がじゅまる2004-I
最終訂正日04年2月29日
歌を詠む
2003年を歌で詠む
2004.1.1
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新たなる決意をもちて迎えたる年の始めぞ清々しきか 
1.2
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大阪に老母を迎ゆ春間近心揺らげど最後の正月 
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初売りの地方発送で大阪へ土産を送る従兄ありける 
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幼子は父に甘えてまといつく祖父母の暮らす島の正月 
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里帰りプロペラ機をば操縦し島に渡るは何時の日ならん 
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プロペラ機20トン車オークション軽く話せる君は逞し 
1.3
 
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書きたしと思ひしままの文あれど書かずにありて過ぎ行く正月
 
1.6
 
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試練の日誇らしげにぞ語りける信念もちて生きんとする君
 
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様々に別れし友を語りおる青年たちも会うことあるや
 
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進路にて悩みおれども今はただ学びおること力尽くさん
 
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ヘーゲルと西田哲学を教えらると亡き兄の友懐かしみおり
1.9
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城屋敷コースを外れて二本楠巡りし後に目的地へと
 
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駐車場雨の中にも三台の軽トラあれど人影見えず
 
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降る雨に出るに出られず語りおる駐車したるワゴン車の中
 
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雨止みて下り始めて釣り人の重き装備で上り来るに逢う
 
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雨降れど森の小道は乾きおり残りしずくは遅れて落ちる
 
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風景が濡れて浮びぬ大瀬崎光のはしご南にかすか
 
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人気(ひとけ)なき白灯台に雨避けてのんびり語る暖かき冬
 
1.10
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くるくると廻る草の葉ひとつあり自然が醸す匠の技か 
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助手席で眺め楽しむ遠出なり若葉の車スピードを上げて 
1.11
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晴れやかに装いたりし記念の日はたちにならず式を祝ひし
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デジカメで撮りたる写真プリントす着物姿の微笑み並ぶ
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デジカメの日ごろはせざるプリントを手渡ししつつ感心しきり
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様々に別れし路を歩みいてつかの間集う故郷のとき
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卒論を故郷で仕上げ恩師宛添付で送る今時風か
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入学の手続き終えし少女なり受験を重ぬ不思議な世界
1.14
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たまたまに歌会始の日なりて過去の歌をば調べ楽しむ
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初日の出島の上に美しく光(て)りおる画像送ってきたり
1.15
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大鍋のおでんの香り充ちあふれ我が部屋冬の寒さを知らず
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手仕舞いをしたる翌日のんびりくつろぐ心地を忘れていたり
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昼下がり幾多の墓地と集落を通り過ぎゆくのどかな冬日
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パソコンでコミック読みてとき忘る本で読みたる昔を思ひつ
1.16
 
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母通ふマリアの園の傍らで信徒眠らぬ墓地湿りたる
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校門に幟はためく時津海かつて学びし福江中学校
 
1.17 
 
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カルタ取り体育館で子供らと楽しみおりし姿浮かびぬ 
 
1.18 
 
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題詠の思ひしよりも易きにて我ひとりにて試みにせん 
 
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謎ときめの君が解き得ぬ題詠か創りし謎は素直なれども 
 
1.19
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頭より大き桜島もらひしがようやく一つを漬物とせり
1.20
即題詠 「祭り」
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お神輿を軽トラ乗せて運びおる交通多き地区祭りかな
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少女らが薄き紅ひき大声で神輿担げる富江の社(やしろ)
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肌寒き夜空を照らす花火にて終わりを告げる福江の祭り
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幟持ち友と一緒に町中(まちなか)を練り歩きたる三井楽の祭り
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幼き日楽しき祭り待ちわびし想い出遠く今はなつかし
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旧暦の桃の節句に馳走持ち走りまわりぬ只狩の山
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豊作を祝う祭りに子供らは家々を歩き菓子など食べて
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陸奥(みちのく)の祭りが根付き年々にネブタ増え行き街をば走る
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その昔不思議に思ひし祭りの残りてあるも廃れつつあり
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長月の寝待月をば浜辺にて待ちし人々何を語らん
1.21
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夕べよりわが街にても雪降りて屋根には白き覆いかぶりぬ 
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寒風と雪が舞いける夜にてもフェリーの汽笛いつもに変わらず 
1.22
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夜明け前海も周りも静かにて窓をあくれば白き世界 
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ゴミの日馳走は無くてカラス群れ白き世界にカアカアと啼く 
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下見えぬ道路に印す白き跡南の景色震えていたり 
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一台の車曲がれる跡残す白き道路を児童が通う 
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晴れ渡る空はあれども残る雪消ゆと思えず夕べに舞える 
 
 1.24
題詠 「涙」
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涙川流せし人は今いずこ袖も濡らさで涙こらゆや
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泣きたくて涙の出ざる悲しさよ独りにてあれ耐えよと言うか
 
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映画見て涙の滲む時ありてそのまましおき余韻楽しむ
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緊張の時に涙を流したる乙女のいたり看護師になる
1.25
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今日もまた雪は舞い散る山肌に雪は残りて姿を見せつ
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小雪舞う景色を眺むサッシ窓部屋のぬくさに曇りて見えず
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マニュアルで教えることに不満持ちメールを書きぬ駿河の地より
1.27 
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おっとりと教える癖を指摘され世間を知りぬ研修かな 
1.28
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ウィルスの気配ぞしたるファイルあり初期化をすればメールを失えり 
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文を書く手を休めては詠める歌いつしか歌集は忘れられたり 
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朝に昼そして夜へと詠ひ継ぐ五十余りの歌に漬かりし 
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歌作る意欲は時に気まぐれで目覚めぬ時も多くありたる 
 
1.29
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序と跋三つを書きたる月末は詠みし歌をば振り返るとき 
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合作の歌の顛末知らずして無闇に上の句を作りおる 
 
1.30
 
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題詠と合作を混ぜてともに詠む歌はますます楽しくなりて
 
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知らざりし謎解きに似る題詠と合作を併せ拓けし世界
 
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得手不得手人にて違う不思議さよ合作で分かる性格ありや
 
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数多く詠むを本意とは思わずも競詠の如き即詠なり
 
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独りにて歌詠みするは辛からん記録歌なれど語りたきかな
 
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寝転がり机に座りさまざまに思い浮かべし心象を詠う
 
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文にては書けぬことをも詠むことのいつしか来るや定かならねど
 
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世間をば詠ひたき吾今はただ小さき己見つめておれど
 
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感情を爆発させる歌は無きカタルシスとはいつしか遠く
 
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扉をば開きて見れば次々と現れ来たる未知の世界か
 
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いつしかは泉は涸ると思ひけり未だ湧き出づ命ありとは
 
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移り気の我が誘われ踏み入れし外で見しより華やかなりか
 
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様々に浮ぶアイデア行いて世間の広さ狭さを知らず
 
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詩心は年を経るごと消え行くか歌詠む心詩心なりや
 
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大雪を生き残りたるアロエ花オオタニワタリともに陰薄く
 
1.31
 
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柔らかき指で顔持て髭剃りす女理容師と話をしつつ
 
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散髪の終わりに尋ぬならひにて我も同じくいらぬと答ゆ
 
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幾度なく横に見しまま通りたる増田トンネル始めて入る
 
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四日前は賑わひ見せし海辺道旧道となりて車も見えず
 
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島中にトンネルできて平地のみ車走らすときになりたる
 
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HPに写真のページつなぎたり我撮りたれど美しきかな
 
2.1
 
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巡回のバスに乗りおる人を見ず商店街の苦悩は続く 
 
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上ありて下を作れる合わせ歌ときに思わぬ中身となりて 
 
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上を作る時には何も思わずに下で苦しむ我が題の歌 
 
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潮引きて岩場に残る牡蠣の殻貝を拾える指を傷つく
 
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大雪の降りし今年の冬なれば外に出られぬ集落ありて
 
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風を切り我も走ってみたくなるすべてを忘れ己を信じ
2.3
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知らぬ間に詠ひ残せし千の歌はるけき峰もいつしか過ぎて
即題詠「島」
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若者の島を離れる日は近く教習所も賑わいをみす
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島の道ますぐに広くなりたれど住める人々少なくなりつ
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展望台遠くに見える小島あり望遠鏡で家々間近
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島に住む我に教える汽笛音遠くに聞こゆエンジンもあり
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我歩く島のコースは八キロも人影見ざる時もありたる
2.4
2.4
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タイ娘二十歳(はたち)になるがパパさんと呼びおる友は楽しげなりて
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とつ国の西の島にて踊りける北と南の娘(こ)らは何思う
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知らざりき友が詠ひし時あるを我も泉の枯ることありや
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饒舌に俳句を語る友となり昔の熱気思ひ出せしか
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投稿で毎回名をば見す人はかつて遊びし同級生なり
2.6
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心弾む気持ちを抑ゆあたはずに友はドーナツを女に与ふ
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客よりもダンサーの多き店なりて夜のネオンは不況に勝てず
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タイ娘踊れる店に通へども気にかかりしは経営のこと
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我知らぬ影の世界の有様を聞きしにあれどすぐに忘れぬ
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タガログ語覚えたしとぞ言ひし友今は昔でタイ語となりし
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薄暗き夕べの空に西の端(は)は陽が沈みし後白く広がる
2.7
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娘らにタイの地図をば示しては国際電話約束せしとぞ
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疲れたりと云える友は楽しげに仕事の合間電話をかけくる
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メルマガの申請終わる週末はメルジン熱気を思い出しおり
2.8
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二人乗り黄色のビートを駐車してパンクの修理手伝う友か
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二年前買ひしノート型使わずに在りしままにてフリーズしたるや
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薄桃の衣着たまま洗車する看護師見える駐車場
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日曜日眼帯しおる患者の窓より見たる眼科病院
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英語書く慣わしからは遠ざかり書き出し惑うエッセイに悩む
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時にてはストレスたまる行ひを好みて求む我もいたりぞ
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日曜の夕べは寂し街中に響く声など少なくありて
即題詠 「投稿」
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投稿の歌の片隅載りたれば妹からの電話がかかる
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すさまじき己を詠う選者詠生きる証を歌に託せし
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投稿の歌にまさりて気になるはときを経て出すメルマガのこと
2.9
題詠「泉」
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故郷の道の端にぞ流れ落つ泉はありて清冽を愛づ
題詠「母」
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死の淵覗き見たりし母なれど冬の最中も健やかなりし
2.12
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良し悪しいかに決めるや歌の道定かならねばわが道を行く
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権威てふ朝日歌壇の歌読みて歌無き歌の選ばる不思議
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歌詠みて営み変わるはず無けど生きる喜び見つく楽しさ
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透析に週に三日はるばると通えるいとこ酒も飲みおり
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出さざるに既に倦みたるメルマガはフォルダーの中に隠れていたる
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投稿にメルマガにと今年為す大仕事をば終えたる気がす
2.13
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チェジュ島はハングルのみでキムチ食ぶ故郷に似る景色なれども
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様々な歌は載りたれ如何にても歌と思えぬ歌もありたる
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権威てふ言葉のもろさ遠くにて麗しくあれ時に不可解
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ネットには無数に散りたる歌ありて時に味わう楽しみ見つく
ウォーキング関連7首
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椿にて目白さえずる春日和遠き対岸犬の吠えおり
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処々に杉植えれど自然林緑あふれて季節を知らず
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鶯のさえずりおりし海辺路暦は冬で汗ばむ陽気
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時止まる風景の中歩きおり喧騒知らず幻のごと
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ダイダイと椿が並ぶ道はずれひと月前に変わらずありて
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光る海穏やかな波小波止では雄鶏鳴きて作業は続く
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八キロの路を歩きて八台の車を数ふのみの朝なり
2.14
題詠「メルマガ」
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メルマガは顔を現しようやくにわがホームページにリンク貼りたる
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ワード使ひメルマガUPす今までの苦労は嘘か即座に出来る
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メルマガをリアルタイムで出すために矢継ぎ早にぞ発行したり
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ホームページの更新日毎続きたるひととせ前はつゆ思わざり
2.15
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メルマガを三つ編み終わり予約せしのどかに過ぎぬ日曜日なり
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イギリスとパリの絵画を見て回る旅を語りて姪は溌剌
即題詠 「短歌」
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短歌てふ定型世界その中で気侭に遊ぶ楽しみ見つく
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短歌詠み左脳と右脳バランスの取れるや否や思ひを馳せる
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何事も道を究むは難けれどネットで遊びし我が歌軽し
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飄々と歌詠む時は来るのやら覚悟を持ちて詠うにあらねど
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即詠の返しの世界時にては楽しと思ひ心華やぐ
2.16
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投稿は続けて載れど気に入りし歌にあらずて喜び少し
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気侭にて詠みし歌なり人に見すつもり無ければ選ぶも難し
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心象と情念の歌数多なり人に示せど興味無からん
即題詠「山」
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島なれど高山そびえ海を見ず命を終えし人もいたりき
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ふるさとは山奥にあり夏にても下着一枚多く身に付く
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山畑は杉の林と成り果てて歩き廻りし日々は遠く
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七岳はその名の如く七つ峰麓に社鎮座まします
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鬼岳と只狩山は低きゆえ里の人にぞ親しまれつ
2月17日
即題詠「図書館}
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図書館と資料館とが立ち並ぶ木立の中に社ぞありぬ
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図書館でゆくりとせずに新刊をその場で借りる癖のみありて
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借りる本無くて廻れど見つけしも読まずにありて返すこと数多(あまた)
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歌を詠み歌集を探す図書館に読みたき本は見つからざりき
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本を読む快楽(けらく)は知れど歌詠みの時ぞ詰まりて図書館忘る
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ホームページにひとり作りしリンク集我が図書館となりたりける
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一冊の本を選ぶは難けれど詠みたる歌を編む楽しさよ
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古本を探す喜び忘れ去り読まざる本に囲まれてゐる
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その昔出版元で買い求む復刻本は読まれずありて
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長き時求めし本の原作をネットで見つけて読みしことあり
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本棚の飾りでありし古典歌集思ひがけずに宝となりぬ
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本読みて感想を書くこと絶えてMLは寂びし
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濫読の癖は止みたり願わくは深き世界を求めたきかな
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紙の本無くて生きれる世となるや読まずにありて過ごす日々あり
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書捨てよと云ひし人のありたりき時に真白の世界を知りたし
2.21
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歌えない小鳥でなくて歌わんの心はあれど今は静かに
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海外へ旅する前の華やぎで妹の部屋でくつろぐ夜か
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友と行くヨーロッパの旅は学生に別れを告げる巣立ちの時か
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プリントをファイルに閉じてエネルギーの満ちし日々をば遥かに思う
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歌を詠む人は少なしネットにて歌の花園溢れておれど
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手の骨を折りし従姉妹は病院に通ひし後に仕事場訪ぬ
2.22
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新卒で社会に出る青年は島にしばらく戻らじと云ふ
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雨風の激しき冬日気温のみ皐月の末と同じにありて
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大雪の冬の後に来る暖かさ如月ならぬ陽気の続く
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聖書に記されたりし選民の古き伝説独り読みつつ
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歌詠みを生きる糧とし壮絶に命見つめる人もおりたる
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ネットにて百花繚乱と咲ける歌道は遠しと想ふことあり
2.23
即題詠「窓」
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仕事場の窓から見える青空はビルが妨げ広くは無かり
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窓の外屋根の向こうに停泊すフェリーの汽笛出港を告ぐ
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寝苦しき真夏の夜も窓明けて寒さを感じ明け方閉めぬ
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島に住む我の世界の窓となるネットを今日もつなぎて遊ぶ
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その昔窓辺にありし大木を眺めて過ごす図書館のとき
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退屈な昼下がりには窓の下行きかう人を眺めて飽きず
2.24
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ためらひて後によふやく船出する我がメルマガに幸あれぞかし
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英文を書かざる日々は長くして拙き文に想ひを込めぬ
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流暢な英語あふるるネットの中短きエッセイ恥ずかしげなり
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今はただ気負いもなくてあるがまま想ひを文に託していかん
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すばやくに見知らぬ人のメールありて思わざりける嬉しさ感ず
2月25日
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恒例の序と跋を三つ書き上げて暫しのんびり如月の末
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若者の歌を三つほどUPしたる続きあるかは定かならねど
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メルマガをよつも持ちたる愚か者息切れの日は遠くなからん
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如月になしたることの持つ意味は今は見えずも先にて見えん
2.28
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日を継ぎて発行したる玉響は暫し休みの時を迎えり
2.29
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歌の本読まんとすれど合点せずわが道行くを標と決めぬ
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悋気をば楽しみおりてぱぱさんは夜中の3時電話を待てり
 
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