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「クリスマスには雪が似合うわ」
「キリスト教徒でもないのに、何故、クリスマスを祝う?」
女は面白そうに笑った。
「楽しいことが多いのはいいでしょ。ただ、それだけのことよ」
女は男に飛びついてまた笑った。
「雪は、いいな」
男はそう呟いて、女の体を抱き抱えた。
「女の肌のように、綺麗だ」
男の腕が強く女の体を抱き締める。女は男に抱きつく。
「あなたの腕は力強いわ」
女の肩からドレスがするりと落ちる。
「ねえ、どうして私を追い出さないの」
男が女の髪を掻き上げる。
「惚れたからかな」
「嘘!」
女が笑って言った。
「きっと、あなたって誰も本気で愛さないわ」
「何故そう言う?」
女が男の指を軽く噛む。そしてその甲に口づける。
「あなたのこの指が言っている。あなたのこの手が言っている」
男は女の手首を掴んで荒々しく唇を貪った。
「もうすぐ花が咲くわ」
女の声が響いた。
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