4.北海道最高峰、旭岳(2)


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山頂下の雪渓 ・→間宮岳へ
 雪渓の終わりにはキャンプ可能地があり、テントが一張りあった。なだらかな地形を上がったり下がったりしながらお鉢平の周りの登山道に出る。右へ進むと、荒井岳・松田岳・北海岳と通り反時計回りに一周できるが、我々二人は左の中岳方面に進む。
 そこから数百m行くと、間宮岳がある。岳と名前は付いているが、周辺はほぼ平地だ。
 そのまま真っ直ぐ、お鉢平を右手に眺めながら下ってゆく。

お鉢平
・→中岳温泉へ
 お鉢平は素晴らしい眺めだ。ここは5千万年以上も昔の噴火で出来たカルデラの残骸で、直径2kmの凹地である。覗き込むと、今も火山活動を彷彿させる噴煙がかすかに見え、緑の中を黄色い硫黄の川が流れたりしている、ちょっと他にはない景色だ。
 空は雲ひとつない大快晴。その青とのコントラストが美しい。

 実は俺は自然の景観なんて、どこ行っても大差はないとタカをくくっていた。山に登れば景色が良いのは当然、遠くまで見えるのも当り前だからだ。
 しかし、ここは違っていた。ゆべてが雄大だった。残雪を抱いたなだらかな山塊が果てしなく広がり、下界には見渡す限りの大原生林が広がっている。無粋な人工物は視界になく、その代わり足元にある高山植物のお花畑が迎えてくれる。こんな所が日本にあるなんて。
 この大快晴の下、バイクで走るのもいいが、山登りも捨て難い。一生忘れられぬ情景になるに違いない。前には立派な山容の北鎮岳、そして凌雲岳がすぐ近くに見える。

 間宮岳から1キロほど歩き、中岳に達する手前の分岐を左へ。ハイペースで走るように下る。
 急な石場を下ると雪渓があり、さらに下るとそこには北海道で最も標高の高い場所にある天然温泉、中岳温泉がある。温泉と言っても何か人工設備があるわけではなく、ただの水たまり、いやお湯たまりだ。
中岳温泉  そのせいか誰も入っている人はいなかったが、俺はすかさず入る。硫黄臭がする白い湯で、かなり熱いが、ぬるい所を探して入る。 最初は尻込んでいたハーレー氏と一緒に、時々傍らを通過してゆく他の登山者に挨拶しながら極楽気分を味わう。
 ちなみにキャンプ場に戻ってからもこの硫黄臭は消えなかった。でも、これこそ本物の温泉という感じだ。 中岳温泉周辺

・→旭岳を一周
 その後、裾合平の分岐からロープウェーの駅へ戻る道をとる。丁度このコースは先ほど登った旭岳を一周する形になっており、登る時に見たものとは違う角度で旭岳を仰ぎ見ることができる。
 それに加え、所々にある湿地の中には高山植物が群生していて、岩の地肌をあらわにしている旭岳との対照的なコントラストが美しい。道中、いくつもの雪渓を超えて行く。
 さすがに疲れてきたので雪渓の雪を食って気合を入れる。今度来るときはかき氷のシロップでも持って来るかな。
 2時間近くは歩き続けただろうか、ようやく13時、再びロープウェー山頂駅である姿見駅へと戻ってきた。疲れたあ〜〜

 さすがにこの時間、駅周辺は観光客で混んでいる。それを尻目に自販機で買ったコーラを飲む。これがバカウマ。体力を使い果たした後に飲むこういった甘い清涼飲料水は実にうまい。


 その後ロープウェイで下の駅まで下り、近くにあるキャンプ場でハーレー氏と別れ、再びバイクにまたがる。

 美瑛へ戻る途中のホクレンでガソリンを入れるが、どうも愛車セローの燃費が良くない。30km/l 以下なのだ。エンジンオイルの入れすぎか、飛ばし過ぎか? 北海道を走る地元の車や他のバイクのペースに合わせようとすると、低速重視のこのバイクにはちょっとツライ所がある。まあ、しばらく様子を見てみよう。
 美瑛市街で買い出しをしてからかしわ園に戻る。しかし、まだ夕暮れ前。洗濯をしてもまだ日没までに時間があったので、手紙でも書くことにする。

 チビリチビリとビールを飲みつつ、2時間ほどかかってようやく旅先から出す手紙を書き終える。空は相変わらず快晴。とても疲れたが、夢のような一日だった。夕日が奇麗そうだ。
夜のかしわ園にて  後からきた神戸の旧型セロー氏、神奈川のゼファー1100氏、ビラーゴ氏、千葉のバハ氏と夕食をつまむ。
 なんだか今日は明るいうちから酔っ払っているような気がするが...ま、いいか。

 夕食のあと、神戸のセロー氏の後ろに乗せてもらって、美瑛の町へ下り、朝日湯という銭湯に入りにゆく。
 帰ってからもまた飲んでしまう。
 時の経つのが早い。24時ごろようやく解散し、それぞれのテントに戻り、シュラフの中に潜り込む。

 [本日走行:71km, 消費ビール:2.1L]




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