そして、4、5日。
四郎はその間ただ湯谷寺にいただけであった。
すべてに置いて煩わしいものに関わりたくなかった。
6年前も、今からも。
だから、四郎は何も考えたくなかったのだ。
自分が江戸に戻ってくることで波紋を呼ぶことは判っていた。
そんなことは判りきっていたことなのだ。
考えたくなかったのは、自分が何を成すべきか、その答を出すのをただ延ばし続けていたことだ。
自分が江戸に戻った理由ではない。
それは自分がよく判っている。
答を延ばしているのは……自分の命を狙っている、その命を出した黒幕の正体を、きっと自分は知りたくないからなのだ。
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