最近のボスニア(旧ユーゴスラビア)情報

(07/31, 2001)


[メニュー]   [自己紹介]   [最近のボスニア]   [リンク]

◆ 07/21@<サミット>マケドニア情勢について討議(毎日新聞)
◆ 07/21@<サミット>「優等生ぶり」目立つプーチン露大統領(毎日新聞)
◆ 07/21@京都議定書、G8でも訴え(読売新聞)
◆ 07/21@<サミット>G8首脳、京都議定書問題討議へ (毎日新聞)
◆ 07/21@マケドニアでEU停戦監視員3人が死亡 (読売新聞)
◆ 07/21@国連の小型武器会議、行動計画案など合意(読売新聞)
◆ 07/21@米の銃所有に関する主張受け入れ合意 国連小型武器会議(朝日新聞)
◆ 07/21@サミットで世銀改革浮上、無償援助拡大巡り(読売新聞)
◆ 07/21@国際規範策定の意義大きく 武器取引規制の第一歩(共同通信)
◆ 07/21@政治文書案で最終合意 銃所有権で米主張認める 小型武器会(共同通信)
◆ 07/21@<国連小型武器会議>政治宣言案で最終合意(毎日新聞)
◆ 07/21@日本の「海底新領土」、国土の1・7倍に(読売新聞)
◆ 07/21@G8宣言「核不拡散」などは削除の方向 (読売新聞)
◆ 07/21@原水爆禁止世界大会は今夏も分裂開催 (朝日新聞)
◆ 07/21@日本憲法との関連指摘 ミサイル防衛で米国務長官(共同通信)
◆ 07/21@<国連小型武器会議>政治宣言合意できず 閉幕予定時間過ぎ(毎日新聞)
◆ 07/21@<サミット>反グローバリズム組織の異議申し立ての場に(毎日新聞)
◆ 07/21@国連小型武器会議、議長が米に譲歩の最終案提示へ(読売新聞)
◆ 07/21@<ニュースの背景>アンゴラ内戦(毎日新聞)
◆ 07/21@<アンゴラ>祖国捨てる難民 終わりなき戦火、地雷被害絶え(毎日新聞)
◆ 07/22@<サミット>地域情勢に関するG8声明の要旨(毎日新聞)
◆ 07/22@<サミット>マケドニア領土の保全を最優先することを確認(毎日新聞)
◆ 07/22@<サミット>「地域情勢に関するG8首脳声明」に合意(毎日新聞)
◆ 07/22@<サミット>軍縮不在 サミットが安全保障協議で機能不全に(毎日新聞)
◆ 07/22@<サミット>地域情勢 「紛争解決」の命題 なお試行錯誤状(毎日新聞)
◆ 07/22@小型武器会議が閉幕、行動計画案を採択 (読売新聞)
◆ 07/22@<サミット>米国追随イメージの払しょくに疑問残る 小泉外(毎日新聞)
◆ 07/22@<サミット>NGO 政治不信と暴動への嫌悪感を残す(毎日新聞)
◆ 07/22@日本、即時受け入れに難色 京都議定書の規則交渉(共同通信)
◆ 07/22@黒柳さんがアフガン入り 干ばつ避難民視察へ(共同通信)
◆ 07/22@京都議定書で首脳対立 欧州に「米抜き」で温度差 G8(共同通信)
◆ 07/22@<酸いも辛いも>首相とコロンブスの卵 (毎日新聞)
◆ 07/22@<クローズアップ>京都議定書問題 各国が批准で激論(毎日新聞)
◆ 07/22@<サミット>過激派と軍警察が衝突 2日間で約260人が負(毎日新聞)
◆ 07/22@<視点>ポピュリズム 政治と大衆の新しい関係構築を(毎日新聞)
◆ 07/23@<米露首脳会談>「協調」で危機を乗り切る 交渉は長期化へ(毎日新聞)
◆ 07/23@核削減とミサイル防衛はセットで交渉 米ロ首脳合意(朝日新聞)
◆ 07/23@<インドネシア>政権交代、「次」狙う議長が画策(毎日新聞)
◆ 07/23@米、生物兵器禁止条約反対表明へ(読売新聞)
◆ 07/23@<ローマ訪問>万能細胞の実験禁止を訴え 法王が米大統領に(毎日新聞)
◆ 07/23@メガワティ新大統領が就任 ワヒド氏は解任無視の構え(共同通信)
◆ 07/23@コンゴ大使が無関係を強調 事務所家賃滞納問題で(共同通信)
◆ 07/23@米の反対で交渉に暗雲 生物兵器条約の議定書会合(共同通信)
◆ 07/23@ウクライナ分割の主張も 影響力回復目指すロシア(共同通信)
◆ 07/23@上院が法廷修正案可決 カンボジア(共同通信)
◆ 07/23@<米露首脳会議>ミサイル防衛と戦略核削減の包括協議 露は(毎日新聞)
◆ 07/23@テント学校の子ども視察 アフガン訪問の黒柳さん(共同通信)
◆ 07/23@女子教育の推進を計画 ユニセフ親善大使、黒柳徹子さん(共同通信)
◆ 07/23@<東論西談>強引な外交とサミット 討議しないなら「無用」(毎日新聞)
◆ 07/24@◎コソボなどの米軍削減せず=ブッシュ大統領が現地で演説(時事通信)
◆ 07/24@マケドニアで戦闘 少女1人死亡、24人けが(朝日新聞)
◆ 07/24@<米大統領>コソボ自治州を訪問 米軍単独早期撤収せず(毎日新聞)
◆ 07/24@マケドニア・テトボで市街戦、停戦は事実上崩壊(読売新聞)
◆ 07/24@<マケドニア>政府軍とアルバニア系ゲリラが戦闘、19人死(毎日新聞)
◆ 07/24@「イスラエル首相の罪」告訴、ベルギー裁判所が受理(読売新聞)
◆ 07/24@<日中外相会談>中国側の敏感さ示す 靖国神社参拝問題(毎日新聞)
◆ 07/24@マンデラ氏、前立腺がん(共同通信)
◆ 07/24@<米露関係>包括的戦略交渉急ぐ ブッシュ米大統領会見(毎日新聞)
◆ 07/24@一方的外交より鮮明に ブッシュ大統領訪欧で(共同通信)
◆ 07/24@韓国の歴史教科書を翻訳 怒りの理由に理解を(共同通信)
◆ 07/24@女子小学校で交流できず 黒柳さん、タリバン抗議で(共同通信)
◆ 07/24@生物兵器禁止条約の議定書最終交渉、合意不可能な情勢(朝日新聞)
◆ 07/24@<記者の目>ジェノバ・サミットを顧みて 中村秀明(経済部(毎日新聞)
◆ 07/25@クロアチア戦犯が出頭 独立戦争絡み国際法廷へ(共同通信)
◆ 07/25@数千人が暴徒化、米大使館襲う マケドニア(朝日新聞)
◆ 07/25@マケドニア・テトボで市街戦続く、首都は騒乱状態(読売新聞)
◆ 07/25@<マケドニア>首都でデモ隊が暴徒化 英独米の大使館を襲撃(毎日新聞)
◆ 07/25@<ユーゴ>連邦の新政府樹立 連邦の再定義が課題に(毎日新聞)
◆ 07/25@エジプト大統領とすれ違い 米の中東離れ浮き彫り(共同通信)
◆ 07/25@マケドニア首都で暴動 またも混乱拡大の様相(共同通信)
◆ 07/25@ユーゴ新内閣を承認 連立崩壊を回避 (共同通信)
◆ 07/25@天声人語(朝日新聞)
◆ 07/26@マケドニア・テトボからの撤退、武装勢力が開始(読売新聞)
◆ 07/26@NATO事務総長らマケドニア入り、スラブ系は反発(朝日新聞)
◆ 07/26@NATO総長らが和平仲介 マケドニア、解放軍撤退か(共同通信)
◆ 07/26@<マケドニア>政府軍と民族解放軍が停戦の再度締結で合意(毎日新聞)
◆ 07/26@解放軍がテトボ撤退同意 マケドニア、NATO仲介(共同通信)
◆ 07/26@ユーゴ新内閣発足、連邦分裂の危機回避 (読売新聞)
◆ 07/27@<マケドニア>政党とアルバニア系政党との対話再開(毎日新聞)
◆ 07/27@マッカートニーさん婚約 片足切断の元モデルと(共同通信)
◆ 07/27@<マケドニア>ゲリラ側が後退開始か 停戦協定の再締結で合(毎日新聞)
◆ 07/28@マケドニアの主要4政党が和平対話(読売新聞)
◆ 07/28@主要政党が本格和平協議 マケドニア紛争(共同通信)
◆ 07/28@米国務長官が中国閣僚らと会談、関係修復へ始動(読売新聞)
◆ 07/28@ユニセフ親善大使・黒柳徹子さんが帰国へ(共同通信)
◆ 07/28@国連人種差別反対会議、米がボイコットの姿勢(読売新聞)
◆ 07/28@<米露専門家協議>ワシントンで8月 ミサイル防衛など一括(毎日新聞)
◆ 07/28@<人種差別会議>シオニズム非難や奴隷制度謝罪で米反発、欠(毎日新聞)
◆ 07/28@米がまた「一方的外交」 国連会議ボイコットも(共同通信)
◆ 07/29@マケドニア4政党、2日目の和平対話に (読売新聞)
◆ 07/29@<前米国務長官>ブッシュ政権の一方的外交を批判 (毎日新聞)
◆ 07/29@<小泉現象を考える>ジャギーな外交では困る(毎日新聞)
◆ 07/30@<マケドニア>アルバニア系武装ゲリラが内相銃撃 和平に暗(毎日新聞)
◆ 07/30@マケドニア内相を襲撃 和平協議は進展せず(共同通信)
◆ 07/30@生物兵器禁止条約議定書の策定断念表明 交渉振り出しに(朝日新聞)
◆ 07/30@ティモール境界で銃撃戦(共同通信)
◆ 07/30@「約束の地」から離れない 西岸のユダヤ人入植者(共同通信)
◆ 07/31@<ユーゴ>コソボ自治州で議会選挙の有権者登録を開始(毎日新聞)
◆ 07/31@<マケドニア>アルバニア系ゲリラ11人の逮捕状請求 検察(毎日新聞)
◆ 07/31@<アルバニア>野党が議会ボイコット宣言 選挙結果受け入れ(毎日新聞)
◆ 07/31@天声人語(朝日新聞)
◆ 07/31@<余録>首相の熟慮(毎日新聞)
◆ 07/31@コンドームの使用奨励に反対声明 カトリック司教会(朝日新聞)
◆ 07/31@東ティモール選挙の監視団計画を決定 (読売新聞)
◆ 07/31@東ティモールに選挙監視団 政府関係者と民間人計14人で構(共同通信)
◆ 07/31@NGO支援に5億8千万円を拠出(共同通信)

 (注)この「最近のボスニア」コーナーは、一般に報道されている記事に、千田が一部手直しして掲載しているものです。出所は明示しており、各社・各記者の著作権を侵害するつもりはありませんが、著作権上問題があるとお考えの方や、自分(自社)の記事は載せないでほしいという方がいらっしゃれば、このホームページの感想もふくめて、千田あてに連絡してください。
 千田あての電子メールはここをクリックしてください。  [最初のページに戻る]


[このページの最初に戻る]

 07/21@<サミット>マケドニア情勢について討議(毎日新聞)

 【ジェノバ井上卓弥】G8首脳は21日、政府軍・警察と少数派アルバニア系ゲリラ「民族解放軍」の戦闘が続き、旧ユーゴスラビア連邦での新たな内戦の可能性をはらむマケドニア情勢について討議。政治的解決をめざすマケドニア政府に対する支持を鮮明にし、マケドニア分割につながる「大アルバニア主義」を排して同国領土の保全を最優先することを確認する。また、和平達成後の経済協力などを目的にした支援会議の開催を表明する。
 欧州連合(EU)などの仲介で進められているアルバニア系住民代表とマケドニア政府の交渉は、アルバニア系の権利回復についてのマケドニア側の譲歩で一定の成果を挙げているが、コソボ自治州のアルバニア人勢力の支援を受けるゲリラの存在が和平への障害となっている。首脳は一致して暴力行為を非難、アルバニア系ゲリラの武装解除の必要性を改めて確認する。
 北大西洋条約機構(NATO)の介入で終結した99年のユーゴスラビア・コソボ紛争後、セルビア人保護のためコソボの国際平和維持部隊「KFOR」に独自兵力を派遣してきたプーチン・ロシア大統領にとって、欧米主導で進められているマケドニア和平問題について、積極関与する初の場となる。
 同大統領はゲリラに寛容な欧米の姿勢に不信感を抱くスラブ系の多数派マケドニア人の立場を説明。コソボから越境するゲリラ勢力の兵員や武器の取り締まり強化を要請する。[2001-07-21-19:20] 45
[このページの最初に戻る]


 07/21@<サミット>「優等生ぶり」目立つプーチン露大統領(毎日新聞)

 【ジェノバ田中洋之】20日開幕した主要国首脳会議(ジェノバ・サミット)で、ロシアのプーチン大統領は途上国支援やエイズ対策などへの積極協力を打ち出すなど「優等生ぶり」が目立っている。ロシアが他の7カ国と同格であることを世界に訴える狙いがあるようだ。一方、22日のサミット終了直後に行われるブッシュ米大統領との個別首脳会談では、ミサイル防衛構想実現に突き進む米国の「独走」に歯止めをかけられるかが腕の見せどころだ。
 ロシアは創設が決まった「世界保健基金」に2000万ドルの資金提供を表明。プーチン大統領はイタリア紙とのインタビューで「ロシアはG8の中で貧困国への債務救済総額が4位で、国内総生産(GDP)比では1位」と貢献度をアピールした。地球温暖化防止のための京都議定書についても対立する米国と欧州連合(EU)の仲介役を務める意向を示している。
 過去のサミットでは、ロシアへの経済支援や対外債務問題が取り上げられるなど、ロシアは「半人前」の扱いだった。プーチン大統領の登場で様変わりした背景には、原油価格高騰に支えられた好調な経済や国内の政治・経済的安定を実現させた自信があり、大統領には余裕の表情さえうかがえた。
 一方、懸案のミサイル防衛問題について、プーチン大統領は、スロベニアで先月開かれた米露首脳会談の合意に基づき、米露間の協議を早急に開始させたい考えだ。
 大統領はサミット直前に中国の江沢民国家主席とモスクワで会談し、弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約の維持・強化で一致したが、「(米国に対抗するため)中国など他国と共同で行動するつもりはない」と述べている。
 一方、セルゲーエフ大統領補佐官(前国防相)が「米国がアラスカに新たなミサイルサイトやレーダーの設置を始めれば、ABM条約違反の最初のサインとみなす」と警告するなど、硬軟絡めた戦略を強めている。 [2001-07-21-18:55] 46
[このページの最初に戻る]


 07/21@京都議定書、G8でも訴え(読売新聞)

 【ジェノバ21日=早乙女大】第27回主要国首脳会議(ジェノバ・サミット)は21日午前(日本時間21日夕)、イタリア・ジェノバのスピノラ宮殿で、プーチン露大統領を加えた主要8か国(G8)首脳による討議に入る。地球温暖化防止のための京都議定書問題では、小泉首相が米国の参加を目指す立場から、「G8が協調して早期の解決を図り、(世界に)共通の前向きなメッセージを出すべきだ」と訴え、米欧の歩み寄りを促す。
 ただ、双方の対立が解ける見通しは立っておらず、首脳会議で論議が進展するかどうかは不透明だ。
 G8首脳の討議は2日間の日程で、環境問題や開発、地域情勢など政治問題を話し合う。これを踏まえ、「地域情勢に関する声明」、G8首脳の総括文書「G8宣言」を採択する。
 米国が不参加を表明し、フランスなどが米国抜き批准の構えを見せている京都議定書問題について、小泉首相は〈1〉温暖化問題は地球の未来、人類の生存にかかわる重大な問題であり、緊急な対策が必要〈2〉日本は2002年発効を目指し全力を尽くす〈3〉すべての国が1つのルールの下で行動することが大切で、日本は米国の参加実現に粘り強く努力する――などの考えを表明する。
 地域情勢では、ローマでのG8外相会議を踏まえ、中東問題や朝鮮半島問題について話し合う。「地域情勢に関する声明」には朝鮮半島、マケドニア、アフリカの3地域についてのG8の対応を盛り込むことが固まっており、北朝鮮問題では2回目の南北首脳会談の早期開催を訴えるとともに、「安全保障、(ミサイルや核の)不拡散、人道及び人権の諸問題をめぐる国際的な懸念に対する北朝鮮の建設的な対応を期待する」との表現が盛り込まれる。
 情勢が緊迫している中東問題については緊急に声明をまとめる方向で調整している。討議ではこのほか、途上国の開発を重視する立場から、経済成長の問題も議題になる。小泉首相は「経済成長には国民の教育が不可欠である」などと発言する見通しだ。 [2001-07-21-13:14] 47
[このページの最初に戻る]


 07/21@<サミット>G8首脳、京都議定書問題討議へ (毎日新聞)

 【ジェノバ中村秀明】主要国首脳会議(ジェノバ・サミット)は2日目の21日午前(日本時間同日午後)、地球温暖化防止に向けた京都議定書問題を含む「環境」について、ロシアを加えた主要8カ国(G8)で討議する。同問題では首脳間で意見が対立し、ボンで開かれている気候変動枠組み条約第6回締約国会議(COP6)再開会合での交渉を後押しするような合意は困難視されている。このため22日発表のG8首脳宣言に温暖化防止策がどのような表現で盛り込まれるかが焦点となっている。
 米国は10月にモロッコで開くCOP7で議定書の枠組みに代わる案を出す構えで、COP6での合意を先送りすると同時に、サミットで米国への批判集中を回避することも狙っている。欧州は米国抜きの議定書発効も辞さない姿勢だ。
 こうした中で、議定書発効の事実上のキャスチングボートを握りながら、明確な方針を打ち出していないのが、議定書策定の議長国でもあった日本。小泉純一郎首相は「温暖化防止は待ったなしの重要な問題」「02年の議定書発効に全力を尽くす」などと語っているが、「米国の参加・協力が望ましい」とも述べ、欧州各国から「前向きに取り組んでいない」とみられている。
 また、この日の討議では、紛争を抱えたり、政情が安定していない中東やマケドニア、朝鮮半島など「地域情勢」についても議論する。 [2001-07-21-11:00] 49
[このページの最初に戻る]


 07/21@マケドニアでEU停戦監視員3人が死亡(読売新聞)

 マケドニアからの報道によると、同国西部の主要都市テトボ近くで20日、アルバニア系武装勢力と政府軍との間の停戦を監視していた欧州連合(EU)の監視団員3人の乗った車が地雷に触れ爆発、全員死亡した。同国紛争で国際機関関係者が死亡したのは初めて。ノルウェーとスロバキアの監視団員と通訳の3人で、19日にテトボ周辺の山間部で監視活動に出たまま行方が分からなくなっており、20日に大破した車が発見された。(ウィーン支局) [2001-07-21-02:03] 200 [このページの最初に戻る]


 07/21@国連の小型武器会議、行動計画案など合意(読売新聞)

 【ニューヨーク21日=河野博子】冷戦時代に過剰蓄積され、その後世界中に出回っている自動小銃など小型武器の削減や不正取引の防止を目指し、189か国が参加して9日からニューヨークの国連本部で開かれていた国連初の「小型武器会議」は21日午前6時(日本時間同日午後7時)すぎ、政治宣言・行動計画案について取りまとめ作業で合意に達した。同日正午からの本会議でこれを採択し、閉幕する。
 米、露、中国など武器生産国には、条約などによる国際規制に道を開くことになるとして抵抗が強く、各国が違法取引を禁止・監視する規制強化を行うことを申し合わせるにとどまった。しかし、武器取引の透明性を高めるための国際的取り組みの第一歩として注目される。
 行動計画には、各国が〈1〉製造元を銃に刻印し、流通経路を追跡できるようにするマーキング〈2〉製造・保有・取引に関する記録の作成・保持〈3〉実効的な輸出入承認制度の維持・確立――に取り組むことや、過剰に累積した武器の処分や規制の整備を行う開発途上国への財政支援、5年以内のフォローアップ会合開催などが盛り込まれた。
 議長団は最終日の20日、米国の主張に配慮した最終案を提示したが、「市民が銃を所持する権利」と「自由のため、圧制と戦う反政府勢力への武器供給」にこだわる米国が、これらに抵触する2項目の削除を求めて強硬姿勢を貫いた。
 一方で、多発する紛争に悩むアフリカ諸国が「輸出の相手先を政府とこれに準じた団体に限る」という項目を盛り込む必要性を強調し紛糾。最後に、日本政府が「2項目を削除するが、議長声明の形でその重要性をうたう」という妥協案を示し、合意が得られた。
 国連によると、世界の小型武器による死者数は、年平均50万人にのぼる。 [2001-07-21-22:45] 206
[このページの最初に戻る]


 07/21@米の銃所有に関する主張受け入れ合意 国連小型武器会議(朝日新聞)

 自動小銃などの取引規制をめざす国連小型武器会議は21日、不法取引の規制を目指した行動計画について主要2項目を削除して合意した。同日中に採択して閉幕する。米国は「政府以外との武器取引の制限」と「個人所有への規制」の削除を要求しアフリカ諸国と最後まで対立したが、最終段階でアフリカ側が譲歩した。小型武器問題で初めて国際的な枠組みに一歩を踏み出したが、具体的な防止策は今後の課題に持ち越された。
 レイエス議長は「主要項目で合意できなかったのは残念だが、特にアフリカの政治的意志と妥協で、不法取引防止に道を開くことが出来た」と述べた。
 米国はイラクの反政府勢力などを支援しており、武器の輸出規制に反対。個人所有についても市民の自衛に必要だと主張して、規制に反対した。
 行動計画は、不法取引を防ぐため、国家レベルで(1)ブローカー(仲買人)の行動を規制する法を整備する(2)国や製造業者など製造元がわかるように、製造業者に適切で信頼できるマーキング(刻印)をつけさせる、などを明記。地域レベルでは、武器取引の透明性を高めるよう奨励した。武器回収などへの技術・財政支援も盛られた。見直し会議を06年までに開く。[2001-07-21-21:44] 209
[このページの最初に戻る]


 07/21@サミットで世銀改革浮上、無償援助拡大巡り(読売新聞)

 【ジェノバ21日=天野真志】主要国首脳会議(ジェノバ・サミット)を契機に、世界銀行の機能改革をめぐる議論が浮上してきた。20日の先進7か国(G7)による経済討議の結果、主に世銀を念頭に置いた国際開発金融機関の融資制度を見直す方針がG7首脳声明に盛り込まれたほか、21日の主要8か国(G8)による政治討議でも、途上国支援の在り方が議論された。ただ、世銀融資の現状に何らかの不満を持っている点では共通していても、具体的な改革の方向性では各国に思惑の違いもあり、議論の行方はまだ見通せない。
 サミットで世銀改革論議をリードしているのは、米国だ。ブッシュ大統領はサミット出発直前の17日の演説で、「世銀など国際開発金融機関は、重債務貧困国向けの融資制度を見直し、無償援助の割合を引き上げるべきだ」と述べ、世銀改革をサミットで取り上げることを予告した。実際、20日の首脳会議では、国際開発金融機関に関する議論に多くの時間が割かれ、大統領は演説と同様の改革論をぶち上げた。
 この結果、G7首脳声明には「首脳たちは今後、無償援助の活用を検討する」との表現が盛り込まれ、無償援助問題が今後、G7で議論の俎上(そじょう)に上ることが確定した。米国が世銀改革を主唱した背景には、重債務貧困国向け支援では、国際機関の長期の低利融資が結果的に累積債務の増加につながり、かえって貧困国の経済発展を妨げているとの見方が強いことがある。
 だが、首脳声明は無償援助の在り方の検討を表明したに過ぎず、米国の主張に沿った見直しを行うかどうかまでは言及していない。日本やドイツなどにある「無償援助では支援を受ける国が自発的に改革を進める意欲が失われる」(小泉首相同行筋)とする慎重論にも配慮したためだ。
 さらに日欧には、無償援助比率を高め、世銀が融資機関ではなく援助機関の性格を強めれば、国連など既存の援助機関の機能と重複するとの批判もあり、世銀改革は「現在の融資の非効率性を見直すことができれば十分だ」との声もある。
 一方、世銀側も米主導の見直し論議が進むことを警戒し、他の国際開発金融機関を交えた協議を早くも始める構えを見せている。
 改革論議の行方は、世銀の存在意義にもかかわるだけに、G8だけでなく他の出資国や支援を受ける途上国も巻き込んだ大きな枠組みでの議論が必要となる。 [2001-07-21-20:52] 210
[このページの最初に戻る]


 07/21@国際規範策定の意義大きく 武器取引規制の第一歩(共同通信)

 【ニューヨーク21日共同】国連小型武器会議が二十一日最終合意した政治文書(行動計画)案は、銃規制に消極的な米国などの主張に沿って当初案から後退したが、取引規制に関して具体的な国際規範が初めて出来上がった意義は大きく、将来の条約策定に向けて「極めて重要な一歩を踏み出した」(国連外交筋)ことは間違いない。
 会議の焦点は、全米ライフル協会の圧力などで銃規制をできるだけ回避したい米国と、女性や子供を中心に多くの犠牲者が出続けているアフリカ諸国がどう折り合いをつけるかにあった。
 「米国の主張をのまなければ、会議は台無しとなった。犠牲者のアフリカ自身が多くを失うため、米国に大幅に譲歩せざるを得なかった」(国連外交筋)のが真相だろう。
 行動計画案は小型武器による死者が一日千人に上る実態を憂慮。不法取引防止のため武器への刻印義務付けや各国政府内にこの問題の調整機関を設置すること、武器の回収プログラムの情報公開などが盛り込まれ、非政府組織(NGO)からも「相当な成果を挙げた」と評価する声が相次いだ。
 核兵器に比べ「地味かつ新しい」軍縮分野に関心を呼び起こしたのも重要な成果だ。今後は合意事項を各国がどう実施し、拘束力のある国際条約などにつなげていくかが問われており、会議開催を主導した日本の責務は大きい。(了)[2001-07-21-20:50] 212
[このページの最初に戻る]


 07/21@政治文書案で最終合意 銃所有権で米主張認める 小型武器会(共同通信)

 【ニューヨーク21日共同】自動小銃などの取引規制を目指す国連小型武器会議は、最終日の二十日の協議を延長し政治文書(行動計画)案を協議、二十一日早朝(日本時間同日夜)になり、最終合意に達した。
 市民の銃所有権を掲げる米国は「市民の銃所有の規制」「武器供与は政府間に限定する」との項目を政治文書案から削除するよう要求。アフリカ諸国などがいったん、米国の削除要求には応じられないと反発したが、最終段階で譲歩した。
 政治文書案は二十一日中(日本時間二十二日未明)に採択される見通し。
 文書案は、小型武器が過剰に蓄積されている現状に重大な懸念を表明。その上で武器の不法取引の防止と根絶のため@製造者に製造元が特定できるような刻印を義務付けるA取引業者の登録・許可制度を整備B各国で不法取引に関する調整機関を設置C小型武器基金の創設と拡充のための財政的支援を実施―などの具体策を盛り込んでいる。
 さらに米国が反対していた二○○六年までの再検討会議の開催も、米国が受け入れ合意に達した。
 日本や欧州連合(EU)が求めた人権抑圧国への輸出規制強化には、中国などの同意が得られず見送られた。(了)[2001-07-21-20:27] 213
[このページの最初に戻る]


 07/21@<国連小型武器会議>政治宣言案で最終合意(毎日新聞)

 【ニューヨーク上村幸治】世界中に出回る拳銃や自動小銃を管理・削減するための初の国連小型武器会議は、閉幕予定日の20日から翌21日朝(日本時間21日夜)にかけて徹夜交渉を行い、不法取引の規制などを求める政治宣言(行動計画)案で各国が最終合意に達した。同日正式に採択して、閉幕する。国際的な規模で包括的な銃対策を決めたことにより、安全保障の分野で一歩前進した形になった。
 政治宣言は、小型武器の不法取引を防止し、余剰小型武器を破壊、破棄することを確認した。
 武器に製造者印を刻むことも促し、紛争地域などに出回る不法小型武器の出所を追跡調査し、対策を講じることができるようにした。
 国際社会が、小型武器によって被害を受けている国々を経済・技術面から支援することも促している。また、2006年までに再検討のための会議を開くことも決めた。
 しかし中国などの抵抗により、不法取引を規制する問題で「法的拘束力」を求めるという部分は削除された。
 大きな争点となった「市民の武器保有禁止」については、憲法で銃保有を保護する米国が抵抗、「禁止」が「制限」に修正され、最後は削除された。
 「小型武器の取引は、政府と政府の承認した組織に限定する」という原案も削除された。
 アフリカ諸国がこの2項目の削除に納得しなかったため、レイエス会議議長が声明の中で、この原則に触れることで決着した。
 ◆国連小型武器会議の政治宣言骨子◆
一、小型武器に製造者名を刻印。
一、不法取引を規制する。
一、余剰武器を破壊、破棄する。
一、被害国を支援する。
一、2006年までに再検討のための会議開催。 [2001-07-21-20:20] 215
[このページの最初に戻る]


 07/21@日本の「海底新領土」、国土の1・7倍に(読売新聞)

 海上保安庁による大陸棚調査で、日本が海底資源開発の権利を新たに主張できそうな領域が約65万平方キロ・メートルもあることがわかった。大陸棚が一定の地形的条件を満たしていれば、排他的経済水域を超えて権利を主張することが国際法上、認められている。
 同庁では、精密な測量データをまとめて国連に報告、日本列島の約1・7倍に及ぶ海底の“新領土”を確定させる方針だ。
 国連海洋法条約は、海岸線から12カイリ(約22キロ)を領海、200カイリ(約370キロ)を排他的経済水域(EEZ)とし、その内側での漁業や資源開発などの排他的権利を認めている。一方、大陸棚は、EEZの外でも、地形や地質上、地続きであることが証明できれば350カイリ(約650キロ)まで延長できるとされているが、その限界を確定するには沿岸国が独自に海底調査を行い、国連の専門委員会に報告して承認を得る必要がある。期限は2009年。
 同庁は1983年から大型測量船を使って調査を続けてきた。同庁によると、近隣国とEEZが重なる海域などを除き、大陸棚の延長が可能な海域は南方を中心に約550万平方キロ・メートルで、これまでに約85%の調査を終了した。
 その結果、小笠原諸島の西側のEEZ内に空いた公海部分や沖ノ鳥島南方など約38万平方キロ・メートルが、ほぼ確実に日本の大陸棚とわかった。硫黄島南方や南鳥島周辺にも、追加調査で測量データの精度を高めれば権利が主張できそうな部分が約27万平方キロ・メートルあるという。
 調査の過程で、日本近海の大陸棚にはマンガン、コバルト、ニッケルなどの鉱物資源が確認され、小笠原沖では重金属を大量に含んだ熱水鉱床の中から金が発見されている。 [2001-07-21-20:03] 217
[このページの最初に戻る]


 07/21@G8宣言「核不拡散」などは削除の方向(読売新聞)

 【ジェノバ21日=柴田岳】ジェノバ・サミットが最終日の22日に採択する「G8宣言」は、例年のG8宣言では安全保障分野の柱となる「軍縮、核不拡散、軍備管理」の項目をすべて削除する方向となっていることが21日、明らかになった。
 議長国イタリアの意向によるもので、首脳間の討議で最終的に了承されれば、米国が批准に否定的な核実験全面禁止条約(CTBT)の早期発効を求める表現や、米国のミサイル防衛構想の障害となっている弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約の取り扱いなどは今回のG8宣言では触れないことになる。昨年7月の沖縄サミットのG8宣言は、「CTBTの早期発効」や「ABM制限条約の維持・強化」などを盛り込んでおり、軍縮・核不拡散分野の訴えは大きく後退する。
 複数の外交筋によると、イタリアは参加国に対し、G8宣言は発展途上国の開発や貧困克服、地球環境問題などに重点を置くよう要請している。ミサイル防衛構想の推進やCTBTの棚上げを目指すブッシュ米政権と欧州側との足並みの乱れを配慮したものと見られる。 [2001-07-21-19:54] 231
[このページの最初に戻る]


 07/21@原水爆禁止世界大会は今夏も分裂開催(朝日新聞)

 被爆56周年を迎える今夏の原水爆禁止世界大会の内容や日程が21日までに固まった。世界大会は、原水爆禁止日本協議会(原水協、共産党系)と原水爆禁止日本国民会議(原水禁、旧総評系)の2大団体を中心に、今年も分裂して開かれる。国際司法裁判所(ICJ)の元判事やマレーシアの国連大使ら、公的色彩の強い識者が来日、反核を訴えるのも特徴だ。
 政治路線などの違いで分裂したままの原水禁、原水協とも、米国のミサイル防衛計画への批判や、世界の核開発犠牲者らとの連帯など、運動課題の共通化は一層進む。
 原水禁は8月1〜2日、東京・四谷で国際会議を開き、米国のブルース・ブレア防衛情報センター(CDI)代表や中国の夏立平・上海国際戦略研究所教授らがブッシュ政権の核政策の分析を報告する。世界大会は4〜6日に広島で、7〜9日は長崎で開かれる。
 被爆体験の風化の中で「次世代への継承」を訴える原水禁が支援する、高校生中心の国際集会「メッセージfromヒロシマ」は5日、広島市の県立総合体育館で開かれる。8日には、被爆2世問題を長崎大会の分科会として初めて取り上げる。
 原水協などによる国際会議は3〜5日、広島市で。米ハンフォード核施設、ネバダ核実験場の風下の住民、マーシャル諸島や旧ソ連・チェリャビンスクの核被害者らが証言する。世界大会は5〜6日は広島、7〜9日は長崎で開く。「非核国政府や非核自治体との共同」を目指す原水協などは、マレーシアのハスミ・アガム国連大使や非核自治体国際会議のケン・ワイアット氏(英国)らを招いて長崎大会などで「核保有国の核軍縮義務の不履行」などを批判する。
 また、ICJ元判事で「核兵器の絶対的違法性」を主張する現スリランカ最高裁判事、クリストファー・ウィラマントリー氏が8月1〜2日、早稲田大で開かれる国際会議に出席した後、広島での反核法律家協会国際シンポジウムなどに参加する予定だ。[2001-07-21-17:48] 242
[このページの最初に戻る]


 07/21@日本憲法との関連指摘 ミサイル防衛で米国務長官(共同通信)

 【ワシントン20日共同】パウエル米国務長官は二十日、米国が進めるミサイル防衛構想について、将来日本と協力を進める中で「(集団的自衛権に関連して)日本国憲法が開発を認めるかどうか研究する必要が出てくる」との見方を示した。
 二十三日からの初の訪日を含むアジア諸国とオーストラリア歴訪についての記者会見で述べた。
 長官は「われわれは日本側に何も要請していない」と述べ、まだ日本側に具体的な要求はしていないと強調したが、米政府がミサイル防衛構想をめぐる日米協力に関し、日本国憲法との関連を指摘したことは波紋を広げそうだ。
 また、田中真紀子外相が同構想に支持を表明したと伝えられたことについては「個別の状況は知らない」とした上で、「日本政府が率直な姿勢でミサイル防衛構想についてより知りたがっている」と述べた。
 長官は訪日で「小泉純一郎内閣の改革についてもっと知りたい」と述べる一方、朝鮮半島問題も主要議題に上ると述べた。訪中では江沢民国家主席らと会談する見通しを示し、「中国に敵意はなく、良い関係を求めていることを明確にしたい」と強調。人権問題についても率直に話し合いたいと述べた。
 また東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)出席のため訪れるベトナムのハノイでは朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)代表団と接触する見通しを示した。(了)[2001-07-21-14:28] 250
[このページの最初に戻る]


 07/21@<国連小型武器会議>政治宣言合意できず 閉幕予定時間過ぎ(毎日新聞)

 【ニューヨーク上村幸治】国際的規模で拳銃や自動小銃の管理・削減を目指す国連小型武器会議は20日夜(日本時間21日午前)、閉幕予定時間を過ぎても政治宣言(行動計画)で合意に達することができず、各国代表が協議を続けている。米国が銃の輸出規制などに強く反発しており、米国を説得できるかどうかが、宣言採択のカギだ。
 各国代表はすでに、小型武器を管理するため、武器に製造者印を刻むことで合意。武器ブローカーの動きを規制したり、軍や警察が在庫武器の管理を強化し、余剰武器を破壊することでも意見が一致している。
 ただ、「武器取り引きを政府及び政府承認機関に限定する」とする輸出規制案に対し、米国が「独裁政権に抑圧された人たちを支援できなくなる」と批判している。一方、武装ゲリラに苦しむアフリカ諸国は逆に、この文言を残すことに固執し、双方が真っ向から対立している。
 米国はまた、「市民の銃保有の制限」を促す文言にも反発、関係カ所の削除を要求している。 [2001-07-21-11:30] 251
[このページの最初に戻る]


 07/21@<サミット>反グローバリズム組織の異議申し立ての場に(毎日新聞)

 【ローマ福島良典】20日開幕した主要国首脳会議(ジェノバ・サミット)は初日から死者1人を出す大規模衝突を招き、反グローバリズム組織の異議申し立ての場と化した。99年末の世界貿易機構(WTO)シアトル閣僚会議で牙をむいた反乱の波が「先進国クラブ」に押し寄せた形だ。
 反サミット・デモは、非政府組織(NGO)連絡団体「ジェノバ社会フォーラム」などが主催し、総勢10万人規模になった。デモ隊の中核は自由経済体制を敵視する極左運動家で、労組や環境団体が加わった。フランス、スペイン、ギリシャなど欧州各地から集まった参加者らは「グローバリズムは途上国を痛めつけている」「先進国は自国に有利な自由貿易を掲げながら、移民を制限している」と主張した。
 サミットは本来、先進国首脳が世界経済、国際情勢について意見交換するのが目的。形骸化が叫ばれながらも国際政治の大きな流れを決める機能を保持してきた。
 だが、自由貿易を強引に進めようとするWTOなどの国際機関や先進国の押し付けによる「上からのグローバリズム」が反発を呼び、抗議がサミットに波及した。サミットという舞台が主要8カ国(G8)首脳とは別に、「市民社会」の代表を掲げる各種NGOを無視できなくなりつつある。
 議長国イタリアのベルルスコーニ首相はデモ隊のグローバリズム批判に対抗して、「グローバル化は万人に利益をもたらす」と指摘。今回のサミットでのエイズなどの予防治療のための世界保険基金創設などを踏まえ、G8の途上国への配慮を強調した。
 首脳会議に先立ち、18、19の両日ローマで開かれたG8外相会議は非政府組織(NGO)など市民団体と「どうつきあうか」という議論に多くの時間を割いた。各国外相からは「NGO対策として途上国代表をサミットに招く今の手法で良いのか」「彼らは選挙で選ばれたわけでなく、正当性を欠いている」などの意見が出た。
 だが、NGOとの対話に前向きな欧州と、デモ隊との対決色の強い米国の路線の違いが表面化。結局、外相会議は「関係者と緊密に連携していく」ことを確認するにとどまった。具体的な処方せんは提示できず、新たな課題への対応に苦慮するG8の姿を浮き彫りにした。 [2001-07-21-11:30] 274
[このページの最初に戻る]


 07/21@国連小型武器会議、議長が米に譲歩の最終案提示へ(読売新聞)

 【ニューヨーク20日=河野博子】ニューヨークの国連本部で9日から行われている「国連小型武器会議」で、カミヨ・レイエス議長(コロンビアの駐ジュネーブ代表部大使)は最終日の20日、政治宣言・行動計画の最終修正案を提示する。
 本紙が入手した最終修正案文では、政治宣言の中に「小型武器の非合法取引を阻止するための国際協力は、合法的な武器所有や国家による武器使用を制約するものではない」とする新たな項目が追加された。さらに米国が反対している「武器供給・輸出先を政府もしくは政府に認められたグループに限る」とする項目は、国際的な取り決めである「行動計画」から、“哲学”をうたう色彩が濃い「政治宣言」に移された。米国の主張に大幅に譲歩した上、中東問題などに絡み問題視された表現を弱めているのが特徴だ。
 会議では将来の国際的な規制制度新設につながるような流れを警戒する米国と、国際取引規制の実現を視野に入れた欧州・アフリカ諸国が対立した。
 20日は最終修正案をたたき台にギリギリの攻防が続くが、「単独行動主義」的傾向を強める米国が最後まで納得せず、決裂する可能性は高い。[2001-07-21-03:04] 281
[このページの最初に戻る]


 07/21@<ニュースの背景>アンゴラ内戦(毎日新聞)

 Q 四半世紀を超えるアンゴラ内戦の背景は?
 A 61年に始まった独立戦争を経て、75年11月、ポルトガルから独立宣言。これを機に、旧ソ連、キューバの支援を受けたアンゴラ解放人民運動(MPLA)と米国、南アフリカが支援するアンゴラ全面独立民族同盟(UNITA)が主導権を争う内戦に突入した。冷戦時代、東西両大国の代理戦争と呼ばれた。
 内戦はいったん勝利したMPLA側が政権を握り、92年にはUNITAとの和平協定に基づき大統領選が行われた。だが、UNITA側が「不正」を指摘、結果を受け入れず内戦に再突入。サビンビ・UNITA議長の副大統領就任などを条件とする94年の和平協定調印を踏まえ、97年になって国民統一政府が樹立された。それでも戦闘は収まらず、国連輸送機墜落などで国連アンゴラ監視団は99年、撤収した。
 最近も戦闘激化が伝えられるが、背景にはMPLAが北部の油田を押さえ、UNITAが北東部のダイヤモンド鉱山を支配下に置くなど双方に戦闘資金が豊富なことが挙げられる。国連専門家委員会は昨年末、悪徳武器商人のネットワークを介し、UNITAがダイヤモンド取引で得た資金で武器を購入していると指摘、監視体制の強化を勧告した。
 今年1月に初来日したドスサントス大統領は毎日新聞に「4000人いたUNITAの軍隊は半減した。彼は和平を受け入れざるを得ないだろう」と語ったが、内戦沈静化の兆しは見えない。【城島徹】 [2001-07-21-01:55] 282
[このページの最初に戻る]


 07/21@<アンゴラ>祖国捨てる難民 終わりなき戦火、地雷被害絶え(毎日新聞)

 アンゴラでは、冷戦終結で内戦に介入していた大国が去った後も、根深い憎悪や豊富な資金を背景に、今も戦火が絶えない。世界有数の1500万個もの埋設地雷はほとんど手つかずのままだ。最近の戦闘激化を受け、周辺国に避難するアンゴラ難民が急増中だ。隣国ザンビアに暮らす難民の姿を見た。【メヘバ難民定住地(ザンビア北西部)城島徹】
 カサッ、カサッ。地面につえを突く音がする。体をよじって歩みを進めるマリア・トゥンバさん(45)の顔がゆがんだ。「10年前の古傷なのに今も痛くてね。痛み止めの薬がほしいよ」。アンゴラ東部の山村でまきを拾っていて地雷を踏み、右足の大たい部から下を失った。
 アンゴラ全面独立民族同盟(UNITA)が政府軍に反撃する爆音を耳にし、身の危険を感じて、夫(50)、長女(13)、長男(9)らと村を離れた。2カ月間歩き詰め、昨年1月、ようやくメヘバ難民定住地に着いた。
 ザンビア領内には昨年以来、アンゴラ領内から逃げてくる難民が再び増加。国境近くのザンベジ川流域には集団で保護を求める家族連れが目立つという。
 同定住地の難民総数は昨年7月の約3万9000人から約5万3000人に膨らみ、9割の約4万6800人をアンゴラ難民が占める。ザンビア全土には総数7万7000人のアンゴラ難民が流入した。メヘバ管理事務所を統括するラファエル・バンダ難民担当官(31)は「UNITAが新たに制圧した町から逃げてきている難民が多いようだ」と指摘する。
 アンゴラの首都ルアンダ近郊では今年5月、UNITAが非政府組織(NGO)の施設から約60人の子どもを拉致する事件も起きた。国連児童基金(ユニセフ)が非難声明を出し、3週間後に解放されたが、国際社会への力の誇示を狙うUNITAの戦術とみられる。
 「(大統領の)ドスサントスも(UNITA議長の)サビンビも交渉の席につく気がないのさ。一方で武器だけはあり余っている。反政府のUNITA側からダイヤモンドを買った欧州人が引き換えに渡しているのさ」
 政府軍兵士だった父が7年前に戦死し、99年11月にメヘバに逃れたフェルナンド・チニャマさん(23)は嘆いた。
 金にまかせ、長期間に渡る地雷埋設が続き、地雷で手足を失った被害者は3万人に達する。7歳の時、雑木林で地雷を踏み、右足を飛ばされたチニャマさんもその1人だ。
 「少しでもましな生活」を求め、つえをつき、1カ月半がかりで国境にたどり付いた。だが、今は電気もない家で、配給される1カ月3キロのトウモロコシの粉に頼る暮らしだ。
 内戦の長期化で、難民流出が恒常的となり、祖国を知らない世代も増えている。2年前に結婚したムルティ・カウェさん(25)とマホンゴ・チウェカさん(22)。双方の両親は独立を目指した解放戦争から逃れ、72年にメヘバに来たという。2人は「アンゴラのことは何も知りません。ずっとここに住み続け、いずれはザンビアの国籍を取りたい」と話す。だが、ザンビア政府は難民の長期定住や就職に慎重な姿勢を崩していない。
 難民に一定の農地を与え、自活を促すザンビア最大のメヘバ難民定住地は同国政府が管轄、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が業務を主導、学校や診療所が6カ所ずつある。非政府組織などが地雷被害対策に携わっており、アンゴラのほかにルワンダ、コンゴ民主共和国(旧ザイール)などからの難民もいる。
 非政府組織スタッフは「アンゴラ難民の帰還は見通しが全く立たない。ザンビアでの定住に向け、自立を促してはいるが、その権利は十分保障されていない」と話した。 [2001-07-21-01:55]
[このページの最初に戻る]


 07/22@<サミット>地域情勢に関するG8声明の要旨(毎日新聞)

 地域情勢に関するG8声明の要旨は次の通り。
<中東>
一、中東情勢の悪化に対して直ちに行動する必要がある。
一、冷却期間の即時開始が必要。両当事者が合意した第三者の監視は、同報告書の実施に際し、双方の利益に資する。
<マケドニア>
一、マケドニア政府の努力と、同国の領土的一体性を支持する。
一、暴力を非難する。武装解除の必要がある。
一、諸民族の権利と政治参加を含めた政治解決を支持。解決後、マケドニア支援会議を開催する構想を支持する。
<アフリカ>
一、問題解決に向けたアフリカ自身の努力を支持する。
一、紛争予防・解決への継続的関与を呼びかける。
一、開発問題等に取り組む。
<朝鮮半島>
一、朝鮮半島の緊張緩和と永続的平和にむけた努力、韓国の包容政策を支持する。2回目の南北首脳会談、閣僚級会合の早期実施を期待する。
一、朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)を含む、米朝枠組み合意を支持する。
一、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)のミサイル発射モラトリアム実施を期待。人道・安全保障問題を含む、国際的懸念への建設的対応は、緊張緩和や北朝鮮の国際社会入りに不可欠だ。 [2001-07-22-02:05] 41
[このページの最初に戻る]


 07/22@<サミット>マケドニア領土の保全を最優先することを確認(毎日新聞)

 【ジェノバ井上卓弥】G8首脳は21日、政府軍・警察と少数派アルバニア系ゲリラ「民族解放軍」の戦闘が続き、旧ユーゴスラビア連邦での新たな内戦の可能性をはらむマケドニア情勢について討議。政治的解決をめざすマケドニア政府に対する支持を鮮明にし、マケドニア分割につながる「大アルバニア主義」を排して同国領土の保全を最優先することを確認した。また、和平達成後の経済協力などを目的にした支援会議の開催を表明した。
 欧州連合(EU)などの仲介で進められているアルバニア系住民代表とマケドニア政府の交渉は、アルバニア系の権利回復についてのマケドニア側の譲歩で一定の成果を挙げているが、コソボ自治州のアルバニア人勢力の支援を受けるゲリラの存在が和平への障害となっている。首脳は一致して暴力行為を非難、アルバニア系ゲリラの武装解除の必要性を改めて確認した。 [2001-07-22-00:55] 42
[このページの最初に戻る]


 07/22@<サミット>「地域情勢に関するG8首脳声明」に合意(毎日新聞)

 【ジェノバ古賀攻】主要8カ国(G8)首脳はジェノバ・サミットでの「地域情勢に関するG8首脳声明」に合意した。21日夜(日本時間22日未明)、発表する。
 声明は、ローマでのG8外相会合の報告を支持し、首脳会合に委ねられた朝鮮半島とマケドニア問題に言及。朝鮮半島では韓国の包容(太陽)政策への支持と、実現のめどが立っていない第2回南北首脳会談の早期開催への期待を表明した。
 さらに朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に関して「枠組み合意」への支持を確認、ミサイル問題や人道問題など「国際的な懸念への建設的な対応」を求めた。これについて小泉純一郎首相は、首脳会合で「日本と北朝鮮の間には特別の問題がある」と、間接的に拉致問題に言及した。
 マケドニア問題では当事者間の政治対話促進と平和的解決を求めた。 [2001-07-22-00:45] 119
[このページの最初に戻る]


 07/22@<サミット>軍縮不在 サミットが安全保障協議で機能不全に(毎日新聞)

 【ローマ福島良典】22日閉会した主要国首脳会議(ジェノバ・サミット)はミサイル防衛や核不拡散など懸案の軍備管理・軍縮分野を首脳宣言に盛り込めず、主要8カ国(G8)間で鋭く対立する難題には対応できない限界を示した。参加国の内向き傾向が顕著なポスト冷戦時代に、「結束の誇示」を強いられる現行のサミットが安全保障協議で機能不全に陥ったといえる。
 今回のサミットで最大焦点は、ブッシュ米政権が「死文化」を図る核実験全面禁止条約(CTBT)や、ロシアに改廃を求めている弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約の扱いなど核・ミサイル軍縮問題とみられていた。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)、イラン、イラクなど「ならず者国家」への盾としてミサイル防衛構想を進めるブッシュ政権はこれまで欧州の懸念、ロシア、中国の反発を招いた。ミサイル問題で多国間の枠組みを構築したいロシア、さらに軍拡再燃への懸念を抱く欧州諸国との間の亀裂がサミットで表面化するのは不可避との見方が一般的だった。
 だが、プーチン露大統領はサミット閉幕後、「会議の雰囲気はとてもオープン、活発、効果的で大変満足した」と総括。軍備管理問題では「欧州もABMからの米国の『ひとり抜け』は望んでいない」と述べるにとどめた。懸案についての突っ込んだ意見交換はサミット直後の米露首脳会談に回された格好だ。難題はサミットの枠外で処理される傾向が生まれた。
 自国中心主義を貫くブッシュ政権の身勝手な姿勢と、米国との正面衝突を避けるロシア、欧州の及び腰が今回のサミット不振の元凶といえる。 [2001-07-22-23:45] 122
[このページの最初に戻る]


 07/22@<サミット>地域情勢 「紛争解決」の命題 なお試行錯誤状(毎日新聞)

 G8首脳は世界秩序の不安定要因となっている中東、マケドニア、朝鮮半島、アフリカについて、難局打開を求める見解表明に努めた。しかし、「紛争解決」「地域の安定化」の実効性に関しては不透明だ。
 サミットは、90年代初めのボスニア内戦などを皮切りに、冷戦終結後に続発した地域紛争の収拾について発言してきた。解決策を提示するのではなく、紛争解決の当事者とその手続きを明示するのが基本姿勢だ。泥沼化している中東やバルカン半島全体への波及が懸念されるマケドニア情勢の収拾に、それで十分かという疑問が残る。
 一方で、99年のケルンで介入を決めたコソボ問題が、マケドニア不安定化の引き金となっている例もある。「サミットの紛争解決能力」という命題は、試行錯誤を繰り返している。 [2001-07-22-23:25] 124
[このページの最初に戻る]


 07/22@小型武器会議が閉幕、行動計画案を採択(読売新聞)

 【ニューヨーク支局22日】189か国が参加してニューヨークの国連本部で開かれていた国連初の「小型武器会議」は21日午後、政治宣言・行動計画案を採択し、閉幕した。
 採択された行動計画には、小型武器の輸出規制強化や、製造業者などを特定するためのマーキングの徹底などが盛り込まれた。しかし、当初案に含まれていた〈1〉市民の銃保有制限〈2〉反政府組織への武器供給・輸出の規制――は、強硬に反対する米国と、欧州・アフリカ諸国が最後まで対立。結局、米国の主張が通り、最終案から削除された。 [2001-07-22-22:41] 132
[このページの最初に戻る]


 07/22@<サミット>米国追随イメージの払しょくに疑問残る 小泉外(毎日新聞)

 【ジェノバ古賀攻】経済の世界的な減速。一国主義的なブッシュ米政権の登場。京都議定書をめぐる深刻な対立――。ジェノバ・サミットは、大きくこの三つの要素で性格づけられた。いずれも昨年の九州・沖縄サミットでは見られなかった特徴であり、日本が真正面から取り組まなければならない課題だった。
 サミット初舞台の小泉純一郎首相にとって、改革姿勢をアピールできたのは幸運だった。G7声明は「日本の改革を歓迎する」とうたった。
 だが、問題はむしろ、国際協調より自国の利益を優先させるかのような米国に「揺るぎない同盟関係」を自任する日本がどう忠告し、G8を建設的な対話の場にしていけるかどうかにあった。
 京都議定書の問題では「米国を含めて各国が一つのルールで行動することが重要」と首相は繰り返した。米国が議定書に参加しなければ地球温暖化防止の実効性がないという考えはその通りだろう。だが、欧州から見れば日本の「米国寄り」姿勢は明らかだった。
 サミット前、自民党幹部は「欧州は日本の態度に失望している。小泉首相は『日本は米国に追随するだけだ』という誤解を解かないといけない」と語っていた。22日のG8首脳宣言は日本の主張を取り入れて「共通の目標達成のために集中的に協力する」との表現になったが、欧州から日本がどれだけ信頼を勝ち得たのかは疑問がある。
 沖縄サミットは米軍基地が集中する地で開催したことに政治的意味があったが、そのフォローアップをすべきジェノバで首相が安全保障で積極的に発言した形跡はない。地域情勢に関する討論でも、首相は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)について、「日本と北朝鮮の間には特別な問題がある」と述べただけ。アジア唯一のサミット参加国として、首相が朝鮮半島の緊張緩和にどう取り組もうとしているかは分からないままだった。
 ジェノバ滞在中、靖国神社参拝で悪化が予想される中国、韓国との関係について、首相は記者団に「参拝してから改善方法を考える」と素っ気なく語った。「(首脳会合では)余計なことは話さず、言うべきことは言うという重要な点は守りながら、発言できた」と述べた首相だが、明快さと裏腹のその「ドライ」な外交感覚が、靖国、教科書問題で悪化する近隣諸国との関係にどんな影響を与えるのか、不安も残るサミットだった。 [2001-07-22-20:55] 138
[このページの最初に戻る]


 07/22@<サミット>NGO 政治不信と暴動への嫌悪感を残す(毎日新聞)

 【ジェノバ井上卓弥、ローマ福島良典】ジェノバ・サミット開催中、反グローバリズムを掲げる非政府組織(NGO)の抗議デモは連日繰り広げられ、デモ参加者の男性1人が射殺される惨事を生んだ。議長国イタリア治安当局の「過剰警備」には批判も上がっているが、サミット史上最悪の暴動を伴ったデモは大部分の参加者に「勝利感」には遠い感情を残した。同時にG8への不信が根強いことも浮き彫りになり、サミットのあり方が問われ始めている。
 「(青年の死という)大きな代償を払ったが、我々は大規模な抗議デモをやり遂げた」。抗議デモを組織したNGO連絡団体「ジェノバ社会フォーラム」(GSF)のビットリオ・アニョレット代表(43)は、活動の成果を強調した。
 デモ隊の青年射殺事件後の21日、前日を上回るデモ隊約15万人の「平和的抗議行動」が市東南部の広場を出発した。だが100人程度の無政府主義・過激派が破壊行為で警察隊を挑発。デモ隊であふれる海岸通りは催涙ガスの弾幕に包まれた。建物の窓から黒煙が上がり、黒焦げの車があちこちに転がっていた。
 イタリア報道機関によると、破壊行為を繰り返した暴徒集団は2日目までに5000人以上を動員した。「ブラック・ブロック」と呼ばれ、国際会議を狙うテロ集団だ。黒装束のブラック・ブロックは行進の流れから分かれ、銀行や商店を破壊、車などに放火し、治安部隊と衝突した。
 ブラック・ブロックは91年の湾岸戦争時に米国で生まれた。99年末の世界貿易機関(WTO)シアトル閣僚会議でマクドナルドなどを襲撃した。警察を「富裕者の番犬」とみなし、攻撃する。主力は米国人で、ギリシャ、英国、スペイン、イタリア人も含まれるという。
 他のデモ参加者には、やつれ切った表情が目立つ。「軍警察(カラビニエリ)が青年を射殺したと聞いて吐き気がした」。木陰に座り込んだドイツの女子学生、ナディア・ハーシュさん(20)が顔をしかめた。「もうデモには参加しない」
 イタリアのNGO職員、ロベルト・ルンゴさん(31)は「なぜ、こんなめちゃくちゃな状態になるのか。恐ろしくなった」と語った。「数の力」で圧力をかけるデモから、暴動をあおる過激派の排除は不可能だという。「別の抗議方法を考えるべき時かもしれない」と語り、目を伏せた。
 一方、次期サミット開催国カナダのクレティエン首相は、開催規模の縮小や市民代表の参加などサミット改革の必要性を表明した。シラク仏大統領は「NGOは近代民主主義の一形態であり、対話の場が設定されるべきだ。これまで国連だけが対応し、我々はそれをしてこなかった」と指摘した。また、小泉純一郎首相も「政治家は話しても分からない人に分かってもらう努力を続けることが宿命だ」と述べた。
 地球環境問題などで進展のなかったG8に対し、デモ参加者が抱く不信は容易にぬぐい去れない。来年のサミットではNGOとの対話が課題の一つになりそうだ。 [2001-07-22-20:35] 153
[このページの最初に戻る]


 07/22@日本、即時受け入れに難色 京都議定書の規則交渉(共同通信)

 【ボン22日共同】地球温暖化防止のための京都議定書の運用規則を決める気候変動枠組み条約第六回締約国会議(COP6)再開会合で二十一日深夜、プロンク議長(オランダ環境相)はこれまでの議論を基にした最終合意案を提示、参加各国は、同案採択を目指した大詰めの協議に入った。
 欧州連合(EU)が受諾の用意を表明したのに対し、日本は「交渉の余地がたくさんある」(川口順子環境相)、「いろいろ問題がある」(政府高官)と即時受け入れに難色を示した。
 COP6閣僚会合最終日の二十二日中に、合意案を採択できない場合、日本は議定書発効を阻んだとの批判にさらされそうだ。
 合意案は運用規則の中核部分をまとめた内容。日本が固執した森林吸収の上積みは盛り込まれた。しかし、原発輸出で得られるCO2排出削減分を自国の削減量として計上することを原則的に禁止。削減目標を達成できなかった際の罰則を設けるなど、日本として受け入れ困難な内容も盛り込まれた。
 参加各国は交渉グループごとに直ちにプロンク議長との個別交渉に入り、大詰めの交渉を急いだ。採択されれば、二十三日から五日間の予定で行われる事務レベル協議で細部を詰め、二○○二年議定書発効への準備を整える。
 合意案は、COP6開催国のドイツを通じてイタリアの首脳国首脳会議(ジェノバ・サミット)にも伝えられ、サミットの議論と並行し、最後の協議を続けた。(了) [2001-07-22-15:42] 172
[このページの最初に戻る]


 07/22@黒柳さんがアフガン入り 干ばつ避難民視察へ(共同通信)

 【ヘラート(アフガニスタン)21日共同】国連児童基金(ユニセフ)親善大使で女優の黒柳徹子さんが二十一日、過去三十年で最悪という干ばつに苦しむアフガニスタンの避難民視察などのため、タリバン政権が支配する同国西部ヘラートに到着した。
 黒のスカーフとひざ下までの黒の上着、黒いズボンと同政権下の慣習に配慮した姿の黒柳さんを、タリバンの地元幹部ら約十五人が空港でにこやかに出迎えた。
 二十六日までの滞在中、増える一方の避難民の収容施設を訪ね、子どもたちと交流する。
 反タリバンの北部同盟が支配する同国北部では、ラバニ前大統領と会見する予定。
 黒柳さんは「アフガニスタン最大の川が干上がっているのを見た。この惨状の中で暮らす人々がいることを日本の人に知ってほしい」と語った。
 ユニセフによると、同国では干ばつの影響で、昨年夏からこれまで約百万人の国内難民が発生した。(了)[2001-07-22-08:02] 173
[このページの最初に戻る]


 07/22@京都議定書で首脳対立 欧州に「米抜き」で温度差 G8(共同通信)

 【ジェノバ21日共同=井原康宏】主要国首脳会議(ジェノバ・サミット)は二日目の二十一日午前(日本時間同日夕)、ジェノバ市内のドゥカレ宮殿で、主要国(G8)首脳による討議に入った。地球温暖化防止のための京都議定書の発効をめぐり日米欧が激しく応酬、議論は平行線のまま終わった。最終日に発表するG8共同宣言の議定書に関する文言も合意できず、事務レベルで調整することになった。
 議定書離脱を表明している米国のブッシュ大統領は「議定書の目的は共有する。目的達成のため、あらゆる選択肢を空けておきたい」と発言。具体策には言及しなかったが、日本政府は「あらゆる選択肢を交渉のテーブルに乗せるという意味で、変化の兆し」(外務省筋)と、前向きに受け止めている。
 G8首脳は、中東和平の努力を促す特別声明と朝鮮半島とマケドニアを対象とした地域情勢に関する声明も調整が終了。一部反グローバル団体による暴力行為を非難し、首脳会議を続行するとして緊急声明も発表した。
 小泉純一郎首相は「米国が参加した形での合意の早期実現をギリギリまで模索したい」と、米国が参加した形で二○○二年の議定書発効を目指す考えを表明した。
 これに対し欧州諸国は「議定書の早期批准が統一した立場」としながらも、一部が小泉首相の見解に同調。別の欧州首脳は「(米欧間で)実質的に意見が異なる」と米国抜きの発効も考えるべきだとの見解を示し、欧州内でも見解のずれを見せた。
 ロシア、カナダはドイツ・ボンでの気候変動枠組み条約第六回締約国会議(COP6)再開会合で細目合意ができれば批准の方向だと述べた。
 このほか発展途上国の開発問題で、来年のカナダでのサミットまでにアフリカの開発と貧困などの問題解決のため、行動計画を作成することで合意した。
 G8首脳の昼食会では、中東、朝鮮半島など地域情勢で意見交換。小泉首相は「日本と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の間には特別な問題がある」と拉致(らち)問題などを念頭に指摘した。(了)[2001-07-22-07:58] 180
[このページの最初に戻る]


 07/22@<酸いも辛いも>首相とコロンブスの卵(毎日新聞)

 ジェノバの治安と首脳外交は辛うじて軍隊と船で守られた。イタリア北部の中世の面影を残した港町は、港の一角を楕円形に封鎖して7隻の豪華客船を配した。船好きにはたまらない光景だが、それでもNGO(非政府組織)らのデモを食い止めるのにやっとだ。
 首脳も政府随行員も報道陣もこの大型クルーズ船が今宵の宿になった。元寇の蒙古兵のように昼間は上陸して「一戦」交え、夜は船に戻って身の安全を確保したのである。ここの出身のコロンブスが見たら500年後の世界の移り変わりに驚愕するのか、それとも大いに嘆声をあげるのか。
 はっきり分かっていることは我々はコロンブスの時代と全く同じように、新しい時代の埠頭に立っていることだ。だが21世紀は彼らを駆り立てた野望が生んだ植民地主義ではない。
 G8の首脳たちが直面しているのは、現代政治が生んだポピュリズム(大衆迎合主義)とグローバル化から派生した地球市民の存在である。
 デモ隊の最大の標的は反グローバリゼーションで、その首魁はブッシュ米大統領なのだ。
 前評判では京都議定書やミサイル防衛問題では米国の一人よがりの態度に、ほかの首脳が反発するという構図だった。最近のサミットは会議場に乗り込む前に「一芝居」を打って出てくる首脳が多い。プーチン露大統領は、北京で中国との善隣友好協力条約を結んでジェノバにやって来た。
 このままでは四面楚歌と思われたブッシュ大統領はジェノバ入り前に思いもかけない大芝居を演じたのだ。これからの最貧国への国際開発金融機関(第二世銀)援助は「5割以上を借款から無償に切り替えていくべきだ」と宣言したのである。つまり最貧国に「お金を貸す」より半分は「お金を差し上げる」ことを提唱したのである。一つの道理はある。
 一番反対しそうな人がこれまでの援助哲学の大転換を訴えたのだからたまらない。これで最も影響を受けたのは借款の比率が最も多い日本だろう。もちろん欧州や世界銀行はブッシュ提案には大反対だ。経済宣言にはほとんど触れられていないことがその衝撃度を物語っている。
 この提案はなかなかNGOには評判がいい。京都議定書で苦戦を強いられそうだというので、最貧国に対するプレゼントで、世論を引きつける戦略だったのだろう。
 初登場の小泉純一郎首相の顔は「構造改革を理解して支持してもらった」とほっとした表情だった。ほかの首脳から見ると、これまでの日本の首相と全くタイプの違う小泉氏が「景気刺激より改革、改革」と叫んでいる。洋の東西を問わず、改革を主張する政治家をまともに批判できる人はいない。
 小泉改革は「コロンブスの卵」のように人の意表をつくものではない。だが日本経済の再生のために彼に賭けるしかないと考えたのは我々と同じだったのだろう。
(次回は8月5日に掲載) [2001-07-22-02:35] 181
[このページの最初に戻る]


 07/22@<クローズアップ>京都議定書問題 各国が批准で激論(毎日新聞)

 米国の不参加表明でピンチに立つ地球温暖化防止のための京都議定書の扱いをめぐり、ジェノバとボンの2都市を舞台に各国間の熱い論議が続いている。前者は主要国首脳会議(サミット)、後者は気候変動枠組み条約第6回締約国会議(地球温暖化防止ボン会議、COP6)。各国の環境問題担当閣僚が集まったボンからのメッセージを、ジェノバで政治的駆け引きを展開する主要8カ国(G8)首脳はどう受け止めたのか――。
■サミット
 21日のジェノバ・サミットは、京都議定書問題で1時間15分にわたって各国の「かなり激しいやり取り」(外務省筋)が展開された。この問題がサミットの最重要課題であることを浮き彫りにした。
 欧州側は「京都議定書を早期に批准すべきだ」との原則論を改めて主張した。欧州各国は「米国抜き」で手続きを進めれば、国際世論の風圧で米国が軟化する可能性もあるみている。ドイツのシュレーダー首相は20日の日独首脳会談で「米国が後になって京都議定書のプロセスに参加することはあり得る」と述べた。
 これに対し、小泉純一郎首相は首脳会合で「米国を含めたすべての国が一つのルールのもとで行動することが重要だ。米国も参加した合意を早期に実現すべくギリギリまでその可能性を模索したい」と主張した。同時にボン会議(COP6)の行方にも配慮し「COP6でできる限り多くの合意を達成できるよう、我々首脳が指導力を発揮すべきだ」と、G8としてのメッセージを求めた。
 この場で最も注目されたのは、ブッシュ米大統領の発言だ。
 「米国も京都議定書の目的を共有する。その目的をどう達成するかが問題だ。米国としては、選択肢を残しておきたい」 米国はこれまでさんざん議定書を批判してきただけに、「変化の兆し」と受け止められた。ただし、米国が議定書に復帰することはないとの見方で関係者は一致している。小泉首相の言う「COP6での多くの合意」は困難視されている状況は変わらない。
 先進国同士が温室効果ガスの排出量を金銭で取り引きすることや、二酸化炭素の森林吸収分の算定などは、各国の利害がぶつかる経済問題だ。経団連はすでに「米国が抜けた中での議定書批准は日本企業の国際競争力を低下させる」として、米国抜き批准に反対している。
 米国の「変化の兆し」を受けて、日本はどう行動するのか。小泉首相は11日の党首討論会で「米国が議定書に復帰するのは難しい」との見通しを示すとともに「もう少し期限が迫ってくると(各国の)本音が出てくる」と語っている。ただし先送りしても事態を打開できるめどは立っていない。京都議定書の議長国としての責任はこれからより大きくなる。 【ジェノバ古賀攻】
■COP6
 COP6再開会合はジェノバ・サミットの動向に一喜一憂している。日本政府代表団も「記者団との一問一答をすべてジェノバに報告している」と言うほど、サミットに目が向いている。
 京都議定書の正式な政府間交渉の場はCOP6だ。ここで具体的なルールを定め、発効に向けた合意点を探り出す。だがサミットが何らかの政治決断を行えば、COP6も左右される。当初、COP6閣僚級会合は18〜20日の予定だったが、サミット最終日の22日まで日程を延ばした。
 政治決着の色合いが濃くなったことで、担当の環境大臣より首相や外相の動向に注目が集まるようになっている。
 小泉首相が15日に、日本のテレビ番組で「COP6では合意できない。それで結論を出すのは早い」と発言したことは再開会合初日(16日)に伝わった。欧州などの批判を招き、ボンの日本政府代表団は「首相の真意が伝わっていない」と急きょ釈明会見した。
 また、パウエル米国務長官の「米国の代案を10月末のモロッコでのCOP7までに」との方針に対しては、川口順子環境相がさっそく「歓迎」の意向を表明した。
 しかし、カナダや米国では首脳や現場責任者の間で見解に食い違いが生じている。カナダのグレイ副首相は20日、COP6で米国抜きでも批准を行う用意がある考えを表明。クレティエン首相が米国に議定書への参加を求めることで小泉首相と合意したのとは、ニュアンスを異にした。
 また、COP6に参加している米高官は21日、米国の代案がCOP7に間に合わない可能性が強いことを明らかにした。パウエル国務長官の発言に疑問を呈した形で、日本政府も各国の真意をつかみかねている。
 ただCOP6で包括合意は無理でも、部分合意を積み重ねることができれば、議定書発効に向け貴重な前進になるとの期待は小さくない。
 20日深夜、日本政府代表団の幹部は、記者団に胸の内を明かした。「我々がここで一生懸命に交渉をしているという熱意がジェノバに伝われば、ジェノバが動く。ここでの合意の最大限の助けになるようジェノバでの進展に期待したい」 【ボン森忠彦、吉川学】
■シラク大統領 「共同で行動を」
 議定書問題をめぐるG8の構図は、仏独が米国の姿勢を批判する最強硬派。英、カナダは米国の参加働きかけが必要との点で日本と同じだが、英は従来から米抜きの方針を示し、カナダも20日のCOP6で副首相が「米抜き批准」の考えを表明した。サミット議長国・イタリアは、米国との温暖化防止策の共同研究で合意し、欧州内でもやや立場が異なっている。
 こうした中でシラク仏大統領は20日、カナダのクレティエン首相との会談で「地球の未来にとっての脅威を取り除くため、断固たる態度で共同で行動することが義務だ。議定書と、議定書に盛り込まれている温室効果ガスの削減に代わるものはない」と強調した。
 また、シュレーダー独首相は20日の昼食会で小泉首相に「ブッシュ大統領には議定書のプロセスを邪魔しないでくれと言ってある。米国が後に参加することはあり得るが、現時点では難しい」と、米国の参加にこだわる日本に“見切り発車”の決断を求めている。 [2001-07-22-02:35] 186
[このページの最初に戻る]


 07/22@<サミット>過激派と軍警察が衝突 2日間で約260人が負(毎日新聞)

 【ジェノバ井上卓弥】サミット2日目に入ったジェノバで21日昼(日本時間同日夜)、反グローバリズムを掲げる非政府組織(NGO)の抗議デモに先立ち、黒覆面の無政府主義過激派らが市内の商店などを破壊し、中心部の立ち入り禁止区域(レッドゾーン)に向けて移動を開始した。ANSA通信によると、過激派は火炎瓶を投げ、車や建物に放火し、軍警察(カラビニエリ)が催涙ガス弾や放水で応じている。この衝突で警官や記者11人を含む77人が負傷、2日間の負傷者数は計約260人になった。
 市内各地を行進するデモ隊は約10万人規模。数万人のデモ隊が警官隊と衝突した港沿いの目抜き通りでは、商店の窓が割られ、投げ込まれた火炎瓶で炎が上がっていた。ごみ箱も倒され、焼け焦げたままだ。デモ隊参加者らは、20日に警察官の発砲で男性が死亡したことに抗議し、警官隊に「人殺し」と叫んだ。
 一方、死亡した男性は左翼政治組織・イタリア労働総同盟の指導者、ジュリアーノ・ジュリアーニ氏の息子カルロさん(23)と分かった。検察当局は21日、カルロさんに発砲した軍警察官(20)に対し殺人容疑で捜査を始めた。警察側は正当防衛を主張している。また、車両を運転して倒れたカルロさんをひいた別の軍警察官も、検視結果によっては同容疑に問われる可能性があるという。警察によると、20日の抗議デモで67人が逮捕された。
 デモに参加したローマの大学生、アレックスさん(23)は「うんざりした。警察はデモ隊に銃を使う警察は絶対に許せない」と声を震わせていた。 [2001-07-22-01:30] 187
[このページの最初に戻る]


 07/22@<視点>ポピュリズム 政治と大衆の新しい関係構築を(毎日新聞)

 ポピュリズムはこれまで大衆迎合主義と、否定的意味合いに使われてきた。しかし一方で「流動化した大衆のうねり」という意味で、大衆主義とも訳される。われわれは大衆主義という意味でのポピュリズムを前向きに評価し、どう対応していくか考える時期にきているように思われる。
 イタリアのジェノバで開かれた主要8カ国首脳会議には10万人規模の反グローバリズム組織が結集。警備陣と衝突し、犠牲者が出る事態になった。99年秋、米シアトルの世界貿易機関(WTO)閣僚会議がデモで混乱して以来、この種の行動は恒常化している。29日に投票が行われる参院選でも浮遊する無党派層がカギを握る。
 近年、欧米でイデオロギーを超えた大衆運動が注目されたのは80年代初め、欧州の反核運動だ。米国の中距離ミサイルの配備に、保守から左翼支持層まで幅広い人々が運動に参加した。
 こうした運動が大衆主義へと広がるのは冷戦体制の終結によってだ。イデオロギー対立の消滅で、政党、労組、産業団体など既存の政治秩序に結びついていた人々が流動化した。明確な異議申し立てから情緒的な不満層までを包むこの大衆主義の底流には、既成政党への幻滅、現状への不満、エリート不信、直接民主主義の希求など、多様な気分がある。
 ただ一見、とらえどころのない大衆主義も、グローバリズム時代を濃厚に映し出している。環境保護、反原発、人権擁護、反グローバリズム運動などは、地球規模の市民ネットワークで結びつき、国家単位の政治の論理に対抗して、地球市民レベルの価値と論理を提起する役割も担っている。
 欧米諸国は一部のNGO(非政府組織)の暴走には批判的だが、一方で「民意を映し出す鏡」ととらえていることは注目していい。地球サミット、世界婦人会議などの国際会議にはNGOが招かれ、その意見はコミュニケに反映されている。クリントン米政権時代、ゴア副大統領の環境政策も「草の根」運動を取り込んだものだ。
 日本で大衆主義が語られはじめたのは93年の細川政権のころだが、欧米と日本では同質ではない。欧米では反グローバリズムなど、異議申し立てが求心力を作っているが、日本では無党派層と呼ばれる政治への不満層が中心だ。政治の機能不全がそこにはある。
 大衆主義は一つ間違うと、流砂のように制御の利かないものになるが、そのエネルギーをうまく導くことで、形がい化した議会制民主主義を活性化することもできる。重要なのは政治と大衆の新しいコミュニケーションの確立だ。小泉純一郎首相のメールマガジン、タウンミーティングなどはその試みとして評価されていい。これらを「大衆迎合」と安易に批判することは、政治と大衆の絆(きずな)を逆に断ち切ることになる。 [2001-07-22-01:20]
[このページの最初に戻る]


 07/23@<米露首脳会談>「協調」で危機を乗り切る 交渉は長期化へ(毎日新聞)

 【ジェノバ布施広】22日の米露首脳会談は、ミサイル防衛と戦略核削減問題で包括協議を行うことで合意、戦略面での米露協調を印象付けた。地球温暖化防止のための京都議定書についても、ロシアは米国の離脱に理解を示し、米露の新たなパートナー関係を予感させた。しかし、「防衛と攻撃」を一体化した包括協議の行方は不透明で、ブッシュ政権が推進するミサイル防衛構想の前途はなお多難だ。
 今回の首脳会談は、ミサイル防衛構想をめぐって米露の亀裂が深まるか、歩み寄るかの分かれ道とされていた。ウルフォウィッツ米国防副長官は議会証言で、米国は「数カ月以内」にも弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約に抵触する可能性があると語り、条約に違反する実験の強行も辞さない構えを見せていた。
 また、米側は8月にも、アラスカ州で試験的迎撃基地の整地に着手する予定で、ロシア側には条約の形がい化に対する危機感が強かった。今回の会談で、こうした米露関係の潜在的危機を何とか乗り切れたのは、スロベニアで6月行われた首脳会談で、ブッシュ、プーチン両大統領が一定の信頼関係を築き上げていたためだろう。
 ただ、「防衛面(ミサイル防衛)と攻撃面(戦略核兵器)をワンセットとした交渉」は長期化が予想され、ロシアがABM制限条約の改廃に応じたり、ミサイル防衛に明確なゴーサインを出すことは、短期的には考えにくい。当面は閣僚級を含めた米露の専門家グループの協議が続くことになりそうだ。
 このため米露関係は一定の安定を保つ見通しだが、米国がABM制限条約によって禁止された迎撃システムの実験に踏み切った場合など、ロシアはどう対応するのか、という問題がある。米国は9月以降、海上配備や空中発射の迎撃システムの実験を行うと予告しており、ロシアがこれに暗黙の了解を与えたかどうかが注目される。 [2001-07-23-02:05] 34
[このページの最初に戻る]


 07/23@核削減とミサイル防衛はセットで交渉 米ロ首脳合意(朝日新聞)

 ブッシュ米大統領とプーチン・ロシア大統領は22日、サミットの終了後、ジェノバで会談した。ブッシュ氏は、ミサイル防衛計画を柱とする新たな「戦略的枠組み」についてロシアの理解を求めた。両国は、核弾頭の削減では一定の歩調を合わせることで一致し、核と防衛システムの両問題は切り離さずにセットで交渉することで合意。今後も包括的な協議を続けることを確認した。
 両首脳の会談は、6月のスロベニアでの初顔合わせ以来2回目。焦点は米国が開発を急ぐミサイル防衛計画に絡む弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約の改廃問題。来年2月にも条約に触れる迎撃実験を行う予定の米国は、ロシアの了承を得ることを目指している。
 両政府は会談後、「世界の大きな変化により、攻撃、防衛の両システムで具体的協議が必要だとの見方で一致した。両国にはすでに強固な合意点がある」などとする共同声明を発表した。
 記者会見で、プーチン氏は核と防衛システムのセット交渉を強調するとともに「我々は、核弾頭の大幅削減に向けて相互の努力を話し合う。弾頭数については両国の専門家レベルで協議する」と表明。ブッシュ氏は「今後の合意を楽観視している」と語った。
 米政府はこれまで、核削減はロシア側の削減とは無関係に一方的に進める姿勢を示してきた。今回も、プーチン氏が弾頭数の交渉に踏み込む姿勢を明確にしたのに対し、ブッシュ氏は明言を避けた。米国は核とミサイル防衛の一括論議は歓迎しつつも、核削減の方法や進め方については、ロシアとの間にまだ開きがあるとみられている。
 プーチン氏はそうした情勢を考慮して「まだいくつかの問題で違いがある」とも語り、ABM条約の改廃などで結論が出なかったことを認めた。両国は、ライス大統領補佐官(国家安全保障担当)の訪ロをはじめ、国防、経済両面の閣僚級交流を進めることを再確認。次回の首脳会談は10月の上海でのAPEC(アジア太平洋経済協力会議)で開く。[2001-07-23-01:04] 60
[このページの最初に戻る]


 07/23@<インドネシア>政権交代、「次」狙う議長が画策(毎日新聞)

 緑の大屋根を頂くジャカルタの議会ビルは、スカルノ初代大統領がデザインした独特の姿をしている。23日午後5時(日本時間同7時)すぎ、白い民族衣装のメガワティ第5代大統領は、父ゆかりの議場に拍手で迎えられ、笑顔で壇上の大統領席に着いた。国歌「インドネシア・ラヤ」が高らかに斉唱される。前回大統領選でワヒド候補に敗れた日から、1年9カ月ぶりの雪辱だった。
 この日の主役はもちろんメガワティ新大統領だが、影の主役はアミン・ライス国民協議会議長と言える。イスラム諸政党を率いる同議長は、99年10月の大統領選でワヒド候補がメガワティ候補を破った原動力だった。だが、次第に大統領批判に転じ、2件の資金疑惑を足掛かりにした大統領攻撃の急先ぽうとなった。前回はイスラム諸政党に煮え湯を飲まされた闘争民主党だが、「政治の世界では敵味方はその時その時で変わる。昨年4月頃から議員が活発に行き来していた」(闘争民主党幹部)という。
 今年2月に大統領の資金疑惑に関する国会特別委報告が提出された際、大統領の即時辞任を叫ぶイスラム諸政党は突出気味で、闘争民主党やゴルカル党とはなお温度差があった。しかし、アミン・ライス議長は「国民協議会まで持ち込めば後は何とでも料理できる」と大統領包囲網を形成していった。
 南ジャカルタのメガワティ氏私邸に22日集まった各党党首らは「メガワティ氏のリーダーシップを支えていく」ことを確認した。しかし各党は、それぞれに思惑を抱えている。政局のフィクサーとして存在感を見せつけたアミン・ライス議長だが、信頼し合っているわけでもないメガワティ大統領を誕生させた狙いは、「ワヒド、メガワティ両氏を早々に片付け、2004年の大統領選は自分の出番という策略がある」と言われている。
 闘争民主党は第1党ながら国会(定数500)の153議席に過ぎず、連立を組む必要がある。同党が恐れるのは、ワヒド前政権のように相手が手のひらを返すことだ。メガワティ大統領がワヒド政権の二の舞を避けるためには、閣僚人事や政策決定で常に連立政党、国軍の顔色をうかがう必要がある。経済改革、地方の紛争・独立運動など山積する課題を背負って、これまで以上に厳しい評価にもさらされる。
 「政治エリートの間で、必ずしも政治手腕があるわけではないメガワティ大統領は、決定権さえない単なる象徴になってしまう恐れがある」(政治学者)との厳しい見方も出ている。【ジャカルタ中坪央暁】
 ワヒド前大統領の弾劾に向けた一連の動きでワヒド氏は「弾劾は違法」と主張した。一方、国民協議会も前大統領の非常事態宣言発令を違法と決議した。双方の主張を検証すると、協議会は規定に基き手続きを進めたのに対し、ワヒド氏は国権の最高機関である協議会の承認を得ずに非常事態を宣言し、手続きは非合法的だったと言える。
 鈴木佑司・法政大法学部教授(国際政治)によると、今回の弾劾手続きは、78年に国民協議会が定めた協議会令に基き進められた。協議会令は憲法の規定を補うものと位置付けられ、一般的な法令よりも上位に位置する。
 大統領の弾劾手続きが始まった場合、大統領は反論である「総括・責任説明演説」を行う権利を与えられる。これを協議会が過半数で拒否した場合、大統領はもう一度反論演説を行える。これも拒否されると協議会は解任の決議を行える。
 一方、ワヒド氏の非常事態宣言は、オランダ植民地時代から存在した「非常事態法」に基づいたものだ。過去には59年にスカルノ元大統領が同様に非常事態を宣言し、国民協議会の機能を停止したことがある。
 第二次大戦後に制定された憲法は、国権の最高機関は国民協議会であり、大統領の権限は協議会から付与されると定めている。このため、大統領が非常事態を宣言し、立法府の停止などを行うためには、協議会の承認が必要だったが、ワヒド氏はこの手続きを一切せず、バギル最高裁長官も「宣言は無効」と確認した。【西尾英之】 [2001-07-23-23:45] 62
[このページの最初に戻る]


 07/23@米、生物兵器禁止条約反対表明へ(読売新聞)

 【ジュネーブ23日=大内佐紀】生物兵器の開発、生産、貯蔵の禁止と保有する同兵器の廃棄などを規定した「生物兵器禁止条約」に欠けている検証制度を決める議定書に関する交渉の最終協議が23日、当地の国連欧州本部で始まった。交渉筋によると、米政府は25日に今年3月にまとまった議長草案を拒否する立場を正式に表明する。
 米国は議長草案による査察方法ではイランやイラク、中国などの違反を発見できないとする不満と、米企業や研究所への査察で先進バイオ技術が漏れることに対する懸念があると見られている。
 23日の協議の冒頭、トット議長(ハンガリー大使)は「どの国も自国の立場に固執すべきでない。全体としての利益を得るためには協力の精神が必要だ」と訴えた。続いて査察条件などに難色を示す中国とイランなどが「協力の姿勢を見せるか否かに一国の政治的意思と責任感が問われている」「ある一国の拒否のため交渉が水泡に帰することがあれば、その国は世界の安全より自国の商業的利益を重視することを示す」などと米国の拒否を見越して皮肉たっぷりに演説した。 [2001-07-23-23:12] 67
[このページの最初に戻る]


 07/23@<ローマ訪問>万能細胞の実験禁止を訴え 法王が米大統領に(毎日新聞)

 【ローマ布施広】ブッシュ米大統領は23日、バチカンを訪れ、ローマ法王ヨハネ・パウロ2世と会談した。法王は会談後の声明で、人間の受精卵から取り出した万能細胞(胚性幹細胞)を使う研究を「邪悪」と非難、米政府がこの種の研究を禁じるよう訴えた。
 様々な臓器や組織に変わる能力を持つ万能細胞の研究は、臓器移植や難病の治療に期待される半面、受精卵を使うことから倫理的な問題点が指摘されている。米国は連邦法で受精卵を使った研究を禁じており、ブッシュ政権は近く、万能細胞の研究を認めるかどうかの決定を下す予定だ。
 法王は妊娠中絶問題をめぐりクリントン前政権と対立、ブッシュ大統領の当選時は祝福の電文を送り、「強固な倫理的基盤」を築くよう呼びかけていた。
 大統領は22日夜、ジェノバからローマに到着、23日からのイタリア公式訪問で、チャンピ・イタリア大統領、ベルルスコーニ首相と会談した。 [2001-07-23-21:15] 69
[このページの最初に戻る]


 07/23@メガワティ新大統領が就任 ワヒド氏は解任無視の構え(共同通信)

 【ジャカルタ23日共同=上村淳】インドネシア国民協議会(国権の最高機関、定数七○○)は二十三日、ワヒド大統領の解任を出席議員五九一の全員賛成で決定した。これに伴いメガワティ・スカルノプトリ副大統領(54)=闘争民主党党首=が第五代大統領に就任した。任期は二○○四年まで。
 新大統領は安定政権を目指し、深刻化する地方の独立・民族紛争の解決や経済再建に取り組む。まず今回の政権交代を平和的に収拾できるかが課題だ。
 弾劾審議に抵抗し議会凍結の大統領令まで出したワヒド氏は解任決定も無視する構えで、当面は大統領宮殿にとどまる見通し。政変をめぐる大規模な抗議行動は起きていないが、ワヒド派の抗議で社会不安が高まる懸念もある。
 同国で初めて民主的に大統領に選出されたワヒド氏は、昨年から今年にかけて浮上した食料調達庁の関連財団の資金流出疑惑などで国会や学生らから批判を浴び、退陣を余儀なくされた。
 メガワティ新大統領はスカルノ初代大統領の長女。スハルト長期政権時代から野党指導者として国民の人気を集め、一九九六年に政界追放された。同政権崩壊後の九九年六月の総選挙で闘争民主党は第一党となったが、多数派形成に失敗、副大統領に甘んじた。
 「独立の父」の長女として「国家統一の保持」を最優先に掲げる。各地の独立運動と話し合い路線をとって国軍と対立したワヒド氏と異なり、国軍との関係が密接。独立紛争は激化する可能性がある。
 一方、ワヒド氏の大統領宮殿退去についてアミン・ライス国民協議会議長は「強制排除はしない。一―二週間とどまっても構わない。荷物をまとめる時間が必要だ」と述べた。新大統領はその間、副大統領府で執務することになりそうだ。(了)[2001-07-23-20:22] 71
[このページの最初に戻る]


 07/23@コンゴ大使が無関係を強調 事務所家賃滞納問題で(共同通信)

 中央アフリカのコンゴ(旧ザイール)大使館の通商代表機関事務所の代表を名乗るコンゴ人男性が約五年間の事務所の家賃計約九百万円分を滞納している問題で、ムブイ・ムキシ臨時代理大使が二十三日記者会見し、同機関がコンゴ政府と無関係であることをあらためて強調した。
 ムキシ氏は同機関の代表となっているコンゴ人男性のジョン・ムウェテ・ムルアカ氏について「大使館では過去に運転手として勤務した経験があるだけで、それ以降は一民間人であり(現在は)大使館とは関係ない」とした。
 同機関については「日本人が設立し、前臨時代理大使やムルアカ氏に協力を依頼して希少金属などを不法に輸入する目的でつくられた民間の団体ではないだろうか」と述べ、この機関をコンゴ政府は認めていないと繰り返した。
 ムルアカ氏は鈴木宗男衆院議員(自民)の私設秘書を務めており、「わたしはコンゴ政府の幹部と相談しており、学者でもある。単なる運転手ではない」と話している。(了)[2001-07-23-19:50] 80
[このページの最初に戻る]


 07/23@米の反対で交渉に暗雲 生物兵器条約の議定書会合(共同通信)

 【ジュネーブ23日共同】生物兵器禁止条約の検証議定書策定を目指した専門家会合が二十三日、ジュネーブで始まる。議定書は当初、今年十一月の特別締約国会議での採択が目標だったが、ブッシュ米政権が今回の会合で議定書草案に反対を表明すると伝えられており、交渉の行方には暗雲が漂っている。
 軍縮外交筋によると、ブッシュ政権は草案について@生物兵器禁止条約機構(OPBW)が実施する定期的な「訪問」で、米国のバイオテクノロジー(生命工学)技術が流出する恐れがあるA違反の恐れがある国に対する査察体制が弱すぎる―などとして、受け入れに難色を示している。
 しかし、米国の要求は「自国に対する検証はもっと甘く、他国への検証はもっと厳しく」(軍縮外交筋)という内容であり、百四十を超す条約加盟国が全会一致で受け入れることは極めて困難。加えて、イランなど生物兵器技術の開発に疑惑を持たれている国は、現在の草案でも干渉が強すぎると批判している。
 生物兵器禁止条約は一九七五年に発効したが、条約履行を確認するための制度が存在せず、検証議定書の策定が求められていた。今年四月に入り、違反国に対する国連制裁などを定めた初の「統合草案」が完成、加盟国の間で議論が続いてきた。(了)[2001-07-23-16:26] 81
[このページの最初に戻る]


 07/23@ウクライナ分割の主張も 影響力回復目指すロシア(共同通信)

 ロシアを除けば、欧州で最大の国土を持つウクライナの潜在的な東西分裂の傾向が、先のローマ法王ヨハネ・パウロ二世の訪問で浮き彫りとなった。法王の訪問を機に、ロシア側からは「ウクライナ分割論」が飛び出すなど、ウクライナに揺さぶりを掛ける動きが出ており、ソ連崩壊で失った覇権の回復を目指すロシアのプーチン政権の思惑も見え隠れしている。
 法王は六月末にウクライナを訪問、カトリックの最高指導者として初めてスラブのギリシャ正教圏に足跡をしるした。歴史的にカトリックへの親近感が強い西部のリビウでは、市民の熱狂的歓迎を受けた。
 ウクライナ西部は十四世紀から第二次世界大戦ごろまでポーランドなどの支配下に置かれてきた。しかし、東部は十八世紀末までにロシア帝国に統合されたことなどから、親ロシアの傾向が強い。法王のリビウ訪問と同じころ、インターネット上にロシアの政治学者イリヤ・レピホフ氏の過激な論文が発表された。
 論文は「ウクライナ三分割論」を展開。ロシア民族国家の起源となるキエフ・ロシアの発祥の地である首都キエフを含む中・東部をロシアの「衛星国家」とする一方、ロシアからの独立志向の強い西部、イスラム教徒のクリミア・タタール人が多い南部をそれぞれ分割すべきだとしている。
 カトリックと対立するロシア正教会の最高指導者アレクシー二世総主教は、法王訪問の機を狙って同じスラブ正教圏のベラルーシを訪問。「法王のウクライナ訪問は新たな国家分裂を誘うものだ」と述べ、東西キリスト教会の和解を呼び掛けた法王に対して非難の言葉で応酬した。
 こうしたロシア側の発言について、リビウの有力紙ビソーキーザモクのステパン・クルピリ編集長は「“西部分裂”と絡めたロシアの情報宣伝は、一年余り前のプーチン政権発足以降、顕著になってきた。分裂を声高に叫ぶことで揺さぶりを掛け、影響力拡大を図るロシア側の戦術だ」と警戒感を示す。
 ウクライナ民族主義の伝統が強く残る西部地域の知識人も「ウクライナの統一を常に訴えてきたのは、むしろ西部。ロシア正教会は事実上、クレムリン(ロシア政府)の情報宣伝機関だ」と語り、総主教の「国家分裂」発言に反発する。
 ソ連崩壊による独立から十年。ウクライナでは、経済の低迷が続く中、国民の当時の興奮も冷め、クチマ政権は欧米諸国を基軸にした外交から、天然ガスなどのエネルギーをほぼ全面的に依存するロシアに“回帰”しつつある。「ウクライナ分割論」も、大国復活を掲げるクレムリンの思惑と無関係ではなさそうだ。(リビウ共同=及川仁)(了)[2001-07-23-16:06] 88
[このページの最初に戻る]


 07/23@上院が法廷修正案可決 カンボジア(共同通信)

 【プノンペン23日共同】一九七○年代後半にカンボジアで大量虐殺を行ったポル・ポト派元幹部らを裁く特別法廷の設置をめぐる修正法案が二十三日、同国の上院本会議で可決された。
 法案は十一日に下院で可決されており、憲法評議会で承認されれば、シアヌーク国王が署名し発効する。カンボジアと国連はその後、被告人や判事、検事、弁護士らの選定などについて詰めの協議を行う。
 しかし、フン・セン首相は二十二日、「カンボジアは自国の法律を尊重するだけだ。法発効後、国内の(法廷設置への)障害は何もない。問題は国外(国連)にある」と述べ、九六年に政府に投降しポト派消滅のきっかけをつくったイエン・サリ元幹部を訴追するかどうかなどについて、国連の要求には応じないとの態度を鮮明にした。(了)[2001-07-23-13:20] 102
[このページの最初に戻る]


 07/23@<米露首脳会議>ミサイル防衛と戦略核削減の包括協議 露は(毎日新聞)

 【ジェノバ田中洋之】イタリア・ジェノバで22日行われた米露首脳会議で、両国がミサイル防衛問題と戦略核削減を一体化した包括協議の開始を決めたことについて、ロシア側は「予期せぬ合意」(プーチン大統領)と歓迎している。ロシアが最も恐れているのはミサイル防衛構想を推進する米国が弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約から一方的に脱退する事態だ。ロシアとしては米国を安保協議に引き込むことで軍事的バランスを維持させ、一定の妥協を引き出す狙いがある。
 プーチン大統領はサミット直前に中国の江沢民・国家主席とモスクワで会談し、ABM制限条約の必要性を確認。さらにミサイル防衛構想に批判的なフランス、ドイツを含めた「対米包囲網」を強化してきた。大統領が最近、米露英仏中の国連安保理常任理事国による安保問題の常設協議機関の設置を提案したのも、米国の独走阻止を狙ったものだ。
 その一方で、ロシアは米国が成功させた迎撃ミサイル実験について強く批判しながらも、戦略核兵器削減やミサイル防衛問題について米国側と具体的協議を開始する用意を表明した。またプーチン大統領は中露首脳会談後、「(米国に対抗するため)中国など他国と共同で行動するつもりはない」と述べ、米露対話に向けたシグナルを送り続けていた。
 ロシアが戦略核の大幅削減と引き換えにABM制限条約の見直しに応じるのでは、との観測も一部にあるが、ロシアは「戦略的安定の要」とする同条約の根幹部分の修正は断固拒否する考えだ。ロシア国内には米国のミサイル防衛構想は技術的に実現困難との見方が強く、新たな米露協議の枠組みについても、米国をABM制限条約の枠内にとどめるための「時間かせぎ」に利用する戦略もうかがえる。ロシアが条約修正に応じるよう求める米国との思惑の違いが表面化する事態も考えられる。 [2001-07-23-10:35] 107
[このページの最初に戻る]


 07/23@テント学校の子ども視察 アフガン訪問の黒柳さん(共同通信)

 【ヘラート(アフガニスタン)23日共同】国連児童基金(ユニセフ)親善大使としてアフガニスタン西部ヘラートを訪問中の女優、黒柳徹子さんは二十二日、干ばつなどで故郷を離れた避難民が暮らす同市近郊の二つのキャンプを訪れ、子どもや母親たちと交流した。
 黒柳さんは気温四○度近い暑さの中、シャイダイーキャンプに設置されたテントで勉強する子どもたちを視察。女生徒ビビハジュラちゃん(10)は「両親に自分の国の歴史や文化をしっかり勉強しなさいと言われた。将来は学校の先生になりたい」と元気に話した。
 学校はユニセフの支援で五月に開校、タリバンの宗教警察に一時閉鎖されたが、七月に再開された。
 約十三万人が暮らすマスラックキャンプでは、約五十人の母親たちが黒柳さんを取り囲み「食糧や薬が足りない」「希望が見えない生活だ」と口々に訴えた。ここでは昨冬、寒波で約百五十人が死亡した。
 黒柳さんは「キャンプ内で平等に教育が行われていることは印象的だったが、長い内戦や干ばつで人々はすさみきっていると感じた」と話した。(了)[2001-07-23-08:11] 108
[このページの最初に戻る]


 07/23@女子教育の推進を計画 ユニセフ親善大使、黒柳徹子さん(共同通信)

 【ヘラート(アフガニスタン)23日共同】アフガニスタンの大部分を実効支配するタリバンのカイルラー西部地方知事は二十二日、同国訪問中の国連児童基金(ユニセフ)親善大使、黒柳徹子さんとヘラートの庁舎で会見し、「国際社会との関係改善に努力し、将来的には女子教育も一定程度進めたい」などと語った。
 女子教育について知事は「宗教や伝統との折り合いもありすぐに教育制度を変えるのは難しいが、状況が安定したら(現在九歳までの)女子教育の年齢を引き上げたり女性教師を増やすことを考えている」と前向きな姿勢を見せた。
 知事はまた、国際社会が強く批判していたケシ栽培を昨年夏にタリバンが禁止したことについて「この事実を認めてもらった上で、厳しい干ばつにあえぐ人々への支援を増強してほしい」と訴えた。(了)[2001-07-23-08:10] 117
[このページの最初に戻る]


 07/23@<東論西談>強引な外交とサミット 討議しないなら「無用」(毎日新聞)

 イタリアの港町ジェノバには、12世紀の建立とされるサンロレンツォ聖堂がある。そこにシバの女王が古代ユダヤ王国のソロモン王に贈った聖杯があると聞いて、出かけていった。海沿いのプレスセンターから徒歩10分。石畳の坂道は市民より兵士の姿が目立つ。商店街は軒並み休業し、聖堂も固く門を閉ざしていた。
 息苦しいサミットだった。美しい港町は戒厳令下の趣きを呈し、治安部隊の銃撃で1人の青年が死んだ。彼は血だまりの中で仰向けに倒れていた。翌日、抗議行動の民衆たちは「我々みんなを殺すことはできない」というスローガンを掲げた。「サミットが人を殺した」と彼らは言う。
 青年の死をキリストの殉難と比べた新聞もある。だが抗議行動を「義」とし、サミットを「悪」とするのは無論、間違いだ。ライス米大統領補佐官が言うように、サミットに集まる指導者たちは公正な選挙で選ばれている。抗議行動も民主主義で許された行為とはいえ、ルールを逸脱すれば危険や懲罰が伴う。治安部隊の過剰防衛の可能性を考慮しても、青年の死をひたすら美化するのは考え物だ。
 だが、流血も覚悟でサミットを開く必要があるのか、という問題は残るだろう。主要国の首脳が一堂に会し、世界的な問題を討議するのは本来、意義深いことだ。その会合がお祭り的な色彩を強めたために、「サミット無用論」が生まれたのだが、今は別の観点から「無用論」を展開することも可能に思える。
 簡単に言えば、米国の力が余りに強くなり、しかもブッシュ政権発足以降、他国の都合に構わず強引に物事を決める印象が強まったことだ。例えば、地球温暖化防止のための京都議定書や、ミサイル防衛構想に関して、米国は今回のサミットで、どこまで真剣に他国の意見を聞いただろうか。討議によって進むべき道を模索する姿勢がなければ、首脳が集まる意味はない。
 無論、「国益」の面から、どうしても譲れない問題はあるだろう。だが、外交には他国の利害が複雑に絡み合う。だからこそブッシュ政権は発足当初、前政権との「外交の一貫性」の尊重を約束したのだが、その後は京都議定書からの離脱、核実験全面禁止条約(CTBT)の「死文化」、生物兵器禁止条約の検証議定書への反対などを打ち出し、国際社会に大きな波風を立たせてきた。
 国際的な枠組みを変革するのも、世界のリーダーたる米国の務めとはいえ、変革には慎重さが要求される。関係国への打診もなく、唐突に確定方針を打ち出す「ユニラテラリズム」(一方的外交)は、リーダーにふさわしくないし、「絶対に譲歩しない」といった態度が、ブッシュ政権に息苦しい印象を与えていることは否定できない。
 シバの女王はソロモン王に会うや、彼の知恵に驚き、熱心な信奉者になったという。米国の繁栄は「ソロモンの栄華」に匹敵するものかも知れないが、力だけでは尊敬は得られない。(ジェノバで布施広) [2001-07-23-00:15]
[このページの最初に戻る]


 07/24@◎コソボなどの米軍削減せず=ブッシュ大統領が現地で演説(時事通信)

 【ボンドスティール米軍基地(ユーゴスラビア)24日AFP=時事】欧州歴訪中のブッシュ米大統領は24日、ユーゴスラビアのコソボ自治州の州都プリシュティナ近郊のボンドスティール米軍基地に到着、基地内で米兵らを前に演説し、米軍を削減する考えがないことを確認した。
 大統領は「米国が突然、一方的にボスニア・ヘルツェゴビナやコソボで米軍を削減することはない」と言明。「われわれは米国の貢献が軍事的にも政治的にも不可欠であることを理解している」と語った。 [時事通信社][2001-07-24-23:48] 27
[このページの最初に戻る]


 07/24@マケドニアで戦闘 少女1人死亡、24人けが(朝日新聞)

 マケドニア北部の都市テトボで23日、アルバニア系武装組織・民族解放軍(NLA)と政府軍の間で戦闘が起き、巻き込まれた12歳のアルバニア系の少女1人が死亡、市民19人と政府軍兵士5人の計24人が負傷した。
 政府軍によると、戦闘はNLAが政府軍を攻撃したのがきっかけ。銃撃戦のほか、迫撃砲による攻撃も行われ、多数の市民が巻き添えとなった。[2001-07-24-21:34] 28
[このページの最初に戻る]


 07/24@<米大統領>コソボ自治州を訪問 米軍単独早期撤収せず(毎日新聞)

 【ローマ布施広】ブッシュ米大統領は24日、ローマから専用機でユーゴスラビア連邦コソボ自治州を訪問し、州都プリシュティナ近郊のボンドスティール基地で、平和維持活動に従事する米軍兵士を激励した。大統領は演説で、「(各国の平和維持部隊が同時にコソボに来た以上)我々は一緒に帰る」と述べ、米軍だけの早期撤収はないことを確認した。今後の課題として、組織的犯罪の防止、コソボの民主的政体の樹立などを挙げた。
大統領は同日夕、ローマに戻り帰国の途に就く。 [2001-07-24-21:15] 30
[このページの最初に戻る]


 07/24@マケドニア・テトボで市街戦、停戦は事実上崩壊(読売新聞)

 【ウィーン23日=佐々木良寿】マケドニアからの報道によると、同国紛争の焦点となってきたアルバニア系多数派地域の主要都市テトボで23日、政府軍とアルバニア系武装勢力「民族解放軍(NLA)」との市街戦が発生し、12歳の少女1人が死亡、市民13人が負傷した。これにより、今月初めから続いてきた停戦は事実上崩壊した。ブチュコフスキ国防相は武装勢力に対する総攻撃も辞さない考えを明らかにした。
 戦闘が起きたのは、同市の中央広場や東部のサッカー場周辺で、終日、至近距離での銃撃戦が続いた。同市は、NLAが2月に攻撃を開始して以来、政府軍との攻防戦の舞台となってきた。NLAと政府軍は、今月5日、北大西洋条約機構(NATO)の仲介で無期限停戦に入っていたが、NLA側はこの間も着々と態勢を立て直し、陣地を拡大、22日にも同市周辺の山間部で一時的な戦闘が伝えられていた。
 マケドニア紛争をめぐっては、アルバニア系政党とマケドニア人政党強硬派の対立が深刻化。欧州連合(EU)はアルバニア語の公用語化で妥協を図ろうとしたが、強硬派のゲオルギエフスキ首相らが反発し、和平対話は中断したまま再開のメドは立っていない。
 EUは依然、停戦は崩壊していない、との立場だが、テトボ市内では、アルバニア系住民とみられる数十人が武装、バリケードを築くなど、本格的な内戦に突き進む様相を濃くしている。 [2001-07-24-10:43] 31
[このページの最初に戻る]


 07/24@<マケドニア>政府軍とアルバニア系ゲリラが戦闘、19人死(毎日新聞)

 【ウィーン福井聡】マケドニア政府軍とアルバニア系ゲリラ・民族解放軍は23日、北西部テトボ周辺で激しい戦闘を繰り広げた。少女(12)が死亡したほか、民間人13人を含む18人が負傷した。バッコウスキ国防相は「ゲリラ側が停戦前の状態に撤退しなければ総攻撃に入る」と警告した。
 テトボからの報道によると、戦闘は郊外のスポーツ・スタジアム周辺で激化し、市中心部でも砲撃音が断続的に続いた。マケドニアでは今月5日から表面上は停戦状態となっているが、政治交渉の行き詰まりと共に戦闘が徐々に激しくなっており、国防相の警告は戦闘全面再開を強く示唆している。
 北大西洋条約機構(NATO)はマケドニア政府の要請により、ゲリラから武器を回収するため「3000人規模の部隊を30日間展開させる」としているが、計画は「ゲリラ掃討ではなく、ゲリラ側の自主性に基く武器回収作戦で、停戦と政治合意が前提条件」としている。 [2001-07-24-10:35] 17
[このページの最初に戻る]


 07/24@「イスラエル首相の罪」告訴、ベルギー裁判所が受理(読売新聞)

 【エルサレム24日=当間敏雄】シャロン・イスラエル首相の「人道に対する罪」への告訴がベルギーの裁判所で受理され、両国関係にきしみが生じている。ベルギーは7月から欧州連合(EU)議長国になったが、世界中の人権侵害を訴えることができるとした同国の理想主義が、パレスチナ紛争調停を目指すEU共通外交の現場で、足かせになりかねない。
 シャロン首相に対する告訴は、1982年のイスラエル軍のレバノン侵攻時にパレスチナ難民キャンプにいた女性や子供を含む約1000人が虐殺された事件に関するもの。虐殺を生き延びたパレスチナ人らが先月18日、重大な人道犯罪は国籍や犯行現場に関係なく裁判に持ち込めるとしたベルギーの法律を利用し、事件当時、国防相として侵攻作戦を指揮したシャロン氏を同国の裁判所に訴えた。
 告訴を受理した予審判事が捜査の可否を判断するが、シャロン首相に逮捕状が出されるような事態になれば、両国外交関係が危機的状況に陥るのは確実。シャロン首相はすでに今月初めの欧州歴訪で当初予定していたベルギー訪問を取りやめている。告訴を受け入れた同国に対する抗議とみられている。  [2001-07-24-21:53] 21
[このページの最初に戻る]


 07/24@<日中外相会談>中国側の敏感さ示す 靖国神社参拝問題(毎日新聞)

 24日の日中外相会談は小泉純一郎首相が意向を表明している靖国神社参拝問題が大半を占め、中国側がいかに敏感になっているかを示した。言うべきことを言って日本側の自主的な対応を待つ姿勢の唐家セン中国外相に対し、田中真紀子外相は「首相に伝える」と応じるのが精いっぱいで、もっぱら聞き役に回った。
 今回の会談について外務省筋は「田中外相が中国を説得するのではなく中国が自分たちの心配、懸念を伝える場だった」と言う。首相と意見の違う外相にとっては「参拝中止の期待を持たせず、かつ参拝への最後通告にならないよう誠意を見せる」(同行筋)のがギリギリだったようだ。
 日本国内では、首相が靖国参拝をする際にアジア諸国の懸念をぬぐい去るため政府声明を出すことや、戦没者を慰霊するため新たに国立墓地を建設する構想などがある。だが、こうした議論も政界では広がりを欠いており、「私は国内で(靖国神社と)別の国立墓地建設を言っている」との田中外相の言葉も、どこまで説得力を持って伝わったのかは疑わしい。
 外務省は首相参拝後の長期戦をにらんで、9月のニューヨーク国連総会での外相会談、10月の上海での首脳会談を関係修復の場につなげようとしているが、中国の反発の大きさによっては、こうした外交スケジュールすら揺らぎかねない。
 一方、唐外相は会談後に記者団に「(参拝は)やめなさいと言明した」と強い口調で語ったが、圧力と受け取られるのは本意ではないだろう。江沢民国家主席は7月上旬の与党3党幹事長訪中の際、日中関係の大局重視の姿勢を強調。唐外相も、会談で「これが新世紀の対日政策の重要な内容だ」と指摘した。
 「中国は日本との関係悪化を望んでいないのだから、日本も歴史問題で波風を立てることは避けてほしい」――。これが、中国側の理屈だ。98年の江主席訪日の際、歴史問題を突出させて日本の反発を招いた。この反省に立った論理でもある。
 「中国が韓国と組んで第三国に対抗することはありえない」。唐外相は24日午前の中韓外相会談後、歴史問題の中韓共闘を強く否定した。これも対日配慮といえる。
 中国は、参院選後に首相の姿勢が変化する可能性が消えたとは見ていない。当面参拝反対を明確にして、日本側にボールを投げ返すのが得策との判断もあると見られる。【ハノイ堀山明子、坂東賢治】 [2001-07-24-21:05] 24
[このページの最初に戻る]


 07/24@マンデラ氏、前立腺がん(共同通信)

 【ヨハネスブルク24日共同】南アフリカのネルソン・マンデラ前大統領(83)の事務所は二十四日、マンデラ氏が前立腺(せん)がんと診断されたことを明らかにした。
 事務所の声明は、重症ではなく、寿命を縮めることにはならないとしている。マンデラ氏は七週間の放射線治療を受ける予定。同氏は一九八五年と九○年に前立腺の手術を受けたことがある。
 マンデラ氏は旧白人政権が推進したアパルトヘイト(人種隔離)政策への反対闘争を指導し、二十七年半の獄中生活を送った後、九四年に黒人として南ア史上初の大統領となった。九九年の政界引退後も、ブルンジ和平交渉など国際舞台で活躍している。(了)[2001-07-24-20:49] 26
[このページの最初に戻る]


 07/24@<米露関係>包括的戦略交渉急ぐ ブッシュ米大統領会見(毎日新聞)

 【ローマ布施広】イタリア訪問中のブッシュ米大統領は23日の記者会見で、ロシアとの包括的戦略交渉を急ぐ方針を表明し、週内に訪露するライス大統領補佐官が閣僚級協議の日程などをまとめ切れるかどうかが焦点になってきた。10月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)時の米露首脳会談までに、米側は弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約の改廃に道筋をつけたい意向だ。ロシアは慎重姿勢を崩しておらず、米側が望む早期決着への道は険しい。
 ローマで記者会見したブッシュ大統領は、22日にプーチン・ロシア大統領と会談した際、ミサイル防衛構想と戦略核削減問題の包括協議について「時間が問題だ」と早期決着を求めたことを明らかにした。ライス補佐官も別の会見で、今後の米露協議には「緊急性」が要求されるとし、迎撃基地着工問題などを踏まえて「米国は条約に違反したくない」と語った。
 8月から予定するアラスカ州の迎撃基地建設地の整地に加え、米国防総省は今秋以降、ABM制限条約が禁じる形態の迎撃実験に踏み切る構えを見せ、ウルフォウィッツ国防副長官は「数カ月以内」にも条約に違反する状況が生じると語っている。「条約違反」を避けるには、6月の首脳会談で合意した外相・国防相級の閣僚協議の早期開催などを通じて、条約改廃へのコンセンサスを作り上げるしかない。
 しかし、今回の首脳会談で合意した包括協議方式により、条約改廃問題をさらに複雑なものになった。戦略核の削減一つ取っても、1〜2カ月で片付く問題ではなく、よほど集中的に交渉しなければ、時間切れで米国が「条約違反」の状況に突入するのは必至だ。
 ロシアとの協調を重視する補佐官に対し、「米国の条約違反などあり得ない。条約には脱退条項があるからだ」(ラムズフェルド国防長官)といった強硬意見もあり、米政府内の見解も分かれているのが実情だ。 [2001-07-24-20:20] 34
[このページの最初に戻る]


 07/24@一方的外交より鮮明に ブッシュ大統領訪欧で(共同通信)

 【ローマ24日共同】ブッシュ米大統領は二十四日、一週間にわたる二回目の欧州歴訪を終了、イタリアでの主要国首脳会議(ジェノバ・サミット)や二国間会談を通じて、米国独自の主導権を貫く「ユニラテラリズム」(一方的外交)路線と「孤立主義」的性格が一層鮮明になった。
 サミットでは、地球温暖化防止のための京都議定書を拒否、米国独自で温室効果ガス排出を削減していくことに固執した。プーチン・ロシア大統領との会談でも、米ミサイル防衛構想と核兵器削減問題を一体化した「包括協議」の実施で合意するなど、米国の「国益」に沿った外交戦略を貫いた。
 ブッシュ大統領は二十三日、ローマでのベルルスコーニ・イタリア首相との共同記者会見で「(米国とソ連が)敵意を基盤に結んだ冷戦時代の条約が禁じる調査、研究に米国は乗り出さなければならない」と述べ、弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約が禁じる迎撃ミサイル実験基地の建設方針をあらためて表明、米国主導の国際安全保障の枠組み構築を目指す考えを強調した。
 イタリア首相との共同声明では、ミサイル防衛構想など「防御兵器」と、核兵器など「攻撃兵器」の両面を視野に入れた包括的な安全保障戦略を構築すべきだとの考えで合意したと発表することにも成功した。これで、ミサイル防衛に強く反対しているフランス、ドイツと、一定の理解を示している英国、スペイン、イタリアなどとの違いが、欧州連合(EU)諸国内で次第に浮き上がってきた。
 ホワイトハウス当局者によると、ブッシュ大統領は十月のアジア歴訪でも「二十一世紀の新しい脅威」に対抗するための新安保戦略の必要性を説く方針。ミサイル防衛構想にあいまいな態度を続けている日本は厳しい選択を迫られることになりそうだ。(了)[2001-07-24-18:47] 37
[このページの最初に戻る]


 07/24@韓国の歴史教科書を翻訳 怒りの理由に理解を(共同通信)

 中学の歴史教科書問題をめぐって日韓の交流が相次いで中止される中、先に韓国の高校用歴史教科書を翻訳した佐賀県玄海町の元高校教師藤井正昭さん(60)が、韓国の中学生用歴史教科書も翻訳し、このほど自主出版した。藤井さんは「ぜひ読んで、韓国の人がなぜ怒っているか理解してほしい」と話している。
 今回訳したのは韓国国定教科書の中学校国史の近現代史。各国の侵略や日本の植民地支配に対する抵抗運動、独立後の国家分裂など苦難な歴史を、高校用に比べ平易に記述している。
 藤井さんが今年三月、高校用を出版した際「日本の中学用教科書が問題になっているが、韓国の中学用教科書は出版しないのか」との問い合わせが相次いだ。藤井さんも教科書問題を憂慮、中学生や交流を進める自治体関係者などに韓国側からみた歴史を読んでほしい、と翻訳を始めた。
 藤井さんは四年前に退職、韓国・朝鮮史の研究や中国残留の韓国・朝鮮籍元従軍慰安婦問題などに取り組み、たびたび韓国を訪れている。
 本はB5判で百三十ページ。七百部印刷し、実費八百円で希望者に配る。問い合わせは玄海町有浦下三四四六ノ三の藤井さんまで、電話0955(52)3106。(了)[2001-07-24-17:21] 54
[このページの最初に戻る]


 07/24@女子小学校で交流できず 黒柳さん、タリバン抗議で(共同通信)

 【ヘラート(アフガニスタン)23日共同】国連児童基金(ユニセフ)親善大使としてアフガニスタンを訪問中の女優、黒柳徹子さんは二十三日、女子教育を禁止している同国のタリバン政権の下でひそかに開かれているヘラート近くの女子小学校を訪れた。しかし、タリバン兵士が途中で視察を中断させ、子どもたちとの交流が実現しなかった。
 同市から約六十五キロのバルナバード村。昨年十一月から民家の二階で開かれている学校に約二十人の女の子たちが集まり、黒いベールの女性教師の話に耳を傾けていた。
 黒柳さんが教室に入って子どもたちと交流しようとすると「護衛役」のタリバン兵が取材陣らに「女子教育をなぜ撮影するのか」などと激しく抗議した。
 このため黒柳さんは視察を中断、「先生や子どもたちの話が聞きたかったのに」と残念そうだった。
 こうした「地下」学校は全国に広がっており、ヘラートとその周辺だけで八百カ所以上、二万五千人以上が学んでいる。教師の給料は地域社会が負担、教科書や教員訓練などはユニセフが援助している。
 タリバンは基本的には「見て見ぬふり」をしているが、都市部では教師や地域責任者に危険が及ぶ場合もあるという。(了)[2001-07-24-08:23] 57
[このページの最初に戻る]


 07/24@生物兵器禁止条約の議定書最終交渉、合意不可能な情勢(朝日新聞)

 生物兵器禁止条約締約国による議定書づくりのための最後の専門家会合が23日からジュネーブで始まった。締約国は今年11月の議定書採択を目指している。しかし、米国は、検証制度は違反防止に有効でないなどとして、議長案を拒否する考えを日本や一部の欧州諸国に伝えており、合意は極めて難しい情勢だ。京都議定書や包括的核実験禁止条約(CTBT)に続いて、米国の単独行動主義が国際的な枠組みづくりにもう一つ影を落としそうだ。
 米国は今月上旬にワシントンで開かれた軍縮分野の日米高官協議で、トット議長案の問題点を列挙、抜本的な修正がなければ議定書を受け入れられないとして事実上拒否する考えを伝えた。日本側は再考を促したが、ワシントン・ポスト紙によると、ブッシュ政権の方針は変わらず、マーレイ大使が25日に拒否の方針を表明する。
 議長案の検証制度は、加盟国の申告と同意を原則に現地を訪問して実態調査し、条約違反の疑いがあれば強制力を伴う査察を実施する。米国は、強制査察の場合でも、実行までの間に隠すことができるので、疑わしい施設の検証は現在の技術力では不可能とみている。さらに、検証に名を借りた産業スパイの侵入やバイオ技術の情報漏れを防ぐ手だてがないことも問題視している。
 また、イランなどは、先進国が生物兵器の関連物資の輸出を拒否した場合、その是非を審査する「紛争解決機関」の設置を主張。議長案はこの提案は退けているものの、双方の「協議」を求めている。だが、米国は、国際的な制約を受けたくないとの立場から議長案ものまない方針だ。
 23日の会合では、トット議長が、米国を念頭に「国家の立場を忘れ、柔軟性を示して妥協をはからなければならない」と合意への協力を求めた。
 同条約は生物兵器の開発、生産、貯蔵の禁止を目的に75年に発効し、日本を含む143カ国が加盟。条約違反がないかの検証規定などを定める議定書について、94年に作業部会設置で合意、議論が続いてきた。[2001-07-24-03:05] 59
[このページの最初に戻る]


 07/24@<記者の目>ジェノバ・サミットを顧みて 中村秀明(経済部(毎日新聞)

 イタリア・ジェノバの主要国首脳会議に集った人たちの中で、最もサミットに興味が薄かったのは当事者の8カ国の首脳ではなかったか。「反グローバル化」の活動家やメディアの方がはるかに熱気があった。サミットで、何かが動いた実感も、これから動きそうな予感も与えなかった原因はそこにあった。冷戦時代からの「結束」と「協調」に縛られ、首脳は今のサミットをつまらなく感じ、熱気も使命感も持てずにいるのかもしれない。
 サミットには「ハイジャッカー」と呼ばれ、突然やってきて話題をさらうハプニングがつきものだ。旧ソ連のゴルバチョフ大統領の参加(91年)、朝鮮民主主義人民共和国の金正日主席の死去(94年)、インドの核実験(98年)などが代表例だ。ハイジャッカーへの対処で、首脳たちの有事即応体制、政治的センスが問われる。
 ジェノバのハイジャッカーは「反グローバル化」の抗議運動だった。初日の20日、とうとう死者が出た。首脳は急きょ「非暴力」を訴える声明を発表したが、呼びかけたのはロシアのプーチン大統領だった。四半世紀続けてマンネリ気味の7カ国に比べ、新参国には緊張感が備わっていた。
 マンネリ組の中でも、サミット最古参のシラク仏大統領は立派だった。京都議定書問題での米国との対立を首脳宣言に反映させることを主張し、「意見の不一致があった」と盛り込ませた。対立を避けたがる日本人の目には「深刻な事態」と映るが、国際会議や国同士の交渉にはよくあることだ。不一致の確認は、歩み寄りや一致への出発点になる。第一、議定書問題を「共通の目標に協力する」というだけで済ましたとしたら、何を言いたいのか分からず、ウソでごまかすことになる。
 ベルルスコーニー伊首相は議長会見で「冷戦時代に米露の大統領が席を並べ、笑顔で会話する光景が想像できただろうか」と語ったが、8カ国はあと20〜30年くらいは戦火を交えることはないだろう。だからこそ、領土や生命の危険を感じずに、安心して激論できる。いや、激論を繰り返し、「違い」と「共通点」を分かっておかないと戦争が起きるかもしれない。
 サミットを「市民生活に直結する、ものすごく大事なことを決定する国際舞台」という勘違いが広がっている。勘違いによる過剰な期待と、実態の落差が「無用論」の根拠でもある。しかし、サミットは何かを決めたり、合意する場ではなく、新しい動きが始まっていく場と考えた方がいい。そうすると別の視点も広がる。
 27回も続いている毎年のサミットが開かれなくなる状態を思うと、落ち着かない気分になる。主要国首脳が自国の問題ばかりでなく、「地球全体のこともそれなりに考えている」という姿は、「世界はなんとかもっている」という安心感を生む。「反グローバル化」の抗議運動も、サミットがなくなれば行き場を失いかねず、サミットが正面から受けて立つ姿が健全なのだ。
 討議での存在感が薄かった小泉純一郎首相は、2日目の夕食会で面白いことを言った。「世の中には3種類の人がいる。『話せば分かる人』『話しても分からない人』『話さなくても分かる人』だ。政治家は『話しても分からない人』にも分かってもらう努力を続けていかなくてはいけない」と。過激な抗議活動を続ける人とも対話の努力をする必要を指摘したものだが、8カ国の首脳同士は「話せば分かる人」の部類だろう。
 だからこそ、鮮明な対立点である核実験全面禁止条約(CTBT)や、弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約を含む「核不拡散・軍備管理」を素通りしてはならなかった。議論の応酬を通じて、主張に隔たりはあるが、「米露は冷戦時代逆行の考えはない」というメッセージを世界に発信しなくていけなかった。
 議長国イタリアの「ことなかれ主義」の運営も原因だが、各国が「結束」と「協調」に縛られ、自ら勘違いの輪に取り込まれてしまった結果かもしれない。リアリティを失った前提にしがみつき、熱意をなくすくらいならば、もっと異論をぶつけ合うべきだ。どう転んでも、共存していかなくてはならない、というのが8カ国の目の前に広がる現実の世界なのだから。 [2001-07-24-00:05]
[このページの最初に戻る]


 07/25@クロアチア戦犯が出頭 独立戦争絡み国際法廷へ(共同通信)

 【ソフィア25日共同】ザグレブからの報道によると、一九九○年代前半のクロアチア独立戦争でのセルビア人住民虐殺などに絡み旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷(ハーグ)に起訴された元軍人のラヒム・アデミ氏が二十五日、同法廷に出頭するためクロアチアからオランダに向かった。
 独立戦争に絡む容疑で戦犯法廷に立つ初の戦犯となる。また、旧ユーゴ紛争で自ら出頭した戦犯は同氏が初めて。同氏は民間機でザグレブを出発前に「法廷で潔白を証明する」と語り、無罪を主張して争う方針を明らかにした。
 クロアチアのラチャン政権は今月初め、戦犯法廷との協力を進める方針を確認。一時は戦犯問題をめぐり政権崩壊の危機にあったが、政権はその後の信任投票を切り抜けた。(了)[2001-07-25-18:45] 16
[このページの最初に戻る]


 07/25@数千人が暴徒化、米大使館襲う マケドニア(朝日新聞)

 マケドニアからの報道によると、首都スコピエで24日、スラブ系のマケドニア人市民数千人が米、ドイツの両大使館に投石や放火をする暴動が起きた。アルバニア系住民が多数を占める北部の都市テトボから、政府軍とアルバニア系武装組織の戦闘でスコピエに追われて来たマケドニア人住民らが、暴動に加わっている。
 政府報道官が、紛争調停に当たっている米国と欧州連合(EU)の特使を「アルバニア系武装組織を支援している」と非難、この発言が大使館を狙った暴動につながったとみられる。
 テトボでは23日に続いて24日にも政府軍とアルバニア系武装組織との間で戦闘が起き、5人がけがをした。[2001-07-25-14:46] 18
[このページの最初に戻る]


 07/25@マケドニア・テトボで市街戦続く、首都は騒乱状態(読売新聞)

 【ウィーン24日=佐々木良寿】マケドニアからの報道によると、同国西部の主要都市テトボで24日夕、アルバニア系武装勢力「民族解放軍(NLA)」と政府軍、治安部隊との間で市街戦が発生した。23日に続くもので、死傷者は不明。NLAは同市制圧を進めている模様だ。
 国防省関係者は「テロリストが警察のほぼすべての検問所、陣地に攻撃を仕掛けてきた」と非難した。市内では銃撃戦や迫撃砲による交戦が続いているという。
 一方、首都スコピエでは24日夜、テトボを追われたとするマケドニア人が議会ビル前で抗議集会を開いた。さらに、和平に向けた政治対話の仲介に立つ米欧をアルバニア系寄りだと非難するマケドニア人も合流し、英、米、独の大使館に投石したほか、全欧安保協力機構(OSCE)事務所前でOSCEの車両数台に放火したり、英国航空や米国系ハンバーガー店などのガラスを割ったりするなど騒乱状態となった。
 一方、政府報道官は同日、欧州連合(EU)と米国の特使が停戦崩壊は政府軍側によるものと述べた、として両特使を非難した。 [2001-07-25-13:43] 19
[このページの最初に戻る]


 07/25@<マケドニア>首都でデモ隊が暴徒化 英独米の大使館を襲撃(毎日新聞)

 【ウィーン福井聡】マケドニアの首都スコピエで24日深夜、マケドニア人強硬派によるデモ隊が暴徒化し、英、独大使館を次々と襲撃、米大使館に押しかける騒乱が起きた。マケドニア政府軍とアルバニア系ゲリラ・民族解放軍が23日から北西部テトボ周辺で激しい戦闘を繰り広げており、デモ隊は北大西洋条約機構(NATO)がアルバニア・ゲリラを支援していると激しく非難している。
 スコピエからの報道によると、デモ隊は同日午後11時ごろ、約2000人が米国大使館に向かったが、機動隊に押し戻された。だが、別の一群が英、独両大使館の窓ガラスを割り、近くの米国系店舗も破壊した。また、首都中心部にある全欧安保協力機構(OSCE)のビルの前に駐車してあったOSCEの車10数台に放火し、破壊した。
 北西部テトボの戦闘でゲリラ側の攻撃のため自宅を焼き出された人々がデモ隊を扇動し、「アルバニア系が我々を襲撃して来る」「NATOよ目を覚ませ!」などと叫んだ。
 政府軍とゲリラの戦闘は表面上は今月5日から停戦状態となっていたが、実際には政治交渉の行き詰まりと共に戦闘が徐々に激化。23日にはテトボで12歳の少女を含む2人が砲撃に巻き込まれて死亡したほか、民間人を含む30人が負傷。バッコウスキ国防相は「ゲリラ側が停戦前の状態に撤退しなければ総攻撃に入る」と警告。24日の戦闘激化で停戦は事実上崩壊状態となっている。
 停戦中、マケドニア人政党とアルバニア系政党との政治対話が続いていたが、双方はアルバニア語を第2公用語として認めるか否かで鋭く対立。マケドニア側は「アルバニア語を公用語として認めれば彼らの独自の領土樹立に向けた第1歩となる」と強く懸念、この政治対話を仲介しているNATOへの風当たりが強まっている。 [2001-07-25-11:05] 20
[このページの最初に戻る]


 07/25@<ユーゴ>連邦の新政府樹立 連邦の再定義が課題に(毎日新聞)

 【ウィーン福井聡】ユーゴスラビア連邦(セルビアとモンテネグロの両共和国で構成)の上下両院は24日、ペシッチ新首相(47)を首班とする新連邦政府を承認した。新首相はミロシェビッチ前大統領の旧ユーゴ国際戦犯法廷への引き渡しに反発し、いったん連立政権を離脱したモンテネグロの社会人民党の党員。同党が連立政権に復帰したことで、一時危ぶまれた「連邦解消」は当面、遠のいた。
 新政権の内閣は、事前の協定によりセルビアとモンテネグロから5人ずつ同数の閣僚で構成。セルビアからラバス副首相(対外経済担当)やスビラノビッチ外相が前政権から留任した一方、モンテネグロからクラポビッチ国防相が留任、ミロビッチ運輸通信相が入閣した。また、連邦議会に議席を持たないモンテネグロの国民党からマルコビッチ副党首が司法相として入閣した。
 新政権発足に伴い、独立を掲げるモンテネグロのジュカノビッチ大統領の顧問、ブーコビッチ民主社会党幹部は「ぺシッチ新首相は党の幹部ポストに就いたことがない。党の主要幹部が首相に就任しない事実は、社会人民党が連邦存続を否定しているようなものだ」と批判している。 [2001-07-25-10:45] 22
[このページの最初に戻る]


 07/25@エジプト大統領とすれ違い 米の中東離れ浮き彫り(共同通信)

 【ローマ25日共同】ブッシュ米大統領とムバラク・エジプト大統領が二十四日、ローマのチャンピーノ空港で二回すれ違ったが、中東和平をめぐる首脳会談は実現しなかった。パレスチナ問題に積極関与してきたクリントン前政権では考えられないことで、ブッシュ政権の「中東離れ」を浮き彫りにした。
 ANSA通信などは、主要国首脳会議(ジェノバ・サミット)に出席したブッシュ大統領が二十四日、サミットでの中東問題の協議内容を知るためローマを訪問するムバラク大統領と空港で会談する可能性があると報じていた。
 しかしブッシュ大統領は、パレスチナの「後見役」であるムバラク大統領が到着する二時間半前にユーゴスラビア・コソボ自治州の米軍視察のためチャンピーノ空港を出発。ムバラク大統領がベルルスコーニ・イタリア首相と会談しローマを離れた二時間後に同空港に戻り、大統領専用機で帰国した。(了)[2001-07-25-10:01] 23
[このページの最初に戻る]


 07/25@マケドニア首都で暴動 またも混乱拡大の様相(共同通信)

 【ソフィア24日共同】マケドニアからの報道によると、アルバニア系住民の武装組織「民族解放軍」が攻勢をかけている西部テトボを脱出したスラブ系マケドニア人難民ら数千人が二十四日夜、首都スコピエにある米国やドイツの大使館などに投石や放火をするなどの暴動が起きた。
 ユーゴスラビアの独立系ベタ通信によると、マケドニア内務省は同日、アルバニア系住民が多数を占めるテトボの約半分が解放軍に占拠されたことから、同市から治安警察官を撤退させる方針を固めるなど、マケドニア情勢は再び混乱拡大の様相を見せている。
 政府報道官は、紛争調停に当たっている米国と欧州連合(EU)の特使について「アルバニア系住民の武装組織を支援している」と非難した。こうした発言が大使館などを対象とした暴動につながったとみられる。
 テトボで政府部隊が劣勢に立たされたことや政党間の和平協議に不満を高めていたスコピエのスラブ系マケドニア人住民が、議会前で政府に強硬姿勢を求める集会を開いていた難民に合流、一部が暴徒化した。警察が暴動を傍観していたとの報道もある。
 政府と解放軍は今月五日に無期限の停戦に合意している。(了)[2001-07-25-09:30] 24
[このページの最初に戻る]


 07/25@ユーゴ新内閣を承認 連立崩壊を回避(共同通信)

 【ソフィア24日共同】ユーゴスラビア連邦上下両院は二十四日、社会人民党(モンテネグロ共和国)のドラギシャ・ペシッチ連邦蔵相を首相とする新内閣をそれぞれ賛成多数で承認した。
 ミロシェビッチ前大統領の旧ユーゴ国際戦犯法廷(ハーグ)への引き渡しを受けて、コシュトニツァ大統領のセルビア民主野党連合(DOS)と連立を組んでいた社会人民党はいったんは連立解消を宣言した。
 しかし、その後の協議で民主連合と社会人民党を中心とする連立政権を、閣僚構成を変えて存続することで合意、連立崩壊の危機を回避した。
 新内閣には民主連合と、社会人民党などモンテネグロの三政党で構成する政党連合が参加し、それぞれ五閣僚ずつポストを配分。セルビア出身の閣僚は蔵相が新任のほかは留任した。(了)[2001-07-25-08:44] 3
[このページの最初に戻る]


 07/25@天声人語(朝日新聞)

 「たぶんこれは、日本にとって、アメリカからの独立を表明する戦後最大の決断だったろう」。ドイツのボンで開かれた温暖化をめぐる国際会議での日本の態度について、米国の環境団体の代表がそう語った(英国BBC)▼複雑な気持ちにさせられる。まず、そんなにたいへんな決断だったのか。それにしても、こんどの決断が「最大」と言われるほど米国追随外交は世界の「常識?」だったか。そうした「いまさらながら」の感想だ▼もっとも、別の環境団体の見立てでは、京都議定書を葬り去ろうとしたのは米国と石油輸出国機構(OPEC)であり、壊そうとした日本とカナダ、オーストラリアの策動にもかかわらずEUと途上国が救い上げた、と▼イタリアのジェノバでのサミット、そしてボンでの会議と見てくると、世界の勢力地図が変わりつつあるのではないか、と思えてくる。ジェノバで取材した同僚からは「こんなサミットは、これまで経験がない」との感想を聞いた▼厳戒態勢下、隔離された会合という面のほか、新しい対立が持ち込まれつつあるという予感がする、と。「イデオロギーの対立とは言い過ぎかもしれないが、哲学的とも見える対立を感じる」。そのひとつが京都議定書をめぐる対立だった▼地球規模の問題で、いかに合意をつくっていくか。米国抜きで成立したこんどのボン合意を、世界自然保護基金(WWF)のJ・モーガン氏は「地政学的な地震だ」と形容した。気候変動とともに、地球規模の政治変動にも注目しなければならないようだ。[2001-07-25-00:30] [このページの最初に戻る]


 07/26@マケドニア・テトボからの撤退、武装勢力が開始(読売新聞)

 【ウィーン26日=佐々木良寿】マケドニアからの報道によると、同国西部の主要都市テトボで政府軍、治安部隊との市街戦を繰り広げたアルバニア系武装勢力「民族解放軍(NLA)」は26日、同市内からの撤退を始めた模様だ。情勢悪化を受け、同日スコピエ入りした北大西洋条約機構(NATO)のジョージ・ロバートソン事務総長が到着直後、報道陣に明らかにした。 [2001-07-26-23:19] 9 [このページの最初に戻る]


 07/26@NATO事務総長らマケドニア入り、スラブ系は反発(朝日新聞)

 アルバニア系とスラブ系の民族紛争により緊張が高まっているマケドニアを、NATO(北大西洋条約機構)のロバートソン事務総長とEU(欧州連合)のソラナ共通外交上級代表が26日訪問した。和平交渉を再び軌道に乗せるよう説得したが、多数派のスラブ系は「アルバニア系寄りの欧米に不当な交渉を強いられている」と反発しており、事態打開のめどは立たない。
 首都スコピエからの報道によると、西北部の主要都市でアルバニア系が多いテトボ周辺では停戦が完全に破られており、市内に設けられた政府軍・治安部隊による検問もアルバニア系武装組織「民族解放軍」(NLA)が突破している。
 このため、欧米代表団のスコピエ入りを前に、現地のNATO当局者が政府側とNLA政治代表との停戦交渉を仲介、26日早朝からの新たな「停戦」にこぎ着けた。だがロイター通信によると、NLAの司令官は同日朝、新たに獲得した地域からの撤退は拒絶すると述べており、情勢はなお混乱している。[2001-07-26-21:10] 10
[このページの最初に戻る]


 07/26@NATO総長らが和平仲介 マケドニア、解放軍撤退か(共同通信)

 【ウィーン26日共同】アルバニア系住民の武装組織「民族解放軍」と政府治安部隊との本格衝突の危機にあるマケドニア情勢打開のため、北大西洋条約機構(NATO)のロバートソン事務総長らが二十六日、スコピエに到着、政府指導部と和平策をめぐって協議した。
 スコピエからの報道によると、欧州連合(EU)のソラナ共通外交安保上級代表とともにマケドニア入りした事務総長は空港で記者団に「解放軍が約束通り西部テトボの拠点から撤退し始めた」と述べ、和平協議再開に期待を表明した。
 しかし地元テレビによると、解放軍幹部は「撤退の用意はできていない」と語るなど情勢は流動的だ。
 NATOのフェース特使は二十五日に解放軍側との交渉で、新たに進出した拠点から二十六日朝までに撤退するとの同意を取り付けていた。
 解放軍はこの数日、アルバニア系住民が大半を占めるテトボ市内で次々と拠点を築いて政府部隊と衝突。多数派のスラブ系住民数千人がスコピエなどに脱出し、政府はテトボがアルバニア系住民に「占拠」されると懸念している。
 政府と解放軍は今月五日に停戦に合意したが、その後も解放軍の攻勢が続き、政府軍による本格的軍事行動を求めるスラブ系住民が暴動を起こすなど混乱が続いている。(了)[2001-07-26-19:57] 12
[このページの最初に戻る]


 07/26@<マケドニア>政府軍と民族解放軍が停戦の再度締結で合意(毎日新聞)

 【ウィーン福井聡】マケドニア駐在の外交筋は25日、マケドニア政府軍とアルバニア系ゲリラ、民族解放軍が停戦の再度締結で合意したと述べた。しかし、再合意後も北西部テトボでは砲撃が続き、民族解放軍の現地司令官は「合意ラインへの後退は不可能だ」と語っている。
 同筋によると、合意は北大西洋条約機構(NATO)のフェイス特別代表の仲介で、マケドニア政府の警察・軍の最高責任者と民族解放軍のアハメティ政治代表により承認された。
 民族解放軍は26日午前6時(日本時間午後1時)から、現在占拠しているテトボ近郊の地域から7月6日に発効した停戦ラインまで約500メートル後退する。一方、政府軍は砲撃を自制するとしている。 [2001-07-26-10:40] 13
[このページの最初に戻る]


 07/26@解放軍がテトボ撤退同意 マケドニア、NATO仲介(共同通信)

 【ウィーン26日共同】スコピエからの報道によると、マケドニア国防省は二十五日、同国西部の第二の都市テトボをめぐる政府部隊とアルバニア系住民の武装組織「民族解放軍」との攻防で、解放軍が部分撤退に応じたとの声明を発表した。
 政府はこの日、解放軍が撤退しなければ全面攻撃に移ると警告していたが、北大西洋条約機構(NATO)のフェース特使の解放軍側との交渉で、二十六日朝までの部分撤退の約束を取り付けた。
 NATOや欧州連合(EU)がアルバニア系住民側に肩入れしているとするゲオルギエフスキ首相は同日、非常事態宣言を発令し解放軍に対する全面攻撃に移る考えを表明したが、トライコフスキ大統領は自制と忍耐を国民に呼び掛けた。
 テトボや周辺のマケドニア人数千人は二十五日、首都スコピエなどに避難。スコピエでは同日夜も解放軍への武力行使を求めるマケドニア人が議会庁舎に乱入するなど混乱が続いた。
 NATOのロバートソン事務総長は二十六日にスコピエを訪問し、危機打開に向けた調停活動を再開、マケドニア人とアルバニア系住民の双方に自制を呼び掛ける方針だ。(了)[2001-07-26-08:29] 14
[このページの最初に戻る]


 07/26@ユーゴ新内閣発足、連邦分裂の危機回避(読売新聞)

 【ウィーン25日=佐々木良寿】ユーゴスラビア(セルビア、モンテネグロ両共和国で構成)の新連邦政府が25日発足した。これにより、ミロシェビッチ前大統領の旧ユーゴ戦犯国際法廷への身柄引き渡しを引き金にした連邦分裂への危機は回避された。
 新内閣は、セルビアの「民主連合」とモンテネグロの社会人民党を中心とする連立内閣で、社会人民党のドラギシャ・ペシッチ氏を首相に全10閣僚で構成されている。閣僚数は両共和国で同数となった。 [2001-07-26-01:08]
[このページの最初に戻る]


 07/27@<マケドニア>政党とアルバニア系政党との対話再開(毎日新聞)

 【ウィーン福井聡】マケドニア訪問中のソラナ欧州連合(EU)共通外交安保上級代表とロバートソン北大西洋条約機構(NATO)事務総長は26日、「マケドニア人政党とアルバニア系政党との政治対話は復活し、政府軍とアルバニア系ゲリラ・民族解放軍の停戦も軌道に戻った」と発表した。トライコフスキ大統領は「政治対話は27日、(戦闘が続いていたマケドニア北西部の)テトボで再開する」と明らかにした。
 事務総長は「マケドニアは過去数週間、内戦につながりかねないがけっぷちに立っていたが、26日の交渉で最終的にこれを回避した」と述べた。
 政府軍とゲリラ側は6日から停戦に入ったが、政治交渉の行き詰まりとともに戦闘が再燃。23日にはテトボで12歳の少女など2人が砲撃に巻き込まれて死亡したほか、民間人を含む30人が負傷。首都スコピエで24日夜、マケドニア人強硬派のデモ隊が欧米の大使館などを襲撃する事件が起き、停戦崩壊の危機に陥っていた。 [2001-07-27-11:30] 5
[このページの最初に戻る]


 07/27@マッカートニーさん婚約 片足切断の元モデルと(共同通信)

 【ロンドン27日共同】元ビートルズのポール・マッカートニーさん(59)が二十六日、元水着モデルで地雷廃止運動活動家のヘザー・ミルズさん(33)との婚約を発表した。「来年のいつか」結婚するという。
 マッカートニーさんは一九九八年四月、「日本で大麻所持のため逮捕された九日間を除き毎晩一緒に過ごした」(英タイムズ紙)愛妻リンダさん=当時(56)=を乳がんで亡くし、喪に服した。
 一年後、ヘザーさんと偶然知り合った。交通事故で左足のひざ下を切断した後でボスニアやアフリカの地雷廃止運動に取り組む姿に魅了されたという。
 マッカートニーさんは今月二十三日、英中部の湖水地方を旅行中、ヘザーさんにプロポーズし、インドで購入したサファイアとダイヤの指輪を贈った。
 マッカートニーさんにはリンダさんとの間に四人の子供がいる。ヘザーさんは徐々に受け入れられるよう努め、先月「マッカートニー家すべての愛情を勝ち得た」と話していた。
 ヘザーさんは父親の逮捕で荒れた少女時代を過ごし、十九歳で結婚したが失敗。左足切断でモデルの仕事をなくし、再婚も取りやめになった過去がある。(了)[2001-07-27-09:54] 7
[このページの最初に戻る]


 07/27@<マケドニア>ゲリラ側が後退開始か 停戦協定の再締結で合(毎日新聞)

 マケドニア政府軍とアルバニア系ゲリラ・民族解放軍は25日、北西部テトボの停戦協定の再締結で合意し、ゲリラ側は停戦当初のラインまで後退すると了承した。北大西洋条約機構(NATO)のロバートソン事務総長は26日、「ゲリラ側は後退を開始した」と述べたが、現地のゲリラ司令官は依然「撤退はできない」と主張している。
 停戦協定は、民族解放軍は26日午前6時(日本時間午後1時)から、テトボ近郊で現在占拠している地域から7月6日発効した停戦ラインまで約500メートル後退し、政府軍は砲撃を自制するとしている。 【ウィーン支局】 [2001-07-27-01:05]
[このページの最初に戻る]


 07/28@マケドニアの主要4政党が和平対話(読売新聞)

 【ウィーン支局28日】マケドニアからの報道によると、内戦の瀬戸際に追い込まれている同国情勢を打開するため、マケドニア人とアルバニア系住民の和解を目指す、主要4政党代表者らによる和平対話が28日、欧州連合(EU)などの仲介により、マケドニア南部の湖畔の保養地オフリドで始まった。対話は、トライコフスキ大統領が議長を務め、フランソワ・レオタール・EUマケドニア担当特使、米国のジェームズ・パルデュー特使も加わった。
 焦点は、アルバニア系住民が要求しているアルバニア語の公用語化の問題。マケドニア政府は「国家分裂につながる」としてこれに反発している。双方は、アルバニア系が多数を占めるマケドニア北部と西部にのみアルバニア語公用語化を適用するという欧米の仲介案を軸に、妥協点を模索すると見られる。 [2001-07-28-22:05] 23
[このページの最初に戻る]


 07/28@主要政党が本格和平協議 マケドニア紛争(共同通信)

 【ウィーン28日共同】マケドニアの主要四政党代表は二十八日、欧州連合(EU)などの仲介で同国南部のリゾート、オフリドにある大統領迎賓館で本格的な和平協議に入った。アルバニア系住民の権利向上をどのような形で憲法や行政機構に反映するかが焦点となる。
 米国のパーデュー特使とEUのレオタール特使が二十七日、マケドニアのトライコフスキ大統領に提出した和平案を軸に、アルバニア系住民が多数を占める地域でのアルバニア語の第二公用語化やアルバニア系警察官の増加問題などをめぐって駆け引きが続きそうだ。
 人口約二百万のマケドニアで、アルバニア系住民は公式には約23%を占める。
 今月五日の停戦合意後、再び激化したアルバニア系住民の武装組織「民族解放軍」と政府部隊との衝突を受け、EUのソラナ共通外交安保上級代表らが二十六日に各当事者と個別交渉して協議再開が決まった。
 当初は解放軍が攻勢をかけていた西部テトボで本格協議を行う予定だったが、マケドニア人政党が治安面での不安を理由に拒否した。
 首都スコピエでは二十八日、解放軍に家を追われ同国北西部から逃れてきたというマケドニア人数十人が中心部の橋を封鎖して政府の対応に抗議するなど、多数派マケドニア人の不満も高まっている。(了)[2001-07-28-21:00] 320
[このページの最初に戻る]


 07/28@米国務長官が中国閣僚らと会談、関係修復へ始動(読売新聞)

 【北京28日=林路郎】中国訪問中のパウエル米国務長官は28日、北京で江沢民・中国国家主席、朱鎔基首相、銭其シン副首相、唐家セン外相と相次ぎ会談した。長官は同日夕記者会見し、両国が「建設的協力関係」を構築していくことで一致するとともに、唐外相との米中外相会談では、中断していた軍事、人権両対話を再開し、大量破壊兵器不拡散問題をめぐる協議も開始することで合意したと述べた。ブッシュ大統領の10月訪中を前に、両国は本格的な関係修復に向けて動きだした。
 長官は江主席との会談で、「米国は過去30年の政策である『1つの中国政策』を維持する」と表明。これに対し、江主席は台湾問題の重要性を強調しつつ、「平和的な解決方法を目指す」とだけ述べ、武力行使の可能性に言及しなかった。
 両国は、軍事上の問題を処理する「軍事海難協議」の特別会合を8月に再開することでも合意した。同協議は、南シナ海上空で両国の軍用機接触事件が発生して以来中止されていた。長官は、この会合をきっかけに、事実上凍結状態にある米中軍事交流が「いずれ再開される」との楽観的な見通しを示した。
 99年5月に米軍機がベオグラードの中国大使館を誤爆して以来中断していた人権対話を8月に再開することでも合意した。
 パウエル長官は一連の会談で、「訪中を前に、建設的で前向きな米中関係構築を望んでいる」とのブッシュ大統領のメッセージを伝達。大統領が、10月に上海で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議出席後に北京を訪れ、江主席と会談することを確認した。
 これにより、米中は本格的な関係修復をアピール。両外相は、中国の世界貿易機関(WTO)早期加盟に向けて両国が協調していくことも約束した。
 ただ、中国側が懸念する米国のミサイル防衛網については、米国が「中国の戦略的抑止力を脅かすものではない」との立場を説明。中国側は納得せず、議論は平行線をたどった。長官は中国がパキスタン、イラン、北朝鮮などにミサイル関連技術を供与しているとされる「不拡散問題」について懸念を表明。両国は近く、この問題をめぐる専門家協議を開始する見通しだ。会談では、朝鮮半島情勢などの地域問題も協議された。 [2001-07-28-21:57] 342
[このページの最初に戻る]


 07/28@ユニセフ親善大使・黒柳徹子さんが帰国へ(共同通信)

 【イスラマバード28日共同】国連児童基金(ユニセフ)親善大使としてアフガニスタンを訪問していた黒柳徹子さんは二十八日、イスラマバードで記者会見し、大干ばつに苦しむ人々や、国内避難民キャンプで勉強に励む女の子たちの様子を報告。「残念ながら日本ではアフガニスタンは忘れられかけているが、この国で何が起こっているかを伝えたい」と語った。同日夜、帰国の途に就く。
 黒柳さんは二十一日アフガニスタン入り。同国を実効支配するタリバンに対抗する北部同盟の支配地域でラバニ前大統領とも会見した。
 黒柳さんは一九八四年から毎年、親善大使として困難に直面する地域を訪れ子どもたちと交流している。(了)[2001-07-28-17:49] 351
[このページの最初に戻る]


 07/28@国連人種差別反対会議、米がボイコットの姿勢(読売新聞)

 【ワシントン27日=永田和男】米政府は27日、8月末から南アフリカ・ダーバンで開かれる国連の「人種主義に反対する世界会議」を、場合によってはボイコットする方針を明らかにした。イスラエル政府の基本政策であるシオニズム(ユダヤ人のパレスチナ回帰運動)を人種主義の一つと規定し、黒人奴隷制度をめぐる賠償問題が議題に含まれる見通しとなっているためで、フライシャー大統領報道官は記者会見で、「この2点が削除されない限り米国は代表団を派遣しない」と明言した。
 フライシャー報道官は、「ブッシュ大統領は是非とも代表を派遣したいと考えているが、今のままでは会議は第三世界諸国にハイジャックされてしまう」と述べ、会議でイスラエル批判を狙うアラブ諸国や奴隷制への補償問題を提起する西アフリカ諸国を批判した。
 ロビンソン国連人権高等弁務官も、会議でシオニズムや奴隷制問題が取り上げられれば収拾がつかなくなるとして、これらを議題から外すよう働き掛けているという。 [2001-07-28-12:12] 358
[このページの最初に戻る]


 07/28@<米露専門家協議>ワシントンで8月 ミサイル防衛など一括(毎日新聞)

 【ワシントン布施広】フライシャー米大統領報道官は27日、イタリア・ジェノバで22日に開かれた米露首脳会談を受けて、両国の専門家による包括的戦略協議が8月8日にワシントンで開かれることを明らかにした。
 この専門家協議は、ミサイル防衛構想と戦略核削減問題を一括して話し合うもの。報道官は8月13、14の両日、ラムズフェルド国防長官が訪露することも確認した。
 専門家協議の日程などは、訪露したライス大統領補佐官とロシア側の協議で固まったものとみられる。米側は専門家協議と国防長官の訪露を通じて、弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約の改廃に道を開き、ミサイル防衛を軸とした「新たな戦略的枠組み」へ移行することを目指している。
 報道官は米露交渉の現状に関して、いまや両国が「新たな枠組み」へ踏み出すかどうかではなく、いつ踏み出すかの議論が重要になったと述べ、ライス補佐官の訪露の成果を強調した。 [2001-07-28-10:15] 359
[このページの最初に戻る]


 07/28@<人種差別会議>シオニズム非難や奴隷制度謝罪で米反発、欠(毎日新聞)

 【ワシントン布施広】米政府は27日、8月末から国連主催で開かれる人種差別に関する国際会議が、イスラエル建国の原動力となったシオニズム(ユダヤ民族主義)を人種差別主義とみなす提案などを盛り込んでいると批判し、議題などが修正されない限り、参加をボイコットする方針を明らかにした。
 会議は8月31日から9月7日まで南アフリカのダーバンで開かれる。議題などは30日からジュネーブで開かれる準備協議で決まる。フライシャー大統領報道官によると、会議では「シオニズム非難」のほか、奴隷制度を持っていた国々の公式謝罪と補償を求める方向で根回しが進んでいる。
 報道官は「そうであれば、米国は出席しない」と明言し、一部の国々が会議を「ハイジャック」して「反ユダヤ主義の会合」に変えようとしていると強い調子で非難した。
 国連は75年にシオニズムを人種差別主義とする決議を採択、イスラエルとアラブの和平の動きが強まった91年12月、同決議の撤回を採択した。報道官は今回の会議の方向性について「10年前に否定された立場に逆戻りするもの」と批判、根本的な見直しを求めた。
 しかし、中東・アフリカ諸国には、対アラブ強硬派のシャロン・イスラエル政権と、これを積極的に支援するブッシュ政権への反感が強い。国務省は27日、30〜40カ国の駐米大使を招いて米政府の立場を説明したが、関係国が議題の見直しなどに応じるかどうかは微妙で、30日からの準備協議は紛糾も予想される。 [2001-07-28-10:15] 363
[このページの最初に戻る]


 07/28@米がまた「一方的外交」 国連会議ボイコットも(共同通信)

 【ワシントン27日共同】米政府は二十七日、国連が主催して八月三十一日から南アフリカ・ダーバンで開催される世界人種差別撤廃会議で、黒人奴隷への賠償問題とユダヤ人国家建設を目指した「シオニズム」が議題となるなら、会議をボイコットする方針を明らかにした。
 ブッシュ政権は、地球温暖化防止のための京都議定書や包括的核実験禁止条約(CTBT)を否定するなど、クリントン前政権が参加を決めた「国際合意」を次々と否定しており、あらためて米国の「一方的外交」が批判を浴びそうだ。
 フライシャー大統領報道官は二十七日記者団に対し「会議は現在の世界に存在する人種差別とどう戦っていくかという点に焦点を当てるべきだ」と述べ、シオニズムと奴隷への賠償問題を議題にすることを強く求めているアラブ、アフリカ諸国に対し強い不快感を表明。
 さらに、国連側が二つの問題を議題とすることに固執する限り、ブッシュ大統領は会議に米代表団を派遣しない方針だと述べた。
 シオニズムと人種差別を同等に扱うのは不適当とする米側の主張については、ロビンソン国連人権高等弁務官も理解を示しており、米政府は三十日からジュネーブで開かれる同会議の準備委員会での議論の成り行きに注目している。(了)[2001-07-28-08:57]
[このページの最初に戻る]


 07/29@マケドニア4政党、2日目の和平対話に(読売新聞)

 マケドニアからの報道によると、アルバニア系政党2党を含む同国の主要4政党指導者は29日、同国南部オフリドで2日目の和平対話に入った。同国北部と西部のアルバニア系多数派地域でのアルバニア語公用語化を軸に協議が続いている模様。一方、首都スコピエでは28日、マケドニア人約3千人が、和平対話を「マケドニアの国益を裏切るもの」と非難する抗議集会を開いた。(ウィーン支局) [2001-07-29-22:01] 305 [このページの最初に戻る]


 07/29@<前米国務長官>ブッシュ政権の一方的外交を批判 (毎日新聞)

 【ワシントン布施広】米国のオルブライト前国務長官は27日、ワシントン市内で講演し、地球温暖化防止のための京都議定書から離脱するなど、国際条約に次々に背を向けるブッシュ政権のユニラテラリズム(一方的外交)を厳しく批判した。
 「(1月20日の)退任後、半年間は何も言うまい」と決めていたという前長官は、まずミサイル防衛構想に言及。構想の意義は認めつつ、「中国やロシアなどとの軍拡競争の危険」や「脅威」の実体、技術的実現性と開発予算を考慮して慎重に決断するよう求めた。
 また、弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約は「長い間、非常に役立ってきた」として「冷戦時代の遺物ではない」とブッシュ政権に反論。京都議定書や生物兵器禁止条約の議定書草案などに反対するのは「世界で最も力のある国(米国)にとって有益ではない」と批判した。
 前長官は「一方的な軍備管理は良くない」と述べ、国際社会の中心となる国々の中で「米国は今、非常に良いメンバーとは言えないのではないか」と疑念を表明。自らの平壌訪問(昨年10月)を踏まえて「我々(クリントン前政権)は北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)と新たな関係を結ぶ途上にあった」と語り、現政権下で米朝対話が止まっていることを憂慮した。
 ブッシュ政権の外交政策については、民主党のダシュル上院院内総務が「孤立主義」の傾向を指摘するなど、同党や前政権の高官を中心に批判が強まっている。 [2001-07-29-03:10] 316
[このページの最初に戻る]


 07/29@<小泉現象を考える>ジャギーな外交では困る(毎日新聞)

 「こんな仕打ちを受けるとは」――97年7月、南部アフリカ・ジンバブエを訪ねた日本の大臣が毎日新聞に怒りをぶちまけた。援助大国を印象づけようと、首相親書を手に地球を半周してきたのに、小国の元首に会見を袖にされた。その悔しさか、日本外交の反省からか。「日本国民の気持ちを理解しない国には、援助を再考する」と脅しめいた言葉も出た。
 この大臣が小泉純一郎厚相(当時)だ。あれから4年。晴れて首相となった小泉さんは外交でも聖域なき改革を訴えたいはずだ。でも、初心を忘れてはいませんか?
 靖国神社参拝や教科書問題では、韓国や中国から「私たちの気持ちがわからないのか」と厳しく批判されている。4年前の初々しい感性に心の時計の針を戻せるなら、韓国や中国の人々の気持ちがわかってもいい。
 米国の単独行動も困るが、首相の独断行動は国民の迷惑だ。それに、この問題は「個人の問題」ですむのか。内閣の見解すら定まっていない。
 首相は「どうしても参拝を」と言い、田中真紀子外相は「本人の判断だが、行かないで……」と人ごとだ。御用聞き外交なら事務方でもできる。小泉外交の全体が問われてはいないか。
 外交にはいくつかの原則とそれを現実世界に適用する戦術や見識が必要だ。それらを入念な「統一見解」に練り上げてこそ、内外に揺るぎなく説明できる。原則も、見識も、見解もない政権では「行き当たりばったり」の批判を免れまい。
 京都議定書問題で、小泉内閣は欧米の「橋渡し外交」を掲げた。だが、橋にはこちら岸と向こう岸がある。どちらの岸から橋を築くのかがハッキリしない。一連の会議で「軸足はどっち?」としきりに問われたのに。
 小泉現象の背景に「対米追従、戦略なき外交」と批判されてきた自民党外交への閉塞(へいそく)があるのはよくわかる。21世紀を迎え、集団的自衛権や日米地位協定など、国民が疑問を感じてきた問題の提起は悪いことでないし、論議を歓迎したい。
 それなのに、小泉外交の実体はどこかファジーで、具体論で明確なデザインが見えない。解像度の低いデジカメ画像のようで、拡大すると「ジャギー」と呼ばれるギザギザで、ぼやけた断片しか浮かんでこないのだ。
 米一極支配が揺らぎ、多極化の風が国際政治経済に吹いている。欧米中露、小国、大国の利害がますます複雑にせめぎ合う世界がくる。確かな国益のためには、したたかで入念な戦略と国民への明快な説明が必要だ。
 大味のブラシで走り書く稚拙なジャギー外交では困る。冷徹なペンさばきの有無をじっくりと見定めたい。 【高畑昭男】 [2001-07-29-00:20]
[このページの最初に戻る]


 07/30@<マケドニア>アルバニア系武装ゲリラが内相銃撃 和平に暗(毎日新聞)

 【ウィーン福井聡】マケドニアからの報道によると、同国のボスコフスキ内相が29日夕、車で首都スコピエから約25キロの幹線道路を移動中、アルバニア系武装ゲリラ「民族解放軍」に銃撃された。内相らにけがはなかった。事件は、28日から始まったマケドニア人とアルバニア系の計4政党による和平協議の最中に発生。今後の交渉に再び暗雲が漂ってきた。
 内相は事件後、「これ以上、テロリストを信用することはできない」との声明を発表。交渉を仲介するパーデューィ特使は協議2日目の29日も交渉に進展はなかったことを明らかにした。協議はとりあえず30日も継続される予定。
 28日夜には首都スコピエで、マケドニア人強硬派3000人によるデモが繰り広げられた。デモ隊は国会前で「強制退去させられた人々の権利を守れ」との標語に掲げ、北西部テトボ近くでゲリラにより居住地を追い出されたマケドニア人が安全に帰還できるよう要求、気勢をあげた。
 また、北大西洋条約機構(NATO)がゲリラを支援しているとして「NATOは出て行け!」「NATOはこの国をアルバニア化しようとしている」と激しく非難した。
 協議は南部の保養地オフリッドで行われているが、アルバニア語を第2公用語として認めるかどうかで鋭く対立している。 [2001-07-30-09:55] 15
[このページの最初に戻る]


 07/30@マケドニア内相を襲撃 和平協議は進展せず(共同通信)

 【ウィーン29日共同】マケドニア国営テレビによると、同国のボスコフスキ内相を乗せた車が二十九日夜、首都スコピエと第二の都市テトボを結ぶ幹線上でアルバニア系住民の武装組織「民族解放軍」に銃撃された。内相らは無事だった。
 国防省によると、解放軍はテトボ郊外でも政府軍の拠点を砲撃し、兵士四人が負傷。同国南部オフリドでアルバニア系政党を含む主要四政党の和平協議が行われているにもかかわらず、解放軍の攻撃は激化している。
 和平協議はこの日、二日目の話し合いを持ったが、仲介しているパーデュー米特使によると、大きな進展はなく、内相襲撃事件が新たな障害となっている。
 内相は事件後の声明で「これ以上テロリストを信用できない。占領された地域を取り戻す用意をすべきだ」と態度を硬化させた。
 オフリドからの報道では、武力で解放軍を鎮圧すべきだと主張してきたゲオルギエフスキ首相が、対話重視のトライコフスキ大統領と対立、アルバニア語を部分的に公用語に加える妥協案をめぐる協議は停滞しているもようだ。協議は三十日も継続する。(了)[2001-07-30-07:37] 208
[このページの最初に戻る]


 07/30@生物兵器禁止条約議定書の策定断念表明 交渉振り出しに(朝日新聞)

 生物兵器禁止条約締約国による専門家会合のトット議長(ハンガリー)は30日記者会見し、今年11月の採択を目標に進めていた議定書の策定を断念せざるを得ないとの考えを表明した。米国が議長草案を拒否しているため、交渉参加国全体の合意が得られないと判断したとみられる。
 締約国は95年1月から、議定書交渉を6年半続けてきたが、最終盤になってたたき台となる議長案を米国が一方的に拒否したことにより、国際的な枠組みづくりは振り出しに戻ることになった。
 同議長は、生物兵器をめぐる論議が、地球温暖化防止の京都議定書のような米国抜き合意に進む可能性について「多くの国の代表団が米国が加わらなければ意味をなさないと言っている」と否定した。
 同条約は生物兵器の開発、生産、貯蔵の禁止を目的に75年に発効し、国連の常任理事国や日本を含む143カ国が加盟している。[2001-07-30-22:56] 232
[このページの最初に戻る]


 07/30@ティモール境界で銃撃戦(共同通信)

 【シドニー30日共同】東ティモール南西部のインドネシア領西ティモールとの境界で二十八日、パトロール中の国連平和維持軍(PKF)兵士らが何者かの発砲を受けて銃撃戦となり、インドネシア軍の下士官一人が死亡した。PKF当局者が三十日明らかにした。
 PKFとインドネシア軍は連絡を取り、事件の経緯について調査している。死亡した下士官がどの程度事件に関与したかは不明だが、当時は私服を着てライフルなどで武装していたという。(了)[2001-07-30-18:05] 243
[このページの最初に戻る]


 07/30@「約束の地」から離れない 西岸のユダヤ人入植者(共同通信)

 イスラエルが一九六七年の第三次中東戦争で占領し、パレスチナ人が将来の独立国家の領土として全面撤退を求めるヨルダン川西岸に、約百四十カ所のユダヤ人入植地が点在し、約二十万人が住む。入植者を狙ったパレスチナ過激派の銃撃事件が相次ぐ中、西岸を歩き、ユダヤ人がこの地に住み続ける理由を尋ねた。
 「ここは、神がユダヤ人に与えた約束の地。離れることは考えたこともない」。西岸北部のホメシュの自治会幹部エティ・ローゼンブラットさん(50)の答えは明快だった。ホメシュは、三十六家族、約二百人が住む山あいの小さな入植地。入植者の多くは安い住宅と静かな環境を求めて移り住んだ人たちだ。
 だが、昨年秋からのイスラエル軍とパレスチナ住民との衝突で、生活は一変した。軍用車の先導がなければ、入植地の外には出られない。パレスチナ人の銃撃を恐れ、友人だけでなく、消防車さえも入植地に近づきたがらない。ローゼンブラットさん自身も狙われた経験があり、銃を手放せないという。
 六月中旬の十日間には、ホメシュ近郊で住民計三人がパレスチナ人に殺害された。三家族がホメシュを離れ、他の七家族も転居を検討している。
 西岸への入植は国際法違反との批判も根強いが、ローゼンブラットさんは「パレスチナ人は私たちをイスラエルから追い出そうとしている。私たちはイスラエルの治安を守るためにここにいる」と言い切る。
 西岸西部のエルカナの新聞記者ハガイ・フーバーマンさん(42)の玄関先には、イスラエル国旗がはためいていた。「将来の入植地の扱いは和平交渉で決めることになっている。それまではここに住む権利がある」と、フーバーマンさんは強調する。
 パレスチナ側から見れば、入植者は「占領者」そのものだ。過激な入植者が銃撃への報復として、パレスチナ人の住宅を破壊したり、農地に放火したりする事件も後を絶たない。
 西岸のパレスチナ自治区のナブルス近郊の村に住むムハマド・アウェーウィさん(25)は「こんな状況が続くなら、死んだ方がましだ。入植者が市場を荒らしたり、もめ事を起こすたびに、村には外出禁止令が出される」と憤る。
 入植者の報復攻撃は激しさを増している。十七日には西岸南部のヘブロン近郊で、パレスチナ人三人が射殺されたが、この事件もユダヤ人過激派の犯行とみられている。
 フーバーマンさんは「困難な暮らしをしている私たちに、イスラエルの世論は同情的だ。しかし、愚かな過激派が大きな事件を起こせば、同情も失われかねない」と不安を口にした。(エルカナ共同=島崎淳)(了)[2001-07-30-16:18]
[このページの最初に戻る]


 07/31@<ユーゴ>コソボ自治州で議会選挙の有権者登録を開始(毎日新聞)

 ユーゴスラビア国営タンユグ通信によると、ユーゴ・コソボ自治州で30日、将来のコソボ自治政府樹立に向けたコソボ議会選挙(11月17日)の有権者登録が始まった。昨年10月に行われた地方自治体選挙では約90万人のアルバニア系住民が有権者登録したが、セルビア人らはボイコットした。選挙を管理する欧州安保協力機構(OSCE)はセルビア人らにことしの議会選参加を強く呼び掛けている。(ウィーン共同) [2001-07-31-17:30] 10 [このページの最初に戻る]


 07/31@<マケドニア>アルバニア系ゲリラ11人の逮捕状請求 検察(毎日新聞)

 【ウィーン福井聡】マケドニアからの報道によると、同国検察は30日、政府軍との戦闘を続けるアルバニア系ゲリラ・民族解放軍の指導者11人にについて、テロと国家反逆容疑での逮捕状を裁判所に請求した。
 令状要請は政府内のマケドニア人強硬派、ボスコフスキ内相の発案によるもの。内戦回避のためマケドニア人とアルバニア系の4政党が28日から続けている政治協議にゲリラ側は参加していないが、関係者は「令状請求は和平努力を台無しにする」と非難している。 [2001-07-31-11:20] 11
[このページの最初に戻る]


 07/31@<アルバニア>野党が議会ボイコット宣言 選挙結果受け入れ(毎日新聞)

 【ローマ井上卓弥】ティラナからの報道によると、ベリシャ前大統領率いる民主党など5党によるアルバニア野党連合は30日、先月24日に実施された人民議会(1院制国会、140議席)選挙の結果を受け入れず、議会をボイコットする姿勢を明らかにした。選挙は与党・社会党が圧倒的優勢とみられている
 前大統領は「投票所で有権者が警察に脅され、中央選管も与党寄りで公正さを欠いた」と選挙無効を主張しており、今後の政情不安は避けられない情勢だ。
 今回選挙では本選挙後に2回の決選投票が行われ、メタ首相率いる社会党は100小選挙区で74議席を獲得。22議席の野党側を大きくリードし過半数確保を決めている。だが、残る小選挙区4議席と比例区40議席の配分は現在も明確でない。
 90年代後半、無政府状態が続いたアルバニアは、コソボ紛争(99年)を機に欧米との関係を深め、社会党政権下で安定化の兆候を示してきた。今回の選挙は初めて平和的に行われ、国際選挙監視団も「若干の問題はあるものの選挙はほぼ公正に行われた」と報告していた。 [2001-07-31-10:15] 12
[このページの最初に戻る]


 07/31@天声人語(朝日新聞)

 最近の言葉から。「私には、こういう人気は理解できんけどねえ」。小泉人気についてそうつぶやくのは、自民党の選挙戦を仕切った青木幹雄さんだ▼「ファンになった人がたまたま政治家だった」とは東京都のフリーターの女性、22歳である。新聞のテレビ欄で「小泉」の文字を探して、ビデオの予約をする毎日だ。夜中には「純ちゃん、いまどんな夢みてるのかな」▼こちらは、前政権のときのことだ。首相の名前を知らない女子大生のせりふ「首相の名前の方(ほう)とか知らなくても生きていけるじゃないですかみたいな」。それを聞いて内館牧子さんは「言い返す気力の方とか失っていた」(週刊朝日)▼「思い通りにならないことが多い子ほど、手っ取り早く理想を実現しようと、自己改造に走っているのではないか」。ダイエット願望が強い子どもほど、学校や家庭でストレスを感じているという調査結果について東京成徳大学の深谷和子教授だ。手っ取り早い国家改造に走る心理というのもあるかもしれない。要注意だ▼「ピクシーのフェイントの美しさはほとんどのユーゴ映画よりも価値がある」とユーゴのクストリッツァ監督が言ったそうだ(木村元彦氏)。そのピクシーことサッカーのストイコビッチ選手が引退する。日本では7年間プレーした▼ピクシーが語る。「なぜ日本はこんなに平和なのか、考えることがある。過去の戦争体験から、多くを学んだからだと思う。だから譲り合い、話し合う。トラブルは話し合えば解決するんだ。人が死ぬ戦争だけは絶対に許せない」[2001-07-31-00:18] 156 [このページの最初に戻る]


 07/31@<余録>首相の熟慮(毎日新聞)

 地図は楽しい。イタリアはいかにも地中海に突き出た長靴のような形をしているし、日本列島は太平洋の西端に生息するタツノオトシゴのようだ▲地図の縮尺に応じて、日本という国のかたちはイセエビが跳びはねたようにも、恐竜がくしゃみをしたところのようにも見えないことはない。しかし、ここにタツノオトシゴでもイセエビでも恐竜でもない、まったく別の地図がある。日本海を軸にして、上下を引っくり返した地図▲これは富山県が作成した「環日本海諸国図/富山中心正距離方位図(350万分1)」で、「日本の歴史」00巻・網野善彦著「『日本』とは何か」(講談社)の口絵に載っている。上部に日本列島、日本海をはさんで下部に朝鮮半島、中国、ロシア沿海州▲南北が逆転するだけで、印象は劇的に変わる。日本と韓国、中国、ロシアは輪をつくっている。手を伸ばせば届きそうだ。輪の中心は日本海。「日本が海を国境として他の地域から隔てられた『孤立した島国』という日本像がまったくの虚像であることが、だれの目にもあきらかになる」と網野さんは書いている▲視点を変えて、見なれたはずの地図から、気がつかなかった新発見を引き出すのが逆転地図の特徴である。オーストラリアにも逆転地図があった。小泉純一郎首相は富山県に頼んで、逆転した「環日本海諸国図」を手に入れて、熟読したらどうだろう▲靖国神社参拝について、首相は「与党3党の意見を虚心坦懐(たんかい)にうかがって、熟慮して判断したい」と言い出した。富山県の地図を見ると、日本は韓国、中国と地政学的に緊密に結びついていることがよくわかる。最近、韓国も朝鮮半島の逆転地図を刊行したそうだ。熟慮して、判断が逆転するかもしれない。 [2001-07-31-23:20] 162 [このページの最初に戻る]


 07/31@コンドームの使用奨励に反対声明 カトリック司教会(朝日新聞)

 南アフリカ、ボツワナ、スワジランドのカトリック司教会は30日、エイズのまん延を防止するためのコンドーム使用奨励に反対すると声明した。南アのプレトリアで開かれた会議で、地元の司教が使用禁止を緩和するよう提案していた。
 現地からの報道によると、司教会はコンドームが「不道徳で、エイズ対策には間違った武器だ」と断定。コンドームの奨励は性行為への自制心喪失につながるなど、かえってエイズまん延の一因になると糾弾した。コンドーム使用が許される例外として、夫婦の一方がエイズウイルスに感染している場合を挙げた。
 サハラ以南のアフリカでは2500万人以上の感染者がいるとされる。ケニアでは、エイズ対策として政府がコンドームの大量輸入を計画したが、地元の宗教界が反対している。[2001-07-31-21:06] 181
[このページの最初に戻る]


 07/31@東ティモール選挙の監視団計画を決定(読売新聞)

 政府は31日午前の閣議で、東ティモールで8月30日に行われる憲法制定議会議員選挙に、国連平和維持活動(PKO)協力法に基づく選挙監視団を派遣するための実施計画などを決定した。監視団はインドネシア語の研究者ら14人で、8月下旬に出発し、9月上旬に帰国する予定。
 同選挙は、東ティモールの独立を支援する国連東ティモール暫定統治機構(UNTAET)が実施する。 [2001-07-31-15:34] 190
[このページの最初に戻る]


 07/31@東ティモールに選挙監視団 政府関係者と民間人計14人で構(共同通信)

 政府は三十一日の閣議で、東ティモールで八月三十日に予定されている憲法制定議会選挙の公正な実施を支援するため、国連平和維持活動(PKO)協力法に基づき、外務省など政府関係者と民間人計十四人で構成する選挙監視団を派遣することを決めた。派遣期間は八月下旬から九月上旬まで約二週間の見込み。
 国連東ティモール暫定統治機構(UNTAET)による選挙運営を監視するため、国連が各国に派遣を要請していた。監視団は投票所の巡回に当たる予定。(了)[2001-07-31-10:51] 191
[このページの最初に戻る]


 07/31@NGO支援に5億8千万円を拠出(共同通信)

 政府は三十一日の閣議で、国際的な人道援助に取り組む非政府組織(NGO)を支援するため、外務省予算から五億八千万円を拠出することを決めた。災害や紛争の発生後、NGOが直ちに現地調査や援助物資の調達、配布に着手できるよう、あらかじめ資金をプールしておくのが目的。
 昨年八月にNGOと政府、経済界が協力してつくった「ジャパン・プラットフォーム」に参加するNGO諸団体でつくる「NGOユニット」に拠出する。(了)[2001-07-31-10:50]


 (注)この「最近のボスニア」コーナーは、一般に報道されている記事に、千田が一部手直しして掲載しているものです。出所は明示しており、各社・各記者の著作権を侵害するつもりはありませんが、著作権上問題があるとお考えの方や、自分(自社)の記事は載せないでほしいという方がいらっしゃれば、このホームページの感想もふくめて、千田あてに連絡してください。
 千田あての電子メールはここをクリックしてください。


[メニュー]   [自己紹介]   [最近のボスニア]   [論文]   [リンク]