最近のボスニア(旧ユーゴスラビア)情報

(05/23, 2001)


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◆ 05/15@◎政情安定化へ経済支援強化=独・ユーゴ首脳が会談(時事通信)
◆ 05/15@◎アルバニア系武装組織に最後通告=17日までの退去を要求(時事通信)
◆ 05/15@コソボ議会選を11月17日に実施(読売新聞)
◆ 05/15@<コソボ>初の総選挙11月実施 国連暫定統治機構特別代表(毎日新聞)
◆ 05/15@非武装地帯を完全に返還 NATOがユーゴに(共同通信)
◆ 05/15@11月17日にコソボ議会選挙 国連発表、大統領選出へ(共同通信)
◆ 05/15@マケドニア「上マケドニア」と国名を変更へ(読売新聞)
◆ 05/15@<ロシアと欧州の狭間で>内戦後のモルドバ 東西両岸、和解(毎日新聞)
◆ 05/15@<余録>イタリア総選挙(毎日新聞)
◆ 05/15@<伊総選挙>最終結果が確定 新内閣発足は早くても6月後半(毎日新聞)
◆ 05/15@<環境政策に物申す>NGOの提言を募集する委員会が発足 (毎日新聞)
◆ 05/15@<伊総選挙>中道右派が上下両院で勝ち、元首相が勝利宣言(毎日新聞)
◆ 05/15@対立民族への「見せしめ」 タリバン勢力の仏像破壊(共同通信)
◆ 05/15@<在沖縄米軍>空軍を増強 海兵隊を削減 有力研究所提言(毎日新聞)
◆ 05/15@海兵隊削減し空軍増強 対中国で沖縄の編成見直し 集団的自(共同通信)
◆ 05/15@<国連人口賞>日本のNGO「家族計画国際協力財団」受賞(毎日新聞)
◆ 05/15@韓国で「わい曲」歴史教科書展(共同通信)
◆ 05/15@イタリア「右旋回」を欧州各国が警戒(読売新聞)
◆ 05/15@<クローズアップ>中道左派敗因 ユーロ参加が裏目に(毎日新聞)
◆ 05/15@<キーパーソン>シルビオ・ベルルスコーニ元首相 イタリア(毎日新聞)
◆ 05/15@EU、北部同盟の伊政権入りに制裁せず? (読売新聞)
◆ 05/16@<セルビア>ミルティノビッチ大統領辞職か 1週間以上欠勤(毎日新聞)
◆ 05/16@バルカン経済支援で一致 独ユーゴ首脳会談(朝日新聞)
◆ 05/16@<マケドニア>アルバニア系ゲリラに最後通告 政府軍(毎日新聞)
◆ 05/16@武装勢力に17日正午期限の退去通告…マケドニア(読売新聞)
◆ 05/16@ロシア極東知事が4島全面返還を主張(朝日新聞)
◆ 05/16@<国境紛争>タイとミャンマーで激化 背景に麻薬問題(毎日新聞)
◆ 05/16@<アフガニスタン>ラバニ大統領と会見 「第3勢力」熱望の(毎日新聞)
◆ 05/16@日本の対米協力に限界 英戦略研が予測(共同通信)
◆ 05/16@中国より温暖化が脅威 米大統領を批判 国際戦略研究所(共同通信)
◆ 05/16@引き継ぎ書ない省庁も 文書開示ばらつき 共同通信が公開請(共同通信)
◆ 05/16@NMDに批判的見解 アナン国連事務総長 (共同通信)
◆ 05/16@ミャンマー援助で日本批判 パウエル米国務長官(共同通信)
◆ 05/16@<北方領土>森発言に広がる波紋 分離協議合意 日露ともに(毎日新聞)
◆ 05/16@森前首相発言、ロシア国内に波紋 外務省は火消しに躍起(朝日新聞)
◆ 05/16@EU各国、制裁見送りへ 伊新政権への右翼政党参加に(朝日新聞)
◆ 05/16@伊総選挙―改革はまだこれからだ(朝日新聞)
◆ 05/16@パレスチナ独立まで和平ない アラファト議長がTV演説(朝日新聞)
◆ 05/17@<マケドニア>アルバニア系ゲリラへの最後通告の期限を延長(毎日新聞)
◆ 05/17@武装組織に本格攻撃を宣言 マケドニア大統領(共同通信)
◆ 05/17@露ハバロフスク知事「4島返還」発言を否定(読売新聞)
◆ 05/17@<首脳会談>露とEUが朝鮮半島情勢などで意見交換(毎日新聞)
◆ 05/17@チベットの聖山カイラスに登山許可、反発必至か(朝日新聞)
◆ 05/17@中国、韓国と共同歩調で歴史教科書修正要求(読売新聞)
◆ 05/17@反制裁キャンペーンが奏功 対イラク政策全面転換(共同通信)
◆ 05/17@ロシア連邦軍の死者3000人超す(共同通信)
◆ 05/17@イラク制裁の大幅緩和提案 英が国連安保理決議案(共同通信)
◆ 05/17@<サッカー>UEFA杯 リバプールが25年ぶり3度目の優(毎日新聞)
◆ 05/18@◎ボスニア駐留米軍の撤退目指す=2正面戦略放棄も視野に−(時事通信)
◆ 05/18@メソポタミアはぐくんだ大湿地「三日月地帯」の9割消失(朝日新聞)
◆ 05/18@<米露関係>ワシントンで外相会談開催へ 首脳会談の日程も(毎日新聞)
◆ 05/18@EU、対中関係を強化で提案へ 国際社会での比重を直視(朝日新聞)
◆ 05/18@NMD海上配備も検討 集団的自衛権の議論も(共同通信)
◆ 05/18@紛争予防の実現目指す ASEAN地域フォーラム事務協議(共同通信)
◆ 05/18@高官巻き込み国籍も売買 ドミニカ共和国の偽造旅券(共同通信)
◆ 05/18@ウタリ協会、名称変更へ アイヌ協会に戻すこと検討(共同通信)
◆ 05/18@<ナイジェリア>オバサンジョ大統領が毎日新聞などと会見(毎日新聞)
◆ 05/18@米、イラク制裁緩和へ方針転換(読売新聞)
◆ 05/18@<米軍アジア戦略>見直しで意見が食い違い 在日米軍基地な(毎日新聞)
◆ 05/18@日本はエイズ対策支援を ナイジェリア大統領が会見(共同通信)
◆ 05/18@中田がアーセナルへ? イタリア有力紙が報道(共同通信)
◆ 05/19@来月16日、スロベニアで米ロ首脳会談(読売新聞)
◆ 05/19@<米露関係>6月16日に首脳初会談 スロベニアで開催 (毎日新聞)
◆ 05/19@セルビア元財務相、250万ドル流用で逮捕(読売新聞)
◆ 05/19@6月中旬に米ロ首脳会談を開催(朝日新聞)
◆ 05/19@<米露関係>首脳会談は6月16日か17日 スロベニア首都(毎日新聞)
◆ 05/19@6月16日に米ロ首脳会談 スロベニアで初開催へ(共同通信)
◆ 05/19@パレスチナ騒乱、米露が停止呼びかけ(読売新聞)
◆ 05/19@<横断鉄道>ロシア本土とサハリン島を結ぶ建設を今年秋に開(毎日新聞)
◆ 05/19@米英軍、イラク南部の防空施設を空爆(読売新聞)
◆ 05/19@送信施設移転などで合意 バチカン放送の電波公害で(共同通信)
◆ 05/19@早期開催で面目保つロシア NMDで米、懐柔策に転換(共同通信)
◆ 05/19@併合派民兵に懸念表明 東ティモール議長 (共同通信)
◆ 05/19@EU拡大に慎重姿勢 イタリア次期首相(共同通信)
◆ 05/19@EU、対中関係を強化で提案へ 国際社会での比重を直視(朝日新聞)
◆ 05/19@パキスタン、過激原理主義で「タリバン化」進む(読売新聞)
◆ 05/19@<世界無形文化遺産>日本の「能楽」など計19件指定 ユネ(毎日新聞)
◆ 05/19@<ニュース展望>単位互換超え、未来像模索 国立4大学連合(毎日新聞)
◆ 05/19@<北アイルランド>紛争象徴の地を歩く メイズ刑務所(毎日新聞)
◆ 05/19@<サッカー>ローマ関係者が、中田のアーセナル移籍を否定(毎日新聞)
◆ 05/19@中田の移籍を否定 イタリアのスポーツ紙にローマの担当者(共同通信)
◆ 05/20@米、ロシアと対話姿勢 ミサイル防衛問題 (朝日新聞)
◆ 05/20@輸入促進で最貧国救済を 国連後発途上国会議が行動計画(朝日新聞)
◆ 05/20@アラブ連盟会合で対イスラエル接触凍結を声明(読売新聞)
◆ 05/20@イスラエル対応硬直化、深まる孤立・危機感(読売新聞)
◆ 05/20@<アラブ連盟>外相会議が閉幕 イスラエルと政治的接触凍結(毎日新聞)
◆ 05/20@行動計画を採択し閉幕 国連後発発展途上国会議(共同通信)
◆ 05/20@ダイヤのデビアス社再び同族企業に 株式公開に幕(朝日新聞)
◆ 05/20@<アラブ連盟>外相会議、イスラエルとの接触停止呼びかける(毎日新聞)
◆ 05/20@イスラエルと接触停止を アラブ連盟外相協議(共同通信)
◆ 05/20@ウガンダなどに制裁を ナミビアのヌジョマ大統領(共同通信)
◆ 05/21@<東論西談>伊総選挙で右派勝利 欧州席巻する大衆迎合主義(毎日新聞)
◆ 05/21@<人と世界>ロシア南部・北カフカス地方 多民族の故郷(毎日新聞)
◆ 05/21@<ハンガリー>周辺国の同胞に労働ビザなど特典 周辺国反発(毎日新聞)
◆ 05/21@憲法九条守ってと申し入れ 首相に紛争地の若者ら(共同通信)
◆ 05/21@パレスチナ自治区空爆を62%が支持 イスラエル世論(朝日新聞)
◆ 05/21@<国連会議閉幕>最貧国産品の輸出優遇の行動計画を採択(毎日新聞)
◆ 05/21@<イタリア>不法移民取り締まりの厳格化を要求 与党書記長(毎日新聞)
◆ 05/21@中田、移籍問題で重大局面 バリ戦起用は来季テストか(共同通信)
◆ 05/22@<ポーランド>EU加盟目標 03年から04年に(毎日新聞)
◆ 05/22@◎コソボ非武装地帯、事実上消滅へ=24日、ユーゴ部隊が全(時事通信)
◆ 05/22@<ユーゴスラビア>「5月中に部隊解体」 アルバニア系ゲリ(毎日新聞)
◆ 05/22@5月23日付・編集手帳(読売新聞)
◆ 05/22@<中東情勢>米大使がイスラエル首相と会談(毎日新聞)
◆ 05/22@<W杯キャンプ>自治体の誘致合戦がヤマ場(毎日新聞)
◆ 05/23@◎弾薬密輸容疑で元国防相逮捕=アルゼンチン(時事通信)
◆ 05/23@早期の米軍撤退はない ボスニア議長会見 (共同通信)
◆ 05/23@◎EUと加盟候補国、生産性に格差(時事通信)
◆ 05/23@日本の「地下経済」23兆円も…浜銀総研試算(読売新聞)
◆ 05/23@フランス、コルシカ島に大幅な自治(朝日新聞)
◆ 05/23@イラク、制裁緩和の英国案拒否(朝日新聞)
◆ 05/23@ソウル大教授会、北朝鮮や中国と連帯を 歴史教科書問題(朝日新聞)
◆ 05/23@<コルシカ島>自治権拡大法案を賛成多数で可決 仏国民議会(毎日新聞)
◆ 05/23@◎自衛隊のPKF参加求める=豪外相(時事通信)
◆ 05/23@<ミャンマー>国連事務総長特使が訪問へ 政治対話の状況確(毎日新聞)
◆ 05/23@<タリバン>ヒンズー教徒識別の動きを批判 米国務省報道官(毎日新聞)
◆ 05/23@ソウル大学の教授会が日本語学科反対(共同通信)
◆ 05/23@8月までに再修正回答要求 歴史教科書で韓国外相(共同通信)
◆ 05/23@制裁全面解除狙い揺さぶり 緩和案拒否のイラク大統領(共同通信)
◆ 05/23@<オバサンジョ氏>毎日新聞と会見 白人農場占拠で楽観的見(毎日新聞)
◆ 05/23@イラク制裁を大幅緩和へ 英が安保理決議案提出(共同通信)
◆ 05/23@米戦略見直しの公表延期へ 国防長官主導に議会反発(共同通信)
◆ 05/23@<クローズアップ>台湾総統NY入り 米政権、強気の駆け引(毎日新聞)
◆ 05/23@<防衛戦略研究会議>集団的自衛権、解釈見直しを提言(毎日新聞)
◆ 05/23@社説―米国は落選から学べ(朝日新聞)

 (注)この「最近のボスニア」コーナーは、一般に報道されている記事に、千田が一部手直しして掲載しているものです。出所は明示しており、各社・各記者の著作権を侵害するつもりはありませんが、著作権上問題があるとお考えの方や、自分(自社)の記事は載せないでほしいという方がいらっしゃれば、このホームページの感想もふくめて、千田あてに連絡してください。
 千田あての電子メールはここをクリックしてください。  [最初のページに戻る]


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 05/15@◎政情安定化へ経済支援強化=独・ユーゴ首脳が会談(時事通信)

 【ベルリン15日時事】ドイツ訪問中のコシュトニツァ・ユーゴスラビア大統領は15日、ベルリンの首相府でシュレーダー首相と会談し、バルカン半島の政治的安定のため、対ユーゴ経済支援を強化する必要があるとの認識で一致した。
 コシュトニツァ大統領は会談後の共同記者会見で、民族間の対立や独立問題などで政情不安が続くユーゴ連邦のコソボ自治州やモンテネグロ共和国、隣国マケドニアについて「民主的解決を目指す」と強調。「バルカン半島の政治情勢はユーゴの政治的安定にかかっている」とし、ドイツを含む欧州連合(EU)各国や米国に疲弊したユーゴ経済への支援を強く求めた。
 これに対しシュレーダー首相は、独経済界に対ユーゴ投資促進を呼び掛ける考えを表明した。 [時事通信社][2001-05-15-23:33] 31
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 05/15@◎アルバニア系武装組織に最後通告=17日までの退去を要求(時事通信)

 【ウィーン15日時事】マケドニア政府は15日、同国北部に立てこもるアルバニア系武装組織・民族解放軍に対し、17日正午(日本時間同日午後7時)までに国外へ退去するか武器を放棄するよう求める最後通告を突き付けた。政府スポークスマンは「これは武装組織にとって最後のチャンスだ」と述べ、解放軍があくまで抵抗を続ける場合、政府軍の総攻撃が加えられると警告した。
 マケドニア内戦の誘発を狙う解放軍はユーゴスラビア・コソボ自治州境が近いマケドニア北部の村を拠点とし、過去2週間にわたって政府軍と戦闘を続けている。政府軍はほぼ連日、解放軍の拠点に砲撃を加えているが、多数の民間人が盾に使われる形になっているため、掃討作戦ははかどっていない。 [時事通信社][2001-05-15-22:18] 32
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 05/15@コソボ議会選を11月17日に実施(読売新聞)

 【ウィーン15日=佐々木良寿】ユーゴスラビア・コソボ自治州を管理する国連暫定統治機構(UNMIK)のハンス・ヘカロップ事務総長特別代表は十四日、テレビ演説を行い、自治政府樹立に向けた法的枠組みを示し、その第一歩として議会選挙を十一月十七日に実施すると発表した。だが、コソボの最終的な地位確定問題を棚上げしたままの選挙となるだけに、紆余(うよ)曲折は必至だ。
 同特別代表によれば、選挙で百二十人の自治議会議員を選出。議会が自治政府大統領を選出し、大統領は首相を任命する。百二十人の議員のうち、十議席をセルビア人、十議席をロマ人など少数民族枠とする。自治政府樹立後は、行政権を全面的にUNMIKから移管する。ただ、議会解散権や法案拒否権などの権限は、引き続き国連事務総長特別代表が持ち、最終的な民主政治の実現を監督する、としている。
 議会選は、対ユーゴ空爆後のコソボの国際管理などを規定した国連安保理決議一二四四に盛り込まれた「実質的な自治」の実現に向けたもの。これまで、同特別代表と、同自治州のアルバニア系政治指導者、セルビア人指導者らとで協議してきたが、アルバニア系側は、独立に向けた住民投票実施が認められないとして反発。一方、昨年十月のコソボ地方選をボイコットしたセルビア人側は、事実上の独立を意味するとして批判してきた。[2001-05-15-12:15] 33
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 05/15@<コソボ>初の総選挙11月実施 国連暫定統治機構特別代表(毎日新聞)

 【ウィーン福井聡】ユーゴスラビア連邦コソボ自治州を管理する国連コソボ暫定統治機構(UNMIK)のヘカロップ特別代表は14日、初の総選挙を11月17日に実施すると発表した。総選挙は自治政府樹立に向けた前進となる。
 特別代表は選挙実施のための法的枠組みを策定するため、アルバニア系住民やセルビア系住民らと交渉してきたが「妥協に至らなかった」と判断、独自で期日や議会の役割を発表した。
 公表された「コソボ暫定政府のための憲法的枠組み」によると、新議会の定数120議席で、うち20議席はセルビア系住民など少数派のための割り当てられる。投票後30日以内に議会が正式発足し、議会は大統領を選出し、大統領が首相を指名する。
 アルバニア系住民が強く求める「独立のための国民投票」には触れておらず、特別代表は「コソボの最終的な政治的地位は将来に託すことになる」とした。
 新政府発足後、UNMIKは司法や警察などを担当するほかは権限を委譲する。だが、特別代表は現在の地位にとどまり、議会解散などの強権を発動できる権限などを持つという。
 コソボの住民の人口比率は現在、95%がアルバニア系で、「コソボ独立」を悲願としている。昨年10月にUNMIKなどの監督下で実施された初の地方選挙では穏健派アルバニア系政党が勝利した。ボイコットしたセルビア系住民は総選挙への参加の意向を示している。
 コソボはユーゴ連邦セルビア共和国に属するが、99年の北大西洋条約機構(NATO)軍のユーゴ空爆後は国連とNATO軍主体の国際治安部隊(KFOR)が事実上、管理してきた。[2001-05-15-10:25] 36
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 05/15@非武装地帯を完全に返還 NATOがユーゴに(共同通信)

 【ブリュッセル14日共同】北大西洋条約機構(NATO)は十四日、大使級理事会を開き、ユーゴスラビアのセルビア、モンテネグロ両共和国とコソボ自治州の境界に設けられた非武装地帯のうち、最後までユーゴ軍の再配備を認めていなかったコソボ東部区域に同軍を戻すことを決めた。
 非武装地帯を拠点とするアルバニア系武装組織の活動を封じ込めるための措置で、二十四日から進駐する予定。NATOによるユーゴ空爆終了後の一九九九年六月に設置された同地帯は今回の決定により、ユーゴに完全に返還される。
 ただ、ユーゴ軍が戻るコソボ東部区域は武装組織の活動が活発な戦略上の要衝であり、再配備に伴う衝突も懸念される。
 ユーゴ軍をコソボから遠ざけるため設けられた非武装地帯は、コソボに展開するNATO主体の国際治安部隊が管轄してきたが、NATOは三月以降、ユーゴ軍の進駐を順次、認めていた。(了)[2001-05-15-08:18] 37
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 05/15@11月17日にコソボ議会選挙 国連発表、大統領選出へ(共同通信)

 【ウィーン14日共同】国連コソボ暫定統治機構(UNMIK)のヘカロップ代表は十四日、ユーゴスラビア・コソボ自治州の議会選挙をことし十一月十七日に実施すると発表した。
 テレビ演説した同代表は、議会定数を百二十議席とし、うち十議席をセルビア人に、十議席を他の少数派に配分する考えを示した。議会は大統領を選出し首相を任命するとしており、実現すれば紛争に揺れ続けたコソボの自治政府樹立に突き進むことになる。
 ただ、議会選挙の実施が確定しても、あくまでコソボの独立を目指す多数派アルバニア系住民と、ユーゴ連邦との関係維持を求める少数派セルビア人などとの対立が再燃する恐れもあり、情勢は不透明だ。
 コソボは法的にはユーゴ連邦セルビア共和国に属しているが、一九九九年の北大西洋条約機構(NATO)軍によるユーゴ空爆終了後は国連とNATO軍主体の国際治安部隊(KFOR)が事実上管理しており、自治政府樹立後の最終的な統治形態は協議が先送りされている。
 昨年十月にはUNMIKと欧州安保協力機構(OSCE)の監督下で、初の地方議会選挙が実施され、穏健派アルバニア系政党が勝利している。(了)[2001-05-15-08:16] 38
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 05/15@マケドニア「上マケドニア」と国名を変更へ(読売新聞)

 【アテネ14日=熊田全宏】ギリシャとマケドニアが争っているマケドニアの国名変更問題はこのほど、両国が「ゴルナマケドニア(上マケドニア)」の名前で実質合意、解決へ向かっている。ギリシャ有力紙が伝えたもので、アルバニア系武装勢力によるマケドニア情勢の急変が問題解決を促進したとされる。
 アテネ有力紙「カシメリニ」日曜版(十三日付)によると、国連仲介で行われてきたニューヨークでの国名変更交渉はこのほど実質的に終了、交渉を仲介した米国人のニミッツ特使は合意を「政治的にも受け入れ可能なもの」と語っている。
 マケドニア「国名」問題は、九一年にマケドニアが旧名で旧ユーゴスラビア連邦から独立したため、マケドニアにとって最大の経済パートナーで、同じ名前の地域を持つギリシャが「マケドニアは、領土拡張を主張する恐れがある」として反発、一時はギリシャによる経済封鎖に発展した。
 これまでの交渉では「スラボマケドニア(スラブ人のマケドニア)」など幾つかの国名が候補に挙がったが、失敗。現在は、国際的な正式名称として「旧ユーゴスラビア連邦マケドニア共和国」が国連や国際機関などで使われている。
 今回の合意国名「ゴルナマケドニア」はギリシャが「一語」として要求したもので、ゴルナは「地理的な上(北)を意味せず、将来も下(南)にあたるギリシャ・マケドニア地域への領土的主張を含まない」という。
 過去十年間もめ続けてきた国名がようやく合意に向かった背景には、アルバニア系武装勢力の攻勢による国内の混乱を回復するため、ギリシャを始めとする近隣諸国との関係正常化を急がなければならないマケドニア政府の内部事情があったようだ。[2001-05-15-00:36] 261
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 05/15@<ロシアと欧州の狭間で>内戦後のモルドバ 東西両岸、和解(毎日新聞)

 「今でも、向こう岸の人は信じられない」。ストレリッツさん(51)は、家の前をゆったりと流れるドニエストル川を見ながらつぶやいた。
 周囲の家々には弾痕が残り、約300メートルほど先の鉄橋は、10年前の武力紛争で中央部が破壊されたままだ。
 ルーマニアとウクライナに挟まれた小国モルドバ。北から南へ、ドニエストル川が流れる。その東岸、つまり「プリドニエストル共和国」の首都ティラスポリの北30キロのブチョク村に、ストレリッツさんの家がある。
 「共和国」といっても、世界の大半の人々はその存在を知らない。
 長さ約400キロ、幅十数キロ、人口約70万人の共和国には、大統領をトップに政府があり、軍隊も警察もある。さらに独自通貨も発行している。だが、国際的には認知されていない。
 話は10年前のソ連崩壊時にさかのぼる。モルドバでは、反ロシア・親ルーマニアの民族主義の炎が燃え上がった。
 モルドバの西岸、いわゆるベッサラビア地方は、古くはオスマン・トルコ、最近ではルーマニアがロシアと領有権を争い、40年には独ソ不可侵条約に基づき、旧ソ連に編入された歴史を持つ。
 ベッサラビア地方では、人口の6〜7割がルーマニア系モルドバ人。ソ連崩壊後、独立し、反ロシアの民族主義が支配的となった。しかし、東岸では古くからロシアの影響が強く、ロシア、ウクライナ、モルドバの3民族が拮抗していた。
 西岸がルーマニアへの再統合を叫ぶと、東岸はこれに反対した。双方の住民は銃を構え、数千人が犠牲となる武力衝突へと発展した。
 ストレリッツさんも銃を持ち、対岸からの弾丸やロケット弾に対抗した。10年後の現在、紛争は止んでいる。
 ストレリッツさんは今、「意味のない紛争だった」と振り返る。この反省の気持ちは、両岸の住民に共通の感情である。
 今年3月、モルドバの大統領選で、ロシアとの再接近を叫ぶウォローニン共産党委員長が勝利した背景でもあった。
 しかし、東西両岸の住民が和解する時がやってきたという訳ではない。10年にわたり、別々の国家を歩んだ両岸をまとめるのは容易ではない。
 共和国強硬派のシェフツォフ安保相は「東岸は歴史的にスラブ民族の地。ベッサラビアとは違う」と主張して止まない。
 共和国政府庁舎で会見したリツカン外相も「この地はスラブと西欧文明の対決の場所だ」と説明し、「欧州統合には絶対反対だ。もし、モルドバが欧州に加わるなら(東西分裂は確定し)ドニエストル川が欧州を隔てる国境線となるだろう」と警告した。【ティラスポリで石郷岡建】[2001-05-15-23:30] 263
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 05/15@<余録>イタリア総選挙(毎日新聞)

 「イタリア人であることは国籍でなく、職業の一つ」なのだそうだ。「われわれは何世紀にわたってこうだった」とイタリアのコラムニストは言う▲祖父たちはライバルの都市国家に囲まれ、城壁の内側に住んでいた。領主がよそ者であることも珍しくなかった。「フランスばんざい、スペインばんざい」。こうした環境にあって、あらゆる政府と言語に対し、残るものが本能的な不信感だけというのは当然である(エンツォ・ビアージ「新イタリア事情」朝日選書)▲イタリアの北部と南部とでは住民の顔つきも言葉遣いもかなり異なる。毎日食べるパスタだって違う。では、ばらばらのイタリアを一つにまとめるにはどうすればいいか。それにはまずテレビとサッカーだとシルビオ・ベルルスコーニ氏は考えた▲ミラノの銀行員の家に生まれ、子どものころ、学校で「宿題同盟」をつくって友だちの宿題を請け負い、小遣いをかせぐなど抜け目なさを発揮した。大学卒業後、建設会社を設立して成功、民間テレビ3局を買収、サッカーチーム「ACミラン」を手に入れた▲ベルルスコーニ氏率いる右派連合は94年の総選挙で圧勝したが、贈収賄疑惑が表面化して7カ月で崩壊した。捲土(けんど)重来を期して同氏はメディアを総動員し、与党を破って勝利した。ベルルスコーニ政権が復活すれば、国営放送を含む地上波の9割以上が支配下に置かれるという▲巨大メディア帝国の出現である。ベルルスコーニ首相について、ミッテラン仏大統領は94年、「首相はメディア操作で政権についた。民主主義は重大な変質を迫られるだろう」と警告した。「イタリア人であることは国籍ではない。イタリアのテレビの視聴者であることだ」という時代がそこまで来ている。[2001-05-15-23:15] 276 [このページの最初に戻る]


 05/15@<伊総選挙>最終結果が確定 新内閣発足は早くても6月後半(毎日新聞)

 【ローマ井上卓弥】イタリア内務省は15日、上下両院総選挙の最終結果を発表した。上院(定数315)の獲得議席はベルルスコーニ元首相率いる中道右派連合「自由の家」が177、中道左派連合「オリーブの木」125、その他13だった。下院(定数630)でも「自由の家」が368、「オリーブの木」が242、その他20と、大差がついた。
 各党別議席数は公表されていないが、「自由の家」内部では元首相の個人政党フォルツァ・イタリアが躍進し、旧ファシスト党の流れをくむ第2党の国民同盟(フィーニ議長)も改選前の勢力を確保する見込み。一方、移民排斥など過激な言動で知られるボッシ書記長が率いる第3党の北部同盟は、下院を中心に退潮が目立つ。
 新内閣発足は早くても6月後半になる見通し。7月20日から3日間、北部ジェノバで開催される主要国首脳会議(サミット)を前に安定政権の樹立をめざす。[2001-05-15-21:25] 293
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 05/15@<環境政策に物申す>NGOの提言を募集する委員会が発足 (毎日新聞)

 NGO(非政府組織)活動家や大学教授らが呼びかけ人となった「NGO環境政策提言推進委員会」が15日発足した。地球温暖化や廃棄物・リサイクル対策、自然保護などで法制定や税制改正を含む具体的な政策を一般から募集する。川口順子環境相の発案がきっかけで発足した委員会で、環境省も「良い提言は実現に向けて努力する」としている。
 委員会は募集した政策を冊子にまとめ、特色のある革新的な6〜7件は、川口環境相も参加し7月11日午後2時から東京都渋谷区の国連大学で開く公開討論会で、実現への課題を整理する。
 会見した委員会代表の広野良吉・帝京大教授は「日本のNGOは身近な環境保護などの現場型が多く、欧米に比べると政策提言能力が弱い。これをきっかけに環境に物申す人々が増えてほしい」と話した。
 提言の締め切りは6月15日。応募書類の請求はNGO環境政策提言フォーラム事務局(03・3406・5180)。討論会の問い合わせは「水と緑の惑星保全機構」(03・3503・7743)。 【吉川学】[2001-05-15-19:05] 295
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 05/15@<伊総選挙>中道右派が上下両院で勝ち、元首相が勝利宣言(毎日新聞)

 【ローマ井上卓弥】13日に投票されたイタリア総選挙は14日までの開票で、ベルルスコーニ元首相率いる野党・中道右派連合「自由の家」が、与党・中道左派連合「オリーブの木」を上下両院で破り、元首相は勝利宣言するとともに「支持者の改革への期待は裏切らない」と述べた。
 伊内務省発表の最終集計によると、上院(定数315)での獲得議席は「自由の家」が177、「オリーブの木」が125、その他13。下院(定数630)では「自由の家」が368、「オリーブの木」が242、その他20だった。
 「自由の家」は元首相の政党「フォルツァ(がんばれ)イタリア」を中心に旧ファシスト党系の国民同盟や、移民排斥を唱える北部同盟などが参加している。各党別議席数はまだ不明だが、第3勢力の北部同盟が上院で1割程度(16〜18議席)を獲得すると、終身議員9人を加えた過半数(163)の確保に欠かせない存在となる。
 欧州左派系政権との対決姿勢を鮮明にしている北部同盟のボッシ書記長は主要閣僚に就任する見込み。右派の移民問題などでの強硬姿勢で、EU諸国との関係が悪化する可能性がある。
 また前回の中道右派政権(94年)は年金改革案に反対した北部同盟の連立離脱によってわずか7カ月で崩壊しており、元首相はキャスチングボートを握られることを警戒しているとされる。
 新内閣の正式発足は早くても6月後半になる見通し。難航した場合、7月20日から北部のジェノバで開催される主要国首脳会議(サミット)への影響も考えられる。[2001-05-15-18:15] 305
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 05/15@対立民族への「見せしめ」 タリバン勢力の仏像破壊(共同通信)

 バーミヤンの仏教遺跡破壊で国際社会の批判を浴びたアフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバン。その実態は依然なぞが多い。著書「タリバン」(日本語訳版は昨年十月に出版)で、その実像に迫ったパキスタン人ジャーナリスト、アハメド・ラシッド氏に最近のアフガニスタン情勢などについて聞いた。(共同=古池一正)
 ―タリバンはなぜ仏教遺跡を破壊したのか。
 「昨年十二月の国連制裁強化への反発もあるが、バーミヤンを拠点とするハザラ人へのメッセージという意味合いが大きい。ハザラ人はイスラム教シーア派で、スンニ派のパシュトゥン人のタリバンと激しく対立している。あの仏教遺跡はハザラ人のシンボルで、唯一の観光収入源だった」
 ―タリバンはアフガニスタンをどう導こうとしているのか。
 「(タリバンは)当初は商人や地域指導者なども含む勢力だったが、次第に宗教指導者オマル師と少数の取り巻きに権力が集中し、パシュトゥン人中心主義と極端なイスラム解釈を信条とする集団になった。将来へのビジョンはない。あるのはイスラム教が生まれた七世紀に戻るという過去へのビジョンだけだ」
 ―タリバンに保護されているサウジアラビア出身の富豪ウサマ・ビン・ラディン氏の役割は。
 「オマル師の信頼も厚く、影響力は非常に大きい。米国などにある資産は凍結されているが、イスラム諸国から資金や武器、兵士を集めて供給している。今やタリバン兵士の三分の一は非アフガン人だ」
 ―アフガニスタンの現在の勢力地図は。
 「タリバンは国土の九○%を支配しているが、人口の三○%は依然、マスード元国防相の率いる反タリバン勢力の下にある。パキスタンがタリバンを、イラン、ロシア、インド、中央アジア諸国がマスード派を支援している」
 ―和平への展望は。
 「二十年以上続く内戦と最近の干ばつで国民の生活は悲惨だ。夏季攻勢が始まり、新たに二百万人規模の難民が発生する恐れもある。国際社会はアフガニスタン再建基金を創設して和平への刺激を与え、タリバン内部の穏健派の伸長を促すべきだ」(了)[2001-05-15-16:11] 311
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 05/15@<在沖縄米軍>空軍を増強 海兵隊を削減 有力研究所提言(毎日新聞)

 【ワシントン清宮克良】米国防総省の委託を受けた有力シンクタンクの「ランド研究所」は15日、「米国とアジア」と題する新戦略報告書をまとめ、発表した。中国の対応策として台湾に近い沖縄県・下地島(琉球諸島南部)に米空軍を増強する一方、その見返りに沖縄の海兵隊は削減や撤退することなどが提言の柱。米中の緊張が高まる中で「台湾防衛」を意識した内容で、日本に対しても集団的自衛権の行使容認を求めており、中国など周辺国に波紋を呼びそうだ。
 報告書の作成責任者のカリザド氏は国家安全保障会議(NSC)入りしており、報告書は米政府のアジア政策に影響を与えることになる。
 報告書では中国がアジア地域の不安要因になると予測し、中台紛争などへの備えが重要と指摘。在沖縄米軍については下地島を空軍基地として使用したり、同島周辺を軍事利用するなど台湾に近い琉球諸島南部の軍事基地化を明確にしている。一方、在沖縄海兵隊については削減や撤退する方向性を示し、普天間飛行場を併用基地として有事の際に米空軍を受け入れる態勢にするように提案している。
 また、日本を取り巻く脅威が増えるとの認識を示し「独立国として安保政策を追及するなら(日本は)公表しないまでも核兵器を保有することになるだろう」と予測している。さらに、同盟関係を強化する観点から、日本に対して、憲法改正により集団的自衛権の行使を認めるよう要求している。
 新戦略報告書は、近くブッシュ政権が発表する米戦略見直しの「草案」の一つと位置づけられる。戦略見直しでは、米軍が従来想定してきた二つの大規模地域紛争が同時発生することに備える「2正面作戦」を、アジア太平洋地域重視に転換するとみられており、中国を想定した具体的な新戦略報告書の提言が踏襲される可能性がある。
 さらにブッシュ政権が掲げる「日米同盟」重視が、報告書に含まれる琉球諸島南部の新たな軍事基地化や集団的自衛権の行使など実質的な対日要求増につながる可能性もある。[2001-05-15-13:10] 312
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 05/15@海兵隊削減し空軍増強 対中国で沖縄の編成見直し 集団的自(共同通信)

権行使も要求 米政府委託の戦略提言
 【ワシントン15日共同=久江雅彦】米国防総省系の有力シンクタンク、ランド研究所は十五日付で、中国の台頭をにらみ台湾に近い琉球諸島南部の沖縄県・下地島を米空軍基地として利用するなど空軍力を増強する一方、その見返りに沖縄の米海兵隊を削減する案を盛り込んだアジア戦略に関する提言を公表した。
 これは国防総省の委託に基づく提言で、取りまとめ責任者のザルメー・カリザド氏はホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)の中東担当上級部長で政権入りしており、米政府の政策決定に大きな影響を与えるのは必至。日本に対し、憲法改正による集団的自衛権の行使容認も要求しており、波紋を呼びそうだ。
 「米国とアジア―米新戦略と軍事態勢に向け」と題した提言は、中国が地域の不安定要因になる可能性に言及。中台の武力紛争に備え、フィリピンなど東南アジアで米軍の展開能力を高めると同時に、グアムを米空軍のハブ(拠点)基地とし、有事の際の即応能力を強化するよう求めている。
 米軍沖縄基地については、琉球諸島南部の下地島を空軍基地として使用するとともに、同島周辺の島も新たに軍事利用する案を提示。この実現に向け、海兵隊の削減や撤退が抵抗を和らげるための選択肢になり得ると提唱した。
 その上で、海兵隊の普天間飛行場を米戦闘機部隊との併用基地とし、紛争発生の際に兵力投入を受け入れる態勢を構築するよう指摘。海兵隊の伊江島補助飛行場や航空自衛隊那覇基地も米空軍として利用できるよう見直しを求めている。
 日本は今後も日米同盟を重視すると予測。米国を機軸として、日本が韓国やオーストラリアなどと一緒にアジアの紛争に対処できるよう米国として同盟国間の信頼強化を図るよう提言。日本の「憲法改正の努力を支持すべきだ」と述べ、集団的自衛権の行使に強い期待感を示している。(了)[2001-05-15-13:10] 313
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 05/15@<国連人口賞>日本のNGO「家族計画国際協力財団」受賞(毎日新聞)

 開発途上国で家族計画を支援している日本の非政府組織(NGO)、「家族計画国際協力財団」(ジョイセフ)に、2001年国連人口賞(団体の部)が贈られることが15日分かった。日本の団体の受賞は93年の毎日新聞社人口問題調査会に続いて2度目。
 ジョイセフはアジア、アフリカなど13の途上国で、母子保健と家族計画を統合したプロジェクトを実施しているほか、人口分野の人材養成やリプロダクティブヘルス・ライツ(性と生殖に関する健康と権利)に関する啓発活動を行っている。
 表彰式は6月にニューヨークの国連本部で行われる。
 同賞には個人と団体のの両部門があり、個人の部では、ナフィス・サディック前国連人口基金事務局長が受賞する。
 個人の部では、日本から加藤シヅエ・ジョイセフ会長(88年)、黒田俊夫・同理事長(97年)が受賞している。
 黒田理事長は今回の受賞について「世界の人口問題に貢献する日本のNGOの役割が認められて、大変うれしい。国際貢献を目指すNGOの新たな出発点になるだろう」と話している。【生長恵理】[2001-05-15-12:50] 321
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 05/15@韓国で「わい曲」歴史教科書展(共同通信)

 【ソウル15日共同】韓国の独立記念館は十五日、ソウルの地下鉄駅構内のギャラリーと忠清南道天安市の同館で、日本の歴史教科書問題をめぐる特別展示会を始めた。ソウルは六月六日まで、天安市では八月十五日まで行われる予定。
 同記念館によると、「皇国史観と全体主義的ナショナリズムに偏向した日本の歴史教科書のわい曲実態」を知らせるのが狙い。「新しい歴史教科書をつくる会」主導の中学歴史教科書に関する資料や、植民地支配時代に使われた日本史教科書なども公開された。
 一方、与党、新千年民主党(民主党)の金泳鎮議員が十五日、国連で日本の「歴史わい曲」を訴えるため、米国に向かった。(了)[2001-05-15-12:05] 346
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 05/15@イタリア「右旋回」を欧州各国が警戒(読売新聞)

 【ローマ14日=秦野るり子】十三日投票のイタリア総選挙で、シルビオ・ベルルスコーニ元首相(64)率いる中道右派連合「自由の家」が、上下両院で過半数を制し、七年ぶりの政権返り咲きをほぼ確実にしたが、中道左派政権が主流の欧州諸国は、欧州の政治潮流が右旋回する契機になるのでは、と警戒を強めている。また、中道右派連合には移民排斥を唱える北部同盟と旧ファシスト党の流れをくむ国民同盟が参加、新政権に加わるため、欧州各国政府と伊新政権とのあつれきは避けられない情勢だ。
 昨年、オーストリアでネオ・ナチ的発言で知られるハイダー・ケルンテン州知事率いる自由党が参加する政権が誕生した際、欧州連合(EU)諸国はオーストリアに制裁を科したが、わずか七か月で解除するという中途半端な結果に終わっている。イタリアは今年七月の主要国首脳会議(ジェノバ・サミット)の議長国でもあるだけに、EUがどのような対応をとるのか注目される。
 ベルルスコーニ氏は、選挙戦の最中に、国民同盟のフィーニ議長の副首相就任と北部同盟に閣僚ポストを与えるという政権構想を発表している。国民同盟は、ネオ・ファシストの「イタリア社会運動」が一九九四年、支持拡大のため「すべての全体主義に反対する」ことをうたって穏健右翼へと衣替えした政党だが、昨年、フィーニ議長がイスラエルを訪問しようとして拒否されるなど、ファシスト党として“根”がいまだに問題視されている。
 排外主義的な言動が目立つ北部同盟のボッシ書記長自身は、入閣しないと見られるものの、ハイダー知事を尊敬すると公言したこともある人物だ。
 また、中道右派連合は極右のネオ・ファシスト政党として知られる「三色の炎」と南部シチリア島で選挙協力し、同島上院選で全議席を押さえた。極右政党の手を借りての政権奪還というイメージはぬぐえない。
 欧州の主要メディアは、伊国内のメディアを支配し、贈賄や脱税の疑いもあるベルルスコーニ氏を「民主主義国家の首相としては不適格」と批判。ベルルスコーニ氏はまた、ブッシュ米政権のミサイル防衛計画に理解を示しており、同計画に批判的な欧州諸国との間で、外交・安保の分野でも亀裂が生まれそうだ。[2001-05-15-01:49] 353
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 05/15@<クローズアップ>中道左派敗因 ユーロ参加が裏目に(毎日新聞)

 中道左派政権が続いたイタリアで、13日行われた上下両院総選挙。左右両勢力の激突の舞台になった選挙戦は、約7年ぶりの返り咲きを狙う右派ベルルスコーニ元首相の信任を問う「国民投票」の色彩を帯び、右派が勝利した。社民主義・中道左派政権が主流の欧州主要国にあって、イタリアでの右派躍進は何を意味するのか。欧州連合(EU)との間にはきしみが増しそうだ。
 中道左派政権「オリーブの木」が右派復権を許した背景には、最大の実績に挙げられている「ユーロ参加」が、本来の政策の左派色を薄め、足を引っ張った、という皮肉な事情がある。
 「オリーブの木」は経済政策の専門家を擁し、緊縮財政による財政赤字削減と、欧州単一通貨ユーロ第一陣へのすべり込みを果たした。
 だが、ユーロ導入に夢を抱き、年金改革や新税(ユーロ税)導入を受け入れた一般国民は、生活改善への政策を打ち出さない中道左派政権に次第に不満を蓄積させ、ユーロ熱が冷めるにつれ支持率も降下した。
 南部などの経済後進地域を抱えながら、ユーロ参加基準維持に背伸びし続ける政権に対して、従来の支持層の中にも「国民の負担ばかり増え、ユーロのために支払った貸しも返さない」という幻滅が広がった。
 ベルルスコーニ元首相は、大規模減税や年金増を公約に掲げているが、専門家の間では「ユーロの枠組みを維持する必要上、実現は困難だ」との見方が根強い。
 元首相が枠組みを無視すれば、ユーロ全体の価値に影響するだけに、経済政策をめぐっても、EU諸国との摩擦が激化するのは必至だ。
●右派躍進に欧州は警戒
 欧州各国には、ベルルスコーニ氏の首相としての再登場を歓迎するムードは弱い。ベドリヌ・フランス外相は14日、ニュース専門局LCIテレビ番組で「欧州各国はイタリア次期政府を注視し、時には警戒心を抱く必要がある」と述べた。
 背景には、マスコミを支配する富豪が政治的権力を握ることへの不安がある。また、右派の排外主義が欧州連合(EU)の統合路線と合わなくなる懸念も大きい。
 政治経済誌として影響力を持つ英エコノミスト誌は先月27日発売号で、「ベルルスコーニ氏は為政者として適さない」と嫌悪感をあらわにした。民放3社を傘下に置く企業のトップが首相になることへの疑問だ。「メディアとの関係で公私の区別を明確にしていない」と批判した。
 政治腐敗が続くイタリアで、ベルルスコーニ氏にスキャンダルの疑惑が消えないことへの不快感もある。欧州ではフランスの石油会社エルフをめぐる疑獄事件など、各国で政治腐敗が深刻だ。
 欧州の政治地図の上でも、イタリアの右傾化は問題をはらむ。英国、ドイツ、フランスなど主要各国は、社民勢力が政権を握っている。今月初めにドイツで開かれた欧州社民党大会は、欧州統合強化で一致した。
 このリベラルな社会民主主義による欧州統合路線に、イタリアの右派は反発している。とくにベルルスコーニ政権に加わる北部同盟は、移民排除などの排外主義が強い。2年前にオーストリアで極右政党の自由党が入閣した際に、EU各国は外交関係を冷却化させた。右翼政党が参加するイタリアは、極右台頭を恐れる欧州各国の悩みの種になる可能性がある。 【ロンドン岸本卓也】
 ◇ベルルスコーニ元首相 政治的手腕に期待
 今回の総選挙は、各陣営がキャンペーンで首相候補の名前を連呼し、米大統領選のような熱気の中で行われた。比例区得票を5割増やすなど、大きく躍進した「フォルツァ・イタリア」は、ベルルスコーニ元首相(64)の個人政党だ。
 メディア王として1兆3000億円といわれる資産を所有する、イタリア随一の富豪。傘下メディアを総動員して自らの顔と名前を徹底的に売り込み、今回の選挙を事実上の「首相公選」にすることに成功した。
 「欧州メディアは左翼に毒されている。エコノミストの元ローマ特派員はコミュニストで、左翼民主党(旧共産党)の上院議員候補者名簿に名前が搭載されている」といった激しい言動で知られる元首相。過去の贈収賄や脱税疑惑に、国内外の反対勢力からの激しい攻撃もあった。だが、元首相は「事実無根。私の経歴には1点の曇りもない」と一歩も譲らない強硬姿勢をみせ、選挙は元首相の信任を問う「国民投票」の様相となった。
 96年の前回総選挙では、首相就任(94年)前の贈賄や脱税疑惑を糾弾され、有権者の反感を買って敗北した。それから5年。当局の追及を「左派主導の司法界による組織的妨害」と反発し「自分は検察官の犠牲者だ」と繰り返すする元首相の主張が、次第に支持者の間に浸透した。
 イタリアは戦後、政界構造汚職をたびたび経験し、「金持ちが公正に富を手に入れたわけがない」というのが一般市民の常識だ。元首相の経歴が「灰色」であることを認めながら、「それでも指導力に賭けよう」という考え方が支持者の大勢を占めたようだ。
 元首相の政治的復活は、クリーンさより政治的手腕を重視するイタリア社会の風潮を抜きにしては考えられない。
◇ボッシ北部同盟書記長 移民排斥論再燃も
 中道右派政権の中でベルルスコーニ氏の次に目立つ存在だったのが、裕福な北部に地盤を持つ地域政党・北部同盟のボッシ書記長(60)だ。ベルルスコーニ氏の前政権からの離脱を決め、崩壊に導いた張本人でもある。
 ボッシ氏はこれまでに「反南部」「反ローマ(中央政府)」「反移民」など時流に合わせた言動を取り続け、欧州ではオーストリア右翼・自由党のハイダー前党首とともに、ポピュリスト(大衆迎合主義)政治家の代表とみなされている。
 「EUは、ヨーロッパのソ連のような機構だ。EUは、スペインのカタロニア、イギリスのスコットランドのような地方の数々で作ればいい」といった発言も。だが、北部分離主義など同氏の過激な主張は、次第に連邦制導入という穏健路線として国民のコンセンサスとなった。「北部同盟の役割は既に終わった」(通信社記者)とみる政界関係者も多く、ここ数年はじりじりと支持率を下げていた。
 こうした苦境の中で、しがらみを残すベルルスコーニ氏と再び手を組んだのは、「自由の家」の名前で戦う小選挙区で議席を維持しよう、との思惑からとみられる。
 北部同盟は比例区で議席を前回の半分に減らし、過激な移民排斥論には拒否反応があることも明らかになった。しかし、ボッシ氏が今後、自らの存在を際立たせるため、あえてこうした政治課題を取り上げることも十分に考えられる。[2001-05-15-00:55] 354
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 05/15@<キーパーソン>シルビオ・ベルルスコーニ元首相 イタリア(毎日新聞)

 ポスターで、日焼けした顔と白い歯を見せてニヤッと笑う。傘下メディアを総動員して自らの顔と名前を徹底的に売り込み、政権復帰を決めた。
 全国テレビ網や新聞、人気サッカー・チーム「ACミラン」を一族で所有するメディア王。選挙戦では1000万を超える世帯に「イタリアの物語」と題した半生記を送付するなど、資産を惜しみなくつぎ込んだ。
 ミラノの銀行員家庭に生まれ、ミラノ大法学部卒。60年代に米国型郊外住宅を分譲して実業家としての地位を固めた。その際、事業資金獲得にマフィアが関与したとの疑惑もある。74年にテレビ局を買収後、メディア産業に進出。政界の腐敗構造の中心にいた大学時代の友人、クラクシ元首相(旧社会党)の協力で独占規制をくぐり抜けた。
 94年総選挙で政党「フォルツァ(がんばれ)・イタリア」を組織して首相に就任したが、わずか7カ月で政権が崩壊。実現できなかった大規模減税や複雑な法規制撤廃が公約だが、経営者としての私利と首相としての公益を厳しく区別できるのか、疑問視する声も多い。
 大言壮語ぶりも有名で、自らを「世界最高の指導者」「現代のナポレオン」と称したことも。元女優の妻との間に3人、前妻との間に2人の子供がいる。【ローマ井上卓弥】[2001-05-15-00:55] 355
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 05/15@EU、北部同盟の伊政権入りに制裁せず?(読売新聞)

 【ブリュッセル14日=三井美奈】欧州連合(EU)は十四日、当地で開いた外相理事会で、移民排斥を訴える「北部同盟」が伊新政権に加わる可能性が強まったことについて対応を協議したが、オーストリアの極右参加政権に制裁を科したのとは対照的に、当面、静観の構えを見せている。
 今年後半にEU議長国となるベルギーのミシェル外相はイタリア総選挙直前、北部同盟参加の政権が発足した場合、EUは制裁に踏み切るべきだとの姿勢を示した。だが、オーストリアと異なり、イタリアはEUの主要国で、対イタリア制裁はEU政策決定をマヒさせる可能性が強いだけに、ベルギーの主張に応じる声はほとんどない。
 九八年までイタリアの中道左派政権で首相を務めたプローディ欧州委員長は、「イタリアなくして欧州なし」と語り、対イタリア制裁の可能性を否定した。また、シリー独内相も、対イタリア制裁を行う考えはないと表明している。[2001-05-15-00:40]
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 05/16@<セルビア>ミルティノビッチ大統領辞職か 1週間以上欠勤(毎日新聞)

 【ウィーン福井聡】ユーゴスラビア連邦セルビア共和国のミルティノビッチ大統領が1週間以上欠勤を続け、辞職に追い込まれる可能性が出ている。セルビアでは公職者の無断欠勤が7日続くと解任との規定がある。自動的には適用されないが、欠勤がさらに続けば解任や辞任が具体的な検討対象になる。
 16日で8日連続となった欠勤はベオグラード地裁が18日に予定している参考人尋問と関連があるとされる。大統領は不正蓄財などで逮捕・拘置中のミロシェビッチ前連邦大統領の側近で、外相時代の96〜97年、前大統領の長男マルコ氏に外交官パスポート2通を発行した疑いが持たれている。
 後任は選挙で選出するが、同連邦モンテネグロ共和国が独立した場合は、連邦が消滅することからコシュトゥニツァ連邦大統領が立候補するとの観測もある。[2001-05-16-18:20] 26
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 05/16@バルカン経済支援で一致 独ユーゴ首脳会談(朝日新聞)

 ユーゴスラビア連邦のコシュトニツァ大統領は15日、就任以来初めてドイツを訪問し、シュレーダー首相らと会談した。両首脳は、バルカン半島安定のためには経済支援が不可欠との認識で一致した。
 シュレーダー氏は首脳会談後の記者会見で、ミロシェビッチ・ユーゴ前大統領の国際法廷への引き渡しを条件に、米国がユーゴ復興支援国会合への態度を保留していることについて、「会合が近く開かれ、米国も参加することを期待する」と述べた。
 独政府によると、コシュトニツァ氏は会談で、ミロシェビッチ前大統領の国際法廷への引き渡しに必要な法案をユーゴ議会が決めれば、「国際的義務に従う」と改めて述べた。しかし、その詳細には触れなかった。[2001-05-16-10:18] 27
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 05/16@<マケドニア>アルバニア系ゲリラに最後通告 政府軍(毎日新聞)

 【ウィーン福井聡】マケドニア政府軍は15日正午、北部クマノボ周辺で戦闘を続けるアルバニア系ゲリラ・民族解放軍に対し、「48時間以内に撤退せよ。撤退しなければ、17日正午から総攻撃に入る」との最後通告を出した。現地には依然、多数の住民が避難生活を続けており、総攻撃での被害拡大が懸念されている。
 スコピエからの報道によると、政府報道官は「住民が村を脱出し、ゲリラが撤退するよう今回が最後の通告だ。その後、脅威を最終的に排除する適切な手段を断行する」と発表した。
 現地では停電が続いており、政府側の警告が村民に届かないおそれがあるため、ヘリコプターからも警告通知を投下している。
 クマノボ周辺の戦闘地域ではこれまで住民約9000人が北側のユーゴ連邦コソボ自治州内などに避難した。だが、まだ数百人が家屋内の地下室などに潜んでいる。ゲリラ側は政府との直接交渉を要求して戦闘を続けている。[2001-05-16-10:00] 29
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 05/16@武装勢力に17日正午期限の退去通告…マケドニア(読売新聞)

 【ウィーン15日=佐々木良寿】マケドニアからの報道によると、同国政府報道官は十五日、北部の対ユーゴスラビア国境地帯で政府軍、治安部隊との交戦を続けるアルバニア系武装勢力に対して、十七日正午を期限とした退去通告を発した。政府側は「この間、挑発がない限り攻撃は行わない」としており、戦闘を避けて家屋の地下などで劣悪な生活を強いられている数千人とされるアルバニア系村民にも避難を呼びかけた。
 同報道官は、「期限切れ後には、脅威を最終的に取り除くため、適切な手段を講じる」と述べ、大規模な掃討作戦を実施する考えを示唆した。[2001-05-16-00:30] 212
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 05/16@ロシア極東知事が4島全面返還を主張(朝日新聞)

 ロシア極東ハバロフスク地方のイシャエフ知事は16日、モスクワでのロシア科学アカデミー幹部会で、「歴史的観点からみて、北方4島を日本に還すべきなのは明らかだ」と表明した。ロシアの政治指導者が4島の全面返還を主張するのは極めて異例。「すべてはロシア指導部の英知にかかっている」とも述べ、プーチン政権に対し政治的決断を促した。ただ、発言の真意がどこにあるかは定かではない。
 同知事はインタファクス通信に対し、対ロ投資拡大のためにも領土問題解決が必要と指摘。「日本は世界最大の投資国であり、対外投資額はここ20年で6200億ドルに達する。対米投資42%、対中投資は7%に対し、対ロ投資は0.054%に過ぎない」と述べた。
 一方、北方4島を管轄するサハリン州のファルフトジノフ知事は同日、モスクワでの会見で、「日ロ間に早期の領土引き渡しの合意はない」と述べ、従来通り返還反対の立場を強調した。
 両知事の発言は、森喜朗前首相が13日のテレビ朝日の番組で述べた「歯舞・色丹と国後・択捉の別レベル協議で日ロが合意した」との発言が引き金となった。ファルフトジノフ知事は森発言の真偽をイワノフ外相に確認後に会見に臨み、森発言を「挑発的だ」と批判した。[2001-05-16-23:40] 221
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 05/16@<国境紛争>タイとミャンマーで激化 背景に麻薬問題(毎日新聞)

 タイ・ミャンマーの国境紛争が激化している。国境線2380キロの大部分が未確定な両国の間では紛争が絶えなかったが、今回は様相が異なる。紛争の背景にある麻薬問題を巡ってタイ国軍内でミャンマーとの友好派、強硬派の溝が深く、タイの外交政策が軍の動向に引きずられているためだ。【バンコク小松健一】
 今年2月22日、ミャンマー軍事政権ナンバー4で、ヘリコプター墜落事故で死亡したティンウ国家平和発展評議会(SPDC)第2書記の葬儀がヤンゴンで営まれた。タイのチャワリット国防相が側近の国軍首脳を葬儀に出席させた。側近と会談したキンニュンSPDC第1書記は「ミャンマーとの国境地帯を管轄するタイ第3軍のワッタナチャイ司令官は、ミャンマー政府を敵視する麻薬対策を強化している」と語り、暗にワッタナチャイ司令官解任を要求した。
 ミャンマー最大の麻薬利権グループである少数民族組織「ワ州連合軍」(ワ軍)は年間7000万錠とも言われる覚せい剤錠剤をタイに密輸している。タイ第3軍情報部幹部は、(1)ワ軍が建設したシャン州内の覚せい剤密輸の中継地をミャンマー軍が警備し、ワ軍兵士や家族約3万人を中継地周辺に移住させた(2)ミャンマー軍がワ軍の麻薬密輸から税金を徴収している――など、ミャンマー軍も麻薬に関与していることを強調する。
 タイ第3軍が麻薬対策のためミャンマー軍やワ軍と戦うミャンマーの反政府少数民族「カレン民族解放軍」などを支援しているのは公然の秘密だ。軍事外交筋によると、第3軍の麻薬鎮圧部隊の育成訓練を行っている米軍兵士10人がタイ北西部メソトの国境地帯で、「カレン民族解放軍」幹部と会い、麻薬対策を話し合ったという。米軍は、タイ軍との合同軍事演習「コブラゴールド」でも、麻薬鎮圧を念頭にタイ国境警察警備隊の訓練を計画している。
 一方、中国は麻薬対策での米軍とタイ軍の関係強化を警戒し、19日にバンコクを訪問する中国の朱鎔基首相は、中国が主催する関係諸国の麻薬対策協力会議を提案する方針だ。
 ミャンマー軍政は麻薬対策を巡るチャワリット国防相と第3軍の亀裂や、友好国・中国の出方をうかがいながら当面はタイに対して強硬姿勢を崩さないとみられる。[2001-05-16-18:40] 222
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 05/16@<アフガニスタン>ラバニ大統領と会見 「第3勢力」熱望の(毎日新聞)

 アフガニスタン全土の制圧を目指すイスラム原理主義勢力タリバンに抗戦を続ける反タリバン連合。その拠点の一つ、最北端バダクシャン州の州都ファイザバードにこのほど入った。タリバン支配地域に比べて格段に自由な空気だったが、20年もの戦乱で厭戦(えんせん)気分が広がる。タリバンでも反タリバンでもない「第3勢力」の台頭を熱望する声も聞かれた。【ファイザバードで春日孝之】
 ヒンズークシュ山脈の渓谷の町ファイザバードには外国人がどうにか宿泊できる国営宿舎が1軒だけある。水道もシャワーもない。従業員への給与はなく、宿泊者のチップだけが頼りという。
 今も国連代表権を持ちながら、国家機能を喪失した反タリバン連合を象徴するような宿舎に、ラバニ大統領(61)が毎日新聞の要請に応じて訪ねて来た。
 大統領は会見で、内戦の長期化は「外国の軍隊とテロリストがタリバンを支援しているからだ」と述べ、パキスタンと、米国が「国際テロの黒幕」とみなすサウジアラビア出身のウサマ・ビン・ラディン氏を非難。「戦争でなく交渉を望んでいる」と言い切った。
 国家元首である大統領は96年に首都カブールをタリバンに奪われて以来、出身地のこの町に身を寄せ、最高司令官のマスード将軍(49)とともに巻き返しを狙う。ソ連侵攻に伴うアフガン戦争(79―89年)後の93年、旧ゲリラ各派の結束の下、大統領に就任したが、間もなく各派の主導権争いで内戦に突入。タリバンはそんな中で出現し、勢力を一気に拡大させた。
 会見後、大統領側近のクレシ鉱物産業相(62)が耳元でささやいた。「ラバニもマスードも好人物だが、側近で残ったのは私一人。戦いを終結させられない2人を政治家としてだれも評価しない」。クレシ氏とは反タリバン地域の取材中、寝食を共にし、実状と本音を語ってくれていた。
 反タリバン連合はアフガン30州のうち3州を掌握するに過ぎない。タリバンが半年前から始めた兵糧攻めで域内へ通じる道路は封鎖され、主食の小麦は2倍に高騰した。
 国連の現地人スタッフ(53)は「アフガン人はみな戦いに疲れ切っている。タリバン支配下では圧政により、爆発寸前だ。どこかで、だれかが決起すれば、国民は雪崩を打って支持するはずだ」と小声で語った。[2001-05-16-18:40] 223
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 05/16@日本の対米協力に限界 英戦略研が予測(共同通信)

 【ロンドン16日共同】ロンドンの有力シンクタンク、国際戦略研究所は十六日、「戦略概況2000―2001」を発表。中国を戦略的競争相手とみなすブッシュ米政権の登場で、日本は早晩「対中関係の悪化をどこまで許容できるか」の熟考を迫られ、対米協力の限界を定めなければならなくなる、と予測した。
 同概況は、欧州や日本を巻き込んだ戦域ミサイル防衛(TMD)構想の決断が近づき、日本が米国の意向に沿ってTMD網の一部を担うと、米軍の後方支援を主としてきた日本の防衛体制が大きく変化し「中国の猛反発を買う」と指摘。地域外交の重要性などから「日本が対中関係を軽々しく扱うことはできない」と結論付けた。
 また、日本と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との関係に触れ「関係が改善すれば、日本の防衛費増額や憲法改正の論拠が弱まる」とする一方、朝鮮半島の緊張緩和が進み、米軍が韓国や日本から撤退した場合「民族感情の高まりにあおられ日本と中国が直接対立する恐れがある」とみる中国側の懸念も指摘した。
 さらに、日本とインドが@中国の脅威Aペルシャ湾岸の原油に依存―といった点で安全保障上、利害が共通すると分析。昨年八月の森喜朗首相(当時)のインド訪問に注目、両国が今後インド洋からマラッカ海峡への「シーレーン」安全確保などで合意する可能性があるとの見方を示した。(了)[2001-05-16-18:39] 224
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 05/16@中国より温暖化が脅威 米大統領を批判 国際戦略研究所(共同通信)

 【ロンドン16日共同】ロンドンの国際戦略研究所が十六日に発表した「戦略概況2000―2001」は、中国が世界の安全保障への脅威になるとの一部の見方を退け、気候の激変や農業の荒廃などをもたらす地球温暖化の方が脅威だとする見方を打ち出し、京都議定書からの離脱を表明したブッシュ米大統領を「ビジネス優先」と批判した。
 中国脅威論について、中国が抱える国内問題を指摘し「仮に中国が望んでも非常に長期間、そのような脅威をもたらす力を持てない」と反論。中国の国内問題として指導者交代に伴う権力闘争、世界貿易機関(WTO)加盟による失業増加、上級幹部の汚職、市民の抗議行動などを挙げた。
 また、大量の難民や経済移民も犯罪組織を利し排外主義の温床になる点で温暖化に次ぐ脅威と指摘した。
 クリントン米前政権退場に伴う中東和平交渉の崩壊、朝鮮半島和平の停滞などにも憂慮を示したが「かつてのドイツ、日本、旧ソ連ほど脅威になっていない」と述べた。(了)[2001-05-16-18:35] 230
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 05/16@引き継ぎ書ない省庁も 文書開示ばらつき 共同通信が公開請(共同通信)

 四月に施行された情報公開法に基づき、共同通信社が各省庁に事務次官など直近の幹部交代に伴う「引き継ぎ書」の開示を請求したところ、公開した省庁がある一方、文書自体を作成していないところもあり対応にばらつきがあることが十六日、分かった。
 同法を所管する総務省は「引き継ぎを文書で行う法的義務はない」としているが、市民団体からは「当然公開されるべき情報で、作成してないとは信じられない」と批判が出ている。
 「事務次官などの引き継ぎに際し文書を作成していないために非開示」と回答したのは、外務省、旧郵政省など総務省として統合された三省庁、旧労働省、旧厚生省、旧科学技術庁など。法務省は「保存義務期間の一年間が過ぎたので廃棄した」と不開示とした。
 これに対し、引き継ぎ書を公開した省庁も、旧文部省は「国旗・国歌の指導」「日教組」など項目だけだった。環境省はA4判十九ページの引き継ぎ書をすべて開示。
 警察庁は「暴力団犯罪の検挙状況」など同百四十六ページの長官引き継ぎ書を丸ごと開示したが、「北朝鮮対策の推進」の項目は「警察の情報収集、分析能力、関心の所在が明らかになり活動に支障が出る」などとして墨塗り。「警察庁長官狙撃事件」も「当該事件捜査に支障が出る」との理由で墨塗りだった。
 経済産業省も「官房幹部事務引き継ぎ資料」として同二百五十一ページを開示。しかし、石油会社の権益延長問題については、項目だけ開示されたが「サウジアラビアとの信頼が損なわれる」と四ページすべてが墨塗りだった。
 地方自治法施行令では、知事、市長などの交代に伴う引き継ぎ事務に際して文書を作成するよう規定。市民団体は以前から情報公開条例を使って入手した引き継ぎ文書で全体を概観、他の文書を請求して成果を挙げてきた。
 市民団体「情報公開クリアリングハウス」(東京)の三木由希子室長は「引き継ぎ文書は幹部職員の問題意識、行政水準を読み取ることができ、行政と市民が最も共有しなければならない情報。膨大な事務を文書もなくどう引き継いでいるのか」と話している。(了)[2001-05-16-16:15] 239
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 05/16@NMDに批判的見解 アナン国連事務総長(共同通信)

 【モスクワ16日共同】ロシア訪問中のアナン国連事務総長は十五日、プーチン大統領と会談、中東やバルカン半島など紛争地域の情勢や安全保障問題などについて協議した。
 事務総長は会談後、記者団に対し、弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約体制を維持する必要性を強調、ブッシュ米政権の進める米本土ミサイル防衛(NMD)構想にあらためて批判的な見解を示した。
 プーチン大統領は今年末で任期切れとなるアナン事務総長の努力を高く評価、二期目続投を支持する姿勢を示唆したが、明確な支持は表明しなかった。
 事務総長は十六日にイワノフ外相と会談する。(了)[2001-05-16-10:58] 243
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 05/16@ミャンマー援助で日本批判 パウエル米国務長官(共同通信)

 【ワシントン15日共同】パウエル米国務長官は十五日、上院歳出委員会の小委員会で証言し、日本がミャンマーの水力発電所に無償資金協力を行う方針を示したことについて「ミャンマー現政権にこの時点で投資することは適切でない」と述べ、名指しで批判した。
 国務省当局者は同日、外交チャンネルを通じ、無償資金協力に反対する米政府の立場を日本政府に既に伝えたことを明らかにした。
 パウエル長官は「晩春から夏にかけてアジアを訪問する際、ミャンマーの問題を取り上げたい」と強調。七月にハノイで開催される東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)の際か、その前にも行われる予定の日米外相会談では、米側がこの問題を提起することが確実となった。
 パウエル長官は、国連の仲介でミャンマー軍事政権と民主化勢力の対話が行われていることを挙げた上で「希望の光はあるがあまり明るくはない」と指摘。民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさんの事実上の自宅軟禁が続く同国の人権状況に懸念を示した。
 日本政府は昨年十月に軍事政権とスー・チーさんの七年ぶりの対話が再開されたことを評価し先月、水力発電所改修に人道援助の枠内で無償資金協力を行う考えを表明した。欧米の人権団体などは軍事政権を利する行為として批判を強めている。(了)[2001-05-16-08:46] 246
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 05/16@<北方領土>森発言に広がる波紋 分離協議合意 日露ともに(毎日新聞)

 森喜朗前首相が、3月の日露首脳会談の際、北方領土問題で「歯舞、色丹」「国後、択捉」の2島ずつの分離協議の場作りを提案したと公表したことが日露両国で波紋を広げている。森氏は両政府間で合意が得られたとの認識も示したが、ロシアのイワノフ外相は14日、「新しい交渉形式が合意されたことはない」と、合意については全面否定した。森氏の発言は北方四島の帰属確認優先を鮮明にする小泉政権に路線踏襲を促す狙いもあったようだがロシアの硬化を招き、交渉への影響は避けられない情勢だ。
 イワノフ外相は「今年3月の会談では双方に受け入れられる解決案を達成するため、これまで採択された合意文書を基礎とする交渉継続が約束された」とだけ説明した。
 ロシア国内報道は森氏の発言を受けロシアが初めて歯舞、色丹の返還に応じたとの内容を強く出しており、中には日本側は国後、択捉の放棄を承諾したとの早とちりの解説まである。このためロシア外務省は「南千島(北方四島)の返還につながる合意はされていない」と懸命に否定している。
 外務省筋によると、森氏の提案自体は事実だが、プーチン大統領の「承った」は同意ではない。さらに、森氏が「賛成した」という、4月の専門家協議での東郷和彦外務省欧州局長(当時)に対するロシュコフ外務次官の発言も「二つのトラックで協議をする考え方が存在する理由はある」というもので、間接的理解を示したにとどまるという。交渉内容を当事者が明かし「合意」との認識を示したことを、外務省幹部は「これでは信用が失われる」と危ぶむ。
 一方、北方四島の帰属確認を優先する田中真紀子外相は15日、記者団に、領土問題について「着任直後、局の幹部の中で大混乱があった」と異例の指摘をした。同省幹部によると、これは就任直後の幹部協議で外相が「いつから政府は2島先行返還に変わったのか」と質問したのに、森政権時代の対露外交をリードした当時の東郷局長が「そんなことはない」と反論した経緯をさすという。
 「四島」を強調する小泉首相や田中外相へのロシア側の警戒感が指摘される中、「森発言」の収拾も迫られることになった小泉政権は、対露交渉の糸口作りでまず苦労しそうだ。【人羅格、モスクワ石郷岡建】[2001-05-16-03:10] 253
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 05/16@森前首相発言、ロシア国内に波紋 外務省は火消しに躍起(朝日新聞)

 北方四島の歯舞、色丹両島と国後、択捉両島をめぐる協議を別レベルで進めることで日ロが合意したとする森喜朗前首相の発言が、ロシアで波紋を呼んでいる。「ロシア政府が歯舞・色丹の返還に事実上合意した」と先走って受け取られたからだ。領土問題に敏感な国内世論をあおった形となり、ロシア外務省も火消しに躍起だ。
 プーチン大統領と森前首相は3月のイルクーツク首脳会談で、平和条約締結後に歯舞・色丹の引き渡しを明記した56年の日ソ共同宣言を文書で確認。四島の帰属を解決後に平和条約を締結することで合意した。
 森前首相は13日のテレビ番組で、歯舞・色丹の引き渡しの方法を協議する場と、国後・択捉の帰属を話し合う協議の場を別々に設けることで合意したと発言。これが「歯舞・色丹の帰属は確定ずみ」と受け取られた。
 14日午前、ロシア外務省高官はインタファクス通信を通じて「非常に大ざっぱだが、一般的な合意はあった」と述べていた。しかし、外交筋によると、誤解や国内の過剰反応を恐れた外務省は午後に急きょ、「そうした合意はなかった」との声明を発表。歯舞・色丹の協議は56年宣言の日ロ間の解釈の違いをなくすためのものだと強調した。夜にはイワノフ外相が「イルクーツク会談で何ら新しい交渉の図式は生まれなかった」と念を押した。[2001-05-16-00:44] 254
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 05/16@EU各国、制裁見送りへ 伊新政権への右翼政党参加に(朝日新聞)

 イタリア総選挙での右派連合の勝利に、欧州連合(EU)の反応は抑え気味だ。イタリアを含むEU14カ国は昨年、移民排斥を訴える右翼政党を与党に抱えたオーストリアに外交制裁を加えた。イタリア新政権にも同じ主張の地域主義政党、北部同盟が含まれるが、連立内の比重が軽いことなどから制裁は見送られる方向だ。
 EU各国が制裁に及び腰なのは、7カ月間のオーストリア制裁が混乱を招いただけで終わった苦い経験のためだ。また、(1)北部同盟は支持を減らし、政権内での影響力が限られる(2)イタリアはEU創設メンバー(3)しかも主要8カ国(G8)の一角で、7月には首脳会議(ジェノバ・サミット)を主催する――といった事情も無視できない。
 さらに、オーストリア制裁の教訓をもとに、民主主義の原則を逸脱しそうな加盟国には事前に警告できる制度が03年までに発効する予定で、全体としてイタリア新政権の政策を見極めようという空気が強い。
 EU各国の不安は、首相に返り咲くベルルスコーニ氏が大幅減税や年金増額などを公約したことだ。経済大国が放漫財政に走れば、ユーロの信認が揺らぎかねない。[2001-05-16-00:42] 257
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 05/16@伊総選挙―改革はまだこれからだ(朝日新聞)

 イタリア総選挙で中道右派連合「自由の家」が勝ち、ベルルスコーニ元首相が政権に返り咲く。敗れた中道左派連合「オリーブの木」は前回総選挙(96年)で市民運動と連携して政権を獲得したが、今回はあの盛り上がりを再現できなかった。
 ベルルスコーニ氏は一代で大富豪となった「イタリアン・ドリーム」の体現者だ。一方で、贈賄容疑の裁判が継続中という陰の部分もある。それでも中道右派が勝ったのは、有権者が氏の光の部分に目を向け、「変化」に期待をかけた結果だろう。
 90年代のイタリアは「改革の時代」と言われた。大きな柱は、財政改革と政治改革だが、ともに未完成のままだ。
 イタリアが欧州連合(EU)の通貨統合に参加できたのは、「オリーブの木」政権が増税や緊縮財政によって短期間に参加基準を達成したからこそだ。
 改革は所得税増税など国民の痛みを伴った。それなのに、産業競争力の伸び悩みなどが原因で、痛みに見合うだけのユーロ参加の利点は目につきにくい。
 その反動が中道右派への支持票につながった面は否めない。新政権は有権者の不満に配慮し、公約した所得税減税、利潤を投資に回す企業への優遇税制などに力を注ぐだろう。だが、その結果、放漫財政に逆戻りするなら改革路線はとん挫する。
 財政規律を保ちながら、規制緩和や産業基盤の整備などを進めてこそ、経済が筋肉質に変わることを忘れてはなるまい。それがユーロ圏に加わり、堅実な経済運営を図ることを約束した国の責任である。
 政治改革もこの国の重い宿題である。
 戦後のイタリアの首相は今度のベルルスコーニ氏で59代目だ。比例代表制中心による小党の乱立が不安定な連立政権の温床だった。このため、93年に小選挙区・比例代表並立制を導入した。
 その結果、今回のような政権交代を実現しやすくなった面はある。半面、比例区が存続し、小党が居並ぶ状態は変わらなかった。思い切った改革には強い指導力が不可欠だが、新政権も諸政党の寄り合い所帯で、基盤は必ずしも盤石といえない。
 選挙制度がこのままでは、不安定な政局が再生産される心配が消えない。比例区の縮小、首相公選制、大統領の執行権強化などさまざまな改革構想が浮上している。何がイタリアの未来に最適か、超党派で議論を詰めていかなければなるまい。
 「自由の家」には移民排斥を公言する北部同盟が加わっており、EU内で反発を招いている。移民排斥論が強まれば、複数民族が「欧州市民」として共生するというEUの理想が崩れかねないだけに、EU諸国は慎重な対応を進めてきた。
 外交・安全保障での統合や東欧などへの拡大といったEUの大事業で共同歩調をとるためにも、EU諸国との摩擦を強めない配慮が必要だろう。[2001-05-16-00:18] 258
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 05/16@パレスチナ独立まで和平ない アラファト議長がTV演説(朝日新聞)

 パレスチナ自治政府のアラファト議長は15日、パレスチナテレビで演説を行い、「パレスチナの権利と自由、独立が達成されるまで和平はない」と訴えた。イスラエル軍との衝突を受けて、イスラエル軍の全面撤退を求める姿勢を改めて強調した。
 アラファト議長の演説は約20分間で、録画放送だった。
 その中でアラファト議長は「勝利の日は近い。あらゆる攻撃に屈するな。パレスチナの自由と独立を達成し、パレスチナの旗がエルサレムに立つまで」と宣言し、イスラエル軍への抵抗の継続を訴える主張を前面に出した。
 演説の中で、和平の条件としては(1)67年の第3次中東戦争の前の線までのイスラエル軍の完全撤退(2)東エルサレムを首都とするパレスチナ主権国家の承認(3)入植地の全面解体(4)国連決議に基づくパレスチナ難民問題の解決――を挙げた。
 また「米国、ロシア、欧州、中国、日本」に対して、イスラエル軍のパレスチナ自治区への攻撃を停止する国際的な働きかけを訴え、国際保護部隊の派遣を求めた。[2001-05-16-00:06]
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 05/17@<マケドニア>アルバニア系ゲリラへの最後通告の期限を延長(毎日新聞)

 【ウィーン福井聡】マケドニア政府軍は17日正午(日本時間午後7時)、北部クマノボ周辺で戦闘を続けるアルバニア系ゲリラ・民族解放軍に対する最後通告の期限切れを迎えた。だが、政府軍は総攻撃を開始せず、最後通告の期限を延長した。
 スコピエからの報道によると、トライコフスキ大統領は「総攻撃に入ればゲリラは1両日にも敗走するが、(避難住民の立場を配慮し)長期的解決を図らなければならない」と期限延期を決めた。[2001-05-17-23:35] 24
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 05/17@武装組織に本格攻撃を宣言 マケドニア大統領(共同通信)

 【ウィーン17日共同】マケドニアのトライコフスキ大統領は十六日夜、アルバニア系住民の武装組織「民族解放軍」の投降期限に設定した十七日正午を前に政府軍が大規模な攻撃の用意を整えたと警告、一般市民に北部の村から待避するようあらためて呼び掛けた。
 スコピエからの報道によると、テレビ演説した大統領は「暴力組織が自由に活動して領土を占拠することは許さない」と述べた。村民に対しては、「家を去るのはつらいが一時的な措置であり、すぐに戻れる」と保証した。
 政府軍は今月初めから解放軍への攻撃を続けているが、解放軍が北部の村で住民を人質にしているため、思い切った攻撃ができないとしていた。(了)[2001-05-17-10:00] 171
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 05/17@露ハバロフスク知事「4島返還」発言を否定(読売新聞)

 【モスクワ17日=伊熊幹雄】「北方領土四島返還」の発言が伝えられたロシア極東ハバロフスク地方のビクトル・イシャエフ知事は十七日、タス通信に対し、「クリル諸島(北方領土)の日本返還に関して何も言っていない」と語り、前日の報道を否定した。
 それによると同知事は、「私の立場はプーチン大統領より強硬である」と語った上、「日露間に唯一存在する公式文書は一九五六年の(日ソ)共同宣言であり、それは平和条約調印後二島だけ返還するとしたものだ」とロシア政府の公式見解を繰り返した。
 その一方、同知事は「日本ともっと積極的に協力することは必要だ」と語り、前日のインターファクス通信の報道と同様に、日本の対露投資額が極端に低いことを指摘した。
 同知事は前日、「歴史的観点」及び経済的損得勘定から、北方四島すべてを「返還しなければならない」と語ったと報じられた。
 同知事の一連の報道について、日露外交筋は「イシャエフ知事はクレムリン(露政府)と関係が良好なだけに、日本側の反応を探るためクレムリンと合意の上で観測気球を上げた可能性もある」との見方を示した。[2001-05-17-20:22] 177
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 05/17@<首脳会談>露とEUが朝鮮半島情勢などで意見交換(毎日新聞)

 【モスクワ石郷岡建】ロシアと欧州連合(EU)の首脳会議が17日、モスクワであり、EU代表団の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)訪問を踏まえて朝鮮半島情勢などについて意見交換した。
 会談にはロシア側はプーチン大統領、カシヤノフ首相、イワノフ外相ら、EU側はペーション・スウェーデン首相(議長)、プロディ委員長らが出席した。
 ロシア大統領府によると、ロシアと欧州の経済協力、ロシアの世界貿易機関(WTO)への加盟問題も協議した。
 欧州のマスコミは、米国の人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」が発表したチェチェン共和国での遺体の大量発見事件を欧州側が問題提起すると報じている。だが、イワノフ外相は冷ややかな反応を示した。
 ロシア検察庁は16日、遺体発見に関し、ロシア連邦軍の関与の証拠はなく、チェチェン武装ゲリラの仕業の可能性が強いとの発表を行っている。[2001-05-17-18:50] 182
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 05/17@チベットの聖山カイラスに登山許可、反発必至か(朝日新聞)

 中国・チベット自治区にそびえる、チベット仏教とヒンドゥー教で最重要の聖山とされる未踏峰、カイラス(6656メートル)への登山許可が中国当局からスペイン隊(ヘスース・マルティネス・ノバス隊長)に与えられたと、英・オブザーバー紙が伝えた。
 カイラスはヒンドゥー教の神、シバの玉座、宇宙の中心とされ、いまなおインドからの巡礼者が絶えない。巡礼者は美しいピラミッド型の独立峰を眺めながら一周約50キロのを巡礼して歩く。チベット仏教徒の中には何千キロも歩いて訪れ、全身を地面に投げ出す五体投地を繰り返して巡る熱心な信徒もいる。
 日本人では、仏典を求めてチベットに潜入した僧・河口慧海が1900年に初めて参拝した。近年は日本をはじめ各国のトレッキング隊も訪れているが、近くから眺めるだけで、登るなどもってのほかの秘峰だ。
 今回の登山許可に仏教徒、ヒンドゥー教徒らの反発は必至とみられる。チベット出身のペマ・ギャルポ岐阜女子大教授(国際関係論)は「仏教徒、ヒンドゥー教徒らがこの山に神が宿ると考えていることを知りながら登山を許すのは、人々の気持ちを踏みにじる人権侵害だ。タリバーンの大仏爆破以上の暴挙だと思う」と語る。
 中国当局がカイラス登山に許可を出したのは初めてではない。8000メートル峰全14座に最初に登ったイタリアのラインホルト・メスナーは80年代半ばにカイラス一周の許可を申請したところ、登頂許可がきた。しかし、現地で巡礼者の真剣な祈りの様子を見て登山を断念したという。メスナーは「この山を征服することは、彼らの魂を制圧することだ」と語っている。[2001-05-17-18:02] 192
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 05/17@中国、韓国と共同歩調で歴史教科書修正要求(読売新聞)

 【北京17日=杉山祐之】中国政府は十六日、日本政府に対して歴史教科書記述の八項目修正要求を出したことで、当面は韓国と共同歩調を取り、日本に強い圧力をかけようとする姿勢を明確に示した。二十四日から北京で開かれるアジア欧州会議(ASEM)外相会議の際、日韓、日中、中韓外相会談が予定されており、日本は苦しい立場に置かれることになりそうだ。
 先月上旬、扶桑社の中学校歴史教科書が検定に合格して以降、中国は強い反発を示してきたが、外交交渉での解決が困難になる具体的な修正要求の提示は慎重に避けてきた。日中関係の早期改善、安定化を強く望んでいるためだ。
 今月八日に韓国政府が三十五項目の要求を提示した際、中国は、公式見解では「正当な要求」(外務省報道官)と評価したが、非公式な場では「問題解決が難しくなる。中日関係にも影響する」(中国筋)との否定的意見が強かった。
 外交筋によると、韓国は中国に対し、具体的修正要求を出す考えがあるかどうかを打診してきた。しかし、中国側は最近まで「検討中」との回答を繰り返し、韓国側は否定的感触を得ていたという。
 中国がここにきて対日強硬姿勢を打ち出した背景には、まず、教科書問題で日本政府が再修正を含む何らかの具体措置を取るとの期待感が薄れたことがあると見られる。
 田中外相は七日に唐家セン・中国外相と電話会談した際、「相応の措置を取る」考えを伝え、唐外相は期待感を表明していた。しかし、田中外相は十四日の衆院予算委員会では、歴史認識に基づく中韓の修正要求には応じない姿勢を示した。
 韓国の三十五項目要求により、国内的に「軟弱外交」と批判する圧力がより高まったことも挙げられる。国内の安定維持に腐心する共産党政権にとって、民族感情を刺激する対日問題では、強硬姿勢を示すことが安全策となる。政権は常に、日中関係の安定と、内圧とのバランスを意識している。
 また、程永華・外務省アジア局副局長が指摘したように、摩擦が続出する日中関係の現状に対し、中国は深刻な危機感を持つ。中国側には、「中日関係の政治的基礎」と見なす歴史認識問題、台湾問題で、発足間もない小泉政権に「歯止め」をかける狙いもあると見られる。[2001-05-17-12:34] 196
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 05/17@反制裁キャンペーンが奏功 対イラク政策全面転換(共同通信)

 【ニューヨーク16日共同】国連のイラク制裁の大幅緩和により、一九九○年の湾岸危機から十年以上に及んだ制裁は、解除に向けて限りなく近づくことになる。
 制裁にもかかわらずイラクのフセイン体制は依然存続。その一方で、「国民こそが制裁の被害者だ」とのイラクによる反制裁キャンペーンが奏功し、アラブ諸国を中心に制裁解除を求める声が強まってきたことが、米国、英国の対イラク政策の全面転換につながった。
 制裁緩和では、「イラクが購入できる物資」ではなく「購入できない物資」を明記し、購入する物資をイラク側に選択させることにした。細部は米英間で詰めているが、例えば学校教育に欠かせないパソコンなどのハイテク製品も輸入が可能になるという。
 さらに、石油輸出の売却益を食料、医薬品などの購入に限定していた方式も撤廃。「制裁のかなりの部分を消滅させることで、(人道面の)全責任をイラクに預ける米英戦略」(国連外交筋)も鮮明になった。
 外国からの投資や融資は依然として認めない方針だが、あらゆる分野の輸入品がイラク国内に出回れば「直接投資とほぼ同じような状況になる」との指摘もある。(了)[2001-05-17-10:56] 205
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 05/17@ロシア連邦軍の死者3000人超す(共同通信)

 【モスクワ16日共同】ヤストルジェムブスキー・ロシア大統領補佐官は十六日、一昨年十月に始まったチェチェン共和国への第二次進攻作戦での連邦軍側の公式死者数が同日現在で三千九十六人に達したことを発表した。負傷者数も九千百八十七人に上った。
 一九九四年から九六年までエリツィン前大統領が実施した第一次進攻での死者数は三千八百二十六人。プーチン大統領が開始した第二次軍事作戦は、イスラム武装勢力による頑強な抵抗に遭い泥沼状態が続いており、犠牲者が第一次進攻作戦を上回る可能性も出てきた。
 補佐官は、チェチェンの首都グロズヌイ近くで殺害されたとみられる多数の埋葬遺体が発見された問題で、連邦軍による大量虐殺とする米人権団体の批判を全面否定した。(了)[2001-05-17-08:29] 206
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 05/17@イラク制裁の大幅緩和提案 英が国連安保理決議案(共同通信)

 【ニューヨーク16日共同】英国国連代表部は十六日、一九九○年から続くイラクへの国連経済制裁を大幅に緩和する決議案をまとめた。来週中にも正式に安全保障理事会に提出する。
 これまでイラクによる石油輸出の売却益の使途は食料や医薬品など人道物資の購入に限定されていたが、今回の決議案は軍事関連物資を除いたあらゆる製品の購入に充てることを認めており、湾岸危機以来十年以上にわたる対イラク制裁の転換点となるものだ。
 決議案は米国も支持、同国のカニングハム国連代理大使は「今月中の決議採択を目指す」と言明しており、制裁の解除そのものに積極的なフランス、中国など他の安保理常任理事国の支持を得て採択されるのはほぼ確実な情勢。
 国連外交筋によると、決議が採択されればイラクは食料などに加えて自動車部品や自転車、ミシンなど日常生活に必要な製品を自ら選択し安保理のイラク制裁委員会の承認なしに購入できるようになる。
 一方、軍事関連物資と発電器など軍事転用可能な製品は除外され、外国による対イラク投資や融資もこれまで通り凍結されたままとなる。
 対イラク国連制裁をめぐっては、必要な人道物資が行き渡らず一般国民を苦しめているだけだとの批判がアラブ諸国などで勢いを増しており、米英が制裁の見直しに着手していた。(了)[2001-05-17-08:26] 174
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 05/17@<サッカー>UEFA杯 リバプールが25年ぶり3度目の優(毎日新聞)

 サッカーの欧州連盟(UEFA)カップは16日、ドルトムント(ドイツ)で決勝を行い、リバプール(イングランド)が4―4(前半3―1)で迎えた延長後半12分に劇的なVゴールを奪ってアラベス(スペイン)を降し、25年ぶり3度目の優勝を果たした。欧州カップ戦の制覇は84年のチャンピオンズカップ(現チャンピオンズリーグ)以来。リバプールは国内のリーグカップ、イングランド協会(FA)カップと合わせ3冠。(ドルトムント(ドイツ)共同)
 117分間の「死闘」が終わった瞬間、約7割を占めたリバプールのサポーターによって真っ赤に染まったスタンドが揺れた。ウリエ監督は「選手たちは偉大なチームの歴史にその名を刻んだ」と興奮気味の口調で言った。
 序盤で2―0のリードを奪い、3―1で前半を終えた。しかし、アラベスが驚異的な粘りで追いつく。ウリエ監督は「こんなに崩されて失点したのは記憶はない」と振り返った。カウンターからの速攻が活路のリバプールは3―3の後半28分、ファウラーが4点目を決める。しかし同44分、アラベスはクライフのゴールで再び同点。
 延長でアラベスに退場者が出て優位に立った。決勝点は相手のオウンゴール。ラッキーが重なった。しかし、ウリエ監督は「勝てたのは優勝するんだという決意と一体感に揺らぎがなかったからだ」と強調した。
 85年のチャンピオンズカップ決勝のユベントス(イタリア)戦。リバプールのサポーターが乱闘を起こし39人の死者を出した。その後イングランドの全チームは欧州の大会から締め出され、しばらくしてチームも低迷期に陥った。
 そうした時を乗り越え再び欧州を制したリバプール。最も古い伝統を誇るチームが新しい歴史に向け第一歩を踏み出した。(共同)[2001-05-17-19:15]
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 05/18@◎ボスニア駐留米軍の撤退目指す=2正面戦略放棄も視野に−(時事通信)

 【ワシントン18日時事】ラムズフェルド米国防長官は18日付の米紙ワシントン・ポストに掲載されたインタビューで、ボスニア・ヘルツェゴビナ駐留平和維持軍での米軍の使命は終わったとして、撤退を目指す方針を明確にした。
 ラムズフェルド長官はさらに、2つの大規模地域紛争に同時対処するという現在の2正面戦略を放棄する可能性があることも確認した。 [時事通信社][2001-05-18-22:09] 109
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 05/18@メソポタミアはぐくんだ大湿地「三日月地帯」の9割消失(朝日新聞)

 古代メソポタミア文明をはぐくんだ「肥よくな三日月地帯」の一部をなすイラクの大湿地帯が、昨年までの約9年間に90%以上消失したと、国連環境計画(UNEP)は18日発表した。イラクが湾岸戦争後に国連の経済制裁を受けるなかで詳しい調査ができずにきたが、米航空宇宙局(NASA)の衛星写真で確認された。
 湿地帯はチグリス、ユーフラテス川の合流するイラク南部からイランにかけて広がっている。UNEPによると、92年には1万5千〜2万平方キロあったが、乾燥が進んだ結果00年には10分の1以下に縮小していた。一部は砂漠化し、塩が地表に露出していた。
 UNEPは乾燥の直接の原因は、イラク南部の排水工事が90年代前半に進められたことと分析している。両河川の上流に建設された30以上の大規模ダムが、下流域への水の供給を遮断した結果乾燥化を進めたとも指摘している。
 排水工事については、一帯をすみかとし、「湿地帯のアラブ人」と呼ばれたシーア派イスラム教徒を締め出すためにフセイン政権が強行したとの観測もある。
 UNEPは、両河川の水利を関係各国で調整し、湿地帯への水の供給を確保することが急務だとしている。[2001-05-18-23:32] 113
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 05/18@<米露関係>ワシントンで外相会談開催へ 首脳会談の日程も(毎日新聞)

 【ワシントン布施広】パウエル米国務長官は18日、訪米したイワノフ・ロシア外相と会談、ブッシュ政権のミサイル防衛構想や、来月中旬とみられる米露首脳会談の日程などを話し合う。イワノフ外相とブッシュ大統領の会談も予定され、対イラク国連制裁の緩和についても米露の協議が進む見通しだ。
 17日夜、ワシントンに到着したイワノフ外相は、米露関係が「極めて重大な段階」に差し掛かったと述べる一方、両国間の外交摩擦を過去のものとして「互いに有意義な協力関係」を築くことを希望した。
 一連の会談では、ブッシュ政権が推進するミサイル防衛構想や核戦力の一方的削減問題が中心になる。米側はイワノフ外相との協議で米露間の理解を深め、来月に予定される米露首脳会談で、ミサイル防衛構想に関してロシア側の原則承認を得たい考えだ。
 構想推進に向けて弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約の修正または廃棄を求める米側に対し、イワノフ外相がどう対応するかが焦点。またロシアは、米英が提示した対イラク制裁緩和案よりも大幅な緩和を検討しているとされ、湾岸情勢をめぐる米露の意見交換の行方も注目される。
 ブッシュ大統領は来月中旬にベルギー、ポーランド、スペイン、スウェーデン訪問を予定、米当局者によると、歴訪終了後にプーチン・ロシア大統領と会談する可能性が強い。両首脳は7月のジェノバ・サミット(主要国首脳会議)でも会談する見通しで、冷え込む米中関係とは裏腹に米露の接触が続くことになる。[2001-05-18-21:31] 114
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 05/18@EU、対中関係を強化で提案へ 国際社会での比重を直視(朝日新聞)

 欧州連合(EU)を代表して21日から訪中するパッテン欧州委員(元香港総督)が、関係強化に向けた75項目の具体策を中国に提案する。中国が国際社会で重みを増している現実や、将来の発展性を踏まえ、人権問題などでの懸念を引きずりながらも、EUは政治、経済の両面で中国への関与を一段と強める。
 欧州委員会の「行動ポイント」とされる75項目は、98年に決めた5つの対中長期戦略のそれぞれについての当面の取り組みを列記したもの。中心は政治対話と経済協力の強化だ。
 政治対話で優先して取り上げるのは、人権、朝鮮半島和平、中台関係、武器輸出、不法移民、国際犯罪など。局長級の接触を年2回で定例化するほか、テロ対策などの一般テーマでも担当者間の協議を呼びかける。
 経済面では、世界貿易機関(WTO)への早期加盟をはじめ、中国を国際経済システムにスムーズに組み込むための30提案を用意した。
 北京にできた在中国欧州商工会議所(約200社)を市場開放の見張り役として活用するほか、欧州の情報技術を紹介する大型イベントを来春、中国で開くことを打診する。また、核エネルギーの平和利用を目指す協力協定について年内の交渉開始を求める。
 欧州委によると、中国は世界7位の貿易国で、外国企業の直接投資先としても米国に次ぐ地位に躍進した。同時に、エネルギー需要も地球環境を左右するレベルにまで急増しつつある。
 また、経済成長とともに沿海部と内陸部の発展格差が広がり、社会の緊張を生んでいる。このままWTO加盟国として市場開放を義務づけられれば、国有企業がとうたされ、失業者が欧州などへの不法移民に転じかねない。
 欧州委は、75項目の提案を示した報告書で「政治体制が違い、人権問題を抱える中国は厄介な相手だ。だが、これほどの規模の国は全地球的な問題の発生源であるとともに、それを解決するかぎでもある。対中関与はEU自身の利益につながる」と強調している。[2001-05-18-20:48] 123
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 05/18@NMD海上配備も検討 集団的自衛権の議論も(共同通信)

 【ワシントン18日共同】ブッシュ米政権は米本土ミサイル防衛(NMD)計画について現在の陸上配備に加え、海上配備の可能性についても検討に着手した。米国防総省当局者が十七日、同政権のNMD計画見直しに関し「ミサイルが発射された直後に海上から迎撃するシステムが検討対象の一つ」と明らかにした。
 日本周辺海域の艦船から発射する迎撃ミサイルで、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)や中国からの長距離ミサイル撃破を想定しているとみられる。米国防関係者の間では、米国を射程に入れた長距離ミサイルの迎撃システムに自衛隊の協力を求める意見があり、NMDの海上配備計画が具体化した場合、集団的自衛権の行使が焦点となる可能性も出てきた。
 これまでのNMD計画は、米本土をミサイル攻撃から守るため、飛来してくるミサイルをアラスカ州など米本土に陸上配備するミサイルで迎撃する仕組みだった。だが、中国がNMDに対抗し多弾頭化を進めるとの見方が強く「発射直後の迎撃が最も有効」(国防総省筋)として、海上配備の有効性を訴える声が海軍を中心に高まっていた。
 日米が共同研究を進めている戦域ミサイル防衛(TMD)構想は短・中距離の戦域ミサイルから日本を守るのが目的。自国の防衛を目的としており、日本政府は米軍の指揮システムを共同運用しても集団的自衛権の行使には当たらないとの見解を取ってきた。
 ブッシュ政権は欧州諸国がNMD計画を「米国の一国防衛」と懸念を示していることに配慮し、米本土を守るNMDと駐留米軍や同盟国を対象としたTMDを一括してミサイル防衛(MD)と呼び始めている。だが呼称を一本化するだけでなく、NMD海上配備などシステムの統合化が進めば、日米のTMD研究にも影響が出てくるのは必至だ。(了)[2001-05-18-17:07] 125
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 05/18@紛争予防の実現目指す ASEAN地域フォーラム事務協議(共同通信)

 【ハノイ18日共同】ハノイで開かれていた東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)高級事務レベル協議は十八日、地域紛争予防に踏み出すため、七月の閣僚会議で予防外交の原則をまとめた文書の採択を目指すことを決め、閉会した。
 アジア太平洋地域唯一の安全保障対話機構であるARFは一九九三年の設立当初から@信頼醸成A予防外交B紛争解決―を段階的に進めることを目標に掲げていた。昨年、懸案だった朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の参加が実現したため、第一段階の信頼醸成の目的は「ほぼ達成された」(協議筋)として、紛争予防の具体化へ乗り出すべきだと判断した。
 ただ、今年の議長国ベトナムは内政干渉への懸念から予防外交に消極的態度を示しており、閣僚会議で正式決定に至るかどうかは流動的だ。
 協議筋によると、採択を目指す文書には、紛争発生が懸念される事態が起きた場合、ARF議長が関係国の同意を得て特別会合を開催したり、当事者間の調停に当たるなど、議長の役割強化や、賢人会議の創設などが盛り込まれている。
 ARF参加国は二十三カ国・機構で、ASEAN域外からは日本、米国、中国、韓国、ロシア、欧州連合(EU)などが加わっている。(了)[2001-05-18-16:27] 127
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 05/18@高官巻き込み国籍も売買 ドミニカ共和国の偽造旅券(共同通信)

 【サントドミンゴ18日共同=名波正晴】朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の金正日総書記の長男、金正男氏(30)とみられる男性らの強制退去処分事件で、注目を集めたドミニカ共和国の偽造旅券。カリブ海の島国である同国の旅券は、日米両国への入国が容易なため「プラチナ旅券」とも言われる。旅券取得のため国籍も売買されているとされ、政府高官の関与を指摘する声も強い。
 「書類上はすべて合法だったんだが…」。首都サントドミンゴの弁護士(36)は四年前に扱った三十歳代の女性のケースを思い出す。ドミニカ共和国旅券の持ち主なのに、出入国管理局が入国を一時見合わせた。「スペイン語が話せず疑わしい」というのが理由だった。
 公的書類から同国籍を持つ父親が女性の国籍を既に取得しており、旅券は真正と証明された。釈放後、女性は周囲に「私は中国人。ドミニカ籍の『父親』は実在しない」と語った。
 同国は日本と査証(ビザ)免除協定を結んでおり、九十日以内ならビザなしで日本に滞在できる。米国への渡航にはビザが必要だが発給審査は甘いとされる。「長年治安を維持してきたドミニカの旅券は国際的に認知されている。日本や米国に割と楽に入国できるため、やみ市場での需要は高い」(外交筋) 関係筋によると、政権交代を控えた昨年夏、旅券事務所から二百通近い旅券が持ち出される事件があった。数年前には偽造旅券による入国が相次ぎ、一年間で中国人ら五千人以上が強制退去処分になった。
 警察筋は「政府高官を巻き込めば、出生届まで書き直してくれる。相場は一万ドル(約百二十二万円)。国交のない中国や北朝鮮の人でも真正旅券の入手は十分可能」と明かす。
 政府は今年から旅券の顔写真や氏名欄に透明なシールを張る偽造防止策を講じ始めた。事件に対しては「日本からの情報待ち」(外務省)で、与党ドミニカ革命党のアンドレス・マトス下院議員も「どの国でも身分証明書などの偽造事件がある。まずは政府の調査を待ちたい」と静観の構えだ。(了)[2001-05-18-16:14] 143
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 05/18@ウタリ協会、名称変更へ アイヌ協会に戻すこと検討(共同通信)

 アイヌ民族最大の団体、北海道ウタリ協会は十八日、札幌市内で総会を開き、笹村二朗理事長はあいさつで「民族としての自覚を高めるため、協会の名称をアイヌ協会に戻すことが望ましい」と述べた。
 笹村理事長は「本年度を準備期間として各支部で検討してもらい、来年の総会で名称変更を議題としたい」と表明。今後の協会の活動について「アイヌは日本の先住民族との認知の下で、文化の振興と総合的な民族施策を実現するため、協会への支援と協力をお願いしたい」と呼び掛けた。(了)[2001-05-18-11:31] 144
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 05/18@<ナイジェリア>オバサンジョ大統領が毎日新聞などと会見(毎日新聞)

 【アブジャ17日城島徹】ナイジェリアのオバサンジョ大統領は17日、首都アブジャの公邸で毎日新聞などと会見した。大統領はアフリカで最も深刻になっているエイズ対策問題で巨額の支援が必要だと強調し、日本など先進諸国の支援を求めた。大統領は21日から日本を公式訪問する。
 初のアフリカ・エイズサミットを先月アブジャに招致した大統領はエイズ対策について、特にアフリカでエイズにより両親を失った孤児の養育など幅広い対策を拡充させる必要性を強調した。
 さらに大統領は国際機関の推算を引用し、「エイズ対策には年間70億ドルから100億ドルが世界全体で必要だ」として、「対策推進のカギをにぎるのは、米国、日本、欧州だ」と指摘した。先進各国の貢献のあり方については、7月にイタリア・ジェノバで開催される主要国首脳会議(サミット)でエイズ問題を議題にすることを期待した。
 大統領は、OAU(アフリカ開発機構)加盟国を主体に創設される国家連合体「アフリカ連合」にも触れ、「EUが一朝一夕にできたものではないのと同様だ。重要なのはいかに多くの国が紛争防止に貢献するか、各国の開発を進めるかにある」と語った。
 また、大統領は訪日に際し、投資拡大や開発援助、債務削減で日本政府の理解を求めたい意向を示した。[2001-05-18-11:05] 145
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 05/18@米、イラク制裁緩和へ方針転換(読売新聞)

 【ワシントン17日=永田和男】ブッシュ米政権は十七日までに、一九九〇年以来続く対イラク国連経済制裁緩和を進める方針を固めた。
 米国は、国連安保理常任理事国中、英国とともに制裁緩和に最後まで慎重だったが、安保理内での孤立感が強まったことや、制裁長期化で疲弊するイラクへの同情論が強いアラブ諸国にも配慮、「大量破壊兵器開発への転用を防ぎつつ国民に必要な民需物資を行き渡らせる」方向に転換した。英政府も最近、同様の方針変更を明らかにしている。
 バウチャー国務省報道官は十七日の記者会見で、「国連で、対イラク政策の重要な変更に取り組んでいる。イラク市民に必要な物資を行き渡らせながらも大量破壊兵器を製造する能力を持たせないことが眼目だ」と語った。米英両国は、国連安保理で今月下旬にも共同で、民生品の対イラク輸出を大幅緩和し、軍事転用可能な製品の禁輸を強化する決議案を提出する方針だ。この時期に決議案を持ち出すのは、イラクに対して、人道上必要な物資購入の目的で石油輸出を許可している措置の、半年ごとの更新期限が六月四日に迫っているためだ。[2001-05-18-10:25] 147
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 05/18@<米軍アジア戦略>見直しで意見が食い違い 在日米軍基地な(毎日新聞)

 17日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、ブッシュ政権による米軍のアジア戦略見直しに関し、ラムズフェルド国防長官のマーシャル顧問とブレア太平洋軍司令官の意見が食い違っていると報じた。
 戦略見直しの内容はブッシュ大統領が25日の演説で明らかにする予定。見直し作業関係者が同紙に語ったところによると、マーシャル、ブレア両氏とも中国をにらんだアジア重視の戦略に転換する基本姿勢では一致している。
 一方、マーシャル氏は中国軍の地対地ミサイルや大量破壊兵器の開発が日本や韓国の米軍基地や空母にとって深刻な脅威になると主張。
 同盟国にある米軍基地への依存度を弱め、長距離ミサイルや兵員・物資運搬の輸送機、空中給油機などを中国からできるだけ離れた場所に配備するよう求めている。
 これに対し、ブレア氏は日韓の米軍基地や周辺海域などに展開する米海軍にとって中国軍はさほど脅威ではないと反論するとともに、マーシャル氏の考え方は米軍駐留に対する日韓の支持獲得をより難しくすると指摘。さらに「同盟国との協調が紛争の備えになり、地域の緊張緩和にも結びつく」と強調しているという。(ワシントン共同)[2001-05-18-10:20] 148
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 05/18@日本はエイズ対策支援を ナイジェリア大統領が会見(共同通信)

 【アブジャ17日共同】今月二十一日から日本を公式訪問するナイジェリアのオバサンジョ大統領は十七日、同国の首都アブジャで共同通信などと会見し「エイズ対策のため、われわれは資金を必要としている」と強調、エイズに苦しむアフリカ諸国を代表する形で日本への支援を求めた。
 アブジャでは四月にアフリカ・エイズサミットが開かれ、国連のアナン事務総長がエイズ対策の基金創設を提唱。その後、ブッシュ米大統領はオバサンジョ大統領らとの会談で二億ドル(約二百四十五億円)の拠出を表明した。この日の会見でオバサンジョ大統領は「(エイズをめぐっては)教育や予防、治療、孤児対策などどれも金がかかる」と指摘した。日本政府も基金への拠出を迫られそうだ。
 日本に対する期待としては「債務問題への理解と共感を得たい」と述べた。
 ナイジェリアは一九九九年にオバサンジョ政権が誕生し軍政に終止符を打ってから二年が経過。大統領は「平和が確立され、国民は自由を享受している」と民主化の成果を力説した。大統領は汚職の撲滅に力を注いでおり、「誤った方向に進んできた国民を新たな方向に向かわせるのが課題だ」と語った。
 大統領は三日間の日本滞在中、小泉純一郎首相らと会談する。(了)[2001-05-18-09:45] 115
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 05/18@中田がアーセナルへ? イタリア有力紙が報道(共同通信)

 【ローマ18日共同】十八日付のイタリア有力紙レプブリカは、ローマの中田英寿がイングランド・プレミアリーグの強豪アーセナルに移籍すると報じた。
 同紙は情報源を明らかにしていないが、同選手の代理人が二十三日にミラノでアーセナルのベンゲル監督らと会い、移籍を決定する運びだと伝えている。
 同紙によると、五年契約で中田の報酬は一シーズン六十億リラ(約三億四千万円)、ローマには移籍金として五百億リラ(約二十八億円)が支払われるという。
 ローマのセンシ会長はこれまで、中田は来季も必要な選手だとして、移籍は否定していた。(了)[2001-05-18-20:45]
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 05/19@来月16日、スロベニアで米ロ首脳会談(読売新聞)

 【ワシントン18日=永田和男】米国のパウエル国務長官とロシアのイワノフ外相の会談が十八日、ワシントンで行われた。会談後の記者会見で両外相は、ブッシュ、プーチン両大統領による初の首脳会談を六月十六日、スロベニアの首都リュブリャナで行うと発表した。ミサイル防衛計画と弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約改定問題で米露実務者による二つの「作業グループ」が十八日、発足し、首脳会談までに調整を急ぐことになった。
 イワノフ外相は「何事も、支持、不支持を決める前に、内容を確認することが必要だ」と述べ、〈1〉現在の世界の安定に対する脅威とは何か〈2〉ABM条約など既存の軍備管理協定をどう評価するか――を話し合う二つの作業グループが十八日から早速協議を開始したことを明らかにした。
 ロシアは十一日のモスクワでの米露実務者協議ではABM条約改定について、「ならず者国家の脅威を言うだけの米側の説明では、説得力がない」(ヤコベンコ外務省報道官)として抵抗を示した。しかし、イワノフ外相は十八日、「当然ながら、世界は(ABM条約が出来た)三十年前とまったく異なる。今日国際社会は新たな脅威に直面している」と述べ、「脅威」の認識について、作業グループで納得ゆく結論が出れば条約改定にも応じる可能性を示唆した。
 来月の首脳会談は、ブッシュ大統領が直接、プーチン大統領にミサイル防衛計画推進の決意を伝える場になるため、それまでに米露両国が作業グループを通じ、両国の考えの溝を埋められるかが、最大の焦点となってきた。[2001-05-19-14:14] 10
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 05/19@<米露関係>6月16日に首脳初会談 スロベニアで開催 (毎日新聞)

 【ワシントン布施広】訪米中のイワノフ・ロシア外相は18日、ブッシュ米大統領と会談し「建設的な関係」を求めるプーチン大統領の親書を手渡した。ブッシュ大統領も「建設的な対話」の重要性を強調した。焦点のミサイル防衛構想に関連してロシア側は二つの作業部会の設置を提案し、米側との対話を続ける姿勢を見せた。またパウエル米国務長官は、現在の米露首脳による初会談が、6月16日にリュブリャナ(スロベニア)で開かれると発表した。
 イワノフ外相と共同会見したパウエル長官は、軍備管理に関する過去の合意を再検討する必要性に言及、72年に結ばれた弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約の修正について、ロシア側と突っ込んだ協議を続けることを示唆した。
 同条約の修正は、ブッシュ政権が目指すミサイル防衛構想の実現に欠かせない。イワノフ外相は「ロシアは米国との建設的な関係の発展に重きを置いている」と述べ、修正交渉に柔軟な姿勢を見せた。外相によるとロシア側は(1)脅威の分析(2)米露の戦略的安定性に照らした脅威への対応策――を検討する作業部会の設置を提案し、双方の担当者が同日、国務省で予備協議を行った。
 しかしパウエル長官はミサイル防衛構想について、他国との協議を無制限に続ける気はないとの意向を表明、ロシアとの協議が進展しなければ打ち切る可能性にも含みを残した。
 イワノフ外相は同日朝パウエル長官、ブッシュ大統領の順で会談し、さらに長官と再会談した。対イラク国連制裁緩和も議題となったが、外相は会見で「ロシアには独自の提案がある」と述べ、米英が国連安保理に提示した緩和案には同調しないことを明確にした。
 米政府の声明によるとブッシュ大統領は首脳会談で「米露の強く前向きな関係を築き、共通の目標に向かって協力する」ための方策を協議する。米国では2月、連邦捜査局(FBI)の元職員が旧ソ連・ロシアのスパイとして逮捕され、米政府は約50人の在米ロシア外交官を追放、米露関係は一時は険悪な様相を見せていた。[2001-05-19-13:50] 11
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 05/19@セルビア元財務相、250万ドル流用で逮捕(読売新聞)

 【ウィーン19日=佐々木良寿】ユーゴスラビア連邦セルビア共和国警察は十八日、ボリスラフ・ミラシッチ元共和国財務相を公金流用容疑で逮捕した。
 警察の発表によると、同元大臣は一九九九年から翌年にかけて、ミロシェビッチ前政権与党のセルビア社会党が設立したテレビ局八局の機材購入などの目的で、総額約二百五十万ドルの公金を流用した。
 同流用事件を巡っては、ミロシェビッチ前大統領の側近中の側近で、旧ユーゴ戦犯国際法廷(オランダ・ハーグ)が起訴したニコラ・シャイノビッチ元連邦副首相と、政府系日刊紙ポリティカのハジドラガン・アンティッチ社長らも捜査対象となっている。[2001-05-19-12:48] 12
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 05/19@6月中旬に米ロ首脳会談を開催(朝日新聞)

 ブッシュ米大統領は18日、訪米中のイワノフ・ロシア外相とホワイトハウスで会談し、プーチン大統領と初の首脳会談を6月16日、スロベニア共和国の首都リュブリャナで開くことに合意した。
 会談では、ブッシュ大統領が提唱したミサイル防衛の拡大問題が主要テーマになる。双方の対立の溝は依然根深いが、首脳会談を皮切りに米ロ間の対話が始まることになった。
 ブッシュ大統領は6月12日からスペイン、ベルギー、ポーランドなどを歴訪後、スロベニアに向かう。
 会見したイワノフ外相によると、双方は意見の相違にもかかわらず、「より安全な未来への礎」を共同でつくるため、建設的な対話を進めることで一致。首脳会談では、「あらゆる議題がとりあげられる」(パウエル米国務長官)ことになるという。
 米国内のスパイ事件に絡む外交官の追放などで米ロ関係はいったん冷却化。ミサイル防衛構想でも、「ロシア無視の既成事実を押しつける単独主義」との批判を受けていただけに、対話路線への修復の意義は大きい。米ロの軍備競争を懸念する同盟国の懸念を軽減することにもつながりそうだ。
 大統領との会談に前後して、パウエル長官との外相会談が3回開かれた。その後の共同会見によると、ロシア側はミサイル防衛での溝を埋めるため、冷戦後の脅威認識と、大がかりなミサイル防衛と抵触する弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約など既存の軍備管理条約を点検する実務レベルの協議を続けることを提案。米側も前向きに検討することを約束した。
 ただ、同長官は「みんなの意見を聞くが、協議を際限なく続けるわけにはいかない」とクギを刺した。
 さらに、米側は対イラク制裁問題で、英国が国連安保理に提出した制裁解除案を支持するよう求めたが、ロシア側は「独自の案がある」とかわした。このほか、中東やチェチェン情勢、ロシアによるイランへの武器売却など広範な地域問題を話し合った。[2001-05-19-11:06] 13
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 05/19@<米露関係>首脳会談は6月16日か17日 スロベニア首都(毎日新聞)

 【ワシントン布施広】訪米中のイワノフ・ロシア外相は18日、ブッシュ米大統領と会談し、「建設的な関係」を求めるプーチン・ロシア大統領の親書を手渡した。ブッシュ大統領も「建設的な対話」の重要性を強調し、米露関係は回復の方向へと踏み出した。またパウエル米国務長官は、現在の米露首脳による初会談が、6月16日か同17日にスロベニアの首都リュブリャナで開かれると発表した。
 18日夕、イワノフ外相と共同会見したパウエル長官は、軍備管理に関する過去30年間の合意を再検討すると述べ、72年に結ばれた弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約の修正について、ロシアが交渉に応じる姿勢に転じたことを示唆した。
 同条約の修正はブッシュ政権が目指すミサイル防衛構想の実現に欠かせないものだ。イワノフ外相は「ロシアは米国との建設的な関係の発展に重きを置いている」と述べた。米露の実務者グループは同日、ミサイル防衛と核戦力削減をめぐって数時間討議し、ロシアがミサイル防衛構想に一定の理解を示したことをうかがわせた。
 イワノフ外相は同日朝、パウエル長官との会談に続いてブッシュ大統領と会談、さらに長官と再会談した。ミサイル防衛構想や軍備管理問題のほか対イラク国連制裁の緩和も議題となったが、イワノフ外相は「ロシアには独自の提案がある」と述べ、米英が国連安保理に提示した緩和案には同調しないことを明確にした。
 米露首脳会談が開かれるスロベニアは旧ユーゴスラビア連邦から独立し、北大西洋条約機構(NATO)への新規加盟が有力視される国。米政府の声明によると、ブッシュ大統領は首脳会談を通じて「米露の強力で前向きな関係を築き、共通の目標に向かって協力する」ための方策を協議する。
 米露関係は2月に米連邦捜査局(FBI)の元職員が旧ソ連・ロシアのスパイとして逮捕され、米政府は約50人のロシア外交官を追放。ロシアも米外交官を報復追放して一時は険悪な様相を見せていた。[2001-05-19-10:45] 16
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 05/19@6月16日に米ロ首脳会談 スロベニアで初開催へ(共同通信)

 【ワシントン18日共同=及川仁】訪米中のロシアのイワノフ外相は十八日、ワシントンでパウエル米国務長官と会談し、六月十六日にスロベニアの首都リュブリャナで米ロ首脳会談を開催することで合意した。ブッシュ政権発足後、米ロ首脳会談は初めてで、ぎくしゃくしてきた米ロ関係改善に向け、個人的信頼関係構築に乗り出す。
 また、ロシアが反対を表明する米本土ミサイル防衛(NMD)構想に向け、米側が弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約の修正を求めている問題に関連し、ミサイルの脅威の存在などを米ロ共同で検討するため、二つの作業部会の設置でも原則的に合意した。
 NMDをめぐる米ロ双方の主張が平行線をたどる中、対ロ強硬姿勢をちらつかせるブッシュ政権発足以来ぎくしゃくしてきた米ロ関係は、首脳会談の開催により、戦略分野での協調模索に向け動き出す。また、作業部会の設置により、米ロ両国のNMDをめぐる対話が軌道に乗ることになる。
 首脳会談の展望について、外相会談終了後、米国務省でパウエル長官と共同記者会見したイワノフ外相は「活発で中身の濃い対話になるだろう」と指摘。長官も「二人の大統領はきっとお互いが気に入るはずだ」と述べ、会談での首脳同士の信頼関係構築に楽観的な見方を示した。
 イワノフ外相によると、二つの作業部会は@脅威の分析や存在A新しい戦略的安定性―を検討する。
 一方、パウエル長官は「協議は行動の代わりにならない」と述べ、あくまでNMD導入の米側の姿勢に変化はないことを強調した。
 同日ブッシュ大統領と会談したイワノフ外相は、同大統領に米側との建設的対話継続の用意と希望を表明するプーチン大統領からの親書を手渡した。
 両外相はまた、中東やバルカン情勢など幅広い国際問題についても意見を交換した。(了)[2001-05-19-08:52] 69
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 05/19@パレスチナ騒乱、米露が停止呼びかけ(読売新聞)

 【ワシントン18日=永田和男】米国のパウエル国務長官とロシアのイワノフ外相は十八日のワシントンでの会談で、イスラエル軍とパレスチナ人の衝突拡大に強い懸念を表明し、中東和平プロセス再生のため衝突の即時停止を呼びかけた。パウエル長官は、昨年九月以来の衝突の原因を調べた国際調査委員会(ジョージ・ミッチェル委員長)の報告書について、「報告書を活用して、イスラエルとパレスチナ間の衝突を停止し、対話を進める方策を話し合った」と述べ、米露が同報告書の内容を基本とし、衝突停止を模索することで一致したことを明らかにした。
 一方、米露両外相はイラクに対する国連経済制裁緩和問題も協議したが、米英両国が共同提出を目指す、対イラク制裁緩和決議案については合意に至らず、国連安保理で協議を継続することになった。イワノフ外相は会談後、「問題は非常に複雑。どうすればイラク国民の生活を楽にしつつ、我々が最終的に目指す大量破壊兵器開発阻止を果たせるかを検討中だ」と述べ、緩和決議案の中身でロシアと米英の考えになお隔たりがあることを示唆した。[2001-05-19-12:16] 72
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 05/19@<横断鉄道>ロシア本土とサハリン島を結ぶ建設を今年秋に開(毎日新聞)

 【モスクワ石郷岡建】ロシアのアクショーネンコ鉄道相は18日、ロシア本土とサハリン島を結ぶ鉄道の建設を今年秋に開始すると発表した。7月までに現地のタタール海峡(間宮海峡)の地質調査などを終え、トンネルか横断橋のどちらを建設するかを決めた上で、9月末にも工事を始める方針だ。
 同鉄道相は鉄道のほかに通信ケーブルの敷設などの可能性もあると述べた。日本などの外国関係者も関心を示しており、資金参加を歓迎するとの意向を表明した。
 一方、ロシアが参加を予定している韓国と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を結ぶ鉄道の再連結工事に関しては、北朝鮮での現地調査を進めているが、南北首脳、特に金正日(キムジョンイル)総書記の最終決定が下されていないと説明した。
 同鉄道相は、最終決定さえ出ればロシア側はただちに工事に入り、南北軍事境界線を含む非武装地帯での不通区間を半年で連結できると述べた。[2001-05-19-11:20] 78
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 05/19@米英軍、イラク南部の防空施設を空爆(読売新聞)

 【ワシントン18日=林路郎】米中東軍司令部によると、米英両軍は十八日、イラク南部の飛行禁止区域内のアルアマラーにあるイラク軍の防空施設を空爆した。作戦には、米軍のF15、FA18、英軍のトルネード各戦闘機が動員されたが、作戦規模や成果は公表されていない。同司令部は「イラク軍が威嚇行動をとったための自衛行動」と説明。米英軍によるイラク南部空爆は四月十九日以来約一か月ぶり。
 米英両軍は今年二月十六日、中国が建設支援したイラクの防空レーダー施設を大規模攻撃。イラク軍は以降、飛行禁止区域を容認しない立場を表明し、米英機に対する無差別の威嚇射撃を開始するなど、軍事行動を強化してきた。
 米英は国連安保理を舞台に対イラク国連制裁緩和を検討しているが、米英両軍の空爆は、サダム・フセイン政権の軍事力増強には必要な措置を取る姿勢を示したものとも言えそうだ。[2001-05-19-10:41] 80
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 05/19@送信施設移転などで合意 バチカン放送の電波公害で(共同通信)

 【ローマ18日共同】イタリア外務省は十八日夜、バチカン放送の電波公害をめぐる問題について、一部送信施設の国外移転などでローマ法王庁と合意したと発表した。
 ボルドン環境相は三月に、ローマ郊外の同放送電波送信所の電磁波により周辺住民の健康が脅かされているとして、電力供給停止を警告、イタリア政府と法王庁の間に異例の摩擦が生じていたが、合意により、問題はひとまず解決した。
 発表によると、バチカン放送は短波について国際的にも最も厳しいイタリアの規制を直ちに順守、中波などについては八月末までの猶予期間に欧州の第三国への送信施設移転を進める。移転費用はイタリア政府が負担する。移転候補地は明らかにされていない。
 環境相は「極めて重要な結果で、全面的に満足している」と述べた。(了)[2001-05-19-10:28] 84
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 05/19@早期開催で面目保つロシア NMDで米、懐柔策に転換(共同通信)

 【ワシントン18日共同=及川仁】プーチン・ロシア大統領とブッシュ米大統領による首脳会談開催が、ブッシュ政権発足から四カ月、三回目の外相会談で決まった。七月の主要国首脳会議(ジェノバ・サミット)の際の首脳会談も想定していた米側だが、「大国」ロシアは、首脳会談の早期開催で面目を保った。
 ロシアが反対する米本土ミサイル防衛(NMD)で強行導入の構えをみせていたブッシュ政権は、三月にスパイ事件でロシア外交官の大量追放を発表。
 その後、NMDではロシアや日本、欧州との対話路線に軌道修正したものの、ブッシュ政権の矢継ぎ早の対ロ強硬姿勢に、ロシア側は当惑、同政権の真意を測りかねていた。
 一方、ブッシュ政権側にも、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)やイランなど米側が「ならず者国家」とする諸国との関係強化や、政府系企業を通じ、政権に批判的な民間テレビNTVの経営権を奪取するなど言論統制を進めるプーチン政権への不信感があり、一時は早期の首脳会談開催に消極的だった。
 しかし先の“NMD説得行脚”で米国は、欧州諸国も含め軒並み冷淡な反応に直面。もう一つの「核大国」ロシアを懐柔すれば欧州諸国も次々同意に転じ、強硬に反対する中国の孤立化が可能との計算から、首脳会談早期開催に応じる“対ロ軟化”へと戦術を転換。米ロ双方の思惑がようやく一致した形となった。(了)[2001-05-19-10:08] 85
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 05/19@併合派民兵に懸念表明 東ティモール議長(共同通信)

 【ニューヨーク18日共同】東ティモール民族抵抗評議会(CNRT)のグスマン議長は十八日、国連安全保障理事会に出席し、インドネシア領西ティモールとの境界付近で東ティモール併合派の民兵が住民への脅迫行為を続けているとの懸念を表明、八月の制憲議会選挙に向けて治安確保への協力を要請した。
 また、議長は世界銀行と協力して東ティモールの経済再建策を立案する作業グループをつくる方針を明らかにした。
 議長は安保理出席後、アナン事務総長と会談、制憲議会選挙の準備について意見を交換した。
 アナン事務総長は五月上旬、選挙後も東ティモールが独立を達成するまで国連軍事部門要員を現行の八千人規模で維持するよう安保理に勧告している。(了)[2001-05-19-10:08] 86
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 05/19@EU拡大に慎重姿勢 イタリア次期首相(共同通信)

 【ローマ18日共同】イタリア次期首相に事実上決まっているベルルスコーニ元首相は十八日、総選挙後初の記者会見で、欧州連合(EU)拡大について「あらゆる面を常識に照らして検討し、極めて慎重に進める必要がある」と述べた。
 これは、EU内の経済後進地域への開発補助予算の配分に絡み、東欧への早急な拡大に慎重論を唱えるスペインに同調した発言とみられる。
 ベルルスコーニ政権で経済相(従来の国庫相と財務相を統合)就任が予想されているジュリオ・トレモンティ氏は先に、イタリア南部の開発と両立する条件ができてからEUの拡大を進めるべきだとの考えを明らかにしている。ベルルスコーニ氏は「イタリアへのEU補助金削減はないだろう」とも述べた。
 ベルルスコーニ氏はまた、六月十三日にブリュッセルで開催される北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席する意向を表明、それまでに次期内閣を樹立する方針を示唆した。
 注目されている次期外相には「政治家」を起用すると述べ、ルジェロ前世界貿易機関(WTO)事務局長候補説を退けた。(了)[2001-05-19-09:55] 96
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 05/19@EU、対中関係を強化で提案へ 国際社会での比重を直視(朝日新聞)

 欧州連合(EU)を代表して21日から訪中するパッテン欧州委員(元香港総督)が、関係強化に向けた75項目の具体策を中国に提案する。中国が国際社会で重みを増している現実や、将来の発展性を踏まえ、人権問題などでの懸念を引きずりながらも、EUは政治、経済の両面で中国への関与を一段と強める。
 欧州委員会が「行動ポイント」と呼ぶ75項目は、98年に決めた5つの対中長期戦略のそれぞれについての当面の取り組みを列記したもの。中心は政治対話と経済協力の強化だ。
 政治対話で優先して取り上げるのは、人権、朝鮮半島和平、中台関係、武器輸出、不法移民、国際犯罪など。局長級の接触を年2回で定例化するほか、テロ対策などの一般テーマでも担当者間の協議を呼びかける。
 経済面では、世界貿易機関(WTO)への早期加盟をはじめ、中国を国際経済システムにスムーズに組み込むための30提案を用意した。
 北京にできた在中国欧州商工会議所(約200社)を市場開放の見張り役として活用するほか、欧州の情報技術を紹介する大型イベントを来春、中国で開くことを打診する。また、核エネルギーの平和利用を目指す協力協定について年内の交渉開始を求める。
 欧州委によると、中国は世界7位の貿易国で、外国企業の直接投資先としても米国に次ぐ地位に躍進した。同時に、エネルギー需要も地球環境を左右するレベルにまで急増しつつある。
 また、経済成長とともに沿海部と内陸部の発展格差が広がり、社会の緊張を生んでいる。このままWTO加盟国として市場開放を義務づけられれば、国有企業がとうたされ、失業者が欧州などへの不法移民に転じかねない。
 欧州委は、75項目の提案を示した報告書で「政治体制が違い、人権問題を抱える中国は厄介な相手だ。だが、これほどの規模の国は全地球的な問題の発生源であるとともに、それを解決するかぎでもある。対中関与はEU自身の利益につながる」と強調している。[2001-05-19-03:04] 98
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 05/19@パキスタン、過激原理主義で「タリバン化」進む(読売新聞)

 パキスタンでは今年に入り、タリバンに感化され、過激化したイスラム教スンニ派と、タリバンが異端視するシーア派との衝突が続発。ペシャワルでは一月、イスラム教を冒とくしたとして新聞社が焼き打ちされる事件も起きた。
 原理主義の培養地は、パキスタンのアフガン難民キャンプにあるマドラサ(イスラム神学校)だ。マドラサは、教育水準が低く貧困にあえぐパキスタンの若者を引きつけ、勢力を伸ばすタリバンの兵士供給源でもあった。
 ムシャラフ陸軍参謀長はマドラサの近代化を図ろうと試みたが、イスラム原理主義勢力の強い圧力でとん挫した。今や軍政でさえコントロールできない「聖域」となっている。
 タリバンがアフガン全土の大半を支配下に置いたことで、密貿易も飛躍的に増大した。パキスタンは、アフガンと貿易協定を結び、内陸国のアフガンに自国のカラチ港を通じた無関税の物資輸入を認めている。パキスタン経由で合法的にアフガンに輸入された物資が、密輸業者の手で陸路パキスタンに再流入するという構図だ。この密輸の総額は現在、タリバンがカブールを制圧した九六年の約三倍、年間約千二百五十億ルピー(約二千七百億円)に及んでいる。
 パキスタンが軍事援助を含む様々な支援をタリバンに与えてきたのには訳がある。
 パキスタンは、宿敵インドとの対抗上、アフガンに親パ政権をうち立て、後背地を確保する必要に迫られていた。パキスタンのアフガン国境沿いに、タリバンと同じパシュトゥン人が多く住むパシュトゥン・ベルトが広がるという民族的一体性もある。
 しかし、パキスタンの対アフガン政策は今、破たんしつつある。地元のジャーナリストは「軍政はタリバンをコントロールできないし、政治的空白が原理主義勢力の台頭を助長している」と指摘している。[2001-05-19-01:27] 100
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 05/19@<世界無形文化遺産>日本の「能楽」など計19件指定 ユネ(毎日新聞)

 【パリ福島良典】国連教育科学文化機関(ユネスコ)は18日午後3時(日本時間同10時)から、パリの本部で、民族伝統芸能など世界の無形文化遺産をたたえる第1回「人類の口承及び無形遺産の傑作の宣言」を発表、日本の「能楽」など計19件が指定された。
 「傑作宣言」は、貴重な有形文化遺産を対象とする「世界遺産」の“無形文化遺産版”にあたる。加盟国政府が指定候補を一つずつ申請し、2年に1回、国際選考委員会で決定する。
 第1回の今回は、アフリカやアジアなどから32件の申請が受理された。日本は昨年12月、能楽を指定候補に申請、文楽と歌舞伎を次回以降の推薦候補として提出していた。
 松浦晃一郎ユネスコ事務局長は、能楽の指定にあたり「能と狂言の形で演じられる能楽は、日本の古典演劇の真しかつ悲劇的な伝統を示している。ともに日本演劇全般に多大な影響を与えてきた」と述べた。
 能楽以外に指定された主なものは以下の通り。
 中国の崑曲(こんきょく)(古典劇の一つ)▽韓国・宗廟の旧王朝儀礼▽インドのサンスクリット語劇▽イタリア・シチリア島の伝統人形劇▽西アフリカ・コートジボワールの木製トランペット音楽▽南米・ボリビアの民族カーニバル▽リトアニアの十字架製造。
 ■世界無形遺産 ユネスコが今回、指定した“世界無形文化遺産”は、98年のユネスコ執行委員会会議が口承・無形遺産の継承と発展を目的に採択した宣言規約に基づく。
 選考基準は「たぐいない価値がある無形文化遺産が集約されている」「歴史、芸術、民族学、社会学、人類学、言語学または文学の観点から、たぐいない価値がある民衆の伝統的な文化の表現形式」の2点。指定対象には「言語、文学、音楽、舞踊、遊戯、神話、礼儀、慣習、手工芸、建築技術やその他の技芸、伝統的な情報伝達の形式」が挙げられている。[2001-05-19-01:15] 101
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 05/19@<ニュース展望>単位互換超え、未来像模索 国立4大学連合(毎日新聞)

 一橋大、東京医科歯科大、東京工業大、東京外国語大の国立4大学が「大学連合」を正式に発足させ、来年4月から各大学の特徴を生かす「複合領域」の授業を開講することを決めた。それぞれの分野でトップレベルの国立大学が手を結ぶ構想が浮かんでからおよそ2年。大学の未来像を模索する大きな実験が動き出した。
 連合を組むにあたり、4大学は「憲章」を作った。キーワードは「国際競争に耐えうる研究教育体制の確立」。学生の授業履修や進学について選択の幅を広げ、海外の大学との提携など、異なる分野の融合で、学際・複合領域の教育研究を進めることになる。
 具体的には、「複合領域コース」の設置と「編入学」「複数学士号」の修得が第1ステップになる。
 複合領域コースは、各大学がそれぞれ専門に関する講座を出し合って作る総合授業だ。生物学や生命倫理学、家族法などをミックスし、生命とは何かを学ぶ「総合生命科学コース」(東京外国語大を除く3大学で構成)▽国際社会学や民族誌、開発システム工学、公衆衛生などから海外協力のあり方を身に付ける「海外協力コース」(同)▽都市社会学、法医学、都市計画学などで快適な生活を考える「生活空間研究コース」(同)など、8コースを計画している。東京外国語大は、連合参加の学内決定が遅れたため、現在コース作りを進めている。
 これらのコースに、各大学から希望する学生が参加し、勉強しながら交流する。今年、入学した学生が2年になる時点で開講し、卒業単位にも換算する。
 さらに、この複合領域コースを履修している学生に対して、互いの大学への3年時の編入学も認める(東京医科歯科大の医学・歯学科は除く)。「複数学士号」は、例えば、一橋大に入学した学生が、複合領域コースを履修した上で同大で経済学士号を取り、東工大に学士入学して1〜2年程度学んで工学士が取れる仕組みだ。
 単科大学が、それぞれの専門領域を持ち合うメリットを、一橋大の石弘光学長は「学生が複眼的視野を持つことができる」と話す。東京医科歯科大の鈴木章夫学長も「サイエンスとアートの両方を教えられる。欧米先進国の大学はすでにその傾向だ」と指摘。国際競争を見据えた戦略であることを強調する。
 連合のきっかけは、国立大の独立行政法人化だった。複数の大学で1法人を作ることも有り得たことから、学長同士の懇談で「できないだろうか」と話し合ったという。その結果、「競争力をつける」「教育力を高める」という、すべての大学で問われる課題を先取りして取り組む結果となった。
 大学連合は今後、教授らの共同研究プロジェクトや米国の有名大学との連携を実施する計画だ。「米国のカリフォルニア大バークレー校との提携を考えている。学生の交換留学や教授の共同研究が進めばいい」(石学長)と、さらなる広がりを模索する。だが、4大学の合併統合になると「難しい」(同)という。名称の問題やOBからの反発が予想される上、独立した単科大の緩い連合体ほうが身が軽く交流しやすいという見方だ。
 私立大を中心に単位互換制度は広がっている。早稲田大は、日本女子大などとの提携や京都地区の42大学・短大との単位互換協定を結んだ。教育サービス向上の観点から、今後も各地で互換協定を結ぶ大学は増えるだろう。
 4大学連合は単位互換を越えたつながりだ。これが成功すれば、大学の特徴を生かした新たな形の「再編」が一挙に進むことになりそうだ。[2001-05-19-01:05] 105
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 05/19@<北アイルランド>紛争象徴の地を歩く メイズ刑務所(毎日新聞)

 30年間に3200人を越す犠牲者を出した英国・北アイルランド紛争の象徴で、欧州現代史で最も悪名高い政治犯収容所「メイズ刑務所」の取材を許可された。和平合意から3年が過ぎても受け入れ態勢を維持する現状は、和平の不透明さを物語っている。【北アイルランド・リスバーンで笠原敏彦】
 メイズ刑務所を囲うコンクリート壁は全長3・5キロに及び、H型をした8つの監房棟などが配置されている。英国からの分離を目指すカトリック系勢力と英軍・警察の衝突に、プロテスタント勢力が加わり、爆弾テロや殺人などの罪で収容された人々の数は延べ2万人を超えるとされる。
 98年春の和平合意に沿って昨年9月末、最後の受刑囚が釈放され、メイズは事実上閉鎖された。しかし、監房棟を回ると、暖房が維持され、シーツが敷かれたベッドがあった。デービッドソン報道官は「8つの監房棟のうち3棟をいつでも利用再開できるよう備えている」と説明する。
 何重もの壁と鉄条網をくぐり抜けた一角に病院棟があった。81年、英政府に政治犯待遇を求め、抗議のハンストを行ったカトリック系過激派アイルランド共和軍(IRA)の10人が次々と餓死していった場所だ。
 事件は国際社会の関心を同紛争に向けさせ、レーガン米大統領(当時)さえも「悲劇的な状況を深く懸念している」と語った。もはや、英国は武装闘争をテロと片付けることができなくなった。
 中でも、指導者のボビー・サンズ氏がハンスト(66日目に死亡)中に英下院議員に選出されたことは、IRAの政治組織シン・フェイン党の台頭につながり、政治交渉に道を開いていく。
 ハンスト参加者の1人、ジャキー・マクミュランさん(44)=警官殺人未遂で終身刑宣告=は振り返る。「政治犯の待遇を得たことで我々は組織された政治的集団になった。獄中で大学の学位(博士号を含む)を取った仲間も多い。カトリックにとってメイズは抵抗のシンボルだ」。
 IRAが使った監房棟「H5」を訪れると、ジムや公衆電話まであった。自由が認められた施設内では、歴史や政治などの自主教育が積極的に行われた。元受刑者の支援組織「EPIC」の報告書には、あるプロテスタント系青年の獄中での苦悩がつづられている。
 「(英国が植民地化した)アイルランドの歴史をここで初めて知った」「英国との連合を守るのに、暴力は果たして最善の道なのだろうか」。
 憎悪と相互不信を癒す過程が和平プロセスであるなら、獄中教育が果たした役割は決して小さくない。図書館だった建物には多くの書物が散乱し、ヘミングウェーの「武器よさらば」もうずもれていた。
 一方で、「恐怖の大学」と呼ばれたメイズでは数々の暴動や残忍な殺人が繰り返されたのも事実だ。犠牲になった看守は29人に達する。
 案内役の看守、クライドさん(46)は受刑者からの脅しは毎日だったと打ち明ける。「この刑務所を早く跡形もなくつぶしてほしい。プロテスタントの両親の下に生まれたが、私は宗教を信じない」と吐き捨てた。
 和平プロセスでは、IRAの武装解除という最後にして最難関のパズルが解けていない。同刑務所が完全に閉鎖されるまで、北アイルランドに真の平和は訪れない。[2001-05-19-00:40] 53
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 05/19@<サッカー>ローマ関係者が、中田のアーセナル移籍を否定(毎日新聞)

 19日付のイタリアのスポーツ紙、ガゼッタ・デロ・スポルトは、同国1部リーグ(セリエA)ローマのチーム編成担当者バルディーニ氏が、中田英寿の移籍を否定したと報じた。中田はイングランド・プレミアリーグの強豪アーセナルへの移籍が有力と報道されていた。
 同氏は「中田はEU(欧州連合)外選手枠の撤廃後、チームに貢献しており、カペロ監督も評価している。その選手を監督から取り上げるような動きはない」と語っている。(ローマ共同)[2001-05-19-21:25] 58
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 05/19@中田の移籍を否定 イタリアのスポーツ紙にローマの担当者(共同通信)

 【ローマ19日共同】十九日付のイタリアのスポーツ紙、ガゼッタ・デロ・スポルトは、同国一部リーグ(セリエA)ローマのチーム編成担当者バルディーニ氏が、中田英寿の移籍を否定したと報じた。中田はイングランド・プレミアリーグの強豪アーセナルへの移籍が有力と報道されていた。
 同氏は「中田はEU(欧州連合)外選手枠の撤廃後、チームに貢献しており、カペロ監督も評価している。その選手を監督から取り上げるような動きはない」と語っている。(了)[2001-05-19-18:58]
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 05/20@米、ロシアと対話姿勢 ミサイル防衛問題(朝日新聞)

 ブッシュ米大統領の新ミサイル防衛構想をめぐる米ロの一連の会談で、米国はロシア無視の態度をとらず、対話を通じて譲歩を引き出す姿勢を鮮明にした。ただ、物別れに終わった場合、防衛網の配備を辞さない構えは崩していない。プーチン・ロシア大統領の訪中直後に設定された米ロ首脳会談を皮切りに、長く激しい駆け引きが繰り広げられそうだ。
 ブッシュ大統領は北大西洋条約機構(NATO)首脳会議を経て、6月16日のプーチン大統領との会談に臨む。対するプーチン大統領は、6月15日に上海で開かれる中国、カザフスタン、キルギス、タジキスタンとの5カ国(上海ファイブ)首脳会議に出席する。プーチン大統領はここから会談場所のスロベニアに直行するとみられ、対米けん制で中国と足並みをそろえておきたい考えだ。
 米側はロシアのイワノフ外相との会談で、戦略対話を進めるための環境整備を目指した。ホワイトハウスは6月の首脳会談で「共通の目標に向けて強固で肯定的な関係を一緒に築きたい」との声明を出し、対話路線で臨む姿勢を示した。プーチン氏側近のイワノフ安全保障会議書記(当時、現国防相)が3月に訪米した時、冷ややかな発言が相次いだことと比べると、手のひらを返したような厚遇ぶりだ。
 しかし、パウエル国務長官は「協議は行動の代わりにはなり得ない」とも述べ、ミサイル防衛網配備に踏み切る選択肢を付け加えることも忘れなかった。[2001-05-20-14:20] 13
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 05/20@輸入促進で最貧国救済を 国連後発途上国会議が行動計画(朝日新聞)

 第3回国連後発開発途上国(LDC)会議は20日、輸入促進によって最貧国を世界経済に組み入れることをうたった10年間の行動計画を採択し、閉幕した。
 行動計画は貿易・投資の促進、政府の途上国援助(ODA)の増大、債務軽減などの各分野で努力目標を網羅した。貿易関連では、(1)すべてのLDC産品への輸入数量制限や関税をなくすよう努力する(2)LDCの輸出力を高めるため、農業の生産性向上を支える(3)世界貿易機関(WTO)への加盟手続きを簡略化する、などが中心だ。
 また、国内総生産(GDP)の0.15〜0.20%をODAに回す、という前回会議(90年)の目標が再び盛り込まれた。
 LDCは、国民一人当たりのGDPが年間900ドル以下の49カ国で、7割がアフリカ。第1回会議が開かれた81年には27カ国だったが、抜け出せたのは1カ国だけで、新たに23カ国が加わった。[2001-05-20-23:06] 15
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 05/20@アラブ連盟会合で対イスラエル接触凍結を声明(読売新聞)

 【カイロ20日=久保健一】パレスチナ情勢の緊迫を受け、当地で開かれたアラブ連盟(二十二か国・機構で構成)パレスチナ支援委員会(エジプト、シリアなど九か国が参加)の緊急会合は十九日夜、加盟国のイスラエル政府との「政治的接触」の凍結をうたった声明を採択して閉幕した。アラブ穏健派のエジプトとヨルダンは、イスラエル・パレスチナ間の衝突停止のための「共同提案」などを通じ仲介努力を行っていたが、イスラエルのシャロン政権に歩み寄りが一切見られないことから、現状では同政権との対話停止やむなしとの判断を下した。
 今回の措置はイスラエルに対する懲罰であると同時に、武力行使の自制を促す圧力となることを狙ったものでもあるが、既に完全に腰の引けている米国に加えアラブ穏健派までが仲介努力を放棄したことで、騒乱がさらに悪化の一途をたどることは必定となった。
 声明には、〈1〉パレスチナ人に対する攻撃と封鎖が続く間は、アラブ諸国はイスラエル政府とのあらゆる政治的接触を中止〈2〉イスラエルの攻撃激化を受け国連安保理に緊急会合の招集を要請〈3〉ユダヤ人入植地の建設、拡張の凍結〈4〉入植地で生産された商品のボイコット――などが盛り込まれた。
 声明に関連し同連盟のムーサ事務局長(前エジプト外相)は「イスラエルに銃を突きつけられた状態で和平協議はできない」と強調。ヨルダンのハティーブ外相も、「暴力停止やパレスチナ封鎖解除は実現せず、政治対話は無意味との実態を反映している」と述べ、イスラエル側の攻撃が続く限り、「共同提案」に基づく停戦模索は無意味との見方を示した。
 アラブ側は、シャロン政権の対パレスチナ政策について、騒乱の早期沈静化よりも、中東和平プロセスの破壊を狙っていると見ている。同政権は、ヨルダン川西岸とガザ地区を神がユダヤ人に与えた「エレツ・イスラエル(イスラエルの地)」の一部と見なしている。和平プロセスとは、譲り渡すべきでない土地を国際圧力によって放棄させられるだけの枠組みであり、歴代労働党政権による「誤った和平」というのが同政権の立場だ。
 一方、パレスチナ自治政府のアラファト議長にとっても和平プロセスは、持たざる者が持てる者にただこうだけの交渉であり、シャロン政権が譲歩を拒否し続ける以上、武力衝突に訴えた方が得策との判断がある。
 ただ、騒乱によるパレスチナ人の死者が四百人を超え、自治政府の経済的損失が六千億円以上と言われる中、アラブ各国からの財政援助はかけ声ほどには進んでいない。軍事的に圧倒的優位に立つイスラエルとの武力衝突が激化すれば、パレスチナ側の被害だけが増えつづけ、アラファト議長が指導者として窮地に立つ可能性もある。[2001-05-20-22:36] 16
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 05/20@イスラエル対応硬直化、深まる孤立・危機感(読売新聞)

 【エルサレム20日=当間敏雄】イスラエルが十八日、パレスチナ側の自爆テロへの報復攻撃にF16戦闘機を投入するなど、軍事作戦をエスカレートさせたことで、昨年九月以来続く双方の武力衝突は「制御不能のふちにある」(テリエ・ラーセン国連事務総長特使)段階に入っている。
 昨年九月末以来の死者は五百三十人を超え、八割以上がパレスチナ人。十八日の戦闘機空爆では十二人が即死した。アナン国連事務総長は「対応は行き過ぎで誤り」と述べ、欧州連合(EU)も批判姿勢を強めている。
 しかし、イスラエルのシャロン首相は「イスラエル市民を守るため今後もあらゆる必要な措置をとる」と述べ、作戦継続の姿勢を鮮明にした。首相府高官は「アラファト(パレスチナ自治政府議長)に対し、テロが続けば激しい反撃を招くという明確なメッセージになった」と意義を強調した。
 爆弾テロはイスラム原理主義組織ハマスなどがその都度、犯行声明を出している。だが、イスラエルは「テロリストを釈放、テロを容認しているアラファト議長の責任」と批判。ユダヤ人入植者銃撃などに自治政府の治安組織メンバーが加担している疑念も強く、自治政府の治安施設への軍事作戦を展開している。
 イスラエルのペレス外相が「建国以来、最も困難な状況」と語るなど、イスラエルの危機感と孤立感は深い。その分、政権の対応は硬直化している。[2001-05-20-22:32] 24
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 05/20@<アラブ連盟>外相会議が閉幕 イスラエルと政治的接触凍結(毎日新聞)

 【カイロ小倉孝保】アラブ連盟(22カ国・機構、本部・カイロ)パレスチナ支援委員会の緊急会合(外相級)が19日、カイロで開かれ、イスラエルによるパレスチナ住民への軍事行為が停止されるまで、イスラエルとの政治的接触を凍結するよう加盟国に求める声明を採択した。
 声明はこのほか、イスラエルに対しユダヤ人入植地の建設・拡大の凍結▽国際社会に対しユダヤ人入植地で製造された製品の不買運動の促進▽パレスチナ人保護のため緊急の国連安保理または国連総会の開催――を要求した。声明に拘束力はない。
 アラブ連盟は昨年10月の緊急首脳会議で、イスラエルとの新たな外交関係凍結を加盟国に求めていた。今回の声明は国交のあるエジプト、ヨルダン、モーリタニアに対しても、政治的接触を停止するよう勧告しており一歩踏み込んだ形になっている。
 委員会は、昨年9月からイスラエル・パレスチナの衝突が続く中、パレスチナ住民への支援について話し合うため、3月のアラブ首脳会議で設置が決まった。[2001-05-20-18:25] 26
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 05/20@行動計画を採択し閉幕 国連後発発展途上国会議(共同通信)

 【ブリュッセル20日共同】十四日からブリュッセルで開かれていた第三回国連後発発展途上国(LDC=最貧国)会議は二十日、最貧国に対する今後十年間(二○○一―一○年)の国際社会の取り組みを盛り込んだ行動計画を採択し、閉幕する。
 行動計画は@最貧国産品の先進国市場への参入改善A最貧国の債務対策B開発援助資金の使途に対する制限緩和―などを盛り込んだ。法的拘束力はないが、国際社会が合意した「努力目標」となる。
 各国は、最貧諸国には二酸化炭素(CO2)排出に対する責任がほとんどないのに、干ばつなど温暖化の被害を最も被りやすい立場に置かれているとの認識で一致。また最貧国に対し、入手しやすい価格でエイズの治療薬を提供するよう薬品業界に要請。
 しかし、最貧国産品の市場参入機会改善では、最貧国は「二○○三年にすべての最貧国産品の輸入関税や輸入割当量を撤廃する」よう要求。自国の農産物や繊維製品を保護したい日本や米国が強く反対した。
 債務削減問題では、重債務貧困国の債務削減に向けて国際社会が取り組んでいることにならい、重債務貧困国ではない最貧国が二国間の公的債務帳消しを求めた。
 アナン国連事務総長やウォルフェンソン世界銀行総裁らが参加。日本政府は貿易関連の技術支援として最大五十万ドルを拠出する用意があると表明した。(了)[2001-05-20-17:41] 35
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 05/20@ダイヤのデビアス社再び同族企業に 株式公開に幕(朝日新聞)

 世界最大のダイヤモンド生産販売会社であるデビアス(南アフリカ)が、108年にわたる株式公開に幕を引き、再び同族による「私的」企業に戻ることが決まった。18日開かれた臨時株主総会で、大株主のオッペンハイマー家とその関係会社による、株安対策をきっかけにした株式買い付け提案が承認されたため。
 来月にも、ヨハネスブルクとロンドン証券取引所の上場を廃止する。買収総額は187億ドル(約2・2兆円)で、機関投資家の反対を抑えるため当初提案より27億ドルも上積みされた。
 デビアスは世界のダイヤ原石の3分の2までを押さえ、市場を左右してきた。価格が「不透明」との批判に対して、昨年夏には需給調節による価格維持策の取りやめを表明。今年1月には仏ブランド大手ルイ・ヴィトン=モエ・ヘネシー(LVMH)と合弁で宝飾品の小売り分野に進出することも決めた。しかし、今回の上場廃止は一連の「開かれたデビアス」のイメージに逆行するものだ。
 同社は1888年、英国の植民地政治家として有名なセシル・ローズが「金融王」ロスチャイルド家の後押しを受け、南アに設立した。1893年から株式を上場し、1920年代以降は「鉱山王」オッペンハイマー家が経営参加してきた。[2001-05-20-15:02] 40
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 05/20@<アラブ連盟>外相会議、イスラエルとの接触停止呼びかける(毎日新聞)

 パレスチナ情勢緊迫の中、カイロで十九日開かれたアラブ連盟の外相協議は同日夜、イスラエルとの政治的接触の停止をアラブ各国に呼び掛ける声明を発表し終了した。パレスチナ問題での緊急国連安全保障理事会の開催も求めており、イスラエルに外交的圧力をかけるのが狙い。
 声明には連盟加盟国への拘束力はない。
 外相協議にはエジプト、シリアなどアラブ主要国外相のほか、アラファト自治政府議長が出席した。
 声明は(1)自治区住民への暴力と自治区封鎖が続く限り、アラブ各国はイスラエルとの政治的接触を停止する(2)自治区住民保護のため緊急国連安保理か国連総会を開催(3)イスラエルによるユダヤ人入植地の拡大凍結―などを訴えた。
 停止すべき政治接触が具体的にどういったレベルを指すのかは明らかにされていない。
 しかしムーサ連盟事務局長は協議後「イスラエルの銃口の下での交渉など受容し難い」と言明、事態収拾に向けた交渉再開にはイスラエルの暴力停止が前提条件とする自治政府側などアラブ側の主張をあらためて強調した。(カイロ共同)[2001-05-20-10:35] 41
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 05/20@イスラエルと接触停止を アラブ連盟外相協議(共同通信)

 【カイロ19日共同】パレスチナ情勢緊迫の中、カイロで十九日開かれたアラブ連盟の外相協議は同日夜、イスラエルとの政治的接触の停止をアラブ各国に呼び掛ける声明を発表し終了した。パレスチナ問題での緊急国連安全保障理事会の開催も求めており、イスラエルに外交的圧力をかけるのが狙い。
 声明には連盟加盟国への拘束力はない。
 外相協議にはエジプト、シリアなどアラブ主要国外相のほか、アラファト自治政府議長が出席した。
 声明は@自治区住民への暴力と自治区封鎖が続く限り、アラブ各国はイスラエルとの政治的接触を停止するA自治区住民保護のため緊急国連安保理か国連総会を開催Bイスラエルによるユダヤ人入植地の拡大凍結―などを訴えた。
 停止すべき政治接触が具体的にどういったレベルを指すのかは明らかにされていない。
 しかしムーサ連盟事務局長は協議後「イスラエルの銃口の下での交渉など受容し難い」と言明、事態収拾に向けた交渉再開にはイスラエルの暴力停止が前提条件とする自治政府側などアラブ側の主張をあらためて強調した。(了)[2001-05-20-08:20] 42
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 05/20@ウガンダなどに制裁を ナミビアのヌジョマ大統領(共同通信)

 【ナイロビ20日共同】コンゴ(旧ザイール)からの報道によると、ナミビアのヌジョマ大統領は十九日、キンシャサで行われた国連安全保障理事会代表団との会談で、コンゴの反政府勢力を支援するウガンダなどがコンゴ領内に駐留を続ける場合は、国際社会は経済制裁を実施すべきとの考えを表明した。
 大統領は、ウガンダやルワンダがコンゴ国内で二百五十万人を虐殺したと述べた。
 会談には、コンゴのカビラ大統領のほか、コンゴ政府を支援するジンバブエ、アンゴラ、ナミビアの三国の大統領が出席した。(了)[2001-05-20-08:16]
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 05/21@<東論西談>伊総選挙で右派勝利 欧州席巻する大衆迎合主義(毎日新聞)

 イタリアは欧州の大国である。そう言わなければイタリア人は怒る。フランスやドイツと同等の扱いを求める。欧州連合(EU)の前身の欧州共同体(EC)はイタリア抜きで発足しようとしたが、「入れてくれ」とごねた。欧州通貨ユーロもEU各国から「財政が悪くて加盟できない」とけなされ、イタリアは発奮して財政を立て直した。
 なぜイタリアが欧州の大国の序列からはずされそうになるのか。イタリア人は知っているし、他の欧州の人々も知っている。納税精神に欠ける国民に課税しようとして世界で最も煩雑な税制になった。脱税社会はマフィアの地下経済を太らせ、汚職がはびこる。政治家は醜聞にまみれる。
 先の総選挙で勝って政権に返り咲くベルルスコーニ元首相も醜聞だらけ。三つの放送局を所有する富豪の首相がメディアを政治宣伝の道具にする恐れがある。欧州各国メディアは「為政者としては不適格だ」と攻撃した。元首相の政権に参加する右翼政党の排外主義も嫌われている。
 元首相率いる中道右派連合の公約を英日曜紙サンデータイムズは「ポピュリスト・パッケージ(大衆迎合主義者の一括政策)」と呼んだ。大型減税、犯罪対策、不法移民排除など。だが、大衆迎合主義はイタリアの政党に限らない。
 ベルリンの壁が崩壊した欧州では左右の政党の政策の違いが明確ではなくなった。英国の与党労働党は保守党の経済政策を引き継ぎ、ドイツの中道左派政権も減税と民営化という保守政党の政策を採用した。政権を奪取したい各国の野党は大衆の不満ならば何でもすくい取らねばならない。
 さらにEUの統合政策が各国政権の政策を締め付けている。政府が「EUの決めた政策だ」と国民に説明すれば大衆の不満はEUに向けられる。欧州各国の選挙は左右政党の政策的対立から欧州統合主義と大衆迎合主義の対立に転換する傾向が出てきた。
 ベルルスコーニ元首相は「欧州の一員であることを誇りに思う」とEUの不信感をぬぐおうとする。しかし、彼が唱える大型減税と公共投資拡大は財政を悪化させ、ユーロ参加の財政条件をクリアできなくなる恐れがある。さらに排外主義によってEUの加盟国増大に反対する兆候もある。
 昨年に極右政党が政権参加したオーストリアにEU各国は外交の冷却という制裁を課した。だが、イタリアを制裁するのは難しい。ベルルスコーニ元首相は7年前に極右政党を含む連合政権を誕生させた。今になって制裁する理由が付きにくいからだ。
 とはいえ、EUはイタリアを手なずける方法を知っている。ECやユーロの加盟の際に使ったような大国としての誇りを突く手法だ。イタリアに「良識ある大国のはずですよね」と言えば態度を改める。だが、大衆迎合主義を簡単に国策に置きかえる政権が各国で誕生すれば、EUの結束は危うい。まだまだ欧州統合は道半ばである。【欧州総局・岸本卓也】[2001-05-21-01:10] 8
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 05/21@<人と世界>ロシア南部・北カフカス地方 多民族の故郷(毎日新聞)

 ロシア南部の北カフカス地方はチェチェン紛争やテロ事件など暗いイメージが付きまといやすい。だがこの地は、豊かな文化と歴史を持つ多民族の故郷でもある。カフカス人を構成する民族の一つ、チェルケス人の物理学者、ムラート・ホコノフ博士(43)に民族の伝統と誇りについて聞いた。【杉尾直哉】
 ―カフカスと聞くと、泥沼化しているチェチェン紛争を連想しますね。
 ◆長い歴史の間にさまざまな文化が生まれたことを知って欲しい。紀元前3000年にはマイコープ文化という高度な金属文化が栄え、現在のアドゲイヤ共和国(北カフカスでロシア連邦に属する共和国の一つ)でヘビや鳥をかたどった精巧な金細工が発掘されている。
 古代ギリシャの時代には、黒海沿岸にギリシャの植民市が作られた。ギリシャ神話に出てくるプロメテウスは、人間のために火を盗んだ罰としてカフカスの山に縛り付けられたと言い伝えられている。
 キリスト教が最も早く伝わった地域の一つでもあり、1世紀にはチェルケス人にも広がった。
 著名なチェルケス人には、指揮者のテミルカーノフ氏やエリツィン政権の法相で、チェチェン侵攻に抗議して辞任したカルムイコフ氏がおり、文化や政治などの分野で活躍している。
 ――現在カフカスには民族とは?
 ◆30以上の民族が存在する。チェチェン人と同じカフカス諸語系の民族では、私が属するチェルケス人がいる。ほかにイラン語系のオセット人、チュルク語系のアゼルバイジャン人らだ。モンゴルやトルコなどさまざまな民族が進出した結果、複雑な民族・文化構成となった。だが共通する一つの文化がある。中世以降、「ウォルク」と呼ばれた戦士階級が培った精神文化だ。
 ――どんな文化ですか。
 ◆チェルケス社会は、騎士階級を頂点とした階級社会だった。ウォルクは騎士に仕え、主人や年長者への忠誠心や、信念を貫くために死を恐れないことが美徳だった。死よりも名誉を傷つけられることを恐れた。日本の武士道に似た精神で、チェチェン人ら地域の民族にも影響を与えてきた。
 チェルケス人はトルコの支配下で奴隷軍人(マムルーク)となり、1257年から260年間、マムルーク朝としてエジプトやシリアなど中東に君臨した。その名残で現在でもヨルダンでは、国王の警護はチェルケス人が務めている。帝政ロシアの侵略への抵抗など、ウォルクの勇敢な歴史は民族全体の記憶になっている。
 ――今でもウォルク文化は残っていますか。
 ◆私の家では、先祖代々父親から息子へと長さ30センチほどの短剣を受け継いでいる。祖父は剣を軽く握り、手首の一振りで固い物を真っ二つに切断できるほど扱いに慣れていたという。家族の逸話として、語り継ぎたい。女性の場合は銀製のどっしりと重いベルトが母から娘へと受け継がれる。
 日常生活でも、食事の際にテーブルにつくときは、必ず年長者が一番奥の席に座る。敬意を示すためで、年長者の言うことは絶対に従う。私の弟も、私の前では決してたばこを吸わない。明らかに西欧とは違う。
 ――オスマントルコなどイスラム教徒の侵入がありました。今日、イスラムの影響はどうですか。
 ◆民族によって差がある。チェルケス人はチェチェンやダゲスタンほどイスラム信仰が強くなく、古代の多神教とイスラム教が混交している。私はアルコールは飲むが、ブタ肉は、においをかいだだけで体が拒絶してしまう。
 ただ、我々に共通する民族の精神的な象徴が、私の古里カバルジノ・バルカルにそびえる欧州の最高峰、エルブルス山(5642メートル)だ。万年雪に覆われた美しい双峰の山で、日本人にとっての富士山のような存在だ。
 ――チェチェン紛争をどう思いますか。ロシア支配に対する300年の怨念の紛争などと言われますが。
 ◆抑圧が強くなるほど抵抗するのが我々カフカス人だ。本来、チェチェン人は狂信的なイスラム教徒ではなかったはずだが、強い弾圧のために原理主義に陥っている。合理的な解決法は、戦争を終結させ、平和的解決へ向けた交渉を始めることだと思う。
 今のロシアはチェチェン人を「テロリスト」と呼んでいる。また、犯罪者のことを「カフカス人」と呼び、我々をからかうことがある。非常に残念だ。カフカスの英語名はコーカサスだが、「コーカサス人」は一般に「白人」を意味する。ロシア人は自らを嘲笑していると知って欲しい。
 19世紀前半のカフカス戦争でチェルケス人と戦った帝政ロシアの将軍スターリは、(チェルケス民族の一つの)カバルダ人を「模倣すべき手本」と呼び、敵ながら一目置いていた。昔の方が異民族を理解しようと努力していたのではないだろうか。
     ◇    ◇
 「アルプスよりもはるかに大きい山々のつながりで、その周囲には森林、庭園、草原などがはてしなくつづいている。(略)透明な空気が山々の自然美をいやが上にも高め(略)峡谷の暗いかげにかくれた部落にヨーロッパで最も美しい種族が住んでいたりする」(「ロシア文学の理想と現実」クロポトキン)
 ロシア文学を西欧に紹介した亡命革命家クロポトキンは1916年、同書でカフカスを「この地上で最も美しい地方」と呼んだ。19世紀ロシアの詩人プーシキンやレールモントフらも作品に取り上げた。
 だがロシア古典文学に描かれるカフカス人は、抑圧的なロシアへの復讐に燃え、血なまぐさい民として登場することが多い。レールモントフは詩「短剣」(1838年)で「自由のチェルケス人が血の戦いに備えておまえ(短剣)を研いだ」と表現した。このイメージは99年に再燃したチェチェン紛争以降、ロシア人の間で増幅されている。
 ホコノフさんとの出会いは、そうした先入観を改める体験となった。インタビューで大学の研究室を訪ねた際、部屋の奥の席に座るように言われた。「お客の背を入り口に向けてはならない」との民族の慣習からだそうで、日本と似たもてなしに親近感を感じた。
 チェルケス人の勇者たちの名前を連ねた民族の歌をギターで披露してもらった。不協和音を含む7拍子の変則的なリズムが延々と続く。西欧や中東の音楽とも異なる独特の調べだ。陶酔感を誘う音楽に身を委ねていると、異文化が体の中にしみ込んでくる不思議な感じを覚えた。
 帝政ロシアとの戦争で最後まで抵抗した話に及ぶと、ホコノフさんは「日本の神風特攻隊と同じだ」と指摘した。その美意識には戸惑いを感じた。そう告げると、ホコノフさんは「チェチェンのように壊滅的な攻撃を受けて極限状況に置かれれば、あなたもどうなるか分からないのでは」と問いかけた。同じカフカス人として、チェチェン人の窮状について理解を深めて欲しいとの気持ちがにじみ出ていた。
 ホコノフさんの故郷で今も続く悲劇を知るには、ロシアからの視角からだけでは説明しきれないと思った。
◇ムラート・ホコノフ氏
 1958年、北カフカスのカバルジノ・バルカル共和国の首都ナリチク生まれ。同共和国立大教授。高エネルギー粒子の理論研究の世界的権威として知られる。チェルケス人の文化保存活動も精力的に行ない、プロ級の実力のギターで、チェルケス民族の音楽をアレンジし紹介する活動もしている。昨年11月、日本対外文化協会の招待で来日、東京学芸大学で物理学研究を進めている。
◇カフカス地方
 ロシア南西部の黒海とカスピ海に挟まれたカフカス山脈を中心とする約45万平方キロの地方。南にはトルコとイランが控える。
◇チェルケス人
 古来、北カフカスに暮らすチェルケス、カバルダ、アディゲ人ら12民族の総称。13世紀にはモンゴルのキプチャク・ハン国に支配された。16世紀にはオスマントルコの支配下となった。カフカス戦争(1817〜1864年)で帝政ロシアの支配を受け、大多数がトルコに逃亡し、世界に散らばった。現在ロシアに60万人、トルコに300万人、ヨルダンに9万人、シリアに8万人、ドイツと米国に各1万人が住んでいると言われる。[2001-05-21-00:25] 36
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 05/21@<ハンガリー>周辺国の同胞に労働ビザなど特典 周辺国反発(毎日新聞)

 【ウィーン福井聡】旧東欧社会主義圏きっての経済成長を続け、欧州連合(EU)加盟交渉の先頭を走るハンガリーが、周辺国に住む300万人のハンガリー民族に年間3カ月の労働ビザを与えるなどの特典を含む法案を国会に提出し、今月末の成立を目指している。
 労働力不足の解消と同時に、EU加盟前の「駆け込み移住」の大量発生を防ぐのが狙いだが、周辺国は「民族による経済格差を助長する」「大ハンガリー主義の復活だ」と猛反発している。
 この法案は、周辺国のハンガリー系住民を対象に(1)3カ月の労働許可のほか交通費を支給し、ハンガリー国民と同水準の健康保険も認める(2)学生には1年以内の就学許可を与える――との内容。
 中道右派のオルバン首相は「わが国は(経済好況により)労働力不足に直面しており、約100万人の労働力が必要だ。できれば周辺国のハンガリー系住民が一時滞在の形で就労してくれることを望む」と表明。ネーメト外務次官は「EU加盟後は周辺国のハンガリー系住民はハンガリー入国手続きが面倒になり、短期就労を合法化しなければ加盟前に大量移住する可能性がある」と説明している。
 ハンガリーとルーマニアや旧ユーゴ諸国との所得格差は5倍以上あり、ハンガリー系住民に特権を与えることで、それ以外の住民の流入を防ぐ意図も指摘されている。
 ハンガリーは第1次大戦後のトリアノン協定で国土の3分の1を失い、国内人口1000万人に対し、周辺国に300万のハンガリー系住民が居住している。[2001-05-21-19:55] 37
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 05/21@憲法九条守ってと申し入れ 首相に紛争地の若者ら(共同通信)

 旧ユーゴスラビアやイスラエルなど世界の紛争地から来日した二十代の男女五人が二十一日、内閣府を訪れ、小泉純一郎首相あてに「憲法九条は人類にとって重要な財産、守り続けてほしい」とする申し入れ書を提出した。
 五人は、それぞれが紛争地でボランティアや非政府組織(NGO)の一員として活動する若者たち。NGOのピースボートによる第三十三回地球一周クルーズの「地球大学」に国際奨学生として招かれ来日した。
 申し入れ書は「軍隊を送ってくれなくても難民救援や医療援助など他にいくらでも支援する方法はある。日本が憲法九条を捨ててまで軍事的な平和維持活動に参加することを望みません」などと書かれ、内閣府では総務課職員に手渡した。
 申し入れ後、イスラエル人のケレン・アッサフさん(20)は「応対した職員は全く知識も関心もない人だった。真剣に受け止めてくれず失望した。軍事力優先の紛争解決は成功していないことを伝えたかったのに」と、がっかりした表情で話していた。(了)[2001-05-21-18:10] 307
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 05/21@パレスチナ自治区空爆を62%が支持 イスラエル世論(朝日新聞)

 21日付のイスラエル紙イディオトアハラノトは、緊急世論調査の結果を発表、自爆テロの報復としてF16戦闘機で自治区を空爆したことを、62%が「正当化できる」と答え、シャロン政権の強硬策を支持していた。調査は20日に504人を対象に電話で行われた。
 空爆については国連事務総長が「行き過ぎ」と批判するなど外国の反発は強く、イスラエルの新聞も「外交的にマイナス」と批判していた。
 一方、治安について「非常に不安」69%、「不安だ」21%と、9割が不安を訴えた。危機の打開策に関して「暴力停止と引き換えに入植地建設を停止すべきか」という問いに61%が「そう思う」と答え、政権に柔軟姿勢を求めている。[2001-05-21-20:08] 331
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 05/21@<国連会議閉幕>最貧国産品の輸出優遇の行動計画を採択(毎日新聞)

 【ブリュッセル森忠彦】当地で開かれていた第3回国連後発発展途上国会議は20日、最貧国に対する市場開放に向けた優遇措置などを盛り込んだ今後10年間の行動計画を採択し閉幕した。
 特に欧州連合(EU)などが主張した最貧国産品の輸出優遇措置問題では、「すべての産品についての非課税措置を目指す」とした。農産物自由化に抵抗していた日本の意見は退けられ、アフリカ諸国との関係が強い欧州の姿勢が反映された形となった。
 行動計画では、このほかに政府開発援助(ODA)増額、安価なエイズ治療薬提供に向けた薬品業界への要請、地球環境対策など幅広い内容での協力強化が盛り込まれた。法的拘束力はないが、国際社会の達成目標となる。
 日本は会議での演説で、貿易関連の技術支援として最大50万ドルを最貧国に拠出する用意があることを表明した。
 会議ではアフリカ・アジアを中心とする49カ国の最貧国に対する先進国の対応や南南協力の基本方針などが討議されていた。[2001-05-21-12:20] 338
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 05/21@<イタリア>不法移民取り締まりの厳格化を要求 与党書記長(毎日新聞)

 【ローマ井上卓弥】イタリア総選挙で勝利を収めた中道右派連合「自由の家」に属する地域政党・北部同盟のボッシ書記長が20日付け英紙インタビューで、首相就任が確定しているベルルスコーニ元首相に対し、不法移民取り締まりの厳格化を求めた。
 来月初めから本格化する組閣作業を前に、ボッシ書記長は移民や治安問題を担当する内相としての入閣を要求しており、ベルルスコーニ新内閣発足に向けて最大の波乱要因となりそうだ。
 ボッシ書記長はインタビューで「就労契約書を持つ移民のみ入国させる。不法移民を普通の人のように扱うのはやめるべきだ」と述べ、「米国では国境で不法移民を射殺している。われわれも国境警備を厳しくすべきだ」と強硬な主張を展開した。
 その上で、同氏の移民排斥論に懸念を示す欧州連合(EU)との関係悪化も辞さない考えを強調。「私の主張に反対するのはEU内の左翼勢力だ。イタリアの主権を奪い、旧ソ連のような超国家的機関を作ろうとしている」と述べ、対決姿勢を鮮明にした。[2001-05-21-10:10] 315
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 05/21@中田、移籍問題で重大局面 バリ戦起用は来季テストか(共同通信)

 サッカーのイタリア一部リーグ(セリエA)はローマが次節にも十八年ぶりの優勝を決める。同時に、中田英寿の移籍問題も重大な局面に差しかかっている。
 二十一日のバリ戦。カペロ監督は後半34分に、トップ下のトッティを2トップの一方に上げ、中田をトップ下に入れた。トッティと中田の併用。来季の「中田先発」を視野に入れたテストケースとも映った。
 欧州連合(EU)域外の国籍選手の制限枠撤廃以後の2試合、中田はトッティに交代しいずれもチームを救う大きな働きをした。存在価値は一気に高まった。
 しかしそれでも中田は「代打の切り札」的存在でしかなかった。スポンサーとして中田個人に付いている日本企業にとっては、テレビの露出が最大限に保証される状況が好ましい。中田自身も、先発してゲームを作りだす役割を担いたいと望んでいる。
 来季のローマには欧州チャンピオンズリーグ制覇という大きな目標があり、中田にとっても魅力的な大舞台が用意されるが、さかんにうわさされるアーセナル(イングランド)への移籍が実現しても、チャンピオンズリーグには出場できる。その意味で残留にこだわることはないのだろう。
 欧州の多くのビッグクラブが中田の獲得に関心を示しており、ローマは条件がそろえば、中田の希望をかなえる形で移籍に同意するのではないかといわれる。中田の価値は移籍金で五百億リラ(約二十八億円)が最低ラインともっぱらいわれている。(バリ共同=松村圭)(了)[2001-05-21-18:14]
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 05/22@<ポーランド>EU加盟目標 03年から04年に(毎日新聞)

 【ウィーン福井聡】旧東欧圏で欧州連合(EU)加盟交渉で先陣グループの一角、ポーランドは21日、これまでの加盟目標03年を断念し、04年にずらすと発表した。安価な労働力流入を懸念するEU側の事情を背景に加盟交渉が遅れているためで、ブゼック首相が22日、ブリュッセルを訪れ、EU側に通知する。同様に03年を加盟目標にしてきたハンガリー、チェコ、スロベニア、エストニア、キプロス各国の加盟交渉も遅れる可能性が高まった。
 ウォロスキ欧州統合相は「現在のEU議長国・スウェーデンに交渉促進を迫ったが、良い返事はなかった。03年の加盟はもはや非現実的だ」と理由を明らかにした。これに伴い、EU加盟に向けた産業基盤整備計画も先延ばしとなり、03年に着手を予定していた高速道路建設、環境保護対策、農業再編などもずれ込む見通しとなった。
 EU既加盟国の中では現在、1人当たり国内生産がEU平均の40%程度と所得が低いポーランドなどが加盟すれば、大量の安価な労働力流入は避けられないと、ドイツやオーストリアは「当初7年間は自由な労働力移動を規制すべき」と主張。欧州委員会は両国の提案を認め、他の既加盟国は規制期間をより短くする方向で調整中だ。
 だが、EU内の発展途上地域として構造調整基金を受けているスペイン(次期議長国)も「同基金を継続して受けられなければ労働力流入規制短縮に反対する」と主張し始めており、東方拡大交渉には暗雲が立ち込めている。[2001-05-22-20:05] 33
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 05/22@◎コソボ非武装地帯、事実上消滅へ=24日、ユーゴ部隊が全(時事通信)

 【ウィーン22日時事】ユーゴスラビア部隊は24日、一昨年の北大西洋条約機構(NATO)によるユーゴ空爆作戦終了に際し、コソボ自治州境に沿って設置された非武装地帯(幅5キロ、全長約400キロ)の最後に残された未進駐区域(長さ35キロ)への展開を開始する。これにより、非武装地帯全域がユーゴ側の支配下に入り、NATO軍主導のコソボ駐留平和履行部隊(KFOR)とユーゴ部隊の兵力切り離しを目的に設けられた非武装地帯は事実上、消滅する。
 今回の進駐を目前にした21日には、非武装地帯内に拠点を持つアルバニア系武装組織の指導者がNATOの説得の下、今月末までに武装解除と組織解散を誓約する文書に調印。過去1年半近くにわたるセルビア南部地域の紛争が下火になる兆しも出てきた。しかし、強硬派の一部武装グループがあくまで抵抗を続ける懸念は完全には払しょくされておらず、進駐作戦の行方は予断を許さない。 [時事通信社][2001-05-22-14:06] 34
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 05/22@<ユーゴスラビア>「5月中に部隊解体」 アルバニア系ゲリ(毎日新聞)

 【ウィーン福井聡】ユーゴスラビア連邦セルビア共和国南部と同連邦コソボ自治州との州境地帯で戦闘を続けているアルバニア系ゲリラは21日、北大西洋条約機構(NATO)ユーゴ事務所が見守る中、「5月31日までに部隊を解体する」との文書に調印した。
 同ゲリラは昨年1月から、州境地帯でセルビア側に攻撃をしかけ、セルビア軍が応戦した。昨秋ミロシェビッチ前大統領を追放したセルビア新政権は今年に入って「ゲリラは国連が州境沿いに設定した長さ400キロ、幅5キロの緩衝地帯を出撃基地にしている」として緩衝地帯廃止を強く要請していた。[2001-05-22-10:00] 260
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 05/22@5月23日付・編集手帳(読売新聞)

 アフリカ・ザンビアにアンゴラ難民定住地がある。医療施設も乏しいこの地で、十二月から四月までの雨期、マラリアで多くの人々の、それも主に体力の弱い子どもたちの命が奪われる◆マラリア予防に蚊帳の普及を。昨年、「難民を助ける会」(東京)の呼び掛けを小欄でも紹介したが、それに約二千万円の浄財が寄せられ、特製の三千張りの蚊帳が配られた。雨期が終わって、成果はどうだったか◆「定住地内の診療所で患者が前年より三割減りました」と、現地スタッフのケイファス・カコマさんから報告が届いた。子どもの命が救われたと、親たちの感謝の言葉も添えられていた◆五歳未満児死亡率の統計がある。千人の赤ちゃんが生まれて五歳までに何人死ぬか。それをアンゴラでは約三百人と国連が推計している。無論、死因は様々だが、患者で「三割減」の意味の重さは伝わってくる◆約二十人の現地スタッフは難民の中から選ばれた。マラリアの知識と蚊帳の効用を教える寸劇や歌も作り、それが普及に大いに役立った◆定住地に難民流入は続く。昨年は約六千世帯で、その半数に蚊帳が普及した計算だが、今は約八千世帯に膨れ上がった。そのすべての人々に蚊帳を。一口二千円で一層の協力をと、難民を助ける会(電話=03・3495・0808)は呼びかけている。[2001-05-22-22:46] 262 [このページの最初に戻る]


 05/22@<中東情勢>米大使がイスラエル首相と会談(毎日新聞)

 【エルサレム海保真人】イスラエルとパレスチナの衝突収拾を目指した国際調査委員会の報告書発表を受け、米国のインディク駐イスラエル大使は22日、イスラエルのシャロン首相と会談した。首相は米の調停策を歓迎したものの、パレスチナ側の暴力停止を確認するため、「2カ月間の冷却期間」を設けることを要望したという。一方、アラファト自治政府議長は中東首脳会談の即時開催を改めて提唱するなど、交渉は入り口から食い違いが生じている。
 シャロン首相はインディク大使と「無条件の暴力停止」や「治安協力再開」など報告書勧告の履行方法や目標時期について協議した。首相は冷却期間を経た後で、初めて信頼再構築に努めることを強調したという。米側はユダヤ人入植地建設の凍結是非問題はこの信頼再構築段階で協議される予定と解釈している。
 一方、アラファト議長は21日、米の調停を歓迎するとともに、米やエジプト、国連、欧州連合(EU)を交え、昨年10月、エジプト・シャルムエルシェイクで開かれた中東首脳会談と同様の形態での再開催を求めた。背景には国際調査委設置を決めた首脳会談を再現することで、入植地建設凍結や武力報復抑制を渋るイスラエルに対する国際社会の圧力期待する思惑がある。
 しかし、シャロン首相の顧問ギシン氏は「暴力が停止する前に首脳会談は必要ない」と早くも提案を拒絶、先行き困難な滑り出しとなっている。
 インディク大使は22日夜にもアラファト議長と会談し、新たな特使に任命されたバーンズ次期国務次官補による調停策を円滑に発進させたい考えだ。
 だが、双方が報告書に前向きの回答を寄せた直後の18日には、パレスチナ過激派の自爆テロ、イスラエル軍のF16戦闘機報復攻撃が起き、その後も銃撃戦は絶えず、互いの不信感は頂点に達している。
 アナン国連事務総長のほか、独自の仲介案を共同提案したエジプト、ヨルダンも米の調停を歓迎しているが、当事者双方が歩み寄るにはかなりの時間がかかりそうだ。[2001-05-22-21:55] 279
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 05/22@<W杯キャンプ>自治体の誘致合戦がヤマ場(毎日新聞)

 02年の日韓共催サッカー・ワールドカップ(W杯)の出場国のキャンプ地に立候補した自治体の誘致合戦がヤマ場を迎えている。「仮予約」の情報が飛び交う一方で、かさむ財政負担に懸念を抱き辞退する自治体も出始めた。出場国は夏から秋にかけて次々と決まる。 【W杯取材班】
◆トップセールス
 誘致活動をしているのは82自治体・地域。一方、出場国は32カ国(日本で試合を行うのは16カ国)だ。積極的な自治体は、首長自らお目当ての国に出向いたり、相手国の関係者を旅費丸抱えで招いている。
 島根県出雲市は今年4月、「スポンサー料をふっかけず紳士的」との情報で、市長が北欧6カ国を巡回。英語が堪能で、通訳なしで施設や環境をPRし、ある国の関係者からは「他の都市からも大勢来たが、一言も話さず帰りました」というジョークも。
 岐阜県古川町は、Jリーグの名古屋が練習に来た縁で、当時のコーチの母国ルーマニアの一点買い。3月には助役ら一行が私費で予選の応援に渡った。ブラジルには茨城県鹿嶋市長や広島県知事が乗り込んだ。広島県担当者は「ブラジルが予選で勝つたびに祝電を打ちます」と火花を散らす。
 ◆明と暗
 山梨県富士吉田市・河口湖町は51カ国に案内状を送った。5月にオーストリアから「予選を通過したら、視察にうかがいたい」と手紙が届き大喜び。一方、愛知県三好町は海外視察費を計上したものの「どこに行くかも決まっていない」状況で取り残された感も。
 最初の争奪戦に敗れた自治体も出始めた。沖縄県石垣市には昨年秋、フランスから「別のところになりました」と書簡が届き、今は「来てくれるなら、どこでもいい」。宮城県石巻市は本命のイタリアが隣の仙台市に「仮予約」したと知り「辞退も含めて誘致方法を見直さなければ」と話す。
 ◆経済効果は?
 キャンプで観光客増の願いをかける自治体も多い。長野県松本市がはじき出した経済効果は8億3000万円。だが「本当に効果があるのか」という疑問も根強い。
 「欧州や南米が来れば、温泉街に客が戻ってくるというもくろみがあった」という石川県加賀市は、施設整備や警備に膨大な予算がかかると分かり、急に消極的に。愛媛県新居浜市は自治体任せの日本組織委員会(JAWOC)に対し「どこが決まったか情報を提供すべきだ。そうでないと、無駄な税金を使ってしまう」と不満を漏らす。
 既に辞退を表明した佐賀県鳥栖市と鹿児島県国分市には、辞退を検討している自治体からの問い合わせもあるという。[2001-05-22-13:20]
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 05/23@◎弾薬密輸容疑で元国防相逮捕=アルゼンチン(時事通信)

 【サンパウロ23日時事】ブエノスアイレスからの報道によると、アルゼンチンのメネム前政権下で国防相だったアントニオ・ゴンサレス氏が23日、現職だった1993年8月にクロアチアへの弾薬密輸に関与した疑いで逮捕された。
 当時、民族紛争のさなかにあったクロアチアに対しては、国連によって武器や軍事物資の禁輸措置が取られていた。アルゼンチン前政権をめぐっては、91年にパナマへ輸出した武器が不法にクロアチアへ持ち込まれた疑惑も持ち上がっており、これまでにメネム前大統領の側近が逮捕されている。 [時事通信社][2001-05-23-22:51] 27
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 05/23@早期の米軍撤退はない ボスニア議長会見(共同通信)

 【ベオグラード23日共同】昨年十二月の外交関係修復後、初めてユーゴスラビアを訪問したボスニア・ヘルツェゴビナのジブコ・ラディシッチ幹部会議長(国家元首)は二十二日、ベオグラードで共同通信と会見し、ボスニアに駐留する米軍の早期撤退はないとの見方を示した。
 ラムズフェルド米国防長官は米紙との会見で、ボスニアの平和安定化部隊(SFOR)に派遣している約三千三百人の兵士を撤退させたい意向を表明したが、議長は「米軍の存在は地域の安全と安定にとって重要だ」と指摘。SFORは「最低でもあと五年は駐留することになる」と述べ、一九九五年の内戦終結から六年近くたった現在も、約二万人の平和維持部隊の存在が治安維持に不可欠だと強調した。
 ボスニアでは、内戦中に破壊されたバニャルカのイスラム寺院(モスク)の再建式をセルビア民族主義勢力が妨害して負傷者が出たり、クロアチア民族主義勢力が別の「国家」建設を宣言するなど、民族共存体制のひび割れが目立つ。
 こうした動きについて、セルビア人の同議長は「バニャルカのモスクは四百年も続いていた。夏には必ず再建に着手する」と表明。イスラム教徒を含む三民族共存をうたった「(九五年の)デートン合意を変更することは極めて危険だ」として、クロアチア人勢力の分離の動きにくぎを刺した。(了)[2001-05-23-16:11] 29
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 05/23@◎EUと加盟候補国、生産性に格差(時事通信)

 【ブリュッセル22日時事】欧州連合(EU)統計局は22日、EU加盟国(15カ国)と加盟候補国(未交渉のトルコを含む13カ国)の労働生産性に関する調査結果を発表、候補国の生産性が平均で現加盟国の50%以下にとどまるなど、格差が大きいことを明らかにした。
 同調査によると、候補国の労働生産性は平均でEU加盟国の41%だった。国別ではスロベニアが71%、チェコ、ハンガリーがともに58%と高かったものの、ブルガリア25%、ラトビア27%など、EU並みの水準に高めるには大幅な経済改革を必要とする国が目立った。 [時事通信社][2001-05-23-05:56] 212
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 05/23@日本の「地下経済」23兆円も…浜銀総研試算(読売新聞)

 脱税、麻薬取引、売春など、公式の経済統計には表れない「地下経済」の規模が、九九年度に二十三兆二千億円に上り、名目国内総生産(GDP)の4・5%程度に及んでいたと推計するリポートを、横浜銀行系のシンクタンクである浜銀総合研究所が二十三日発表した。民間住宅投資(二〇〇〇年で約二十兆五千億円)にほぼ匹敵する水準だ。
 リポートは、地下経済に流れる資金は税を回避した資金であるとの考え方から、税負担の増減により生じる通貨需要増減の理論値と実際の通貨需要を比較するなどの手法で推計した。国内の地下経済は、バブル経済最盛期の九〇年に約三十三兆五千億円、名目GDPの7・6%を記録してピークに達し、九一年以降は次第に縮小する傾向にある。その理由として、減税による直接税負担の軽減で脱税が減ったことや、暴力団や売春活動への規制が強化されたことなどを要因としている。
 また、浜銀総研は外国研究者の調査による各国地下経済の名目GDP比として、アメリカ7・5%、イタリア23・4%、スペイン21・0%(いずれも九〇年)などを挙げている。[2001-05-23-23:48] 213
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 05/23@フランス、コルシカ島に大幅な自治(朝日新聞)

 ナポレオンの出生地として知られる地中海のコルシカ島に大幅な自治権を与える法案が22日、フランスの国民議会で採択された。島では、イタリア語に近い言語や仏本土と異なる文化を背景に、独立を求める民族主義者のテロが多発。手を焼いた政府が一種の懐柔策として立案した。
 法案のポイントは、法律修正や命令(規則)を制定する権利を、国民議会の厳重な規制の下で、他の地方の地域圏議会にあたる「コルシカ議会」に与えること。島内は山がちで、平均所得も低いことから、特別事情に合致した独自の環境保護や観光振興を期待している。来年以降公布され04年まで試験的に実施。その後憲法を改定したうえで本格導入する。
 だが「立法権を譲り渡すのか」との猛反対が、与野党の枠を超えて上がっている。ルイ14世の時代に中央集権化が進んで以来、パリを頂点としたピラミッド型の政治的、文化的統一性がフランスの背骨になったとの意識が強いからだ。南西部バスク、北西部ブルターニュといった地方の分権運動を加速するとの懸念もある。
 コルシカ島は18世紀後半の併合以前、長らくイタリアの支配下にあった。60年代以降入植や観光開発が進んだことを、地元の若者らが逆に「外部からの侵略」と受け止め、民族運動が高揚。70年代以降テロが頻発し、98年には知事暗殺事件も起きた。ジョスパン首相は「暴力をやめなければ交渉しない」との立場を99年末に転換し、民族主義者を含むコルシカ議会との協議を続けてきた。[2001-05-23-23:38] 216
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 05/23@イラク、制裁緩和の英国案拒否(朝日新聞)

 英国が提案していたイラクに対する制裁を緩和する決議案が22日、国連安全保障理事会に正式に提出された。これに先立ちイラクは21日の閣議で、この決議案を拒否し制裁の全面解除を求める方針を改めて強調した。一方、米国が支持する同案に対し、同じ安保理常任理事国のロシアは22日、現行の制裁の更新時期である来月4日までに内容を詰めるのは無理だとして対抗案を提出。決議案実現は難しそうな気配だ。
 英国案は、イラク国民を犠牲にしないでフセイン政権に対する締め付けを厳しくしようという、米国の「スマート制裁」方針に沿ったもの。軍事関連物資の輸入禁止、監視を強め、それ以外の輸入は認めるのが骨子だ。
 イラク国営通信によると、イラク政府は英国案を拒否したうえで、もし採択されれば、現行の制裁下で認められている食糧や医薬品などを購入するための石油輸出を停止すると表明した。周辺諸国、特にイラクと隣接し、石油取引なども活発に行っているヨルダン、シリア、トルコへの影響もちらつかせた形だ。[2001-05-23-21:26] 217
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 05/23@ソウル大教授会、北朝鮮や中国と連帯を 歴史教科書問題(朝日新聞)

 韓国のソウル大学教授協議会は23日、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の金日成総合大学に「日本の歴史教科書のわい曲阻止のため連帯して闘おう」と呼びかける書簡を送ったことを明らかにした。中国の北京大などにも同様の提案をしたという。韓国の通信社、聯合ニュースが伝えた。
 ソウル大教授協議会は、学内に日本語関連学科を設置するという動きに関しても「教科書のわい曲が是正されない限り阻止する」との方針も明らかにした。[2001-05-23-21:02] 220
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 05/23@<コルシカ島>自治権拡大法案を賛成多数で可決 仏国民議会(毎日新聞)

 【パリ福島良典】フランス国民議会(下院)は22日、地中海に浮かぶコルシカ島に立法権の一部を移譲する自治権拡大法案を賛成多数で可決した。欧州統合の進展で各国中央政府の位置付けが相対的に低下する中、地方の自立機運に拍車をかけそうだ。
 法案は、国民議会の事前承認などを条件にコルシカ地方議会に対して一定の立法権を付与し、地域言語「コルス語」の教育などを認めている。
 法案成立には今後、10月に予定の上院審議のほか、下院での再審議と違憲審査を行う憲法会議の判断が必要となる。
 自治権拡大は社会党のジョスパン首相が熱心に推進しており、政府は来年1月の発効を目指している。
 法案審議は今月15日に始まり、自治権拡大に反発して昨秋、辞任したシュベヌマン前内相が「法案はフランスを脅かす時限爆弾だ」と反対論を展開した。一方、コルシカ民族主義各派は審議開始に合わせて統一新党を結成し、議会への圧力を強めてきた。
 一方、法案をめぐって世論は分裂している。22日付の仏紙に掲載された世論調査では、「法案実施でコルシカに平和がもたらされる」と答えた国民は44%。「かえって民族派の要求が強まる」は、41%だった。[2001-05-23-20:25] 222
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 05/23@◎自衛隊のPKF参加求める=豪外相(時事通信)

 【シドニー23日時事】オーストラリアのダウナー外相は23日、外国特派員協会での記者会見で、「自衛隊の海外派遣ができないのは、現在の国際情勢に合わない。それを阻んでいる諸制度を変更する必要がある」と述べ、日本に対し、東ティモールでの国連平和維持軍(PKF)などへの自衛隊派遣を求めていく考えを示した。 [時事通信社][2001-05-23-20:10] 223 [このページの最初に戻る]


 05/23@<ミャンマー>国連事務総長特使が訪問へ 政治対話の状況確(毎日新聞)

 【バンコク小松健一】国連のミャンマー人権問題を担当するラザリ事務総長特使が来月1日、4日間の日程でミャンマーを訪問する。ラザリ特使にとって4回目の訪問で、政治対話に向けて昨年10月から続けられている民主化運動指導者、アウンサンスーチーさんと軍事政権高官との予備会談の進ちょく状況を確かめるのが目的だ。
 消息筋によると、自宅軟禁下にあるスーチーさんは今年に入って4回、軍情報部のチョーウィン次長と接触し、民政移管に向けた手続きや、政治犯として収監されている野党・国民民主連盟(NLD)の議員らの釈放問題などで協議したという。だが、スーチーさんと軍政側の意見の隔たりは大きく、スーチーさんは予備会談が進展していないことにいらだっているといる。[2001-05-23-19:30] 224
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 05/23@<タリバン>ヒンズー教徒識別の動きを批判 米国務省報道官(毎日新聞)

 【ワシントン中井良則】米国務省のバウチャー報道官は22日、アフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバンが、ヒンズー教徒を識別するため服やバッジの着用を強制させる動きについて、「特定の社会集団に烙印を押し、孤立化させるものだ。ほかの国々や国連とともにこの問題を取り上げる」と非難した。[2001-05-23-18:55] 225 [このページの最初に戻る]


 05/23@ソウル大学の教授会が日本語学科反対(共同通信)

 【ソウル23日共同】ソウル大学の教授協議会は二十三日、声明を発表し、日本の歴史教科書問題で朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)や中国の大学との共闘を推進するほか、ソウル大当局が進めている日本語関係の学科新設に反対する方針を明らかにした。
 同協議会は二十一日、北朝鮮の金日成総合大学と中国の北京大学などに共闘を提案する書簡を出した。
 ソウル大は「学問的価値があるかどうか分からない」などの理由で日本語を正式科目にしていなかったが、東大との交流拡大に伴って来年度を目標に日本語関係学科を設ける方向で準備を進めている。しかし同協議会の反対で難航する可能性も出てきた。(了)[2001-05-23-18:51] 228
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 05/23@8月までに再修正回答要求 歴史教科書で韓国外相(共同通信)

 【ソウル23日共同=安尾芳典】韓国の韓昇洙・外交通商相は二十三日、共同通信と会見し、日本の歴史教科書問題で日本側が検討している日韓の歴史共同研究を中長期的対応としては評価しながらも「今回の歴史教科書が採択される八月までに早急に解決されるべきだ」と強調、同問題が解決されないと日韓関係全般の後退も避けられないとの認識を示した。
 問題となっている歴史教科書が修正なく採択されることに強い懸念を示し、再修正要求に対する日本政府の具体的回答を求めたといえ、「再修正には応じられない」との立場を変えていない日本政府は難しい対応を迫られそうだ。
 韓外交通商相はまた、二十六日に北京で行う日韓外相会談で教科書問題を取り上げるとし、田中真紀子外相の対応に期待を表明する一方、小泉純一郎首相が靖国神社参拝を表明していることについても「復古的で憂慮している」と懸念を示した。
 さらに「歴史教科書問題は最も優先すべき問題」と指摘。韓国側が示した三十五項目の修正要求に対し、日本側が部分的に応じた場合の対応については「日本からの公式回答がない段階では時期尚早」と言及を避け「忍耐を持って肯定的な反応があることを期待している」と述べた。
 中国が韓国同様に、教科書の再修正要求を求めたことについては「中国とはこの問題で共同歩調を取る考えはない」と語った。
 一方、中断している朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との対話については、米国の北朝鮮に対する政策見直しを受け「米朝対話が近く開かれるのに伴い、南北対話も再開されるだろう」との見通しを示した。金正日総書記の訪韓については「必ず実現するが、時期はまだ分からない。入念に準備はしている」と述べた。(了)[2001-05-23-17:47] 229
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 05/23@制裁全面解除狙い揺さぶり 緩和案拒否のイラク大統領(共同通信)

 【カイロ23日共同】イラクのフセイン大統領は、英国が二十二日に国連安全保障理事会に提出した対イラク制裁を大幅に緩和する決議案を拒否、あくまで制裁の全面解除によるイラク包囲網突破を目指す姿勢を鮮明にしている。
 既にフランスやロシアなどの離反で、米英主導のイラク封じ込め体制は大きく揺らいでいた。十年以上にわたる国連制裁をしぶとく生き延びたフセイン大統領は、ブッシュ米政権の中東外交に懸念を抱く親米アラブ諸国指導者の心理を見透かすように、外交的な揺さぶりをかけ始めた。
 フセイン大統領は二十一日の閣議で、新制裁案は「ばかげている」と拒否、「(現行の)制裁は既に失敗した。その代案は制裁解除でなければならない」と指摘し、制裁の全面解除を追求する方針を鮮明にした。
 決議案は、軍事関連を除きあらゆる製品の輸入を認めており、実施されればイラクには大きな前進だ。カイロの外交筋も「イラクは表向きは反対しても、実際には制裁緩和の効果を最大限享受するだろう」と予測する。
 にもかかわらず大統領があえて拒否の姿勢を強調したのは、パレスチナ問題への取り組みに消極的な米国に、アラブ諸国の大衆レベルで反米、嫌米感情が高まっていることを利用し、自国の立場強化を狙っているからだ。
 イラクは既に、今回の決議案に石油輸出停止などの措置で対抗することを示唆。イラクと国境を接するヨルダン、シリア、トルコなどは、米英とイラクとの綱引きの中で苦慮しそうだ。(了)[2001-05-23-16:18] 240
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 05/23@<オバサンジョ氏>毎日新聞と会見 白人農場占拠で楽観的見(毎日新聞)

 来日中のオバサンジョ・ナイジェリア大統領は22日夜、東京の迎賓館で毎日新聞と会見した。南部アフリカ・ジンバブエの白人農場占拠事件で、旧宗主国・英国とジンバブエの仲裁役を務める大統領は「農地問題は近い将来、欧米の資金協力を受け、解決に向かう」と楽観的見通しを示した。
 会見の中でオバサンジョ大統領は「英米、EUは今、真剣に補償金支払いを考えており、問題は解決する。ジンバブエの事件を発端に、白人がアフリカから脱出する事態は決して起こらない」と強調した。
 ジンバブエでは昨年、国土の約半分を握る白人の農場経営者を黒人の元解放闘士が襲撃し、土地強奪事件が多発した。これを受け、アフリカに排他的民族主義が台頭する不安が広がっている。
 英国や米国、欧州連合(EU)は「政府が暴力を止めれば、白人経営者から黒人農家に土地を提供する見返りに補償金拠出などを通じ資金援助する」と公約してきた。だが、ジンバブエ政府側は強奪を容認し、改善は見られなかった。
 また、「白人追放」を扇動してきたジンバブエのムガベ大統領について、オバサンジョ大統領は「私は肌の色で差別しない。大陸生まれなら白人もアフリカ人だ」とムガベ氏の反白人主義を暗に批判した。
 オバサンジョ大統領は、22日に東京で開かれた「ミレニアム・アフリカ再生計画会議」(国連大学など主催)に出席するため来日。最近、アフリカ外交に積極的な日本政府に関して「日本人はアフリカには無知だが、欧米に比べ、アフリカを知りたがっている。その知識欲が関係強化につながる」と評価した。
 また大統領は「昔、アパルトヘイト(人種隔離政策)撤廃を誰も予期しなかった。10年後のアフリカを誰が予想できる。人種・民族問題は残るが、アフリカは確実に良くなっている」と述べ、アフリカの将来に対する悲観論を否定した。【藤原章生】[2001-05-23-09:45] 242
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 05/23@イラク制裁を大幅緩和へ 英が安保理決議案提出(共同通信)

 【ニューヨーク22日共同=伊藤英一】英国国連代表部は二十二日、一九九○年から続くイラクへの国連経済制裁を大幅に緩和、民生品の禁輸措置を全面解除する決議案を安全保障理事会に正式に提出した。
 決議案は石油輸出の売却益を軍事関連物資を除いたあらゆる製品の購入に充てることを認めたほか、ヨルダン、シリア、トルコとの石油直接取引や、イラクへの民間航空機乗り入れも容認。湾岸危機以来十年以上にわたる対イラク国連制裁は大きな転換点を迎えた。採択されれば「制裁は限りなく解除に近づく」(国連外交筋)ことになる。
 英国と決議案作成に携わった米国は、九六年からの食料や医薬品など人道物資購入のための「石油輸出プログラム」が次の期限切れとなる六月三日までの採択を目指している。
 これに対してイラクのサダム・フセイン大統領は、制裁の即時解除を求めて決議案拒否を既に表明、石油輸出の停止を示唆する揺さぶり戦術に出ている。
 イラク寄りのロシアは二十二日「採択には詳細な検討が必要」として、プログラムを延長するだけの別の決議案を提出。軍事物資品目をめぐって協議が長引く可能性も出ている。
 今回の決議案は、国連制裁がイラクの一般国民を苦しめているとの批判を考慮。石油売却益を人道物資の購入に限定した現行方式を撤廃し、一部の購入禁止品目以外は安保理のイラク制裁委員会の承認なしに自由に購入できるようになる。
 決議案によると、ヨルダンなど三カ国それぞれに認められる石油取引は日量十五万バレル。その一方で石油密輸を取り締まる監視体制の確立を各国に要請している。
 国連分担金滞納のため、国連総会での投票権を停止された件では、石油売却益からの滞納分への充当を初めて認めた。
 一方で売却益を国連が管理する方式は変えず、外国による投資や融資の再開は見送った。(了)[2001-05-23-09:42] 243
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 05/23@米戦略見直しの公表延期へ 国防長官主導に議会反発(共同通信)

 【ワシントン22日共同】米国防総省のキグリー副報道官は二十二日の記者会見で、ブッシュ米大統領が二十五日の演説で予定していたラムズフェルド国防長官主導による戦略見直し内容の公表が延期されることになったと述べた。
 国防長官が少数の専門家の意見を戦略見直しに反映させているとして、上下両院の国防関係議員らが反発しているのが原因とみられる。国防長官は二十三日、議会側に戦略見直し草案をあらためて説明する予定だが、見直し作業の難航は必至だ。
 副報道官は会見で「二十五日までに見直し作業は完了しない」と言明。その上で、議会の意見も反映させる国防長官の姿勢を強調するとともに、作業はさらに一カ月以上を要するとの見通しを示した。
 国防長官主導の戦略見直しは、中東と朝鮮半島で同時に起きる大規模紛争への対処を想定した「二正面作戦」の放棄に加え、ミサイル防衛や宇宙防衛の強化、米国内外の基地縮小、装備の大幅な変更など広範にわたる。国防総省内部や米議会からは「現場指揮官、米議会の意見を軽視している」(共和党議会筋)との不満が高まっている。(了)[2001-05-23-09:27] 253
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 05/23@<クローズアップ>台湾総統NY入り 米政権、強気の駆け引(毎日新聞)

 米中関係がきしむ中、台湾の陳水扁総統が21日、ニューヨーク入りし、「親台派」米下院議員との会談などの日程をこなしている。中南米歴訪に向かう「途中降機」とはいえ、外遊の最大の狙いはこの訪米だ。陳総統の訪米受け入れは、変質する米国の対中国、台湾政策の象徴とも言える。
■ワシントン
 バウチャー米国務省報道官は21日、「陳総統への通過ビザは以前も発給した。米中関係に影響を与えるとは思えない」と述べ、陳総統の米国入りは大事件ではないとの公式論を強調した。しかし、ブッシュ政権の台湾政策はクリントン前政権とは様変わりしている。
 とりわけ4月1日の米中両軍機接触事故の後、その変化が目立つ。同月末には台湾に対し潜水艦を含む大規模な武器売却の方針を表明。ブッシュ大統領は有事の際には台湾を軍事力で守ることも選択肢の一つだと発言した。ビザ問題周辺に限ってみても、李登輝前台湾総統への数次ビザ発給、陳総統と議員との会談容認など、新しい対応だ。政権内で対中強硬派・親台湾派が勢いを強めていることを示している。
 テッド・カーペンター・ケイトー研究所副所長は「『米国の政策を条件づけたり指図するな』『クリントン前政権のように何でも中国に譲歩する時代は終わった』と北京にメッセージを送っている。新しい対立的な政策だ」と指摘する。
 米国は昨年、衣料品や機械など1000億ドルを中国から輸入した。巨大な貿易のつながりこそ米国の外交カードだ。米議会は6月、中国に対する最恵国待遇延長の是非を審議する。7月の08年五輪開催地決定とあわせ、中国は当面、米国に強い反発を示せないとみなし、有利な立場にあると思い込んでいるようだ。
 10月のブッシュ大統領の上海でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議出席と北京訪問まで、米政権は強気の駆け引きを続けそうだ。【ワシントン中井良則】
■台 北
 台湾側は、陳総統のニューヨーク訪問と米国会議員との会談を「実質的な米台交流の格上げ」と位置付けている。李登輝前総統の訪日と合わせ、国際的に孤立を強いられてきた外交面での突破口にする方針だ。
 中国の外交圧力に押されてきた台湾にとって、ブッシュ政権誕生は流れを変えるものになった。クリントン政権時代の昨年の中米・アフリカ訪問では、通過はロサンゼルスに限られた。米議員との面会も禁止されたが、今回一転して認められたのはその象徴だ。
 初の政権交代を実現させた陳総統のニューヨーク入りは、それだけで台湾の民主化進展をアピールできる。米国が重視する民主や自由、人権などの価値観を共有することを理解してもらえば、台湾への支持を拡大できるとの思惑もある。
 とはいえ、米国の「一つの中国」政策が根本的に変わったわけではない。中国側の反撃も予想され、陳総統は「米国に過度の期待をすべきではない」と慎重な見方も示している。【台北・近藤伸二】
■北京
 中国外務省の朱邦造報道局長は22日の会見で、陳総統のニューヨーク入りについて「もう一度言うが、『一つの中国』政策を守るよう米国に要求する」と繰り返した。
 中国は「米側は結果についてすべての責任を負わなければならない」(朱局長)と明言しており、中国が対抗措置を発動するか否かが焦点になりそうだ。ただ、厳しい対抗措置は、逆に米国内で「台湾防衛」の世論をあおりかねず、難しい舵(かじ)取りを迫られている。【北京・浦松丈二】
■ニューヨーク
 雨の降りしきるマンハッタン。21日夕、パーク街と51丁目の交差点をはさみ、南側に中国系住民の赤い旗が、北側に台湾系住民の緑色の旗が林立した。
 陳総統は、宿泊先であるそばのホテルに入る前、突然、台湾系住民数百人の並ぶ方に歩き出し「みなさん、ありがとう」と声を弾ませた。警備員の制止を振り切り、交差点の中ほどまで進む総統に「ウォー」という歓声、「がんばれ総統」というかけ声が響いた。
 「陳総統歓迎委員会」は、大型バスをチャーターし、支持者を送り込んできた。しかし、チベット独立支持者の合流申し入れは拒み、「親中共(中国)系の住民から挑発されても相手にするな」とも指示した。歓迎委名誉招集人の蔡仁泰・アジア銀行会長(68)は「これから何度も来てもらわないといけませんから」と説明した。
 訪問に反対する中国系住民も百人を超えた。拡声器で「中華民族万歳」「台湾独立反対」と叫び続け、あまりの音響にニューヨーク市警のパトカーが出動する騒ぎになった。中国武漢市からコロンビア大学に留学している鮑江成さん(29)は「中国の内政に米国が干渉するのはおかしい」と声を荒げた。
 夜、ワシントンから24人の民主、共和両党の下院議員がチャーター機でニューヨークに着き、陳総統と夕食を共にした。
 中国を刺激しないため、記者会見はセットされなかったが、議員は会食後、記者団の前にやってきて「歴史的な訪問だ」「北京の独裁者が怒ることを、恐れるわけにはいかない」と訪問の意義を強調した。【ニューヨーク上村幸治】
       ◆最近の主な米台関係の動き◆
95年6月 李登輝・台湾総統が母校コーネル大訪問のため訪米、中国は翌月に台湾海峡近海でミサイル演習
96年3月 台湾初の総統直接選挙を前に中国が再びミサイル演習、米国が台湾海峡に空母2隻派遣
98年6月 クリントン米大統領が訪中、台湾の独立不支持など「三つの不支持」を表明
00年8月 陳水扁・台湾総統、中米・アフリカ訪問の往路に米ロサンゼルス立ち寄り
01年4月 米国が李前総統に数次ビザ発給
      米国が台湾にキッド級駆逐艦など過去10年で最大規模の武器売却を決定
      ブッシュ米大統領が有事の際の台湾防衛を明言
  5月 陳総統が米ニューヨークで、米国会議員と会談[2001-05-23-02:15] 254
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 05/23@<防衛戦略研究会議>集団的自衛権、解釈見直しを提言(毎日新聞)

 憲法で禁じられている集団的自衛権の行使に関連し、20人の有識者からなる防衛戦略研究会議(渡辺昭夫議長)は22日、「武力行使と一体化した後方支援はできない」との政府解釈の変更を求める報告書をまとめた。日米防衛指針(ガイドライン)で米側から求められる米軍への武器・弾薬の輸送などの後方支援に対し、現行の解釈では制約が大きいことを踏まえたものだ。この問題では、小泉純一郎首相が「憲法の枠内での研究」を表明している。
 報告書は、集団的自衛権の行使を禁じた憲法解釈を全面的に改めることには「日本の抑制的姿勢をどう表現するか」との観点から慎重な姿勢を示し、当面の措置として「『一体化論』をやめれば、日米韓共同演習などの際の障害を低くし、同盟国間の信頼関係強化にもつながる」と記した。
 このほか、優先的に検討すべき政治課題として(1)国連平和維持軍(PKF)本体業務への参加凍結解除(2)多国籍軍後方支援法の制定(3)有事法制の検討――などを挙げた。同会議は99年7月に防衛庁の防衛研究所が設置、20年に向けた安全保障の課題について議論してきた。[2001-05-23-01:45] 257
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 05/23@社説―米国は落選から学べ(朝日新聞)

 米国が国連経済社会理事会の下部機関である人権委員会と国際麻薬統制委員会で、相次いで議席を失った。
 人権委員会は1946年にできた由緒ある機関である。人権問題に関する提案や調査報告などを国連総会に提出している。人権の旗手を自任する米国は、創設時から議席を保ち続けてきた。
 今年のメンバー国の一部改選でも、「西欧・その他の地域」から立候補した。だが、同地域の改選数3に対しフランス、オーストリア、スウェーデンも立候補して競い、米国が落選するはめになった。
 その一方、20年近い内戦によって南部住民が飢餓に苦しんでいるスーダンが、人権委員会に議席を得た。アフリカ地域枠内の調整の結果選ばれたものだが、スーダンを「非民主的なテロ支援国家」と非難する米国にとっては二重の衝撃だった。
 麻薬取り締まりに関する条約の実施状況を監督する国際麻薬統制委員会も一部改選があったが、米国はここでも落選した。
 国連を中心になってつくり、ニューヨークに本部を置き、最大の分担金拠出国でもある米国には、どの委員会にも選ばれて当然という意識がある。それだけに以前から票集めにはあまり熱心ではない。
 とくに、ブッシュ政権は政府人事の議会承認が終わっておらず、国連大使は空席のままだ。そのため選挙に不可欠な各国への根回しが不十分で、票読みも大幅に間違えた、と米国内では指摘されている。
 そうした側面はある。しかし、今回の落選劇から学ぶべきことは、そのような選挙戦術のミスばかりではないはずだ。
 このところ、発展途上国だけでなく欧州の先進諸国からも、米国は国連での協調的な外交姿勢に欠ける、という声が聞かれるようになった。そうした批判に米国は謙虚に耳を傾ける必要がありはしないか。
 対人地雷全面禁止条約や国際刑事裁判所設置条約には署名しない。地球温暖化防止のための京都議定書からも離脱表明する。国際的な枠組みでも、自国にとって有利でなければ米国は従おうとしない。
 他方でミサイル防衛構想などは、がむしゃらに推進しようとする。人権委員会で米国は、中国やキューバを非難する決議案を毎年のように提出してきた。しかし、イスラエル非難決議案には常に反対票を投じ、二重基準だと批判されている。
 世界唯一の超大国が自己中心的な姿勢では、国際社会の共感は得られない。
 米下院は滞納している国連分担金の来年度分2億4400万ドルの支払いについて、「人権委の議席回復」を条件とした。米国がこれ以上国連と対立を深めれば、国連の機能まで大きく損なわれる。
 ブッシュ大統領は「米国的な国際主義を推進する」と述べた施政方針演説の精神に立ち返って議会を説得し、国連と協調していく道を模索してもらいたい。[2001-05-23-00:04]


 (注)この「最近のボスニア」コーナーは、一般に報道されている記事に、千田が一部手直しして掲載しているものです。出所は明示しており、各社・各記者の著作権を侵害するつもりはありませんが、著作権上問題があるとお考えの方や、自分(自社)の記事は載せないでほしいという方がいらっしゃれば、このホームページの感想もふくめて、千田あてに連絡してください。
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