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麻績は学生会室の窓からカフェテラスを見ていた。朝霞と遙が話しているのがよく見える。朝霞の目がこちらを向く。その時、確かに目が合った。
(朝霞は気づいただろう)
麻績はそう確信した。麻績にとって大切な人が遙であることを。そして、ホッとした。朝霞がそれを知れば、無視することが出来ないことを麻績は判っていた。だから、僅かばかり肩の荷が下りたことにホッとしたのだ。しかしそうだとしても、遙が麻績にとってアキレスであることは変わりないのであった。やはり麻績は奈半利に従うしかないのか。麻績は、朝霞が遙と別れて朝熊たちのほうに行くのを目にしながら考え込んだ。
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