最近のボスニア(旧ユーゴスラビア)情報

(07/14, 2000)


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 07/06@<ユーゴスラビア連邦議会>大統領再選の憲法改正案を可決=(毎日新聞)
 07/06@◎大統領の再選狙う改憲承認=直接選導入を可決−ユーゴ連邦(時事通信)
 07/06@米中が7日不拡散協議 ミサイル支援、NMD焦点(共同通信)
 07/06@ユーゴ大統領再選へ道、憲法改正で「直接選挙」に(読売新聞)
 07/06@南東欧州一帯に熱波 40度以上、8人死亡(共同通信)
 07/06@◎米国防長官が来週訪中=軍備管理担当の高官も訪問へ(時事通信)
 07/06@◎大統領直接選挙導入へ改憲案=連邦議会特別会合で審議−ユ(時事通信)
 07/07@ユーゴ、大統領直接選挙へ改憲案を可決(読売新聞)
 07/07@◎ユーゴ大統領、2009年までの在職に道=連邦議会が改憲(時事通信)
 07/07@<モンテネグロ>ユーゴ議会の憲法改定案採択を非難(毎日新聞)
 07/07@<米中高官協議>大量破壊兵器の拡散防止に関する協議開始(毎日新聞)
 07/07@◇ミロシェビッチ氏の再選可能に ユーゴが改憲◇(朝日新聞)
 07/07@◎ユーゴ憲法改正を非難=米(時事通信)
 07/07@<サミット>ジュリビー2000日本代表・北沢洋子氏に聞く(毎日新聞)
 07/07@<国連>社会開発総会 「貧困撲滅」の糸口見えず(毎日新聞)
 07/07@NMD計画断念を要求か 北京で米中不拡散協議(共同通信)
 07/07@◇プーチン大統領、広島・長崎市長に「核軍縮推進」と親書◇(朝日新聞)
 07/07@ノーベル賞学者が反対表明 米本土ミサイル防衛で大統領に書(共同通信)
 07/07@前EU委員長が年内訪朝へ 南北会談受け大物を派遣(共同通信)
 07/08@モンテネグロ議会、憲法改正を拒否(読売新聞)
 07/08@時間にらみせめぎ合い 外交上の遺産狙う米大統領(共同通信)
 07/08@モンテネグロが改憲拒否 連邦との対決色一段と(共同通信)
 07/08@<モンテネグロ>改憲拒否の決議案採択 臨時議会(毎日新聞)
 07/08@<モンテネグロ>ユーゴ議会の憲法改定に停止決議を提案=替(毎日新聞)
 07/08@旅券忘れた?伊蔵相、入国手続きに遅れ(読売新聞)
 07/08@◇米NMDの迎撃実験また失敗 配備目標見直しへ◇(朝日新聞)
 07/08@<NMD>3回目の迎撃実験失敗 2005年までの配備困難(毎日新聞)
 07/08@「沈黙の打破」議題に討議 世界エイズ会議9日開幕(共同通信)
 07/08@欧州との関係さらに強化へ イラン大統領10日訪独(共同通信)
 07/08@パレスチナ交渉打開目指す 11日から中東3首脳会談(共同通信)
 07/08@世界3位の防衛企業発足 欧州航空防衛宇宙会社が株式上場へ(共同通信)
 07/08@ルワンダ虐殺で米などに賠償要求…OAU設置の国際委(読売新聞)
 07/08@カトリック教会の責任追及 ルワンダ大虐殺の報告書(共同通信)
 07/10@◇「安保理改革の重要性」を明記へ サミット外相会合◇(朝日新聞)
 07/10@<EU外相会議>対ロシア経済支援を再開する見通し(毎日新聞)
 07/10@<イラン>ハタミ大統領が訪独 欧州との関係強化で米けん制(毎日新聞)
 07/10@紛争国不参加で目標に遠く OAU首脳会議開幕(共同通信)
 07/10@紛争予防に60万ドル追加拠出(読売新聞)
 07/10@イスラエル、連立与党が相次いで離脱(読売新聞)
 07/10@エイズ原因で議論喚起 HIV説疑う南ア大統領(共同通信)
 07/10@アフリカのエイズ禍注目を 南アで世界会議始まる(共同通信)
 07/11@◇コソボに駐留する米兵の銃が暴発、7歳の少年死亡◇(朝日新聞)
 07/11@NMD、台湾問題が焦点 米国防長官が訪中(共同通信)
 07/11@◎連邦議会選と大統領選をボイコットへ=モンテネグロ(時事通信)
 07/11@米兵の銃事故で子供死亡 ユーゴスラビアのコソボ自治州東部(共同通信)
 07/11@<EU外相会議>対ロシア経済支援の再開決める=替(毎日新聞)
 07/11@<ユダヤの絆>移民兵 戦場に居場所求めて (毎日新聞)
 07/11@<アフリカ子どもたちの今>学校へ行きたい 故国捨て逃避行(毎日新聞)
 07/11@<露政権>新外交方針を発表 内部対立で政策未確定か(毎日新聞)
 07/11@◇ナイジェリア大統領が債務帳消し訴えるNGO会議参加へ◇(朝日新聞)
 07/11@<ユダヤの絆>イスラエルと南アフリカ 「核協力」の過去清(毎日新聞)
 07/11@<ユダヤの絆>イスラエル、ミサイル巡り北朝鮮と秘密合意も(毎日新聞)
 07/11@<ユダヤの絆>変わる「安保主軸」 対アラブ緊張の構図崩れ(毎日新聞)
 07/11@<ユダヤの絆>120カ国以上に1400万人離散 (毎日新聞)
 07/11@<ユダヤの絆>迫害、流浪の歴史…民族の結束は固く(毎日新聞)
 07/11@<記者の目>トルシエ監督去就問題 仁瓶和弥記者(毎日新聞)
 07/12@<ボスニア>イスラム教徒虐殺事件5周年 追悼式典行われる(毎日新聞)
 07/12@<ミャンマー>カレン族武装組織 反政府闘争50年(毎日新聞)
 07/12@<余録>ユニセフの年次報告(毎日新聞)
 07/12@◎オーストリアの人権状況を調査する賢人委メンバー3人を発(時事通信)
 07/12@毎分6人がエイズ感染 ユニセフが報告(共同通信)
 07/12@◇「エイズが途上国の子どもの最大脅威」ユニセフ年次報告◇(朝日新聞)
 07/12@◇サミット外相会合開幕 NMDめぐり米が孤立◇(朝日新聞)
 07/12@<記念碑>タジキスタンで殺害された秋野豊氏ら4人を追悼(毎日新聞)
 07/12@G8内部にNMD包囲網 米に反対、懸念を表明(共同通信)
 07/12@◇サミット外相会合が開幕 紛争予防でNGO支援表明へ◇(朝日新聞)
 07/12@◇プーチン大統領の公式訪日は、9月初旬に 日ロ外相会談◇(朝日新聞)
 07/12@<論外ですか?>未来を読む努力はあるのか(毎日新聞)
 07/12@カナダ外相、NMDに懸念 「核不拡散揺るがす」(共同通信)
 07/12@◇中東和平首脳会談始まる 「いい雰囲気」と報道官◇(朝日新聞)
 07/12@◇最貧国の債務帳消しと途上国へIT支援を 国連事務総長◇(朝日新聞)
 07/12@◇小型武器規制めぐりずれも 日仏外相会談◇(朝日新聞)
 07/12@◇NMDに明確に反対 ドイツ外相が単独会見◇(朝日新聞)
 07/12@◇サミット前にG8首脳と途上国代表が東京で意見交換◇(朝日新聞)
 07/13@<サミット>G8外相会議 安保理改革や機能強化で合意=再(毎日新聞)
 07/13@結束の裏で各国に思惑 沖縄サミットに課題(共同通信)
 07/13@◇政府、武器回収基金に70万ドル拠出 外相会合閉幕◇(朝日新聞)
 07/13@EU外交、両雄並び立たず 大物2人、時に摩擦も?(共同通信)
 07/13@重債務貧困国の債務帳消し対象は9国に(読売新聞)
 07/13@◇ダイヤモンド、生産・流通過程も透明に デビアス社◇(朝日新聞)
 07/13@◇「アフリカ連合」創設に合意、OAUサミット閉幕◇(朝日新聞)
 07/13@◇日本製の地雷処理車、アフガン入り◇(朝日新聞)
 07/13@<サミット外相会議>総括文書の要旨(毎日新聞)
 07/13@<サミット外相会議>総括文書採択し閉幕 朝鮮半島情勢に期(毎日新聞)
 07/13@北朝鮮の現実対応を歓迎 総括文書を採択 G8外相会合が閉(共同通信)
 07/13@東エルサレム問題などめぐり中東和平首脳会談が難航(読売新聞)
 07/13@ダイヤの需給操作を放棄 最大手のデビアス社(共同通信)
 07/13@<欧州人権裁判所>オーストリア派遣の3賢人委員発表(毎日新聞)
 07/14@<ユダヤの絆>ロシア系移民 情報収集力日本が注目 (毎日新聞)
 07/14@<この願い、きっと…>アフリカの子供たち 食べることが仕(毎日新聞)
 07/14@<ダイヤ不正取引>デビアス社が販売方法の抜本改革に乗り出(毎日新聞)
 07/14@<G8外相会議>紛争予防包括的取り組み 具体化に責務(毎日新聞)


 (注)この「最近のボスニア」コーナーは、一般に報道されている記事に、千田が一部手直しして掲載しているものです。出所は明示しており、各社・各記者の著作権を侵害するつもりはありませんが、著作権上問題があるとお考えの方や、自分(自社)の記事は載せないでほしいという方がいらっしゃれば、このホームページの感想もふくめて、千田あてに連絡してください。
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 07/06@<ユーゴスラビア連邦議会>大統領再選の憲法改正案を可決=(毎日新聞)

 【ウィーン6日福井聡】ユーゴスラビア連邦議会は6日、上下両院で特別会合を開き、連邦大統領の再選容認などを盛り込んだ憲法改正案をそれぞれ3分の2以上の賛成で可決した。この後、合同会議を開いて憲法改正を最終決定する。現憲法では大統領は議員の間接選挙で選出され、再選を禁じている。ミロシェビッチ大統領は来年7月に任期満了を迎えるが、国連旧ユーゴ戦犯法廷から起訴されており、改憲により再選を勝ち取り、西側諸国に対抗するのが狙いとみられる。
 国営タンユグ通信などによると、憲法改正案は現在1期限りの連邦大統領の再選を可能とし、選出方法を現在の議員による間接選挙から、国民による直接投票に改めるという内容。大統領が率いるセルビア社会党、大統領のマルコビッチ夫人が率いるユーゴ左派、セルビア急進党の与党3党連合が、連邦議会の憲法委員会審議閉会直前に提案した。
 連邦はセルビア、モンテネグロ両共和国で構成され、議会は上院(40議席)と下院(138議席)の2院制となっている。上院は今春の憲法改正により与党連合が議席を独占し、下院も与党連合が圧倒的多数を占めている。ミロシェビッチ大統領は大統領失職を政治生命の危機と捉え、再選を容認する憲法改正に向け着々と準備を進めてきた。野党陣営は分裂状態で有力な対立候補がおらず、憲法が改正されれば再選の可能性は高い。投票は連邦議会選、地方選が予想される11月にも同時に実施される。
 野党・ボイボディナ・ハンガリー同盟のジョサ議員は「私は憲法委員会のメンバーだが、改正案のコピーさえ受け取っていない」と反発し、別の野党議員は「これは一種の憲法クーデターだ」と非難した。
 また、改正案は上院のうち20議席を自動的にモンテネグロ共和国に割り当てる制度を廃止し、上院も下院と同様に選挙で選出するとしている。モンテネグロの人口は少ないので、この改正により反ミロシェビッチの立場を取るモンテネグロの連邦での影響力は大幅に低下する。
 ミロシェビッチ大統領は1989年にセルビア共和国大統領に選出され、97年まで2期務めた後、同年、ユーゴ連邦大統領に就任した。セルビア民族主義をあおることで一定の支持を得ており、昨年の北大西洋条約機構(NATO)による空爆後は、国民の反空爆感情を利用することで支持基盤を強めている。[2000-07-06-21:45] 5
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 07/06@◎大統領の再選狙う改憲承認=直接選導入を可決−ユーゴ連邦(時事通信)

 【ウィーン6日時事】ユーゴスラビア連邦(セルビア、モンテネグロ両共和国で構成)の上下両院は6日、特別会合を開き、連邦大統領の選出方法を連邦議会議員の間接選挙から有権者による直接投票に改定することを盛り込んだ改憲案をそれぞれ3分の2以上の賛成多数で承認した。
 来年7月に4年間の任期満了を迎えるミロシェビッチ大統領は現行憲法で再選が禁止されている。今回の改憲には、直接選挙導入によって再選を狙う大統領の思惑がある。野党勢力の政権打倒運動が失速状態に陥る中、ミロシェビッチ大統領は有力対抗馬の不在を読み切り、長期的な政権維持へ新たな布石を打った形だ。 [時事通信社][2000-07-06-21:40] 6
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 07/06@米中が7日不拡散協議 ミサイル支援、NMD焦点(共同通信)

 【北京6日共同】大量破壊兵器拡散防止をめぐる米中協議が七、八両日北京で、ホラム米大統領上級顧問(軍縮問題担当)や王光亜・中国外務次官らが参加して行われる。
 米本土ミサイル防衛(NMD)の迎撃実験が中国時間で八日に実施されるタイミングでの協議で、中国はNMD反対をあらためて強調し、米側はパキスタンへのミサイル開発支援問題を追及する構え。
 米中の拡散防止協議は、昨年五月の在ユーゴスラビア中国大使館誤爆事件で中断して以来初めて。これで中国が事件の報復措置として延期してきた軍事協力が全面的に再開するが、NMDなどで対立が深まる中、激しい駆け引きが展開されそうだ。
 先月の韓国と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の南北首脳会談を踏まえ、米側は北朝鮮のミサイル問題についても協議する予定としている。
 中国は、NMDについて「軍備拡張競争をあおる」として米国が計画を断念するよう主張。五日には江沢民国家主席がロシアのプーチン大統領と初の会談を行い、NMDに一致して反対する姿勢を確認した。
 一方、米情報機関は最近、中国のパキスタンへの長距離ミサイル開発支援問題を米議会に報告。米紙は、インドとパキスタンが核実験を行った一九九八年以降、支援は拡大していると伝えたが、中国側は否定している。(了)[2000-07-06-16:16] 7
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 07/06@ユーゴ大統領再選へ道、憲法改正で「直接選挙」に(読売新聞)

 【ウィーン5日=佐々木良寿】ユーゴスラビア連邦上下両院は六日、緊急議会を開き、連邦大統領の直接選挙制導入を柱とする連邦憲法の改正案を審議する。国営タンユグ通信が五日伝えた。改正案の可決には両院でそれぞれ定数の三分の二以上の賛成が必要だが、可決は確実と見られる。可決された場合、来年七月に任期切れとなるミロシェビッチ大統領の政権継続に道を開くことになる。
 同通信によれば、改正案はミロシェビッチ政権与党の「社会党」やセルビアとともに連邦を構成するモンテネグロのミロシェビッチ派政党「社会主義者人民党」などの共同提案。大統領直接選挙制のほか、これまでセルビア、モンテネグロ両共和国議会での議席数に応じて各政党に比例配分されていた上院についても直接選挙とすることなどを盛り込んでいる。現行憲法は連邦大統領に関して、連邦下院による間接選挙制を取っており、任期は四年で再選は禁止されていた。
 大統領の直接選挙制導入を巡っては、数年前にも改正案が議論されたが、モンテネグロが強く反対したことから廃案となった経緯がある。ミロシェビッチ大統領は、コソボ問題に絡んで旧ユーゴ国際戦犯法廷(オランダ・ハーグ)から戦犯として起訴されたことなどから出口をふさがれた状態で、権力保持のために、以前から憲法改正をもくろんできたとされている。[2000-07-06-13:25] 9
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 07/06@南東欧州一帯に熱波 40度以上、8人死亡(共同通信)

 【ローマ5日共同】イタリア、ギリシャからルーマニアにかけての南東欧州一帯が四、五の両日、サハラ砂漠から地中海を渡って北上した熱波に覆われ、軒並みセ氏四○度以上の高温を記録、少なくとも八人の死亡が伝えられている。
 各地からの報道によると最高気温は、マケドニア・スコピエの四四度を筆頭に、ユーゴスラビア・ベオグラードで百十四年ぶりの記録となる四三・五度、ギリシャ・アテネで四三度、ユーゴスラビア・コソボ自治州とルーマニアで四二度、イタリア南部で四○度、ブルガリア・ソフィアで百十二年ぶりの三九・九度など。
 この熱波で、ルーマニアでは心臓の不調などを訴える患者で病院が満杯、首都ブカレストで二人死亡以外は正確な人数は不明だが、保健省は「多数の死者」が出たとしている。またブルガリアでも四人、ギリシャで二人が死亡したと報じられている。
 各地で森林火災も多発。ローマ郊外のカステルフザノでは一平方キロ以上の松林が焼け、レオナルドダビンチ国際空港の滑走路の一つが五日午前、視界不良のため一時閉鎖された。(了)[2000-07-06-08:11] 10
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 07/06@◎米国防長官が来週訪中=軍備管理担当の高官も訪問へ(時事通信)

 【ワシントン5日時事】米国防総省は5日、コーエン国防長官が来週、中国を訪問することを明らかにした。昨年5月の米軍機による在ユーゴスラビア中国大使館誤爆事件後初めての訪問で、誤爆事件により停滞した両国の軍事交流は完全に復活する。
 詳細な日程は明らかにされていないが、コーエン長官は10日に出発、北京と上海を訪れる。中国指導部との会談では、朝鮮半島情勢や全米ミサイル防衛(NMD)問題などを協議するとみられる。同長官はこの後オーストラリアを訪問し、17日に帰国する。
 一方、米国務省のバウチャー報道官は5日、ホラム国務省上級顧問(軍備管理・軍縮担当)が7、8の両日、中国を訪問し、軍備管理や不拡散問題について話し合うことを明らかにした。同省当局者によれば、ホラム顧問は中国によるパキスタンへのミサイル開発支援問題も協議する。 [時事通信社][2000-07-06-07:00] 12
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 07/06@◎大統領直接選挙導入へ改憲案=連邦議会特別会合で審議−ユ(時事通信)

 【ウィーン5日時事】ユーゴスラビア国営タンユグ通信は5日、ユーゴ連邦大統領の選出制度を現行の連邦議会での間接選挙から直接投票による選出に改める憲法改正案を審議するため、連邦上下両院の特別会合が6日に招集されると伝えた。ミロシェビッチ大統領与党のセルビア社会党など連立与党議員が提出したもので、来年夏に4年の任期切れを迎える同大統領は、政治的延命を図るため、再選を可能とする改憲に自ら乗り出した。
 現憲法下では、1997年に選出されたミロシェビッチ大統領の再選は禁止されている。このため、ハーグの旧ユーゴ国際戦犯法廷で起訴されている同大統領がどのような延命策を図るかは、政局の大きな焦点だ。同大統領は、現在の与野党の力関係からすれば、直接選挙制を導入した場合、自身が勝利を収める公算が大きいと判断しているとみられる。
 改憲には上下両院の3分の2の賛成が必要だが、下院はミロシェビッチ大統領率いるセルビア社会党やマルコビッチ同大統領夫人のユーゴ左翼連合の連立与党が多数を占め、改憲に同意するのはほぼ確実。しかし、ミロシェビッチ大統領と対立するモンテネグロ共和国のジュカノビッチ大統領派議員の多い上院では、3分の2の支持獲得は微妙な情勢だ。
 ミロシェビッチ政権打倒を目指している野党勢力や、連邦政府と一線を画すモンテネグロのジュカノビッチ政権が、今回の改憲の動きに強く反発するのは必至で、ユーゴ政局は再び緊迫した局面を迎える。 [時事通信社][2000-07-06-00:41] 1
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 07/07@ユーゴ、大統領直接選挙へ改憲案を可決(読売新聞)

 【ウィーン6日=佐々木良寿】大統領直接選挙制の導入を柱としたユーゴスラビア連邦(セルビアとモンテネグロで構成)の憲法改正審議が六日、連邦上下両院で行われ、改正案が可決された。憲法改正は、来年七月に任期切れを控えているミロシェビッチ大統領が、最高権力者としての地位を維持するために最大のカードを切ったものだ。改正によって、強権体制が一段と固まることになり、米欧が求めてきた大統領退陣の可能性はますます遠のく。
 憲法改正は、〈1〉連邦議会による間接選挙だった連邦大統領選出方法を直接選挙とする〈2〉セルビア、モンテネグロに各二十議席を割り当て、各共和国議会の議席数に応じて各政党に比例配分していた連邦上院も直接選挙とする――の二点を眼目としている。
 改正により大統領任期は四年二期となった。ミロシェビッチ政権にとっては、政権延命に加えて、反ミロシェビッチ路線を推進してきたモンテネグロのジュカノビッチ大統領派の影響力をそぎ、連邦体制を強化する法的環境が整った。現行憲法では、モンテネグロから連邦大統領が選出される可能性もあったが、人口が圧倒的に少ないことから今後は道が閉ざされ、共和国の平等な関係というこれまでの建前は崩れる。
 従来の憲法は再選を禁止していたが、改正により大統領選で当選すれば、向こう八年間は権力の座にとどまることが可能となった。
 反政府運動が分裂状態にある現状では、大統領選で再びミロシェビッチ氏が当選する可能性が高い。
 ミロシェビッチ大統領は、旧ユーゴ時代の八六年にセルビア共産主義者同盟議長に就任、九〇年末にセルビア共和国大統領に当選した。九七年には共和国大統領の任期が切れると、今度は連邦大統領に就任し独裁的な権力を振るってきた。[2000-07-07-01:40]
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 07/07@◎ユーゴ大統領、2009年までの在職に道=連邦議会が改憲(時事通信)

 【ウィーン6日時事】ユーゴスラビア連邦(セルビア、モンテネグロ両共和国で構成)の上下両院は6日、特別会合を開き、連邦大統領の選出方法を連邦議会議員の間接選挙から有権者による直接投票とし、再選も可能とすることを盛り込んだ改憲案をそれぞれ3分の2以上の賛成多数で承認した。
 来年7月に4年間の任期満了を迎えるミロシェビッチ・ユーゴ大統領は現行憲法では再選が禁止されていた。しかし、改正憲法下で実施される大統領選に勝利し、さらに再選されれば2009年までの長期在職が可能になる。野党勢力の政権打倒運動が失速状態に陥る中、ミロシェビッチ大統領は有力対抗馬の不在を読み切り、政権維持へ新たな布石を打った。 [時事通信社][2000-07-07-00:59] 11
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 07/07@<モンテネグロ>ユーゴ議会の憲法改定案採択を非難(毎日新聞)

 【ウィーン7日福井聡】ユーゴスラビア連邦(セルビア、モンテネグロ両共和国で構成)議会が3分の2の多数で憲法改定案を採択した問題で、モンテネグロ共和国のジュカノビッチ大統領は6日、「モンテネグロは自国を保護するメカニズムを探る」とする声明を発表した。これまで連邦内でセルビアと対等に近い地位を保障されてきたモンテネグロは、改憲措置により実質的に無視され得る形になる。ミロシェビッチ連邦大統領との対立関係は一層の激しくなりそうだ。
 声明によると、ジュカノビッチ大統領は「非民主的かつ違法な手段によってベオグラード政権はついに憲法制度を転換させ、連邦の運命自体を疑問視させてしまった」との連邦議会の方針を非難した。
 モンテネグロは従来、ユーゴ連邦上院の半数に当たる20議席を自動的に割り当てられてきたが、今回の改定により住民数を反映した一般投票制度に変わった。人口はモンテネグロ約60万人に対し、セルビアが約1000万人。一般投票制が導入されると、連邦議会はセルビア選出議員が圧倒し、モンテネグロ側は比較にならない少数派に落ち込む。
 ジュカノビッチ大統領は親欧米の立場からミロシェビッチ大統領と対立し、ユーゴ連邦からの独立に向けた国民投票の実施を再三示唆してきた。モンテネグロ内での独立支持派と反対派はほぼ同数と言われている。セルビアの野党関係者は「今回の憲法改定にはジュカノビッチ大統領に国民投票実施を迫り、失政を招く意図が含まれている」とみている。[2000-07-07-21:22] 12
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 07/07@<米中高官協議>大量破壊兵器の拡散防止に関する協議開始(毎日新聞)

 【北京7日浦松丈二】米政府のホラム上級顧問(軍縮担当)と中国の王光亜・外務次官は7日、北京で大量破壊兵器の拡散防止に関する米中高官協議を開始した。同協議は昨年5月の在ユーゴスラビア中国大使館誤爆事件で中断されていた。
 中国は、米国の米本土ミサイル防衛(NMD)と戦域ミサイル防衛(TMD)について「地域、世界の軍事的バランスを崩す」と、明確な反対の意思を伝えるとみられる。特に日米が共同研究を進めているTMD構想への台湾参加に対して、「中国への内政干渉だ」(外交部報道官)と繰り返しけん制している。
 米側は中国がパキスタンの長距離ミサイル開発を支援しているとの懸念を強めており、協議でも中国側に説明を求める考えだ。TMD、NMDについては「防衛的システムであり、他国に向けたものではない」と説明し、中国側の理解を求めるとみられる。
 中国は5日のロシア、中央アジア各国首脳との「上海5カ国会議」や、江沢民国家主席とプーチン露大統領との首脳会議で、NMD配備の前提となる弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約の見直し反対で一致した。欧州歴訪中の朱鎔基首相も6日、ローマで「中国はTMDに絶対に反対する」と強い調子で米国を批判した。
 今回の米中高官協議は2日間行われ、ホラム上級顧問が8日午後、記者会見する。また、コーエン米国防長官は11日から訪中する。7日(中国時間8日)にはNMDの迎撃実験が予定されており、協議の行方に微妙な影響を与える可能性もある。[2000-07-07-20:39] 15
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 07/07@◇ミロシェビッチ氏の再選可能に ユーゴが改憲◇(朝日新聞)

 ユーゴスラビア連邦(セルビア、モンテネグロ両共和国で構成)のミロシェビッチ政権が、生き残りのための新たな布石を打った。大統領派が多数を占める連邦上下両院は6日、大統領の再選を可能にする憲法改定案をそれぞれ可決し、承認した。大統領職はこれまで1期4年で再選は禁じられ、任期切れは来年7月に迫っていた。
 今までは連邦議会での間接選挙制で、1997年7月にセルビア大統領だったミロシェビッチ氏は連邦大統領に選ばれている。
 今回の改定では大統領の直接選挙制が導入された。野党各党が共闘できそうにない現状では有権者の票は分散し、ミロシェビッチ大統領にむしろ有利との判断に違いない。野党、セルビア再生運動のドラシュコビッチ党首の支持率は1ケタとされる。選出の方法について対外的に「より民主的な正統性」(与党議員)を主張することもできる。
 改憲では同時に、連邦上院(40議席)も直接選挙に改められた。これまではセルビア、モンテネグロ両共和国議会での議席数に応じて、連邦では各共和国20議席ずつ政党に比例配分されていた。
 連邦離れを進めるモンテネグロのジュカノビッチ大統領派が、改憲に反発して選挙をボイコットする可能性があり、その場合、ミロシェビッチ氏寄りの候補者ばかりが当選することになりそうだ。ジュカノビッチ派を中心とした親欧米勢力の追い出しは、ミロシェビッチ氏の思うつぼだが、モンテネグロの独立に向けた歩みを促しかねず、バルカン半島情勢を再び不安定にする危険さえある。[2000-07-07-14:57] 16
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 07/07@◎ユーゴ憲法改正を非難=米(時事通信)

 【ワシントン6日時事】米国務省のバウチャー報道官は6日、ユーゴスラビア議会が連邦大統領の選出方法を直接選挙に変更し、ミロシェビッチ大統領の再選に道を開く憲法改正を承認したことについて、反体制派の声を抑えるために議会のルールを悪用したものだと非難した。
 バウチャー報道官は、民主的で平和的な変化の芽を摘み取ろうとする「グロテスクな努力」がミロシェビッチ大統領によって進んでいると指摘。公正な選挙では勝てない同大統領自身の不安感を示しているとの見方を示した。 [時事通信社][2000-07-07-06:53] 93
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 07/07@<サミット>ジュリビー2000日本代表・北沢洋子氏に聞く(毎日新聞)

 ――アフリカなど重債務貧困国の債務削減が進まない。どうすべきか。
 ◇1年前のケルンサミットで合意したこと(重債務貧困国40カ国に対する債務救済)が実行されていない。約束したことを2000年中に実行し、さらに大胆な債務救済措置をとって頂きたい。
 重要なのはIMF(国際通貨基金)と世界銀行だ。これまで多国間債務は聖域になって触れられてこなかった。財源がないからということで、世銀については加盟国の拠出で穴埋めし、IMFは保有する金を売ることが決まっているが、進んでいない。2国間の債務帳消しも止まってしまっている。IMF、世銀は最大の債権者。債権者が債務帳消しをやるのは難しい。中立的な透明性をもった仲裁機関のようなものをつくって債務削減を進めるべきだ。
 ――仲裁機関とは。
 ◇債務帳消しと言ったって簡単にはいかない。浮いた金を貧困国の政府が公務員や大臣の月給に使っちゃたりする。確実に教育や医療に金が届くようなメカニズムをつくることが大事。そのためにはIMF、世銀ではなくて、現地の市民社会、NGO(非政府組織)を巻き込んで、意見を反映できる中立機関が必要だ。本当に金が目的どおり使われているかそこで監視できる。国連のアナン事務総長も必要性を指摘している。ローマ法王も債権国と債務国の会合を主催してもよいと言っている。
 ――この1年間で債務削減ができたウガンダなど5カ国ではNGOが橋渡し役となった
 ◇ウガンダはNGOだけでなく、議会、教会、労働組合、政府が入ってうまくいった。NGOが主張して、債務削減で浮いた金をそのまま国家予算に入れないで、貧困行動基金を作った。使い道は議会とNGO、政府などが決めていくことになった。ボリビアでは教会を中心に民衆が「これだけの債務を帳消しすれば、これだけのものができる」とペーパーを作った。大統領はまだ飲んでいないけれども。中立的な仲裁機関があれば、浮いた金を何に使うべきか、公平に判断できるはずだ。
 ――サミットでは議論になりそうか
 ◇中立的な仲裁機関の話までは難しいだろう。でも、遅れている債務削減を早めようという議論はきっと出ると思う。今までアフリカの貧困国の政府は債務削減についてビクビクして言えなかった。ところが今回はアフリカ統一機構の代表のアルジェリアの大統領とか、ナイジェリア、南アフリカの大統領らが来日する。私たちの会議にも呼んで意見を聴き、その結果を21日に沖縄でG7各国代表に伝えたい。
 重債務貧困国の実態をわかってほしい。借りた金を返すのは当たり前だが、アフリカの貧困国が金を返すにはコーヒーなど一次産品の輸出しかない。しかし、世界的に一次産品が値下がりし、返したくても返せない。アリ地獄のようだ。その打撃は結局、弱い市民に行く。
 ――サミット前の活動で日本の市民の理解も高まったのでは。
 ◇かつてないことだ。これだけ幅広い連合体(ジュビリー2000日本実行委員会)ができたのは初めて。キリスト教、仏教徒、NGO、労組も入っている。2年前のサミットで当時の高村正彦外相に会った時、「(債務削減の促進は)世論がないからだめです」と言われ、ガクッときた。
 政府は世論がないと動かない。署名を集め、世論をつくるのはたいへんだった。アフリカで死んでいく子供たちのことを日本で考えなくても構わないわけだから。黙ってたら、債務削減問題はG7の独立したテーマにはならなかったと思う。 【経済部・川口 雅浩】[2000-07-07-23:34] 94
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 07/07@<国連>社会開発総会 「貧困撲滅」の糸口見えず(毎日新聞)

 「貧困撲滅」を目指し、当地で開かれていた国連の「社会開発特別総会」が先月末、閉幕した。採択された政治宣言・行動計画では、最貧国に対する政府開発援助(ODA)の拡大や最貧国債務の大幅削減などを訴え、2015年までに世界の貧困者を半減することを確約した。だが、「貧困救済の新たな政策を提示できず、失敗に終わった」という声も根強い。近未来の貧困撲滅は可能なのか。会議を振り返った。【ジュネーブ・福原直樹】
 ●成果?
 6月26〜30日の総会の目的は、95年の社会開発サミット(デンマーク)の成果の再検討だった。同サミットでは貧困撲滅、雇用創設、エイズ対策の強化――をうたい、国民総生産(GNP)の0・7%をODAとして支出するよう先進国などに求めた。モノ中心の援助から、住民の生活改善を直接助ける「人間中心」の援助も強調した。
 だが、過去5年間で状況は悪くなるばかりだ。国連によると、1日1ドル以下の収入しかない「絶対貧困者数」は10億人(95年)から、12億人に増加。先進国と最貧国の所得格差も開き、栄養失調率や失業率も改善が見られずに推移している。一方、世界のODA支出額は減少している。
 このため、今回の会議では前回のサミットの成果を再確認した上で、15年までに世界の人々すべてが初等教育や最低限の医療を受けられるよう要求した。同年までに非識字者を大幅になくし、エイズ被害の深刻なアフリカ諸国の青年について、05年までに感染者を4分の1減らすよう求めた。
 だが、誰が一体資金を拠出するのか。これが会議での大きな争点になった。
 ●具体策なし
 「最終合意は不満だ」。
 会議に参加した非政府機関(NGO)の「ソーシャル・ウオッチ」の幹部がそう語った。NGOの多くが失望した理由は、「国際通貨取引税」について、合意できなかったことだ。同税は投機目的の資本移動に対し、各国が一定の課税を行うもの。カナダやNGOは、世界各国がこの課税を実現し、途上国の援助資金に回すよう求めていた。
 だが、「この税について、(国連が)今後調査研究を行う」ことを求めたカナダや途上国グループの行動計画案も、米などの反発で、不採択になった。取引税については、「仮に国際社会が取引税実施に合意しても、一部の国が従わなければ、投機筋の金はその国に流れてしまう。それに、だれが徴税するのか。非現実的だ」(国際通貨基金幹部)と反発の声が強かった。
 結局会議では、貧困削減のための資金策として、(1)各国のODAへの支出努力(2)昨年6月の先進国首脳会議(ケルン・サミット)で確認された、最貧国に対する公的債務の大幅削減策――の2点を確認し、過去の合意の追認に終わった。 ●先進国・途上国の対立
 先進・途上国の対立も会議で目立った。「経済のグローバル化の波は、途上国、特にアフリカ諸国の経済を悪化させた」。スーダン代表が主張したように、途上国の多くは先進国優先のグローバル化を強く批判した。また会期中、国連開発計画(UNDP)が「世界で、最も生活条件が悪い国」と指摘したシエラレオネは「発展途上国の負債について(先進国の)救済策は、遅すぎる」と強調した。
 これに対し先進国側は「内戦・クーデターが続いたり、民主化が進まないのでは、援助資金が無駄使いになる」(日本政府筋)と主張し、途上国に「良い統治」を行うよう求めた。結局、宣言文では、グローバル化について「各国間の格差が広がった」と負の側面も強調、途上国救済を求めた。だが「良い統治」という言葉は途上国の反発で削られ、欧州連合(EU)が、これに強い遺憾の意を表明し、先進国と途上国の対立の根深さを示した。[2000-07-07-23:34] 142
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 07/07@NMD計画断念を要求か 北京で米中不拡散協議(共同通信)

 【北京7日共同】大量破壊兵器拡散防止をめぐる約一年半ぶりの米中協議が北京で七日、ホラム米大統領上級顧問(軍縮問題担当)と王光亜・中国外務次官らとの間で行われた。日程は二日間。
 米本土ミサイル防衛(NMD)の迎撃実験が中国時間で八日に実施されるタイミングでの協議開催で、中国側は米国による台湾防衛につながりかねないNMDの計画断念を米側に強く迫っているもようだ。
 協議を受け、ホラム顧問は八日午後に記者会見する。
 米側は、中国のパキスタンへの長距離ミサイル開発支援問題を取り上げ、米中首脳間の合意事項である中国のミサイル関連技術輸出規制(MTCR)への参加検討を推進するよう求めているとみられる。
 中国は江沢民国家主席が訪問先のタジキスタンで五日にロシアのプーチン大統領と初の会談を行い、NMDに一致して反対する姿勢を確認。欧州歴訪中の朱鎔基首相もイタリアのアマート首相との間でNMDへの懸念を共有するなど、米国の孤立化を図っている。
 中国はNMD開発を基に、戦域ミサイル防衛(TMD)が台湾に配備されれば「露骨な内政干渉だ」と警戒感を強く示してきた。(了)[2000-07-07-17:13] 154
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 07/07@◇プーチン大統領、広島・長崎市長に「核軍縮推進」と親書◇(朝日新聞)

 ロシアのプーチン大統領は6日、伊藤一長・長崎市長と秋葉忠利・広島市長あてに親書を送り、「ロシアはさらなる核軍縮に進むつもりだ」と伝えた。ニューヨークで今春開かれた核不拡散条約(NPT)再検討会議に際し、両市長がプーチン大統領に送った手紙への返書だと大統領府は説明しているが、九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)を間近に控え、軍縮面での主導性を示すことで米本土ミサイル防衛(NMD)構想を進める米国をけん制する狙いも見える。
 親書では、米ロが暫定的に合意している第3次戦略兵器削減条約(START3)の核弾頭数制限である2000―2500発を、ロシア側は1500発まで大幅に削減する用意があると改めて表明。また、NMDに絡んで米国が見直しを狙う弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約を現状のまま堅持することは、世界の安定や戦略兵器削減に欠かせない条件だと強調。米国がNMD計画を強行すればこうした軍縮努力が水の泡になると述べている。
 さらに、大統領は世界各地に非核地帯を設ける構想を前向きに評価し、新しい非核地帯の創設へ向けた努力を支持すると表明。その例として、朝鮮半島、中東、東欧・中欧、中央アジアを挙げた。[2000-07-07-11:50] 162
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 07/07@ノーベル賞学者が反対表明 米本土ミサイル防衛で大統領に書(共同通信)

 【ワシントン6日共同】原爆を開発したマンハッタン計画で指導的役割を果たし、戦後歴代米大統領の核兵器問題担当上級顧問を務めたハンス・ベーテ博士ら、米国のノーベル賞受賞科学者五十人が六日、米本土ミサイル防衛(NMD)システムについて「資金の浪費の上、かえって米国の安全保障に悪影響を与える」として、配備中止を求める書簡を連名でクリントン大統領に送った。
 有力科学者が反対を表明したことで、米国内にも根強いNMD反対論は今後さらに強まりそうだ。
 書簡は、発射されたミサイルを空中で撃ち落とすという技術自体が「完成されていない。(迎撃)実験が成功したとしても、時期尚早で(配備は)危険だ」と指摘。
 さらに、外交的な影響について「ロシアや中国は、(朝鮮民主主義人民共和国など)小さな国のミサイル脅威のために、米国がわざわざ巨額の資金を投じるとは受け止めない」として、NMD配備はロシアと中国の弾道ミサイル増強につながり、米国の安全保障上の利益にはならないと警告した。(了)[2000-07-07-08:53] 163
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 07/07@前EU委員長が年内訪朝へ 南北会談受け大物を派遣(共同通信)

 【ブリュッセル7日共同】朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)最高人民会議からの公式訪問招請を受けた欧州連合(EU)の欧州議会が、サンテール前欧州委員長(現欧州議会議員)ら三議員の年内派遣を決めたことが分かった。複数のEU筋が六日、明らかにした。
 サンテール氏は一九九五年から四年余り「EU内閣の首相」に相当する欧州委員会委員長を務めた大物。同氏の派遣には、六月の韓国との南北首脳会談を成功させた北朝鮮に対し、関係改善への強い意欲を示す狙いがあるとみられる。
 EU筋によると、北朝鮮は今年一月、欧州議会のフォンテーヌ議長に書簡を送り、議会代表団訪問を招請。訪朝の是非を検討した外交委員会は最近の韓国と北朝鮮の関係改善などを踏まえて派遣を決めた。
 各会派幹部もこの決定に同意したため六月に人選に着手。サンテール氏や朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)に詳しい議員らを選んだ。現在、最終的な訪朝日程や議題を調整している。
 ルクセンブルク首相などを歴任したサンテール氏は欧州委員長在任中、単一通貨ユーロ導入などの歴史的事業を成功に導いたが、行政運営の不正疑惑発覚に伴い昨年三月に辞職。同六月の選挙で欧州議会議員に返り咲いた。(了)[2000-07-07-08:04]
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 07/08@モンテネグロ議会、憲法改正を拒否(読売新聞)

 【ウィーン8日=佐々木良寿】セルビアと共にユーゴスラビア連邦を構成するモンテネグロの共和国議会は八日未明、ミロシェビッチ連邦大統領の政治的延命につながる憲法改正を拒否する決議を賛成三十六、反対十八で採択した。
 決議は、連邦からの独立も視野に入れて反ミロシェビッチ路線を推進してきたモンテネグロのジュカノビッチ政権が提案したもの。モンテネグロの政権と議会がミロシェビッチ再選阻止の姿勢を鮮明にしたことで、ユーゴ情勢は混迷を避けられない情勢となってきた。
 今月六日に連邦議会が可決した憲法改正は、大統領選出に関して、連邦議会による間接選挙から直接選挙に変え、再選禁止を撤廃して二期まで八年まで認めるほか、セルビア、モンテネグロ両共和国が平等に二十議席ずつ持ち、各共和国議会が議席数に応じて政党に比例配分していた連邦上院も直接選挙とする、という内容。
 モンテネグロは人口六十五万人で、セルビアの千万人に比べて圧倒的に少なく、憲法改正によって、「対等の関係に基づく連邦」という建前が完全に崩れ、今後、連邦機構からモンテネグロの影響力が排除されるのは必至だ。
 このため、モンテネグロのブヤノビッチ首相は議会開会演説で、「憲法改正には、モンテネグロの共和国体制をつぶそうとする残忍な企図がある」と非難した。
 ジュカノビッチ政権は九七年の発足以来、独立の可能性をちらつかせながら独自の通貨制度を導入するなど、セルビア離れを加速してきた。[2000-07-08-18:14] 5
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 07/08@時間にらみせめぎ合い 外交上の遺産狙う米大統領(共同通信)

 【ワシントン8日共同】ワシントン郊外のキャンプデービッドで十一日から始まる中東和平三首脳会談のキーワードは「残り時間」。
 九月の恒久的地位交渉の期限をにらみながら、アラファト・パレスチナ自治政府議長とバラク・イスラエル首相がぎりぎりのせめぎ合いを続けるのに対し、クリントン米大統領の残る任期も六カ月。評価されないユーゴスラビア・コソボ紛争介入、北アイルランド和平合意仲介だけでは外交上の「遺産」にならない。ここでどうしても中東和平を実現したいところだ。
 クリントン大統領が和平の枠組みだけでも導き出せれば、三つの和平での合わせ技一本。「即座に(十月の)ノーベル平和賞候補者」(ワシントン・ポスト紙)となる。
 気乗りしないアラファト議長を「遅れるだけ厳しくなる」と説き伏せ、クリントン大統領が首脳会談を設定したことに、ブルッキングズ研究所のリチャード・ハース副所長は「(秋の)選挙までしか時間がないからだ」という。
 政治評論家の間には「ユダヤ票が多いニューヨーク州上院選(十一月)に立候補しているヒラリー夫人への後押しになる」との見方もあり、クリントン大統領の意気込みも政治的野心、打算と受けとられがちだ。(了)[2000-07-08-16:04] 6
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 07/08@モンテネグロが改憲拒否 連邦との対決色一段と(共同通信)

 【ウィーン8日共同】ユーゴスラビア連邦モンテネグロ共和国議会の臨時本会議は八日未明、連邦議会側がミロシェビッチ大統領の再選を狙って六日に承認した憲法改正を拒否する決議を採択、ミロシェビッチ政権との対決姿勢を一段と鮮明にした。
 憲法改正は、大統領を連邦議会が選出するとの規定を、直接選挙制に変更する点が柱。モンテネグロ(人口約六十万人)とともに連邦を構成するセルビア(同約一千万人)が人口比で圧倒的に有利になるため、欧米諸国の支援をバックに反連邦色を強めてきたモンテネグロの立場が極端に弱まる。
 決議は「改憲はモンテネグロ市民の多数の意思に反し、不法な連邦議会によって採択された」と断言し、「モンテネグロ共和国議会は承認も受け入れもしない」と宣言。
 さらに、モンテネグロ当局に対する圧力になっているユーゴ連邦軍に対し、自制を求めるとともに、危機解決のため国際社会に支援を要請している。
 臨時議会は七日夜に招集され、ブヤノビッチ共和国首相は開幕演説で、憲法改正は「二つの対等の共和国による連邦国家の理念を破壊するものだ」と指摘、連邦側による「野蛮な試み」を激しく批判した。(了)[2000-07-08-16:02] 7
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 07/08@<モンテネグロ>改憲拒否の決議案採択 臨時議会(毎日新聞)

 【ウィーン8日福井聡】ユーゴスラビア連邦に属するモンテネグロ共和国は7日から8日未明にかけて臨時議会を開き、ユーゴ連邦議会が6日に採択した憲法改正案に対し、「1992年以降のすべての連邦法の改正について、モンテネグロの承認なしでは無効とする」と改憲を拒否する決議案を賛成多数で採択した。モンテネグロ与党・社会民主党が提案した独立に向けた国民投票の実施案は否決され、内戦に向かう危機は当面回避されたが、モンテネグロのユーゴ連邦との敵対姿勢は決定的となった。
 ポドゴリツァからの報道によると、同決議は「ユーゴ連邦議会の改憲措置はモンテネグロ国民の多数派の意思に反する違法な連邦議会によって採択されたもので、モンテネグロ議会はこれを認めない」などとしており、賛成36、反対18で採択された。
 モンテネグロのブヤノビッチ首相は臨時議会の場で「ユーゴ連邦議会の改憲措置は2つの対等な共和国の連合体としてのユーゴ連邦国家の概念を根底から崩す残忍な試みで、ユーゴ連邦を『拡大セルビア』に転化させるものだ」と強く非難し、ショーチ司法相も「モンテネグロの権利が踏みにじられれば、もはやユーゴ連邦そのもののが存在し得ない」と述べた。[2000-07-08-12:46] 9
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 07/08@<モンテネグロ>ユーゴ議会の憲法改定に停止決議を提案=替(毎日新聞)

 【ウィーン7日福井聡】ユーゴスラビア連邦に属するモンテネグロ共和国のブルザン首相は7日、ユーゴ連邦議会が3分の2の多数で憲法改定案を採択したことに対し、「1992年以降のすべての連邦法の改正について、モンテネグロの承認なしでは無効とする決議を議会に提案する」と発表した。同決議は同日中にもモンテネグロ国会に提案される。
 ポドゴリツァからの報道によると、この決議はモンテネグロの連邦内での共和国としての地位を規定した92年の憲法の改正停止を求めるものとなる。モンテネグロは従来、ユーゴ連邦上院の半数に当たる20議席を自動的に割り当てられ、連邦内でセルビアとほぼ同等の地位を保障されてきたが、6日のベオグラード連邦議会の改憲措置により一般投票制度を取り入れることになった。
 ユーゴ連邦はセルビア、モンテネグロ両共和国で構成。モンテネグロの人口が約60万人に対し、セルビアは約1000万人。住民数を反映した一般投票制が導入されると、連邦議会はセルビア選出議員が圧倒し、モンテネグロ側の声が及ばなくなる。
 ジュカノビッチ大統領は親欧米の立場からミロシェビッチ大統領と対立し、ユーゴ連邦からの独立に向けた国民投票の実施を再三示唆してきた。モンテネグロでは独立支持派と反対派がほぼ同数の勢力といわれている。セルビアの野党は「今回の憲法改定にはジュカノビッチ大統領に国民投票実施を迫り、失政を招く意図が含まれている」とみている。
 ジュカノビッチ大統領は7日、「非民主的かつ違法な手段によって(セルビアの首都)ベオグラード政権はついに憲法制度を転換させ、連邦の運命自体を疑問視させてしまった」との声明を発表し、ミロシェビッチ大統領再選に道を開く改憲を強く非難した。[2000-07-08-01:07] 18
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 07/08@旅券忘れた?伊蔵相、入国手続きに遅れ(読売新聞)

 沖縄サミット(主要国首脳会議)に向けた蔵相会議に出席したイタリアのヴィスコ蔵相が、八日朝の福岡空港到着時に、パスポートを持っていなかったため、入国手続きに手間取るというハプニングがあった。
 ヴィスコ蔵相は、フランスなど三か国の蔵相と共に午前九時ごろ、特別機で到着。随行員が代理で福岡入国管理局の入国審査を受けることになっていたが、同蔵相だけパスポートがなかった。やむを得ず入管難民法に基づく仮上陸手続きをとり、ほかの蔵相より約五分遅れて会場に向かった。
 同管理局によると、こうした場合、通常なら本国への問い合わせなどで時間がかかる。今回は「身元が確か」で、会議開始の時間も迫っていたことから“スピード処理”したが、「非常に珍しいケース。それにしても、出国の時はどうしたのだろうか」と不思議がっていた。[2000-07-08-20:46] 20
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 07/08@◇米NMDの迎撃実験また失敗 配備目標見直しへ◇(朝日新聞)

 米国防総省は8日、米本土ミサイル防衛(NMD)の3回目の迎撃実験を行ったが失敗した。敵のミサイルに見立てた標的を直撃するはずの迎撃体が、打ち上げ用ロケットから切り離されなかったのが原因だ。これで3回の実験のうち、2回を撃ち損じた。今回は打ち上げ直後に予想外の根本的な欠陥が生じ、国防総省の衝撃は大きい。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)のミサイル脅威を理由とした「2005年配備」の目標は見直しを迫られ、クリントン大統領は、NMD導入の本格的な決定を次の政権にゆだねる公算が大きくなってきた。
 米東部標準時の8日午前0時19分(日本時間同日午後1時19分)、カリフォルニア州バンデンバーグの空軍基地から、大陸間弾道ミサイル(ICBM)のミニットマンが打ち上げられた。21分後、約6900キロ離れた太平洋マーシャル諸島クエジェリン島から、迎撃体を載せたブースターロケットが発射された。計画通りなら、迎撃体が標的の弾頭に体当たりするはずだった。しかし、ロケットから迎撃体を放出するのに必要な電子信号が届かず、標的に向かう以前の最初の3分弱で、実験は失敗に終わった。
 命中していれば、コーエン国防長官は、情報当局の予測で「北朝鮮が米国に届くICBMを持つ」とされる2005年に、最初の迎撃体20基を実戦配備する目標に向けて、開発を進めるよう促す勧告書をまとめるとみられていた。だが、技術の有効性を判断する材料は、命中した昨年10月の実験結果しかなく、今回に至っては初歩的なミスのため、迎撃体のハイテク装置の出番はなかった。
 国防総省弾道ミサイル局のカディシュ局長は、ロッキード・マーチン社製のブースターには「自信を持っていた」と述べ、失望を隠さなかった。
 クリントン大統領は、国防長官の勧告後、ミサイル防衛網の配備に乗り出すかどうかの決断を秋の大統領選までにする予定だった。この失敗で、計画そのものを白紙に戻すことはないにしても、本格的な決定を次の政権にゆだねる案が浮上する可能性が強い。最終判断を棚上げしたまま、アラスカでの高性能レーダーの着工準備を指示するかどうかが焦点となるが、配備断念を求める中ロの圧力は高まりそうだ。[2000-07-08-20:37] 21
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 07/08@<NMD>3回目の迎撃実験失敗 2005年までの配備困難(毎日新聞)

 【ワシントン8日布施広】米国防総省は8日、米本土ミサイル防衛(NMD)の3回目の迎撃実験を太平洋上空で行ったが、失敗した。弾頭破壊装置(キル・ビークル)を迎撃用ミサイル本体から切り離せなかったためで、今年1月の実験に続き2回連続の失敗となった。昨年10月の実験についても「偶然の成功」との批判があり、クリントン大統領が今秋、「2005年までの配備」を決断をするのは難しくなったとの見方が強い。
 国防総省によると、東部時間8日午前0時19分(日本時間午後1時19分)、カリフォルニア州バンデンバーグ空軍基地から、敵のミサイルに見立てた大陸間弾道弾「ミニットマン」を発射、約20分後に約7000キロ離れた太平洋上のクエゼリン島から迎撃ミサイルを打ち上げた。ミニットマンは大気圏外で正常に実験用弾頭を切り離した。
 しかし、迎撃用ミサイルは2段目の推進装置とキル・ビークルの切り離しに失敗した。今回は標的の位置を精密に捕らえるため、監視衛星や地上レーダーなどの情報を初めて集約した実験として注目されたが、標的を捕捉する前に基本的なミスが生じたことになる。
 実験を受けて国防総省は、NMDの有効性に関する報告書を来月にも大統領に提出する。NMD配備が決まった場合、国防総省は来春、アリューシャン列島の島でNMD用レーダー施設の建設に着手。2005年までに20基の迎撃ミサイルをアラスカ州に配備する方針だが、同省は大統領への報告に難しい意見調整を迫られそうだ。
 NMDは朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)やイランなどの弾道ミサイル開発に対抗するもので、北朝鮮のテポドン発射(1998年8月)以降、米議会を中心に配備要求が急速に強まった。ロシアや中国はNMD配備こそ世界の軍事バランスを崩し、安全保障を危うくすると反発している。
 今回の実験は、標的となるミサイルの遠隔装置の電圧低下により、開始が約2時間遅れた。[2000-07-08-20:28] 28
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 07/08@「沈黙の打破」議題に討議 世界エイズ会議9日開幕(共同通信)

 【ダーバン8日共同】第十三回世界エイズ会議が南アフリカのダーバンで九日から六日間の日程で開催される。医療専門家や科学者、非政府組織(NGO)関係者など一万人以上が参加、エイズ予防策や治療法など五千を超える研究成果が発表される予定。併せてエイズをめぐる社会問題についても討議する。
 今回の主要議題は「沈黙の打破」。エイズ治療を財政的に負担できない途上国を中心に、エイズ対策の遅れや患者差別などによりエイズ被害は一段と深刻化。こうした諸問題に社会が口をつぐんでいる現状を変革していくのが狙いだ。
 一九八五年に米国アトランタで始まった世界エイズ会議は、前回会議(ジュネーブ)まで欧米と日本、カナダの先進国で開かれ、エイズ禍が最も深刻なアフリカでの開催は今回が初めて。
 国連エイズ計画(UNAIDS)の報告によると、成人の感染率が二○%前後に達する南アフリカやジンバブエでは将来、十五―四十九歳の世代の約半数がエイズで死亡する恐れがある。会議の組織委員会は「南ア開催で、エイズ問題への対処が途上国では緊急の課題であることを訴えることができる」としている。
 従来の会議の「基礎科学」「臨床」「疫学・予防」「社会問題」の四分科会に加え、今回は新たに「権利・政治」の分科会が設置され、各国政府の役割と責任、エイズと人権の問題などについて議論する。(了)[2000-07-08-16:45] 29
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 07/08@欧州との関係さらに強化へ イラン大統領10日訪独(共同通信)

 【テヘラン8日共同】イランのハタミ大統領は十日から三日間の日程でドイツを公式訪問する。イラン大統領のドイツ訪問は一九七九年のイラン革命後初めて。
 最大の貿易相手国であるドイツへの訪問は、昨年のイタリア、フランス訪問に続き、欧州連合(EU)主要国との関係強化の動きを一段と加速しそうだ。同時に、米国のイラン封じ込め政策が事実上機能しなくなっている状況を国際社会にあらためて示すことにもなり、象徴的な意味も持つ。
 ドイツなどでは、イスラム統治体制に反対する欧州亡命イラン人組織が大規模な抗議デモを計画しており、厳戒態勢下での訪問となりそうだ。
 ハタミ大統領は滞在中、シュレーダー首相やラウ大統領らドイツ政府首脳と会談。経済関係の強化などを協議し、十二日には東部ワイマールも訪れる。
 両国関係は、九二年にベルリンで起きたイランのクルド人反体制活動家の暗殺事件で、ベルリン上級地裁が九七年、イラン政府の関与を認定したのを機に悪化。EU各国とイラン双方が大使を召還する事態に発展したが、ハタミ政権の融和政策で関係は修復していた。
 しかし、イランでは一日、ユダヤ系住民らによるスパイ事件の公判で、十被告に禁固刑判決が出たばかり。欧米諸国は同公判の手続きなどをめぐり人権侵害があったと非難しており、大統領訪問に対するドイツ政府の反応が注目されていた。(了)[2000-07-08-16:39] 33
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 07/08@パレスチナ交渉打開目指す 11日から中東3首脳会談(共同通信)

 【エルサレム8日共同】暗礁に乗り上げたままのパレスチナ和平交渉の打開を目指し、イスラエルのバラク首相とパレスチナ自治政府のアラファト議長、仲介役のクリントン米大統領による中東和平三首脳会談が十一日から、米メリーランド州キャンプデービッドで始まる。
 パレスチナ紛争の解決を図る恒久的地位交渉の最終合意期限が九月十三日に迫っており、トップ会談で打開策を見いだすのが狙い。任期切れを間近に控え、歴史に名を残したいクリントン大統領としても「最後のかけ」。しかしイスラエル、自治政府とも「互いの溝は深く、大きい」と認めており、会談で最終合意への道筋をつけられるかどうか予断を許さない状況だ。
 会談は数日間、集中的に行われる見込み。会談の行方次第では第二ラウンドの首脳会談が開催され、九月までぎりぎりの交渉が続くものとみられる。
 主要議題は@聖地エルサレムの帰属A約三百五十万人のパレスチナ難民の処遇Bパレスチナ独立国家―などで、いずれも解決が先送りされてきた困難な問題ばかり。
 バラク首相は会談直前に、和平に消極的な連立二党から連立離脱を突き付けられ、政治基盤が弱体化。アラファト議長も、悲願の独立国家樹立までは安易な妥協は許されず、両首脳とも決定的な譲歩を示すことは難しい状況に追い込まれている。
 「治安確保」を前面に押し出すバラク首相に対し、アラファト議長は一方的な「独立宣言」カードを武器にしており、イスラエルの対応次第ではパレスチナ住民抵抗運動が激化する可能性もある。(了)[2000-07-08-16:02] 37
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 07/08@世界3位の防衛企業発足 欧州航空防衛宇宙会社が株式上場へ(共同通信)

 【ブリュッセル8日共同】欧州三カ国の企業が合併してつくる欧州航空防衛宇宙会社(EADS、本社アムステルダム)が十日、フランクフルト、パリ、マドリードの各市場に株式を上場し、米国のボーイング、ロッキード・マーティンに次ぐ世界三位の防衛企業が誕生する。
 母体となるのはドイツのダイムラークライスラー・エアロスペース、フランスのアエロスパシアル・マトラとスペインのCASA。EADSは超大型旅客機A3XXの製造を発表したエアバス・インダストリーを傘下に収め、イタリアの国営防衛企業フィンメカニカとの提携も決まっている。
 ヘリコプターや商用衛星打ち上げなどではボーイングなどを上回るが、軍用輸送機部門では大きく立ち遅れており、エアバスが初めて製造する輸送機A400Mに発注が集まるかどうかがカギだ。
 欧州連合(EU)の共通外交・安保政策の進展に伴い欧州防衛産業の統合が必要となり、当初はEADSに参加する三社のほかに、英国のBAEシステムズ(旧ブリティッシュ・エアロスペース)、スウェーデンのサーブなどによる欧州航空防衛会社(EADC)の設立構想が検討された。
 しかし、BAEが昨年初めに脱退したため、英国抜きの統合となった。(了)[2000-07-08-15:16] 45
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 07/08@ルワンダ虐殺で米などに賠償要求…OAU設置の国際委(読売新聞)

 【ニューヨーク7日=寺田正臣】一九九四年に五十万人以上が犠牲となったアフリカ・ルワンダの虐殺事件を調査していたアフリカ統一機構(OAU)設置の国際委員会(マシレ前ボツワナ大統領ら七人で構成)は七日、米国など国際社会に責任があるとしてルワンダに対して賠償金を支払うよう求める報告書を発表した。名指しで非難されたのは米国のほか、フランス、ベルギー、国連安全保障理事会、カトリック教会。
 事件発生当時、国連は約二千五百人の平和維持軍をルワンダに派遣していたが、報告書によるとこのうち現場近くに駐留していたフランス、ベルギーとルワンダ国内のカトリック教会は虐殺を防げる立場にあったにもかかわらず行動を起こさなかった。米国は虐殺を知っていながら国連安保理が武力行使を決定することを妨げたとしている。
 同委員会はアナン国連事務総長に、賠償金支払いについて詳細を検討する委員会の設置を求めている。
 同虐殺事件については昨年末、アナン事務総長が国連とその加盟国に虐殺を防止する政治的意思が欠落していたとする報告をまとめている。[2000-07-08-13:11] 79
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 07/08@カトリック教会の責任追及 ルワンダ大虐殺の報告書(共同通信)

 【ニューヨーク7日共同】一九九四年に約八十万人が犠牲となったルワンダ大虐殺に関するアフリカ統一機構(OAU)の報告書が七日国連本部で公表され「虐殺を防止しようとしなかった」として、ローマ・カトリック教会などの責任を強く追及した。
 現地カトリック教会指導者の責任は早くから指摘されてきたが、公的な報告書が名指しで非難するのは極めて異例。
 報告書は現地カトリック指導者について「虐殺を進めたフツ人勢力を支持した」と批判。「カトリック指導者らの暗黙の支持がなければ、短期間にこれほど多数を殺害することはできなかったろう」と指摘した。
 当時、ツチ人多数が逃げ込んだカトリック教会の司祭が、フツ人勢力に避難民の居所を通報するなど虐殺への加担がこれまで報告されてきた。
 報告書は国連や米国、フランス政府、現地の英国国教会などの責任も指摘した上で「カトリック教会、フランス政府は一切謝罪していない」と強い調子で非難。アナン国連事務総長に対し、賠償金を支払うべき国を特定するための委員会設置を求めた。
 報告書はOAUの依頼でボツワナのマシーレ前大統領らがまとめた。
 ルワンダ虐殺については、既に国連が第三者に依頼して、自らの責任を認める報告書を作成、昨年十二月に公表している。(了)[2000-07-08-09:27]
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 07/10@◇「安保理改革の重要性」を明記へ サミット外相会合◇(朝日新聞)

 九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)の外相会合が12日から2日間の日程で宮崎市で開かれる。合意事項を盛り込む総括文書では、サミット文書としては初めて「国連安全保障理事会の改革の重要性」を明記する見通しだ。安保理の常任理事国入りを目指す日本が強く主張した。会合では紛争を未然に抑える「紛争予防」の具体策や、朝鮮半島情勢などの地域情勢についても討議する。
 安保理改革をめぐっては、国連改革が主な議題となる9月の国連ミレニアム・サミットに向け足がかりを得たい日本が、文書への盛り込みにこだわった。イタリアがドイツの常任理事国入りに反対していることなどから調整は難航したが、「改革の重要性」を指摘することで落ち着いた。
 紛争予防では、国連平和維持活動(PKO)の展開のほか、開発援助や民主化支援など政治・経済・社会にわたる手法を組み合わせた「包括的アプローチ」を打ち出す。アフリカのシエラレオネなどでダイヤモンドの不正取引が反政府武装勢力の資金源になっている例があるため、取引規制の強化でも合意する見込みだ。
 地域情勢では、中東和平でイスラエルとパレスチナの最終地位交渉が進展するよう促すほか、紛争で荒廃したユーゴスラビアのコソボの復興への協調を打ち出す。インド、パキスタン両国に包括的核実験禁止条約(CTBT)への参加も強く求める。[2000-07-10-23:45] 241
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 07/10@<EU外相会議>対ロシア経済支援を再開する見通し(毎日新聞)

 【ブリュッセル10日森忠彦】欧州連合(EU)の外相会議が10日始まった。会議では、チェチェン情勢の悪化に伴いEUが凍結していたロシアに対する経済支援を再開する見通し。EU側は今回の措置でロシアとの関係改善を図りたい意向だ。
 7月からフランスが議長国となって初の会議では、チェチェン紛争へのロシア側の対応が人権侵害に相当するとしてEUが今年1月に決めた技術援助プログラムなど総計9000万ユーロ(約93億円)の支援の凍結を解除する方向で話し合う。人権面での懸念は依然として残るが、プーチン政権が発足したのに伴い、ロシア側との対話の仕切り直しを狙ったものだ。
 またユーゴスラビア問題では、民主化支援策として踏み切った民間航空機の乗り入れ禁止の停止措置を、さらに半年継続することを決める。一方で、今月6日にユーゴ連邦議会がミロシェビッチ大統領の再選に道筋をつけたことなどを受けて、政権側に対しては強硬姿勢を貫く。またフランスが提唱して開くEUと西バルカン諸国との首脳会議を11月にクロアチアで開くことを承認する。[2000-07-10-22:15] 242
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 07/10@<イラン>ハタミ大統領が訪独 欧州との関係強化で米けん制(毎日新聞)

 【ベルリン10日藤生竹志】イランのハタミ大統領は10日、ドイツ公式訪問のためベルリンに到着、独側のラウ大統領、シュレーダー首相らと会談した。3日間の滞在中に経済界関係者とも会談する予定で、独企業によるイラン投資拡大を呼びかけるものとみられ、経済制裁を続ける米国をけん制する狙いもある。
 イラン大統領の訪独は1979年のイラン革命以来初めて。同大統領は昨年、イタリア、フランスを公式訪問しており、最大の貿易相手国であるドイツ訪問で、欧州連合(EU)諸国との関係強化にはずみがつきそうだ。
 両国関係は、92年にベルリンのレストランで起きたクルド人反体制活動家暗殺事件で、ベルリン上級地裁が97年、イランの関与を認定したことから悪化。EU各国とイラン双方が大使を召還する事態に発展した。しかし、国際社会での孤立脱却を図るハタミ大統領の融和政策でその後は関係が修復し、今年3月にはフィッシャー独外相がイランを訪問してハタミ大統領の訪独を正式に招請、今回の訪独が実現した。
 ただ、連邦議会(下院)の超党派議員が人権問題を理由にハタミ大統領の訪独反対を表明するなどドイツでは懸念が依然、根強い。また、イスラム統治体制に反対する欧州亡命イラン人らは大統領のベルリン到着に合わせて大規模なデモを行い、約50人が逮捕された。テロ警戒のためハタミ大統領の移動は車を使わずヘリコプターになった。[2000-07-10-21:52] 269
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 07/10@紛争国不参加で目標に遠く OAU首脳会議開幕(共同通信)

 【ナイロビ10日共同】第三十六回アフリカ統一機構(OAU)首脳会議が十日、トーゴの首都ロメで十二日までの三日間の日程で始まる。
 エイズ対策、紛争防止、アフリカ統合などが主な議題となるが、既に対立から不参加を表明している紛争当事国や関係国の首脳もあり、昨年の首脳会議で宣言された二○○○年の目標「平和、治安、連帯の達成」にはほど遠いのが現状だ。
 会議には最終的に三十数カ国の首脳が参加する予定だが、アンゴラは、トーゴのエヤデマ大統領が反政府勢力、アンゴラ全面独立民族同盟(UNITA)を支援しているとの今年三月の国連報告を根拠に会議不参加を各国に呼び掛けた。
 同調して、コンゴ(旧ザイール)紛争でアンゴラに軍事支援を受けているコンゴやナミビアが不参加を表明、シエラレオネの反政府勢力、革命統一戦線(RUF)を支援しているとされるリベリアも不参加。
 会議では、アフリカで約二千四百五十万人が感染しているエイズの対策について集中討議するほか、小火器規制、軍事クーデター防止対策、紛争防止のためのOAU和平基金の創設などが話し合われる。
 昨年の九月にリビアで開かれたOAU特別首脳会議で同国のカダフィ大佐が提唱したアフリカ統合を目指す「アフリカ連合」構想についても討議されるが、各国の意見の隔たりは大きく、具体化するにはさらに議論が必要だ。(了)[2000-07-10-16:04] 273
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 07/10@紛争予防に60万ドル追加拠出(読売新聞)

 二十一日からの沖縄サミット(主要国首脳会議)で主要議題となる紛争予防について、日本政府が、独自に取り組む対応策を盛り込んだ「紛争予防に関する行動計画」を表明することが十日、明らかになった。〈1〉紛争で使用されることが多い自動小銃や手りゅう弾など小火器の規制のため、国連に対して新たに六十万ドルを拠出する〈2〉紛争地域で活躍するNGO(民間活動団体)への支援を強化する――ことなどが柱となっている。
 十二、十三の両日、宮崎市で開くサミット外相会議で各国に説明する。
 紛争予防については、サミット外相会議で、具体的な対処方針を示した「紛争予防に関するG8宮崎イニシアチブ」(仮称)を採択する予定だ。
 日本の行動計画は、このイニシアチブに呼応する形で取りまとめたもので、「小火器に関する日本の行動」と「紛争と開発に関する日本の行動―アクション・フロム・ジャパン」から成る。
 小火器の行動計画では、今年、国連内に日本が百二十七万ドルを拠出して創設した「小火器基金」に、新たに六十万ドル追加することを明記。この基金を生かして、元戦闘員の武装解除・社会復帰への協力や、警察、税関といった小火器取締機関への協力などを行い、不正な武器移転の予防や紛争終了地域での小火器の削減につなげる。
 また、小火器の紛争地域への輸出禁止がG8宮崎イニシアチブに盛り込まれるのを受け、「小火器を含む一切の武器を輸出しない政策を堅持する」ことを明記している。
 開発についての行動計画では、NGOを紛争予防の重要な主体と位置づけ、〈1〉NGOの活動に対する政府開発援助(ODA)を拡充する〈2〉特に、紛争発生時にNGOが必要とする情報や資金などを政府が速やかに提供する〈3〉紛争地域への政府とNGOの合同調査団の派遣を推進する――ことなどを盛り込んでいる。[2000-07-10-14:30] 290
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 07/10@イスラエル、連立与党が相次いで離脱(読売新聞)

 【エルサレム10日=当間敏雄】イスラエルのバラク連立政権で和平に消極的姿勢を見せてきたロシア移民党(四議席)党首のシャランスキー内相は九日、米国で十一日から始まる中東和平三首脳会談に臨むバラク首相の姿勢を不満として辞表を提出、連立離脱を表明した。さらに与党第二党の宗教政党シャス(十七議席)と国家宗教党(五議席)も同日、連立離脱を決定した。三党の離脱で国会百二十議席中六十八議席を保持してきたバラク政権は首脳会談を目前にして、崩壊の危機に直面、和平への影響は避けられない情勢だ。
 三党はヨルダン川西岸の撤退問題などで首相がパレスチナ側に大幅に譲歩するのではないかと懸念、九日の閣議で譲歩の「レッドライン(限界)」を示すよう迫ったが、首相は「首脳会談での立場が弱くなる」として拒否した。
 野党は十日に内閣不信任案を提出する姿勢で、国会の早期解散、総選挙の可能性も浮上している。
 バラク首相は九日夜、テレビ演説で「我々と隣人との流血の紛争を終結させる和平の道を探るため政争から距離を置くべきだと考える。拒絶者(離反政党)はイスラエルの防衛や未来について私に教えることはできない」と述べ、長期的安全保障の観点から和平プロセスを支持するよう国民に直接訴えかけ、首脳会談出席を確認した。
 バラク首相は当面、アラブ系政党や他の和平推進派など閣外協力を得て和平プロセスを進める方針だが、首相の盟友として和平プロセスを推進してきたレビ外相も「パレスチナ側が妥協姿勢を見せておらず成功する可能性はない」として首脳会談への同行を断るなど、首相周辺の政治状況は厳しさを増している。[2000-07-10-10:49] 292
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 07/10@エイズ原因で議論喚起 HIV説疑う南ア大統領(共同通信)

 【ダーバン9日共同】南アフリカのムベキ大統領はHIVがエイズを引き起こすとの定説を否定する科学者を大統領直属のエイズ調査委員会のメンバーに加え、国内外で議論を巻き起こしている。だが九日のエイズ会議開会式での演説ではこの問題に直接触れず、定説に関する「見解表明」は先送りされた。
 ムベキ大統領は、代表的なエイズ治療薬のAZT(ジドブジン)の効果にも疑問を提起。母子感染防止に効果があるとされるAZTだが、南アの公立病院では妊婦に投与されない状態が続いている。
 南アフリカのエイズ感染者は世界最多の四百二十万人に達するとみられ、多くの科学者は「エイズとの闘いに無用な議論を持ち込んだ」と大統領を批判。「HIVがエイズを引き起こす原因であることに疑いはなく、エイズ撲滅はこの事実を認識することから始まる」との宣言にこのほど世界中の五千人以上の科学者が署名する事態にまで発展した。
 ただ、エイズが猛威を振るう国を発信地とする論争がエイズへの関心を高めたのも確か。会議に参加する医師の一人は「アフリカのエイズ禍に先進国の目を向けさせるのが大統領の狙いだったのかもしれない」と話した。(了)[2000-07-10-09:18] 295
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 07/10@アフリカのエイズ禍注目を 南アで世界会議始まる(共同通信)

 【ダーバン9日共同】エイズ被害が最も深刻なアフリカで初の開催となる世界エイズ会議が九日、南アフリカのダーバンで始まった。エイズなど感染症対策が議題となる主要国首脳会議(沖縄サミット)を目前に、会議関係者はアフリカのエイズ禍に対する世界の関心が高まるよう期待を寄せている。
 開会式で演説したムベキ・南ア大統領は「エイズによる脅威をなくすためのメッセージと行動計画が今回の会議で生み出されるよう祈っている」と述べた。
 会議には医療専門家や科学者、非政府組織(NGO)関係者など一万人以上が参加し、エイズ予防策や治療法など五千を超える研究成果が発表される予定。
 主要議題は「沈黙の打破」。エイズ治療を財政的に負担できない途上国を中心に、対策の遅れや患者差別などにより一段と深刻化するエイズ被害に社会が口をつぐんでいる現状の変革を目指す。
 ムベキ大統領はこれまで、HIVがエイズを引き起こすとする定説に懐疑的な姿勢を示し、演説内容が注目を集めていた。しかしこの問題には言及せず「南アを含め、世界で最も多くの人々の命を奪い、病の原因ともなっているのは貧困だ」などと述べるにとどまった。
 一九八五年に米国アトランタで始まった世界エイズ会議は、これまで欧米や日本などの先進国で開かれ、今回で十三回目。(了)[2000-07-10-08:50]
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 07/11@◇コソボに駐留する米兵の銃が暴発、7歳の少年死亡◇(朝日新聞)

 ユーゴスラビア・コソボ自治州の東部の村で10日、治安維持のために展開している国際部隊(KFOR)の米兵の持っていた銃が暴発し、アルバニア系の少年(7つ)が死亡した。ロイター通信によると、米兵たちは学校のさくを修理中で、少年はそれを見ていたという。KFORは哀悼の意を表する声明を発表した。暴発の原因はわかっていない。
 コソボには昨年の北大西洋条約機構(NATO)による空爆後、米兵約5600人を含む4万人以上の国際部隊が駐留を続けている。[2000-07-11-19:29] 9
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 07/11@NMD、台湾問題が焦点 米国防長官が訪中(共同通信)

 【北京11日共同】コーエン米国防長官は十一日午後(日本時間同)、五日間の中国公式訪問のため北京に到着した。長官の訪中は一九九八年一月以来二年半ぶりで、昨年五月の在ユーゴスラビア中国大使館誤爆事件で冷え込んだ米中軍事関係の正常化を示す。
 長官は十二日に遅浩田国防相と公式会談するほか、十五日までの滞在中、江沢民国家主席や対台湾交渉機関、海峡両岸関係協会の汪道涵会長とも会談する。
 一連の会談で、長官は中国が強く反対する米本土ミサイル防衛(NMD)構想への理解を求める一方、中台の軍事衝突が起きないよう台湾問題の平和解決を促すとみられる。
 また、長官は中国の台湾向けミサイル増強に懸念を表明、大量破壊兵器拡散問題では中国のパキスタンへのミサイル開発支援の自制を求めるもよう。
 新華社電によると、長官の訪問中、米中両軍は合意文書に調印の予定。長官は到着後、記者団に対し「軍事交流のための訪中であり、訪問は成功すると確信している」と語っており、合意文書は軍事交流に関するものとみられる。
 米国防総省は七日のNMD実験に失敗、今秋の配備決定が危ぶまれているが、長官はなおNMDへの積極姿勢を崩していない。NMD配備で自国の約二十基の大陸間弾道ミサイル(ICBM)が無力化される中国はロシアと協調して反対の声を強めており、今回の会談でもNMDの是非をめぐって激しいやりとりが行われるのは必至だ。(了)[2000-07-11-17:23] 10
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 07/11@◎連邦議会選と大統領選をボイコットへ=モンテネグロ(時事通信)

 【ウィーン10日時事】ポドゴリツァからの報道によると、セルビア共和国とともにユーゴスラビア連邦を構成するモンテネグロ共和国のジュカノビッチ大統領は10日、ユーゴ連邦の改憲に抗議して、同共和国は今年11月上旬に予定される連邦議会選挙および同時実施される可能性のある連邦大統領選挙をボイコットすると言明した。大統領が両選挙のボイコットを明確にしたことで、関係が冷え切っている同共和国と連邦との断絶は決定的になった。 [時事通信社][2000-07-11-10:42] 11 [このページの最初に戻る]


 07/11@米兵の銃事故で子供死亡 ユーゴスラビアのコソボ自治州東部(共同通信)

 【ワシントン10日共同】米国防総省は十日、ユーゴスラビアのコソボ自治州東部で平和維持任務に当たっていた米兵が同日、銃を誤って発射しアルバニア系住民の子供(7つ)が死亡したと発表した。
 事故の内容は明らかになっていないが、コソボの米軍司令官は「心からの謝罪と追悼を表明する」との声明を発表した。
 米国はコソボに展開する国際治安部隊に五千六百人の兵士を派遣している。(了)[2000-07-11-10:12] 12
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 07/11@<EU外相会議>対ロシア経済支援の再開決める=替(毎日新聞)

 【ブリュッセル10日森忠彦】欧州連合(EU)の外相会議が10日始まり、チェチェン情勢の悪化に伴いEUが凍結していたロシアに対する経済支援の再開を決めた。EU側は今回の措置でロシアとの関係改善を図りたい意向だ。
 7月からフランスが議長国となって初の会議では、ロシア問題やユーゴスラビア問題を協議。チェチェン紛争の際、ロシア側の対応が人権侵害に相当するとしてEUが今年1月に決めた技術援助プログラムなど総額9000万ユーロ(約93億円)の支援凍結の解除を決定した。人権面での懸念は依然として残るが、プーチン政権が発足したのに伴い、ロシア側との対話の仕切り直しを狙ったものだ。
 またユーゴ問題では、民主化支援策として踏み切った民間航空機の乗り入れ禁止の停止措置を、さらに半年継続することを決めた。一方で、今月6日にユーゴ連邦議会がミロシェビッチ大統領の再選に道筋をつけたことなどを受けて、政権側に対しては強硬姿勢を貫く方針だ。またフランスが提唱して開くEUと西バルカン諸国との首脳会議を11月にクロアチアで開くことを承認した。[2000-07-11-00:09] 140
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 07/11@<ユダヤの絆>移民兵 戦場に居場所求めて (毎日新聞)

 「これは息子が1歳の時。これはスケート大会で優勝した時」。ドイツ・ベルリンのアパートで、ラトビア出身のユダヤ人女性シルビア・ジルさん(60)は写真を指差し、思い出を語り始めた。
 1月25日午前11時。イスラム教シーア派民兵組織「ヒズボラ」がレバノン南部を占領するイスラエル軍の基地を襲い、警備にあたっていたシルビアさんのニ男ラファエルさん(24)は対戦車ミサイルの直撃を受けた。即死だった。
 1995年、ラトビアの首都リガで暮らしていた一家のうち母と長男はドイツに移り、ラフィー(ラファエルさんの愛称)だけが単身イスラエルに向かった。
 「ぼくは今月20日にリガに帰る」。1月初めの電話が最後になった。その後、友人から「戻るのは27日」と延期の伝言を受け、母も帰省準備を進めていた。イスラエル大使館員が最悪の知らせを持って訪れたのは出発直前だった。
 ラフィーの軍服のポケットにはリガ行きの航空券が入っていた。「あんな所でお前は何をしていたの」。息子とリガで落ち合うはずだった27日。雨まじりの雪の中、エルサレムの軍墓地でシルビアさんは泣き崩れた。
  ◆  ◆  ◆
 バルト海に面した港町リガ(人口約85万人)には数千人のユダヤ人が暮らす。この街での幼なじみとの再会がラフィーに転機をもたらした。
 イスラエル軍戦闘部隊に所属していたアレキサンダー・ゴロボイさん(25)が95年に帰省したのと、ばったり出会ったのだ。「とても充実している。特別な気持ちなんだ」――「シオンの地」での軍隊生活をいきいきと語る友がたくましく見えた。「勇敢だな」。思わず声がもれた。
 友を追うようにイスラエルを目指したラフィーを待っていたのは退屈な大学生活だった。享楽的な日々を送る学生の姿に「本当のイスラエルじゃない」との思いを強めた。
 ラフィーは98年、レバノン南部で「ヒズボラ」と対峙する戦闘部隊に入隊、5日間も不眠不休で茂みに隠れて襲撃を警戒する過酷な勤務をこなした。「自分の求めていた生活だ」。満足げに語る姿を友人たちは今も覚えている。
 ラフィーのようにイスラエルに身寄りがいない兵士を軍は「ロンリー・ソルジャーズ(一人ぼっちの兵士たち)」と呼び、給与増額や住宅提供などで優遇している。約5000人の半数は単身移民だ。
 イスラエルでは年間約10万人が徴兵対象となるが、男性の約20%、女性の約38%が宗教の勉強や健康状態を理由に入隊を忌避している。「移民出身のロンリー・ソルジャーズはユダヤ人意識が強い。危険な部隊に志願することで帰属意識を持ちたいのだと思う」と軍担当者が解説する。
  ◆  ◆  ◆
 約300人が通うリガのユダヤ人学校。5月13日、卒業生のラフィーを追悼する式典が開かれた。生徒たちはダビデの星を模して並べられたろうそくに火を灯した。
 学校にはイスラエル政府から3人の教師が派遣され、ユダヤ史やヘブライ語教育に力を入れている。卒業生の半数がイスラエルへ移住する同校のマーク・ビルク校長は「ラフィーは英雄」と胸を張る。
 「ラトビアには自由があり、生活も悪くない。でも、他人の家でなく、自分の家に住みたい。イスラエルはユダヤ人として生きられる唯一の国だ」。イスラエル政府派遣教諭、タニヤ・シーゲルさん(42)が帰還志願者の心情を語る。
  ◆  ◆  ◆
 ラフィーの死から4カ月後の5月、イスラエル軍はレバノン南部から撤退した。兵士たちは携帯電話で母親に帰還を告げ、安堵と喜びを語った。モファズ軍参謀総長は「血を流した仲間と、苦しんだ家族を記憶にとどめる」と、82年以来の戦闘で散った兵士728人を追悼した。
 「彼の死には責任を感じている。だが、ラフィーは貢献することでイスラエルの一員になれると思ったのだ」とゴロボイさん。離散ユダヤ人としての欠落感にさいなまれ、不器用に「自分探し」の地をイスラエルに求めたラフィー。幾多の追放と流浪をくぐり抜けてきた民族の記憶が彼を突き動かしていたのかもしれない。 【「宗教と政治」取材班】 =つづく[2000-07-11-23:54] 143
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 07/11@<アフリカ子どもたちの今>学校へ行きたい 故国捨て逃避行(毎日新聞)

 10トントラックの荷台にぎっしりと人が詰まってやってきた。97人。半数以上が子どものようだ。覆いもない荷台で、全員の体が波のように左右に揺れ、上下に跳ねる。午後9時。気温15度。外気は乾き、肌寒い。満天の星。遠く踊り歌う声が聞こえる。一見のどかなアフリカの大地に「緊急非常事態」が起きていることを、すし詰めのトラックは告げていた。
 ここはザンビアの難民定住地。内戦が続く隣国アンゴラの人たちが毎日のように逃げて来る。トラックは国境近くから500キロを超える道のりを12時間以上走って来た。ぼろぼろの服にほこりだらけの顔。未知の土地で途方に暮れ、地面にペタリと座り込む中年の女性もいた。が……。
 「まだ体が揺れてるみたい。でも大丈夫。ここに来られて幸せ。平和だから」。こう言ったのは12歳のレベッカちゃん。2児の母エルダーさんは「アンゴラにいたら死ぬと思い、逃げることにした。ここにずっといたい」。やはり「平和だから」と言葉を重ねた。
 アンゴラは1975年にポルトガルから独立後、内戦に突入。政府軍と反政府勢力が果てしないゲリラ戦を続ける。国連などの調査では、対人地雷、対戦車地雷埋設は広がる一方で、人々の命と生活を脅かす。女性のレイプ被害、子どもの栄養失調などが深刻で、マラリア犠牲者も後を絶たない。日本の約3倍の国土、人口約1200万の国で、国外に逃れた人はこの数年だけでも約30万人、国内避難民は250万人に上る。人影の消えた都市もある。
 故国を後にする決意をしても、まず国境にたどり着くまでの国内の逃避行は、トラックでの移動とは比較にならない過酷さだ。
 妊娠5カ月の女性は「家が兵士にめちゃくちゃにされ、逃げた。国境まで1カ月間歩いた」と語った。2週間、両親と歩き続けた4歳の男の子は、栄養失調で診療所に運び込まれた。
 大半の人が手ぶら。「家を出る時、服や靴を持ち出した。でも全部兵士に奪われた」と無表情に話す女性がいた。皿は奪われなかったが、道中、サツマイモと交換したと言う。
 そんな人たちの中で、7、8歳の男の子3人が楽しげにしゃべっていた。近所同士だったカトンゴ君らだ。3人は「学校に行きたい」と口をそろえた。
 ここにはお金や仕事が待っているわけではない。到着した人たちには不安の色も浮かぶ。だが、不平や不満は一切聞かれなかった。ここには、何よりも求めていた「平和」があるからだ。やっと自分たちの暮らしが始められる。子どもたちの言葉には、そんな期待と願いがあふれていた。
  × ×
 祖国を離れ、ザンビア、南アフリカで暮らす難民、貧困にさいなまれる人々に会った。子どもも母親も、一生懸命話してくれた。日本への期待だと感じた。
 その心を伝えたい。 【三角 真理】
 救援金へご協力を
 内戦や貧困などで苦しむ難民への救援金は、左記へ郵便振替か現金書留で送金いただくか、直接ご持参ください。
 〒100―8051 東京都千代田区一ツ橋1の1の1、毎日新聞東京社会事業団「海外救援金」係(郵便振替・00120―0―76498)[2000-07-11-23:26] 154
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 07/11@<露政権>新外交方針を発表 内部対立で政策未確定か(毎日新聞)

 【モスクワ11日石郷岡建】ロシア政府はプーチン政権の新外交方針となる「外交政策概念」を10日発表したが、11日付のロシア紙によると外交基本方針、特に「多極化外交」の是非をめぐる政権内部の対立がある。このため、プーチン政権のしっかりした外交政策はまだ決まっていない可能性が強まっている。
 プーチン政権に批判的な「セボードニャ」紙によると、当初「外交政策概念」原案からは「多極化世界」という概念が抹消されていたが、最後の段階で復活し、ロシア外交の基本概念となった。
 もともと「多極化世界」の概念は米国の「一極集中世界」に対抗するため、中国が言い出し、プリマコフ元外相が追従し、エリツィン前政権末期のロシア外交の中心となっていた。この「多極化外交」を引き継ぐかどうかが、今後を占う試金石となっていた。
 最終的に発表された「外交政策概念」では「ロシアは国際関係では多極化システムの形成を求める」とうたい、米国の一極集中に挑戦する立場を打ち出した。
これは米本土ミサイル防衛(NMD)など軍事問題に絡み、米国の覇権主義を阻止する姿勢を強調する必要があったとみられる。
対アジア外交では日本よりも中国やインドを重視し、さらに朝鮮人民民主主義共和国(北朝鮮)との関係改善を目指している。
 しかし、イワノフ外相は「多極化外交」という言葉を使用するのを慎重に避け、「大統領教書」を8日に発表したプーチン大統領は「多極化外交」に触れなかった。教書を見る限り、米国一極支配に対抗する中国、インド、アラブ諸国などと組んだ「多極化外交」との立場は見えてこない。
 大統領は西欧文明とリベラル思想に親近感を持ち、必ずしも「多極化外交」に賛同をしていないとも言われる。大統領の外交政策の本音はまだ不透明だ。[2000-07-11-21:34] 177
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 07/11@◇ナイジェリア大統領が債務帳消し訴えるNGO会議参加へ◇(朝日新聞)

 貧しい国々の債務帳消しを訴える非政府組織(NGO)連合体「ジュビリー2000」は11日、ナイジェリアのオバサンジョ大統領が九州・沖縄サミットの直前の19日から那覇市で開かれるジュビリーの「債務帳消し」国際会議に参加することを明らかにした。ナイジェリアは133カ国でつくるG77(途上国グループ)の議長国でもある。「南」の有力国の元首とNGOが“共闘”することで、主要国の行動を促すようアピールする狙いだ。
 ジュビリー事務局によると、オバサンジョ大統領は「全世界で1700万人の署名を集めた運動に喜んでいる。よりよき世界を築くために、主要国首脳会議(G8)から意味ある対応を引き出さなければならない」と、国際会議で講演することを約束した。
 那覇市の国際会議は19日から始まり、同大統領は最終日の21日に参加する。ジュビリーによると、これに先だって、20日に東京で、同大統領とムベキ・南アフリカ、ブーテフリカ・アルジェリア両大統領らが、G8首脳たちと協議する予定だ。
 これら途上国とG8の首脳たちの会談の形式は調整中だが、途上国側は「単なるセレモニーではない、実質的な話し合いをしたい」と強く要請しているという。
 サミットに途上国を招くべきだという主張は近年、国際社会で次第に勢いを強めている。今年も南アフリカなどが「参加」を希望。今週、宮崎で開くサミット外相会合には、アフリカ、アジア数カ国の外相が朝食会に招かれる。だが、途上国元首のNGO会議への参加によって、「主要国にもの申したい」という「南」の国の強い意思が一段と明らかになってきた。 [2000-07-11-14:56] 229
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 07/11@<ユダヤの絆>イスラエルと南アフリカ 「核協力」の過去清(毎日新聞)

 南アフリカ初の黒人大統領を務め、政界から引退したばかりのネルソン・マンデラ氏は昨年10月、初めてイスラエルの地を踏んだ。
 「なぜ、今まで来なかったのか」と問い詰めるイスラエル人記者。前大統領は「大統領就任時に各国から招待されたが、イスラエルは例外だった」と応じた。
 「イスラエルは(南アの)アパルトヘイト(人種隔離政策)政権と協力していた。しかし残虐行為に参画したわけではない」。マンデラ氏の言葉に複雑な思いがのぞいた。
  ◆  ◆  ◆
 イスラエルと南ア白人政権が関係強化を加速したのは、イスラエルとアラブ諸国が戦火をまじえた第4次中東戦争(1973年)が契機だった。
 60年代〜70年代初めにかけ、イスラエルは友好関係樹立を目指し、独立間もないブラック・アフリカ諸国支援を推進した。しかし第4次中東戦争を機に彼らの大半から断交され、南アに急接近。76年には南アのフォルスター首相がイスラエルを初訪問した。
 人種差別政策で国際的な非難を浴びる南アと、アラブが発動した石油戦略の前に孤立を深めるイスラエル。国際社会から「つまはじき」にされた両国間に協力関係が築かれた。
 「ホロコースト(ナチス・ドイツのユダヤ人大虐殺)の過去を持つイスラエルは人種差別反対だった。だが、他に友人がいない以上、南アとの国交はやむを得なかった」。ナチスに追われて37年にドイツから南アに移住したユダヤ人のアールバフ氏(77)が解説する。
  ◆  ◆  ◆
 イスラエルは70年代から、繊維、鉱物、鉄鋼、化学製品などの南ア産品を第3国に向けて代替輸出、経済制裁下の南ア白人政権の延命に寄与した。南ア在住ユダヤ人の存在も両国の接近を容易にし、協力関係は経済・貿易だけでなく軍事面にも及んだ。
 「南アの手は今や清潔だ」。93年、デクラーク南ア大統領は、過去に製造した原子爆弾7個を廃棄したことを発表した。デクラーク氏は「他国の支援は皆無だった」と明言したが、複数の関係者は「南アとイスラエルは核開発で協力していた」と主張する。
 「南アは80年、イスラエルから地対地ミサイル『エリコ2』を購入。両国はその後、ミサイル8基に核弾頭を取りつける開発計画に合意した」。南アの元海軍司令官で、核情報などをソ連に流していた元ソ連諜報員のでディートゥル・ゲルハルト氏(64)は滞在先のスイスで、取材班の電話に証言する。79年9月、南ア沖で米ソの衛星が2つの「大きな稲光」を確認している。
  ◆  ◆  ◆
 南アにはユダヤ人9万人が住む。イスラエルへの1人当たりの累計送金額は在米ユダヤ人を超え、世界一と言われる。金、ダイヤなど鉱業を基盤とする南ア経済界で活躍するユダヤ人は、イスラエル経済の活性化にも貢献している。
 94年のマンデラ政権誕生に伴い、イスラエルは白人政権との過去を清算、ラビ(ユダヤ教導師)らを通じて南アの黒人との関係修復に乗り出した。
 「南アは我が国が貿易関係を一層強化する対象国だ」。今年5月、イスラエルのコーエン通産相は財界使節団を率いての南ア訪問を控え、関係再構築を促した。かつて間接的な対立関係にあったイスラエルと南ア黒人勢力は新たな協力の形を見出そうとしている。 【「宗教と政治」取材班】[2000-07-11-03:02] 230
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 07/11@<ユダヤの絆>イスラエル、ミサイル巡り北朝鮮と秘密合意も(毎日新聞)

 イスラエルがイランへのミサイル輸出阻止を狙い、在米ユダヤ人の仲介で朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)と秘密交渉を繰り広げた「隠密外交」の詳細が、関係者の証言で明らかになった。中東というイスラムの大海に浮かぶ「ユダヤ人国家」イスラエルと、世界各地の離散ユダヤ人。研ぎ澄まされた危機意識を手に、国家と民族の存続を模索する姿を報告する。【「宗教と政治」取材班】
 今年1月、イスラエルのスネー副国防相はイラン脅威論を展開した。「米国はイランの核開発阻止に失敗した。イランのミサイルが対イラク紛争解決のためでないのは明白だ」
 イランは1998年7月、北朝鮮から購入したとされるミサイル「シェハブ3」の発射実験に成功。米紙は今年初め、「米中央情報局(CIA)がイランの核兵器製造能力を排除せず」と報じ、イスラエルは神経をとがらせていた。
 北東アジアと中東をつなぐミサイル・コネクション。「我々はあの時、輸出を阻む絶好の機会を失った」。対北朝鮮交渉のイスラエル側当事者は、取材班に後悔を込めて述懐した。
  ◆  ◆  ◆
 92年11月、平壌。迎賓館に、北朝鮮と国交のないイスラエルの外交官、地質学者5人が密かに姿を現した。ベンツール外務次官補を団長とするイスラエル側を北朝鮮側の十数人が迎え、秘密接触が始まった。
 イスラエル側 「北朝鮮がイランにミサイルを売却した確かな情報がある」
 北朝鮮側 「ミサイル製造は国防のためだ。誰にも売っていない」
 朝鮮労働党独裁の非宗教的な北朝鮮と、宗教と民族が一体を成すイスラエル。政体も国情も異なる両国の接触開始の瞬間だった。
 陰には、北朝鮮指導部とつながりを持つ在米ユダヤ人実業家の仲介があった。
 「金鉱山開発に投資してほしい」。92年初夏、北朝鮮の金日成国家主席からの要請が、実業家を通じてイスラエル外務省に届いた。
 北朝鮮の狙いは「イスラエル経由で米国からの経済援助獲得だった」(交渉関係筋)。93年に入ると交渉は北京に場所を移して重ねられた。北朝鮮はその間、核拡散防止条約(NPT)脱退宣言(93年3月)、日本海へのミサイル「ノドン」試射(同5月)と強硬路線を突っ走っていた。
  ◆  ◆  ◆
 93年初夏。「イスラエルが北朝鮮に経済援助する見返りに、北朝鮮は中東へのミサイル拡散防止を図る」との合意の枠組みが固まった。「合意履行の検証方法まで協議された」と関係筋が明かす。内容は日本、韓国両政府に報告された。
 しかし、合意は結局、日の目を見なかった。北朝鮮の核開発阻止を最優先させる米国が、北朝鮮がイスラエルからの経済援助に逃げ道を見いだす事態を警戒、ストップをかけたのだ。
 対北朝鮮交渉と並行し、パレスチナ解放機構(PLO)とのオスロ秘密交渉を進めていた故ラビン首相は、米の圧力もあって北朝鮮ルートを捨てた。イスラエルがミサイル問題よりもパレスチナ和平を優先、歴史の歯車は中東和平に向けて大きく動き始めた。[2000-07-11-03:02] 231
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 07/11@<ユダヤの絆>変わる「安保主軸」 対アラブ緊張の構図崩れ(毎日新聞)

 建国以来、敵対アラブ諸国に囲まれたイスラエルは安全保障に重点を置いた外交を展開してきた。戦車、テロからミサイルへと直面する脅威は時代の流れと共に変質したが、「安全保障なしには生き残れない」(ベングリオン初代首相)との危機意識は一貫している。しかし、中東和平交渉の始動でイスラエルは敵国との対話という新たな時代を迎え、穏健アラブ諸国との関係改善を進めるなど、外交の幅を広げつつある。
 イスラエルは1948年の建国と同時に第1次中東戦争に突入、アラブ・イスラム勢力に包囲され、孤立した。打開策として、イスラエルは中東の非アラブ諸国(トルコ、イランなど)、非イスラム勢力(レバノンのキリスト教徒など)と友好関係を構築、活路を見い出そうとした。敵の対立勢力を味方に付け、抑止力を増す戦法といえる。
 50年代〜70年代末にイスラエルが頼りにしていた中東随一の盟邦はシャー時代のイランだ。公式な外交関係こそなかったが、共に米国の軍事支援を受け、イラン産石油の対イスラエル輸出などを中心に両国間貿易は活発だった。
 さらにイスラエルは90年代後半、トルコとの関係強化に乗り出す。両国は96年、領空での訓練飛行や、合同軍事演習、対テロ技術協力などをうたった軍事協定を締結、イスラエルは対立するシリア、イラクに北方のトルコから睨みを利かせる足場を得た。
 敵国内部や近隣国に友好勢力を形成する手法は(1)イラク北部の反政府クルド人勢力との協力(2)70年代後半〜80年代前半のレバノン・キリスト教マロン派へのテコ入れ(3)最近の旧ソ連・中央アジアへの農業・産業支援の強化――などに共通する。イスラエル外務省の中央アジア担当官は支援理由について「イランや、サウジアラビアが反イスラエルの影響力を広める前に、中央アジアにイスラムの友好国を作る狙いがある」と明かす。
 しかし、こうした従来型の外交活動は中東和平交渉の進展に伴い、見直しを迫られることになりそうだ。イスラエルとアラブ諸国が正面から向き合う和平交渉により、軍事衝突の可能性が減少、中東における「アラブ対イスラエル」という対立構図が崩れつつあるからだ。
 パレスチナ和平合意調印(93年)を受け、モロッコ、モーリタニア、チュニジアの北アフリカ3カ国と、ペルシャ湾岸のオマーン、カタールは90年代半ばに相次いでイスラエルとの間で連絡事務所や貿易代表部を開設した。さらに、アルジェリアは最近、対ユダヤ融和姿勢を取っており、アルジェリア・イスラエル接近も取りざたされている。
 和平の波及効果は中東にとどまらず、イスラエルと外交関係を持つ国の数はマドリード中東和平国際会議(91年)以降、パレスチナ和平合意を経てこれまでに67カ国増え、全体で163カ国に達した。長らく孤立してきたイスラエルだが、外交関係の拡大により、国際的な地位や安全保障をめぐる環境は大きく好転している。 【福島 良典】[2000-07-11-00:56] 232
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 07/11@<ユダヤの絆>120カ国以上に1400万人離散 (毎日新聞)

 約1900年前のローマ帝国によるユダヤ国家征服以来、カトリック教会のユダヤ教徒迫害、ナチスのホロコースト(ユダヤ人大虐殺)など幾多の歴史的苦難を経てユダヤ人は離散した。その結果、現在、世界120カ国以上に約1300万人のユダヤ人が暮らしている。
 ユダヤ社会の中核はイスラエル(ユダヤ人約470万人)だが、最大のユダヤ人人口を抱えるのは米国だ。世界最大規模のユダヤ人組織「世界ユダヤ人会議」(WJC)がニューヨークに本部を置くほか、全米各地にユダヤ人コミュニティーがある。在米ユダヤ人(約560万人)は米人口の2%に過ぎないものの、政界、財界、芸能界に多数の著名人を輩出、影響力は大きい。
 ロシア、ウクライナ、バルト3国など旧ソ連15カ国在住のユダヤ人は計約92万人を数え、米、イスラエルに次ぐ規模を持つ。スターリン体制下の反ユダヤ主義のため、長年、ヘブライ語やユダヤ教育が禁止されたが、現在は権利回復が進んでいる。
 欧州、中南米、アフリカ、アジア、オセアニアにもユダヤ人コミュニティーは散在している。在日ユダヤ人は約2000人おり、半数が東京に住んでいる。
 世界各地のユダヤ人コミュニティーの特徴は、ユダヤ教を信仰し、慣習・伝統を継承、存続を保ってきたことだ。しかし、中には現地社会との同化が進み、ユダヤ人社会がほぼ消失してしまったカリブ海の島国のような例もある。
 WJCは各コミュニティーやユダヤ系団体を束ねる上部組織で、政治問題も扱う。WJCイスラエルのアビ・ベッカー代表(49)は離散ユダヤ人社会が抱える問題について「ユダヤ人はホロコーストを経て団結したが、その後、さまざまな国で異なる言葉、人生を体験した。いかにユダヤ主義を存続させ、絆を維持するかが課題だ」と語る。
 イスラエル建国の原動力となり、在外ユダヤ人とイスラエルの連絡窓口にあたる「ユダヤ機関」(本部・エルサレム)の広報官は「今日のユダヤ人社会の中心はイスラエルであり、連帯を強めなければならない」と強調する。「ユダヤ機関」は世界中のユダヤ人学校にヘブライ語教師を派遣、ユダヤ教育の普及に努めると共に、海外各国からの移民受け入れを後押ししている。
 ユダヤ人のイスラエルへの移民は「母国への帰還」と呼ばれ、毎年、約30カ国のユダヤ人がイスラエル入りする。特に旧ソ連からの移民数はソ連崩壊直前の1989年から今年5月で100万人を突破した。帰還加速の結果、イスラエルは多様な出身地のユダヤ人で構成されるモザイク国家の様相を強めている。イスラエルにとって移民は人材供給源であると同時に、ユダヤ教への立場や出身地をめぐる社会対立を深刻化させる要因にもなっている。 【エルサレム・海保真人】[2000-07-11-00:56] 233
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 07/11@<ユダヤの絆>迫害、流浪の歴史…民族の結束は固く(毎日新聞)

 ユダヤ民族の歴史は今から約4000年前にさかのぼり、ウル(現イラク南部)出身のセム族の族長アブラハムとその子孫が父祖とされる。一族は「カナンの地」(現在のイスラエル、パレスチナ)に居を構えたが、飢饉に襲われたためエジプトに移住した。
 紀元前13世紀、一族は指導者モーセに率いられてエジプトを脱出した。「出エジプト」と呼ばれる脱出行で約40年間流浪する間、神が精神的規範となる「十戒」と「約束の地」を授けたといわれ、ユダヤ人が一つの民族としてのまとまりを得た。
 紀元前1000年ごろ、ダビデ王がエルサレムをユダヤ人の統一王国の首都に定めて王政の基盤を整備。息子ソロモン王が富国強兵を進め、エルサレムに神殿を建設、以来、エルサレムが民族の中心となる。その後、国土はイスラエル王国とユダ王国に分裂。バビロニアはエルサレムの神殿を破壊し、住民を連行、これが「バビロンの捕囚」だ。
 ユダヤ人はその後、エルサレムへ戻り神殿を再建したが、勢力を拡大したローマ帝国の攻撃で紀元70年、エルサレムが陥落、ユダヤ民族の離散が始まった。とどまった一部のユダヤ人はビザンチン帝国、アラブ、十字軍、マルムーク朝などの支配をくぐり抜けた。
 追放の身となったユダヤ人はペルシャやバビロニア、ローマ帝国内のスペイン、イタリア、北アフリカなどに移住。スペインへ逃れたユダヤ人はイスラム支配下で繁栄したが、カトリック教会の弾圧を受けて15世紀末に追放され、プロテスタントのオランダや、中東のオスマン・トルコ帝国へと安住の地を求めた。
 一方、エルサレム陥落後、現在のドイツやイタリアなどの西欧に逃れたユダヤ人も多かった。しかし、中世にはキリスト教徒の迫害を受け、「ゲットー」への隔離などが強要された。
 特に14世紀にはペスト流行の濡れ衣を着せられたユダヤ人の虐殺が各地で起き、多くのユダヤ人がポーランドなどの東欧に逃れた。彼らは東欧やロシアに多くのコミュニティーを作り上げたが、19世紀にロシアから広まった反ユダヤ暴動「ポグロム」のため、多くが難民となって北米などに流出した。
 こうした迫害の嵐に直面したユダヤ人の間で、民族生き残りのためにユダヤ人国家再建を目指すシオニズム運動が活発化。1897年に第1回シオニスト会議がスイス・バーゼルで開かれ、パレスチナへの帰還の動きが本格化する。
 第一次大戦でオスマン・トルコ帝国と中東権益を争った英国は、ユダヤとアラブの双方に対して国家建設を支持する「二枚舌外交」を展開。第二次大戦にあたりナチス・ドイツがユダヤ人根絶を図ったホロコースト(大虐殺)を経て、国連総会は1947年に「パレスチナ分割決議」を採択する。
 しかし、アラブ側が受け入れを拒否、イスラエルは翌48年の独立と同時にアラブ諸国との第1次中東戦争に突入。アラブ・イスラエル紛争の火蓋が切って落とされ、以来、双方は4次にわたる戦争で甚大な犠牲を被った。だが、90年代からの中東和平の進展で共存の兆しが見え始めている。
 2000年間近くの流浪にもかかわらず、ユダヤ教を軸に結束を保ってきたユダヤ民族。苦難の中をしたたかに生き抜いて、各地でユダヤの文化・伝統の華を開かせ、現在に至る欧州文化・文明に多大な影響を与えた。 【西尾 英之】[2000-07-11-00:56] 142
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 07/11@<記者の目>トルシエ監督去就問題 仁瓶和弥記者(毎日新聞)

 開幕まで2年を切った日韓共催のサッカー2002年ワールドカップ(W杯)を、日本代表チームは万全の態勢で迎えられるのだろうか。続投で決着したフィリップ・トルシエ監督(45)の去就問題を取材して、日本サッカー協会への不信と不安は募るばかりだ。2カ月にわたる日本協会の「迷走」は、皮肉なことに、決定力不足と言われ続けた代表の姿とダブって映り、サッカー担当としては複雑な思いにとらわれた。
 トルシエ監督の続投が事実上決まったボリビア戦(6月18日、横浜国際総合競技場)。監督と選手は、ピッチ上でシャンパン代わりに、ペットボトルの水をかけ合って勝利に酔った。しかし、試合前には晴れの舞台にはふさわしくないブーイングがスタンドに吹き荒れた。非難のほこ先はもちろんサッカー協会。一連の不明瞭な手続きにサポーターが突き付けた「イエローカード」だった。
 監督人事をめぐる騒動は今に始まったことではない。1995年、日本協会の強化委員会(技術委員会の前身)は、当時の加茂周監督の後継者にネルシーニョ・ヴェルディ川崎監督を推したが、幹部会はそれを覆し加茂監督続投を決めた。そでにされたネルシーニョ氏は「腐った存在だ」と協会首脳を痛烈に批判し、大きなしこりを残した。
 トルシエ監督の去就問題では、5年前の教訓が何も生かされなかった。協会の岡野俊一郎会長は川淵三郎(Jリーグ)、釜本邦茂(強化)、小倉純二(国際)の3副会長分担制を採用。技術委員会とは別に、代表強化に重点を置く2002年強化推進本部を設けたが、組織の役割や、権限と責任の所在があいまいなため、問題を複雑にした。
 トルシエ監督と日本協会の契約に関する交渉は今月末にも始まる。日本協会にとって、それまでの時間は、組織のあり方を見直す絶好の機会でもある。私はまず、強化推進本部をいったん解散して新たな陣容で出直すことを提案したい。そもそもトルシエ監督が不信を抱いたのは、強化推進本部がどの方向を向いて活動しているのか、不透明だったからだ。
 強化推進本部は、去就問題で監督の「評価機関」のような印象を与えたが、本来はJリーグとの日程調整を円滑に行い、効果的な国際試合を組み入れるなど、代表強化を側面から支援するのが役割だったはずだ。サポートと評価を同じ組織が行うのは明らかに矛盾している。支えてくれると思っていた組織が、実際には採点表を持って采配に目を光らせているようでは落ち着いて仕事はできまい。
 監督評価の権限を強化推進本部から技術委員会に移すという意見もあるが、これでは根本的な解決にはならない。現在の強化推進本部のメンバー7人のうち、4人は技術委員会との掛け持ちだからである。
 さらに、監督評価を担当するセクションには、Jリーグの人材を積極登用してほしい。今回の去就問題で、日本協会は海外とのパイプの細さや情報収集力の限界を露呈させた。トルシエ監督の後任候補として名前があがった、元名古屋グランパス監督のアーセン・ベンゲル氏(50)を含め、いずれもJリーグ所属の各クラブが発掘した人材だった。常在戦場のJリーグの強化担当者の力を借りる方が効率的だ。
 10日の常務理事会で釜本副会長が強化推進本部長を辞め、岡野会長が本部長を兼任することになったが、岡野会長に危機意識が欠けているように映るのが気になる。先月の常務理事会で岡野会長は「(組織再編は)釜本、大仁(邦弥・技術委員長)の2人で検討してもらう」と他人ごとのように語り、トルシエ監督の続投発表後の記者会見で「組織(の問題)に言及したのは私の勇み足だった」と発言をあっさり撤回した。確かに、理事会から会長一任を受けたのは去就問題だけで、組織の見直しは含まれていない。しかし、だからといって協会トップが発言を自重しなければならないようなテーマだろうか。もっとリーダーシップをとって議論を喚起すればよいのに、と思う。
 W杯ホスト国の活躍は、大会成功の重要な要素だ。予選免除で本大会に出場できるのは開催国の特権だが、厳しい予選をくぐり抜けたチームと渡り合う実力をたくわえるのは、いわばマナーである。だからこそ、指揮を任せると決めた以上は最大限のサポートを惜しむべきでない。
 代表、クラブを問わず、サッカー監督という職業は、結果を残せなければ明日はない非情な世界だ。ナイジェリア、南アフリカなどで代表監督を歴任してきたトルシエ監督は、立場を十分わきまえている。去就問題が決着した後、トルシエ監督は「過去に生きるのではなく、前進することが大切。マストに強い風を受けて前進したい」と語った。風を起こすのはもちろん日本協会である。[2000-07-11-23:31]
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 07/12@<ボスニア>イスラム教徒虐殺事件5周年 追悼式典行われる(毎日新聞)

 【スレブレニツァ12日福井聡】1995年、ボスニア東部のスレブレニツァ(現在はセルビア人地域)で起きたセルビア軍によるイスラム教徒虐殺事件から5年目に当たる11日、スレブレニツァ市内で初の大規模追悼式典が行われた。式典には事件以来初めて故郷の地を踏んだ遺族ら3000人が集まり、5年後の今も故郷に戻れない現実に涙を流していた。
 事件は95年7月11日、国連安保理により「安全地域」に指定されていたスレブレニツァにセルビア軍が一斉攻撃をかけ、国際赤十字によると約7000人が不明となり、うち4000人の遺体が発見された。犠牲者の大半はイスラム教徒の男性だった。この日は厳重警戒の中、事件後サラエボなどで難民生活を続けている遺族の女性らがバス61台に分乗して、故郷を訪れた。
 遺族の1人、イズバノビッチさん(70)は「夫と息子と孫の3人を失った」と言ったとたん声を詰まらせた。現在、サラエボでセルビア人が去った後のアパートで暮らしているが、セルビア人帰還促進のため近く追い出されそうで「故郷の家は焼かれており、もう行くところがない」と悲嘆に暮れていた。
 ボスニア内戦は95年のデイトン合意で停戦となったが、今も3民族が分かれて暮らす現実が続き、難民たちの帰還は進んでいない。スレブレニツァには今春、イスラム教徒2家族が帰還した。[2000-07-12-09:48] 10
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 07/12@<ミャンマー>カレン族武装組織 反政府闘争50年(毎日新聞)

 ミャンマーの少数民族・カレン族約10万2000人がタイ領内で難民生活を強いられ、タイ・ミャンマー間の外交問題に発展している。難民流出の背景となっているのはミャンマー軍とカレン民族同盟(KNU)との50年以上にわたる武力衝突だ。停戦の見通しはあるのか、難民は故郷に戻れるのか。ミャンマー領内にあるKNU軍の拠点に入り、戦闘の現状を探った。 【ワレキ(ミャンマー東部山岳地帯)で小松 健一】
 タイ西部の町メソトからトラックと徒歩で約1時間。国境を越えた山の中腹にKNU軍の第6旅団司令部があった。
 「銃は家族だと思って大切にしろ」。教官の説明を受けながら、KNU軍に志願した新兵23人が銃を手にした。ほとんどが13〜18歳。ニューマイと名乗る18歳の青年はワレキに近い村に住んでいたが、ミャンマー兵が村を襲撃して家畜や野菜を奪い、生活できなくなった。「父から『KNU軍に入ってミャンマー軍と戦え』と言われて志願した」と、言葉少なに語った。
 13年間闘っているKNU軍下士官は「ミャンマー軍は脱走兵が出ることを恐れている。先日もミャンマー軍の部隊長が兵士とともにタイに逃れたいと言ってきた」と明かした。
 最近、KNUはワ族などミャンマー軍政の支援を受けているとみられる少数民族の麻薬生産拠点を重点的に攻撃している。その陣頭指揮に当たるネェダ隊長(33)は「彼らはタイ領内にあるカレン族難民キャンプに麻薬を流入させ、カレン族を麻薬で支配しようとしているからだ」と語る。
 だが、KNU軍関係者は別の意図もあることを打ち明けた。「タイ軍は麻薬流入に頭を痛めている。我々が時にはタイ領内から出撃することをタイ軍は黙認してくれる。我々は自由に国境を出入りできる」
 ミャンマー軍政は、タイ当局がKNUを支援していると非難しているが、兵力、武器ともに圧倒的に不利なKNU軍が持ちこたえいる背景には、こうしたタイ側との微妙な関係があるからかもしれない。
 一方、ミャンマー軍の士気低下を指摘する声も聞いた。KNU軍の情報担当者は「6月末、ヤンゴンからミャンマー軍の退役将軍が来て、KNU幹部らと会った。彼は軍事政権のKNU攻撃に批判的な発言をしていた」と語った。さらに別のKNU軍兵士は、今年4月のミャンマー軍による大規模攻撃について「医薬品がカレン族の村にあることをミャンマー軍が察知して、それを奪うためだった」と述べ、ミャンマー軍の戦闘目的が略奪に移っていることを明らかにした。
 KNU軍のボーミャ総司令官(74)はメソトの自宅で「我々は自由と平等を求めて戦っている。そこが戦闘意欲のないミャンマー軍と違うところだ」と強調した。
 ただ、KNU軍内部にも悲観的な声が出ている。ミャンマー軍の戦略に詳しいKNU軍関係者は「マナプロウが陥落する前に停戦していれば、他の少数民族のように武力と自治権を持つことができた。もはや手遅れで、降伏か、闘うかの選択しかない」とつぶやいた。
 【ことば】カレン民族同盟(KNU) ミャンマー(当時ビルマ)が英国から独立する前年の1947年6月、ミャンマーからの分離・独立を求めるカレン族が組織し、49年から武装闘争を続けている。95年1月、本拠地マナプロウが陥落して以降、次々と拠点を失い、現在はカレン州を南北に走るドーナ山脈に約1万人の兵力を展開、ゲリラ戦を続けている。
 ◇ミャンマー軍事政権との交渉を担当してきたKNUのマーンシャ書記長に、停戦の見通しなどを聞いた。 【メソトで小松健一】
 1995年12月から96年11月にかけて軍事政権と5回交渉した。我々は無条件の停戦を申し入れたが、軍政はKNUの武装解除と降伏が停戦の条件だと主張し続け、交渉は決裂した。
 今年1月に(穏健派の)バティン氏がKNU議長に就任し、停戦の見通しが高いと報道されたが、武装解除はしないというKNUの方針は変わっていない。KNUは、(1)連邦制国家の中での自治権獲得(2)KNU軍を治安維持のため州兵にする――の2点を求めている。停戦を受け入れた他の少数民族武装グループと違うのは、彼らは麻薬などの利権で結びついた組織であり、我々は政治組織だということだ。
 連邦制国家に移行する前の暫定的措置として軍政に提案しているのは、国民民主連盟(NLD)など民主化勢力、KNUなどの少数民族、ミャンマー軍の3者による権力共有だ。自由・平等な国家建設の道筋が見えない限り、我々はゲリラ戦を続ける。[2000-07-12-23:41] 13
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 07/12@<余録>ユニセフの年次報告(毎日新聞)

 「世界では毎日、信じられないほど多くの子どもたちが忘れられている」。ユニセフ(国連児童基金)の年次報告「2000年国々の前進」にこんな一節があった▲1日に3万500人、1年で1100万人の子どもが予防できる病気で命を落としている。何とも痛ましい。さらに悲しいのは極貧のためほとんど目に触れず、名前や国籍もなく深いやみに閉ざされていることだとファン・ソマビアILO(国連労働機関)事務局長は述べている▲貧しい子どものなかでも最も貧しい子ども。5000万〜6000万人の5〜11歳児が子ども兵士や奴隷労働に従事している。英国の人口ほどの子どもが劣悪な条件で働いているわけだ。一か所に集中していれば目に入るが、分散しているから気がつかない▲忘れられた子どもの総数は約6億人に上り、1日1米ドル以下でぎりぎりの暮らしをしていると報告は続く。1990年代には、多くの国で18歳未満の推定30万人の子どもが政府・反政府軍に使われたという。日本の17歳の少年のような物質的ゆとりはとてもない▲日本にいると、途上国の子どもの姿がなかなか見えなくなる。国の姿だってそうだ。ユニセフのデータによると、OECD(経済協力開発機構)諸国のうち、相対的貧困の下で暮らしている子どもの比率が最も高いのはメキシコと米国で、メキシコは子ども4人に1人以上(26・4%)、米国は5人に1人以上(22・4%)だそうだ▲ちなみにイタリアは20・5%、英国19・8%、日本は12・2%。IT(情報技術)革命も結構だが、せっかくサミットが開かれるのだから、子どもたちの将来をみんなで考えたらどうだろうか。「子どもの苦境に対して世界のコミュニティーはこれまでのように沈黙で応えることはできない」と「国々の前進」は指摘している。[2000-07-12-23:35] 21 [このページの最初に戻る]


 07/12@◎オーストリアの人権状況を調査する賢人委メンバー3人を発(時事通信)

 【パリ12日時事】欧州人権裁判所は12日、欧州連合(EU)による対オーストリア制裁の解除決定に向けて、同国の人権状況を調査するために設置される「賢人委員会」の3人のメンバーを発表した。
 それによると、3人はフィンランドのアハティサーリ前大統領、スペインのオレハ前内相、独ハイデルベルク・マックス・プランク研究所のフロワイン所長で、人権裁判所側はこの人選をEU議長国であるフランスのベドリヌ外相に伝えたという。
 3人は少数民族や難民、移民などをめぐるオーストリアの人権状況や、政権に参加している極右・自由党の動向を調査。その報告を受けて、EU各国は現在実施している対オーストリア制際を解除するかどうか決定する。 [時事通信社][2000-07-12-21:29] 28
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 07/12@毎分6人がエイズ感染 ユニセフが報告(共同通信)

 【ダーバン(南アフリカ)12日共同】国連児童基金(ユニセフ)は十二日、南アフリカ・ダーバンで開催中の世界エイズ会議で、世界中で「毎分、二十四歳以下の若者六人がエイズに感染している」との調査結果を報告、エイズ対策へのさらなる協力を各国に訴えた。
 ユニセフによると、多くの国で若者、特に女性のエイズに関する知識不足が目立つ。南部アフリカのモザンビークでは、十五―十九歳の女性のうち七四%がエイズ感染から身を守る方法を一つも挙げることができなかった。
 ユニセフは「報告は、エイズ拡大防止の努力が十分ではないことを物語っている」とし、「多くの若者は、自分が危険にさらされていることを知らずにいる」と指摘している。(了)[2000-07-12-20:56] 29
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 07/12@◇「エイズが途上国の子どもの最大脅威」ユニセフ年次報告◇(朝日新聞)

 国連児童基金(ユニセフ)は12日、世界の子どもたちの現状を分析した年次報告「国々の前進2000年」を発表した。開発途上国、特にサハラ以南のアフリカで猛威をふるっているエイズウイルス(HIV)の脅威を第一に取り上げ、世界の感染者3430万人のうち、15歳から24歳の若者が1030万人と3分の1を占めること、女性の感染者が多く、エイズから身を守る方法についての知識も女性に欠けていることなどを警告している。
 アフリカでは現在、すべての病気の中でもエイズが最大の死因となり、2000年末には1040万人のエイズ孤児(15歳以下)の大部分がアフリカの子どもになるという。
 子どもの健康に関する一般的な指標についても、途上国の5歳未満児の39%にあたる2億900万人が慢性的な栄養不良による発育阻害の状況にあり、推定500万人の乳児が出生の直前直後、または1週間以内に死んでいる。
 ユニセフのキャロル・ベラミー事務局長は予防接種だけとっても毎年250万人の子どもの命が救われていることを指摘し、「幼児に対し、男女平等に基づいた早期のケア(保健サービス)を提供することによって差別と貧困の悪循環を断ち切ることができる」と呼びかけている。[2000-07-12-20:56] 30
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 07/12@◇サミット外相会合開幕 NMDめぐり米が孤立◇(朝日新聞)

 九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)の外相会合が12日、宮崎市のシーガイアで2日間の日程で始まった。米国の本土ミサイル防衛(NMD)計画をめぐって、ロシア、フランス、ドイツから異論が相次ぎ、この問題で米国が孤立した状況が浮き彫りになった。国連改革では、安全保障理事会の改革を含め効率化を図ることで一致した。13日に合意内容を盛り込んだ総括文書などを採択する。
 NMDについてはロシアが「核抑止力のバランスを崩し、新たな軍拡の道を開く」と批判、ドイツも「既存の軍縮条約と矛盾しない形で進める必要がある」と指摘し、米国がNMD導入に向けて弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約の修正を目指していることを、間接的に批判した。フランスも独ロ両国に同調する見解を示した。
 米国は「ミサイル防衛という考え方は戦略的安定を維持しながら進める」と表明した。日本は米国への配慮もあり、NMD問題で特に発言しなかった。
 紛争予防については、自動小銃などの小型武器が紛争地域の末端にまで出回り、紛争を助長しているとの認識で一致。援助資金がこうした武器の入手に転用されないよう監視を強めることを確認した。文民警察の展開が紛争再発を避けるのに役立つとの見解でも一致し、訓練制度や国際的な待機制度を検討することで一致した。[2000-07-12-20:54] 57
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 07/12@<記念碑>タジキスタンで殺害された秋野豊氏ら4人を追悼(毎日新聞)

 【モスクワ11日田中洋之】タス通信によると、中央アジア・タジキスタンで1998年7月に殺害された秋野豊・前筑波大助教授ら国連タジキスタン監視団職員4人を追悼する記念碑が19日、首都ドシャンベから東約200キロの現場近くに建立される。ドゥシャンベの国連代表部でも事件から満2周年の20日、4人の名前を刻んだ記念盤の除幕式が行われる。
 秋野さんらはタジクで内戦終結後の停戦活動中に射殺された。タジク人3人が逮捕され、昨年3月に死刑判決が出ている。[2000-07-12-18:44] 61
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 07/12@G8内部にNMD包囲網 米に反対、懸念を表明(共同通信)

 主要国首脳会議(沖縄サミット)外相会合が開かれている宮崎で、米国が進める米本土ミサイル防衛(NMD)構想が各国の批判や懸念を招いている。米国と戦域ミサイル防衛(TMD)の共同研究に着手した日本はサミットの場でNMD問題を個別の議題にしない意向だが、「包囲網」構築で首脳が集まる沖縄サミットでも、この問題は焦点となりそうだ。
 敵の弾道ミサイルを大気圏外で迎撃するNMDは、核兵器による「力の均衡」を崩し、再び核軍拡競争を招くと批判されてきたが、今月八日の迎撃実験失敗で各国にくすぶっていた慎重論が表面化してきた。
 宮崎での日本カナダ外相会談で、カナダのアクスワージー外相は「核不拡散体制を不安定化させる」とNMDへの懸念を明言。最も強硬な反対派であるロシアのイワノフ外相は米ロ外相級会談で「米ロの戦略的安定に向け、協議を続ける必要がある」と米側にクギを刺した。
 フランスのベドリヌ外相は米仏外相級会談で、NMDに直接言及しなかったものの「国際社会の対ロシア関係を熟慮する必要がある」と指摘。ドイツのフィッシャー外相は、G8外相会合に出発前、メディアとのインタビューでNMDに反対の立場を表明した。
 米国は迎撃実験の失敗後、今年秋に予定されていた配備決定の先送りを示唆するなど強硬姿勢を一部後退させたが、NMD配備の基本方針は譲っていない。
 TMD共同研究で米国と歩調をそろえる日本政府内にも、最終的に一兆円を超すとされる財政問題や技術的な不透明感を懸念する声は少なくない。それでも共同研究に踏み切ったのは「TMDでの日米協力が中国や北朝鮮への大きな抑止力になる」(防衛庁幹部)と判断しているからだ。サミットの場でNMD問題が持ち出された場合、議長国・日本は難しいさい配を迫られそうだ。(共同)(了)[2000-07-12-17:55] 68
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 07/12@◇サミット外相会合が開幕 紛争予防でNGO支援表明へ◇(朝日新聞)

 九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)の外相会合が12日午後、宮崎市のシーガイアで2日間の日程で始まった。主要議題となる紛争予防では、反政府武装勢力の資金源となっているダイヤモンドの不正取引の取り締まり強化など、主要8カ国(G8)として初めて具体策を盛り込んだ総括文書をまとめる。これを受けて日本政府は、難民の救援や武器の回収にあたる非政府組織(NGO)への資金提供など、独自の行動計画を打ち出す方針だ。地域情勢では、9月が合意期限のイスラエルとパレスチナの最終地位交渉などをにらみ、中東の「包括的和平」に向けた当事者間の対話を強く求めるとともに、支援を打ち出す。
 紛争予防がG8の関心事となったのは、冷戦崩壊後も民族や宗教対立に根ざした地域紛争が後を絶たないなか、起こってから武力で抑え込むよりも、人的被害や経済的損失を小さくできるからだ。中立的で紛争当事者のいずれにも肩入れしないと見られるNGOの役割が重要だということも確認する。
 総括文書ではこのほか、テロ防止に関する国際条約の早期締結や、国際組織犯罪の取り締まりに関する条約の早期採択などを打ち出す。国連改革が主要議題になる9月の国連ミレニアム・サミットに向け、安全保障理事会の改革の重要性も指摘する。
 地域情勢については、12日夜のワーキングディナーで集中的に討議する。この中では、南北朝鮮首脳会談の実現を歓迎するとともに、対話の継続を要請。日本人の拉致疑惑や南北離散家族の再会問題を念頭に、「人道問題での建設的対応」を北朝鮮に促す見込みだ。カシミール地方の領有権争いがくすぶるインド、パキスタン両国には直接対話を求める。[2000-07-12-15:15] 69
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 07/12@◇プーチン大統領の公式訪日は、9月初旬に 日ロ外相会談◇(朝日新聞)

 河野洋平外相は12日午前、ロシアのイワノフ外相と宮崎市内のホテルで約1時間会談した。平和条約交渉が最大の焦点となるプーチン大統領の公式訪日については「9月初旬で(6日から始まる)国連ミレニアム・サミットまでの間」とすることで合意した。九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)の際の日ロ首脳会談で確定する。イワノフ外相は平和条約問題に関連して「これまでに達成された肯定的な要素を維持しながら、前に進めたい」と述べる一方で、「現実的対応が重要だ」とも指摘し、年内締結は難しいとのロシア側の姿勢を示唆した。
 河野外相は、ロシアが打ち出した外交政策に関する基本文書で「国境関係の確定を模索していく」としている点を評価したうえで、「国境確定は(日ロ双方が利益を得る)プラスサムゲームだ」と指摘し、平和条約の年内締結に向けてロシア側の前向きな対応を促した。
 これに対し、イワノフ外相は「解決すべき問題があることは理解しており、目を閉ざすつもりはない」と応じたうえで、「善隣的関係の中で解決したい」と述べ、国境確定より善隣友好関係の確立を盛り込む条約締結を優先したい考えを強調した。
 プーチン大統領の公式訪日をめぐっては、4月の日ロ首脳会談でいったん8月末とすることで合意していたが、その後、ロシア側が9月初旬とするよう打診し、調整が続いていた。[2000-07-12-15:07] 82
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 07/12@<論外ですか?>未来を読む努力はあるのか(毎日新聞)

 「2015年、中国は台湾を武力封鎖し、米空母はミサイル攻撃を受けて撤退する」「2025年、アジアのワキ役となった米国に代わり、日本はインド、イランと組んでシーレーン防衛同盟を発足させる」ーー。昨年夏、アジアの未来について米国防総省のブレーンが集まって練り上げた「アジア2025」報告を読んだ。下手な近未来小説よりも、ずっとスリルがあって面白い。
 内容は表題の通りで、2025年までに北東アジア〜南アジアに至る地域で予想される地域大国間の「パワーゲーム」をシナリオにまとめたものだ。
 米軍が長期的にアジア撤退を迫られる「アジアの変容」▽パキスタンが崩壊して民主インドに吸収され、中国の背後に強大なパワーが出現する「南アジア新秩序」▽軍事大国化した中国がアジアの不安を招く「不安定な中国」▽米国のアジア撤退を受けて、中国とインドがアジアの支配権を二分する「中国・インドの共同支配」ーーなどのシナリオ群に分かれ、それぞれについて「米政府はどう対応すべきか?」と政策立案者に課題を投げている。
 現代を基準に考えれば、「荒唐無稽」としか思えないような筋書きもある。日本の防衛筋も「あらゆる可能性に対応するために、知的柔軟性を保つ工夫でしょう」と、「頭の体操」の側面を強調する。
 だが、「米政府の公式見解ではない」とわざわざ断っているにもかかわらず、報告をまとめた顔ぶれには国防当局者、現役将官、政府系シンクタンクの研究者らが多数加わっており、いかにも米国の政策立案者たちが考えそうな内容であるところがミソだ。面白さもそこにある。
 すべて空想の世界というわけでもなく、現存の人口統計にもとづいて「中国では一人っ子政策のために、2015年に嫁がなくて独身を強いられる適齢期の男性が2000万人に膨れ上がる」という不気味な姿も描かれる。嫁のいない若者を「使える」機会として武力紛争や戦争を考えると、気になる指摘でもある。
 ミレニアムのせいか、米国では昨年あたりからこの種の未来シナリオが次々と出されている。21世紀の四半について、将来を今から読んでおこうという努力だが、日本の政治家や指導者たちにそういう備えがあるだろうかーー。一連の報告で気になるのは「米国がいつまでもアジアにいると思うな」という示唆が行間に読めることだ。単に面白がっている時ではないのかもしれない。【高畑 昭男】[2000-07-12-13:49] 95
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 07/12@カナダ外相、NMDに懸念 「核不拡散揺るがす」(共同通信)

 カナダのアクスワージー外相は十二日、河野洋平外相と宮崎市のホテルで会談し、米本土ミサイル防衛(NMD)計画について「(核やミサイルの)不拡散体制を揺るがしかねない」と強い懸念を表明した。また軍備を増強している中国を名指ししながら「アジアの平和と安定に影響を与えかねない」と指摘した。カナダ政府当局者が明らかにした。
 河野外相は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の動向に関し「北朝鮮が国際社会とのかかわり、持ちつ持たれつの関係になることが重要だ」と指摘。双方は北朝鮮を国際社会に引き込んでいくために協力していくことで一致した。河野外相は韓国と北朝鮮の南北首脳会談の動きを歓迎する一方で「ミサイル・核問題で不透明感が残っている。北朝鮮を国際安全保障に導くことが必要だ」と述べた。
 両外相は小型武器の規制強化の必要性で一致。アクスワージー外相は「欧州安保協力機構(OSCE)の国々が販売し、発展途上国が買っている。こういう側面を途上国としっかり議論する必要がある」と述べた。(了)[2000-07-12-12:41] 104
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 07/12@◇中東和平首脳会談始まる 「いい雰囲気」と報道官◇(朝日新聞)

 クリントン米大統領は11日、メリーランド州の大統領山荘キャンプデービッドで、バラク・イスラエル首相、アラファト・パレスチナ自治政府議長を交えた3首脳会談を開いた。大統領は、九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)出席のために米国を出発する19日までの大半の時間を、両首脳とともに山荘にこもり、難問のパレスチナ最終地位問題で、妥協を促す調停を続ける。ロックハート大統領報道官は11日夕、「いい雰囲気のなかで、真剣な話し合いが始まった」と語った。
 クリントン氏は会談前の声明で、「イスラエルとパレスチナが半世紀にわたり対立してきた核心の問題で合意をめざす。原則的な妥協なしには、会談の成功はない。両首脳は歴史的な機会に直面していることを認識しているはずだ。成功の保証はない。だが、逃げていては、失敗が待っているだけだ」と語った。
 大統領は「米政府は両首脳に無条件で明白な支持を与える」と述べた。
 パレスチナ国家の境界や聖地エルサレムの帰属、パレスチナ難民やユダヤ人入植地の扱いなどを話し合うパレスチナ最終地位交渉は、9月13日が合意期限だが、欧米や中東の各地で断続的に開かれてきた実務者交渉は、壁にぶつかっている。
 大統領はこの日、アラファト氏と、次いで、バラク氏とそれぞれ会談し、三者会談に移った。ロックハート氏は「大統領は沖縄を訪問する意向だ」と改めて確認した。また、「両首脳は、これから数日間、困難に直面することを完全に理解しているが、同時に、これは好機であることもわかっている」と語った。
 パレスチナ側の報道担当者は同日、「奇跡は期待していない。違いは非常に大きく、交渉を実質的に進展させるには、まだ多くの時間が必要だ」との考えを示した。一方、訪米中のイスラエルの閣僚のひとりは、「バラク氏以上に、紛争の終結を決断できる首相はイスラエルには現れない、ということに、アラファト氏は気づいていると思う」と述べた。[2000-07-12-11:13] 107
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 07/12@◇最貧国の債務帳消しと途上国へIT支援を 国連事務総長◇(朝日新聞)

 アナン国連事務総長は11日、九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)に向けて声明を発表し、「豊かで実力のある国々の指導者にしか解決できない問題だ」として、8カ国首脳に最貧国の債務帳消しと途上国への情報技術(IT)協力への積極的な取り組みを強く訴えた。
 アナン事務総長は「新世紀を前に、これまでのサミット以上に重要な会議であり、世界中の人々が沖縄に注目している」と述べた。
 債務帳消し問題について、1996年に国際通貨基金(IMF)と世界銀行がアフリカの32カ国を中心に40カ国の「重債務貧困国」の救済に乗り出したが、アナン事務総長は「債権国のうち救済を約束したのはわずか5カ国であり、そのうち帳消しされた債務は35%にすぎない。重債務貧困国の歳入の40%は債務返済に充てられ、深刻な健康問題や教育問題に取り組めない状況にある」と強調した。
 こうした現状を救うため(1)債権国と国際機関は重債務貧困国の債務を、貧困打開への努力の見返りとしてすべて帳消しにする(2)紛争や自然災害で苦しむ国々の債務も帳消しにする、など5項目を要請した。
 また、ITに関しても「情報技術革命がいかに重要であっても、技術にアクセスできなければ豊かな国々と貧しい国々の差は開く一方だ」として、途上国へのIT支援策に乗り出すよう呼びかけた。[2000-07-12-10:46] 135
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 07/12@◇小型武器規制めぐりずれも 日仏外相会談◇(朝日新聞)

 九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)外相会合に出席のため、宮崎入りした河野洋平外相と参加国の外相らとの個別会談が11日夜、始まった。河野外相はまず、ベドリヌ仏外相と約40分間会談した。サミットの主要議題である「紛争予防」に関連して、「(自動小銃など手に入れやすい)小型武器が再び紛争を招く可能性があり、日本は規制を重視している」と述べ、サミットで小型武器の不正取引の規制強化を打ち出したいとの考えを示した。
 これに対し、ベドリヌ外相は規制の必要性に同意する一方で、「小型武器について主要8カ国(G8)の国がすべて同じ取り組みをしているわけではない。こうした武器をなくすだけで紛争がなくなるわけでもない」と応じた。サミット参加国には米仏など有力な武器輸出国もあり、小型武器の規制をめぐって早くも「ずれ」があることが浮き彫りになった。[2000-07-12-00:34] 136
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 07/12@◇NMDに明確に反対 ドイツ外相が単独会見◇(朝日新聞)

 ドイツのヨシュカ・フィッシャー副首相兼外相は11日、九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)外相会合への出発を前に朝日新聞記者と会見した。フィッシャー氏はサミットで取り上げる見通しになった米国の本土ミサイル防衛(NMD)に対し、「軍拡よりも軍縮に向かうことが重要」と強い反対の立場を表明した。対話が始まった南北朝鮮の統一問題について、「東西ドイツの状況とは違う」とし「忍耐と時間を要する」との見方を示した。
 フィッシャー氏は「欧州主要国の関心事は軍拡競争が再開しないことだ」とし、米国が弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約を維持すべきだとした。NMDにはロシアや中国も強く反対し、サミットで協議される可能性があるが、同氏はドイツの立場を繰り返し米政府に表明し、「ロシアもドイツの立場をよく知っている」と述べた。
 1998年秋の外相就任直後にフィッシャー氏が提案した北大西洋条約機構(NATO)の中での「核の先制使用の放棄」については、「核保有国が特権を手放したがらない」と問題の難しさを認めながらも、第3次戦略兵器削減条約(START3)交渉が米大統領選後にも始まることをあげ、NATOが核軍縮に正面から取り組むべきだと語った。
 南北朝鮮問題について、「南北朝鮮の格差は、かつての東西ドイツ間よりもはるかに大きい」としたうえで、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は「かつての東独よりもはるかに孤立している」とした。
 サミットで議題となる予防外交のあり方について、「力ではなく外交的に解決していくことが肝心」と強調。グローバル化する世界で貧富の差が広がっていることについても、紛争予防の観点から先進国が積極的に取り組むべきだとした。[2000-07-12-00:32] 137
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 07/12@◇サミット前にG8首脳と途上国代表が東京で意見交換◇(朝日新聞)

 中川秀直官房長官は11日の記者会見で、九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)に参加するG8(主要国)首脳が発展途上国の代表と意見交換をする「途上国との対話」を、20日、東京の迎賓館で開くと発表した。G8首脳と途上国の代表がサミット前に意見交換をするのは初めて。「開発への挑戦」をテーマに、情報技術(IT)、感染症対策、人材育成などについて話し合う。
 途上国からは77カ国グループ(G77)のオバサンジョ・ナイジェリア大統領、非同盟諸国会議のムベキ・南アフリカ大統領、アフリカ統一機構(OAU)のブーテフリカ・アルジェリア大統領、国連貿易開発会議(UNCTAD)と東南アジア諸国連合(ASEAN)のチュアン・タイ首相がそれぞれのグループを代表して参加する。G8からは東京に立ち寄らずに沖縄入りするドイツ、ロシア以外の各国首脳が参加する予定。[2000-07-12-00:27]
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 07/13@<サミット>G8外相会議 安保理改革や機能強化で合意=再(毎日新聞)

 九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)のG8外相会議は12日、宮崎市内で始まり、世界情勢の安定をテーマに討議した。午後の第1回会合で、9月にニューヨークで行われる国連ミレニアムサミットに向け、G8としては初めて、国連の安全保障理事会を含む組織改革と機能強化で合意。夜は食事をとりながら、地域情勢について意見交換し、朝鮮半島情勢について、13日にまとめる外相総括文書で、南北対話の進展を歓迎し、融和を後押しする見解を表明することになった。
 朝鮮半島情勢については、各国の外相から「北朝鮮は明らかに質的に変化している。孤立からの脱却に助けを差し延べるべきだ」といった意見が多く出され、食糧、人道、医療面でのさらなる支援を行うよう提案する声が複数出された。ただし、河野外相は「北朝鮮に関しては安全保障上、人道上の問題が依然存在しており、G8として引き続き北朝鮮に建設的対応を求めていくべきだ」とも発言し、ミサイル・核開発問題や拉致(らち)問題についてクギを刺し、文書にはこの懸念も、間接的な表現で盛り込まれることになった。
 また、ユーゴスラビア連邦のミロシェビッチ大統領が今月、議会に大統領再選を禁じた憲法を改正させたことについて、G8としての非難を文書に明記することで一致。ただ、同大統領の個人批判の是非をめぐって、ロシアと他国の意見が対立して議論が紛糾し、結論は13日に持ち越された。
 一方、午後の第1回会合で、米国の米本土ミサイル防衛(NMD)計画について、ロシアやフランス、ドイツが「既存の核軍縮・軍備管理の枠組みと矛盾しない形で慎重に進めるべきだ」と懸念を表明。国連改革については、議長国の日本が、(1)安保理を含む国連の機構改革(2)健全な財政基盤の構築(3)国連の開発諸機関の再編――を提案し、各国も「改革の必要がある」との見解で一致した。
 主要議題の紛争予防については、全体の半分の時間が割かれ、紛争の発生前や収束直後、社会復興期といった各段階ごとの「包括的アプローチ」が必要との認識で一致した。具体策として、小型武器の紛争国への流入を規制することを申し合わせた。 【伊藤 智永】[2000-07-13-01:06] 2
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 07/13@結束の裏で各国に思惑 沖縄サミットに課題(共同通信)

 十三日閉幕した主要国首脳会議(沖縄サミット)外相会合は、紛争予防への取り組みを打ち出した「宮崎イニシアティブ」(行動計画)、地域情勢への対処方針を盛り込んだ総括文書を採択し、主要八カ国(G8)の結束をアピールした。
 特に紛争予防では小型武器輸出、ダイヤモンド不正取引規制など五項目を最優先に位置付け、G8として初めて指針を明示した。
 だが、米本土ミサイル防衛(NMD)計画に対し、大半が反対や慎重論を展開して米側と対立。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)への具体的な支援策でも日本と他国の立場の違いが顕在化した。総括文書の裏側には各国の思惑が渦巻き、沖縄サミットに課題を残した。
 十二日午後の会合で、NMD計画に関する議論が展開された。議長国・日本は「米ロの二国間問題」(外務省筋)として議題に設定していなかったテーマだ。
 米国はNMD計画の正当性を主張したが、ロシアは「弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約に違反する」と応酬。フランスも「核不拡散への取り組みを壊しかねない」と批判し、ドイツや英国も異論を唱えた。だが米国と戦域ミサイル防衛(TMD)構想の共同技術研究を進めている日本は一定の理解を示していることもあり、河野洋平外相は明確な態度表明を避けた。
 結局、総括文書ではこの問題に触れず、沖縄サミットでの議論にゆだねられた。議長の森喜朗首相が対応に苦慮する恐れもある。
 一方、地域情勢では韓国と北朝鮮の南北対話の進展を後押しすることでは一致、イタリアなどは人道支援拡大や社会基盤整備への支援を主張した。しかし、日朝間には日本人拉致(らち)疑惑などがあり、国内世論を考慮すると支援には慎重にならざるを得ないという事情がある。河野外相は「安全保障問題、人道上の問題も存在している」と理解を求めたが、各国から言及はなかった。
 ユーゴスラビア情勢では、ミロシェビッチ大統領を名指しで非難するかどうかで二時間のうち、一時間二十分も費やした。この間、河野外相は全く口を挟まず、地域情勢に対する関心の濃淡が浮かび上がった。(了)[2000-07-13-18:35] 3
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 07/13@◇政府、武器回収基金に70万ドル拠出 外相会合閉幕◇(朝日新聞)

 宮崎市で開かれていた九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)外相会合は13日昼、主要8カ国(G8)としては初めて紛争予防の具体策を網羅した「宮崎イニシアチブ」や討議の成果をまとめた「総括文書」を採択して閉幕した。日本政府は合意に基づき、自動小銃などの小型武器を紛争地域から回収するための国連基金に70万ドルを追加拠出する。ロシアや欧州が反発し、米国の孤立が際だった本土ミサイル防衛(NMD)については、オルブライト米国務長官の欠席もあって議論が進まず、文書では言及を避け、首脳会議や米ロ首脳会談に持ち越された。軍備管理をめぐる政策協調ではサミットの限界が鮮明になった。
 地域情勢では、中東和平について、イスラエルのレバノンからの撤退を歓迎するとともに、イスラエル、パレスチナ双方に交渉を加速するよう呼びかけた。国連の暫定統治下で独立への道を歩む東ティモールについては、国際社会の関心が一時より薄れている中、引き続き復興支援に力を入れることも確認した。
 ユーゴスラビアについては、ミロシェビッチ大統領の続投を可能にする憲法改正や、最近の報道規制に強い懸念を示した。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に関しては、ミサイル問題や日本人の拉致疑惑などを念頭に「安全保障や人道問題の懸念に対し建設的対応を期待する」と明記した。
 紛争予防の合意文書には、反政府武装勢力も入手しやすい自動小銃などの小型武器の拡散を抑えるため、「他国への侵略や抑圧に使われる明確なおそれがある場合」には、輸出を許可しないことを盛り込んだ。途上国に経済援助する際、軍事費への転用を防ぐため、使途を透明にするよう求めることでも一致した。
 紛争地域で児童を徴兵する例も目立っているため、こうした国や武装勢力に国際的な圧力をかけることを強調。不正なダイヤモンド取引による収益が、アンゴラやシエラレオネなどアフリカで紛争を悪化させていることにも留意し、取り締まり強化のためベルギーなど主な取引市場と協力することも掲げた。[2000-07-13-18:29] 10
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 07/13@EU外交、両雄並び立たず 大物2人、時に摩擦も?(共同通信)

 初代「欧州連合(EU)外交の顔」として昨年就任したソラナEU共通外交安保上級代表が、宮崎の主要国首脳会議(沖縄サミット)外相会合でG8デビューを果たした。EUはソラナ氏のほかに欧州委員会のパッテン委員(対外関係担当)も派遣。二人とも実力者だけに、二頭体制の難しさを示す局面もあるようだ。
 元スペイン外相のソラナ氏は北大西洋条約機構(NATO)軍によるユーゴスラビア空爆の際のNATO事務総長。パッテン氏は「最後の香港総督」として名をはせた。
 法的にはパッテン氏がEU執行機関の対外代表で、ソラナ氏は立法機関である閣僚理事会の代表という立場の違いがある。
 ソラナ上級代表は本来、加盟十五カ国閣僚の「総意」の枠内でしか発言できない仕組みだが、G8筋によると、宮崎の会合ではパッテン委員へのライバル意識をむき出しにした「きな臭い」局面もあったという。
 もともと上級代表は、キッシンジャー元米国務長官が「欧州各国の総意をどこに求めたらいいか分からない」と評した状況を改善するため新設されたポスト。「あいまいさの脱却を目指したはずだが、ポスト(の責任範囲)自体にあいまいさが残っている」と同筋は指摘している。(共同)(了)[2000-07-13-09:17] 11
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 07/13@重債務貧困国の債務帳消し対象は9国に(読売新聞)

 沖縄サミット(主要国首脳会議)の主要テーマである重債務貧困国の債務削減問題で、債務帳消しを認められる国が二十一日からのサミット開催時までに九か国に上り、さらに年内には十数か国へ積み上がる見通しとなった。昨年のケルン・サミットで合意された救済策が機能していないとするNGO(民間活動団体)などの批判に配慮し、救済認定の審査を事実上簡略化して債務免除に関する承認を加速するなど、ケルン合意の実行を促すため、運用の柔軟化を図ることに伴うものだ。
 沖縄サミットの準備会合でもある外相会議と蔵相会議が十三日までに閉幕し、サミット参加のG8間で固まった。
 昨年のケルン・サミットでG8首脳は、重債務貧困国四十か国を対象とし、政府開発援助(ODA)債権100%削減などの救済策を合意した。ただ、債務帳消しを認められる前提として、重債務貧困国の側が、財政改革や国営企業の民営化などの経済の構造調整に取り組み、免除された返済資金を貧困削減に充てることを明確に盛り込んだ「貧困削減戦略計画書」の策定が義務づけられた。
 しかし、貧困状態にある国には、専門知識を持った人材が不足し、計画策定の基礎となる経済指標が整っていない場合も多い。
 このため、計画策定を完了し、これまで債務帳消しが承認された国は、ケルン合意で対象と認定された四十か国のうち、今年四月までにボリビア、タンザニアなどわずか五か国にとどまっていた。このため、二〇〇〇年を期して重債務貧困国の救済拡充を強く求めるNGOらが強く反発し、救済対象国の拡大や審査基準の変更を求めていた。
 これに対してG8側は、沖縄サミットに臨む方針として、〈1〉ケルン合意の大枠は維持する〈2〉ケルン合意の迅速で効果的な実行に最大限努力する〈3〉帳消しを受ける国に義務付けられている「貧困削減戦略計画書」の策定にG7側が技術的、知的支援をする〈4〉紛争後の再建を目指す国へは特に配慮する――との方針を同日までに確認した。
 サミット議長国を務める日本政府は、すでに国際開発事業団の専門家を現地に派遣するなどして、「計画書」作りの支援を始め、承認に向けた作業のスピード・アップを促している。その結果、現時点までにさらに二か国が承認され、二十一日から始まる沖縄サミットまでにはホンジュラスなど二か国も加わって計九か国に達するメドが立った。[2000-07-13-23:46] 19
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 07/13@◇ダイヤモンド、生産・流通過程も透明に デビアス社◇(朝日新聞)

 世界最大のダイヤモンド供給業者である南アフリカのデビアス社は12日、取引業者を集めた会議でダイヤの生産・流通過程を「より透明化する」方針を示した。これまでの需給調節による価格維持策を取りやめ、市場にゆだねるとともに、アフリカの紛争地域で反政府勢力の資金源となっている「紛争地ダイヤ」を扱わないことを表明した。
 同社は世界のダイヤの半分近くを取り扱っているとされ、その影響力をもとにした人為的な相場形成が問題視されてきた。長年の需給調節によって、同社のダイヤ原石の在庫が増加。一方で、紛争地ダイヤをめぐる国際世論の厳しい目もあり、市場の透明化に踏み切ることになったとみられる。
 紛争地ダイヤについては、英国と南アフリカ政府を中心に関係各国間で国際規制を作ることで話が進んでおり、英国が九州・沖縄サミットでも取り上げることになっている。[2000-07-13-21:21] 49
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 07/13@◇「アフリカ連合」創設に合意、OAUサミット閉幕◇(朝日新聞)

 西アフリカ・トーゴのロメで開かれていたアフリカ統一機構(OAU)のサミットは12日、欧州連合(EU)型の緩やかな統合を目指す「アフリカ連合」の創設に約30カ国が合意して閉幕した。
 AFP通信などによると、各国は加盟国の主権、国境線を尊重、内政不干渉を貫き、加盟国を軍事的に攻撃したり攻撃すると脅したりすることを禁止する。1963年に調印されたOAU規約の延長線上にあるが、具体的な統合の中身はなお不透明だ。リビアのカダフィ大佐が唱えていた「合衆国」型の構想はもとより、EUに比べても緩やかな国家連合になるとみられる。連合の本部はOAUの本部があるエチオピアのアディスアベバに置く予定だという。[2000-07-13-14:06] 52
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 07/13@◇日本製の地雷処理車、アフガン入り◇(朝日新聞)

 日本製の新型地雷処理車がアフガニスタン入りし、東部のジャララバードで12日、地元の非政府組織(NGO)の若者らによる運用訓練が始まった。道路工事に使う油圧ショベル車から改良した。長さ8メートル余りの腕を伸ばし、とげがついた円筒を回転させ、地雷原ごと掘り起こして対人地雷を爆発させる。白一色の塗装と23トンの大きさから、愛称は「ビッグ・ホワイト」。人手の100倍以上の処理能力と期待されている。
 5月に日本を船出し、50日がかりで着いた。旧ソ連軍の侵攻から20年以上も内戦が続くアフガンでは、全土に埋まる地雷で、毎日まだ5人から10人が死傷している。同国最大の地雷処理団体でこの車両の運用を任された「ATC」の幹部、エブラフさん(45)は、「地雷を見つけて撤去する時が一番危ないが、そこを機械に任せられる」と喜ぶ。運転室は防弾板で守られている。
 新型機はウノ・コーポレーション(東京)と山梨日立建機が共同開発し、日本政府が国連のアフガニスタン担当事務所に贈った。[2000-07-13-13:50] 55
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 07/13@<サミット外相会議>総括文書の要旨(毎日新聞)

 13日のG8外相会議で合意した総括文書の要旨は次の通り。
 ◆地球規模の問題
 <紛争予防>紛争の前段階から再発防止を確保する紛争後の段階まで、統合された形で選択する「包括的アプローチ」を追求する重要性を強調する。ベルリン会合をフォローアップするため以下の措置を承認。
 ▽武力紛争の手段制限のため、小型武器の野放し、非合法な移転、情勢の不安定化を招く蓄積に対処。2001年の国連会議で具体的な成果を達成▽武力紛争の潜在的要因除去に資するよう開発政策策定を確保▽とくにアフリカの紛争地帯からのダイヤモンドの不正取引に対処▽児童兵を含め、武力紛争の児童に対する影響に取り組む▽国際文民警察の重要性を取り上げる
 <軍縮・不拡散及び軍備管理>兵器級プルトニウムの安全管理・処分に関する調整・統合された計画のために必要な多数国間のアレンジメント確立に向けて協力、他諸国に支持を呼び掛ける。
 <国連改革>ミレニアム総会の本年、安全保障理事会を含む国連システムを改革、強化し、効率性を改善することを再確認。国連が効率的な予算措置及び加盟国間の衡平な財政的貢献を伴った健全な財政的基礎のうえに運営される必要性を確認する。
 ◆地域問題
 <東アジア>6月の韓国と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の史上初の首脳会談を暖かく歓迎し、さらなる対話と地域の緊張緩和を期待する。国際社会との対話に向けて北朝鮮がとった最近の動きを歓迎する。安全保障、核不拡散、人道及び人権の諸問題をめぐる国際的な懸念に対する建設的な対応に期待する。
 <南アジア>インド・パキスタン間の緊張を深く懸念。両国に自制と早期の対話再開、核不拡散・軍縮体制の強化に向けた国際的努力への参加を呼び掛ける。
 <中東和平>イスラエルとパレスチナの3者会談で、両当事者に対し目標期日までに最終地位合意を達するための交渉を加速するよう呼びかける。
 <バルカン>ユーゴスラビア連邦の憲法改正の動機、その影響を大いに懸念している。ベオグラード政府に対し暴力の一層の激化につながるいかなる行動も自制するように呼びかける。[2000-07-13-13:16] 56
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 07/13@<サミット外相会議>総括文書採択し閉幕 朝鮮半島情勢に期(毎日新聞)

 九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)のG8(主要8カ国)外相会議は13日、第2回会合を行った後、2日間の討議をまとめた総括文書を発表して閉幕した。同文書では、朝鮮半島情勢について「南北首脳会談実現を歓迎し、緊張緩和を期待する」と表明。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に対し「安全保障や人道問題での懸念に対する建設的対応」を求め、ミサイル・核開発問題や拉致(らち)問題にも間接的に言及した。
 会議の主要議題である紛争予防については、銃や手りゅう弾、携帯ミサイルなど紛争の手段となっている小型武器の規制から、予防に有効な開発援助戦略の活用までを含んだG8として初の「包括的アプローチ」を打ち出した。さらに、付属文書の「宮崎イニシアチブ」で具体的取り組みを詳述し、特に小型武器の輸出に関し「他国への侵略や抑圧に使用される明確な恐れのある場合には許可しない」とG8各国が実践する行動を明確に示した。
 これを受けて日本政府は、国連に今年創設した小型武器基金(127万ドル)へ70万ドル余を追加拠出するほか、紛争予防に貢献している非政府組織(NGO)への資金支援を強化するなど独自の行動計画を実施する。
 国連改革については、安全保障理事会を含む機構改革・機能強化を、G8の総括文書に初めて盛り込んだ。9月に開かれる国連ミレニアムサミットをにらみ、安保理常任理事国の枠拡大論議を促すのが狙いだ。
 地域情勢をめぐる課題では、核実験を強行したインド、パキスタン両国に「緊張状態に対する懸念」を示し、「核不拡散・軍縮への取り組みを要請した。 【伊藤 智永】
 「G8外相会議総括」の骨子
《紛争予防》小型武器、紛争と開発、ダイヤモンドの不正取り引き、紛争下の児童、国際文民警察等の分野で具体的な措置を承認。
《軍縮、不拡散および軍備管理》核不拡散努力を継続。余剰兵器プルトニウム問題への取り組みを進める。
《国連改革》安保理を含む国連システムの改革・強化。
《朝鮮半島》北朝鮮の国際社会との対話に向けた動きを歓迎。安全保障や人道問題における懸念に対し建設的対応を期待。
《南アジア》印パ両国の自制、対話の早期再開を要請。
《中東和平》包括的和平実現の好機。和平プロセス前進のための当事者の努力を支持。
《バルカン》ユーゴ憲法改正の動機・結果を強く懸念。[2000-07-13-13:16] 57
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 07/13@北朝鮮の現実対応を歓迎 総括文書を採択 G8外相会合が閉(共同通信)

 主要国首脳会議(沖縄サミット)の外相会合は十三日昼、韓国と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の南北対話による朝鮮半島の緊張緩和への期待などを表明した総括文書と、紛争予防の取り組みを示した「宮崎イニシアチブ」(行動計画)を採択して閉幕した。
 総括文書では「東アジアにはいまだ不安定要素が存在する」と指摘した上で、南北首脳会談の実現や、東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム参加など北朝鮮の国際社会との対話の動きを歓迎。
 核やミサイル開発、日本人拉致(らち)疑惑などの直接表現を避けながら「安全保障や人道問題の懸念に対し、建設的な対応を期待する」と北朝鮮の前向きな対応を促した。
 軍縮・核不拡散では、第三次戦略兵器削減条約(START3)交渉などを通じ、米ロ両国の戦略兵器の一層の削減に期待。安全保障理事会を含む国連システムの改革と強化を進めることを明記した。
 地域情勢では、九月の最終交渉期限を前に米国で進められているイスラエルとパレスチナの中東和平首脳会談の交渉加速化を呼び掛け、国際社会の支援要請を打ち出した。
 このほか、@インドネシアの改革努力支援Aインド、パキスタンに核拡散防止、軍縮の取り組み促進を要請Bユーゴスラビアの憲法改正を強く懸念Cアフリカの紛争予防、解決を要請―などを盛り込んだ。
 一方、宮崎イニシアチブは小型武器が他国への侵略や抑圧に使用される恐れのある場合は輸出を許可しないことや、ダイヤモンド不正取引規制など五項目を掲げ、積極的に取り組むことを宣言。具体策を取りまとめるため、作業部会を設置する方針だ。(了)[2000-07-13-13:10] 78
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 07/13@東エルサレム問題などめぐり中東和平首脳会談が難航(読売新聞)

 【キャンプデービッド(米メリーランド州)12日=林路郎】米国、イスラエル、パレスチナの三首脳による中東和平首脳会談は二日目の十二日、クリントン米大統領がバラク・イスラエル首相及びアラファト・パレスチナ自治政府議長との個別の再会談に臨み、「パレスチナ最終地位交渉」の核心の問題に関する実質協議に入った。しかし、東エルサレムの地位と将来のパレスチナ国家の領土の問題をめぐるイスラエル、パレスチナの対立が埋まらず、交渉は難航している。
 パレスチナ自治政府のアマル議会問題相は十二日、アラファト議長が、現在交渉に参加している代表団に自治政府高官や野党指導者を加え、十三日にキャンプデービッド内で与野党トップによる対策会議を開催したい考えであることを明らかにした。イスラエルに対し、「パレスチナ側の団結を示すことで譲歩しない決意を表明するため」(アマル氏)だという。
 三首脳の間で合意したはずの「報道管制」を破ってパレスチナ報道陣の前に現れたアマル氏はまた、「東エルサレムでの主権確立とパレスチナ国家の領土問題では譲歩できない。米国が妥協に向け指導力を発揮すべきだ」と訴えた。米国が、原則的にイスラエル側の主張に沿い、パレスチナ側の説得にあたっていることを示唆するもので、パレスチナ側の反発が背景にあるとみられる。
 バラク首相は十一日夜のクリントン大統領との会談で、米国が懸念していた中国への高性能レーダー搭載軍用機売却計画の中止を表明し、米側に譲歩。パレスチナ側は、米国がこれを受けて譲歩圧力を高めてくる事態を予想し、抵抗を試みた可能性もある。[2000-07-13-10:11] 79
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 07/13@ダイヤの需給操作を放棄 最大手のデビアス社(共同通信)

 【ロンドン13日共同】ダイヤモンド世界最大手の南アフリカのデビアスは十二日、一九三○年代から継続してきたダイヤモンド原石の需給調整による価格統制を取りやめると発表した。
 世界のダイヤの六○%以上を供給する同社が人為的な相場操作を放棄することで、ダイヤの生産・流通過程の透明化が大きく進む見通しとなった。
 同社は需給調整を続けた結果、九九年末に三十九億ドル(約四千二百億円)相当に膨らんだダイヤ原石の在庫を削減し、二○○一年中には適正水準である二十五億ドル程度に減らしたいとしている。
 一方、同社は密売ダイヤがアフリカの反政府勢力の資金源となっている問題で、紛争地産のダイヤを扱っている業者を取引から排除する方針も発表した。
 武装勢力の最大の資金源となっているダイヤ密貿易は、主要国首脳会議(沖縄サミット)外相会合の主要議題にもなっている。(了)[2000-07-13-10:11] 81
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 07/13@<欧州人権裁判所>オーストリア派遣の3賢人委員発表(毎日新聞)

 【ブリュッセル12日森忠彦】欧州連合(EU)の14カ国がオーストリアに外交制裁を続けている問題に関して、欧州人権裁判所(仏・ストラスブール)は12日、人権問題などの状況を調べるためにオーストリアへ派遣する3人の賢人委員を発表した。
 賢人委の派遣は6月までEUの議長国だったポルトガルが制裁解除に向けた糸口として同裁判所に要請していたもので、委員にはフィンランドのアハティサーリ前大統領、ドイツ・マックスプランク研究所のフローワイン・教授、スペインのオレハ前欧州委員の3人が任命された。オーストリア国内の移民・難民政策や少数民族の人権状況のほか、極右政党・自由党の政策についてもEUの民主主義の基準に適しているかどうかを調査し、現議長国のフランスに報告する。
 委員の派遣についてはオーストリア側も合意しており、同日EU本部を訪れたシュッセル首相も「賢人委の調査には全面的に協力する。国民の90%は今回の(14カ国側の)措置を不公平なものと感じており、一刻も早く制裁を解除してほしい」と語った。同国は秋に制裁の是非を問う国民投票を行うことを決めたが、EU側に反発する趣旨ではないことも重ねて説明した。
 一方、自由党のハイダー前党首も「賢人委がきちんと仕事をすれば、EU側も制裁を解除する以外に方法はないだろう」と語り、早期に報告がなされることに期待を示した。
 賢人委の派遣によって今年2月の開始以来7カ月を過ぎたオーストリアへの制裁は解決に向けた第一歩が図られることになるが、国内に極右政党問題を抱えるフランスやベルギーは自由党に対する警戒が依然として根強い。[2000-07-13-09:47]
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 07/14@<ユダヤの絆>ロシア系移民 情報収集力日本が注目 (毎日新聞)

 4月3日、イスラエルのテルアビブ大学。欧米露日の学者らを集め、ロシア情勢を討議するシンポジウム「新世界秩序―東西間のロシア」が開幕した。1週間前のロシア大統領選でプーチン氏が当選した絶妙のタイミングだった。
 日本からの参加者は、東郷和彦欧亜局長ら外務省職員が約半数を占めた。「対露政策決定上、重要な『イスラエルのロシア情報』を得る狙いだった」と外務省筋が明かす。
 多数のロシア系ユダヤ人移民を抱えるイスラエルに着眼した外務省が、プーチン新時代の日露関係を見据えて打った布石だ。
  ◆  ◆  ◆
 日本政府がユダヤ人問題への取り組みを迫られたのは、ナチス・ドイツの台頭で欧州脱出を目指すユダヤ人が、渡航ビザを求めて在外公館に殺到した1930年代後半だ。日独防共協定が結ばれてはいたが、38年に政府が定めた「猶太(ユダヤ)人対策要綱」はユダヤ人を排斥しない方針を打ち出した。日米開戦後も英米の逆宣伝を恐れ、「日本政府は反ユダヤの方策を採ったことはなかった」(宮澤正典・同志社女子大教授)
 だが軍部の一部には、根強い反ユダヤ論やユダヤ人利用論があった。30年代にはユダヤ人を満州(中国東北部)に定住させる構想「フグ計画」が立案された。欧州から逃れたユダヤ人に安住の地を提供することで、在米ユダヤ人社会を通じて米政府・世論の反日感情を和らげる効果を狙ったとされる。
 ユダヤ人問題に関する外交文書を調査した阪東宏・明治大名誉教授は「彼らはユダヤ人を利用しようとの立場で、根底には反ユダヤ主義があった」と指摘する。
  ◆  ◆  ◆
 戦後半世紀が経った90年代後半、日本政府は対露政策でユダヤ人の情報収集力に注目した。97年11月、橋本龍太郎首相とエリツィン露大統領が「2000年までの平和条約締結努力」で合意。良質なロシア情報を求める外務省は「モスクワでは取れない情報が入手できる」(外交筋)イスラエルに熱視線を注いだ。
 イスラエルには89年以降、ソ連崩壊などの影響でロシアなど旧ソ連から約100万人のユダヤ人移民が流入。ロシア系移民は人口の4分の1に達し、国会(定数120)に12議席を占める一大勢力に成長した。
 それでもロシア国内には45万のユダヤ人が残り、枢要な政治的地位を占めている。イスラエルに暮らす移民はロシアのユダヤ人社会とのつながりを保ち続け、精度の高い内部情報が得られるわけだ。
  ◆  ◆  ◆
 外務省はイスラエル・ルートを生かす体制作りにも着手している。昨年8月、イスラエル大使に茂田宏・元ロシア公使が起用されたが、「ロシア専門家が必要」との判断に基づく異動だったという。
 目下の焦点は、9月3日に予定されるプーチン大統領訪日時の対応だ。外務省は冒頭のシンポジウムで座長を務めたロシア専門家のゴロデツキー・テルアビブ大キュリエル国際研究センター所長らとの接触を通じ「実際の日露首脳会談を想定したシミュレーションを重ねている」と外務省筋は打ち明ける。
 イスラエルのベングリオン初代首相が「欧米に比肩するほど発展した2カ国」と呼んだ日本とイスラエル。ロシア問題で急接近する両国だが、「日本がイスラエルに北方領土交渉への影響力行使を期待しているとすれば問題外だ」(関係筋)。ユダヤ人ネットワークを過大評価する姿勢は、かつての「ユダヤ人利用論」をほうふつとさせる危うさを秘めている。 【「宗教と政治」取材班】 =つづく[2000-07-14-02:00] 3
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 07/14@<この願い、きっと…>アフリカの子供たち 食べることが仕(毎日新聞)

 少女が、ひとさじずつ、ゆっくりゆっくりと、「白い食事」を、左腕に抱いた幼い弟の口に運んでいた。ホットケーキの粉を水で溶いたような食事だった。かむ姿に力がない。それでも少女は、親に代わって、弟のため、根気よく、同じ動作を続けた……。
 内戦が長期化した隣国アンゴラから逃れてきた人たちが暮らす、ザンビアの難民定住地。診療所のテントの下に栄養失調の子どもが集まり、食事をしている。「白い食事」は、大豆とサトウと油を混ぜたものだ。
 ナターリャちゃん(12)は隅の方で、足を投げ出してちょこんと座っていた。「気分はどう?」と聞くと、「前はいつも疲れていたけど、だいぶよくなった」と、ぽつりと答えた。140センチ、24キロ。ここに通い始めて10日。看護婦のモーリンさんが「よく食べているものね」と、ナターリャちゃんを励ます言葉を選びながら、説明してくれた。
 食べることが、今のナターリャちゃんに課せられた仕事。その仕事を、スピードは出ないけれども、やり遂げようと、スプーンの上げ下げを繰り返している。
 重度の栄養失調の子は、午前8時から午後5時までテントで過ごし、9回の栄養食をとる。時に、オレンジや牛乳、肉、魚なども出る。「20日間ほどで、次の段階の食事プログラムに入ります」とモーリンさん。しかし――。
 隣接する診察室の小屋には、子どもを抱きかかえた母親の列が出来ていた。大半がマラリア、下痢、栄養失調による衰弱だ。小さな体に脱水症状が起これば、死へのスピードは恐ろしく早い。アンゴラでは、生まれてくる1000人のうち292人が5歳までに亡くなる。日本では4人。ようやくたどり着いたこの定住地でも、手遅れでいのちを失う子どもがいる。
 「症状が出ても『農作業をしないと』と放っておく親もいる。それに、親に栄養の知識がないから、子どもが弱ったら栄養のあるものを、という発想にならない」。一日平均70人を診ているティビレ医師が、歯がゆそうに説明してくれた。
 親は責められない。農作業しないと食べられないのだから。定住地にやってきてしばらくすると、自給が求められ、難民たちはサツマイモやトウモロコシを作る。それでおなかは膨れる。でも、それすらままならない母子もいる。
 マラリアの娘(2)を抱っこして診察を待つ母のエルネスティンさん(22)。正午前なのに、この日、まだ何も食べていない。「私の食事は毎日1回。この子は2回食べさせてやるけど……」
 「卵を買えない母親に卵を食べさせなさいと言えますか」。日本人のNGOスタッフの言葉が、難民たちの現実だ。 =つづく
 文・三角真理
 写真・大橋公一[2000-07-14-02:00] 6
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 07/14@<ダイヤ不正取引>デビアス社が販売方法の抜本改革に乗り出(毎日新聞)

 【ロンドン13日松木健】アフリカの地域紛争を激化させる原因になっているダイヤモンドの不正取引を防止するため、ダイヤ原石市場の6割を支配するデビアス社がダイヤ販売方法の抜本改革に乗り出す。この問題は21日からの九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)でも議題になる見通しで、デビアス社は、ダイヤの不買運動に発展することを懸念。販売会のメンバーが同社以外の取引で不正ダイヤを購入した場合、会員資格をはく奪するなど厳しい措置を打ち出した。
 デビアス社は12日にロンドンで販売会員を招集し、対策を提示した。関係者によると、会員に対し、アフリカから密輸されたダイヤの不正取引に関与していない誓約を要求。アントワープやボンベイなどのダイヤ取引市場でも不正ダイヤを取り扱っていない保証を会員に要求させる方針で、保証のないダイヤを会員が購入したことが発覚した場合、デビアス社との取引は一切、停止する。
 ダイヤの不正取引は、アフリカのシエラレオネやアンゴラなどの紛争で、反政府武装組織の資金源になっていることが判明。そのあおりで国連要員が殺害されたことなどから、国際的に批判が高まっている。国連安全保障理事会がシエラレオネの反政府組織が採掘したダイヤの禁輸措置で合意したほか、九州・沖縄サミットでも税関など不正取引の監視体制の強化策を打ち出す見通しだ。[2000-07-14-00:46] 7
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 07/14@<G8外相会議>紛争予防包括的取り組み 具体化に責務(毎日新聞)

 九州・沖縄サミット(主要国首脳会議)のG8外相会議は13日閉幕し、紛争予防の包括的取り組みを「宮崎イニシアチブ」にまとめた。紛争予防は今会議のメーンテーマ。外交の花形である核や大型兵器の縮減・不拡散・管理問題に比べ華やかさはないが、コソボ紛争発生後の武力解決にてこずった経験から、G8各国に予防重視の気運が高まりつつあるのも事実だ。各国の関心がまちまちな中、武器規制から開発援助まで幅広いメニューを一つの枠内にまとめただけでも初の成果と言え、日本は議長国の面目を施した。紛争予防を具体化する作業は今回、ようやくスタート地点に立ったばかりであり、これから正念場を迎える。
 紛争予防は、紛争の発生前、終結後、復興期の各段階ごとに、争いの原因となる貧困の除去▽難民への緊急人道支援▽戦闘員の武装解除や職業訓練▽話し合いによる解決を身につける教育や司法の制度整備――といった多様な取り組みがあり得る。予防の手段も、武器の規制から資金源の根絶、経済支援など政治・経済・社会的政策を選び、組み合わせる必要がある。
 宮崎イニシアチブが「包括的アプローチ」を強調するのは、紛争予防が、一つひとつは地味な対策を根気強く寄せ集め、息長く取り組むしかないからだ。
 もちろん各国の異なる思惑を、無理に折り合わせた「苦心の作」という色合いも濃い。例えば「銃こそが身を守る」という考えの根強い米国は、小型武器規制に必ずしも乗り気ではなく、「女性の役割が重要」(タルボット国務副長官)という抽象論に逃げ込む。
 旧宗主国としてアフリカ各地の紛争に手を焼く英国は「武器購入の資金源を絶つ」と主張し、ダイヤモンドの不正売買の取り締まりにこだわる。日本は経済援助の活用に熱心だし、ドイツはEU域内に紛争後の管理を委ねる文民警察官部隊を創設する方針に沿うことから、文民警察の待機・訓練制度の拡充を強く求める。
 しかも、「紛争予防は国連が中心的役割を担う」というのがG8の基本的立場。責任は国連にゲタを預けているわけで、合意の実効性には疑問が残る。「紛争地域への小型武器輸出を許可しない」という合意にも強制力はないが、むしろ明確に決意表明しただけで、最大の成果となるほど、国際社会では「予防の文化」が未成熟なのが実状だ。
 それだけに、取りまとめ役を務めた日本は、今後の具体化の道筋でも、特別な役割を担う。早速、国連小型武器基金への積み増しなど独自の行動計画を打ち出し、その自覚を鮮明にしたが、目玉は相変わらず資金協力に偏りがたちだ。
 国際取り決めの“空白地帯”である小型武器規制において、対人地雷禁止条約のような具体的な体制を作ることはできないのか。同条約の採択では非政府組織(NGO)が各国政府を突き動かしたが、紛争予防でも日本がG8各国に先んじ、NGOとの国際的連携を構築できないのか。紛争予防は「外交そのもの」でもあるだけに、今後の取り組み方で、日本外交の構想力、行動力、ダイナミズムが試される。 【伊藤 智永】[2000-07-14-00:45]


 (注)この「最近のボスニア」コーナーは、一般に報道されている記事に、千田が一部手直しして掲載しているものです。出所は明示しており、各社・各記者の著作権を侵害するつもりはありませんが、著作権上問題があるとお考えの方や、自分(自社)の記事は載せないでほしいという方がいらっしゃれば、このホームページの感想もふくめて、千田あてに連絡してください。
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