最近のボスニア(旧ユーゴスラビア)情報

(08/31, 2000)


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 08/19@米犠牲は最大1億5000万人 核戦争1日で停戦想定 (共同通信)
 08/19@<露原潜事故>NATOの支援をロシアが断る ブリュッセル(毎日新聞)
 08/20@◇ユニセフ親善大使の黒柳徹子さんがリベリア入り◇(朝日新聞)
 08/20@事務総長の権限拡大を 緊急部隊創設勧告 国連PKO見直し(共同通信)
 08/21@<欧州安保>東京外大の渡邊啓貴教授の寄稿 「コソボ後1年(毎日新聞)
 08/21@<中国海軍>艦艇訪問が活発化 新鋭ミサイル駆逐艦が米国へ(毎日新聞)
 08/22@<ユーゴ大統領選>ミロシェビッチ氏が劣勢に(毎日新聞)
 08/22@大統領選控えユーゴ緊迫 政権は反対派離間に活路(共同通信)
 08/22@途上国向け輸出2・6倍に 中国は兵器大国と米報告書(共同通信)
 08/22@<ニュース展望>パレスチナ和平 成否は予断許さず(毎日新聞)
 08/23@コソボで160人の集団虐殺遺体見つかる (読売新聞)
 08/23@セルビア人の集団虐殺体か コソボで160遺体発見(共同通信)
 08/24@<ドナウ川完泳>計3004キロをスロベニア男性 ギネスに(毎日新聞)
 08/24@大統領を軍最高司令官に ユーゴ、権限強化の新指針(共同通信)
 08/24@<沈む大国>露原潜事故 冷戦意識ぬぐえず(毎日新聞)
 08/24@◇「血を流して平和のために貢献も」軍縮シンポで明石氏◇(朝日新聞)
 08/24@<アフリカ内戦>反政府勢力の資金源は闇ダイヤ?(毎日新聞)
 08/24@<特集ワイド>学問と知 浅田彰・京大経済研究所助教授=1(毎日新聞)
 08/24@<特集ワイド>学問と知 浅田彰・京大経済研究所助教授=2(毎日新聞)
 08/24@◇ダイヤ密輸疑惑を否定 リベリア大統領◇(朝日新聞)
 08/24@<ユニセフ大使>黒柳徹子さんに援助再開を訴え リベリア大(毎日新聞)
 08/24@プロテスタントが武力抗争 北アで2年ぶり厳戒(共同通信)
 08/24@予備費約5000万円を使用 UNDOF期間延長で(共同通信)
 08/24@<特集・防衛問題>軍事評論家・江畑謙介さんに聞く(1)(毎日新聞)
 08/24@<特集・防衛問題>軍事評論家・江畑謙介さんに聞く(2)止(毎日新聞)
 08/24@◇ピースポートの市民訪朝団の第1陣が平壌入り◇(朝日新聞)
 08/24@PKO装備強化、国連総長が報告書(読売新聞)
 08/25@◇米、ナイジェリアに軍事訓練 大統領のアフリカ訪問機に◇(朝日新聞)
 08/25@<この人と>国連人口基金大使のワリス・ディリーさん(1)(毎日新聞)
 08/25@<この人と>国連人口基金大使のワリス・ディリーさん(2)(毎日新聞)
 08/26@民主化を問うユーゴ総選挙まで1か月(読売新聞)
 08/26@◎アフリカは無視されている=コソボと比較し先進国に苦言−(時事通信)
 08/26@<ミャンマー>スーチーさん車内ろう城3日目に 長期化の可(毎日新聞)
 08/26@シエラレオネに2万人を PKOで国連事務総長勧告(共同通信)
 08/26@◎ストイコビッチ、集大成飾った35歳の妖精=Jリーグオー(時事通信)
 08/27@南東欧で山火事続く、ギリシャでは7人死亡(読売新聞)
 08/27@東ティモール独立派最高指導者、辞任表明後すぐ撤回(読売新聞)
 08/27@国連PKO司令官「東ティモール併合派の管理困難」(読売新聞)
 08/28@中国がモンテネグロに総領事館開設へ(読売新聞)
 08/28@◇中国がモンテネグロに領事館設置へ◇(朝日新聞)
 08/28@<ユーゴ>失脚したスタンボリッチ氏が不審な経緯で行方不明(毎日新聞)
 08/28@デンマークでユーロ参加問う国民投票へ、世論は二分(読売新聞)
 08/28@◎昭和天皇、軍事路線を積極支持=米歴史家が新著で主張−米(時事通信)
 08/28@国家主権超え介入を アナン総長が決意と米誌(共同通信)
 08/28@◎外国人ヘッドコーチら承認=全日本スキー連盟(時事通信)
 08/29@◎野党連合の統一候補がリード=ユーゴ大統領選、投票日まで(時事通信)
 08/29@自由貿易協定に調印 ロシアとユーゴ(共同通信)
 08/29@冷戦後の情報戦で勝利を CIAが分析官養成校(共同通信)
 08/29@比の人質解放仲介成功でリビアが国際社会復帰作戦(読売新聞)
 08/29@米大統領、エジプト大統領と会談(読売新聞)
 08/29@人的貢献で強まる対日要請 国連PKO増大が背景(共同通信)
 08/29@東エルサレムは首都と確認 OIC委員会が閉幕(共同通信)
 08/29@陸自のPKO派遣要請 国連、エチオピアなどへ 政府検討開(共同通信)
 08/29@◇ブルンジ和平に調印 全団体の合意は得られず◇(朝日新聞)
 08/29@<ブルンジ>和平会議 強硬派を抱き込めず、停戦は先延ばし(毎日新聞)
 08/30@<ピースボート>北朝鮮訪問同行ルポ 笑顔戻った市民(毎日新聞)
 08/30@米大統領ら14人起訴 ユーゴ検察(共同通信)
 08/30@ユーゴ首相が米ビザ申請 国連サミット出席で(共同通信)
 08/30@子供への暴行を批判 コソボで独外相(共同通信)
 08/30@◎米大統領ら14人を戦犯で起訴=民間人大量殺害で欠席裁判(時事通信)
 08/30@◇政府、密約を否定 日米安保の秘密合意認めず◇(朝日新聞)
 08/30@<外務省>2001年度概算要求 ODAが1・9%増に(毎日新聞)
 08/30@米軍駐留「望ましい」と金総書記…米紙報道(読売新聞)
 08/30@「連帯」が発足20周年行事 生誕地グダニスクで開幕(共同通信)
 08/30@◎ユーゴ、シドニー五輪に111選手を派遣〔五輪〕(時事通信)
 08/31@◎ユーゴ大統領の再選、認知せず=「不正選挙の恐れ」とOS(時事通信)
 08/31@モンテネグロ情勢を警戒 ユーゴ選挙控えNATO(共同通信)
 08/31@◇世界議長会議冒頭で米非難の声明 波乱の幕開け◇(朝日新聞)
 08/31@米軍に訴追相次ぐ懸念 特別扱いは見込み少なく(共同通信)
 08/31@ジョルジェビッチ氏死去 ユーゴスラビア国営タンユグ通信社(共同通信)
 08/31@国連サミット、安保理拡大問題の進展は微妙(読売新聞)
 08/31@◇イスラエル首相、9月中の妥協迫る パレスチナ和平◇(朝日新聞)
 08/31@米のPKO参加を禁止 国際刑事裁に反発し法案(共同通信)

 (注)この「最近のボスニア」コーナーは、一般に報道されている記事に、千田が一部手直しして掲載しているものです。出所は明示しており、各社・各記者の著作権を侵害するつもりはありませんが、著作権上問題があるとお考えの方や、自分(自社)の記事は載せないでほしいという方がいらっしゃれば、このホームページの感想もふくめて、千田あてに連絡してください。
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 08/19@米犠牲は最大1億5000万人 核戦争1日で停戦想定 (共同通信)

 【ワシントン19日共同=石山永一郎】東西冷戦下の一九六三年十一月、米国家安全保障会議(NSC)がソ連との核戦争のシナリオともいえる最高機密文書「ソ連との戦争における管理と終結」(七十九ページ)を作成、核戦争は開始後一日で停戦が実現するが、米国の犠牲者は最大で一億五千万人に上ると予測していたことが十九日までに分かった。
 米民間シンクタンク「国家安全保障公文書館」のウィリアム・バー研究員ら東西冷戦研究チームが米国立公文書館から機密指定を解除された同文書を入手した。
 NSC小委員会レベルの「戦争シミュレーション」ではあるが、米国が核を先制使用する状況を開戦から停戦まで詳細に描いており、現在に至る米核戦略の「源流」を生々しく伝える内容だ。
 文書は当時のレオン・ジョンソン空軍大将ら国防総省、中央情報局(CIA)などのスタッフ十八人が作成。@ソ連の不意打ち核攻撃A不意打ちを事前に察した米国の核先制使用―などの設定ごとに核ミサイル発射時間を含む戦争の詳細を十五分刻みで予測。@の場合の米犠牲者は「三千万―一億五千万人、産業の破壊は三―七割」とし、Aの核先制使用の方が損害は小さいと指摘している。
 核戦争では「米国が受け入れられる形で停戦に持ち込む」ことが最大の課題とし、@Aのケースとも一日で停戦が実現するシナリオを描いている。米国による核戦争後の世界管理、ソ連解体にも言及している。
 また、地域紛争拡大のシナリオの中では、沖縄の米軍基地に対する中国の攻撃を防ぐため、中国に対しての戦略核使用を示唆する記述もある。(了)[2000-08-19-17:07] 43
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 08/19@<露原潜事故>NATOの支援をロシアが断る ブリュッセル(毎日新聞)

 【ブリュッセル18日森忠彦】ロシア海軍代表団と北大西洋条約機構(NATO)当局者は17、18の両日、NATO本部で「クルスク」救出の緊急協議を行ったが、ロシア側はNATOからの支援受け入れを辞退した。
 協議にはロシア側からプロボイ海軍副参謀長ら、NATO側からは海軍幹部らが出席。NATO側から具体的な救出方法などが提示された。ロシアがすでに支援を要請している英国、ノルウェーとは別に、イタリアやフランスなどが救出や救助後の医療支援を申し出たが、ロシア側は「2国間の支援で当面は十分」(NATO筋)と返答、NATOとしての支援は断ったという。[2000-08-19-11:09]
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 08/20@◇ユニセフ親善大使の黒柳徹子さんがリベリア入り◇(朝日新聞)

 ユニセフの親善大使を務める黒柳徹子さんが18日、西アフリカ・リベリアの首都モンロビアに到着した。黒柳さんは24日まで、兵士として戦闘に加わった少年たちの立ち直りを支援する施設などを訪問する。親善大使としての海外訪問は17回目になる。
 リベリアは1990年から97年まで続いた内戦で社会基盤が破壊されて、その後も北部で戦闘が続いている。隣国シエラレオネの内戦ではダイヤモンドの密輸によって反政府武装勢力に武器を供給している、との疑いを国際社会から指摘されている。リベリアは根拠のない疑いだと、強く反発している。[2000-08-20-18:53] 196
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 08/20@事務総長の権限拡大を 緊急部隊創設勧告 国連PKO見直し(共同通信)

 【ニューヨーク20日共同=伊藤英一】アナン国連事務総長の諮問機関、国連平和維持活動(PKO)見直しに関する委員会がまとめた報告書の全容が二十日、明らかになった。報告書はPKO派遣から展開に至る事務総長の権限を拡大、活動迅速化のため各国が兵士や文民警察官を事前に登録する緊急展開部隊の創設など、PKO機能強化に向けた施策を勧告している。
 報告書は、九月六日から開かれる国連ミレニアムサミットに提出され、二十一世紀のPKOをめぐる議論のたたき台となる。
 今年三月に設置された同委員会は、国連PKO局に長く勤務した津田塾大学の志村尚子学長ら各国の軍事、外交、人道援助などの専門家十人で構成される。
 報告書は、締結された和平協定を一方の当事者が明らかに違反した際、国連が全当事者を公平に扱い続ければ最悪の場合「悪魔と手を結ぶことになる」として、一九九四年のルワンダ大虐殺を念頭に九○年代のPKOを厳しく糾弾し、現実的対応が不可欠だと強調。
 その上で、安全保障理事会によるPKO派遣の決議採択後に事務総長が最終的に部隊構成を詰める現行方式を改め、事務総長が必要な要員を確保してから安保理は派遣決議を採択するべきだと提言している。
 大虐殺については、スウェーデンのカールソン前首相らが国連の責任を調査し昨年十二月、「国連はルワンダの人々を見捨てた」と批判、「大虐殺の前に中立などありえない」としてPKO強化を訴えていた。
 報告書は、平和の維持とPKOの信頼性確保には「停戦または和平協定締結から六―十二週間が決定的に重要だ」として、決議採択後三十日以内のPKO展開を要請。緊急展開部隊創設のための事前登録システムを設け、多国籍部隊や文民警察官のプールを勧告している。戦闘力の強化には踏み込んでいない。
 またPKO予算の管理を行政監理局からPKO局に全面移管。事務総長に決議採択前に五千万ドルまでの支出権限を与え、情勢分析や軍事活動、人道援助など広範なPKO運営を一元化する統合プロジェクトチームの創設も求めている。(了)[2000-08-20-15:30]
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 08/21@<欧州安保>東京外大の渡邊啓貴教授の寄稿 「コソボ後1年(毎日新聞)

 昨年、ユーゴスラビア連邦セルビア共和国のコソボ自治州をめぐる民族紛争は、ユーゴのミロシェビッチ政権に対する大西洋条約機構(NATO)軍の空爆(99年3〜6月)に発展。これはその後の欧州安保の動向に大きなインパクトを与えている。いまこの分野で何が起きているのか、欧州の安全保障問題に詳しい東京外語大教授の渡邊啓貴氏(46)に寄稿してもらった。
 昨年の北大西洋条約機構(NATO)のセルビア空爆を契機にして、欧州共通安全保障防衛政策は急速な展開を見せている。コソボ情勢をめぐる展開がヨーロッパに投げかけた波紋はそれだけ大きかった。
 欧州が自らの危機管理・紛争解決能力を高めること、さらにその実現は世界的視野からの米国との協力を通した役割・機能の分担の一環であることが二つのポイントである。そして、これは欧州、アジアを問わずグローバルな傾向である。
 欧州連合(EU)独自の共通安全保障防衛政策は今年末、議長国フランスのニースで行われる欧州理事会で全般的な諸決定が出される予定である。
 6月のポルトガル・フェイラの欧州理事会では、加盟国の貢献や目的達成メカニズムを議論する軍事力介入委員会の年内の開催、また安全保障問題、NATOの設備・指揮系統のEUによる利用などを課題とする4つのアド・ホックな合同作業部会の設営、さらに文民レベルの危機管理に関しても紛争予防と危機管理のための文民警察部隊を創設することで合意した。
 停滞していたEUの欧州共通外交安全保障政策(CFSP)は、軍事防衛分野を中心とする欧州共通安全保障防衛政策(CESDP)へと論点を移行させている。もともとCFSPは冷戦の終結後の旧ソ連圏・東欧諸国の民主化・市場経済化を実現するための条件として、欧州全体の政治環境の安定が焦眉の急となり、92年のEU条約の3本柱の一つとなった。
 しかし、それがより実質的な意味を持つには、軍事力を伴う共通防衛政策の実施が不可欠だ。度重なる旧ユーゴ情勢をめぐって、欧州諸国が紛争解決能力を持ち合わせないことは明らかだった。
 突破口となったのは、NATO中心主義の立場から欧州の主体的防衛に消極的だった英国が、一昨年12月の英仏首脳会議で方向転換したことだった。昨年6月ケルンでの欧州理事会の合意を受けて12月のヘルシンキ欧州理事会は、画期的な決定を行った。
 EUはNATOが関与しない地域紛争に対応するため、EU主導の軍事行動をとること、EU加盟諸国は60日以内に展開可能で、少なくとも1年間の軍事行動が継続可能な5〜6万人規模の部隊を2003年までに創設すること、加盟国はEU大使級で構成される政治・安全保障委員会、参謀幕僚級の構成員による暫定軍事委員会、軍事専門家委員会という三つの委員会を発足させることであった。三つの委員会はこの3月に発足した。
 しかし、こうした欧州防衛の主体性の試み、すなわち欧州安全防衛アイデンティティー(ESDI)の志向を、欧州の米国離れや米欧対立と単純に論じるのは早計であろう。
 確かに、冷戦終結後の一時期、両者の不信が極度に高まった時期があった。しかし、冷戦後の「パックス・アメリカーナ」の時代において、軍事同盟=NATOそのものの意味も変質してしまった。米欧の角逐はいずれにとっても何の利益ももたらさない。
 米国が選択的介入戦略に転じ、NATOがワルシャワ条約機構に対抗するための集団防衛機構としての意味を失い、地域紛争処理のための集団安全保障体制的な意味を強めたのは明らかである。
 誰がイニシアチブをとるのかという問題は常に付きまとうが、地域紛争への緊急対応を、適材適所の判断から迅速かつ効率的に組織することに安全保障の論点は絞られているからである。機能的・効率的な安全保障共同体の形成の方が実はある。
 その意味では、逆に一定規模での欧州自主防衛は米国にとって望ましい。94年1月のブリュッセルのNAATO首脳会議で、欧州諸国がNATOのアセットや指揮系統を使用できるようになったことは、欧州の主体性の現れともみえるが、実質的にはむしろNATOの安全保障機能強化で合意したと捉えることもできる。ソラナNATO前事務総長がCFSP上級代表とともに昨年10月、西欧同盟(WEU)事務局長に就任したことはその軟着陸のための布石である。
 今年2月には、WEUがNATOの資源を使用するWEU主導型の初めての危機管理合同演習が実施された。WEUは今年末にEUに統合される。欧州共通安全保障防衛政策は世紀末の転換点を迎えて着実に前進している。[2000-08-21-18:29] 152
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 08/21@<中国海軍>艦艇訪問が活発化 新鋭ミサイル駆逐艦が米国へ(毎日新聞)

 【北京21日浦松丈二】中国海軍の新鋭ミサイル駆逐艦など2隻が20日、米国に向けて青島港を出航した。今月中旬には艦船が初めて南アフリカを親善訪問し、太平洋からインド洋を横断する遠洋航海を達成しており、艦艇訪問の活発化は「中国脅威論」を払拭しつつ、沿岸型から外洋型へと脱皮を進める中国海軍の戦略を浮き彫りにしている。
 青島から米国へ向かった北海艦隊駆逐艦は来月5〜8日にハワイ、15〜18日にシアトルを、その後カナダも親善訪問する。新華社電によると、太平洋往復2万5000キロを53日かけて航海する予定で、中国艦船の米国訪問は昨年5月の在ベオグラード中国大使館誤爆事件後初めて。
 米国訪問に先だって今月2日には在日米軍横須賀基地の米海軍イージス巡洋艦チャンセラーズビルが青島に寄港しており、相互訪問が再開されていた。米中軍事交流再開を象徴するイベントとして合意されたものだ。
 これに先立ち、中国海軍は今月10日、南アフリカ・ケープタウンに南海艦隊の最新鋭駆逐艦隊を親善訪問させた。人民解放軍機関紙「解放軍報」はケープタウン到着を伝える記事で「初めて喜望峰を回り、三つの海をまたにかけた」と報道。太平洋、インド洋、大西洋を一度に航海した「実力」を強調した。
 1998年1月に台湾と断交、中国と国交を結んだ外交拠点である南アへの最新鋭艦投入は、台湾へのけん制ともいえる。西側軍事筋は「南アフリカ親善訪問は、中国の軍事プレゼンス(存在感)を拡大するものだ」と指摘する。[2000-08-21-11:18]
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 08/22@<ユーゴ大統領選>ミロシェビッチ氏が劣勢に(毎日新聞)

 【ウィーン22日福井聡】ミロシェビッチ大統領が再選を目指すユーゴスラビア大統領選挙は9月24日の投票日まで残り1カ月と迫った。21日に公表された二つの世論調査はいずれも野党15党が推すコシュトゥニツァ・セルビア民主党党首への支持率が、与党連合のミロシェビッチ大統領(社会党党首)を上回り、現職不利が鮮明になりつつある。だが、大統領が独立の動きを強めるモンテネグロ共和国に軍事介入するなど非常手段に出る可能性も指摘され、現地は緊迫の度合いを強めている。
 ベオグラードの社会科学研究所の調査によると、最新支持率はコシュトゥニツァ党首35%、ミロシェビッチ大統領23%。またメディアム調査機関による調査の支持率はコシュトゥニツァ党首30%、ミロシェビッチ大統領25%で、いずれも野党側優位を示している。
 投票は1回目で過半数の得票を獲得する候補がいない場合、決選投票が行われる。与党側は「ミロシェビッチ候補の脅威となる対抗馬はおらず、大統領選挙は第1回投票で決まる」と表面上、強気の姿勢を崩していないが、陣営には楽観視できない情勢だ。
 しかし、外交筋は「ミロシェビッチ大統領は過去10年間、自らの危機に直面するたびに新たな危機を創出し、政権を維持して来た」と指摘。
 決戦投票にもつれめば、野党の統一候補が勝利する可能性もあり、同筋は第1回投票で僅差で大統領がコシュトゥニツァ党首を上回った場合、モンテネグロが示唆している選挙ボイコットを口実に軍事介入し、決選投票を中止して当選を宣言するのではないかと予測する。
 大統領は昨年5月、旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷(オランダ・ハーグ)から、虐殺など人道に対する罪で起訴され、国際手配のための逮捕状も出されており、大統領の座を生命線として死守すると見られる。
 モンテネグロには7000人の連邦政府軍が常駐しており、予備役兵などを召集すれば、非常時には4万人に増強することが可能だ。政府ビルや放送局接収は瞬時に実行できるとみられている。
 野党側は、連邦政府が全欧安保協力機構(OSCE)や北大西洋条約機構(NATO)諸国の選挙監視団派遣を拒否したことで、大規模な不正投票工作が行われる可能性に強い懸念を表明。投票監視を徹底させることと、最大野党・再生運動に独自候補擁立断念をうながし、第1回投票での勝利の実現を呼びかけている。[2000-08-22-19:47] 2
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 08/22@大統領選控えユーゴ緊迫 政権は反対派離間に活路(共同通信)

 連邦大統領選挙と上下両院選挙を一カ月後に控え、ユーゴスラビア情勢が再び緊迫してきた。旧ユーゴ国際戦犯法廷に起訴されたミロシェビッチ大統領は、独立の動きを強めるモンテネグロ共和国政権とセルビア共和国野党間の離間策に活路を見ており、選挙結果にかかわらず、危機が先鋭化するのは必至だ。
 モンテネグロの人口は約六十万人で、コソボ自治州を除くセルビア共和国人口の約十三分の一だが、これまでは連邦上院で同数の議席を保障されるなど、憲法上の地位はセルビアと対等だった。
 しかし、モンテネグロのジュカノビッチ大統領は欧米諸国によるコソボ紛争以降の対ユーゴ制裁などをきっかけに、ドイツ・マルクの導入で独自の経済改革を断行するなど、独立と親欧米路線に傾斜。これに危機感を抱いたミロシェビッチ政権が打った手が、セルビアによる連邦支配を強化する憲法改正だった。
 七月初めに連邦議会が可決した改憲では、従来連邦議会が選出してきた連邦大統領を直接選挙制に変更。両共和国が二十人ずつ選出してきた連邦上院も直接選挙になった。来年任期切れを迎えるはずだった大統領に続投の道が開かれ、人口比で劣るモンテネグロは一地方に転落する。
 狙いは巧妙だ。モンテネグロ政権は、選挙に参加すれば改憲の正当性を認めることになるためボイコットせざるを得ない。一方、ミロシェビッチ政権打倒を目指すセルビアの野党勢力には、選挙こそ政権奪取の機会。ともに「反ミロシェビッチ」では一致しても、利害は異なる。
 ミロシェビッチ政権はセルビア野党間の不協和音も計算済みだ。野党連合は大統領選にコシュトニツァ民主党党首を擁立したが、民族主義色のある最大野党セルビア再生運動はミハイロビッチ・ベオグラード市長を独自候補に立てた。再生運動のドラシュコビッチ党首は現政権下で副首相を務めたこともあり、他党から不信の目で見られがちだ。
 ミロシェビッチ大統領が再選を決めれば、モンテネグロとの関係がさらに悪化するのは必至。逆に大統領側が追い詰められた場合、「軍と治安警察を握る大統領の出方は波乱含み」(外交筋)になりそうだ。
 モンテネグロは国内に駐留する連邦軍に対抗し、警察力を強化していると伝えられる。七月にはアルバニア国境付近で共和国警察と連邦軍との間で小競り合いが起きるなど、情勢は不穏だ。(共同=小林義久)(了)[2000-08-22-15:04] 78
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 08/22@途上国向け輸出2・6倍に 中国は兵器大国と米報告書(共同通信)

 【ワシントン21日共同】中国の発展途上国向け通常兵器輸出契約額が一九九九年は前年比二・六倍の十九億ドル(約二千五十億円)に上り、世界全体の途上国向け兵器輸出の九・二%を占めたことが二十一日、通常兵器の輸出入に関する米議会調査局の報告書で分かった。
 西欧諸国のシェア(占有率)が減少する一方、中国のシェアは九二年の一・八%から五倍強に拡大。米国、ロシア、ドイツに次ぐ四番目の兵器輸出大国に浮上した。
 報告書は「中国は大規模な兵器輸出契約を獲得しているのではなく、小型の契約を多数重ねている」と指摘。「米ロや西欧諸国より質の劣る兵器」の安価で大量な輸出を示唆している。
 最大の顧客はパキスタンだが、イラン、アルジェリアなど、中東諸国やアジア、アフリカの国々に、地対空ミサイル、戦闘機、対艦ミサイル、戦車や自走砲を幅広く輸出しているという。
 ただ、米国の途上国向け輸出契約額は昨年八十億ドルで、圧倒的なトップ。ロシアも中国やインド向けの戦闘機輸出を増やし、四十一億ドルの契約を得た。
 一方、米国務省は二十一日、九七年の世界の防衛費と兵器輸出入についての報告書で、防衛費が二%、兵器輸出入が二三%、それぞれ前年に比べて増加したと発表した。(了)[2000-08-22-09:42] 90
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 08/22@<ニュース展望>パレスチナ和平 成否は予断許さず(毎日新聞)

 パレスチナの最終地位交渉が、合意の目標期限である9月13日まで残り3週間となった。7月に米国キャンプデービッドで開かれた中東和平3首脳会談では、イスラエル・パレスチナ間の立場の相違が鮮明になったが、その溝を期限までに埋められるかどうか。パレスチナ側が「一方的な国家独立宣言」をちらつかせる中、焦点は再会談がいつ開かれるかに移っている。
 15日間続いた3首脳会談は結局、双方が「首都」と主張し、譲らないエルサレムの帰属をめぐり決裂した。パレスチナは1967年の第3次中東戦争でイスラエルが占領した東エルサレムの全面返還と主権の確立を求めたが、イスラエルは東西統一エルサレムの首都死守にこだわり、郊外部など一部地域の管轄権の譲渡しか認めなかった。
 双方のギャップの根深さを象徴する場所として、東エルサレムの旧市街の一角の「神殿の丘」がある。現在、アル・アクサ・モスク(イスラム寺院)などが建ち、イスラム教聖地として知られる地下にはユダヤ王国の神殿跡が眠っている。交渉でパレスチナはこの丘の主権を回復し国旗を掲揚したいと訴えたが、イスラエルはユダヤ民族の感情に配慮し主権だけは譲れないとの立場を貫いたという。
 「エルサレムは感情的な問題をはらみ過ぎる」と言われる。パレスチナ自治政府のフセイニ前エルサレム担当相は「エルサレムはお金のようなもので、あれば気にならないが、ないと欲しくなる」とも語る。感情的である限り、妥協の糸口を見い出すことは難しい。
 しかし、タブーだった問題で初めて正面切った論争ができたのは「前進だった」という評価もある。エルサレム問題と同様、パレスチナ難民の帰還問題では、イスラエルが難民全員の帰還権を認めず溝を残したが、パレスチナ国家独立に伴うヨルダン川西岸での国境・領土の策定、ユダヤ人入植地の存廃、治安問題では相当の歩み寄りがあり、一部の交渉筋は「全体の7〜8割まで合意は進んだ」と語っている。
 会談後、アラファト・パレスチナ自治政府議長はイスラエルと米国の圧力に屈さなかったとパレスチナ世論をはじめアラブ・イスラム諸国から歓迎された。連日、高齢の体に鞭打つように積極的に外交を行ない、国際社会を味方につけての再交渉に備えている。
 一方、バラク・イスラエル首相は、東エルサレムの一部管轄権譲歩や西岸の大幅な領土返還案をめぐり右派の総スカンを食い、政権崩壊の危機に立たされた。しかし、任期中の和平合意達成の公約を撤回する意向派はなく、側近は「合意した場合、国民の信を問う総選挙も辞さない」と捨て身の戦法をもほのめかす。
 任期満了を控え、会談を「失敗」のまま終わらせたくないクリントン米大統領を含め、首脳たちは三者三様ながら現政権のうちに妥結したい思惑がある。
 アラファト議長は9月13日までに合意がない場合、「一方的な独立宣言も辞さない」と繰り返しているが、イスラエルとの衝突を生み、国際社会からの経済援助の凍結を招きかねないことを十分、分かっている。議長としては同日までに再会談開催のめどを立たせ、昨年5月4日に宣言を順延した時と同じように、先送りの大義名分を作りたがっているとみられる。
 常に対立を繰り返している印象の強いイスラエル・パレスチナ交渉だが、バラク政権となったこの1年間は、最終地位交渉が実質的に動くなど、後戻りを繰り返した右派ネタニヤフ前政権と比べ、かなりの進展を見せた。両首脳がこの努力を水泡に帰させる真似をするとは思えない。エルサレム問題に関しては、旧市街の聖地の主権の帰属を決めず「特別な地位」のまま永久に維持する選択肢も残されている。チャンスを生かすも殺すも首脳の判断にかかっている。再会談の開催が決まれば、妥協は近づいたとみていいかもしれない。[2000-08-22-00:59]
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 08/23@コソボで160人の集団虐殺遺体見つかる(読売新聞)

 【ウィーン支局23日】ユーゴスラビアの非政府系日刊紙ブリッツは二十二日、コソボ自治州でアルバニア系住民によって誘拐、殺害されたと見られるセルビア人とロマ人(ジプシー)計約百六十人の遺体が発見された、と報じた。
 同紙によると、遺体が見つかったのは、州都プリシュティナ郊外の墓地。国連コソボ暫定統治機構(UNMIK)が、残された衣服や身分証明書などを頼りに、身内に行方不明者のいるセルビア人やロマ人を呼んで身元の確認を進めているという。
 同自治州では、セルビア警察などに殺されたとみられるアルバニア系住民の遺体が大量に見つかった例は多いが、セルビア人が犠牲になったケースはほとんど報告されていない。[2000-08-23-11:38] 11
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 08/23@セルビア人の集団虐殺体か コソボで160遺体発見(共同通信)

 【ウィーン22日共同】ユーゴスラビアの非政府系日刊紙ブリッツは二十二日、コソボ自治州でアルバニア系住民に虐殺され埋められたとみられる約百六十人のセルビア人らしい遺体が見つかったと報じた。
 同紙によると、現場は州都プリシュティナのドラゴダン地区にある墓地で、国連コソボ暫定統治機構(UNMIK)が、身内に行方不明者のいるセルビア人やロマ人(ジプシー)を呼んで身元確認を進めている。
 同紙は殺された夫の身元確認のため墓地に入れられたセルビア人女性の話として、夫の衣類を探した際にセルビア人の名前が書かれた大量の身分証明書が衣類の間にあるのを目撃したと伝えた。
 コソボではこれまで、セルビア警察などに殺されたとみられるアルバニア系住民の遺体が見つかった例は多いが、セルビア人とみられる遺体の大量発見は異例。(了)[2000-08-23-08:07] 5
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 08/24@<ドナウ川完泳>計3004キロをスロベニア男性 ギネスに(毎日新聞)

 【ウィーン24日福井聡】ヨーロッパ第2の大河・ドナウ川を23日、スロベニア人の男性が1人で泳ぎ切きった。泳いだ距離は計3004キロに上り、従来の記録を66キロ上回り、ギネスブックに申請する。
 マーティン・ストレルさん(45)で、6月25日にドナウの源流、ドイツの黒い森地方を出発。1日平均60キロを計58日間泳ぎ続け、23日に最終目的地、ルーマニアの黒海沿岸の港エギゲアにたどり着いた。途中泳いだ国は8カ国に及び、昨年の北大西洋条約機構(NATO)による空爆で橋が破壊され、船の航行が一部不通となっているユーゴスラビアも含まれている。
 ストレルさんは58日間で11キロ痩せたが元気で、「ドナウを泳ぎ切ることができて非常に幸せ。ドナウは今も澄んでおり、今後もこの(汚染からの)自由は守られねばならない」と語った。
 これまでの河川遠泳世界記録は1937年にミシシッピー川を2938キロ泳いだ米国人、フレッド・ニュートンさん。[2000-08-24-22:31] 6
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 08/24@大統領を軍最高司令官に ユーゴ、権限強化の新指針(共同通信)

 【ウィーン24日共同】ユーゴスラビア連邦軍はこのほど、ミロシェビッチ大統領を「最高司令官」とする組織改編を行い、外国勢力よりも国内での反政府勢力への対応を重視する新指針を策定した。
 陸海空軍の司令部を一元化して統合参謀本部を設置した上で、陸軍の憲兵隊を大幅に増強するもようで、九月の大統領・連邦議会選を前に「内なる敵」押さえ込みのための大統領の権限強化が目的とみられる。
 新指針は、昨年の北大西洋条約機構(NATO)軍による空爆を受けて検討を進めていた。詳細は発表されていないが、ベオグラードからの報道や外交筋の話を総合すると、これまで軍事行動の最終的な決定権は大統領が議長を務める「最高防衛評議会」にあったが、今後は大統領単独の決定が可能になる。
 パブコビッチ参謀長は政府系紙ポリティカとの会見で、新指針は「敵の侵略抑止が主目的」とする一方で「ユーゴの安全を脅かす活動は、最初は国内での非軍事行動から始まる」と述べ、これまで主に警察などが担当してきた反政府勢力やテロ対策に軍が本腰を入れる考えを表明した。
 また「指令系統の明確化」で大統領が「戦時も平時も最高司令官を務めることになる」と言明した。
 独立系ニュースレター「VIP」のグルバチッチ編集長は「真の目的はミロシェビッチ大統領を最高司令官に格上げして権限を強大化し、故チトー大統領のように国民の間で神格化させることにある」と指摘している。(了)[2000-08-24-17:15] 233
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 08/24@<沈む大国>露原潜事故 冷戦意識ぬぐえず(毎日新聞)

 ロシア当局は原子力潜水艦「クルスク」の沈没直後、米国など西側の救助協力申し入れを拒否、依然として外国艦との衝突説に固執している。この背景には、32年前の苦い経験があるとみられている。
 1968年3月、ハワイ沖で核ミサイルを搭載した旧ソ連の潜水艦、K129(西側の呼称はゴルフ2級)が沈没、乗組員98人が死亡した。潜水艦内部での爆発とみられたが、ソ連側は米軍潜水艦、ソードフィッシュとの衝突だと主張した。
 K129の沈没から6日後、ソードフィッシュが横須賀で潜望鏡を修理したことが、衝突説の一つの根拠だった。米軍は氷塊とぶつかったと説明したが、ソ連は納得せず航海記録の提示を要求。米国がこれを拒否したことが双方の不信感を増幅した。米国は68年と74年に遺体と残骸の引き揚げ作業を行い、核弾頭も押収した、というのがソ連・ロシア側の見方だ。
 この事件は今も米露間の隠れた問題になっている。昨年11月開かれた不明米兵に関する米露合同委員会では、ロシア側代表が、K129乗組員の遺体に関する情報提供を改めて求めた。衝突は否定する米側も、引き揚げ作業を行ったことは認めている。
 クルスクの沈没時、ロシア軍幹部が真っ先に米潜水艦の関与を疑ったとしても無理はない。ロシア側は32年前の前例を思い出し、原潜の機密を米側にひそかに持ち去られてはたまらない、と考えた可能性が強い。
 原潜沈没事故に関する限り、「米露協調」はほとんど機能せず、政治経済分野はともかく、軍事面での冷戦構造脱却が難しいことを印象付けた。
  ×  ×  ×
 ブリュッセルの北大西洋条約機構(NATO)本部で17日から3日間、ロシアとの救援協議が開かれ、計11カ国がダイバーの派遣や救出後の医療支援を申し出た。NATO側にすれば、昨年のコソボ紛争で冷却化した対露関係を改善する上でも、格好の機会だった。
 しかし、ロシア側は全面的な支援には強い難色を示し、すでに要請を行っていた英国とノルウェーとの「2国間関係」以上には拡大しないとの返答を残し、ブリュッセルを去った。
 ロシア側がNATOへの依存を拒んだのは、NATO側の本格介入によって原潜をはじめとした軍事機密が露呈するのを防ぐためとみられる。ロシアにとって、東方への拡大を続けるNATOが今も脅威の対象であることは、今回の事故がNATOを想定した軍事演習の中で発生したことでもうかがえる。
 しかし、冷戦終結後のロシアとNATO側の軍事力の差は拡大するばかりで、現在ではロシアの年間軍事費は米国1国の2%ほど。ロシアは、拡大への理解を求める隣人ではあっても、もはや直接の軍事的脅威の対象ではなくなった。意識のすれ違いの中で、時間だけが過ぎ、乗組員118人全員死亡という最悪の結末を迎えた。【ワシントン・布施 広、ブリュッセル・森 忠彦】[2000-08-23-23:22] 236
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 08/24@◇「血を流して平和のために貢献も」軍縮シンポで明石氏◇(朝日新聞)

 秋田市で開催中の国連軍縮秋田会議に関連して開かれたシンポジウムで、前国連事務次長の明石康氏が23日、「世界中で衝突があるが、日本人はかわいそうな人たちを救済するために汗を流し、時には、血を流して平和のために貢献してもいい」などと発言した。同市内の中学生から寄せられた「平和維持活動はどんなことをしているのか」という質問に答えたもの。
 シンポは、秋田市が平和や軍縮への理解を子どもたちや市民に深めてもらおうと、軍縮会議参加メンバーを招いて開いた。中学生ら約300人が聴講していた。[2000-08-23-22:46] 248
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 08/24@<アフリカ内戦>反政府勢力の資金源は闇ダイヤ?(毎日新聞)

 【モンロビア(リベリア)23日藤原章生】来世紀に持ち越されるアフリカの内戦は、ダイヤモンドが反政府勢力の資金源になっている。「ダイヤを売り、武器を買うという流れを絶てば戦争は終わる」。そんな論法で国連や先進国は「闇ダイヤ」の締め出しを訴え始めた。シエラレオネ、コンゴ民主共和国(旧ザイール)、アンゴラなどで続く内戦はダイヤが原因と言えるのか。闇ダイヤの温床、西アフリカ・リベリアから報告する。
 今年5月、シエラレオネに展開したばかりの国連平和維持部隊(PKF)500人以上が反政府勢力、革命統一戦線(RUF)に拉致される事件が起きた。国連要員はその後解放されたが、交渉の主役は隣国リベリアのテーラー大統領だった。密林のゲリラ、RUFを動かすのは、テーラー大統領であることを世界に暗示させた。
 そのテーラー大統領への批判は日に日に強まっている。RUFが掘り出すダイヤを武器とバーター取引する主謀者と見られているためだ。大統領は1980年代、サンコーRUF議長やブルキナファソのコンパオレ大統領と交流を深め、現在RUFが9割を握るシエラレオネ産ダイヤの大半はリベリアとブルキナファソへ卸されるという。
 シエラレオネの公式ダイヤ輸出額はRUFが勢力を広げた97年、前年比3分の1の1000万ドルに激減した。しかし、国際市場ではこの年を境に「リベリア産」と言われるダイヤが急増した。スイス政府によると、97年までゼロだったリベリアからスイス向けのダイヤは98年に740万ドル、99年に1600万ドル、今年は上半期だけで2900万ドルに激増している。
 国連安保理は7月初め、シエラレオネ産ダイヤの禁輸決議を採択し、テーラー大統領を名指しで非難した。だが、大統領は「国際社会による陰謀」と、自国での闇ダイヤの取り引きを全面否定している。
 リベリアのキャプタン外相も毎日新聞などとの会見で「シエラレオネ、リベリア、ギニアなど合わせても年間7000万ドル程度の産出能力しかない。それなのにダイヤ取引の中心国ベルギーはリベリア産ダイヤが年間2億5900万ドルに上ると公表し、数字が一人歩きしている」と説明する。
 推定で年間4億ドルとも言われるコンゴ産闇ダイヤをはじめ違法取引は、値崩れなどでダイヤ市場を揺さぶる。外相は「リベリアが攻められるのはダイヤ取引の大半を握るデビアス社(本社・南ア)や英国政府などによる闇ダイヤ締め出し策の身代わりにされているだけ。ダイヤを1粒も産出しない英国は99年に18億ドルものダイヤ原石を輸出しながら問題視されない。紛争地産ダイヤが含まれていないと言い切れるのか」と反論する。
 南アフリカ政府も今月11日、国内に流入するアンゴラ産など闇ダイヤの調査を始めることを表明、コンゴ鉱山省も先月末、イスラエル人経営の「アイダ宝石」と独占契約を交わし、政府産のダイヤにのみ「お墨付き」を与えた。
 ゲリラ産でも政府産でも取り引きされてきたダイヤ市場がようやく変わろうとしている。ダイヤの原産地を特定することも技術的には可能という。
 だがダイヤ取り引きの実態を描いた「ダイヤモンドの興亡」の著者、エドワード・ジェイ・エプスタイン氏は「ダイヤが内戦を生み出すわけではない。今も世界のダイヤ生産の4割(販売の6割以上)を握るデビアス社が価格管理、市場操作の立て直しを図り、ロビイストに動かされた国連などがそれを後押ししているに過ぎない」と指摘する。
 ダイヤを高値で安定させるなど国際市場に長年、大きな影響力を示してきたハリー・オッペンハイマー元会長が今月19日に死去した。これに象徴されるように、時代の流れの中でデビアス社自身が迫られている変革と闇ダイヤ規制が関わっているとの見方だ。だが、一方で年々戦闘能力を高めるゲリラ勢の資金源を断つには、規制強化以外に手だてがないのも現実だ。[2000-08-23-20:27] 287
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 08/24@<特集ワイド>学問と知 浅田彰・京大経済研究所助教授=1(毎日新聞)

 政治・経済の惨状はともかく、知的水準さえ音を立てて崩れていくように見える世紀末の日本にあって、大学に再生の可能性はあるのか、新たな学問と知はどこへ向かうのか。自然科学から人文科学まで様々な知の領域を自在に横断する浅田彰・京都大経済研究所助教授に聞いた。 【井田純】
 ――最近指摘されている大学生の学力低下についてどう見ていますか。
 ◆現在の教育改革は、暗記式の語学や数学の証明問題をどんどん落として、会話ごっこや集合論ごっこをやらせる。それで基礎学力を骨抜きにしたかわりに、応用力や創造力が伸びたかというとまったくそんなことはない。その結果がいわゆる学力崩壊だと思います。
 学校などというところは、語学なら語彙(ごい)と文法をきっちり暗記させればいい。臨機応変に会話する力とか、創造的に考える力とか、それは個々人が社会生活の中で身につければいい。果ては学校で「生きる力」を育てるなど、傲慢(ごうまん)だと思います。学校ではむしろ基礎知識の詰め込みを効率的にやっておいて、後は個々人の自由な活動の機会を増やしていくべきでしょう。
 ――学生と接して「学力崩壊」の実感がありますか。
 ◆たとえば初歩的な英会話の力は上がった。しかし、文章を読み、書く能力は、劇的に落ちている。日本語でもそうなんだから、英語や他の言語では言うまでもない。いわゆる「バイリンギャル」のように、外国人に話しかけられてもブロークン・イングリッシュで答えられるのは悪いことではないけれど、それだけでは困る。
 数学の力も同様です。福井謙一さん(日本人初のノーベル化学賞受賞者)が教育課程審議会にいた時は「証明問題はものを考える基礎だ」といって頑張っていたのが、その後「生徒がついてこないからやめてしまえ」となった。そうなると、考える力がつかない。これは、大学生が分数の割り算もできないといってよく話題になる計算力の低下より深刻な問題です。
 そもそも、かつては高校を終わった段階で簡単な微分方程式が解け、それを応用して運動方程式を解くと2次曲線になることがわかって、その過程で近代科学の基礎を体得する、という理想があった。古いと言われようが、それには意味があったと思います。そういう基礎的な部分を落とし、かわりに中途半端な集合論なんかを入れているけれど、そんなものはほとんど役に立ちませんからね。
 ――教育改革は今までのところ失敗だったと。
 ◆結局、1968年の大学紛争以後、学校批判が妙な形で結実して、文部省が全共闘よりも過激に学校解体を進めてしまった。今の文部省は、「詰め込みはいけない、生きる力が大事だ」などと言っている。それは大昔に日教組が言っていたことですよ。ものすごい倒錯だと思います。
 ――知の潮流が、特に自然科学の分野で変わってきた気がしますが。
 ◆20世紀は物理学に代表されるハードな科学とそれに基づく「重厚長大」型の技術で前進してきた。しかし、最後の四半世紀になって、情報や生命をめぐるソフトな科学と「軽薄短小」な技術に重心が移行してきた。コンピューターで人工知能をつくるとか、遺伝情報を読み解いて遺伝子操作をやるとか、かつてSFでしかなかったことが現実化しつつある。
 なかでも「脳」は大きなフロンティアの一つだと思います。脳が行っている情報処理を分析する、また、それを人工的にシミュレートするといったことですね。
 ――来世紀も情報・生命科学の時代が続きますか。
 ◆もちろん進んでいくとは思いますが、情報と生命については、だいたい方向が見えていて、あとは腕力勝負という感じもする。むしろ、もう一度数学や物理学の領域で大きな革命が起こっているように思います。
 20世紀は量子力学の世紀といわれたけれど、実はちゃんとした数学的根拠はなかった。それが今、数学が爆発的に進化して、どうやら量子力学を裏付けられる水準に到達しつつある。その意味で、数学と物理学は百年前と似た沸騰状態にあると言っていいでしょう。
 また、実験の面でも、電子一個を操作することまで可能になりつつある。そこでも、粒子と見えるものが実は波であるといった量子力学的な効果が、現実的に出てくるわけです。それを使った量子計算機のようなものがすぐにできるとは思いませんが、長期的には世界観を大きく変えるような力をもつでしょうね。[2000-08-23-14:06] 286
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 08/24@<特集ワイド>学問と知 浅田彰・京大経済研究所助教授=2(毎日新聞)

 ――新しい学問の枠組みが生まれる可能性は。
 ◆「情報」を核にしたある種の総合は考えられるでしょう。かつては物理系、生命系、精神系と分かれていた、それらを貫く原理としての「情報」ですね。それは、計算機を作ることから始まり、生命情報の分析や操作をへて、脳の情報の分析や操作にまでいたる。そうなると「生命とは何か」「意識とは何か」といった哲学的な問題にもかかわってくるわけです。
 実際、脳や人工知能の研究も哲学にかかわってくるし、哲学者もデカルトを読むだけでなく、脳や人工知能の問題を考えざるを得ない。19世紀からのいわゆる理科系と文科系の分裂が「情報」を中心に統合され、工学者から哲学者までが大きな同じパラダイムを共有するようになってきています。
 ――教育研究の現場ではその方向で知の再編が進んでいますか。
 ◆今のところうまく行っていないと思います。情報、環境、国際などという言葉を適当に連ねて新学部や新研究科を作る。それが、ほとんど80年代コピーライター文化的な安易さでまかり通っている。「国際情報環境学部」なんていうのがいくらでもありますよ。かつての教養部をつぶし、看板だけ掛けかえたものの、基礎的な教養を解体しただけで、新しい総合的な知が生まれる兆しはほとんどない。
 語学や数学などのがっちりしたベースはどうしても必要です。また、新しい意味での総合的な教養も必要です。文部省の教育改革は、教養部をつぶしてわけのわからないものを作ってしまったけれど、むしろ4年制の大学をまるまる教養部にして、それからロー・スクール(法学大学院)やメディカル・スクール(医学大学院)のような専門課程に進むようにしたほうがいいでしょうね。
 ――新しい哲学・思想の役割は。
 ◆「情報」を核にした統合で、哲学が一種の媒介役として新しい世界観を提示することもできるかもしれない。しかし同時に、古い意味での哲学、人類の思想的遺産であるテキストを読み継いでいく哲学は残るでしょう。「ソフィーの世界」的に早わかりするより、偉大なテキストに直接触れて、その「わからなさ」がわかることが大切なんです。それはすぐには役に立たない、というか要するに役には立ちませんが(笑)、哲学というのはそこに意味があるんですよ。
 今はポップ化が進んでいて、教科書も早わかりで面白がらせようとしている。しかし、古典と言われるものは、何度読んでもある種の謎が残るし、その意味で面白い。それは文学も芸術も同じです。世界は簡単に説明し切れるようなものではなく、謎に満ちている、従って面白い。そのことを教えてくれる作品が重要なんです。そういう難解な作品は、ほっといたら触れる機会がないんで、それを無理矢理与えるのも教育の役割だと思います。
 ――浅田さんの専門ですが、経済学に求められるものも変化しているのでは。
 ◆90年代は新古典派経済学の市場万能主義に傾き過ぎた。すべての人が功利的計算だけで動くというのは極端なイデオロギーだし、完全競争市場などというのも虚構です。
 97年のノーベル経済学賞を受けた金融工学のパイオニアたち(ロバート・マートン、マイロン・ショールズ)は、株価を物理現象であるかのように解析する。ところが、彼らが経営に関わるLTCMというヘッジファンドがその後破たんしたというのは、実に皮肉な話です。
 その反省もあって、翌年はインド出身のアマーティア・センが受賞した。彼は数理経済学者だけれど、実はインドの伝統思想にも通じている。そして、市場では解決できないグローバルな不平等や貧困の問題を、理論的かつ具体的に考えている。今求められているのは、そうした方向でしょう。
 そのためには歴史や哲学の教養も必要になってくる。自然科学でも同様です。臓器移植やクローンが可能になった現在、昔は哲学の問題だった、「生命とは何か」「アイデンティティとは何か」ということが、現実に判断を迫られるような問題になっていますから。そういう意味でも、新しい教養が必要なんです。
 ――最後に大学「再生」の可能性は。
 ◆政治家ですら女性が増えているのに、大学はいまだに男性優位です。しかし、優秀な女性研究者も増えてきている。外国人もどんどん増やすべきでしょう。
 日本の大学だから日本語を使わければいけない理由はない。あるいは、10代の教師と70代の学生なんていう組み合わせがあってもいいでしょう。性別、民族、年齢の壁をこえて、多様なコミュニケーションの場になることが、大学には必要です。新しい教養というのも、そのような中からこそ生まれてくるでしょう。
 あさだ・あきら 1957年、神戸市生まれ。京都大学経済学部経済学科卒、同大学院経済学研究科博士課程中退。経済学、社会思想史専攻。
 京都大人文科学研究所助手を経て現職。人文科学研究所助手時代の83年、ドゥルーズやガタリらのポスト構造主義を再構成した「構造と力」がベストセラーとなり、ニューアカデミズムの旗手に。その後、思想誌「GS」「批評空間」責任編集など、様々なメディアで活動。著書はほかに「逃走論」「映画の世紀末」「20世紀文化の臨界」など。[2000-08-23-14:06] 297
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 08/24@◇ダイヤ密輸疑惑を否定 リベリア大統領◇(朝日新聞)

 西アフリカ・リベリアのテイラー大統領は22日、同国を訪れているユニセフ親善大使・黒柳徹子さんと会見。同行の日本人記者団に対し、隣国シエラレオネの内戦について「反政府武装勢力・革命統一戦線(RUF)の指導者が代わったことが確認された。武装解除が進み、国連平和維持軍は近く、武装勢力の支配地域に入れるだろう」との見通しを示した。
 ダイヤモンドの密輸を通してリベリアがRUFに武器を供給している、と一部の国が主張していることに対しては「事実ではない。そう主張している国には証拠を示すよう要求している」と反論した。
 この疑惑についての番組を制作中だったとされる英国などの記者4人がリベリアで拘束され、スパイ罪で起訴された事件にも触れ、「リベリアのイメージを傷つけるようなことはしたくないが、我が国には守らなくてはならない法律がある。彼らが単に記者活動をしていただけではない、という証拠がある」と説明した。[2000-08-23-11:01] 298
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 08/24@<ユニセフ大使>黒柳徹子さんに援助再開を訴え リベリア大(毎日新聞)

 【モンロビア(リベリア)22日藤原章生】西アフリカ・リベリアのチャールズ・テーラー大統領は22日午後(日本時間同日夜)、18日から同国を訪問中の黒柳徹子ユニセフ親善大使と会談し、戦後復興のため日本からの援助再開を訴えた。
 1989年から97年まで内戦が続き15万人が死亡したリベリアでは復興が進んでいない。大統領が隣国シエラレオネの反政府勢力と武器、ダイヤ取引をしていると国連などから非難され、欧米諸国による援助再開が先延ばしされているためだ。
 この点について大統領は「私は外国、特に米国に嫌われている。でもそれは私個人の問題で、国民が悪いわけではない。国民の新たな世代、子供のために援助を再開してほしい」と訴えた。
 さらに「援助が乏しく、リベリアの食糧状況は内戦時よりも悪い。世界はありのままの我々の姿を伝えてほしい」と要請した。
 また、大統領はダイヤモンドの密輸疑惑の取材で訪れていた英国などの報道陣4人が18日にスパイ容疑で逮捕された件については、早期に国外追放する意向を示した。
 黒柳親善大使はリベリアの子供の飢餓、衛生状態を視察するため、24日まで滞在する。[2000-08-23-10:58] 303
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 08/24@プロテスタントが武力抗争 北アで2年ぶり厳戒(共同通信)

 【ロンドン22日共同】カトリック勢力とプロテスタント勢力の対立が続いた英国・北アイルランドで、今度はプロテスタント系武装組織同士の抗争が激化している。英政府は二十二日から、一九九八年九月以来二年ぶりに中心都市ベルファスト全域に重装備の軍隊を展開させ、厳戒態勢を敷いた。
 アルスター防衛協会(UDA)の二人が二十一日、ベルファストの路上で、対立するアルスター義勇軍(UVF)に射殺されたのが発端で、双方が相手の事務所などを襲撃し、警察とも銃撃戦が展開された。
 両派はともにプロテスタント系だが、最近は勢力争いが過熱し、今回も麻薬市場の”縄張り争い“が直接の原因とされる。
 しかし、対立の根底には、北アイルランド紛争の和平合意をめぐり、積極的受け入れを主張するUVFと、消極的なUDAとの隔たりがある。
 二十二日付の英紙デーリー・テレグラフは「和平合意に基づく政治犯の釈放で、テロリストが次々に復帰しており、抗争はますます激化する恐れがある」と警告。野党保守党からは、一部政治犯の再収容を求める声も上がり始めている。(了)[2000-08-23-08:03]
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 08/24@予備費約5000万円を使用 UNDOF期間延長で(共同通信)

 政府は二十四日の事務次官会議で、中東・ゴラン高原の国連兵力引き離し監視軍(UNDOF)に参加している自衛隊の派遣期限が来年二月末まで延長されるのに伴い、二○○○年度一般会計予備費から五千百九十四万六千円を使用することを決めた。これにより本年度の予備費残額は三千七十三億六千五百四万六千円となった。
 五月末に国連安全保障理事会決議でUNDOFの活動期間が十一月三十日まで六カ月延長された。自衛隊は八月末に派遣期限を迎えるため、政府は六月二十日の閣議で、実施計画の六カ月延長を決めている。(了)[2000-08-24-16:20] 183
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 08/24@<特集・防衛問題>軍事評論家・江畑謙介さんに聞く(1)(毎日新聞)

 幾多の戦争が繰り返され、おびただしい血が流された「戦争の世紀」の終わりに、朝鮮半島情勢もようやく動きだしたように見える。しかし一方で、地域紛争は繰り返され、今も世界は数え切れないほどの戦いに満ちている。21世紀、私たちはこんな前世紀の負の遺産を解消できるのか。日本の防衛はどうなっていくのか。は軍事評論家の江畑謙介さん(51)に聞いた。【安達 一成】
 【略歴】えばた・けんすけ 千葉県出身。上智大学大学院理工学研究科博士課程後期修了、機械工学専攻。83年からイギリスの防衛専門誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」の日本特派員。95年、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)=スウェーデン=客員研究員。「兵器と戦略」、「日本の安全保障」、「使える兵器、使えない兵器―上・下」など著書多数。
 ――冷戦後の10年間だけでも、国連は31回にわたって国連平和維持活動(PKO)を実施しています。
 ◆冷戦時代の戦争は国家間、ないしは「国家」対「それ以外の反体制勢力」だったが、冷戦後に出てきたのが「自分たち」や「共同体」によるサブステーツ(国家以外の集団)、イントラステーツ(複数国家にまたがる集団)間の戦いになった。私怨が原因のケースさえある。「国家の集団」である国連には、こういう紛争の解決は難しい。今の国連システムでは、地域紛争、民族紛争に対応するのは不可能だ。
 ――新しい方法論が必要ですか。
 ◆国連の改革を行う方法が一つ、もう一つは新しいシステムを作るか、既存の国連以外のシステムに期待することだ。後者の典型例がNATOやG8。ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争(95年〜)では、最初UNPROFOR(国連保護軍)が派遣されたが、状況が改善できず、国連はNATOにその役割を委ねてしまった。ユーゴスラビアではNATOが空爆を行った後、G8が政治的圧力をかけてミロシェビッチ政権を妥協させた。
 NATOの空爆がなかったらこれが実現したかという疑問はあるが、G8のような本来は紛争解決としての機能を期待されていなかった組織が一応の成果を上げることができた。一方で、紛争対応機関として設立された国連が、(冷戦後の地域紛争解決に)その力を発揮できないという現実は重く受け止めねばならない。
 ――韓国と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との南北会談で、融和ムードが北東アジアに見えます。北東アジアの軍事バランスが変わる可能性は。
 ◆ないだろう。地政学、経済、人口などの要因からアジア太平洋地域の主役は米、露、中、日しかなく、朝鮮半島は統一されても主役とはなり得ない。
 北朝鮮の現体制の存続は中国とロシアによって保証された。朝鮮半島が統一されて米国に近い資本主義・自由主義経済の国家になったら、中国は鴨緑江だけでその国家に接することになる。そうなればロシアも太平洋に出る道をふさがれる可能性がある。
 ――NMD(米本土ミサイル防衛)構想の見通しは。
 ◆共和党でも民主党でも「実現させる」というのが基本的な方向。どんな軍備も、基本はそれを使わないで済ませる抑止力にある。つまり相手から不当な意志を強要されたり、自分の権利を侵害されないようにすることだ。
 1995年と97年に米情報部が「近い将来、アメリカに弾道ミサイルの脅威を与えられる国はない」と報告したが、米議会はそれに疑問を呈し、独自の調査を行った。現実に98年4月にパキスタンが「ガウリ1」、続いて7月にイランが「シャハブ3」を撃った。8月31日には「テポドン」が発射された。
 「近い将来アメリカを弾道ミサイルで攻撃できる国が存在する可能性があるにも関わらず、対応策を採らないのは為政者として怠慢だ」というのが米政府の基本的考え方で、2005年までに米本土を限定的なミサイル攻撃から守れるシステムを配備するという方針を打ち出した。
 例えば朝鮮半島で何かの事態が起きて米が韓国を助けようとする場合、北朝鮮のミサイルが米本土を攻撃する可能性に米国民が脅えて、軍事行動を含めた外交政策の選択肢が制限される懸念がある。
 日本でも、朝鮮半島で何かあったらアメリカの軍事行動に後方での支援を行うことになっているが、その時、北朝鮮がノドンを撃ってみせるなら、日本国民が米軍への支援反対に傾くかもしれない。
 ノドンを防ぐ手段があるならば、北朝鮮の弾道ミサイルの脅しに屈しない雰囲気が生まれ、北朝鮮もミサイルによる脅しの効果を狙わなくなる可能性がある。問題はそのために日本が支払う金額や有形、無形の代価とのバランスを、国民がどう判断するかになる。[2000-08-24-13:32] 182
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 08/24@<特集・防衛問題>軍事評論家・江畑謙介さんに聞く(2)止(毎日新聞)

 ――アメリカが核を使う可能性はありますか。
 ◆可能性はあるが、一旦核を使うと、第二次大戦後かろうじて止まっていた核の敷居が完全に下がる。だからアメリカのいかなる政権の大統領でも、相手が先に核を使ったのならともかく、最初に核の引き金を引きたくはないだろう。
 北朝鮮が日本に核弾頭ではなく、生物・化学兵器弾頭のミサイルを撃ち込む場合を考えると、本当に米が核兵器で北朝鮮に反撃するのか、つまりそれが保証されることで核の傘(かさ)が抑止力として機能する、という条件の信頼性に関して疑問が出ているのも事実で、BMD(弾道ミサイル防衛)はこの点からも考える必要があるかも知れない。
 ――日本がBMDを導入したらどうなりますか。
 ◆結果として、今まで以上に米との関係が強化される。早期警戒衛星からのリアルタイムでの情報提供が不可欠であり、システムの多くはブラックボックスとされるだろうから、メンテナンスから部品供給まで、多くを米に依存せざるを得ず、国家安全保障の根幹を今以上に米国に頼ることになるだろう。
 日本の場合、BMDは開発協力費などの支出も要求されるため、米軍のシステム(TMD)より高価になるだろう。日本の全土をカバーするならTMDのTHAADという迎撃ミサイルが3個発射隊必要で、2兆円くらいが必要になるかもしれない。
 今の防衛予算が年5兆円、装備調達費が1兆8000億円程度であるため、予算を増やさないなら護衛艦や戦闘機の調達を大幅に制限し、BMDに安全保障の主力をシフトする必要がある。それとも防衛費とは別に予算を組み、国民は5兆円プラス数千億円の支出をしても良いとするのかが問われる。日本はアメリカの同盟国として唯一、NMD(米本土ミサイル防衛)に反対していないが、イギリスを含め、他の同盟国は反対を表明している。TMD(BMD)に関しても日本だけが導入に前向きの姿勢を持っている。米にとってこんな心強い同盟国はない。
 ――かつてのように全世界的な覇権思想は出てくるのでしょうか。
 ◆予見できる将来に、冷戦時のようなスーパーパワー同士が衝突するという状態は考えられない。ロシアと中国との軍事的な衝突が15年以内に起こるとも思えない。アメリカもヨーロッパも、彼らが主導する世界秩序を建設できなかったし、これからもできる可能性はなく、今後は地域地域でビッグ・パワーが台頭するだろう。
 ――どうやって軍事的安定を創出するのでしょう。
 ◆人類が経験的に得た安定への確実な方法は信頼醸成で、例えば軍備の内容を公開し、査察し合うことで相手国や世界に不信感を抱かせないように透明性を高める方式は安定性の向上に大きく役立った。ヨーロッパで実証されたし、アジアでも少しずつその方向に進みつつある。この分野では、日本によるアジア諸国に対する国防白書作成・公開の呼びかけは効果があった。
 ――信頼醸成機関を完全に文民の場に持ってくるのは無理ですか。
 ◆それは、できないですよ。当事者である軍を関与させないとだめだし、完全に文民統制が取れる国が世界にどれだけあるかという現実を考えなければならない。確かに韓国では今すぐに軍部が動くという様子ではなくなった。
 しかし、それがいつまで保証されるかはまだ分からない。他のアジアの国だったらもっと不確実だ。ロシアもプーチン大統領がどこまで軍隊を制御できるのか。中国でも党の人民解放軍を国軍にするかでもめている。
 先日の南北首脳会談後の高級幹部会議で、北朝鮮側から軍人や安全保障担当者が来なかったというのは、今も北朝鮮の軍事的な意図は変わらないからだと言える。北朝鮮の軍事状況についてはミサイルを含めて実体は一切分からないし、少なくとも韓国に対して奇襲攻撃を加えうる状況は変わっていない。
 だが、軍事情報の透明性を高め、軍備を削減して戦争の脅威がなくなったら、だれも北朝鮮に見向きもしなくなるだろう。だから平壌はこのカードを手放すことはしないだろう。
 ――IT革命がさまざまな影響を与えそうですが。
 ◆中国も経済発展を維持するためには、インターネットを広げざるを得ない。今のようにプロバイダーを限定して、通信記録を全部見られるようにしろとか、暗号を使う場合は届け出よと規制を続けるなら、経済の発展は期待し得ない。従って数年を経ずして、かなり自由にやらせざるを得なくなるだろう。それは国家体制を揺るがしかねない可能性がある。ロシアにも同じジレンマがある。
 ――戦争の形も変わるのでは。
 ◆コンピューター・ネットワークに対して破壊活動をしようと思っても、期待する効果が本当にあるかどうかは、やってみるまで分からない。そんな方法を作戦の主力にはできない。確実な手段で実施しようとすると、主力は物理的破壊となる。いわゆるインフォメーション・ウォーフェアは物理的破壊効果を拡大するために、相手に混乱を起こすというやり方で使われる可能性がある。
 ただ、いたずら、犯罪、テロ攻撃の手段としても使われる可能性があり、これらと戦争行為との区別ができなくなる時代に入ったことは認識しておかねばならない。[2000-08-24-13:32] 202
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 08/24@◇ピースポートの市民訪朝団の第1陣が平壌入り◇(朝日新聞)

 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との国交正常化交渉が難航するなか、一般公募による訪朝団としては過去最大300人を送り込む市民団体「ピースボート」(東京・高田馬場)の第1陣、202人が23日深夜、元山経由で平壌入りした。吉岡達也団長は「市民による大型訪朝団と市民の交流が国交正常化の追い風になることを望む」と語った。
 一行は24日朝から、万寿台大記念碑や朝鮮革命博物館などを訪問。25日には板門店に移動し、軍事境界線などを見学する。26日には、政府関係者から日朝国交正常化交渉についての説明を聞いたり強制連行の被害者らから聞き取り調査をしたりする。
 訪朝団には7人の在日韓国人も参加。横浜市内で語学学校などを経営する朴昌憲さん(74)は「韓国籍だけれど、南北首脳会談後の往来自由化への流れに期待して初めての訪朝が実現しないか」と応募した。55年前に生き別れた姉の朴晶葉さん(83)が開城市に住んでいることが最近、分かった。「長生きしてこんなうれしいことはない」と再会を期待しながら、元山港で貨客船「万景峰号」を下りた。[2000-08-24-11:17] 227
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 08/24@PKO装備強化、国連総長が報告書(読売新聞)

 【ニューヨーク23日=松浦一樹】コフィ・アナン国連事務総長は二十三日までに、国連平和維持活動(PKO)について、早期展開や自己防衛能力の向上など機能強化策を内容とする報告書を国連総会と国連安全保障理事会に提出した。
 「PKO機能強化」は国連改革の一環。アナン事務総長は、この報告書を基に、PKOの大改革を進める方針で、九月六日に開幕する国連ミレニアム・サミットで各国首脳の理解を求める。
 報告書は、アナン事務総長が今年三月に特設した諮問委員会「PKOパネル」が作成。パネルは「PKO成功の条件」として、▽国連加盟国による強力かつ持続的な政治支援▽十分な武力と適切な平和構築戦略下での緊急展開――を挙げ、これを基礎に二十項目からなる機能強化策を提示した。
 注目されるのは、紛争地帯で武装勢力の攻撃にさらされることもあるPKOに「攻撃を食い止めるに足りる反撃を認めるべきだ」としている点。PKOは軽武装を原則としてきたが、具体的装備には言及していないものの、自己防衛能力向上のため大幅な装備強化を勧めたものといえる。
 また安保理決議に示されるPKOの任務が「外交上の妥協の産物としてあいまいになりがち」と指摘、「決議はPKOの武力行使権限を明記すべきだ」とした。
 PKOの緊急展開についても「定義が不明確」とし、停戦監視、兵力分離などの任務を遂行する従来型PKOは、派遣決定から「三十日以内」、複雑な任務の遂行が求められる大規模PKOは「九十日以内」に完全展開すべきだとの指針を示し、各国から緊急展開要員として軍事監視要員、文民警察官を各約百人募り、各国に常時待機させるよう勧告している。
 【ニューヨーク23日=松浦一樹】二十三日に公表された「PKOパネル」報告の要旨は以下の通り。
 ▽PKOは、任務を成功させるため、自己防衛能力を持つ必要があり、国連に対する攻撃を食い止めるに足る反撃を認められるべきだ
 ▽安保理決議は、PKOの武力行使権限を明記すべきだ。より大規模で、充実した装備を持ち、有効な抑止力となる部隊が必要
 ▽安保理は、派遣部隊の見通しがつくまで、大規模なPKOを創設する決議の採択を留保する
 ▽軍事要員・警察官は、民間人に対する暴力行為を阻止するための権限を与えられていると見なす
 ▽停戦監視、兵力分離を任務とする従来型PKOについては、安保理決議採択後「三十日以内」、より複雑な任務を遂行するPKOの場合、「九十日以内」に完全展開する。後者については、現地本部を「十五日以内」に立ち上げる
 ▽PKOの緊急展開要員として、通達から七日以内に現地入りする軍事監視要員、文民警察官、各約百人を常時待機させる
 ▽PKO創設決議の採択前から派遣準備を進められるよう、関連基金から五千万ドルを引き出す権限を国連事務総長に与える
 ▽PKOの緊急展開準備のため「統合タスクフォース」を国連事務局内に設置する
 ▽国連PKO局の事務次長補佐を現行の二人から三人に増員する[2000-08-24-00:02]
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 08/25@◇米、ナイジェリアに軍事訓練 大統領のアフリカ訪問機に◇(朝日新聞)

 米政府は26日からのクリントン大統領のアフリカ訪問を機に、及び腰だったシエラレオネの国連平和維持活動(PKO)への取り組みを改め、平和維持軍に加わるナイジェリアの軍事訓練に本格的に乗り出す方針を決めた。自国の兵士を直接「戦場」には送らず、「傍観者」批判もかわそうという苦肉の策だ。世界各地の紛争にすべて介入する余裕のない現状を踏まえ、遠いアフリカの紛争には、地域大国に中核的な役割を担わせる、新たな狙いが込められている。
 バーガー大統領補佐官は24日、ナイジェリア軍を「プロのPKO部隊」に養成するため、米兵数百人を送る、と語った。大統領訪問に合わせ、今週から徐々に現地入りしており、ライフル、迫撃砲や通信施設なども供与される。特殊部隊を含む米兵の訓練を受けるのは、強化されることになった国連シエラレオネ派遣団(UNAMSIL)に加わる3000人から4000人のナイジェリア兵だ。
 アフリカの紛争に対する米政府の姿勢は迷走してきた。1993年のソマリアPKOで、米兵十数人が殺害され、遺体が路上で引きずり回される映像が流れたことに衝撃を受けたクリントン政権は、犠牲者の出かねない紛争地への派兵に消極的になった。
 クリントン大統領は一時、場所を問わず、民族、宗教紛争には人道的な理由で介入する、との「クリントン・ドクトリン」を表明したものの、国連平和維持軍の兵士約500人が反政府勢力に捕まる危機に陥ったシエラレオネ紛争には、結局、何もできなかった。
 今回、ナイジェリア軍の本格的なテコ入れに踏み切ったのは、民政に移行した産油国ナイジェリアを「米国のパートナー」(バーガー氏)に格上げすることが可能となったからだ。東ティモール紛争で活躍したオーストラリアのような地域の中心的な存在になれば、将来、アフリカの紛争に軍事介入すべきかどうか、という議論に悩まされなくてもすむ、との計算も働いているようだ。
 ただ、シエラレオネでのナイジェリア軍の行為は、米国の人権団体の厳しい批判を浴びている。国防総省高官は、駐留の長期化も覚悟して、「規律をたたき込む」と語っているが、今回の方針を支持している議会にも、「女性や子供を人間の盾にとるシエラレオネの反政府勢力と向かい合った時、ナイジェリア兵がどんな対応をとるか」(ギルマン下院外交委員長)と懸念する声が出ている。
 大統領はナイジェリアに続き、28日にはタンザニアを訪れる。[2000-08-25-19:05] 71
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 08/25@<この人と>国連人口基金大使のワリス・ディリーさん(1)(毎日新聞)

 ソマリアで遊牧民の家庭に生まれ、牛やヤギの世話に追われていた少女が、世界のトップモデルに――華麗なシンデレラ物語の主人公として、欧米メディアの注目を集めてきたのはニューヨーク在住のモデル、ワリス・ディリーさん(33)だ。1997年からはアフリカ諸国などで行われている女性の性器切除(FGM)の廃絶を目指した啓発活動を国連人口基金の大使として続けている。自らも5歳の時にFGMを経験し、その苦痛を抱えながらも、運命に負けず、前向きに生きてきた。その半生は自叙伝「砂漠の女ディリー」(草思社)を通じて知られ、日本でも共感を呼んでいる。国連人口基金ニューヨーク本部で会ったディリーさんは小柄で、繊細さを感じさせる女性だった。  【生長 恵理】
 ―国連大使として、何をしてきましたか。
 ▼アジアと南米を除く、多くの国々を訪れ、さまざまな人々と会いました。ニュージーランドを訪れた際、1982年からFGM廃絶に取り組んでいるグループに、「あなたが今ごろやって来て、何が出来るのか」と言われましたが、それ以外のどこの国でも歓迎されました。約15カ国の政府が既に、FGMを非合法化しています。
 ―FGMが伝統的に行われている国々での反応は。 
 ▼私がセネガルを訪れたとき、政府はFGM廃絶のために努力していました。政府の役人に限らず、私が会った人々は皆、FGMが悪いことだと同意してくれました。しかし、辺境で暮しているような人々はそうとは知らずに、まだ続けているのです。
 ―あなたにとって、FGMは生涯で最も苦痛を感じる経験でしたか。
 ▼(声が小さくなり)ええ。本を読んでくれれば、そのひどさが誰にでもわかってくれるでしょう。
 ―大使の仕事を今後も続けたいですか。
 ▼大使であるかどうかは重要ではありません。皆のために、私がしなければいけない仕事として、FGMに反対しています。私はたまたま、FGMを経験し、それについて発言し続けないといけないと考えています。大使であろうが、なかろうが、FGMに反対していきます。
 ―息子さんが生まれ、FGMに対する考えは変わりましたか。
 ▼息子は3歳になります。子供が生まれ、子供のか弱さを感じ、子供を守るために、自分が強くなり、闘わなければならないと思うようになりました。FGMについても、ひどいものだとより強く感じるようになりました。子供を傷つけることをなぜ、母親がやらせるのでしょうか。この世にはFGMの問題だけでなく、子供の安全、エイズ、女性の暴力など、さまざまな問題があり、私はすべて人権侵害だと思っています。私は人権のために闘っていると考えいます。
 ―どうして、FGMのような残酷な風習が続けられているのでしょうか。
 ▼FGMをやめさせるためには、教育が必要です。政府や政治家は人々に話し、人々の意識を高めなければなりません。FGMがなくならないのは、需要があるからです。FGMを受けていない娘は結婚できない、と信じている男性や母親をもっと教育しなければならない。私も息子に教えます。神は私たちの体を、必要に応じて創ってくれました。どんな部位にもそれぞれに意味があるのだから、人間がわざわざ性器を切除することはないのです。母親たちに教えましょう。政府に手紙を書いたり、コミュニティで活動して欲しいのです。これは、あなたが考えるよりも重大な問題です。世界で少女たちが死に続けています。無視することは出来ません。
 私は中絶や売春についても、闘うつもりです。この世には、女性について、悲しくなる出来事がたくさんあります。私たち女性は、母なる大地です。生命をこの地球にもたらすことができるのです。愛され、尊敬されなければなりません。なぜ、ひどい扱いを受けるのでしょうか。
 ―劇的な人生を歩んでこられましたね。なぜ成功することが出来たのでしょうか。
 ▼(肩をすくめて)その質問に答えはありませんね。この世になんらかの理由があったんです。私はこれまでに何度も死にそうになりましたが、誰かがいつも救ってくれました。私が存在していることに、理由があるのだろうと考えています。私はそばに天使がついていると感じています。望んだことは、かなえてくれ、私を決して、がっかりさせないんです。
 ―英国放送協会(BBC)が95年、ドキュメンタリー番組を製作するために、あなたをソマリアへ案内し、お母さんと再会することが出来ましたね。その後、故郷を訪れたり、お母さんには会っていますか。
 ▼ソマリアには、BBCの取材以来、帰ってなく、母にも会っていません。遊牧生活をしているので、連絡をとることは難しいのです。しかし、兄弟や姉妹を通じて、消息を聞くことができます。
 ―出身地であるアフリカへの思いを聞かせて下さい。
 ▼FGMのために、アフリカを嫌うなんてとんでもない。私はこれまで、子供時代の放牧生活と、モデルとしての生活と、二つの世界を経験してきました。ソマリアでは貧しい生活でしたが、自然と家族に支えられた生活を満喫しました。私は、二つの世界の最もすばらしい部分を経験したと考えています。
 ―あなたの望みは何ですか。
 ▼この世から、痛みや苦しみがなくなることです。
 ―これからの挑戦は。
 ▼私は今、2冊目の本を書いています。これも実話をもとにしたもので、来年出版される予定です。今はモデルの仕事はあまりしていません。育児と本の執筆で手一杯です。
 ―日本の人々へメッセージをお願いします。
 ▼本を読んでもらえれば、FGMや私について、知らなかったことをいろいろ、学ぶことが出来るでしょう。これは、悲しい話ばかりではありません。おかしい話もあります。FGMについては、こちらでは知られているけれど、とても遠い日本でも知られるようになったのは、うれしいことです。日本の少女たちからファンレターをもらっています。本をとても気にいってくれているようです。
 東京には、モデルの仕事で行ったことがあります。本を出版する際に訪日する計画がありましたが、実現しませんでした。次の本が出版されるときは、是非行ってみたいです。
 【略歴】ワリス・ディリー1967年生まれ、ソマリア出身。遊牧民として生まれ、13歳で結婚を逃れるため、首都モガデシュへ家出。14歳で駐英大使を務める叔父一家についてロンドンへ渡る。メードとして4年間働いた後に、スカウトされ、モデルに。「エル」「ボーグ」などのファション誌やショーにたびたび登場し、スーパーモデルとして活躍。現在は夫、長男とニューヨークに在住。97年、国連人口基金の大使に任命され、女性の性器切除(FGM)の廃絶に向けた活動に取り組む。
 【ことば】FGM 女性性器を切除する慣習(FGM)はアフリカ北部、中部など約30カ国で行われている。国連人口基金によると、1億3000万人の少女や女性が受けており、毎年新たに200万人の少女が経験する。非衛生的な状況で切除が行われて、感染症で命を落としたり、生涯に渡り苦しむ女性が少なくない。
 国連はFGMを女性に対する暴力とし、国連機関やNGOが廃絶に向けた啓蒙活動を行っている。6月に開かれた国連特別総会「女性2000年会議」の成果文書は、1995年に北京で開催された第4回世界女性会議以降、各国政府がFGMの非合法化、教育などを進めていることに触れ、FGMに関する国連人口基金大使の活動も評価している。[2000-08-25-12:51] 70
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 08/25@<この人と>国連人口基金大使のワリス・ディリーさん(2)(毎日新聞)

 ディリーさんの波乱に満ちた半生を綴った自叙伝「砂漠の女ディリー」は98年に欧米で出版されてベストセラーになり、日本でも昨年、翻訳・出版された。名前の「ワリス」は砂漠に咲く黄色い花を意味するという。
 ソマリアの遊牧民の家庭に育った13歳の少女、ワリスは家出をし、砂漠にいた。ラクダ5頭と引き換えに父親が決めた老人との結婚を逃れるために、首都のモガディシュを目指して走った。疲れて寝入ったが目にしたのは、オスのライオンだった。身を守るすべがなく、ただアッラーの神に祈った。「神様。これがわたしの運命なら、どうぞ、いますぐ、殺してください」
 ライオンはワリスの前を行ったり来たりしたが、結局、歩み去った。「神は私を生かしておく理由をお持ちのようだ。その理由は何ですか。どうぞ、お導きください」。ワリスは立ち上がり、苦難の末、モガディシュへたどり着くことが出来た。
 ワリスの母親はモガディシュの出身だが、16歳で遊牧民だった父親と駆け落ちし、10人の子供を産んだ。一家はラクダ、ヤギ、牛などの家畜を飼い、3、4週間ごとに砂漠を移動した。ワリスも6歳の頃には、60頭から70頭のヤギや羊の世話を任されていた。合間に兄弟や姉妹と遊び、自然や動物と一体になる喜びを感じながら成長した。
 ワリスはモガディシュで姉や親戚の家を転々とし、働いて母親に送金しようとするが、うまくいかない。ある日、駐英大使の叔父がメードを探していると知ると、ロンドンがどんな所か想像できなかったが、連れて行ってくれるように頼む。大使館で過ごした4年間は、メードの仕事であけくれ、外の世界をほとんど知ることができなかったが、叔父一家が帰国する際、一人だけロンドンに残ることを選んだ。頼りになる人は誰もいなかったが、初めて得た自由に感激し、自分の力で生きていくことを決意する。
 英語も十分に話せない不法滞在者として、マクドナルドで働き、YMCAに部屋を借りた。メードだった頃、写真を撮らせて欲しいと声をかけた写真家にある日、マクドナルドで再会。撮影に応じると、さらに有名な写真家の目にとまり、プロのモデルとして働き始める。ジェームズ・ボンドの映画「リビング・デイライツ」に出演するなど、次々チャンスをつかんだ。
 その一方、人には言えない肉体的な苦痛を抱えていた。5歳のとき、FGMを受けていたのだ。ソマリアでは、女の子は足の間に悪いものをつけて生まれており、それを取り除かなければ、結婚出来ないと言われていた。女性器のクリトリス、小陰唇、大陰唇などを取り除き、尿道だけを残して、糸で縫合することで、その少女は結婚するまで、処女であることが保証される。「ジプシーの老婆」がカミソリでその「儀式」を行い、苦痛のあまり失神した。FGMを受けた少女は出血多量、ショック、感染症、破傷風などで命を落とすことも珍しくない。ワリスも姉や従妹を失っていた。
 放尿や生理のたびに感じる苦痛を耐えかね、意を決して、縫合を除く手術を受けた。「わたしの体は完全に元に戻った。いや、正確に言えば、完全に元に戻ったわけではないけれど、少なくともFGMを受けていない女性と同じように暮らせるようになった。トイレに行っても、みんなと同じように用が足せる。そのときの晴れ晴れとした気持ち!これは、とても言葉では言い表せない解放感だった」
 ワリスは正式なパスポートを得るために偽装結婚を企て、ニューヨーク、パリ、ミラノなどでモデルとして活躍した。「ソマリアの遊牧民出身」という生い立ちも知られ、BCCは95年、ワリスの歩みを振り返るドキュメンタリー番組を制作。15年ぶりに帰国し、母親との奇跡的な再会を果たした。
 ニューヨークに居を移したワリスは、ジャズバーで見かけたドラマーに一目ぼれする。この米国人の黒人男性、デイナと同せいし、妊娠。偽装結婚の相手ともめた末に別れて結婚する。97年に男の子が生まれ、ソマリア語で強いライオンを意味する、アレエケと名付けた。
 母親になったワリスは生命の尊さに感動し、自らの半生を振り返った。FGMに心身が痛めつけられ、「自分が不完全で、不十分だ」という思いから逃れられずにいる。なぜ、多くのアフリカの少女たちにFGMが行われているのかと考え続けたが、納得できる理由は思い当たらず、怒りが膨らんだ。それが「犠牲者」であった自分を乗り越え、同じ目にあっている世界中の少女たちのために行動する原動力になった。
 祖国ソマリアの女性たちの苦しみを代弁しようと、雑誌のインタビューでFGMを受けた経験を初めて語った。掲載された記事は評判を呼び、さらにテレビ番組や講演でも語るようになる。ついには国連人口基金がFGM廃絶に向けたキャンペーンのために、協力を要請してきた。ワリスはこれが神が定めた自分の使命ではないかと考え、大使として働くことを了承した。
「私の目標は、アフリカの女性を救うことである。私は女性たちにもっと強くなってほしい。弱くなってほしくないのである。FGMは、女性を肉体的にも、精神的にも弱くしてしまう。子供のときに体の一部を切り取られ、残りの人生を弱った体で過ごさなくてもよくなったら、アフリカの女性たちはどんなにのびのびと、いろいろなことができるようになるだろう」
 ワリス・ディリーさんの自叙伝「砂漠の女ディリー」は日本では昨年10月に草思社から出版され、これまでに7刷、約4万8000部が売れた。編集者の田中尚史さんは「想像を超えたヒットになりました。日本で彼女の知名度は低く、ここまで売れるとは思いませんでした」。本は女性雑誌などで好意的に紹介され、その後は口コミで広まっているという。
 返送された読者カードから、ディリ―さんの前向きな生き方、FGM、遊牧民の生活などへの関心がうかがえる。田中さんは「自分の生き方に悩む20代後半から30代の女性たちが、FGMというトラウマを乗り越えて成功した彼女に共感しているようだ」と話している。[2000-08-25-12:51]
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 08/26@民主化を問うユーゴ総選挙まで1か月(読売新聞)

 【ウィーン26日=佐々木良寿】ミロシェビッチ大統領再選による強権体制存続か政権交代による民主化か、を問うユーゴスラビア(セルビアとモンテネグロで構成)の連邦議会総選挙及び大統領選は、九月二十四日の投票まで一か月を切った。焦点の大統領選では、野党候補有利が伝えられるが、ミロシェビッチ政権側は政権延命を至上命題としているだけに公正選挙は期待薄で、野党苦戦は必至。選挙結果次第では、モンテネグロで連邦離脱の動きが強まるとの見方は強く、ユーゴ情勢は不透明感を増しつつある。
 選挙が行われるのは、連邦大統領、上院(定数四十)、下院(同百三十八)とセルビア地方選。上下両院選は、反政権路線を歩むモンテネグロのジュカノビッチ政権がボイコットを決めていることから、同共和国への議席割り当て分の上院二十、下院二十五前後をミロシェビッチ陣営が手にするのは確実で、同陣営有利は動かない情勢だ。
 最大の焦点は大統領選。社会党のミロシェビッチ大統領、野党十五党による「民主野党連合」のボイスラフ・コシュトゥニツァ・セルビア民主党党首、最大野党「セルビア再生運動」のボイスラフ・ミハイロビッチ・ベオグラード市長、極右民族主義の急進党からトミスラフ・ニコリッチ副党首の四人が立候補しているが、ベオグラードの独立系民間調査機関の最新の調査では、コシュトゥニツァ党首が35%でミロシェビッチ大統領23%をリード、他の調査機関も、同党首30%、大統領25%との結果を発表しており、二人による一騎打ちの様相が濃厚だ。
 連邦選挙法は、当選には過半数の得票が必要とし、第一回投票で決まらない場合は、上位二候補による決選投票を規定。決選投票にもつれ込む公算が大きいが、「連合」側にとり最大の懸念は選挙の公正さだ。
 大統領陣営は、さきの世論調査結果を「(野党側の)希望的観測に過ぎない」としながらも、「社会党はこれまで同様、選挙民の意志を尊重する」と述べているが、政権側は選挙当局を握っているうえに、国際選挙監視団の受け入れも拒否しており、選挙結果を自由に操作できる態勢で、第一回投票でミロシェビッチ大統領が勝利宣言するとの見方は強い。
 大統領陣営は、独立系メディアを封殺する一方で、国営メディアを通じて、戦後復興の成果を大々的に吹聴するなど政治宣伝を展開しているが、独自調査で60%が野党候補に投票するとの結果が出たことにショックを受け、立候補届け出に際して、官公庁や企業の職場で、労組などを通じて半強制的な大統領支持の署名集めを展開したともされ、「連合」側は、大統領勝利を裏付けるための不正工作の一貫と見て警戒感を強めている。「連合」は、九月一日から全国遊説を開始することにしているが、政権側が警察力を増強、連邦軍も「内なる敵との戦いが最大の課題」と公言していることから、大規模集会などはできそうにない。そのうえ、これまで野党勢力による反政府運動のかく乱要因となってきた再生運動がコシュトゥニツァ批判を展開、足を引っ張られていることも頭の痛い点だ。二十五日には、八〇年代にミロシェビッチ氏を引き立て権力者への道をつけながら、その後批判派に転じたイワン・スタンボリッチ元セルビア大統領が消息を断つ事件が発生するなど不穏な空気も流れ始めており、「連合」は極めて厳しい状況での選挙戦を強いられている。[2000-08-26-19:05] 11
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 08/26@◎アフリカは無視されている=コソボと比較し先進国に苦言−(時事通信)

 【ロンドン25日時事】ヨハネスブルクからの報道によると、南アフリカ共和国のマンデラ前大統領は25日、市内の大学で講演し、アフリカは先進国から無視されていると訴えた。マンデラ氏は「北大西洋条約機構(NATO)がユーゴスラビア・コソボ自治州の紛争に介入したのとは対照的に、(1991年から続く)シエラレオネの紛争は国際社会から事実上見捨てられている」と述べた。
 また、隣国ブルンジやコンゴ(旧ザイール)の内戦に介入を続けるルワンダについて、「国際社会は(90年代半ばの)大虐殺がすべて終わってから悔やんだが、できることはまだある」と指摘。アフリカの紛争にもっと関心を向けるよう世界に訴えた。 [時事通信社][2000-08-26-06:34] 111
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 08/26@<ミャンマー>スーチーさん車内ろう城3日目に 長期化の可(毎日新聞)

 【バンコク26日小松健一】ミャンマーの民主化運動指導者で、野党・国民民主連盟(NLD)書記長、アウンサンスーチーさんがヤンゴン郊外を乗用車で移動中に軍事政権当局に制止され、車内でろう城を始めて26日で3日目に入った。スーチーさんの車内ろう城は1998年8月以来2年ぶりで、今回は、3年半ぶりに大学の授業が再開されたのを受けて国際社会が軍政に寛容な政策をとり始めたことをけん制する狙いがあるとみられる。ろう城は長期化する可能性が高い。
 ヤンゴンからの情報によると、スーチーさんはヤンゴンから約35キロ離れたダラ地区で車内ろう城を続け、NLDメンバーらが食料や水を差し入れているほか、当局も医療チームを現場に待機させている。英国のクック外相は25日「軍政はスーチーさんに対する移動制限を撤廃し、スーチーさんとの対話に応じるべきだ」と軍政を批判した。
 軍政は、国際社会がミャンマー支援の条件の一つとしていた大学の授業再開を今年6月下旬に3年半ぶりに実施。その直後に日本がミャンマーの経済構造改革を支援する会合を開催し、欧州連合(EU)も人道支援拡大の検討を進めると同時にミャンマーの民主化問題で凍結していた東南アジア諸国連合(ASEAN)との定期外相会議を3年ぶりに今年12月に再開することを決めるなど、国際社会が軍政に寛容な姿勢を見せ始めている。
 これに対しスーチーさんは22日にバンコクで公表されたビデオ演説で「大学再開は批判をかわすための見せかけにすぎず、学問の自由は保証されていない」と訴え、人道支援を含めてあらゆる支援策を停止するよう国際社会に呼びかけた。車内ろう城も、そのアピールの一環とみられる。
 一方、ミャンマー国外で活動する反体制派関係者によると、今月に入って国家計画・経済開発省のゾートゥン次官(准将)が軍政の経済政策を批判して解任されたほか、ニュンテイン海軍司令官ら軍の将官級が相次いで更迭され、軍内部で軍政への不満が出ているという。スーチーさんはこの時期にろう城を行うことによって、国内的にも反軍政の声を結集したい狙いがあるとみられる。[2000-08-26-18:34] 152
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 08/26@シエラレオネに2万人を PKOで国連事務総長勧告(共同通信)

 【ニューヨーク25日共同】アナン国連事務総長は二十五日、大量拘束事件が起きた国連シエラレオネ派遣団(UNAMSIL)を二万五百人規模まで拡大させるべきとの勧告を盛り込んだ報告書を国連安全保障理事会に提出した。
 UNAMSILの要員は現在約一万二千四百人で、展開中の国連平和維持活動(PKO)としては最大規模。勧告はこれをさらに大幅増員させることになる。
 報告書はシエラレオネの反政府勢力、革命統一戦線(RUF)は数千人の兵力を有し、同国の多くの地域を支配下に置いていると指摘。RUFを和平プロセスに関与させるには「軍事面のみならず、経済、政治面でも国際社会の圧力が不可欠だ」と、既に実施されているダイヤモンドと武器の禁輸措置継続も求めた。(了)[2000-08-26-10:24] 6
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 08/26@◎ストイコビッチ、集大成飾った35歳の妖精=Jリーグオー(時事通信)

 スター選手が勢ぞろいした中で、ストイコビッチがひときわ輝いた。まるで一人でゲームを支配しているかのように、抜群のキープ力とパスセンスを披露。最年長の35歳の年齢を感じさせず、90分間動き回った。絶妙のアシストで森島、西沢のゴールを引き出しただけでなく、自らのFKでネットを揺らし、最後まで観衆を魅了した。
 3度目のMVP。Jウエストの4連勝すべてに貢献してきたストイコビッチにとって、日本での集大成として格別の思いがあったのだろう。今季限り、もしくは来年前期で日本を去る可能性が大きい。母国のユーゴスラビア代表の監督にも名前が挙がっている。「今回が最後になるかもしれないけど、あまり意識しないで、集中していいプレーを見せようと思った」。観衆の期待にこたえるということは、プロとして当然の義務だが、これほど完ぺきに果たせる選手はそうはいない。
 「パスを出すタイミングがパーフェクト。感動した」と2ゴールを決めた西沢。マークしたJイーストの中田は「ボールを取ることができないし、パスコースを良く見ているのでやりにくかった」と舌を巻いた。一緒にプレーした選手たちも、格の違いをまざまざと見せ付けられた格好となった。
 Jリーグが発足して8度目の祭典。日本のレベルは上がり、世界との差がある程度は詰まってきているはずだ。しかし、引退間近の妖精(ようせい)が残したメッセージは世界の壁の厚さを改めて感じさせるものだった。(了)[時事通信社][2000-08-26-21:43]
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 08/27@南東欧で山火事続く、ギリシャでは7人死亡(読売新聞)

 【ローマ支局】連日の猛暑に襲われている南東欧では各地で大規模な山火事が発生、ギリシャでは二十四、二十五日の二日間で七人が死亡、アルバニア国境に近い北西部一帯の村から住民数百人が避難した。報道によれば死者はいずれも高齢者で、逃げ遅れて自宅で火にのまれたり、煙を吸ったりしたという。救援策として、イスラエルが五機の消火ヘリ派遣を決めた。
 イタリアでも中、南部で林野火災が続き、ここ数日で三千ヘクタール以上の山林や農地が焼けた。予報では猛暑と乾燥状態はしばらく続く見込みで、火災の被害もさらに広がりそうだ。[2000-08-27-11:17] 22
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 08/27@東ティモール独立派最高指導者、辞任表明後すぐ撤回(読売新聞)

 【ディリ(東ティモール)27日=本田路晴】東ティモール独立派の最高指導者、シャナナ・グスマン氏が二十七日、ディリで開催中の独立派組織の連合体、「東ティモール民族抵抗評議会(CNRT)」の全国代表者会議で、いったん同評議会議長辞任を表明したが、周囲の慰留を受ける形で数時間後に辞意を撤回する騒ぎがあった。辞任騒動の背景には、CNRT内部で激化する各組織の派閥抗争や芽生えつつあるグスマン氏への批判があると見られる。
 グスマン氏は二十七日午前、七日目を迎えたCNRT全国代表者会議で、東ティモールの将来像について二時間にわたって演説した。その最後で突然、「私はCNRTの要職から退く」と述べ、議長職からの辞意を明らかにした。続いて演壇に上がったノーベル平和賞受賞者でCNRT副議長のラモス・ホルタ氏も同様に副議長からの辞意を発表した。
 グスマン氏はその後、記者会見でもあらためて辞意を表明した。
 しかし、大会の参加者の間からは、グスマン、ホルタ両氏の留任を求める声が強く出て、なかには会場で泣き叫ぶ支持者もいた。
 こうした辞任反対の声を受け、グスマン氏は二十七日午後になって、一転して、辞意を撤回した。
 また、ホルタ氏も同様に辞意を撤回した。
 今回の辞任騒動の背景には、CNRT内部の意見対立やグスマン氏に対する批判などがあるとみられる。
 グスマン、ホルタ氏ら最高指導者は、独立後の東ティモールの公用語を現地のテトゥン語ではなく、旧宗主国言語であるポルトガル語にすると主張しているが、東ティモールの地に踏みとどまってこれまで独立闘争を戦い抜いてきたグループは、これに反発していた。
 今回の会議でも、ポルトガル語が使用されたが、言語を理解できない若い世代からの不満が高まっていた。二十七日行われたグスマン氏の基調演説でも、古参の指導者の一人が、「通訳を付けなければ分からない。ポルトガル語でやるのはおかしい」と異を唱えたため紛糾し、演説の開始は予定より一時間近く遅れた。
 また、グスマン氏が地元出身の前妻と別れ、オーストラリア人女性と再婚したことも、離婚を許さないカトリック信者が多い東ティモールでは、反発を買っていた。
 ただ、様々な利害、立場が対立する独立派の連合体であるCNRTを束ねられるのは、国民の強い支持を得ているグスマン氏しかいないのが現状だ。今回の辞意表明は、「グスマン氏以外に指導者はいない」ということを会議参加者に周知させて内部対立を抑え、自らの指導力強化を狙ったとの見方も出ている。[2000-08-27-21:58] 23
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 08/27@国連PKO司令官「東ティモール併合派の管理困難」(読売新聞)

 【ディリ(東ティモール)27日=本田路晴】今月三十日の住民投票一周年を前に東西ティモールの境界では、併合派民兵による国連平和維持軍や地元住民への襲撃が続いている。国連平和維持軍のブンサーン・ニャンプラデット司令官(タイ軍中将)は二十六日、本紙との会見で「与えられた人数で境界地帯を完全に管理することは難しい」と語り、併合派を抑え込むことは困難との見方を示した。
 同司令官によると、西ティモールと接する東ティモール領内には約十の併合派民兵グループが展開している。国連平和維持軍は百七十二キロに及ぶ境界地帯に六つの検問所を設け、取り締まりにあたっているが、民兵らは併合派住民の手引きで東ティモール領内に侵入するため、取り締まりは効果があがらずにいる。
 司令官は「それぞれのグループは最小で五人、最大でも二十人程度と規模も小さい」としながらも、「たとえ数人でも騒ぎは起こせる」と自動小銃で武装しゲリラ戦をしかける民兵らの現状を語った。
 将来創設される東ティモール国軍は、約八百人の現役兵士と、七百人の予備役を擁するとされる。しかし同司令官は「最低でも千五百人の常備軍と千五百人の予備役が必要」と、より強力な国軍の創設を訴えた。[2000-08-27-21:53]
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 08/28@中国がモンテネグロに総領事館開設へ(読売新聞)

 【ウィーン27日=佐々木良寿】ユーゴスラビア連邦モンテネグロ共和国からの報道によると、同共和国を訪問中の中国の劉古昌外務次官補は二十六日、中心都市のポドゴリツァでブランコ・ルコバツ共和国外相と共同記者会見し、「中国政府はすでに総領事を任命しており、近く総領事館の開設準備に取りかかる」と述べ、同市に総領事館を開設することを明らかにした。
 記者会見でルコバツ外相は、ユーゴ連邦のミロシェビッチ政権によるモンテネグロ締め付け政策などについて劉次官補に説明したとしたうえで「総領事館開設は、中国との協力関係にとって極めて重要」と期待感を表明した。[2000-08-28-01:03] 2
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 08/28@◇中国がモンテネグロに領事館設置へ◇(朝日新聞)

 ユーゴスラビア連邦を訪問している中国の劉古昌外務次官補は26日、セルビアとともに連邦を構成するモンテネグロを訪れ、首都ポドゴリツァに中国領事館を設けることを明らかにした。
 親欧米路線を歩むモンテネグロは連邦から半ば独立状態にあり、セルビアとの間で緊張が高まっている。中国が関係を強化したことは連邦にとって外交上の痛手と言える。
 ロイター通信によると、共同会見で劉次官補は「中国は他国の内政には干渉しない」と述べたが、モンテネグロのルコバッツ外相は連邦政府による「圧力と暴力」について説明したという。[2000-08-28-00:41] 16
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 08/28@<ユーゴ>失脚したスタンボリッチ氏が不審な経緯で行方不明(毎日新聞)

 【ウィーン27日福井聡】9月24日投票の大統領選挙に向けた前哨戦が続いているユーゴスラビアで、かつてミロシェビッチ大統領を支援し、セルビア共和国幹部会議長(大統領)を務めたものの後に失脚したスタンボリッチ氏(63)が先週末、不審な経緯で行方不明となった。同氏には今回大統領選への出馬を求める声が一部にあった。野党側は政権が関与した誘拐事件とみて非難している。
 ベオグラードからの報道によると、スタンボリッチ氏は25日、同市内の自宅近くでジョギング中に突然、行方が分からなくなった。目撃者の証言によると、ベンチで休んでいるところに車が近付いた後、姿が消えたという。
 同氏はミロシェビッチ大統領の大学時代の先輩で、同大統領が社会党幹部に駆け上がった際の支援者だった。しかし路線の食い違いから大統領と対立し、セルビア幹部会議長の座から転落。その後は閑職についていたが、今回の大統領選挙でミロシェビッチ大統領の対抗馬として一時、名が挙げられた。
 野党側は「選挙が始まった時点で現職大統領の政敵が消えるという事態に、政権の関与を疑わざるをえない」「誘拐はテロ行為だ」などと次々に非難声明を出した。一方、カーチャ夫人は「夫に政界復帰の意思はなかった。政敵はいなかったはず」と話している。[2000-08-28-11:25] 123
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 08/28@デンマークでユーロ参加問う国民投票へ、世論は二分(読売新聞)

 デンマークで来月二十八日、欧州単一通貨ユーロ導入の是非を問う国民投票が実施される。欧州連合(EU)の一員でありながら「経済主権」を保つためユーロ参加を見送った同国は結局、大きな経済圏に加わるのか。世論は将来のEU政治統合をも見据え、真っ二つに割れている。一九九二年の同国の国民投票での欧州連合条約拒否(翌年に留保付きで承認)が、当時の為替相場メカニズム(ERM)危機をもたらしただけに、今回の国民投票がユーロの信認を揺るがす「第二のデンマーク・ショック」となるのか――。小国の大きな決断に注目が集まっている。(コペンハーゲンで 貞広 貴志、写真も)
 「わが国はユーロ・コインの裏側に女王の肖像を採用するという。でも、コールやらシュレーダー、シラクの顔のコインであふれ返るはずだ」
 コペンハーゲンの国会で二十五日開かれたユーロ導入を巡る公聴会で、極右政党・デンマーク国民党のピーター・スカラップ議員は、独仏の首脳を戯画化した演説で、大欧州にのみ込まれる危機を聴衆に訴えた。
 対する政府側は、「ユーロ導入で欧州中央銀行(ECB)などの決定に関与することこそ、『開かれた小国』であるデンマークが大国の支配から身を守るカギ」(マリアネ・イエルベズ経済相)と反論した。
 五時間にわたった賛否双方の激しい応酬は、国民投票で問われているのが通貨の切り替えを超え、政治や安保を含む欧州統合にどう向き合うかという大テーマであることを物語った。
 今年初めまでユーロ賛成が反対派を10〜20ポイント上回っていた世論調査の数字は、二月以降、急速に接近した。極右、極左を除くすべての主要政党と経済団体、労働組合、報道機関がユーロ賛成を表明したにもかかわらず、現在は完全に互角の情勢とされる。
 ユーロへの逆風を呼び込んだのは、極右政党が政権に加わったオーストリアに対するEU十四か国の制裁だった。これが「欧州統合とは、オーストリアやデンマークのような小国を犠牲にする動き」との連想を呼び、ドイツのフィッシャー外相がぶち上げた独仏を軸とする欧州連邦構想が警戒感をさらにあおった。
 かたやユーロ導入の経済効果に関しては、政府の諮問機関である賢人会議が「為替コスト削減などの利益は小さく、不確か」とする報告をまとめ、ユーロ待望論に冷水を浴びせた。国民の間では、ユーロ導入を「もはや後戻りのきかない欧州合衆国への一歩」(オーフス大のグナー・イプセン教授)とみなし、変化に背を向ける動きが出てきた。
 一方、“孤立主義”にしびれを切らし、国民の目覚めを促す動きも出てきた。
 世界有数のポンプ・メーカー、グルンドフォス社は今月十四日付の国内主要紙に、国旗をかたどったカラーの全面広告を載せた。一二一九年のエストニア征服から一九九二年のサッカー欧州選手権制覇まで、デンマークの飛躍の舞台が常に欧州であったことを示す史実を列挙し、「二〇〇〇年は?」と結んだ。
 「ユーロと欧州統合を拒めば、デンマークはいつの日か欧州の地図から消える。そんなことがわが国の国益にかなうわけがない」。ニールス・ドゥジェンセン社長は、世界への事業展開を通じて得た信念を広告に託した。
 貿易の65%が対ユーロ圏というデンマークにとって、単一通貨に加わるかどうかは大きな選択となる。国の将来を左右するその国民投票は、数%の小差で決せられることになりそうだ。
          ◇
 ◆結果「ノー」なら英などの参加延期も◆
 デンマークの国民投票で、内外への大きな影響が予想されるのは、やはり結果が「ノー」と出た場合だ。
 関係者がそろって指摘するのは、同様の国民投票を来年以降に予定するスウェーデンと英国の計画に狂いを生じさせる可能性だ。デンマークが拒んだ場合、英国とスウェーデンの両政権は、政治リスクを伴う国民投票を当面見送る公算が大きい。そして、金融街シティーを擁する英国の参加先延ばしは、ユーロが真の欧州通貨となる道がさらに遠のくことを意味する。
 また、短期的な為替相場の混乱は避けられまい。最近までユーロ加盟基準を満たしてなかったギリシャは、課税強化で財政赤字を国内総生産(GDP)比で九五年の10・2%から九九年は1・6%まで圧縮して「3%以内」の条件をクリア、かなり無理して来年からのユーロ入りを決めた。一方で、財政黒字の優等生であるデンマークが拒むことになれば、ユーロ安に拍車をかける材料となろう。
 ただ、今回の国民投票は欧州統合プロセスには混乱をもたらさない、との見方が圧倒的だ。
 九二年の国民投票では、全加盟国の批准が欧州連合条約発効の条件だったため、デンマークの否決は激震を広げ、英国とイタリアのERM離脱の引き金ともなった。今回は、デンマークがユーロに加わるかどうかという一義的には国内決定であり、「すでに十一か国に導入されたユーロ制度に後退をもたらすことはない」(ドイツ銀行のアンドレア・ツォラー調査員)というわけだ。[2000-08-28-23:02] 175
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 08/28@◎昭和天皇、軍事路線を積極支持=米歴史家が新著で主張−米(時事通信)

 【ニューヨーク27日時事】28日発売の米誌ニューズウィーク最新号によると、同国の歴史家ハーバート・ビックス氏は、昭和天皇に関する新著の中で、昭和天皇が日本の領土拡大や軍事路線を積極的に支持したと主張した。天皇側近のメモなどに基づいたもので、同誌は、平和主義者だったとの神話が崩れる可能性があると指摘している。
 「ヒロヒトと近代日本の建設」と題する同氏の著書によると、昭和天皇は対米開戦の意欲を見せる東条英機首相(当時)らに同意を与え、開戦への秒読みが始まった日から、昭和天皇は繰り返し幹部と会い、報告を受けていたという。真珠湾攻撃などで戦勝が伝えられた際には、天皇側近の日記には「天皇は軍服を着て、素晴らしい気分のようだった」と記載されているという。 [時事通信社][2000-08-28-11:52] 195
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 08/28@国家主権超え介入を アナン総長が決意と米誌(共同通信)

 【ニューヨーク27日共同】二十八日発売の米誌タイム最新号は、国連ミレニアムサミット開催を前に、コフィ・アナン国連事務総長の特集記事を掲載。同氏は「貧困、病気や紛争のために人命が脅かされた場合は常に、国際社会は国家主権の壁を超えて介入すべきだ」との決意に基づいて行動している、と指摘した。
 同誌はこの立場を「コフィ・ドクトリン」と呼び、冷戦時代に米国が共産主義に対抗すること鮮明にした「トルーマン・ドクトリン」にも並ぶ大きな影響を今後の国際関係に与え得るとの見方を示した。
 記事の中で事務総長は、米ソの衛星国が紛争の主たる当事者だった冷戦時代と違い、現在の紛争は「国際情勢を理解しない武装勢力」が引き起こしていると指摘。「武力には武力で対抗する用意がなくては何もできない」と国連平和維持活動(PKO)を強化する方針を表明した。
 同時にアナン氏は、「米国などでは(PKO活動で)自国部隊に犠牲者が出ることを嫌う傾向が広がっている」と指摘し、世界各国に積極的関与を求めた。(了)[2000-08-28-07:55] 14
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 08/28@◎外国人ヘッドコーチら承認=全日本スキー連盟(時事通信)

 全日本スキー連盟(SAJ)は28日開いた常務理事会で、役員改選に伴い新たに選出された各競技専門委員会スタッフを承認し、ジャンプは1994年リレハンメル五輪シーズンから日本チームのスタッフに加わっている、スロベニア人のバシャ・バイツ氏(38)がヘッドコーチとなった。SAJの外国人ヘッドコーチは初めて。92年以来チームを率いた小野学ヘッドコーチは統括コーチとなり、古田修一・マイカル監督が強化小委員会委員長を務める。 (了)[時事通信社][2000-08-28-20:27] [このページの最初に戻る]


 08/29@◎野党連合の統一候補がリード=ユーゴ大統領選、投票日まで(時事通信)

 【ウィーン29日時事】ミロシェビッチ大統領の続投か、反政府勢力の勝利による政権交代かが最大の焦点となっているユーゴスラビア連邦大統領選挙(連邦上下両院選、セルビア共和国地方選と同時実施)が、9月24日の投票日まで1カ月を切った。
 ベオグラードの独立系調査機関メディウムが29日発表した最新の世論調査によれば、野党15党連合が擁立した統一候補、コシュトニツァ民主セルビア党党首の支持率は35.3%と、ミロシェビッチ大統領の24.4%を約11ポイント引き離して大きくリード、政権交代を望む民意が膨らんでいる。しかし、政権側は全欧安保協力機構(OSCE)の選挙監視を拒否するなど、公正な選挙が実施されるかどうかは疑問視されている。選挙結果の公正さをめぐり、波乱は避けられない情勢だ。 [時事通信社][2000-08-29-23:02] 5
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 08/29@自由貿易協定に調印 ロシアとユーゴ(共同通信)

 【RP=共同】二十八日のロシア・ラジオによると、ロシアとユーゴスラビアは同日、ベオグラードで自由貿易協定に調印した。
 ユーゴのミロシェビッチ大統領は同日、ロシアのドンドゥコフ産業科学技術相と会談し、関税障壁の撤廃が両国を接近させる抜本的対策であるとし、今回の協定調印が経済協力を促進するだろうと指摘した。(了)[2000-08-29-13:54] 10
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 08/29@冷戦後の情報戦で勝利を CIAが分析官養成校(共同通信)

 【ワシントン28日共同】米中央情報局(CIA)当局者は二十八日、CIAがテロ、大量破壊兵器の拡散など冷戦後の新たな課題を対象とした国際情報戦に対応する情報分析専門家の育成を目的とした学校を今年五月に開校したことを明らかにした。
 冷戦後の複雑化する世界情勢の中で、インドとパキスタンによる核実験の予知失敗や在ユーゴスラビア・中国大使館の誤爆など、CIAの情報戦“敗北”が目立っており、テネットCIA長官の肝いりで設置が決まった。
 CIAはこれまでもスパイ養成訓練を行ってきたが、同校は世界各地から集まる機密情報、偵察衛星写真などの分析・管理者を育成し、CIAの最大の任務である大統領への進言を充実させるのが狙いだ。
 CIA本部に近いバージニア州北部にある同校は、CIAの幹部候補生や分析官ら数十人が学ぶ半年間のコース。
 CIAは同校の具体的な所在地や生徒に関する情報、授業内容を明らかにしていないが、当局者は「(ソ連情報に専念した)冷戦時代から冷戦後に対応したCIAの転換の一環」と説明、初の本格的な情報分析官養成学校と位置付けている。(了)[2000-08-29-09:50] 22
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 08/29@比の人質解放仲介成功でリビアが国際社会復帰作戦(読売新聞)

 【カイロ29日=平野真一】約四か月にわたりフィリピン南部ホロ島でイスラム武装組織「アブ・サヤフ」の人質となった外国人観光客のうち、リビアの仲介で解放された六人が二十九日、空路、同国の首都トリポリに到着した。六人は最高指導者カダフィ大佐と面会し、謝意を伝えた後、各国政府代表に身柄を渡されて帰国する見込み。リビア政府の仲介は、八八年の米パンナム機爆破への関与容疑など「テロ国家」として国際社会からつまはじきにされてきた同国が国際的なイメージを回復することを狙ったもので、最も劇的な形で成功したと言えそうだ。
 リビア入りした六人は、二十八日にリビアのチャーター機で出発、アラブ首長国連邦で一泊した後にトリポリ空港に到着した。公式には六人の「自由意思」によるものとされているが、各国政府が解放条件の一つとしてリビア訪問を約束したと見られている。
 一行は、八六年に米軍の空爆を受けた元兵舎で開かれた歓迎式典に出席。政府関係者が次々に登壇して「あなたがたを屈辱から解放した者の名を忘れてはならない。それはカダフィだ」などと、同大佐の「人道的貢献」をたたえた。
 リビアは比南部のイスラム地域で学校、モスクを建設するなど関係が深い上、九六年には同じイスラム武装組織「モロ民族解放戦線」と比政府との和平合意を仲介した実績もあり、今回もいち早く仲介を買って出た。直接携わってきたのは非政府機関の「カダフィ国際慈善協会」だが、大佐の長男サイフ・アル・イスラム・カダフィ氏が会長を務めており、大佐自身の意向で動いていることは確実だ。
 六人の解放に当たっては、リビアは「貧しい南部の開発を約束しただけ」としているが、比政府筋はリビアが身代金として一人当たり百万ドルを支払ったとしており、「テロ組織を利するもの」との批判もある。
 だが、事件の長期化になすすべもなかった各国政府は、リビアに謝意を表明せざるを得なかった。シュレーダー独首相は二十八日、「政府としての感謝」を表明。フランス外務省も「解放にリビアの貢献があった」との声明を発表している。
 リビアは昨年四月、パンナム機事件のリビア人容疑者二人を国連当局者に引き渡し、オランダ・ハーグで裁判が進められている。これを受けて、九二年以来発動されていた航空機の乗り入れ禁止などの国連経済制裁が凍結され、石油を中心とする欧州との取引も再び活発化している。独自のリビア制裁を実施している米政府も今年三月、米国人の渡航禁止解除の可能性を探るため、当局者をリビアに派遣している。
 リビアはこうした流れを加速化し、国際社会への全面復帰を目指しており、フィリピンでの人質事件は「渡りに船」となった。[2000-08-29-21:55] 46
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 08/29@米大統領、エジプト大統領と会談(読売新聞)

 【カイロ29日=平野真一】アフリカ二か国歴訪を終えたクリントン米大統領は二十九日朝、帰途、カイロに立ち寄り、九月十三日の交渉期限切れが目前に迫っているパレスチナ和平交渉について、ムバラク・エジプト大統領と会談した。最大の対立点であるエルサレム帰属問題の打開に向け、仲介国同士で意見をすり合わたものと見られる。
 クリントン大統領は会談前、「残り時間は少ないが、イスラエル、パレスチナ双方が山場を乗り切るのを手助けできる方法を見つけられるよう努力する」と強調。ムバラク大統領も「九月までに解決策を見い出したい」と述べた。会談後、両大統領はコメントを避けた。
 ムーサ・エジプト外相はキャンプデービッド会談再開などの「新しい計画はない」としながらも「(これまでに出た)アイデアを数日中に進展させたい」と述べ、エジプトが提案した独自案などを軸に、双方への働きかけをさらに強めていく考えを示した。
 一方、イスラエルのバラク首相とパレスチナ自治政府のアラファト議長は、九月六日からニューヨークの国連本部で開かれるミレニアム・サミットに出席する際、クリントン大統領と個別に会談する予定で、期限前に合意を達成する最後の機会となる。米大統領のエジプト訪問は、ムバラク大統領がサミットに参加しない点も考慮したものと見られる。[2000-08-29-19:27] 66
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 08/29@人的貢献で強まる対日要請 国連PKO増大が背景(共同通信)

 【ニューヨーク29日共同=伊藤英一】国連が日本に国連エチオピア・エリトリア派遣団(UNMEE)への陸上自衛隊部隊の派遣を要請した背景には、急速に増大する国連平和維持活動(PKO)要員をもはや賄いきれない国連の「お家の事情」と、国連拠出金に比べて目立たない人的貢献を日本は拡充すべきだとする米国の思惑がある。
 PKOの規模は昨年十月に設置された国連東ティモール暫定統治機構(UNTAET)から急拡大。コンゴ(旧ザイール)や要員の大量拘束事件が起きたシエラレオネなどでも大幅増員に踏み切った結果、今年八月一日時点の軍事要員と文民警察官の合計は約三万七千人と、一年前の二倍近くにまで膨れ上がった。
 多くは途上国からの要員だが、停戦監視要員を加えた総計(今年六月末現在)では英国五百六十八人、ドイツ四百七十九人、カナダ三百五十二人などで、日本の三十人は先進国の中でも際立って少ない。
 これに対し、国連職員の人件費などに充てる通常予算の今年の分担率は日本が二○・五七三%と、首位米国(二五%)との差は五%を切った。
 PKOの定員は今後、UNMEE本格展開でさらに増加するのは必至。予算面だけでなく、日本の人的貢献を求める声は一層強まりそうだ。(了)[2000-08-29-16:40] 67
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 08/29@東エルサレムは首都と確認 OIC委員会が閉幕(共同通信)

 【カイロ29日共同】モロッコからの報道によると、モロッコのアガディールで開かれていたイスラム諸国会議機構(OIC)エルサレム委員会の会合は二十八日夜、東エルサレムを将来の独立国家の首都と位置づけるパレスチナ自治政府への支援などを確認する声明を発表し、閉幕した。
 同会合は、パレスチナ和平交渉の最大の障害となっている聖地エルサレムの帰属問題などを協議するため、パレスチナ自治政府のアラファト議長をはじめ、十五カ国と自治政府の外相らが出席して開かれた。
 声明は「エルサレムがパレスチナ独立国家の首都であることを確認する」と指摘。パレスチナ国家については「(独立)宣言後に承認するよう、すべての国に求める」と訴えている。独立宣言の時期については触れていない。
 声明はまた、クリントン米大統領が在イスラエル大使館をテルアビブからエルサレムに移転させる可能性に言及したことに対し、国連決議に反するとして移転しないよう求めている。(了)[2000-08-29-16:37] 68
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 08/29@陸自のPKO派遣要請 国連、エチオピアなどへ 政府検討開(共同通信)

 【ニューヨーク29日共同=伊藤英一】アフリカ東部のエチオピア、エリトリアで展開する国連平和維持活動(PKO)に、陸上自衛隊部隊を派遣するよう国連が日本政府に要請、日本側も派遣に向け本格検討に入ったことが二十九日、明らかになった。
 約二年間の国境紛争を終結させた両国へのPKOは、コンゴ(旧ザイール)やシエラレオネなどほかのアフリカでのPKOに比べ「はるかに安全」(国連筋)との見方が有力。実現すれば一九九六年から陸自が実施している中東・ゴラン高原に続く派遣となる。
 エチオピアとエリトリアは今年六月、アフリカ統一機構(OAU)の仲介で停戦協定に調印。これを受けて、国連安全保障理事会は七月三十一日に国連エチオピア・エリトリア派遣団(UNMEE、約百人)を設置する決議を採択した。
 アナン国連事務総長はその後、UNMEEの規模を四千二百人にするよう勧告しており、安保理は九月上旬にもこの勧告に沿った決議案を採択する見込みだ。
 安保理決議によると、約千キロに及ぶ両国国境沿いのエリトリア側に幅二十五キロの緩衝地帯を設けて要員を配置する。
 日本はニューヨークの国連本部でこれまで数回開催されたUNMEE派遣国会合に外交官を出席させ、紛争当事者間の停戦合意など日本の参加に際しての基本方針「PKO参加五原則」の要件を満たすかどうかの法的検討に着手。
 UNMEEには停戦監視要員約二百人も含まれる予定だが、日本政府が平和維持軍(PKF)本体業務の凍結解除を見送った場合は、陸自からは輸送、通信など後方支援を中心とする部隊が展開することになる。(了)[2000-08-29-16:36] 85
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 08/29@◇ブルンジ和平に調印 全団体の合意は得られず◇(朝日新聞)

 7年に及ぶ内戦に終止符を打つためのブルンジ和平合意の調印式が28日、タンザニアのアルーシャで開かれた。交渉に参加している19団体すべての署名は得られなかった。和平仲介役のマンデラ南アフリカ前大統領はクリントン米大統領ら各国首脳を招き、国際社会の圧力によって参加団体に署名を促したが、長く続くフツ、ツチの対立を埋めるには至らなかった。
 ブルンジは8割以上のフツ、2割弱のツチに分かれ、対立を繰り返してきた。和平会議には、ブルンジ政府、議会、フツ系の7政党、ツチ系の10政党の代表が参加した。
 ブヨヤ大統領を始めフツ系の政党はすべて署名したが、ツチ系の6政党が署名を保留した。新生ブルンジでの議席の民族別配分などをめぐって反対意見が強かったとみられる。
 マンデラ氏は「国民が毎日殺されているのに、自分たちのことしか考えていない指導者がいる」と述べ、反対する政党代表に何とか署名させようとした。クリントン大統領も「過去の囚人ではなく、将来の建設者になるため、自ら選択を」と説得したが、ツチ系政党の翻意には至らなかった。
 ブルンジでは1993年にフツ系政党から選出されたヌダダエ大統領がツチの将校らに暗殺されたのをきっかけに、ツチに対する虐殺が起き、内戦状態になった。
 96年にはクーデターによってブヨヤ大統領が政権についたが、ツチ主導の政府軍と、フツの反政府武装勢力との戦闘が続き、20万人以上が死亡したとされる。政府軍がフツの人々を強制的に難民キャンプに収容するなどして、国際的な批判を受けてきた。
 ブルンジの和平交渉は約2年前からアルーシャを舞台に続いていた。主だった政党は署名したものの、合意から抜け落ちる政党が出たことで、合意の実施をめぐって難しいかじ取りが必要になった。[2000-08-29-13:13] 106
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 08/29@<ブルンジ>和平会議 強硬派を抱き込めず、停戦は先延ばし(毎日新聞)

 【ヨハネスブルク28日藤原章生】中部アフリカ・ブルンジの7年に及ぶ内戦の終結を目指す和平会議が28日、タンザニアのアルーシャで開かれた。当事者19派のうち16派が「和平・和解協定」に調印したものの、残る3派は調印を拒否、停戦は先延ばしとなった。停戦交渉はマンデラ前南アフリカ大統領が昨年末から仲介し、会議にはクリントン米大統領も特別参加した。しかし、内戦の主導者である強硬派を抱き込むことはできなかった。
 アルーシャからの報道によると、会議にはブルンジのツチ10派、フツ7派を含む19派の代表が参加し、12カ国の元首級が立ち合った。クリントン大統領は「調印しないのなら世界とあなた方の溝は広がるばかりだ」と説得したが、ツチ強硬派の3派が最後まで譲歩しなかった。
 ブルンジは北隣のルワンダと同様、旧支配階級ツチ、旧隷属階級フツ、さらに最下層に置かれたトワ(ピグミー)の3民族に分かれる。選挙があれば人口の8割を超すフツ族が勝つのは明らかだが、これまでツチ族がクーデターやフツ大統領暗殺で政権を握ってきた。ブルンジでは過去7年間に内戦で20万人が殺害された。[2000-08-29-09:47]
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 08/30@<ピースボート>北朝鮮訪問同行ルポ 笑顔戻った市民(毎日新聞)

 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を訪問していたNGO(非政府組織)「ピースボート」(本部・東京)の訪朝団の一行202人が29日朝、北朝鮮の貨客船「万景峰(マンギョンボン)92号」で新潟市の新潟西港に帰国した。一行は日朝国交正常化交渉が行われる中、22日に新潟を出発。北朝鮮で、現地の人たちと国交正常化や日本の戦後補償について意見を交換した。南北首脳会談後初めての大型訪朝団に同行し、5年ぶりに北朝鮮を訪ねた。 【戸嶋 誠司】
 ■余裕と自信■
 30度近い暑さの平壌市内。いたるところに「社会主義強盛大国へ」のスローガンがある。食糧難が最も深刻だった1995〜96年当時、「苦難の行軍を勝利の行軍へ」といった悲壮なスローガンが目立っていたのとは対照的だ。街角にはアイスクリームや菓子パンの屋台が並び、通りを歩く市民の表情も屈託がない。あちこちで、10月10日の労働党創設記念日に向けたマスゲームの練習も行われていた。
 夜になっても人通りは絶えない。電灯の少ない暗がりの市内を歩くと、高層アパートの家々の窓から明かりが漏れ、テレビや食事のにぎやかな音が聞こえる。自動車の数も増えた。同行した軍事ジャーナリストの前田哲男・東京国際大教授は「96年の訪朝時に比べて生活騒音が大分増えた。南北の緊張緩和と順調な食料生産が、市民に自信と余裕を取り戻させたように感じる」と話した。
 ■謝罪と補償■
 「日本政府の公式の謝罪と、北朝鮮人民に与えた苦痛に見合う応分の補償がなければ国交正常化はあり得ません」。26日、平壌市の人民大学習堂で開かれた国交正常化をめぐる意見交換会。対外文化連絡協会(北朝鮮の外国人受け入れ機関)の鄭崙会(チョンユンフェ)日本局長は、訪朝団に強い口調で述べた。
 「100万の殺りく、600万の強制連行、20万の従軍慰安婦連行」。北朝鮮側が挙げる植民地被害の実態だ。13歳で従軍慰安婦にさせられた金英淑(キムヨンスク)さん(南浦市)は、対面した日本人参加者の前でいきなりチマチョゴリを脱ぎ、日本兵が銃剣で刺した背中の無数の傷跡を見せた。「兵士は抵抗する私のまたの間まで刺した。できることならその日本兵に復しゅうしたい」
 悲痛な叫びに若い参加者は言葉を失った。平壌外国語大生とのサッカー交流の場でも、同大の学生が日本の大学生に謝罪と補償の必要性を説いた。
 ■開放の兆し?
 政策変更を予感させるいくつかの兆しもあった。
 訪朝団が必ず案内される万寿台の丘の故・金日成(キムイルソン)主席の銅像。恒例の銅像への献花が省かれた。ピースボート共同代表の吉岡達也さん(39)は歓迎宴のあいさつ文の事前チェックが全くなかったことにも驚いた。「わずかだが対応が柔軟になった。外国との交流を意識し始めたのだろうか」
 滞在先の羊角島ホテルには中国人約500人も宿泊していた。3泊4日2000元(約3万5000円)の観光旅行。中朝国境近くの丹東市から来た医師の男性は「列車で約8時間。私たちには便利な海外旅行だ」と話した。ホテル内には米ドル、香港ドル、日本円が使えるマカオ資本のカジノや、1杯2ウオン(約100円)の生ビールを売る工場もあった。
 ただ、金日成主席や金正日(キムジョンイル)総書記への個人崇拝は依然根強い。日本人訪朝団の受け入れも、補償要求を日本側に明確に意識させる狙いが込められている。南北融和への積極姿勢と日本への厳しい対応に、北朝鮮のしたたかな外交術を垣間見た。[2000-08-30-00:25] 9
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 08/30@米大統領ら14人起訴 ユーゴ検察(共同通信)

 【ベオグラード29日ロイター=共同】ユーゴスラビア国営タンユグ通信によると、ユーゴ検察当局は二十九日、一九九九年の北大西洋条約機構(NATO)によるユーゴスラビア空爆などに関する罪で、クリントン米大統領ら西側指導者十四人を起訴した。有罪であれば、禁固十五年から二十年になるという。
 空爆当時、NATO事務総長だったソラナ欧州連合(EU)共通外交・安全保障上級代表や英国、フランス、ドイツの指導者らも起訴された。罪状には、一般市民の虐殺のほか、ミロシェビッチ・ユーゴ大統領に対する暗殺計画なども含まれているという。
 検察当局者は、空爆で、一般市民五百四人、兵士、警官三百八十七人が犠牲になったとしている。(了)[2000-08-30-11:40] 10
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 08/30@ユーゴ首相が米ビザ申請 国連サミット出席で(共同通信)

 【サラエボ29日共同】ユーゴスラビア連邦モンテネグロ共和国の日刊紙ビエスティは二十九日、ブラトビッチ・ユーゴ首相が九月六日から開かれる国連ミレニアムサミット出席のため、ブダペストの米大使館にビザを申請したと報じた。
 首相はミロシェビッチ・ユーゴ大統領の側近として米政府が入国を拒否している人物の一人。同紙によると、予想外のビザ申請は、ユーゴとは別に国連に議席を得ようとするモンテネグロ共和国の外交工作を妨害するのが目的の一つ。
 米大使館は同日までにビザを発給していない。
 ブラトビッチ首相はモンテネグロ出身で、同共和国でミロシェビッチ大統領の意向を代弁する存在。(了)[2000-08-30-09:20] 12
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 08/30@子供への暴行を批判 コソボで独外相(共同通信)

 【サラエボ29日共同】ユーゴスラビア・コソボ自治州を訪問したドイツのフィッシャー外相は二十九日、プリシュティナで記者会見し、同自治州での少数派セルビア人の子供に対する暴行が目にあまると、アルバニア系住民を批判した。
 コソボでは十九日、バスケットボールをしていたセルビア人の子供に向けて手りゅう弾が投げられ九人が負傷したほか、二十七日にはアルバニア系住民が運転する車にセルビア人の子供一人がひき殺される事件があった。
 外相は「コソボの各政党はこうした残酷な行為を非難すべきだ」と述べ、民族対立で子供が犠牲になっている現状に強い懸念を示した。(了)[2000-08-30-08:29] 13
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 08/30@◎米大統領ら14人を戦犯で起訴=民間人大量殺害で欠席裁判(時事通信)

 【ウィーン29日時事】ユーゴスラビア国営タンユグ通信によると、ベオグラード地検は29日、コソボ自治州紛争をめぐる昨年の北大西洋条約機構(NATO)軍のユーゴ空爆作戦を指揮したクリントン米大統領らNATO指導者14人を戦争犯罪で起訴した。被告不在のまま、公判を開始する方針という。
 同地検は、NATO軍は空爆中、民間人を大量虐殺する戦争犯罪を繰り広げたと断定。クリントン大統領を筆頭にブレア英首相、シラク仏大統領、シュレーダー独首相らNATO主要国首脳のほか、空爆推進の急先ぽうだったオルブライト米国務長官やクラーク前欧州連合軍最高司令官ら14人からなる被告人リストを公表した。地検によれば、昨年3月下旬から6月初めまで78日間にわたった空爆で、ユーゴ民間人約500人が死亡した。 [時事通信社][2000-08-30-06:50] 118
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 08/30@◇政府、密約を否定 日米安保の秘密合意認めず◇(朝日新聞)

 核兵器を積んだ米艦船が日本に寄港したり、朝鮮半島有事で米軍が日本国内の基地から出撃したりする場合、日米間の事前協議は必要ないとした日米安保条約に関する秘密合意が明らかになったことについて、政府は30日、「密約は存在しない」と改めて秘密合意の存在を否定し、米政府に照会するなどの調査をする考えもないことを明らかにした。また核搭載艦船の寄港や朝鮮半島有事での出撃には事前協議が必要だとする見解も示した。
 森喜朗首相は同日夕、記者団の質問に答えて「日米安保に密約は一切ない」と述べ、改めて調査するかどうかについても「そんなことをする必要はない」と答えた。中川秀直官房長官も「政府としては、こういう文書は存在しない、という立場だ。調査する考えもない」と語った。
 同日の参院決算委員会では、福島瑞穂氏(社民党)がこの問題を取り上げた。荒木清寛外務総括政務次官は「政府としてコメントする立場にない。歴代の首相、外相が繰り返し明確に述べているように、安保条約の事前協議に関してはいかなる密約も存在しない」と否定。福島氏が核搭載艦船の寄港や朝鮮半島有事での出撃に事前協議が必要かと聞くと、「ご指摘の通りだ」と答えた。
 政府は「日米安保は信頼関係のもとにある。核艦船の寄港などは事前協議が必要だが、あくまで相手方が言ってくる話だ」(高官)との姿勢を変えていない。外務省も「密約がないのに米政府に問い合わせる必要はない」(幹部)との見解を繰り返している。[2000-08-30-23:06] 128
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 08/30@<外務省>2001年度概算要求 ODAが1・9%増に(毎日新聞)

ODA1・9%増外務省概算要求 外務省は30日、2001年度予算の概算要求をまとめた。要求総額は7820億円(2000年度予算額比1・0%増)で、政府開発援助(ODA)が5706億円(同1・9%増)、非ODAが2113億円(同1・2%減)。総額は1・2%減となる。
 要求項目の目玉は、アジア各国がIT(情報技術)革命に対応していくための協力策。2001年度は特別枠を活用して97億円を要求。ほかに「次期外交通信システム」である本省と在外公館の情報伝達のインフラ整備にも45億円を要望している。
 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との外交官、研究者交流や韓国との政治・経済・文化交流などに26億円を予定。また、各省庁で定員削減が進む中、外務省は定員増が続いており、2001年度も118人の増員を計画している。[2000-08-30-20:37] 150
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 08/30@米軍駐留「望ましい」と金総書記…米紙報道(読売新聞)

 【ワシントン30日=坂元隆】三十日付米ワシントン・ポスト紙によると、韓国の金大中大統領は同紙とのインタビューで、南北朝鮮首脳会談の際に北朝鮮の金正日総書記が朝鮮半島統一後の在韓米軍駐留継続について「望ましい」と述べていたことを明らかにした。金総書記が米軍駐留継続に共感を示したことは既に報道されていたが、明確に賛意を示したことがわかったのは初めて。
 同紙によると、金大統領が統一後も北東アジアの安定のために米軍の駐留継続が必要だと主張したところ、金総書記は「あなたの意見は新聞を読んで知っていた。あなたの見解は私の見解にとても似ていると思った」と発言、続いて「我々は、ロシア、中国、日本のような大国に囲まれている。したがって米軍が駐留を継続するのは望ましい」と話した。
 金大統領は今月二十一日の読売新聞との会見でも、金総書記が米軍駐留継続の必要性を認めたとの見解を示していた。
 金総書記はさらに、北朝鮮が米軍駐留継続を受け入れるとの考えを伝えるため、父の金日成主席が死去した九四年以前に米国に使節を派遣したと指摘した。
 九〇年代前半に北朝鮮使節が米国を訪問した例はきわめて少なく、ワシントン・ポスト紙では、金容淳書記が九二年一月核問題をめぐってニューヨークを訪れ、アーノルド・カンター国務次官(当時)と会談したことを指しているのではないかと推測している。
 同紙の取材に対してカンター氏は金書記が「在韓米軍撤退を半島統一の前提条件としない」ことを示唆したことを認めている。しかし、米政府はその後北朝鮮側の態度に顕著な変化が見られなかったため、北朝鮮は米軍駐留に反対との基本的認識を織り込んだ北朝鮮政策を取っている。[2000-08-30-18:39] 192
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 08/30@「連帯」が発足20周年行事 生誕地グダニスクで開幕(共同通信)

 【グダニスク(ポーランド北部)29日共同】東欧の共産党政権崩壊の端緒を開いたポーランドの自主管理労組「連帯」の発足二十周年を記念する行事が二十九日、同国北部の港湾都市グダニスクで三日間の予定で始まった。
 グダニスク造船所では、一九八○年八月に同造船所で始まった労働者のストライキが「連帯」誕生のきっかけとなったことを紹介する展覧会が開幕。電気工としてストを率いたワレサ前大統領が「運動に加わった人々にあらためて感謝する」とあいさつした。
 招待されたディープゲン・ベルリン市長は「連帯がなければベルリンの壁の崩壊もなかった」と「連帯」が果たした歴史的役割をたたえた。
 グダニスク市内では二十九日、欧州議会の欧州人民党に属する各国指導者を招いた記念会議が開かれ「連帯の運動が欧州の分断に幕を引くさきがけとなった」との共同声明を発表。「連帯」が共産政権に認められた八月三十一日を国連の公式記念日とするよう求める決議を採択した。(了)[2000-08-30-08:03] 7
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 08/30@◎ユーゴ、シドニー五輪に111選手を派遣〔五輪〕(時事通信)

 ユーゴスラビアがシドニー五輪に111選手を派遣することが30日、明らかになった。男子93人、女子18人。男子選手団には1996年アトランタ五輪銀メダルのバスケットボールやバレーボール、ハンドボール、水球の4チームが含まれている。 (DPA時事)[時事通信社][2000-08-30-19:10] [このページの最初に戻る]


 08/31@◎ユーゴ大統領の再選、認知せず=「不正選挙の恐れ」とOS(時事通信)

 【ウィーン31日時事】全欧安保協力機構(OSCE)の選挙監視の中核機関である民主制度人権事務所(ODHIR)は31日、ユーゴスラビアのミロシェビッチ政権が9月24日の大統領選(連邦議会・セルビア共和国地方選と同時実施)に向けて制定した新選挙法について、「選挙の不正を可能としている」と批判する声明を発表した。新選挙法の下でミロシェビッチ大統領が再選を果たしても、これを認知しない立場を示したものだ。 [時事通信社][2000-08-31-23:02] 2 [このページの最初に戻る]


 08/31@モンテネグロ情勢を警戒 ユーゴ選挙控えNATO(共同通信)

 【ブリュッセル31日共同】ユーゴスラビア連邦からの離脱志向を強めるモンテネグロ共和国情勢をめぐり、北大西洋条約機構(NATO)が警戒感を強めている。九月二十四日の連邦大統領選でミロシェビッチ大統領が再選され、同共和国が反発して独立へと傾斜すれば、連邦軍の武力介入を招きかねないためだ。
 その場合、NATOは昨年の空爆作戦に続くユーゴへの有事対応を迫られるため「過去の過ちをモンテネグロで繰り返すな」(ロバートソン事務総長)とミロシェビッチ大統領に警告する一方、モンテネグロのジュカノビッチ大統領にも自制を促し、危機回避に努めている。
 警戒感の背景には、セルビア主導の連邦側がモンテネグロの抑え込みを強めている事情がある。連邦議会が七月、ミロシェビッチ大統領の再選を可能にし、連邦内でのモンテネグロの影響力を低下させる憲法改正案を可決したのはその一例にすぎない。
 NATO外交筋によると、連邦側は八月後半、モンテネグロの国境警備隊が活動している区域にわざわざ連邦警備官を送り込み職権を誇示したり、モンテネグロからボスニア・ヘルツェゴビナに至る道路を封鎖するなどの「嫌がらせ」を繰り返しているという。
 NATO側は、モンテネグロがこうした「挑発」に乗り、独立を問う国民投票に踏み切る事態を懸念する。同外交筋は「モンテネグロは独立を目指すべきではないが、セルビアに屈するべきでもない。そのかじ取りは極めて困難だ」として、情勢を注視している。(了)[2000-08-31-16:09] 3
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 08/31@◇世界議長会議冒頭で米非難の声明 波乱の幕開け◇(朝日新聞)

 9月の国連ミレニアム・サミットに先駆けて、141カ国の国会議長による初の「世界議長会議」(列国議会同盟=IPU=主催)が30日、国連本部で開幕した。会議は3日間にわたって開かれ、民主主義のとりでとして国連との連携を強め、サミットを応援する。しかし、地元の米国は欠席したうえ、キューバとユーゴスラビアの国会議長へのビザ(査証)発給を拒否した。このため、会議は冒頭で、米国非難の声明を出すという、波乱の幕開けとなった。
 参加したのは日本の綿貫民輔衆議院議長をはじめ、152人。米国のハスタート下院議長は「大統領と共にコロンビアに行くため」との理由で欠席した。キューバとユーゴスラビアの議長へのビザについては「米国の利益に反すると大統領が判断した場合、入国を拒否できる」との1985年の大統領布告に基づいて発給を拒否した。一方、イラクのハマディ議長には発給した。
 IPUは、米国のビザ発給拒否に関し「IPUの原則に反するだけでなく、参加し、対話をするという民主主義の精神に反する」との声明案を冒頭に提案し、採択された。
 初日は綿貫議長が冒頭に演説。韓国の李万燮議長は南北首脳会談にふれ「過去の敵意と不信を消して、和解と協力に基づいた南北共存の時代を開き始めた」と述べるとともに、南北議会会談開催への意欲を表明した。また、中国の李鵬・全人代常務委員長は、国連との協調と覇権主義に反対する立場を強調した。[2000-08-31-13:29] 4
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 08/31@米軍に訴追相次ぐ懸念 特別扱いは見込み少なく(共同通信)

 【ワシントン30日共同】コーエン米国防長官は、国際刑事裁判所(ICC)に米政府が全面的に協力できない理由について「根拠のない訴追に米軍がさらされる可能性があるなら認めがたい」と説明。人権団体が北大西洋条約機構(NATO)によるユーゴスラビア空爆を、セルビア人虐殺をもたらした「戦犯行為」と告発した例を挙げている。
 冷戦後の国際法の潮流は、戦犯を積極的に裁く方向にある。ユーゴ空爆だけでなく、湾岸戦争でのイラク部隊壊滅作戦やベトナム戦争の枯れ葉剤使用など、米軍の戦犯行為の疑いも次々と指摘されている。
 米軍は、アジアと欧州にそれぞれ十万人を展開させ「紛争となれば、警察官役をいつも期待される」(コーエン長官)ため、米政府は、国連安全保障理事会が訴追を事前に承認する制度を求めている。米国は安保理で拒否権を持ち、訴追を阻止するのが狙いだ。
 しかし、国連加盟国の大勢が五大国の特権縮小を望む中、今回の法案が目指す「米国の特別扱い」が認められる見込みは少ない。(了)[2000-08-31-10:42] 5
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 08/31@ジョルジェビッチ氏死去 ユーゴスラビア国営タンユグ通信社(共同通信)

 ドゥシャン・ジョルジェビッチ氏(ユーゴスラビア国営タンユグ通信社長)同通信によると30日、闘病の末に死去、55歳。病名は不明。
 ラジオ局や出版社などの記者生活が長く、1998年にタンユグ社長に就任。一方でミロシェビッチ大統領の与党、セルビア社会党の幹部として政府と極めて近い関係にあり、99年のコソボ紛争をめぐる北大西洋条約機構(NATO)軍によるユーゴ空爆報道で大統領から表彰された。(ウィーン共同)(了)[2000-08-31-09:46] 17
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 08/31@国連サミット、安保理拡大問題の進展は微妙(読売新聞)

 【ニューヨーク31日=松浦一樹】国連ミレニアム総会(第五十五回国連総会)が九月五日、ニューヨークの国連本部で開幕し、会期初めの六〜八日は、百五十か国以上の首脳が一堂に会する国連ミレニアムサミットが開かれる。「二十一世紀の国連」がテーマとなるサミットは、各国首脳演説と四回のラウンドテーブル(円卓会議)が行われ、最終成果をまとめた共同宣言を採択する。国連改革などが主要議題となるが、日本が重大な関心を持つ国連安保理の拡大問題は、一部加盟国が強い警戒感をあらわにしており、論議がどこまで進むか微妙な情勢となっている。
 コフィ・アナン事務総長は今年四月、将来の国連の役割や課題を網羅した「ミレニアム報告」を発表。サミットの議題はこれに沿い、貧困と開発、安全保障、環境、国連改革の四分野にまたがる。
 サミットには、日本の森首相のほか、米英仏露中などの各国首脳が勢ぞろいし、首脳級の国際会議としては過去最大になる。サミット開催に合わせ、七百以上の二国間・多国間会議も行われる。
 【安保理改革】 今回のサミットは、安保理改革機運を高める好機で、常任理事国入りを目指す日本は安保理拡大の具体化に向け議論を進展させたいところだ。テオベン・グリラブ国連総会議長がまとめた共同宣言最終案にも「安保理の包括的改革に向け一層努力する」との文言が盛り込まれている。
 しかし、当初案では「安保理拡大を急ぐ」となっていたが、常任理事国入りが有力視される日独をけん制するカナダやパキスタンなど一部加盟国の猛反発に遭い、表現を後退させた経緯もあり、安保理拡大実現への道は険しそうだ。
 【PKO強化】 アナン事務総長が力を注いできたのが、国連平和維持活動(PKO)の改革だ。八月二十一日には、PKOの自衛・緊急展開能力の強化を骨子とする「PKO改革」報告を国連総会と安保理に提出しており、サミットでは、各国首脳の理解を求める。
 七日には、安保理メンバー全十五か国、安保理常任理事五か国(米英仏中露)による首脳会議もそれぞれ予定されており、PKO改革について検討を行う。しかし、議論は具体策に及ばず、アナン事務総長の青写真に沿い「PKO強化」の方向性を打ち出すにとどまると見られている。
 【貧困や性差別】 アナン事務総長は、ミレニアム報告の中で▽二〇一五年までに貧困・安全な飲み水の不足に悩む人口を半減▽同年までにHIV・AIDSの広まりを阻止▽二〇〇五年までに性差別を解消――など、年限付きの達成目標を提示しており、サミットでは、各国が「世界共通の目標」を確認することになる。[2000-08-31-22:28] 18
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 08/31@◇イスラエル首相、9月中の妥協迫る パレスチナ和平◇(朝日新聞)

 パレスチナ和平の最終合意目標日である9月13日を目前に控え、イスラエルのバラク首相は31日、9月末までに合意できない場合は、世俗派寄りの宗教政策改革など内政に集中する意向を示唆した。イスラエル放送が首相府筋の話として伝えたもので、期限を切ってパレスチナ側に妥協を迫ったものとみられる。
 交渉はエルサレムの帰属問題、特に旧市街のイスラム教聖地の主権問題をめぐり難航している。米キャンプデービッドでの首脳会談で「思い切った譲歩を示した」とするイスラエル側は、パレスチナ自治政府のアラファト議長に妥協の姿勢がないと批判。13日までに合意がなければパレスチナ国家独立を一方的に宣言する、とするパレスチナ側の方針には、強硬な対抗措置で応じるとけん制してきた。
 アラファト議長はこの1カ月近く、独立問題で各国の支持取り付けに奔走したが、どこからも「一方的宣言で交渉の道を閉ざさないように」と忠告された。宣言問題を協議するパレスチナ中央委員会(PCC)が9月上旬に開かれ、13日に代わる新たな目標日が検討される。1988年に、領土などの基盤がないまま独立を宣言した11月15日が取りざたされている。[2000-08-31-21:24] 95
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 08/31@米のPKO参加を禁止 国際刑事裁に反発し法案(共同通信)

 【ワシントン30日共同】創設が決まった国際刑事裁判所(ICC)で紛争介入や平和維持のために展開する米軍が訴追されないとの保証がない限り、米政府は同裁判所に協力せず、国連平和維持活動(PKO)参加も禁止すると定めた法案が三十日までに米下院本会議に提案された。
 米政府もICCでの米軍の訴追除外原則の確立を求めているが、各国は「米国を例外に扱えない」との立場。戦争犯罪を裁く常設の国際刑事裁判所創設は人類の画期的な事業と称賛されており、法案は米国の一国主義傾向を象徴していそうだ。
 「ICCの訴追から米兵を守る」法案は下院共和党の最有力者のアーミー院内総務、ディレイ副院内総務、ギルマン外交委員長らが、六月末に国連で開かれたICC準備委員会で米政府の米軍訴追除外提案に同意が得られなかったため、危機感を感じて提案した。
 ICCは戦犯の捜査・訴追で米政府が収集した機密情報や身柄拘束での米軍の協力を期待しているが、法案はこうしたICCの活動への協力を禁止。また、米兵がICCから訴追されないと国連安保理が保証しない限り、米軍のPKO参加を禁じている。
 ICCは昨年七月にローマで開かれた外交会議で設立条約を採択し設立が決まったが、米政府はICCが紛争介入に展開した米兵を、紛争当事者からの根拠のない訴えを基に戦犯として訴追する懸念があるとして署名していない。
 主要国ではフランスが最近ICC条約を批准したほか、英国も批准の意向を明確にし、米国にも同調を求めている。(了)[2000-08-31-08:25]


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