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「特許取得の実際と、特許庁の不正の実態」(その1)

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急ぎ、不正な記述を確認したい皆様へ




2019年8月7日一部変更
2017年2月25日掲載

急ぎ、不正な記述を確認したい皆様へ

「不正」について
 ここで言う「不正」とは、その主張が間違いであることを承知しながら主張している記載を指します。 それらは、明らかに特許法の規定に反している間違いであり、また、論理的に間違っている主張も含みます。 それらの中には、読む人を欺くことを始めから意図しているとしか思えない記述もあります。
 この「審決取消請求事件」(知的財産高等裁判所での訴訟を指します)では、裁判所への「準備書面」提出以前に特許庁に対して「審判請求書」及び「意見書」を提出していますので、 「準備書面」で争点になっている事柄の多くが、それらの書類で既に言及されています。したがって、いくつもの事柄が不正な主張である事になっています。
 ここで、それらの不正な主張の全てを取り上げることも出来ませんので、 ここでの記述は、あまりにも酷いと私が判断した事柄、或いは特許庁の主張の中で重要な意味を持つ事柄に限らせて頂きます。

 不正の指摘は、私が裁判所へ3回提出した中で、特に記載のない限り、最初の「H290103準備書面」の記載内容から引用し記述しています。 ですから、原則として1回目の「準備書面」の必要箇所をお読みいただき、必要に応じて2回目、3回目を、或いは、それに関連する他の文書の記載をお読み頂くことにより不正を確認することになります。 「準備書面」では事柄の前後関係についても言及していることが多いので、それぞれの不正内容がより解り易くなると考えます。
 なお、以下に紹介する不正な記述以外でも、不正な記述や誤った記述があります。そちらの記述についても参考にして頂けることを望んでいます。

重要な不正(1)  この項目は、特許の明瞭性にかかわる問題です。
 準備書面(争う項目第1)(同書15頁)の(15のF)での記述内容は、 「H280329拒絶理由通知書(書証甲5)」から「審決」まで継続して争点になっている事柄です。
 争点の元である「H280329拒絶理由通知書(甲5)」(同書2頁19行目〜29行目)では、被告(特許庁)は 、 「仮に、「杭を埋設する〜〜も同様に明確ではない。」と記述して、1本の「杭」によって石や岩がとどまる可能性を指摘して、 本願発明の【請求項】の記述が明確ではないと主張しています。
 これに対して、原告(私)は、「H280523意見書(書証甲6)」(8の4)(Cの2)(同書19頁8行目〜35行目)では、 「1本の「杭」によって石や岩がとどまる可能性を指摘して、本願発明の【請求項】の記述が明確ではない」と主張するのは、論理的に矛盾していると主張しています。
 この矛盾の内容は「H280523意見書(甲6)」の上述箇所をお読み頂ければ容易に理解して頂けるものと考えます。

 この原告の「H280523意見書(甲6)」の反論に対して、特許庁の「審決」はなんら有効な反論を示さずに、再度、本願発明の【請求項】の記述が明確ではないと主張しています。
 審決[(2)判断アイウエオカ]の記載は、「H280329拒絶理由通知書(甲5)」の主張が矛盾しているとの反論を無視したものであり、 再び矛盾している記述になっています。 したがって、審決[(2)判断アイウエオカ]の主張は不正なものです。

重要な不正(2)  この問題も、特許の明瞭性にかかわる問題です。
 原告の準備書面(争う項目第2)(同書19頁〜27頁)の(6のA)〜(6のI)の記述内容は、「審決」の記述では二重基準問題を解消していない事を説明しています。 この二重基準の問題は、特許とされている発明「特許第3297906号」(書証甲7)の【請求項】の記載内容が、 本願発明のそれよりも明瞭性において劣っているのにも拘らず、 本願発明がその明瞭性を理由にして特許を認められないのは二重基準であることを指しています。
 特許庁の「審決」ではその主張に対して、[オ意見書(8の6)について及び][カ意見書(8の7)について](審決6頁25行目〜7頁7行目)において反論を試みていますが、 それらの主張内容は支離滅裂、です。この問題の詳細については、上述の「準備書面」の記述をお読みください。
 したがって、「審決」[オ意見書(8の6)について及び][カ意見書(8の7)について](審決6頁25行目〜7頁7行目)の記述は不正であると言えます。

 なお、知的財産高等裁判所の判決では、原告の詳細な反論に何らの言及をすることなく、被告の従前の主張を繰り返しています。

重要な不正(3)  この項目は、特許の新規性にかかわる問題です。
 原告の準備書面(争う項目第3)(同書28頁〜34頁)(1)〜(4)の記述内容は、 本願発明の【請求項】の記載内容を、 審判官が新たな記載内容に勝手に書き替えて(補足認定して)その新規性と進歩性を検討している事に対する反論です。
 本願請求人は、特許庁の審判官による新たな書き替えに対して、4つの反論を行っています。
 第一。【請求項】の勝手な書き換えが特許法によって認められているとは考えられない。その方法を良しとする証拠を示して頂きたい。
 第二。本願【請求項】中に記載の「付近にある中で大きめの石や岩がその場にとどまる事のできる程度で、 なおかつ小さな石や岩が最初に止まる事もない間隔」が明確に判断できなかったとしても、 その内容は本願発明(書証甲1)の【明細書】及び【図】の記載によって容易に判断できるのであって、あえて新たな書き換えをする必要はない。
 第三。審判官が新たに書き替えた【請求項】の内容は、本願発明の記載の【請求項】【明細書】【図】いずれの箇所においても記述されていない事柄である。 したがって、特許法の規定に明らかに反している。
 第四。特許庁の審判官は、本願発明の【請求項】の記載内容が明瞭ではないことを理由にして、請求項の内容を新たな記載に書き替えましたが、 新たな記載内容ではその明瞭性がかえって失われています。 つまり、審判官は、ウソをついて本願発明の【請求項】の記載内容を書き替えました。
 これらの理由により、特許庁の「審決」[第3当審の判断2理由2(29条1項3号)または理由3(同条2項)について(1)請求項に係る発明]は間違いであり、不正です。 また、上述の書き替えによる、他の発明との比較も間違いであり不正です。
 
 なお、これらの指摘に対して知的財産高等裁判所の「判決」では、一切の言及もありません。

重要な不正(4)  この問題は、特許の容易想到性にかかわる問題です。
 原告の準備書面(争う項目第6)[キ意見書(10の4)について]に対する反論(同書47頁〜51頁)では、 特許庁の「審決」[キ意見書(10の4)について](同書21頁6行目〜16行目)の記述が、間違いであり不正な主張である事を主張しています。
 審査する発明を他の発明と比較する際には、他の発明を幾つも組み合わせて比較してはならない事になっています。 しかし、審決が言及している「拒絶理由通知書」(書証甲5)」(同書11頁11行目〜21行目)の記述では、 引用発明1、引用発明2、引用発明4、と3つの発明を組み合わせて本願発明と比較しているのにも拘らず、 あたかもそれが、選択的な2つの組み合わせであると偽って記述し主張しています。
 その詳細については「H290508準備書面(第3回)]、或いは、第1回目の「H290103準備書面」の上記箇所をご覧ください。
 したがって、「審決」の記述[キ意見書(10の4)について]は不正です。

 なお、審判する発明を他の発明と比較する際に、 他の発明内容の一部を幾つ組み合わせても問題ないと発言した弁理士の先生もいますが、それなら、何故わざわざ読む人を欺く記述をする必要があるのでしょうか。 それは、全く無責任な発言です。もし、そんなことが許されるのなら、ほとんどの発明は特許として認められる事がないでしょう。

重要な不正(5)  この項目は、特許の新規性と容易想到性にかかわる問題です。
 原告の準備書面(争う項目第6)[ク意見書(11の1)について][ケ意見書(11の2)(11の3)について]に対する反論(同書51頁〜55頁)では、 特許庁の「審決」の上記の記述(同書21頁17行目〜最終行)が、論理的に間違った記述である事を説明しています。

 この争いの元になっているのは、特許庁による「拒絶理由通知書(書証甲5)」(4)まとめ(同書11頁22行目〜27行目)の記載です。 この記載では、本願発明の新規性と容易想到性に問題があるので特許とすることが出来ないとしています。
 その記載では、新規性の問題と容易想到性の問題を並列的に記載して、「本願発明は、引用文献1に記載された発明であるか、 もしくは、当業者が、引用発明1及び引用文献2ないし3に記載された公知または周知の技術に基いて容易に発明をすることができたものである。」としています。
 この文中の「〜であるか、もしくは〜」の記載は、 「〜であるか、もしくは〜」の前段と後段の記述とでは、どちらが正しいのかを明確に判断出来ないことをものがたっているものです。
 これに対して、「審決」では「〜可能な限り全ての拒絶理由を通知すべきものである」と記述して、問題なしと主張しています。

 日常で、このような記載が問題となる機会は多くはないと考えられますが、裁判所の判決同様、厳正な判断が求められる特許庁の判断でこのような記述は問題です。 例えば、刑事裁判の際に「証拠Aであるか、もしくは証拠Bであるので」有罪である、などと言う判断はあり得ないのです。
 さらに、特許法の判断においては、特許としない理由が確信でなくなった場合には、その発明は特許されると解釈されています。 つまり、「審決」の判断においては、「〜であるか、もしくは〜」の語句はあり得ない記載です。
 したがって、「拒絶理由通知書」(書証甲5)の記載と「審決」の記載は、誤りであり不正であると考えられます。
 この問題は、法律の解釈の問題であるとも考えますので、その判断を知的高等裁判所に求めています。しかし、知的高等裁判所の「判決」ではこのことについて、一切の言及もありませんでした。

上記の重要な不正(1)〜(5)のまとめ
 上記の重要な不正(1)〜(5)は、いずれもが、特許法の規定に反したものであるか、論理的に不整合なものであり、さもなければ、両方の属性を共に備えたものです。 同時に、それらは、「審決」の判断において突如出現したものではなく、「審決」以前から特許庁の主張であったものでもあるのです。 そして、それらの主張が間違えたものであることは、「審決」以前から原告が主張していたのです。
 ですから、それらの間違いは、ただの間違いではなく、間違いを承知して行った間違いであり、明らかな不正なのです。
 しかも、その不正は、特許認定の基準「明瞭性の問題」「新規性、進歩性の問題」「容易想到性の問題」の全ての課題に対して行われています。 つまり、特許庁の「審決」は、まったくの不正であると断言できるものです。

 私は、従来より特許の問題にかかわって来ていた訳ではありませんので、正確性を欠くかもしれませんが、 この不正は特許庁始まって以来の或いは特許制度が始まって以来の、かってなかった不正であり、 国家の技術的発展の実現を支援し支えるべき「特許庁」はその存在意義を全く失っていると言えます。

 なお、上記の「重要な不正」のほかにも不正の事実(不正な主張)は幾つかありますので、記載の幾つかの文書をお読みになり確認して頂けることを願っています。
 

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