◇◇

「柊兄さん……約束ですよ。僕の代わりに《当麻》を継ぐという……」
「だから、私はお前の代わりに《当麻》を継ぎました」
「柊兄さん、でも少し早過ぎませんか。僕の元に来るのは……」
 槐の冷たい眼差しを、柊は久々に受け止めていた。
「《当麻》はこれでいいんですよ。あとは、彼がすべてを受け継いでくれるでしょう。当麻同士の戦いが始まるのです」
 槐の冷たい指先が、柊の頬を滑る。
「そうですね。寒河菁という彼女の手のひらの上で……。これから、物語が始まるのですね」
 そこでも雪が降り積もっているようであった。スノーホワイトの煌めきが、秘色の反射を誘っていた。


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