最近のボスニア(旧ユーゴスラビア)情報

(03/31, 2000)


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 03/24@<米大統領外遊>印パの核「黙認」 不拡散不透明に(毎日新聞)
 03/24@◇「国連分担金は不公平」 佐藤国連大使が見直し主張◇(朝日新聞)
 03/24@ガリラヤで大野外ミサ バラク首相とも会談 ローマ法王(共同通信)
 03/24@エルサレム帰属問題「共生の知恵を」…ローマ法王(読売新聞)
 03/25@◇ユーゴ空爆から1年 市民の生活困窮、不安と疲れの色◇(朝日新聞)
 03/25@<社説>ユーゴ空爆1年 恣意的な人道介入の限界(毎日新聞)
 03/25@<きしむ連邦>空爆から1年のユーゴの現状 コソボ地区では(毎日新聞)
 03/25@12歳の少年にも拷問 アルバニア系住民が証言(共同通信)
 03/25@買い物にも兵士が護衛 緊張続くコソボ自治州北部の分断都市(共同通信)
 03/25@NATO「空爆は正当」…対ユーゴ空爆開始一周年(読売新聞)
 03/25@コソボの「分断都市」視察 緒方高等弁務官(共同通信)
 03/25@静かな「空爆1周年」 コソボ州都プリシュティナ(共同通信)
 03/25@<コソボ>NATO最高司令官らが訪問 対立地点視察は中止(毎日新聞)
 03/25@◎平和と民主主義実現へ努力継続=米大統領、ユーゴ空爆1周(時事通信)
 03/25@<社説>ユーゴ空爆1年 恣意的な人道介入の限界(毎日新聞)
 03/25@イラク制裁で激しい応酬 国連安保理(共同通信)
 03/25@国際法廷の設置を要求 朝鮮戦争虐殺で北朝鮮(共同通信)
 03/26@人道援助から社会再建へ コソボ問題で緒方弁務官(共同通信)
 03/26@<ユーゴ>きしむ連邦・モンテネグロの迷い 「独立」に賛否(毎日新聞)
 03/26@ユーゴに中国人の大波 反NATOで急接近(共同通信)
 03/26@コソボ国境を合同管理 ユーゴ連邦軍とモンテネグロ共和国警(共同通信)
 03/26@武装組織が解体に合意 セルビア南部沈静化の兆し(共同通信)
 03/27@◇戦闘で大やけどのコソボ少女来日、母親らが支援呼びかけ◇(朝日新聞)
 03/27@<露大統領選>プーチン氏 まんべんなく得票 民族共和国で(毎日新聞)
 03/27@<露大統領選>プーチン氏支持の理由 若さ 秩序 他より良(毎日新聞)
 03/27@露政局、国防相や外相の処遇など焦点に(読売新聞)
 03/27@ロ共産党の穏健化鮮明に 大統領選連敗で転換加速も(共同通信)
 03/27@スーダンにミサイル工場か 北朝鮮がイラクの資金で(共同通信)
 03/28@◎CIA、セルビア勢力によるNATO総長の暗殺計画を察知(時事通信)
 03/28@プロバスケのディバツが親善大使に(共同通信)
 03/28@米国務省のルービン氏に長男誕生(共同通信)
 03/28@ユーゴ大統領が祝意 ロシア大統領代行に (共同通信)
 03/28@「機密暴露」の大佐逮捕 フランス(共同通信)
 03/28@チェチェン武装勢力、山岳地域ゲリラ戦で泥沼化(読売新聞)
 03/28@<難民問題>英国で保護を求める外国人が急増(毎日新聞)
 03/28@<米リビア関係>国交断絶後初の公式会談 (毎日新聞)
 03/28@中東和平交渉いったん終了(共同通信)
 03/29@岡村善文UNMIK特別代表首席顧問 インタビュー(共同通信)
 03/29@初の資金援助会議を開催 バルカン地域安定化で EUと世銀(共同通信)
 03/29@自治体制づくりで隔たり ユーゴ問題6カ国会合(共同通信)
 03/29@<プーチンの挑戦>欧州重視の現実主義(毎日新聞)
 03/29@ベルギー・アントワープが「黒いダイヤ」市場に(読売新聞)
 03/29@◇「窓」―IMF人事劇◇(朝日新聞)
 03/29@立て続けにパソコン盗難 失態続く英情報機関(共同通信)
 03/30@日本の児童合唱団が公演 ユーゴで交流実現(共同通信)
 03/30@ボスニアの選挙監視要員を激励 小渕首相 (共同通信)
 03/30@<ユーゴ>NATO軍の空爆を強く批判 国連人権委特別報告(毎日新聞)
 03/30@◇「カルマパの滞在、インドが非公式に同意」ダライ・ラマ◇(朝日新聞)
 03/30@◇「北朝鮮のベトナム戦参戦確認」韓国通信社が報道◇(朝日新聞)
 03/30@◇第2次戦略兵器削減条約 来月にも批准投票か◇(朝日新聞)
 03/31@◇中国、ロシアとの軍事協力を強化 技術水準に疑問も◇(朝日新聞)
 03/31@米軍は小規模な増派決定 春の衝突再発に警戒(共同通信)
 03/31@コソボ撤退辛くも否決 米で泥沼化に懸念強まる(共同通信)
 03/31@◎米、偵察部隊をコソボに増派(時事通信)
 03/31@◎バルカン地域向けに2400億円拠出=南東欧州支援国会合(時事通信)
 03/31@<チェチェン>ロシア軍側の死者は2036人に ロシア軍発(毎日新聞)
 03/31@安保理国大使が米上院と“対決” 分担金の支払い要請(共同通信)
 03/31@不穏文書が政治問題化 治安警察強化の伊で(共同通信)
 03/31@◎仏など3国がオーストリアを批判=「極右政党はEUの原則に違反」(時事通信)

 (注)この「最近のボスニア」コーナーは、一般に報道されている記事に、千田が一部手直しして掲載しているものです。出所は明示しており、各社・各記者の著作権を侵害するつもりはありませんが、著作権上問題があるとお考えの方や、自分(自社)の記事は載せないでほしいという方がいらっしゃれば、このホームページの感想もふくめて、千田あてに連絡してください。
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 03/24@<米大統領外遊>印パの核「黙認」 不拡散不透明に(毎日新聞)

 南アジア歴訪中のクリントン米大統領は25日、パキスタンを訪れ、インド、バングラデシュを含めた19日からの3カ国訪問を締めくくる。インドとの協力関係に比重を置いた米大統領の歴訪で、南アジア情勢はどう変わるのか、核拡散問題の行方は――。米国、インド、パキスタンの思惑を探った。
 19日夜インドに到着したクリントン大統領は、20日に日帰りでバングラデシュを訪問、21日からインド公式訪問を開始した。25日朝まで足掛け7日に及ぶインド滞在に対し、パキスタン滞在は数時間の予定。インドの民主主義をたたえた大統領は、パキスタン軍政指導部には早期民政移管を求める方針で、インドと張り合うパキスタンにとって分が悪い訪問となる。
 今回の歴訪に先立ちオルブライト米国務長官は、核不拡散問題で相当の前進がなければ、米国・インドの十分な関係改善は難しいとしていた。しかし、クリントン大統領はインド国会での演説などで、核政策の最終決定権はインド自身にあると明言。バジパイ首相との会談では、米印定期首脳会談の開催や各種経済協力の枠組みを決め、経済制裁も緩和して関係正常化に大きな布石を打った。
 ただ、米当局者は「インド重視」の南アジア政策が定着するとは見ていない。アジア地域で中国を「戦略的パートナー」としたクリントン政権は、ベトナムや朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との正常化にも力を入れている。パキスタンで民政移管が実現すれば、「冷戦時代からの友好国」(クリントン大統領)との和解は容易だ。米政府はパキスタンとの将来の正常化は織り込み済みで、インドとの「冷戦構造」解消を目指したとの見方が強い。
 ハノイからの報道によると、23日付のベトナム人民軍機関紙、クアンドイ・ニャンザンは、過去20年間東アジア外交に重点を置いていた米国が、南アジアでの影響力確保に本腰を入れようとしている、と報じた。インド紙には、米印接近によって、インドと対立の歴史を持つ中国がどう動くかを警戒する論調が目立っている。インドとの関係強化が米国の影響力拡大につながるのは確かだが、半面、中印双方との「パートナー」関係の兼ね合いが難しくなるという側面もある。
 一方、当事国が核政策を決定するというクリントン大統領の方針が、パキスタンにも適用されるのは確実で、核不拡散の行方はさらに不透明になった。インド、パキスタンの核実験(1998年5月)に対し、クリントン政権は当初、核拡散防止条約(NPT)体制の堅持と両国の核実験全面禁止条約(CTBT)参加を強く訴えたが、結果的にはNPT体制外の二つの核保有国の存在を黙認する形に落ち着かざるを得ない。
 しかも米国は、両国の核軍拡競争の原因となっているカシミール紛争に介入しない方針を明確にした。「南アジアの緊張は南アジア諸国によってのみ解決される」という米印共同声明の文言は、カシミール紛争への第三国の介入を嫌うインドの立場を理解するもの。首脳会談直前、インドからの分離を求めるイスラム過激派の犯行とみられるシーク教徒虐殺事件がカシミールで起きたことも、米国がインドに歩み寄る環境を作った。
 クリントン大統領はインド、パキスタンの核兵器放棄を「究極の目標」として双方の対話を促す方針だが、カシミール問題調停に主体的に動けない以上、目標達成のめども立たないのが実情だ。【ジャイプール(インド)で布施 広】
 「インドとパキスタンが限定戦争に突入か」。クリントン米大統領の南アジア訪問を機に、印パ国境のカシミール地方をめぐり不穏な観測が高まりつつある。カシミール領有問題で、米国がインドの立場を尊重し「紛争の仲介はしない」との姿勢を改めて鮮明にする中、「仲介せざるを得ない」状況を生み出そうとパキスタンが印パ間の緊張をさらに高めることが予想されるというのだが――。
 「(カシミールを分断する)実効支配線は世界で最も危険な場所だ」。クリントン大統領は最近、偶発核戦争にもつながりかねないカシミールの現状をそう語った。大統領訪問に合わせ実効支配線を挟んで砲撃戦が激化し、インド支配地域では住民や治安部隊に対するイスラム武装勢力の攻撃が相次いでいる。
 クリントン大統領は歴訪に先立ち、「印パ間の緊張緩和と両国の対話再構築が目的」と語っていたが、現地では当初あった期待感は急速にしぼみ、悲観論が優勢になっている。
 ある地元紙の軍事担当記者は「パキスタンにとり、自由戦士(イスラム武装勢力)を後押ししてカシミールの緊張関係を維持させておくことは、国家の基本戦略だ」と明かす。国際社会の関心を引きつけ、仲介を引き出すためだという。パキスタンが目指す「紛争の国際化」である。
 同記者は、インドが「カシミール問題を国内問題」と位置づけて国際社会の仲介を拒否し続ける限り、そうした手段はやむを得ないと言い、「昨年5〜7月のカシミール紛争(印パでは一般に限定戦争と認識)に近いレベルの衝突が再発する可能性が高い」と予測する。
 こうした悲観論の背景には(1)先のカシミール紛争でイスラム武装勢力がインド側に侵攻(2)パキスタンに軍事政権誕生――により、米外交がインド寄りに転換したことも作用している。クリントン大統領はイスラム武装勢力侵攻を、インドの主張を支持して「越境テロ」と非難、今回の訪問日程をインド5日間に対しパキスタン5時間と歴然たる差をつけた。インド到着後、「私はカシミール紛争の仲介に来たのではない」と述べ、インドの立場を重視する姿勢を示した。
 こうした状況の中、25日に行われるクリントン大統領とパキスタンのムシャラフ参謀長の会談の内容次第では、イスラム原理主義勢力の強硬論が勢いを増すとみられている。武装勢力指導部には「多大な犠牲を払ってきたカシミール奪還は今がラストチャンス。いったん勢いを失えば、カシミールは永久に戻らない」との共通認識があるからだ。
 しかし「悲観論」への反論もある。別のパキスタン人記者は「昨年のカシミール紛争でパキスタンは紛争の国際化に成功したが、国家テロ疑惑も国際化した。カシミールに対する基本戦略の見直しを迫られている」と語り、抑制が働くと読んでいる。
 一方、インドでも悲観論は強い。民間シンクタンク「安全保障政策研究所」のバラート・カルナド教授(52)は「(インド支配地域で)今のレベルの挑発行為が続けば、インド政府としても世論の圧力で攻勢に出ざるを得なくなるかも知れない。限定戦争の可能性は排除できない」と予測する。【イスラマバード・春日孝之】[2000-03-24-23:22] 21
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 03/24@◇「国連分担金は不公平」 佐藤国連大使が見直し主張◇(朝日新聞)

 佐藤行雄国連大使は23日、国連総会第5委員会(行政・予算)で演説し、国連の予算をまかなうため各国に割り当てられている分担金の決め方が「公平からほど遠い」と批判し、算定方式の見直しを主張した。分担金の見直しは米国も求めており、負担が増える可能性のある国々との間で、新たな分担金の決定をめぐり年末まで厳しい交渉が予想される。
 分担金は加盟国の国民総生産(GNP)をもとに、各国の「支払い能力」を算定する。3年ごとに分担率を改定し、今年は来年から2003年までの分を決める。
 佐藤大使は、(1)日本のGNPが17%なのに分担率は20%を超す(2)国連で特別の責任を持つ安全保障理事会の五常任理事国のうち、日本は米を除く4カ国(英仏ロ中)の分担率の合計を上回る――ことを指摘し、「日本国民は納得できない」と訴えた。[2000-03-24-19:18] 28
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 03/24@ガリラヤで大野外ミサ バラク首相とも会談 ローマ法王(共同通信)

 【エルサレム24日共同】イスラエル訪問中のローマ法王ヨハネ・パウロ二世は二十四日午前、イエス・キリストが多くの足跡を残した北部のガリラヤ地方を訪れ、コラジムで今回の中東歴訪中最大の野外ミサを主宰する。
 ミサにはイスラエル国内だけでなく、中東諸国や法王の本拠地イタリアを含む世界各国から約十万人の青少年らが参加。
 コラジムはガリラヤ湖の北にある小さな町。イスラエル政府はミサのため約三百万ドルで特設会場を整備した。
 午後には、イエスの山上の垂訓で有名な祝福の山を訪れ、山上の垂訓教会の施設でバラク首相と会談。
 他の訪問地には、新約聖書でイエスが五つのパンと二匹の魚を五千人分の食料に変える奇跡を起こし、処刑後に復活したイエスが使徒らの前に姿を見せたとされる湖畔の町タブハ、イエスがナザレから布教の拠点を移し、使徒ペテロの家の跡などが残るといわれるカペナウムが含まれる。[2000-03-24-15:18] 36
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 03/24@エルサレム帰属問題「共生の知恵を」…ローマ法王(読売新聞)

 【エルサレム24日=当間敏雄】「エルサレムはイスラエルの首都だ」「いや、パレスチナの首都だ」――。中東聖地巡礼中のローマ法王ヨハネ・パウロ二世は二十三日、宗教間の融和をテーマとした会合に出席したが、ユダヤ教、イスラム教双方の指導者が「聖都」の権利を主張し合う、極めて政治色の強い論戦の場になってしまった。
 ユダヤ教の筆頭ラビ(導師)のラオ師が「ユダヤ教国家イスラエルへの巡礼訪問は、法王がエルサレムを(イスラエルの)永遠不可分の首都と認めたに等しい」と発言して火ぶたを切ると、イスラム教徒聴衆から「法王は一度もそんなことを認めたことはない」との鋭いヤジが飛んだ。
 ラオ発言に怒ったイスラム教徒代表の宗教裁判所長官タミミ師が「パレスチナ民族の土地にエルサレムを永遠の首都とするパレスチナ独立国家を創設する“公正な平和”」の必要性を激しく主張。「イスラエルのアラブ占領を終わらせ、獄中のパレスチナ人を解放し、難民が故郷とするパレスチナの土地に戻れるようにすべきだ」とまくし立てた。
 イスラム教徒はタミミ発言に拍手喝さいし、ユダヤ教徒側は苦虫をかみつぶしたような表情で押し黙った。
 ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地であるエルサレムは、六七年の第三次中東戦争で旧市街のある東エルサレムをイスラエルが武力併合して「永遠不可分の首都」としたが、パレスチナ側が東エルサレムを将来の独立国家の首都として要求、帰属を巡って激しく対立している。
 法王は険しい表情で双方の主張を聞いた後、「聖なる土地の宗教社会が調和を保って互いに協力し合えれば、エルサレムはすべての人々にとって真の平和の都市となるだろう。共生は容易なことではないが、お互いの宗教の中にその知恵を見いださねばならない」と発言したが、会合が終了する前にイスラム教徒側が退席し、後味の悪い宗教会議となった。[2000-03-24-12:15]
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 03/25@◇ユーゴ空爆から1年 市民の生活困窮、不安と疲れの色◇(朝日新聞)

 北大西洋条約機構(NATO)のユーゴ空爆開始から1年を迎えた24日、首都ベオグラードで開かれた集会やコンサートに集まった市民の表情には、困窮するばかりの生活への疲れと不安が濃くにじみ出ていた。ミロシェビッチ政権打倒をうたう若者たちの平和運動が注目を集め始めた。
 政権はこの日を「国の自由と尊厳を守った記念日」と位置づけ、市中心部での集会には数千人が参加した。しかし、動員された年配の労働者ばかり。「空爆は許せない」と口をそろえるが、続く言葉は「早く経済制裁を解除してくれ」「空爆が終わっても生活は苦しくなるばかり」。
 近くのカフェの前に100人以上の若者が集まり、突然、「横暴への抵抗(オトポル)」と書いたポスターを張り出した。
 学生らが創設した団体。空爆には反対だが、国民を苦しめる現政権にも反対、との主張が受け、国民の不満を結集できない野党勢力にかわり、最近、勢力を伸ばし始めた。
 「政党になるつもりはない。苦しんでいる人々に、不満なのはあなただけではないと励ましのメッセージを送る」と大学生のベスナさん(24)はいう。[2000-03-25-23:24] 2
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 03/25@<社説>ユーゴ空爆1年 恣意的な人道介入の限界(毎日新聞)

 北大西洋条約機構(NATO)がユーゴスラビアに対して空爆を開始して1年が過ぎた。人道の大義を掲げた作戦を振り返ってみると「人道介入」の限界が浮かんでくる。
 現在、コソボ自治州では依然としてセルビア人とアルバニア系住民の民族対立が続いている。1年前の力関係が逆になっただけであり、民族共生にはほど遠い状況だ。国際平和維持部隊(KFOR)は追加部隊派遣を迫られている。
 コソボでセルビア人側に立つ連邦軍がアルバニア系住民への弾圧を強めた背景には、アルバニア系住民が多数を占める同自治州の自治を認めないとするミロシェビッチ大統領の政策があった。この代償はあまりにも大きく、ユーゴ国民を苦しめることを大統領は自覚すべきである。
 領域外の主権国家に対して初めて軍事攻撃を行ったNATOは、空爆を「民族浄化という非人道的行為を座視するわけにはいかない」という理由で正当化した。
 国境は不可侵なものではなく、人道・人権が国境を超えるという価値観は、冷戦体制崩壊から10年たち世紀替わりをはさんで新たな秩序形成を模索している国際政治の場に強くアピールした。ピノチェト元チリ大統領の逮捕を合法とした英司法判断も同じ価値観に基づいた。
 人道そのものは崇高な価値観だ。しかし、NATOの人道介入には恣意(しい)的なものが感じられた。東ティモール、チェチェンでの民族紛争へのNATO、欧州連合(EU)の比較的穏健な対応はコソボと対照的だった。バルカン地域の不安定化を防ぎ、欧州という共通空間だけはNATO、EUの国益ないしは共通益で守り通すという意思がみられ、二重基準ではないかというすっきりしないものが残る。
 攻撃する側の「死者ゼロ」を命題とする戦争は空爆一辺倒となり、全体からみれば一部であれ、誤爆により多くの犠牲者を出した。
 空爆の動機となった民族浄化に対しても検証が迫られている。当初は死者不明10万人という数字が米政府から出されたが、昨年12月米国務省は報告書で死者1万人と推定した。
英タイムズ紙は、死者は数百人規模という推定すら紹介した。
 ソラナNATO事務総長(当時)は「ボスニア・ヘルツェゴビナの教訓は早い段階で行動を起こすことが効果的ということだ」と語った。ボスニア紛争の長期化はミロシェビッチ大統領のセルビア民族主義に原因があり、米軍の短期空爆で和平合意をのませたという受け止めである。ユーゴ空爆はボスニアの延長でもあった。
 欧州ではヒトラーの侵攻に道を開いた1938年のミュンヘン協定を引き合いに出して、ミロシェビッチ政権との妥協を一切拒否する主張が目立った。オーストリアの極右参加政権に対する制裁でも「ミュンヘン」が繰り返された。欧州の雰囲気として理解しておくべきだ。
 空爆は国連決議による承認を経ないで行われ、NATOを主導する米国の国連軽視姿勢が反映された。しかし、人道介入の後始末の一端は国連と国際社会が負わされた。NATO型の人道介入が必ずしも物事解決のモデルになったわけではない。国連中心主義を掲げる日本は、改めて国連の役割と機能強化について積極的に発言していくべきだろう。[2000-03-25-23:13] 5
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 03/25@<きしむ連邦>空爆から1年のユーゴの現状 コソボ地区では(毎日新聞)

 北大西洋条約機構(NATO)軍がユーゴスラビア連邦への空爆を開始してから1年が過ぎた。78日間に及んだ空爆の後、「人道的介入」の引き金になった民族紛争の地、ユーゴ・コソボ自治州はどうなったのか。さらに連邦からの離脱問題で揺れるモンテネグロ共和国と共に、現状を報告する。
 アルバニア系住民のジャシャリさん(70)の顔が急に曇った。セルビア人たちと平和に暮らしていたころを振り返っていたが、やがて声を震わせ、押し殺すように言った。「長男は3年前、突然姿を消し、半月後に首なし惨殺体で見つかった」。以来、セルビア人を見る目が変わった。
 ジャシャリさんはイバル川を挟んで北側のセルビア人地域と南側のアルバニア系地域に分断されたコソボ北部のミトロビツァに住む。コソボ最大の鉱山「トレプチャ」社で働き、北側のセルビア人地域にある高層住宅に30年間暮らしてきた。2月初めの両民族の衝突で7階の自宅に銃弾が撃ちこまれ、もう我慢できなかった。妻のハニフェさん(63)と、南側のアルバニア系地域に脱出し、2男や親戚の家を転々とした。
 3月3日、国際平和維持部隊(KFOR)の兵士に付き添われ、北側の高層住宅に戻った。「買い物にも出られず一日中部屋にいるほかないが、他に私たちの家はないから」という。周囲からセルビア人がデモで「ここはセルビア。お前たちは出て行け!」と叫ぶ声が聞こえる。
 KFORはアパートの前に歩道橋を建設中で、南側アルバニア系地域にもセルビア人用アパートを整備中だ。橋の上で両民族がすれ違う日が来るかも知れない。ジャシャリさんは「長男を殺したセルビア人のことはもう許すから和解してほしい。橋の上で知り合いのセルビア人に会ったら、やあ!と声を掛けるよ」と希望を語る。
 しかし、コソボ自治州のセルビア国民会議のイワノビッチ議長は「南側にセルビア人アパートを作っても住む人はいないだろう」と反論する。
 ミトロビツァ北側には現在セルビア人約5000人が住み、コソボ各地から脱出して来たセルビア人の最大拠点となっている。セルビア人から見ればアルバニア系すべてが「我々を追い出そうとしている」と映り、アルバニア系は「セルビア人はすべて犯罪者でミロシェビッチ(ユーゴ連邦大統領)の手先だ」と語る。
 国連コソボ暫定統治機構(UNMIK)のクシュネル代表は2月下旬、ニューヨークの国連本部で、安保理代表団に「今こそコソボの将来像を具体的に提示して欲しい。さもなければ、少数派セルビア人は追い立てられると受け取る」と訴えた。
 実態は州人口9割を占めるアルバニア系住民が「独立」を達成しそうな勢いにある、だれもその言葉を明言できない。コソボが独立すれば南隣のマケドニアのアルバニア系住民、西隣のアルバニア本国が「大アルバニア構想」に動きかねない。そうなれば「火薬庫・バルカン」に再び火がついてしまう。
 空爆1年後、事態好転の見通しはない。ジャシャリさんが希望する橋の上でのセルビア人との再会も、当分起きそうにない情勢だ。【ミトロビツァで福井聡】[2000-03-25-18:11] 6
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 03/25@12歳の少年にも拷問 アルバニア系住民が証言(共同通信)

 【コソブスカミトロビツァ(ユーゴスラビア・コソボ自治州)25日共同】昨年の北大西洋条約機構(NATO)の空爆前にユーゴスラビア警察に逮捕・拘留され、約一年ぶりに解放されたコソボ自治州のアルバニア系住民の男性が二十五日、十二歳の少年も「テロリスト」として拷問を受けていたと証言した。
 この男性は同自治州北部コソブスカミトロビツァのフアット・ブチンツァさん(34)。昨年三月十一日朝、経営する雑貨店にいきなり押し入ってきたユーゴ警察に逮捕され、「コソボ解放軍(KLA)の協力者」として懲役十月を言い渡された。
 収容先のベオグラード郊外の収容所には約七百人のアルバニア系住民が収容され、中には十二歳と十三歳の少年もいたという。
 「頭からつま先まで殴られない所はなかった」という拷問で多いときは一日に数人が死亡、遺体は庭に埋められた。和平合意後の昨年七月、国際赤十字が収容所を訪れたが、直接話す機会は与えられず、その後も待遇は変わらなかった。
 ブチンツァさんは、家族が二万マルク(約百十万円)を払い、今年三月十日になって釈放された。その際、ユーゴ兵士は「いつかコソボに戻って(アルバニア系住民)全員を殺してやる」と語ったという。
 ブチンツァさんは「ユーゴ各地の収容所には、まだ三千―四千人以上のアルバニア系住民が拘留されている」と指摘、国際社会に向け、一刻も早い解放を訴えている。[2000-03-25-17:48] 7
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 03/25@買い物にも兵士が護衛 緊張続くコソボ自治州北部の分断都市(共同通信)

 一本の川で南側のアルバニア系住民居住区と、北側のセルビア人居住区に分けられたユーゴスラビア・コソボ自治州北部の「分断都市」コソブスカミトロビツァ。昨年三月から六月までの北大西洋条約機構(NATO)軍によるユーゴ空爆後、町は一応の平静を取り戻したが、住民間の相互不信は募る一方で一触即発の緊張状態が続いている。
 「もし米軍が沖縄を占領して、日本人をみんな追い出したらどんな気持ちがする?」。境界となったイバル川の川辺のカフェで、家を追われ北側に移り住んだばかりのセルビア人、イワンさんが言った。
 空爆後も一時、双方の衝突で数十人が死傷した。「セルビア人が家を焼き払い、家族を虐殺した」「アルバニア系住民が英国や米国と一緒に家や財産を奪った」と主張する双方の憎悪は消えない。
 セルビア人居住区のシュタトリ地区。NATO軍主体の国際治安部隊の装甲車と武装兵士による二十四時間の厳戒態勢の中、セルビア人、アルバニア系、トルコ系住民が混住する。
 アルバニア系住民が外出する際は、重武装の治安部隊兵士が護衛につく。「あまり身の危険は感じないが、パンを買うにも自由に行けないのがつらい」とアルバニア系のモリナさん。
 アルバニア系住民の代表レジピ氏は「セルビア人はミロシェビッチ(ユーゴ大統領)から直接指示され、武器や食料の支援を受けている」と非難。一方、セルビア人住民の指導者イワノビッチ氏は「コソボ解放軍は武装解除されておらず、セルビア人虐殺は彼らの犯行」と批判する。
 昼間からイバル川のほとりにたむろし、対岸を眺める住民の九○%は失業状態といわれる。ある国連関係者は「ほんのわずかなきっかけで、大衝突に発展しかねない」と指摘した。(コソブスカミトロビツァ共同=遠藤一弥)  [2000-03-25-17:02] 9
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 03/25@NATO「空爆は正当」…対ユーゴ空爆開始一周年(読売新聞)

 【プリシュティナ(ユーゴスラビア・コソボ自治州)24日=佐々木良寿】北大西洋条約機構(NATO)のジョージ・ロバートソン事務総長とウェズリー・クラーク・NATO軍最高司令官は、対ユーゴスラビア空爆開始から一周年を迎えた二十四日、プリシュティナで記者会見し、「NATOが行ったことは正しかった」と空爆の正当性を改めて強調した。ただ、「真の平和の道は依然、遠い」とも述べ、空爆の事後処理とも言えるコソボでの多民族社会の建設が依然、困難に直面していることも認めた。
 プリシュティナでは同日夜、アルバニア系の若者たちがアルバニアの旗を振りかざし、“コソボ解放”につながった空爆一周年を記念して大騒ぎを続けた。
 一方、セルビアでは同日、ミロシェビッチ大統領が、「祖国防衛の戦士」に献花するなど、「戦勝記念」行事が繰り広げられた。ジバディン・ヨバノビッチ・ユーゴ外相は記者会見で、「ユーゴは誇りを守ることに成功した」と、対NATO「勝利」を強調した。[2000-03-25-11:42] 11
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 03/25@コソボの「分断都市」視察 緒方高等弁務官(共同通信)

 【プリシュティナ24日共同】緒方貞子国連難民高等弁務官は二十四日、セルビア人とアルバニア系住民の対立が続くユーゴスラビア・コソボ自治州北部のコソブスカミトロビツァを訪れ、川を隔てて両民族が対立する「分断都市」の実情を視察した。
 視察後、緒方氏は「(アルバニア系、セルビア人にかかわらず)少数派の住民の窮状をどう救済するかが国際社会の大きな課題だ」と語った。
 「九カ月前にコソボを訪れたときよりも、難民の生活は改善されている」と指摘したが、「コソボ全土ではまだテント住まいの住民も多く、そのような状態を早急に解消すべきだ」とも述べ、国際社会への支援を訴えた。
 緒方氏はアルバニア系、セルビア人両住民の代表とも会談したほか、日本の援助で仮設住宅が建てられているコソブスカミトロビツァ郊外のチャブラ地区も視察した。[2000-03-25-10:24] 13
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 03/25@静かな「空爆1周年」 コソボ州都プリシュティナ(共同通信)

 【プリシュティナ24日共同】北大西洋条約機構(NATO)軍によるユーゴスラビア空爆開始一周年を迎えた同国コソボ自治州の州都プリシュティナでは二十四日、“解放一周年”を祝うアルバニア系住民の大規模な集会やデモもなく、静かな一日となった。
 自治州内では依然、アルバニア系住民、セルビア人が対立、殺害や暴行が続発している。このため、国連コソボ暫定統治機構(UNMIK)はアルバニア系住民に対し、セルビア人を刺激するような行動を控えるよう呼び掛けていた。
 NATOのロバートソン事務総長、クラーク欧州連合軍最高司令官は同日、市内中央部の川を挟んで両住民がにらみ合う自治州北部の「分断都市」コソブスカミトロビツァを訪れる予定だったが、急きょ中止。セルビア人に配慮したとみられている。
 プリシュティナでは二十四日夜、アルバニア系の若者が英米国旗とコソボ州旗を飾った車数台でクラクションを鳴らして目抜き通りを“行進”した。
 しかし、これに同調する人はほとんどおらず、「弟一家を殺され、騒ぐ気には到底なれない」(商店主)、「セルビア人の報復が怖い」(主婦)などさめた反応が多かった。[2000-03-25-09:52] 14
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 03/25@<コソボ>NATO最高司令官らが訪問 対立地点視察は中止(毎日新聞)

 【ウィーン25日福井聡】北大西洋条約機構(NATO)のロバートソン事務総長とクラーク最高司令官は、ユーゴスラビア連邦空爆開始から1周年に当たる24日、同連邦コソボ自治州を訪れた。予定されていたアルバニア系住民とセルビア人の最大の対立地点・ミトロビッツァの視察は、直前になってキャンセルされ、コソボの不安定さを象徴する形となった。
 コソボからの報道によると、事務総長らは24日午後(日本時間同日深夜)、約5時間遅れて空路コソボ入り。ミトロビッツァ視察は時間的に無理となって中止された。NATOは遅れと変更を「作戦上の理由から」としたが、治安上の理由を否定せず、NATO最高首脳が現地を訪れた場合の混乱を回避するためとみられる。
 事務総長は州都プリシュティナに到着後、「我々はユーゴ軍によるアルバニア系住民への抑圧を食い止める最善の行動をとった」と空爆の正統性を主張したが、同時に「紛争は終わったかもしれないが平和は依然勝ち得ていない」と、課題が残っている現状を率直に認めた。
 コソボでは空爆終結後、アルバニア系によるセルビア人への報復が始り、セルビア人約25万人が脱出。最後のセルビア人拠点となっているミトロビッツァは現在「ヨーロッパで最も危険な場所」とされ、イバル川を挟んで南側のアルバニア系住民と北側のセルビア人が衝突を繰り返し、先月来死者9人、負傷者数十人を出している。[2000-03-25-09:49] 15
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 03/25@◎平和と民主主義実現へ努力継続=米大統領、ユーゴ空爆1周(時事通信)

 【ワシントン24日時事】ユーゴスラビア・コソボ自治州紛争に介入した北大西洋条約機構(NATO)軍による対ユーゴ空爆開始から1周年の24日、インド訪問中のクリントン米大統領は声明を発表し、ミロシェビッチ・ユーゴ政権による民族浄化を終わらせたと空爆の成果を誇示すると同時に、コソボをはじめ南東欧州の人々とともに平和で民主的な未来へ向かって努力を継続する決意を表明した。[時事通信社][2000-03-25-07:20] 9 [このページの最初に戻る]


 03/25@<社説>ユーゴ空爆1年 恣意的な人道介入の限界(毎日新聞)

 北大西洋条約機構(NATO)がユーゴスラビアに対して空爆を開始して1年が過ぎた。人道の大義を掲げた作戦を振り返ってみると「人道介入」の限界が浮かんでくる。
 現在、コソボ自治州では依然としてセルビア人とアルバニア系住民の民族対立が続いている。1年前の力関係が逆になっただけであり、民族共生にはほど遠い状況だ。国際平和維持部隊(KFOR)は追加部隊派遣を迫られている。
 コソボでセルビア人側に立つ連邦軍がアルバニア系住民への弾圧を強めた背景には、アルバニア系住民が多数を占める同自治州の自治を認めないとするミロシェビッチ大統領の政策があった。この代償はあまりにも大きく、ユーゴ国民を苦しめることを大統領は自覚すべきである。
 領域外の主権国家に対して初めて軍事攻撃を行ったNATOは、空爆を「民族浄化という非人道的行為を座視するわけにはいかない」という理由で正当化した。
 国境は不可侵なものではなく、人道・人権が国境を超えるという価値観は、冷戦体制崩壊から10年たち世紀替わりをはさんで新たな秩序形成を模索している国際政治の場に強くアピールした。ピノチェト元チリ大統領の逮捕を合法とした英司法判断も同じ価値観に基づいた。
 人道そのものは崇高な価値観だ。しかし、NATOの人道介入には恣意(しい)的なものが感じられた。東ティモール、チェチェンでの民族紛争へのNATO、欧州連合(EU)の比較的穏健な対応はコソボと対照的だった。バルカン地域の不安定化を防ぎ、欧州という共通空間だけはNATO、EUの国益ないしは共通益で守り通すという意思がみられ、二重基準ではないかというすっきりしないものが残る。
 攻撃する側の「死者ゼロ」を命題とする戦争は空爆一辺倒となり、全体からみれば一部であれ、誤爆により多くの犠牲者を出した。
 空爆の動機となった民族浄化に対しても検証が迫られている。当初は死者不明10万人という数字が米政府から出されたが、昨年12月米国務省は報告書で死者1万人と推定した。
英タイムズ紙は、死者は数百人規模という推定すら紹介した。
 ソラナNATO事務総長(当時)は「ボスニア・ヘルツェゴビナの教訓は早い段階で行動を起こすことが効果的ということだ」と語った。ボスニア紛争の長期化はミロシェビッチ大統領のセルビア民族主義に原因があり、米軍の短期空爆で和平合意をのませたという受け止めである。ユーゴ空爆はボスニアの延長でもあった。
 欧州ではヒトラーの侵攻に道を開いた1938年のミュンヘン協定を引き合いに出して、ミロシェビッチ政権との妥協を一切拒否する主張が目立った。オーストリアの極右参加政権に対する制裁でも「ミュンヘン」が繰り返された。欧州の雰囲気として理解しておくべきだ。
 空爆は国連決議による承認を経ないで行われ、NATOを主導する米国の国連軽視姿勢が反映された。しかし、人道介入の後始末の一端は国連と国際社会が負わされた。NATO型の人道介入が必ずしも物事解決のモデルになったわけではない。国連中心主義を掲げる日本は、改めて国連の役割と機能強化について積極的に発言していくべきだろう。[2000-03-25-23:13] 34
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 03/25@イラク制裁で激しい応酬 国連安保理(共同通信)

 【ニューヨーク24日共同】国連安全保障理事会で二十四日、対イラク経済制裁をめぐり、制裁解除を求めるフランス、ロシアと、継続を主張する米国、英国が対立した。
 冒頭、アナン事務総長が「国連は常に弱者の味方だったが、今やイラク国民を苦しめていると非難されている」と述べ、暗に制裁緩和を求めた。
 ロシア大使は、米英による空爆で昨年だけでも百四十四人が死亡したと指摘し、「空爆を続けながら国連査察に協力しろというのは無理だ」とイラクを擁護。人道支援も不十分だと批判した。
 フランス大使も、長引く制裁でイラクの子供が健康や教育面で被害を受けていると述べ、制裁の即時解除を要求した。
 これに対し、米国のカニングハム次席大使は「制裁はイラクに軍縮を続けさせる手段だ」と反論。さらに、制裁破りの原油密輸が横行していると述べ、監視態勢の強化を主張した。[2000-03-25-10:25] 38
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 03/25@国際法廷の設置を要求 朝鮮戦争虐殺で北朝鮮(共同通信)

 【ニューヨーク24日共同】朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の李衡哲・国連大使は二十四日、国連内で記者会見し、朝鮮戦争(一九五○―五三年)当時の米軍による大量虐殺で住民百万人以上が死亡したとして、国連に対して国際法廷を設置するよう求めた。北朝鮮外務省は二十一日付で同様の声明を発表している。
 朝鮮戦争の米軍による虐殺行為をめぐっては、韓国・老斤里(ノグンリ)での事件で米政府の調査が進んでいる。開戦五十周年の今年、北朝鮮にも同様の事件があったと強調することで今後の米朝高官協議などでの取引材料にしたいとの狙いがあるとみられる。
 李大使は五二年七月の米軍による爆弾投下で、二日間で八千人の平壌市民が犠牲になったケースなどを列挙。こうした大量虐殺や非人道的行為は国連の名の下で行われたと指摘、国際法廷で責任を追及するべきだと述べるとともに、米政府に公式な謝罪と補償を要求した。[2000-03-25-09:53]
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 03/26@人道援助から社会再建へ コソボ問題で緒方弁務官(共同通信)

 【プリシュティナ26日共同】国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の緒方貞子高等弁務官は二十六日、ユーゴスラビア・コソボ自治州の州都プリシュティナで記者会見し、帰還したアルバニア系難民が「酷寒の冬を無事乗り切り、第一段階の緊急人道援助は成功した」と述べ「社会再建に着手すべき時期に来た」との見解を示した。
 しかし一方で、少数派となったセルビア人への迫害が急増している現状に懸念を表明。「新たな民族浄化を生み出すことは決して許されない」と強調した。
 高等弁務官は、第二段階となる社会再建は(1)治安の確保(2)移動の自由(3)少数派住民の社会参加―など五段階で行われるべきだと指摘。しかし「非常に長い時間がかかるだろう」と述べ、再建は容易ではないとの考えを示した。
 さらに今後は多数派住民が少数派をどう受け入れるかが焦点になるとして、早急の課題として「住民の間の信頼醸成」を挙げた。[2000-03-26-19:03] 2
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 03/26@<ユーゴ>きしむ連邦・モンテネグロの迷い 「独立」に賛否(毎日新聞)

 「これはセルビア人としての血の問題だ。政治的主張で同じ民族を分断することは許されない」。モンテネグロ共和国の首都ポドゴリツァに住む元教員、グルーヨビッチさん(62)は自らの信念をそう語る。
 ユーゴスラビア連邦は言語も民族も基本的に変わらないセルビアとモンテネグロの2共和国で構成されるが、モンテネグロのジュカノビッチ現政権はミロシェビッチ連邦大統領と激しく対立し、「独立」の意思を隠さない。グルーヨビッチさんは決してミロシェビッチ大統領支持者ではないが、自らの血と民族の歴史を考えると、独立には賛成できないという。
 ところが、息子のピーターさん(22)はジュカノビッチ支持派だ。「国際社会から孤立したミロシェビッチ政権に未来はない。モンテネグロは何世紀も独立の歴史を持っており、セルビアから分かれるのが自然だ」と主張する。
 グルーヨビッチさん親子のように、モンテネグロでは今、家庭内でも独立の是非を巡ってかんかんがくがくの議論が続いている。
 発端は1997年の大統領選挙だった。民主社会党のジュカノビッチ現大統領が小差で社会人民党のブラトビッチ前大統領を破って当選した。これに対し、ミロシェビッチ大統領は敗者のブラトビッチ前大統領を連邦首相に任命。ジュカノビッチ新政権は以降、連邦政府との対立色を強め、独立に向けた国民投票実施を再三ちらつかせてきた。昨年8月には自治権強化などを盛り込んだ要請書を連邦政府に提出したが、いまだに返答はなく、双方の関係は冷え切っている。
 社会人民党のジージッチ副党首は共和国政府の”反連邦的政策”を非難する。「現政権が独自の関税業務や通貨に独マルク導入を実施した結果、連邦政府は輸出停止に踏み切った。モンテネグロの物価は30%も上昇して、国民は生活にあえいでいる」。一方、ジューノビッチ民主社会党幹事長は「連邦通貨ディナールは裏付けのないまま増刷されており、マルク導入は自国経済保護のためやむを得なかった。現在の『経済戦争』は連邦側が仕掛けたものだ」と反論する。
 事態をさらに複雑にしているのは、欧米諸国の姿勢だ。親欧米路線の現政権に欧米は積極支援して良さそうだが、「モンテネグロの独立を認めれば次はコソボとなり、マケドニア北西部とアルバニア本国のアルバニア人を刺激する。さらなるユーゴ連邦分裂はバルカンの火種をつくる」と独立を容認しない。ジュカノビッチ政権は欧米の支持なしで独立に踏み切れず、同時にミロシェビッチ政権への対抗上、独立の意思を取り下げるわけには行かない。
 「私はトルコ系イスラム教徒やアルバニア系が周囲に多くいた北部ヒエロポリエ出身。都会育ちの息子たちには分からないだろうが、民族の独立を言い出せば、他民族が黙っていないのだ」。グルーヨビッチさんの言葉は、モンテネグロだけでなく、バルカン全体の複雑な政情を凝縮していた。【ポドゴリツァで福井聡】[2000-03-26-23:39] 5
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 03/26@ユーゴに中国人の大波 反NATOで急接近(共同通信)

 昨年五月の北大西洋条約機構(NATO)軍による在ユーゴスラビア中国大使館「誤爆」事件をきっかけに、ベオグラードに中国人が押し寄せ始めた。ユーゴ空爆開始から二十四日で一周年。欧州の一角に外交の足場を築こうとする中国と、国際社会からの孤立脱却を期待するユーゴの思惑の一致が背景にある。
 最近、北京からの航空便でベオグラードに到着する中国人の数は、毎週約三百人。三月の時点で約四万人に達したとの推定もある。観光客として入国する中国人の多くは、おもちゃや衣類などの商売人に変身している。
 大使館誤爆事件を契機に、NATOに反発する中国とユーゴは急接近した。中国は昨年十二月、ユーゴに三億ドルの“復興支援”を約束。ミロシェビッチ政権側も国連や欧州連合(EU)の経済制裁下で対中関係の強化に向かい、二月下旬には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)にヨバノビッチ外相を派遣するなど、「中国・北朝鮮カード」を使い始めた。
 外交筋によると、中国人受け入れ計画は、中国びいきのミロシェビッチ大統領夫人の意向を受けて大統領が直接指示した、との話もある。
 市場統合で国境の壁がなくなったEU諸国は、広域犯罪の防止やヤミ労働者の締め出しのため域外からの入国を年々厳しくしている。一般の中国人にとっては、ユーゴは欧州への数少ない「玄関口」だ。
 ベオグラード北部の商業ビル「ブロック70」では中国人商店が軒を並べ、さながら中華街のよう。上海から来た陳さん(27)は路上に広げた商品のスニーカーを前に「地元の人と仲良くやっている。稼いでイタリアに行きたい」と話す。イタリア国境がEU入境の“盲点”であることをよく知っているのだ。
 中国は冷戦と中ソ対立の時代、親欧米の“修正主義”の本家旧ユーゴに対し、当時中国派だった隣国アルバニアを使って中ソ代理論争を展開させた歴史がある。アルバニアが欧米の支援を受ける一方、孤立したユーゴに中国がてこ入れする“逆転の構図”は、なんとも皮肉だ。(ベオグラード共同) [2000-03-26-15:24] 8
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 03/26@コソボ国境を合同管理 ユーゴ連邦軍とモンテネグロ共和国警(共同通信)

 【ベオグラード26日共同】ユーゴスラビア・モンテネグロ共和国からの報道によると、ユーゴ連邦軍とモンテネグロ共和国警察は二十五日、共和国とコソボ自治州の国境検問所を合同で管理することに合意した。
 緊張が続いていた両者の関係改善を目指した措置とみられ、共同声明は「コソボからの麻薬や武器、テロリストの流入」を防ぐことが合同管理の目的としている。国連関係者によると、コソボは西欧諸国への麻薬密輸基地になっており、モンテネグロもコソボからの密輸ルートの一つとみられている。
 連邦からの独立の動きを強める同共和国では、昨年十二月に州都ポドゴリツァの空港管理をめぐってセルビア主体の連邦軍と共和国警察がにらみ合う事件が起きている。[2000-03-26-10:13] 9
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 03/26@武装組織が解体に合意 セルビア南部沈静化の兆し(共同通信)

 【プリシュティナ26日共同】国連コソボ暫定統治機構(UNMIK)関係者は二十五日、ユーゴスラビア・コソボ自治州に隣接するセルビア共和国南部のプレシェボ渓谷を拠点とするアルバニア系武装組織「プレシェボ・ブヤノバツ・メドベジャ解放軍」が武装放棄し、解体することに合意したことを明らかにした。
 この地域はアルバニア系住民が多数を占め、解放軍とセルビア治安警察の衝突が頻発。紛争再燃の懸念が強まっていたが、一応沈静化の兆しが見え始めた。
 昨年解散したコソボ解放軍(KLA)最高幹部だったコソボ民主進歩党のサチ党首と、在コソボ米代表部のデル代表が二十四日に解放軍幹部と会談。解放軍は「武装闘争から民主的手段への方針転換」に合意したという。
 コソボ自治州の治安維持を担当する国際治安部隊は、解放軍の武装闘争を強く警戒。軍事拠点を徹底捜索するとともに、セルビア南部との境界を封鎖し、武器や資金の流入を絶って孤立化させる作戦に出ていた。
 しかし自治州内では、アルバニア系住民によるセルビア系住民への報復攻撃が相次ぎ、両住民の対立は依然深刻だ。自治州内の情勢次第では、九万人以上のアルバニア系住民がいるプレシェボ渓谷一帯がセルビア南部の火種となる恐れが強い。[2000-03-26-09:58]
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 03/27@◇戦闘で大やけどのコソボ少女来日、母親らが支援呼びかけ◇(朝日新聞)

 ユーゴスラビア・コソボ自治州での戦闘に巻き込まれ、頭などに大やけどをしたベシアナ・ムスリウちゃん(4つ)がこのほど、皮膚移植などの治療を受けるため、母親のフェティエさんらに付き添われ来日した。27日、東京都内で記者会見したフェティエさんは「娘は幼い戦争被害者。日本に行けばきれいに治してもらえるからと、励まして連れてきた」などと話し、支援を訴えた。
 ベシアナちゃんの家は州北西部のスケンデライ地区にあり、紛争が激化した1998年、セルビア人民兵に焼き打ちされた。当時1歳のベシアナちゃんは、父親に救出されるまで、燃え上がるベッドに取り残された。一命はとりとめたものの、頭や顔に重度のケロイド状の跡が残った。
 両親は、国連コソボ暫定行政支援団の行政官で、スケンデライ地区暫定市長を務める井上健氏に窮状を訴えた。コソボでは治療が難しいため、現地で復興活動をする非政府組織(NGO)アドラ・ジャパンが協力し、井上さんが代表になって「ベシアナちゃんを助ける会」をつくった。24日に来日して都内の病院に入院、29日に1回目の手術を受ける予定だ。
 フェティエさんは「混乱するコソボでは治療できなかった。娘も成長するにつれて自分の顔がみにくいのではないかと、気にするようになった。娘の将来を思って、すがるような気持ちで来日した」と訴えた。井上さんも「これほどひどいけがをしたコソボの子どもを見たのははじめて。なんとか協力してあげたい」と話していた。
 問い合わせはアドラ・ジャパン事務局(03―5410―0045)。「ベシアナちゃんを助ける会」への寄付は、東京三菱銀行青山支店(普1323557)。[2000-03-27-21:11] 6
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 03/27@<露大統領選>プーチン氏 まんべんなく得票 民族共和国で(毎日新聞)

 ロシア大統領選の結果を地域別にみると、得票率約53%で当選したプーチン大統領代行が全国的にまんべんなく支持を得たことが分かる。だが、その度合いは89ある共和国や州などの連邦構成体によってかなりバラ付きがみられる。
 プーチン氏の得票率が一番高かったのは民族共和国だ。チェチェン共和国に隣接するイングーシ共和国で85%、ダゲスタン共和国で75%を得票した。いずれもチェチェンからの難民が流入するなどチェチェン紛争の影響を直接受けており、プーチン氏の強硬姿勢が支持されたようだ。
 タタールスタン共和国でも72%を獲得した。同共和国のシャイミーエフ大統領は昨年12月の下院選でプーチン陣営に対抗する「祖国・全ロシア」に参加したが、その後、プーチン支持に方向転換し、有権者の行動に大きな影響を与えたとみられる。
 さらに、プーチン氏の出身地サンクトペテルブルクでは62%、ロシア西端の飛び地カリーニングラード州でも60%を獲得し、欧州部で強さを見せた。極東のチュコト自治管区でも67%を獲得している。
 逆に低かったのは、沿海州(41%)やシベリアのノボシビルスク州(40%)などで、過半数を大きく割り込んだ。大票田の首都モスクワでも、下院選で対立したルシコフ市長の協力を取り付けたが、得票率は46%にとどまった。モスクワでは改革派のヤブリンスキー下院議員が19%(全国では5・8%)と健闘した。
 一方、全国2位のジュガーノフ共産党委員長がトップになったのはアルタイ共和国、ブリャンスク州、オムスク州、リペツク州の4つにとどまった。共産党の強い中部ロシアの「赤いベルト地帯」は”プーチン旋風”によって完全に分断された。ジュガーノフ委員長は出身地のオリョール州でもプーチン代行に小差で敗れており、共産党の退潮ムードを象徴している。
 プーチン、ジュガーノフ両氏以外では唯一、トゥレーエフ候補が自ら知事を務めるケメロボ州で51%を獲得しトップになった。ジリノフスキー自民党党首は2・8%で、前回(5・7%)の半分に落ち込んだ。
 投票率は68・86%と、昨年12月の下院選(61・45%)を上回った。投票率が50%未満に下がり、選挙不成立になる可能性も指摘されたが、有権者の関心は思ったより高かった。「投票率が上がればプーチン氏が有利。下がればジュガーノフ氏が有利」といわれたとおり、高い投票率はプーチン氏に味方したようだ。
  【モスクワ・田中洋之】
 大統領選挙法によると、中央選管は、投票から10日以内に選挙結果を正式に発表すると定められている。タス通信によると、中央選管は4月4日までに最終結果を出すと伝えている。
 また、中央選管が最終結果を発表した時点から30日目に、当選した候補者が大統領に正式に就任する。5月5日ごろには就任式が行われる予定だ。
プーチン大統領代行 52・52
ジュガーノフ共産党委員長  29・44
ヤブリンスキー下院議員  5・85
トゥレーエフ・ケメロボ州知事 3・04
ジリノフスキー自民党党首 2・72
チトフ・サマラ州知事 1・50
パンフィーロワ元社会保障相  1・02
ガバルーヒン下院議員 0・45
スクラトフ前検事総長 0・43
パドベリョースキン前下院議員 0・14
ジャブライロフ氏(実業家)  0・08
(中央選管発表、開票率94・27%)[2000-03-27-23:00] 7
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 03/27@<露大統領選>プーチン氏支持の理由 若さ 秩序 他より良(毎日新聞)

 ロシア大統領選は、エリツィン前大統領に「後継者」と指名されたプーチン氏が第1回投票で当選を決めた。国民がなぜプーチン大統領を求めたのか。国民の気持ちを分析してみた。ロシア社会・民族問題研究所の調査によると、プーチン氏を支持する理由は(1)若くてエネルギッシュ(2)国内に秩序を導入できる厳格な政治家(3)他の政治家に比べると一番良いーーがベスト3となっている。
 このほか▽一般市民の問題と関心を理解している▽政党や金融グループの利益より国家の利益を重視している▽妥協を求める人物ーーなどが挙げられている。
 政治評論家も、病身のエリツィン前大統領の末期政治の混乱を目の当たりにした国民の多くが、若くて、スマートで、エネルギッシュなプーチン氏の出現に好感を持ったと指摘する。
 確かに、エリツィン前大統領と比べると、プーチン氏は気質、政治スタイル、物腰などすべてに対照的な人物で、まったく新しい政治家の登場という印象が強い。
 プーチン氏は物腰が柔らかで、頭の回転は早く、スマート。予測不可能な行動にでることはない。「誠実」という言葉が好きで、人をだますような雰囲気がない。一言で言えば、都会的かつ現代的な政治家で、庶民的親近感はないが、世界に誇れる指導者なのだ。
 外国では、国家保安委員会(KGB)出身ということで、暗いイメージを持つ人も少なくないが、ロシア国内では、かえって頼もしいと映る。国家に忠誠を尽くしてきた人物として、尊敬の対象にさえなる。プーチン氏自身も、「個人的利害よりも国家の利害を優先すべきだ」と愛国主義的発言を繰り返し、それがまた支持率をあげる結果になっている。
 さらに、プーチン氏が治安機関出身ということから、エリツィン時代に広がった混乱や無政府状態に終止符を打ってくれると期待する国民は多い。
 エリツィン前大統領は共産党体制の破壊に全精力をかけたが、「もう、社会の対立や混乱は沢山」と、安定と秩序の時代への回帰を求める気持ちは強いのだ。
 ただ、プーチン人気を「蜃気楼(しんきろう)現象」と呼ぶ人はいる。つまり、国民はプーチン氏の中に自分の見たいものを見ているが、それは実像ではないというのだ。
 また、絶対権力への服従というロシア的伝統・風土を舞台にした「良きツァーリ(皇帝)」の出現願望に、プーチン氏の登場が合致したとの意見もある。
 赤いツァーリ(スターリン)、新しいツァーリ(エリツィン)に次ぐ、良きツァーリ(プーチン)の到来だというのである。
 国民は、プーチン氏に何らかの期待をかけている。だが、プーチン新大統領がこれに応えられるかどうか。誰もはっきりしたことがいえないのが現実である。【モスクワ・石郷岡 建】[2000-03-27-23:00] 8
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 03/27@露政局、国防相や外相の処遇など焦点に(読売新聞)

 【モスクワ27日=布施裕之】プーチン・ロシア大統領代行が二十七日、大統領選での勝利を決めたことで、政局の焦点は、政府、大統領府などの人事刷新と、政敵や野党系マスコミの処遇、それにエリツィン前政権下で政権を支えた新興財閥との関係に移った。新体制の権力基盤にかかわるこれらの問題は、プーチン氏が「ロシアのピノチェト」(キリエンコ元首相)として強権統治による経済再建に成功するかを占う最初の試金石でもある。
 政府人事で首相指名と並んで重要視されるのは、外相、国防相、内相の扱い。外交に介入するセルゲーエフ国防相、プーチン氏のライバルと目されたルシャイロ内相については、選挙前から解任説が根強く流れている。イワノフ外相は、ユーゴスラビア・コソボ紛争、チェチェン軍事介入などを背景とする前政権以来の対欧米強硬路線の実務責任者で、プーチン氏が外交方針の本格的転換に乗り出す場合には、更迭の可能性があると見られている。
 今後の治安対策とからんで注目されるのが、ルシャイロ内相の進退だ。プーチン氏は、新興財閥の雄ベレゾフスキー下院議員との結びつきが深い同内相の後任に、パトルシェフ連邦保安局長官を充てたい意向とされ、選挙直前の米テレビとのインタビューでも「治安機関の同僚を枢要ポストにつける」と発言している。
 実現した場合、プーチン氏はベレゾフスキー氏の発言力排除と、最大の権力基盤である連邦保安局の影響力拡大、それに治安機関の再編・拡大へ向けた足場づくりという「一石三丁」の成果を得ることになる。
 ボロシン大統領府長官、コリュージヌイ燃料エネルギー相、アクショーネンコ鉄道相らを解任する説も流れるが、これもベレゾフスキー人脈排除の動きの反映とみられる。ただ、これに対しベレゾフスキー氏は、選挙直前、ロシア紙との会見で、新興財閥と距離を置こうとするプーチン氏の方針に反撃の構えを見せており、プーチン氏が前政権の「側近政治」から最終的に脱皮できるかどうか疑問視する向きもある。
 一方、プーチン氏の対チェチェン政策などを攻撃したヤブリンスキー元副首相や野党系マスコミに対し、新政権が締め付けに出るかも注目される。政界筋によると、クレムリンでは新たに「情報省」を創設、そのもとに政府系テレビや通信社を統合し管理強化を図る構想が練られているという。[2000-03-27-22:41] 31
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 03/27@ロ共産党の穏健化鮮明に 大統領選連敗で転換加速も(共同通信)

 【モスクワ27日共同】二十六日のロシア大統領選挙で共産党のジュガーノフ委員長は予想以上の健闘を見せ、最大野党の存在感をあらためて誇示した。しかし、ソ連崩壊後の経済改革をめぐりかつてはエリツィン前政権と激しく対立した同党は、最近では下院に最大会派を有する有力野党としてロシアの市場経済という現実に適応、穏健路線に変容しつつある。
 一九九六年の大統領選挙に続き、今回選挙でもジュガーノフ氏が敗れたことで、今後、共産党の現実路線への転換は一層進むとみられる。
 こうした共産党の変化をとらえて、プーチン大統領代行兼首相は大統領当選を決めた二十七日、「共産党と争う必要はない」と強調してみせた。プーチン氏は共産党とも必要なら協力する構えのようだ。
 今年一月に招集された新下院で共産党のセレズニョフ議長の再選をめぐり、政権与党「統一」と共産党が共闘したことは象徴的だ。
 プーチン新政権が、与党「統一」と共産党の二大政党の枠組みを通じ、議会操作に乗り出す可能性もある。
 今回選挙でジュガーノフ委員長は得票率約三○%を獲得、数字上は従来の共産党の固定票を守った形だ。しかし、党の伝統的基盤で「赤い帯」と呼ばれる中部農業地帯でもプーチン氏に多くの票が流れ、イデオロギー面での党の影響力衰退に歯止どめがかからない状況だ。
 政界に詳しいマルコフ政治調査研究所長は、共産党が「体制に組み込まれた野党に変わった」と指摘する。また、同党がいずれは「政権につく可能性がないイタリア共産党のようになる」との見方も強い。[2000-03-27-18:18] 78
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 03/27@スーダンにミサイル工場か 北朝鮮がイラクの資金で(共同通信)

 【ワシントン26日共同】イラクが朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に資金を提供し、スーダンに弾道ミサイル工場を建設する計画を進めているとの未確認情報を米政府がつかんでいることが判明、ロット共和党上院院内総務は二十六日、事実とすれば米国は工場を空爆すべきだと主張した。
 ミサイル工場の情報は、ニューヨーク・タイムズ紙の著名コラムニスト、ウィリアム・サファイア氏が複数の情報筋の話を基に明らかにした。イラクはハルツーム郊外の工場建設に四億七千五百万ドル(約五百八億円)を出資、北朝鮮が建設を手掛けるという。
 情報によると、イラクのラシド石油相が二年前に平壌を訪問し、一年前には北朝鮮代表団がバグダッドで工場の建設を協議。一カ月半前には両国の軍事・技術代表団がハルツームで合流し、工場建設について話し合った。
 米政府は数カ月にわたる分析の結果、情報は「確認できない」としているが、イラクのミサイル増強意欲や、北朝鮮が外貨獲得に熱心である点などを考慮すると、否定もできない状況という。イラクと北朝鮮のどちらが計画を主導しているかは明確でない。
 バトラー前国連大量破壊兵器廃棄特別委員長は二十六日、イラクがミサイルの再開発に乗り出していることは間違いないとして「(スーダンでの工場建設の)情報は、驚くに当たらない」と語った。[2000-03-27-09:17]
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 03/28@◎CIA、セルビア勢力によるNATO総長の暗殺計画を察知(時事通信)

 【ロンドン28日AFP=時事】英各紙は28日、外交筋の話として、先週の北大西洋条約機構(NATO)のロバートソン事務総長のユーゴスラビア・コソボ自治州訪問の際、同事務総長らを狙った暗殺計画があることを米中央情報局(CIA)が事前に察知し、土壇場での予定変更となったと報じた。
 タイムズ、デーリー・テレグラフ両紙によると、CIAは、同事務総長とクラーク欧州連合軍最高司令官がマケドニアの首都スコピエからコソボの州都プリシュティナに軍ヘリコプターで移動する際に、セルビア人が携帯型の地対空ミサイルを使って攻撃する恐れがあるとみていたという。[時事通信社][2000-03-28-19:12] 24
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 03/28@プロバスケのディバツが親善大使に(共同通信)

 【ニューヨーク27日共同】国連薬物統制計画(UNDCP)は二十七日、米プロバスケットボールのNBA、キングズのブラデ・ディバツを親善大使に任命したと発表した。
 麻薬乱用撲滅キャンペーンの一環で、ディバツは今月三十日からテレビCMやインターネットなどで「薬物に頼らず、スポーツで夢を実現しよう」と訴える。
 同選手はユーゴスラビア出身。現在はキングズの中心選手で、ボスニア・ヘルツェゴビナ内戦などで被害を受けた子供を助ける「ディバツ基金」の創設者としても知られている。[2000-03-28-12:18] 25
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 03/28@米国務省のルービン氏に長男誕生(共同通信)

 【ワシントン27日共同】米国務省のルービン報道官(40)と妻でCNNテレビの看板記者クリスチャン・アマンポールさん(42)の間に二十七日、長男が生まれた。
 ルービン氏は昨年のユーゴスラビア空爆の際に米国の立場を主張するスポークスマンとして連日テレビニュースに登場、世界的に有名になった。アマンポールさんはCNNテレビの特派員としてボスニア・ヘルツェゴビナなど世界の紛争地から現場リポートを続け、「世界で最も高給取りの記者」として知られる。
 ルービン氏は四月に国務省を退職し、しばらくは家族と共にアマンポールさんの赴任地のロンドンで暮らす予定という。[2000-03-28-10:28] 26
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 03/28@ユーゴ大統領が祝意 ロシア大統領代行に(共同通信)

 【ベオグラード27日共同】ユーゴスラビア国営タンユグ通信は二十七日、ミロシェビッチ大統領が同日、ロシア大統領選でプーチン大統領代行が当選を決めたことに「心からの祝意」を伝えたと報じた。
 ユーゴは昨年のコソボ紛争やボスニア・ヘルツェゴビナ紛争などで、同じスラブ系で正教国のロシアとの関係を重視してきた。
 野党各党はロシア大統領選に合わせミロシェビッチ大統領の退陣をあらためて要求、民主的選択のチョビッチ党首は「ユーゴ大統領も退任して総選挙をし、愛国者であることを証明すべきだ」と訴えた。[2000-03-28-09:58] 28
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 03/28@「機密暴露」の大佐逮捕 フランス(共同通信)

 【パリ27日共同】フランス公共ラジオ放送によると、パリの公安担当予審判事は二十七日、ユーゴスラビア・コソボ自治州で国際治安部隊に従軍中、フランス誌の内幕取材に応じたとして、軍事機密漏えい容疑でフランス憲兵隊のジャンミシェル・メシャン大佐(46)を逮捕した。
 報道によると、大佐は昨年七月からコソボに派遣され軍法関係に従事。今年二月、週刊誌ルポワンなどに「フランス陸軍と憲兵隊が反目し合っている」「国連コソボ暫定統治機構のクシュネル代表はアルバニア系住民寄り」などの軍関係者の証言を機密指定文書を引用して、暴露した。[2000-03-28-09:03] 262
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 03/28@チェチェン武装勢力、山岳地域ゲリラ戦で泥沼化(読売新聞)

 プーチン・ロシア次期大統領の人気を支えてきた露連邦軍・内務省部隊による対チェチェン共和国軍事作戦は、大統領選挙でプーチン氏が圧勝した時点で“集票の道具”としての役割を終えた。だが、現地の状況は、紛争が今後も多くの犠牲を生みながら泥沼化する見通しを強く示唆していた。(チェチェン共和国グローズヌイで 花田 吉雄) 同共和国の首都グローズヌイにある連邦部隊の基地から、隣の北オセチア共和国モズドクの司令部へ戻る軍用ヘリ「MI8」機内には、四人の遺体が積まれていた。遺体を覆うシーツには点々と血痕が付着、担架から青白い足がはみ出していた。前日のチェチェン南部での戦闘で命を落とした連邦軍兵士たちだ。同乗した十人の兵士が、ヘリの振動で揺れる仲間の遺体を無言で見つめていた。
 司令部と前線を結ぶヘリ便は日に数十回。チェチェン取材の長いロシア人記者が「普通、行きのヘリは前線に向かう兵士で一杯。帰りは遺体で一杯だ」と説明した。
 昨年九月に始まったチェチェン武装勢力に対する掃討作戦は、今年二月六日のグローズヌイ陥落で当面のヤマを越えた。だが、武装勢力は南部の山岳地域に移動、連邦部隊をゲリラ戦に引き込んだ。平野部では連邦側が物量作戦で武装勢力を圧倒出来たが、山岳戦では明らかに敵が上手。連邦側の人的被害は、首都陥落前より速いペースで増え続けている。連邦政府の発表によると、チェチェン紛争での連邦側死者は今月二十四日時点で、千九百九十一人。うち約六百人は首都陥落後の犠牲者だ。
 モズドクのカフェに、アイスクリームを食べる内務省治安部隊兵士アンドレイ(26)とセルゲイ(26)がいた。翌日に南部の激戦地コムソモリスコエ村への出撃を控えて、ささやかな壮行会だった。
 アンドレイは今月初めの戦闘で横腹に銃弾を受けた。「防弾チョッキがなければ死んでいたよ」。どこか自慢げに言う。二人は除隊後、給料をはたいて極東ウラジオストクまで日本車を買いに行く計画だ。もちろん、チェチェンから生還できれば、の話だ。
 プーチン大統領代行は今月二十七日、「最後までならず者と戦う」と宣言した。だが、いつになったら、いまも五千人に上る武装勢力を壊滅させられるのか。その時期は示さなかった。[2000-03-28-22:55] 275
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 03/28@<難民問題>英国で保護を求める外国人が急増(毎日新聞)

【ロンドン28日岸本卓也】英国に難民保護を求める外国人が急増している。欧州では難民受け入れはドイツが最も多いが、将来、英国への入国希望者がドイツを上回る可能性も出てきた。政治亡命よりは生活向上を目当てにした移住希望者の増加と難民に偽装した犯罪集団の流入が国民の不安を高めている。英政府は難民保護を義務付けた国連の難民条約(難民の地位に関する条約)を「半世紀前にできた条約で現状にはそぐわない」と条約改正を加盟各国に呼びかけている。
 ●ドイツから英国へ
 国連によると、1998年に英国に難民保護を求めた外国人は4万6000人で10年前の4倍。西欧ではドイツの9万8000人に次いで2位。ドイツは92年の44万人に比べ5分の1に減った。ドイツが入国規制を強めたために英国への入国希望者が増えたという見方が強い。
 ドイツは93年に基本法(憲法)を改正し、安全な第3国を通過した入国希望者に対して「第3国で難民申請できた」として入国を拒否できるようにした。しかし、英国では裁判所が他国経由でも難民申請を認める判決を出し、「ドイツ方式」を採用できない。
 ●広がる国民の不安
 実際に難民と認定されるのは申請者の2割程度だが、審査期間が数週間から数か月かかる。生活費は政府が面倒を見るため、納税者の不満が強い。最近は東欧出身の女性や子供を使った窃盗や物ごいの犯罪集団の摘発が問題となった。
 先月のアフガニスタン航空機乗っ取り事件では乗客の過半数の77人が難民申請をする異例の事態となった。ストロー内相は全員の帰国を目指すことを言明したが、結局は申請者のうち乗客2人と扶養家族6人の計8人の保護を認めた。
 ●難民認定の基準
 規制と保護のジレンマに苦しむストロー内相は先月末の国会で「難民の選別基準に踏み込んでいない現行の難民条約は古すぎる」と指摘した。また、内相は難民認定の統一基準を検討している欧州連合(EU)の動きも支援している。
 「難民の地位に関する条約」は51年に国連の会議で採択され、日本を含む130か国以上が加盟している。当初は旧共産圏からの政治亡命者を想定したため、経済的利益を求める難民が増大した現代に適合していないという批判が強まっている。[2000-03-28-18:44] 278
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 03/28@<米リビア関係>国交断絶後初の公式会談(毎日新聞)

 【カイロ27日高橋弘司】米国務省の領事部門担当官は26日、リビアを訪問、1981年の国交断絶後初の公式会談を行い、米国民の渡航禁止措置解除問題を協議した。米国との交流再開が浮上したことで、リビアは国際社会復帰に向けた最終段階を迎えた。
 リビアの国営ジャマヒリヤ通信などによると、米国務省の領事部門担当官ら4人はリビア外務省関係者と、渡航禁止措置解除のため国内の安全態勢について協議した。米国による渡航禁止措置が、どのような方法で解除されるのかは不明だが、今回の会談について、リビア対外連絡・国際協力省(外務省に相当)高官は「米国との不愉快な時代は終わった」と述べた。
 米・リビア関係はリビアのカダフィ大佐が80年、海外亡命中の政敵に暗殺予告を出し、実際、各地で10人以上が殺害されたことなどで悪化、81年に国交が断絶した。米国は86年、西ベルリン(当時)のディスコ爆破事件に絡んで首都トリポリなどを空爆。88年の米パンナム機爆破事件では、リビアがリビア人容疑者の引き渡しを拒否し、国連が92年以来、武器禁輸、航空機の離発着禁止などの制裁を実施していた。
 だが、リビアが昨年4月、容疑者引き渡しに転じ、国連制裁が凍結されたのをきっかけに、欧州各国が関係改善を進めている。背景には豊かな石油資源を狙った経済進出競争があり、乗り遅れを懸念する米国が関係改善に本腰を入れ始めたものといえる。[2000-03-28-17:43] 298
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 03/28@中東和平交渉いったん終了(共同通信)

 【ワシントン27日共同】米国務省のフォーリー副報道官は二十七日の記者会見で、米国が仲介してワシントンの空軍基地内で二十一日から行われていたイスラエルとパレスチナ自治政府の和平交渉は二十八日、いったん終了することを明らかにした。交渉は二―三週間後にワシントンで再開される予定。
 イスラエルのエラン駐ヨルダン大使とパレスチナ自治政府のラボ文化情報相がそれぞれの代表を務めた今回の交渉では、パレスチナ紛争の最終決着を図る、恒久的地位交渉をまとめるための枠組み合意を目指した実務的協議が続けられた。
 会談の詳しい内容は明らかにされていないが、国務省当局者によると、ヨルダン川西岸地域からの第三次追加撤退問題で依然両者の溝が埋まっていないという。[2000-03-28-08:32]
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 03/29@岡村善文UNMIK特別代表首席顧問 インタビュー(共同通信)

 ユーゴスラビア・コソボ自治州に国連コソボ暫定統治機構(UNMIK)が展開してから九カ月。今後の課題などをクシュネルUNMIK特別代表の補佐役である岡村善文首席顧問に聞いた。(プリシュティナ共同=遠藤一弥)  ―九カ月を振り返って、どうか。
 「コソボの冬は氷点下二○度以下まで冷え込む。難民が帰還しても生活できず、新たな難民を生み出すような事態になれば、UNMIKは最初から失敗したことになる。これまでは、冬に備えた緊急人道支援が最優先課題だったが、一人の凍死者も出さずに冬を乗り切ったことで、第一段階は成功したと言える」
 ―第二段階は。
 「三月までに約八十三万人のアルバニア系難民が帰還した。今後は、中長期的視点に立った『コソボ再建』に向けて動き出すが、経済的にも政治的にも問題は山積だ」
 ―具体的には。
 「空爆で燃料タンク、変電所、電話施設が破壊され、もともとお粗末だったインフラが壊滅状態となった。電気の供給が一日に二時間ぐらいということもある。何よりも、ミロシェビッチ体制下でアルバニア系住民は満足な教育や訓練を受ける機会を与えられず、人材が育っていない」
 ―復興に必要な費用は。
 「UNMIKが試算した二○○○年度(一月―十二月)に必要な復興資金は四億二千三百万マルク(約二百二十六億円)。このうち四分の一程度のめどしか立っていない」
 ―民族対立の影響は。
 「復興の最大の難問が民族問題だ。国際社会がコソボ問題に介入したのは、セルビア系住民によるアルバニア系住民の迫害があったからだが、国連介入後に起きているのは、アルバニア系住民によるセルビア系住民の迫害だ。点在するセルビア系の村の住民は、学校はもとより買い物、病院にも行けない状態だ」
 ―解決の見通しは。
 「民族間の和解が成立しない限り、コソボ問題の解決はない。しかし、決定的な解決策はない。経済復興よりはるかに難しく、時間がかかる」
 ―国連の暫定統治期間は。
 「UNMIKの任務は住民が自立できる政治、社会、経済制度の整備で、コソボの将来は住民が決めることだ。従って、暫定統治の期間は『実質的な民主的自治を実現できるまで』ということになる。それがいつになるのか、現段階ではだれにも答えられない」  [2000-03-29-18:48] 20
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 03/29@初の資金援助会議を開催 バルカン地域安定化で EUと世銀(共同通信)

 【ブリュッセル29日共同】欧州連合(EU)と世界銀行は二十九日、二日間の日程で、バルカン地域復興の長期的な枠組みを定めた「南東欧州安定化協定」の推進を目的とする初の資金援助会議をブリュッセルで開く。
 援助の条件である「民主主義と経済改革」を実現するためバルカン諸国が計画したプロジェクトを検討し、総額十億ユーロ(約一千五十億円)以上の援助が決定されるとみられる。ユーゴスラビアは引き続き援助対象から排除される。
 会議には、アルバニアなどバルカン地域七カ国と米国、EU各国などのほか北大西洋条約機構(NATO)など国際機関が参加。日本も協定支援国として参加する。
 初日は、バルカン諸国側が政治経済の改革計画を説明した後、組織犯罪、政治腐敗の防止などを目的とした法制度や行政改革を公約。
 二日目は、バルカン側が提出した鉄道や道路のインフラ整備、安全保障、人権などの分野の具体的な計画を検討する。[2000-03-29-15:03] 22
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 03/29@自治体制づくりで隔たり ユーゴ問題6カ国会合(共同通信)

 【パリ28日共同】パリで二十八日開かれた旧ユーゴスラビア問題連絡調整グループの六カ国高官級会合は、ユーゴ・コソボ自治州の将来の自治体制などで隔たりを残したまま終了した。フランス外務省によると、数週間以内にベルリンで実務レベル会合を再開する。
 会合の内容は公表されていないが、コソボの独立化傾向を懸念する米国と、国連コソボ暫定統治機構によるユーゴ主権の侵害に抗議するロシア、早期選挙で自治政府発足を促したいフランスなどの間で調整がつかなかったとみられる。グループ外相会議の開催も見送られた。
 フランス外務省は、コソボのセルビア人代表を含む「自治移行委員会」の発足で一致した点が成果だったと評価した。ベドリヌ・フランス外相は「(対ユーゴ空爆から)一年のブランクを経て、連絡調整グループが復活した。相違点は、また集まって話し合えば良い」と会合の開催自体の意義を強調した。[2000-03-29-08:34] 196
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 03/29@<プーチンの挑戦>欧州重視の現実主義(毎日新聞)

 大統領選の結果が判明した27日朝、クレムリンに一本の電話がかかった。「当選おめでとう」と、言葉をかけたのは、江沢民・中国国家主席だった。
 次いで、英国のブレア首相から電話がかかった。プーチン次期大統領は緊張しながらも、「トニー。ありがとう」と応じた。英露首脳の電話会談の模様は、テレビを通じ全土に流れた。
 選挙後、最初に電話会談を行った相手は「戦略的パートナー」の中国だったが、ファースト・ネームを呼び合ったのは英国首相だった。何やら次期大統領の外交姿勢を象徴している。
 そして27日の初閣議後、イワノフ外相は「(エリツィン政権時代の)外交路線から軌道修正もあり得る」との微妙な発言を行った。
 軌道修正とは何か。外交関係者は、一斉にイワノフ発言と、その後ろに控えるプーチン氏の真意を探り始めた。
 実はプーチン氏は回答の一部をすでに披露している。
 3月初め、英国BBC放送とのインタビューの中で、「北大西洋条約機構(NATO)への加盟はあるか?」と聞かれ、プーチン氏は間一髪を入れず、「なぜだめなのか?」と応えた。
 プーチン氏は、このあと「対等の立場ならば」と、条件をつけたが、ロシア国内ではちょっとした波紋を呼んだ。
 この発言の約1カ月前、プーチン氏はロバートソンNATO事務総長と初会談し、コソボ紛争での対立を忘れたかのように、関係改善に踏み切った。
 ロシアの外務省と国防省は直前まで、この会談に反対だったといわれる。つまり、プーチン氏がNATOに好意的な考えを持っているということではない。
 しかし、「現実に力を持つものを無視するのは意味がない」という次期大統領の現実主義的姿勢が如実に示されている。
 東西冷戦の真っ最中、東ドイツで工作員を務め、力のバランスを冷静に評価してきた元情報専門家の原則的立場でもある。
 プーチン氏はドイツ駐在の経験が長く、ドイツ語がペラペラ。ドイツへの親近感を持ち、ドイツを通して、欧州の価値観・文明観に触れ、共鳴していることは想像に難くない。
 エリツィン時代末期、外交は、中東専門家のプリマコフ元外相(のちに首相)が牛耳っていた。欧米、中国、インド、中東への対等の距離を保つ「多極化外交」である。
 しかし、プーチン氏は、欧米勢力に対抗するために打ち出した「多極化外交」を一部修正し、欧米との関係重視の外交に乗り出す可能性が強い。そこに日本の影を探すのは、極めて難しい作業となる。【モスクワ・石郷岡 建】[2000-03-29-23:51] 206
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 03/29@ベルギー・アントワープが「黒いダイヤ」市場に(読売新聞)

 世界最大のダイヤモンド原石取引・研磨市場のベルギー・アントワープが、「黒いダイヤ」疑惑に揺れている。今月発表された国連安全保障理事会報告で、アンゴラ反政府ゲリラが武器資金作りのため同市場でダイヤを密売していることが分かったためだ。ベルギー当局は対策に躍起だが、欧州連合(EU)域内で国境検問廃止が進み、業界からは「もはや一国での密輸防止は不可能」との指摘もある。(アントワープで 三井 美奈) ダイヤ市場のあるアントワープ中央駅西側は、黒い帽子のユダヤ人やターバン姿のインド人が行き交う国際地区。「フランダースの犬」の舞台として日本人観光客も多い。この一画で取引されるダイヤ原石は、年間五十億ドル(約五千三百億円)に上る。
 安保理報告によると、アンゴラ全面独立民族同盟(UNITA)は、ダイヤ取引禁止の国連制裁に密売で対抗した。特にアントワープは密売の格好の舞台となり、「四―五千の業者が絡むダイヤやみ市場で、UNITAは楽々取引している」(同報告)状態だった。
 実際現地では、密売の存在を示す証言が多い。
 中央駅近くのダイヤ研磨・小売店では昨年冬、黒人男性が店頭で突然、上着のポケットから合計四十カラット相当のダイヤ原石数個を取り出し商談を持ちかけた。同店店員は、「工業用がやっとの品質なのに、高値をふっかけたので追い返した」と回想する。別の店の店員も、「黒人のダイヤ行商はよく来る」と証言する。
 ベルギー政府は、「黒いダイヤ」流入防止のため、輸出入業者の登録制度を設けて監視しているが、アントワープ地検のエル・ヌイツ報道官は「EU域内での国境検問廃止に乗じて、ロシア人らの外国人組織が市場に入り込んだ。密輸ダイヤや密売人の追跡は非常に難しい」と言う。
 アントワープは、十六世紀以降、イベリア半島や東欧からのユダヤ人避難先となり、一九三〇年代にはナチス迫害を逃れるユダヤ人のダイヤ職人を受け入れて世界有数のダイヤ市場の地位を確立した。密売事件は、同市の伝統である国際性と開放性につけこんだもので、市場関係者はイメージダウンに頭を抱えている。[2000-03-29-20:25] 232
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 03/29@◇「窓」―IMF人事劇◇(朝日新聞)

 どたばた劇も、役者がそろうと、けっこう楽しめる。
 国際通貨基金(IMF)の新しい専務理事に、ドイツ人のケーラー欧州復興開発銀行(EBRD)総裁が選ばれた。
 「IMF牧場の銃撃戦」。英紙がこう皮肉る騒動の主役は、シュレーダー独首相だ。
 昨年十一月、側近の大蔵次官を立ててポスト獲得へ動いた。各国首脳への電話攻勢。小渕恵三首相にも二度、電話を入れた。
 三月になってクリントン大統領が難色を示すと、一転してケーラー氏を担ぎ出し、独米関係を盾に決断を迫った。
 日本は、「ミスター円」こと榊原英資・前大蔵財務官を対抗馬に立てた。専務理事はずっと欧州から選ばれている。勝算あっての戦いではなかった。
 理事会がおこなった非公式投票で、榊原氏は東南アジア諸国の支持を得たものの、得票率は九%。独大蔵次官、アフリカ勢が推すIMF副専務理事に次いで第三位だった。
 関係者は「三十カ国以上からいい感触があった」と話し、アジアの投票権の少なさを敗因に挙げる。それもあろうが、中国が不支持に回るなど、アジア自体をまとめ切れなかった。
 この間、フランスが元首相を担ぎ、独仏が欧州票を奪い合いそうになる場面もあった。だが、ときすでに遅く、欧州はドイツ支持で固まっていった。
 「独仏が割れなかったのが痛かった」と大蔵幹部は悔しがる。が、「対抗馬を擁立できたことで欧米主導の運営を揺さぶった」という思いもにじむ。
 欧米ではいま、「IMFの歴史に残る汚点だ」と反省の声しきりだ。確かに、候補者の識見を知る機会さえなく、舞台裏で決まったとの印象が強い。
 次の選挙は五年後だ。そのときはぜひ、候補者同士が公開の場で、活発な論争を戦わせてもらいたい。[2000-03-29-14:07] 253
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 03/29@立て続けにパソコン盗難 失態続く英情報機関(共同通信)

 【ロンドン28日共同】「MI6」で知られる英情報局秘密情報部(対外担当)の部員が今月初めに酔っぱらって、国家機密情報が入力されたとみられる小型コンピューターをタクシーに置き忘れていたことが二十八日明らかになった。
 英外務省当局者によると、コンピューターは約二週間後に警察に届けられ回収された。
 英国の秘密情報機関では相前後して、ロンドン市内の地下鉄駅で切符を買おうとした情報局保安部(通称MI5=国内担当)の部員が、北アイルランド紛争の情報が入ったコンピューターをひったくられる不祥事が起きている。相次ぐ情報部員の失態に当局は頭を抱えている。
 英大衆紙サンによると、MI6部員のコンピューターには海外で活動するスパイの名前が入っているとみられる。情報流出を心配したMI6当局は、学術研究者を装った新聞広告を出し、発見者には「相当の謝礼」を出すと呼び掛けるなど、回収に躍起となった。
 外務省当局者は、ハードディスクに記録されていた情報は研修用の文書だとしているが「国家安全保障上深刻な問題なので、詳細な報告の提出が求められるだろう」と語った。[2000-03-29-07:49]
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 03/30@日本の児童合唱団が公演 ユーゴで交流実現(共同通信)

 【ベオグラード30日共同】民族紛争が続くユーゴスラビアの難民や子供を励まし交流を深めようと、日本の児童合唱団がベオグラードを訪れ、二十九日に地元の学生らとジョイント・コンサートを行った。
 非政府組織「国際市民ネットワーク」(暉峻淑子代表)の企画で、昨年春の当初計画が北大西洋条約機構(NATO)軍の空爆で中止になり、今回ようやく実現した。
 参加したのは川崎市の「ゆりがおか児童合唱団」の小学生から大学生までの二十八人で、コララツ財団ホールでのこの日の公演は立ち見客が出る大盛況。法被姿で「ふるさと」などを披露した後、地元の音楽学校の生徒と合同で「上を向いて歩こう」などを日本語で歌い、盛んな拍手を浴びた。
 一行は今月二十六日から、難民キャンプや子供病院を訪問。セルビア人家庭にホームステイをしてユーゴでの生活も体験した。[2000-03-30-16:05] 17
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 03/30@ボスニアの選挙監視要員を激励 小渕首相(共同通信)

 小渕恵三首相は三十日午後、ボスニア・ヘルツェゴビナの市町村議会選挙(四月八日)を監視する国際平和協力隊員と官邸で会い、「民主主義の根本である選挙が誤りない形で遂行できるよう頑張ってほしい」と激励した。
 同隊は堀江良一隊長(総理府国際平和協力本部事務局参事官)ら計十七人で構成。三十一日に日本を出発し、四月十三日までに帰国する。[2000-03-30-15:36] 18
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 03/30@<ユーゴ>NATO軍の空爆を強く批判 国連人権委特別報告(毎日新聞)

 【ジュネーブ29日福原直樹】ユーゴスラビア連邦の人権問題を調査していた国連人権委員会のディエンストビエール特別報告官(元チェコスロバキア外相)は29日、昨年の北大西洋条約機構(NATO)軍の空爆について、「失業や民族対立など新たな問題を作り出しただけ」と強く非難。コソボ自治州のアルバニア系武装組織を制圧するために、NATOが行動を起こすべきだ、と主張した。
 報告官は記者会見で、空爆によってユーゴ経済が崩壊したうえ、コソボ自治州の秩序も回復していないと指摘。「NATOは空爆の失敗を認めるべきだ」と批判した。さらに解散したはずのコソボ解放軍(KLA)が、いまだにコソボ自治州の大部分を支配し、セルビア系住民を迫害していることを非難した。[2000-03-30-09:22] 148
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 03/30@◇「カルマパの滞在、インドが非公式に同意」ダライ・ラマ◇(朝日新聞)

 チベット仏教最高指導者のダライ・ラマ14世は30日、ニューデリーで日本人記者団と会見し、中国を無断で出国した同仏教カギュー派のカルマパ17世について「インド政府に勉学のための滞在を許可するよう公式に申請した。インドは非公式に、問題はないと示唆している」と語った。4月に予定している来日で、石原慎太郎・東京都知事が会談を望んでいることについては「友人として求められれば断る理由はない」と述べつつ、「政治問題の発生は避けたい」とも話した。
 カルマパについて、ダライ・ラマは「仏教とチベットの民衆に仕えるために逃げてきた。今後約10年間、彼は勉強と仏教の口伝を受ける」と述べた。また、滞在について「2万人以上の学生や僧がこの国に来て、難民認定なしで勉学を達成するために残ることを認められている。カルマパもその1人だ」と話した。
 カルマパが自分の後継者としてチベット民族の指導者になることは「ほかの高僧もいる」と否定した。将来的にカルマパは、カギュー派の拠点のインド北東部シッキム州にあるルムテク寺院に入る公算が大きいことを明らかにした。
 石原知事については、「私の側に日本で政治家と会う予定はない。だが、滞在中にだれかが私に会いたいと望めばうれしいことだ」と話した。そのうえで、「私は常に政治的混乱を避けている」と語り、中国に批判的で台湾に同情的な石原知事の立場から、面会自体が日本政府を巻き込む混乱に発展する恐れがある場合は、「しない」と話した。[2000-03-30-20:14] 149
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 03/30@◇「北朝鮮のベトナム戦参戦確認」韓国通信社が報道◇(朝日新聞)

 韓国の聯合ニュースは29日、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の兵士がベトナム戦争に参戦していたことが、ハノイ近郊に残されている操縦士の墓地や慰霊塔から確認された、と報じた。北朝鮮はこれまで参戦した事実を公式に認めていないという。
 墓地などはハノイから北東約60キロの地点で見つかった。11人の操縦士と3人の整備士の墓で、米軍の北爆により1967年5月1日に死亡したと書かれている。慰霊塔は約10メートルの高さで「戦没将兵よ、永遠なれ」と刻まれているという。[2000-03-30-20:10] 164
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 03/30@◇第2次戦略兵器削減条約 来月にも批准投票か◇(朝日新聞)

 米国務省のセスタノビッチ旧ソ連担当大使兼国務長官特別補佐官は29日、ロシア下院が早ければ4月にも、たなざらしになっていた第2次戦略兵器削減条約(START2)の批准承認案を投票にかけるだろう、との見通しを示した。また、オルブライト国務長官が来月、イワノフ・ロシア外相とワシントンで会談すると語ったうえで、米国のミサイル防衛構想について、ロシア側に「歩み寄り」が見られてきた、と述べた。
 米国は、米本土ミサイル防衛(NMD)システムを配備するかどうかの正式決定に先立ち、配備に必要な弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約の手直しをロシア側に働きかけているが、ロシアは反対している。外相会談ではこの点が焦点となる。大使によると、ロシア側は、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)やイランの長距離ミサイルの脅威に対抗しなければならない、という米側の主張に理解を示しつつある、という。
 また、ロシア下院が、あわせて包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准承認投票も検討している、と指摘した。[2000-03-30-18:02]
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 03/31@◇中国、ロシアとの軍事協力を強化 技術水準に疑問も◇(朝日新聞)

 中国がロシアとの軍事協力を深めている。29日、今年2度目の会談を持った両国国防相は、プーチン新政権下でも協力を続けると確認した。ユーゴスラビア・コソボ紛争後、米国の「一極支配」に対抗するという共通目標が両国の連携をいっそう強めたことが背景にある。しかし近代化を急ぐ中国軍が、本音ではロシアの軍事技術をそれほど高く評価しているわけではなく、歴史的な不信感もぬぐいきれない。対ロ依存は先端技術と人材を得る手段と割り切っているようだ。
 カザフスタンの首都アスタナで会談した遅浩田、セルゲーエフ両国防相は「両国が世界の平和と安定の維持に重要な責任を持つ」と確認した。中国側は中ロ協力を「地域の平和、安定、発展に役立つ」(外務省の朱邦造報道局長)と位置づけており、日米同盟への対抗意識がうかがえる。
 両国防相は1月、軍事協力の覚書を交わした。内容は公表されていないが、北京の消息筋によると、合同演習の実施、毎年15から20の代表団の交換、中国から毎年800人の研修生の派遣などが盛り込まれているという。また中国側はスホイ27のライセンス生産に続いてスホイ30・38機の追加購入を決め、キロ級潜水艦やソブレメンヌイ級駆逐艦の追加購入も求めている。
 しかし、歴史的に「北の脅威」だったロシアへの軍事依存を強めることは、中国にとってもろ刃の剣でもある。兵器の技術や整備、人材育成の面でロシアが主導権を握り続けることになるからだ。
 中国の軍事専門家は「ロシアはインドにばかり最新兵器を売り、我々にも売るようになったのはつい最近だ」と不信感を隠さない。北京の外交筋は「ロシアは依然、インド洋につながるインドとの戦略的関係を重視し、本当に最新と呼べる兵器は中国には売却していない」と指摘する。
 中国軍は台湾海峡も視野に入れた近代化戦略のなかで、「ハイテク条件下の局地戦」対応能力を最も重視している。この点で中国の目に映るコソボ紛争とチェチェン紛争には大きな違いがある。
 軍事に詳しい「中国航天報」は「チェチェン戦争はハイテク戦争か」との分析記事で、(1)一部にハイテク兵器を使っているが、通常兵器や技術力の低い兵器が主力(2)士官の戦死が多く、少将まで前線で亡くなっていると指摘。「ロシアの武力の扱い方は湾岸戦争やコソボ紛争(での欧米)ほど鮮やかではない。21世紀の戦争モデルとみなすことはできない」と結論づけた。チェチェン紛争でロシアの立場を支持し、コソボで欧米を非難した中国が、戦争技術としてコソボでの北大西洋条約機構(NATO)軍の方をはるかに高く評価しているのは皮肉な現象だ。[2000-03-31-19:19] 9
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 03/31@米軍は小規模な増派決定 春の衝突再発に警戒(共同通信)

 【ワシントン31日共同】米国防総省は三十日、ユーゴスラビア・コソボ自治州に展開する国際治安部隊の強化のため、米偵察部隊百二十五人の増派を決定した。マケドニアに駐留している米軍部隊に戦車など機甲装備を送り、臨戦態勢を強めることも決めた。
 ベーコン報道官によると、春の雪解けとともに勢力間の衝突再発が予想されるためで、国際治安部隊のサンチェス米部隊司令官が国防総省に要請していた。
 偵察部隊は、アルバニア系武装組織とセルビア治安警察の間で緊張が高まるセルビア共和国南部のプレシェボ渓谷周辺で、無人偵察機などを使い活動する。
 マケドニアへの戦車増派は、ことし一月から展開している第一機甲師団の一部部隊が機甲装備なしで要員だけ派遣されたため、十四両の戦車など本来の装備を送ることにした。[2000-03-31-16:07] 10
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 03/31@コソボ撤退辛くも否決 米で泥沼化に懸念強まる(共同通信)

 【ワシントン31日共同】米下院本会議は三十日、欧州諸国が負担を増やさない限り、ユーゴスラビア・コソボ自治州から米軍を全面撤退させるとの法案を辛うじて否決したが、党派を超えて予想外の賛成票が集まり、長期化する米軍のコソボ派兵への米世論の反発の強さを裏付けた。
 法案は欧州諸国がコソボの平和維持活動の負担を大幅に増やし、経済支援も増額しない限り、米軍は六月一日から撤退を開始するという内容。賛成二○○対反対二一九(定数四三五)で否決したが、政権党の民主党からも四十六議員が賛成した。
 ウォーナー上院軍事委員長(共和)は下院の否決後「コソボ、ボスニアでの目標を達成するためには、欧州諸国の支援・参加の増大が必要だ」と語り、欧州へ圧力をかける意味も込め、上院本会議で同様の法案の採決を求めると語った。
 米国は一九九六年からボスニアの平和維持活動に派兵し、現在は四千六百人が駐留。コソボには昨年夏から五千九百人、マケドニアとアルバニアに合計五千五百人が駐留している。派兵の長期化で、米本国の二師団が即戦態勢を失うなどの弊害も出ている。
 下院はこの日、コソボへの米軍派兵費用として二十一億ドル(二千二百億円)の追加支出を承認、財政負担も長期化した。
 クリントン大統領はコソボ派兵の“泥沼化”批判に「米軍は難民帰還という大事業を達成した。安定実現までもう少し任務を果たすべきだ」と述べている。[2000-03-31-16:07] 11
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 03/31@◎米、偵察部隊をコソボに増派(時事通信)

 【ワシントン30日AFP=時事】米国防総省によると、コーエン国防長官は30日、偵察部隊をユーゴスラビア・コソボ自治州に、戦車と大砲を隣接するマケドニアにそれぞれ展開するよう命じた。同地域に展開中の米軍部隊の防護態勢を強化することが狙いという。
 同省スポークスマンによれば、コソボに展開している米軍司令官の要請に基づき、今回の増派が決まった。コソボでは現在、北大西洋条約機構(NATO)主導の平和履行部隊(KFOR)とアルバニア系住民、セルビア系住民の間で衝突が起きるなど、緊張が高まっている。[時事通信社][2000-03-31-06:57] 13
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 03/31@◎バルカン地域向けに2400億円拠出=南東欧州支援国会合(時事通信)

 【ブリュッセル30日時事】ボスニア・ヘルツェゴビナ、アルバニアなどバルカン地域を中心とする諸国の経済・政治基盤の整備に必要な資金調達を協議するため、ブリュッセルで2日間の日程で開かれていた南東欧州支援国会合は30日、これら諸国の改革に対し合計約24億ユーロ(2400億円)の資金拠出を行う方針をまとめ、閉幕した。
 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会と世界銀行の共催による今回の会合では、交通網整備など経済基盤向けには合計18億3300万ユーロの拠出表明があったほか、民主化・人道支援目的の資金として目標(2億5500万ユーロ)を大幅に上回る4億3000万ユーロの拠出表明があった。[時事通信社][2000-03-31-00:56] 85
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 03/31@<チェチェン>ロシア軍側の死者は2036人に ロシア軍発(毎日新聞)

 ロシア軍参謀本部のマニロフ第1次長は31日、チェチェン紛争によるロシア軍側の死者が2036人に達したことを明らかにした。2000人以上の犠牲者が公式に確認されたのは初めて。負傷者も6076人にのぼるという。昨年8月に始まったチェチェン武装勢力の掃討作戦で、ロシア軍の犠牲者は今年1月末に1000人を突破。2月上旬に首都グロズヌイを陥落させたあとも南部山岳地帯などで戦闘が続いており、最近の1週間だけでもロシア軍の45人が死亡、151人が負傷したという。【モスクワ支局】[2000-03-31-22:30] 119 [このページの最初に戻る]


 03/31@安保理国大使が米上院と“対決” 分担金の支払い要請(共同通信)

 【ワシントン30日共同】国連安全保障理事会の理事十五カ国の国連大使が三十日、初めてワシントンをそろって訪問、上院外交委員会などに出席して米国が滞納している国連分担金の支払いを求めた。
 大使一行は、普段から国連に批判的なことで知られるヘルムズ外交委員長(共和党)から「民主主義の中心地にようこそ。今日は(外交予算承認権を持つ)上院の特殊な役割を理解する機会だと思う」と“先制攻撃”を受けた。
 これに対しロシアのラブロフ国連大使は「安保理が旅費を出してくれないので今日は全員自費でワシントンまでやって来た」と、国連の予算不足は米国の責任と言わんばかりに反撃。中国の王英凡大使は「米国は唯一の超大国なのに自国の管理もできない」と皮肉った。
 米保守派の実力者ヘルムズ委員長は一月に国連で演説し「米国が支払った国連分担金は義援金ではない」などと国連批判を展開。「あまりにも自国中心的」と反発を受けた経緯がある。[2000-03-31-09:37] 122
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 03/31@不穏文書が政治問題化 治安警察強化の伊で(共同通信)

 【ローマ31日共同】イタリアで戦後最大といわれる警察組織の改革法案が国会を通過、成立した三十日、改編の中心となった国家治安警察隊(カラビニエーリ)内部にクーデターを扇動するかのような不穏文書が配布されていたことが表面化、政治問題に発展した。
 新法は、これまで陸軍に従属していた国家治安警察を独立した「第四の軍隊」として強化することが目玉。総司令官は従来通り陸軍将官のポストとなるが、管轄は国防省から内務省に移る。
 ところが、国家治安警察の組合委員長を務めるアントニオ・パパラルド大佐が、憲法修正による軍と警察の発言権強化、新たな政治勢力の結成などを呼び掛ける文書を内部に配布していたことが明るみに出たため、政界は「民主体制への挑戦」などと大騒ぎになった。
 警察組織の改革と文書の関係は不明だが、国家治安警察は直ちに大佐をローマ第二連隊司令官のポストから解任。ダレーマ首相は国防相、内相と対応を協議した後、文書を「容認できない」とし、処罰も辞さないとの声明を発表した。
 改革法では、内相は治安警察長官を長とする新組織を通じて、任務が重複する治安警察(各県に警察本部がある)、国家治安警察、経済犯に重点を置く財務警察の調整、指揮に当たる。[2000-03-31-08:35] 125
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 03/31@◎仏など3国がオーストリアを批判=「極右政党はEUの原則に違反」(時事通信)

 【ブリュッセル30日時事】フランス、イタリア、ベルギーの環境担当相は30日、ブリュッセルでの欧州連合(EU)環境相理事会の開催に当たって共同声明を発表、極右・自由党が参加するオーストリア連立政権を批判し、同国を除くEU14カ国が実施している2国間レベルの制裁措置を継続すべきだとの見解を表明した。
 3閣僚は声明で「極右政党が政権党としてEUに参加することは、人権擁護をうたったEUの基本原則に違反する」と指摘。さらに、「EU理事会においてわれわれは閣僚であると同時に友人である。オーストリアはこの原則を危ういものにしている」と批判した。[時事通信社][2000-03-31-05:41]


 (注)この「最近のボスニア」コーナーは、一般に報道されている記事に、千田が一部手直しして掲載しているものです。出所は明示しており、各社・各記者の著作権を侵害するつもりはありませんが、著作権上問題があるとお考えの方や、自分(自社)の記事は載せないでほしいという方がいらっしゃれば、このホームページの感想もふくめて、千田あてに連絡してください。
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