そして、女は椅子に深く腰を掛けていた。その手には本が開かれていたが、女の視線は宙の一点を見つめていた。 「すべては、もうすぐ終わるのです」 綾歌と同じ言葉を女は口に出した。 「四百年の長きを経て、私に目覚めた波豆の記憶と《力》が、あなた方を陥れます。そして、終わるのはもうすぐ……。私の願いが叶うのも、もうすぐでしょう」 女は長い髪を掻き上げた。 「本当に楽しみですわ」 女の高笑いが部屋の中に響き渡った。