最近のボスニア(旧ユーゴスラビア)情報

(10/18, 2000)


[メニュー]   [自己紹介]   [最近のボスニア]   [リンク]

 10/14@◇「ニース条約」合意へ正念場 EU特別首脳会議が開幕◇(朝日新聞)
 10/14@◇中東首脳、16日に緊急会談へ 暴力回避目指す◇(朝日新聞)
 10/14@ロシア大統領、首長選で軍・治安関係者を支援(読売新聞)
 10/14@<中東>イスラエル軍兵士リンチ殺人の詳細明らかに 目撃者(毎日新聞)
 10/14@<中東情勢>4者首脳会談開催へ アラファト議長が出席に同(毎日新聞)
 10/14@緒方貞子氏後任で外交戦過熱 有力候補国が日本に攻勢(共同通信)
 10/14@◇核廃絶への「道程」案 日本が国連総会委に提出◇(朝日新聞)
 10/14@核廃絶へ具体的道筋を提示 日本、国連総会に新決議案(共同通信)
 10/14@核廃絶決議案を国連総会に提出、具体的目標示す(読売新聞)
 10/14@<国連核廃絶決議案>日本政府が総会第1委員会に提出(毎日新聞)
 10/14@唯一の被爆国の責任を表明 核軍縮停滞の打破狙う(共同通信)
 10/14@<余録>14日(毎日新聞)
 10/14@<中東>増幅するアラブの怒り(毎日新聞)
 10/14@緒方貞子さんにソウル平和賞授与(読売新聞)
 10/14@<サッカーアジアカップ>中東情勢が緊迫する中、レバノンで(毎日新聞)
 10/15@ユーゴ新政権、権力基盤固め着々(読売新聞)
 10/15@ボスニア最高指導部の幹部会議長が引退 (読売新聞)
 10/15@◎下院選を実施=スロベニア(時事通信)
 10/15@<ユーゴ>国名変更の可能性に言及 コシュトゥニツァ新大統(毎日新聞)
 10/15@ミロシェビッチ派退陣要求し、サッカー場で暴動(読売新聞)
 10/15@◇ボスニアのイゼトベゴビッチ幹部会議長、元首を引退◇(朝日新聞)
 10/15@サポーター衝突で37人負傷 サッカーのユーゴスラビアリー(共同通信)
 10/15@セルビア議会24日に解散へ 大統領陣営と社会党が合意(共同通信)
 10/15@スイスがユーゴへの支援強化約束(共同通信)
 10/15@◇モンテネグロ大統領、ユーゴ新政権と対話の用意◇(朝日新聞)
 10/15@◎コソボ独立に慎重姿勢=ユーゴ大統領 (時事通信)
 10/15@◇ユーゴ大統領、EU首脳会議に招かれ外交デビュー◇(朝日新聞)
 10/15@◇「連邦より国家連合」 ユーゴ大統領が仏誌に◇(朝日新聞)
 10/15@ユーゴ「連合」と前大統領派、暫定内閣組閣で合意(読売新聞)
 10/15@ユーゴ新大統領、モンテネグロの連邦離脱容認も(読売新聞)
 10/15@◎ミロシェビッチ氏引き渡し、優先課題ではない=ユーゴ大統(時事通信)
 10/15@<EU>特別首脳会議にユーゴ新大統領参加 国際社会へ復帰(毎日新聞)
 10/15@<ミャンマー>ワ州連合軍が合同軍事演習を実施 タイ国軍情(毎日新聞)
 10/16@◎セルビア暫定内閣で正式合意=社会党政権、名実ともに崩壊(時事通信)
 10/16@<カフェテラス>通過への信用 ブリュッセル 森忠彦(毎日新聞)
 10/16@◇ベラルーシ下院選、首都などで無効に◇ (朝日新聞)
 10/16@<エベレストスキー>スロベニア男性、頂上から直滑降成功(毎日新聞)
 10/16@米の「新干渉主義」に強い警戒感…中国国防白書(読売新聞)
 10/16@◎ユーゴ緊急人道支援で一致=日仏外相 (時事通信)
 10/16@モンテネグロ与党、ユーゴ大統領方針を拒否(読売新聞)
 10/16@英国などと首脳会談 森首相がASEMで (共同通信)
 10/16@都市部中心に14区で再選挙 ベラルーシ議会選(共同通信)
 10/16@着実にユーゴの実権掌握 新大統領就任から10日(共同通信)
 10/16@ユーゴ王国最後の皇太子、一時帰国(読売新聞)
 10/16@スロベニア下院選挙、前首相の返り咲き確実に(読売新聞)
 10/16@<ユーゴ>ミロシェビッチ前大統領の扱いで、国際戦犯法廷が(毎日新聞)
 10/16@ユーゴ新首相人事で新大統領陣批判 与党、民主社会党(共同通信)
 10/16@先進国のアキレスけん突く 市民生活破壊の難点も 海軍報告(共同通信)
 10/16@前首相派が政権奪還へ スロベニア総選挙 (共同通信)
 10/16@◇サッカー場で騒乱 ユーゴスラビア◇ (朝日新聞)
 10/16@◇栄養不良人口半減の目標に遅れ、FAOが警告◇(朝日新聞)
 10/16@<メディア>揺れるロシアのテレビ界(毎日新聞)
 10/16@<パキスタン軍政>クーデター1周年を迎え、孤立化進む(毎日新聞)
 10/16@◇「日本のPKO参加5原則は制約」 米の駐日大使表明◇(朝日新聞)
 10/16@ロシアなどサイバー戦計画 日本の技術拡散懸念 米海軍報告(共同通信)
 10/16@◇アラファト議長、苦渋の出席 16日の中東首脳会議◇(朝日新聞)
 10/16@<人と世界>ポーランドの映画監督 アンジェイ・ワイダさん(毎日新聞)
 10/16@<東論西談>ユダヤ系候補 米、タブーの一角崩れたが(毎日新聞)
 10/17@<記者の目>ユーゴ新政権づくり難航 福井 聡記者(毎日新聞)
 10/17@<ユーゴ>新大統領就任して10日 まだ新政権は樹立されず(毎日新聞)
 10/17@ユーゴ前大統領、隠し資産1億ドル…英紙報道(読売新聞)
 10/17@◎モンテネグロ与党に組閣協力を要請=ユーゴ新大統領、共和(時事通信)
 10/17@セルビア共和国議会選、12月23日に繰り上げ(読売新聞)
 10/17@<ユーゴ>前大統領は国内で訴追へ 微罪の見通し強まる(毎日新聞)
 10/17@ユーゴ前大統領の裁判は国内でと「連合」幹部(読売新聞)
 10/17@ユーゴ軍は新大統領を全面支持(共同通信)
 10/17@選挙不正で前大統領訴追か ユーゴスラビア(共同通信)
 10/17@◎社会党の入閣めぐり対立=ユーゴ連邦の新内閣協議(時事通信)
 10/17@◇ユーゴのセルビア議会、前倒し選挙で正式合意◇(朝日新聞)
 10/17@セルビア共和国の暫定組閣で合意書に署名 (読売新聞)
 10/17@<中東情勢>玉虫色の合意内容でも選挙に配慮 米大統領(毎日新聞)
 10/17@中東会議「まず合意」優先、早期実現には疑問も(読売新聞)
 10/17@<中東情勢>緊急中東首脳会談の合意内容の要旨 米大統領発(毎日新聞)
 10/17@<中東情勢>暴力行為終結措置で3項目の合意を発表 米大統(毎日新聞)
 10/17@中東首脳会議、怒号飛び交う外相会合(読売新聞)
 10/17@ユニセフが黒柳さんに賞 貧困地域の子の救済訴え(共同通信)
 10/17@エリザベス女王、20年ぶりにバチカン訪問(読売新聞)
 10/17@<中東和平>緊急中東首脳会談、エジプトで開幕=替(毎日新聞)
 10/18@<ニュースがわかる>Q&A 旧ユーゴ国際戦犯法廷(毎日新聞)
 10/18@<ユーゴ>新大統領の組閣要請を拒否 モンテネグロ大統領(毎日新聞)
 10/18@「国家連合」望ましい ユーゴ駐日大使 (共同通信)
 10/18@「ボス」去った無法の町 前大統領長男の支配に幕 ユーゴ(共同通信)
 10/18@◇ユーゴ大統領、組閣問題でモンテネグロ政権と合意できず◇(朝日新聞)
 10/18@◎ミロシェビッチ党首の辞任要求=社会党元長老グループが公(時事通信)
 10/18@<東ティモール>難民帰還問題で努力促す 緒方・高等弁務官(毎日新聞)
 10/18@「拷問廃止に支援を」 アジアの被害者らが訴え アムネステ(共同通信)
 10/18@150カ国で拷問、虐待 アムネスティが報告書(共同通信)
 10/18@難民帰還で進展なし 緒方高等弁務官が会見(共同通信)
 10/18@原水禁、原水協ともに集う 広島で対立乗り越え(共同通信)
 10/18@民族抗争で60人死亡 ナイジェリア(共同通信)
 10/18@米大統領、かろうじて面目 「遺産」づくりの夢遠のく(共同通信)
 10/18@衝突即時停止で合意…中東首脳会議(読売新聞)
 10/18@<中東情勢>流動的な情勢に イスラエルとパレスチナ(毎日新聞)
 10/18@<中東情勢>緊急首脳会談、衝突収拾で合意 原因調査委を設(毎日新聞)

 (注)この「最近のボスニア」コーナーは、一般に報道されている記事に、千田が一部手直しして掲載しているものです。出所は明示しており、各社・各記者の著作権を侵害するつもりはありませんが、著作権上問題があるとお考えの方や、自分(自社)の記事は載せないでほしいという方がいらっしゃれば、このホームページの感想もふくめて、千田あてに連絡してください。
 千田あての電子メールはここをクリックしてください。  [最初のページに戻る]


[このページの最初に戻る]

 10/14@◇「ニース条約」合意へ正念場 EU特別首脳会議が開幕◇(朝日新聞)

 欧州連合(EU)の特別首脳会議が13日、議長国フランスのビアリッツで始まった。2カ月後の定例首脳会議(南仏・ニース)で合意をめざす基本条約改正問題が焦点だ。見直し分野は、一部の国が共通政策を先取りする「先行統合」や、多数決の原則化など国益にかかわるものばかりで、調整は難航している。「ニース条約」の成否は、今回の進展にかかっている。
 会議の冒頭、フォンテーヌ欧州議会議長は「ニースで条約改正に合意できなければ、中東欧への拡大はない。中東やユーゴ情勢がどれほど重要でも、この会議の本来の目的を忘れてはならない」と述べた。また、先行統合については「追求すべきだが、欧州議会や欧州委員会を差し置いて、気の合う国々が勝手に進むことの偽装に使ってはならない」とくぎを刺した。
 先行統合はアムステルダム条約によって、共通外交・安保政策を除く分野に導入された。ただ「過半数の申請」「非参加国の同意」など条件が厳しく、実現の見込みは乏しい。そこで、非参加国の拒否権をなくし、参加国数の下限を引き下げる方向で調整が進んでいる。記者会見したベドリヌ仏外相は「先行統合の推進では広い合意がある。問題はその方法だ。EU内に閉鎖的な中核集団を生んではいけない」と語った。
 仏政府によると、各首脳は多数決の拡大について「全会一致ルールからの脱却がEU改革のかぎだ」と強調した。ただ各論では税制、社会保障、地域補助、移民政策、サービス貿易交渉などの分野で、一部の国が全会一致原則の堅持を強く求めている。[2000-10-14-00:15] 70
[このページの最初に戻る]


 10/14@◇中東首脳、16日に緊急会談へ 暴力回避目指す◇(朝日新聞)

 暴力の激化による和平崩壊の危機を救うため、米国などが求めていた緊急中東首脳会談が16日にエジプトの保養地シャルムエルシェイクで開催され、バラク・イスラエル首相とアラファト・パレスチナ自治政府議長の両首脳が出席する。調停にあたっているアナン国連事務総長が14日発表した。会談にはクリントン米大統領のほかムバラク・エジプト大統領、アブドラ・ヨルダン国王も参加する。バラク、アラファト両首脳の会談は、米国務長官が仲介したが失敗に終わった4日のパリ会談以来。2週間で約100人の死者を出したイスラエル治安部隊とパレスチナ人との衝突は、イスラエル軍による自治政府施設空爆、自治区完全封鎖にまで悪化した。この首脳会談が「暴力と敵意の連鎖」を断ち切り、交渉再開の糸口を探るためのぎりぎりの調停の場となる。
 アナン事務総長は、両首脳の出席について、「いくつかの提案はあったが前提条件はない」と述べた。自治政府筋は、出席に応じたのは、条件として求めていたイスラエル軍の武力行使の停止、自治区封鎖の解除について、「アナン事務総長がイスラエル側から確約を取り付けたため」としている。イスラエル側は、「前提条件はない」(ベンアミ外相代行)としているが、会談までに自治区封鎖の緩和などの措置をとり、事実上、こうした条件に応じるものとみられる。現地では13日夜も小規模な衝突が続いており、開催実現までにはなお流動的な要素もある。
 緊急首脳会談では、(1)双方による暴力の停止(2)衝突の原因究明の調査委員会設置(3)再発防止の枠組み――などが主要議題となる。仲介役の米国やエジプトは、双方に衝突の即時停止を求めて事態を沈静化させ、信頼の再構築を図りたい考えだ。
 自治政府側は、国際的な枠組みでの調査委員会の設置とパレスチナ住民のデモに武力で応じたイスラエル側責任者の訴追のほか、イスラエル軍によるヘリコプターや戦車を使ったパレスチナ民衆への攻撃を将来にわたって停止することなどを求めている。一方、イスラエル側は、調査委について、米国主導の構成を求め、衝突についても、アラファト議長がデモを扇動したことが原因との立場をとっており、双方の隔たりは大きい。事態の沈静化が当面の最重要課題となるが、互いに背を向け合う両首脳を対話のテーブルにつかせることで、和平交渉再開についても可能性を探るものとみられる。[2000-10-14-23:54] 71
[このページの最初に戻る]


 10/14@ロシア大統領、首長選で軍・治安関係者を支援(読売新聞)

 【モスクワ14日=瀬口利一】今月十五日から来年初めにかけて行われるロシアの地方首長選で、プーチン政権の庇護(ひご)を受ける軍や治安機関の有力幹部らが新人候補として相次いで出馬する。大統領自身は選挙戦での「中立」を宣言しているが、地方行政で絶大な権力を持つ首長を側近で固め、地方統制の強化を狙う「クレムリンの選挙戦術」との見方が有力だ。
 ロシア連邦を構成する八十九の共和国、地方、州などのうち、十五日のウドムルト共和国大統領選を手始めに、年末までに三十か所以上で任期満了に伴う首長選が実施される。このうち、少なくとも六つの州、共和国で軍、治安機関出身者が立候補する。カリーニングラード州で露海軍バルト艦隊のウラジーミル・エゴロフ司令官(大将)、ウリヤノフスク州でチェチェン紛争で戦功をあげたウラジーミル・シャマーノフ第五十八地上軍司令官(中将)が立候補するほか、クルスク州ではプーチン大統領が中央集権強化の目的で今春創設した連邦管区の下部組織である連邦監察局の現職幹部が出馬。ボロネジ、チェリャビンスク両州、マリエル共和国でも連邦保安局幹部や内務省出身者らが名乗りを上げた。
 反政府系の新イズベスチヤ紙は先月下旬、プーチン政権がこれらの候補者の当選の可能性を探って情勢分析報告を内密に作成したと報道。政権の指揮命令に忠実な人物を地方知事に据えようとするクレムリンの意図があると指摘した。
 ロシアの飛び地カリーニングラード州で政財界の権益を手中にするレオニード・ゴルベンコ知事や、クルスク原潜事故で大統領を激しく攻撃したクルスク州のアレクサンドル・ルツコイ知事(元副大統領)らが、この「現職つぶし」の標的になっている。
 プーチン大統領は先月下旬、国内の七つの連邦管区代表を招集して「(特定候補が)大統領や大統領府との関係を疑われてはならない」と述べ、表向き「不偏不党」の立場を強調した。だが、大統領は七月末、選挙の前哨戦たけなわのカリーニングラード州に入り、バルト艦隊基地を視察。エゴロフ候補と終始行動を共にして有権者に同候補への「肩入れ」を印象づけた。同候補はその後、支持率で現職を引き離し、本命に躍り出た。
 ただ、現職には行政組織や地元メディアを「集票マシン」として総動員できる強みがあるほか、「軍・治安機関出身」の肩書には「強権弾圧」を連想させるマイナス要素もあり、政権の意中の候補が勝てるかどうかはまだ不透明だ。[2000-10-14-23:38] 82
[このページの最初に戻る]


 10/14@<中東>イスラエル軍兵士リンチ殺人の詳細明らかに 目撃者(毎日新聞)

 【ラマラ(ヨルダン川西岸)14日小倉孝保】イスラエル軍によるパレスチナ自治区への本格攻撃のきっかけになったイスラエル軍兵士リンチ殺人事件の詳細が14日、目撃者の証言で明らかになった。事件の背景には、日ごろイスラエル軍の特殊部隊などに監視されているというパレスチナ人の深い不信感があった。
 事件を目撃した複数のパレスチナ人によると、現場はヨルダン川西岸ラマラの中心にある警察署と周辺。12日午後、近くのモスクでイスラエル側との衝突で死亡したパレスチナ人の葬儀があり、多数のパレスチナ人が集まって「イスラエルを許すな」などと叫んでいた。一人が警察署横に停車していた車の中に短銃があると言い出し、大勢が「イスラエル軍の秘密部隊がいるぞ」と叫び出した。
 群衆はこの車を燃やした後、葬儀を眺めていたイスラエル人の男性3人、女性1人を取り囲み、「イスラエル軍の秘密部隊のメンバーだ」などと叫んで殴り始めた。パレスチナ警官多数が駆けつけ、イスラエル人を警察署に連れ込んだが、パレスチナ人の若者多数が署内になだれ込み、イスラエル男性3人に暴行、2人が死亡した。
 目撃者の1人でラマラに住む国連職員マハムード・ズヘーリさん(56)は「無残に殺されたのは気の毒だが、イスラエル軍の秘密部隊は我々がデモなどをすると、もぐり込んで名前を記録したり、ひどい場合は連れ去って暴行したりする。今回の事件は積もり積もった思いが爆発した結果だ」と語る。
 別の目撃者である元教師ムスタファ・ハリールさん(61)も「イスラエル人が武器を持っているという叫びを聞いて、民衆が日ごろ抱いている恐怖心が呼びさまされた」と語った。
 警察署は12日夕、イスラエル軍ヘリコプターの攻撃で大破。14日も立ち入りが禁止され、がれきが散乱したままになっている。
 リンチ殺人の被害者についてイスラエル側は、道に迷って現場に入った予備役の兵士だと主張、軍特殊部隊のメンバーであることを否定している。[2000-10-14-21:35] 89
[このページの最初に戻る]


 10/14@<中東情勢>4者首脳会談開催へ アラファト議長が出席に同(毎日新聞)

 【エルサレム14日海保真人】イスラエル治安部隊とパレスチナ住民の衝突事件の鎮静化を目指して調停中のアナン国連事務総長は14日、アラファト・パレスチナ自治政府議長が、バラク・イスラエル首相、クリントン米大統領、ムバラク・エジプト大統領との4者による緊急首脳会議に出席することに同意したと発表した。バラク首相も出席を確認した。会議は16日にもエジプトの保養地シャルムエルシェイクで開かれる予定で、泥沼化している事態収拾への突破口が期待される。しかし両者の不信感は根強く、情勢は予断を許さない。 
 アナン事務総長によると、会議は第一に停戦合意を目的にし、アラファト議長は「前提条件なしに出席することで合意した」という。議長はこれまで(1)イスラエル治安部隊の撤退(2)自治区の封鎖解除(3)事実調査の国際委設置――を会議出席の前提条件としていた。
 ホスト役のムバラク大統領は中東通信に対し、アナン事務総長のほか、アブドラ・ヨルダン国王、ソラナ欧州連合(EU)共通外交・安全保障上級代表にも出席を要請していることを明らかにしており、拡大首脳会議になる可能性もある。
 パレスチナ住民とイスラエル治安部隊の衝突は、9月28日以来、2週間以上にわたって続き、パレスチナ住民を中心に100人以上が死亡、2000人以上が負傷。最終段階に差しかかっていた和平交渉は崩壊の瀬戸際に立たされ、アナン事務総長、クリントン大統領らが仲介工作を展開していた。[2000-10-14-20:25] 104
[このページの最初に戻る]


 10/14@緒方貞子氏後任で外交戦過熱 有力候補国が日本に攻勢(共同通信)

 【ニューヨーク14日共同】今年末に任期切れとなる国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の緒方貞子高等弁務官の後任人事をめぐる外交戦が過熱している。アナン国連事務総長は今月中に後任を指名する意向だが、有力候補を抱える国は自国出身者を各国に売り込むロビー活動を展開、特に緒方氏の出身国として影響力行使が期待される日本への攻勢を強めている。
 国連外交筋によると、事務総長は後継候補を五人に絞り込んでおり、現在までのところ国連東ティモール暫定統治機構(UNTAET)のデメロ事務総長特別代表(ブラジル)と国連コソボ暫定統治機構(UNMIK)のクシュネル事務総長特別代表(フランス)の二人が有力。これに次いでオランダのプロンク住宅・国土開発・環境相らの名前が上がっているほか、UNHCR内部の昇格人事も検討されているという。
 最終決定権は事務総長にあるが、ブラジル、フランスなどは国連ミレニアム総会の場などで各国の支持を取り付けようと躍起だ。中でも日本の国連代表部には、十月に入って推薦を求める電話や面会依頼が相次いでいる。
 国連内では「緒方さんからあの人がいいと事務総長に口添えしてほしいため、日本に攻勢をかけているのでは」との声も聞かれるほどで、十年間にわたる緒方氏の活躍で「世界中の難民の守護者」(米下院決議)となったUNHCRの最高ポストは「限りなく魅力的」(同筋)のようだ。(了)[2000-10-14-15:11] 118
[このページの最初に戻る]


 10/14@◇核廃絶への「道程」案 日本が国連総会委に提出◇(朝日新聞)

 今春の核不拡散条約(NPT)再検討会議で「核廃絶達成への、核保有国による明確な約束」を取り付けたことを受け、日本政府は13日、国連総会第1委員会(軍縮)に「核兵器の全面的廃絶への道程」と題した決議案を提出した。NPT最終文書に盛り込めなかった包括的核実験禁止条約(CTBT)の2003年までの発効、などを盛り込んでいる。
 決議案は、CTBTの発効に期限をもうけるという従来の日本の主張を再度、主張しているほか(1)それまでの間、核実験を停止する(2)兵器用核分裂性物質の製造禁止(カットオフ)条約交渉の即時開始と2005年までの早期終結、それまでの間の製造停止(3)米ロによる第3次戦略兵器削減条約(START3)以降の核軍縮プロセスの継続と、核廃絶達成に向けたさらなる核兵器削減(4)核不拡散・核軍縮促進のため、市民社会による建設的役割の呼びかけ、などを盛り込んでいる。
 今回の第1委員会に提出された各国の軍縮提案は、全般的に先のNPT再検討会議での合意を大きく踏み出す内容にはなっていない。日本案はむしろ積極的な姿勢をみせているが、核保有国を巻き込む現実路線をとっているため、「明確な核廃絶の約束」を具体的に示すような内容には乏しい。[2000-10-14-12:25] 129
[このページの最初に戻る]


 10/14@核廃絶へ具体的道筋を提示 日本、国連総会に新決議案(共同通信)

 【ニューヨーク13日共同=伊藤英一】日本政府は十三日、国連ミレニアム総会の第一委員会(軍縮)に核兵器廃絶の具体的道筋を盛り込んだ新決議案「核兵器の全面的廃絶への道程」を提出した。
 今年五月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議で「核廃絶に向けた明確な約束」がうたわれたことを受け、日本が一九九四年から毎年提出してきた「究極的核廃絶」決議案に代わるもので、核兵器の廃絶をより現実的な課題とすることを目指している。河野洋平外相が九月の一般演説で提出を表明していた。
 決議案は米ロ間の第三次戦略兵器削減条約(START3)発効後も核軍縮プロセスを継続、さらに大幅な核兵器削減によって最終的には「核のない世界」の実現を追求するとしており、今後、核大国を巻き込んだ激しい議論が展開されそうだ。
 決議案は@包括的核実験禁止条約(CTBT)の二○○三年までの発効とそれまでの核実験禁止A兵器用核分裂物質生産禁止(カットオフ)条約交渉の即時開始と二○○五年までの妥結、発効までの生産停止BSTART2の早期発効とSTART3交渉の早期開始―などを提示。
 米本土ミサイル防衛(NMD)構想で米国がロシアに修正を求め続けている弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約については「維持、強化する」と、修正に含みを持たせたNPT会議最終文書の表現を踏襲した。
 決議案はさらに、核保有国に核兵器の情報公開や安全保障面での核兵器の役割縮小を求めた上で、大幅な核兵器削減による「核廃絶のための最終段階」を経て「核のない世界」の実現を目指すとしている。
 また核拡散防止分野では、大量破壊兵器とその運搬手段の拡散防止や、テロ集団など国家でない団体に核兵器関連物質を入手させないよう呼び掛けている。(了)[2000-10-14-11:13] 131
[このページの最初に戻る]


 10/14@核廃絶決議案を国連総会に提出、具体的目標示す(読売新聞)

 【ニューヨーク13日=松浦一樹】日本政府は十三日夕、核兵器全面廃絶に向けての具体的な道筋を示す核軍縮決議案を国連総会第一(軍縮問題)委員会に提出した。
 日本は九四年来、六年連続で核究極廃絶決議案を国連総会に提出、いずれも採択されているが、今回はこれまでよりも一歩踏み込み、核実験全面禁止条約(CTBT)の発効期限を「二〇〇三年」とするなど具体的な目標を提示し、核保有国に対して核軍縮推進を強く迫った。
 新決議案は「究極廃絶」の文言を外して「核兵器全面廃絶への道程」と題し、十二項目で構成。今年四―五月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議で採択された最終文書を踏まえ、核保有国による核全面廃絶への「明確な約束」を再確認した上で、CTBTに発効期限を設けた。
 また、兵器用核分裂物質生産禁止(カットオフ)条約の即時交渉開始と「二〇〇五年」までの妥結と、条約発効までの生産凍結を呼びかけるなど、各国に「現実的な軍縮措置」を取るよう促している。
 いったん削減した核兵器を再び増やすことを認めない「不可逆性」の原則、核保有国による一方的または交渉による核削減の一層の努力、核兵器能力の透明性の向上、非戦略核兵器の一層の削減――など、過去の決議案に盛り込まれた項目も改めて付け加えた。
 新決議案は、NPT再検討会議の最終文書にも含まれなかった年限目標が加えられていることなどから、一部加盟国が強く反発しており、採択に向けての委員会協議は、難航が予想される。
          ◇
 ◆日本政府の核軍縮決議案要旨◆
 【ニューヨーク13日=松浦一樹】日本政府が十三日に提出した核軍縮決議案の要旨は以下の通り。
 ▽核保有国の核全面廃絶に向けた「明確な約束」を盛り込んだ核拡散防止条約(NPT)再検討会議最終文書の採択を歓迎する
 ▽核実験全面禁止条約(CTBT)の二〇〇三年までの発効を目指す。条約発効まで核実験を凍結する
 ▽兵器用核分裂物質生産禁止(カットオフ)条約交渉を即時に開始し、二〇〇五年までの妥結を目指す。条約発効まで、生産を凍結する
 ▽核軍縮の不可逆性の原則を確認する
 ▽第二次戦略兵器削減条約(START2)の発効と全面履行、START3の交渉開始と妥結、弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約の維持・強化を呼びかける
 ▽すべての核保有国に<1>一方的または交渉による一層の核削減努力<2>核兵器能力に関する透明性の向上<3>非戦略核兵器の一層の削減<4>安全保障における核兵器の役割の縮小――などの軍縮措置を求める
 ▽大量破壊兵器とその運搬手段の拡散防止に向け、一層努力する[2000-10-14-11:05] 132
[このページの最初に戻る]


 10/14@<国連核廃絶決議案>日本政府が総会第1委員会に提出(毎日新聞)

 【ニューヨーク13日上村幸治】日本政府は13日、国連総会第1委員会(軍縮関係)に対し、核兵器廃絶を求める決議案「核兵器の全面的廃絶への道程」を提出した。日本は1994年から毎年、核廃絶に関する決議案を提出しており、今回で7年連続となった。
 決議案は、今年春の核拡散防止条約(NPT)会議で核兵器保有国が「核兵器の全面的な廃絶を明確に約束」したことを歓迎し、同時に「核廃絶達成に向けて、さらに切り込んだ核兵器の削減」を行うよう求めている。
 さらに、NPT会議が「核実験全面禁止条約(CTBT)の早期発効」を促したのを受け、同条約を「2003年までに発効させる」よう目標期限を設定した。また、中国の抵抗で作業の遅れている兵器用核分裂物質生産禁止(カットオフ)条約交渉について「条約発効までの生産凍結」を要請している。
 一方、米国とロシアによる第3次戦略兵器削減条約(START3)については、その早期開始と妥結を求めるだけでなく、「START3以降も、核軍縮プロセスを継続する」よう促している。
 今回、多くの国がNPT会議の決定を踏まえた提案を行っているが、日本案は決定よりさらに踏み込んで核軍縮を求めている。したがって、決議が多数の国の支持で採択されれば、核保有国に一定の圧力を加えることになる。[2000-10-14-10:55] 142
[このページの最初に戻る]


 10/14@唯一の被爆国の責任を表明 核軍縮停滞の打破狙う(共同通信)

 【ニューヨーク13日共同】日本が十三日に提出した核廃絶決議案は、核拡散防止条約(NPT)再検討会議での成果に安住することなく、二十一世紀に向けた廃絶の道筋を示そうと、唯一の被爆国としての責任を表明したものだ。
 核軍縮分野では、核保有国が核廃絶に向けた「明確な約束」をした五月のNPT会議で近年にない盛り上がりを見せた。しかし、九月のジュネーブ軍縮会議では、米本土ミサイル防衛(NMD)構想をめぐって紛糾し、具体的な核削減論議が進展しなかったため、軍縮会議の「無用論」すら出始めていた。
 こうした状況の打破を狙ったのが今回の決議案で、戦略核弾頭数を二千―二千五百まで削減する第三次戦略兵器削減条約(START3)発効後も「さらに大幅な核兵器削減」を求めたことが最大の特徴となっている。
 日本交渉筋によると、核保有国からは「急進的で、賛成できない」との反応が早くも寄せられているという。しかし日本は「NPTのような全会一致方式でなく賛成多数で採択される国連総会では、譲歩するよりも日本の主張を明確にすることが肝心だ」(同筋)との姿勢から、あえて急進的な決議案の提出に踏み切った。(了)[2000-10-14-10:02] 156
[このページの最初に戻る]


 10/14@<余録>14日(毎日新聞)

 1992年、韓国大統領選に敗れた金大中(キムデジュン)氏は政界を引退、英国ケンブリッジで勉学にいそしんだ。ドイツに足を延ばしたとき、目からうろこが落ちた思いがした▲何をなすべきか、瞬時に悟った。そのために英国滞在中、3度ドイツを訪れ、各方面の人々と話し合った。ドイツは統一したにもかかわらず、経済的・社会的格差から生じる国内の分断はなお一層進んでいる。ドイツのような性急な統一、吸収型統合であってはならない▲ベルリンの壁の残がいの前で、祖国の統一のための研究に余生をささげようと決心した。「私を大統領選で落選させた天の意思は、韓国国民ばかりでなく、わが民族全体にとって正しい統一の道を用意させるところにあったのではないか」と思ったと述べている▲金大中氏は困難にぶつかったとき、机の上に白紙を広げ、紙の中央に縦線を引き、右側に現在の問題点、左側に残された可能性を書き出すことにしているそうだ。政界に復帰して大統領に就任してからも、盛んに問題点・可能性対照表で祖国の統一を検討したことだろう▲金大中氏は東欧を歴訪して面白いことに気がついた。米国や日本、ドイツのように民主主義が定着した国の指導者は、自分の意見を述べるよりも相手の発言に耳を傾ける。東欧の指導者はほとんど例外なく、自分の所信をとうとうと述べて、対話の相手にしゃべる機会を与えてくれない。独裁下で発言を封じられた反動かもしれない▲独裁者の言動に自分も汚染されたのかもしれない。「対話と無縁の環境が彼らの環境であったせいかもしれません」と金大中氏は「新しき出発のために」(朝日新聞社)で書いている。そういえば、南北首脳会談で金正日(キムジョンイル)総書記はびっくりするほど多弁だった。金大統領は耳を傾けながら、くすぐったい思いだったかも。[2000-10-14-01:56] 165 [このページの最初に戻る]


 10/14@<中東>増幅するアラブの怒り(毎日新聞)

 「シャロン氏(イスラエル右派・リクード党首)がハラム・アッシャリーフ(エルサレム旧市街のイスラム聖地)を侵害し、アラブ民衆は怒りの権利を手にした」
 エジプト政府系紙「アル・アクバル」に載った論評はアラブ諸国のイスラム教徒に共通した感情だ。それはメッカ、メディナに次ぐ第3の聖地を汚されたとの思いなのだ。
 1982年、イスラエルがレバノン侵攻した直後、ベイルートのサブラ・シャティーラ・キャンプで起こったパレスチナ難民大虐殺事件で、責任を指摘されたのが当時、国防相だったシャロン党首だ。バラク・イスラエル首相が「非常事態挙国一致内閣」のパートナーしてシャロン党首に打診したことで、アラブ民衆は一層、「憎悪」の感情を増幅させている。
 反イスラエル、反欧米感情のうねりは、もはやイラク、リビアなどに留まらず、ペルシャ湾岸諸国など親米諸国にまで及んでいる。今月9日、クウェートでは5000人を超える民衆が「イスラエルに死を!」「米国に死を!」と叫び、「不当な侵略」に対する武装闘争を呼びかけた。
 サウジアラブアでもベールに身を包んだ女性らが抗議デモをした。エジプトではカイロ大学などで連日のように数千人規模の学生デモが起こり、多数の逮捕者が出ている。アラブ民衆は中東和平交渉や核保有疑惑などをめぐり、欧米諸国にが「イスラエルに肩入れしている」との根強い不信感を抱いており、これがイエメンでの米駆逐艦や英大使館へのテロにつながったといえる。
 イラク軍によるクウェート侵攻(90年)を機にアラブ諸国は分裂、エジプト、サウジアラビア、シリアなどは米軍主体の多国籍軍に参加した。アラブ諸国はイラク問題をめぐる対立が元で足並みが乱れ、イスラエルに強硬派のネタニヤフ政権が誕生した直後の96年6月以来、首脳会議が開けないでいた。
 だが、アラブ民衆は本来、同じ言語、宗教を持つ「同胞」としての意識が強い。フセイン・イラク大統領への評価を別にしても、国連経済制裁下で多数の乳幼児が犠牲になっているイラクの現状への同情は強い。
 パレスチナ・イスラエルの衝突を機に、今月21、22日、カイロで4年ぶりのアラブ首脳会議開催が決まり、アラブ諸国が再結束の動きを加速している。独裁的なアラブの指導者も配慮せざるを得ないほど民衆の怒りは沸点に達している。 【カイロ・高橋弘司】[2000-10-14-00:51] 171
[このページの最初に戻る]


 10/14@緒方貞子さんにソウル平和賞授与(読売新聞)

 【ソウル13日=白川義和】韓国のソウル平和賞文化財団は十三日、ソウル市内のホテルで緒方貞子・国連難民高等弁務官に同賞を授与した。難民問題への献身的な取り組みなどが評価されたもので、日本人の受賞は初めて。[2000-10-14-00:21] 138 [このページの最初に戻る]


 10/14@<サッカーアジアカップ>中東情勢が緊迫する中、レバノンで(毎日新聞)

 イスラエルとパレスチナとの衝突で中東情勢が緊迫する中、イスラエル北部に隣接するレバノンで、サッカーのアジア最強国を決める第12回アジアカップが開かれている。トルシエ監督率いる日本代表は14日午後、南部の都市サイダで初戦のサウジアラビア戦に臨むが、このスポーツイベントを国際的なイメージアップや経済活性化につなげたいレバノンでは、「戦時態勢」とも言われる隣国での情勢悪化も、外見上はどこ吹く風という雰囲気だ。 【ベイルート・小坂大】
■紛争慣れ?
 「ミサイル攻撃? (車で)1時間半も離れた所の出来事さ」。首都ベイルートのスポーツシティスタジアムに5万人の大観衆を集め、盛大な開会式が行われた12日午後、レバノンの組織委員会役員は事もなげに言った。レバノンから約200キロ離れたヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ラマラでの、イスラエル軍によるミサイル攻撃について、感想を尋ねた時のことだ。
 西に地中海、東に2000メートル級の山脈が控え、岐阜県とほぼ同じ面積のこの国では、「ミサイル」「爆撃」という言葉の響きは日常茶飯事のものらしい。今年2月にはベイルート郊外の発電所がイスラエル軍の夜間攻撃で黒焦げとなったが、近くの小学校では攻撃の翌日も通常通り授業が行われた。5月にイスラエル軍がレバノン国内から撤退した後も、ピンポイント空爆は断続的に行われている。
■準備不足の中で
 レバノンでのアジアカップ開催については、今回の中東情勢悪化以前から、アジアサッカー連盟(AFC)関係者などの間で開催を危ぶむ声が上がっていた。ベイルートや、第2の都市トリポリ、パレスチナ難民キャンプが隣接するサイダの計3カ所でのスタジアム建設が大幅に遅れたためだ。しかしレバノン側は、AFCが示した他国での代替開催案を拒否し、何とか開催にこぎつけた。国内でのチケット販売は、今月3日に開始するという異例の過密日程だった。
 厳重な警備の中、開会式に出席した国際サッカー連盟(FIFA)のブラッター会長は「幾多の困難を乗り越えての開催に賛辞を贈りたい」とあいさつ。レバノンのラフード大統領は「アラブの団結」と大会成功を高らかに宣言した。
■渡航延期勧告
 「最近完成したばかりなんだ。すごいだろ? 日本はいい国だが、レバノンもいい国だ」。ベイルートのタクシー運転手が、スポーツシティスタジアムを指さして誇らしげに言った。ベイルートでは長く続いた内戦の傷跡が今も生々しく残る。今回のアジアカップ開催は内戦からの復興を国内外にアピールする絶好の機会だ。さらに「中東のスイス」と呼ばれるレバノンにとって、観光は基幹産業の一つだ。失業率が30%を超え、経済成長が停滞する中、決して譲れないのがアジアカップ開催だった。今大会では市内のホテルが宿泊料を一律10ドル値上げする、したたかな商法を見せている。
 大会日程は今のところ予定通り消化されているが、日本の外務省は旅行者に対し、レバノン全域について注意喚起、南部については渡航延期勧告を出している。今後についても「どう展開するのか予測しにくく、注意深く見守っている」(レバノン日本大使館)と慎重な姿勢だ。サウジ戦を前にした日本代表も13日、軍隊に守られて最後の調整を行った。
 ■さて日本は
 23歳以下のメンバー主体で戦ったシドニー五輪では8強入りしたトルシエ・ジャパン。今大会からは2002年のワールドカップ(W杯)に向けて、年齢無制限のフル代表の強化に入った。6日に日本をたち、フランスで練習試合をこなしてから11日にレバノン入りした。アフリカ諸国で監督の経験があるトルシエ監督は「受け入れ態勢はいいと思う」と今大会の印象を語る。14日の初戦(日本時間午後11時キックオフ)の相手は強豪のサウジアラビアだ。
 高い身体能力と中東勢独特の試合運びのうまさに対して、エースの中田英寿(ローマ)抜きの日本が正面きって立ち向かうことができるか。
 トルシエ監督は「日本人が自分のことを表現するのはカラオケに行ったときだけ。もちろん私は過去2年間も彼らと付き合っていて、意思は伝わってきているけどね」と、毒舌家らしく独特の日本人観で、今回の大会に向けた抱負を語った。[2000-10-14-10:26]
[このページの最初に戻る]


 10/15@ユーゴ新政権、権力基盤固め着々(読売新聞)

 【ベオグラード15日=島崎雅夫】ユーゴスラビア連邦(セルビア、モンテネグロ両共和国で構成)のコシュトゥニツァ大統領が新政権発足一週間を経て、内政、外交で着々と権力基盤を固めている。連邦、セルビア共和国で暫定内閣樹立への道筋を付け、十四日の欧州連合(EU)首脳会議への初外遊ではユーゴの「欧州復帰」を内外にアピールした。
 一方、失脚したミロシェビッチ前大統領の政治的影響力は急速に低下している。ただ、経済再建など前政権が残した負の遺産は大きく「新生ユーゴ」を目指す新政権は依然、試練に直面している。
 コシュトゥニツァ大統領は十五日も終日、「民主野党連合」幹部と、ユーゴ連邦、セルビア共和国での暫定内閣組閣について最終調整を行った。同大統領は、ここ数日は外国からの要人との会談を控え、内政問題に集中する意向を表明した。
 ユーゴ連邦の暫定内閣組閣では、「連合」は先の総選挙でモンテネグロ共和国で第一党となった社会人民党から支持を取り付け、同党からの首相起用で合意した。連邦議会で単独過半数を得ていない「連合」にとって、社会人民党との連立は安定政権のため不可欠で、最大の課題を克服した。
 また、ユーゴ政局に大きな影響を及ぼすセルビア共和国では、マリャノビッチ首相の更迭と内務、情報など主要四閣僚を「連合」や社会党などの四党で分け合うことで議会最大の社会党と合意。コシュトゥニツァ大統領は十五日、「暫定内閣は数日以内に発足する」と自信を示した。
 外交面では、EU首脳会議で、二億ユーロ(約百九十億円)の経済支援の約束を取り付けた。同大統領は「カネだけでなく欧州諸国の信任を得た。ユーゴ民主化の原動力になる」と意義を強調した。
 コシュトゥニツァ新政権による民主化努力は、ミロシェビッチ前大統領派との力の逆転が順調に進んでいることも物語る。前大統領が党首を務める社会党の地盤は崩壊状態で、党体制の見直しに動き始めた。十二日にはミロシェビッチ前大統領の側近だった党幹事長と副党首を解任、同党のホームページからは、ミロシェビッチ前大統領の肖像写真も消えた。
 社会党の地方支部からも、前大統領の党首辞任を求める声が日々高まっている。同前大統領は、支持母体だったセルビア警察を使って巻き返しを図っているが、「政権の座を一度降りた者が復権するのはほとんど困難」(外交筋)な状況だ。
 ただ、課題も山積している。モンテネグロ共和国は「独立」への傾斜を弱めていない。コシュトゥニツァ大統領は十四日、国民投票で「独立」の意思が示されれば、その意思を尊重する姿勢を示したが、セルビア共和国には「セルビア至上主義」を理由に独立に反対する声も強く、暫定内閣発足後、最大の政治問題になる恐れがある。[2000-10-15-22:34] 4
[このページの最初に戻る]


 10/15@ボスニア最高指導部の幹部会議長が引退(読売新聞)

 【ウィーン15日=佐々木良寿】ボスニア・ヘルツェゴビナのイスラム教徒指導者で同国の最高指導部である幹部会議長だったアリヤ・イゼトベゴビッチ氏(75)は十四日、幹部会議長とともに幹部会員の職も辞任した。同会員の任期は二〇〇二年十月まで残っているが、幹部会議長の任期は今月末だった。健康問題とボスニア復興を主導してきた欧米への反発から辞任したものと見られる。ただし、同氏は民族主義政党「民主行動党」での活動は続けると述べた。
 ボスニア幹部会は、セルビア人、クロアチア人、イスラム教徒三勢力の代表者で構成されている。ボスニア内戦時にクロアチア人を指導したトゥジュマン・クロアチア大統領は昨年十二月に死亡、セルビア人の後ろ盾となったユーゴのミロシェビッチ大統領は今月初めの民衆蜂起で退陣しており、同氏の辞任によってボスニア内戦の各勢力指導者は全員、政治の表舞台から消えることになった。[2000-10-15-20:53] 5
[このページの最初に戻る]


 10/15@◎下院選を実施=スロベニア(時事通信)

 【ウィーン15日時事】スロベニアの下院(定数90議席)選挙が15日行われた。欧州連合(EU)への加盟交渉を進めている同国が、安定政権を樹立できるかどうかが最大の焦点。即日開票され、15日夜(日本時間16日未明)には大勢が判明する見込み。
 事前の世論調査では、今年4月に議会の不信任により辞任したドルノウシェク前首相率いる自由民主主義党が第1党の座を維持する公算が大きい。しかし、同党の議席数は過半数には及ばないとみられ、他党との連立工作の行方が注目されている。
 スロベニア下院選は1991年に旧ユーゴスラビアから独立して以降、3回目。 [時事通信社][2000-10-15-20:41] 6
[このページの最初に戻る]


 10/15@<ユーゴ>国名変更の可能性に言及 コシュトゥニツァ新大統(毎日新聞)

 【ビアリッツ(仏南西部)15日橋本晃】ユーゴスラビア連邦(セルビア、モンテネグロ両共和国で構成)のコシュトゥニツァ新大統領は、14日発売の仏フィガロマガジン誌のインタビューで「クロアチア、スロベニアが離脱した以上、すでにユーゴスラビア(南スラブ)連邦の名は意味をなさない」と国名変更の可能性に言及した。
 新大統領はインタビューで、変更について「国民が望むなら」との条件を付けながらも、セルビアとモンテネグロの関係は「(連邦よりも結びつきの緩やかな)国家連合の方が適当だろう」と述べた。理由として「人口1000万人のセルビアと60万人のモンテネグロではあまりに規模が違う。連邦の形態を維持するのは困難」と語った。
 ビアリッツでの欧州連合(EU)特別首脳会議に出席した新大統領は、新国名の案として「セルビア・モンテネグロ」を挙げた。[2000-10-15-20:16] 7
[このページの最初に戻る]


 10/15@ミロシェビッチ派退陣要求し、サッカー場で暴動(読売新聞)

 【ベオグラード15日=島崎雅夫】ユーゴスラビア連邦の首都ベオグラードで十四日行われたプロサッカー、レッドスター―パルチザン戦の試合開始直後に、パルチザンのファンがミロシェビッチ前連邦大統領側近である同球団会長の退陣を求めて暴れ出し、約四十人が負傷した。今月初めの劇的な政変後も、政界だけでなく人気スポーツなどでも要職に居座り続けるミロシェビッチ派への国民の不満が噴出した形だ。
 目撃者の話では、パルチザンのファンはセルビア共和国首相でミロシェビッチ側近のマリャノビッチ会長らクラブ経営陣総退陣を叫び、発煙筒やイスを投げ込みながらグラウンドに乱入。これにレッドスターのファンも入り乱れて乱闘となり、制止に入った警官を含む多数が負傷した。少なくとも二人は意識不明の重体。この騒ぎで両チームの選手は大慌てで避難し、ゲーム開始後わずか三分で没収試合となった。[2000-10-15-19:23] 14
[このページの最初に戻る]


 10/15@◇ボスニアのイゼトベゴビッチ幹部会議長、元首を引退◇(朝日新聞)

 サラエボからの報道によると、ボスニア・ヘルツェゴビナのモスレム人勢力の最高指導者で、各民族が輪番制で務める共和国幹部会議長(国家元首)のイゼトベゴビッチ氏(75)は14日、高齢などを理由に議長職をセルビア人代表のラディシッチ幹部会員に譲り、自身は幹部会員からも引退した。
 ボスニアは幹部会による集団指導制で、議長はクロアチア人代表と合わせた3勢力の代表による8カ月ごとの持ち回り。イゼトベゴビッチ氏の後任の幹部会員は議会で正式に選任される。[2000-10-15-13:41] 15
[このページの最初に戻る]


 10/15@サポーター衝突で37人負傷 サッカーのユーゴスラビアリー(共同通信)

 サッカーのユーゴスラビア・リーグで十四日、サポーター同士が衝突し、警察官二人を含む三十七人が負傷する事件が起こった。
 試合はベオグラードで行われたレッドスター―パルチザン。政情不安定が続くなか、パルチザンのサポーターが、旧政権派の実権を握るクラブ側に反発して暴動を引き起こした。火が放たれるなどして、開始わずか3分で没収試合となった。(AP=共同)(了)[2000-10-15-12:58] 17
[このページの最初に戻る]


 10/15@セルビア議会24日に解散へ 大統領陣営と社会党が合意(共同通信)

 【ベオグラード15日共同】ユーゴスラビア連邦セルビア共和国の議会を二十四日に解散することで、コシュトニツァ新大統領陣営とミロシェビッチ前大統領率いるセルビア社会党が十四日深夜基本合意した。独立系ベタ通信などが伝えた。
 両陣営は既に、来年秋に任期満了を迎える同議会選を十二月二十四日に繰り上げ実施することでも合意しており、新議会発足に向けた日程が整った。
 暫定内閣の組閣については、内務、情報、司法、財務の主要四省庁の閣僚、次官ポストと同様に首相、副首相ポストも両陣営をはじめとする主要四政党が分け合うことで原則合意し、交渉は最終段階に入った。
 しかし十四日は最終合意には至らず、新大統領陣営は社会党に対し、十六日朝までにこれまでの交渉内容を受諾するかどうか決断するよう要請。交渉はそれまで中断されることになった。(了)[2000-10-15-09:39] 18
[このページの最初に戻る]


 10/15@スイスがユーゴへの支援強化約束(共同通信)

 【ジュネーブ14日共同】スイス国営放送などによると、ユーゴスラビア連邦のコシュトニツァ新大統領は十四日、欧州連合(EU)特別首脳会議からの帰りに立ち寄ったジュネーブでオギ・スイス大統領と会談、オギ大統領はユーゴに対する人道・金融支援の強化を約束した。
 EU非加盟のスイスはコシュトニツァ政権の誕生を受け、EUと歩調を合わせて対ユーゴ制裁の緩和を決定。一方で、ミロシェビッチ前大統領の関係者の銀行口座などは凍結措置を継続している。(了)[2000-10-15-09:23] 19
[このページの最初に戻る]


 10/15@◇モンテネグロ大統領、ユーゴ新政権と対話の用意◇(朝日新聞)

 ユーゴスラビア連邦モンテネグロのジュカノビッチ共和国大統領は13日、「セルビア共和国との間で対話の新たな可能性が出てきた」との声明を発表。コシュトニツァ連邦大統領と、両共和国の構成のあり方について話し合う用意を明らかにした。
 モンテネグロは軍など一部の連邦機能を除けば独立状態に近く、ミロシェビッチ政権下では正式な独立に強く傾いていた。ジュカノビッチ大統領はユーゴ連邦の新政権をすぐには承認しなかったが、コシュトニツァ大統領がモンテネグロの権限を強める構想に触れるなど柔軟な姿勢も示していることを評価したと見られる。
 一方、この日同国を訪れたオブライエン米大統領特別顧問はジュカノビッチ大統領に「独立には賛成できない」と米国の立場を改めて伝えた。[2000-10-15-08:40] 20
[このページの最初に戻る]


 10/15@◎コソボ独立に慎重姿勢=ユーゴ大統領(時事通信)

 【ジュネーブ14日時事】ユーゴスラビア連邦のコシュトニツァ大統領は14日、当地でスイスのオギ大統領と会談した後に記者会見し、国連の暫定統治下に置かれているコソボ自治州の独立問題について「実現すれば、(ユーゴ内の)アルバニア系住民などが将来の独立につながる高度な自治権を求めかねない」と懸念を表明、同問題に慎重に対応する姿勢を改めて示した。
 コシュトニツァ大統領はその上で、「コソボは今後数年にわたり、独立しないまま国際的な保護領の形で現在の地位を維持することになる」との見通しを明らかにした。 [時事通信社][2000-10-15-08:14] 21
[このページの最初に戻る]


 10/15@◇ユーゴ大統領、EU首脳会議に招かれ外交デビュー◇(朝日新聞)

 ユーゴスラビアのコシュトニツァ大統領は14日、欧州連合(EU)首脳会議が開かれた仏ビアリッツを訪れ、EU首脳との昼食会に出席した。外交デビューの舞台にEU各国首脳との会談を選び、欧州との協調路線を印象づけた。
 コシュトニツァ大統領は記者会見で、ミロシェビッチ前大統領の旧ユーゴ戦犯法廷への身柄引き渡し問題について「経済再建や民主主義の定着が先決問題だ。引き渡しは最優先課題にはならない」と述べ、ミロシェビッチ氏については「政治的影響力は日々衰えている」と自信を示した。
 また、ユーゴスラビアという国名について「クロアチアやスロベニアとともに連邦を構成していたときの名前で、現状に合っていない。『セルビア・モンテネグロ』という名前がふさわしい」と述べ、変更も検討することを示唆。ユーゴ連邦を構成するモンテネグロ共和国で独立を問う国民投票が行われた場合、「どんな結果が出ても尊重する」と述べた。
 EUは今回の首脳会議で暖房用燃料や食糧、医薬品などを送るため、ユーゴ向けに2億ユーロ(約190億円)規模の緊急支援をすることを決め、コシュトニツァ大統領に伝えた。
 EUは新政権の足元を固めることが不可欠として、ユーゴを欧州の一員に迎え入れる姿勢を内外に示した。[2000-10-15-02:58] 22
[このページの最初に戻る]


 10/15@◇「連邦より国家連合」 ユーゴ大統領が仏誌に◇(朝日新聞)

 ユーゴスラビアのコシュトニツァ大統領は仏週刊誌フィガロ・マガジンとのインタビューで、国家形態について現在の「連邦」より、構成国家の独立性が一段と高い「国家連合」の方が適切だと述べた。ミロシェビッチ前政権と対立し、独立を求める声が強いモンテネグロ共和国の意向に配慮しての発言とみられる。
 大統領は、両国は規模があまりに違うので連邦を形成するのは困難だとして、現在の連邦を規定している憲法の改正が「不可欠だ」と指摘した。
 この発言は、両国が主権国家として共通の利益がある部分だけで一体性を維持する方がいい、というモンテネグロのジュカノビッチ政権の立場に理解を示すものだ。[2000-10-15-02:58] 23
[このページの最初に戻る]


 10/15@ユーゴ「連合」と前大統領派、暫定内閣組閣で合意(読売新聞)

 【ベオグラード14日=島崎雅夫】ユーゴスラビア連邦のコシュトゥニツァ大統領を支持する民主野党連合とミロシェビッチ前大統領派の社会党は十四日、十二月二十四日のセルビア共和国議会選までの内政を担う暫定内閣の組閣方針で合意した。
 「連合」幹部によると、マリャノビッチ同共和国首相には辞任を求め、後任は社会党から選出する。また、内務、情報、司法、財務の主要四閣僚を、「連合」、社会党、急進党、セルビア再生運動で分け合う。[2000-10-15-01:49] 24
[このページの最初に戻る]


 10/15@ユーゴ新大統領、モンテネグロの連邦離脱容認も(読売新聞)

 【ビアリッツ(仏南西部)14日=三井美奈】ユーゴスラビア連邦のコシュトゥニツァ大統領は十四日、ビアリッツで行われた欧州連合(EU)首脳会議に臨席後、記者会見し、連邦を構成するセルビア、モンテネグロ各共和国が国民投票を実施し、モンテネグロ国民が連邦離脱を選択すれば、連邦解消を認める意向を明らかにした。
 一方、ミロシェビッチ前大統領の旧ユーゴ戦争犯罪国際法廷(オランダ・ハーグ)への引き渡し問題については、「最優先課題ではない」としながらも、「国際法廷に協力する義務がある」と述べ、将来的には身柄引き渡しに柔軟に対応する姿勢を示した。同大統領はこれまで身柄引き渡しを拒否する姿勢を示していた。
 さらに、旧連邦構成国のクロアチアやスロベニアの独立で連邦の状況が大きく変化した現状を踏まえ、「ユーゴ連邦の国名はもはやふさわしくない」と、新国名に変更する考えも明らかにした。[2000-10-15-01:45] 26
[このページの最初に戻る]


 10/15@◎ミロシェビッチ氏引き渡し、優先課題ではない=ユーゴ大統(時事通信)

 【ビアリッツ(仏)14日時事】ユーゴスラビア連邦のコシュトニツァ大統領は14日、仏南西部の都市ビアリッツで開催された欧州連合(EU)首脳会議に出席後、記者会見し、旧ユーゴ戦犯法廷(オランダ・ハーグ)から戦犯として起訴されているミロシェビッチ前大統領の引き渡し問題について、「国内経済の復興に重点を置く。優先課題ではない」と言明し、早急な引き渡しに応じる考えのないことを明らかにした。
 一方、「ユーゴスラビアという現在の国名は実体にそぐわない」として、個人的には「セルビア・モンテネグロ」という国名への変更を支持していると語った。また、将来、モンテネグロが独立を目指す国民投票を実施した場合、いずれの結果が出てもそれを支持する用意があると述べた。 [時事通信社][2000-10-15-00:37] 28
[このページの最初に戻る]


 10/15@<EU>特別首脳会議にユーゴ新大統領参加 国際社会へ復帰(毎日新聞)

 【ビアリッツ(フランス南西部)14日橋本晃、森忠彦】ユーゴスラビア連邦のコシュトゥニツァ新大統領は14日、当地で開かれた欧州連合(EU)特別首脳会議の昼食会に参加し、民主化推進の決意を表明した。EU側もユーゴへの復興支援を約束。昨年の北大西洋条約機構(NATO)の空爆以来、孤立状態にあったユーゴは、本格的な国際社会への復帰を果たした。
 EU議長国フランスの招待の形で訪れたコシュトゥニツァ大統領にとって、この昼食会は事実上の「外交デビュー」の場となった。大統領は各首脳に対し「正常な民主国家の状態に向けた改革に全力で取り組んでいる」と説明。シラク仏大統領は「ユーゴは今、欧州の家に帰る途中にある。EUは全面的にその努力を支援する。ユーゴの民主化がバルカン半島の安定に果たす役割は大きい」と新政権への期待を語った。
 EUは13日、ユーゴへの医療品や食料、住宅、暖房用燃料など2億ユーロ(約190億円)の緊急支援を決めており、来週にも実施に移す方針だ。
 EUはすでに石油禁輸、民間機の乗り入れ制限などの制裁を一部解除。凍結してきた23億ユーロ(約2140億円)の長期支援計画も始める。欧米を中心に募った南東欧州安定化基金(約30億ドル)の支援も始まる。また1992年以来、停止されている国際通貨基金(IMF)や世界銀行などの国際金融機関の援助も再開される方向だ。
 13年にわたるミロシェビッチ前大統領の独裁で国際的に孤立してきたユーゴは、もともと関係が深いEU諸国の歓迎を受けたことで、国際社会復帰への”外交ビザ”を手にしたことになる。
 また、ミロシェビッチ氏が起訴されている旧ユーゴ国際戦犯法廷への身柄引渡し問題についてコシュトゥニツァ大統領は「民主化と経済改革が最重要課題で、(戦犯問題は)優先事項ではない」と語った。EU側からも具体的な引き渡し要請はなかった。[2000-10-15-00:10] 30
[このページの最初に戻る]


 10/15@<ミャンマー>ワ州連合軍が合同軍事演習を実施 タイ国軍情(毎日新聞)

 【バンコク15日小松健一】タイ国軍情報筋は14日、毎日新聞に対して、ミャンマーの少数民族武装組織「ワ州連合軍」(UWSA)が8月以降、少なくとも2回、ミャンマー軍とタイ国境地帯で合同軍事演習を実施したことを明らかにした。ミャンマー軍事政権は7月にUWSAに対して軍事戦略道路の使用許可を与え、他の反政府少数民族の武力鎮圧を指示しており、国境地帯は緊迫の度を強めている。
 UWSAはミャンマーの最大の麻薬生産集団で、麻薬撲滅を求める国際社会の要請に対して軍政当局は「UWSAは政府のコントロール下にない」と関与を否定していた。しかしミャンマー軍がUWSAと初めて軍事演習を行ったことは、軍政とUWSAが極めて緊密な関係にあることを裏付けるもので、軍政の麻薬対策に対して国際社会の批判が高まるのは必至だ。
 タイ国軍情報筋によると、最初の演習は8月に行われ、2回目は今月5日に始まった。2回目はタイ北部国境から約30キロのUWSAの軍事拠点ムーンヨンとその周辺で行われ、ミャンマー軍、UWSA双方から約2000人が参加、主に多連装ロケット弾の発射訓練を続けた。[2000-10-15-20:36]
[このページの最初に戻る]


 10/16@◎セルビア暫定内閣で正式合意=社会党政権、名実ともに崩壊(時事通信)

 【ベオグラード16日時事】コシュトニツァ・ユーゴスラビア連邦大統領の政権与党・民主野党連合とミロシェビッチ前大統領の社会党は16日午後、セルビア共和国議会選挙の繰り上げ実施と暫定内閣樹立に関する合意文書に正式調印した。これにより、ユーゴ政局はセルビア総選挙に向けて動き出すが、ユーゴ連邦の実質的な主体であるセルビア共和国でも社会党政権が崩壊することが確実な情勢となった。
 合意文書には暫定内閣に参加する民主野党連合、社会党、セルビア再生運動の3党代表が署名。コシュトニツァ大統領とミルティノビッチ・セルビア大統領が確認した。合意文書によれば、来年秋に予定されていたセルビア総選挙を12月23日に繰り上げ実施する。今月23日に議会を解散、選挙を公示する段取りだ。 [時事通信社][2000-10-16-23:55] 39
[このページの最初に戻る]


 10/16@<カフェテラス>通過への信用 ブリュッセル 森忠彦(毎日新聞)

 バルカン半島への急な出張が入った。万事が現金で動く所だけに、まずは手持ちが必要だ。
 ところがあいにくの週末。銀行は閉まっているし、欧州の銀行、信販カードは引き出し上限額が低くて、いざという時の役に立たない。引き出しをかき回して何とか20数万円分の現金が集まった。ベルギー、オランダ、ドイツ、フランス、スイス、英国、さらに米国と日本。財布の中は何ともカラフルだ。
 私が住むベルギーは小さな国だから、車か列車で2時間も移動すれば外国に入る。毎度、両替えするのも面倒なので、出張のたびに5つある財布を取り替えてゆくが、今回はそれらが勢ぞろい。
 さて、バルカンはどこもドイツ・マルクが流通している地域だ。自国の通貨の信用度は低くて、地元の紙幣で支払おうものなら「マルクはないのか」と嫌な顔をされる。マルク信仰が厚い割にはレートはずさんで、最近のユーロ安はまったく考慮されず、1ドル=2マルクのままだから、得をしたりもする。
 ユーゴスラビアの通貨ディナールも、ほとんど信用のない通貨の一つだ。というのも、政情が不安定になるたびに価値が落ち、1マルク当たりの交換額が高くなる。今回の大統領選挙の前、1マルク=25ディナールだったのが選挙後に30ディナールを越え、ミロシェビッチ前大統領の「居座り」に怒った民衆が連邦議会前に詰めかけた5日には44ディナールにまで急落した。
 ところが翌日、前大統領の退陣と新政権への移行が発表されると、一夜で20ディナールまでに反騰した。
 その日乗ったタクシーの運転手は、私がマルクで払おうとすると「ディナールが欲しい」と言う。こんなことは初めてだ。この国にもようやく自国通貨への信用が生まれてきたのだろうか。[2000-10-16-23:36] 40
[このページの最初に戻る]


 10/16@◇ベラルーシ下院選、首都などで無効に◇(朝日新聞)

 15日投票されたベラルーシの下院選挙(定数110)で、同選挙管理委員会は16日、全体の投票率は60.6%で、必要とされる50%を超えたため、選挙は成立したと明らかにした。ただ、110の選挙区のうち50%に達しなかった首都ミンスクなど14選挙区で、3カ月以内にやり直し選挙を行うと発表した。ルカシェンコ大統領の強権的な統治に反対してボイコットを呼びかけた野党側の戦術は、首都など一部での投票無効に結びついた。
 大統領は1996年、国民投票による憲法改正を強行し、当時の最高会議(議会)を解体して二院制を導入。大統領任期も強引に2001年まで延長した。米欧諸国はこの合法性を認めず、野党側も今回の下院選を来年の大統領選挙の前哨戦と見て、「ユーゴスラビアに続き、独裁政権を打倒しよう」とボイコットを呼びかけていた。
 選管の発表によると、投票が無効とされたのは首都をはじめ、都市部の選挙区が多く、9割近くの選挙区で投票が成立したとはいえ、政権への不満が強まっていることをうかがわせた。ルカシェンコ大統領は、19日にロシア南部のソチでロシアのプーチン大統領と会談する予定を発表するなど、政権固めに動いているが、来年の大統領選に向けてベラルーシ情勢が流動化するのは必至と見られる。
 投票が成立した96選挙区のうち、過半数を得票して議席が確定したのは43選挙区で、ほとんどが大統領与党の議員だった。未確定の選挙区については、29日に上位2人による決選投票が行われる。[2000-10-16-23:30] 41
[このページの最初に戻る]


 10/16@<エベレストスキー>スロベニア男性、頂上から直滑降成功(毎日新聞)

 【カトマンズ16日ビナヤ・グルアチャリャ】ネパール観光省は16日、世界最高峰エベレスト(中国名チョモランマ、標高8850メートル)頂上からベースキャンプ(5300メートル)までの直滑降にスロベニアのスキーヤー、ダボ・カルニツァルさん(38)が7日、初めて成功したことを公式確認した。滑降時間は4時間35分だった。カルニツァルさんは16日、カトマンズで毎日新聞に「世界7大陸の最高峰をすべて制覇したい」と語った。
 チョモランマでは、日本人スキーヤーの三浦雄一郎さんが1970年、標高8000メートルからの滑降に成功しているが、頂上からの滑降ではなかった。[2000-10-16-23:21] 42
[このページの最初に戻る]


 10/16@米の「新干渉主義」に強い警戒感…中国国防白書(読売新聞)

 【北京16日=石井利尚】中国政府は十六日、新華社通信を通して、国防白書「中国の国防」を発表した。白書は「世界の不安定要素は目に見えて増加」との厳しい国際情勢認識を示し、台湾問題を念頭にした米国の「新干渉主義」への強い警戒感を示すものとなった。
 白書は、昨春の北大西洋条約機構(NATO)軍のユーゴスラビア空爆強行や米国の全米ミサイル防衛(NMD)計画と日米の戦域ミサイル防衛(TMD)研究を挙げ、「新干渉主義」「砲艦外交」「経済植民主義」との表現で米国への強い警戒感をむき出しにした。
 特に、白書は、アジア太平洋地域について、「米国の軍事プレゼンス増大と軍事同盟強化」「TMD推進」などを「マイナス要素が新たに生まれている」ととらえている。
 そして、白書は「台湾への兵器売却や外国の干渉に断固反対」と米国などを強くけん制、台湾の平和統一方針を強調しつつも、〈1〉台湾の中国からの分離〈2〉外国の台湾侵略〈3〉台湾当局による無期限の統一対話拒否――との事態が起きた場合は「武力使用を含む可能なあらゆる措置」を取る立場を盛り込んだ。[2000-10-16-22:35] 43
[このページの最初に戻る]


 10/16@◎ユーゴ緊急人道支援で一致=日仏外相(時事通信)

 河野洋平外相は16日夕、ユーゴスラビア情勢をめぐって、欧州連合(EU)議長国、フランスのベドリヌ外相と電話で会談した。この中で両外相は、(1)コシュトニツァ V政権の基盤固めを図る(2)食糧や暖房用燃料などの緊急人道支援を行う−などで一致した。 [時事通信社][2000-10-16-21:16] 45 [このページの最初に戻る]


 10/16@モンテネグロ与党、ユーゴ大統領方針を拒否(読売新聞)

 【ベオグラード16日=島崎雅夫】ユーゴスラビア連邦の暫定内閣組閣交渉で、モンテネグロ共和国の与党・民主社会党は十五日、首相をモンテネグロ共和国の野党・社会人民党から起用するとしたコシュトゥニツァ連邦大統領の方針を拒否することを表明した。
 同大統領は、今週中に首相を指名し、二週間程度で組閣作業を完了させる方針だが、この政治日程が狂う恐れも出てきた。
 声明によると、民主社会党は、社会人民党が長年、ミロシェビッチ前大統領体制を支えてきたことを指摘、「コシュトゥニツァ大統領と社会人民党が結んだ政治的取引はモンテネグロ共和国の将来のために望ましくない」としている。
 連邦憲法には、連邦の大統領と首相は、セルビア、モンテネグロ両共和国とので分け合うとの規定がある。コシュトゥニツァ大統領は、先月の選挙で連邦議会のモンテネグロ分議席で第一党となった社会人民党から首相を起用することを決めた。しかし、憲法には選出についての具体的規定はなく、共和国議会で第一党である民主社会党から「待った」がかかった。
 コシュトゥニツァ大統領は十七日、民主社会党を率いるジュカノビッチ・モンテネグロ共和国大統領と会談する予定だが、連邦議会と共和国議会で第一党が異なる「ねじれ現象」は、新政権にとってやっかいな政治問題となっている。[2000-10-16-20:34] 46
[このページの最初に戻る]


 10/16@英国などと首脳会談 森首相がASEMで(共同通信)

 アジア欧州会議(ASEM)の首脳会議に出席するため、十九日から韓国・ソウルを訪問する森喜朗首相が行う二国間会談などの日程が十六日、固まった。
 それによると、森首相は二十日に英国のブレア首相、ルクセンブルクのユンケル首相とそれぞれ個別に会談。二十一日にはブルネイのボルキア国王と会談する予定だ。
 このうちブレア首相とは、七月の主要国首脳会議(沖縄サミット)後に政権交代したユーゴスラビアや、紛争が激化している中東情勢について意見交換。ボルキア国王との会談では、ブルネイが十一月に開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)の議長国であることから、APECの成功に向け両国で協力していくことを確認する。
 一方、首相に先立ち十八日に韓国入りする河野洋平外相は二十日に英国、中国との間で外相会談を行う。
 十九、二十日両日に開催される首脳会議では、朝鮮半島を中心にした国際情勢について意見交換するほか、日本としては沖縄サミットでも主要議題になった情報技術(IT)革命、感染症問題などについて各国の取り組み強化を求める考え。
 首相は二十一日、外相は二十日に帰国する。(了)[2000-10-16-19:50] 47
[このページの最初に戻る]


 10/16@都市部中心に14区で再選挙 ベラルーシ議会選(共同通信)

 【ミンスク16日共同】ユーゴスラビアの政変の影響が注目されたベラルーシ下院選は、十六日までの開票で、全国百十選挙区のうち都市部を中心とする十四選挙区の投票率が規定の五○%に届かず、これらの選挙区で再選挙を行うことが確定した。再選挙は三カ月以内に行われる見込み。
 選挙が非民主的だとしてボイコット、有権者に棄権を呼び掛けた野党は一定の支持を得たと「勝利」宣言。ルカシェンコ大統領の強権政治に対する国民の反発が予想以上に広がっていることを示した。
 一方、欧州安保協力機構(OSCE)は同日「選挙はわれわれの求める基準を満たしていない」とする声明を発表、野党のボイコットに理解を示した。
 中央選管によると、全国レベルの投票率は約六○%。七○%台の投票率を予測していた大統領陣営に打撃を与えることは確実。来年の大統領選で、勢いづく野党が「欧州最後の強権政権」にどう挑むかが焦点に浮上してきた。
 反政権を明確に掲げる民主派野党の棄権により、これまでに確定した当選者はほぼ全員が大統領支持派。
 選挙が成立した九十六選挙区のうち五○%以上の得票率を得て、当選者が決まったのは四十三選挙区。残りの選挙区は二十九日に決選投票が実施される。(了)[2000-10-16-19:45] 48
[このページの最初に戻る]


 10/16@着実にユーゴの実権掌握 新大統領就任から10日(共同通信)

 【ベオグラード16日共同】ユーゴスラビアのコシュトニツァ新大統領が就任して十六日で十日目を迎えた。ミロシェビッチ前大統領派の激しい抵抗を徐々に抑え込み、国際舞台へのデビューも無難に果たすなど内政、外交両面で着実に実権掌握を進めている。
 当面の課題は連邦政府の組閣。前大統領派のブラトビッチ連邦首相が九日に辞任、内閣総辞職して以来、連邦の行政機能がまひしているからだ。
 一九九○年代前半に事実上追放された国連や国際通貨基金(IMF)に復帰し、制裁で疲弊した経済を立て直すための海外援助を受けるためにも、早期組閣が急務となっている。
 コシュトニツァ氏は先週末「(就任後)十五日以内に新政権を発足させたい」と述べており、ミロシェビッチ前大統領派一掃を求めるモンテネグロ共和国政府との調整が今後の焦点。
 ミロシェビッチ氏の権力基盤だったセルビア共和国の再編では、前大統領率いるセルビア社会党との間で、十月二十四日の議会解散と十二月二十四日の繰り上げ選挙実施で基本合意。選挙管理内閣の組閣交渉も最終段階に入っている。
 コシュトニツァ氏は十四日、フランスでの欧州連合(EU)特別首脳会議に出席し、ユーゴの国際社会復帰を晴れやかにアピール。制裁解除や援助を取り付けた。
 昨年の北大西洋条約機構(NATO)空爆で断交した米国との「正常化」にも意欲を示しているが、八十日近い空爆にさらされた国民感情やロシアとの歴史的関係を踏まえ、慎重に関係改善を進める意向だ。(了)[2000-10-16-16:15] 51
[このページの最初に戻る]


 10/16@ユーゴ王国最後の皇太子、一時帰国(読売新聞)

 【ベオグラード16日=島崎雅夫】第二次世界大戦中まで続いた「ユーゴスラビア王国」の最後の皇太子だったアレキサンダル・カラジョルジェビッチ氏が十五日、ユーゴに一時帰国し、コシュトゥニツァ新政権による民主化への支援を誓った。
 ベオグラード空港に到着した同氏は、王制支持者ら約百人を前に、「私は今、故郷にいる。自由なセルビアだ」と久々の帰国の喜びを表現。「我々がなすべきことは民主化と歩むことだ。時間を無駄にしてはならない」と述べ、コシュトゥニツァ大統領の政治手腕への期待を表明した。
 ただ、ユーゴ国内の一部にある王政復古論については「国民が決定すること」として明言を避けた。
 同氏の父で最後の国王だったペタル二世が大戦中、ナチス・ドイツのユーゴ侵攻で国を逃れたため、同氏は英国で亡命生活を送ってきた。[2000-10-16-11:55] 52
[このページの最初に戻る]


 10/16@スロベニア下院選挙、前首相の返り咲き確実に(読売新聞)

 【ウィーン16日=佐々木良寿】スロベニアでは十五日、下院(定数九十議席)選挙の投開票が行われた。投票終了直後に発表された出口調査では、ヤネズ・ドルノウシェク前首相率いる自由民主主義党が得票率38%前後で第一党の地位を維持する勢いだ。
 同前首相は今年四月の自民党主導の連立内閣崩壊で辞任したが、今選挙で返り咲きがほぼ確実になった。同党が議席数を現有の二十五から三十五前後に伸ばすのは確実だが、単独過半数には達せず、連立協議を開始する。
 アンドレイ・バユク現首相率いる新スロベニア党は、得票率8%前後に止まる見通し。スロベニアは、欧州連合(EU)新規加盟候補国の第一グループに含まれ、加盟交渉推進に向けて政治の安定化が新政府の急務となる。[2000-10-16-11:07] 53
[このページの最初に戻る]


 10/16@<ユーゴ>ミロシェビッチ前大統領の扱いで、国際戦犯法廷が(毎日新聞)

 【ブリュッセル16日森忠彦】旧ユーゴスラビア連邦での戦争犯罪容疑者を裁くための旧ユーゴ国際戦犯法廷(オランダ・ハーグ)の存在意義が危うくなっている。昨年のコソボ紛争の最大の容疑者として起訴したミロシェビッチ・ユーゴ前大統領の取り扱いが、新政権の発足に伴う国際情勢の変化であいまいになってきたためだ。「政治法廷」とも言われる同法廷のもろさが浮き彫りになった形だ。
 14日までフランスで開かれた欧州連合(EU)の首脳でコシュトゥニツァ・ユーゴ新大統領は、ミロシェビッチ前大統領の身柄引き渡し問題について「優先課題ではない」と語り、当面は手をつけない考えを示した。EU首脳側からも具体的な要請はなかった模様で、国内の民主化と経済改革を進める同国にとって、この問題が先送りされることは確実になった。
 同法廷は昨年5月、コソボ紛争で大量のアルバニア系住民を強制追放したなどの容疑で前大統領や軍幹部ら5人を起訴した。同法廷は国連安保理の委託を受けて1993年に設立されたものの、運営資金をはじめ、容疑者の逮捕も北大西洋条約機構(NATO)軍を主体とした国際部隊に依存しており、欧米主導で運営されている性格が強い。
 特に強硬派の米英はこれまで、前大統領の退陣を促す作戦から、早期逮捕を主張してきたが、実際に退陣したことで情勢が変化した。ユーゴ国民の間では前大統領を「さらし者」にすることへの抵抗が強く、欧米が新生ユーゴの復興の主導権を握る上でも、これ以上の押し付けが難しくなってきた。米国も「必ずしも今日やらなければならない問題ではない。明日のことは明日の話だ」(タルボット国務副長官)と論調が変化している。
 結局、はしごを外された形となった同法廷だが、法律家の集団だけに政治情勢の変化で起訴や逮捕、判決の基準は動かない。デルポンテ・主任検察官は政権交代後の記者会見でも「断固、新政権に対して引き渡しを求める」と従来通りの強硬論を唱えた。[2000-10-16-10:11] 54
[このページの最初に戻る]


 10/16@ユーゴ新首相人事で新大統領陣批判 与党、民主社会党(共同通信)

 【ベオグラード16日共同】ジュカノビッチ大統領率いるユーゴスラビア連邦モンテネグロ共和国政府の与党、民主社会党は十五日、ミロシェビッチ前連邦大統領派を新連邦政府の首相に充てるのは受け入れられないとの声明を発表した。
 声明は、前大統領に近いモンテネグロ最大野党、社会人民党から首相を選びたいとしているコシュトニツァ新連邦大統領を批判。同党は「反モンテネグロ的なミロシェビッチ信奉者の集まりだ」と断じた。
 新大統領陣営幹部のジンジッチ氏は十六日、ポドゴリツァでジュカノビッチ大統領と会談する予定。(了)[2000-10-16-09:55] 55
[このページの最初に戻る]


 10/16@先進国のアキレスけん突く 市民生活破壊の難点も 海軍報告(共同通信)

 【ワシントン15日共同】「爆弾を落とすより華麗に目的を達成できる」―。昨年のユーゴスラビア空爆の際、ユーゴのコンピューター網にハッカー攻撃を仕掛け、ユーゴ軍をまひさせる計画が実行寸前まで行ったことを、サイバー戦を研究している米軍高官がこんな表現で認めた。
 サイバー戦ではコンピューター依存の現代社会のアキレスけんを突き、政権や軍の中枢システムを破壊するため、高官が言うように「人命や物理的な損害を与えることなく勝利をもたらす」との期待もある。
 今回特定された四カ国は、米国に次ぐ軍事戦略を持つロシア、アジア・太平洋地域で米国の脅威として浮上した中国、ハイテク先進国で核兵器も保有するインドと“軍事大国”が並ぶ。
 キューバはカストロ政権がサイバー戦略を公言したためリストに上がったとされるが、個人のハッカーでも大組織のネットワークを破壊できていることを考えると、どんな軍事的な弱小国でも能力を持つと言える。
 だがサイバー戦には限界もある。ユーゴ空爆の際には@ユーゴ軍がコンピューターにそれほど依存していないAサイバー攻撃は民間ネットワークも破壊し市民生活をまひさせ、戦時の市民保護をうたった国際法規に違反する―といった難点が指摘され実行されなかった。
 本格的なサイバー戦では世界で最もコンピューター依存度の高い米国が大被害に遭うとされ、米国のサイバー戦研究ではロシアや中国、さらにはテロリストの攻撃を想定した防衛が優先事項とみられている。(了)[2000-10-16-09:35] 57
[このページの最初に戻る]


 10/16@前首相派が政権奪還へ スロベニア総選挙(共同通信)

 【ベオグラード15日共同】旧ユーゴスラビア連邦のスロベニア共和国の議会選の投票が十五日、行われた。出口調査によると、半年前に退陣に追い込まれたドルノウシェク前首相の中道左派政党「自由民主党」が約三五・三%を得票、政権奪回を確実にした。
 リュブリャナからの報道によると、前首相は記者団に「この結果を見れば連立を率いるのは困難ではない」と述べ、事実上の勝利宣言をした。選管最終発表は数日後の見通し。
 バユク首相の現連立政権を構成する新スロベニア党など三党は合計でも約三五・一%にとどまった。
 前首相は同国の欧州連合(EU)加盟交渉を軌道に乗せたものの、ことし三月、連立政権に参加していた人民党が九閣僚全員を引き揚げて連立が崩壊。四月に人民党などが推す経済学者のバユク氏が首相に就任、六月に新政権が発足した。(了)[2000-10-16-07:41] 59
[このページの最初に戻る]


 10/16@◇サッカー場で騒乱 ユーゴスラビア◇(朝日新聞)

 ユーゴスラビアの首都ベオグラードで14日行われたプロサッカー「レッドスター」対「パルチザン」の一戦で、ミロシェビッチ前大統領の側近であるパルチザン球団会長を批判するファンらが競技場グラウンドに乱入し、選手らを巻き込んで大騒ぎとなった。
 現地の病院によると、ファンや選手など約40人がけがを負ったという。試合は没収となった。
 パルチザンの球団会長はセルビア共和国のマリャノビッチ首相。だが、パルチザンのファンも反ミロシェビッチ派が多く、同首相や前大統領をヤジるのを制止されたことに腹を立て、騒ぎ出したらしい。
 ゲーム開始から3分後、パルチザンのファンがグラウンドに数本の発煙筒を投げ込んだ。スタンドのレッドスターのファンが騒ぎ始めると、そちらにも発煙筒やイスを放り投げ、双方が興奮してグラウンドになだれ込んだ。[2000-10-16-07:06] 289
[このページの最初に戻る]


 10/16@◇栄養不良人口半減の目標に遅れ、FAOが警告◇(朝日新聞)

 国連食糧農業機関(FAO、本部ローマ)は16日、「世界の食糧不安情勢2000」と題する年次報告書を公表し、食糧事情改善が計画通り進まず、世界の栄養不足人口を2015年までに約半分の4億人に削減するとした1996年の世界食糧サミットの目標達成が15年遅れる恐れがあると警告した。
 報告書によると世界の栄養不足人口は現在、計8億2600万人で、昨年の報告と同水準。現状のままなら15年の栄養不足人口は5億8000万人程度までしか減らず、目標達成は困難だとしており、国際社会に紛争終結や持続可能な経済成長へ向けた投資など「決定的、効果的な緊急の行動」を促す内容になっている。
 報告書はまた食糧事情により世界各国を5つのグループに分類。日本が食糧支援を決めた朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は全人口の57%が栄養不足とされ、バングラデシュやアフガニスタン、ソマリアなどと並び最も食糧事情の悪いグループ(計23カ国)に分類されている。[2000-10-16-23:52] 292
[このページの最初に戻る]


 10/16@<メディア>揺れるロシアのテレビ界(毎日新聞)

 ロシアのテレビ界が揺れている。チェチェン紛争や原子力潜水艦クルスクの事故などで政権に批判的な報道を行ったメディアに対し、権力側からさまざまな圧力がかかっているのだ。ソ連崩壊後、ロシアのメディアは「言論の自由」を獲得したが、旧ソ連国家保安委員会(KGB)出身のプーチン大統領が就任し、当局による言論統制の動きは強まるばかり。「このままではロシアから独立したテレビがなくなる」との危機感も高まっている。 【モスクワ・田中洋之】
 ロシアには全国規模の主要テレビ局として、ロシア国営テレビ(RTR)、ロシア公共テレビ(ORT)、独立テレビ(NTV)の3つがある。
 RTRは政府のコントロール下にあり、原子力潜水艦クルスクの沈没事故の時にはRTRのクルーだけが現場海域で救助活動をしている艦船からの中継を許された。ロシアの他局や外国の報道陣は取材は一切認められず、「別格」扱いだった。外国メディアからは「露骨な情報統制だ」と批判が沸き起こった。
 また、国営オスタンキノ・テレビの流れをくむORTは、政府が51%の株式を保有する半官半民のテレビ局。民間株は“政商”として知られる新興財閥の総帥ベレゾフスキーが支配している。こちらも従来は政権寄りの立場で、昨年12月の下院選や今年3月の大統領選ではRTRとともにプーチン陣営を支援し、勝利に「貢献」した。
 広大な国土を持つロシアでは全国ネットのテレビの影響力は絶大で、有権者の政治意識や選挙の投票行動を大きく左右する。1996年の大統領選では「共産党政権復活の脅威」をあおり、旗色の悪かったエリツィン大統領を再選に導いた。昨年夏の時点で次期大統領の最有力候補として国民に支持されていたプリマコフ元首相も連日のように誹謗・中傷のネガティブ・キャンペーンを受け、人気が急落。結局、大統領選への出馬断念に追い込まれた。このようにロシアではテレビが世論誘導やプロパガンダの道具として権力側に利用されてきた側面は否めない。
 一方、NTVは1994年に放送を開始した独立系テレビ。“ロシアのメディア王”と呼ばれるグシンスキー氏が率いる総合マスコミグループ「メディア・モスト」の中心的存在だ。泥沼化するチェチェン紛争や権力周辺の汚職疑惑など一貫して政権に批判的な報道姿勢を貫いてきた。国内での放送範囲は全国ネットのRTRやORTには及ばないが、反骨精神のあるメディアとして内外の評価は高い。プーチン大統領や著名政治家のそっくりさん人形が登場する風刺番組「クークルイ(ロシア語で人形の意味)」も国民に受けている。権力側にとっては自分の思うようにならない「目の上のタンコブ」的な存在であるのは間違いない。
 このNTVに露骨な圧力がかかり始めたのは今年5月、プーチン大統領が就任した直後からだった。まずメディア・モストの本社が税金警察や武装した特殊部隊の家宅捜索を受けた。6月にはグシンスキー会長が国有資産横領の容疑で逮捕された。同会長は先月、自由と引き換えにNTVなど系列メディアを政府系の天然ガス企業ガスプロムに売却するよう当局側から逮捕直後に脅迫されたことを暴露した。会長は逮捕が「でっちあげ」で、政権に批判的なメディアを支配下に置くために巧妙に仕組まれたものと批判した。NTVの有識者審議会代表をつとめゴルバチョフ元ソ連大統領も今回の事件を「国家による恐喝だ。ロシアの表現の自由が脅威にさらされている」と指摘し、NTVを独立したテレビ局として存続させるよう求める公開書簡をプーチン大統領に送った。
 メディア・モストはガスプロムに4億7300万ドルもの多額の債務を抱え、安定した経営基盤を持たない弱みがある。仮に債務が返済できなければNTV株がガスプロムに渡り、政府の支配下に入ることになりかねない。
 「圧力」の矛先は最近、ORTにも向けられている。大株主であるベレゾフスキー氏は先月、「保有株を売却しないと投獄する、と大統領府から脅された」と爆弾発言した。エリツィン時代から政界の黒幕として影響力をもっていた同氏だが、プーチン政権になってから次第に権力中枢から遠ざけられ、7月には「プーチン政権の独裁化」を批判して下院議員を辞職、「反プーチン」に転じた。またクルスク事故での政府の対応などを批判していたORTの人気キャスター、ドレンコ氏の報道番組が先月、突然放映中止となった。クレムリンから圧力がかかったためといわれる。
 ただ、ソ連崩壊後のロシアのメディアは、グシンスキー氏、ベレゾフスキー氏という一部の新興財閥の手に握られてきた弊害は否定できない。権力側によるメディアの締め付けも、新興財閥の影響力を排除する動きの一貫とみることもできる。政府は国家情報保持や国営メディアの役割重視などを盛り込んだ「情報安全保障ドクトリン」をこのほど策定。また、メディアの活動を監視するため、ソ連崩壊時の1991年に制定されたリベラルなマスコミ法の改正を目指すなど情報統制色をさらに強めつつある。
 ロシア・ジャーナリスト連盟のフェドトフ書記は「政府はRTRだけでなく、NTVとORTも完全なコントロール下に置こうとしている。プーチン大統領はメディアによる政権批判が気に入らないようだが、政治活動は批判に開かれたものであり、大統領はそれを理解していない。ロシアのメディアが新興財閥の影響を受けているのは残念ながら事実だが、ジャーナリストの独立性は保証されなければならない」と話している。
 「表現の自由」についてロシア市民はどうみているのか。全ロシア世論調査センターが9月末に実施した世論調査(対象1600人)によると、国家擁護のため言論の自由を制限することに「反対」する人は52%で、「賛成」の30%を上回った。だが、国家によるマスコミへの管理強化については「有益」31%、「有害」27%。表現の自由を支持しながらも、政争に巻き込まれがちなメディアへの不信感を反映しているようだ。ロシア市民は新興財閥が支配するメディアに不信感や拒否反応をもっているのは確かだが、帝政時代から「上からの強い力」や「統制」を求める風土もあり、欧米のように「表現の自由」の必要性がそれほど認識されていない面もある。
 一方、新聞には「メディア・モスト」系の「セボードニャ」紙やベレゾフスキー系の新聞、中立の新聞といろいろあり一概にはいえないが、多くはNTV寄りの立場を支持していると見られる。[2000-10-16-23:41] 295
[このページの最初に戻る]


 10/16@<パキスタン軍政>クーデター1周年を迎え、孤立化進む(毎日新聞)

 12日にクーデター1周年を迎えたパキスタン軍事政権は、国際的な孤立から脱却できず、厳しい外交試練に立たされている。インドと対立状態にある中、米国との関係を修復させることが最大の外交課題だ。カシミール地方で対インド闘争を行うイスラム武装勢力への軍事支援中止の方針を固めたのも、米国が求める「テロ対策」の一環だった。しかし、インドとの「危険な駆け引き」が続き、依然として不安定要素を抱えたままだ。【イスラマバード・春日孝之】
 パキスタンはシャリフ政権時代の1998年5月、国際社会の反対を押し切り、インドに対抗して核実験を実施。昨年夏にはイスラム武装勢力をインド側カシミールに侵攻させ、第4次印パ戦争突入の危機にまで情勢が悪化した。
 この侵攻は米国の南アジア外交をインド寄りに転換する契機となり、友好国の中国も「自制」を求めた。しかも、昨年10月には侵攻を指揮したムシャラフ陸軍参謀長がクーデターで軍事政権を樹立、パキスタンの孤立は決定的になった。
 あるパキスタン人ジャーナリストは「パキスタンは常にインドと対峙する宿命にあるが、国力差は歴然としている。だから後ろ盾がいる。今、米国に見限られることは国家の存亡を危うくする」と指摘する。
 情報筋によると、米国は軍政を事実上容認する代わりに「テロ対策」で協力を要求。軍政は水面下で少しずつ実行に移し始めた。アフガンのタリバン政権に保護されている国際テロ活動の黒幕、ウサマ・ビン・ラディン氏の追跡やイスラム急進派の温床とされるマドラサ(イスラム宗教学校)の近代化や軍事キャンプの閉鎖などが進んだ。
 今年7月、カシミール最大の武装組織「ヒズブル・ムジャヒディン(イスラム聖戦士軍)」が一方的に停戦を発表したのも、テロ対策の一つだった。
 だが、パキスタンが望むインドとの和平交渉は、インドが「越境テロ支援の即時中止」を求めて拒否。一方のパキスタンは、インドを交渉に引きずり出そうと、武装勢力を使った攻勢をさらにエスカレートさせているのが現状だ。
 両政府とも相手への弱腰は政権の命取りになりかねない。しかし、パキスタンは「テロ対策」で協力を約束した米国との関係もあり、大きなジレンマを抱えている。
 「インド治安部隊がカシミールから完全撤退するまで戦いはやめない」。最有力のイスラム武装組織「ラシュカル・タイバ(清い護衛隊)」のハフィズ・サイード長官(53)は、イスラマバードの事務所でインドへの徹底抗戦を宣言した。
 「ラシュカル」は昨年夏、印パの大規模軍事衝突に発展したインド側カシミールへの侵攻作戦で主導的な役割を担った。
 パキスタンの歴代政権は武装勢力を「自由戦士」と称える一方、軍事支援を一切否定してきた。だが、実際は軍のコントロール下にあり、軍の「代理」としてインド支配地域でゲリラ活動を続ける。1989年に採用したカシミール奪還のための戦略だ。
 この戦略は「占領軍インドの抑圧に苦しむカシミール」を演出し国際社会の関心と同情を集め、紛争解決の仲介を訴える狙いも込めた。だが米国は昨年の武装勢力の侵攻を「越境テロ」と非難、国際社会の同情はむしろ「テロにさらされるインド」に向けられた。
 89年当時の軍トップの陸軍参謀長で、カシミール戦略を導入したアスラム・ベグ氏(61)は「武装闘争を続けても何も解決しない。国際環境は大きく変化した。対話解決を図るべき時が来た」と指摘する。
 「ラシュカル」のサイード長官も強硬発言の一方で、インドが3者(カシミール人、インドとパキスタン両政府)による和平交渉に応じることを条件に、交渉への協力に前向きな姿勢を示している。
 パキスタンのカシミール戦略を体現してきた2人の「柔軟姿勢」。国際的な孤立化の中で、パキスタンがカシミール問題をめぐる従来の対応を大きく転換せざるを得なくなった状況を反映している。
 ラシュカル・タイバ
 パキスタンのイスラム武装勢力の連合団体「統一聖戦会議」(約15組織)の最有力メンバー。アフガン戦争中、ソ連軍にゲリラ戦で抗戦したムジャヒディン(イスラム聖戦士)組織「コーラン(イスラム教聖典)とスンナ(教祖マホメットの言行録)への招待党」を前身とし、91年6月に結成された。
 当時、ラホール工科大でアラビア語とイスラム教を教えていたハフィズ・サイード教授が組織の長官を兼任、インド支配地域でのゲリラ活動を指揮してきたが、昨年、教授職を退いて活動に専念している。
 長官は組織の資金源やメンバー数などについては明かさないが、カシミール人を含むパキスタン人を主体とし、一部にアラブ人とアフガン人の義勇兵の存在を認めた。大学院で修士号を取得した者など知識層を側近として抱え、組織の統率力の高さは定評がある。
 昨年5月以来、「フィダイン・ミッション」と呼ぶ特攻攻撃を開始。これまでインド治安部隊に対し32回の攻撃を仕掛け、約600人を殺害したといい、攻撃をさらにエスカレートさせている。[2000-10-16-23:21] 296
[このページの最初に戻る]


 10/16@◇「日本のPKO参加5原則は制約」 米の駐日大使表明◇(朝日新聞)

 米国のフォーリー駐日大使は16日、神奈川県横須賀市の防衛大での講演で、日本の国連平和維持活動(PKO)について、停戦合意の存在などの参加5原則が大きな制約になっているとの認識を示した。参加5原則をめぐっては、民主党が見直しを提唱し、与党も国連平和維持軍(PKF)本体業務への参加凍結の解除を目指しており、大使の発言はこうした論議に一石を投じそうだ。
 大使は日本のPKO参加について、「より大きな役割を果たすことを国際社会は期待しているし、感謝するだろう」と指摘。そのうえで、停戦合意や紛争当事者による受け入れ同意、武器使用は自衛の場合に限るなどとした参加5原則について「一つひとつを別個に見るとそれほど困難に見えないが、すべて適用されなければならないことが、PKO活動参加への大きな制約となっている」と述べ、5原則見直しの議論が行われることへの期待感を示した。
 米国大使が防衛大で講演したのは初めて。[2000-10-16-23:10] 346
[このページの最初に戻る]


 10/16@ロシアなどサイバー戦計画 日本の技術拡散懸念 米海軍報告(共同通信)

 【ワシントン15日共同=杉田弘毅】二十一世紀の戦争戦略といわれ、敵のコンピューターシステムをまひさせる「サイバー戦計画」をロシア、中国など四カ国が準備し、日本も技術の拡散などで何らかの役割を果たす可能性があると米海軍が判断していることが、十五日明らかになった。
 米海軍の今年の「海軍戦略計画指導」が指摘した。サイバー戦計画を練っている国々を米国が特定したのは初めて。
 米国も宇宙軍司令部が今月からサイバー戦の計画作成を正式に始めており、世界でコンピューター依存が強まる中、サイバー戦は重要な戦略として浮上している。
 海軍の長期的な戦略を定めた同指導は、コンピューター依存の米軍にとって敵のサイバー攻撃は「著しい脅威」と指摘。ロ中のほか、インド、キューバがサイバー戦戦略を準備し「急速に能力を高めている」と明言。さらにイラン、イラク、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)なども「必要とあればいつでも駆使できる」としている。
 また、日本、ドイツ、フランスの潜在的能力にも触れ、特にこれらの国からのサイバー戦技術の拡散の可能性を説明している。
 指導はサイバー戦の内容として@内部工作員によるコンピューターネットワークの破壊Aハッカーによる攻撃B米ネットワークに誤情報を流す―などを挙げ、攻撃が行われれば「有事の米軍展開が阻止される」と予想。金融、運輸、通信など民間ネットワークへの攻撃も予想している。
 一方、米宇宙軍司令部(コロラド州)が今月から始めたのは「コンピューターネットワーク攻撃」の研究。サイバー戦は敵の民間施設をまひさせる懸念もあるため「米国の国際責務と戦争法規に従って慎重に行う」としている。(了)[2000-10-16-08:12] 353
[このページの最初に戻る]


 10/16@◇アラファト議長、苦渋の出席 16日の中東首脳会議◇(朝日新聞)

 国連などの国際的な仲介に加え、21日のアラブ首脳会議(アラブサミット)で国際社会からの支持を強めようとしていたアラファト・パレスチナ自治政府議長にとって、米国主導の緊急中東首脳会談がアラブサミット前に開催されることになったのは大きな誤算だ。ガザでは首脳会談開催を前にした15日、難民キャンプなどで、パレスチナ解放機構(PLO)強硬派が米、イスラエルへの抗議デモを組織、「(首脳会談は)イスラエルと米国のわなだ」と訴えた。アラファト議長に対して支持を訴えつつ、「譲歩する必要はない」と呼びかけた。
 議長にすれば、非常時内閣の組閣準備を進め、対決路線を強めるバラク・イスラエル首相から大きな譲歩を引き出せる見込みはない。100人を超す犠牲者を出した民衆側の「対決機運」は弱まっておらず、安易な妥協に応じれば、指導力低下を招きかねない状況にある。
 パレスチナ側は首脳会談開催について、(1)武力行使の停止(2)自治区封鎖の解除(3)国際的な枠組みでの調査委員会設置――などを前提条件に挙げてきた。自治政府筋によると、アナン国連事務総長を通じて、イスラエル側が(1)と(2)で妥協する姿勢を示したため、出席に応じた。しかし、14日も自治区の封鎖は続いており、イスラエル側は強硬姿勢を崩していない。それでも出席に応じたのは、米国の外交圧力を受けたエジプトなど穏健アラブ諸国がアラファト議長に出席を強く促したためという。
 パレスチナ側としては、首脳会談の場でイスラエルの「過剰な武力行使」の再発をくい止める歯止めを得たい考えだが、双方の信頼関係が崩れたいま、「仮に合意を結んでも、それをイスラエルが守るとは思えない」(自治政府筋)との不信感もある。かといって、対決姿勢を続ければ、イスラエル側は軍事行使をエスカレートさせ、封鎖措置の強化など経済面の締め付けも強めかねない。
 パレスチナ側のもう1つの誤算はアラブ諸国の反応だ。自治政府は、アラブサミットに向けて、イスラエルとの対決姿勢を維持する戦略をとり、アラブ諸国に支持を呼びかけてきた。ところが、自治政府施設へのミサイル攻撃にまでエスカレートした後、対抗措置をとったのはイスラエルとの貿易代表部を閉鎖したオマーンだけ。エジプトは大使召還などの措置をとらず、静観を決め込んだ。自治政府内には、「アラブサミットまで待っても、得るものはない」との失望感が広がったという。[2000-10-16-07:05] 356
[このページの最初に戻る]


 10/16@<人と世界>ポーランドの映画監督 アンジェイ・ワイダさん(毎日新聞)

 東欧革命の先駆けになった自由労組「連帯」がポーランドに誕生して今年で20年。「連帯」の運動に参加した映画監督、アンジェイ・ワイダさん(74)は、共産主義やナチズムを告発する力強い作品を次々と発表し、映像を通して世界に影響を与えきた。監督にとって20世紀の印象と21世紀への希望とは何か。ワイダさんの尽力でポーランド南部の古都クラクフに1994年11月に開館した「日本美術技術センター」で語ってもらった。【クラクフ・杉尾直哉】
 ――1980〜90年代に世界は共産主義の崩壊という激動の時代を経験しました。その発端はポーランドの「連帯」でした。
 ◆旧共産圏で、ポーランドは主体性のある人間が一番多かったからだ。コルホーズのような集団農場がなく、共産主義時代も、カトリック教会の伝統が独立して残るなど、共産党の支配がほかの国ほど強くなかった。その中で、社会に果たすべき自分の役割を自覚した非常に強いインテリが存在し、連帯の運動が強力に維持発展されたことが、その後の大きな経済改革の契機にもなった。
 ――弱点や問題点はありましたか。
 ◆ポーランドの産業の大部分が、ソ連の軍需産業のために稼動していたことだ。ソ連崩壊と同時にその存在が無意味になった。こうした工場を閉鎖することが今、最も大変な難しい問題として立ちはだかっている。特に(閉鎖に抵抗している)大企業の労働者たちは連帯に入っている。連帯のおかげでポーランドが自由を取り戻せたが、その結果は労働者たちにとって皮肉なものとなった。
 ――20世紀最後の年です。何か感慨深いものはありますか。
 ◆私自身は、そうした歴史の境目をまったく感じていない。歴史はそういう意味では分かれておらず、20世紀であっても、21世紀であっても、ずっと続くのだから。
 既に20世紀は共産主義の終焉とともに終わったと思う。21世紀の始まりと言える出来事はまだ起きていないが、私は将来を楽観視している。その理由は、私が生きている間に、全体主義体制が二つも崩壊したからだ。一つはヒトラー、もう一つはスターリンの全体主義だ。人類は、そうした狂った思想から抜け出して、自分自身を守ることができることを証明した。
 ――「地下水道」「大理石の男」などの作品で、監督はナチスや共産主義の抑圧と、それに対する抵抗を描いてきました。今年3月、監督は米・アカデミー賞特別名誉賞を受賞しました。これからも過去の歴史や抵抗をテーマに?
 ◆私としては、ぜひとも今日的な問題をテーマとしたい。しかし、材料が十分集まっておらず、まだ次の作品を作れないでいる。
 ただ、私はこれまで世界を意識して創作していたわけではない。ポーランド人のための映画を作ってきた。ポーランド独自の問題点や表現が世界でも通用したのだろう。
 ――監督は2年ほど前、「自分の作品を見る観客はもういない。観客との親密さが感じられない」と言われたそうですが。
 ◆新作の「パン・タデウシュ物語」がポーランドで公開され、非常に多くの人が見てくれた。だから「だれも見てくれない」という当時の私の考えは間違っていた。(ポーランドで人気の)米国映画より、私の映画を選んでくれたのだから。
 ――新作は、1830年代に書かれた長編叙事詩を題材にしていますね。
 ◆「パン・タデウシュ」はポーランド人にとって非常に重要な文学作品だ。どの国でも、こうした国民的な小説や叙事詩がある。だれもがよく内容を理解し、自分のものと考えており、映画化は非常なリスクを伴う。突然、一人の監督の目を通した作品を見せられることになるわけだから。
 映画を鑑賞した多くの人が作品に満足していると聞いている。映画として成功したのは、典型的なポーランド人の姿を描いたからだと思う。登場人物はこっけいで恐ろしくもあり、ポーランド人のありのままの姿だ。映画を見た人はまるで自分を見るような気分になったのではないだろうか。
 ――画家を目指していた18歳のころ、ここクラクフで開かれた日本美術展で葛飾北斎らの浮世絵を見て感銘を受けたそうですね。 ◆浮世絵は非常に完成度が高いものだ。日本の18世紀の鎧(よろい)も、欧州にない精密さがある。完成度の高い精密さは古美術だけでなく、今日の最先端技術によって作られる日本の工業製品にも表れている。欧米にはない「美」が日本の製品にある。
 私は日本人は、可能なことを必ず実現させる特性があると思う。日本の伝統、考え方の基盤は、「完璧なものをつくる」ということだ。私はそれを古い美術品に感じ、今の技術にも感じる。
 ――クラコフに残る多数の日本の古美術のほか、現代美術を展示していますが、センターの狙いは何ですか。
 ◆最新の日本の技術を紹介するポーランドの窓口にしたい。センターを訪れる人は、日本でなにが起きているかが分かるように。
 日本とポーランドには共通点がある。それは強い野心だ。ポーランド人はほかの民族に負けたくない、自分のことは自分で決め、周囲の中で強くなりたいとの気持ちがある。かつてワレサ前大統領が言ったように、ポーランド人は「第2の日本になりたい」という強い意思がある。
 (クラコフ近郊のティヒで99年6月、現地生産を開始した)いすゞ自動車のディーゼルエンジンを先日、ここで展示した。ポーランドと日本の経済交流が生んだ”最初の子供”だと思い、出品してもらった。
 1926年3月、ポーランド北東部スバウキに生まれる。46年にクラクフ美術大に進むが、映画監督を目指して49年ウッジ国立映画大学に入学、53年卒業。
 監督デビュー作は「世代」(54年)。「灰とダイヤモンド」(58年)、「大理石の男」(77年)でカンヌ国際映画祭国債批評家連盟賞を受賞。81年の戒厳令下、ポーランド映画人会長の職を追われ、フランスで製作活動を続けた。今年3月に米・アカデミー賞特別名誉賞を受賞。最新作「パン・タデウシュ物語」(99年)は34作目。妻は女優で舞台美術家のクリスティーナ・ザフファトビチさん。
 映画界の「反骨の巨匠」ワイダ監督も今や74歳。穏やかな語り口の一老紳士だった。しかし、その言葉の端々に「映画を撮り続ける」という気概がみなぎっていた。
 その自信は、昨年秋、ポーランドで公開され、国民(人口3900万人)の3人に1人が見たといわれる「パン・タデウシュ物語」の大ヒットからきているのは間違いない。
 「灰とダイヤモンド」(58年作品)などの「抵抗三部作」や労働者の偶像に祭り上げられた挙句、歴史から抹殺された男を描く「大理石の男」(77年)。連帯の誕生を熱っぽく描き、戒厳令下で上映禁止処分となった「鉄の男」(81年)――。ワイダ作品は抑圧への抵抗が大きな魅力だった。
 巨匠にとって、ポーランドが自由化された後、自作から観客が離れていったことに悲観的になっていたという。
 作品に収められた重苦しいモノトーンの首都ワルシャワや、連帯が生まれた造船港グダニスクは、ファストフード店などの看板が並ぶカラフルな街並みに生まれ変わった。豊かな消費生活に慣れた人々がワイダ作品よりハリウッドの娯楽大作を好むのも無理はない。
 こうした観客にワイダ氏がぶつけた新作は、これまでの作品から想像できない色彩豊かな一大スペクタクルだ。「ポーランドのシルベスター・スタローン」と呼ばれ、女性に人気のあるアクションスター、ボグスワフ・リンダすら起用している。
 ワイダ氏は変節したのだろうか?
 映画の中で、ロシア、フランスの超大国の狭間に置かれた民衆が「こんなのはポーランド風じゃない」「ポーランドの血とは」と繰り返す。
 その声は、急激な経済自由化や生活・文化の欧米化の中で、国民の誇りやアイデンティティを問う、ワイダ流の叫びに聞こえる。極めて今日的な心のゆらぎを描いた点にこそ大きな共感を得た理由があるのだろう。
 旧ソ連の吟遊詩人やベトナム戦争時の米国のロックなどを挙げるまでもなく、政治的抑圧は優れた芸術を生む。抑圧が取り払われた時代に芸術家は何を問えるのか。この問いは、今のポーランドだけでなく、日本にも共通しているようにも思える。[2000-10-16-03:31] 7
[このページの最初に戻る]


 10/16@<東論西談>ユダヤ系候補 米、タブーの一角崩れたが(毎日新聞)

 「この国に同化してはいけない」とリーバーマン米上院議員の両親は、幼い息子に言い聞かせたという。「でも、良き米国人でいなさい。いつか良き米国人とはお前自身である日が来るから」
 民主党副大統領候補のリーバーマン氏は9月24日、ユダヤ系団体がシカゴで開いた集会で、こんな秘話を打ち明けた。同氏は敬けんなユダヤ教徒。大政党の副大統領候補にユダヤ教徒が指名されたのは初めてである。
 「ユダヤ票」が大きな力を持つ米国でも、ユダヤ系住民の立場は微妙だ。約26万5000人のユダヤ系住民が住むシカゴは、全米で4番目にユダヤ系が多い都市だが、「かつてはユダヤ人に対するさまざまな差別があった。銀行など特定の業種には職を得られず、大学の入学枠も5〜10%に抑えられていた。家も買えなかった」と「ユダヤ共同体委員会」のジェイ・ツカス部長は説明する。
 いわゆる「反ユダヤ主義」である。古くから宗教上の迫害を受けてきたユダヤ教徒は、19世紀半ばから人種的にも迫害の対象になった。「セム語族に属するユダヤ人は他の民族より劣る」という根拠のない論理が、欧州に広がっていったのだ。70人のユダヤ教の長老が秘密会議を持ち、キリスト教国転覆による世界支配を企てたとする「シオン長老の議定書」なる文書も、まことしやかに流布された。
 「自由の国」米国にも、反ユダヤ主義は深く根を張った。政財界に多くのユダヤ系有力者がいながら、ユダヤ系の大統領が誕生する気配もないのは、その状況証拠と言えるだろう。米国の総人口に占めるユダヤ系の比率は約5%。リーバーマン氏の副大統領候補指名は少数派に比較的優しい民主党ならではだが、米国の政治的タブーの一角は確かに崩れたのである。
 だが、ツカス部長の表情はいまひとつさえない。米国での反ユダヤ主義が衰える一方で、ユダヤ系住民への暴力事件は多発している。「ゴア副大統領が当選できなければ、『ユダヤ教徒を副大統領候補にしたせいだ』と人身攻撃が増える可能性がある」というのだ。リーバーマン氏の副大統領候補指名はユダヤ系市民にとって痛しかゆしの側面がある。
 一方、アラブ側には別な懸念がある。リーバーマン氏はシカゴでの集会で「エルサレムはイスラエルの不可分の首都」と語り、ユダヤ系市民の拍手を浴びた。リップサービスを差し引いても、「エルサレム共同統治案」を検討するクリントン政権より、「ゴア政権」がイスラエル寄りであるのは明らかだ。
 だが、実もふたもないことを言えば、イスラエルの建国を強力に後押しし、4度の中東戦争でもイスラエルを支援した米国が、中東問題で中立を保つのは可能だろうか。イスラエル治安部隊と衝突するパレスチナ住民は「公平な仲介者」を自認する米政府にも、見えない石を投げているのだろう。週明けの関係政府首脳会議で、米国が信頼を回復するのは容易ではない。
 ワシントン・布施 博[2000-10-16-00:15]
[このページの最初に戻る]


 10/17@<記者の目>ユーゴ新政権づくり難航 福井 聡記者(毎日新聞)

 ユーゴスラビアに君臨したミロシェビッチ前大統領が退陣した。セルビア民主野党連合のコシュトゥニツァ氏が新大統領に就任し、圧政から解放された国民は歓喜に沸いている。しかし、ミロシェビッチ氏は「野党活動継続」を宣言、民主主義を掲げる新大統領は直ちに追放しない方針だ。このため議会内で旧政権与党の反発が続き、新大統領が新政権を発足できない事態が続いている。今回の退陣劇は流血の惨事もなく平和裏に実現したが、今後も話し合いだけで新政権への移行がスム―ズにできるのだろうか。どこかで旧独裁政権指導部一掃の荒療治を断行しなければ、いつまでもくすぶり続ける気がする。
 「民衆革命」のハイライトは5日午後、ベオグラード中心部の連邦議会前広場に、野党連合支持の民衆約50万人が集まり、一部が議会と国営セルビア放送に突入した時だった。ところが、その時点でミロシェビッチ前大統領の所在は分からず、敗北声明も出ていなかった。デモ参加者は何をもって「勝利」と判断したのだろうか。
 答えは明快だった。政府系銀行職員のマルコビッチさん(24)は「警官隊が野党支持者に合流し手を取り合った時、『勝った』と思った。うちのような政府系銀行でさえ、ミロシェビッチ支持者は少ない。彼が怖いのは警察と軍を従えていたからで、それがなくなればもう大丈夫」と断言した。外国大使館職員のチューリブルクさん(29)も「もっと暴力的な結末になると思ったが、警察の立場転換で事態が変わった」と話した。ミロシェビッチ政権の権威を支えていたのは警察だった。その警察が民衆側についた時点で、人々は「勝った」と判断していた。
 ところが、警察も軍も野党側支持を表明し「革命」が成就したかに見えた後に、大きな難題が生じた。ミロシェビッチ氏が「野党活動継続」を宣言。同氏が党首を務める旧与党・社会党と同氏夫人が率いるユーゴ左翼の左派連合は議会内で多数派を維持し、野党連合による新政権樹立の前に立ちはだかったのだ。新大統領は就任直後に新政権を発足させる予定だったが、この抵抗で今も、首相指名さえ出来ていない。
 一方、ミロシェビッチ氏は旧ユーゴでの戦争犯罪容疑者を裁くために設立された「旧ユ―ゴ国際戦犯法廷」から起訴されている。コシュトゥニツァ新大統領が同氏の身柄を引き渡せば、逮捕されることになる。
 だが、新大統領は以前から、「欧米が起訴したため(同氏が政権に固執し)一層、政権委譲が難しくなった」「欧米はボスニア和平では同氏を礼賛し、無用となれば起訴し、まったく一貫性がない」と強く非難している。ミロシェビッチ氏は戦犯法廷の存在そのものを強く否定し、しかも、民主的な姿勢を打ち出している点を逆手に取り、今後も政治活動を続けると宣言しているようにみえる。
 しかし、ミロシェビッチ氏はユーゴという国家と国民に対し永年に渡って背信行為を行い、その結果、退陣させられた人物である。例えば、先の大統領選挙での不正工作や野党抑圧、メディア弾圧など何らかの罪での訴追は免れない。最近、社会党内部でも「ミロシェビッチ離れ」が進んでいるとの情報もあるが、退陣後も旧政権幹部に指示を出し、新政府樹立を阻んでいるのが現状だ。とすれば新政権は、まず同氏の責任追及を司直に要請し、新政権への影響を断ち切るのが筋道だ。
 新大統領は就任後、同氏の戦犯法廷への身柄引渡しを改めて拒否し、「山積する課題を前に、その時間はない」として、国内法廷での訴追も当面、見合わせる意向を示した。旧政権の影響を根源から断つ「外科的治療」ではなく、交渉によりじわじわと譲歩を迫る手法だ。
 非常に民主的で、成功すれば一層、基盤が固まるだろうが、どこか「ミロシェビッチ氏との対決」という根本的な荒療治を避けている印象が拭えない。新大統領は憲法学者として民主主義を高く掲げ、暴力を否定し、強硬手段を避けるが、実は退陣の突破口は「議会突入」という強硬手段で実現した。それには触れず「民主的政権移行」のオブラートにくるんだままだ。
 交渉による旧与党説得には当然、時間がかかる。交渉を続けるうちに、新政権樹立への勢いが弱まったり、旧政権を一掃しないことの矛盾が新政権内に残りはしないだろうか。すでに、野党連合の中から不協和音が漏れ出している。最大政党・民主党のジンジッチ党首は新大統領の姿勢を「法にこだわりすぎて決断が遅い」と批判。連邦首相や軍最高司令官の人事でも食い違いを見せている。
 旧政権の影響を排除するには、その頂点に君臨するミロシェビッチ氏を排除する以外にない。旧政権との交渉を片付けた後に取り組むのでは、順序が逆ではないだろうか。[2000-10-17-23:31] 24
[このページの最初に戻る]


 10/17@<ユーゴ>新大統領就任して10日 まだ新政権は樹立されず(毎日新聞)

 【ウィーン17日福井聡】ユーゴスラビア連邦(セルビア、モンテネグロ両共和国で構成)でコシュトゥニツァ大統領が就任して17日、10日がたった。新大統領は7日に就任したが、議会は旧与党が多数派を維持しているため、まだ新政権は樹立されていない。セルビア共和国議会については16日、旧与党と暫定政府設置で合意したが、ユーゴ連邦議会での新政権樹立には難題が生じ、発足の目途は立っておらず、一進一退の日々が続いている。
 ユーゴ連邦は人口約1千万人のセルビアと、65万人のモンテネグロで構成され、政治・経済の実権はセルビア政府に集中している。その意味で、16日に合意した「暫定政府設置、12月23日に共和国議会選挙実施」は大きな前進といえる。セルビア共和国議会も依然、旧与党が多数派を占めているが、過去10日間の交渉のうちにミロシェビッチ前大統領が党首を務める社会党の求心力が次第に弱まり、新大統領の支持母体・セルビア民主野党連合が押し切った形となっている。
 一方の連邦議会でも状況は同じだが、モンテネグロ政府との関係という別の要素がからみ、一層複雑な事態となっている。
 連邦憲法は連邦大統領がセルビア出身の場合、連邦首相はモンテネグロ出身と規定。モンテネグロのジュカノビッチ大統領率いる民主社会党が今回の大統領・議会選挙をボイコットし、新連邦議会に議席を持たないことから、コシュトゥニツァ大統領は首相にモンテネグロの野党・社会人民党(旧ミロシェビッチ派)のブラトビッチ副党首を指名して調整している。
 過去10日の交渉で、旧ミロシェビッチ派による社会人民党の新政権参加への抵抗はかなり弱まってきたが、ここに新たな難題が生じている。新政権樹立交渉でカヤの外に置かれたジュカノビッチ政権が「社会人民党が参加する連邦新政権は、モンテネグロ共和国政権として承認しない」と公言し始めたからだ。連邦の一方の共和国政府が承認を拒否した場合、連邦政府は発足できず、新大統領は17日、急きょモンテネグロに飛んでジュカノビッチ政権との協議に入るなど対応に追われている。[2000-10-17-23:16] 25
[このページの最初に戻る]


 10/17@ユーゴ前大統領、隠し資産1億ドル…英紙報道(読売新聞)

 【ロンドン17日=渡辺覚】十七日付の英紙インデペンデントは、政権の座を追われたユーゴスラビア連邦のミロシェビッチ前大統領が、ロシアや中国の犯罪組織と関係を結び、同氏の隠し資産は、総額で一億ドル(約百八億円)以上にのぼると報じた。
 同紙が、ドイツの対外情報機関、独連邦情報局の調査資料に基づくデータとして伝えた。
 同資料は、「ミロシェビッチ氏と同氏の側近は、広範な組織犯罪網を構成し、麻薬取引、資金洗浄(マネーロンダリング)、その他の犯罪に関与していたという証拠がある」と指摘。こうした同氏の資金源は、ユーゴ国内にとどまらず、ロシア、中国、キプロス、ギリシャ、レバノン、南アフリカなどに広がり、隠し資産は総額で推計一億ドルを超えるとしている。
 同資料はまた、ミロシェビッチ氏の周辺で不正な利益を得ていた者は約六十人にのぼるとし、「経済関係の主要ポストがミロシェビッチ氏の側近で占められていたことは、不正な資金送金が私腹を肥やすために使われる機会を作り、武器の密売買や犯罪のカムフラージュ、麻薬取引などへ連邦政府の資金が流用される事態を招いた」と断じているという。[2000-10-17-22:48] 27
[このページの最初に戻る]


 10/17@◎モンテネグロ与党に組閣協力を要請=ユーゴ新大統領、共和(時事通信)

 【ベオグラード17日時事】ユーゴスラビアのコシュトニツァ新大統領は17日、モンテネグロ共和国の首都ポドゴリツァを訪れ、ユーゴ連邦から離脱の動きを示すジュカノビッチ共和国大統領らと会談した。コシュトニツァ氏が就任後、同共和国を訪れたのは初めてで、難航する連邦新内閣の組閣に協力を求める。 [時事通信社][2000-10-17-20:56] 29 [このページの最初に戻る]


 10/17@セルビア共和国議会選、12月23日に繰り上げ(読売新聞)

 【ベオグラード16日=島崎雅夫】ユーゴスラビア連邦のコシュトゥニツァ大統領を支持する「民主野党連合」とミロシェビッチ前大統領陣営の社会党は十六日、十二月二十四日に予定されていた共和国議会選を一日繰り上げ、十二月二十三日に実施することで合意した。[2000-10-17-12:53] 30 [このページの最初に戻る]


 10/17@<ユーゴ>前大統領は国内で訴追へ 微罪の見通し強まる(毎日新聞)

 【ウィーン17日福井聡】ユーゴスラビアのセルビア民主野党連合の幹部が、訪問先のクロアチアで「ミロシェビッチ前大統領は大統領選挙での不正工作などの罪で、セルビア国内の法廷で訴追される」と述べたことが16日、分かった。前大統領は旧ユーゴ国際戦犯法廷によりユーゴ連邦コソボ自治州での残虐行為を指示したことなどにより起訴されているが、コシュトゥニツァ新大統領は「戦犯法廷には引き渡さない」と明言。この幹部の発言で「旧政権時代の抑圧行為」などでなく微罪での訴追で済まされる見通しが強まった。
 この幹部は新政権の外相就任が有力視されているザルコ・コーラッチ氏で、クロアチア誌に「前大統領の責任はセルビアの裁判所で決められる」と明らかにしたうえで、「起訴事実には大統領選での不正工作が含まれる。独裁者が、単なる不正工作や警官にデモの群集への放火を命じたなどの微罪のみに問われる結末は皮肉だ」などと語った。
 前大統領の訴追問題でユーゴ国内は、「徹底追及」を求める声と、「必ずしも悪政ばかりをした訳ではない」などの容認派に分かれている。新大統領は「戦犯法廷の起訴により前大統領は政権に固執し、政権委譲が遅れた」と欧米の訴追要求に反発して来た。[2000-10-17-10:46] 31
[このページの最初に戻る]


 10/17@ユーゴ前大統領の裁判は国内でと「連合」幹部(読売新聞)

 【ベオグラード16日=島崎雅夫】ユーゴスラビア連邦の「民主野党連合」幹部のザルコ・コラッチ氏は十五日発売のクロアチア誌との会見で、旧ユーゴスラビア戦争犯罪国際法廷(在ハーグ)から人道に対する罪で起訴されているミロシェビッチ前大統領を、ユーゴ・セルビア共和国の法廷で裁く方針を表明した。
 コシュトゥニツァ連邦大統領も「ユーゴの問題はユーゴの法廷で裁くのが大原則」として、前大統領を国際法廷に引き渡さない方針を示しており、早期移送による裁判を求める欧米諸国との外交問題に発展する可能性が高まってきた。
 連邦かセルビア共和国の暫定内閣での閣僚指名が有望視されているコラッチ氏は、「ミロシェビッチ前大統領は、先月の総選挙での不正も含め、その責任をセルビアの法廷で問われることになる」と語った。同氏の発言は、ユーゴ民主化を主導する「連合」が前大統領の引き渡し拒否でほぼ固まったことを示している。[2000-10-17-10:18] 32
[このページの最初に戻る]


 10/17@ユーゴ軍は新大統領を全面支持(共同通信)

 【ベオグラード16日共同】ユーゴスラビアのミロシェビッチ前大統領の「腹心」とされたパブコビッチ・ユーゴ連邦軍参謀総長は十六日、ロイターテレビのインタビューで、コシュトニツァ新大統領を全面的に支持する意向を示した。
 参謀総長は「われわれは常に正統な大統領を支持すると公言してきた」と述べた。
 連邦軍人事をめぐり参謀総長の去就が注目されているが、新大統領は留任させる意向を表明している。(了)[2000-10-17-08:00] 33
[このページの最初に戻る]


 10/17@選挙不正で前大統領訴追か ユーゴスラビア(共同通信)

 【ベオグラード16日共同】ザグレブからの十六日の報道によると、ユーゴスラビアのコシュトニツァ新大統領を支持するセルビア民主野党連合幹部のコラチ氏は、ミロシェビッチ前大統領がユーゴの一連の選挙結果を不正操作したとして国内で訴追されるとの見通しを示した。
 クロアチア週刊誌フォークス最新号で述べた。コラチ氏は「前大統領による選挙結果の不正操作は告発の対象となろう。負うべき責任をセルビアの裁判所が決定すると思う」と述べた。(了)[2000-10-17-07:56] 34
[このページの最初に戻る]


 10/17@◎社会党の入閣めぐり対立=ユーゴ連邦の新内閣協議(時事通信)

 【ベオグラード16日時事】コシュトニツァ・ユーゴスラビア新大統領の政権与党・民主野党連合とモンテネグロ共和国第1党の社会人民党は16日夜、ベオグラードで連邦新内閣の組閣問題について協議した。しかし、ミロシェビッチ前大統領が率いる社会党関係者の入閣をめぐって見解が対立、協議は物別れに終わった。
 独立系BETA通信によれば、協議の中で社会人民党は、社会党から最低でも1人の閣僚を起用すべきだと主張。これに対し、民主野党連合側は反対の立場を表明した。このため、社会人民党は党中央委員会で改めて対応を協議することになった。 [時事通信社][2000-10-17-06:48] 35
[このページの最初に戻る]


 10/17@◇ユーゴのセルビア議会、前倒し選挙で正式合意◇(朝日新聞)

 ユーゴスラビア連邦セルビア共和国の主要3会派は16日、共和国議会を解散して12月23日に前倒しで選挙実施することに合意した。現在の議会の承認を経て、正式に決まる。新議会が成立するまで暫定内閣が組閣される。暫定首相はセルビア社会党から出すなどの妥協もなされたが、旧野党陣営が議席を大幅に増やすと見られ、コシュトニツァ政権は1つの障害を越えた形だ。
 同共和国は警察が属する内務省などを抱え、連邦政府とともに新政権の基盤のかなめ。旧野党連合は、社会党などの旧与党が多数派を占める議会の再編成を狙い、いったんは12月17日の選挙実施で基本合意を取り付けた。その後、暫定内閣の構成などで社会党が反発したため、妥協策が話し合われていた。
 合意文書によると首相は社会党から選ばれるが、決裁には旧野党連合とやはり旧野党のセルビア再生運動から選ばれる2人の副首相の同意が必要。内務と司法、財務、情報の主要4省では3会派の代表が合議制で「大臣」役を務める変則的な仕組みを採用した。このため新議会と正式内閣発足までの今後2カ月間余りは、利害対立から政策決定に支障が起きる恐れもある。[2000-10-17-02:58] 37
[このページの最初に戻る]


 10/17@セルビア共和国の暫定組閣で合意書に署名(読売新聞)

 【ベオグラード16日=島崎雅夫】ユーゴ連邦のコシュトゥニツァ大統領陣営の「民主野党連合」とミロシェビッチ前大統領を党首とする社会党は十六日、セルビア共和国の暫定内閣組閣と繰り上げ選挙についての合意書に署名した。署名には、野党のセルビア再生運動も参加している。合意書によると、新内閣では社会党から首相を選ぶものの、二人の副首相を民主野党連合とセルビア再生運動から起用することなどで一致した。[2000-10-17-00:07] 203 [このページの最初に戻る]


 10/17@<中東情勢>玉虫色の合意内容でも選挙に配慮 米大統領(毎日新聞)

 【ワシントン17日布施広】クリントン米大統領が17日発表した緊急中東首脳会談の合意内容は、紛争終結を確かなものにする具体的措置に欠け、今後に大きな不安を残した。クリントン大統領は来月7日の米大統領選をにらみ、盟友ゴア副大統領への援護のために、たとえ玉虫色でも「合意」をまとめ上げる必要があったと言える。
 イスラエル治安部隊とパレスチナ住民の衝突、さらにイエメンでの米艦テロは、大統領選に関してゴア副大統領のマイナス材料となっている。大統領が最大の外交成果にしようとしたパレスチナ和平は崩壊の危機に至り、しかも共和党候補のブッシュ・テキサス州知事が、クリントン・ゴア政権の批判材料としてきた国防政策がクローズアップされたためだ。
 ゴア副大統領の支持率は最近、低迷し、民主党は苦しい戦いを迫られている。首脳会談で何らかの合意が成立しなければ、クリントン―ゴア政権の外交政策に対して、国民の不信感が強まり、ゴア氏の支持率がさらに落ち込む恐れもあった。
 合意によると、米国は2週間以内に当事者と和平交渉をどう前進させるかを協議するという。しかし、オルブライト国務長官は月内に朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を訪問する予定で、来月にはクリントン大統領のベトナム訪問、北朝鮮の年内訪問も計画されている。多忙な外交日程の中で、どこまでパレスチナ和平の実質的な進展を達成できるか疑問視する見方も強い。
 来年1月の退任を前にクリントン大統領は「花道づくり」を意識せざるを得ない。肝心のパレスチナ和平達成が不可能になれば、クリントン外交の「外見」はともかく、「内実」が厳しく問われることになるだろう。[2000-10-17-23:41] 211
[このページの最初に戻る]


 10/17@中東会議「まず合意」優先、早期実現には疑問も(読売新聞)

 【シャルムエルシェイク(エジプト)17日=平野真一】パレスチナ騒乱をめぐる中東首脳会議は十七日、衝突停止のための措置、原因究明調査委員会の設置、中東和平プロセス立て直し――の三点で合意、会議決裂、全面武力対決への発展という最悪の事態は回避された。だが、合意事項は折衷的で、決裂を恐れるあまり、細部にあいまいさを残したまま合意を急いだ観が強い。イスラエルとパレスチナ自治政府がいつ、どのような措置を、どの程度実施するかは、不明な部分が多く、早期停戦実現を疑問視する見方も出ている。
 三項目のうち原因究明については、比較的明確な内容となった。「米国がアナン国連事務総長との協議の上で両当事者と調査委員会を設置し、クリントン米大統領が報告をアナン氏に見せた上で公表する」というのは、「米国主導の三者委員会」を主張するイスラエル案を基本としながら、「国連の役割を拡大した国際委員会」というパレスチナ側の要望を入れたものだ。
 また、聖都エルサレムの帰属などをめぐるパレスチナ最終地位交渉の再開問題でも、米国が両当事者と二週間以内に協議を行うとうたい、疑問の余地はない。
 だが、「今会議最大の目標」(米政府)とされた衝突停止策については、双方の要求を抽象的用語で列挙しただけの印象が強い。
 合意によれば、イスラエルとパレスチナ自治政府は、暴力終結を呼びかける公式声明を発表した上で、衝突終結への「即時具体策」として、〈1〉法と秩序の回復〈2〉軍の再展開〈3〉衝突原因の除去〈4〉治安協力の拡大〈5〉封鎖の解除〈6〉ガザ空港の再開――の措置を取ることとされている。
 「パレスチナ人はイスラエル軍の攻撃の犠牲者」との立場をとるパレスチナ側は、協議で一貫してイスラエル軍の無条件撤退を主張。これに対し「衝突を扇動しているのはアラファト自治政府議長」とするイスラエル側は「自治政府が民兵組織の武装解除や武装活動家の再収監を行わない限り撤退しない」と反論してきた。今回の合意を見る限り、「どちらが先か」を棚上げして両論を並べたもので、撤退の規模も武装解除の有無も触れられていない。
 イスラエルのベンアミ外相代行は会議終了後、「我々がここに来た目標は達成された」と述べた。だが、同国のバラク首相は「これが衝突低減につながらないようなら、イスラエルはいかなる方法を用いてでも低減させる」と述べ、合意が必ずしも衝突停止を約束するものでないとの見方を示している。また、いくら当局同士で合意したとしても、イスラエル軍との衝突を「反占領闘争」と見なすパレスチナ人住民がほこを収めるかどうかはまったく未知数だ。
 [2000-10-17-21:59] 214
[このページの最初に戻る]


 10/17@<中東情勢>緊急中東首脳会談の合意内容の要旨 米大統領発(毎日新聞)

 17日、クリントン米大統領が発表した緊急中東首脳会談の合意内容の要旨は以下の通り。
▽我々の第一の目的は、現在起こっている暴力を終わらせ、和平に向けての努力を再開することだった。
▽指導者たちは次の3点で合意した。
▽第一点。(イスラエル、パレスチナの)双方は暴力の終結を呼びかける公式声明を出すことに合意した。
▽双方は現在の紛争を終わらせ、摩擦をなくし、暴力の終結を確実にし、衝突再発を防止するために迅速で具体的な措置を取ることに合意した。
▽これを達成するため、双方は、今回の衝突が起こる前の状態に戻し、法と秩序の回復、非武装化、摩擦の根絶、安全強化のための協力をする。
▽(パレスチナ自治区の)封鎖解除、ガザ空港の再開などを実施する。
▽米国は必要に応じて両者の安全保障に協力する。
▽第二点。米国は双方と共に、国連事務総長と協議した上で、過去数週間の出来事について事実関係を調べ、紛争再発防止の委員会を設置する。
▽公表前の委員会報告は、米大統領、国連事務総長、(イスラエル、パレスチナの)当事者が共有する。最終報告は米大統領が報告を受け、検討した上で公表する。
▽第三点。国連安保理決議242と338に基づいて、(パレスチナの)恒久的な地位に関する合意に至る努力を再開することが必要だ。
▽このため、指導者たちは、米国が今後2週間以内に、両当事者と協議し、どのように(和平交渉を)前進させるかを協議することに合意した。
▽我々は重要な決心をしたが、将来に対していかなる幻想も抱いてはならない。 【エルサレム支局】[2000-10-17-21:51] 215
[このページの最初に戻る]


 10/17@<中東情勢>暴力行為終結措置で3項目の合意を発表 米大統(毎日新聞)

 【シャルムエルシェイク(エジプト・シナイ半島)17日高橋弘司、小倉孝保】パレスチナ・イスラエルの衝突収拾に向けた緊急中東首脳会談で、クリントン米大統領は17日、イスラエル、パレスチナ両首脳が暴力行為終結を呼びかけ、紛争終結の具体的措置を執ることなど、3項目の合意を発表した。これによりバラク・イスラエル首相、アラファト・パレスチナ自治政府議長は、20日間に及び100人以上の死者を出した衝突終結に向け、共同して対処する方向が固まった。また米国と国連が加わった衝突原因の事実調査委員会を設置、和平交渉再開を協議する会合を2週間以内に開くことでも合意。和平プロセス崩壊をかろうじて回避した形だが、パレスチナ住民がこの合意を受け入れ、衝突が終結して和平プロセス再開に結びつくかどうかは、予断を許さない。 
 クリントン大統領は17日午後0時半(同午後7時半)すぎから再開された首脳会談で声明を発表、会談の合意内容を明らかにした。
 それによると、イスラエル、パレスチナ両首脳が先月28日以来の紛争終結を呼びかける声明を出したうえ、終結のための具体的措置をとり、イスラエルはパレスチナ自治区の封鎖とガザ空港の閉鎖措置を解除する。
 さらに衝突原因の事実調査委員会構成については、アラファト議長が求めていた「国際的枠組み」を退け、イスラエル、パレスチナ両当事者と、クリントン大統領、アナン国連事務総長の4者で構成することで、妥協が成立した。
 また中断状態に陥っている最終地位交渉再開に向け、米国が「2週間以内」と期限を区切って両当事者と協議することも合意した。
 これを受け、ムバラク・エジプト大統領が首脳会談閉幕を公式に宣言した。
 緊急首脳会談が決裂を免れ、合意内容を発表して終結したことで、1993年のパレスチナ暫定自治合意以来の和平プロセスが崩壊する危機はかろうじて回避された。
 クリントン大統領は会談2日目の17日朝から、ムバラク・エジプト大統領、アナン国連事務総長に続きバラク首相、アラファト議長と個別に会談、合意達成にこぎ着けた。
 首脳会談には、米国、イスラエル、パレスチナ、エジプトの各首脳に、アブドラ・ヨルダン国王、アナン国連事務総長、ソラナ欧州連合(EU)共通外交・安全保障上級代表を加えた7者が出席した。17日にはテネットCIA長官が治安問題の協議に同席した。[2000-10-17-21:46] 248
[このページの最初に戻る]


 10/17@中東首脳会議、怒号飛び交う外相会合(読売新聞)

 【シャルムエルシェイク(エジプト)17日=平野真一】疲れ切った表情で会談を繰り返す各国首脳、激してどなり合う外相たち――十七日未明まで続けられた中東首脳会議は、イスラエルとパレスチナ自治政府の主張が真っ向から対立し、“消耗戦”の様相を呈した。
 会議の進行役となったのは、クリントン米大統領だった。十六日午後九時半からの全首脳による夕食会をはさんで、バラク・イスラエル首相、アラファト・パレスチナ自治政府議長と何度か個別会談を実施。同時並行で進められている、外相レベルの合意文書作成委員会の進行具合をにらみながら、双方の説得を試みた。
 十七日午前零時に予定されていた帰国も「期限を定めず延長」(ホワイトハウス報道官)し、アナン国連事務総長、アブドラ・ヨルダン国王らが次々ホテルに引き揚げる中、未明まで粘り続けた。
 だが、イスラエル、パレスチナ双方とも未明までには主張を曲げなかった。第一の争点は、衝突終結に向けた安全保障措置。イスラエル側は「交渉でイスラエルに圧力を加えるために衝突を扇動している」としてアラファト議長に対する不信感を募らせ、「まずイスラエル軍が増強した兵力を衝突開始前の水準まで削減すべきだ」とするパレスチナ側の要求を拒否。パレスチナ側の自治区封鎖解除の要求も、「パレスチナ人が銃撃をやめたら検討する」とし、逆に、自治政府が釈放したハマスなどイスラム原理主義組織活動家の再収監や、民兵組織の武装解除を要求した。
 衝突原因の究明問題をめぐっても紛糾した。合意文書作成委員会では、パレスチナ側が「イスラエル右派政党党首のイスラム教聖地訪問が直接原因」と明記するよう求めたのをきっかけに、どなり合いとなり、パレスチナ筋によれば、自治政府のエレカト地方行政相がベンアミ・イスラエル外相代行に「人殺しめ!」と叫ぶ一幕まであったという。
 クリントン大統領は一時、議論の内容をまとめた概括的な文書を作るようもちかけたが、パレスチナ側は「何に合意し、何に合意しなかったか、すべて詳細に明記すべきだ」と主張。米ホワイトハウスの安全保障担当報道官は十七日未明、「突破口が開けそうな兆候は何もない」と報告した。[2000-10-17-13:47] 250
[このページの最初に戻る]


 10/17@ユニセフが黒柳さんに賞 貧困地域の子の救済訴え(共同通信)

 国連児童基金(ユニセフ)は十七日までに、内戦や貧困で苦しんでいる子どもたちの現状を幅広く紹介、救済を訴えたとして、女優の黒柳徹子さんに「子どものためのリーダーシップ賞」を贈ることを決めた。
 ユニセフは、国連で一九九○年に開かれた「子どものための世界サミット」十周年を記念して同賞を創設、黒柳さんが第一回の受賞者となった。授賞式は二十四日、米ニューヨークで開かれる。
 黒柳さんは八四年、ユニセフ親善大使に任命され、アフリカのタンザニアを皮切りに、ウガンダやコソボなど約二十の国や地域を訪問。子どもたちが干ばつや内戦などの犠牲になっていると訴えてきた。
 黒柳さんの呼びかけで、これまでに約二十一万の個人、団体から約三十億円の寄付がユニセフに寄せられている。(了)[2000-10-17-13:02] 269
[このページの最初に戻る]


 10/17@エリザベス女王、20年ぶりにバチカン訪問(読売新聞)

 【ローマ16日=西田和也】英国のエリザベス女王が十六日夕、四日間のイタリア、バチカン公式訪問のため、ローマに到着した。女王の両国訪問は二十年ぶり。十七日にバチカンでローマ法王ヨハネ・パウロ二世と会談する。
 バチカンは先月、「カトリック信者だけが神による救済を十分に得られる」などとして、キリスト教諸宗派や他宗教に対するカトリックの優位性を改めて主張する神学文書を発表。英国王を長とする英国国教会は「最近の対話機運に悪影響を与えるものだ」と反発していただけに、今回の会談でこの問題がどう取り上げられるか注目される。
 英国国教会は十六世紀にカトリック教会から分離。以来、双方の関係は途絶えていたが、現法王の即位(七八年)後、女王がバチカン、法王が国教会の総本山カンタベリー寺院を互いに訪問し、約四百五十年ぶりに和解した。[2000-10-17-10:41] 286
[このページの最初に戻る]


 10/17@<中東和平>緊急中東首脳会談、エジプトで開幕=替(毎日新聞)

 【シャルムエルシェイク(エジプト・シナイ半島)16日高橋弘司、小倉孝保】パレスチナ・イスラエルの衝突収拾を目指した緊急中東首脳会談が16日、エジプトの保養地シャルムエルシェイクで開幕した。会談にはバラク・イスラエル首相、アラファト・パレスチナ自治政府議長の両当事者のほか、クリントン米大統領、ムバラク・エジプト大統領らが出席、停戦合意を目指して断続的に協議が行われている。会談失敗は衝突激化を招き、和平プロセス崩壊につながりかねないだけに、米国など仲介役は事前工作を展開してきたが両者の隔たりは大きく、激しい応酬が続いている模様だ。
 会談は午後1時半(日本時間同8時半)ころから、アナン国連事務総長、ソラナ欧州連合(EU)共通外交・安全保障上級代表、アブドラ・ヨルダン国王も加わり、7者で始まった。冒頭、クリントン大統領は「過去数週間のために(これまでの和平の過程)すべてを放棄すべきではない」と述べ、「失敗は許されない」と強調した。
 全体会談の後、首脳たちは休憩に入ったが、クリントン大統領はさらにバラク、アラファト両首脳と個別会談を行っている。
 首脳会談と並行して外相による実務協議も開かれ、最終声明の起草作業を進めている。ヨルダンのハティーブ外相はAFP通信に対し、「問題解決には強力な政治的意思と真剣な行動が求められる」と、協議の難航を示唆した。合意が達成できなければ、会談は17日にずれ込むとの観測も出ている。
 クリントン大統領は会談の目標として、(1)停戦合意と治安回復(2)衝突発生の原因調査に関する組織発足(3)和平交渉の再開促進――の3点を掲げている。パレスチナ側は4日のパリの和平会談で対立点となった真相究明のための国際調査委員会設置を改めて要求。一方のイスラエル側は、最近釈放されたイスラム原理主義組織「ハマス」メンバーらの再収監などを求めており、隔たりは大きい。
 先月28日以来のイスラエル治安部隊とパレスチナ住民の衝突では、100人以上が死亡、2000人以上が負傷する事態に発展。12日にはイスラエル軍がパレスチナ自治区に本格攻撃を仕掛けるなど、対立は抜き差しならない状態に陥り、最終段階に差し掛かった和平交渉は再開が危ぶまれている。[2000-10-17-01:11]
[このページの最初に戻る]


 10/18@<ニュースがわかる>Q&A 旧ユーゴ国際戦犯法廷(毎日新聞)

 Q ユーゴスラビア連邦の新政権発足で、ミロシェビッチ前大統領の旧ユーゴ国際戦犯法廷への身柄引き渡しが焦点になっています。戦犯法廷とは何ですか。
 A 戦争や地域紛争によって発生した大量虐殺や強制追放など人道に反する戦争犯罪を裁く専門の法廷です。1990年代に入りアフリカのルワンダと旧ユーゴの戦犯法廷が国連安保理決議で開設されました。ユーゴ法廷の本部はオランダのハーグにあり、専門の裁判官や検察官、スタッフが容疑者の起訴・逮捕・判決に関る作業をしています。
 Q 国連の法廷ということは、国際社会の全面的な信頼を得ているのですね。
 A 原則は公正明大なのですが、実際は国際政治の力学が色濃く反映されています。ユーゴ法廷はボスニア紛争の緊張が高まった93年に開設され、旧ユーゴ圏一円で起こった人道違反などを摘発する役割を持っています。しかし、欧米、特に米国が運営のスポンサーという面もあり、欧米主導で進められる傾向があります。容疑者の拘束も北大西洋条約機構(NATO)が主体の国際平和維持部隊が当たり、ボスニア紛争で虐殺などを指揮した指揮官らの拘束・有期刑判決が相次いでいます。紛争の最大の戦犯であるセルビア人勢力指導者のカラジッチ氏が拘束できないなど、政治的な要因も働いています。
 Q ミロシェビッチ前大統領の起訴については。
 A NATOによるユーゴへの空爆が2ケ月を過ぎた昨年5月末、同法廷は前大統領らユーゴ政府・軍の幹部5人をアルバニア系住民の強制追放などの容疑で起訴しました。起訴の際も米英が積極的で、フランスのジュベヌマン内相は「政治的な法廷」として起訴に反対したほどでした。
 Q こんどの政権交代で、前大統が法廷へ引き渡される可能性はありますか。
 A 米英は従来通りの身柄引き渡しを要求していますが、経済制裁の解除を決めた欧州連合(EU)議長国・仏のベトリヌ外相は「制裁解除の条件とはならない」。コシュトゥニツァ新大統領も「ハーグに引き渡すことはない」と明言しており、国内問題として処理する方針のようです。最終的に判断するのはユーゴ自身であり、これを無視して外国が強硬に前大統領本人を逮捕することは考えにくいと言えます。【ブリュッセル・森忠彦】[2000-10-18-23:46] 15
[このページの最初に戻る]


 10/18@<ユーゴ>新大統領の組閣要請を拒否 モンテネグロ大統領(毎日新聞)

 【ウィーン18日福井聡】ユーゴスラビア連邦(セルビア、モンテネグロ両共和国で構成)のコシュトゥニツァ大統領は17日、大統領就任後初めてモンテネグロを訪れ、ジュカノビッチ大統領らと会談したが、同大統領は組閣要請を基本的に拒否した。
 連邦憲法は連邦大統領がセルビア出身の場合、連邦首相はモンテネグロ出身と規定。しかし、ジュカノビッチ大統領率いる民主社会党は今回の大統領・議会選挙をボイコットし、新連邦議会に議席を持たない。
 コシュトゥニツァ大統領はモンテネグロの野党・社会人民党(旧ミロシェビッチ派)のブラトビッチ副党首の首相指名を念頭に調整しているが、ジュカノビッチ政権は「社会人民党が参加する連邦新政権はモンテネグロ共和国政権は承認しない」と反発している。[2000-10-18-20:15] 17
[このページの最初に戻る]


 10/18@「国家連合」望ましい ユーゴ駐日大使(共同通信)

 ユーゴスラビアのブライッチ駐日大使(元外務次官)は十八日、共同通信とのインタビューで、セルビアとモンテネグロで構成するユーゴ連邦の将来について「個人的には、連邦ではなく両共和国の『国家連合』が望ましいと思う」と述べた。
 大使は連邦離脱の動きを強めるモンテネグロが国民投票を早期に実施することが重要と指摘。「投票で国民の意思を尊重すべきだ」としながら、投票では多数が国家連合創設に賛成票を投じるとの見方を示した。また、政権交代後のユーゴ国民の意思を確かめるため、国民投票以外にも連邦、共和国両レベルでの「あらゆる選挙をできるだけ早く行うべきだ」とも述べた。
 新政権誕生後の経済再建について、大使は日本の役割に期待を表明。「教育レベルの高さなど、ユーゴの人的資源は豊富」として、日本企業に積極的な投資を求めた。(共同)(了)[2000-10-18-16:42] 18
[このページの最初に戻る]


 10/18@「ボス」去った無法の町 前大統領長男の支配に幕 ユーゴ(共同通信)

 「ボスは去った」。ユーゴスラビアのミロシェビッチ政権崩壊から十日余り。前大統領の出身地の東部ポジョレバツでは前大統領の長男マルコ氏(28)が国外に逃亡し、その恐怖支配に苦しめられてきた市民が解放感に浸っていた。
 人口約五万人。町はミロシェビッチ前大統領とミリャナ・マルコビッチ夫人の故郷だ。この数年はカフェやディスコを経営するマルコ氏が「皇帝」のように振る舞い、住民がびくびくして暮らす無法都市になっていた。
 「街頭でひそひそ話す必要がなくなり、みんな喜んでいる。“ボス”がいなくなったからね」。中心街で買い物をしていた電気工のゾランさん(40)は「ミロシェビッチの町」が正常化したことをこう表現した。
 住民によると、カフェなどはマルコ氏が所有者から乗っ取った。国連などの経済制裁をくぐり抜け、石油や麻薬の密輸にも手を染めたとも言われるマルコ氏と取り巻きたち。行政も警察も見て見ぬふり。逆らう住民は「殴られ、投獄されることさえあった」という。
 満員のバーにマルコ氏と「マフィア・グループ」が入ってくると、銃を突き付け席を譲らせる光景がしょっちゅうだった。化粧品店に勤めるスネジャナさんは「安心して夜に町を歩けるようになった」と言う。
 町の繁華街タバツカ大通り。マルコ氏が所有していたカフェやコンピューター店、パン屋の窓ガラスは粉々に散り、内部は跡形もなく荒らされていた。前大統領を退陣に追い込んだ今月五日の動乱直後、積もりに積もった怒りを爆発させた市民が襲った跡だ。
 郊外にある遊園地やバルカン最大といわれたディスコ「マドナ」は九月の大統領選前に閉鎖された。
 逆に、ミロシェビッチ支持者には肩身が狭い時代になった。マドナの向かいにある雑貨店の中年の店主は、記者の質問を避けながら「いい隣人だった。またオープンしてほしい」とこぼした。(ポジョレバツ共同=永田正敏)(了)[2000-10-18-16:31] 19
[このページの最初に戻る]


 10/18@◇ユーゴ大統領、組閣問題でモンテネグロ政権と合意できず◇(朝日新聞)

 ユーゴスラビア(セルビアとモンテネグロ両共和国で構成)のコシュトニツァ連邦大統領は17日、モンテネグロでジュカノビッチ共和国大統領と初めて会談した。ユーゴの組閣問題で協力を取り付けることはできなかったものの、当初は大統領選そのものが「違憲」としてコシュトニツァ政権を承認しなかったジュカノビッチ大統領は、コシュトニツァ氏を「大統領」と呼び、民主化を実現させたことを評価した。
 また、ジュカノビッチ大統領は、連邦の枠組みで話し合いを続けることを約束するなど、モンテネグロの独立問題でも柔軟な姿勢を示した。[2000-10-18-16:29] 21
[このページの最初に戻る]


 10/18@◎ミロシェビッチ党首の辞任要求=社会党元長老グループが公(時事通信)

 【ベオグラード18日時事】大衆ほう起で失脚したミロシェビッチ・ユーゴスラビア前大統領率いる社会党のかつての有力メンバーらが17日、同氏の党首辞任を求める公開書簡を出した。社会党に影響力のある有力者が公然とミロシェビッチ党首に反旗を翻したのは初めて。今後、同党首の進退問題が浮上してくる可能性も出てきた。 [時事通信社][2000-10-18-08:53] 142 [このページの最初に戻る]


 10/18@<東ティモール>難民帰還問題で努力促す 緒方・高等弁務官(毎日新聞)

 【バンコク18日小松健一】緒方貞子・国連難民高等弁務官は18日、バンコクで記者会見し、インドネシアの西ティモールに逃れている東ティモール難民の帰還問題について「国連の支援活動再開のために、西ティモールで活動する民兵組織の武装解除と法秩序の回復が必要だ」と述べ、インドネシア政府に対し治安回復に向け一層の努力を促した。
 緒方高等弁務官はまた「インドネシア各地で起きている分離独立運動は、インドネシアのみならず周辺諸国への大量の難民流出をもたらす可能性がある」と指摘し、インドネシア情勢が混乱しないために、インドネシア各地での国連要員の活動が不可欠だとの見解を示した。
 西ティモールでは先月、国連難民高等弁務官事務所の職員3人が殺害され、国連は西ティモールでの支援活動を停止している。[2000-10-18-18:16] 147
[このページの最初に戻る]


 10/18@「拷問廃止に支援を」 アジアの被害者らが訴え アムネステ(共同通信)

 「母国の拷問廃止に力を貸してください」。世界各国の拷問について報告書を発表した十八日のアムネスティ・インターナショナル日本の会見には、チベット、インドネシアなどアジア四カ国の拷問被害者六人も出席し、体験を語り支援を訴えた。
 民主化デモに参加して六年間投獄されたというチベットの元僧りょガンデン・タシさんは「足かせをしたまま働かされ、骨が露出するほど傷を負った」と証言。今も六百人以上の政治囚が母国で苦しんでいるとして、日本政府の援助を求めた。
 ミャンマーの少数民族出身のゾウ・ミン・トゥさんは「軍事政権下で何度も逮捕されたため来日して亡命を求めたが、窓もない成田の上陸防止施設に二カ月間入れられた」と日本の入国管理当局の対応を批判した。
 タシさんらは会見後、都内の中国、ミャンマー、インドネシアの各大使館前で拷問禁止を表す黄色と黒のしま模様のテープを広げ、抗議した。(了)[2000-10-18-17:41] 149
[このページの最初に戻る]


 10/18@150カ国で拷問、虐待 アムネスティが報告書(共同通信)

 人権擁護団体「アムネスティ・インターナショナル日本」は十八日、東京都内で会見し、世界百五十カ国以上で政治犯や少数集団への拷問、虐待が行われているとの報告書を発表した。
 「国際アムネスティ」は、東西冷戦時代にも政治犯の拷問を中心に報告書を二回まとめているが、今回は一般事件の容疑者や女性への暴力、人種差別問題なども取り上げた。
 報告書によると、一九九七年から今年にかけ、百五十を超える国で公務員による拷問や虐待が行われ、うち八十カ国以上で死者が出た。最も多いのは刑事事件の被拘禁者に対する拷問で、百三十カ国以上で確認されたとしている。
 報告書はまた「拷問は差別によって生まれる」と発生の構造を指摘。不法滞在の外国人らに対する日本の当局の不当な扱いや、ロシア軍によるチェチェン民族への暴行などを例に挙げている。
 アムネスティは報告書を基に同日から、世界各地で拷問廃止キャンペーンを展開。アジア、アフリカなどの十八カ国を重点に二○○一年末まで、それぞれの国の人権、宗教団体などと連携して拷問や虐待の廃止を訴え、国際会議や署名活動なども計画している。(了)[2000-10-18-17:18] 165
[このページの最初に戻る]


 10/18@難民帰還で進展なし 緒方高等弁務官が会見(共同通信)

 【バンコク18日共同】緒方貞子・国連難民高等弁務官は十八日、バンコクで記者会見し、ミャンマーのタン・シュエ国家平和発展評議会議長らと十六日、タイのミャンマー難民問題について議論した結果について「現政権は難民が反政府勢力だと考えている」と述べ、難民帰還にミャンマー軍事政権が依然協力的ではない点を指摘した。
 また「(南部)モン州のような治安が安定した所から視察を繰り返し、難民帰還を始めたい。唯一の障害は治安問題で、その点は(軍政)当局も否定していない」とし、今後も軍政側と協議を進める意向を示した。
 さらに、バングラデシュからミャンマーに帰還したアラカン州のイスラム教徒について「市民権が得られず、村の間の移動も許可制となっている」と述べ、軍政による扱いを批判した。(了)[2000-10-18-14:15] 171
[このページの最初に戻る]


 10/18@原水禁、原水協ともに集う 広島で対立乗り越え(共同通信)

 旧ソ連の核実験などをめぐり、対立していた二つの原水爆禁止広島県協議会(広島県原水禁と広島県原水協)や二つの広島県原爆被害者団体協議会など七団体が二十四日、広島市で「核兵器廃絶二○○○年のつどい」を開く。対立していた団体がともに集うことはこれまであまりなかった。
 「新世紀を核のない世界にするために幅広い運動が必要」と、各団体の幹部らが開催を呼び掛けた。来年三月には大規模な集会を開き、広島から平和のメッセージを発信する予定。
 当日は、午後六時半から広島県民文化センターで、平和の祈りコンサートや平岡敬前広島市長の講演などが行われる。
 毎年八月、広島などで開かれる原水爆禁止世界大会は一九五五年、原水爆禁止日本協議会(原水協)の主催で始まったが、六三年に旧ソ連の核実験の賛否などをめぐり分裂。六五年に原水爆禁止日本国民会議(原水禁)が発足した。
 一時両団体による統一世界大会が開かれたものの、八六年からは、再び分裂。広島県でも両団体が一緒に行動することはこれまであまりなかった。
 広島県原水禁の宮崎安男代表委員は「二十世紀最後の国連軍縮週間中に、次の世代に平和への思いを引き継ぐ市民的広がりを持った集会にしたい」と話している。(了)[2000-10-18-13:00] 184
[このページの最初に戻る]


 10/18@民族抗争で60人死亡 ナイジェリア(共同通信)

 【ナイロビ17日共同】ナイジェリアからの報道によると、同国最大の商業都市ラゴスでヨルバ人とハウサ人の民族抗争が発生、十七日までに少なくとも五十―六十人が死亡した。死者は百人以上との情報もある。抗争は沈静化しておらず、ハウサ人を中心とする住民数千人が兵舎や警察に避難している。
 抗争は十五日夜、ヨルバ人の民兵らが事件の容疑者を追跡中との名目でハウサ人の居住地に入り、挑発行為をしたのが発端。当局は十六日に紛争地域に夜間外出禁止令を出した。軍の出動も検討されている。
 ナイジェリアではイスラム教徒の多い北部のハウサ人とキリスト教徒の多い南西部のヨルバ人との民族、宗教対立が頻発、民主化を進めるオバサンジョ政権は対策に苦慮している。(了)[2000-10-18-08:03] 188
[このページの最初に戻る]


 10/18@米大統領、かろうじて面目 「遺産」づくりの夢遠のく(共同通信)

 【ワシントン17日共同】シャルムエルシェイクの緊急中東首脳会談で十七日、イスラエルとパレスチナの停戦合意を取り付けたことで、クリントン米大統領は中東和平の「仲介者」として、かろうじて面目を保った。しかし今回の危機で、来年一月までの任期内に中東和平を仕上げるという大統領の「夢」は、実現からさらに遠ざかった。
 クリントン大統領にとって、中東和平達成は最大の外交的「遺産」をつくるチャンスだった。今年七月には米キャンプデービッドにバラク・イスラエル首相とアラファト・パレスチナ自治政府議長を招いて約二週間のマラソン交渉を行い、恒久的地位に関する合意達成に意欲を見せた。
 しかし、九月末からの大規模衝突は「大統領の野心」を打ち砕いた。
 また、イスラエル兵士虐殺事件をきっかけに米国の世論がイスラエル支持に大きく傾き、議会でパレスチナ非難決議が提出されるなど、今回の危機を通して米国が両当事者に公平な「真の仲裁者」であるかどうかに、深刻な疑問符が付いたのも事実。
 緊急首脳会談は、米大統領の仲介なしにイスラエル、パレスチナ間の合意があり得ないことを示したが、同時に仲介者としての米国の限界も見えた。
 難問となった衝突原因究明の調査委設置問題では、アナン国連事務総長の力を借りてパレスチナ側の合意を取り付けた。国連の存在なしに、今回の合意はなかったと言える。(了)[2000-10-18-07:34] 193
[このページの最初に戻る]


 10/18@衝突即時停止で合意…中東首脳会議(読売新聞)

 【シャルムエルシェイク(エジプト)17日=桜井考二】イスラエル治安部隊とパレスチナ人による流血衝突の終結を目指し、当地で開かれていた緊急中東首脳会議は二日目の十七日昼(日本時間同日夜)、〈1〉衝突の即時停止〈2〉衝突の原因を究明する調査委員会の設置〈3〉中東和平プロセスの再開――で合意し、閉幕した。クリントン米大統領はこの日、イスラエル、パレスチナ双方が今後二週間以内に、米国を交えて「パレスチナ最終地位交渉」再開に向け協議を始めることでも合意したと発表しており、二十日間に及んだパレスチナ騒乱の収拾と和平プロセス再開に向けた動きが本格化する見通しとなった。
 クリントン大統領は十七日に再開された参加首脳の全体会合で声明を発表、「双方は、衝突を終わらせる具体的措置を即座に講じることに同意した」と、バラク・イスラエル首相とアラファト・パレスチナ自治政府議長が“即時停戦”で合意したことを明らかにした。
 また、大統領は、双方が衝突開始前の状況に戻すことにも合意したと語り、イスラエルがパレスチナ自治区の封鎖を解除し、閉鎖していたガザ空港の再開で合意したことも示唆した。
 衝突の原因を究明する調査委の性格についてはこれまで、国連および欧州連合(EU)主導による調査委の設置を求めるパレスチナ側と、あくまで米国主導にこだわるイスラエル側の対立が解けなかったが、大統領によると、米国が国連事務総長と相談しながら進める形で、当事者双方が合意したという。
 調査委は原因究明とともに、衝突の再発防止策を探り、その報告書は公表前に米、イスラエル、パレスチナの三首脳と国連事務総長に提出される。
 ただ、今回の合意は、会議の決裂回避を最優先したため、具体性に欠けるものとなり、実効性には疑問を投げかける声もある。また、中東首脳会議での停戦合意後も、ヨルダン川西岸のベツレヘムで武装パレスチナ人とイスラエル兵との銃撃戦が起きるなど、パレスチナ自治区は依然、不穏な情勢が続いている。
 パレスチナでの騒乱は、イスラエルとパレスチナが帰属を争う聖都エルサレムで先月二十八日に発生、過去二十日間で死者百人以上を出し、双方が平和共存の道を模索し始めた一九九三年九月のパレスチナ暫定自治合意以来、最悪の事態となっていた。
 今回の首脳会議は十六日に緊急招集され、バラク首相、アラファト議長、クリントン大統領のほか、ムバラク・エジプト大統領、アブドラ・ヨルダン国王、アナン国連事務総長、ソラナEU共通外交・安保上級代表が参加していた。
 合意の骨子は次ぎの通り。
 ▽両当事者は衝突を即時停止させるための具体的措置を取る ▽米国は国連事務総長と協議し、両当事者と(騒乱発生の)原因究明のための調査委員会を設置する ▽両当事者は二週間以内に、最終地位交渉再開に向けた協議を米国と行う[2000-10-18-02:58] 194
[このページの最初に戻る]


 10/18@<中東情勢>流動的な情勢に イスラエルとパレスチナ(毎日新聞)

 【エルサレム17日海保真人】緊急中東首脳会談は17日、決裂せずに終わった。しかし、バラク・イスラエル首相とアラファト・パレスチナ自治政府議長の対立と確執は、完全に払拭されたとは言い難く、流動的な情勢をにらみながら、実際の収拾作業にあたることになりそうだ。
 パレスチナ自治区の封鎖解除など、合意はとりあえず衝突勃発前の状態に戻すことで、停戦の環境を整えようとの策だ。焦点だった国際調査委員会の設置に関しては、イスラエルが主張した米・イスラエル・パレスチナの3者委員会に、パレスチナが求めた国連を加えることで妥協した。
 アラファト議長側にとっては、エルサレムのイスラム教の聖地訪問を強行したイスラエルの右派野党リクードのシャロン党首の責任問題が扱われず、衝突原因究明のための、欧州、アラブ諸国を含めた「国際調査委」も実現しなかったため、不本意な決着と言えよう。
 今後は騒乱終結に関し、パレスチナ住民や過激派組織の動きを、アラファト議長が抑え込めるかにかかっている。イスラエルのベンアミ警察相兼外相代行は「アラファト議長の停戦指令に期待する」、シャハク観光相は「合意が履行されなければイスラエルはあらゆる方策で市民を守る」と語り、早くも議長に圧力をかけている。騒動が再発すれば、イスラエル治安部隊は武力鎮圧を敢行、合意は空中分解しかねない。
 一方、バラク首相は国内で右派野党リクードとの「非常事態挙国一致内閣」結成案の撤回か存続かを迫られる。バラク首相は「挙国一致内閣はいまだ重要であり、今後数週間で決断を迫られることになろう」と語り、選択肢を捨てていない。だが、騒動が完全に収まり和平交渉再開に傾けば、シャロン党首は連立を拒絶し、「バラク降ろし」に走る構えだ。今度は内政の危機を迎えることになり、両首脳それぞれに、不安材料を抱えながら騒動の終結にあたる。[2000-10-18-02:41] 200
[このページの最初に戻る]


 10/18@<中東情勢>緊急首脳会談、衝突収拾で合意 原因調査委を設(毎日新聞)

 【シャルムエルシェイク(エジプト・シナイ半島)17日高橋弘司、小倉孝保】パレスチナ・イスラエルの衝突収拾に向けた緊急中東首脳会談で、クリントン米大統領は17日、イスラエル、パレスチナ両首脳が暴力行為終結を呼びかけ、紛争終結の具体的措置を取ることなど、3項目の合意を発表した。米国と国連が加わった衝突原因の調査委員会を設置、和平交渉再開を協議する会合を2週間以内に開くことでも合意し、和平プロセス崩壊の最悪事態はかろうじて回避されそうだ。しかし、パレスチナ住民がこの合意を受け入れ、20日間に及び100人以上の死者を出した衝突が終結して和平プロセス再開に結びつくかどうかは、予断を許さない。 
 クリントン大統領は17日午後0時半(日本時間午後7時半)すぎから再開された首脳会談で声明を発表、会談の合意内容を明らかにした。
 それによると、バラク・イスラエル首相、アラファト・パレスチナ自治政府議長が、先月28日以来の紛争終結を呼びかける声明を出して具体的措置を取り、イスラエルはパレスチナ自治区の封鎖とガザ空港の閉鎖措置を解除する。
 さらに衝突原因の調査委員会構成については、アラファト議長が求めていた「国際的枠組み」を退け、イスラエルが要求していた両当事者と米国の3者に、アナン国連事務総長を加えた4者構成とすることで、妥協が成立した。
 また中断状態の最終地位交渉再開に向け、米国が「2週間以内」と期限を区切って両当事者と協議することでも合意した。
 これを受け、ムバラク・エジプト大統領が首脳会談閉幕を公式に宣言した。
 緊急首脳会談が決裂を免れ、合意内容を発表して終結したことで、1993年のパレスチナ暫定自治合意以来の和平プロセスが崩壊する危機は回避される見通しとなった。
 クリントン大統領は会談2日目の17日朝から、ムバラク・エジプト大統領、アナン国連事務総長に続きバラク首相、アラファト議長と個別に会談、合意達成にこぎ着けた。しかし、合意が大統領の声明にとどまり、文書調印にまで至らなかったことで、実効性に疑問符がつく幕切れとなった。
 首脳会談には、米国、イスラエル、パレスチナ、エジプトの各首脳に、アブドラ・ヨルダン国王、アナン国連事務総長、ソラナ欧州連合(EU)共通外交・安全保障上級代表を加えた7者が出席した。[2000-10-18-00:06]


 (注)この「最近のボスニア」コーナーは、一般に報道されている記事に、千田が一部手直しして掲載しているものです。出所は明示しており、各社・各記者の著作権を侵害するつもりはありませんが、著作権上問題があるとお考えの方や、自分(自社)の記事は載せないでほしいという方がいらっしゃれば、このホームページの感想もふくめて、千田あてに連絡してください。
 千田あての電子メールはここをクリックしてください。


[メニュー]   [自己紹介]   [最近のボスニア]   [論文]   [リンク]