魚梁瀬の死は、少しの間をおいて、檮原や越知の知るところとなった。 「魚梁瀬様が死んだ?」 二人はそのままお互いを見つめて、黙りこくった。奈半利の一番の《力》の持ち主が、いきなり死んでしまったのだ。奈半利の《力》がそれほどでもなかったのか、相手が強過ぎたのか。どちらにしても、魚梁瀬の死は間違いないことなのだ。 越知は勢いよく立ち上がった。檮原が止める間もなく、青磁色の球体ごと消え去った。 「早まるなよ、越知」 そう言った檮原だが、すでにその声は彼には届かなかった。