最近のボスニア(旧ユーゴスラビア)情報

(03/14, 2000)


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 03/01@EUが独自安保へ3機構を暫定発足(読売新聞)
 03/01@<PKO>ボスニア選挙監視要員を派遣 民間人中心に10人(毎日新聞)
 03/01@◇セルビア南部で国連職員が銃撃され負傷◇(朝日新聞)
 03/01@◇国際部隊に対し公然と発砲 コソボのロシア兵銃撃◇(朝日新聞)
 03/01@◇コソボで駐留ロシア軍兵士撃たれる◇(朝日新聞)
 03/01@ボスニアに選挙監視要員 PKO協力法で2回目(共同通信)
 03/01@<コソボ紛争>国連職員が銃で撃たれ、足を負傷 命には別状(毎日新聞)
 03/01@ミトロビツァで仮設橋完成 ユーゴスラビア・コソボ(共同通信)
 03/01@<余録>サラエボ(毎日新聞)
 03/01@<オーストリア>極右参加政権 発足1カ月 衝撃の余波続く(毎日新聞)
 03/01@<社説>ハイダー党首辞任 挑まれたEU共通価値感(毎日新聞)
 03/02@チェチェンの人権問題協議 EU・ロシア外相級会議(共同通信)
 03/02@<欧州連合>暫定の政治安保委を設立 共通安保政策に向け第(毎日新聞)
 03/02@独CDU疑惑、政治とカネに様々な問い直し(読売新聞)
 03/02@<中国の人権>後退に失望と憂慮 国連人権高等弁務官(毎日新聞)
 03/02@<ピノチェト氏>解説=ぬぐい切れない政治決着の疑念(毎日新聞)
 03/03@◎コソボ自治州で、セルビア人住民に催涙弾=平和履行部隊の(時事通信)
 03/03@◇米・ロシア・EUの3極外相級会議始まる◇(朝日新聞)
 03/03@チェチェンやコソボ協議 米ロEU外相級会議(共同通信)
 03/03@◇コソボ国際部隊で初の死者 銃撃されたロシア兵◇(朝日新聞)
 03/03@ユーゴの戦犯大統領のポスター作成 米国務省(共同通信)
 03/03@◇EU−ロシア外相会議、チェチェンとコソボで平行線◇(朝日新聞)
 03/03@<東ティモール>国連統治下、復興に着手 (毎日新聞)
 03/04@<社説>ピノチェト問題 独裁者安住阻む人権重視(毎日新聞)
 03/04@<ニュースキー>ピノチェト氏の元気な姿に「だまされた」の(毎日新聞)
 03/04@UNHCRが帰還を批判 ユーゴスラビア・コソボ自治州(共同通信)
 03/04@アルバニア系住民が帰還 コソボで混乱の中(共同通信)
 03/04@◇ピノチェト問題―人道主義の確かな流れ◇(朝日新聞)
 03/04@◇米が「テロ支援国家」スーダンに特使、政策転換の兆し◇(朝日新聞)
 03/04@<スーダン>米特使の訪問を初めて受け入れ 歩み寄りか(毎日新聞)
 03/04@ギリシャが演習に参加(共同通信)
 03/04@◇北朝鮮のテロ国家リスト削除、4月実現は困難な見通し◇(朝日新聞)
 03/04@◇政府、国連予算分担率の算定方式見直しを要求へ◇(朝日新聞)
 03/05@<特報・中国全人代>首相報告 「台湾に柔軟」前面に(毎日新聞)
 03/05@◇モザンビーク大洪水の救援でアフリカ諸国が初の相互協力◇(朝日新聞)
 03/05@◇セルビア、コソボ境界の村で武装組織と警察が銃撃戦◇(朝日新聞)
 03/05@◎将来的にはNATO加盟も=ロシア大統領代行、英TVに表(時事通信)
 03/05@「日本の極右」に警戒 新干渉主義と対米けん制 中国首相(共同通信)
 03/06@<中国>軍備近代化に遅れ 国防費が12年連続で2ケタの伸(毎日新聞)
 03/06@<米国務長官>出生地チェコ訪問、民主化実現への努力をたた(毎日新聞)
 03/06@<欧州合同軍>第一陣がコソボに向けて出発 欧州安保の第一(毎日新聞)
 03/06@ロシア兵射殺犯が逃亡 コソボ(共同通信)
 03/06@欧州合同軍がコソボ入りへ 初の独自指揮権(共同通信)
 03/06@セルビアでNATO制服?(共同通信)
 03/06@独「緑」代表が辞意(共同通信)
 03/06@故郷チェコで友好強調 オルブライト米国務長官(共同通信)
 03/06@NATOとの融和表明 プーチン氏、加盟排除せず(共同通信)
 03/06@政府、EU加盟希望諸国へ積極支援方針(読売新聞)
 03/07@<コソボ>セルビア人とアルバニア系住民が銃撃戦 10人負(毎日新聞)
 03/07@コソボ紛争禍で大やけど3歳女児に本格治療を(読売新聞)
 03/07@<海外コラム>ジャック・アマルリック=仏リベラシオン副編(毎日新聞)
 03/07@◎スロベニアのEU加盟を支持=首相(時事通信)
 03/07@イラン大統領、独訪問受諾 欧州との関係改善加速へ(共同通信)
 03/07@<独ヤミ献金>疑惑は欧州小国・リヒテンシュタイン公国にも(毎日新聞)
 03/07@3人に1人は出生届未提出 権利迫害とユニセフ警告(共同通信)
 03/07@<人道違反>ベルギーの判事 今度はイランの前大統領を捜査(毎日新聞)
 03/08@◇アナン国連事務総長、PKO見直し委員会を設置◇(朝日新聞)
 03/08@<コソボ>住民間で起きた銃撃戦の負傷者41人に(毎日新聞)
 03/08@<国連>PKOのあり方検討で作業部会設置(毎日新聞)
 03/08@◇コソボで銃撃 仏兵士を含む40人以上が負傷◇(朝日新聞)
 03/08@衝突の負傷者40人以上に コソボ、帰還計画に障害(共同通信)
 03/08@地雷2百万個、大量流出か 大洪水のモザンビーク(共同通信)
 03/09@◇NATOにユーゴのスパイ? 英紙報道◇(朝日新聞)
 03/09@ユーゴ空爆情報は筒抜け NATOにスパイと英紙(共同通信)
 03/09@国際組織同士にあつれき コソボの銃撃戦捜査(共同通信)
 03/09@◇チベット自治区指導者「カルマパ問題の政治利用に反対」◇(朝日新聞)
 03/09@◇中国、民族自治法を改正へ◇(朝日新聞)
 03/10@私企業や学生使い活発化 CIAが中国スパイ報告(共同通信)
 03/10@仏で選挙候補者を男女同数にする法案が成立へ(読売新聞)
 03/10@イスラエル、ヨルダン川西岸の10%併合提案へ(読売新聞)
 03/11@また有毒物質流出か ルーマニア(共同通信)
 03/11@イラク査察委員に数原氏 アナン国連総長が任命(共同通信)
 03/12@◇コソボ戦火で顔にやけど負った少女、支援求め来日へ◇(朝日新聞)
 03/12@違法ダイヤ取引で内戦激化 国連アンゴラ制裁委報告(共同通信)
 03/13@ボスニアの虐殺で初公判(共同通信)
 03/13@アフガン東京会議を拒否 タリバン、独自外交実らず(共同通信)
 03/13@武装勢力野戦司令官を逮捕 プーチン氏が政治的得点(共同通信)
 03/13@独立せず「特別な地域」に アチェ住民大会委員長(共同通信)
 03/13@イランで復活する民族主義 若い世代にモサデク人気(共同通信)
 03/13@法王がカトリックの過ちを謝罪(読売新聞)
 03/13@ベルリンで極右政党院がデモ、左派も対抗 (読売新聞)
 03/13@<ローマ法王>カトリック教会の犯した過去の過ちをざんげ(毎日新聞)
 03/14@<中国>西部開発 ぬぐえぬバブル懸念 外資導入、メドたた(毎日新聞)
 03/14@<ユーゴ>放送局閉鎖なら大規模デモ 野党陣営が合意(毎日新聞)
 03/14@<コソボ>歩行者専用の橋を建設(毎日新聞)
 03/14@TV局閉鎖なら大規模デモ セルビアで野党が合意(共同通信)
 03/14@コソボで住民登録開始へ 自治政府実現への第一歩(共同通信)
 03/14@昨年殺害された記者87人 国際新聞編集者協会(共同通信)
 03/14@◎NATO軍不発弾で子供6人死傷=コソボ(時事通信)
 03/14@<IMF>次期専務理事人事 米国の指導力低下を証明?(毎日新聞)
 03/14@英、ジンバブエ関係険悪に 大使召還し非難合戦(共同通信)
 03/14@<特報・難民申請>アフガン男性が改めて申請(毎日新聞)
 03/14@天然痘ワクチン研究開始 米、生物テロに備え(共同通信)

 (注)この「最近のボスニア」コーナーは、一般に報道されている記事に、千田が一部手直しして掲載しているものです。出所は明示しており、各社・各記者の著作権を侵害するつもりはありませんが、著作権上問題があるとお考えの方や、自分(自社)の記事は載せないでほしいという方がいらっしゃれば、このホームページの感想もふくめて、千田あてに連絡してください。
 千田あての電子メールはここをクリックしてください。  [最初のページに戻る]


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 03/01@EUが独自安保へ3機構を暫定発足(読売新聞)

 欧州連合(EU)は一日、独自の安全保障政策の立案を担う「政治安全保障委員会」など三つの新機構を暫定的に発足させた。三機構の主な任務は、二〇〇三年までの設立を目標としている兵員五、六万人規模のEU緊急対応部隊の骨格づくり。新機構を足場として、加盟国が安保政策でどこまで連携できるかが課題だ。(ブリュッセル 三井 美奈) 三機構は、〈1〉各国大使級高官で構成し外交安保政策を立案する政治安保委員会〈2〉同委に軍事的助言を与える、参謀総長ら制服組の軍事委員会〈3〉軍事委の下部機関で、将来のEU参謀本部となる幕僚部。いずれも外相・国防相による閣僚理事会の下部機関。三機関の正式発足には、EU基本条約を改正する必要が生じる可能性もあるため、当面は暫定的なものとした。今年末の正式発足を目指す。幕僚部は十人程度で立ち上げ、将来は八十〜九十人規模に拡大される。
 閣僚理事会事務局によると、EU共通外交安保上級代表は法令上、三機関の協力・助言を受けることができるが発言権はない。政治安保委と軍事委の議長はEU議長国(任期半年)代表が務める。ただし、ソラナ上級代表は「議長交代時に緊急対応すべき事態が発生する可能性もある」とし、上級代表が二委員会の議長を常任することを提案しており、決着は今後の協議にゆだねられる。
 緊急対応部隊は、米国が介入せず、EUが北大西洋条約機構(NATO)とは別に独自に介入するための部隊だ。その設立に向けて、EUが新設の三機構を通じて解決しなければならない課題は多い。
 第一に軍備強化だ。昨年のNATO軍の対ユーゴスラビア空爆では、戦力の80%を米国が担った。EU側は、確実に標的を破壊し、民間被害を最小限にする精密誘導弾の開発や、大量兵力・兵たんを迅速に供給できる輸送機を確保する必要性などが指摘されている。
 また、予備兵力を合わせて十五万人規模になる同部隊の兵員確保も不可欠だ。徴兵制廃止と軍隊のプロ化を決めたフランスやオランダ、徴兵制を柱とするドイツなど、EU加盟国によって異なる安保政策の調整も課題になる。
 さらに、軍備強化の財源問題がある。冷戦終結後、ドイツをはじめEU諸国は国防費削減を進めている。ポルトガルで二月二十八日に開かれた非公式国防相会議で、リシャール仏国防相は負担公平化のため国内総生産(GDP)比0・7%を軍備費にあてるよう提案したが、NATOに属さないスウェーデンなど中立国は難色を示している。
 加えて、NATOを主導する米国との連携維持も微妙な問題だ。
 米国が欧州独自安保に抱く警戒感は払しょくされておらず、また米国には欧州独自安保がEUからの米軍事産業締め出しの口実にされるのではないか、との懸念も強い。
 EUは六月までに、EU非加盟のNATO加盟国との連携体制も定める方針だ。年末には西欧同盟(WEU)をEUに組み入れる予定でもあり、今年はEU安保構築に向けた正念場の年になる。米国人のノーマン・レイ元NATO事務次長は「EU安保の成否は、EUがどこまで政治的結束を維持できるかにかかる」と指摘している。[2000-03-01-22:37] 2
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 03/01@<PKO>ボスニア選挙監視要員を派遣 民間人中心に10人(毎日新聞)

 青木幹雄官房長官は1日、4月8日に予定されているボスニア・ヘルツェゴビナの市町村議員選挙に対し、国連平和維持活動(PKO)協力法に基づいて、民間人を中心に選挙監視要員を10人程度派遣するよう総理府国際平和協力本部事務局に指示した。
 選挙を実施する欧州安全保障協力機構(OSCE)からの要請に基づく派遣。OSCEはボスニアの民主化プロセス支援のため1996年から3回、国政・地方選挙を実施し、日本も毎回30人前後の選挙管理・監視要員を派遣している。今回はOSCE管理下の最後の選挙となる。[2000-03-01-21:42] 3
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 03/01@◇セルビア南部で国連職員が銃撃され負傷◇(朝日新聞)

 ユーゴスラビアからの報道によると、セルビア南部ブヤノバツ近くで2月29日、国連の車両が襲われ、乗っていたベオグラード駐在のアイルランド人職員1人が足などを撃たれて負傷した。アルバニア系武装集団による犯行と見られている。事件の起きたのは、コソボ自治州との境界近く。この付近では、26日にアルバニア系武装組織によるとみられる警官襲撃事件で5人が死傷したほか、テロ事件が相次いでいる。[2000-03-01-20:28] 4 [このページの最初に戻る]


 03/01@◇国際部隊に対し公然と発砲 コソボのロシア兵銃撃◇(朝日新聞)

 ユーゴスラビア・コソボ自治州中北部の町スケンデライで29日、コソボに駐留する国際部隊のロシア兵士が撃たれた事件は、コソボの和平がもつ危うさをまたも浮き彫りにした。この地域はコソボのアルバニア系住民にとって武装闘争の原点といえる場所だが、セルビアと同じスラブ系のロシア兵との緊張は避けられそうもない。
 事件当時、現場と目と鼻の先にある町役場では、アルバニア系住民代表による暫定的な「地域評議会」の議事が進められ、記者はその取材中だった。会議にはこの地域の駐留ロシア部隊代表の将校や、国連の文民警察官、国際機関の地域代表らも同席していた。
 評議会には、解放軍が非軍事化した後、災害援助などにあたる事実上の後継組織「コソボ防衛部隊」の現地幹部もメンバーとして来ていたが、銃声を聞いて真っ先に外へ飛び出した。
 国連文民警察の応援車両1台が数分後にやって来たが、緊急配備を敷く間もなく、後の祭りだった。
 スケンデライ地域は、コソボ解放軍の「原点」「聖地」とされるドレニツァ渓谷に接している。1998年3月5日にセルビア治安部隊の砲撃を受け、一家二十数人もろとも亡くなり「伝説の人」となった司令官の家もある。
 この事件から2周年の記念日には、元解放軍兵士ら数万人単位のアルバニア人が集まって気勢を上げると予想され、混乱が懸念されていた。このためロシア部隊は29日も、地域を南北に走る主要道で武器捜索の検問を設けていた。
 また、スケンデライは、行政の最高責任者が、国連コソボ暫定行政支援団(UNMIK)の日本人職員ということもあり、日本の対コソボ援助ではかなめとなる地域でもある。セルビア治安部隊に焼かれた民家の屋根をふきかえる復興援助が、日本の資金やボランティアの手で進められてきた。こうした援助にとっても、治安確保が前提条件であるだけに、改めてその難しさが浮かび上がった格好だ。[2000-03-01-14:53] 5
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 03/01@◇コソボで駐留ロシア軍兵士撃たれる◇(朝日新聞)

 ユーゴスラビア・コソボ自治州中北部の町スケンデライで29日午後、コソボに駐留する国際部隊のロシア兵士が、アルバニア系住民とみられる3人組に短銃で胸を撃たれ、自動小銃を奪われた。兵士は病院に運ばれたが、容体は不明。国際部隊が昨年6月にコソボに展開を始めてから、同部隊兵士を標的にしたテロとしては最悪の事態で、和平の危うさが改めて浮き彫りになった。
 コソボ駐留のロシア部隊は、同じスラブ系のセルビア寄りだと非難するアルバニア系住民との間であつれきが続いていた。アルバニア系武装組織コソボ解放軍は解体され、表向き武装解除したなかでの事件だけに、NATO主導の治安維持のあり方にセルビア側が反発を強めるのは必至だ。
 記者は当時、町役場でアルバニア系住民代表による暫定的な「地域評議会」を取材中で、現場のすぐ近くに居合わせた。
 撃たれた兵士は、評議会に出席した駐留ロシア部隊代表の将校を送るため、軍用トラックで町役場まで来ていた。トラックを道ばたに駐車させて車内で待機していた兵士を、若い男3人が銃撃。兵士が持っていたカラシニコフ銃を奪い、走って逃げた。
 評議会には国連の文民警察官や、欧州安保協力機構(OSCE)など国際機関の代表も出席し、議事が進んでいたが、突然、5、6発の銃声が聞こえた。そぞろ歩きしていた若者たちも、銃声と共にぱっと散った。
 評議会には、解放軍が非軍事化した後、災害援助などにあた事実上の後継組織「コソボ防衛部隊」の現地幹部も来ていたが、銃声を聞いて真っ先に外へ飛び出した。一帯が騒然となる中で、部下が撃たれたと知ったロシア軍将校の顔からは血の気が失われていた。
 スケンデライ地域は、コソボ解放軍の「原点」「聖地」とされるドレニツァ渓谷に接している。1998年3月5日にセルビア治安部隊の砲撃を受け、一家二十数人もろとも亡くなり「伝説の人」となった司令官の家もある。
 この事件から2周年の記念日には、元解放軍兵士ら数万人単位のアルバニア人が集まって気勢を上げると予想され、混乱が懸念されていた。このためロシア部隊は29日にも、地域を南北に走る主要道で武器捜索の検問を設けていた。
 また、スケンデライは、行政の最高責任者が、国連コソボ暫定行政支援団(UNMIK)の日本人職員ということもあり、日本の対コソボ援助ではかなめとなる地域でもある。セルビア治安部隊に焼かれた民家の屋根をふきかえる復興援助が、日本の資金やボランティアの手で進められてきた。こうした援助も治安確保が前提条件であるだけに、改めてその難しさが浮かび上がった。[2000-03-01-11:59] 7
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 03/01@ボスニアに選挙監視要員 PKO協力法で2回目(共同通信)

 政府は一日、ボスニア・ヘルツェゴビナで四月八日に実施予定の市町村議会選挙に、国連平和維持活動(PKO)協力法に基づいて選挙監視要員を派遣することを決めた。青木幹雄官房長官が一日午前の記者会見で発表した。
 同選挙は欧州安保協力機構(OSCE)が統括するもので、選挙監視要員として日本などに計八百五十人の人的協力が求められており、今後、総理府国際平和協力本部などで派遣メンバーや要員数を調整する。
 日本はボスニア・ヘルツェゴビナに一九九六年から選挙管理・監視要員を計三回派遣しているが、同法に基づく派遣は、九八年九月の国政・地方選で三十人を派遣して以来二回目。
 今回の市町村議会選は当初、昨年十一月に予定されていたが、ユーゴスラビアのコソボ紛争による地域情勢の緊迫化と有権者登録の問題などから、四月に延期された。[2000-03-01-11:23] 8
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 03/01@<コソボ紛争>国連職員が銃で撃たれ、足を負傷 命には別状(毎日新聞)

 【ウィーン1日福井聡】アルバニア系住民とセルビア人との間で緊張が高まっているユーゴスラビア連邦セルビア共和国南部のコソボ自治州との境界地域で29日、国連職員が銃で撃たれ、足を負傷した。
 セルビアからの報道によると、負傷したのは国連人権問題事務書職員、マルセル・グローガンさん(アイルランド人)。29日、国連マークのついた車でセルビア南部のコソボ州境に近いブヤノバッツ周辺を走っていたところ、男数人に止められ、うち1人が突然発砲し、足を2度撃たれたという。その後、コソボ州内の米軍キャンプ内で手当てを受け、命には別状ない。[2000-03-01-10:01] 9
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 03/01@ミトロビツァで仮設橋完成 ユーゴスラビア・コソボ(共同通信)

 【ウィーン29日共同】ユーゴスラビア・コソボ自治州からの報道によると、セルビア人とアルバニア系住民の対立が続く北部コソブスカ・ミトロビツァで二十九日、市内を南北に分ける川に国際治安部隊が建設中だった仮設橋が完成した。
 二月初めから激化した両民族の衝突でセルビア人が多数を占める北部で川沿いにあるアパートからアルバニア系住民が南部に避難した。仮設橋はアルバニア系住民がセルビア人居住区を通らずに川を往来できるようにアパートの目の前に建設された。
 国際部隊は近くアルバニ系住民の帰還を実現させる方針だが、セルビア人の反発も予想される。[2000-03-01-09:24] 13
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 03/01@<余録>サラエボ(毎日新聞)

 戦禍のサラエボに最初の交通信号がともった日のことを木山啓子さんはよく覚えている。1996年の後半、目抜き通りを車で走っていると、木山さんはスタッフに言った。「待って、信号じゃないの」▲「信号だ。すごい!」。みんなは口々に叫んだ。それまでサラエボには信号もなければ街灯もなかった。メーンストリートも穴ぼこだらけ。おまけに真っ暗だから、木山さんは何度も転んだ。内戦で荒廃したサラエボに、信号がおずおずと平和を同伴してやってきた▲木山さんはJEN(日本緊急救援NGOグループ)の地域代表である。JENは94年、同じ目的を持つ六つのNGO(非政府組織)の日本初の連合NGOとして発足した。ネパールで活動していた木山さんは、JEN発足とともに拠点を旧ユーゴスラビアに移した▲一時帰国した木山さんに会った。「はじめはザグレブを足場に、旧ユーゴ5カ所を回りました。ホテルの自分のベッドに寝たのは1カ月の3分の1ほどでしょうか。95年12月、ボスニア和平協定が調印され、サラエボに移りました。電気はなく、壁板はもちろん、しまいには運動靴を燃料にしたといいます」▲「運動靴のゴムは1食分の燃料になります。古タイヤは熱効率が抜群だそうです。電気が戻り、信号がつき、いまのサラエボは信号だらけで、交通渋滞を起こしています」「平和は戻りましたが、人の心の壁はなくなりません。こっち側から向こう側に一歩足を踏み出すのが怖いのです」▲「最高の成功は、私たちが1日も早く撤退することです。もともと私たちがいなくても生きていくことができた人たちで、私たちがいた方が少しだけ人間らしく生活できるだけのことです。その日のために必要なことをこれからもしていきたいですね」。木山さんは中旬に、サラエボに戻る。[2000-03-01-00:04] 6 [このページの最初に戻る]


 03/01@<オーストリア>極右参加政権 発足1カ月 衝撃の余波続く(毎日新聞)

 オーストリアの極右・自由党と保守・国民党の連立政権は4日、発足1カ月を迎える。欧州連合(EU)諸国の激しい非難を受けながら、連立政権を率いるシュッセル首相(国民党党首)は、EUとの協調を最優先に「新政権を先入観でなく政策で判断してほしい」と呼びかけている。国内での新政権への賛否はほぼ真っ二つに分かれた。自由党のハイダー氏は党首を辞任したが、衝撃の余波はまだ続きそうだ。【ウィーン・福井聡】
 新政権は発足早々、EU加盟国内でオーストリアのみが認めている銀行預金の匿名口座制を廃止した。オーストリアの匿名口座預金額は推定1兆5000億シリング(約12兆円)にも上る。経済協力開発機構(OECD)の廃止勧告期限(5月20日)を守らなければEUの風当たりは一層強まるとみられ、首相は金融上の多大な含み損を覚悟の上、廃止に追い込まれた形だ。
 次に、新政権が強力に推進を図っているのは、「プロポーツ(民主的配分)制」の廃止だ。これは社会民主党と国民党の2大政党支配が長く続いた同国独自の制度で、両党間の闘争防止などの意図からこれまで官庁や国営企業などの主要人事を両党で配分して来た。これに「社会硬直化の元凶」と異を唱えたのがハイダー党首。国営企業民営化が進む中で、すでに同制度自体が崩壊の運命にあったが、それでも根は深い。
 新政権のグラッサー蔵相(自由党)は2月末、国営持ち株会社OeI社相談役の人事異動を打ち出した。同社はオーストリア・タバコ(持ち株比率41%)、オーストリア航空(同39%)、石油会社OMV(同35%)など多くの大企業に株を所有し、これまで幹部人事は社民・国民両党で配分されてきた。この人事は国民党側ではなく、完全にハイダー前党首の意向を受けたもので、さらに他の政府系企業にも及ぶとみられる。
 野党側は断続的に連立政権辞任要求デモを続けたが、2月19日の20万人規模の大行動を機に比較的静観した姿勢をみせている。新政権にとって最大の難関は労組の動きだ。オーストリアは労組を母体とする社民党が長年政権にあったことなどから過去約50年間、労組による大規模ストがなかった。労組は初めて政権に真っ向から対立する立場となり、今後労使紛争が懸念されている。
 国際政治の舞台では、オーストリアが今年議長国の全欧安保協力機構(OSCE)でフランスやベルギーの非協力(議場退席)などが続き、相変わらず諸外国の風当たりは強い。
 しかし、同首相は施政方針演説でナチスの強制労働による犠牲者への補償実施を表明。また国営企業私有化促進、財政赤字削減などEUの基準に沿った改革案を提示し、「オーストリアの民主主義は安定したものだ。新政権を業績で評価してほしい」と訴えている。[2000-03-01-23:00] 59
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 03/01@<社説>ハイダー党首辞任 挑まれたEU共通価値感(毎日新聞)

 オーストリアの連立政権に参加している極右・自由党のハイダー党首が辞任した。党首と知事の兼務は負担が大きい、というのが理由で、今後はケルンテン州知事の職務に専念するという。
 党首辞任でオーストリア内政が特に変化することはない。ハイダー氏は政治活動を継続するし、後任のリースパッサー新党首(副首相)はハイダー路線に忠実な側近だ。ハイダー氏の党内指導力は温存される。辞任は欧州連合(EU)や国際社会からの非難をかわすための措置とみるのが妥当だろう。
 一方で、極右政党の政権参加がEUに突きつけた問題は党首辞任でも残る。民主的選挙に基づく政権に対して、内政干渉ではあってもあえて外交制裁を科さざるを得なかったEUのジレンマである。
 1986年から自由党を指導してきたハイダー氏は外国人移民排斥を主張し、欧州単一通貨・ユーロの導入に反対し、EUの東への拡大を批判した。最も刺激的だったのは、雇用政策などでナチスを評価したことだった。
 ハイダー氏の言動が国民に広く受け入れられ、自由党が躍進した背景には、長年にわたって連立を組む社会民主党と保守系・国民党による権益分かち合い構造に対する国民の反発や閉塞感があった。ナチス併合時代に関する歴史の清算が不十分だったことに加え、人口800万の小国で外国人移民が1割近くを占めることからくるオーストリア人としてのアイデンティティーの危機感も指摘されている。
 問題はそのオーストリアもEUの一員であることだ。EUは人権、民主主義、市場経済などの価値観を共有する連合体として存在する。ユーロ導入に象徴される欧州統合の流れは、それ以外にも社会、経済の細かな分野に浸透しつつある。EU独自の緊急部隊創設も合意済みだ。加盟国間の国境の敷居が低くなるのは、それだけ域内の価値観が同じであるという前提に立っている。
 他の加盟国が過敏過ぎるほどに反応して外交制裁に踏み切った背景には、EUがよって立つ基本的な価値観の共有がなければEUの理念が問われる、との受け止め方がある。EUがそれだけ一体感を深化させた表れと解釈することもできよう。EU域外のことではあったが、コソボ紛争でのユーゴスラビアに対する北大西洋条約機構(NATO)の人権介入をEUが支持したことにも通じるものだ。
 EU域内にはドイツ、フランス、イタリア、ベルギーなどで右翼政党が活発で、それぞれが国内に「ハイダー問題」を抱えている。特にドイツでは長期政権を担ってきたキリスト教民主同盟(CDU)がコール前首相絡みの献金疑惑で支持基盤がガタガタになっている。CDUに愛想をつかした支持者の右傾化すら懸念されている。
 オーストリア新政権には、実際の政策と行動でもって外部からの疑念を晴らすことを改めて望みたい。
 EUは加盟国拡大に伴う機構改革に備えた条約見直し交渉をスタートさせたばかりだ。ただ、EU拡大は共通市場が広がるだけではない。共通価値空間が広がることである。ここにこそEUにとっての「ハイダー問題」の本質があり、今後も注視しなければならないテーマである。[2000-03-01-00:01]
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 03/02@チェチェンの人権問題協議 EU・ロシア外相級会議(共同通信)

 【リスボン2日共同】欧州連合(EU)とロシアは二日、EU議長国ポルトガルのリスボンで外相級会議を開き、人権侵害の批判が国際的に高まっているチェチェン問題などを協議した。
 ロシア軍に拘束され、後に解放されたロシア人記者や国際人権団体などが、チェチェン内に設けた収容所でのロシア軍による組織的な「拷問」を証言しており、EU側はロシアに対し、チェチェンでの国際的な監視機関の設置を再度要求するとみられる。
 出席者はロシアのイワノフ外相のほか、EUから共通外交・安保問題担当のソラナ上級代表、欧州委員会のパッテン委員(対外関係担当)、ポルトガルのダガマ外相、七月からEU議長国を務めるフランスのベドリヌ外相ら。
 EUは一月末、チェチェンへの武力行使を続けるロシアに対し、食料援助停止や科学技術協定の凍結などを決めた。だがロシアの政情不安定化を恐れ、より強硬な制裁は発動できず、人権侵害への「重大な憂慮」を繰り返し表明するにとどまっている。
 会議ではこのほか、民族衝突の危機が再燃しているユーゴスラビア・コソボ情勢や中東和平問題なども協議。
 三日には米国のオルブライト国務長官が加わり、米・EU・ロシアの三者による外相級会議が行われる。[2000-03-02-20:34] 26
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 03/02@<欧州連合>暫定の政治安保委を設立 共通安保政策に向け第(毎日新聞)

 【ブリュッセル1日森忠彦】欧州連合(EU)は1日、共通安保政策を進めるための第一歩となる暫定の政治安保委員会を設立した。
 EUは昨年末の首脳会議で、地域紛争などに北大西洋条約機構(NATO)とは別の枠組みで対処する緊急対応部隊の設立を決めた。5〜6万人規模からなる部隊にはEU15カ国のほか、NATO加盟国なども参加する予定で、2003年末までの創設を目指している。
 政治安保委員会はその政策決定を行う機関で、各国の大使で構成する。このほか、軍幹部で構成する軍事委員会も暫定発足。手始めとして、4月からユーゴスラビア連邦コソボ自治州に展開する平和維持部隊(KFOR)の指揮を欧州合同軍に移管する形でEUが主導して行う。[2000-03-02-10:18] 154
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 03/02@独CDU疑惑、政治とカネに様々な問い直し(読売新聞)

 ドイツのヘルムート・コール前首相の裏口座疑惑を中心とするキリスト教民主同盟(CDU)の献金スキャンダルは、ショイブレCDU党首の辞任や州議会選挙でのCDU敗北などが続き、依然ドイツ政界を大きく揺さぶっている。ドイツは、世界の他の主要国に比べても政治資金の流れがクリーンだっただけに、政治とカネを巡る様々な問い直しが起きている。(ベルリン 三好 範英) 「企業や労働組合には、選挙権はない」――。一向に衰えないCDU献金疑惑に、ヘルムート・シュミット元首相は、先週放映されたテレビ討論会で、企業などからの献金を禁止し、献金者を個人に限るという荒療治を提案した。マスコミでは、政治献金全廃を求める論調すらある。CDU疑惑は、一個人、一政党の問題にとどまらず、「ドイツ民主政治の危機」との議論も盛んだ。
 戦後ドイツは、政党を政治の主役と位置付け、政治資金規制にも早くから取り組んだ。選挙活動費用に国庫補助を支給する制度も一九六七年に導入された。
 現行法では、連邦議会選挙などの得票数や党費に応じて国庫補助金が支給され、金額はCDUの場合、年額七千三百万マルク(約四十億円)にものぼる。その分、政党側には収支、資産のガラス張りなど、徹底した透明性が求められる。一会計年度二万マルク以上の献金については、個人、法人を問わず、献金者名が公開される。こうした厳格な法体系に加え、プロテスタントの行動倫理、独立したマスコミなどの要因が、「ドイツ政治はクリーン」の定評を作った。
 実際、ドイツの政界疑惑は、イタリアなど欧州主要国に比べ格段に少なく、七〇年代後半に、フリック・コンツェルンが、株の売却益への課税を免れるため、政治家に多額の献金をした事件がある程度だった。
 そのドイツで、なぜ今回これほどの政界疑惑が問題化したのか。
 第一は、CDUの体質。「CDUは戦前の中道、キリスト教政党が集まって結成された寄り合い所帯。党をまとめるのは人間関係で、それをつなぐのが個人的な忠誠やその見返りとしての昇進やカネだった」(フランツ・ワルター・ゲッティンゲン大講師=ドイツ政党史=)というわけだ。
 党員や労組などからの潤沢な資金があてにできる社民党(SPD)に比して、党員数も少なかったCDUの収入は、常にSPDを下回ってきた。その分を補ってきたのが企業からの献金だった。
 さらに法整備だけで、政治とカネの問題を解決するのは不可能との指摘もある。ハーゲン大政党研究所のティロ・シュトライト研究員は「ある人間が法の網をくぐろうとの意思をもてば、あらゆる法は破ることが可能」と言う。
 コール前首相は、現在CDUに与えた損害を償うため、金銭集めの全国行脚を行っているとされるが、二百万マルクに上る政治献金の提供者名は依然伏せたままで、疑惑解明にはほど遠い現状だ。検察当局による捜査、連邦議会調査委員会による調査は夏にかけて本格化することになる。[2000-03-02-22:14] 155
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 03/02@<中国の人権>後退に失望と憂慮 国連人権高等弁務官(毎日新聞)

 【北京2日飯田和郎】北京を訪れていたロビンソン国連人権高等弁務官は2日記者会見し、中国の人権状況について「表現、信仰、結社の自由という三つの基本的分野において(状況が)後退していることに失望と憂慮を感じる」と批判するとともに、人権改善へ強い期待感を示した。
 弁務官は野党結成を目指した「中国民主党」の幹部らが昨年12月、長期禁固刑の判決を受けたことや、気功集団「法輪功」に対し中国政府が非合法組識に認定し、弾圧していることを例に出しながら、「前回訪中した1998年9月より人権は後退している」と憂慮を表明した。
 記者会見に先立ち、弁務官は銭其シン副首相と会談したが、この席で中国政府が批准していない国際人権A規約(経済的、社会的、文化的権利に関する条約)、同B規約(市民の政治的に関する条約)の早期批准を促した。[2000-03-02-21:43] 158
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 03/02@<ピノチェト氏>解説=ぬぐい切れない政治決着の疑念(毎日新聞)

 ストロー英内相が健康悪化を理由に2日、ピノチェト元チリ大統領(84)の釈放を決定したことで、チリ軍政による反体制派弾圧の犠牲者やその家族に対する正義の実現は遠のいた。内相の決定が元大統領の身柄を求める欧州4カ国や人権団体の反論を押し切る形で行なわれたことで、英国は身柄引き渡しがもたらす外交関係の悪化を避けるため、政治決着を図ったとの疑念がぬぐい切れない。
 【ロンドン・笠原敏彦】
 17ヶ月に及んだ法廷闘争が国際社会に突きつけたのは、大規模な人権侵害があれば第三国が主権国家に介入できるかどうか、という問い掛けだった。英政府は1998年10月にスペイン司法当局の要請を受けてピノチェト氏を逮捕して以降、裁判を「純粋な司法問題」と位置付け、見守ってきた。
 一方で、英政府には高齢の元大統領が英国内で死亡することには強い懸念があったとされる。チリの右派勢力やサッチャー元首相ら国内の保守勢力が、共産主義の浸透と闘い、フォークランド紛争(82年)で英国を支援した元大統領を「殉教者」に仕立て、英政府を批判する可能性が大きいからだ。
 ピノチェト裁判は、国家元首の免責特権は人道に対する罪など国際法上の犯罪には及ばないという、時代を画す判例を残した。裁判は中途半端に終わったとは言え、人権重視に向け、予防措置的な効果を発揮することは間違いないだろう。
 未知の分野に踏み込み、法哲学と道徳的な判断で新たな指針を国際社会に示したのは英国の司法権(上院上訴委員会=最高裁)である。英政権を代表するストロー内相が「準司法的な権限」を行使して示した判断は「釈放」だった。
 内相は裁判所から命令されるまで、釈放方針の根拠にした健康診断書を開示しなかった。軍政の3000人を越す犠牲者らへの説明責任より、元独裁者のプライバシーを優先した姿勢に、人権擁護派の反発は強まり、「健康診断書は釈放の言い訳に使われた」との疑心が生まれた。
 しかし、現在の国際秩序が「主権の尊重」で成り立っていることも動かし難い現実であり、内相の決定を批判するのは性急に過ぎるだろう。身柄引き渡しを最後まで求めたスペイン司法当局とは裏腹に、同国のアスナール政権が「チリとの外交関係悪化を避けたい」との理由で自国での裁判実現を嫌ったことがその現状を反映している。
 英労働党政権は「人権は主権より重い」との理想と、国際政治の現実の間で揺れ続けた。一連のピノチェト問題は、人権をめぐる理想と現実の間には埋めねばならない深い溝があることを示した、と言える。[2000-03-02-20:30]
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 03/03@◎コソボ自治州で、セルビア人住民に催涙弾=平和履行部隊の(時事通信)

 【ウィーン3日時事】ユーゴスラビア・コソボ自治州からの報道によると、同州北部の都市コソブスカミトロビツァで3日、平和履行部隊(KFOR)傘下の仏軍部隊がセルビア人住民グループと衝突、国連文民警察によると、セルビア人側から銃撃が加えられたため、同部隊は催涙弾で応戦したという。
 同市では、セルビア人住民とアルバニア系住民の抗争が続いている。KFORはこの日、イバル川北部のセルビア人居住区から避難してきたアルバニア系住民の一部を自宅に帰還させる計画だった。しかし、セルビア人グループが行く手を阻んで妨害したことから、KFORは実力行使に踏み切った。[時事通信社][2000-03-03-23:42] 13
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 03/03@◇米・ロシア・EUの3極外相級会議始まる◇(朝日新聞)

 オルブライト米国務長官とロシアのイワノフ外相、欧州連合(EU)のソラナ共通外交上級代表による3極外相級会議が3日、リスボンで始まった。前日のEU・ロシア会談で平行線をたどったチェチェン紛争とユーゴスラビア・コソボ情勢について、改めて意見が交わされる見通しだ。EU側は2日の会談で欧州安保協力機構(OSCE)の人権監視員の受け入れと人道援助での相互協力の枠組みづくりを要求したが、イワノフ外相は難色を示した。
 米高官は「(EUと)共に、ロシアに対して懸念を表明するいい機会だ」と語り、オルブライト国務長官を加えた場でさらに圧力をかける構えだ。
 一方、イワノフ外相は2日、コソボ情勢で反撃。「ユーゴの主権尊重をうたった安保理決議が順守されていない」と語り、北大西洋条約機構(NATO)主導の国際部隊の下で、アルバニア人とセルビア人の分離が既成事実化していることを強く非難した。[2000-03-03-21:35] 14
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 03/03@チェチェンやコソボ協議 米ロEU外相級会議(共同通信)

 【リスボン3日共同】欧州連合(EU)と米国、ロシアは三日、EU議長国ポルトガルの首都リスボンで、三者外相級会議を開催、チェチェンの人権問題や民族対立の危機が再燃しているユーゴスラビア・コソボ自治州の情勢などについて協議した。
 会議にはオルブライト米国務長官、イワノフ・ロシア外相のほか、EUから共通外交・安保問題担当のソラナ上級代表、次期議長国フランスのベドリヌ外相らが参加。
 チェチェン問題では、イワノフ外相が二日のEUとの外相級会議で、欧州会議の代表二人を人権監視要員として受け入れる方針を表明。しかし、EU側は「これでは不十分」としており、チェチェンの人権状況を非難する米国とともに、さらにロシア側の対応を求めるものとみられる。
 またユーゴ空爆で悪化したロシアと北大西洋条約機構(NATO)の関係は改善に向かいつつあるが、セルビア寄りのロシアはNATO主体の国際治安部隊がアルバニア系住民に加担しているとの批判を強めている。
 今月末のロシア大統領選挙を前に、EUと米国はチェチェンやコソボ問題でのロシアとの摩擦解消を目指し関係強化を図る方針。[2000-03-03-19:28] 17
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 03/03@◇コソボ国際部隊で初の死者 銃撃されたロシア兵◇(朝日新聞)

 コソボ中北部のスケンデライで2月29日、アルバニア系住民とみられる3人組に撃たれて病院に収容されていたコソボ駐留国際部隊(KFOR)のロシア軍兵士が1日深夜、出血多量のため死亡した。同地域を管轄する北部多国籍旅団のフランス部隊報道官が2日発表した。昨年6月のコソボ展開以来、KFOR兵士が殺されたのは、これが初めて。
 KFOR指揮官のラインハルト将軍(ドイツ)は「兵士への攻撃はKFOR全体への攻撃だ」との声明を出した。[2000-03-03-12:00] 18
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 03/03@ユーゴの戦犯大統領のポスター作成 米国務省(共同通信)

 【ワシントン2日共同】米国務省は二日、ユーゴスラビアのミロシェビッチ大統領らの逮捕につながる情報提供を呼び掛ける「指名手配」ポスターを作成、世界各地の空港などに掲示すると発表した。
 ポスターは、旧ユーゴ国際戦犯法廷に訴追されている同大統領、ボスニア・ヘルツェゴビナのセルビア人指導者のカラジッチ氏と、ムラジッチ将軍の三人らの逮捕が目的。
 国務省は昨年六月に旧ユーゴ戦犯逮捕につながる情報の提供者に最高五百万ドル(約五億四千万円)の懸賞金を出すと発表したが、三人の逮捕には至っていない。今回のポスター作戦は、三人に懸賞金が懸けられていることをあらためて宣伝する狙いもある。英語、セルビア語、ロシア語など五カ国語が用意されている。[2000-03-03-10:57] 19
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 03/03@◇EU−ロシア外相会議、チェチェンとコソボで平行線◇(朝日新聞)

 欧州連合(EU)のソラナ共通外交上級代表、パッテン欧州委員(対外関係担当)らとロシアのイワノフ外相の会談が2日、リスボンで開かれたが、チェチェン紛争とコソボ情勢について、議論は平行線に終わった。
 EU側はロシア軍によるチェチェンでの人権侵害疑惑に関し、これまで以上に強い表現で懸念を表明、欧州安保協力機構(OSCE)監視員の受け入れを迫った。これに対し、イワノフ外相は「内政干渉」と難色を示し、欧州会議監視員2人の受け入れを表明するにとどまった。
 一方、イワノフ外相もコソボ情勢について、「ユーゴスラビアの主権尊重という国連安保理決議が順守されていない」と緊急安保理開催呼びかけを示唆し、EU側をけん制した。
 会談後に開かれた共同会見でパッテン委員は、チェチェンでの人権侵害疑惑に対する「われわれの懸念は欧州世論や議会の強い憤りを反映している」とロシアを強く非難した。
 EUは国際機関の人道援助がロシア軍に妨げられているとして、国際機関とロシア共同の人道援助の枠組みづくりを提案したが、ロシア側は受け入れず、オルブライト米国務長官を加えた3日の会議に、結論は先延ばしされた。[2000-03-03-10:47] 88
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 03/03@<東ティモール>国連統治下、復興に着手(毎日新聞)

 昨年8月の住民投票でインドネシアからの分離独立を選んだ東ティモールは、2002年の独立を目指して歩き始めている。治安回復のために展開した多国籍軍は2月に撤退し、替わって国連東ティモール暫定統治機構(UNTAET)の下で、本格的な復興がスタートした。「国造り」に動き出した東ティモールの今を報告する。【ディリで大塚智彦】
 ◆暫定政府
 独立反対派民兵や国軍兵士による騒乱の傷跡が残る中心都市ディリ市内では、焼け残った住居にトタンやベニヤで仮の屋根を作って、住民が生活を再開している。市場にはオーストラリアやシンガポールから流入した豊富な商品が並び、空き地では子供たちがサッカーに興じていた。
 先月18日、市内中心部のUNTAET本部前で行なわれた集会で、アナン国連事務総長は「多くの犠牲を払い、過酷な過去を生き抜いてきた皆さんは、ついに独立を勝ち取った。準備はできていますか。皆さんの将来は、まさに今から始まるのです」と演説。集まった6000人の東ティモール人は「国連万歳」を連呼した。
 展開中のUNTAETは、独立までの「暫定政府」の役割を果たし、デメロ代表の下で統治・行政▽人道援助・緊急復興▽治安維持の3部門に分かれ、現地職員を含む約1万200人のスタッフを擁する。
 そのUNTAETが最も力を入れているのが、統治・行政部門で新国家の骨格となる立法・行政・司法の制度確立だ。
 市内の旧観光省の建物は厚い鉄条網で覆われ、文民警察官による厳重な警備が続いている。ここは一般犯罪者とともに、破壊行為を行なった民兵ら約50人が拘束されている収容センターで、法律や刑務所などの施設が未整備なための臨時措置となっている。
 「弁護士資格を持つ東ティモール人12人による検察・裁判制度の設立準備会が始まったばかり。現在のような法律が存在しない状況では、軽犯罪は説諭して放免し、民兵や殺人、暴行の容疑者は即座に収容するしかないのだ」と、文民警察司令部のニュージーランド人の警察官は話す。
 独立までの暫定的な法整備のために、UNTAETに設置された国民諮問評議会は、東ティモール人の代表組織「東ティモール民族抵抗評議会(CNRT)」のメンバー、キリスト教会関係者、独立反対派組織代表を加えた15人で構成。財政法、商法、行政法、公務員法などと並んで刑法、刑事訴訟法などの制定準備を進めている。
 ◆内部対立
 インドネシア併合時代には武装ゲリラ「ファリンテル」を傘下に持ち、独立闘争の象徴として団結を誇ったCNRTは、暫定統治の開始とともに、独立後の主導権をめぐる組織のほころびが表面化している。
 CNRT内部は、独立運動の最高指導者だったシャナナ・グスマンCNRT議長を支持する主流派▽ノーベル平和賞受賞者のラモス・ホルタ共同議長を支持する反主流派▽元東ティモール知事のマリオ・カラスカラオン氏や、1975年の独立宣言当時の大統領のシャビエル・アマラル氏らを支持するグループ――の三派に分かれている。
 複数のCNRT幹部によると、グスマン氏が東南アジア歴訪から戻った2月中旬、グスマン氏の指導力に疑問を投げかけ、指導部を去らない場合は殺害も辞さないという内容の匿名の脅迫状が届く事件も起きた。
 グスマン氏の腹心、ファリンテルのタウル・マタン司令官は、「武装組織としては、政治には一切関与しない。東ティモール人が選んだ指導者に従うだけだ。軍が政治に関わるとどうなるかは、インドネシアを見ればわかる」と、今のところ中立の立場を保っているが、新国家の指導者選びや軍事組織再編が本格化する今後の情勢次第では、流動的な局面も予想される。
 UNTAETが1月に行なった現地職員採用には定員の10倍以上が殺到するなど、失業問題は深刻化。地方では電気、水道も未復旧で、以前は見られなかった路上の物乞いも増えている。しかし、独立に向かう住民の表情は明るい。「生活は苦しいが、殺される恐怖がなくなっただけでうれしい」と、ホテルで働く老人がつぶやいた。[2000-03-03-23:35]
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 03/04@<社説>ピノチェト問題 独裁者安住阻む人権重視(毎日新聞)

 ピノチェト元チリ大統領(84)が英政府から釈放され本国に戻った。「ピノチェト問題」は国際社会に何を残したのか。
 まず第一に元国家元首であっても過去の非人道的行為について第三国で逮捕され、訴追されることがある、という前例を作ったことだ。
 第二に現在および将来の独裁者に対しても、いずれ裁判にかけられるという不安をいだかせる抑止効果をもたらした。
 そして第三は国境を越えた人権・人道重視の世界的な潮流に弾みをつけたことだ。
 ロンドン滞在中の1998年10月にピノチェト氏が入院先で逮捕されたのは、軍政時代(73〜90年)の大量虐殺や拷問が人道に対する犯罪として、自国民も犠牲となったスペインから出された身柄引き渡し要請を受けたものだった。
 ピノチェト氏の弁護団は元国家元首としての免責特権を主張した。しかし、英国の最高裁に相当する上院は昨年3月、これを認めず逮捕を合法とする司法判断を下した。これを受けて治安裁判所は同年10月にスペインへの身柄引き渡しを適法との決定を行った。
 ピノチェト氏の釈放はあくまで健康状態の悪化が理由であり、無罪放免を意味するものではない。
 この間の英政府の対応には、純粋に司法判断に任せると言いつつも及び腰が目立った。高齢、病弱なピノチェト氏をスペインに引き渡した場合に生ずる外交的影響などを考慮した政治判断との印象をぬぐい切れず一部に不満を残した。
 また、人権問題に過敏に反応する米国も、反共のピノチェト問題では終始、消極姿勢だった。冷戦時代だったとはいえ、米国が反共のピノチェト独裁政権を支援したことが関係しているのではないか。国際政治の現実を垣間見る思いがする。
 ピノチェト問題の舞台はチリに移った。フレイ大統領は「ピノチェト氏の責任を判断するのはチリの裁判所だけだ」と強調している。一方で、ピノチェト氏は90年の民政移管後も免責特権を有する終身上院議員の地位にある。
 ピノチェト氏が指導したクーデターで死去したアジェンデ元大統領以来の社会党出身の大統領として今月11日に就任するラゴス新大統領とチリ国民はピノチェト軍政にどう対処するかが問われている。
 現段階では、主権に対する人権優位が国際ルールとして定着するまでには至っていない。98年に設置が決まった国際刑事裁判所は発足のめどが立っていない状態だ。
 それでも、ピノチェト氏逮捕は「人権が国家主権を超える」という極めて今日的なテーマを国際社会に突きつけた意味は大きい。
 逮捕から釈放までの16カ月余に及ぶ期間に、北大西洋条約機構(NATO)はユーゴスラビアに対する人道的介入として空爆を行った。アフリカではハブレ前チャド大統領が独裁時代(82〜90年)の拷問など非人道的行為を問われ、亡命先のセネガルで起訴された。
 釈放・帰国とはなったが、ピノチェト氏に対する英国の司法判断の重みは変わらない。独裁者を内政干渉の壁で守ろうとする主張を法的に崩し、国家元首の地位を離れても独裁者には安住の地があるべきでないことを明確に示したからである。[2000-03-04-23:20] 4
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 03/04@<ニュースキー>ピノチェト氏の元気な姿に「だまされた」の(毎日新聞)

 「裁判を受けられる健康状態ではない」という理由で英国から釈放され、17カ月ぶりに帰国したピノチェト元チリ大統領(84)。3日、首都サンティアゴの空港で見せた予想外に元気な姿に、軍政時代の弾圧被害者たちからは「だまされた」という声が上がった。国境を超えた「人道の罪」追及は結局、玉虫色の決着で幕を引くのか。最後の舞台を主役の故国に移したピノチェト問題。大詰めのエピローグを読み解くには、微妙な政治力学のバランスに腐心するチリの内情を知る必要がある。
 □チリの苦悩
 空港に元大統領が好む「リリー・マルレーン」の歌がこだました。元大統領は軍部首脳らの迎えに笑顔で応え、車いすから降り、歩いて支持者に手を振った。ロビーでは軍政時代の被害者たちが「殺人者を裁け」と叫ぶ。その声は元大統領を陸軍病院に移送するヘリコプターの爆音に消えた。
 1973年のクーデターから90年3月の民政移管までピノチェト独裁軍政下で激しい国内対立を経験したチリでは、今「国民和解」が最大の課題だ。70年に発足したアジェンデ社会主義政権に全財産を没収された右派勢力と、軍政下で厳しく弾圧された左派の遺恨の根はあまりに深い。
 だから、フレイ大統領は元大統領が英国で逮捕されて以来「チリの事件はチリの法律で裁く」と訴え続けてきた。「国家主権」堅持を強調して右派をまとめ、半面「司法当局が適切に判断する」と語って左派の怒りを収める手法だ。
 一方で、問題に「直接介入したくない」という腹の内が見え隠れする。不況に苦慮する政府は右派・財界の協力を必要とし、片や、民政移管後の中道・中道左派連合政権を維持し、国際世論の批判をかわすには人権重視の姿勢は崩せない。
 元大統領を法廷に引き出そうとしたスペインなど欧州諸国では、旧元首でも非人道的行為に免責特権を認めないという「人道」意識が働くが、植民地支配から独立した中南米では、今も「国家主権」が優先する。
 特に、北を砂漠、南を氷地、西をアンデス山脈、東を太平洋に区切られるという特異な地勢のチリでは自立・独立の気風が強い。欧米の物差しには納まりきらない感情で、問題の今後の推移を読むのに見落としてはならない部分でもある。
 世論調査では66%が「裁判は実現しないだろう」と答えた。元大統領は3日夜、サンティアゴに持つ家の一つで家族とだんらんを楽しんだという。【メキシコ市・根本太一】
 □「だまされた!」
 ピノチェト元大統領がサンティアゴの空港で車イスを降り、笑顔で支持者らの間を歩く姿が英国ロンドンにテレビの生中継で伝えられた。「元気そのものじゃないか。だまされたんだ」。訴追運動を続けてきた亡命チリ人、カルロス・リエスさん(55)の胸に怒りが込み上げた。リエスさんは軍政時代の74年に逮捕されて拷問を受け、2年投獄された。今も電気ショックなどの拷問の悪夢にうなされ、2日朝に釈放決定を知った時は失望のあまり数分間口がきけなかった。
 一方、世界各地の拷問の被害者を世話する民間医療団体「メディカル・ファンデーション」のロンドン市内の診療所には3日、多くの亡命者、難民の姿があった。ピノチェト裁判では拷問被害者の証言を集めて法廷に提出するなどしてきた。ヘレン・バンバー会長(74)は「元大統領の免責特権を認めなかった英国上院(最高裁)決定は他の国の独裁者への警告になってほしい。診療所を訪れる被害者を増やさない効果があると信じたい」と願う。【ロンドン・笠原敏彦】
 □「反人道」追及の限界
 元大統領の釈放に強く反対した国の一つがベルギーだ。直接利害関係のないケースにここまで深く口を出したのは、昨年誕生した現政権の人権外交政策に基づく。「人道違反法」で、国外の戦争犯罪や大量虐殺などの人道違反を国内法で起訴できるようにした。
 政治アピール性が強いが、背景には「国際刑事裁判所」をはじめとした国際法に基づく国際法廷の開設が遅れているという事情がある。刑事裁判所は、人道違反を裁く場として98年に設立が決まったが、批准したのはわずか数カ国。しかも米国やロシア、中国などは反対したままだ。今回の問題でもその限界を示した。【ブリュッセル・森 忠彦】
 □ユーゴは無関心
 国連旧ユーゴ戦犯法廷に起訴されたミロシェビッチ大統領を元首にいだくユーゴスラビア・ベオグラード市民の関心は、ピノチェト氏釈放に一様に薄い。新聞各紙、テレビともに事実関係報道だけだ。ミロシェビッチ大統領は北大西洋条約機構(NATO)による空爆を「ユーゴ国民への攻撃」と主張し、愛国心を高揚させることで巧みに君臨し続けている。【ウィーン・福井 聡】[2000-03-04-21:09] 8
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 03/04@UNHCRが帰還を批判 ユーゴスラビア・コソボ自治州(共同通信)

 【コソブスカ・ミトロビツァ(ユーゴスラビア)3日AP=共同】ユーゴスラビア・コソボ自治州のコソブスカ・ミトロビツァでアルバニア系住民が国際治安部隊の護衛により自宅に戻ったことについて、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の報道官は三日、「安全な帰還の条件が整っていない」と述べ、国際部隊の帰還の進め方を批判した。
 報道官は、住民が国際部隊の装甲車で帰還せざるを得なかったことや、同部隊が抗議のセルビア人住民に催涙弾を発射した点などを指摘した。[2000-03-04-11:10] 9
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 03/04@アルバニア系住民が帰還 コソボで混乱の中(共同通信)

 【ウィーン4日共同】ユーゴスラビア・コソボ自治州からの報道によると、コソブスカ・ミトロビツァで市の北側のセルビア人多数地域から川を挟んで南側に逃れていたアルバニア系住民約四十人が三日、国際治安部隊の護衛で約一カ月ぶりに自宅に戻った。
 国際部隊は装甲車に住民を乗せ、川の浅瀬を渡って帰還を進めたが、数百人のセルビア人デモ隊が同部隊に投石、部隊側が催涙ガス弾を使用するなど衝突し、フランス兵五人とセルビア人四人が負傷した。
 北大西洋条約機構(NATO)軍主体の国際部隊が計画する帰還作戦の皮切りとなるもので、同部隊は残る数百人のアルバニア系住民を自宅に戻したい考え。しかし、多数派のセルビア人住民の抵抗により、帰還計画の順調な進展は困難な見通しだ。
 国際部隊は二日、北側のセルビア人多数地域に住んでいたアルバニア系住民のアパート前に建設した仮設の橋を使っての住民帰還に着手したが、セルビア人の抵抗で中止していた。[2000-03-04-10:37] 11
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 03/04@◇ピノチェト問題―人道主義の確かな流れ◇(朝日新聞)

 拷問など人道をめぐる罪に問われ、スペインの請求により滞在先の英国で拘束されていたピノチェト元チリ大統領(八四)が釈放されて出国した。
 病状が重くて裁判に耐えない、という医師団の鑑定に従って英内相が最終決断したもので、ベルギーなどの再鑑定の要求は退けられた。裁判の進行も理解できないような状態だとすれば釈放はやむを得まい。
 焦点はチリの司法当局の対応だ。終身上院議員の免責特権を持つかつての独裁者を取り調べ、軍政犯罪の全容を解明できるかどうか、見守っていきたい。
 クーデターで政権をとったピノチェト将軍は反対勢力を徹底的に弾圧し、犠牲者・行方不明者は三千人を超える。しかし、一九九〇年に大統領を辞めた後も隠然たる影響力をもつピノチェト氏を、チリの司法機関は訴追することができなかった。
 被害者に自国民もいたとして、スペインの司法当局が、ロンドン滞在中のピノチェト氏の逮捕・引き渡しを英国に依頼したのはこのためである。
 国内法に基づき、民族・宗教集団などを標的にしたジェノサイド(集団殺害)や拷問の容疑で調べたいということだった。ベルギーなども英国に同様な申し入れをしたが、いずれも実らなかった。
 しかし、重要なのはピノチェト氏の引き渡しをめぐって英上院(最高裁)が下した「国家行為に対する免責は、自国民に組織的な拷問、殺害を行った元国家元首に対するものではない」という判断である。
 人道を踏みにじる犯罪は国家行為に当たらないという司法判断は、統治のためなら権力者はなにをしても免責される、という考えを明確に否定した。しかも、スペインという第三国の捜査を認め、この種の犯罪には、追及を遮る国境がないことを明示した点で、歴史に残るだろう。
 ピノチェト氏の事例は、国家元首の行為を別の国家が断罪する試みである。
 背景には拷問やジェノサイドなどは、一国の枠を超えた人類社会に対する犯罪だとみる人権思想の国際潮流がある。しかし、それが無原則に広がると、人道主義の名目で内政干渉が行われる危険性もある。
 外国での裁きという異例な措置は最善の策ではない。まず各国が人道に反する犯罪を罰する法制を整備し、国内で過去の権力犯罪を裁くことが先決である。
 ただ、チリのように内政事情が裁きを妨げる場合も少なくない。旧ユーゴスラビアとルワンダの国際戦犯法廷設置は、国内では公正な裁判が望めないからだった。そうした事態に備えるためにも、国際刑事裁判所(ICC)を設ける必要がある。
 ICCは、ジェノサイド、人道に対する罪などを犯した個人を裁く常設の国際法廷だ。ICC条約の発効には、六十カ国の批准が必要だが、批准国はまだ七カ国に過ぎない。今度の事件を契機に、批准を促す国際的な努力の強化を期待したい。
 人道をめぐる犯罪の法概念はまだ成熟していない。その適用は国際政治に左右され、しばしば公平性を欠いている。しかし、こうした犯罪を裁く国が増え、ICCも機能するようになれば、人道を踏みにじる権力犯罪者は逃げ場を失う。今後の犯罪への大きな抑止力になるだろう。
 日本は拷問禁止条約をようやく去年、批准した。ICC条約やジェノサイド条約はまだ締結していない。人道主義の潮流を重視し、早くこれらに加わるべきである。[2000-03-04-00:12] 11
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 03/04@◇米が「テロ支援国家」スーダンに特使、政策転換の兆し◇(朝日新聞)

 米大統領特使のジョンストン元下院外交委員会アフリカ小委員長が4日、スーダンに到着した。米国はスーダンを「テロ支援国家」とみなし、1998年8月には、米大使館爆破テロの報復としてミサイル攻撃をかけたほか、反政府ゲリラ組織の支援もしてきた。特使派遣は、イスラム系政権に対する徹底した孤立化路線を緩めるとともに、長引く内戦の終結を目指して働きかけを強めていく政策転換の兆しと受け取れる。
 米国はイラクやスーダンなどを「無法者国家」「テロ支援国家」といった範ちゅうにくくり、空爆や経済制裁、反政府勢力のテコ入れからなる封じ込めを続けてきた。だが、選挙で改革勢力が圧勝したイランには対話を呼びかけ、イラクにも人道物資の輸出拡大を検討するなど、内外で批判を浴びてきた強硬一本やりの姿勢にやや緩急をつけることを模索している。スーダン外交でも、石油資源をにらみつつ対話路線に乗り出した欧州諸国との溝が際だっており、今回の再検討に入ったとみられる。
 国務省報道官は、内戦終結のための反政府勢力との交渉や人権の改善、援助物資が難民にいきわたるような協力をスーダン政府に促したい、と語った。将来の対話拡大を念頭に、96年から館員が常駐していない大使館の機能を復活させることも考えている。[2000-03-04-22:43] 28
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 03/04@<スーダン>米特使の訪問を初めて受け入れ 歩み寄りか(毎日新聞)

 【ワシントン3日布施広】米国務省は3日、米政府が「テロ支援国」に指定するスーダンが、ジョンストン米特使の訪問を初めて受け入れたことを明らかにした。特使は4日から7日までの訪問を通じ、主にスーダン内戦の和平交渉の促進、人権状況の改善などを要請するが、外交関係が事実上途絶えている両国の歩み寄りの兆候として注目される。
 米・スーダン関係は、イスラム原理主義の影響を受けた1989年のクーデター以降、急速に悪化し、98年8月には、アフリカの米大使館連続爆破の「報復」として、米国がハルツーム郊外の薬品工場を巡航ミサイルで攻撃した。米国は化学兵器工場と主張しているが、スーダン政府は否定し、米マスコミも「誤認」の可能性を指摘している。
 国務省によると、特使はスーダン政府に対し、スーダン人民解放軍との和平交渉に真剣に臨むとともに、民間人を巻き込む空爆などは避けるよう要請する。96年以降、安全上の理由で同国に住めない状態が続いている米外交官の復帰問題や、巡航ミサイル攻撃についても話し合われる見通しだ。
 昨年8月の特使任命に対し、スーダンは一方的な措置と反発していた。同国が特使訪問を受け入れた理由は明らかでないが、米政府はイラン、リビア、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)など、他の「テロ支援国」との関係改善にも前向きで、特使訪問は「制裁緩和」路線の大きな流れに沿うものとみられている。[2000-03-04-18:47] 42
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 03/04@ギリシャが演習に参加(共同通信)

 【ローマ4日共同】アテネからの報道によると、ギリシャ外務省は三日、トルコ主催の北大西洋条約機構(NATO)の軍事演習にギリシャ軍が初めて参加すると発表した。
 NATO加盟国同士ながら領土紛争などで敵対関係を続けてきたギリシャとトルコは最近、急速に関係改善を進めている。
 演習は四月十二日から二十二日までエーゲ海と東地中海で実施される。
 NATOが主催する五月の軍事演習には、初めてトルコ軍のギリシャ領上陸作戦も含まれるという。[2000-03-04-12:39] 51
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 03/04@◇北朝鮮のテロ国家リスト削除、4月実現は困難な見通し◇(朝日新聞)

 米国務省高官は3日、ニューヨークで7日から再開する米朝協議について記者会見し、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の高官によるワシントン訪問計画を今回で最終決定する自信を示した。ただし高官は、北朝鮮が強く要求しているテロ支援国家リストからの削除については、4月までの実現には「奇跡」が必要だと語り、可能性は薄いことを明確にした。
 高官は、テロ支援国家リストから外す条件の一部として、(1)北朝鮮が、テロ活動に反対する国家政策に転じたことを明確に宣言する(2)「よど号」ハイジャック事件を起こした日本赤軍派グループを北朝鮮国内に滞在させない――などを挙げた。
 国務省テロ対策担当調整官は先に、4月にまとめる今年のリストで一部の国を外す可能性を示唆していたが、高官は北朝鮮については「4月に実現できるには、たぶん奇跡が起きなければならない」と述べ、北朝鮮側が短期間に条件を満たす可能性は低いことを強調。「今後何回の協議を重ねるかは分からないが、1度だけでは片づかない」「北朝鮮の行動次第だ」と語り、次回以降もテロ問題の交渉を続けて実現をめざす方針を示した。
 北朝鮮のミサイル発射を凍結した昨年9月のベルリン合意後、高官訪米をめぐる協議は11月、1月とすでに2回重ねている。高官は今回のニューヨーク協議を「最終」とし、「訪米の時期と高官の名前の発表ができるだろう」と楽観的な姿勢を示した。
 訪米は今回協議の「約1カ月後」に行うことで米朝は合意している。高官の期待通りに最終決定にこぎ着ければ、4月に実現することになりそうだ。ニューヨークでは、その際に発表する米朝共同声明の文案についても「詳細を決める必要がある」という。[2000-03-04-11:28] 70
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 03/04@◇政府、国連予算分担率の算定方式見直しを要求へ◇(朝日新聞)

 政府は3日、現在日本が全体の2割を負担している国連予算の分担について算定方式を改定して日本の負担を引き下げるよう求める方針を固めた。今月からニューヨークの国連本部で本格化する他の国連加盟国との交渉で取り上げる。帰国中の佐藤行雄国連大使が朝日新聞とのインタビューで明らかにした。この問題については、日本の現在の経済力や国連での立場以上の財政負担を強いられているとして、自民党内などから批判が高まっていた。
 国連の通常予算の分担率は3年ごとに見直しが行われており、今回の交渉で2001年から3年分の分担率が決まる。2000年の日本の分担率は、米国の25%に次ぐ20.573%で、額では約240億円。1997年の改定時の計算では、世界の国民総生産(GNP)に占める日本の割合は約17%で、日本の分担率はこれを上回っている。同時期の中国はGNPは3%だが分担率は1%にも満たない。
 さらに安全保障理事会の常任理事国ではない日本が2割を負担しているのに、米国を除く常任理事国4カ国(英国、フランス、ロシア、中国)の合計が13%台にとどまっていることも、日本が不公平感を募らす要因となっている。
 このため、政府はより公平性を高めるため、抜本的な見直しを求めていく方針で、佐藤大使は「分担率の算定方式そのものを見直すことを交渉に臨む基本方針としたい」としている。現時点では日本の具体的な要求内容は明らかではないが、常任理事国の分担率の下限設定や途上国の負担軽減措置の見直しなども議論されるとみられる。
 分担率をめぐっては、すでに米議会で、現在の25%を段階的に20%まで下げるとする法律が昨年末に成立している。国連での交渉では、各国の主張の対立も予想され、外務省は、年末までの長丁場になるのは必至の情勢とみている。[2000-03-04-07:29]
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 03/05@<特報・中国全人代>首相報告 「台湾に柔軟」前面に(毎日新聞)

 【北京4日坂東賢治】5日開幕する中国の全国人民代表大会(全人代=国会)では18日投票の台湾総統選を前にどのようなメッセージを打ち出すかが注目されていたが、毎日新聞が4日入手した朱鎔基首相の政治活動報告は軍事的威嚇よりも対話推進を強調し、比較的穏やかなトーンになっている。対米関係や次期総統との対話再開をにらみ、硬軟を使い分ける戦略ともいえそうだ。
 報告は「二国論や台湾独立などの分裂活動を進めることを決して座視しない」「中国人民には台湾問題を早期解決する決心と能力がある」と台湾独立の動きをけん制し、中台統一の早期実現への決意を強調しているが、武力行使を直接、連想させる言葉は避けている。
 中国政府が2月21日に発表した「台湾白書」は、平和的な統一に向けた対話を呼びかける一方で、(1)台湾の分裂(2)外国の台湾侵略(3)無期限の統一協議拒否――という三つの事態が起きた場合には「武力行使を含むあらゆる可能な措置を取らざるをえない」と警告していた。
 しかし、統一協議の無期限拒否という条件を明示したことが米議会など反発を生み、中国の世界貿易機関(WTO)加盟や中国に対する恒久的な最恵国待遇(MFN)の付与をめぐる議会審議にも影響が出かねない情勢になった。
 このため、銭其シン副首相が「これは両岸関係発展のため、台湾当局に対話を促すためのものだ」と釈明した。朱首相の報告でもむしろ柔軟な姿勢を前面に打ち出す方が得策と判断したものとみられる。
 ただ、江沢民国家主席は4日、改めて「我々は武力行使の放棄を承諾できない」と述べて3つの条件に言及し、「我々の一貫した立場だ」と強調した。中国の戦略は台湾住民に独立の危険性を警告すると同時に、次期政権を対話路線に引きずり出すことであり、投票までは硬軟両方の態度の使い分けが続きそうだ。
 対外関係では昨年のユーゴ空爆や中国大使館誤爆事件を念頭に国連の役割の重要性を訴え、「人権は主権よりも重いなどといった新干渉主義に反対する」と米国主導の秩序形成をけん制しているが、基本的には大きな変化はみられない。
 対米関係も「昨年前半は重大な損害を受けた」と指摘しているものの、WTO加盟合意などその後の改善を強調。さらに「2000年の国際環境は依然として機会や希望の方が挑戦や困難よりも大きい」と総括し、国内建設を優先するため、平和的な周辺環境を求める姿勢を改めて強調している。
 一方、これまで米国、ロシアに次いで3番目に言及されていた対日関係が欧州連合(EU)の後の4番目に回されている。「ごく少数の右翼的勢力への警戒」に言及したことと合わせ、対日関係の調整につながるかどうかが注目される。[2000-03-05-03:00] 7
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 03/05@◇モザンビーク大洪水の救援でアフリカ諸国が初の相互協力◇(朝日新聞)

 サイクロンなどの影響でリンポポ川がはんらんし、中・南部を中心に100万人以上が家屋を失ったとみられるモザンビークは、発生から1カ月近くたっても樹木や家の屋根などにつかまったまま、ヘリコプターなどによる空からの救援を待つ人への救援作業が続く。南アの軍や民間企業から提供されたヘリなどがフル回転するが、救援活動は生存者の救出から、被災者の援助へと活動の重点が移り始めた。400人以上とされた死者の数も、数千人になると予測される。
 現地では、被災者に対して国連などにより仮設テント、食糧、毛布、衣類、薬品などの提供が続くが、シサノ大統領は3日、英BBC放送などに対し、「まだまだ不足している。救援と今後の復興に2億5000万ドルは必要だ」として、先進国に対して救援費の増額と債務返済の免除を訴えた。
 大規模な被害に対し、隣国でアフリカで最も経済力のある南アが率先してヘリ、救援機の派遣を続けている。現地からの3日の報道では、現地で救助作業にあたっている14機の救助ヘリコプターのうち12機が南アからで、南ア部隊はこれまでに洪水で屋根の上などに取り残された被災者1万2000人を救助したという。
 また、ボツワナ、ジンバブエ、ザンビアなど貧困国も自国を後回しにして、数少ない手持ちの輸送機を派遣するなど周辺国による救援が最も早い時点で始まった。シエラレオネの反乱軍鎮圧などで、地域安全保障のためにナイジェリア主体の西アフリカ諸国平和維持軍が活動したことはあっても、災害救援でアフリカ諸国が互いに協力しあうのは初めてだ。
 これに対し、先進国側の対応の遅れにアフリカ諸国からは批判の声があがっている。最も不足しているのは、被災者を搬送するヘリや航空機。英、米、独、仏などから航空機や軍用艦の派遣が始まり、一部が3日に到着したばかりだ。
 日本は、10年余り内戦が続いたモザンビークに内戦終結後の1993年、国連の平和維持活動に停戦監視要員を派遣するなど、国の再建に協力してきた。しかし今回は、10万ドルの緊急無償援助のほか物品援助のみだ。
 3日は米国務省のルービン報道官が「援助の速度を上げ、最大の努力をしているが、悲劇的な状況下ではだれも結果に満足しない」とコメントした。[2000-03-05-00:13] 3
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 03/05@◇セルビア、コソボ境界の村で武装組織と警察が銃撃戦◇(朝日新聞)

 ユーゴスラビアからの報道によると、セルビア南部のドブロシン村で4日未明、アルバニア系武装組織とセルビア警察の間で2時間以上にわたり銃撃戦が起きた。周辺では最近、主な町の名前を取った「プレシェボ・メドベジャ・ブヤノバツ解放軍」を名乗るアルバニア系武装組織が、セルビア警察官を襲撃する事件が相次ぐなど緊張が高まっている。本格的な交戦が伝えられたのは初めて。
 死傷者などの情報はないが、アルバニア系住民175人がコソボ内に避難した。
 村はコソボ自治州との境界にあり、国際部隊の検問所からわずか数百メートル。昨年6月にユーゴ連邦軍と国際部隊との合意で、境界から5キロ以内は非武装地帯と定められており、解放軍は昨年末ごろから、この「真空地帯」に拠点を置き、勢力の拡大を図っている。
 セルビア南部での衝突は、コソボ紛争と同じ構図。コソボ解放軍が越境支援しているとの報道もあるが、解放軍(現在はコソボ防護部隊に改組)のサチ政治局長は関係を否定している。[2000-03-05-21:21] 4
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 03/05@◎将来的にはNATO加盟も=ロシア大統領代行、英TVに表(時事通信)

 【モスクワ5日時事】ロシアのプーチン大統領代行は5日、英BBCテレビとのインタビューで、北大西洋条約機構(NATO)との関係について、将来的にはNATO加盟の可能性も排除されないとの考えを示した。ロシアは、昨年春のユーゴスラビア空爆以来、凍結状態にあった関係を段階的に修復することでNATOと2月中旬に合意しており、今後は関係進展に積極的に取り組む姿勢を示したものとみられる。
 プーチン代行はこの中で、ロシアがNATOに加盟する可能性はあるかとの質問に対して「なぜないのか」と述べ、将来的な加盟に含みを残した。その上で同代行は「ロシアが対等なパートナーとみなされる場合に限り、NATOとの一層の協調について話ができると確信している」と強調した。[時事通信社][2000-03-05-20:13] 30
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 03/05@「日本の極右」に警戒 新干渉主義と対米けん制 中国首相(共同通信)

 【北京5日共同】中国の朱鎔基首相は五日の政府活動報告で、日本について「ごく少数の日本の極右勢力が両国関係を妨げ、破壊していることに警戒しなければならない」と懸念を表明した。また、「新干渉主義」との新表現で、対米けん制をうかがわせた。
 一月下旬に大阪市の平和博物館「ピースおおさか」で開催された南京大虐殺を否定する集会などをめぐる強い対日警戒感がうかがえ、歴史認識問題でくぎを刺す狙いとみられる。大国の中で列挙された順位も米国、ロシア、欧州連合(EU)に次いで四番目と、昨年より一つ下がった。
 また、国連中心主義を再確認する一方、「人権が主権をしのぐ」といった「新干渉主義」に反対する立場を新たに打ち出した。
 これは、昨年前半のコソボ紛争の解決プロセスで、主要八カ国(G8)が主導権を握ったことへの反発とみられる。朱首相は「覇権主義」に反対し「公正で合理的な国際新秩序」構築を訴え、米国をけん制した。
 対米では、中国大使館誤爆事件を「野蛮な行為」と非難した上で、中国の世界貿易機関(WTO)加盟への合意を評価した。
 二国間関係で、まず朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との伝統的友好を挙げるなど近隣諸国や発展途上国重視の姿勢を強めた。[2000-03-05-16:16]
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 03/06@<中国>軍備近代化に遅れ 国防費が12年連続で2ケタの伸(毎日新聞)

 【北京6日坂東賢治】中国政府が6日、全国人民代表大会(全人代=国会)に提出した2000年度予算案で国防費が12年連続で2ケタの伸びを示したことで、米国や周辺諸国の「中国脅威論」が強まることも予想されるが、中国側からみれば、圧倒的な軍事力を持ちながらさらに先進的なミサイル防衛の開発などを進める米国が脅威に映っている。軍備近代化に遅れをとる中国の国防費の伸びは今後も続きそうだ。
 「米国を中心とする西側国家で軍事費を増やす新たな傾向が出現している」。6日付の中国軍系紙「国防報」は今年の世界各国の軍事予算の伸びをまとめた研究者の論文を掲載した。
 論文は米国やロシア、日本、インドなどが軍事費を増加させていると指摘し、特に米国の軍事費増加について、唯一の超大国の地位を守り、軍事力強化や軍事行動によって世界のリーダーの地位を示すためだと決めつけた。
 さらに「昨年のコソボ戦争の影響で国家の安全における軍事的要素の比重が高まった」と分析し、「今後、数年間は世界各国の軍事費が増加しつづけるだろう」と結論づけた。
 中国は昨年の北大西洋条約機構(NATO)軍のユーゴ空爆で米国の一極支配への警戒を強め、江沢民国家主席は経済建設に次いで国防力充実を重視する考えを示してきた。論文はこうした中国の世界観を反映したものだ。
 昨年10月の建国50周年の軍事パレードでは最新鋭の大陸間弾道ミサイル(ICBM)である「東風31号」などを登場させ、軍事力近代化を誇示したが、ロシアから導入したスホイ27戦闘機などの兵器を除くと、軍備全体の近代化はまだまだ進んでいないのが実態だ。
 むしろ、中国よりもはるかに進んだ軍備を持つ日米が戦域ミサイル防衛(TMD)の共同研究に踏み切ったことなどで、軍事水準にさらに開きが出ることを警戒しており、今後も国防費を増加させながら、米国のミサイル防衛構想への反対を続けるものとみられる。[2000-03-06-19:46] 3
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 03/06@<米国務長官>出生地チェコ訪問、民主化実現への努力をたた(毎日新聞)

 【ウィーン6日福井聡】オルブライト米国務長官は5日、出生地であるチェコを訪れ、民主化実現に向けたチェコ国民の努力をたたえ、改めてユーゴスラビアの民主化の重要性を訴えた。
 プラハからの報道によると、長官はマサリク元チェコ大統領の生誕150周年記念式典に出席し、「マサリク大統領の遺志を受け継ぐのにハベル大統領ほどの適任者はいない」とハベル大統領を賞賛した。長官は、チェコ革命の際に野党陣営団結でハベル大統領が果たした役割をたたえる発言も行い、これは分裂を繰り返すユーゴ野党陣営への米国のメッセージと受け取られている。長官はこの後、ボスニアを訪れる。
 チェコ国内には長官を次期大統領に推す声があるが、長官は「候補に挙げられたことは喜ばしいが、チェコ人の有資格者がいくらでもいるはず」と否定した。長官はプラハ生まれで、10歳の時の1948年に両親と共に米国に移住。チェコ語に不自由はなく、ハベル大統領らは「大リーグ級の政治家で次期大統領に最適」と期待していた。[2000-03-06-19:09] 6
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 03/06@<欧州合同軍>第一陣がコソボに向けて出発 欧州安保の第一(毎日新聞)

 【ブリュッセル5日森忠彦】ユーゴスラビア連邦コソボ自治州に展開する国際平和維持部隊(KFOR)の指揮権を4月から担う、欧州合同軍の第一陣が5日、仏・ストラスブールの司令部を出発した。欧州連合(EU)が進める欧州独自軍の先駈けともいえる部隊で、21世紀に向けた欧州安保の第一歩が始まった。
 欧州合同軍は仏、独、スペイン、ベルギー、ルクセンブルクの5カ国で構成する部隊。昨年の北大西洋条約機構(NATO)の空爆停止以来、コソボ駐留のKFORの指揮権はNATOが握ってきた。だが、2003年までに独自の緊急即応部隊を創設するEUに主導権を渡すため、4月中旬からは暫定的に合同軍に指揮権を移管することが決まっている。
 コソボ自治州には現在、約3万7000人の各国部隊が駐留している。2月に州北部でアルバニア系住民とセルビア人との武力衝突が発生。最近ではKFORの治安管理が届かないセルビア共和国南部で、アルバニア系によるセルビア人への攻撃が激しくなっている。[2000-03-06-10:22] 7
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 03/06@ロシア兵射殺犯が逃亡 コソボ(共同通信)

 【ウィーン5日共同】ユーゴスラビア・コソボ自治州からの報道によると、先月二十九日にコソボに展開する国際治安部隊のロシア兵が射殺された事件で、国際部隊は三日に犯人の十五歳の少年を拘束したが、少年は五日、拘置所から逃走した。国際部隊スポークスマンが明らかにした。少年がセルビア人かアルバニア系住民かは不明。
 ロシア兵はアルバニア系住民が大多数のコソブスカ・ミトロビツァ近郊のスルビツァで銃撃され、今月二日に死亡。国際部隊で初の死者となった。[2000-03-06-09:41] 8
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 03/06@欧州合同軍がコソボ入りへ 初の独自指揮権(共同通信)

 【ウィーン6日共同】米軍に依存しない欧州独自軍の基礎となる「欧州合同軍」の先遣隊八十二人が五日、ユーゴスラビア・コソボ自治州に向かうためフランスのストラスブールにある本部を出発、ユーゴに隣接するマケドニアに到着した。七日にコソボ入りする。
 合同軍は四月にはコソボに展開する北大西洋条約機構(NATO)軍主体の国際治安部隊から指揮権を引き継ぎ、六カ月間にわたって平和維持活動を指揮する。NATO主導の作戦でNATO以外の軍事組織が指揮権を握るのは初めてで、欧州連合(EU)が進める独自防衛力構想の試金石となる。
 欧州合同軍は一九九五年にフランス・ドイツ合同軍を格上げして創設、両国とスペイン、ベルギー、ルクセンブルクの計五カ国で構成する。
 スコピエの国際治安部隊報道官によると、四月中旬には計三百五十人がプリシュティナの司令部に展開する計画。スペイン軍出身のオルトゥノ欧州合同軍司令官が、国際部隊のラインハルト司令官(ドイツ)と交代する。
 NATOはことし一月に国際部隊の指揮権委譲を承認した。
 EUは共通安全保障・防衛政策の柱として、欧州合同軍とは別に二○○三年末までに五万―六万人規模の緊急対応部隊の創設を計画しており、コソボでの欧州合同軍の活動で緊急対応部隊実現にも弾みがつきそうだ。[2000-03-06-09:23] 9
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 03/06@セルビアでNATO制服?(共同通信)

 【ウィーン6日共同】五日付ユーゴスラビアの政府系紙ポリティカ・エクスプレスは、同国セルビア共和国当局が南部ニシュにある衣類工場から北大西洋条約機構(NATO)軍の制服約三千五百着を押収したと報じた。
 同紙によると、工場は四月末までに二万着を製造する計画で、チェコの企業が同工場と契約し、製造を進めていたとみられる。チェコは昨年、NATOに加盟した。
 NATO軍は昨年、コソボ紛争を理由にユーゴを空爆しており、セルビア当局はこれまで「敵」の制服作りを見逃していたことになる。[2000-03-06-08:34] 11
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 03/06@独「緑」代表が辞意(共同通信)

 【ベルリン5日共同】ドイツの連立与党、90年連合・緑の党のグンダ・レステル代表は五日、今年五月の党大会では「代表候補にならない」と述べ、辞意を表明した。
 環境保護と反核・平和を旗印とする同党は、与党として原子力発電所の廃止問題などで現実的な対応を迫られており、路線問題が辞意表明の背景にあるとみられる。同党はシュレーダー政権の連立与党となって以降、ユーゴスラビア空爆への同調や、原発即時廃止の公約撤回などの妥協を強いられており、支持者離れが進んでいる。[2000-03-06-08:33] 12
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 03/06@故郷チェコで友好強調 オルブライト米国務長官(共同通信)

 【ウィーン5日共同】チェコの次期大統領の座を狙うとうわさされたオルブライト米国務長官が五日、生まれ故郷のチェコに到着した。チェコスロバキアの初代大統領マサリクの生誕百五十周年とチェコの北大西洋条約機構(NATO)加盟一周年を記念する四日間の訪問となる。
 ハベル・チェコ大統領との会談後の記者会見で、長官はチェコの民主改革を評価、米国との友好関係を強調するとともに、ユーゴスラビアのコソボ自治州やセルビア南部でセルビア人とアルバニア系住民の衝突が再燃していることに「強い懸念」を表明した。
 オルブライト氏は一九四八年に共産主義政権の弾圧を逃れるため両親とともに米国に亡命、クリントン政権で米国史上初の女性国務長官になった。ハベル大統領が、次期チェコ大統領になる意思がないかどうか打診したと伝えられたが、長官は訪問前に否定した。
 長官は六日に東部ブルノのマサリク大学で講演、七日にはプラハでゼマン首相らと会談し、八日にはボスニア・ヘルツェゴビナのサラエボに向かう予定。[2000-03-06-08:32] 13
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 03/06@NATOとの融和表明 プーチン氏、加盟排除せず(共同通信)

 【モスクワ5日共同】ロシアのプーチン大統領代行兼首相は五日放映の英BBCテレビのインタビューで、北大西洋条約機構(NATO)がロシアを対等なパートナーとして扱うのであれば、将来のロシアのNATO加盟の可能性を完全に排除しないと指摘し、NATOとの融和路線に乗り出す用意を表明した。
 昨年のNATOによるユーゴスラビア空爆を通じロシアとNATOの関係は冷え込んだが、プーチン代行は安保問題でロシアの発言権が確保されることを条件に、関係改善を進める意向を表明した。
 次期大統領当選が確実視される代行が外国テレビの単独インタビューに応じたのは昨年末の大統領代行就任後初めて。
 NATOとの関係について代行は、NATO拡大の論議からロシアを排除しようとする試みがロシア側の反発を招いたと指摘、ロシアの意向を無視した拡大にあらためて警告。その上で「ロシアが対等のパートナーと見なされるのであれば、緊密な協力関係も可能と信じる」と述べた。
 代行はまた「孤立主義は選択肢にない」「ロシアは欧州の一員」と強調、西側との対話と協調関係を継続する方針も示した。[2000-03-06-07:42] 73
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 03/06@政府、EU加盟希望諸国へ積極支援方針(読売新聞)

 政府は、欧州連合(EU)入りを目指す中・東欧やバルト諸国が加盟基準を満たせるよう、経済、政治両面で支援を強化する方針を固め、関係省庁間で調整に入った。
 EUは現在、ポーランド、チェコなど十二か国と加盟交渉中だ。加盟希望国は警察・司法制度や税制など三十一分野の国内法をEUの基準に合致させなければならない。
 しかし、十二か国のうちの多くは十年ほど前までは共産主義体制だったこともあり、行政官や法律家などの人材不足は深刻だ。加盟基準を満たすには相当の年数が必要と言われる国もある。このため、日本政府は今後、関連する省庁、機関で、EU加盟希望国からの研修生などを積極的に受け入れる方針だ。
 またEU入りには環境基準の達成や、原子力発電所の安全性向上なども重要な要件で、こうした分野での技術的な支援も行う。
 こうした支援に加え、政治面でも、国連など国際的な会議の場をとらえて、EUの拡大支持を積極的に表明していくことにしている。
 日本政府内では最近まで、EUが現在の十五か国から将来、三十か国近くに拡大することが日本の国益にかなうかどうかについて議論があり、「世界貿易機関(WTO)交渉などでEUの発言力が巨大になり過ぎるのではないか」「EUと、EUに入れない旧ソ連諸国などの格差が広がる」といった懸念もあった。しかし二月末、外務省で開かれた欧州大使会議では、「より多くの国々がEU加盟を目標に民主化、市場経済化を進めて安定化することが日本の利益につながる」との見解で基本的に一致した。
 政府は今後、日EU間の政治対話を促進する考えで、二〇〇一年からの十年を「日欧協力の十年」(河野外相)と位置づけている。十二か国すべてがEU入りするには、早くても今後五―十年はかかると見られている。[2000-03-06-03:12]
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 03/07@<コソボ>セルビア人とアルバニア系住民が銃撃戦 10人負(毎日新聞)

 【ウィーン7日福井聡】ユーゴスラビア連邦コソボ自治州北部のミトロビツァで7日、セルビア人とアルバ二ア系住民の間で銃撃戦が起き、少なくともセルビア人10人が負傷した。
 現地に展開する国際平和維持部隊(KFOR)によると、銃撃戦は同日午後、双方の若者たちの小競り合いから始った。アルバニア系住民の若者1人がセルビア人青年に猟銃で発砲し負傷させた直後、アルバニア系住民地域からセルビア側に手投げ弾2発が投げ込まれたという。
 ミトロビツァではイバー川を挟んで北側のセルビア人と南のアルバニア系住民の対立が続いており、先月計8人の死者を出すなど緊張が高まっている。[2000-03-07-23:45] 16
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 03/07@コソボ紛争禍で大やけど3歳女児に本格治療を(読売新聞)

 ユーゴスラビア・コソボ紛争でセルビア部隊の砲撃を受けて自宅が炎上し、顔や頭に大やけどを負った女児に、満足できる整形治療の受けにくいユーゴではなく、日本で治療を受けさせたい――。国連コソボ暫定統治機構(UNMIK)行政担当官、井上健さん(42)を中心に、こんな活動が始まった。女児は今月二十四日、訪日し、東京の病院で診察を受ける予定。ただし、整形治療は長期に及ぶため、井上さんらは日本での募金に期待を寄せている。(コソボ自治州スカンディライで 西田 和也)
 この女児は、コソボ自治州中部スカンディライ市のアルバニア系住民、シェプチェット・ムスリーリさん(29)の娘ベシアーナちゃん(3)。二年前、ユーゴ・セルビア部隊が同市のアルバニア系住民の家々を次々と砲撃した。ムスリーリさん宅は炎上し、二階のベッドで寝ていたベシアーナちゃんの頭部を火が覆った。父親が救出したが、顔面や頭は重度のやけど。自治州には治療できる医療機関がなく、ようやく見つけたベオグラードの病院で、母親フェティエさん(30)の皮膚をベシアーナちゃんに移植した。だが、顔のほぼ右半分はやけどの跡が深く残り、顔面の皮膚は引きつったまま。頭髪は大半が生えない。
 井上さんがベシアーナちゃんの存在を知ったのは昨年九月、同統治機構のスカンディライ市行政担当官(市長)に就任してから。「コソボ紛争で膨大な数の犠牲者、被害者が出た。何も理解できないまま巻き込まれた子どもの将来を救いたい」と強く感じ、日本で治療できないか、と考えた。日本の支援で実現した同市の住民家屋修復事業に協力した、国際援助機関ADRAに話を持ちかけたところ、ADRA日本支部の関係する都内の病院が治療を引き受けてくれることになった。
 井上さんは三月二十四日、ベシアーナちゃんと母親を連れて一時帰国する。ベシアーナちゃんらの渡航費用は同統治機構職員らを中心とする募金でまかなった。ただし、今回は治療方針を決めるための診断が中心で、本格的な移植・整形手術を施せるのは皮膚の安定する十歳をすぎてからになる。治療を日本で継続するために、ADRA日本支部が中心となって募金活動を展開する。
 母親のフェティエさんは「私としては、言葉で表せないくらい日本に感謝している。顔にやけどの跡を残したまま一生を過ごすことを思えば、娘も我慢できるでしょう」と話している。[2000-03-07-22:31] 18
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 03/07@<海外コラム>ジャック・アマルリック=仏リベラシオン副編(毎日新聞)

 国際協力、特に国境を超えた軍事面の協力は息の長い仕事となる。欧州は多少、そのことを知っている。欧州の指導者たちは1950年代初めから共通防衛、欧州軍について語ってきたが、未だ実現に至っていない。
 半世紀にわたり、フランス、英国、オランダで特に根強いドイツ軍国主義復活に対する危惧が、実現の障害となっている。欧州各国と米国が長い間、ドイツ分割を漫然と受け入れてきたのも、この危惧ゆえだ。
 西独の北大西洋条約機構(NATO)加盟も、同じ感情に由来する。米国の保護下にあって、西独は軍事的に解放されることを求めるいかなる理由も見出さなかった。核兵器や国外派兵の放棄は自発的な選択でもあったのだ。
 冷戦終結と東西ドイツ統一は時間をかけて、この方程式を大きく変容させた。統合ドイツは「政治小国」で「NATOの従順な家臣」という地位と決別する意志を少しずつ固めてきた。その名に値する欧州防衛の誕生にとって、別な意味で恐るべき災厄が降りかかってきたともいえるのだが、コール、続いてシュレーダーの両独首相はNATOを拒むことなく、欧州共通安全保障の考え方に賛意を与えてきた。
 一方、フランスは、特にミッテラン大統領時代後期から、NATOを骨抜きにし、米国の欧州での影響力を小さくする手段としてのみ欧州防衛構想を考えていくことは現実から遊離した危険なことと理解しつつ、欧州共通安保を推進してきた。
 旧ユーゴスラビア解体、ついでコソボ紛争は、フランスを含め欧州諸国の努力にもかかわらず米国の参加でようやく軍事的に収拾をみた。ユーゴ空爆で兵たん、通信、偵察衛星による情報収集、最新鋭の兵器など、欧州は必要なものを持ち合わせていないことが露わになり、やがて決定的な事実となった。
 途上にある欧州防衛の最大のパラドックスとは、旧大陸(欧州)のことを語れば語るほど、国際会議で問題が前進を見るほど、欧州は米国との絆をたち切らないようますます配慮するようになるということだ。
 事情は単純明快だ。予算の問題なのだ。米国が国内総生産の3・6%を国防予算に充てているのに対し、英国は2・9%、フランスは2・5%、ドイツは1・4%でさらに防衛費減額を検討している。
 昨年12月、ヘルシンキ欧州連合(EU)首脳会議で合意した5〜6万人規模の欧州独自緊急展開部隊創設は、この分野でのほかのあらゆる欧州のイニシアチブ同様、この目的のため各国が実際に予算を計上する場合にのみ、信憑性を帯びてくる。現実は必ずしもそうはならないのだ。
 軍の近代化に必要なこの予算を組まず、研究・発展も顧みない姿勢は、欧州の決定的なぜい弱さを示す。このぜい弱さとは、米国が自立への動きを最大限抑え込むため声高に告発する、欧州のぜい弱さでもある。【訳・橋本 晃】[2000-03-07-18:22] 20
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 03/07@◎スロベニアのEU加盟を支持=首相(時事通信)

 小渕恵三首相は7日午後、首相官邸で、スロベニアのポドブニク国民議会議長と会談し、「独立後、新しい国づくりに全力で取り組み、国際的地位の確立と欧州連合(EU)加盟という大きな目標に向かうスロベニアの努力を全面的に支持する」と述べた。
 また、ポドブニク氏が将来の経済協力開発機構(OECD)加盟に向けた日本の協力と、首都リュブリャナへの日本大使館の早期設置を要請したのに対し、首相は「今後とも両国関係を緊密に強化していきたい」と答えた。[時事通信社][2000-03-07-16:10] 85
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 03/07@イラン大統領、独訪問受諾 欧州との関係改善加速へ(共同通信)

 【テヘラン7日共同】イランを公式訪問中のフィッシャー・ドイツ外相は七日、ハタミ・イラン大統領と会談、ドイツ訪問を招請した。会談後にフィッシャー外相と共同記者会見したハラジ・イラン外相は「大統領のドイツ訪問の準備をする。訪問は両国が新たな関係を築く好機になろう」と述べ、招請を受け入れたことを明らかにした。
 ハタミ大統領は昨年、イタリアとフランスを公式訪問しており、重要な貿易相手国であるドイツ訪問が実現すれば、ハタミ政権が推進する改革・開放政策の一環である対欧州関係改善の動きはさらに加速することになる。
 フィッシャー外相は、二月のイラン総選挙について「民主的なプロセスを経て行われた」と評価。「イランは戦略的に重要なパートナー」と述べ、関係拡大に前向きな姿勢を示した。
 一方、テヘラン市内のドイツ大使館前では、イラン・イラク戦争中にイラク軍の化学兵器で負傷した元イラン兵ら約五百人が「ドイツに化学兵器供与の責任がある」と非難。賠償を求めて抗議デモをした。[2000-03-07-19:43] 106
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 03/07@<独ヤミ献金>疑惑は欧州小国・リヒテンシュタイン公国にも(毎日新聞)

 ドイツ最大野党・キリスト教民主同盟(CDU)のヤミ献金疑惑が欧州の小国・リヒテンシュタイン公国にも波及した。同国を舞台に疑惑のカネが「資金洗浄」(マネーロンダリング)されたうえ、疑惑に連座する人脈が南米の麻薬マフィアとの関連を指摘されているからだ。この人脈には政府中枢に関係の深い人物もおり、ドイツの献金疑惑は同国を揺るがすスキャンダルに発展する可能性も出ている。【ジュネーブ・福原直樹】
 「リヒテンシュタイン・ルート」は、仏の大手石油会社「エルフ・アキテーヌ」社が92年、旧東独の精油会社を買収した際にCDUが関係した献金疑惑の捜査線上に浮かび上がった。98年と99年、「エルフ」社は「買収の際に約40億円を横領された」とスイス当局に告訴。調べでは、この金はジュネーブのダミー会社に入った後、リヒテンシュタインの2つのダミー会社に送られ、一部がCDUに流れた疑いがある。
 一方、独からサウジアラビアへの戦車輸出(91年)に絡む疑惑でも、リヒテンシュタインが関与してくる。同ルートでは、武器輸出に携わった業者・シュライバー氏が91年、スイス国内でCDUの財務担当者に約5500万円を渡したことが判明している。最近スイス当局は「二つの疑惑に絡む金はスイスとリヒテンシュタインの同じチャンネルを通して動いた。エルフ・ルートだけでも約650億円が動いた」と断言している。
 2つのルートがリヒテンシュタインで見事に結びついたわけだが、さらに興味深いのは献金疑惑のカギを握るという武器業者・シュライバー氏を巡る同国の「人脈」である。
 リヒテンシュタインの捜査当局筋によると、シュライバー氏の周辺には、(1)コカイン密輸に絡む資金洗浄容疑でイタリアに収監中の金融業者(2)独捜査当局から「麻薬関係の資金洗浄を行った」と指摘された金融業者(3)顧客から10数億円を横領した容疑でリヒテンシュタインに収監中で、独当局から「コロンビアの麻薬マフィアとの仲介役」と指摘された金融業者――の3人がいる、という。
 いずれも同国を中心に活動してきた業者で、シュライバー氏は過去(1)と(2)の人物と同じ会社を経営していた可能性もある、という。そして各国の捜査当局が注目しているのは、これら業者が、同国の政府や大手銀行などに人脈を持っていることだ。特に(3)の人物は、兄弟がリヒテンシュタインの検察幹部で同国の政財界とも深いつながりがある、という。
 ヤミ献金疑惑を捜査する独当局などは、これらの人脈に注目、すでにリヒテンシュタイン側に情報を提供した。同国も疑惑資金の流れと共に自国の「黒い人脈」の徹底解明を急いでいる。
 だが「献金疑惑の捜査の進展で、南米マフィアと国の中枢を結ぶスキャンダルが暴露されるのではないか」(同国政府幹部)という危惧があるのは事実で、同国の捜査の遅れを批判する声も各国から出ている。[2000-03-07-17:17] 110
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 03/07@3人に1人は出生届未提出 権利迫害とユニセフ警告(共同通信)

 【バンコク7日共同】世界中の子供の三人に一人は、出生届が提出されていないため、市民としての権利を閉ざされている―。バンコクで開会中の国連児童基金(ユニセフ)アジア地域年次総会で、こんな実態が七日までに報告され、ユニセフは非政府組織(NGO)と協力して事態の改善に乗り出した。
 ユニセフのゴータム東アジア太平洋局長によると、全世界で一年間に生まれる子供約一億二千万人のうち、出生の公的な届けが提出されない新生児は約四千万人に上り、この六割にあたる約二千四百万人がアジアの子供。
 特に、インド、ミャンマー、カンボジアでは出生届の提出率が五割に満たず、新生児の半数以上が出生記録がないために、学校へ行けなかったり、公的医療が受けられないなどの不利益を被っているという。
 このため、ユニセフは英国のNGO「プラン・インターナショナル」などと協力して、内戦で壊滅したカンボジアの住民登録制度構築などの支援を開始。フィリピンやインドネシアでも、地方部を中心に出生届提出のキャンペーンを実施している。
 ゴータム局長は「出生届のない子供は、人身売買などの標的になりやすい。自分が生まれたことを記録してもらうことは、人間としての最初の権利だ」と強調している。[2000-03-07-16:19] 141
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 03/07@<人道違反>ベルギーの判事 今度はイランの前大統領を捜査(毎日新聞)

 【ブリュッセル6日森忠彦】「人権外交」の観点から、ピノチェト・元チリ大統領の英国からの釈放に反対してきたベルギーの判事が、今度はイランのラフサンジャニ前大統領の人道違反容疑について捜査を開始した。しかし早速、イランから「内政干渉」と反発され、苦慮している。
 ベルギーには国内法として「人道違反法」があり、著しい人権侵害なら国外で起きた事件でも告訴が可能だ。実際には制限が多く、政治的メッセージの性格が強いが、「人権外交」を看板に掲げる現政権は積極的にこの法律を活用。旧ザイール紛争やカンボジアのポルポト時代の人道問題などについても訴えている。
 今回の告訴は、イラン生まれで現在ベルギー国籍を持つ人物が、政治犯としてイラン政府に拘束された1983年から89年の間、監禁やごう問などの人権侵害を被ったとの内容。当時の権力者だったラフサンジャニ前大統領の責任を問う形で、当時の人権状況について調査する予定だ。
 しかしこれは、イラン政府にすれば内政干渉そのもの。ハラジ外相は「ベルギーの行動は外交や国際法の常識から外れたものだ」と酷評。テヘラン駐在のベルギー大使へも政府や議会などから抗議が集中した。
 一方、欧州連合(EU)とイランのとの関係が改善方向にあることもあり、EUの中でも浮いた状態にある。5日、イランを訪れたイタリアのディーニ外相は「EUの代表としての行動ではない」と、あくまでもベルギー独自の外交術という認識を示した。
 相次ぐ批判にベルギー外務省は同日「イランとの友好関係を損なうものではない」という見解を示した。第3国が国内法で外国の人権侵害を裁くという概念が定着していないこともあって、早くも「孤独な戦い」となっている。[2000-03-07-10:25]
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 03/08@◇アナン国連事務総長、PKO見直し委員会を設置◇(朝日新聞)

 アナン国連事務総長は7日、平和維持活動(PKO)のあり方を見直すため、国際的な有識者の委員会(パネル)を設置したと発表した。紛争調停の国連特使を長年務めるブラヒミ元アルジェリア外相が委員長になり、7人の委員には国連PKO局幹部を歴任した志村尚子・津田塾大学長も含まれている。
 委員会は、アフリカのルワンダや旧ユーゴスラビアのボスニアで大量虐殺を防げなかったPKOの反省をもとに、どのような兵力が必要で、実際に虐殺が起きた時はどうすべきかなどについて、7月までに勧告を出す。国際社会で賛否の分かれる「人道的介入」をめぐり、議論を喚起する狙いもあると見られる。
 事務総長は勧告を、9月の国連総会で2000年を記念して世界各国の元首らが集まる首脳会議「ミレニアム・サミット」に提出し、協議を求める。
 ルワンダやボスニアのPKOでは、任務のあいまいさや兵力の不足が失敗につながったと指摘され、大量虐殺の発生を知りながら行動できなかった国際社会の「意思の欠如」が批判された。
 その後、各国はPKOへの参加に消極的となったが、昨年のユーゴ・コソボ自治州と東ティモールに大規模PKOを派遣するなど流れが変わってきた。今回の委員会設置は、こうした追い風を受けてPKO派遣の新たな基準づくりを目指すものだ。
 一方、事務総長は記者会見で人道的介入について、今後1年以内に議論を集約し、「武力行使が認められる場合の共通の利益とは何か。だれがそれを定義し、どこの承認のもとで、いつ、いかに介入するのか。国連安全保障理事会が統一見解に達することを望む」と述べた。
 委員会にはほかに、アトウッド前米国国際開発庁(USAID)長官、ソマルガ前赤十字国際委員会(ICRC)委員長らが参加する。
  ◇ ◇ 志村尚子さん 津田塾大英文学科を卒業後、米国へ留学。セントラル・ミシガン大助教授などを経て、国連事務局に入り、PKO局などで25年勤務した。イラン・イラク紛争などの歴史的な調停会議にも立ち会った。1996年11月、津田塾大学長に就任。[2000-03-08-22:36] 4
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 03/08@<コソボ>住民間で起きた銃撃戦の負傷者41人に(毎日新聞)

 【ウィーン8日福井聡】ユーゴスラビア連邦コソボ自治州北部のミトロビツァで7日午後(日本時間同夜)、セルビア人とアルバ二ア系住民の間で起きた銃撃戦の負傷者は計41人に上った。
 現地に展開する国際治安維持部隊(KFOR)によると、負傷者の内訳は、セルビア人20人、アルバニア系住民5人、KFOR仏兵士16人の計41人が負傷した。KFORはアルバニア系住民2人を逮捕し、同日午後8時から夜間外出禁止令を実施した。
 ミトロビツァでは昨年6月、ユーゴ軍が撤退した直後から南北が双方に分断される形となり、イバー川に架かる橋をはさんだ対立が繰り返されてきた。同橋からユーゴ国境までの北側はコソボ内でも依然、セルビア人が多数派の地域で、セルビア人にとってミトロビツァが「コソボの橋頭堡(ほ)」となっている。[2000-03-08-13:12] 5
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 03/08@<国連>PKOのあり方検討で作業部会設置(毎日新聞)

 【ニューヨーク7日上村幸治】国連のアナン事務総長は7日、国連平和維持活動(PKO)のあり方を検討するため、作業部会を設置、志村尚子・津田塾大学長を含む8人を委員に任命したことを明らかにした。
 1994年のルワンダでの虐殺、翌年のボスニア・ヘルツェゴビナ内戦におけるスレブレニツァの虐殺を防げなかったことを反省、虐殺防止の観点から研究を進めることになる。アナン事務総長によると、作業部会は今年7月までに研究を終え、世界中の指導者が集まる秋のミレニアム総会に報告を出す予定だという。
 PKOをめぐっては、昨年暮れ、スウェーデンのカールソン前首相らが、ルワンダ虐殺の際の国連の対応を批判する報告書を発表している。報告書は、今後同様の事態が起きないよう、PKOの強化を促していた。[2000-03-08-11:49] 6
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 03/08@◇コソボで銃撃 仏兵士を含む40人以上が負傷◇(朝日新聞)

 ユーゴスラビアからの報道によると、町を分断する民族の衝突が続くコソボ自治州北部のコソブスカ・ミトロビツァで7日、再び発砲事件があり、鎮圧に向かった国際部隊のフランス軍兵士16人を含む40人以上が負傷した。ミトロビツァでは先月初めから衝突が相次いでおり、すでに10人以上が死亡、数十人が負傷している。
 現場はセルビア人が多数を占める同市北部。同日昼すぎ、わずかに残ったアルバニア系の青年グループが、口論をきっかけにセルビア人グループに発砲、手りゅう弾を投げ、小競り合いを繰り返した。この事件でセルビア人20人、アルバニア系5人が負傷。アルバニア系青年は駆けつけた仏軍兵士に向けて手りゅう弾を投げたため、兵士らも軽傷を負った。[2000-03-08-11:47] 7
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 03/08@衝突の負傷者40人以上に コソボ、帰還計画に障害(共同通信)

 【ウィーン7日共同】ユーゴスラビア・コソボ自治州からの報道によると、北部コソブスカ・ミトロビツァで七日に起きた衝突の負傷者は、同日夜までに国際治安部隊のフランス軍兵士十六人を含め計四十人以上となった。
 セルビア人が多数を占める同市北側でアルバニア系住民約千五百人がまとまって住む「リトル・ボスニア」地域で起きた両者のけんかが発端とみられ、セルビア人二十人、アルバニア系住民五人も負傷した。
 先月以降、両住民の衝突が激化している同市では、北大西洋条約機構(NATO)軍主体の国際部隊が避難住民の帰還計画を進めているが、今回の衝突で計画の停滞が予想される。
 同市のセルビア人指導者はユーゴのベタ通信に対し、NATOのクラーク欧州連合軍最高司令官が七日に同市を訪問、国際部隊がセルビア人保護に全力を尽くすと約束したと述べた。
 同部隊は衝突に絡みアルバニア系住民数人を逮捕した。[2000-03-08-08:51] 25
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 03/08@地雷2百万個、大量流出か 大洪水のモザンビーク(共同通信)

 【ボキソ(モザンビーク南部)7日共同=磯谷直人】五十年ぶりの大洪水で百万人が被災したとされるモザンビークで、内戦中に埋設された二百万個ともいわれる地雷が大量流出した恐れが出てきた。住民救援で手いっぱいの同国政府は、またひとつ深刻な問題を抱え込んだ。
 「地雷原の上を、ひざ丈の深さの水が勢いよく流れていた。相当数の地雷が流出したと思う」。七日訪れたマプト州ボキソの地雷除去現場でフィリペ・セザールさん(26)は語った。
 作業員らは「長期間かけて除去した場所も安全ではなくなった。一から探査をやり直す必要がある」とやり切れない表情を見せた。
 セザールさんは、国連などがつくる「地雷除去促進プロジェクト」(ADP)の作業員として、同州を流れるインコマチ川近くのモタゼで、地雷除去に当たっていた。
 だが二月の豪雨とサイクロンで現場は完全に冠水。作業が継続できなくなり、同月二十九日にボキソに配置転換となった。洪水後にモタゼを後にした別の作業員(30)は「現場に車で行こうにも、その道が安全かどうかも分からない。これから長期戦ですよ」。
 洪水被害のひどかった同国南部で集中的に地雷除去に当たっているADP関係者によると、モタゼのほか、ガザ州のマパイ、チグボも同様な状況で、除去活動は現在中断している。
 一九九二年の包括和平協定調印まで十六年間内戦が続いたモザンビークでは、送電設備防衛などの名目で、モザンビーク解放戦線(現与党)と当時の反政府勢力、モザンビーク民族抵抗運動が競って地雷を埋設した。中には、流出の危険性が高い木製の軽量地雷も。
 政府の地雷対策局のフェリシモ所長は「もともと百年かかるといわれていた完全除去が、さらに困難になった」と衝撃をあらわにした。
 ADPのアルメイダ所長によると、水がひいた後に地雷探査専門の犬を使い、地域の安全性を確認。危険な場合は地雷探知器を使った除去作業が行われることになりそうだ。日本政府はADPに六十万ドル(約六千五百万円)の支援を検討中という。
 だが、洪水で橋が各地で流されたほか道路も分断されたため、迅速な対応は困難とみられる。フェリシモ所長は、本格的な実態調査が四月にずれ込むとしたうえで「既に流出地雷による被害が出ている可能性がある」と焦りを募らせている。[2000-03-08-17:50]
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 03/09@◇NATOにユーゴのスパイ? 英紙報道◇(朝日新聞)

 英紙ガーディアンは9日、昨年の北大西洋条約機構(NATO)によるユーゴ空爆で、ブリュッセルのNATO本部内の人物が空爆作戦の計画などをユーゴ当局に伝えていたとするスパイ疑惑を報じた。NATOは「ただのうわさ」と否定している。
 同紙は米国当局者の情報として、NATO軍に毎日出されていた偵察機や爆撃機の作戦計画がユーゴ当局に漏れ、ユーゴ側はこの情報をもとに、自国の軍や警察部隊の配置を変更していたという。[2000-03-09-22:02] 12
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 03/09@ユーゴ空爆情報は筒抜け NATOにスパイと英紙(共同通信)

 【ロンドン9日共同】九日付英紙ガーディアンは、昨年三月に北大西洋条約機構(NATO)軍がユーゴスラビアへの空爆を始めた当時、ユーゴ軍はNATO内のスパイからの情報で、連日の攻撃計画を事前につかんでいたと報じた。
 同紙が米軍の機密文書を元に伝えたところでは、空爆開始から約二週間、NATO軍の空爆目標や偵察飛行計画を含む作戦の詳細がユーゴ軍に漏れていた。
 この結果、ユーゴ側は空爆に先立って避難したり、偵察の目を欺くことができたとされている。
 スパイの存在に気付いたNATO側は攻撃計画の伝達方法を改め、約二週間で情報漏れは止まった。当初、NATO軍の毎日の攻撃計画を知りうる人間は六百人もいたという。
 空爆作戦の指揮をとっていたNATOのクラーク欧州連合軍最高司令官(当時)は、早い時期から機密漏えいに気付き、「早くスパイをつかまえたい」と語っていたという。[2000-03-09-12:22] 13
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 03/09@国際組織同士にあつれき コソボの銃撃戦捜査(共同通信)

 【ウィーン8日共同】四十人以上の負傷者を出したユーゴスラビア・コソボ自治州北部のコソブスカ・ミトロビツァの六日の銃撃戦捜査をめぐり、北大西洋条約機構(NATO)軍主体の国際治安部隊と国連主導の国際警察のあつれきが七日、表面化した。
 現地からの報道によると、国際警察の現地副司令官は記者団に、この種の事件では警察に捜査権があるものの国際治安部隊のフランス軍が現場検証を妨害したと述べ、物証採取や事情聴取に支障が出たと不満をぶつけた。
 これに対し、コソボ北部を管轄するフランス軍の報道官は、そのような問題があったことを知らなかったとし「事実とすれば十分な理由があったのだろう」と述べた。
 六日の衝突では、仲介に入ったフランス兵十六人が爆発物で軽傷を負った。[2000-03-09-08:12] 87
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 03/09@◇チベット自治区指導者「カルマパ問題の政治利用に反対」◇(朝日新聞)

 北京での全国人民代表大会(全人代)に参加中のチベット自治区人代のライディ主任(区共産党委副書記)は9日記者会見し、チベット仏教の高位活仏カルマパ17世のインド出国問題について「これをダライ・ラマ集団などが祖国分裂をはかる政治活動に利用することに断固反対する」と述べ、同教の最高指導者ダライ・ラマ14世に身を寄せたカルマパ17世の政治利用に強い警戒心を表明した。カルマパ問題で自治区指導者が中国国内で外国人記者に見解を表明したのは、これが初めて。
 同主任はカルマパ17世が住まいの同自治区のツルプ寺に残した「祖国、民族に背かない」などとした手紙を「自分でも見た」と強調。「ダライ・ラマ集団と国外の勢力が17世を支配し、自己の政治目的達成のために利用している」と非難した。
 また17世の両親や身辺にいたラマ僧らが拘束されたとの報道は「根拠のないデマだ」と否定。中国政府認定のパンチェン・ラマ11世とは別にダライ・ラマ側が同11世と承認した少年の消息については「中国国内で幸せに生活し、学習成績も良い」などと語り、軟禁説などを否定した。[2000-03-09-22:56] 88
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 03/09@◇中国、民族自治法を改正へ◇(朝日新聞)

 中国で開会中の全国人民代表大会(全人代)の李鵬・常務委員長は9日、常務委員会の活動報告を行った。李委員長はこのなかでチベットや新疆ウイグルなど少数民族地域政策の根幹となっている「民族区域自治法」を年内に改正する方針を明らかにした。チベット仏教の活仏(生き仏)の出国など、民族・宗教問題の矛盾が噴き出すなか、少数民族政策の見直しを迫られた形だ。
 李委員長は自治法改正の理由として、(1)民族区域自治制度の改善(2)少数民族地域の経済・社会発展の促進(3)民族団結を強め、祖国統一を守り、民族分裂に反対する、を挙げた。改正の内容や方向性には言及していない。改正は1984年の制定以来となる。
 民族区域自治制度は、少数民族地域に自治区や自治州を設け、独自の言語使用や一定の財産管理、国境貿易権などを認める制度で、「一人っ子政策」の規定もゆるやかに適用されるなどの優遇もある。しかし、自治の実権を握るのは少数民族代表の自治区政府主席ではなく、漢族が占める共産党の地元書記であり、党を中心とする国家統合に少数民族を取り込む仕組みでもある。
 中国政府はカルマパ問題で衝撃を受け、コソボやチェチェンの紛争から民族問題安定の重要性を痛感。今年から本格化する「西部大開発」にも少数民族地域の底上げという狙いが込められている。[2000-03-09-22:53]
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 03/10@私企業や学生使い活発化 CIAが中国スパイ報告(共同通信)

 【ワシントン9日共同】米中央情報局(CIA)と連邦捜査局(FBI)は九日、中国の対米スパイ活動の初の報告書を発表、中国が一九九○年代初頭から対米スパイ活動を活発化し、私企業、米駐在ビジネスマン、留学生らを巻き込んで広範囲に情報収集を進めていると指摘した。
 報告書は、スパイ活動は軍事技術、政治・外交情報、産業技術が対象で、米政権・議会への影響力の行使を目指しており「米情報機関への浸透が主要目的だ」と述べ、CIAなどもスパイの標的となったとしている。
 報告書によると、中国の国家安全省が非軍事スパイ活動を、人民解放軍総参謀部軍事情報局が軍事情報、同軍総政治部連絡局が台湾情勢をそれぞれ担当。
 軍事情報の収集は、湾岸戦争や対ユーゴスラビア空爆で米国の優れた軍事技術に強い印象を受けて強化された。FBIが米国を舞台にした軍事情報局の秘密情報収集を阻止した例もあるという。米軍の海外での活動、台湾への軍事技術売却もスパイ活動の対象となっている。
 産業スパイは、国家安全省が軍民両用の産業技術や遺伝子工学などの先端技術を狙い、在米の民間中国人を幅広く長期間にわたり情報収集に使っている。在米中国系企業の一部はスパイ活動の隠れみのとなっている。
 米政権・議会への影響力の行使は、九五年に台湾の李登輝総統の訪米が実現したことに焦燥感を抱いた中国側が米政治対策を専門に行う組織を設立、米議員の招待、中国系米国人の政治参加を促している。
 報告書は米議会の要請を受けてまとめられた。公開されていない機密版もある。[2000-03-10-11:06] 14
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 03/10@仏で選挙候補者を男女同数にする法案が成立へ(読売新聞)

 フランス女性の政界進出を促すための男女同数(パリテ)法案が上院で審議されている。来年から上院の一部などを除き、選挙の候補者を男女同数に割り当てる内容だ。上院は近く、一部修正して可決するものと見られ、法案はその後の上下両院協議を経て成立する見込みだ。一九九〇年代半ばにベルギー、北欧で相次いで誕生した男女同数法の波が、男性支配の強いフランス政界にも到来した。(パリ 池村俊郎)
 法案は国民議会(下院)を、反対わずか一票という圧倒的表決で通過した。その柱は、〈1〉各党は、単純小選挙区制の下院選で、候補者を男女同数とするか、男女の数の差を2%以内におさえる〈2〉比例代表制で行われる、住民二千人以上の市町村議会、県議会、地域圏議会、上院の一部、欧州議会の各選挙の候補者リストを男女同数とする――というもの。この結果、フランスの公選の九割近くが対象となる。
 来年三月の統一地方選で初導入される見込みで、保守政党・共和国連合(RPR)関係者は「地方では指導力のある女性の人材確保が大変。各党とも準備に走り出している」と話す。
 同法導入について仏マスコミは「一九四四年の婦人参政権確立、一九七〇年代の堕胎法成立に続く、男女格差是正のための第三の革命」と評価している。
 同法導入は、ジョスパン左翼連立内閣の公約の一つ。女性票を左翼陣営に取り込む計算もあったが、仏政界の女性議員の比率は北欧諸国に比べ、圧倒的に低い。
 現在、仏下院(定数五七七)の女性議員は六十三人で構成比10・9%。上院(同三二一)では十九人で同5・9%。地域圏議会では約7%、人口三千五百人以上の市町村議員では約8%。欧州議会議員だけは40%を超えている。
 国会に占める女性議員の比率は、スウェーデン40%、ノルウェー39%、フィンランド33%と北欧諸国が抜きんでている。北欧諸国が九五年から地方レベルで男女同数法を成立させ、これが国会の女性進出を促した経緯がある。一方、ベルギーは九四年、世界で初めて国会議員候補者の男女比を定めた法律を成立させた。
 ただし、候補者が男女同数になったとしても、選出される議員は男女同数にはならない。ベルギーでは当選者の中の女性の比率は12%だ。フランスで導入されれば、女性議員は少なくとも倍増すると見られ、「男性主体」の法施行に変化が生まれるのは必至とされる。
 ◇
 男女同数法の政府原案を作成したカトリーヌ・ジェニソン下院議員(社会党)の話 法案が成立し、候補者数が男女同数になっても、当選議員の半数が女性になるのではない。シミュレーションでは、女性の割合は40%になる、と出た。
 女性議員の中には反論もあるが、それは「勝ち取らない限り、だめだ」という原則からだろう。その見方も尊重する。フランスでは政党の決定プロセスは民主化された。夜遅く、男だけの小グループで物事を決定した時代は終わった。政界の男女平等へ向けた素地はできている。[2000-03-10-22:38] 15
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 03/10@イスラエル、ヨルダン川西岸の10%併合提案へ(読売新聞)

 【エルサレム10日=当間敏雄】イスラエル紙ハーレツは十日、バラク同国首相がパレスチナ独立国家を承認することと引き換えに、ヨルダン川西岸の約10%をイスラエルに併合することをパレスチナ側に提案する方向で準備を進めている、と報じた。今年九月十三日までに「最終合意」を得ることになっている「最終地位交渉」の中でパレスチナ自治政府のアラファト議長に伝えられる見込み。
 パレスチナ紛争の包括的解決を目指す「最終地位交渉」ではエルサレム帰属問題など難問の解決が迫られているが、期限までにすべてのテーマで合意が得られる可能性は少ないとの見方が強まっている。[2000-03-10-22:08]
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 03/11@また有毒物質流出か ルーマニア(共同通信)

 【ウィーン10日共同】ルーマニア国営通信ロムプレスによると、ドナウ川に猛毒物質シアン化合物が流出して東欧各国に汚染被害を出したルーマニア北部で十日、別の鉱山からまた有毒物質が流出した恐れが出てきた。
 二日間続いた大雨と雪解けで土砂をためていたダムの壁の一部が決壊し、国営バヤボルサ鉛・亜鉛鉱山から約二万トンの残土がティサ川支流のバセル川に流れ出した。専門家が流出物質の調査に向かった。
 ハンガリー通信によると、ルーマニア政府から通告を受けた隣国ハンガリーでは、住民に警戒を呼び掛けた。
 バセル川はハンガリーでティサ川に合流しユーゴスラビアでドナウ川につながっている。[2000-03-11-12:32] 61
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 03/11@イラク査察委員に数原氏 アナン国連総長が任命(共同通信)

 【ニューヨーク10日共同】アナン国連事務総長は十日、対イラクの新査察機関、国連監視検証査察委員会(UNMOVIC、ブリクス委員長)の委員に数原孝憲・前駐アイルランド大使ら十六人を任命した。
 委員は軍縮、生物・化学兵器の専門家や外交官らで構成される。数原氏は国際原子力機関(IAEA)などを担当するウィーン国際機関代表部大使、駐ナイジェリア大使などを歴任、一九九五年から九九年まで駐アイルランド大使を務めた。
 ブリクス委員長は今後、査察官などのスタッフや管理運営問題についての組織計画を立案し、来月中旬までに安全保障理事会に提出、UNMOVICの組織としての骨格が出来上がる。
 UNMOVIC設置に伴って廃止された国連大量破壊兵器廃棄特別委員会(UNSCOM)からは英国、カナダ、フィンランドの三人が横滑りした。[2000-03-11-10:50]
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 03/12@◇コソボ戦火で顔にやけど負った少女、支援求め来日へ◇(朝日新聞)

 戦禍からまだ立ち直っていないユーゴスラビア・コソボ自治州に、セルビア人の民兵らに家を焼かれ、顔半分にひどいやけどを負った少女がいる。ベシアナ・ムスリウちゃん(4つ)。彼女が住む中北部スケンデライ地区の行政最高責任者である国連コソボ暫定行政支援団(UNMIK)職員、井上健さん(42)が近く一時帰国する際に、両親とベシアナちゃんを同伴し、日本で整形手術を受ける道がないか、支援を訴える。
 ベシアナちゃんの家が焼かれたのは、コソボ紛争が激化しつつあった1998年3月。夜中に突然、砲弾が撃ち込まれた。家の中はあっという間に火の海と化し、父シェフチェトさん(29)、母フェティエさん(29)は、寝ていた子供たちを起こして外に逃げた。
 だが、2階で寝ていた長女のベシアナちゃんを助けそびれた。シェフチェトさんが急いで炎の中に引き返すと、燃えさかるベッドの中で、ベシアナちゃんが体の左側を下に横にしたまま、号泣していた、という。
 フェティエさんは、今も肩をふるわせる。「私たちは何も知らない、ただのアルバニア人。セルビア民兵のやったことです」 州都プリシュティナからユーゴの首都ベオグラードまで転送され、応急処置を受け、命は助かった。だが顔の右半分がケロイドとなり、髪の毛も耳たぶもほとんど跡を残していない。
 昨年のユーゴ空爆の際、一家はアルバニアへ脱出した。大量難民流出への対応に追われる援助関係者に、「この子のやけどは何とかならないか」と頼んでも、「余裕がない」という返事だった。空爆終了後は、ベシアナちゃんのおじの家に身を寄せているが、両親には職がない。医療の整わないコソボで満足な手当てを受けさせることも不可能だ。
 国連の行政責任者としてこの地区に赴任してきた井上さんが、このことを知り近く休暇で帰国する際、ポケットマネーでベシアナちゃんらを連れていくことにした。井上さんは「何とかしてあげたい。これから思春期にかけて何度も手術が必要だ。相当の費用がかかる。日本人の助けを求めたい」と訴えている。[2000-03-12-19:32] 98
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 03/12@違法ダイヤ取引で内戦激化 国連アンゴラ制裁委報告(共同通信)

 【ニューヨーク11日共同】アンゴラの反政府ゲリラ勢力、アンゴラ全面独立民族同盟(UNITA)が国連決議に違反してダイヤモンドを密売し武器を購入、内戦激化に拍車をかけているとして、取引経由地のアフリカ各国や世界最大の取引所を抱えるベルギーなどに厳しい対応を求める国連アンゴラ制裁委員会報告書の概要が十一日、明らかになった。十五日の安全保障理事会で討議される。
 国連外交筋によると、報告書はアンゴラのダイヤ採石地域を支配するUNITAがダイヤ取引を禁止した一九九八年の安保理決議に違反しダイヤ原石売却を続けていると指摘。違法にダイヤを購入したとして西アフリカ、トーゴのエヤデマ、ブルキナファソのコンパオレ両大統領を批判。
 原石の多くはダイヤ取引・研磨の中心であるベルギーのアントワープで取引され、UNITAは売却利益と引き換えに武器をブルガリアから購入しているとしている。
 また報告書は違法取引にかかわったアフリカ諸国に対し武器取引の三年間の全面停止を勧告。「極めて緩やかな監視と規制」がUNITAによるダイヤ密売を助長したとベルギーを批判、不法取引業者を訴追するよう求めている。[2000-03-12-09:49]
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 03/13@ボスニアの虐殺で初公判(共同通信)

 【ブリュッセル13日共同】国連の旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷(オランダ・ハーグ)で十三日、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争中に国連安全地域のスレブレニツァでイスラム教徒の大量虐殺を主導したとして起訴された元セルビア人勢力司令官ラディスラフ・クルスティッチ被告の初公判が行われた。
 同被告は一九九五年、ボスニア東部スレブレニツァでセルビア人勢力による「民族浄化」を指揮し、イスラム教徒約六千人を追放、虐殺したとされる。被告は当時のセルビア人勢力指導者カラジッチ氏と近い関係にあったという。
 公判は数カ月かかる見通し。[2000-03-13-19:46] 28
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 03/13@アフガン東京会議を拒否 タリバン、独自外交実らず(共同通信)

 政府は十三日、アフガニスタン和平に向けて、タリバン政権との非公式協議を外務省で開いた。日本側は、反タリバン勢力を交えた和平復興会議を東京で開くことをあらためて提案したが、タリバン政権側は「タイミングが適切ではない」と拒否した。
 日本からは榎泰邦・外務省中近東アフリカ局長、タリバン側からザヒド外務次官らが出席した。
 政府は反タリバン勢力の幹部も招いており、十四日に反タリバン側と会談、復興会議への出席を求める。
 一九九六年に和平復興会議の東京開催を提唱して以来、政府はこれまでに二回、タリバン政権と反タリバン勢力を東京に招いて和平努力を呼び掛ける独自外交を展開している。
 非公式協議後の文化遺産の保存に関する協議では、アフガニスタンの遺跡保存のため、日本政府と国連教育科学文化機関(ユネスコ)による共同調査団の派遣を検討することになった。[2000-03-13-20:45] 33
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 03/13@武装勢力野戦司令官を逮捕 プーチン氏が政治的得点(共同通信)

 【モスクワ13日共同】ロシアのプーチン大統領代行兼首相は十三日、ロシア連邦軍と戦闘を続けているチェチェン共和国のイスラム武装勢力の有力指導者、ラドエフ野戦司令官を十二日に同共和国内で逮捕し、モスクワに移送、収監したことを明らかにした。昨年九月から始まったチェチェン進攻で武装勢力の指導者が捕まったのは初めて。
 司令官は一九九四年からの第一次チェチェン紛争でも武装勢力を率い、九六年一月には隣接するダゲスタン共和国の病院占拠事件で民間人を含む多数の死傷者を出すなど野戦司令官の象徴的存在。二十六日の大統領選を控えた大統領代行陣営は、司令官逮捕を政治的得点として誇示することになりそうだ。
 ロシア最高検察庁は十三日、司令官を九七年のロシア南部ピャチゴルスク駅爆破事件に関与した罪で起訴した。司令官は連邦当局から指名手配されていた。
 司令官の逮捕は、南部山岳地帯に立てこもる武装勢力にとっても大きな打撃となった。
 インタファクス通信によると、ラドエフ司令官は連邦保安局による「特殊作戦」で、チェチェン東部のグデルメス地区ノボグロズネンスキー村で逮捕された。
 代行によると、司令官はシェワルナゼ・グルジア大統領の暗殺未遂事件への関与も認めている。[2000-03-13-19:46] 44
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 03/13@独立せず「特別な地域」に アチェ住民大会委員長(共同通信)

 【メダン(インドネシア)13日共同】インドネシア・アチェ特別州の独立紛争の和平に向けて今月下旬に開かれる予定の住民大会のヌルニクマト組織委員長(73)は十三日までに北スマトラ州メダンで共同通信と会見し、アチェを外交、国防、通貨発行以外のすべての決定権を地元が握る「特別な地域」とすることを目指す方針を明らかにした。
 アチェでは国軍による独立派ゲリラ掃討作戦が強化され、住民の間に和平待望論が強まっているが、独立を目標としない方針が、広い支持を集められるかは微妙だ。
 同氏は「私たちはインドネシアにとどまる。私たちは若いころ、国のために戦った。アチェ人の戦いがなければインドネシア独立はなかった」と述べ、独立の是非を問う住民投票を先延ばしにするだけではなく、同国からの分離そのものを否定する考えを示した。
 また「特別な地域」は連邦制国家内の共和国のような高度な自治権を有する地域を意味することを認めたが「(独立派ゲリラ)自由アチェ運動を刺激するので、自治という言葉は使わないようワヒド大統領に助言されている。大統領は『特別な地域』に賛成との感触を得ている」と語った。
 住民大会を開き、政府との交渉を急ぐ最大の理由は「アチェでこれ以上住民が殺されないようにするためだ」と述べ、国軍とゲリラの双方に停戦を求める考えを強調した。[2000-03-13-17:21] 47
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 03/13@イランで復活する民族主義 若い世代にモサデク人気(共同通信)

 イスラム聖職者による支配が確立しているイランで、ペルシャ人としてのアイデンティティーを求め、民族主義を志向する若者が増えている。若者たちが理想とするのは故モサデク元首相。一九五一年、石油国有化宣言で英国の資源支配を打破したイラン現代史上の国民的英雄だ。
 三月三日、テヘラン近郊の村アハマドアバード。元首相の私邸で開かれた死去三十三周年の追悼記念集会に三千人以上もの若い支持者らが集まった。主体は学生や医師、教師といった知識層。エルブルズ山脈からの冷たい風が吹き下ろす中での熱気が、高まりを見せる「モサデク人気」を象徴する。
 「参加者の数は年々増えている。学校ではモサデクのことなんか教えてくれないけれど、みんな彼の偉大さは知っている」。大学生アリ・イスカンダリさん(24)が周囲の警官を気にしながら語る。
 主催者は非合法政党「イラン自由運動」。現体制は勢力拡大を恐れて厳しい警戒の目を向ける。民族主義の高揚はイスラム体制の存続にとり危険だからだ。二月の総選挙では、護憲評議会が同党の全候補者の出馬資格を認めなかった。首都での集会も許されない。
 それでも「モサデク人気」はじわじわと復活している。テヘラン市議会は最近、ある広場の「モサデク広場」への改称を検討し始めた。国会も昨年末、一度は撤廃を決めた石油国有化の記念日を祝日に復活させた。
 イラン自由運動副党首のテヘラン大学教授ゴラムアッバス・タバッソリ氏(64)は「王政時代も革命後も弾圧で多くの仲間が投獄されたが、支持者は膨れ上がる一方だ」と胸を張る。
 イランではここ数年、建国叙事詩「シャーナーメ(王の書)」の登場人物にちなむ名前をわが子につける若い親が増えている。「イスラムの価値は尊重するが、わが国にはイスラム以前からの文化や生活習慣も色濃く残っている。それを断絶させてはならないと国民が考え始めた証拠」と教授は指摘する。
 女子学生のマフナズ・アスガリさん(26)は「モサデクは祖国を外国支配から解放した英雄。彼が(現在も)いたらイランはもっと発展していた」と話した。
 アハマドアバード村の集会終了後「アラー・アクバル(神は偉大なり)」の叫びが村外れで聞こえた。集会に抗議するイスラム過激派の青年たちだ。
 イスラムの価値順守を訴える保守派は二月の総選挙で大敗。「民族主義者」たちを乗せたバスの車列に投げ付けられる抗議の声は、この国の「本流」の危機感を象徴していた。(テヘラン共同=福田泰教) [2000-03-13-16:30] 66
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 03/13@法王がカトリックの過ちを謝罪(読売新聞)

 【カリアリ(イタリア)13日=西田和也】ローマ法王ヨハネ・パウロ二世は十二日、カトリックの立場から、キリスト教徒が過去に犯した過ちについて、「赦(ゆる)し」を請う歴史的なミサを行った。今年はキリスト生誕二千年の「大聖年」で、この日は「赦しを求める日」にあたっていた。法王は、カトリック教会が抱える“負の遺産”の清算をはかるとともに、他宗教・宗派との融和促進を訴えた。
 現法王はこれまでも機会あるごとに教会の過ちを認めてきたが、さまざまな過ちを総括して「赦し」を求めたのは歴代法王の中でも初めて。
 法王はサンピエトロ大聖堂でのミサで、「真理の名の下に、キリスト教徒が暴力に頼ったり、他宗教の信者に敵意を向けた」ことなどに関し、「赦しを請う」と呼びかけた。これは、強制改宗や、聖地エルサレム奪還を名目にした十字軍派遣、教義と相いれない思想を徹底弾圧した異端審問(宗教裁判)などを意味している。今月下旬のイスラエル訪問を前に、ユダヤ人に対する発言が注目されたが、法王は「ユダヤ人に苦しみを与えた者たちの行為に深い悲しみを覚える」と述べたものの、ナチスによるホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)への教会の対応などについて直接の言及は避けた。当時、カトリック教会はナチス政権を黙認していたとされる。[2000-03-13-12:45] 71
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 03/13@ベルリンで極右政党院がデモ、左派も対抗(読売新聞)

 【ベルリン13日=三好範英】極右政党・自由党が政権参加したオーストリア政権との連帯をスローガンに十二日、ドイツの極右政党、ドイツ国家民主党(NPD)の党員五百人がベルリン市内をデモ行進した。
 このデモは一九三八年三月十二日のヒトラーによるオーストリア併合の記念日に行われたもので、参加者は「ドイツとオーストリアは一つの民族」などのプラカードを掲げて行進した。これに対し、左派もデモを行い、極右活動家に投石を行うなどの抗議行動を行った。[2000-03-13-11:36] 74
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 03/13@<ローマ法王>カトリック教会の犯した過去の過ちをざんげ(毎日新聞)

 【ローマ支局13日】ローマ法王ヨハネ・パウロ2世は12日、バチカンのサンピエトロ寺院でのミサで、過去にカトリック教会が犯した過ちを認め、神の許しを請うざんげを行った。ユダヤ人迫害の容認や十字軍遠征などについて、法王が過ちを総括してざんげするのはカトリック教会史上初めて。
 ミサは、キリスト生誕2000年の大聖年に合わせて行われたもので、カトリックの分裂や異端審問、十字軍、異教徒への布教などの際の暴力、ユダヤ人や女性、先住民に対する差別や抑圧などが列挙され、法王がこれらについて神に許しを求めた。
 ◇ローマ法王ヨハネ・パウロ2世が12日のミサでざんげした主な言葉は次の通り。
 一、歴史上、あなたがた神の子(ユダヤ人)を苦しめた行為を深く悲しみ、許しを求め、真の兄弟愛を誓う。
 一、(十字軍遠征、異端審問などでは)異端に対する敵意を持ち、暴力を用いた。これらカトリック教会の名誉を汚した行いについて謹んで許しを求める。
 一、(アフリカ、米大陸などへの布教では)人種、民族的な差別に基づいた排他的な行いがあり、罪深いふるまいがあった。異人種の権利を迫害し、彼らの伝統的宗教や文化に対する侮辱的な態度を取った。[2000-03-13-10:52]
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 03/14@<中国>西部開発 ぬぐえぬバブル懸念 外資導入、メドたた(毎日新聞)

 中国の朱鎔基首相は開催中の全国人民代表大会(全人代=国会)で、西部開発を21世紀に向けた重要課題として打ち出した。「各地域のバランスのとれた発展を促し、諸民族の団結や社会安定につなげる」(朱首相)という狙いだが、必要な外資の導入にメドがたっているわけではない。1990年代前半のような開発ブームが起きるだけでは、との懸念も出ている。【北京・加藤暁子】
 全人代直前の2月末、中国国際貿易促進委員会の兪暁松会長が北京駐在の日本商社や欧米企業などの代表を集め、西部への投資促進を要請した。西部開発には今年だけでも387億人民元(約5000億円)の資金が投入される予定だが、国土の57%もの面積を占める地域全体の開発には西側の資本や技術が不可欠だ。
 しかし日系商社の代表は「四川省の成都や雲南省の昆明などに駐在員事務所を開いているが、なかなか投資がしにくい状況だ」と注文をつけた。遅れた地域ほど利権がからみ、汚職などがはびこる現状がある。外資にとって安心できる環境は整備されていない。
 中国政府はインフラ投資など大規模プロジェクトを進める方針だ。道路、鉄道、空港などの交通網整備や天然ガス・パイプラインの建設、電力や通信網の整備などが計画されている。国家開発銀行は「西部開発債」という長期国債を発行して国内の商業銀行や個人投資家向けに販売する準備を進めている。
 中国では92年に故・小平氏が発展の加速を叫んだのを契機に各地で開発ブームが起き、バブル現象が起きたことがある。経済基盤が十分でなかった地域ほどその後遺症が大きかった。
 中国政府はこれを反省材料に、ハイテク産業の育成や長江、黄河の上流の天然林育成など環境問題への配慮を打ち出し、持続可能な成長に結び付けようとしている。しかし西部地区の一部ではすでに政府主導の開発をあてこんで、ホテルやオフィスビルを建設する動きが出ている。[2000-03-14-01:15] 2
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 03/14@<ユーゴ>放送局閉鎖なら大規模デモ 野党陣営が合意(毎日新聞)

 【ベオグラード14日福井聡】ユーゴスラビアの野党陣営は13日、ベオグラードで合同会議を開き、政府から電波法違反で罰金支払いを命じられている放送局「スタジオB」が閉鎖されるなど弾圧を受けた場合、その翌日に市役所前で大規模デモを行うことで合意した。
 「スタジオB」は、最大野党・セルビア再生運動が運営している。合同会議後、同再生運動のドラシュコビッチ党首は「スタジオBの画面が消えたら翌日午後3時、市役所前に集まってほしい」と国民に呼びかけた。また民主党のジンジッチ党首も「同局への弾圧は知る権利を持つ市民一人一人への弾圧だ」と訴えた。
 ユーゴ国内では先月来、報道機関への弾圧が多く、地方のラジオ局などが次々に放送停止に追い込まれている。13日には南部ニシュの「TV5」局が軍から借りている用地の立ち退きを迫られた。[2000-03-14-21:11] 3
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 03/14@<コソボ>歩行者専用の橋を建設(毎日新聞)

 イバル川に架かる橋を挟んで南側のアルバニア系住民と北側のセルビア人との対立が続くユーゴスラビア連邦コソボ自治州のミトロビツァで、国際平和維持部隊(KFOR)が同橋の約100メートル下流に歩行者専用の橋の建設を進めている。南側に避難中のアルバニア系住民が帰還しやすくするためで、KFORは「微妙な問題」として避けているが、完成は期せずして3月24日の北大西洋条約機構(NATO)空爆開始1周年前後となりそうだ。
 この橋の場所は、北側セルビア人地域にあるアルバニア系住民ばかり約400家族が入居していたアパート3棟の前。同アパート住民は2月初めの騒乱で一斉に南部に脱出したが、橋が完成すればいつでも歩いて南部に出られるとして徐々に帰還が進み、11日までに49家族、93人が戻った。
 帰還住民の1人、へヒメティさん(64)は「今は怖くて外に出られないが、橋が出来れば(南側に)散歩や買い物にも出られる」と語った。別の住民、べグーさん(54)は「現在戻っているのは高齢の夫妻が多いが、橋が出来ればやがて家族もすべて戻るだろう」と話している。
 ミトロビツァでは両民族の対立が続き、「ヨーロッパで最も危険な場所」とされているが、国連やKFORは「この橋が融和のきっかけになれば」と期待している。【ミトロビツァで福井聡】[2000-03-14-12:52] 4
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 03/14@TV局閉鎖なら大規模デモ セルビアで野党が合意(共同通信)

 【ウィーン14日共同】ユーゴスラビアのベタ通信は十三日、マスコミ弾圧を続ける政府が同国最大の民間テレビ局「スタジオB」を閉鎖すれば、大規模デモを首都ベオグラードで強行することで野党各党が合意したと報じた。
 スタジオBは、ユーゴ連邦セルビア共和国の約半分を受信エリアに持つ、野党、再生運動系のラジオ・テレビ局で、ユーゴ通信省は十四日までに百七十万マルク(約九千万円)相当の周波数使用料を政府に納めなければ業務停止措置を取ると通告していた。
 同テレビは数年先までの許可を得ているとして放送継続の構えで、野党声明は、政府側が閉鎖に踏み切った翌日から毎日デモを繰り広げるとしている。
 政府は独立系メディアが西側の言いなりになっているとして、今月に入って新聞社やテレビ局計五社を閉鎖ないし政府の管理下に置いている。[2000-03-14-09:25] 5
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 03/14@コソボで住民登録開始へ 自治政府実現への第一歩(共同通信)

 【ウィーン13日共同】欧州安保協力機構(OSCE、事務局ウィーン)は十三日、ユーゴスラビア・コソボ自治州の地方選挙実施のための住民登録を春から夏にかけて実施すると発表した。
 選挙後に恒久的な自治政府を発足させるための大前提となる住民登録は、国連コソボ暫定統治機構(UNMIK)発足後も続く民族衝突などから何度も延期されてきたが、ようやく自治実現への第一歩が踏み出されることになる。
 発表によると、十月ごろに予想される選挙に向けて来月以降、コソボの約四百カ所に登録受付所を設置。コソボに五年以上連続して居住した十六歳以上の住民全員に選挙権を与える。
 コソボ外に脱出したセルビア人も「ユーゴ政府の協力」が得られれば登録を進める方針で、国外にとどまっているアルバニア系住民にも必要な書類の提出を条件に登録を実施する。
 北大西洋条約機構(NATO)軍の空爆時に脱出したアルバニア系住民の大半が戻ったものの、当時の約百八十万人からは減少したもよう。ユーゴ当局は、空爆終了後にセルビア人約二十万人が脱出したとみている。[2000-03-14-08:13] 6
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 03/14@昨年殺害された記者87人 国際新聞編集者協会(共同通信)

 【ウィーン13日共同】国際新聞編集者協会(IPI、本部ウィーン)は十三日、一九九九年に世界でジャーナリスト八十七人が記者活動中に殺害されたとの年次報告を発表した。九八年の五十人から大幅に増え、報告書は「昨年は最悪の年の一つ」と指摘した。
 報告書によると、殺害された記者の多くはバルカン半島やロシアの地域紛争を取材中、戦闘に巻き込まれたり治安当局に意図的に狙われた者で、特にユーゴスラビアでは十六人と最大の死者を出した。
 IPIのフリッツ事務局長は「ジャーナリストが合法的に殺害対象とされる事態になった」と述べ、政府や治安当局に自制を求めた。[2000-03-14-07:45] 7
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 03/14@◎NATO軍不発弾で子供6人死傷=コソボ(時事通信)

 【ウィーン13日時事】ユーゴスラビア・コソボ自治州に駐留するコソボ平和履行部隊(KFOR)スポークスマンが13日明らかにしたところによると、同州北部のコソブスカミトロビツァ近郊で11日、北大西洋条約機構(NATO)のユーゴ空爆作戦中に投下された不発弾が爆発し、近くにいた子供1人が死亡、5人が負傷した。
 被害者は10歳から15歳。現場は、昨年春のNATO軍による空爆作戦中にユーゴ部隊の拠点があった場所で、不発弾は米国製だった。子供たちは不発弾を見つけ、遊んでいるうちに爆発したとみられる。[時事通信社][2000-03-14-05:54] 33
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 03/14@<IMF>次期専務理事人事 米国の指導力低下を証明?(毎日新聞)

 【ワシントン13日逸見義行】米国が13日、国際通貨基金(IMF)の次期専務理事に、欧州連合(EU)が新たな統一候補としたドイツ出身のケーラー欧州復興開発銀行(EBRD)総裁に対して、支持を表明したことで、新専務理事就任が事実上確定したが、一連の人選劇は、米国の国際金融界での指導力の低下を示すものとなった。米政府は、IMFの機能を金融通貨危機に対する短期融資だけに限定する改革構想を推進する意向だが、前途は多難だ。
 クリントン米大統領は、同日午後のシュレーダー独首相と電話会談で、「IMFは現首脳陣を維持すべき」という認識で一致し、ケーラー新体制でも、専務理事選に立候補した米国人のフィッシャー筆頭副専務理事は留任する見通しになった。米国の利益代表の側面も持っているフィッシャー氏の留任という最低限の権益は確保したことになる。
 今回の人選が難航したのは、米国が反対しているにもかかわらず、ドイツがコッホウェザー大蔵次官に固執したからだが、国際金融関係者の間では、「米国がドイツの動きを察知できなかったのも問題。クリントン政権は任期切れを前に、影響力が低下している」との見方が強い。先月末にEUが、同次官擁立を決めた後に、クリントン大統領が反対を表明するなど、「後手後手の対応になった」(国際金融筋)。
 新しいEU候補としてケーラー総裁の名前が浮上してからも、米国は「官僚出身よりは、閣僚経験者が好ましい」として、首相経験者のイタリアのアマト国庫・予算企画相らの就任を望んでいるとの見方もあり、米独の対立を「子供のけんかを見ているようだ」と酷評する人もいた。
 「IMFは欧州、世界銀行は米国」という不文律を覆したくないという本音から、米国は不満を持ちながらも、ケーラー総裁を渋々受け入れたというのが真相のようだ。さらに「ルービン前財務長官なら、人選はもう少し違ったのではないか」と、サマーズ財務長官の交渉下手を指摘する声も出ている。[2000-03-14-17:29] 36
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 03/14@英、ジンバブエ関係険悪に 大使召還し非難合戦(共同通信)

 【ヨハネスブルク14日共同】英国の封印された外交荷物をジンバブエ政府が強制的に開封したことから、英国が駐ジンバブエ大使を九日召還し、両国が非難の応酬を始めるなど、昨年来、良好ではなかった両国関係が一段と険悪化してきた。
 英国のヘイン外務担当閣外相は十三日、今回のジンバブエの対応について「ほとんど現実的な感覚を欠いている」とし、同国が「下り坂を転げ落ちている」と南アフリカのラジオ局に語るなど、ジンバブエを強く非難した。
 英政府によると、開封された荷物は重さ六・五トンの通信関連設備で、外交団にとって日常的に使うものという。
 封印した外交上の荷物は「外交関係に関するウィーン条約」で開封が禁じられており、欧州連合(EU)も十日、ジンバブエ非難の声明を出した。
 しかし、ジンバブエ側は、荷物の中に野党勢力支援の物資が含まれている疑いがあったと主張。英国の対応を逆に「ごう慢だ」と述べるなど、どこ吹く風だ。
 両国関係は昨年、ジンバブエのムガベ大統領が、英国出身の白人農民の農地を接収した場合の補償金支払いは英政府が行うべきとの意向を示したことなどから悪化した。
 十二日付の南ア紙サンデー・インディペンデントによると、大統領は、白人農民の農地をジンバブエの市民は占拠できると発言するなど、英国の神経を逆なでする対応に出ており、“試合終了”のゴングは当分鳴りそうにない。[2000-03-14-15:52] 40
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 03/14@<特報・難民申請>アフガン男性が改めて申請(毎日新聞)

 日本での難民申請が不認定になったアフガニスタン人のグラム・フセインさん(47)=大阪市中央区=が13日、改めて法務省に難民認定を申請した。支援者は「アフガンを実効支配するイスラム原理主義勢力タリバンが、フセインさんを殺すように命じた『殺害指示書』を入手した」としており、迫害の危険性を示す新証拠として提出した。
 フセインさんは同国の少数民族ハザラ族で、内戦でタリバンに敵対するイスラム統一党に多額の献金をするなどしていた。逃亡先のパキスタンから昨年7月に来日。同9月になってタリバンがパキスタンでも自分を追っていることを知り、難民申請したが、認められず、不法残留で身柄を拘束されている。先月末、不認定処分取り消しを求める行政訴訟を大阪地裁に起こした。
 代理人の秋田真志弁護士によると、「殺害指示書」は1998年8月にタリバンが国名とする「アフガニスタン・イスラム首長国」の諜報(ちょうほう)局責任者名でフセインさんを名指しし、「どこでも見つけ次第、直ちに殺す」ことを指示しているという。指示書はパキスタン在住のフセインさんの知人が入手し、支援者に郵送してきたという。
 アフガンの現状に詳しい研究者によると、タリバンの中心勢力が国外にまで敵対者を手配する余裕があるかどうかは不明だが、敵対者を執ように追跡する末端グループが手配書をばらまいている可能性があるという。【山成 孝治】[2000-03-14-15:01] 72
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 03/14@天然痘ワクチン研究開始 米、生物テロに備え(共同通信)

 【ワシントン13日共同】世界保健機関(WHO)が根絶宣言をしている天然痘が生物テロに使われる恐れがあるとして、米疾病対策センター(CDC)は十三日までに、米セントルイス大と協力して予防ワクチンの研究を開始した。
 天然痘は世界で毎年二百万人近い死者を出していたが、予防ワクチンの種痘による根絶計画が成功し一九七七年、アフリカの患者を最後に発生は終息。現在はワクチン投与は行われておらず製造もされていない。
 しかし、根絶後にロシアと米国に限って保管されたはずの天然痘の原因ウイルスが外部に持ち出されたとの見方があり、米国内ではテロに使われる恐れを指摘する声が高まっていた。
 天然痘は一人の患者から平均十人に感染し急速に広がるのが特徴。米国には約六百万人分のワクチンが備蓄されているが、天然痘ウイルスがテロに使われた場合、備蓄量だけでは感染拡大を防ぐのは困難という。
 CDCは、ワクチンを本来の使用濃度の十倍と百倍に薄めて被験者に投与して効果を測定。テロで感染が起きた場合に、備蓄したワクチンを薄めて、より多くの人に接種が可能かどうか確かめる。[2000-03-14-10:11]


 (注)この「最近のボスニア」コーナーは、一般に報道されている記事に、千田が一部手直しして掲載しているものです。出所は明示しており、各社・各記者の著作権を侵害するつもりはありませんが、著作権上問題があるとお考えの方や、自分(自社)の記事は載せないでほしいという方がいらっしゃれば、このホームページの感想もふくめて、千田あてに連絡してください。
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