口下手〜2〜

 

結局、午後もそのまま真神学園で体育祭を見ていくことになった。
女の子からの視線が結構集まっていて恥ずかしかったけれど、龍麻がどうしても見ていけと無理に僕を龍麻の席に座らせたのだ。
午後は応援合戦や騎馬戦やリレーなどに出場して龍麻は大活躍だった。自称、真神イチのいい男の蓬莱寺よりも女の子の声援が大きい。そして、向けられるカメラの数もまた多い。人気のほどがよくわかってしまう。店に来たときには全然、そんな話題を口に出したことはなかったけど。
3−Cの優勝で幕を閉じた体育祭を最後まで見て、そろそろ帰ろうとしたら龍麻に一緒に帰ろうと誘われた。本当は早く帰りたかったのだけど、龍麻と一緒にいられる時間が長くなるなら待っていようと、一人で門のところでぼんやりと立っていた。なかなか龍麻は出てこず、それでもまだ待っていると裏密さんが通りかかった。
「如月く〜ん、こんにちは〜。」
例によっておどろおどろしい口調で挨拶をされて、僕も挨拶を返す。
「やぁ、裏密くん、久しぶりだね。」
「ひ〜ちゃんを〜待ってるの〜?」
抱きかかえた人形を僕のほうに向けながら聞かれる。
「ああ。ここで待っているように言われたんだが、なかなかこなくてね。」
「ひ〜ちゃんは〜、さっき〜、裏門のほうに〜。」
「え?そうなんだ?僕が場所を間違えたのかな?行ってみるよ。ありがとう。」
「またね〜。」
裏密君は怖がる人もいるけど、僕は割と仲良くしている。時折、怪しい薬類を調合しては実験しようとしているけれど、彼女の持つオカルトの知識は並大抵ではないし、僕の商売上、頼りになる人物でもある。
「ええっと、裏門ね。」
僕は真神学園の敷地沿いにある道を裏門に向かって急ぐ。裏門というのは、旧校舎の近くにあって、あまり人が出入りしないところである。だから、僕ら他校の生徒が龍麻の旧校舎もぐりに付き合うときにはほとんどその裏門から出入りしているのだ。
裏門に着いて、中に入ると龍麻の姿が見える。ああ、やっぱり僕が場所を間違えたんだと思って近づこうとすると、龍麻が不意に頭を下げた。
誰かと話をしている。
僕は瞬間に歩みを止めて門柱のところから、そっと龍麻の様子を伺った。
龍麻と話しているのは、真神学園の白いセーラーを着た女の子で、でも、下級生なのか、龍麻のことを先輩と呼んでいた。茶色に染めたストレートの髪が肩ぐらいまであって、大きな目が強い印象を与える、少し勝気そうな彼女は、きゅっと唇をかみ締めて目の前で頭を下げる龍麻をじっと見ていた。
「ごめんね。…でも、俺、嘘はつけないし。」
「好きな人が…いるんですか?」
尋ねられて、龍麻は困ったようにぽりぽりと頭を掻く。
「まぁね。」
「美里先輩ですか?」
はっきりと名前を出して尋ねるが、龍麻は再び困惑の表情を浮かべてゆっくりと首を振って答える。
「この学校じゃないよ。」
「じゃあ…その人とうまくいかなくなってからでいいんです!…その後でもいいんです。…付き合ってください。」
僕はその言葉を聞いた瞬間に息が止まりそうになった。
その人とうまくいかなくなってから。僕と龍麻が別れてから。そんなことをいわれるとは思わなかったから僕は驚いてしまった。
「…俺ね、こう見えても結構一途でさ。…多分、ずうっとあいつ以外好きになんてならないよ。」
すまなさそうに言う龍麻の言葉に、どこか勘に触ったのか、彼女は急に詰問口調になって龍麻に言う。
「なんでそんなこと、わかるんですか?…これからの一生なんて長いのに。なんで、その人以外好きにならないって、そんなことが言えるんですか?」
畳み掛けるように龍麻に言うが、龍麻はただただ困惑したような表情を浮かべるだけで何も答えない。
「どうしてその人に自分を縛り付けるんですか?」
その言葉がショックだった。
僕の存在が龍麻を縛っている?
僕はただ、龍麻のことが好きなだけで、きっと僕は生涯龍麻以外の人を好きになることなんてないだろうと思っていた。だからそう言った。僕の星は龍麻とともにあるのだから。
だけど。龍麻の星が僕と共にあるとは限らない。
僕は呆然とそこに立ち尽くしてしまった。
「如月?」
ふと名前を呼ばれてはっと顔を上げると、龍麻がすごく驚いたように目をまん丸にしてこちらを見ていた。龍麻の前にはまだ彼女がいる。まずい。
僕は急いで笑顔を顔に貼り付ける。
「ああ、すまない…邪魔をしたようだね…。」
こんな時だけ、小さい頃から教え込まれた無の境地が体現できるのが自分でもおかしく思う。きっと、そこにいたのが龍麻だけだったらこうはいかなかった。彼女がいたからこそ、僕は持てる限りのプライドを総動員して笑顔を貼り付けることが出来たんだと思う。
「僕は、帰るから。」
そう言って踵を返す。後ろのほうで龍麻が僕を呼んでいる声がしたが、そのまま立ち止まらずに早足で裏門を去った。後頭部を思いっきり殴られたように、ぐらぐらと視界が回る。頭の中は何も考えられないほどに真っ白になって。
そのまま、どうやって僕は家に戻ったのか分からない。
家に帰り着くと店の続きの座敷に重箱と水筒を投げ出して、そのまま自分の部屋に走りこみ閉じ篭もる。
崩れるようにぺたりと座り込んで、僕は畳に手をついた。
何がショックだったのか、よくわかってない。
多分、僕と龍麻が別れた後の話をされていたのがショックだったのだと思う。
そうなんだ、その可能性だって充分にある。
龍麻はどうして僕なんかを好きだというのかよく分からない。融通の利かない、こんな面白みもない、女らしくない僕をどこをどう間違ったのか好きだというのだ。
そして、きっと龍麻のその思い込みはそのうちに間違いだったと思い直すことになるだろう。
付き合えば、ずぅっと一緒というわけではないのだ。
彼女が言うとおり、龍麻の人生はこれから長く続く。その中で僕だけを好きでいる可能性よりも、他の人を好きになる可能性のほうが遥かに高い。
それなのに。
僕は僕の誕生日のことを思い出した。
『君の一生を、僕に払ってもらわないと。』
僕は龍麻にそう言った。僕はそんな言葉で龍麻を僕に縛り付けてしまっていた。
僕の持つ星は、龍麻に付き従う星。龍麻を主としてどこまでも従い、ついていく。無論、星に関係なく、僕は自分自身の意思でも龍麻に従うけれど。だけど、龍麻はそうじゃない。龍麻の前には無限の選択の可能性があるというのに。
自分の愚かさにほとほと呆れた。どうして僕はこうなのだろう。
もっと賢しくありたいのに、どうして失態ばかりを重ねているのだろうか。
悔しくて、悲しくて、涙が浮かぶ。
いつか、こんな僕に龍麻は愛想をつかすのだろう。そうしたら、僕はどうしたらいいんだろう。ようやく胸の中に灯った小さな暖かさが、冷えていくのを考えると身震いが走る。そうしてずっと今まで送ってきた孤独な辛い日常が僕を飲み込んでいくだけ。
もうそんな思いはしたくないのに。
どうしたらずっと一緒にいてくれる?どうしたらもっと好きになってくれる?
そこまで考えて、龍麻の気がすごい速さで近づいてきているのを感じた。いけない。
僕は慌てて右手でぐいと涙を拭った。
「如月〜っ!」
店の方から声が聞こえる。
どたどたと、普段の彼らしくない荒っぽい足音が店の方から廊下を通って僕の部屋の前まできた。
「如月、いるんだろ?あけるぞ。」
僕が返事をする前に襖が開けられる。僕はどうしても龍麻の方を向きたくなくって、庭のに向いたままで座っていた。
「…すまない…。」
僕は龍麻に何を言うべきかわからなくって、最初に口から出た言葉は詫びの言葉だった。覗き見のようなことをしてしまったこと、先に勝手に帰ってきてしまったこと。きっと龍麻は気分を害したことだろう。
「…なんで如月が謝るんだよ。」
だけど、予想外の言葉を不機嫌そうに吐く声が背中から聞こえる。僕は怖くて、一瞬、肩を竦めた。背後からは呆れたような龍麻の長いため息が聞こえ、部屋の中に龍麻が入ってくる足音がする。僕の横まで来ると、どかっと乱暴に座り込んで俯いている僕を見つめた。
「如月…怒ってるか?」
僕はぶんぶんと首を振る。怒ってるわけじゃない。龍麻が誰にでも好かれるのはとっくにわかっていたことだった。
「じゃあ、こっち向いて。」
泣いていた顔を見られたくなくって、僕は龍麻と反対のほうに体の向きを変えた。
背中を向けた僕に、困ったように小さく笑って、そっと腕を伸ばして僕を後ろから抱きしめた。急なことに僕は吃驚して、慌てて腕の中から逃れようとしたけれど、龍麻の力は強くて、全然歯が立たない。もがく僕に龍麻が小さな声で呟いた。
「…嫌いに…なったのか?」
それは初めて聞く声だった。いつも強気で、迷いも何もないような人なのに、心配そうな、不安そうな、震える声で僕に尋ねた。
龍麻が嫌いになるなんて、そんなことは絶対にない。
慌てて思い切り首を振ると龍麻がほ、と安堵の息をつく。
「じゃあ、なんでこっちを見てくれないんだ?」
ゆっくりと責めるようではなく、あやしているように言われて僕は答えられなくって、しばらく黙っていた。背中からは衣服を通して龍麻の鼓動がとくんとくんと感じられる。何も喋らない僕に、龍麻はかなり困ったようで、長期戦を覚悟してか足を崩して僕をすっぽりと抱き込むように、足を広げて座りなおす。やや、僕の背中に頭をもたれるようにしてぽつりと龍麻が言う。
「…ちゃんと、断った。…俺には一人しかないって。」
龍麻の言葉に僕はこくりとうなづいた。
「おまえが帰った後、ちゃんと話をして断ったよ。その人の次っていうのは、今好きな奴に失礼だから考えないし、そういう発言も好きになれないって。」
きゅっと龍麻が僕を抱きしめている腕に力を入れる。
「確かにね、一生如月だけっていう確証はない。結果論だから、俺が死ぬときじゃないとわからない。だから、俺を信じてって、言うしか出来ない。」
できるなら、信じたい。僕をずっと好きでいてくれるって、思っていたい。
だけど、そう思い込むにはあまりにも僕は何も持っていなくて、龍麻は人気がありすぎて。
もっと可愛く産まれたかったのに。誰もが振り返るぐらいに可愛くって、女の子らしい素直な性格で、誰からも愛されるような人間だったら良かったのに。どうして僕はこうなんだろう。
返事が出来なくって、じわりとまた浮かび始めた涙を堪えるのに必死だった。無言のまま、時間だけが過ぎ、幾分冷たくなった風がかたかたとガラス戸を鳴らす音がやけに耳につく。
「今日、弁当、ありがとう。」
しばらく続いた沈黙を龍麻が破った。
「すごく、嬉しかった。…弁当食いながら、…泣きそうなくらいに、嬉しかった。」
同じ姿勢で疲れたのか龍麻が僅かに身じろぎをする。
「…俺、調子に乗ってあれこれ言ったけど、あのうち1つ2つ聞いてくれたらいいやって思ってた。…だけどさ、全部きちんとかなえられててさ…見た瞬間に、俺、泣きそうになった。」
へへへと後ろで龍麻が照れくさそうに笑った。
「すごい時間も、お金もかかっただろうなって思ったから。…それでも、俺の言ったこと全部かなえてくれたの見て、愛されてるなって、実感してさ。…バカみたいだけど、すげー、嬉しくって、…へへへ。…単純かな?」
最後のほうを自嘲気味に笑った声はやや鼻声で。
「…俺ね、一生、如月を大事にしようって思ったんだけどさ…でも難しいな、もうヤな思いさせちゃってるし…。…ごめんな。」
違う、龍麻の所為じゃない。
さっきから黙りこくっている僕を責めるでもなく、ただ龍麻は自分が悪かったと、僕に言う。龍麻の所為じゃないって、言わなくちゃいけないのに。
「違うんだ…。」
喉の奥から搾り出した言葉はそれだけだった。
ああ、こんなんじゃ伝えたいことの10分の1も伝わらない。
僕は本当に自分の愚鈍さがイヤになる。
龍麻は先を促すでもなく、じっと僕の背中で僕が続きの言葉を紡ぐのを待っている。
「怒ってない…龍麻が…もてるのは…知ってるから…。」
こんな言い方じゃ嫌味にしかならないのに。僕は必死で頭を動かすけれど、伝えたい内容に見合う言葉が見つからない。
「…もっと…。」
「え?」
「…可愛くなりたかった…。」
龍麻が驚いたのが気配でわかる。そうだよね、僕が可愛くなんかなれるはずがない。そりゃ龍麻だって驚くだろうし。…わかってはいても、僕は少しだけ龍麻が驚いたことに傷ついていた。そんなことを願うのは似合わないだろうって自分でもわかってるから、トドメをさされたようで、僕は密かに傷ついていた。
「…そうしたら、…もっと好きになってくれるだろう?…ずっと好きでいてくれるだろうっ!?」
ほとんど吐き捨てるように言って、そのまま僕は龍麻の腕の中から逃れようとした。もういい。僕は、やっぱり女らしくするのなんて似合わない。
だけど、やっぱり龍麻はしっかりと僕を抱きしめていて、もがいたけれどそれは全部徒労に終わって、はぁはぁと暴れた後の荒い息遣いだけが残る。
「充分に可愛いよ?如月?」
耳元で囁かれて僕の顔は一瞬でみっともないほど赤く染まる。
「なっ…!」
抗議の声を上げようとして、でもぎゅうぎゅうと強く抱きついてくる龍麻の腕が苦しくて声が出ない。
「もっと自信もてよなー。充分に可愛いし、美人。」
そう言いながら龍麻は僕を龍麻のほうに向くように座らせる。目の前に嬉しそうに笑う龍麻の顔があって、僕は嬉しいはずなのに、さっきの龍麻の驚きが脳裏を掠めて悲しくて目があわせられなくなって俯いてしまう。
「…お世辞なんかいいよ。…僕は…。」
「あ、ちょっと待て。…俺、お世辞言ってない。」
「いいよ。…もういいっ!」
もうイヤだ。僕は龍麻から逃れようと怒鳴って体を捩る。
「よくないっ!!」
僕よりもさらに大きな声で怒鳴られ、それにびっくりしてまた瞬間的に肩を竦めてしまったのを見て慌てて彼はフォローに入る。
「あ、ごめ…怒鳴るつもりじゃ…。」
申し訳なさそうに、大丈夫?と僕の顔を覗き込んで心配する龍麻はかなりおろおろしていた。僕は唇をかみ締めて俯いたまま、返事もしないでいた。龍麻は困ったようなため息を短くついてから呟く。
「俺はね、如月、すげぇ可愛いって思うよ。」
それでも、まだ僕は俯いたままだった。
「…さっき、可愛くなりたかったって言っただろう?…アレ、俺のためって思っていいんだよね?もっと可愛かったら、俺がもっとずっと如月のこと好きになるから、如月はかわいくなりたかったって、そう解釈していいんだよね?」
改めて龍麻から言われると顔から火が出そうになるくらいに恥ずかしいけど、大意はあっているのでこくりとうなづくと満足そうに微笑んだ。
「そうやって俺にもっと好きになって欲しいって思ってくれる如月が可愛いと思う。」
「驚いたくせに?」
僕が意地悪く答えると龍麻がにこにこと微笑んで答える。
「そーゆーコト、言われたことがなかったからね。」
そうして龍麻は大きな手で僕の顔にかかった前髪を梳いて後ろにやる。
「だから、びっくりした。…あ、オレ、そんなに愛されてるんだなぁって…あんまさ、そーゆー実感なかったからさ。」
さっきの龍麻の驚きはそういうことだったのか。…僕は早とちりをしていたらしい。
恥ずかしくって穴があったら入りたいくらいなのに、相変わらず龍麻にぎゅうぎゅうに抱きしめられていて逃げ出すことも叶わない。彼の顔が直視できなくって、俯いたままでいると嬉しそうな龍麻の声が耳元に降って来る。
「如月ってさ、あんま自分の気持ちとか喋ってくれないからさ。…もしかしたら、仕方なくオレと付き合ってくれてるのかなー?なんて思ったりもしててさ。…正直、ちょっと落ち込んだりして。」
はははと乾いた笑いを浮かべた龍麻に僕は思わず顔を上げて彼の顔を見つめてしまった。普段は優しく微笑んでいる顔をちょっと曇らせていた。
言われてみれば、僕は龍麻にそれほど自分の気持ちを喋ったことはなく。精一杯、喋ったのは僕の誕生日、告白されたときに、ちょっとだけ話したきりだった。
「でも、…良かった。…ありがと、如月。」
ふわりと、やっぱり優しそうに前髪の奥で細められた目に、僕は見惚れてしまいそうになった。
確かに、僕は愛されてる。
きついほどに僕を抱きしめている腕も、嬉しそうに、柔らかく細められた瞳も、穏やかに弧を描く唇も。全部、僕に向けられていた。
「僕は…龍麻にいてほしい…。」
頭の中で精一杯考えて、まだ愛してるって言うには恥ずかしくって、言える範囲で一生懸命に気持ちを伝えようとしたけれど、でもおかしなセリフしか出てこない。
「オレも、如月がいないと困るね。」
それでも、龍麻は応えてくれて。僕の額にかかった前髪を払うと大きな暖かい手が僕の頬を包む。うっとりするような龍麻の手の暖かさに、もっと龍麻に触れたくて、そろりと彼の背中に腕を回すと、ふ、と短く彼は破顔して、そっと僕の唇にキスを落とした。
頭の芯が熱でぼうっと霞んでしまいそうなほど幸せで。頭の中にあったいろいろな思いがそれで浄化されて僕の中には龍麻が好きだという気持ちだけが残っていた。
離れていく龍麻の唇に、閉じていた目を開けると、目の前には綺麗に微笑んだ彼の顔がある。
「僕は…僕に縛り付けるつもりはなかった…。」
「うん。」
「ただ、…僕は…。」
「わかってるよ。」
それ以上いわなくていいと、龍麻は僅かに首を振る。
「オレが好きで、オマエの側にずっといるって決めたんだから。気にしなくっていい。」
いい子いい子するようにゆっくりと髪を撫でられて、僕はその気持ちよさにうっとりとしていた。
いつかは、ちゃんと愛してるって言えるようになりたい。
自分の気持ちを、全部伝えられるようになりたい。
どんなに龍麻が好きか、全部伝えたら、もっと好きになってくれるだろうか?
まずは、未だに照れてしまう龍麻の笑顔を直視できるようになることから始めようと、僕は優しい笑顔を見つめていた。



                                       END

 

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