フジTV系 月曜ドラマ
『リップスティック』 〜藍のキモチ〜 教誨師エルピスの訪問日誌 |
[藍の独白]
_調査官から「裁判官の心証をよくしなくてはいけませんね。少年院には入りたくないでしょ?」って色々言われたけど、あたしはうわの空だった。部屋に戻る時、先生の姿を見た。だけど先生もあたしも全然無視状態だった。「あたし、先生のこととても好きになっちゃったから・・・先生を壊しちゃいたい。あたしも壊れてみたい。」と、ホンネ言ってしまった。やっぱり、あたしと先生は心を通わすことはできないんだ。 _お昼に恵里子が切れてしまった。少年院行きになってしまうみたい。彼に会えなくなるのがつらいみたい。昼食後、恵里子が急に教官を襲った。あたしも鍵を拾って走って脱走しようとした。途中ドアがなかなか開かなくて止まってたら、真白や安奈やぽっぽがやってきた。恵里子は「なんだよぉ・・・お前ら戻れ!」って言ってたけど、あたしはどうにかして脱走したかったから、扉の鍵を色々してたら、扉が開いた。そうしたら外が見えて塀を越えて出て行けた。 _脱走して、神社の下で脱走した理由を聞かれたから「あたし、カバを見たかったの。」って言ったら、笑われた。それから、恵里子の彼のところへ行くことにした。街の中を歩いていると恵里子は身振り手振りで色々話してくれるのはいいけど、歩いてる人がジロジロ見ていくのがあるのは嫌だったな。 だけど、恵里子は彼のアパートの窓を見たがらなかった。恵里子の彼のアパートのカーテンは黄色だった。恵里子は泣いていた。そして彼の部屋へ入って行った。あたしたちが部屋へ上がって行こうととすると、恵里子は泣きながら降りてきた。どうも彼には新しい彼女がいたみたい。「あたしは戻らない・・・お前ら戻れ」って言ったけど、「あたしも(信じてくれない先生がいるから)戻らない」。安奈も彼がいるから戻りたくないみたい。真白は「あの先生を裏切ることになるよ。」って言ったけど、友達だから一緒だもんね。そうしたら、ぽっぽが黄色のカーテン持ってきた。みんなでキューティハニーの歌歌いながら、走り回り、トラックの荷台に飛び乗った。 トラック運転手の兄ちゃんにひまわり畑の辺りで降ろしてもらって、写真を撮ってもらったけど「どこに送ったらいいの?」って聞かれたから、「東京第二鑑別所!」ってみんなが言ったら、兄ちゃんは不思議な顔していた。ひまわり畑の中で色々なことを話した。みんなが家族だったらなぁ・・・とか、ひまわりの花言葉「いつもそばに」って言葉をそれぞれ思っていることを込めながら、花を見て言っていた。あたしにとって、いつもそばにいて欲しいのは・・・先生なんだけど。 _あたしがアパートに戻って来たとき、先生が階段に座っていた。先生は千尋さんが目を怪我した理由を誤解していたことと、「君が僕の味方でない」と感じていたことを謝っていた。「あたし、先生が人にひどいことをしてしまったとしても・・・あたしは先生の味方になる。・・・たとえば、先生が本当に悪い人だったとしても、あたしは先生の味方になる。・・・あたしがそうだから先生もそうでなくちゃいけないでしょ〜っ!」って、泣いた。先生は「ごめんよ・・・僕は君の味方になるよ・・・だから戻っておいで」と話してくれた。「離れて互いに別れる約束だったよね。そんな約束は破ってしまおう。僕はずっとずっと君の味方になろう。・・・」そんな言葉信じられなくて、「うそだ・・・」って言って佇んでいると先生が抱きしめてキスしてくれた。 みんなのところに、先生からもらった食料持って戻って来たら、恵里子は「てめぇ・・・売りやがったなぁ」って殴り掛かってきた。みんなが「藍も先生に会いたかったんだよ!」って止めてくれた。恵里子は「藍、お前だまされてるんだよ。男って女をだますんだよ。」って言ったけど「あたし会いたい、先生に会いたい。(檻の中ででも)会いたいって・・・」って言ったら、恵里子は泣いていた。だけど、ハンバーガーをぱくついていた。みんなが寝ている間、あたしは起きていて色々考えていた。恵里子は涙を流していたけど・・・。 朝、鑑別所へみんなが行く途中、先生が道に立っていた。恵里子が「先に行けよ。ただし1分だけな・・。」って言ってくれた。あたしは先生のところへ走っていった。先生は背中に手を組んで立っていた。 |
[訪問日誌]
_鑑別所訪問も、何度も重ねてくると、ここにいる子たちの様々な「心の動揺」が見えてくる。それに対して教誨師の私は、どうしたら、彼らが社会の荒波の中でまっとうに歩けるようになるのか、暗中模索しているのが本当のところである。 _恵里子さんは、ものすごく不安定な状態でやってきた。「こん畜生!警察と取り引きしたのに、年少に行くかも知れねぇ・・・。年少に入ったら2年は彼に会えなくなる、年少って本当のワルがいるところなんだよ。」と、落ち込みながら毒づいていた。色々あると思うが、こればかりはどうにもならない。ただ彼を信じて「罪の償い」をしっかりできて帰ってくるまで待ってもらえる希望を持ち続けるしかないですね。彼女は「彼はカバみたいだけど、あたしを待っている印に映画の『幸福の黄色いハンカチ』ではないけど、黄色いものを窓にかけていてくれてるんだ。」と言っていた。 『幸福の黄色いハンカチ』かぁ・・・。高倉健主演の名作映画だ。私も見たことがある。刑務所を出た主人公が北海道に車で旅をしていたカップルに頼み込んで、彼女の待つ町へ連れていってもらう。彼女が主人公を待っている印に、黄色いハンカチを家にかけていると言っていたが、主人公は彼女の家を見たがらない。カップルが見てみると家の周囲に何枚も黄色いハンカチがかかっていた。そして彼女が彼を迎えるラストシーンが印象的だった。そんな話を彼女としていると彼女はご機嫌になって「先生って牧師さんだけど、普通の映画も見るんだぁ!世間離れしてるから、映画なんて見ないと思ってた」って驚かれた。まぁ今の仕事ではあんまり見られないけど、結構学生時代は見てたね。そういえばSonnarさん(ここの管理人)は今度『鉄道員』って映画を親しい友達と見に行くらしい。5年ぶりの高倉健主演で、志村けん初出演の映画だとか・・・だけど、そんな話題性はともかくとして、Sonnarさんって映画館行く習慣あるって話聞いてないけどなぁ?(理由はわかるでしょ?ここのお客さんならね。by Sonnar) _葛西さんが安奈さんの呪縛を解いたけど、安奈さんの精神状態は荒れ果てた状態が続いていた。余りにも自分の犯してしまった罪の深刻さに「にっちもさっちもいかない状態」になってしまったらしい。私は彼女が「あたしは汚れた女なのぉ。もう元に戻れないのぉ。」と嘆き続けるのをじっと聞いてあげるしかなかった。私は後で葛西さんに聞いたところ、「三池安奈が洗脳から解けて元の三池安奈に戻ったみたいです。彼女は今犯したことについて苦しんでいます。洗脳されていたぐらいだから、純粋な子かも知れません。」と言っていた。 マインドコントロールや洗脳にかかりやすいのは、結構社会にうとく「免疫」がない人である。私たちには「不倶戴天の宿敵」である異端キリスト教とか、今も社会的に問題と不安を与えている某真理教なんてのも、信徒構成を見てみると、学歴とか家庭環境とかには問題は見えない。だけど、本人の生育歴を見ていくと、社会現象への免疫がないとか、適切な人間観とか社会観を身につけてない状態で、ちょっとしたことがきっかけとなって、短い間に洗脳されてしまうことがある。そんなことが大きな理由なのだが、今の社会・マスコミは「マインドコントロールの恐怖」とばかり煽り立てて、本質的な原因には触れようとしない。こういう状態が続けば、いつまで経っても日本にはマインドコントロールの問題は消え去らないだろう。 _安奈さんに「洗脳を仕掛けた張本人」の紘毅君に沢村教官は「安奈さんがあなたの洗脳から解放された後で苦しんでるのよ。あなたは彼女が元の安奈さんに戻る方法は知ってるでしょ?」って言った時、彼は「それは簡単です・・・死んでしまえばいい!」って言ったそうで、沢村教官は思わず彼を殴ってしまったようだ。彼は全然動じないで「暴力はいけませんよ」と冷たく言ったのだそうだ。「人間じゃない・・・」「僕は人間じゃありません・・・」というやりとりがあったそうだ。 はぁ・・・私が「下手に悪魔扱い」したのが悪い方に行ってしまったか?このまま私が本気で対決姿勢を取るならば、エクソシストの援軍呼んで来なくちゃいけない(笑)。まぁ、彼は家庭環境について口を閉ざしたままであるのでわからないが、知識や知性の高さからして。高い能力を持っているので、さほど家庭に問題があるとは思えない。しかし、思考の内容に問題があるのは、マインドコントロールをかけられているとしか思えないほどだ。しかし彼自身は安奈さんに洗脳を施し、解く方法も知っていて、その後どうなるのかがわかっていた。もしかして彼は自分自身に洗脳をかけ、「本来の自分」を何らかの理由で隠しているのでは・・・?いやそれはないと思うが。 _そういえば、今日は恵里子さんと安奈さん以外のあの同室の子たちは来なかったなぁ。藍さんとか真白さんとか小鳩さんとか・・・どうしたのかな?彼女たちにも「色々な事情」があるから、来ないこともあるのだろうな。次回の訪問で会えばいいし、短期間だけど、気長に付き合っていくしかない・・・と思いながら、鑑別所を後にした。 |
第10話『火星人の恋』
[藍の独白
_今日のお昼は、部屋のみんなとハンドボールをしていた。みんなと打ち解けてきて、楽しやれて勝っちゃった。
_夜、安奈はみんなが寝静まったころ、安奈は窓に首を吊ろうとした。足元のバケツがコロンと転がって安奈の体がぶら下がった時、みんなで安奈を引き降ろした。安奈は「死にたくなーい」って泣き出した。恵里子や真白は自殺することを責めていた。教官が入ってきた時、安奈は「紘毅を助けて!」って言った。え?みんなびっくりしていた。紘毅の洗脳から解けたはずなのに・・・? _翌日、先生はゴッホという画家の話をしていた。『ひまわり』という作品が有名だけど、その話をしていたら、ふいに「火星人の話をしようか?」って言ったけど、あたしは「もういいよ」って言ったけど、先生は「探す必要はない。一番近くに僕がいるからさ。・・・君を愛しているからさ」と先生は、振り向いて涙を流した姿を見せて言った。そして先生は泣き崩れてあたしの足元で泣いていた。 |
[訪問日誌]
_今回の訪問では、前回の訪問で会えなかった人たちに会えるかなぁ?って思いながら、自宅を出て鑑別所に向かった。よく晴れた日で、暑かったけど、グラウンドでは女の子たちがハンドボールを興じていた。やっぱり若いということはいいねぇ。こういった所に入って将来の可能性は消えたように見えるけど、まだまだいけると思うのだ。そんな彼女たちの _「・・・僕だけを信じて・・・貧しい者たちに見つからないように、消えよう。次の雨の夜に。」って、紘毅君は安奈さんに言ったらしい。沢村教官は彼の言葉の意味がわからないらしくて、相当きつく彼に迫ったらしいが、彼は答えなかったらしい。有明さんには「僕は常に最悪を想定して、それを見てみたくなるみたいです。それに比べて芸術家は楽観的ですね。・・・僕は哲学者でやがて消えゆく。」って言ったらしい。安奈さんには「別に大した事ではないんです。最後の審判についてです。」という内容の話をしたらしい。私は最悪のシナリオを連想した。つまり「安奈の神」としての彼が、彼女に最後の審判として彼女に「死の審判を下した」ってことなのか?彼はかなり焦っているようだ。もしかして・・・?彼女は自殺してしまうかも知れない。
_藍さんは、有明さんから火星人の話を聞いて「みんな同じ顔ならば、どうやって『ある人』を探せばいいの?先生は『音楽をかければいい』って鼻歌を歌ってたけど、ふざけないで!って、思ってた。」って言ってきた。彼女はせっせとノートに火星人を描いていた。絵を見た私は「へぇ・・・これだけみんな同じ顔になっちゃったら、区別つかなくなるねぇ」って言いながらそう思った。「21世紀は、みんな美的感覚が近くなって、美容整形も進んでみんな同じ顔になってしまうんじゃないかな?」なんて有明さんは言ったらしい。 現代の日本社会の姿見てると、顔形は違うけど、服装などは流行で『みんな一緒』っていうのは多い。「火星人の話」で「誰なのか区別がつかない」なんてさほど変わらない状況なのだ。みんな見た目は一緒にしてしまって「他の誰でもない自分」なんて見せてくれないのだ。そんなことを考えていたら、今の社会なんて、自分らしさが出せない社会なのかなぁ? _小鳩さんは、中学校で相当ひどいイジメを受けていたらしい。犬の糞を手で触らせられたり、給食に汚いものを入れられていたり。そして孤独になって不登校になったようだ。本当に心を通わせることができる友達がいなかったみたいだが、鑑別所の中で友達を見つけたらしい。葛西さんに、小鳩さんを担当させた有明さんの判断は正解みたいである。彼は「安奈のこと好き?」って聞かれて困ったみたい。少しづつコミュニケーションを取れるようになったのだから、許してあげないとね・・・と、葛西さんには言っておきましたが(笑) _今回は、「自殺の予感」を感じたが、どうか「自ら命を絶つこと」はありませんように・・・と、祈り求めたくなるような思いで鑑別所を後にした。(後日、安奈さんが未遂をしたらしいが助かって、紘毅君は、自室で普通に寝ていたようだ・・・という話を聞いた。心中ならば、まだわかるが、彼女に自殺を強要して自分はのうのうと寝ていたとは・・・彼の心の中はどうなっているのか・・・さっぱりわからない。)
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