がじゅまる2004-I

最終訂正日04年2月29日


歌を詠む 2003年を歌で詠む


    2004.1.1

  1. 新たなる決意をもちて迎えたる年の始めぞ清々しきか

    1.2

  2. 大阪に老母を迎ゆ春間近心揺らげど最後の正月

  3. 初売りの地方発送で大阪へ土産を送る従兄ありける

  4. 幼子は父に甘えてまといつく祖父母の暮らす島の正月

  5. 里帰りプロペラ機をば操縦し島に渡るは何時の日ならん

  6. プロペラ機20トン車オークション軽く話せる君は逞し

    1.3

  7. 書きたしと思ひしままの文あれど書かずにありて過ぎ行く正月

    1.6

  8. 試練の日誇らしげにぞ語りける信念もちて生きんとする君

  9. 様々に別れし友を語りおる青年たちも会うことあるや

  10. 進路にて悩みおれども今はただ学びおること力尽くさん

  11. ヘーゲルと西田哲学を教えらると亡き兄の友懐かしみおり

    1.9

  12. 城屋敷コースを外れて二本楠巡りし後に目的地へと

  13. 駐車場雨の中にも三台の軽トラあれど人影見えず

  14. 降る雨に出るに出られず語りおる駐車したるワゴン車の中

  15. 雨止みて下り始めて釣り人の重き装備で上り来るに逢う

  16. 雨降れど森の小道は乾きおり残りしずくは遅れて落ちる

  17. 風景が濡れて浮びぬ大瀬崎光のはしご南にかすか

  18. 人気(ひとけ)なき白灯台に雨避けてのんびり語る暖かき冬

    1.10

  19. くるくると廻る草の葉ひとつあり自然が醸す匠の技か

  20. 助手席で眺め楽しむ遠出なり若葉の車スピードを上げて

    1.11

  21. 晴れやかに装いたりし記念の日はたちにならず式を祝ひし

  22. デジカメで撮りたる写真プリントす着物姿の微笑み並ぶ

  23. デジカメの日ごろはせざるプリントを手渡ししつつ感心しきり

  24. 様々に別れし路を歩みいてつかの間集う故郷のとき

  25. 卒論を故郷で仕上げ恩師宛添付で送る今時風か

  26. 入学の手続き終えし少女なり受験を重ぬ不思議な世界

    1.14

  27. たまたまに歌会始の日なりて過去の歌をば調べ楽しむ

  28. 初日の出島の上に美しく光(て)りおる画像送ってきたり

    1.15

  29. 大鍋のおでんの香り充ちあふれ我が部屋冬の寒さを知らず

  30. 手仕舞いをしたる翌日のんびりくつろぐ心地を忘れていたり

  31. 昼下がり幾多の墓地と集落を通り過ぎゆくのどかな冬日

  32. パソコンでコミック読みてとき忘る本で読みたる昔を思ひつ

    1.16

  33. 母通ふマリアの園の傍らで信徒眠らぬ墓地湿りたる

  34. 校門に幟はためく時津海かつて学びし福江中学校

    1.17

  35. カルタ取り体育館で子供らと楽しみおりし姿浮かびぬ

    1.18

  36. 題詠の思ひしよりも易きにて我ひとりにて試みにせん

  37. 謎ときめの君が解き得ぬ題詠か創りし謎は素直なれども

    1.19

  38. 頭より大き桜島もらひしがようやく一つを漬物とせり

    1.20

    即題詠 「祭り」

  39. お神輿を軽トラ乗せて運びおる交通多き地区祭りかな

  40. 少女らが薄き紅ひき大声で神輿担げる富江の社(やしろ)

  41. 肌寒き夜空を照らす花火にて終わりを告げる福江の祭り

  42. 幟持ち友と一緒に町中(まちなか)を練り歩きたる三井楽の祭り

  43. 幼き日楽しき祭り待ちわびし想い出遠く今はなつかし

  44. 旧暦の桃の節句に馳走持ち走りまわりぬ只狩の山

  45. 豊作を祝う祭りに子供らは家々を歩き菓子など食べて

  46. 陸奥(みちのく)の祭りが根付き年々にネブタ増え行き街をば走る

  47. その昔不思議に思ひし祭りの残りてあるも廃れつつあり

  48. 長月の寝待月をば浜辺にて待ちし人々何を語らん

    1.21

  49. 夕べよりわが街にても雪降りて屋根には白き覆いかぶりぬ

  50. 寒風と雪が舞いける夜にてもフェリーの汽笛いつもに変わらず

    1.22

  51. 夜明け前海も周りも静かにて窓をあくれば白き世界

  52. ゴミの日馳走は無くてカラス群れ白き世界にカアカアと啼く

  53. 下見えぬ道路に印す白き跡南の景色震えていたり

  54. 一台の車曲がれる跡残す白き道路を児童が通う

  55. 晴れ渡る空はあれども残る雪消ゆと思えず夕べに舞える

    1.24

    題詠 「涙」

  56. 涙川流せし人は今いずこ袖も濡らさで涙こらゆや

  57. 泣きたくて涙の出ざる悲しさよ独りにてあれ耐えよと言うか

  58. 映画見て涙の滲む時ありてそのまましおき余韻楽しむ

  59. 緊張の時に涙を流したる乙女のいたり看護師になる

    1.25

  60. 今日もまた雪は舞い散る山肌に雪は残りて姿を見せつ

  61. 小雪舞う景色を眺むサッシ窓部屋のぬくさに曇りて見えず

  62. マニュアルで教えることに不満持ちメールを書きぬ駿河の地より

    1.27

  63. おっとりと教える癖を指摘され世間を知りぬ研修かな

    1.28

  64. ウィルスの気配ぞしたるファイルあり初期化をすればメールを失えり

  65. 文を書く手を休めては詠める歌いつしか歌集は忘れられたり

  66. 朝に昼そして夜へと詠ひ継ぐ五十余りの歌に漬かりし

  67. 歌作る意欲は時に気まぐれで目覚めぬ時も多くありたる

    1.29

  68. 序と跋三つを書きたる月末は詠みし歌をば振り返るとき

  69. 合作の歌の顛末知らずして無闇に上の句を作りおる

    1.30

  70. 題詠と合作を混ぜてともに詠む歌はますます楽しくなりて

  71. 知らざりし謎解きに似る題詠と合作を併せ拓けし世界

  72. 得手不得手人にて違う不思議さよ合作で分かる性格ありや

  73. 数多く詠むを本意とは思わずも競詠の如き即詠なり

  74. 独りにて歌詠みするは辛からん記録歌なれど語りたきかな

  75. 寝転がり机に座りさまざまに思い浮かべし心象を詠う

  76. 文にては書けぬことをも詠むことのいつしか来るや定かならねど

  77. 世間をば詠ひたき吾今はただ小さき己見つめておれど

  78. 感情を爆発させる歌は無きカタルシスとはいつしか遠く

  79. 扉をば開きて見れば次々と現れ来たる未知の世界か

  80. いつしかは泉は涸ると思ひけり未だ湧き出づ命ありとは

  81. 移り気の我が誘われ踏み入れし外で見しより華やかなりか

  82. 様々に浮ぶアイデア行いて世間の広さ狭さを知らず

  83. 詩心は年を経るごと消え行くか歌詠む心詩心なりや

  84. 大雪を生き残りたるアロエ花オオタニワタリともに陰薄く

    1.31

  85. 柔らかき指で顔持て髭剃りす女理容師と話をしつつ

  86. 散髪の終わりに尋ぬならひにて我も同じくいらぬと答ゆ

  87. 幾度なく横に見しまま通りたる増田トンネル始めて入る

  88. 四日前は賑わひ見せし海辺道旧道となりて車も見えず

  89. 島中にトンネルできて平地のみ車走らすときになりたる

  90. HPに写真のページつなぎたり我撮りたれど美しきかな

    2.1

  91. 巡回のバスに乗りおる人を見ず商店街の苦悩は続く

  92. 上ありて下を作れる合わせ歌ときに思わぬ中身となりて

  93. 上を作る時には何も思わずに下で苦しむ我が題の歌

  94. 潮引きて岩場に残る牡蠣の殻貝を拾える指を傷つく

  95. 大雪の降りし今年の冬なれば外に出られぬ集落ありて

  96. 風を切り我も走ってみたくなるすべてを忘れ己を信じ

    2.3

  97. 知らぬ間に詠ひ残せし千の歌はるけき峰もいつしか過ぎて

    即題詠「島」

  98. 若者の島を離れる日は近く教習所も賑わいをみす

  99. 島の道ますぐに広くなりたれど住める人々少なくなりつ

  100. 展望台遠くに見える小島あり望遠鏡で家々間近

  101. 島に住む我に教える汽笛音遠くに聞こゆエンジンもあり

  102. 我歩く島のコースは八キロも人影見ざる時もありたる 2.4

    2.4

  103. タイ娘二十歳(はたち)になるがパパさんと呼びおる友は楽しげなりて

  104. とつ国の西の島にて踊りける北と南の娘(こ)らは何思う

  105. 知らざりき友が詠ひし時あるを我も泉の枯ることありや

  106. 饒舌に俳句を語る友となり昔の熱気思ひ出せしか

  107. 投稿で毎回名をば見す人はかつて遊びし同級生なり

    2.6

  108. 心弾む気持ちを抑ゆあたはずに友はドーナツを女に与ふ

  109. 客よりもダンサーの多き店なりて夜のネオンは不況に勝てず

  110. タイ娘踊れる店に通へども気にかかりしは経営のこと

  111. 我知らぬ影の世界の有様を聞きしにあれどすぐに忘れぬ

  112. タガログ語覚えたしとぞ言ひし友今は昔でタイ語となりし

  113. 薄暗き夕べの空に西の端(は)は陽が沈みし後白く広がる

    2.7

  114. 娘らにタイの地図をば示しては国際電話約束せしとぞ

  115. 疲れたりと云える友は楽しげに仕事の合間電話をかけくる

  116. メルマガの申請終わる週末はメルジン熱気を思い出しおり

    2.8

  117. 二人乗り黄色のビートを駐車してパンクの修理手伝う友か

  118. 二年前買ひしノート型使わずに在りしままにてフリーズしたるや

  119. 薄桃の衣着たまま洗車する看護師見える駐車場

  120. 日曜日眼帯しおる患者の窓より見たる眼科病院

  121. 英語書く慣わしからは遠ざかり書き出し惑うエッセイに悩む

  122. 時にてはストレスたまる行ひを好みて求む我もいたりぞ

  123. 日曜の夕べは寂し街中に響く声など少なくありて

    即題詠 「投稿」

  124. 投稿の歌の片隅載りたれば妹からの電話がかかる

  125. すさまじき己を詠う選者詠生きる証を歌に託せし

  126. 投稿の歌にまさりて気になるはときを経て出すメルマガのこと

    2.9

    題詠「泉」

  127. 故郷の道の端にぞ流れ落つ泉はありて清冽を愛づ

    題詠「母」

  128. 死の淵覗き見たりし母なれど冬の最中も健やかなりし

    2.12

  129. 良し悪しいかに決めるや歌の道定かならねばわが道を行く

  130. 権威てふ朝日歌壇の歌読みて歌無き歌の選ばる不思議

  131. 歌詠みて営み変わるはず無けど生きる喜び見つく楽しさ

  132. 透析に週に三日はるばると通えるいとこ酒も飲みおり

  133. 出さざるに既に倦みたるメルマガはフォルダーの中に隠れていたる

  134. 投稿にメルマガにと今年為す大仕事をば終えたる気がす

    2.13

  135. チェジュ島はハングルのみでキムチ食ぶ故郷に似る景色なれども

  136. 様々な歌は載りたれ如何にても歌と思えぬ歌もありたる

  137. 権威てふ言葉のもろさ遠くにて麗しくあれ時に不可解

  138. ネットには無数に散りたる歌ありて時に味わう楽しみ見つく

    ウォーキング関連7首

  139. 椿にて目白さえずる春日和遠き対岸犬の吠えおり

  140. 処々に杉植えれど自然林緑あふれて季節を知らず

  141. 鶯のさえずりおりし海辺路暦は冬で汗ばむ陽気

  142. 時止まる風景の中歩きおり喧騒知らず幻のごと

  143. ダイダイと椿が並ぶ道はずれひと月前に変わらずありて

  144. 光る海穏やかな波小波止では雄鶏鳴きて作業は続く

  145. 八キロの路を歩きて八台の車を数ふのみの朝なり

    2.14

    題詠「メルマガ」

  146. メルマガは顔を現しようやくにわがホームページにリンク貼りたる

  147. ワード使ひメルマガUPす今までの苦労は嘘か即座に出来る

  148. メルマガをリアルタイムで出すために矢継ぎ早にぞ発行したり

  149. ホームページの更新日毎続きたるひととせ前はつゆ思わざり

    2.15

  150. メルマガを三つ編み終わり予約せしのどかに過ぎぬ日曜日なり

  151. イギリスとパリの絵画を見て回る旅を語りて姪は溌剌

    即題詠 「短歌」

  152. 短歌てふ定型世界その中で気侭に遊ぶ楽しみ見つく

  153. 短歌詠み左脳と右脳バランスの取れるや否や思ひを馳せる

  154. 何事も道を究むは難けれどネットで遊びし我が歌軽し

  155. 飄々と歌詠む時は来るのやら覚悟を持ちて詠うにあらねど

  156. 即詠の返しの世界時にては楽しと思ひ心華やぐ

    2.16

  157. 投稿は続けて載れど気に入りし歌にあらずて喜び少し

  158. 気侭にて詠みし歌なり人に見すつもり無ければ選ぶも難し

  159. 心象と情念の歌数多なり人に示せど興味無からん

    即題詠「山」

  160. 島なれど高山そびえ海を見ず命を終えし人もいたりき

  161. ふるさとは山奥にあり夏にても下着一枚多く身に付く

  162. 山畑は杉の林と成り果てて歩き廻りし日々は遠く

  163. 七岳はその名の如く七つ峰麓に社鎮座まします

  164. 鬼岳と只狩山は低きゆえ里の人にぞ親しまれつ

    2月17日

    即題詠「図書館}

  165. 図書館と資料館とが立ち並ぶ木立の中に社ぞありぬ

  166. 図書館でゆくりとせずに新刊をその場で借りる癖のみありて

  167. 借りる本無くて廻れど見つけしも読まずにありて返すこと数多(あまた)

  168. 歌を詠み歌集を探す図書館に読みたき本は見つからざりき

  169. 本を読む快楽(けらく)は知れど歌詠みの時ぞ詰まりて図書館忘る

  170. ホームページにひとり作りしリンク集我が図書館となりたりける

  171. 一冊の本を選ぶは難けれど詠みたる歌を編む楽しさよ

  172. 古本を探す喜び忘れ去り読まざる本に囲まれてゐる

  173. その昔出版元で買い求む復刻本は読まれずありて

  174. 長き時求めし本の原作をネットで見つけて読みしことあり

  175. 本棚の飾りでありし古典歌集思ひがけずに宝となりぬ

  176. 本読みて感想を書くこと絶えてMLは寂びし

  177. 濫読の癖は止みたり願わくは深き世界を求めたきかな

  178. 紙の本無くて生きれる世となるや読まずにありて過ごす日々あり

  179. 書捨てよと云ひし人のありたりき時に真白の世界を知りたし

    2.21

  180. 歌えない小鳥でなくて歌わんの心はあれど今は静かに

  181. 海外へ旅する前の華やぎで妹の部屋でくつろぐ夜か

  182. 友と行くヨーロッパの旅は学生に別れを告げる巣立ちの時か

  183. プリントをファイルに閉じてエネルギーの満ちし日々をば遥かに思う

  184. 歌を詠む人は少なしネットにて歌の花園溢れておれど

  185. 手の骨を折りし従姉妹は病院に通ひし後に仕事場訪ぬ

    2.22

  186. 新卒で社会に出る青年は島にしばらく戻らじと云ふ

  187. 雨風の激しき冬日気温のみ皐月の末と同じにありて

  188. 大雪の冬の後に来る暖かさ如月ならぬ陽気の続く

  189. 聖書に記されたりし選民の古き伝説独り読みつつ

  190. 歌詠みを生きる糧とし壮絶に命見つめる人もおりたる

  191. ネットにて百花繚乱と咲ける歌道は遠しと想ふことあり

    2.23

    即題詠「窓」

  192. 仕事場の窓から見える青空はビルが妨げ広くは無かり

  193. 窓の外屋根の向こうに停泊すフェリーの汽笛出港を告ぐ

  194. 寝苦しき真夏の夜も窓明けて寒さを感じ明け方閉めぬ

  195. 島に住む我の世界の窓となるネットを今日もつなぎて遊ぶ

  196. その昔窓辺にありし大木を眺めて過ごす図書館のとき

  197. 退屈な昼下がりには窓の下行きかう人を眺めて飽きず

    2.24

  198. ためらひて後によふやく船出する我がメルマガに幸あれぞかし

  199. 英文を書かざる日々は長くして拙き文に想ひを込めぬ

  200. 流暢な英語あふるるネットの中短きエッセイ恥ずかしげなり

  201. 今はただ気負いもなくてあるがまま想ひを文に託していかん

  202. すばやくに見知らぬ人のメールありて思わざりける嬉しさ感ず

    2月25日

  203. 恒例の序と跋を三つ書き上げて暫しのんびり如月の末

  204. 若者の歌を三つほどUPしたる続きあるかは定かならねど

  205. メルマガをよつも持ちたる愚か者息切れの日は遠くなからん

  206. 如月になしたることの持つ意味は今は見えずも先にて見えん

    2.28

  207. 日を継ぎて発行したる玉響は暫し休みの時を迎えり

    2.29

  208. 歌の本読まんとすれど合点せずわが道行くを標と決めぬ

  209. 悋気をば楽しみおりてぱぱさんは夜中の3時電話を待てり





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