X.復活期 沈滞期を脱し再び活発な活動を展開している時代
昭和61年から現在まで(1986−  )

 長らく黒部遭難という呪縛から解き放されず、沈滞化は避けられなかった鵬翔は、昭和61年頃から徐々に癒され活動が回復していきます。

 それは黒部の遭難以降に仲間に加わった若い会員が育ってきたからです。

 平成6年10月に行われた黒部遭難13周年慰霊祭で区切りをつけ、私たち鵬翔山岳会復活に向かって歩みだしています。

そして、今日60周年を迎えたことは誠に喜ばしい限りと感慨無量です。

 さて、登山活動のスタイル、様式そのものは、登山技術、用具や交通手段、対象となる山々の物理的変容、インターネットに見られるグローバルなネットワークなど、時代とともに変化することは当然と思いますが、鵬翔山岳会の理念を体現する人間行為そのものは時代がどう変化しようとも決して変わるものではないと思います。

 理念のエッセンスは、

1.礼儀正しいこと。

2.安全最優先であること。

3.自然を愛し、豊かな山行を目指すこと。

4.会の行事には積極的に参加すること。

5.誠実を基調に相互の友情を深めること.

という綱領五項目に平易かつ明快に表現されています。

 私たち鵬翔山岳会はそういった理念――志といってもよいかも知れませんが――を共有する者が集まって形成している集団なのです。

 したがって、理念、志を共有することができない会員がいくら登山活動をしたとしても、それはもはや鵬翔山岳会のものとはいえません。

 間もなく21世紀をを迎えますが、私たちの鵬翔山岳会の理念が若い仲間たちにしっかりと継承され、70周年、80周年、いや100周年が祝福されることを祈りながら、60年の総括を終わります。(了)


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