混沌とした時代であった。表の歴史も、裏の歴史も。それに終止符を打った。17世紀初めのことであった。
 表の歴史については、説明はいるまい。徳川幕府が始まり、戦国時代が終わったのである。
 そして、裏の歴史は、というと。
 こちらは、今までは平和だった。そう、2代当麻が出てくるまでは。各家は、誰もその家の範囲を飛び出そうとはせず、水面下は別にして、表面上は平和であったのだ。
 2代当麻、武生はそれを生温いと思った。彼は野心家であったのだ。だが、当麻家だけでは、他の各家によって潰される可能性が高かった。その頃の当麻家は新参者の部類に入っていたのだ。だから、手を結ぶことを考えた。
 武生が選んだのは、綴喜であった。何故なら、夢見の家の中では、邑楽家は波豆家に次いでの《力》を持っていた。そして、綴喜自身は、邑楽5代を継いだばかりで、武生にとって制御しやすかったからだ。


←戻る続く→