前:「飼育容器内に発生する困った連中」
次:「実験:産卵に適したマットは?」


ペットボトルで蛹が見える

 2000年5月19日

 2月23日にペットボトルの加工のしかたを説明しましたが、そのペットボトルでカブトムシの幼虫を飼育した様子を紹介します。

 これが、我が家の現在のカブトムシたちの状態です。子供部屋のカラーボックスに入れています。

 2月の時点では我が家のカブトムシは幼虫13頭でした。その13頭のうち6頭は昨年末から室内の加温飼育に切り替えました。2月23日のペットボトルの写真は、その加温飼育している幼虫たちの写真だったのですが、その6頭は3月上旬には次々と蛹になり、4月上旬までにオス5頭、メス1頭が羽化しました。この写真に写っているプラケース(緑色のふた)はそのとき羽化したオスが1頭ずつ入っています。残りの成虫のうちオス1頭は里子に出され、残りのオス2頭、メス1頭は別の部屋で飼育しています。

 残った幼虫7頭はガレージ内の保温箱に入れていましたが、3月末には暖かい部屋に移しました。しかしその部屋は暖かすぎる(24〜26℃くらい)と思い、5月の連休中に子供部屋に移したのですが、5月9日にはすでに蛹室を作り始めていました。12月末に加温を始めた幼虫が3月上旬に蛹化したことから、残り7頭は5月末から6月上旬くらいに蛹化するだろうと予測していたのですが、かなり早く蛹化しそうです。やはり高い温度の部屋に1ヶ月置いたのが原因でしょう。まだ十分に大きくなっていない幼虫もいるので、小さいのが羽化してくるかもしれません。


 ボトルにかぶせてあるカバー(ティッシュ箱を切って作ったもの)をそっとずらしてみました。

 蛹室の中にじっとして動かない幼虫(前蛹:ぜんよう)が見えます。ちょっとこの写真ではわかりにくいと思いますので、拡大写真を見てください。

 蛹室の壁は普通のマットより色が濃くなって湿った感じに見えます。マットの粒子もずいぶんと細かくなっているようです。おそらくマットを噛み砕き、唾液か糞かわかりませんがなにかの粘液をまぜて壁を作っているのでしょう。(今回、蛹室を作り始めた幼虫がバキバキとものすごい音を出しているのがいました。)今までも幼虫がマットに作った空洞の中にいるところは見ることができましたが、それとは全く様子が違っていてはっきり蛹室だとわかります。


 隣のボトルのカバーもそっと持ち上げてみました。この幼虫も蛹室を作り始めたようです。前日までは蛹室らしいものはありませんでした。

 これで残る7頭の幼虫すべてが蛹室を作ったことがわかったのですが、ペットボトルの幼虫はすべてボトルの隅の見えるところに蛹室を作っています。3月から4月にかけて羽化した6頭もすべてそうでした。6頭のうち5頭は蛹になったときにオスメスが見てわかりましたし、1頭はオスメスはわかりませんでしたが、蛹化したり羽化したのがはっきりボトルの外からわかりました。いくらカバーをかぶせているとはいえ、すべての幼虫がボトルの隅に蛹室を作っているのは偶然でしょうか?

 私は、もしかしたらペットボトルの底の形状が理由のひとつではないかと考えています。私が使っているペットボトルの底は中央が盛り上がっていて、平らな部分は四隅に限られています。もし底がまっ平らだったら、ペットボトルでも見えないところに蛹室を作ることがあるのではないだろうか・・・と。それを確かめるには、何か硬くて幼虫に害にならないものをボトルの底に敷かなくてはなりませんが、それを考えているうちに蛹室を作られてしまって、今回はできなくなってしまいました。


 さて、おーぬま式ペットボトルの作り方の説明の最後に「ほとんど水を追加する必要がありません。」と書きましたが、私は幼虫が蛹室を作ってから羽化するまでの間、マットには全然水分を補給しませんでした。近所の子供の話ですが、飼っていたカブトムシの蛹が、毎日霧吹きをかけていたら死んだと聞きました。以前Web上のどこかで似たような話を読んだような記憶もあります。また、3月蛹化の6頭のうち1頭、マットの上であばれてなかなか蛹室を作ってくれなかったのがいたのですが、やや水分控えめのマットに交換したところ蛹室を作り始めたということもありました。もしかしたら水分過多は蛹化や羽化の妨げになるのかもしれません。クワガタ飼育の解説書では、蛹室内に結露したり水がたまると羽化不全を起こしやすいという説明が書かれていますが、それと同じようにカブトムシの蛹も水分が多すぎる状況は嫌われるのではないでしょうか。もっともカラカラに乾いてしまうのも問題でしょうが・・・。

 もうひとつ、ペットボトルで蛹が見えていたおかげで、蛹化から羽化までの日数を正確に知ることができました。3月に蛹化したカブトムシは6頭とも、24時間温度が一定(26℃)の温室に置いてありましたが、すべてが蛹化して17日後に羽化しました。また6頭とも羽化した10日後ないし11日後に蛹室の外に出てきています。これらの数字は今後の飼育の目安になるのではないでしょうか。

  蛹化羽化
2月29日3月17日
3月7日3月24日
3月10日3月27日
3月5日3月22日
3月19日4月5日
3月14日3月31日

(2000年5月29日加筆)
 5月26日に最後の1頭が蛹化したんですが、その後、子供が遊んでいてカブトムシが置いてあるカラーボックスを蹴っ飛ばすという事件がありまして・・・カブト蛹は無事だったかな?・・・やはり子供部屋は置き場所としては不適切だろうということで、蛹の入ったケースとペットボトルを全部、私の仕事部屋の温室の中に移動させました。

 温室に置くとき、かぶせてあったボール紙(ティッシュ箱)をはずし、いつでも観察できるようにしました。ついでに写真を撮影したので紹介します。

 この2枚の写真は1頭の蛹を角度をかえて撮影したものです。蛹室の壁がなにやら結露しているようであまりきれいに見えていませんが、角になる部分がはっきりとわかります。

 こちらは♀です。ボトル表面にピントが合ってしまって、肝心の蛹はボケてますがご容赦ください。


前:「飼育容器内に発生する困った連中」
次:「実験:産卵に適したマットは?」

カブトムシコーナー・インデックスへ戻る

ホームページへ戻る