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ふりーはーとメールマガジン ==================================2002/01/06
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[ふりーはーとのメッセージ]

● 正月の蕎麦

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 お正月そうそう,非道いことをするものだ。

 前に「蛇含草」(FHMM第2号参照)で書いたことのある蕎麦屋D黒屋さんは,実在する。
 小生達は,普段,暖簾を仕舞う少し前の時間に行って隅の方で,焼酎のそば湯割(以前は酒)を呑ませて頂くわけで,忙しい時間帯は避ける。
 蕎麦屋さんは,大晦日ともなれば,それこそ大忙しである。
 31日こそ込み合うが,28日であれば,なんら問題ない。
 いつのころからか,仕事納め(28日)と仕事始め(4日)には,恒例でお邪魔している。
 昔は大酒を呑んで,途中で酒屋さんが配達に来たり(つまり店に酒の在庫が無くなったり)して笑われたモノだが,流石に今はそんな莫迦なことはしない(筈である。)。

 小生の生まれた家は神社のそばにあった。
 新聞に,今年の三が日,この神社の初詣参拝者は県下二位で,平年並みで三十五万人とあった。
 こんなだと,願いを聴く神様も大変で,とてもまともに聴いてるいとまはあるまい。
 聴いたふりをするだけの癒し系に徹さねば身が持たない。
 神様に願い事をするには,あまり人が行かぬ時期に,時間を外して行くのが御利益があるらしい(確か古典にそんな一文があった筈なのだが,出典を思い出せない。)。
 できれば,参詣者が県下何位と云うようなメジャーな神社仏閣でなく,ひっそりとした祠(ほこら)が望ましいが,パワーに差があるかも知れない。
 色々云っても,ここ何年も初詣をしたことがないのは不信心だからだ。

 三十日蕎麦(みそかそば)の習慣であるが,いわれは,その様から「細く長く」だのと云うが,昔,金箔職人が散らばった金粉を蕎麦で集めた故をもって「金が集まる」ようにと云うのが俗っぽくて良い。
 正月を迎え落ち着いた蕎麦屋の雰囲気が好きである。
 初春の閑散とした雰囲気のお蕎麦屋さんは,なんだか御利益がありそうじゃないですか(??)。

 さて,今年のD黒屋さんである。
 店の外にある「蛇含草」にも登場した共同トイレ(男性)の電球が切れていた。
 お母さん(D黒屋夫人)が電球のことを「ほや(火屋)」と云ったのは嬉しかった。
 小生,一時期山陰地方に住んでいたことがあり,ここのお母さんの言葉は懐かしくて宝と感じる。

 余計なことはよろしい。

 さて,今年のD黒屋さんである。
 客が皆帰った(わしら客じゃないんか。)ので暖簾を入れてお母さんが,賄(まかない:自分らの食事)にカレーのルーを温めだした,これは堪らぬ。
 つい「わーー,良い匂い」と云った後「しまった」と思ったが,もはや遅かりしである。
 運の悪いとは,こういうものだ。
 打った蕎麦が三人前残っていた(我々ちょうど三人であったのだ。)。
 なんと「かけそば」を作り,その上に温まったルーを落とし込んでしまった。
 ご主人は常々「自分は料理人(板前)じゃないから(蕎麦打ちが仕事心得ているとの謂か)」と云いながら,いろんなものを(蕎麦以外で)試作して楽しませてくれるが,このカレー蕎麦はなかった。(※「蕎麦屋は包丁が切れない」との言い方があるようだ。)
 味の方は,ご想像のとおりです(「蜆ラーメン」(FHMM第10号参照)には勝ったか。)。

 従って,冒頭の感慨となった。
 勿論,正月そうそう,非道いことをしたのは,私たちである。

参考図書:(※)「蕎麦屋のしきたり」 藤村和夫著 NHK出版生活人新書
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追記:…と書き終えたところで,某学生食堂に通常メニュウとして「カレーそば」があることが,判明した。「**うどん」の並びで,すべて「**そば」があり,好評ではない由。

後記:お正月休みいかがでしたか。当ふりーはーとは,かねて用意の安藤鶴夫(アンツル)氏の「わが落語鑑賞」から年末ネタ(?)の「富久」と「芝浜」を読んで不覚にも涙した。「芝浜」はまぁ良いとして,「富久」の久蔵の焼失(や)けた長屋の近所に住んでいた鳶の頭が久さんに云う「しかしさすがは芸人だな,大神宮さまのお宮…」のところで,活字がにじんでしまったのには驚いた。今年も当「ふりーはーと」を贔屓に願う。  ワダ



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ときどき,お母さんがビニールの袋へ入れて帰りに持たせてくれる「蕎麦の耳(小生命名)」
我が家では翌朝のみそ汁の実にしている。