ブドウ糖、麦芽糖などに水素を加えて還元したものを一般的に糖アルコールといいます。
キシリトールもその一種で、工業的にはシラカバや樫などの樹木から得られるキシランを還元して製造されます。糖アルコールの中では最も甘く、砂糖と同じと言われています。また溶解時に吸熱反応(砂糖の8倍)が起こるので口の中で冷涼感が得られるのも一つの特徴です。
糖にはいくつかの種類があります。
その糖がウ蝕(虫歯)を起こすことができる条件は
ことです。一般的に砂糖と呼ばれる「しょ糖」はその両方の性質を備えているためウ蝕を起こすことができます。ある種の糖(果糖など)は糊は作れませんが、酸を作ることができるためウ蝕の原因になりえます。
このうち食品として摂取した場合に酸を作ることができない糖だけが理論的にはウ蝕の原因にならないと言えます。一般的に糖アルコールはこの性質を持っています。主な糖アルコールは
|
|
しょ糖を100とした甘味度% |
エネルギーkcal/g |
ソルビトール |
ブドウ糖 |
60 |
3.0 |
マルチトール |
麦芽糖 |
80 |
2.0 |
パラチニット |
砂糖 |
45 |
2.0 |
エリスリトール |
ブドウ糖 |
80 |
0 |
ラクチトール |
乳糖 |
30ー40 |
2.0 |
マンニトール |
ブドウ糖 |
40ー50 |
2.0 |
キシリトール |
キシラン |
100 |
3.0 |
「何を食べたら虫歯にならないか」山田 正 氏らより引用
虫歯のメカニズムについてのさらに詳しい説明はここをクリック
*は日本トゥースフレンドリー協会の会員向けに発行された”キシリトールの「うそ」と「ほんと」”(東北大学歯学部 山田 正 氏)より引用しました。
あるメーカーのキシリトール入りのガムのコマーシャルでカナダの歯科医師会が虫歯予防のためキシリトール入りのガムを噛むことを勧めているとの内容のものがありますが、これはモントリオール大学歯学部口腔衛生学科のD.KANDELMANらで、研究論文の題名は「学校歯科予防プログラム実施中にキシリトール入りガムを噛むこととウ蝕の発生、進行との関連にに関する24カ月の臨床試験」と言う論文でJounal of Dental Researchという歯科の専門雑誌に1990年に発表されたものです。
この他 フィンランドでも1975年にTurku sugar studiesという実験が行われキシリトールの抗ウ蝕性が科学的に証明されています。
しかしながらこの抗齲蝕作用がキシリトール固有の性質によるものかどうかには疑問が残ります。他の齲蝕源性もたない糖アルコールでも同様の結果がえられるとの説もあります。
これらの商品を総合していえることは
ことです。
そこで注意点
以上の点を留意の上召し上がって下さい。
あるお菓子が虫歯の原因にならないというためには厳密には実験が必要です。その実験とは、歯の表面の歯垢にpH(酸性の程度)を計るための小さな電極をさしこんで、そのお菓子を食べたときに歯垢がpH5.7(これ以下だと歯が溶け出す)以下にならにことを確かめることです。(電極内蔵法)
ところが実際には科学的根拠に基づかずに歯への効果をうたっているものが多いと言えます。したがって、こうしたキャッチフレーズのみから虫歯の原因になるかならないかを論ずることはできません。
そこで注意点
日本トゥースフレンドリー協会という非営利団体では実験的に虫歯にならないことを確かめられたものだけに「歯に信頼マーク」
このマークのついたお菓子は虫歯の原因にはならないといえます。
このマークの詳しい説明は日本トゥースフレンドリー協会のホームページで詳しく知ることができます。
題名 |
掲載誌 |
著者 |
キシリトールのすべて |
TPジャパン 単行書 |
Kauko K.Makinen他 |
what's Xylitol? |
歯科医展望Vol.90 No.2 1997-8 |
歯科医展望編集部 |
抗齲蝕誘発瀬甘味料”Xylitol” |
歯科医展望Vol.86 No.3 1995-9 |
鈴木 章 福田 雅臣 |
その他の海外文献はココをクリック |