予定。先進国中心の世界の権力構造に反発する反グローバリズム運動団体は「軍事問題の重要度は低い。世界が直面する貧困や環境の問題を優先すべきだ」と反発し、ナポリで抗議デモを組織する構えを見せている。
 マルティノ伊国防相はNATO国防相理事会の延期、中止に反対し、「9日の閣議で協議する」と述べた。 [2001-08-08-21:50] 44
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 08/08@元ICJ判事囲み対話集会 環境問題テーマに分科会も(共同通信)

 長崎市で開かれている第五回世界平和連帯都市市長会議は八日午後、元国際司法裁判所(ICJ)判事のクリストファー・ウィラマントリ氏を囲んだ市民対話集会を開いたほか、分科会で環境問題などをテーマに活発な議論が行われた。
 ウィラマントリ氏は一九九六年、ICJが国連に「核兵器の使用、威嚇は一般的に国際法に違反する」と勧告意見を出した際の判事の一人。
 市民ら約五十人を前に、同氏は「核兵器の違法性を問う数々の団体や市民の活動が国連を動かし、勧告意見に結びついた。市民は核廃絶に向けた重要な役割を担えるのです」と強調した。
 会場で日本の憲法について聞かれた同氏は「戦争の放棄を明記した憲法九条は平和を考える世界の光。他の国の手本として守っていかなければならない」と述べた。
 一方、分科会は今年からすべてを一般開放する「市民参加型」に。地球環境を考える分科会で、ニュージーランド・ネーピア市の代表は「私たちは一時だけ地球を預けられた管理人。決して所有しているのではない。子どもたちに美しい地球を残しましょう」と訴えた。(了)[2001-08-08-20:58] 52
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 08/08@アイヌ民族派遣を断念 外務省、南アの国連会議(共同通信)

 「国連反人種主義・差別撤廃世界会議」に派遣する政府代表団(団長・丸谷佳織外務政務官)へのアイヌ民族の参加について、外務省は八日、アイヌ民族団体の北海道ウタリ協会の新執行部(秋田春蔵理事長)と話し合ったが、人選の折り合いがつかず、事実上派遣を断念した。
 外務省とウタリ協会は具体的な人選をほぼ終えていたが、六日の協会理事会で、旧執行部が民族差別発言への対応不備を理由に解任され、発足した新執行部が別の人物を外務省に推薦した。
 人権人道課によると、話し合いは約一時間行われたが、両者の主張は平行線をたどった。次回の日程も決まらず、同課は「これ以上参加を要請することは無理という感触を得た」としている。
 会議は南アフリカ共和国のダーバンで八月三十一日から開催される予定。代表団には非政府組織(NGO)などのほか、民間人も参加できるため、このうち一人をアイヌから選びたいとして、ウタリ協会に打診していた。これまで国際会議の政府代表にアイヌが加わるのは例がなかった。(了)[2001-08-08-19:40] 89
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 08/08@NATO理事会に赤信号 ナポリ市長が返上要請(共同通信)

 【ローマ8日共同】九月二十六日からナポリで開催の北大西洋条約機構(NATO)国防相理事会をめぐり、中道左派出身のイエルボリノ・ナポリ市長は八日までにイタリア政府にナポリ開催を延期ないし返上するよう申し入れた。
 国際会議に反対する反グローバル団体の過激派が抗議行動を計画中としているのが申し入れの理由。市長は一九九八年秋発足のダレーマ政権で内相を務め、「鉄の女」と言われた強気の人。しかし「ジェノバ症候群」と呼ばれる過激派の破壊行為を恐れ、今回は弱気になっているようだ。
 左派系紙レプブリカによると、市長は「今、イタリアには火が付いている」と指摘。問題の国防相理事会は米国のミサイル防衛構想が議題であり、十一月にローマで予定される国連食糧農業機関(FAO)の世界食料サミットの際よりも「危険な抗議行動になるのは確実」と警告した。
 ANSA通信によると、ナポリ市民の声も開催か中止かで割れている。マルティノ国防相は「延期や中止には反対。九日の閣議で協議する」と述べているが、開催となれば風光明美の地で知られるナポリが、過激派と警官との衝突などで大混乱となりそうだ。(了)[2001-08-08-07:44] 96
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 08/08@米露が安保実務者協議、ABM制限条約改定焦点に(読売新聞)

 【ワシントン7日=永田和男】米国とロシアがミサイル防衛構想と戦略核兵器削減を一括して協議する安保実務者協議が7日、ワシントンの国防総省で2日間の日程で始まった。
 先月のイタリア・ジェノバで行った米露首脳会談で開催が決まったもので、米側はファイス国防次官、露はバルエフスキー参謀本部第1次長らが参加した。
 焦点はミサイル防衛推進に不可欠な弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約の扱い。ロシアはABM条約破棄に反対する一方、核削減には関心を示している。
 実務者協議に続いて13日からはラムズフェルド国防長官が訪露する予定。秋の首脳会談に向けて、両国間の新たな安保体制の枠組み作りをめぐる一括協議を徐々に本格化させる。 [2001-08-08-01:58]
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 08/09@マケドニアで新たな衝突、警官1人が死亡(読売新聞)

 【ウィーン9日=佐々木良寿】マケドニアからの報道によると、紛争の焦点となっている同国西部の主要都市テトボで9日、政府部隊とアルバニア系武装勢力「民族解放軍(NLA)」との間で新たな戦闘が発生した。北西部の村でも衝突が発生し、マケドニア人警官1人が死亡、1人が負傷した。
 主要政党4党指導者は8日、米欧仲介の包括的和平案に仮調印したばかり。和平対話を仲介してきた欧州連合(EU)のフランソワ・レオタール特使は9日朝、仏ラジオに対して「情勢が悪化すれば、(13日に予定されている)正式調印も危うくなる」と危機感を示した。
 テトボには政府軍の駐屯地があり、紛争ぼっ発時から攻防の焦点となってきたが、NLAはすでに中心部まで勢力を広げつつある。
 NLA代表はこれまでの対話には、参加を拒絶されてきた。マケドニア人強硬派は8日に発生したNLAによる政府軍攻撃で兵士10人が死亡したことに態度を硬化させており、和平案が宙に浮く懸念は強い。
 トライコフスキ大統領は8日夜、首相、内相、国防相らから成る国防評議会を開き、政府部隊に対する攻撃には「断固とした手段を講じる」と、政府軍や治安部隊に強攻策を認める決定を下している。
 北大西洋条約機構(NATO)は、和平案正式合意とNLAの武装解除同意、恒久的停戦を前提条件に、NLAが自発的に供出する武器回収を任務とした3500人前後の派兵を決めているが、派兵のメドは立っていない。 [2001-08-09-23:29] 34
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 08/09@<マケドニア>包括和平協定案に仮調印 主要政党(毎日新聞)

 【ウィーン福井聡】マケドニア紛争終結を目指しマケドニア人とアルバニア系住民の主要政党が参加した政治協議は8日、包括和平協定案に仮調印した。13日に正式調印の予定だが、これに先立ち、マケドニア政府軍兵士10人が襲撃で死亡するなど情勢は緊迫しており、仮調印を受け、紛争が収束に向かうかどうかは不透明だ。
 和平協定案は(1)アルバニア系住民の警官数を今後2年間で全警官の23%に増やす(2)アルバニア系住民が人口の20%を超える地域でアルバニア語を公用語とする――などを軸とする。政治協議を調停している欧州連合(EU)のレオタール特使は「これで事態が落ち着くことを望む」と述べた。
 マケドニア人側には「アルバニア系の主張を容認すれば最終的には国家分裂に行き付く」との声が強く、和平協議が崩壊しかねない情勢だったが、北大西洋条約機構(NATO)や欧州連合(EU)の説得でようやく仮調印にこぎつけた。
 和平合意が実現すれば、NATOが3500人の部隊を派遣、アルバニア系ゲリラ・民族解放軍の「自主性に基づいた武器回収作戦」を展開する見通しだ。だが、和平協定は正式調印後、マケドニア人が多数を占める国会で承認された上で憲法改正手続きが必要で、承認までには曲折が予想される。
 マケドニア政府軍兵士襲撃事件を受け、犠牲となった兵士の地元、南部のプリレプでは8日、マケドニア人約100人がアルバニア系住民の商店を破壊し、モスクに放火するなどした。首都スコピエでもマケドニア人強硬派約150人が政府建物に投石などして「アルバニア系ゲリラへの軍事強硬路線」を要求した。 [2001-08-09-11:50] 35
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 08/09@マケドニアで和平仮調印 衝突で政府軍兵士10人死亡(共同通信)

 【ドブロブニク(クロアチア)9日共同】マケドニアの主要四政党の指導者は八日、南部オフリドで続けていた和平協議で、少数派アルバニア系住民の権利向上をうたった合意文書に仮調印した。調停役の欧州連合(EU)のレオタール特使は、十三日に首都スコピエで正式な調印式典を行うと発表、約一カ月にわたり紆余(うよ)曲折した協議は大きく前進した。
 これに先立ち、同国西部テトボとスコピエを結ぶ幹線道路で同日、アルバニア系住民の武装組織「民族解放軍」が政府軍の車列を奇襲攻撃し、政府軍兵士十人が死亡、三人が負傷した。攻撃を受けて政府軍が現場近くで反撃したほか、テトボでも戦闘が再開された。和平合意文書の仮調印で衝突が収まるかどうかは不透明だ。
 北大西洋条約機構(NATO)は和平合意と無期限停戦が実現すれば、解放軍の武装解除のため約三千五百人の部隊をマケドニアに配備するとしている。
 合意文書はアルバニア系住民の権利向上を約束する内容を憲法に盛り込むことをうたった本文と三つの付属文書で構成。一時は和平協議のボイコットを表明したトライコフスキ大統領の最大政党も仮調印に参加した。
 激しい衝突にもかかわらず、主要政党が和平文書に仮調印したのは、政治的合意を早期に実現しなければ、解放軍と政府部隊の戦闘を止められないと主張するEUや米国の調停者の圧力があったとみられる。(了)[2001-08-09-11:47] 36
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 08/09@マケドニア、和平案に主要4政党が合意(読売新聞)

 【ウィーン8日=佐々木良寿】マケドニア紛争の解決に向けて同国南部オフリドで政治対話を続けてきたマケドニア人、アルバニア系の主要政党4党指導者は8日、欧州連合(EU)、米国が提示していた包括的和平案に合意、仮調印した。EUのフランソワ・レオタール特使は首都スコピエで13日に正式調印されることを明らかにした。
 同特使は、双方が和平案に仮調印したかどうかについては言及を避けたが、現地からの報道では、双方の政党関係者が仮調印を確認した。
 合意した和平案は、すでに原則合意されていた〈1〉アルバニア系人口が20%を超える地域でのアルバニア語の公用語化〈2〉警察内のアルバニア系比率を高める組織再編――を柱に、アルバニア系住民の権利向上を盛り込んだ。マケドニア政府は正式調印後45日以内に議会に合意承認を求める。
 政治対話では、大詰めになってマケドニア人政党が、アルバニア系武装組織「民族解放軍(NLA)」の完全な武装解除を要求。また、7日に警察がNLAメンバー5人を射殺、8日には政府軍兵士10人が死亡する戦闘が起きるなど、合意が危ぶまれる状況となっていたが、双方への米欧の強い圧力で合意に達した。
 ただ、8日の戦闘後、スコピエではマケドニア人強硬派の市民約150人が政府機関の入った建物に投石、NLAへの強硬策を求めたほか、死亡した兵士の地元の南部プリレップではモスク(イスラム教礼拝所)やアルバニア系商店が焼き打ちされるなど、和平の行方は依然、予断を許さない。[2001-08-09-10:55] 38
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 08/09@マケドニアの和平協議で主要4政党が暫定合意文書に調印(朝日新聞)

 アルバニア系ゲリラ「民族解放軍」と政府軍との停戦に向けたマケドニアの和平協議で、二つの民族を代表する主要4政党は8日、少数派であるアルバニア系住民の地位向上を認める暫定合意文書に調印した。仲介役を務めるEU(欧州連合)のレオタール現地代表は包括合意文書の正式調印を13日に行うとの見通しを示した。
 2月から続く民族紛争は解決に向けて一歩前進し、次の焦点は投降に応じるゲリラの武装解除を支援するNATO(北大西洋条約機構)の3000人規模の派兵の実現に移る。しかし派兵には完全な停戦が条件とされている。和平協議のかたわら武力衝突が続いているうえ、「民族解放軍」が簡単に武器を置くとは見られておらず、合意が空文化する危険もある。
 協議は南西部のオフリドで行われてきた。合意内容は発表されていないが、現地からの報道によると、アルバニア系が2割を超す地域ではアルバニア語も公用語と認められた。アルバニア系の警官の数を数年間で人口比に近い割合に増やすことも決まった模様。人口約200万のうちアルバニア系は約3割を占める。
 一方、政府軍に対するゲリラの攻撃に対して、強硬派の閣僚を含む国防評議会は8日夜、「治安部隊や市民への脅威には徹底攻撃を加える」と警告した。
 投降ゲリラに罪を問うのかどうかの政治判断も和平への障害になりそうだ。内務省はゲリラの幹部約10人を「人道に反する罪」に問う構えで、武装解除をめぐるゲリラとの交渉が複雑化する恐れもある。
 南部のプリレプでは同日、ゲリラによる軍兵士殺害に怒った約100人のマケドニア人がアルバニア系の商店や家など数軒を破壊し、モスク(イスラム礼拝所)に放火した。
 首都スコピエでも数百人の市民がアルバニア系の店を壊し、警察が催涙ガスを使用して鎮圧するなどの事件が発生した。アルバニア系への譲歩を不満として、大統領退陣を求めるスローガンも叫ばれ、社会情勢は極めて不安定になっている。[2001-08-09-10:31] 39
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 08/09@主要政党が和平に仮調印 マケドニア、一方で衝突も(共同通信)

 【ドブロブニク(クロアチア)8日共同】マケドニア南部オフリドからの報道によると、マケドニア紛争打開の和平協議を進めていた同国主要政党は八日、少数派アルバニア系住民の権利向上をうたった和平合意の文書に仮調印を始めた。十三日に正式文書の調印式を行う見通し。
 二月に激化したアルバニア系住民の武装組織「民族解放軍」とマケドニア政府部隊の衝突で、内戦の危機に迫ったマケドニア情勢はようやく解決に向かう可能性が出てきた。
 これに先立ち、同国西部テトボと首都スコピエを結ぶ幹線道路で、解放軍が政府軍の車列を奇襲攻撃し、政府軍兵士十人が死亡、三人が負傷した。攻撃を受けて政府軍が現場近くで反撃したほか、テトボでも戦闘が再開された。和平合意の仮調印で衝突が収まるかどうかは不透明だ。
 先月上旬に解放軍と政府部隊の停戦が発効してから最悪の衝突で、AP通信によると、一回の衝突による政府軍側の死傷者数としても、二月に双方の戦闘が激化して以来最多。
 激しい衝突にもかかわらず主要政党が和平文書の仮調印を始めたのは、政治的合意を早期に実現しなければ、解放軍と政府部隊の衝突を止められないと主張する欧州連合(EU)や米国の調停者の圧力があったとみられる。
 正式合意を受けて北大西洋条約機構(NATO)軍部隊約三千五百人がマケドニアに駐留、約一カ月で同解放軍の武装解除を進める予定だ。(了)[2001-08-09-07:53] 41
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 08/09@マケドニア紛争、和平案に合意へ仮調印(読売新聞)

 【ウィーン8日=佐々木良寿】マケドニアからの報道によると、マケドニア紛争和平に向けて詰めの政治対話を行っていたアルバニア系主要政党の指導者は8日、米欧仲介の包括的和平案に合意、仮調印した。しかし、マケドニア人系政党側は態度を保留している。
 仲介役のフランソワ・レオタール欧州連合(EU)特使は、アルバニア系政党の合意を受け、「我々が提示した和平案は13日に調印されることになろう」と述べた。
 アルバニア系側が合意した和平案は、すでに原則合意された〈1〉アルバニア系住民人口が20%以上を占める地域でのアルバニア語の公用語化〈2〉今後2年で警察内のアルバニア系を1000人前後採用し、アルバニア系の比率を高める組織改編――の2点を柱に、アルバニア系住民の権利向上を盛り込んでおり、マケドニア政府は45日以内に議会に承認を求める。
 これに対し、8日にスコピエと西部テトボを結ぶ幹線道路沿いでアルバニア系武装勢力「民族解放軍(NLA)」の攻撃により政府軍兵士10人が死亡した事態を受けてマケドニア人系側は態度を硬化。政治対話に参加していたゲオルギエフスキ首相は一時的に協議を離脱した。トライコフスキ大統領が国防評議会を開いて対応策を協議中。アルバニア系側の合意は、最終合意に向けてマケドニア系側に圧力をかけるのが狙いと見られる。 [2001-08-09-02:21] 42
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 08/09@<マケドニア>内戦突入、不可避か 和平調印後も不安山積(毎日新聞)

 マケドニア紛争の解決に向けたマケドニア人とアルバニア系住民双方の主要政党による政治協議は8日、包括和平調印に向けた最後の詰めが続いた。関係者の間では「和平が合意されても、マケドニア人とアルバニア系住民との対立は決定的で、将来の内戦突入は不可避」との悲観論が根強い。旧ユーゴスラビアの中で唯一内戦を免れてきた国の危うい和平の行方を追った。【ウィーン福井聡】
 「双方とも強硬派が支持を広げている。和平協定が調印されても、共存は事実上不可能だ。民族ごとの分離は避けられない」。バルカン情勢の研究機関「国際危機グループ」のピアソン研究員はそう分析する。
 アルバニア系ゲリラ・民族解放軍が今年2月に攻撃を表面化させて以来、マケドニアでは戦闘激化のたびに欧州連合(EU)と北大西洋条約機構(NATO)が調停に入り、何とか内戦突入を回避してきた。
 7月末に始まった政治協議では、(1)アルバニア系住民の警官数を今後2年間で全警官の23%に増加させる(2)アルバニア系住民が人口の20%を超える地域でアルバニア語を公用語とする――の2点が合意された。残るは戦闘終結の具体的確認とゲリラ兵士への恩赦(免責)問題のみとなっていた。
 しかし、警官問題では最終警察権限を(マケドニア人主体の)現政府下に置き、言語問題でも地域を限定され、アルバニア系側が譲歩した形となっている。アルバニア系住民は現在、人口200万人の約3分の1を占め、高い出生率を維持すれば10年後には過半数をうかがう勢いにある。このため、あくまで「現状での暫定合意」という判断が色濃く残る。
 一方のマケドニア人側には、「アルバニア系に譲歩すれば彼らの独立につながりかねない。ゲリラの攻撃を機に譲歩したとの印象は避けたい」との意識が強く、協議がまとまりかけるたびに強硬派からの反発が起きた。仮に和平協定が調印されても、マケドニア人政党が多数派を占める国会の和平案承認に加え、ゲリラの恩赦(免責)容認など、不確定要素は多い。
 両民族の多くは紛争開始以前は混住していたが、過去半年間にそれぞれ多数派居住地域への移住を進め、民族分断は一層明確となっている。
 マケドニア語の週刊誌サンのマンゴフスキ編集長は「共存は今後不可能だろう。アルバニア系は協議の場では言語を求めているが、真の目的は領土だ」と指摘する。
 一方、アルバニア語紙ファクティのアゼミ編集長は「民族解放軍だけでなく、マケドニア人民兵の武装解除も実施されねば、アルバニア系住民は不平等と受け取る」と反発している。 [2001-08-09-01:20] 43
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 08/09@<米露協議>手探り「米露新時代」 安保協議の課題を分析(毎日新聞)

 米国とロシアは7月の首脳会談での合意に基づき、ワシントンで7、8の両日、ミサイル防衛構想と相互の核戦略削減を包括的に討議する安保協議を行った。13、14日にはラムズフェルド米国防長官が初の訪露を予定しており、10月と11月の米露首脳会談の開催も確定した。さらにブッシュ大統領の年内訪露も予想され、米露関係は秋から年末にかけて大きく動く可能性もある。両国の姿勢と課題を分析する。
 ■塀は不退転の構え
 ワシントンで続く米露の国防高官協議は、米側によれば、冷戦を完全に過去のものとして「米露新時代」へ移行する助走段階と位置付けられる。 だが、「新時代」に移行するには、弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約の改廃という高いハードルを越さねばならない。プーチン・ロシア大統領は7月の首脳会談で、改廃問題のみを協議することに反対し、米露の核戦力削減をセットにした包括協議を提案した。今回の高官協議は、その手始めの話し合いだ。
 包括合意には時間がかかる。条約改廃を急ぐ米国は回り道を余儀なくされ、プーチン大統領の作戦はひとまず奏効したと言えるだろう。だが、米国は秋以降、ミサイル防衛の迎撃実験のペースを早め、同条約が禁じる海上配備システムの迎撃実験にも踏み切る方針を示すなど、「不退転」の構えを強調している。
 クリントン前政権の米本土ミサイル防衛(NMD)構想は、地上配備の迎撃ミサイルで敵ミサイルを破壊することが中心だった。ブッシュ政権は「多層防衛」の概念を導入し、敵ミサイルの発射から弾頭切り離しまでの段階でも、海上発射や空中発射の迎撃装置で破壊する構想に転じた。
 国防総省の幹部は「将来的には宇宙空間での迎撃兵器の配備も検討される可能性が大きい」としている。「限定的な防衛手段」と言いつつ、ブッシュ政権のミサイル防衛構想は、レーガン政権時の「スター・ウォーズ」計画に限りなく近付いているのが実情だ。
 それだけに、ロシアとしては簡単にはABM制限条約の改廃に同意できまい。戦略交渉におけるロシアの関心は、米国がどこまでミサイル防衛の規模を広げるつもりかを見定めることも含まれよう。米国の防衛力のみが増大する「新時代」は、ロシアが望むものではないからだ。【ワシントン布施広】
 ■露「反対」に固執せず
 「ABM制限条約の一部修正がロシアの安全保障を脅かさないとの結論になるのなら、大統領にそのように報告する」。ロシアのセルゲーエフ国防相は、米露の安保協議開始を前に、国防省の立場をこう説明した。
 この発言から見て取れるのは、従来のミサイル防衛構想もしくはABM制限条約見直しに絶対反対の立場ではない。場合によっては見直しもあり得るとの姿勢だ。
 ただ、ロシア側は米国のミサイル防衛構想が何を目指しているのか、いまひとつ不明な部分が多く、「きちんとした説明を受けたい」(バルエフスキー参謀第1次長)としている。それまでは見直し原則反対の立場を打ち出さざるを得ない。
 その一方で、ロシア指導部は今回の安保協議が米露の安全保障協議の大枠そのものを変える可能性があると見ている。ブッシュ大統領やライス米大統領補佐官(安全保障担当)は「冷戦時代は去った。新しい枠組みが必要だ」と主張しており、ロシア側は米国の思惑を確かめたいとしている。
 特に、ブッシュ大統領が6月、ポーランドで呼びかけた「ロシアは欧州の一部であり、米国の敵でない」とした「ロシアに開かれた欧州の建設」論は、クリントン前政権とは違った新しい戦略が始る可能性があると見ている。
 プーチン大統領は、ブッシュ大統領の大きな意図を感じながら、ABM条約の見直し交渉を、戦略変化の延長線上にとらえている可能性が強い。
 ロシアのマスコミは、米露の戦略変更の気配を「リュブリャナ精神」(6月、スロベニアの首都リュブリャナで行われた米露首脳会談での合意)と呼んで注目している。国際安全保障の枠組みを大きく超えるような動きの始りとなるのかどうか、ロシア指導部はじっと見守っている。【モスクワ石郷岡建】 [2001-08-09-01:20] 44
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 08/09@マケドニアで政府軍10人が死亡 和平協議に影落とす(朝日新聞)

 マケドニアからの報道によると、首都スコピエ近くで8日、政府軍兵士がアルバニア系ゲリラに襲撃され、10人が死亡した。軍は同国北部の丘陵地帯にあるゲリラの活動拠点にヘリコプターなどで攻撃を開始した。大詰めを迎えた主要4政党の和平協議を妨害したとみられる。
 襲撃事件が起きたのは首都と第2の都市テトボを結ぶ幹線道路。ゲリラは待ち伏せして軍車両に発砲したという。2月に始まった戦闘で、軍の1日の犠牲者としては最多。7日にはアルバニア系ゲリラが活動拠点としている首都のビルを警察が急襲して5人を射殺したため、これに対する報復ではないかとの見方がある。[2001-08-09-00:21] 5
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 08/09@在欧米軍の大幅削減、米国防副長官が示唆(読売新聞)

 【ワシントン8日=永田和男】ウォルフォウィッツ米国防副長官は8日記者会見し、9月末までに議会に提出する4年ごとの国防計画見直し(QDR)に、在欧米軍の大幅削減が盛り込まれる可能性が強いことを示唆した。
 副長官は「焦点の1つは、主要な脅威を抑止するため何が必要かということだが、欧州での脅威は世界の他の地域に比べ、文句なく低い」と語った。
 国防計画見直しでは、中東と朝鮮半島での同時紛争発生を想定した二正面戦略の放棄が想定されているほか、ミサイル防衛網やハイテク兵器開発の予算を増やすため、部隊の統廃合による人員削減が盛り込まれる見通し。副長官が欧州の脅威低減を明確に指摘したことは、削減が行われる場合、対象はアジアより欧州となる可能性が高いことを示すものだ。
 8日付の米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、見直し作業に携わる軍高官の話として、検討されている削減幅は陸軍が10個師団5万6000人、空軍が16飛行大隊で、海軍も空母1―2隻の削減が盛りこまれる見通しと報じている。[2001-08-09-10:51] 17
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 08/09@欧州の米軍を削減へ(共同通信)

 【ワシントン8日共同】ウルフォウィッツ米国防副長官は八日国防総省で記者会見し、米軍の「二正面戦略」の放棄に伴う海外の米軍基地削減について、欧州では「明らかに世界の他の地域より脅威が薄れている」と述べ、欧州に展開する米軍を削減する方針を示した。
 ラムズフェルド国防長官は、海外の米軍基地の整理・縮小案を来年三月までに作成するよう指示しているが、ブッシュ政権は台湾海峡情勢や朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の動向を理由にアジアでの米軍の重要性を強調しており、日本の米軍基地削減の可能性は極めて低いとされている。(了)[2001-08-09-08:15] 27
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 08/09@<記者の目>流血の政争は二度とない インドネシア政権交代(毎日新聞)

 インドネシアが「普通の国」になりつつあるということだろうか。ワヒド前大統領からメガワティ新大統領への政権交代が先月下旬、混乱なく行われた。98年5月のスハルト独裁政権の崩壊後、二つの短命政権が続いた政治情勢は、とりあえずひと山越えた感じだ。民主化にはなお課題が山積しているが、少なくとも「暴動と流血のインドネシア」という色眼鏡を捨てて、この国の行方を見守る時期に来ていると思う。
 政権交代から一夜明けた24日朝のジャカルタはよく晴れて、弛緩した空気が流れていた。暴動はおろか大規模デモもない。ワヒド前大統領は非常事態宣言で抵抗したが、国軍・警察が従わない以上「二重権力状態」など生まれる余地もなく、まるで「予行演習でも済ませていたかのよう」(外交筋)に決着が付いた。
 この朝、日本の民放ラジオ局から電話リポートを頼まれていた。冒頭で「ジャカルタでは、ワヒド前大統領が居残る官邸を戦車が包囲し、緊迫した情勢のようですね」と話を振られ、一瞬答えに詰まった。あわてて「いえ、ジャカルタは落ち着いています」と答えたが、生放送のやり取りは何となくボケてしまった。
 これまでも日本から「インドネシアは相変わらず混乱してるみたいだけど、危なくないの?」と聞かれるたびに違和感を覚え、それを伝え切れない責任も感じてきた。スハルト独裁崩壊時の暴動、東ティモール騒乱が生んだ否定的な先入観に加えて、装甲車や国軍兵士を映し出すテレビ映像がイメージを増幅しがちだが、時代は大きく変わっている。政治家の言動はメディアを通じて逐一報じられ、国軍が首都で群集に発砲するご時世でもない。議会はともかくも手続きの合法性にこだわり、ワヒド支持派を含めて各勢力に「暴力では何も得られない」との共通認識が浸透していた。
 国民も冷めていた。私は6月14日付け本欄で「政治エリートの権力闘争劇」と書いたが、基本的な評価は今も変わらない。前大統領が石もて追われ、新大統領が熱狂的に迎えられたわけではない。アミン・ライス国民協議会議長ら議会側のワヒド追い落としは「スハルトの時と違って政治ゲームで、国民の大半は無関心」(30代女性)だった。同世代の知人が言うには「“グス・ドゥル”(前大統領の愛称)は優れた人物だけど、何かと誤解を生む言動が多かった。“メガ”(メガワティ大統領)は聡明とは言えないが、おとなしく座っていれば、とりあえず政治は安定するだろう」。これが国民のごく一般的な政局観である。
 首相が異常な人気を集め、批判に対してヒステリックな抗議が殺到する国よりも、人々はよほど冷静だった。
 もっとも一連の過程は、結果的に次の2点を鮮明にした。大統領に強大な権限を認めた現行の「45年憲法」が時代に合わず、強い指導力を持つ大統領より、国家の象徴としての存在が求められていること。そして「大統領権限と議会の役割を明確にする憲法改正が必要」(ジーワンドノ元戦略国際問題研究所・主任研究員)ということだ。国の仕組みの欠陥をはっきりさせたのは、皮肉な話だが、ワヒド前大統領の大きな功績と言えるかもしれない。
 しかし政権交代によってインドネシアが劇的に変わるわけではない。新政権誕生のどさくさに紛れて、スハルト一族の汚職裁判を担当した最高裁判事が何者かに射殺される事件があった。警察は重大犯罪に無力で、裁判がカネで左右される司法腐敗は正されていない。独立運動が続くアチェ特別州では連日のように住民が殺され、各地の紛争による避難民は120万人と言われる。経済再建が遅れる中で、推計だが失業者数は3600万人にも上っている。
 スハルト時代に連なる守旧派勢力を抱え込み、国軍に甘いメガワティ大統領には「操り人形の大統領」(香港誌)との厳しい評価がある。連立政党間のポスト争いで組閣に2週間以上かかっている状況を見ても、新政権が本当に民主改革を押し進められるのか、懐疑的にならざるを得ない。
 国民が安定こそを願い、冷静に政治を見つめ始めたこの国で、流血の政争は2度と起きないと思う。その一方で、深刻な不正・腐敗体質や人権侵害を無視して「新生インドネシア」に幻想を抱くこともできない。アジアの重要なパートナーである日本は、過度の期待も偏見も排して、人口2億人の大国インドネシアと向き合う必要がある。 [2001-08-09-01:20]


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