『リップスティック』 〜藍のキモチ〜 教誨師エルピスの訪問日誌 |
第11話 『さよなら私の先生』
[藍の独白]
_「君を愛してるからさ・・・」と先生が言った時、「そんなのわかってるさ」って答えたら、先生は泣き崩れた。あたしは、やっと先生が素直に言えるようになったのかなぁ・・・って思ってた。
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[訪問日誌]
_訪問を始めて、かなり時間が過ぎたような気がする(3ヶ月くらいに感じる)が、実は1ヶ月足らずだ。そんな中で色々なことが起きた。私も戸惑いながらも訪問を続けて、色々な子たちの色々な姿を見た。だけど、彼らは現代社会の「炭坑のカナリア」である部分ことを考えると、何も言えない。淡々と訪問を続けているのが私の仕事である。
_「牧村は告訴しない。自分から先に殴ったんだって言ってた」ということで、葛西さんは免職を免れたみたいだ。これでひとまず安心と、思って鑑別所を後にした。しかし、翌日の朝、悲しい知らせが知り合いの保護司から私のところに電話でやってきた。真白さんがマンションの工事現場で飛び降り自殺をしたそうだ。出所した翌日だったから、家庭で何か起こったのが引き金となり、彼女は希望が見出せなくなったのだろうか?両親が彼女の葬式を出したがらない可能性もあるので、「告別式を教会でやるかもしれないので、準備しておいてください」と、伝道師に言って私は出かけることにした。
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第12話『21世紀の恋人へ』
第12話『21世紀の恋人へ』
[訪問日誌]
_今回で、私の鑑別所訪問が終わる。なぜなら、後任が見つかったからだ。やはりカトリック御台場教会の人事異動で司祭が代ったらしい。木村神父はどうやら他の教会に転任になったようだ。今度の司祭さん曰く「エルピス先生には、かなり無理をお願いして、ピンチヒッターでやって頂きまして感謝いたします。今後は御台場で行きますので、ご苦労様でした。」ってことで、今日が最後の訪問になる。色々あったけど、私にはよい学びの時であった気がする。今の社会の様々な側面を見せてもらった。 _紘毅君には、非常に大きな心のトラウマがあったようで、自分の子孫が残ることに嫌悪感を感じて、安奈さんに援助交際をさせながらも、自分は手を触れていなかったようだ。
Sonnar:沢村さんの「乳房がない」ってのは、まさか同じフジ系でやってたドラマ『セミダブル』の美咲さん(稲森いずみ)のパクリではないでしょうねぇ??>野島さん _私が訪問した時には保護観察処分で出る時、安奈さんはどんな話をして出ていったのですか?って聞いた時、葛西さんはこんな状況でしたよ・・・って教えてくれた。
_数年後、有明さんの個展が開かれる・・・という案内を受け取った。出かけてみて一枚の絵に心引かれる思いがした。天使が太陽に向かって飛び立つ絵であった。私には、「もしかして、この絵のモデルは藍さんかなぁ?」と思ってのだが、有明さん本人は療養中だったので、会えなかった。 ・・・さらに数年後、今度は有明さんと藍さんとが二人で私の所に訪問して来てくれた。何の用事で、私の所に来たのかって?
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