最近のボスニア(旧ユーゴスラビア)情報

(09/21, 2000)


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 09/16@<ユーゴスラビア>連邦大統領、議会選挙まで1週間(毎日新聞)
 09/16@元慰安婦が米国で提訴へ 日本政府相手に賠償請求(共同通信)
 09/16@野党優勢、政権に亀裂も ユーゴ大統領選迫る(共同通信)
 09/16@◎野党コシュトニツァ候補が旋風=ユーゴ大統領選まで1週間(時事通信)
 09/16@わいせつ行為の米兵ら処分 コソボ自治州の国際治安部隊(共同通信)
 09/16@<人道介入問題>カナダ外相が国際委員会設置を発表(毎日新聞)
 09/16@年内の国民投票もあり得る モンテネグロ副首相(共同通信)
 09/16@ユーゴ野党党首を一時拘束(共同通信)
 09/16@中東和平交渉、3者の折衝本格化 歩み寄りも(読売新聞)
 09/16@<米印首脳会談>インドの核実験凍結盛り込む 共同声明(毎日新聞)
 09/16@安保理、東アフリカへのPKO派遣を全会一致で採択(読売新聞)
 09/16@◇日本人拉致のウズベク反政府組織、米がテロ組織に指定◇(朝日新聞)
 09/16@「最も安全」なPKOに 課題は地雷対策 (共同通信)
 09/16@PKOは4千人規模と決議 エチオピアなどで安保理(共同通信)
 09/16@<アフガン難民>緒方貞子・高等弁務官が「窮状に関心を」と(毎日新聞)
 09/16@<特報・防衛庁>次期防で NGOと連携 災害救援や人道援(毎日新聞)
 09/16@<特報・地雷除去>外務など5省庁 研究・技術移転など支援(毎日新聞)
 09/16@◇スー・チーさん、徹底抵抗の決意 4年ぶりに会見◇(朝日新聞)
 09/16@◇制裁解除―「欧州の価値」に先例◇(朝日新聞)
 09/17@◎街頭デモの武力鎮圧を警告=ユーゴ軍参謀総長(時事通信)
 09/17@<ユーゴ選挙>24日の投票を前に現政権側の工作を懸念する(毎日新聞)
 09/17@「聖地」安保理管理に…米が新仲介案(読売新聞)
 09/17@「神殿の丘を国連管理に」…米が仲介案提示か(読売新聞)
 09/18@<人と世界>吟遊詩人、チャンギース・メディプールさん(1(毎日新聞)
 09/18@<人と世界>吟遊詩人、チャンギース・メディプールさん(2(毎日新聞)
 09/18@<揺れる選択>ユーゴ大統領選 資金が足りない野党(毎日新聞)
 09/18@◎西側首脳らの欠席裁判開始=NATO空爆理由に「戦犯」で(時事通信)
 09/18@<EU>外相会議が始まる 焦点はユーゴ大統領選の対策(毎日新聞)
 09/18@<ユーゴ>大統領選 コシュトゥニツァ党首が支持率40%(毎日新聞)
 09/18@<ユーゴ選挙>野党側大統領候補リード 現政権側の工作に懸(毎日新聞)
 09/18@「軍は祖国を守り抜く」 ユーゴ選挙で参謀長(共同通信)
 09/18@アフリカ西部ギニアで、国連男性職員が襲撃され死亡(読売新聞)
 09/18@<ギニア>UNHCR襲撃事件 隣国リベリアが関与の可能性(毎日新聞)
 09/18@安全確保、緒方氏に難題 相次ぐUNHCR職員殺害(共同通信)
 09/18@◇米がPKOの指揮統合へ動く 東南アジア各国へ提案◇(朝日新聞)
 09/19@<揺れる選択・ユーゴ大統領選>「政府に非協力」解任された(毎日新聞)
 09/19@<ユーゴ大統領選>投票終了後に軍出動の動きも (毎日新聞)
 09/19@米大統領ら「被告」に模擬裁判(読売新聞)
 09/19@◎11月にEU・バルカン首脳会議=政治・経済両面で関係強(時事通信)
 09/19@◇「大統領退陣すれば制裁解除」 EU、ユーゴ国民へ声明◇(朝日新聞)
 09/19@米・東南アで多国間演習、PKOなど想定 (読売新聞)
 09/19@<経済観測>ドイツ統一10周年(毎日新聞)
 09/19@「神殿の丘」主権で攻防 宗教絡み決め手欠く(共同通信)
 09/19@◇平和訴え国連でダンスを披露 ピースボート◇(朝日新聞)
 09/19@<翔んで…アフリカ>ガラス1枚 世界隔て(毎日新聞)
 09/19@トルーマン・ビルと命名 米国務省の建物 (共同通信)
 09/19@<東ティモール>サッカーチームが日本対ブラジル戦を観戦へ(毎日新聞)
 09/19@差別まん延で戦力に影響 南アフリカ(共同通信)
 09/19@<露外相>米にABMの順守を要求 国連総会の演説で(毎日新聞)
 09/19@危険と隣り合わせの国境 UNHCR職員殺害事件(共同通信)
 09/19@死者のほぼ半数が人道職員 国連が命懸けの実態公表(共同通信)
 09/19@相次ぐ職員殺害、難民支援の国連に動揺(読売新聞)
 09/19@<米国防長官>国連職員殺害で西ティモールの治安回復要求(毎日新聞)
 09/19@<追跡>シドニー五輪 米国で独占権握るNBC(毎日新聞)
 09/19@<ニュースキー>謎に包まれるフジモリ大統領「不出馬」(毎日新聞)
 09/20@<ユーゴ大統領選>揺れる選択 電子工学高専 改革に市場原(毎日新聞)
 09/20@<ユーゴスラビア>24日に連邦大統領・議会選 コソボが焦(毎日新聞)
 09/20@ミロシェビッチ大統領、モンテネグロ初訪問(読売新聞)
 09/20@<ユーゴスラビア>連邦大統領がモンテネグロ共和国訪問(毎日新聞)
 09/20@モンテネグロを初訪問 ミロシェビッチ大統領(共同通信)
 09/20@強行すれば内戦と警告 国民投票でユーゴ首相(共同通信)
 09/20@<最恵国待遇>対中恒久的法案可決 米議会、経済的実利選ぶ(毎日新聞)
 09/20@◎ユーゴの選挙に強い懸念=ミロシェビッチ大統領、居座る公(時事通信)
 09/20@◎ユーゴ部隊のテロ計画阻止=コソボで爆発物発見−国連部隊(時事通信)
 09/20@<世界人口白書>ジェンダーの不平等解消呼びかけ 国連人口(毎日新聞)
 09/20@◎北朝鮮向け特殊レーダーを押収=ステルス機捕そくも可能−(時事通信)
 09/20@<五輪・サッカー>次なる挑戦に向けサポーターから大きな拍(毎日新聞)
 09/20@3分の1が望まない妊娠 国連が世界人口白書(共同通信)
 09/20@<イラン>初来日のモハジェラニ・イスラム指導相が会見(毎日新聞)
 09/20@<西アフリカ>伝染性皮膚病広がる 深刻な後遺症 治療法不(毎日新聞)
 09/20@<翔んで…アフリカ>性格譲り、明快な支援(毎日新聞)
 09/20@日中交えPKO共同演習を 米国防長官が新構想(共同通信)
 09/20@国連が職員の安全基準見直し 相次ぐ殺害事件で(共同通信)
 09/20@弱者に配慮し経済統合を UNCTADが年次報告(共同通信)
 09/20@◇世界の成長率は3%超 2000年版貿易開発報告◇(朝日新聞)
 09/20@首相、北朝鮮を国家承認の意向(読売新聞)
 09/20@イスラエル、最終地位交渉の実務協議を中断(読売新聞)
 09/21@<ユーゴスラビア>ミロシェビッチ連邦大統領が支持者集会に(毎日新聞)

 (注)この「最近のボスニア」コーナーは、一般に報道されている記事に、千田が一部手直しして掲載しているものです。出所は明示しており、各社・各記者の著作権を侵害するつもりはありませんが、著作権上問題があるとお考えの方や、自分(自社)の記事は載せないでほしいという方がいらっしゃれば、このホームページの感想もふくめて、千田あてに連絡してください。
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 09/16@<ユーゴスラビア>連邦大統領、議会選挙まで1週間(毎日新聞)

 【ウィーン支局16日】ミロシェビッチ体制の命運を決するユーゴスラビア連邦(セルビア共和国とモンテネグロ共和国で構成)の連邦大統領・議会選挙は24日の投票まで1週間後に迫った。大統領選では「セルビア民主野党連合」が擁立したセルビア民主党のコシュトニツァ党首(56)が世論調査で、与党・社会党の現職ミロシェビッチ大統領(59)とのリードを広げている。しかし、欧米諸国や野党にはミロシェビッチ大統領側の工作を懸念する声が強く、選挙前後にユーゴ情勢が緊迫する可能性もある。
 大統領選には5人が出馬しているが、コシュトニツァ党首とミロシェビッチ大統領による事実上の一騎打ち。14日付独立系紙ブリッツが掲載した社会科学研究所(ベオグラード)の支持率調査によると、コシュトニツァ党首の支持率は40%で、ミロシェビッチ大統領の22%を18ポイント引き離している。コシュトニツァ党首のリードは1カ月前に比べ6ポイント拡大しており、躍進が続いている。
 「穏健派民族主義者」と自称するコシュトニツァ党首はユーゴ民主化の必要性を掲げ、経済制裁で国際的孤立を深めたミロシェビッチ大統領の失政を指摘。同党首は14日の集会で「ミロシェビッチ(大統領)は24日に打倒される」と政権交代に自信を示した。
 これに対して、ミロシェビッチ政権は欧州安保協力機構(OSCE)の選挙監視団受け入れを拒否し、野党系放送局の接収や反政府活動家の逮捕で締め付けを強化してきた。旧ユーゴ国際戦犯法廷に起訴されているミロシェビッチ大統領には再選で政治生命を延命したい思惑がある。
 このため欧米の人権団体や野党側は、大統領陣営がコソボ自治州などで投開票の不正操作を実行するのではないかとの疑念を抱いている。大統領が一方的に「勝利宣言」を強行する可能性もあり、政権側と野党陣営の対立激化や、反ミロシェビッチ派が台頭したモンテネグロでの混乱なども予想される。
 ここに来て、ミロシェビッチ大統領の外交経済顧問を務めた社会党最高幹部のリリッチ前連邦大統領が連立与党内の対立で8月に辞任していたことが発覚。ミロシェビッチ体制に足並みの乱れも出始めており、選挙結果への影響が注目されている。[2000-09-16-19:45] 20
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 09/16@元慰安婦が米国で提訴へ 日本政府相手に賠償請求(共同通信)

 【ワシントン16日共同】第二次大戦中に日本軍の慰安婦だったとする韓国、中国、台湾、フィリピンの女性計十五人が今月十八日、「外国人違法行為申し立て法」に基づき、日本政府を相手とした損害賠償請求訴訟をワシントンの連邦地裁に起こす。ワシントンの支援団体が十五日に明らかにした。元慰安婦が米国で日本政府を訴えるのは初めてという。
 支援団体によると、原告となる女性の多くは既に日本で訴訟を起こしているが、「日本の裁判では正義が実現していない」ため、米国での訴訟に踏み切ることを決めた。損害賠償とともに、慰安婦問題に対する日本政府の公式な謝罪を要求する。
 「外国人違法行為申し立て法」は、主に海賊被害を想定して十八世紀の米議会が制定、米国人以外を被告や原告として米国で裁判を起こすことを可能にしている。最近ではユーゴスラビアの女性が、同法に基づき米国でミロシェビッチ・ユーゴ大統領を人権侵害で訴えた例がある。
 元慰安婦の女性たちの代表は十八日の提訴後にワシントンで記者会見。日本大使館前での集会も予定している。
 第二次大戦中の日本の不法行為に絡んだ米国での訴訟としては、日本で強制労働させられたとする中国人ら計九人が、日本企業に損害賠償を求める訴訟を先月二十二日、カリフォルニア州の裁判所に起こした例などがある。(了)[2000-09-16-16:14] 21
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 09/16@野党優勢、政権に亀裂も ユーゴ大統領選迫る(共同通信)

 【ベオグラード16日共同】ミロシェビッチ政権が生き残りをかけるユーゴスラビア大統領選挙(二十四日投票)が、一週間後に迫った。野党の優勢が続く中、政権陣営に亀裂が生じるなど情勢は流動的だ。
 十四日発表の世論調査では、ミロシェビッチ大統領(59)の支持率二二%に対し、野党連合が擁立したセルビア民主党のボイスラブ・コシュトニツァ党首(56)が四○%で大幅にリード。最大野党セルビア再生運動が独自候補を立てるなど、計五人が出馬しているが、事実上、両者の一騎打ちだ。過半数を占める候補がいない場合、上位二人による来月八日の決選投票になる。
 しかし、「架空の“コソボ票”を利用すれば不正は容易」(政治世論調査研究所のバチェビッチ所長)とする見方もあり、野党側は政権側による投開票の不正操作で、大統領が「勝利宣言」するのではないかと警戒している。
 政権側は欧州安保協力機構(OSCE)の選挙監視団受け入れも拒否。コシュトニツァ氏が勝っても、大統領が敗北を認めず「二人の大統領」という異常事態を予測する声もある。
 モンテネグロでは共和国政府が選挙をボイコット。国連管理下のコソボ自治州での混乱も予想され、北大西洋条約機構(NATO)がユーゴ軍の動向を警戒するなど軍事的緊張も高まっている。
 ミロシェビッチ政権は食品価格引き下げや砂糖、食用油、住宅の供給拡大などを矢継ぎ早に実施。同時に過去四カ月間、反政府学生組織「オトポル」(抵抗)のメンバー約千六百人を拘束した。
 しかし、ここにきて同大統領の社会党、大統領夫人のマルコビッチ党首が率いるユーゴスラビア左翼、民族主義右派急進党の三党連立内に亀裂も生じている。リリッチ前大統領が、同時に実施される連邦議会選挙の統一名簿をめぐるユーゴ左翼の過大な要求に反発し、社会党幹部会を辞任。急進党は独自の大統領候補を擁立している。(了)[2000-09-16-16:08] 23
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 09/16@◎野党コシュトニツァ候補が旋風=ユーゴ大統領選まで1週間(時事通信)

 【ベオグラード16日時事】民族紛争と国際社会の制裁で疲弊したユーゴスラビアの今後の命運を決定づける連邦大統領選(連邦議会・セルビア共和国地方選と同時実施)は、24日の投票日まで残すところ1週間に迫った。野党18党で構成する「セルビア民主野党連合」が擁立したコシュトニツァ候補が世論調査で、現職ミロシェビッチ大統領を大幅にリード、体制変革への民衆の期待が盛り上がっている。しかし、国際戦犯法廷から起訴され、後のないミロシェビッチ大統領は強引に勝利を宣言するとの見方も強く、選挙後の混乱を懸念する声が高まっている。 [時事通信社][2000-09-16-14:10] 24 [このページの最初に戻る]


 09/16@わいせつ行為の米兵ら処分 コソボ自治州の国際治安部隊(共同通信)

 【ワシントン15日共同】米ABCテレビは十五日、ユーゴスラビア・コソボ自治州に展開する米国の国際治安部隊兵士九人が、昨年から今年にかけて民間人の女性に対するわいせつ行為や赤十字社の車に対する発砲などで、降格を含む処分を受けていたと報じた。国防総省は十八日にも事実を公表する予定。
 ABCが報じた同省の内部文書によると、処分を受けたのはコソボでの治安維持活動に派遣された将校四人を含む米陸軍第八二空てい師団の兵士九人。ある兵士は、市民の背中に銃を突き付け「死にたいか」と脅したという。
 コソボでは今年一月に少女に暴行を加え殺害した米兵が、米軍事法廷から終身刑を言い渡されている。(了)[2000-09-16-11:20] 27
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 09/16@<人道介入問題>カナダ外相が国際委員会設置を発表(毎日新聞)

 【ニューヨーク15日上村幸治】カナダのアクスワージー外相は14日、国連本部で会見し、人道問題を理由に他の国に介入する「人道介入」が、どのような状況下なら認められるかを検討する独立機関「介入と国家主権に関する国際委員会」(ICISS)を設置すると発表した。この問題ではロシアと中国が「人道介入は国家主権の侵害で内政干渉になる」と反発しており、激しい議論を巻き起こしそうだ。
 委員会はカナダ政府などが約3万ドルの運営費を出して設置する。オーストラリアのエバンズ前外相らが共同委員長になり、世界各国の専門家と協議して、人道介入についてのガイドラインをまとめる。来年秋までに国連に報告書を提出するが、採択されるかどうかは不明だ。
 人道介入は、ある国で大量虐殺などが起きた時に他国が介入すること。ユーゴスラビア・コソボ紛争では北大西洋条約機構(NATO)が「人道被害の防止」を理由に紛争に介入した。
 アナン国連事務総長は、昨年秋以来、この問題について議論するよう各国に呼びかけていた。今年4月には「国家主権が人道に対する罪の盾に使われてはならない」と述べている。[2000-09-16-10:40] 28
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 09/16@年内の国民投票もあり得る モンテネグロ副首相(共同通信)

 【ポドゴリツァ15日共同】ユーゴスラビア連邦からの離脱志向を強めるモンテネグロ共和国のドラギシャ・ブルザン副首相は十五日、共同通信と会見し、二十四日の連邦大統領・議会選でミロシェビッチ大統領が再選されれば、「今年末までに」独立の是非を問う国民投票を行う可能性もあると語った。
 副首相は一方で「現時点では(欧米主要国から)投票への支持は得られていない」と認めた。国民投票を支持する市民の間でも、性急な実施には慎重な声も少なくない。今回の発言は投票実現への最短のシナリオを示したと言えそうだ。
 副首相は、国民投票に踏み切った場合、連邦軍などを動員したユーゴ側のモンテネグロ介入が「十分あり得る」と指摘。こうした懸念があるため、実施を控えてきたと説明した。
 しかし「国民投票以外に選択肢はない。国民の意思に背かず、最善を尽くすのはわれわれ(政治家)の義務だ」と強調。ただ、投票実施には「最低三カ月」の準備が必要だと述べた。
 また、将来の投票実施をにらみ「国際社会の保証を取り付けようと努めている」と指摘。国際社会もモンテネグロの置かれた状況への「理解を深めている」との認識を示した。(了)[2000-09-16-10:24] 29
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 09/16@ユーゴ野党党首を一時拘束(共同通信)

 【ベオグラード16日共同】ユーゴスラビア独立系ベタ通信によると、野党「市民同盟」のスビラノビッチ党首は十五日、警察に身柄を一時拘束された。三十分で釈放されたが、二十四日の大統領選を前に野党指導者が身柄拘束されたのは今回の選挙戦で初めて。
 市民同盟は選挙戦でミロシェビッチ大統領をリードしているコシュトニツァ大統領候補を擁立した野党連合の一つ。警察はこの日、同党青年組織の事務所を捜索し活動家六人を拘束。党首はこれに抗議するため警察署に学生活動家らと現れたところを拘束された。
 ユーゴでは反体制派学生の拘束や非政府組織(NGO)の捜索など政権側による締め付けが強まっている。(了)[2000-09-16-10:23] 121
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 09/16@中東和平交渉、3者の折衝本格化 歩み寄りも(読売新聞)

 【エルサレム16日=当間敏雄】半世紀を超えるパレスチナ問題に決着をつける「パレスチナ最終地位交渉」の進展に向け、当事者のイスラエルとパレスチナ自治政府、仲介役の米国の三者の折衝が本格化してきた。パレスチナ側の独立宣言延期で生まれた和平の機運に最後の望みを託そうとするもので、妥協へ向けた歩み寄りも見え始めた模様だ。
 オルブライト米国務長官は十四日、国連総会の開かれているニューヨークで、パレスチナ自治政府のエレカト地方行政相を代表とする交渉チームと会談、その後、イスラエルのベンアミ外相代行と夕食を共にしながら協議した。
 イスラエル放送によると、ベンアミ外相代行は「合意達成に向けて(主要テーマを)パッケージにした提案書を作成している」と記者団に語り、自治政府のシャース国際協力相と共に、「ギャップに橋を架けることは可能だ」と、交渉継続に強い意欲を見せたという。
 「最終地位交渉」は、聖都エルサレムの帰属問題、特に旧市街のイスラム教とユダヤ教の聖地が重なり合う「神殿の丘(イスラム側呼称=ハラム・アッシャリフ)」の主権を双方が要求し、とん挫している。
 シャース協力相は十四日、「神殿の丘」の主権問題で、アラファト自治政府議長が「イスラム諸国会議機構(OIC)」を中心とする「国際管理案」を提示していることを明らかにした。完全主権を要求する原則論から一歩踏み出したもので、歩み寄りのサインとして注目される。ベンアミ外相代行も今月初め、モロッコを極秘に訪問、OICエルサレム委員会の委員長を務めるムハンマド六世国王と会談している。[2000-09-16-21:55] 167
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 09/16@<米印首脳会談>インドの核実験凍結盛り込む 共同声明(毎日新聞)

 【ワシントン15日布施広】訪米したインドのバジパイ首相は15日、ホワイトハウスでクリントン米大統領と会談し、核実験全面禁止条約(CTBT)が発効するまでインドが核実験を凍結することを盛り込んだ米印共同声明を発表した。また、インドはCTBT批准に向けて国民世論の醸成に努めることも約束し、核実験の永久放棄に前向きな姿勢を示した。
 バジパイ首相は、クリントン大統領が3月にインドを訪問した際、秋の訪米を約束していた。共同声明は「インドは国益に従い、CTBT発効まで核実験凍結を続ける」と明記、さらにCTBT参加のために、インド国内の同意取り付けに努力することもうたった。
 CTBTは核爆発を伴うすべての実験を禁じるもので、米国は条約に署名しながら批准に失敗し、来年以降の批准を目指している。1998年5月、相次いで核実験に踏み切ったインドとパキスタンは、条約に署名もしていない。3月の米印首脳会談でクリントン大統領は、インドのCTBT参加こそ同国の安全保障を強めると説得したが、バジパイ首相は積極的な発言を避け、核問題では進展がなかった
 15日の会談で両首脳は、南アジアの緊張は「平和的手段」でしか解決できないとの認識で一致、インドとパキスタンのカシミール紛争の解決は域内関係国に任せ、米国は原則として仲介しないことも確認した。
 また、経済関係拡大の一環として、米国の繊維製品輸入に関するインド側の規制を緩和する通商協定を発表。エネルギー問題やテロ対策など幅広い分野で、米・インドが協力することでも合意した。[2000-09-16-12:15] 182
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 09/16@安保理、東アフリカへのPKO派遣を全会一致で採択(読売新聞)

 【ニューヨーク15日=松浦一樹】国連安全保障理事会は十五日、アフリカ東部エチオピア、エリトリアの国境紛争で今年六月に停戦協定が結ばれたのを受け、最大四千二百人規模の国連平和維持活動(PKO)「国連エチオピア・エリトリア派遣団(UNMEE)」を現地に派遣する安保理決議を全会一致で採択した。
 決議は、両国に停戦協定の「順守」を求め、派遣団の任期を六か月間とした。最大二百二十人の軍事要員を含む派遣団は、国境線沿いに設けられた幅二十五キロの緩衝地帯などに展開し、停戦監視任務を遂行する。
 アナン国連事務総長は、派遣団の長となる事務総長特別代表を近く任命し、カナダ、中国、タンザニアなど十九か国軍から要員を集め、派遣団を編成する。[2000-09-16-10:37] 184
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 09/16@◇日本人拉致のウズベク反政府組織、米がテロ組織に指定◇(朝日新聞)

 米政府は15日、中央アジアのキルギスで昨夏、日本人技師らを拉致したウズベキスタンの反政府組織「イスラム運動ウズベキスタン(IMU)」を「外国テロ組織」に指定したと発表した。国務省は、日本人4人らを約2カ月間拉致したことに加え、カリモフ・ウズベキスタン大統領暗殺未遂テロ、米国人登山家グループの誘拐などを理由に挙げ、「IMUは市民の命を脅かし、中央アジアの安全保障にも脅威となっている」と指摘した。
 米政府の指定する「テロ組織」はこれで、日本のオウム真理教、アフリカの米大使館連続爆破テロの黒幕とされるサウジアラビア出身のオサマ・ビン・ラディン氏が率いる「アルカイダ」などを含め、29団体になる。米国に在住する者は指定団体に対する「支援」を禁じられる。メンバーは米国入国を拒否され、すでに国内にいれば強制退去となる。また、財務省は団体の米国内資産を差し押さえることができる。
 米政府は、IMUがアフガニスタンを拠点とするビン・ラディン氏の「国際的なテロ組織網」の傘下にあるとみている。IMUは日本人の人質解放後、タジキスタンからアフガニスタン北部に移り、イスラム原理主義勢力タリバーンの支配地域に拠点を移した。[2000-09-16-10:29] 185
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 09/16@「最も安全」なPKOに 課題は地雷対策(共同通信)

 【ニューヨーク15日共同】国連エチオピア・エリトリア派遣団(UNMEE)は、中東のゴラン高原に展開する国連兵力引き離し監視軍(UNDOF)などと並んで「最も安全な国連平和維持活動(PKO)」というのが国連当局の一致した見方だ。
 エチオピア、エリトリアとも国内に強力な反政府勢力などの不安定要因がなく、両国に停戦協定を破棄しようとする意思がない限り「不測の事態」はまず起きないからだ。
 だが懸念はエリトリアが国境沿いに敷設したとされる多数の地雷。戦闘に巻き込まれる心配はないものの、「地雷の危険性がつきまとう」(国連外交筋)PKOになりそうだ。
 一九九三年にエチオピアから分離独立したエリトリアの国力はエチオピアとは比べものにならないほど劣勢。国境紛争は結局、圧倒的な空軍力を背景にエチオピアの圧勝に終わった。
 エチオピアによると、エリトリアは通常兵器の貧弱さを補うため十万個以上の対人地雷を敷設しており、今回の安保理決議も早急な地雷除去の必要性を指摘している。(了)[2000-09-16-10:26] 186
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 09/16@PKOは4千人規模と決議 エチオピアなどで安保理(共同通信)

 【ニューヨーク15日共同】国連安全保障理事会は十五日午後(日本時間十六日未明)、アフリカ東部のエチオピア、エリトリアに展開する国連平和維持活動(PKO)、国連エチオピア・エリトリア派遣団(UNMEE)の定員を四千二百人とする決議案を全会一致で採択した。
 国連は日本に対し、UNMEEへの陸上自衛隊の派遣を要請している。年内の本格展開に向けて準備が進む中、日本政府は陸自派遣について早急な態度決定を迫られる。
 決議によると、約千キロに及ぶ両国国境沿いのエリトリア側に幅二十五キロの「臨時安全地帯」を設定、二百二十人の軍事監視要員を含む要員を配置する。
 決議はPKO強化を打ち出した今月七日の安保理首脳会議での宣言を反映、地雷除去など要員の任務を細かく規定しているほか「UNMEE要員の安全確保、移動の自由、任務遂行に必要な支援」を全当事者に呼び掛けている。
 さらにインドネシア領西ティモールの国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)襲撃事件などを背景に、人道援助活動従事者に対する安全確保と協力を特に求めた。
 エチオピアとエリトリアは今年六月、約二年間の国境紛争を終結させ、停戦協定に調印。安保理は七月末にUNMEEの設置決議を採択した。(了)[2000-09-16-10:26] 192
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 09/16@<アフガン難民>緒方貞子・高等弁務官が「窮状に関心を」と(毎日新聞)

 【イスラマバード15日春日孝之】国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の緒方貞子・高等弁務官は15日、イスラマバードで記者会見し、国際社会に対し、パキスタンやイランに今も260万人が逃げ込んだままのアフガニスタン難民の窮状について、もっと関心を示してほしいと訴えた。
 1979年の旧ソ連のアフガン侵攻に伴い大量の難民が発生したが、UNHCRなどの支援でこれまでに400万人を超える難民が帰還した。だが一方で、89年のソ連撤退後から続く内戦に加え、アフガンを実効支配するタリバン政権による厳格なイスラム法統治を嫌って、今も難民は発生し続けており、パキスタンで140万人、イランで120万人が避難生活を送る。
 今回、緒方高等弁務官はパキスタンに次いでアフガン、イランを歴訪、難民帰還プログラム推進の可能性を広げたい考えだ。
 しかし、現実にはアフガンは国連の経済制裁を課せられ、今夏は大干ばつに見舞われて、難民が安心して帰還できる環境はないに等しい。そうしたジレンマの中、緒方高等弁務官は国連制裁を「女性や子供にとってさらに悲惨な結果をもたらす」と指摘した。[2000-09-16-10:05] 199
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 09/16@<特報・防衛庁>次期防で NGOと連携 災害救援や人道援(毎日新聞)

 防衛庁は15日、次の中期防衛力整備計画(次期防、2001〜05年度)に、災害救援や国際人道援助などに取り組んでいる国内の非政府組織(NGO)との連携を初めて盛り込む方針を固めた。阪神大震災(1995年)を契機に災害救援活動でNGOの活躍が相次ぐ一方、国際的にも難民救済など人道援助分野でNGOの存在感が高まっていることを踏まえたもの。同庁は「自衛隊の災害派遣に対する国民の期待にも応えることになる」(幹部)と判断しており、自衛隊幹部とNGOを交えたシンポジウムなどを開催し、具体的な協力内容を詰める。
 防衛庁は来年度予算概算要求で、災害地域に原則1時間以内に出動できる「災害派遣即応部隊」の新設を盛り込むなど、自衛隊の災害派遣体制を強化する方針を既に打ち出している。これに加え、阪神大震災以降に国民のボランティア志向が強まっていることや、NGOによる医療面での救援活動などを重視、次期防では主に災害派遣の分野でNGOとの本格的な連携を検討することにした。
 国内のNGOのうち、特定非営利活動促進法(NPO法)に基づき今年6月現在でNPO法人として認証されたのは2165法人。活動分野では国際協力活動や災害救援活動の比重が高いが、これまで災害救援活動でのNGOの受け入れ窓口は自治体や消防当局で、自衛隊との直接的な連携はほとんどなかった。
 災害救助犬による被災者救助を行っているNGOの一つである「日本レスキュー協会」(大阪府豊中市)は「周辺交通機関が寸断される災害時に救助犬やスタッフを輸送し、現場上空で降下させる機能を持つ大型ヘリコプターは自衛隊などに限られる」と、自衛隊との共同派遣の必要性を指摘している。防衛庁は今後、自治体主催の防災訓練などで、自衛隊ヘリを利用した訓練へのNGOの参加なども検討する方針だ。【中村 篤志】
 防衛庁が次期防で国内の非政府組織(NGO)との連携を打ち出す背景には、災害派遣や国際人道援助の分野で、法制面で制約の多い自衛隊に比べ、迅速、機能的に活動しているNGOの存在感が高まっている現状がある。防衛出動だけでなく大規模災害や大量避難民対策など、自衛隊の役割が多様化する中、NGOとの連携は新たな自衛隊像を探る試みといえる。
 外務省は難民救済などの緊急人道援助を迅速に行うため、先月、NGOと経団連との3者による「ジャパン・プラットフォーム(土台)」を設立した。外務省が5億円規模の資金を用意し、経団連が現場で使用する車両や通信機器などを提供することで、資金不足のNGOを側面から支援する試みだ。外務省無償資金協力課は「国際貢献の現場で日本の顔が見えず、国内のNGOを育てなければいけない」と強調する。
 今月行われた国連ミレニアム・サミットでは、国連活動におけるNGOとの連携が打ち出された。防衛庁の方針はこうした国際的な潮流も踏まえたものだが、現場の自衛隊には「組織的な自衛隊と自主性を重視するNGOとの体質の違い」を懸念する声もある。自衛隊とNGOの連携が「官民協力」の新たなモデルになるためには、両者の率直な意見交換が必要だ。【中村 篤志】[2000-09-16-03:05] 201
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 09/16@<特報・地雷除去>外務など5省庁 研究・技術移転など支援(毎日新聞)

 カンボジアなどで対人地雷の除去が難航していることから政府は15日までに、外務省、通産省など5省庁からなる「対人地雷問題関係省庁連絡会議」を発足させた。地雷除去に関する国内の研究を支援するとともに、地雷の埋設された国への機材提供や技術移転を進めるため、紛争当事国への武器輸出などを禁止した武器輸出3原則の運用緩和も検討する。年内に政府として支援策をまとめ、来年度予算に反映させる方針だ。
 地球上に埋設された地雷は対戦車地雷も含め約1億個に上ると見られ、手作業で探知、破壊するこれまでの方法では、すべてを除去するには数百年から1000年かかると試算されている。
 日本は1998年から5年計画で地雷の埋設された国々に計100億円規模の支援に取り組んでいるが、国際機関や現地で除去活動に携わるNGO(非政府組織)を対象にしたODA(政府開発援助)による資金援助が中心だった。国内では企業や大学などでロボットなどによる地雷除去の研究が進められているが、研究費不足が指摘され、開発された機材が武器に転用できる可能性があるとして、国外に持ち出せないこともあった。
 連絡会議は外務省と通産省、文部省、科学技術庁、防衛庁の3省2庁で構成し、対人地雷除去に役立つロボットや機材などの国内の研究開発を支援するほか、地雷探知・撤去の研究開発の拠点となる施設の設置についても検討する。
 地雷除去に用いる機材の性能確認に自衛隊の施設を利用したり、技術や機材の提供をスムーズに進めるため、武器輸出3原則の運用緩和も検討し、技術や機材の性能、安全性をチェックする審査体制の確立を目指す。 【松村由利子】[2000-09-16-03:05] 211
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 09/16@◇スー・チーさん、徹底抵抗の決意 4年ぶりに会見◇(朝日新聞)

 ミャンマー(ビルマ)軍事政権による隔離措置から解放された同国の民主化運動指導者、アウン・サン・スー・チーさんは15日、ヤンゴンの国民民主連盟(NLD)本部で記者会見し、当局の行動制限に抵抗するため、10日以内に再び地方に出かけ、制止されればろう城することを明らかにした。政治活動の自由が狭められているなかで、車中ろう城戦術で徹底抵抗する決意を示したもので、軍事政権がどう対応するかが焦点となる。
 正午前から約30分にわたった会見でスー・チーさんは、「政権は何の権限もなく私たちの行動の自由を奪ったうえ、不法に党本部を捜索した。一連の事態はまだ終わっていない」と強い調子で政権を批判した。@そのうえで、「10日以内にまた地方に向かうことを党員と国際社会のみなさんに宣言する」と語った。
 スー・チーさんはまた、隔離措置の間に体重が2キロ減ったが、健康状態に問題はないと話した。
 スー・チーさんはビデオなどでメッセージを伝えてきたが、記者を招いて会見したのはほぼ4年ぶり。当局を刺激することも辞さない決意の表れと受け止められている。隔離措置が解かれた直後に米、英両国の駐ミャンマー大使が彼女と接触しており、両国の全面支援を取りつけたうえでのろう城予告とみられる。
 政権は、国連ミレニアム・サミットの期間中、各国の反発を隔離措置で乗り切ったが、まだ国連総会でのミャンマー人権状況に関する決議、欧州連合(EU)使節のヤンゴン訪問などの外交日程が控えている。スー・チーさんがろう城中だと、こうした場で政権への風当たりが強まることは避けられない。[2000-09-16-00:57] 212
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 09/16@◇制裁解除―「欧州の価値」に先例◇(朝日新聞)

 打つ手に困って、時の氏神を仕立て、もめごとにやっと幕を引いた。欧州連合(EU)の胸のうちは、そんなところか。
 EUの十四カ国は、同じ加盟国のオーストリアに科してきた外交制裁を解除した。
 これらの国は七月、アハティサーリ前フィンランド大統領ら三人による「賢人委員会」に、オーストリアの人権政策や制裁の効果などを調査するよう委嘱していた。その勧告をさっそく受け入れたのである。
 シュッセル首相の国民党が今年二月、右翼的な言動が目立つハイダー氏の率いる自由党と連立を組んだことが制裁の理由となった。自由党について賢人委はこういう。
 「自由党は、過激な要素をもつ、右寄りの大衆迎合政党であるという見方は当たっている。この党は昨年の選挙戦で、外国人への反感をことさらあおった」 だが、この党も参加する今のオーストリア政府については、合格点をつけた。
 「少数民族、難民、移民たちの人権を考慮することで、オーストリア政府は、他のEU諸国に引けをとらない。分野によっては、この国の方が手厚い扱いをしている」 東西の接点にあって、ハンガリー動乱、プラハの春、ポーランドの戒厳令など、冷戦時代の悲劇が起きるたびに、この国は多くの難民や亡命者を引き受けてきた。賢人委の報告は、そういう実績も高く評価した。
 「制裁を続けるのは、逆効果となる」というのが、賢人委の結論である。
 総選挙での自由党の得票率は二七%で、それまでの政権党への批判票も少なからず含まれていた。国民の多数はハイダー氏に批判的なのに、ひとまとめにされて、制裁を受ける。反発したくなるのが人情だろう。
 ああも言い、こうも言う。前言を簡単に取り消す。ハイダー氏は右寄りのポピュリスト(大衆迎合政治家)だが、ネオナチとまではいえない。それが一般的な受け止め方だ。
 それなのに、ナチスの再来を許すまじ、とばかり、強硬派のフランス、ベルギーを中心にEU各国政府がいきなり「制裁」のレッドカードを振りかざしてしまった。
 世論調査によれば、当初からドイツ人の八割、フランス人の六割が「制裁はやりすぎだと思う」と答えていた。というわけで、なるべく早く解除するほかはなかった。
 今回はいわば空騒ぎで終わったが、今後への影響は小さくない。EUが「共通の価値」をかかげ、ともあれ足並みをそろえて強硬な態度にでたことは、先例として残る。
 外国人への敵意をあおって勢力を伸ばそうとする政治団体は、EUの多くの国に存在する。彼らが中央や地方で政権につくことも考えられる。そんなとき、加盟国は今さら、互いに見て見ぬふりはできないだろう。
 賢人委はここでも勧告する。似たような問題が起きたとき、当該の国とまず話し合いで解決をめざす。そのための手続きを定め、EUに専門の機関を置く、などだ。
 外国人の人権をどう守るかで、その国の品格が決まる。今度の出来事を機に、そういう考え方が一段と強まるだろう。[2000-09-16-00:22]
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 09/17@◎街頭デモの武力鎮圧を警告=ユーゴ軍参謀総長(時事通信)

 【ベオグラード17日時事】ユーゴスラビア民間通信社BETAによると、ミロシェビッチ大統領側近であるパブコビッチ連邦軍参謀総長は17日、連邦大統領選・議会選を控え、「軍は街頭デモによるいかなる政権奪取の企ても阻止する」と述べ、選挙後に反体制勢力による抗議行動が置きた場合、これを武力鎮圧すると警告した。
 大統領選では、24日の第1回投票でミロシェビッチ大統領が勝利宣言するとの見方が強く、その場合、野党側は抗議デモで対抗するのは必至。同参謀総長は、「将兵は投票日に再び前線に立つことになる」と語り、デモ鎮圧に軍の出動も辞さない姿勢を明確にした。 [時事通信社][2000-09-17-20:38] 10
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 09/17@<ユーゴ選挙>24日の投票を前に現政権側の工作を懸念する(毎日新聞)

 【ウィーン17日福井聡】ミロシェビッチ体制の命運を決するユーゴスラビア連邦(セルビア共和国とモンテネグロ共和国で構成)の連邦大統領・議会選挙は24日の投票が1週間後に迫った。大統領選では「セルビア民主野党連合」が擁立したセルビア民主党のコシュトニツァ党首(56)が与党・社会党の現職ミロシェビッチ大統領(59)に対し、世論調査でリードを広げている。しかし、欧米諸国や野党には現政権側の工作を懸念する声が強く、選挙前後にユーゴ情勢が緊迫する可能性もある。
 大統領選には5人が出馬しているが、コシュトニツァ党首とミロシェビッチ大統領による事実上の一騎打ち。14日付独立系紙ブリッツが掲載した社会科学研究所(ベオグラード)の支持率調査によると、コシュトニツァ党首の支持率は40%で、ミロシェビッチ大統領の22%を18ポイント引き離している。コシュトニツァ党首のリードは1カ月前に比べ6ポイント拡大しており、躍進が続いている。
 「穏健派民族主義者」と自称するコシュトニツァ党首はユーゴ民主化の必要性を掲げ、経済制裁で国際的孤立を深めたミロシェビッチ大統領の失政を指摘。同党首は14日の集会で「ミロシェビッチ(大統領)は24日に打倒される」と政権交代に自信を示した。
 これに対して、ミロシェビッチ政権は欧州安保協力機構(OSCE)の選挙監視団受け入れを拒否し、野党系放送局の接収や反政府活動家の逮捕で締め付けを強化してきた。旧ユーゴ国際戦犯法廷に起訴されているミロシェビッチ大統領には再選で政治生命を延命したい思惑がある。
 このため欧米の人権団体や野党側は、大統領陣営がコソボ自治州などで投開票の不正操作を実行するのではないかとの疑念を抱いている。大統領が一方的に「勝利宣言」を強行する可能性もあり、政権側と野党陣営の対立激化や、反ミロシェビッチ派が台頭したモンテネグロでの混乱なども予想される。
 ここに来て、ミロシェビッチ大統領の外交経済顧問を務めた社会党最高幹部のリリッチ前連邦大統領が連立与党内の対立で8月に辞任していたことが発覚。ミロシェビッチ体制に足並みの乱れも出始めており、選挙結果への影響が注目されている。[2000-09-17-18:35] 8
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 09/17@「聖地」安保理管理に…米が新仲介案(読売新聞)

 【エルサレム17日=当間敏雄】イスラエルのイディオト・アハロノト紙は十七日、パレスチナ和平交渉で最大の対立点となっているエルサレム旧市街の「神殿の丘(イスラム側呼称=ハラム・アッシャリフ)」の帰属問題で、米政府が、「宗派別管理の現状を維持したうえで国連安保理に全体の管理責任を負わせる」との新仲介案を示した、と報じた。
 「丘」はユダヤ教とイスラム教の聖地が重なり合い、イスラエル、パレスチナ双方が妥協を拒んで交渉全体がストップしている。
 同紙によると、同案は十四日、オルブライト米国務長官がニューヨーク訪問中のベンアミ・イスラエル外相代行に伝えた。「神殿の丘」の聖地は現在、「アルアクサ・モスク」などをイスラム教徒が宗教財産として、また、西側の「嘆きの壁」をユダヤ教徒が至聖の祈りの場として管理している。仲介案は、こうした管理実態の維持を前提に、治安管理を安保理メンバー国兵士に担当させるなど、国連安保理に全体の管理を任せ、「丘」の象徴的な「主権」を国連安保理の帰属とする内容となっている。
 ベンアミ外相代行は仲介案の確認を避けているが、同行筋は「局面を打開する肯定的な要素が含まれている」と指摘、イスラエル側は検討する用意を見せているという。パレスチナ側は「丘」の主権を「イスラム諸国会議機構(OIC)」を中心とする“国際管理”とする案を提示して完全主権を要求する原則論から譲歩へと一歩踏み出しており、新たな米仲介案への対応が注目される。[2000-09-17-23:59] 13
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 09/17@「神殿の丘を国連管理に」…米が仲介案提示か(読売新聞)

 【エルサレム17日=当間敏雄】イスラエルのイディオト・アハロノト紙は十七日、パレスチナ和平交渉で最大の対立点となっているエルサレム旧市街の「神殿の丘(イスラム側呼称=ハラム・アッシャリフ)」の帰属問題で、米政府が、「宗派別管理の現状を維持したうえで国連安保理に全体の管理責任を負わせる」との新仲介案を示した、と報じた。
 「丘」はユダヤ教とイスラム教の聖地が重なり合い、イスラエル、パレスチナ双方が妥協を拒んで交渉全体がストップしている。
 同紙によると、同案は十四日、オルブライト米国務長官がニューヨーク訪問中のベンアミ・イスラエル外相代行に伝えた。「神殿の丘」の聖地は現在、「アルアクサ・モスク」などをイスラム教徒が宗教財産として、また、西側の「嘆きの壁」をユダヤ教徒が至聖の祈りの場として管理している。仲介案は、こうした管理実態の維持を前提に、主権問題を棚上げし、治安管理を安保理メンバー国兵士に担当させるなど、国連安保理に全体の管理を任せ、「丘」の象徴的な「主権」を国連安保理の帰属とする内容。
 ベンアミ外相代行は仲介案の確認を避けているが、同行筋は「局面を打開する肯定的な要素が含まれている」と指摘、イスラエル側は検討する用意を見せているという。パレスチナ側は「丘」の主権を「イスラム諸国会議機構(OIC)」を中心とする“国際管理”とする案を提示して完全主権を要求する原則論から譲歩へと一歩踏み出しており、新たな米仲介案への対応が注目される。[2000-09-17-23:24]
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 09/18@<人と世界>吟遊詩人、チャンギース・メディプールさん(1(毎日新聞)

 イランでは1979年のイスラム革命以降、「歌舞音曲は宗教的堕落への道」という理由で、音楽活動が厳しく制限された。しかし3年前の改革派ハタミ政権誕生によって自由な芸術活動が容認されるようになった。アゼルバイジャン民族の弦楽器コプーズを演奏する吟遊詩人、チャンギース・メディプールさん(38)も一時、活動を完全に禁止されたが、「抑圧されればされるほど、演奏への情熱が沸いた」と語る。熱のこもった演奏活動を続けるチャンギースさんに、政治と文化・芸術の関係などについて聞いた。【外信部・小倉 孝保】
――アゼルバイジャン系の吟遊詩人は、どういう活動をしてきたのですか。
 ◆コプーズなどの民族楽器を弾いて、軽い踊りを入れながら民衆の生活を歌い上げる。作家であり、音楽家であり、踊り手である総合芸術家だった。吟遊詩人はアシュークと呼ばれてきた。アシュークとは、「ひざの骨」という意味で、モノとモノ、人と人とを「つなぐもの」という意味だった。アシュークは昔から、民族と民族の境を自由に越えて活動していた。つまり、異なる民族をつなぐ存在だった。だから、エンターテイナーであると同時に、情報伝達役として尊敬される存在だった。
――イラン・イスラム革命(1979年)以前の活動状況はどうでしたか。
 ◆アゼルバイジャン民族の運命はソ連・イランの大国の間で揺れ動き、結局、同じ民族が分かれて暮らすことになった。吟遊詩人は古くから、民族や国境を越えて活動してきたのに、パーレビー時代はイラン領内でしか活動できなくなったばかりか、国境の向こう側を見ることも禁止された。国内的には、「アゼルバイジャンの文化」をアピールすることが当局から嫌悪され、「イランの文化」と紹介がされることが多かった。当時の政府は吟遊詩人のせいで民族意識が高揚して分離独立運動が盛んになることを恐れたのだろう。
 ――イスラム革命の影響を大きく受けたとききました。
 ◆革命前、イランの市民は地主たちに虐げられていた。革命が起った時、市民には地主から解放されるのかなという漠然とした希望があった。しかし、音楽は宗教的堕落につながるといって公演活動などを禁止されることになった。私たちの場合、楽器を持つことさえ禁止された。私にコプーズを教えてくれた叔父も、私も楽器を没収された。結局、コプーズを買うこともできず、私は自分でコプーズを作るようになった。しかし、それが見つかって叱責されたこともあった。
――それで、どういう活動をしたのですか。
 ◆禁止されるとますます、楽器を弾くことへの情熱がわいてきた。創作エネルギーは、抑え付けられるほど大きくなるものだ。自分で見つからないように楽器を作り、音の漏れない地下室で、コプーズを弾いた。自分たちが、何千年も受け継いできた文化を途切れさせるわけにはいかないと思った。
 アゼリ(アゼルバイジャン系市民)も私同様、吟遊詩人の文化が消滅してしまうことに強い警戒心を抱いたようだった。政府による締め付けに反して、この時期、若者の間に民族楽器の学習熱が高まった。かつては、アゼルバイジャン系イラン人全体で50人ほどしか、民族楽器を持っていなかったが、今ではアゼリのほとんどの家庭が何らかの楽器を持っているほどだ。
 ――芸術・文化と政治の関係をどう考えますか。
 ◆私の体験からいうと、文化や芸術は、政治から完全に独立していなければならない。芸術の中には、宮廷音楽のように権力者を喜ばせたり、権力者のために演奏することを中心に発展してきたものもある。しかし、コプーズという楽器や吟遊詩人はそうした存在ではない。一般の人々が、音楽や物語を楽しむためのものだった。そうした民衆の力によって続いてきた。
 芸術、特に音楽は本来、そうあるべきではないか。吟遊詩人が歌うと、昔の人々の生活の様子、考え方がよくわかるようになっている。こういうところが、伝統音楽の尊さだと思う。芸術が政治などにコントロールされる事態は芸術だけでなく、社会全体の損失になると思う。
 ――改革派のハタミ大統領の誕生(97年)で変化しているようですが。
 ◆ハタミ大統領とは、大統領になる前のイスラム指導相だったころに、話をしたことがある。当時、ハタミ指導相は音楽活動の解禁をどんどん進め、完全に禁止されていた女性歌手の活動を条件付きで許可し出したころだった。ハタミ大統領と話をしたのも女性歌手のコンサート会場だった。
 ハタミ大統領は、「ホメイニ師(イスラム革命の指導者)自身、哲学者であり、詩人であり、芸術を否定しなかった。どうして、音楽がこうして圧力を受け続けるのかわからない。恥ずかしいと思う。人間は音楽によって高められる」と言ってくれた。私たちのことを理解してくれる人だと思った。
 ――現在、活動に障害はないのですか。
 ◆法律的には、何の圧力もなく、自由に演奏活動ができる。しかし、社会には保守的な人がいて、「音楽は堕落だ」と思っている人がいる。コンサートを開こうとして、脅されることもある。
 ――今、どんな活動を。
 ◆ハタミ大統領が誕生してから、アゼルバイジャンに残る吟遊詩人の歌の聞き取りを行っている。吟遊詩人の多くは文盲で、自分たちの演奏、創作技法や考えていることなどを書き残していない。貴重な体験を残すために、これまで35人から聞き取りを済ませた。これを本にまとめたい。また、民族音楽楽器の塾を開き、若い人に自分の技術を伝えている。
 ――将来の望みは。
 ◆コプーズ30台でのセッションなど、吟遊詩人の新しい形を作ってみたい。伝統的な楽器を使い、昔からの歌を歌うのだが、自分たちの時代の手法を取り入れたい。ようやく、いい時代が来たのだから、温め続けたエネルギーを形にしたいと思う。
 文化・芸術活動にとって自由はかけがえのないものだ。しかし、時に創作や伝統を受け継ぐ情熱は、抑圧されるほど、それをてこに増大することがある。映画を例にみても、自由な活動が難しかったソ連やベトナム、東欧では、素晴しい映画が多く生まれた。昨今のイラン映画の評価の高さもそうだろう。
 公演先の大阪市内で取材中、チャンギースさんは終始、コプーズを大切そうに抱え、時折なでるような仕草さえした。弾いてもらうと、弦が切れるのではと感じるほど力強く弦を弾き、楽器の胴体を叩いてリズムをとった。演奏が禁止されていた時代、地下室にこもり、音が漏れることを恐れながら弾き続けた体験が、演奏のエネルギーとなった イラン・イスラム革命は当初、「虐げられたイスラム教徒」による革命といわれた。超大国・米国の経済支配、パーレビー王朝やその周辺による富の独占に対して、イスラム教徒が立ち上がったはずだった。しかし革命後、粛正の歴史が始まる。「虐げられてきた」人々の政権が今度は抑圧する側に立った。吟遊詩人たちへ規制もその流れの中で行われた。
 もう一つ、チャンギースさんの情熱の裏には民族の誇りがある。チャンギースさんは普段、決してイランの公用語であるペルシャ語を使わない。インタビューの答えは終始、アゼルバイジャン語だった。この地域は歴史的に、ロシア、ペルシャ、トルコといった地域大国に翻弄され続けた。民族自体が長い抑圧を受け続けたともいえる。吟遊詩人の歌には、アゼルバイジャンのヒーローや地元の自然を歌ったものが多い。3日間連続して歌い続けるものもある。
 ハタミ政権の誕生でイランの音楽環境は随分、改善されている。今年2月の総選挙では、改革派を支持する運動員たちが男女一緒に大合唱する場面があった。歌に対する規制、男女が一緒の席にいることへの規制を考えると、イラン社会の変化を感じさせるシーンだった。
 チャンギースさんは取材に、びっしりとメモを書いた手帳を持って現われた。話しておきたいことを書きつけてきたのだ。その中には、これからやろうとしている活動について書いた部分が多かった。踏まれ続けても、雑草のごとく生命力を維持したアゼルバイジャンの吟遊詩人。活動が禁止された間も、土中にしっかりとした根を張り続けたチャンギースさんたちの活動は今後、さらに大きな実をつけるはずだ。[2000-09-18-00:15] 4
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 09/18@<人と世界>吟遊詩人、チャンギース・メディプールさん(2(毎日新聞)

 1961年、イラン・東アゼルバイジャン州のソ連(当時)との国境の町ガラタグに生まれる。幼いころから、コプーズ奏者で吟遊詩人だった叔父の音楽を聞いて育ち、13歳でテヘランに出てコプーズを独学。イラン・イスラム革命をきっかけに、演奏を禁止されるが、97年に活動を再開後、世界各地でコンサートを開いたり音楽会に参加。今年7月に初来日し8月まで、仲間の吟遊詩人と一緒に日本各地で公演を行った。
アゼルバイジャン地域 アゼルバイジャン共和国(旧ソ連)とイランの北西部3州(東・西アゼルバイジャンとアルダビール)。住民はアゼルバイジャン人でトルコ語系の言葉を話す。イラン領アゼルバイジャンは同国でも有数の豊かな農業地帯。1991年の統計では人口は約700万人で、イラン全人口の1割を超えている。中心都市はタブリーズ(東アゼルバイジャン州)。
 コプーズ 木の胴体に皮を張った弦楽器の一種。弦の数は様々。モンゴル、中央アジア方面にいたトルコ系民族の楽器と考えられ、アラビアからエジプトまで広がった。日本の三味線の元祖とも考えられる楽器。地域によってコブーズ、クーブーズとも呼ばれる。[2000-09-18-00:15] 34
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 09/18@<揺れる選択>ユーゴ大統領選 資金が足りない野党(毎日新聞)

 ユーゴスラビア連邦大統領選挙の投票(24日)を前に、現職ミロシェビッチ大統領の強権体制崩壊の可能性がささやかれている。世論調査の予測では、野党連合が擁立したセルビア民主党のコシュトゥニツァ党首が優勢と出ている。だが、政権交代の可否は不透明で、予想外の波乱を懸念する声も多い。両陣営の訴えと国民の願いを追った。【ベオグラード・福井聡】
 「米国がセルビアの内政に干渉する権利はない」。先月末、米国政府が隣国ハンガリーの首都ブダペストに臨時ユーゴ事務所を開設した際、コシュトゥニツァ氏は強い口調で反発した。「野党は米国の手先」という政権側の宣伝増幅に機先を制した発言だった。昨年3月の北大西洋条約機構(NATO)軍のユーゴ空爆開始から国交断絶した米国のブダペスト事務所の活動は、「セルビアの野党勢力支援」が狙いだと外交筋はみている。
 セルビア民主キリスト教党のサビチェービッチ副党首は「米国の出来ることは何もない。支援を受ければ与党側の宣伝に使われマイナス効果となる」と断言する。
 野党陣営には親欧米派が目立つ中、コシュトゥニツァ氏はセルビア独自の内からの民主化を訴え「穏健派民族主義者」と呼ばれる。ミロシェビッチ大統領は「コシュトゥニツァ候補もNATO支持者」と非難するが、その批判が通じないことは世論調査結果にはっきりと表れている。
 ところが、米欧に頼らない独自の民主主義を訴えるコシュトゥニツァ氏にも弱点がある。長年の経済制裁下で、特に野党陣営には選挙資金がほとんどないのだ。選挙運動に関しては「既にコシュトゥニツァ候補の体制改革の主張は十分浸透している」として大量宣伝は不要との見方もある。だが、国有メディアを牛耳る政権の影響力は地方で軽視できないのも事実だ。
 野党陣営の中心の1人で米欧と太いパイプを持つと言われるスビラノビッチ市民同盟党首が「すべての非難は私が負う」と述べ、選挙監視要員確保のために米欧からの資金援助受け入れに動いたという情報がある。同党首は、周辺に「ミロシェビッチ打倒のためには、党方針との矛盾もいとわない」と明言し、15日、警察に身柄を一時拘束された。
 昨年、78日間にわたる空爆を受けたユーゴ国民には反NATOの意識が浸透した。そのNATOの盟主・米国や西欧諸国と距離を置くことを野党陣営は当然考慮しなければならない。しかし、コシュトゥニツァ氏の「自力の民主主義」追求は国民受けするが、現実には限界がある。それが大方の野党勢力幹部の本音だ。
 セルビア民主キリスト教党のサビチェービッチ副党首は「問題は選挙監視だ。与党の不正をどう防ぐかは非常に重要だ」と強調する。本来、米欧主体の選挙監視団の援助を受けたいところだが、ユーゴ政府は全欧安保協力機構(OSCE)の関与を拒否している。結局、野党勢力は自分たちで投開票の監視を徹底するしかないが、ここでも資金不足が大きな壁となっている。[2000-09-18-23:45] 38
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 09/18@◎西側首脳らの欠席裁判開始=NATO空爆理由に「戦犯」で(時事通信)

 【ベオグラード18日時事】ユーゴスラビアのベオグラード地裁は18日、昨年の北大西洋条約機構(NATO)軍によるユーゴ空爆作戦を指導したクリントン米大統領ら欧米諸国の首脳や政府高官の計14人を「戦争犯罪」に問う欠席裁判の審理を開始した。
 起訴された14人はクリントン大統領、ブレア英首相、シラク仏大統領、シュレーダー独首相といった欧米主要国首脳のほかに、オルブライト米国務長官らを含むそうそうたる顔触れ。検察当局は、空爆中に民間施設を標的にした軍事作戦は戦争犯罪に当たると判断した。また、NATO軍機がミロシェビッチ・ユーゴ大統領の公邸を爆撃したことで、14人は「大統領暗殺未遂」の罪にも問われた。 [時事通信社][2000-09-18-20:48] 41
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 09/18@<EU>外相会議が始まる 焦点はユーゴ大統領選の対策(毎日新聞)

 【ブリュッセル18日森忠彦】欧州連合(EU)の外相会議が18日、当地で始まった。焦点は24日に迫ったユーゴスラビアの大統領選に向けた対策。EU側はあらゆる外交圧力を講じて、ミロシェビッチ大統領を退陣に追い込む方針だ。
 EUは今月初めの会議で「野党が政権につけば対ユーゴ経済制裁を緩和する」ことで一致、ユーゴ国民に良識のある選択を呼びかけている。大統領陣営が「昨年の北大西洋条約機構(NATO)によるユーゴ空爆を許すな」と主張しているだけに、EUは空爆を正当化する意味からも負けられない。
 セルビア民主党のコシュトゥニツァ党首が支持率で大統領をリードしているとの世論調査についても、EU側は極めて懐疑的だ。百戦錬磨の大統領陣営がメディア操作やコソボ自治州やモンテネグロ共和国への脅しを講じて、開票結果を有利に発表する可能性は高い。
 EUは別にバルカン諸国への復興支援策として、ユーゴを取り巻くクロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、アルバニアなどからの農工業品の非関税措置を80%から95%に引き上げる決定をする。関税優遇措置はコソボ自治州やモンテネグロ共和国も対象にしており、周辺国への手厚い保護策を打ち出すことで、セルビア国民の心をEU側に誘い込もうとの作戦だ。[2000-09-18-18:20] 42
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 09/18@<ユーゴ>大統領選 コシュトゥニツァ党首が支持率40%(毎日新聞)

 24日投票のユーゴ大統領選は、投票総数の過半数を獲得した候補者が当選する。当選者が決まらなかった場合、来月8日に上位2人による決選投票を行う。計5人が立候補しているが、与党社会党のミロシェビッチ現大統領(59)と野党連合・セルビア民主党のコシュトゥニツァ党首(56)の一騎打ちになる情勢。14日発表された世論調査では、コシュトゥニツァ党首が支持率40%を確保、ミロシェビッチ大統領の22%を大きく引き離し、首位に立っている。
 同時に比例代表制による上下両院の連邦議会選も実施される。上院(40議席)はセルビア、モンテネグロ両共和国に同数の20ずつ、下院(138議席)はセルビアに108、モンテネグロに30が割り当てられる。
 有権者はセルビア(コソボ自治州を含む)が約740万人、モンテネグロが約45万人の計約785万人。モンテネグロの反ミロシェビッチ派住民とコソボのアルバニア系住民(約180万人)は棄権する見込みだ。[2000-09-18-18:00] 47
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 09/18@<ユーゴ選挙>野党側大統領候補リード 現政権側の工作に懸(毎日新聞)

 【ウィーン17日福井聡】ミロシェビッチ体制の命運を決するユーゴスラビア連邦(セルビア共和国とモンテネグロ共和国で構成)の連邦大統領・議会選挙は24日の投票が1週間後に迫った。大統領選では「セルビア民主野党連合」が擁立したセルビア民主党のコシュトニツァ党首(56)が与党・社会党の現職ミロシェビッチ大統領(59)に対し、世論調査でリードを広げている。しかし、欧米諸国や野党には現政権側の工作を懸念する声が強く、選挙前後にユーゴ情勢が緊迫する可能性もある。
 大統領選には5人が出馬しているが、コシュトニツァ党首とミロシェビッチ大統領による事実上の一騎打ち。14日付独立系紙ブリッツが掲載した社会科学研究所(ベオグラード)の支持率調査によると、コシュトニツァ党首の支持率は40%で、ミロシェビッチ大統領の22%を18ポイント引き離している。コシュトニツァ党首のリードは1カ月前に比べ6ポイント拡大しており、躍進が続いている。
 「穏健派民族主義者」と自称するコシュトニツァ党首はユーゴ民主化の必要性を掲げ、経済制裁で国際的孤立を深めたミロシェビッチ大統領の失政を指摘。同党首は14日の集会で「ミロシェビッチ(大統領)は24日に打倒される」と政権交代に自信を示した。
 これに対して、ミロシェビッチ政権は欧州安保協力機構(OSCE)の選挙監視団受け入れを拒否し、野党系放送局の接収や反政府活動家の逮捕で締め付けを強化してきた。旧ユーゴ国際戦犯法廷に起訴されているミロシェビッチ大統領には再選で政治生命を延命したい思惑がある。
 このため欧米の人権団体や野党側は、大統領陣営がコソボ自治州などで投開票の不正操作を実行するのではないかとの疑念を抱いている。大統領が一方的に「勝利宣言」を強行する可能性もあり、政権側と野党陣営の対立激化や、反ミロシェビッチ派が台頭したモンテネグロでの混乱なども予想される。
 ここに来て、ミロシェビッチ大統領の外交経済顧問を務めた社会党最高幹部のリリッチ前連邦大統領が連立与党内の対立で8月に辞任していたことが発覚。ミロシェビッチ体制に足並みの乱れも出始めており、選挙結果への影響が注目されている。[2000-09-18-11:25] 49
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 09/18@「軍は祖国を守り抜く」 ユーゴ選挙で参謀長(共同通信)

 【ベオグラード17日共同】ユーゴスラビア連邦軍のパブコビッチ参謀長は十七日、連邦軍が「祖国を守るため全力を尽くす」との声明を発表、二十四日の連邦大統領選挙でミロシェビッチ大統領を全面支援する決意を表明した。
 独立系ベタ通信によると、参謀長は「二十四日(の投票日)は戦いの日であり、連邦軍兵士は再び最前線で祖国の自由を守るため全力を尽くすつもりだ」と言明。昨年の北大西洋条約機構(NATO)軍によるユーゴ空爆時と同様の祖国防衛の意識を持つよう兵士と国民に訴えた。
 参謀長はまた「権力は街頭では奪えず、それを許してはならない」と述べ、投票終了後に予想される反政府勢力によるデモをけん制した。(了)[2000-09-18-09:03] 315
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 09/18@アフリカ西部ギニアで、国連男性職員が襲撃され死亡(読売新聞)

 【ヨハネスブルク18日=森太】アフリカ西部のギニアで十七日、周辺諸国からの難民の支援活動に当たっていた国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のトーゴ国籍の男性職員一人(50)が武装集団に自宅を襲撃されて死亡したほか、コートジボワール国籍の女性職員一人も武装集団に拉致(らち)された。事件の原因や背景ははっきりしないが、発生現場の南東部マセンタは、隣国リベリアとシエラレオネから大量の難民が流れ込んでいる“難民地帯”。国境付近ではこれが一因となってギニア政府軍とシエラレオネ武装勢力の間で戦闘が相次ぐなど緊張が高まっていた。
 UNHCR本部によると、襲撃事件が起きたマセンタは、リベリアとの国境に近い町で、殺害された職員らは難民の支援活動に当たっていた。男性職員は自宅で遺体で発見され、射殺されたと見られる。自宅建物は焼かれ、路上には他の犠牲者数体の遺体も転がっていたという。また、目撃者の情報によると、女性職員が拉致されたのも男性職員の自宅付近だったという。事件を引き起こした武装勢力側は、英BBCの取材に対し、「ギニア民主勢力連合」と名乗っているが、難民を生み出すもとになっているシエラレオネの反政府武装勢力「革命統一戦線」(RUF)との関係は否定している。
 しかし、ギニアのラミン・シディメ首相は、リベリア政府が支援するRUFを使ってギニアを攻撃していると指摘すると共に、RUFは難民の中から兵士を調達しているとして、すべての難民に対し本国に帰還するよう求めていた。
 一方、リベリアのチャールズ・テーラー大統領は、シエラレオネ政府軍を支援しているギニアを批判。国境付近では七月以降、RUFがシエラレオネとリベリア側から三回の攻撃を仕掛け、約八十人が死亡するなど緊張が高まっていた。
 人口六百八十万人のギニアは、アフリカで最も多くの難民を抱えているといわれ、内戦の続くシエラレオネから約三十三万人、リベリアからも十二万人の難民が流入している。
 南ア国際問題研究所のダグ・ブルックス研究員(西アフリカ担当)は「不安定な地域情勢が今回の事件の一因になっているのは明らかだ」と話している。[2000-09-18-22:58] 332
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 09/18@<ギニア>UNHCR襲撃事件 隣国リベリアが関与の可能性(毎日新聞)

 【ヨハネスブルク18日藤原章生】西アフリカのギニアで国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が襲撃され、男性職員1人が殺害され、女性職員1人が拉致された事件で、犯人は18日も不明だが、一帯を拠点に戦闘を続ける隣国リベリアの反政府勢力か、リベリア政府軍が関与している可能性が強まっている。
 事件が起きたリベリア国境に近いギニア領の町マセンタは、テーラー大統領に追放されたリベリアの反政府勢力が物資調達の拠点にしてきた。今年7月には、反政府勢力がギニア側の拠点からリベリア領内に攻勢をかけ、これを機にリベリア政府軍がギニア側に越境し、反政府勢力の討伐を始めたという。
 在ギニアの鉱山業者は18日、毎日新聞との電話インタビューで「反政府勢力を容認しているギニアへの報復として、テーラー大統領は越境攻撃を仕掛けている。UNHCR職員は巻き込まれたに過ぎない」との見方を明らかにした。
 拉致されたUNHCR職員の解放交渉が長引けば、テーラー大統領が解放交渉に乗り出すことも考えられる。[2000-09-18-21:15] 372
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 09/18@安全確保、緒方氏に難題 相次ぐUNHCR職員殺害(共同通信)

 【ジュネーブ18日共同】国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)はインドネシア・西ティモールに続き、アフリカのギニア共和国でも職員が殺害されたことにより、紛争地域における職員の安全確保が急務となった。年末に退任する緒方貞子高等弁務官にとっても最後の難題となりそうだ。
 今月六日、西ティモールで職員三人が殺害された事件はUNHCRにとって大きな衝撃となった。レッドモンド報道官は支援事業の全面打ち切りも視野に入れながら、現在見直し作業を進めていることを明らかにしている。
 しかし、あるUNHCR当局者によると、事業を打ち切って得をするのは「東ティモールの避難民を迫害してきた併合派の民兵だけ」。国際社会がインドネシアに強い外交圧力をかければ「民主化に着手したワヒド政権を弱体化させる恐れがある」(同当局者)ため、バランスを取りながらのかじ取りを迫られる。
 安全確保といっても、UNHCRの職員が短銃などを携行するという選択肢はあり得ない。紛争地域を含む世界百二十カ国でUNHCRが受け入れられるのは、職員が「非武装の丸腰」で紛争当事者にとって脅威とならないためだ。
 結局は現状通り「受け入れ国が安全を約束」することで、支援事業を継続しなければならない可能性もあるが、別の当局者は「約束を信用した結果が、仲間の殺害。約束は聞き飽きた」と不快感を隠さない。職員の安全確保は、緒方氏にとって頭の痛い問題だ。(了)[2000-09-18-15:56] 429
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 09/18@◇米がPKOの指揮統合へ動く 東南アジア各国へ提案◇(朝日新聞)

 米国が東南アジア諸国や豪州に対し、国連平和維持活動(PKO)や国際人道支援での指揮を統合するため、部隊派遣を容易にする態勢作りを働きかけていることが17日、明らかになった。地域諸国のPKOなどへの対処能力を高め、各国が参加しやすいPKOを軸に、東南アジアで多国間の演習を実現することで、米軍の負担を軽減する狙いとみられる。
 シンガポール軍事筋によると、米太平洋軍が7月ごろ、フィリピン、タイなどに対し、PKOや人道支援に参加する複数の国がすぐに「統合指揮グループ」を作って派遣できる態勢を提案。さらに、米国は来年からこの地域で多国間の演習「チームチャレンジ」を始めたい意向で、その柱にPKOの指揮訓練をすえることも提案した。
 東アジアを歴訪中のコーエン長官は17日、訪問先のシンガポールでの記者会見で、同国政府などと、PKOや人道支援での協力強化と多国間演習の実施をめぐって論議したことを明らかにし、米軍の構想を裏付けた。
 一方、コーエン長官は、東南アジアには同構想に対し、「中国を孤立化させる」などの懸念があると指摘。実現には、関係国との交渉がさらに必要であることを示唆した。
 チームチャレンジは、米国がタイ、フィリピン、豪州などと個別に行っている演習を、PKOや人道援助の訓練を軸に、多国間の演習としてひとつにまとめる構想。東南アジア諸国の軍は、東ティモールのPKOで各国の指揮の調整にとまどうなど、経験不足も指摘されている。[2000-09-18-03:13]
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 09/19@<揺れる選択・ユーゴ大統領選>「政府に非協力」解任された(毎日新聞)

 「お前の車に爆弾を仕掛けた」。ベオグラード地裁のプレロビッチ元判事(41)は昨年、こうした脅迫電話を2度受けた。点検後、爆発物はみつからなかったが、常に脅されている圧迫感が付きまとった。そして昨年12月、突然判事を解任された。
 具体的理由は何もなかった。考えられるのは、進歩派判事で作る「セルビア判事協会」の会員であり、政府に協力的でない点だった。ユーゴスラビアでは判事解任の数が過去1年間に計50人に上っている。プレロビッチ元判事は「ユーゴ法曹界は司法の独立を失った。社会主義下の1党独裁体制時代よりひどい最悪の状態にある」と嘆く。
 ユーゴ法曹界のミロシェビッチ政権への屈服を象徴する事件が、1996年の地方選挙後に起きた。同選挙では都市部で野党が圧勝したが、与党・社会党は負けた選挙区数十カ所でそれぞれ「不正投開票があった」と各地裁に異議を申し立てた。やがて各地裁は「(野党側の)不正があった」として、選挙結果を無効にする判決を下した。
 野党支持者はその後、最大10万人規模の反政府デモを100日間にわたって繰り返した。結局、与党・社会党は国会で「当初の結果を受け入れる」と発表し、野党の選挙勝利を認めた。が、野党陣営はその後分裂して勝利の勢いを失い、良心的判事たちには苦い敗北感が残った。判決にかかわった判事約300人はその後、昇進した。現在のヨバノビッチ連邦司法庁長官もその一人だ。
 ユーゴ憲法は裁判官の職務時間外の政党活動を認めており、国内2500人の判事のうち1000人は社会党、ユーゴ左翼、急進党の連立与党いずれかの党員だ。党員でなければ出世はできないとされる。
 連邦大統領・議会選挙の投票(24日)を目前に、プレロビッチ元判事は「今の司法体制に選挙の不正工作を審理する力はない。野党側は不正操作票を上回る得票を得るほかない」と語る。元判事は今、欧州連合(EU)の支援で法整備を担う非政府組織「LEX」の設立準備を進めている。【ベオグラードで福井聡】[2000-09-19-23:30] 26
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 09/19@<ユーゴ大統領選>投票終了後に軍出動の動きも (毎日新聞)

 【ベオグラード19日福井聡】ユーゴスラビア連邦(セルビア、モンテネグロ両共和国で構成)で24日行われる連邦大統領選挙について、ティヤニッチ元セルビア共和国情報相は「ミロシェビッチ大統領は投票後、軍の出動も視野に入れたシナリオを用意している」と述べた。ティヤニッチ氏によると、ミロシェビッチ大統領が党首を務める与党・社会党は今週、1万人の世論調査を行い、大統領選でセルビア野党連合の推すコシュトゥニツァ候補勝利の見通しが出れば、選挙中止を宣言する可能性もあるという。
 ティヤニッチ氏が18日、ボスニア・ヘルツェゴビナのセルビア系雑誌のインタビューに答えた。地元メディアなどによると、与党側はユーゴ連邦コソボ自治州で、投票を拒否しているアルバニア系住民の有権者名簿を使って約60万票を不正操作するとの憶測が流れている。同氏は「それでもミロシェビッチ陣営が勝てないとなれば選挙を無期限延期する」とみる。
 また、ミロシェビッチ大統領が議長を務めた最高首脳会議で、選挙後のシナリオについて(1)野党側に有無を言わせず与党が勝利宣言する(2)野党が反発し、デモが頻発すれば警察が弾圧する(3)デモがさらに暴力的となれば軍を出動させる――の3段階のシナリオを協議したという。ユーゴ連邦軍のパブコビッチ最高司令官は先週末、「軍は街頭でのいかなる威嚇行動も取り締まる用意がある」と警告している。
 コシュトゥニツァ候補も17日、「選挙が実施されないとのシナリオがある」と懸念を表明し、セルビア再生運動のミハイロビッチ候補も「与党側は24日、不測の事態が起きたなどを理由に選挙が不公正だと宣言し、中止する可能性がある」と指摘している。[2000-09-19-18:45] 29
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 09/19@米大統領ら「被告」に模擬裁判(読売新聞)

 ユーゴスラビア・ベオグラード地方裁判所で十八日、クリントン米大統領ら北大西洋条約機構(NATO)諸国指導者を「戦争犯罪人」として裁く、という模擬裁判が開かれた。法廷には昨年のユーゴ空爆を指導した米大統領ら十四人分の「被告席」も用意されたがもちろん、空席のまま。実態のない裁判だが、二十四日のユーゴ大統領選で再選を目指すミロシェビッチ大統領側の政治的演出の色彩が濃い。[2000-09-19-10:24] 30 [このページの最初に戻る]


 09/19@◎11月にEU・バルカン首脳会議=政治・経済両面で関係強(時事通信)

 【ブリュッセル18日時事】欧州連合(EU)は18日、ユーゴスラビア連邦のモンテネグロ共和国、コソボ自治州を含むバルカン地域とEUの政治・経済両面での関係強化を目指すEU・バルカン首脳会議を11月24日にクロアチアの首都ザグレブで開催すると発表した。
 EUはバルカン地域の長期的安定に向け、政治、経済、安全保障、人権問題で積極的に貢献する方針を明らかにしており、同会議では、政治・経済面の構造改革支援、同地域からの輸入品に対する段階的な関税撤廃を通じた自由貿易圏実現など具体策での合意を目指す。 [時事通信社][2000-09-19-07:08] 31
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 09/19@◇「大統領退陣すれば制裁解除」 EU、ユーゴ国民へ声明◇(朝日新聞)

 欧州連合(EU)は18日の外相理事会で、24日に大統領選を控えたユーゴスラビア国民に向けて、「民主化の実現で国際社会に復帰を」と呼びかける声明を出した。また、EU各国の議会に対し、投開票が公正に行われたかどうかを監視する要員を派遣するよう求めた。
 声明は「今回の選挙は、ユーゴを戦争と孤立に追いやったミロシェビッチ(大統領)の政策を明確に、平和的に拒絶する機会」と、反体制派候補への投票を訴える内容。また、同大統領が選挙で退陣し、ユーゴが民主化に動き出せば、EUが経済制裁を中止し、国内改革を全面支援することを約束している。[2000-09-19-02:58] 191
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 09/19@米・東南アで多国間演習、PKOなど想定(読売新聞)

 【バンコク19日=奥村健一】東アジア歴訪中のコーエン米国防長官は十九日、バンコクで記者会見し、チュアン・タイ首相らとの会談で、米国と東南アジア諸国が、国連平和維持活動(PKO)や人道支援などを想定した多国間演習の実施で合意した、と明らかにした。
 これまで東南アジアでは、タイと米国が合同軍事演習「コブラ・ゴールド」を八二年から実施し、今年五月の同演習にはシンガポールが初参加したほか、マレーシアとフィリピン、オーストラリアがオブザーバーとして初めて参加した。米比両軍の合同演習も今年二月に四年ぶりに再開するなど、各国が米国と個別に二国間演習を行っている。
 多国間演習「チームチャレンジ」は、これらの二国間演習を、PKOや人道支援という、各国が比較的協力しやすい分野を軸に据えて一本化を図るものだ。米国は来年から始めたいとし、すでにタイやフィリピンに対し、統合指揮メカニズムを設け、PKO派遣などを迅速かつ円滑に行う体制づくりを提案していた。
 昨年の東ティモール独立をめぐる騒乱で、PKOに参加した東南アジア各国がマニュアルの違いなどから意思疎通に困難を生じ、多国間演習の必要性が認識されるようになって来た。この前提として、東南アジア地域の安定と経済発展が各国の国益にかない、それを脅かす要因に共同対処しようとの認識が育ったことが挙げられる。また、南シナ海への進出を図る中国の「脅威」に対抗する側面もある。しかし、コーエン国防長官は、この日の会見で「多国間演習は、中国を孤立化させようとするものでは断じてない」と強調。この地域での米軍プレゼンス拡大に対する中国側の懸念を打ち消すとともに、中国が参加すれば歓迎するとの意向も併せて表明した。[2000-09-19-23:43] 194
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 09/19@<経済観測>ドイツ統一10周年(毎日新聞)

 来月、ドイツは統一10周年を迎える。振り返ってみると、10年間の歩みは決してたんたんたるものではなかった。数々の困難を克服してここまで来た同国の経済力と国民の努力は高く評価されてよい。
 ところが、わが国では、否定的側面を強調する論評が少なくない。まずは、東西の経済格差。その象徴は旧東独(新5州)の高い失業率(15%台、旧西独の2倍弱)。主因は西側体制についていけない中高年層および若年層の落ちこぼれだ。その解決にはおそらく一世代、30年を要するだろう。
 第二は、政治経済体制の統一にもかかわらず、東西の心の融和に程遠いとの指摘である。西は一級市民、東は二級市民といった優越感(劣等感)からくる心の壁はまだ厚い。これも時間による解消にゆだねるほかない。他方、旧東独の運輸、通信その他の経済基盤整備には最先端の技術が投入され、今では旧西独の上をいく。そこに将来の発展の可能性が秘められている。
 第三は、ネオナチを含む極右勢力の台頭。一部市民の不満がその土壌となっており、特に外国人がテロの標的だ。また、旧東独の州議会では極右政党が議席を獲得している。極右のテロ活動には、政府も頭を痛め、その活動禁止、非合法化に乗り出している。ただ、極右勢力の存在は何もドイツに限らず、欧州連合(EU)各国に共通する現象、誇大視するには及ばない。
 このようにいくつかの後進性は否定できないが、公平な判断としては、統一を成功裏になし遂げたというプラス面を重視すべきだと思う。
 それにつけても、依然分断国家の悲運をかこっている朝鮮半島の情勢が気になる。南北首脳会談やシドニー・オリンピックにみられる南北和解の動きなど、統一ムードは高まっているが、いざ統一実現となると、ドイツの前例と比べて、いかに難事業であるかを痛感させられる。
 人口比で南北は2対1(ドイツは4対1)、経済格差はドイツを上回る。経済力の絶対水準でも、韓国は旧西独に大きく劣後する。統一は時間をかけ、漸進的に進めるのが正解だと思う。 (幸兵衛)[2000-09-19-23:30] 253
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 09/19@「神殿の丘」主権で攻防 宗教絡み決め手欠く(共同通信)

 【エルサレム19日共同】難航するパレスチナ和平交渉は、イスラム教とユダヤ教の聖地が重なり合う東エルサレム旧市街の「神殿の丘」の主権をめぐり、イスラエルとパレスチナ側の攻防が続いている。
 国連、イスラム諸国会議機構(OIC)それぞれによる「国際管理」案が十九日までに新たに浮上したが、いずれも紛争解決の決定打になっていない。宗教が絡むだけに双方とも妥協できず、交渉の行方は依然として不透明だ。
 神殿の丘は、西暦七○年にローマ軍が破壊したユダヤ人の「第二神殿」が立っていた場所。現在は、マホメット(ムハンマド)ゆかりの聖地アルアクサ・モスクや「岩のドーム」があり、イスラム教徒は「ハラム・アッシャリーフ」(高貴な聖域)と呼ぶ。
 パレスチナ自治政府のアラファト議長は今月上旬、主権をOICの帰属とする案を示し、パレスチナの完全主権の主張を修正。だが、イスラエルのバラク首相は十八日「イスラム教徒に主権を譲ることは認められない」と言明した。
 米国は仲介案として、国連安全保障理事会に主権を帰属させる案を提示、イスラエルは検討する意向を示したものの、アラファト議長は拒否したと伝えられている。(了)[2000-09-19-16:42] 258
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 09/19@◇平和訴え国連でダンスを披露 ピースボート◇(朝日新聞)

 市民団体「ピースボート」(事務局・東京)の世界一周航海で知り合った仲間たちが船上で結成したダンスチームが、ニューヨークの国連本部広場で開かれる国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「ミレニアム平和の日」式典に招待された。20日未明(現地時間19日午後)、約60人の日本の若者たちによる「平和と非暴力」を訴える創作ダンスが、各国代表の前で披露される。
 ダンスチームのメンバーは、今年5月に東京・晴海を出港して8月に戻ってきた創価大3年、長谷川美香さん(21)ら。
 ユネスコは今年を「平和の文化国際年」に指定し、「すべての生命を尊重する」などの「私の平和宣言」を起草。各地の非政府組織(NGO)に対して署名活動を呼びかけた。
 ピースボートは協力団体の一つとして、世界一周クルーズの寄港地の先々で街頭署名運動を展開、これまでに1万件以上を集めた。
 長谷川さんたちは、船上でつくりあげた6部構成のダンス作品を訪問先の路上などで披露。署名運動にも一役買った。[2000-09-19-15:52] 269
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 09/19@<翔んで…アフリカ>ガラス1枚 世界隔て(毎日新聞)

 ユニセフ親善大使の黒柳徹子さんに付いて1週間、西アフリカの小国リベリアを回ってきた。戦時中の小学校体験を描いた「窓ぎわのトットちゃん」を読んだユニセフ事務局長が「子供の気持ちがわかる人だ」と1984年、黒柳さんをユニセフ親善大使に任命した。以来、17カ国を紹介し、30億円余りの募金をユニセフに贈った。今回は2年ぶり、10度目のアフリカ。黒柳さんの言葉を拾い、その意味を考えた。
   ◇    ◇
 黒柳さんは正直な人だ。思ったことをすぐ口にする。
 大破したダムを見た夕暮れの帰り道。四輪駆動車に乗り、赤土と緑あふれる車窓の外に目をやると、ねずみ色に朽ちた植民地風の洋館が目に入った。寄り添うように粗末な小屋が並ぶ。
 よく見ると夕げを前に親子3人と犬1匹がきちんと座り、道の方を見ながら涼んでいる。ボロの服に細い体、彫像みたいな顔が、夕やみの中へ溶けていく。黒柳さんは日本人女性の付き人に思わず口走った。
 「ねえ、人間にも保護色ってあったかしら」。付き人が「人間にはありませんよ」というと黒柳さんは「だって、そんな風に見えるじゃない」と言い返し、車内は大笑いになったという。人によっては「アフリカ人を見下していないか」と感じるかもしれない。でも、あまりの貧しさ、かけ離れた生活を目の当たりにすると、笑いが込み上げて来る瞬間がある。悲惨さなど理念的なことを考えるのは少し後のことだ。
 湿気で湯気がたち上りそうなゴム園から、人でごった返す青空市場まで。青ペンキでUN(国連)と大きくかかれた車8台が通り過ぎていく。外側にはピカピカ光る真っ黒い人々が、内側にはドウランを塗ったように妙に白い顔の日本人11人をはじめ総勢30人が、お互いに目を凝らしている。
 車列を見送る群衆は何を思うのだろう。見慣れない白い顔に、みな興奮気味に笑みを浮かべ、犬までがほおをつり上げ緊張している。明らかに違う2つの世界の出会い。両者の間にはまず驚き、そして笑いがある。【モンロビアで藤原章生】[2000-09-19-12:50] 281
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 09/19@トルーマン・ビルと命名 米国務省の建物(共同通信)

 【ワシントン18日共同】米国の首都ワシントンにある国務省ビルがトルーマン第三十三代大統領にちなみ「ハリー・トルーマン・ビルディング」と命名されることがこのほど決まり、クリントン大統領とオルブライト国務長官が出席して二十二日に記念式典が行われることになった。
 トルーマン大統領は第二次世界大戦末期の一九四五年、在任中に急死したルーズベルト大統領の後継として副大統領から昇格。五三年まで大統領を務め、広島、長崎への原爆投下を決断したことで知られる。
 米国では、大戦の戦後処理を指揮し、冷戦時代もソ連のベルリン封鎖に対抗した空輸作戦や朝鮮戦争参戦を決めた外交手腕の高い大統領として人気があり、クリントン大統領も尊敬の念を表明している。(了)[2000-09-19-11:44] 288
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 09/19@<東ティモール>サッカーチームが日本対ブラジル戦を観戦へ(毎日新聞)

 国連の暫定統治下で国づくりを進めている東ティモールの全国選抜サッカーチームが、オーストラリア・ブリスベーン市を訪れ、20日に行われるシドニー五輪のサッカー予選・日本対ブラジル戦を観戦する。東ティモールからは今回、陸上、重量挙げ、ボクシングに4選手が「個人資格」で参加しているが、一番の人気スポーツはサッカー。「次回こそ『祖国』のチームとして出場を」という願いを込め、日本の市民団体「ピースボート」とブリスベーン市が共同で、サッカーチームを招待した。
 東ティモールでは、独立運動の最高指導者、グスマン氏が政治犯として投獄されていた時、刑務所内でサッカーチームを作って士気を保ったほど。週末にはあちこちの広場で少年らがサッカーを楽しむ姿が見られるなど国民的スポーツになっている。
 ブリスベーンを訪れるのは、中心都市ディリ近郊のクラブチームから選抜された16〜21歳の選手17人とコーチ3人。ナショナルチームの中核メンバーだ。メンバーの中には、昨年8月の住民投票直後に起きた内戦で、家族が民兵に殺されたり、いまだに難民キャンプで暮らす人もいる。
 8月31日に400人を乗せて神戸港を出港したピースボートの客船が今月9日に東ティモールに寄港し、選抜メンバーらも乗船した。19日にブリスベーンに到着し、ピースボートの参加者とともに20日夜の日本・ブラジル戦を観戦する。地元の青年チームとの試合なども予定している。
 ピースボート共同代表の中原大弐(だいじ)さん(24)は「国際舞台の場で、自分たちの国を代表して五輪に出てほしかった。次の舞台にむけて、試合を観戦して楽しんでほしい」と話している。 【藤後野里子】[2000-09-19-10:05] 289
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 09/19@差別まん延で戦力に影響 南アフリカ(共同通信)

 【ナイロビ19日共同】南アフリカからの報道によると、同国国防省は十八日、黒人政権誕生後六年たっても国防軍内で白人と黒人との“統合”が進まず人種差別がまん延、戦力に大きな影響を与えているとの報告書を発表した。
 それによると、一九九四年にアフリカ民族会議(ANC)のゲリラ兵士が白人の旧政府軍に編入されて発足した新国防軍は、いまだに将校クラスの多くは白人、一兵卒のほとんどは黒人で、白人による嫌がらせや脅迫行為などが横行、待遇や昇進にも差別があるという。
 報告書は昨年、黒人兵士が、白人兵士ら八人を射殺した事件を契機に、軍の改善を目的に作成された。(了)[2000-09-19-10:03] 290
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 09/19@<露外相>米にABMの順守を要求 国連総会の演説で(毎日新聞)

 【ニューヨーク18日上村幸治】ロシアのイワノフ外相は18日、国連総会で演説し、米国があくまで弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約の修正を求めるなら、核軍縮の交渉には応じないという姿勢を示した。米国は米本土ミサイル防衛(NMD)構想を進めるため、ABM条約を修正するようロシアに求めている。
 演説の中でイワノフ外相は「我々は核軍縮を積極的に行い、第3次戦略兵器削減条約(START3)の締結に向けて話を進める用意がある。ただし、ABM条約が損なわれない場合だけだ」と述べた。
 この問題では、クリントン米大統領が既にNMD配備の決定を先送りすると発表している。したがって、今回の発言は次期米政権に対するけん制ということになる。
 また、イワノフ外相は昨年に続き、今年もABM制限条約の順守を求める決議案を総会に提出すると表明した。昨年提出した決議案は総会で賛成80、反対4、棄権68で採択されている。
 ABM制限条約は、1972年に米国と旧ソ連が締結したもの。迎撃ミサイル基地を1ヵ所に限定しており、米国がミサイル防衛構想を進める際の障害になる。このため米国はロシアに対し、ABM制限条約の修正を求めている。
 中国の唐家セン外相も国連総会で、米国のミサイル防衛構想を批判しており、中露は引き続き歩調をそろえ、米国をけん制した。[2000-09-19-10:00] 293
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 09/19@危険と隣り合わせの国境 UNHCR職員殺害事件(共同通信)

 【ナイロビ19日共同】国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のトーゴ国籍の職員が十七日殺害されたマセンタなどギニア南東部の国境付近は、紛争の絶えないアフリカの中でも最も危険な地域の一つで、国連職員や人道援助の非政府組織(NGO)らは生命の危険と隣り合わせで活動している。
 ギニアは隣国リベリアの難民約十三万人を受け入れているが、難民の中にリベリアの反政府勢力が潜伏、越境してゲリラ活動を行っており、逆にリベリアはギニアの反政府勢力の本拠地となるなど、国境付近は常に戦闘や略奪の場所となっている。
 また、シエラレオネの反政府勢力、革命統一戦線(RUF)もリベリア、ギニア国境を自由に往来しており、状況をさらに複雑にしている。
 UNHCR職員を殺害した武装グループはリベリアから越境して来たとの情報があり、ギニアの軍施設を攻撃していることからもギニアの反政府勢力の可能性が高い。
 ギニアでは九月はじめ、マセンタ近くの村などで住民計約八十人が武装勢力に殺害され、ギニアのコンテ大統領が「リベリアやシエラレオネ難民がゲリラを支援している」と非難したことから、ギニア国内の両国難民が迫害される事態が発生。報復として両国にいるギニア人が襲撃されるなど三国はまさに内憂外患の状態となっている。
 事件でUNHCRはギニア国境付近での活動を縮小する方針で、難民の受難は続きそうだ。(了)[2000-09-19-08:33] 295
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 09/19@死者のほぼ半数が人道職員 国連が命懸けの実態公表(共同通信)

 【ニューヨーク18日共同】国連活動に従事する文民職員のうち約二百人が一九九二年以降に事件、事故絡みで死亡し、その半数近くが人道援助機関の職員だったことが十八日、国連が公表した統計資料で分かった。
 インドネシア・西ティモールやギニア共和国では国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の職員が襲撃される事件が相次いでおり、人道職員の「命懸け」ともいえる活動実態をあらためて示した。
 資料によると、九二年から今月十八日までの死者数は百九十八人で、うち人道援助職員は九十一人。内訳はUNHCRが最多の三十人、国連児童基金(ユニセフ)が二十八人、世界食糧計画(WFP)二十七人、世界保健機関(WHO)六人の順。
 死者数には航空機事故などの犠牲者も含まれるが、国連外交筋は西ティモールでの事件について「殺意を持って襲撃に及んだ前代未聞の事例で、人道援助も命懸けになった」と指摘。
 また、人道援助以外では国連平和維持活動(PKO)の文民スタッフが三十三人、国連開発計画(UNDP)が二十五人などとなっている。
 今年はギニアの事件での死者を含め既に十五人が死亡。ルワンダ大虐殺が起きた九四年(六十四人が死亡)などを除くと高水準で、昨年一年間の十六人にほぼ並んだ。(了)[2000-09-19-08:06] 301
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 09/19@相次ぐ職員殺害、難民支援の国連に動揺(読売新聞)

 【ジュネーブ18日=大内佐紀】国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)本部では、相次ぐ職員殺害に大きな衝撃を受けている。緒方貞子・国連難民高等弁務官は十八日、出張先で「正確な状況は分からないがギニアの事態は悪化している。罪もない丸腰の人道主義者がどうしてむごい殺され方をされるのか」と怒りをあらわにした。
 UNHCRは難民の保護を主な業務としている。活動の対象は関係政府や当事者、他の国際機関の要請に基づき国連難民高等弁務官が決定する。近年ではロシア・チェチェン共和国での活動を求める声に対し、緒方氏が「安全が十分に確保されない」との理由で見送ったのは例外的だった。
 インドネシア西ティモールも、ギニアも「安全からはほど遠い場所」(UNHCR幹部)ながら職員を派遣した。UNHCRは現在、約五千人の職員が世界百二十か国で働いているが、八割は難民の生活する場所に配置されている。九〇年からこれまで十九人の職員が殺害された。
 UNHCRは、殺害事件を受け、撤収を含めた西ティモールでの事業の見直し作業を行っている。しかし、「安全確保を理由に、支援事業を打ち切れば、自らの存在意義に疑問を投げかけることにもなる」(同)というジレンマに陥っている。[2000-09-19-01:44] 303
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 09/19@<米国防長官>国連職員殺害で西ティモールの治安回復要求(毎日新聞)

 【クパン(西ティモール)18日中坪央暁】アジア歴訪中のコーエン米国防長官は18日、ジャカルタでワヒド大統領と会談、終了後に声明を発表し「ワヒド大統領は、西ティモール(東ヌサトゥンガラ州)の危機に迅速に対応すると確約した」と語った。さらに、東ティモール併合維持派の民兵組織が早急に解体されない場合、経済制裁の可能性を示唆、インドネシア政府と国軍が西ティモールの治安回復を急ぐことを強く要求した。
 西ティモールでは今月6日、国連職員3人の殺害事件が発生。国防長官はインドネシア側の対応について「失望している」と強調し、「今後2、3週間の行動を注視する」と、期限を区切って対応を求めた。
 さらに長官は「民兵組織の武装解除と解体が必要で、治安回復に取り組まなければ、深刻な経済的影響をこうむるだろう。インドネシアは、法に基づく社会を築くか、暴力を容認する社会になるかの決断を迫られている」と述べた。
 ワヒド大統領はこれに対し、「民兵は既に武装解除されているが、ジャングルや山に武器を隠しており、発見は困難」と現状を説明するにとどまり、明確な約束は避けた。
 国連安保理は既にインドネシア政府に対し、民兵の武装解除と組織解体を求める決議を採択、治安回復を訴える国際世論が急速に高まっている。しかしインドネシアは主権国家としての立場から、国連の調査団派遣を拒否している。[2000-09-19-01:20] 304
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 09/19@<追跡>シドニー五輪 米国で独占権握るNBC(毎日新聞)

 世界中が注目しているシドニー五輪。だが米国では、その活躍ぶりを生の映像を通して見ることができないでいる。テレビの独占放送権を握ったNBC放送が、十数時間の時差を理由にすべて録画で放送しているからだ。視聴者はそのため、半日遅れで、しかも結果が分かっていて試合を見るはめになっている。通信技術が進歩し情報が瞬時に世界に伝わる時代に、なぜ米国民だけが同時中継の恩恵に浴せないのか。米国の五輪放送は、メディア一社が情報を独占することの意味を問い掛けている。 【ロサンゼルス・佐藤由紀】
 15日華やかに開会したシドニー五輪。その特別番組がNBCで始まったのは、米西部時間の15日午後7時半(日本時間16日午前11時半)、シドニーはすでに16日午後だった。番組でキャスターは「南北朝鮮がひとつのチームとして行進することがただ今、判明しました」と語ったが、それはすでに朝刊に掲載されている「前日のニュース」だった。
 この放送の間、現地では女子射撃で米国が初の金メダルを獲得し、続いて豪州のソープが水泳男子400メートル自由形予選で五輪新記録を出していたが、番組では一切触れない。シドニー大会の録画中継は「15日」に止まったまま進行した。
 ソープ選手の予選での快挙をNBCが伝えたのは、翌16日午後4時半(同17日午前8時半)。だが、すでに終了している決勝の結果(世界新で金メダル)は、午後7時から12時までのプライムタイムで放送するために番組では伏せられた。
 十数時間遅れの「みせかけの生放送」――これができるのも、NBCが米国での放送権を独占しているためだ。
 NBCは2008年大会まで5回分の五輪放送権を総額35億ドルで買う契約をした。シドニー大会で支払う7億500万ドルは、同大会でのテレビ放送権料全体の53%に当たり、競技時間からテレビカメラの位置まで、絶大な発言権を持っている。国際オリンピック委員会(IOC)も、テレビ放送権料が大会運営費の半分を占めるため協力を惜しまない。放送権がないテレビ局は五輪関連施設への立入りも制限され、選手らのインタビューも思うようにできないという。
 米国の他のテレビ局がNBCの映像を流せるのは、ニュースに限られる。しかし,それも(1)1回のニュース枠で合計2分まで(2)ニュース番組は3時間以上間隔を空ける(3)NBCの放送後24時間以内に限るーーといった厳しい条件付きだ。米国市民は、ラジオやインターネット、新聞などで試合の結果を知ることはできるが、映像はNBCの思うがままだ。競技映像とは別に、現地の選手や街の様子などを伝える他局の五輪放送では、「これは本当の生中継です」と画面上で皮肉っぽく断りを入れるところもあるくらいだ。
 NBCの五輪放送総責任者、デイック・エバソル氏は会見で「米国の視聴者は単なる勝敗ではなく、試合の裏にある物語を欲しがっている。深夜や早朝に生放送して一部の視聴者にしか見てもらえないより、きちんと構成した映像に付加価値をつけ、家族がそろうプライムタイムに流すほうが、視聴者には好都合だ」と批判をかわす。
 NBCは「五輪を完全放送する放送局」を標ぼうし、シドニー大会で過去最高の441時間30分を放送にあてている。このうち、地上波テレビで162時間30分、残りは系列のケーブル局MSNBCとCNBCが分担する。
 野球やサッカー、ボクシングなどをカバーするケーブル局の番組は映像の加工度が少なく、比較的生中継に近い内容になっている。しかし、水泳、体操、陸上など人気の高い競技をカバーする地上波放送は、ドラマ性を考慮して再編集される。エバソル氏がいうように、別途に取材した選手の人生などのサイドストーリーが随所にはめ込まれ、ドキュメタリーのような構成だ。
 リアルタイムで生放送した上でプライムタイムで再放送するとの選択もあったはずだが、「生放送をしたとたん、独占の意味はなくなる」とエバソル氏。深夜に生放送すれば、視聴者は録画をしておいて、あとでCMを飛ばして見る可能性が大きいため、広告主が嫌ったというのが真相だという。視聴率を最大にし、かつ収益を最大にする、というのがNBCの狙いのようだ。
 こうしたNBCの思惑通り、15日夜の視聴率は、前回のアトランタ大会(23・6%)にこそ及ばなかったものの、16・1%と外国で開催された夏の五輪大会では最高。全米5600万人がNBCの録画中継を見たことになる。30秒で61万5000ドルという五輪放送史上最高の値段に跳ね上がったスポットCMも完売し、売上げは総額9億ドル。放送権料の7億500万ドルに経費1億ドルを加えても、大幅収益を確かなものにした。
 AP通信は16日、NBCの放送はスポーツの完全中継とはほど遠く、「パッケージ化されたエンターテインメントに過ぎない」と伝えた。ロサンゼルス・タイムズ紙も「(今回の)五輪中継に本物のドラマはない」と批判し、セント・ピータースバーグ・タイムス紙も16日、「より速く、より強く、より高くというオリンピックのモットーに、『遅く』という新語が加わった。いっそ歴史番組として流してはどうか」と皮肉った。ボストン・ヘラルド紙は「NBCは、自分たちがプライムタイム用に料理(編集)した五輪放送を、全米の2億1500万人の視聴者が見るだろうとたかをくくっている」と突いている。
 こうした米国のテレビ状況に“対抗”して、いま米国では超大型のアンテナを使ってカナダの放送を受信して生放送を見よう、という人々が続出している。カナダ・CBC放送は288時間の大半を生放送しているからだ。
 ロサンゼルス郊外でスポーツ中継を大型テレビ画面で見られるスポーツ・バー「ステーション」でも、大型アンテナで受信したCBC放送の生放送が売り物だ。経営者のトム・ホワイトナックさんは「(NBCが)大金を払ったので独占しないと元が取れないというのは分かる。でもスポーツファンとしては、結果が先に分かって試合を見るのはつまらない」と語る。
 ロサンゼルス・タイムズ紙、ラリー・スチュワート運動部記者も「私自身カナダの放送で生中継を見ているが、カナダ人選手が中心の内容で物足りない。NBCは事前の世論調査で録画中継でも視聴者から異論がないことを確認した、と主張しているが、本心は視聴率を最大にして広告を高く売りたいためだろう。米国人のほぼ半分は熱心なスポーツファンだが、生放送でないことで大半が落胆している。たとえ深夜でも生中継してほしかった」と嘆いている。
 莫大な放送権料がからむ時、放送局は最大の収益を上げることを優先する。米NBCの選択は、五輪放送が視聴者の意向というより、商業的成功に重点をシフトしつつあることを示しており、日本にとっても、決して無縁ではない。[2000-09-19-00:15] 306
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 09/19@<ニュースキー>謎に包まれるフジモリ大統領「不出馬」(毎日新聞)

 ペルーのフジモリ大統領の事実上の退任発表は、大統領側近さえ寝耳に水で、ペルー国内には衝撃が走った。国家情報局幹部による野党議員買収事件が直接の引き金となったことは間違いないが、フジモリ政権に不満を持つ軍の一部が大統領に弓を引いたのではないかとの憶測も流れ、退任決断の真意、背景はなぞに包まれたままだ。一方、フジモリ政権に批判的な米政府は、大統領の退任発表を歓迎しつつ、退任が実現するかどうか見守る姿勢で警戒感を解いていない。 【リマ・吉田弘之、ワシントン・布施広】
 16日のフジモリ大統領のテレビ演説は10分弱。終始にこやかで、身ぶり手ぶりを交えながら国民に語りかけた。「陰の実力者」と言われる国家情報局(SIN)顧問のモンテシノス氏が野党議員に1万5000ドルを渡す現場を隠し撮りしたビデオ暴露事件に触れ、「SIN解体」「新たな総選挙の実施」に言及した後、「選挙には、ここで話している者(大統領)は参加しない」と付け加えた。
 問題のビデオはSIN本部で隠し撮りされた。撮影は4月29日に行われた大統領選第1回投票・国会議員選直後の5月5日。56分間のビデオには、大統領の片腕であるモンテシノス氏が、経済学者のトレド氏率いる「ペルー可能な党」から当選した国会議員に黄色い封筒入りの現金を渡し、議員が書類に指紋の押印とサインをする場面が映っていた。追加のカネを要求する議員の姿もあった。議員はその後、与党にくら替えした。多数派工作のための買収の決定的証拠だった。
 ビデオは今月14日、野党第2党「独立浄化戦線」のイベリコ議員が記者会見し公表。モンテシノス氏がジャーナリストや他の政治家を抱き込もうとしている場面を撮影したビデオも入手したことを明らかにした。
 16日には、米州機構(OAS)が大統領に「素早く厳しい対応」を要求しており、国際社会の「民主化要求」の圧力が大統領の決断に結びついた可能性が高い。捜査が進めばモンテシノス氏の刑事責任は避けられず、政権には打撃となる。それを見越しての退任表明という見方が成り立つ。
 一方、事件の経過に「軍の関与」を指摘する声もある。イベリコ氏はビデオの入手先について一切、明らかにしていない。ペルー政界では、撮影の経緯そのものが、大統領の退任発表劇と何らかのつながりがあるとの推測も出ているのだ。
 ビデオが撮影されたSINへの出入りは厳しく制限されて、出入りできるのは情報局員か軍関係者に限られる。軍関係者がビデオの隠し撮りや流出に関与していたとすれば、軍の一部が大統領に弓を引いたことになる。フジモリ大統領・モンテシノス氏の政権運営に不満を募らせる軍の関係者が事件を暴露したのではないか、という推測だ。軍内部では人事の停滞に政権への反感が高まっているほか、軍部をも掌握し始めたモンテシノスの権力拡大に批判が出ていた。大統領のテレビ演説前後、リマ市内では軍部クーデター説がまことしやかに流れた。
 トゥデラ第1副大統領が17日、記者団に「大統領は今も政府と軍を掌握している」と述べたのも、こうした見方を否定するためだ。
 米政府はフジモリ大統領の事実上の退任表明を歓迎しつつも、警戒感を隠せないのが実情だ。「不正選挙」の疑いが指摘された春のペルー大統領選で3選を果たした大統領が、あっさり権力を手放すとは考えにくいからだ。今後行われるという新たな国政選挙の具体的な時期が明らかでないことも、米国の不信感を増幅している。
 「ペルーが民主主義を必要としているのは明らかだ」とホワイトハウス当局者は語り、国務省当局者は新たな選挙を行ううえで、フジモリ政権がOASの選挙改革案を受け入れることが不可欠だと指摘した。だが、大統領の「退陣表明」の背景は読みにくく、ある当局者は、現時点で米政府としての公式見解を出すのは難しいと語っている。
 オルブライト国務長官は先週、国連ミレニアム総会サミットがニューヨークで開かれた際、フジモリ大統領と会談し、ペルーの民主主義の現状に強い懸念を表明した。国務省はフジモリ氏の大統領就任式に政府代表を送らず、長官は8月の中南米歴訪時、ペルー訪問を避けた。こうした外交圧力が「退陣表明」に直結したとは考えられないが、フジモリ政権を孤立させたことは間違いない。
 ただ、米国は常に「民主主義」を看板に中南米政策を推し進めてきたわけではない。中南米を「裏庭」と見る米国は、グレナダやパナマなどへの軍事行動で反米政権や指導者を排除する一方、チリ大統領選では、左翼候補の当選阻止の、中央情報局(CIA)などを暗躍させた過去を持つ。
 ペルーと米国は、ゲリラ対策などをめぐり摩擦が続いていた。親米の指導者が顔をそろえる中南米で、フジモリ政権の「独自性」は際立っていた。米国が憂慮するのは、ペルーの民主化の現状というより、自らの意に従わない指導者が力を付けていくことだ、という見方も根強い。
 中川秀直官房長官は18日の記者会見で、フジモリ・ペルー大統領の退任表明について「熟慮の上での重い判断と受け止めており、今後の事態の成り行きに注目したい」と語った。また「これまでの平和、経済の発展が後退することなく、今後のペルーの民主化がさらに進展するとともに、安定が一段と広がることを期待する」と述べた。
 一方、外務省の川島裕事務次官は同日の記者会見で「(大統領は)従来、民主化と経済開発促進を重視してきたが、その方向と軌を一にしたものだと思う」と語った。
 遅野井茂雄南山大教授(ペルー現代政治専攻)の話 
 もともとモンテシノス氏は他者との会談を自らビデオに撮り、後で脅しに使ったりしていた。今回はそれを内部の誰かが外部へ流した。軍内部に深い亀裂が生じているという印象だ。軍指導部はモンテシノス氏と同世代だが、その下の層には上層部のポスト独占への不満が溜まっている。強気だった大統領の今回の声明は意外だ。米州機構を軸に民主改革への話し合いが進められている時期に、腐敗の証拠であるビデオテープが出されたことが、強烈なインパクトを持ったのだろう。選挙制度は与党有利であり、野党側は制度改革を行ってから選挙に持ちこみたいだろう。トレド氏の人気は落ちており、統一候補になるのは難しい。フジモリ氏が辞任しても、与党政権が残る可能性もある。[2000-09-19-00:05]
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 09/20@<ユーゴ大統領選>揺れる選択 電子工学高専 改革に市場原(毎日新聞)

 5階建ての校舎に、定期試験の結果発表を待つ学生があふれていた。ベオグラード市内の国立・電子工学高等専門学校では約3000人が工学系の7分野で学ぶ。入学者は高卒者500人だが、3年後に卒業出来るのは約150人だけ。経済制裁下で想像を絶する就職難の中、卒業生は高度な専門技術を持つことから引く手あまたという。
 学校経営の実態は私立に近い。「社会主義体制下だった10年前は運営費のほぼ全額を政府の補助に頼り、授業料は無料だった。10年間で少しずつ学生の負担を増やし、今では学校運営の5〜6割を学費が占めている。将来はこの率をもっと高めたい」。マルティノビッチ校長(53)は経営も学校の評価も伸びていると胸を張った。
 1学年500人中下位100人は年間約1000ドル(約10万円)を払うが、中位の265人はその半額から4分の1だけ払い、上位135人は学費免除だ。学費徴収によって設備投資が進み、競争激化で学生の質も向上する。名門のベオグラード大学が今も安い学費で理論中心に教えるのに対し、同校は競争原理を導入し、より実践的な授業内容で成功している。
 この10年間、市場経済に合わせた学校改革を進めてきたマルティノビッチ校長は、ミロシェビッチ大統領の妻、マルコビッチ夫人が党首を務める連立与党・ユーゴスラビア左翼の党員だ。「学校運営は競争原理を導入しなければ生き残れないが、私はすべての人に平等をという社会主義の理想が好きだ。私は兄弟13人の貧しい農家に生まれ、無料で大学に行けた」という。
 社会党が政界を独占する一方、ユーゴ左翼は6年前の設立以来、経済界で党員を急増させ、野党側は「財界の利益独占システムを作り上げた」と批判する。
 同校長は「学校運営で党や政府の支援を受けることはない」と断言し、政党支持はあくまで社会主義の理想への支持で「信仰に近い」という。ユーゴ全体の経済低迷の原因を語る時、「北大西洋条約機構(NATO)軍の空爆、外部からのユーゴへの攻撃」を挙げ、現政権の責任については「社会主義からの移行期でだれが担当しても同じだった」と擁護する。
 しかし、同校の校長は今も政府が任命する。マルティノビッチ校長は実は強権政治に無縁ではあり得ない。ミロシェビッチ政権が期待する「誠実で穏やかな与党支持者」といえる。ユーゴでは従順な民族主義者や社会主義者が体制好みの反NATOの声の中にのみこまれている。【ベオグラードで福井聡】[2000-09-20-23:45] 5
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 09/20@<ユーゴスラビア>24日に連邦大統領・議会選 コソボが焦(毎日新聞)

 24日投票のユーゴスラビア連邦大統領・議会選挙に向け、同連邦コソボ自治州での投票の動向が大きな焦点となっている。コソボに残るセルビア人は10万人以下で、州人口の大半を占めるアルバニア系住民は選挙参加を拒否している。野党側は「与党側は80万票に上るアルバニア系住民の架空投票を計画している」と警告している。ミロシェビッチ大統領はセルビア内で固めた推定150万票にコソボでの大量票を上積みし、決選投票に持ち込むことなく第1回投票で当選を宣言する構えだ。【ベオグラード・福井聡】
◆投票直後に勝利宣言?
 「与党側は24日の投票終了直後、午後10時ごろにも『ミロシェビッチ氏の大統領当選』の勝利宣言を行うだろう」。野党15党で作るセルビア民主野党連合の選挙参謀、ジンジッチ民主党党首は19日、強い懸念を表明した。選挙管理委員会の公式発表は24時間以上あとになる見通しだ。しかも選管委員はすべて与党の息がかかっている。与党の勝利宣言が持つ意味は実際の投票結果とは別に、野党側にとって大きな圧力となりつつある。
 今回の投票は大統領選のほか連邦議会(上下両院)選、地方議会選も同時に行われる。野党連合によれば、24日は午後8時の投票終了から第1回の開票発表まで少なくとも4時間は必要で、「25日午前零時以前の結果発表はすべて裏付けのないものだ」という。にもかかわらず与党側が勝利宣言するのは、「与党が不正工作による勝利をすでに確信しているからだ」という。
◆100万票の怪
 最大の懸念となっているのがコソボだ。連邦選管がこのほど発表したセルビア全体の有権者登録総数は741万7197人で、このうちコソボ内の3選挙区の登録数を含むセルビア南部のプロクピエとフラニエ選挙区の登録数はそれぞれ83万9609人と67万3892人で、計150万人を超えている。
 ところが、4年前のセルビア共和国大統領選時に選管は両選挙区の登録数を計45万9776人と発表していた。4年の間に膨らんだこの100万人強の差をめぐって、コソボ自治州のアルバニア系住民を算入しているのではないかという疑惑が持ち上がっている。しかし、アルバニア系住民はコソボ独立を望み、ユーゴ連邦の選挙参加を拒否している。この不透明な登録数から、野党側は「与党はコソボで少なくとも架空の80万票を操作獲得しようとしている」としている。
◆不正の芽
 野党陣営の説明によれば、与党側は国営企業や政府系企業の職場で事前に印刷されたミロシェビッチ氏に○印を記入済みの投票用紙を配り、24日は投票所で受け取った未記入の投票用紙を持ち帰り、職場に提出させる方法で命じているという。
 また、選管はコソボからセルビア各地に流入した難民たちには「100人以上居住している地域に1カ所ずつ特別投票所を設置する」としているが、いまだにどこに設置されるか公表されておらず、野党側はこれも不正工作の温床と見ている。
◆モンテネグロ
 コソボと並んでモンテネグロでも不正工作が指摘されている。しかし、モンテネグロは総人口約65万人で有権者登録数も44万4130人にすぎず、しかも与党・民主社会党が反ミロシェビッチ政権の立場から投票ボイコットを決めており、投票総数は10万票前後の見通し。たとえ不正工作があってもコソボの100万票規模には遠く及ばない。
 また、ジュカノビッチ政権が連邦離脱の動きを見せている点を利用して、ユーゴ連邦軍が軍事介入する可能性も、米国が隣国クロアチアに第5艦隊を集結させたことで簡単には動けない情勢となっている。
 ミロシェビッチ政権としては、事前調査でコシュトゥニッツア氏優勢が強まれば強まるほど、コソボでの大量不正票を上積みしたうえで、第1回投票直後に一方的に勝利宣言し、そのまま野党側を弾圧して決選投票に持ち込まない見通しが強くなっている。[2000-09-20-22:46] 6
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 09/20@ミロシェビッチ大統領、モンテネグロ初訪問(読売新聞)

 【ベラネ(ユーゴスラビア)20日=西田和也】二十四日に迫ったユーゴスラビア連邦大統領選で再選を狙うミロシェビッチ大統領は二十日、セルビアとともに連邦を構成するモンテネグロを訪問し、選挙遊説を行った。同氏のモンテネグロ訪問は、九七年の連邦大統領就任以来初めて。
 反ミロシェビッチ路線を鮮明にし、連邦離脱に傾くモンテネグロのジュカノビッチ政権をけん制するとともに、連邦維持の姿勢を内外に誇示するのが狙いと見られる。ミロシェビッチ大統領は、過去の選挙戦に比べて地方遊説など公の場に姿を現す機会が増えており、野党連合の大統領候補、コシュトゥニツァ・セルビア民主党党首の高い支持率に危機感を募らせている、との見方もある。
 ミロシェビッチ大統領はこの日、セルビアとの境界に近いモンテネグロ北東部のベラネで、親ミロシェビッチ派の野党・社会人民党(SNP)の幹部や支持者ら一万五千人を前に、「西側の陰謀に抵抗するには、セルビア人とモンテネグロ人が共存、団結する必要がある」と述べ、選挙で賛意を示すよう呼び掛けた。
 モンテネグロでは、ジュカノビッチ政権与党が、連邦機構におけるモンテネグロの発言力を大幅に縮小する憲法改正に反発し、今回の連邦大統領・議会選のボイコットを決定している。[2000-09-20-22:44] 7
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 09/20@<ユーゴスラビア>連邦大統領がモンテネグロ共和国訪問(毎日新聞)

 【ベオグラード20日福井聡】ユーゴスラビア連邦(セルビア、モンテネグロ両共和国で構成)の連邦大統領選(24日投票)を前に、ミロシェビッチ連邦大統領は20日、モンテネグロ共和国を訪問した。大統領は同共和国北部のベラネに到着し、約1万5000人の支持者が出迎えた。
 大統領のモンテネグロ訪問は1997年の就任以降初めて。連邦からの独立色を強めるモンテネグロ共和国の親欧米派ジュカノビッチ政権への揺さぶりをかける狙いがあると見られる。ジュカノビッチ政権は選挙の投票ボイコットを表明している。[2000-09-20-22:15] 13
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 09/20@モンテネグロを初訪問 ミロシェビッチ大統領(共同通信)

 【ポドゴリツァ20日共同】ユーゴスラビア連邦のミロシェビッチ大統領は二十日、一九九七年の就任以来初めて、モンテネグロ共和国を訪れ、二十四日の連邦大統領・議会選に向けて支持を訴える見通しだ。
 連邦離脱志向を強める親欧米のモンテネグロ政府は、一連の選挙への参加を拒否。大統領は政府の意向に反して選挙に臨むモンテネグロ野党など親セルビア勢力を激励。
 しかし、大統領はコソボのアルバニア系住民を虐殺した「人道に対する罪」で旧ユーゴ国際戦犯法廷から起訴されているだけに、混乱も予想される。
 訪問地の同共和国北部のベラネは親セルビア勢力の地盤。(了)[2000-09-20-16:27] 14
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 09/20@強行すれば内戦と警告 国民投票でユーゴ首相(共同通信)

 【ポドゴリツァ20日共同】二十四日の連邦大統領・議会選を前に、ユーゴスラビアのモミル・ブラトビッチ連邦首相は十九日、共同通信と会見し、連邦からの離脱志向を強めるモンテネグロ共和国が一連の選挙を受け、独立を問う国民投票実施を強行すれば「血みどろの内戦に突入する可能性がある」と強く警告した。
 首相はまた、モンテネグロ政府が北大西洋条約機構(NATO)軍に介入を要請すれば「ユーゴ連邦の全軍が迎え撃つだろう」と強調。モンテネグロ情勢をめぐり、軍事演習など対ユーゴ圧力を強めるNATO諸国をけん制した。
 ジュカノビッチ共和国大統領率いる親欧米のモンテネグロ政府与党は、今回の選挙への参加を拒否。ミロシェビッチ連邦大統領の再選を視野に入れながら、国民投票の時機を慎重に探っており、首相の発言はこうした動きを封じ込める狙いがあるとみられる。
 ブラトビッチ首相は、モンテネグロの共和国憲法が同国を「ユーゴ連邦の中の国家」と規定していると指摘。国民投票の実施には、共和国議会の三分の二を超える賛成を得て、憲法を改正する必要があると述べた。
 しかし、政府与党が野党側の十分な支持のないまま投票に踏み切れば「連邦軍の介入ではなく、武装した市民同士の戦闘」に発展する恐れがあると語った。
 モンテネグロ政府高官によると、同共和国には約二万人のセルビア系民兵が存在、政府支持派の武装市民も少なくない。(了)[2000-09-20-16:15] 16
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 09/20@<最恵国待遇>対中恒久的法案可決 米議会、経済的実利選ぶ(毎日新聞)

 【ワシントン19日布施広】中国に対する恒久的最恵国待遇(MFN)付与法案が19日、米上院で可決されたことは、対中関与政策を掲げるクリントン米大統領にとって大きな政治的得点となった。大統領は法案可決を「正しい方向」と歓迎、経済的接触を通じて中国の変化を促す意向を表明した。法案可決は、米議会を中心とする対中脅威論の弱まりを示すもので、米中両国は「普通の関係」に向けて大きく前進した。
 中国を「戦略的パートナー」とするクリントン政権にとって、中国の世界貿易機関(WTO)加盟と恒久的MFNの付与は、大きな目標になっていた。これに対し、中国の脅威を強調する共和党は、中国が盗み続けたとする核・ミサイル技術をまとめた議会報告書を発表(昨年5月)、同月には北大西洋条約機構(NATO)軍機による在ユーゴスラビア中国大使館誤爆事件も起き、米中関係は危い局面が続いていた。
 しかし、中国の巨大市場へのアクセスなしに米国経済の好調を維持できないことは、共和党幹部も承知している。米下院は今年5月、上院に先立って同法案を可決し、脅威の存在は認めながらも実利を取る議会の方向性が定まった。共和党はクリントン政権の国防政策を批判しつつ、対中貿易を望む企業群の強い要望を汲む必要があったと言える。
 上院の法案可決について、クリントン大統領は「中国が米国製品に対して市場を開くことは、中国国民の潜在能力の解放につながる」と述べ、経済的接触の拡大を通じて、中国の人権や環境問題、労働基準などの改善を図る方針を示した。また、対中強硬派にも配慮して、米国の安全保障に留意することを約束、法案可決は「終わりではなく始まりだ」と結論付けた。
 中国脅威論はなお根強いものの、米議会の法案可決は、クリントン政権の対中関与政策を実質的に追認したもの。今月になってクリントン大統領は、中国が反対していた米本土ミサイル防衛(NMD)の配備決定を延期、さらに核スパイ疑惑との関連で起訴された中国系研究者が釈放されるなど、米中関係は緊張緩和の方向に向かっている。経済関係の正常化が両国の政治的関係を強めるのは確実で、太平洋を隔てた2大国は新たな時代を迎えた。[2000-09-20-14:45] 19
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 09/20@◎ユーゴの選挙に強い懸念=ミロシェビッチ大統領、居座る公(時事通信)

 【ブリュッセル19日時事】北大西洋条約機構(NATO)のロバートソン事務総長は19日、ブリュッセルで記者団に対し、24日のユーゴスラビア連邦大統領・議会選について、「ミロシェビッチ大統領は選挙結果に関係なく居座る公算が大きい」と述べ、同国での選挙の行方に強い懸念を抱いていることを明らかにした。
 その上で同事務総長は「ユーゴの将来は有権者が決定することになろう」と指摘、ユーゴの市民が今後予想されるミロシェビッチ政権によるさまざまな圧力を克服し、民主化に向けて進むことに期待を表明した。 [時事通信社][2000-09-20-10:43] 20
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 09/20@◎ユーゴ部隊のテロ計画阻止=コソボで爆発物発見−国連部隊(時事通信)

 【プリシュティナ(ユーゴスラビア)19日AFP=時事】ユーゴスラビア・コソボ自治州の管理に当たっている国連暫定統治機構(UNMIK)のクシュネル国連事務総長特別代表は19日、当地で記者会見し、平和履行部隊(KFOR)がユーゴ特殊部隊によるテロを未然に阻止したと発表した。
 KFOR当局者によると、KFORとして駐留する英軍などがプリシュティナ南東10キロにあるセルビア人地区のグラチャニツァで捜索を行った結果、爆発物や火器類が見つかり、3人の身柄を拘束したという。 [時事通信社][2000-09-20-06:06] 17
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 09/20@<世界人口白書>ジェンダーの不平等解消呼びかけ 国連人口(毎日新聞)

 国連人口基金は20日、「男女共生と見えない格差」と題する2000年世界人口白書を発表した。年間7500万人ずつ増加している世界人口を安定させるには、ジェンダー(社会的・文化的性別)に基づく差別の撤廃が急務だとして、世界各国にジェンダーの不平等を解消するよう呼びかけている。
 白書によると、今年7月1日現在の世界人口は60億6000万人で、人口増加の95%以上は開発途上国で起きている。途上国の女性たちが十分な教育を受けて自由に家族計画を立案し、自分が望む子供数だけ産むようになれば、出生率は現在より3分の1減ると予測している。
 しかし、これを妨げるものとして白書はジェンダーの不平等を挙げている。約8億8000万人の読み書きできない人々の3分の2は女性だ。女性が望まない妊娠は年間8000万件にのぼり、年間5000万件の人工中絶が行われ、うち約7万8000人が死亡している。
 アフリカではエイズに感染している女性は男性より200万人も多い。アフリカや西アジアでは、今でも女性器が切除され、毎年約200万人が新たな危険にさらされている。
 女性への暴力も後を絶たず、世界中で3人に1人の女性が夫や夫以外の家族の男性から殴られたり、性行為を強要されている。しかも女性の4人に1人は妊娠期間中に暴力を振るわれている。アジアやアフリカでは、年間5000人の女性が、暴行されたという「不名誉」を償うために、自分の家族に殺されている。
 毎年400万人の女性や女児が結婚、売春、奴隷的労働のために売買されている。
 白書はこうした性差別を解消するには、男性の理解と協力が不可欠として、家族計画や女性の能力向上に男性を巻き込むことが重要だと指摘している。 【渡部 武史】[2000-09-20-22:45] 24
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 09/20@◎北朝鮮向け特殊レーダーを押収=ステルス機捕そくも可能−(時事通信)

 【ベオグラード20日時事】オーストリア内務省は20日、通常のレーダーには映らない米軍保有のステルス機の捕そくが可能な特殊レーダーが朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌に密輸されようとしているのをウィーン空港で摘発し、これを押収したと発表した。内務省当局者が時事通信に電話で語ったところによると、このレーダー機器の部品は約20個の箱にこん包され、ベラルーシから送り出されていたという。
 同省によると、このレーダーの原型は1950年代に開発されたもので、その後改良が加えられていたという。レーダーがどの国で製造されたものか明らかにされていないが、冷戦時、当時のチェコスロバキアでステルス捕そくレーダーが開発されていたとされ、これがロシアなどで改良された可能性がある。 [時事通信社][2000-09-20-22:29] 29
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 09/20@<五輪・サッカー>次なる挑戦に向けサポーターから大きな拍(毎日新聞)

 【ブリスベーン20日成沢健一】奇跡を再び起こすことはできなかった。しかし、手応えはあった。それは決勝トーナメントにつながる戦いだった。ブリスベーン・クリケット場で20日行われたシドニー五輪サッカーのブラジル戦で、日本は最後まで攻め続けたが、あと一歩及ばなかった。しかし、同じ予選リーグの南アフリカがスロバキアに敗れたため、決勝トーナメント進出が決定。スタンドを埋めた日本人のサポーターからは、次なる挑戦に向け、大きな拍手とエールが送られた。
 3万7000人収容のスタジアムは、サンバのリズムと「ニッポン、ニッポン」のコールがぶつかり合い、試合前から異様な熱気だった。開始6分。ブラジルに鮮やかな先制ゴールを決められたが、日本の声援はさらに増した。
 スタジアムでは、東ティモールの全国選抜チームのメンバー16人も声援を送る。市民団体「ピースボート」の招きによるもので、主将のアレキサンドレ・ウォーングさん(21)は「国際試合はやはりテクニックが素晴らしいし、見ていて楽しい。日本にも1点を取ってほしい」と懸命に両手を上げて声援を送った。
 後半に入っても、中村俊輔選手の強力なフリーキックなどで再三ゴールを脅かすが、カナリア軍団の壁をこじ開けることができない。そのまま試合は終了。うなだれる日本選手たちに、サポーターたちもぼうぜんと立ち尽くした。その直後にスロバキアが南アフリカを破ったとのアナウンスがあり、スタジアムはどよめきから大歓声へと変わった。
 ブリスベーンのブリフィス大学に留学中の永瀬悟志さん(24)は「負けはしたけど、本当に素晴らしい試合だった。決勝トーナメントでは上位を狙ってほしい」と話す。一緒に来ていた友人で同大3年のアシュリー・フルックスさん(22)も「日本からこれだけの人が来て、選手一人ひとりの名前を呼びかけるのに、本当に感動した」と話していた。[2000-09-20-22:00] 45
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 09/20@3分の1が望まない妊娠 国連が世界人口白書(共同通信)

 国連人口基金(本部ニューヨーク)は二十日、すべての妊娠件数の三分の一は女性が望まない妊娠であり、ジェンダー(社会的、文化的性差)による差別の撤廃が人権、人口問題にとって緊急の優先課題だとする二○○○年度版人口白書「男女共生と見えない格差 変革の時」を発表した。
 白書によると、女性が望まない妊娠は毎年八千万件。安全でない中絶は二千万件に上り、その結果として七万八千人の女性が死亡していること、安全でない中絶の少なくとも四分の一が十五歳から十九歳であることなどを指摘。「女性が性行動やその結果に決定権を持てば、その多くを予防することができる」と強調している。
 また、女性に対する暴力が健康などに大きな影響を及ぼしているとして内容を分析。@少なくとも三人に一人の女性が殴られるか性行為を強要されるなどの虐待を受けており、加害者の多くは夫などの顔見知りA性選別による中絶、えい児殺し、遺棄によって、アジアを中心に少なくとも六千万人の女児が「消失」しているB五歳から十五歳までの女児二百万人が、毎年新たに性産業で働かされている―などと数字を挙げて女性への暴力の廃絶を訴え、各国政府に解決への取り組みを求めている。
 さらに、固定化された男らしさの定義は男性自身にストレスや人間関係における困難をもたらしていると訴えたほか、差別がもたらす社会的・経済的損失についても言及した。
 白書によると、二○○○年七月一日現在の世界人口は六十億六千万人で、年間七千五百万人ずつ増加。増加のうち九五%は開発途上国が占めている。(了)[2000-09-20-21:02] 53
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 09/20@<イラン>初来日のモハジェラニ・イスラム指導相が会見(毎日新聞)

 初来日したイランのアタオラ・モハジェラニ・イスラム指導相は20日、東京都内で毎日新聞と会見し、国交断絶中のエジプトを近く訪問する意向を初めて明らかにした。エジプト政府の正式招待に応じるもので、閣僚級の交流は1979年のエジプト・イスラエルの平和条約締結を機に断交して以来となる。イランのハタミ大統領就任で関係改善の兆しが見え始めた両国関係は、正常化に向け急ピッチで進展する可能性が出てきた。 【小倉 孝保】
 モハジェラニ・イスラム指導相は「両国とも交流の必要性を十分認識し、既にエジプト政府から招待を受けている。エジプト訪問に障害はなく、近く訪れるつもりだ」と述べた。
 また首脳会談について、指導相は「今月初めのニューヨークの国連ミレニアム総会にムバラク・エジプト大統領が出席すれば、首脳会談を行うはずだったが、ムバラク大統領の欠席で、実現しなかった。ハタミ大統領のエジプト訪問については、私の訪問後にハタミ大統領と相談する」と述べ、大統領のエジプト訪問の前向きに検討することをを示唆した。
 イランはイスラエルの生存権を認めず、一貫して中東和平に反対してきた。79年にエジプトがアラブ諸国として初めてイスラエルと平和条約を締結したのをきっかけにエジプトと断交。91年には相互に利益代表部を設置するまでに関係を修復したが、92年ごろから続発したイスラム原理主義過激派によるテロ事件で、エジプト政府が「イランの関与」を非難して再び冷却化していた。
 しかし、ハタミ大統領が97年に就任後は、欧州、ペルシャ湾岸諸国との関係改善とともに対エジプト関係正常化にも意欲を持っている。モハジェラニ氏訪問をきっかけに正常化が実現すれば、イランのパレスチナ和平反対の強硬姿勢が軟化、レバノン南部を拠点にするイスラム教徒シーア派組織「ヒズボラ」が対イスラエル軍事攻撃を抑制する可能性が出てくる。イラン・米国関係改善の側面支援にもつながり、中東の勢力バランスに微妙な影響を与えるのは間違いない。
 ▽アタオッラー・モハジェラニ氏 1954年生まれ。高校教師を経て、80年、国会議員選挙に当選。ラフサンジャニ政権で副大統領を務め、97年に誕生したハタミ政権でイスラム指導相就任。文化政策の推進役で言論・出版の規制緩和を積極的に進めている。[2000-09-20-20:40] 88
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 09/20@<西アフリカ>伝染性皮膚病広がる 深刻な後遺症 治療法不(毎日新聞)

 「ブルーリー潰瘍(かいよう)という伝染性の皮膚病が、西アフリカを中心に感染者を広げている。後遺症が深刻で、世界保健機関(WHO)が対策を取り始めたものの、治療法はもちろん、感染経路も分かっていない。ただ、このほど名古屋大学の医療チームがガーナに入り、今年中に現地で後遺症の治療を始めることになった。医療チームの調査に合わせてガーナに入った。 【アクラ(ガーナ)で長倉 正知】
 ベッドの上に起き上がったアサントワちゃん(7)は、カメラに向かってニッコリと笑顔を見せた。右手は手首から先がただれて異様にふくらみ、血がにじんだ指は、中指から小指までが一つに癒着していた。「痛みはありません。それが逆に悲惨な結果をもたらすのです」とガーナ人医師が説明する。
 ガーナ南部アシャンテ州アグロエスムにあるセント・マーティンズ病院には、周辺の農村から多くの患者が訪れる。足や腕の皮膚がはがれ、皮下組織がむき出しになっている。腹に潰瘍ができた4歳の女児は、腹筋がなくなったせいで内臓がぽっこり飛び出していた。右腕全体が壊死し、切断した青年もいる。100床の病院の入院患者の6割はブルーリー潰瘍だという。
 WHOのブルーリー潰瘍対策責任者、キングスレー・アシェード博士は、1998年まで3年間、この病院で治療に当たっていた。ここでブルーリー潰瘍に出会い、志願してWHOの責任者に就いたという。博士は「痛みが少ないので、ほとんどが手遅れだ」と顔を曇らせる。
 ブルーリー潰瘍は、ごく初期には、皮膚の表面に、直径2センチぐらいの固い「しこり」ができるだけだ。この段階なら患部を切除するだけで治ってしまう。ところが放っておくと2〜4週間で毒素が出て、骨に達するほど皮下組織を壊死させる。壊死した皮膚や皮下組織がはがれ落ち、新しい皮膚が再生される時、皮膚の「引きつり」で手、足、指などが変形、後遺症(身体障害)となるのだ。
 同州のアゴゴの長老派教会病院でエルビスちゃん(5)に会った。右腕のひじから先に潰瘍が広がり、二の腕の倍の太さに膨れていた。ドイツ人の女医、ガートナーさんによると、1年前エルビスちゃんを診断した時は、早期のしこりの段階だった。「妊娠中の母親が『まだいい』と連れ帰り、戻ってきたときには手遅れだった」と嘆く。母親は「治療費が工面できなかった」と言い訳した。
 ガーナの農村では子供は貴重な労働力だし、入院すれば、食事などの世話のため家族が病院近くで生活しなければならない。これはガーナだけでなくアフリカ諸国で共通の問題だ。
 キングスレー博士は、最近の患者数の急激な伸びが心配という。博士は「情報不足からくるWHOや先進諸国の事態軽視は否定できない」と話し、日本の協力に期待を表明した。
 8月末に、名古屋大から人工皮膚研究の畠賢一郎助教授と、形成外科の蛯沢克己医師がガーナ入りした。ブルーリー潰瘍対策にWHOを通じて30万ドルを支援する日本財団(曾野綾子会長)が、人工皮膚技術で知られる上田実・名大教授に支援を依頼したためだ。
 人工皮膚を潰瘍で失われた皮膚部分に張り、培養すれば、引きつりが解消し、手足を動かせるようになる。名大チームは、首都アクラの野口英世記念研究所やガーナ大学医学部などを視察し、移植や培養技術のガーナへの移転の可能性を検討している。畠助教授は「野口研究所の無菌室などの設備は大丈夫」と話し、蛯沢医師は「大きな傷は難しい手術で、何度も移植を繰り返さなければならないだろう」と見通しを語った。12月をメドに最初の手術をする予定という。
 ガーナ保健省も医療技術移転に大きな期待を持っている。ダンソ・ボアフォ保健相は、日本の技術の普及に意欲を示しながらも、「コストが大きなネック」と語り、日本などの協力を訴えていた。
【ブルーリー潰瘍】 19世紀末の東アフリカを皮切りにコンゴなどでも記録がある。1940年代、ウガンダ・ブルーリーで大量発生し、病名となった。50年代に病原菌が突き止められたが、感染経路はナゾのままだ。菌自体は殺せるが、菌の出す毒素を消す方法はなく、有効な治療法はない。西・中央アフリカ、中南米、東南アジア、オーストラリアなどを中心に24カ国で患者が報告されている。ガーナで6000人、隣国コートジボワールで1万5000人と言われるが、現地の米人研究者によると、調査からもれた患者が5、6倍はいるという。[2000-09-20-18:25] 113
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 09/20@<翔んで…アフリカ>性格譲り、明快な支援(毎日新聞)

 「黒柳さん、ADHDだったんじゃないですか」。こうたずねると黒柳徹子さんは「やっぱり、わかる?」とうれしそうにした。
 ADHDは「注意欠陥多動性症候群」などと訳される学習障害の一つ。「気が散りやすい」とか「社会性」や「協調性」を問題視されがちな児童の中でも極端な子に当てはまることが多い。一昔前まで家庭のしつけ、やる気の問題と片づけられてきたが、1960年代から専門家が一つの症候群として指摘し始めた。
 喜怒哀楽などをつかさどる脳内の神経伝達物質の動きや量が少し違うのが原因とみられ、大人になっても続く。英米で研究が進み、一説では20人に1人がADHDという。黒柳さんは医師に診断されたのではないが、普通の小学校を退学させられた幼児期を描いた「窓ぎわのトットちゃん」は専門家にもADHDの典型例と言われている。
 黒柳さんは反応の起伏が激しい。政治家らとの儀礼では本当につまらなそうにするが、面白い物や人を見つけると、さっと表情が変わり「見て見て」と周りを巻き込み大騒ぎをする。
 リベリア中部の大学を訪ねた時も黒柳さんは最初、露骨につまらない顔をしていた。ところが、理科系1本やりのまじめそうな教員が内戦で粉々にされた成分分析器を見せた途端、頭の中で何かがはじけた。
 「それって、キュリー夫人が使ってた、ええと、ピアゾ、ピアゾ何とか計でしょ。そうよ。みんなあ、ちょっと来てー」。芝居で演じたのが蘇るのか、早口英語でまくしたてる。「キュリー夫人だって、このピアゾ何とか計がなければノーベル賞だって2回も取れなかったでしょうに。夫のピエールだってねえ・・」。聞き役の教員は圧倒されうなずくのが精一杯だ。
 そんな好き嫌いのはっきりした性格を反映してか、ユニセフ親善大使の募金の使途も明快だ。半額はニューヨークのユニセフ本部に行くが、残りは取材で出合った人々や施設に直接贈られる。国や機関にまとめて贈りはしない。当然に思えるが、こうした手法は以外に少ない。【モンロビアで藤原章生】[2000-09-20-14:25] 150
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 09/20@日中交えPKO共同演習を 米国防長官が新構想(共同通信)

 【ソウル20日共同=杉田弘毅】アジア歴訪中のコーエン米国防長官は十九日、国防長官専用機内で共同通信などとのインタビューに応じ、インドネシア情勢など危機が潜在するアジア太平洋地域の安定のため、日本、中国も参加する国連平和維持活動(PKO)などの多国間共同演習を実施する構想を明らかにした。
 米主導のアジア安全保障構想は“中国封じ込め”ともみられるが、長官は「中国には参加してほしい」と述べ、米中二国間軍事協議の場で、長官自身が既に中国政府要人と多国間演習参加について話し合いを始めたことも言明した。
 長官は中国の参加について「直ちにではないが、将来期待できる」との見通しを指摘。同構想は北大西洋条約機構(NATO)型の強い基盤の安保機構がないアジアで、信頼醸成や地域安定のための新たな枠組みづくりとして注目される。
 多国間演習はPKOや人道支援が目的。五月の米タイ演習「コブラゴールド」にシンガポールとインドネシアがオブザーバー参加し成功したことから、米国は拡大を目指している。
 長官は「アジアのすべての国にとって、盛んな多国間活動は共通の利益となる」と構想の意義を強調。「東ティモールへのPKO派遣」を例に挙げ、流動化がさらに予想されるインドネシア情勢への対応が狙いであることを示唆した。
 この構想がNATO型の安保機構に発展する見通しについては「非常に遠い将来」と述べ、「透明性、公開性を維持し、各国の不安を取り除く」慎重なアプローチが必要だとした。
 長官はまた、クリントン大統領による米本土ミサイル防衛(NMD)の配備決定延期は、戦域ミサイル防衛(TMD)をめぐる日米共同技術研究に「まったく影響がない」と語った。(了)[2000-09-20-11:21] 170
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 09/20@国連が職員の安全基準見直し 相次ぐ殺害事件で(共同通信)

 【ニューヨーク19日共同】アナン国連事務総長は十九日、インドネシア・西ティモールやギニア共和国で国連人道援助関係者が相次いで殺害された事件を機に、職員の安全基準をより細かく定めた指針を策定する考えを明らかにした。
 事務総長は現行の指針を見直し「どこに展開し、どこに展開しないのか。いつ撤退させ、あるいはとどまらせるのか」などを規定する考えを表明。危険地域で活動する人道職員の安全確保のため、今後数週間以内に国連総会に勧告すると述べた。
 また事務総長は、国連職員が活動する地域の法秩序維持については当事国の政府が責任を負っていることを強調した。(了)[2000-09-20-07:48] 172
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 09/20@弱者に配慮し経済統合を UNCTADが年次報告(共同通信)

 【ジュネーブ19日共同】国連貿易開発会議(UNCTAD)は十九日、二○○○年版年次報告を発表した。アジア経済は金融危機から回復しつつあるものの、所得格差の拡大などが深刻化したと警告、社会的弱者に配慮した経済統合が必要だとしている。
 また、金融危機に対処するための「伝統的な政策」は地域の信頼回復や安定をもたらさなかったとして、財政引き締めや通貨安定を最優先させた国際通貨基金(IMF)の政策を批判。逆に資本規制に踏み切ったマレーシアの対策が効果を上げたと指摘した。
 日本経済については、回復の兆しを見せているものの、財政出動を繰り返したことにより財政赤字が国内総生産(GDP)の一○%に達するなどの懸念が存在すると述べた。
 高騰する原油価格に対しては、砂糖など非石油商品の価格上昇にもつながりかねないとして、途上国経済に悪影響を及ぼしかねないと分析している。
 報告はアジア経済の回復に関し@金融システムの改善や企業のリストラは一部でしか実施されていないA回復の原動力になっている輸出は、現在のペースを持続できるかどうか疑わしいB米国を中心とする世界経済の好環境に支えられているところが大きい―として、内需主体の回復を目指した政策が必要だと強調した。(了)[2000-09-20-07:33] 174
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 09/20@◇世界の成長率は3%超 2000年版貿易開発報告◇(朝日新聞)

 国連貿易開発会議(UNCTAD)は19日、「2000年版貿易開発報告」を発表した。それによると、2000年の成長率は世界全体で3%を超える見込みだが、グローバル化の進展によって世界経済は成長率の不均衡と不安定さを増しており、2001年以降も好調を維持できるか、不透明だ、としている。日本は、公共事業による内需と個人消費の回復によって立ち直りつつあり、今年は2%を超える成長率を予想している。
 報告は、世界の経済成長は米国がけん引役になっているが、米国への資本流入と強いドルが同時に、不均衡と不安定要因をもたらしている、と分析。日本経済の立ち直りも、欧州同様世界を引っ張る力にはなっておらず、金融引き締めや円高にはもろい、と指摘している。日本が金利ゼロ政策を放棄しても、為替相場の変動や貿易不均衡の是正にはあまり効果がなく、むしろ負債を抱えた発展途上国に負担を強いる結果につながりかねない、とみている。[2000-09-20-07:16] 181
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 09/20@首相、北朝鮮を国家承認の意向(読売新聞)

 森首相は十九日、日本と北朝鮮による日朝国交正常化交渉が決着する見通しが立った段階で、北朝鮮を国際法上の主体として認め、国家承認する意向を固めた。複数の政府筋が明らかにした。
 北朝鮮は八月の国交正常化に向けた非公式折衝の中で、日本に国家承認するよう要請したほか、韓国もこれを支持しており、十月に予定される第十一回国交正常化交渉の進展次第では、早ければ年内に国家承認する可能性もある。
 国家承認の要件は、一般的には〈1〉領土、住民、実効的な政治権力が確立している〈2〉国際法を順守する意思と能力がある――の二点。日本政府としては、北朝鮮がこの要件を満たしているものの、今回、国家承認するにあたっては、国交正常化交渉の過程で〈1〉植民地時代の謝罪と補償という「過去の清算」を強く求める北朝鮮が日本が前回提示した経済協力方式で解決を図る「日韓方式」での決着を受け入れる〈2〉北朝鮮が日本人拉致(らち)問題に誠実に対処する――を判断基準とする方針だ。
 政府内では、これまで日朝国交正常化と同時に北朝鮮を国家承認する考え方が支配的だったが、首相は、〈1〉正常化のめどが立った段階で国家承認〈2〉その後、国交正常化を実現する――という「二段階方式」を取る考えだ。首相としては、日本が経済支援するとのメッセージを北朝鮮に明確に伝えられる一方、北朝鮮にとって交渉が後戻りしない担保になると見ている。
 これに関連し、森首相は十九日のNHKの報道番組の録画撮りで、「ある時期が来れば、政治的に大きな判断をし、私でなくても、政治レベルで問題点をどう解決するか、話すべきかも知れない」と述べた。
 首相の判断の背景には、イタリアが今年一月、外交関係を樹立したほか、カナダも国家承認するなど朝鮮半島をめぐる情勢が劇的に動いている事情がある。
 政府は九一年、北朝鮮が国連に加盟する際、国家承認すべきかどうか検討したが、当時は時期尚早とする国内世論が強いだけでなく、韓国も日本に慎重な対応を求めた経緯がある。
          ◇
 ◆北へ政治的メッセージ 日朝交渉の促進狙う◆ [解説]森首相が十九日、日朝国交正常化に見通しが立った段階で北朝鮮を国家承認する意向を固めたことは、国交正常化交渉を一段と促進させたいという政治的メッセージの意味合いが強い。
 外務省が毎年まとめる外交青書では、朝鮮半島情勢の項で韓国と北朝鮮を同列の扱いで記載している。北朝鮮との国交正常化交渉のために専任の担当大使も配置しており、日本政府としては北朝鮮を事実上の国家として扱っているとも言える。北朝鮮の国連加盟を九一年に容認したことで、「政府としては北朝鮮を黙示的に国家承認している」(外務省幹部)との見方もある。
 今回の首相の意向は、国際法上、明示的に国家承認を宣言することで、北朝鮮との関係正常化の環境整備を図る狙いを込めたものと言える。韓国は南北統一を目指す立場から、北朝鮮を国家承認していないが、「韓国は日本が北朝鮮を国家承認することは歓迎している」(日韓関係筋)とされる。
 伊豆見元・静岡県立大教授は「日本が北朝鮮を国家承認すれば、国交正常化交渉に取り組む意思を明確に伝えることができ、北朝鮮には日本からの経済支援を受けられる保証となる」と語っている。(早乙女 大)[2000-09-20-03:03] 183
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 09/20@イスラエル、最終地位交渉の実務協議を中断(読売新聞)

 【エルサレム19日=当間敏雄】イスラエルのバラク首相は十九日、パレスチナ自治政府側の交渉姿勢が後退しているとして「パレスチナ最終地位交渉」の実務協議の一時中断を決定、パレスチナ側に通告した。パレスチナ自治政府のエレカト交渉代表は「(交渉停滞の)責任を我々に負わそうとする試みで、(和平への)すべてのドアを閉ざそうとしている」と強く反発しており、混迷する和平プロセスは一層、予測不能な状況に陥った。
 パレスチナ問題の包括的解決を目指す「最終地位交渉」は、パレスチナ側の独立宣言の延期を受け、十七日夜に実務交渉が再開したばかりだったが、十九日と二十日に予定されていた実務協議が、一方的にキャンセルされ、実質的な協議に入れないまま再び対立の構図に逆戻りした。
 イスラエル放送は、自治政府のアラファト議長が依然として柔軟な姿勢を見せていない上、パレスチナ側の交渉担当者が強硬姿勢を示す発言をしたことが理由としている。イスラエル首相府筋は「パレスチナ側の態度は軟化するどころかむしろ硬化している。もう時間切れだ」と批判している。
 交渉は、聖都エルサレムの帰属問題、とくに旧市街聖地の主権を巡る対立が深刻化する中、米側が名目的な「主権」を国連安保理に帰属させる仲介案を示した模様だが、パレスチナ側が拒絶。ヨルダン川西岸のユダヤ人入植地など他の核心問題でも七月のキャンプデービッド三首脳会談で示された了解内容から後退する発言がパレスチナ側から相次いでいた。バラク首相は、パレスチナ側のこうした姿勢に不信感を募らせ、パレスチナ側に圧力を加えるため交渉中断という強硬策に出たと見られる。[2000-09-20-00:50]
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 09/21@<ユーゴスラビア>ミロシェビッチ連邦大統領が支持者集会に(毎日新聞)

 【ベオグラード20日福井聡】ユーゴスラビア連邦(セルビア、モンテネグロ両共和国で構成)のミロシェビッチ連邦大統領は20日、モンテネグロ北東部べラネで開かれた支持者集会に出席した。同大統領がセルビアの外に出たのは昨年の北大西洋条約機構(NATO)軍の空爆以来初めて。
 24日投票の選挙で社会党候補として再選を目指す大統領は数千人の群集を前に演説し、「NATOや外国の攻撃から身をもって守ってきたのは社会党だ」と強調した。モンテネグロで反ミロシェビッチ派のジュカノビッチ政権は選挙棄権を表明しているが、この日の集会は平穏に終わった。[2000-09-21-00:38]


 (注)この「最近のボスニア」コーナーは、一般に報道されている記事に、千田が一部手直しして掲載しているものです。出所は明示しており、各社・各記者の著作権を侵害するつもりはありませんが、著作権上問題があるとお考えの方や、自分(自社)の記事は載せないでほしいという方がいらっしゃれば、このホームページの感想もふくめて、千田あてに連絡してください。
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