バー『ラビリンス』の店の明かりは間もなく消える。

 そして、一日が終わりを告げ、新たな一日が始まるのだ。


 すべての謎を解くためにか?

 それとも、謎をもっと深めるためにか?









「いつかお前も出会うかな」
「え、誰に?」
「お前が自分より大切に思う相手さ」



 本当に、そんなものが現れるのだろうか?
 彼は昔、祖母に言われた言葉を思い出す。
 そして、クスリと笑いを零した。

「そんなもの、あるはずはない」

 とだけ、今は、言葉にした。



                            第1章に続く



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